JP2018133194A - 端子付き電線 - Google Patents

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哲朗 佐藤
正嗣 小島
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Abstract

【課題】アルミ導体と銅製端子の線膨張率の差異に依りヒートサイクル試験で電気抵抗が増加する。またアルミ可撓撚り導体では端子のセレーションを深くすると細線が破断する。電気抵抗の増加を効果的に抑制することができる端子付き電線を提供する。
【解決手段】圧縮端子2の筒部8は、その内面に凹部8bを有し、この凹部8bが金属パイプ3に食い込むように圧縮され、圧縮端子2と導体5が金属パイプ3を介して電気的に接続される端子付き電線1。
【選択図】図4

Description

本発明は、端子付き電線に関するものである。
従来、車両などに使用される電線の導体を、軽量化等を目的に、アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成し、この導体に圧着端子を圧着した構成の端子付き電線が知られている(たとえば、特許文献1を参照)。
アルミニウム製導体に銅製の圧着端子を接続した端子付き電線にヒートサイクル試験を実施すると、アルミニウムと銅の線膨張差が大きいため、この線膨張差により接点が露出し、絶縁酸化膜が形成されて電気抵抗が増加してしまう。
特開2011−82127号公報
従来においては、電線の導体に圧着される銅製の圧着端子のバレル内面に、セレーション(溝)と呼ばれる凹凸のパターンを形成することで、アルミニウム製導体と銅製端子との接点の面積を大きくして、電気抵抗の増加を抑制している。
本発明者は、端子付き電線を製造するにあたって、アルミニウム製導体として細線を撚り合わせてなる可撓撚り導体を用いると、細線が断線してしまう恐れがあるためにセレーションを大きく(深く)することができず、線膨張差に起因する電気抵抗の増加を抑制できないという知見を得た。
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであって、主な目的は、導体と端子の線膨張差に起因する電気抵抗の増加を効果的に抑制することができる端子付き電線を提供することにある。
本発明は、上記した目的を実現するため、以下に述べる[1]〜[3]の端子付き電線を提供する。
[1]導体を絶縁被覆で覆った電線と、前記電線の端末部の前記絶縁被覆が除去されて前記導体が露出した露出部が挿入され、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属パイプと、前記金属パイプを介して前記導体の前記露出部が挿入され、銅または銅合金からなる筒部を有する圧縮端子と、を備え、 前記圧縮端子の前記筒部は、その内面に凹部を有し、当該凹部が前記金属パイプに食い込むように圧縮され、前記圧縮端子と前記導体が前記金属パイプを介して電気的に接続される端子付き電線。
[2]前記圧縮端子の前記筒部の凹部が前記電線の前記絶縁被覆に食い込むように形成された[1]に記載の端子付き電線。
[3]前記電線の外径と、前記金属パイプの外径とが略等しい[2]に記載の端子付き電線。
本発明の端子付き電線によれば、導体と端子の線膨張差に起因する電気抵抗の増加を効果的に抑制することができる。
本発明の実施形態に係る端子付き電線の構成を説明するための模式図である。 本発明の実施形態に係る電線の構成を示す断面図である。 は、図1のアルミニウム導体用圧縮接続端子を用いてアルミニウム導体を圧縮接続する方法を説明するためのものであり、(a)は、圧縮接続する前の状態、(b)は、圧縮接続した状態を示す説明図である。 本発明の実施形態に係る端子付き電線を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
<端子付き電線の構成>
図1は本発明の実施形態に係る端子付き電線の構成を説明するための模式図である。
本発明の実施形態に係る端子付き電線1は、圧縮端子2と、金属パイプ3と、電線4と、を備えた構成となっている。端子付き電線1は、たとえば、自動車や電車などの車両に用いることができる。もちろん、端子付き電線1は電気・電子機器等の車両以外の用途で用いることもできる。
(電線)
電線4は、導体5と、この導体5を被覆する絶縁被覆6と、を備えた構成となっている。
(導体)
導体5は、電線4の芯線を構成している。導体5は、たとえば、複合撚り線によって構成されている。複合撚り線とは、図2に示すように、複数の金属素線11を撚り合わせて集合撚り線12とし、この集合撚り線12を複数撚り合わせて構成されるものである。この場合、1本の集合撚り線12を構成する金属素線11の本数を「m」とし、1本の複合撚り線を構成する集合撚り線12の本数を「n」とすると、1本の導体(複合撚り線)5を構成する金属素線11の総本数は「m×n」となる。金属素線11は、たとえば、アルミニウムまたはアルミニウム合金によって構成されている。導体5の断面形状は、全体的に円形になっている。
電線4の導体5を複合撚り線によって構成する主な理由は、電線4の大電流化と高屈曲性を両立させることにある。すなわち、より多くの電流を電線4に流せるようにするためには導体5の実効断面積(sq値;sqは平方ミリメートルの略)を大きくすることが有効であるが、そのために太い金属素線11を用いると屈曲性が低下する。また、屈曲性を高めるには細い金属素線11を用いることが有効であるが、細い金属素線11を集合撚りによって太くするにも限界がある。これに対して、本実施形態のように、複数の金属素線11を撚り合わせて集合撚り線12とし、この集合撚り線12を複数撚り合わせた複合撚り線によって導体5を構成すれば、細い金属素線11を使用した場合でも導体5の実効断面積を大きく確保することができる。このため、電線4の大電流化と高屈曲性を両立させることが可能となる。
(絶縁被覆)
絶縁被覆6は、絶縁材料によって構成されている。絶縁被覆6の材料としては、たとえば、フッ素系のゴムを用いることができる。絶縁被覆6は、導体5の外周部を囲むように断面円形に形成されている。絶縁被覆6は、電線4の長さ方向の全長にわたって導体5を被覆している。ただし、電線4の長さ方向の端部では絶縁被覆6が剥がされ、これによって導体5の一部(以下、「露出部」という。)5aが露出している。
電線4の径方向において、導体5と絶縁被覆6との間には押さえテープ7が介在するようにしてもよい。押さえテープ7は、導体5と絶縁被覆6とを物理的に分離するように、導体5の外周部に巻かれている。
(金属パイプ)
金属パイプ3は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。金属パイプ3は、導体5の露出部5aが挿入可能な中空部8aを有するように形成されており、かつ露出部5aとの接触抵抗を十分に低減できる長さ(接触面積)であって、露出部5aの露出長さと同程度の長さ(絶縁被覆6を覆わない長さ)を有するように形成されている。また、金属パイプ3の外径は、電線4の外径と略同等になるような肉厚で形成されていてもよい。また、金属パイプ3の表面には、接触抵抗を下げるために、錫メッキや銀メッキ等のメッキを施してもよい。
(圧縮端子)
圧縮端子2は、筒部8と、接続部9と、を一体に有している。圧縮端子2は、たとえば、銅又は銅合金からなる端子素材である。なお、接続部9の表面や筒部8の内面に錫メッキや銀メッキ等のメッキを施してもよい。
筒部8は、電線4の導体5に電気的に接続される部分となる。筒部8は、断面円形の筒状(円筒状)に形成されている。筒部8の内部は、金属パイプ3を挿入可能な中空部8aになっていると共に、内面には凹部8bが設けられている。この凹部8bは、螺旋状のねじ溝や、筒部8の長手方向に断続的に形成された複数のリング状の溝、または複数のドット状の凹みであってもよい。中空部8aの一端(入口部分)は、金属パイプ3の外径よりも大きく開口している。
筒部8の凹部8bは、圧縮ダイスからの圧力により筒部8の内周面が金属パイプ3の外周面に接触し、金属パイプ3が変形して凹部8b内に入り込んで(食い込んで)、その底部と接触するような深さに形成されていることが好ましい。これにより、筒部8と金属パイプ3との接点の面積を十分に大きくすることができるため、線膨張差に起因する電気抵抗の増加を抑制することができる。
接続部9は、板状に形成されている。接続部9には、図示しない相手側端子とボルトを介して接続するための接続用孔9aが設けられている。接続用孔9aは、接続部9を厚み方向に貫通する状態で平面視円形に形成されている。接続部9の形状等は、相手側端子の形態に応じて任意に変更可能である。
図1に示す圧縮端子2は、たとえば、銅の板材を用意し、この板材の一方の面にプレス加工により複数の直線状の溝を形成し、この溝部形成面が内面となるように板材を曲げてから端部同士を溶接して筒状に加工し、この筒の一端が板状になるようにプレス加工し、この板状加工部分に接続用孔9aの孔あけ加工をすることで筒部8と接続部9とを一体的に形成して作製することができる。本工程で作製された圧縮端子2は、その内面に筒部8の中心軸方向に断続的に形成された複数のリング状の凹部8bを有する。また、たとえば、この後に錫メッキ浴に浸して圧縮端子2全面に錫メッキを施しても良い。
なお、板状加工部分(接続部9)からの浸水を防ぐために、この部分において溶接、メッキ、または樹脂封止等の浸水対策を施してもよい。
<端子付き電線の製造方法>
続いて、本発明の実施形態に係る端子付き電線の製造方法について説明する。この端子付き電線1の製造方法は、第1工程としての電線4の端部加工工程と、第2工程としての接続工程と、を含む。以下、各工程について説明する。
(第1工程:電線の端部加工工程)
まず、導体5と、絶縁被覆6と、を有する電線4を用意したら、この電線4の長さ方向の端部で、導体5を被覆する絶縁被覆6を除去することにより、導体5の一部(露出部)5aを露出させる(図1参照)。この段階では、導体5の露出部5aの断面形状が、全体的にほぼ円形になっている。
(第2工程:接続工程)
次に、図3(a)に示すように、圧縮端子2の筒部8内に、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属パイプ3を挿入し、この金属パイプ3内に導体5の露出部5aと、この近傍に位置する被覆部6aを挿入する。その状態で、図3(b)に示すように、圧縮端子2の筒部8を圧縮することにより、導体5の露出部5aは、金属パイプ3を介して圧縮端子2の筒部8に電気的に接続される。このとき、導体5の露出部5aに形成された酸化膜の除去(破壊等)を目的に、金属パイプ3内に露出部5aを挿入する前に、必要に応じて、露出部5aに導電粉末(金属粉末)を塗布してもよい。圧縮時の加圧方向は、接続部9の厚み方向(板厚方向)で筒部8を挟み込む方向に設定されている。
この第2工程では、半割構造を有する一対の圧縮ダイス10を用いる。一対の圧縮ダイス10は、圧縮端子2の筒部8に所定の圧力を加えて筒部8の被加圧部を圧縮変形(塑性変形)させるためのものである。各々の圧縮ダイス10は、横断面視で、それぞれ半円形の加圧面10aを有している。加圧面10aは、第2工程で筒部8の外周面に接触して所定の圧力を加えるものである。加圧面10aは、半円形の周面を形成している。加圧面の曲率半径は、圧縮後の筒部8の外径(所望の圧縮率)に対応して適宜設定すればよい。なお、一対の圧縮ダイス10で形成される加圧面10aは、横断視で円形に限らず、たとえば六角形であっても(すなわち、六角圧縮ダイスを用いても)よい。
一対の圧縮ダイス10は、互いの加圧面10aどうしを対向させた状態で配置されている。また、一対の圧縮ダイス10は、互いに接離移動可能に設けられている。ただし、これに限らず、一方の圧縮ダイス10を固定状態に保持し、この固定状態の圧縮ダイス10に対して他方の圧縮ダイス10を接離移動可能に設けたものであってもよい。
導体5の露出部5aに圧縮端子2の筒部8を接続する場合は、筒部8の中空部8aに、金属パイプ3及び導体5の露出部5aを挿入した状態の筒部8を、一対の圧縮ダイス10の間に配置する。そして、その状態で一対の圧縮ダイス10を互いに接近する方向に移動させることにより、一対の圧縮ダイス10で筒部8を両側から挟み込む。このとき、一対の圧縮ダイス10に所定の圧力を加えることにより、筒部8の被加圧部を圧縮変形させる。そうすると、一対の圧縮ダイス10に加えられた圧力が、各々の圧縮ダイス10の加圧面10aを通して筒部8に伝わり、この圧力を受けて筒部8が圧縮変形する。また、筒部8が所定量だけ圧縮変形すると、筒部8の内周面が金属パイプ3の外周面に、金属パイプ3の内周面が導体5の露出部5aにそれぞれ接触する。このため、導体5の露出部5aは、筒部8の内周面に押されて外径が縮小(圧縮)された状態となる。これにより、導体5の露出部5aに対して筒部8が金属パイプ3を介して電気的に接続された状態となる。ただし、一対の圧縮ダイス10の横断面視で加圧面10aはそれぞれ半円形になっているため、導体5の露出部5aの断面形状は円形に維持されたままになる。なお、露出部5aに導電粉末(金属粉末)が塗布されている場合、圧縮ダイスからの圧力によってこの導電粉末が導体5の表面酸化膜を突き破って良好な電気的接続を得ることができる。
圧縮ダイス10からの圧力により筒部8の内周面が金属パイプ3の外周面に接触する際に、金属パイプ3が凹部8b内に入り込み、筒部8と金属パイプ3との接点の面積が大きくなるので、ヒートサイクル試験における線膨張差に起因する電気抵抗の増加を防止することができる。また、筒部8に形成された凹部8bが導体5の露出部5aに直接接触しないので、導体5として細線を撚り合わせてなる可撓撚り導体を用いることができる。
なお、圧縮端子2内に導体5を筒部8に挿入する際に、導体5の露出部5aの近傍に位置する被覆部6aまで挿入し、この挿入された被覆部6aの箇所も圧縮ダイス10で圧縮してもよい。これにより、圧縮端子2の筒部8に設けられた凹部8bが被覆部6aに食い込んで密着するため、筒部8内への浸水を防止することができ、圧着端子2と金属パイプ3との異種金属接合に起因する腐食を防止することができる。この際、金属パイプ3の外径は、電線2の外径と略同等になるような肉厚で形成することにより、1回の圧縮動作により導体5の露出部5aと被覆6の被覆部6aとを一括で圧縮接続することができる。
その後、一対の圧縮ダイス10を互いに離間する方向に移動させる。これにより、一対の圧縮ダイス10が筒部8から分離し、圧縮動作が完了となる。なお、筒部8の中心軸方向に位置をずらして、複数の箇所で圧縮動作を行ってもよい。
以上の製造方法により、図4に示すように、絶縁被覆6の除去によって露出させた導体5の露出部5aに圧縮端子2の筒部8が接続された構成の端子付き電線1が得られる。
1 端子付き電線
2 圧縮端子
3 金属パイプ
4 電線
5 導体
6 絶縁被覆
8 筒部
9 接続部
10 圧縮ダイス

Claims (3)

  1. 導体を絶縁被覆で覆った電線と、
    前記電線の端末部の前記絶縁被覆が除去されて前記導体が露出した露出部が挿入され、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属パイプと、
    前記金属パイプを介して前記導体の前記露出部が挿入され、銅または銅合金からなる筒部を有する圧縮端子と、を備え、
    前記圧縮端子の前記筒部は、その内面に凹部を有し、当該凹部が前記金属パイプに食い込むように圧縮され、前記圧縮端子と前記導体が前記金属パイプを介して電気的に接続される端子付き電線。
  2. 前記圧縮端子の前記筒部の凹部が前記電線の前記絶縁被覆に食い込むように形成された請求項1に記載の端子付き電線。
  3. 前記電線の外径と、前記金属パイプの外径とが略等しい請求項2に記載の端子付き電線。
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