JP2013125267A - 圧着式フェルール - Google Patents

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司 岡本
Takaomi Tanaka
孝臣 田中
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Abstract

【課題】 フェルールのかしめ易さを向上させることで、光信号伝送機能に悪影響を及ぼすことなく、十分な固着強度を得ることを可能とした圧着式フェルールを提供する。
【解決手段】 圧着式フェルール1は、外筒11および内筒12からなる二層構造とされており、内筒12のビッカース硬度及び体積弾性率が外筒11のビッカース硬度及び体積弾性率よりも低くなされている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、圧着式フェルールに関し、特に、プラスチック光ファイバを使用した光通信のための圧着式フェルールに関する。
光ファイバ心線の外周を光ファイバ被覆部で被覆することで構成された光ファイバの接続において、光ファイバから被覆部を剥がして、これに円筒状の金属製フェルールを装着し、フェルールの端部をかしめることで(すなわち、圧着式のフェルールを使用することにより)光ファイバを位置決めすることが行われている(特許文献1)。
このような圧着式フェルールの圧着に際しては、通常、特許文献1の図8に示されているように、下向き半円形の金型面を有する上かしめ型および上向き半円形の金型面を有する下かしめ型を備えたかしめ治具を使用して、上かしめ型と下かしめ型とによってフェルールの端部を挟み込むことにより、フェルール端部がかしめられて光ファイバに圧着された光ファイバ端末を得ている。
特開平5−257044号公報
圧着式フェルールの圧着においては、フェルールと光ファイバ被覆部間の固着強度を所定値以上にする必要があり、かしめ量を大きくし過ぎると、光信号伝送機能に悪影響を及ぼし、かしめ量が小さすぎると、十分な固着強度が得られないという問題がある。
例えば、アルミニウム製のフェルールを使用すると、圧着は容易であるが、着脱回数が数百回を超えると、アルミニウム製のフェルールが削れて、ごみが発生したり、着脱ができなくなることがある。硬度の高い金属製のフェルールとすることで、削れを防止することはできるが、圧着が困難となる。
特許文献1のものは、かしめ方法を改良することで、上記問題点を解消しようとしたものであるが、この場合には、従来から使用されているかしめ治具を使用することができなくなるという問題がある。
本発明は、フェルールのかしめ易さを向上させることで、光信号伝送機能に悪影響を及ぼすことなく、十分な固着強度を得ることを可能とした圧着式フェルールを提供することを目的とする。
この発明による圧着式フェルールは、光ファイバが通されてかしめ圧着によって固定される圧着式フェルールであって、外筒および内筒からなる二層構造とされており、内筒のビッカース硬度及び体積弾性率が外筒のビッカース硬度及び体積弾性率よりも低くなされていることを特徴とするものである。
この発明の圧着式フェルールによると、適当なかしめ治具を使用して圧着を行った場合、内筒および外筒が変形することで、フェルールが光ファイバに圧着される。この際、かしめ治具による力を除去した後、内筒および外筒が元の形状に戻ろうとするが、内筒のビッカース硬度及び体積弾性率が外筒のビッカース硬度及び体積弾性率よりも低くなされていることにより、内筒は、外筒に比べると、かしめられた状態を維持するようになっており、十分な固着強度が得られる。そして、内筒と同じ材料だけでフェルールを構成した場合には、フェルールの外周に傷が付きやすいものとなり、着脱を繰り返した場合の耐久性が低下するという問題があるが、外筒のビッカース硬度が内筒のビッカース硬度よりも高いことで、この問題が解消される。
圧着式フェルールの圧着に際しては、下向き半円形の金型面を有する上かしめ型および上向き半円形の金型面を有する下かしめ型を備えたかしめ治具を使用し、上かしめ型と下かしめ型とによってフェルールの端部を挟み込んで、フェルール端部をかしめることにより、光ファイバにフェルールが圧着固定される。
二層構造のフェルールを得るには、湿式メッキによってもよく、乾式メッキ(金属蒸着やスパッタリング)によってもよい。機械加工とすると、内径精度や偏心精度の確保が困難となり、また、量産性が悪いという問題があり、メッキ(湿式または乾式)によることで、これらの問題を解消することができ、コスト低減も可能となる。
内筒のビッカース硬度及び体積弾性率が外筒のビッカース硬度及び体積弾性率よりも低くなされている例としては、例えば、外筒をニッケル製とし、内筒を銅製とすればよく、また、外筒をニッケル製とし、内筒をアルミニウム製またはアルミニウム合金製としてもよい。前者は、例えば湿式メッキにより容易に得ることができ、後者は、例えば乾式メッキにより容易に得ることができる。上記に例示した金属以外の組合せに限定されるものではなく、内筒のビッカース硬度及び体積弾性率が外筒のビッカース硬度及び体積弾性率よりも低くなされているものであればよい。
ビッカース硬度及び体積弾性率が高い外筒は、ばね効果により、元の寸法に戻ることから、フェルールの外径寸法が不変となり、ビッカース硬度及び体積弾性率が低い内筒は、元の寸法に戻らずに、光ファイバを強く保持することができる。これにより、かしめ易さが向上し、光信号伝送機能に悪影響を及ぼすことなく、外周面の強度を上げて、しかも、固着強度を上げることができる。
外筒のビッカース硬度は、変形が元に戻りやすいように(塑性変形しないように)、Hv400以上(好ましくは、Hv500以上でHv1000以下)であることが好ましく、体積弾性率は150GPa以上であることが好ましい。
また、内筒のビッカース硬度は、変形が元に戻りにくいように(塑性変形しやすいように)、Hv150以下(好ましくはHv130以下)であることが好ましく、体積弾性率は150GPa以下であることが好ましい。
なお、「二層構造」は、「少なくとも二層構造」を意味し、基本となる「二層構造」の内周、外周または中間に適宜異なる層を設けるようにしてもよい。
この発明の圧着式フェルールによると、かしめ易さが向上し、光信号伝送機能に悪影響を及ぼすことなく、外周面の強度を上げて、しかも、固着強度を上げることができる。
図1は、本発明による圧着式フェルールの1実施形態を示す縦断面図である。 図2は、同横断面図である。 図3は、本発明による圧着式フェルールを圧着する際に使用されるかしめ治具の一例を示す斜視図である。
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。
図1および図2に示すように、圧着式フェルール(1)は、円筒状フェルール本体(2)と、フェルール本体(2)が嵌め入れられたフランジ部付きホルダ(保持部材)(3)とからなる。
図1において、心線(4a)および被覆部(4b)からなり、先端部の被覆部(4b)が剥がされた光ファイバ(4)がフェルール(1)内に挿入されている。そして、この状態で、フェルール本体(2)の先端部がかしめられることにより(かしめ圧着によって)、光ファイバ(4)にフェルール(1)が圧着固定されるようになされている。フェルール(1)は、フレームまたはハウジング(図示略)に嵌め入れられて光コネクタを構成する。
フェルール本体(2)は、円筒状外筒(11)および円筒状内筒(12)からなる二層構造とされている。外筒(11)の端部外周には、先端に向かって径が小さくなるテーパ部(11a)が設けられている。
フランジ部付きホルダ(3)は、ステンレス鋼製とされており、基端側の小径円筒部(13)と、小径円筒部(13)の先端側に連なる大径円筒部(14)と、大径円筒部(14)の外周に設けられたフランジ部(15)とからなる。
小径円筒部(13)の内径は、光ファイバ(4)の被腹部(4b)の外径に等しくなされている。大径円筒部(14)は、その内径および外径が小径円筒部(13)の内径および外径よりも大きくなされており、その内径は、フェルール本体(2)の外径に等しくなされている。
フランジ部(15)の外周には、図2に示すように、軸方向に延びる断面方形の位置合わせ用キー溝(15a)が周方向に等間隔で4つ設けられている。
フェルール本体(2)は、その基端側の端面が、小径円筒部(13)の内周面と大径円筒部(14)の内周面との間に形成された段差面(16)に当接させられることで、フランジ部付きホルダ(3)に位置決めされて固定されている。
二層構造のフェルール本体(2)において、内筒(12)の硬度が外筒(11)の硬度よりも低く、また、内筒(12)の体積弾性率が外筒(11)の体積弾性率よりも低くなされており、内筒(12)が外筒(11)よりも相対的に軟らかいものとされている。
圧着式フェルール(1)の圧着に際しては、図3に示すように、下向き半円形の金型面(22a)を有する上かしめ型(22)および上向き半円形の金型面(23a)を有する下かしめ型(23)を備えたかしめ治具(21)を使用し、上かしめ型(22)と下かしめ型(23)とによってフェルール本体(2)の端部を挟み込んで、フェルール本体(2)の端部をかしめる。これにより、光ファイバ(4)にフェルール(1)が圧着固定される。
この圧着式フェルール(1)によると、かしめ治具(21)を使用して圧着を行った場合、フェルール本体(2)端部の外筒(11)および内筒(12)が変形することで、フェルール本体(2)が光ファイバ(4)に圧着される。この際、かしめ治具(21)による力を除去すると、内筒(12)が外筒(11)よりも相対的に軟らかいものとされていることで、内筒(12)は変形(塑性変形)したまま、外筒(11)は弾性変形によって元の形状に戻るようになされている。すなわち、内筒(12)だけがかしめられた状態を維持するようになっている。
上記の効果を得るための材料の組合せとしては、外筒(11)をニッケル製(ビッカース硬度550Hv、体積弾性率180GPa)、内筒(12)を銅製(ビッカース硬度120Hv、体積弾性率120GPa)とすればよく、また、外筒(11)をニッケル製、内筒(12)がアルミニウム製(ビッカース硬度80Hv、体積弾性率70GPa)またはアルミニウム合金製としてもよい。
二層構造のフェルール本体(2)は、好ましくは、湿式メッキとして次のようにして製作される。
1) 内径に適合した心材を準備する。
2) 心材に剥離用材料を塗布する。
3) 心材の両端に電極を取り付ける。
4) 銅の溶液に心材を浸す。
5) 心材に電流を印加する。
6) 目標の外径まで電鋳(メッキ)で内筒(12)を成長させる。
7) 内筒(12)が形成された心材をニッケルの溶液に浸す。
8) 心材に電流を印加して、目標の外径まで電鋳(メッキ)で外筒(11)を成長させる。
9) 心材を抜き取る。(竹輪状態)
10) 両端を切断し、外筒(11)外周面を目標外径まで研磨する。
11) フェルール本体(2)に必要な長さに切断する。
12) フェルール本体(2)の外筒(11)端部外周面にテーパ部(11a)を追加工する。
13) フェルール本体(2)をフランジ部付きホルダ(3)に嵌合することで、圧着式フェルール(1)が完成する。
上記において、フランジ部付きホルダ(3)は、公知のものであるが、フェルール本体(2)を保持する部材は、このフランジ部付きホルダ(3)に限定されるものではない。
また、フェルール本体(2)は、二層構造を構成する材料によっては、湿式メッキに代えて、乾式メッキによっても製作することができる。また、外筒(11)および内筒(12)のいずれか一方を湿式メッキによって形成し、他方を乾式メッキによって形成するようにしてもよい。また、外筒(11)および内筒(12)に加えて、これらの内周、外周または中間に他の材料による層を形成して、三層以上の構造としてもよい。
(1) 圧着式フェルール
(2) フェルール本体
(11) 外筒
(12) 内筒

Claims (4)

  1. かしめ圧着によって光ファイバに固定される圧着式フェルールであって、外筒および内筒からなる二層構造とされており、内筒のビッカース硬度及び体積弾性率が外筒のビッカース硬度及び体積弾性率よりも低くなされていることを特徴とする圧着式フェルール。
  2. 外筒がニッケル製、内筒が銅製とされていることを特徴とする請求項1の圧着式フェルール。
  3. 外筒がニッケル製、内筒がアルミニウム製またはアルミニウム合金製とされていることを特徴とする請求項1の圧着式フェルール。
  4. 外筒および内筒は、芯材に内筒形成のためのメッキおよび外筒形成のためのメッキが施された後に芯材が抜き取られることで作成されていることを特徴とする請求項1の圧着式フェルール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018105391A1 (ja) * 2016-12-05 2018-06-14 オリンパス株式会社 電子回路ユニット、撮像ユニット、内視鏡および電子回路ユニットの接続方法

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