JP2013122487A - 金属格子の製造方法、金属格子およびx線撮像装置 - Google Patents

金属格子の製造方法、金属格子およびx線撮像装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2013122487A
JP2013122487A JP2011270088A JP2011270088A JP2013122487A JP 2013122487 A JP2013122487 A JP 2013122487A JP 2011270088 A JP2011270088 A JP 2011270088A JP 2011270088 A JP2011270088 A JP 2011270088A JP 2013122487 A JP2013122487 A JP 2013122487A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal
etching
silicon substrate
resist layer
silicon
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2011270088A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013122487A5 (ja
Inventor
Hikari Yokoyama
光 横山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Medical and Graphic Inc
Original Assignee
Konica Minolta Medical and Graphic Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Medical and Graphic Inc filed Critical Konica Minolta Medical and Graphic Inc
Priority to JP2011270088A priority Critical patent/JP2013122487A/ja
Publication of JP2013122487A publication Critical patent/JP2013122487A/ja
Publication of JP2013122487A5 publication Critical patent/JP2013122487A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)
  • Measurement Of Radiation (AREA)
  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)
  • Apparatus For Radiation Diagnosis (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、シリコン(Si)基板を用い電鋳法で格子の金属部分をより緻密に形成し得る金属格子の製造方法、金属格子およびX線撮像装置を提供する。
【解決手段】金属格子DGは、第1Si部分11とこの上に形成され第2Si部分12aおよび金属部分12bを交互に平行に配設した格子12とを備え、第2Si部分12aは、金属部分12bとの間に第1絶縁層12cを有し、その頂部に第2絶縁層12dを有している。金属格子DGの製造方法では、シリコン基板上にレジスト層が形成され、これがリソグラフィー法でパターニングして除去され、所定のエッチング法で除去部分を所定の深さHまでエッチングしつつ前記除去部分よりも幅広にエッチングして凹部(例えばスリット溝等)が形成され、この凹部の内表面に絶縁層が形成され、凹部の底部の絶縁層が除去され、そして、電鋳法で凹部が金属で埋められる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、タルボ干渉計やタルボ・ロー干渉計に好適に使用することができる格子を製造するための金属格子の製造方法に関する。そして、本発明は、この製造方法によって製造された金属格子およびこの金属格子を用いたX線撮像装置に関する。
回折格子は、多数の平行な周期構造を備えた分光素子として様々な装置の光学系に利用されており、近年では、X線撮像装置への応用も試みられている。回折格子には、回折方法で分類すると、透過型回折格子と反射型回折格子とがあり、さらに、透過型回折格子には、光を透過させる基板上に光を吸収する部分を周期的に配列した振幅型回折格子(吸収型回折格子)と、光を透過させる基板上に光の位相を変化させる部分を周期的に配列した位相型回折格子とがある。ここで、吸収とは、50%より多くの光が回折格子によって吸収されることをいい、透過とは、50%より多くの光が回折格子を透過することをいう。
近赤外線用、可視光用または紫外線用の回折格子は、近赤外線、可視光および紫外線が非常に薄い金属によって充分に吸収されることから、比較的容易に製作可能である。例えばガラス等の基板に金属が蒸着されて基板上に金属膜が形成され、該金属膜が格子にパターニングされることによって、金属格子による振幅型回折格子が作製される。可視光用の振幅型回折格子では、金属にアルミニウム(Al)が用いられる場合、アルミニウムにおける可視光(約400nm〜約800nm)に対する透過率が0.001%以下であるので、金属膜は、例えば100nm程度の厚さで充分である。
一方、X線は、周知の通り、一般に、物質による吸収が非常に小さく、位相変化もそれほど大きくはない。比較的良好な金(Au)でX線用の回折格子が製作される場合でも、金の厚さは、100μm程度必要となり、透過部分と吸収や位相の変化部分とを等幅で数μ〜数十μのピッチで周期構造を形成した場合、金部分の幅に対する厚さの比(アスペクト比=厚さ/幅)は、5以上の高アスペクト比となる。このような高アスペクト比の構造を製造することは、容易ではない。そこで、このような高アスペクト比の構造を備えた回折格子の製造方法が、例えば、特許文献1に提案されている。
この特許文献1に開示の微細構造体の製造方法は、Si基板に第1の絶縁膜を形成する第1工程と、前記第1の絶縁膜の一部を除去してSi表面を露出する第2工程と、該露出されたSi表面から前記Si基板をエッチングして凹部を形成する第3工程と、前記凹部の側壁及び底部に第2の絶縁膜を形成する第4工程と、前記凹部の底部に形成された前記第2の絶縁膜の少なくとも一部を除去してSiの露出面を形成する第5工程と、前記Siの露出面より前記凹部に金属を電解めっきにより充填する第6工程と、を有している。
特開2011−157622号公報
ところで、前記特許文献1に開示された微細構造体の製造方法における前記第5工程は、前記凹部の底部に形成された前記第2の絶縁膜のみを除去することを意図している。しかしながら、実際には、ドライエッチングによって、前記凹部の稜部(基板表面と凹部側面との境界部分)も比較的強くエッチングされてしまうため、前記特許文献1に開示された微細構造体の製造方法は、前記凹部の底部に形成された前記第2の絶縁膜だけでなく、図16に示すように、前記凹部の稜上の第2の絶縁膜もエッチングされ、前記凹部の稜部が通電可能な状態となってしまう場合がある。このような場合では、前記第6工程によって電解めっき(電鋳法)により前記凹部に金属を充填しようとすると、この前記凹部の稜部でも金属が析出成長してしまい、図17に示すように、やがて前記凹部の開口部が閉塞され、前記凹部内で前記金属が成長することができなくなってしまう。この結果、高アスペクト比の前記凹部は、金属で完全に充填されず、金属格子を製造することができなくなってしまう。
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、シリコン基板を用い、電鋳法によって格子の金属部分をより緻密に形成することができる金属格子の製造方法および前記金属格子を提供することである。そして、本発明の他の目的は、この金属格子を用いたX線撮像装置を提供することである。
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる金属格子の製造方法は、シリコン基板の主面上にレジスト層を形成するレジスト層形成工程と、前記レジスト層をパターニングして前記パターニングした部分の前記レジスト層を除去するパターニング工程と、所定のエッチング法によって前記レジスト層を除去した部分に対応する前記シリコン基板をエッチングして所定の深さの凹部を形成するエッチング工程と、前記シリコン基板における前記凹部を形成した側の表面に絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、前記凹部の底部に形成された前記絶縁層の部分を除去する除去工程と、電鋳法によって、前記シリコン基板に電圧を印加して前記凹部を金属で埋める電鋳工程とを備え、前記エッチング工程は、前記パターニング工程後に残留している前記レジスト層の下部内側におけるシリコン基板もエッチングすることを特徴とする。
このような構成の金属格子の製造方法は、シリコンをドライエッチングするので、例えばスリット溝や柱状穴等の凹部における幅や径に対する深さの比(凹部のアスペクト比=深さ/幅(または径))の高い前記凹部を形成することができる。この結果、このような構成の金属格子の製造方法は、この凹部を金属で埋めることで、高アスペクト比の金属部分を持つ金属格子を製造することができる。そして、前記電鋳工程で電鋳法によって前記凹部を金属で埋める際に、まず、前記絶縁層形成工程で、前記凹部の内表面に絶縁層が形成され、前記除去工程で、この絶縁層における前記凹部の底部の部分が除去される。そして、これら絶縁層形成工程および除去工程の前に実施される前記エッチング工程では、前記パターニング工程後に残留している前記レジスト層の下部内側におけるシリコン基板もエッチングされる。したがって、前記絶縁層形成工程では、所定膜厚のシリコン酸化膜(SiO膜、二酸化シリコン膜)等の絶縁層を形成することができ、凹部を構成する壁部であってエッチング工程で残留したシリコン基板の壁部の全表面が絶縁層によって絶縁状態となるとともに、凹部の底部分が通電可能な状態となる。しかも、前記エッチング工程で、前記パターニング工程後に残留している前記レジスト層の下部内側におけるシリコン基板もエッチングされるため、前記パターニング工程後に残留している前記レジスト層は、笠を被ったように前記壁部における頂部を覆うから、前記パターニング工程後に残留している前記レジスト層における両端部は、前記壁部における頂部の両稜部(両肩部)に対しいわゆる庇のように機能することになる。このため、前記パターニング工程後に残留している前記レジスト層における両端部によって、前記凹部の稜部(前記壁部における頂部の両稜部)が除去工程の除去作用から保護されるため、前記凹部の稜部も、前記絶縁層(および場合によっては前記レジスト層)によってより確実に絶縁される。このため、凹部の壁面(内側側面)から金属がより確実に析出および成長することがなく、凹部の底部分から金属がより確実に析出し成長する。したがって、このような構成の金属格子の製造方法は、このように金属が前記凹部の底部分からより確実に選択的に成長するので、ボイドの発生を効果的に抑制することができる。この結果、このような構成の金属格子の製造方法は、電鋳法によって格子の前記金属部分をより緻密に形成することができる。
また、他の一態様では、上述の金属格子の製造方法において、前記エッチング工程は、エッチングすべき部分の表面を削り取る削り取り工程と、削り取った表面を削り取りから保護する保護膜を形成する保護工程とを交互に繰り返すドライエッチング法であり、前記保護工程の実施時間に対する前記削り取り工程の実施時間の比(=削り取り工程実施時間/保護工程実施時間)は、平面視にて前記レジスト層を除去した部分の形状を維持するように前記シリコン基板をエッチングする場合に較べて、高いことを特徴とする。
この構成によれば、前記保護工程の実施時間に対する前記削り取り工程の実施時間の比を上述のようにより高くするという、比較的簡易な手法によって、前記パターニング工程後に残留している前記レジスト層の下部内側におけるシリコン基板もさらにエッチングする前記エッチング工程が、より簡易に実現される。
また、他の一態様では、これら上述の金属格子の製造方法において、前記エッチング工程は、エッチングすべき部分の表面を削り取る削り取り工程と、削り取った表面を削り取りから保護する保護膜を形成する保護工程とを交互に繰り返すドライエッチング法であり、前記削り取り工程に、前記保護工程に用いられる前記保護膜を形成するための保護膜形成原料も使用する場合に、該保護膜形成原料は、平面視にて前記レジスト層を除去した部分の形状を維持するように前記シリコン基板をエッチングする場合に較べて、少ないことを特徴とする。
この構成によれば、前記削り取り工程にも用いられる前記保護膜を形成するための保護膜形成原料を上述のようにより少なくするという、比較的簡易な手法によって、前記パターニング工程後に残留している前記レジスト層の下部内側におけるシリコン基板もさらにエッチングする前記エッチング工程が、より簡易に実現される。
また、他の一態様では、これら上述の金属格子の製造方法において、前記エッチング工程は、エッチングすべき部分の表面を削り取る削り取り工程と、削り取った表面を削り取りから保護する保護膜を形成する保護工程とを交互に繰り返すドライエッチング法であり、前記削り取り工程での前記ドライエッチング法のバイアス電圧は、平面視にて前記レジスト層を除去した部分の形状を維持するように前記シリコン基板をエッチングする場合に較べて、低電圧であることを特徴とする。
この構成によれば、前記削り取り工程での前記ドライエッチング法のバイアス電圧を上述のようにより低電圧化するという、比較的簡易な手法によって、前記パターニング工程後に残留している前記レジスト層の下部内側におけるシリコン基板もさらにエッチングする前記エッチング工程が、より簡易に実現される。
また、他の一態様では、これら上述の金属格子の製造方法において、前記エッチング工程は、エッチングすべき部分の表面を削り取る削り取り工程と、削り取った表面を削り取りから保護する保護膜を形成する保護工程とを交互に繰り返すドライエッチング法であり、前記ドライエッチング法における少なくとも削り取り工程の際のプラズマ化に用いられる電力は、平面視にて前記レジスト層を除去した部分の形状を維持するように前記シリコン基板をエッチングする場合に較べて、大きいことを特徴とする。
この構成によれば、前記ドライエッチング法における少なくとも削り取り工程の際のプラズマ化に用いられる電力を上述のようにより大きくするという、比較的簡易な手法によって、前記パターニング工程後に残留している前記レジスト層の下部内側におけるシリコン基板もさらにエッチングする前記エッチング工程が、より簡易に実現される。
また、他の一態様では、上述の金属格子の製造方法において、前記エッチング工程は、所定の第1エッチング法によって、平面視にて前記レジスト層を除去した部分の形状を維持するように前記シリコン基板をエッチングする第1工程と、前記第1エッチング法とは異なる所定の第2エッチング法によって、前記パターニング工程後に残留している前記レジスト層の下部内側におけるシリコン基板をエッチングする第2工程とを備えることを特徴とする。そして、好ましくは、前記第1エッチング法は、ドライエッチング法であり、前記第2エッチング法は、ウェットエッチング法である。
この構成によれば、エッチング工程に複数のエッチング法を用いた金属格子の製造方法が提供され、各エッチング法の長所を活かして前記エッチング工程を実施することができる。
また、他の一態様では、これら上述の金属格子の製造方法において、前記除去工程は、前記凹部の底部に形成された前記絶縁層の部分を除去するとともに、前記凹部の底部における前記シリコン基板をさらにエッチングすることによって前記凹部の底部分の表面積を該エッチング前より広くする除去広表面積化であることを特徴とする。
このような構成の金属格子の製造方法は、前記除去工程の前記除去広表面積化工程で、さらに、前記凹部の底部の絶縁層が除去されるだけでなく、前記凹部の底部に露出した前記シリコン基板がさらにエッチングされ、前記凹部の底部分の表面積が該エッチング前より広くされるので、シリコン基板が露出する面積がより広くなる。この結果、前記電鋳工程における通電面積がより広くなり、各凹部における金属の成長速度のばらつきが低減される。したがって、このような構成の金属格子の製造方法は、電鋳法によって各凹部における金属の成長長の略均一な金属格子を製造することができる。
また、他の一態様では、これら上述の金属格子の製造方法において、前記絶縁層形成工程は、堆積法、熱酸化法および陽極酸化法のうちのいずれかの方法によって、前記シリコン基板における前記凹部を形成した側の表面に絶縁層を形成することを特徴とする。
このような構成の金属格子の製造方法において、例えば化学気相成長法等の堆積法が用いられる場合には、緻密性に優れた絶縁層が形成され、しかも、その膜厚を比較的容易に制御することができる。熱酸化法が用いられる場合には、緻密で密着性に優れたシリコン酸化膜が形成され、しかも、その膜厚を比較的容易に制御することができる。陽極酸化法が用いられる場合には、緻密性、密着性および膜厚の均一性に優れたシリコン酸化膜が形成され、しかも、その膜厚を比較的容易に制御することができる。したがって、このような構成の金属格子の製造方法は、電鋳工程の電鋳法に対し電気的な絶縁を確保することができる緻密で所定膜厚の絶縁層を形成することができる。
また、他の一態様では、これら上述の金属格子の製造方法において、前記ドライエッチング法は、RIE(Reactive Ion Etching、反応性イオンエッチング)であることを特徴とする。
このような構成の金属格子の製造方法は、RIEによって異方性エッチングを行うことができるので、深さ方向(主面(表面)に垂直な方向)に沿ってシリコン基板をエッチングすることができ、比較的容易に前記凹部を形成することができる。
また、他の一態様では、これら上述の金属格子の製造方法において、前記シリコン基板は、前記n型シリコンであることを特徴とする。
このような構成の金属格子の製造方法は、前記シリコン基板の導電型がn型であるので、電鋳法でシリコン基板を陰極とした場合に、容易に、シリコン基板からメッキ液に電子を与え、金属を析出させることができる。
また、他の一態様では、これら上述の金属格子の製造方法は、X線タルボ干渉計またはX線タルボ・ロー干渉計に用いられる金属格子を製造する場合に用いられる。
上述したように、X線では、高アスペクト比が求められるが、これら上述の金属格子の製造方法を用いることによって、より緻密に形成され成長長の均一な高アスペクト比の金属部分を備えたX線タルボ干渉計またはX線タルボ・ロー干渉計に用いられる回折格子やマルチスリット板の金属格子を製造することができる。
そして、本発明の他の一態様にかかる金属格子は、これら上述のいずれかの金属格子の製造方法によって製造される。また、本発明の他の一態様にかかる金属格子は、第1シリコン層と、前記第1シリコン層上に形成され、周期的に配列された複数の金属部分と前記複数の金属部分間に配置される第2シリコン部分と持つ1次元格子または2次元格子とを備え、前記複数の金属部分と前記第2シリコン部分との間に複数の第1絶縁層をそれぞれさらに備え、前記複数の第2シリコン部分上および前記複数の第1絶縁層上に複数の第2絶縁層をそれぞれさらに備えることを特徴とする。また、一次元の金属格子は、好ましくは、第1シリコン層と、前記第1シリコン層上に形成され、一方向に線状に延びる複数の第2シリコン部分と前記一方向に線状に延びる複数の金属部分とが交互に平行に配設された1次元周期構造の格子と、上述の複数の第1絶縁層と、上述の複数の第2絶縁層とを備える。また、二次元の金属格子は、好ましくは、第1シリコン層と、前記第1シリコン層上に形成され、線形独立な2方向に所定の間隔を空けて等間隔に配設される複数の金属部分と前記複数の金属部分間に配置される第2シリコン部分とを持つ2次元周期構造の格子と、上述の複数の第1絶縁層と、上述の複数の第2絶縁層とを備える。
これら上述の金属格子は、より緻密に形成された高アスペクト比の金属部分を備えることができる。このため、このような構成の金属格子は、例えば、X線に好適に用いることができ、特に、X線タルボ干渉計またはX線タルボ・ロー干渉計により好適に用いることができる。
また、他の一態様では、上述の金属格子において、前記金属部分は、前記第1シリコン層内へさらに延設されていることを特徴とする。
この構成によれば、成長長の略均一な金属部分を持つ金属格子が提供される。
また、本発明の他の一態様にかかるX線撮像装置は、X線を放射するX線源と、前記X線源から放射されたX線が照射されるタルボ干渉計またはタルボ・ロー干渉計と、前記タルボ干渉計またはタルボ・ロー干渉計によるX線の像を撮像するX線撮像素子とを備え、前記タルボ干渉計またはタルボ・ロー干渉計は、上述の金属格子を含むことを特徴とする。
このような構成のX線撮像装置は、タルボ干渉計またはタルボ・ロー干渉計を構成する金属格子に、金属部分がより緻密な上述の金属格子を用いるので、より確実に回折され、より鮮明なX線の像を得ることができる。
本発明にかかる金属格子の製造方法は、シリコン基板を用い、電鋳法によって格子の金属部分をより緻密に形成することができる。そして、本発明では、このような金属格子の製造方法によって製造される金属格子ならびにこの金属格子を用いたX線撮像装置が提供される。
実施形態における金属格子の構成を示す斜視図である。 実施形態における金属格子の製造方法を説明するための図(その1)である。 実施形態における金属格子の製造方法を説明するための図(その2)である。 実施形態における金属格子の製造方法を説明するための図(その3)である。 実施形態における金属格子の製造工程中のシリコン基板を示す斜視図である。 エッチング工程後のシリコン基板の様子を示す図である。 除去広表面積化工程後のシリコン基板の様子を示す図である。 除去広表面積化工程後に電鋳工程を行う場合と、凹部の底部に形成された絶縁層のみを除去する除去工程後に電鋳工程を行う場合とにおける金属成長の相違を説明するための図である。 凹部における底部分の断面形状の相違による電鋳工程での金属成長の相違を説明するための図である。 凹部における底部分の他の形状を示す図である。 実施形態における金属格子の他の製造方法を説明するための図(その1)である。 実施形態における金属格子の他の製造方法を説明するための図(その2)である。 実施形態におけるX線用タルボ干渉計の構成を示す斜視図である。 実施形態におけるX線用タルボ・ロー干渉計の構成を示す上面図である。 実施形態におけるX線撮像装置の構成を示す説明図である。 従来技術における凹部の底部に形成した絶縁膜を除去するべくエッチングを行った後の前記凹部の稜部分の状態を示す断面図である。 図16に示すシリコン基板を用いて電鋳法によって前記凹部を金属で充填した場合のシリコン基板の状態を示す断面図であり、その(A)は、全体図であり、その(B)および(C)は、前記(A)の一部拡大図である。
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。また、本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
(金属格子)
図1は、実施形態における金属格子の構成を示す斜視図である。本実施形態の金属格子DGは、図1に示すように、第1シリコン部分11と、第1シリコン部分11上に形成された格子12とを備えて構成される。第1シリコン部分11は、図1に示すようにDxDyDzの直交座標系を設定した場合に、DxDy面に沿った板状または層状である。格子12は、所定の厚さH(格子面DxDyに垂直なDz方向(格子面DxDyの法線方向)の長さ)を有して一方向Dxに線状に延びる複数の第2シリコン部分12aと、前記所定の厚さHを有して前記一方向Dxに線状に延びる複数の金属部分12bとを備え、これら複数の第2シリコン部分12aと複数の金属部分12bとは、前記一方向Dxに直交する方向Dyに交互に、前記方向Dyを法線とするDxDz面に平行に、配設される。このため、複数の金属部分12bは、前記一方向Dxと直交する方向Dyに所定の間隔を空けてそれぞれ配設される。言い換えれば、複数の第2シリコン層12aは、前記一方向Dxと直交する方向Dyに所定の間隔を空けてそれぞれ配設される。この所定の間隔(ピッチ)Pは、本実施形態では、一定とされている。すなわち、複数の金属部分12b(複数の第2シリコン部分12a)は、前記一方向Dxと直交する方向Dyに等間隔Pでそれぞれ配設されている。第2シリコン部分12aは、前記DxDy面に直交するDxDz面に沿った板状または層状である。金属部分12bは、互いに隣接する第2シリコン部分12aに挟まれた、DxDz面に沿った板状または層状の格子部分12baと、この格子部分12baの一方端から第1シリコン部分11内へ延びる成長始端部分12bbとを備えている。
そして、複数の第2シリコン部分12aと複数の金属部分12bにおける格子部分12baとの各間には、複数の第1絶縁層12cがそれぞれさらに備えられている。すなわち、第2シリコン部分12aの両側面には、第1絶縁層12cが形成されている。言い換えれば、金属部分12bにおける格子部分12baの両側面には、第1絶縁層12cが形成されている。第1絶縁層12cは、第2シリコン層12aと金属部分12bにおける格子部分12baとを電気的に絶縁するように機能し、例えば、酸化膜によって形成される。酸化膜は、例えば、酸化シリコン膜(SiO膜、シリコン酸化膜)やアルミナ膜(Al膜、酸化アルミニウム膜)等である。一方、複数の第2シリコン部分12aと複数の金属部分12bにおける成長始端部分12bbとの各間には、上述のような絶縁層は、形成されておらず、第2シリコン部分12aと金属部分12bにおける成長始端部分12bbとは、電気的に導通している。成長始端部分12bbは、後述するように、電鋳工程で金属部分12bが成長し始めた部分である。
さらに、複数の第2シリコン部分12aの上面(頂部上)および複数の第1絶縁層12cの上面(上端上)には、第2絶縁層12dがそれぞれさらに備えられている。第2絶縁層12dは、第2シリコン層12aを後述の電鋳法において電気的に絶縁するように機能する。この第2絶縁層12dは、例えば、酸化膜や感光性樹脂層(フォトレジスト膜)等によって形成される。酸化膜は、例えば、シリコン酸化膜やアルミナ膜等を挙げることができる。
これら第1シリコン部分11、複数の第2シリコン部分12a、複数の第1絶縁層12cおよび複数の第2絶縁層12dは、X線を透過するように機能し、複数の金属部分12bは、X線を吸収するように機能する。特に金属部分12bの格子部分12baが主体的にX線を吸収するように機能する。このため、金属格子DGは、一態様として、前記所定の間隔PをX線の波長に応じて適宜に設定することにより、回折格子として機能する。金属部分12bの金属は、X線を吸収するものが好適に選択され、例えば、原子量が比較的重い元素の金属や貴金属、より具体的には、例えば、金(Au)、プラチナ(白金、Pt)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)およびイリジウム(Ir)等である。また、金属部分12bの格子部分12baは、例えば仕様に応じて充分にX線を吸収することができるように、適宜な厚さHとされている。この結果、金属部分12bの格子部分12baにおける幅Wに対する厚さHの比(アスペクト比=厚さ/幅)は、例えば、5以上の高アスペクト比とされている。金属部分12bにおける格子部分12baの幅Wは、前記一方向(長尺方向)Dxに直交する方向(幅方向)Dyにおける金属部分12bにおける格子部分12baの長さであり、金属部分12bにおける格子部分12baの厚さHは、前記一方向Dxとこれに直交する前記方向Dyとで構成される平面DxDyの法線方向(深さ方向)Dzにおける金属部分12bにおける格子部分12baの長さである。
このような高アスペクト比の金属部分12bを備える金属格子DGは、シリコン基板の主面上にレジスト層を形成するレジスト層形成工程と、前記レジスト層をパターニングして前記パターニングした部分の前記レジスト層を除去するパターニング工程と、所定のエッチング法によって前記レジスト層を除去した部分に対応する前記シリコン基板をエッチングして所定の深さの凹部を形成するエッチング工程と、前記シリコン基板における前記凹部を形成した側の表面(前記基板における元々の表面および前記凹部の表面)に絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、前記凹部の底部に形成された前記絶縁層の部分を除去する除去工程と、電鋳法によって、前記シリコン基板に電圧を印加して前記凹部を金属で埋める電鋳工程とによって製造される。ここで、前記エッチング工程は、前記パターニング工程後に残留している前記レジスト層の下部内側におけるシリコン基板もエッチングする。なお、前記凹部は、1次元格子では、例えば、スリット溝であり、また2次元格子では、柱状穴(柱状孔)等である。以下、前記凹部がスリット溝である前記金属格子DGの製造方法について、詳述する。なお、凹部が例えば柱状穴等の他の形状であっても同様である。
(製造方法)
図2ないし図4は、実施形態における金属格子の製造方法を説明するための図である。図5は、実施形態における金属格子の製造工程中のシリコン基板を示す斜視図である。図6は、エッチング工程後のシリコン基板の様子を示す図である。図6(A)は、壁部32全体(スリット溝SD)全体を示し、図6(B)は、壁部32の頂部を拡大した一部拡大図である。図7は、除去広表面積化工程後のシリコン基板の様子を示す図である。図6および図7は、写真を図面化したものである。
本実施形態の金属格子DGを製造するために、まず、シリコン基板30が用意される(図2(A))。好ましくは、シリコン基板30は、多数キャリアが電子であるn型シリコンである。
ここで、n型シリコンは、伝導体電子を豊富に持つため、シリコンを陰極に接続して負電位を印加しカソード分極をすると、後述の電鋳工程では、メッキ液46といわゆるオーミック接触になり、電流が流れて還元反応が起き易くなり、結果として金属がより析出し易くなる。
次に、シリコン基板30の主面上にレジスト層33が形成され(レジスト層形成工程)、このレジスト層33をパターニングして前記パターニングした部分のレジスト層33が除去される(パターニング工程、図2(B)、図2(C)、図2(D)、図3(A))。
レジスト層とは、エッチングの際に、該エッチングに抗して保護膜として機能する層である。例えば、レジスト層33は、次のエッチング工程のエッチング処理に対し耐性のある材料であってよい。耐性のあるとは、エッチング処理において、全くエッチングされないという意味である必要はなく、比較的エッチングされ難いという意味であり、エッチングすべきエッチング対象部分がエッチングされる間、エッチングすべきではない非エッチング対象部分を保護する保護膜として機能するという意味である。
このレジスト層33は、本実施形態では、例えば、後述の絶縁層34と同一の材料であってよく、例えば、次のエッチング工程のエッチング処理に対し耐性のある絶縁性のシリコン酸化膜(二酸化シリコン(SiO)膜)33aであってよい。このシリコン酸化膜33aが、パターニングされたレジスト層33として用いられ、このシリコン酸化膜33aをパターニングするために、感光性樹脂層(フォトレジスト膜)40が用いられる。
また例えば、このレジスト層33は、本実施形態では、絶縁層34と異なる材料であってよく、例えば、エッチング工程のエッチング処理に対し耐性を有するとともに除去広表面積化工程の除去処理に対し耐性を有する絶縁性の金属酸化膜33bであってよい。このような金属酸化膜33bは、例えば、アルミナ膜(Al膜)等である。この金属酸化膜33bが、パターニングされたレジスト層33として用いられ、この金属酸化膜33bをパターニングするために、感光性樹脂層40が用いられる。
このようなシリコン酸化膜33aおよび金属酸化膜33bは、絶縁性を有するとともに、エッチング工程および除去広表面積化工程の後に残留可能な層となる。
また例えば、レジスト層33は、絶縁層34と異なる材料であってよく、例えば、エッチング工程のエッチング処理に対し耐性を有する酸化可能な金属膜33cであってよい。このような金属膜33cは、例えば、アルミニウム膜(Al膜)等である。この金属膜33cが、パターニングされたレジスト層33として用いられ、この金属膜33cをパターニングするために、感光性樹脂層40が用いられる。なお、この場合、金属膜33cは、後の工程で酸化され絶縁性を持つことになるが、その際に、金属酸化膜の内部に金属部分が残留しても全体が金属酸化膜となってもよい。
このような酸化可能な金属膜33cも、絶縁層形成工程の熱酸化によって絶縁性を有するとともに、エッチング工程および除去広表面積化工程の後に残留可能な層となる。
このようなレジスト層33は、種々の方法によって形成することができる。より具体的には、例えば、レジスト層33がシリコン酸化膜33aである場合には、シリコン基板30の表面にレジスト層33としてシリコン酸化膜33a形成される。このシリコン酸化膜33aは、例えば、公知の常套手段である熱酸化法、陽極酸化法、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition、CVD)およびスパッタ法等の種々の成膜方法によって形成される。例えば、熱酸化法では、シリコン基板30が配置された石英管内に酸素雰囲気(不活性ガスを含んでもよい)または水蒸気が導入され、前記酸素雰囲気または前記水蒸気の気体雰囲気中でシリコン基板30が、前記石英管をヒータによって加熱することで高温に加熱され、その表面に所定の厚さ(例えば約200nm等)のシリコン酸化膜33aが形成される。また例えば、陽極酸化法では、シリコン基板30に電源の陽極が接続され、電源の陰極に接続された陰極電極およびシリコン基板30が電解液に浸けられる。そして、通電されると、シリコン基板30の表面に所定の厚さ(例えば約200nm等)のシリコン酸化膜33aが形成される。シリコン酸化膜33aは、シリコン基板30の少なくとも上面に形成されるが、裏面や側面にも形成されてもよい。このようにレジスト層33としてシリコン酸化膜33aが用いられるので、公知、常套手段の熱酸化法、化学気相成長法、陽極酸化法およびスパッタ法等の種々の成膜方法を用いることができるから、比較的容易にシリコン酸化膜33aを形成することが可能となる。また例えば、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition、CVD)では、有機シランの一種であるテトラエトキシシラン(Tetraethoxysilane、TEOS)が加温され、キャリアガスによってバブリングされることによってTEOSガスが生成され、このTEOSガスに例えば酸素やオゾン等の酸化ガスおよび例えばヘリウム等の希釈ガスが混合されて原料ガスが生成される。そして、この原料ガスが例えばプラズマCVD装置や常温オゾンCVD装置等のCVD装置に導入され、CVD装置内のシリコン基板30の表面に所定の厚さ(例えば200nm等)のシリコン酸化膜33aが形成される。また例えば、スパッタ法では、スパッタ成膜装置の真空チャンバー内にレジスト層33として成膜させたい物質(例えば石英やアルミナ等)のターゲットが設置され、高電圧を印加することによってイオン化されたアルゴン等の希ガス元素(普通はアルゴンを用いる)が前記ターゲットに照射および衝突される。この衝突によって前記ターゲットの表面の原子がはじき飛ばされる(スパッタリングされる)。このはじき飛ばされた原子(スパッタリング粒子)が、シリコン基板30に到達することで、シリコン基板30の表面に前記スパッタリング粒子が降り積もって堆積し成膜される。また例えば、蒸着法では、真空蒸着装置の真空チャンバー内にレジスト層33として成膜させたい物質(蒸着源)と対面させるようにシリコン基板30が配置され、蒸着源を加熱することによって成膜物質(蒸着物質)が蒸発して気体状態となり、飛翔する。この蒸着物質が、シリコン基板30に到達することで、シリコン基板30の表面に前記蒸着物質が降り積もって堆積し成膜される。
レジスト層33の厚さ(膜厚)t1は、レジスト層33の材質に応じ、次工程のエッチング工程および後述の除去広表面積化工程の後に残留するように、適宜に調整される。
続いて、シリコン基板30に形成されたシリコン酸化膜33a上に感光性樹脂層40が例えばスピンコート等によって形成される(図2(B))。続いて、フォトリソグラフィー工程として、リソグラフィー法によって、感光性樹脂層40がパターニングされ(図2(C))、このパターニングした部分の感光性樹脂層40が除去される(図2(D))。より具体的には、感光性樹脂層40にリソグラフィーマスク41を押し当てて、感光性樹脂層40にリソグラフィーマスク41を介して紫外線42が照射され、感光性樹脂層40がパターン露光され、現像される(図2(C))。そして、露光されなかった部分(あるいは露光された部分)の感光性樹脂層40が除去される(図2(D))。
続いて、パターニングされた感光性樹脂層40をマスクに、エッチングによって感光性樹脂層40の除去された部分のシリコン酸化膜33aが除去されてシリコン酸化膜33aがパターニングされる(図3(A))。より具体的には、例えば、CHFガスの反応性リアクティブエッチング(RIE)によってシリコン酸化膜33aがパターニングされる。また例えば、フッ酸のウェットエッチングによってシリコン酸化膜33aがパターニングされる。このパターニング工程におけるレジスト層33としてのシリコン酸化膜33aのエッチングは、他のエッチング方法であってもよい。
なお、上述のシリコン酸化膜33aの場合において、レジスト層33としてのシリコン酸化膜33aに代え、金属酸化膜33bを用いる場合には、金属酸化膜33bは、例えば、化学気相成長法およびスパッタ法等の成膜方法によって成膜される。また、前記パターニング工程における金属酸化膜33bのパターニングには、適宜な反応性ガスを用いたRIEが用いられる。例えば、金属酸化膜33bがアルミナ膜33bである場合には、スパッタ法によってアルミナ膜33bが約150nmで成膜され、塩素ガスを用いたRIEによってこのアルミナ膜33bがパターニングされる。
また、上述のシリコン酸化膜33aの場合において、レジスト層33としてのシリコン酸化膜33aに代え、金属膜33cを用いる場合には、金属膜33cは、例えば、真空蒸着法およびスパッタ法等の成膜方法によって成膜される。また、前記パターニング工程における金属膜33cのパターニングには、適宜な反応性ガスを用いたRIEが用いられる。例えば、金属膜33cがアルミニウム膜33cである場合には、スパッタ法によってアルミニウム膜33cが約150nmで成膜され、塩素ガスを用いたRIEによってこのアルミニウム膜33cがパターニングされる。
そして、次に、ドライエッチング法によって感光性樹脂層40およびレジスト層33を除去した部分に対応するシリコン基板30が、前記法線方向Dzに第1の所定の深さHまでエッチングされる。このシリコン基板30のエッチングの際に、本実施形態では、さらに、前記パターニング工程後に残留している前記レジスト層33の下部内側におけるシリコン基板30もエッチングされる。これによってレジスト層33の開口部分の幅WAよりも広い幅WSを持つスリット溝SDが形成される(図3(B)、エッチング工程)。すなわち、このエッチング工程によって、スリット溝SDの幅WSは、平面視にて、前記パターニング工程によってレジスト層33を除去した開口部分の幅WAよりも広い幅であり、前記パターニング工程後に残留している前記レジスト層33の端部を深さ方向(Dz方向)に延長した仮想線RLを想定した場合に、スリット溝SDの壁面は、前記仮想線RLよりも、前記パターニング工程後に残留している前記レジスト層33内側に形成されている。言い換えれば、平面視にて、前記パターニング工程によってレジスト層33を除去した開口部分の開口形状を維持するように、シリコン基板30をエッチングする場合に較べて、スリット溝SDを構成する壁部32であって前記エッチング工程で残留したシリコン基板30の壁部32は、幅方向(Dy方向)の長さが細く、痩せている。したがって、前記パターニング工程後に残留しているレジスト層33は、前記壁部32における頂部を、笠を被ったように覆うから、前記パターニング工程後に残留しているレジスト層33における両端部は、前記壁部32における頂部の両稜部(両肩部)に対し、いわゆる庇のように機能することになる。
なお、図5には、エッチング工程後におけるシリコン基板30の一構造例が示されており、この場合では、図3(B)には、図5に示すAA’線でのこのシリコン基板30の断面が示されている。
より具体的には、パターニングされた感光性樹脂層40およびレジスト層33をマスクとして、シリコン基板30における表面から所定の深さHまで、ICP(Inductively Coupled Plasma)ドライエッチングでシリコン基板30がエッチングされる。
このICPドライエッチングは、好ましくは、ICP装置によるASE(Advanced Silicon Etch)プロセスの一種であるボッシュプロセスである。このプロセスは、SFプラズマ中のFラジカルとFイオンによるRIE(反応性イオンエッチング)によって、エッチングすべきシリコン基板30の部分の表面を削り取ってエッチングを行う削り取り工程と、Cプラズマ中のCFラジカルおよびそれらのイオンの重合反応によって、テフロン(登録商標)に近い組成を有するポリマー膜を、削り取った表面に堆積させて、前記削り取った表面を、削り取りから保護する保護膜として前記ポリマー膜を作用させる保護工程とを交互に繰り返すものである。この場合において、前記パターニング工程後に残留している前記レジスト層33の下部内側におけるシリコン基板30もエッチングするために、次の条件によってエッチングが行われる。
このようなエッチング法では、前記削り取り工程および前記保護工程を行う場合における、真空度、工程実施時間、腐食ガス(削り取りガス)供給量(上記例ではSFガス供給量)、保護膜形成ガス供給量(上記例では、Cガス供給量、Oガス供給量)、プラズマ化電力、およびバイアス電圧によって、スリット溝SDの形状が決定される。
真空度の条件:真空度が低いほど(高真空であるほど、気圧が低いほど、気体密度が低いほど)、その空間に存在する原子や分子が少ないので、表面の削り取りを行う削り取り粒子(原子やラジカル原子等)は、他の原子や分子と衝突する可能性(確率)が低くなる(平均自由行程が長くなる)。その結果、真空度が低いほど、前記削り取り粒子は、指向性を持ってシリコン基板30に向かうことになる。このように真空度は、前記削り取り粒子の指向性を決める要因となり、削り取る場所を決める要因となる。したがって、上述のエッチング工程を実現するためには、真空度は、平面視にて前記レジスト層を除去した部分の形状を維持するように前記シリコン基板30をエッチングする場合(以下、この場合を「忠実転写の場合」と適宜に呼称する。)に較べて、高いこと(低真空であること、気圧が高いこと、気体密度が高いこと)が好ましい。
工程実施時間の条件:保護工程では、保護膜は、削り取ることによって形成された溝の側壁面だけでなく、底面にも形成され、削り取り工程では、シリコン基板30だけでなく、この保護膜も削り取る。ここで、削り取り粒子は、シリコン基板30の表面(前記パターニング工程によってレジスト層33を除去した開口部分の表面)に対し、なるべく垂直に進入するように、装置が構成されているので、前記溝の底面における保護膜およびシリコン基板30を優位に削り取る。このため、忠実転写の場合では、前記側壁面に形成された保護膜が消失する頃合いを見計らって、削り取り工程は、終了され、続けて、保護工程が実施される。削り取り工程が実施される期間である削り取り工程実施時間と、保護工程が実施される期間である保護工程実施時間とが、上述のようにバランスを取りながら、削り取り工程と保護工程とが交互に繰り返し実施され、忠実転写のエッチングが実施される。このように工程実施時間は、深さ方向の削り取り量と、幅方向の削り取り量とのバランスを決める要因となる。したがって、上述のエッチング工程を実現するためには、保護工程実施時間に対する削り取り工程実施時間の比(=削り取り工程実施時間/保護工程実施時間)は、忠実転写の場合に較べて、高いことが好ましい。
腐食ガス(削り取りガス)供給量の条件:削り取りは、削り取り粒子によって行われるので、その元となる腐食ガスの供給量が多いほど、削り取り量は、多くなる。このように腐食ガス供給量は、削り取り量を決める要因となる。したがって、上述のエッチング工程を実現するためには、腐食ガス供給量は、忠実転写の場合に較べて、多いことが好ましい。シリコン基板30の場合では、一般に、SFガスが腐食ガスとして用いられる。
保護膜形成ガス供給量の条件:保護膜は、その元となる保護膜形成ガスの供給量が多いほど、その厚さが厚くなり、削り取りに対する耐性が向上する。このように保護膜形成ガス供給量は、削り取りに対する耐性の程度(度合い)を決める要因となる。したがって、上述のエッチング工程を実現するためには、保護膜形成ガス供給量は、忠実転写の場合に較べて、少ないことが好ましい。また、この観点から、前記削り取り工程に、前記保護工程に用いられる前記保護膜を形成するための保護膜形成原料も使用する場合に、この保護膜形成原料は、忠実転写の場合に較べて、少ないことが好ましい。
上述の例では、一般に、Cガスや、Oガスが保護膜形成ガスとして用いられる。なお、Cガスは、基本的に保護工程で使用されるが、削り取り工程で腐食ガスと合わせて使用されると、削り取りが行われつつ、保護膜を形成するので、保護膜の消失を、Cガスを腐食ガスと合わせて使用しない場合に較べて、遅延させることができる。また、上記Cガスがそれ自身によって保護膜として有機ポリマーの堆積膜を形成するが、これに対しOガスは、シリコン基板30のシリコンと反応してその表面に石英ライクな保護膜を形成する。これによって前記溝の側面(壁部の側壁面)に対する保護機能が向上し、前記溝がその幅方向に拡がることを防ぐ。このOガスは、導入し過ぎると、前記溝の側面だけでなく底面も比較的強固な石英ライクな保護膜を形成するので、僅かに導入するものであり、全く導入しなくてもよい。
プラズマ化電力:プラズマ化電力は、前記腐食ガスおよび保護膜形成ガスのドライエッチング法で導入されるガスをプラズマ化するために装置に供給される電力である。導入ガスをプラズマ化することによって削り取り粒子が生成されて削り取り作用が促進され、また、保護膜形成作用が促進される。このようにプラズマ化電力は、削り取り工程では、削り取り量を決める要因となり、また、保護工程では、削り取りに対する耐性の程度を決める要因となる。したがって、上述のエッチング工程を実現するためには、少なくとも削り取りの際にはプラズマ化電力は、忠実転写の場合に較べて、大きいことが好ましい。
バイアス電圧:バイアス電圧は、ドライエッチング法において、荷電粒子をシリコン基板の表面にその法線方向から加速させて引き込むための加速電圧である。バイアス電圧が高いほど(高電圧であるほど)、より高速に、より垂直性を持って、荷電粒子は、シリコン基板に衝突する。このため、バイアス電圧は、削り取り工程では、削り取る場所を決める要因となり、また、保護工程では、保護膜を形成する場所を決める要因となる。したがって、上述のエッチング工程を実現するためには、バイアス電圧は、削り取り工程では、忠実転写の場合に較べて、低電圧であることが好ましい。また、保護工程のバイアス電圧は、荷電粒子をシリコン基板に無指向で衝突させて前記溝の側面に保護膜を形成するべく、一般に、印加されずに、0Vとされる(電位差が設けられない)。
このような趣旨の下に、一具体例を挙げると、エッチング条件は、表1に示す通りである。
表1に示す例では、真空度は、忠実転写の場合の10mTorrに較べて高い(低真空)20mTorrとされ、保護工程実施時間に対する削り取り工程実施時間の比は、忠実転写の場合の5/3に較べて2以上も高い15/5(=3)とされ、削り取り工程における保護膜形成ガスのCガス供給量は、忠実転写の場合の50sccmに較べて少なく、0とされ(供給無しとされ)、削り取り工程における腐食ガスのSFガス供給量は、忠実転写の場合の50sccmに較べて多い200sccmとされ、プラズマ化電力であるRF電力は、忠実転写の場合の500Wに較べて大きい600Wとされ、そして、削り取り工程におけるバイアス電圧は、忠実転写の場合の100Wに較べて低電圧の25Wとされた。
このようなエッチング工程後のシリコン基板30の様子の一例を図6に示す。図6に示すように、前記パターニング工程後に残留しているレジスト層33は、前記壁部32における頂部を、笠を被ったように覆っており、前記パターニング工程後に残留しているレジスト層33における両端部は、前記壁部32における頂部の両稜部(両肩部)に対し、いわゆる庇のようになっている。
なお、ドライエッチング法は、ICPドライエッチングに限定するものではなく、他の手法であってもよい。例えば、いわゆる、並行平板型リアクティブイオンエッチング(RIE)、磁気中性線プラズマ(NLD)ドライエッチング、化学支援イオンビーム(CAIB)エッチングおよび電子サイクロトロン共鳴型リアクティブイオンビーム(ECRIB)エッチング等のエッチング技術であってもよい。また例えば、ウェットエッチングであってもよく、例えば水酸化カリウムを使ったシリコンの異方性エッチングでもよい。
また、上述では、1つのエッチング法によってエッチング工程が実施されたが、所定の第1エッチング法によって、平面視にてレジスト層33を除去した部分の形状を維持するようにシリコン基板30をエッチングする第1工程と、前記第1エッチング法とは異なる所定の第2エッチング法によって、パターニング工程後に残留しているレジスト層33の下部内側におけるシリコン基板30をエッチングするエッチング工程が実施されてもよい。このように複数のエッチング法を用いることによって、各エッチング法の長所を活かして前記エッチング工程を実施することができる。
例えば、ドライエッチング法とウェットエッチング法との組み合わせがある。より具体的には、例えば、第1エッチング法の第1工程として、ドライエッチング法のボッシュプロセスを使った従来の忠実転写でシリコン基板30にスリット溝SDが形成された後に、第2エッチング法の第2工程として、フッ酸、硝酸および酢酸の混合溶液で軽くウェットエッチングすることで前記忠実転写で形成したスリット溝SDの溝幅が拡大される。これによって前述の庇構造を得ることも可能である。より具体的には、フッ酸と硝酸と酢酸とをそれぞれ8vol%、75vol%、17vol%の混合比で混ぜた25度の溶液を用いる場合、約80nm/秒程度のレートでシリコンをエッチングすることができるため、例えば10秒程度、この溶液に浸した場合、レジスト層33に対して約800nm内側に削れた庇が得ることができる。
これらのエッチング法では、上述の趣旨と同様の趣旨でエッチング条件を調整することによって、上述のエッチング工程を実現することができる。
ここで、このICPドライエッチングによって感光性樹脂層40は、除去される。また、レジスト層33が若干エッチングされてもよい。
上述の例において、レジスト層33がシリコン酸化膜33aである場合には、このシリコン酸化膜33aは、ICPドライエッチングによって、その厚さが約200nmから約170nmへ目減りする。また、レジスト層33が金属酸化膜33bとしてのアルミナ膜33bである場合には、アルミナ膜33bは、ICPドライエッチングによって、その厚さが例えば、約150nmから約130nmへ目減りする。また、レジスト層33が金属膜33cとしてのアルミニウム膜33cである場合には、アルミニウム膜33cは、ICPドライエッチングによって、その厚さが例えば、約150nmから約130nmへ目減りする。
ここで、このエッチングされてDxDz面に沿って残ったシリコン基板30の板状部分(層状部分、壁部)32が第2シリコン部分12aとなり、このエッチングされてDxDy面に沿って残ったシリコン基板30の板状部分(基部)31が第1シリコン部分11となる。
次に、シリコン基板30におけるスリット溝SDを形成した主面側の表面全体に、熱酸化法によって、後述の電鋳工程の電鋳法に対し絶縁性を有するように所定の厚さの絶縁層34が形成される(図3(C)、絶縁層形成工程)。この絶縁層34は、シリコン基板30を用いていることから、シリコン酸化膜34aであり、この絶縁層34としてのシリコン酸化膜34aは、例えば厚さ約40nmで形成される。このシリコン酸化膜34aは、シリコン基板30の少なくともスリット溝SDの内表面に形成されるが、シリコン基板30の裏面や側面等にも形成されてもよい。この熱酸化法は、酸化したい素材(本実施形態ではシリコン基板30の凹部内表面)を酸素や水蒸気の気体雰囲気中で加熱することによって前記素材表面から酸化膜を成長させて形成するので、非常に緻密で、前記素材と一体化した密着性のよい酸化膜を得ることができる。そして、この熱酸化法は、気体雰囲気の流量や、加熱時間を調整することによって、その膜厚を精度よく制御することもでき、数nmの膜厚の酸化膜からミクロンオーダーの膜厚の酸化膜まで容易に得ることができる。したがって、電鋳工程の電鋳法における絶縁膜34を形成する方法として、この熱酸化法は、好適である。
より具体的には、レジスト層33がシリコン酸化膜33aである場合には、例えば、200ミリリットル/分の割合で導入される酸素の雰囲気中で、1000℃、60分間、加熱することによって、スリット溝SDの内表面全体に亘ってほぼ均一な約40nmのシリコン酸化膜34aが形成された。また例えば、1リットル/分の割合で導入される水蒸気の雰囲気中で、1150℃、4分間、加熱することによって、スリット溝の内表面全体に亘ってほぼ均一な約40nmのシリコン酸化膜34aが形成された。
また、レジスト層33が金属酸化膜33b(この例ではアルミナ膜33b)である場合には、1リットル/分の割合で導入される水蒸気の雰囲気中で、1150℃、4分間、加熱することによって、スリット溝SDの内表面全体に亘ってほぼ均一な約40nmのシリコン酸化膜34aが形成された。
また、レジスト層33が金属膜33c(この例ではアルミニウム膜33c)である場合には、200ミリリットル/分の割合で導入される酸素の雰囲気中で、1000℃、60分間、加熱することによって、スリット溝SDの内表面全体に亘ってほぼ均一な約40nmのシリコン酸化膜34aが形成された。
ここで、レジスト層33がシリコン酸化膜33aや金属酸化膜33bである場合には、この絶縁層形成工程の熱酸化によってその表面に酸化膜は、略形成されない。上述の例において、レジスト層33がシリコン酸化膜33aである場合には、このシリコン酸化膜33aは、この絶縁層形成工程の熱酸化によって、その厚さが約170nmから約180nmとなった。レジスト層33がアルミナ膜33bである場合には、このアルミナ膜33bは、この絶縁層形成工程の熱酸化によって、その厚さが約130nmから約140nmとなった。
一方、レジスト層33が金属膜33cである場合には、この絶縁層形成工程の熱酸化によってその表面に金属酸化膜が形成される。これによってレジスト層33としての金属膜33cは、除去工程の除去処理に対し耐性を獲得するとともに、電鋳工程の電鋳法において絶縁性を獲得する。金属膜33cがアルミニウム膜である場合には、不動体膜のアルミナ膜が形成される。上述の例では、約80nmのアルミナ膜が形成された。
なお、上述では、絶縁層形成工程の絶縁層34の形成に、熱酸化法が用いられたが、陽極酸化法または堆積法が用いられてもよい。
この陽極酸化法では、絶縁層34は、シリコン基板30であることから、シリコン酸化膜34aであり、この絶縁層34としてのシリコン酸化膜34aは、例えば厚さ約20nmで形成される。より具体的には、陽極酸化を行うために、シリコン基板30に電源の陽極が接続され、前記電源の陰極に接続された陰極電極およびシリコン基板30が電解液に浸けられる。そして、通電されると、シリコン基板30の表面に所定の厚さのシリコン酸化膜34aが形成され、絶縁層34が形成される。このシリコン酸化膜34aは、シリコン基板30の少なくともスリット溝SDの内表面に形成されるが、シリコン基板30の裏面や側面にも形成されてもよい。
この陽極酸化法は、酸化したい導電性の素材(本実施形態ではシリコン基板30)を電解液中に浸し、前記素材を陽極(正極、+極)として通電することによって、素材表面で電解液中の酸素と結合させ、前記素材表面から酸化膜を成長させて形成する方法である。ここで、素材表面に形成される酸化膜を溶解しないか、その溶解度が小さい電解液を用いた場合には、陽極酸化法は、上述のように成膜が進むので、非常に緻密で、前記素材と一体化した密着性のよい酸化膜を得ることができる。また、陽極酸化法では、酸化が進行して素材表面に形成された酸化物によって導電性が阻害されることによって、前記酸化の進行が停止する。したがって、前記酸化の進行中に酸化の進んだ部分と酸化の遅れている部分とがあったとしても、通電を続けることによって、前記酸化の停止する最終時には前記酸化の遅れている部分も酸化の終了している他の部分と同じ膜厚だけ酸化するので、陽極酸化法は、最終的には、素材表面全体に、緻密さも膜厚も均一な酸化膜を成膜することができる。また、陽極酸化法は、酸化膜の膜厚が、印加した電圧に比例するので、前記電圧を調整することによって、その膜厚を精度よく制御することもでき、数nmの膜厚の酸化膜から数μmの膜厚の酸化膜まで容易に得ることができる。したがって、電鋳工程の電鋳法における絶縁膜34を形成する方法として、この陽極酸化法は、好適である。
シリコン基板30のスリット溝SDの内表面を陽極酸化する場合には、前記電解液は、酸化力が強く、かつ陽極酸化により生成された酸化膜を溶解しない酸性溶液、例えば、硝酸、塩酸、硫酸、シュウ酸および燐酸等の溶液が好ましく、また、ホウ酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム等の中性塩であってもよい。なお、レジスト層33が金属膜33c、例えば、アルミニウム膜33cである場合には、前記電解液は、酸化アルミを腐食しないホウ酸等の酸化力の強い酸や、酸化アルミの腐食の小さい希シュウ酸、希リン酸等の弱い酸や、ホウ酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム等の中性塩等である。
そして、陰極電極は、この電解液に対して溶解しない金属、例えば、金(Au)および白金(Pt)等で形成されることが好ましい。
より具体的には、レジスト層33がシリコン酸化膜33aである場合には、例えば、濃度68%の硝酸に浸し、白金を陰極として電圧40Vを印加すると、約15分後に通電が略停止し、スリット溝SDの内表面全体に亘ってほぼ均一な約20nmのシリコン酸化膜34aが形成された。
また、レジスト層33が金属酸化膜33b(この例ではアルミナ膜33b)である場合には、例えば、濃度35%の塩酸に浸し、白金を陰極として電圧40Vを印加すると、約15分後に通電が略停止し、スリット溝SDの内表面全体に亘ってほぼ均一な約20nmのシリコン酸化膜34aが形成された。
また、レジスト層33が金属膜33c(この例ではアルミニウム膜33c)である場合には、例えば、濃度0.5mol%のシュウ酸水溶液に浸し、白金を陰極として電圧40Vを印加すると、約10分後に通電が略停止し、スリット溝の内表面全体に亘ってほぼ均一な約20nmのシリコン酸化膜34aが形成されるとともに、アルミニウム膜33cの表面に約55nmのアルミナ膜が形成された。
ここで、レジスト層33がシリコン酸化膜33aや金属酸化膜33bである場合には、この絶縁層形成工程の陽極酸化によってその表面に酸化膜は、略形成されない。一方、レジスト層33が金属膜33cである場合には、上述の通り、この絶縁層形成工程の陽極酸化によってその表面に金属酸化膜が形成される。これによってレジスト層33としての金属膜33cは、除去工程の除去処理に対し耐性を獲得するとともに、電鋳工程の電鋳法において絶縁性を獲得する。金属膜33cがアルミニウム膜である場合には、不動体膜のアルミナ膜が形成される。上述の例では、約55nmのアルミナ膜が形成された。また例えば、濃度0.5mol%のシュウ酸水溶液に浸し、白金を陰極として電圧20Vを印加すると、約5後に、約30nmのアルミナ膜が形成された。
また、堆積法は、絶縁層34を堆積作用によって成膜する手法であり、例えば、化学気相成長法等である。このような堆積法によって成膜される絶縁層34には、例えば、シリコン酸化膜34aおよび金属酸化膜34b等が挙げられる。そして、金属酸化膜34bには、例えば、アルミナ膜34bが挙げられる。この絶縁層34は、シリコン基板30におけるスリット溝SDを形成した主面側から堆積法によって形成されるので、前記主面側の表面全体に亘って形成される。すなわち、絶縁層34は、スリット溝SDの内表面全体(スリット溝SDの壁面(内側側面)および底面)、および、スリット溝SDを構成する壁部32であってエッチング工程で残留したシリコン基板30の壁部32の上面部分(頂部部分)に形成される。なお、この絶縁層34は、シリコン基板30の裏面や側面にも形成されてもよい。
この堆積法は、堆積作用によって成膜するので、緻密な膜を形成することができる。したがって、電鋳工程の電鋳法における絶縁膜34を形成する方法として、この堆積法は、好適である。より具体的には、シリコン基板30におけるスリット溝SDを形成した主面側の表面全体に、化学気相成長法によって絶縁層34を堆積して形成する場合には、例えば、上述のように、テトラエトキシシラン(Tetraethoxysilane、TEOS)が加温され、キャリアガスによってバブリングされることによってTEOSガスが生成され、このTEOSガスに例えば酸素やオゾン等の酸化ガスおよび例えばヘリウム等の希釈ガスが混合されて原料ガスが生成される。そして、この原料ガスが例えばプラズマCVD装置や常温オゾンCVD装置等のCVD装置に導入され、CVD装置内のシリコン基板30の表面に所定の厚さ(例えば約40nm等)のシリコン酸化膜34aが形成される。ここで、テトラエトキシシランの代わりに、アルミニウムイソプロポキシド(Aluminium isopropoxide)を用いることによって、絶縁層34として所定の厚さ(例えば約30nm等)のアルミナ膜34bがCVDによって成膜される。このCVDは、原料ガスの表面化学反応であるため、特別な工夫を行うことなく、構造物内壁(本実施形態ではスリット溝SDの内表面)に緻密な膜を形成することができ、その膜厚も数nm〜数μmまで比較的容易に成膜することができる。
このような各工程におけるレジスト層33および絶縁層34の組み合わせは、次の通りである。レジスト層33が熱酸化法、陽極酸化法および堆積法の各成膜方法によって形成されるシリコン酸化膜33aである場合において、絶縁層34が熱酸化法、陽極酸化法および堆積法の各成膜方法によって形成されるシリコン酸化膜34a(CVDの場合はTEOS)である第1A態様、および、堆積法によって形成されるアルミナ膜34bである第1B態様の各態様がある。レジスト層33が堆積法によって形成されるアルミナ膜33bである場合において、絶縁層34が熱酸化法、陽極酸化法および堆積法の各成膜方法によって形成されるシリコン酸化膜34a(CVDの場合はTEOS)である第2A態様、および、堆積法によって形成されるアルミナ膜34bである第2B態様の各態様がある。レジスト層33が堆積法によって形成されるアルニウム膜33cである場合において、絶縁層34が熱酸化法および陽極酸化法の各成膜方法によって形成されるシリコン酸化膜34aである第3A態様がある。
次に、スリット溝SDの底部BTに形成された絶縁層34の部分が除去されるとともに、スリット溝SDの底部BTにおけるシリコン基板30の板状部分(基部)31を第2の所定の深さhでさらにエッチングすることによってスリット溝SDの底部分の表面積が該エッチング前より広くされる(図4(A)、図4(B);除去広表面積化工程)。後述の電鋳工程によってスリット溝SDの底部から金属を成長させる点では、スリット溝SDの底部BTに形成された絶縁層34の部分を除去する除去工程だけでもよいが、後述するように、各スリット溝SDの各金属を略等しく成長させるために、本実施形態では、除去工程に続けて、スリット溝SDの底部におけるシリコン基板30をさらにエッチングすることによってスリット溝SDの底部分の表面積を該エッチング前より広くする広表面積化工程を行う除去広表面積化工程が採用されている。
より具体的には、まず、スリット溝SDの底部BTに形成された絶縁層34の部分が除去され(図4(A)、除去工程)、続いて、スリット溝SDの底部BTにおけるシリコン基板30の基部31が第2の所定の深さhでさらにエッチングされる(図4(B)、広表面積化工程)。この広表面積化工程によって、スリット溝SDの底部分の表面積が該エッチング前より広くなる。例えば、前記除去工程では、CHFガスを用いたICPドライエッチングによってスリット溝SDの底部BTに形成された絶縁層34の部分がエッチングされ、除去される(図4(A))。続いて、広表面積化工程では、ガスをシリコンのエッチングに適したガス、例えばSFに変え、SFガスを用いたICPドライエッチングによってスリット溝SDの底部BTにおけるシリコン基板30の板状部分(基部)31がさらにエッチングされる(図4(B))。
例えば、ボッシュ(Bosch)プロセスのように、SFプラズマがリッチな状態と、Cプラズマがリッチな状態とを交互に繰り返すICPドライエッチングが行われる。ここで、Cプラズマがリッチな状態(デポジション性)の時間をSFプラズマがリッチな状態(エッチング性)の時間より長くすることで、側壁保護が過剰気味となり、図4(B)に示すように、スリット溝SDの底部BTにおけるシリコン基板30の板状部分31をエッチングすることによって形成された新たな成長始端凹部APの側面がテーパ状となる。一具体例を挙げると、このような広表面積化工程のエッチング条件は、表2に示す通りである。
表2に示す例では、真空度は、削り取り工程および保護工程共に、10mTorrであり、保護工程実施時間に対する削り取り工程実施時間の比は、5/5(=1)であり、保護膜形成ガスのCガス供給量は、削り取り工程では50sccmであり、保護工程では100sccmであり、腐食ガスのSFガス供給量は、削り取り工程では50sccmであり、保護工程では0sccmであり、保護膜形成ガスのOガス供給量は、削り取り工程では10sccmであり、保護工程では0sccmであり、プラズマ化電力であるRF電力は、削り取り工程および保護工程共に、500Wであり、そして、バイアス電圧は、削り取り工程では100Wであり、保護工程では0Wである。
ICPドライエッチングは、垂直指向性が高いので、スリット溝SDの内側側面に形成された絶縁層34(シリコン基板30の壁部32の両壁面(両側面)に形成された絶縁層34)は、スリット溝SDの底部BTに形成された絶縁層34の部分が除去された時点では、絶縁層として機能するために充分な厚さで残る。スリット溝SDの内側側面に形成された絶縁層34は、絶縁性を持つレジスト層33と協働することによって、次の電鋳工程においてシリコン基板30の板状部分32に掛かる電圧を遮断する機能(この壁部32を電気的に絶縁する機能)を奏する程度の厚さでよく、例えば、10nm程度以上であればよい。
このような除去広表面積化工程後のシリコン基板30の様子の一例を図7に示す。図7に示すように、スリット溝SDの稜部、すなわち、壁部32における頂部の両稜部は、絶縁層によって被膜されており、壁部32は、レジスト層33および絶縁層34によって電気的に絶縁されている。
なお、絶縁層34がアルミナ膜34b、34cである場合には、アルミナをエッチングすることができるBCl等のホウ素を含んだ塩素系のガスを用いることによって、ICPドライエッチングが行われる。
これら各スリット溝SDの内側側面にそれぞれ形成された各絶縁層34(シリコン基板30の各壁部32の両壁面(両側面)にそれぞれ形成された各絶縁層34)は、複数の第2シリコン部分12aと複数の金属部分12bとの各間における複数の第1絶縁層12cとなる。また、この除去広表面化工程後に残留している、複数の第2シリコン部分12aの各上面(頂部)におけるレジスト層33は、複数の第2絶縁層12dとなる。
なお、上述では、除去工程と広表面積化工程とでは、エッチング対象に適したガスを用いるために、ガス種を変えたが、スリット溝SDの底部BTに形成された絶縁層34の厚さが比較的薄い場合には、広表面積化工程で用いるシリコンのエッチングに適したガスが除去工程に用いられてもよい。前記シリコンのエッチングに適したガスであっても、イオン化した分子が前記絶縁層34にイオン衝突することによって、前記シリコンのエッチングに適したガスが持っている運動エネルギーで前記絶縁層34を徐々に除去することができる。逆に、除去工程に用いるガスがそのまま広表面積化工程に用いられてもよく、徐々にシリコンをエッチングすることができる。このように除去工程と広表面積化工程とで同じガスを用いることによって、各工程間でガス種を変更する必要がないので、工程が簡略化される。
また、上述では、ドライエッチングが用いられたが、ウェットエッチングが用いられてもよい。例えば、シリコン基板30として(100)基板が選択され、スリット溝SDの長手方向が[110]方向となるようにスリット溝SDが形成され、例えば水酸化カリウムまたはTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)等のエッチング液を用いた異方性エッチングを行うことによって、成長始端凹部APの側面がテーパ状となるように、シリコン基板30の基部31がエッチングされる。
次に、電鋳法(電気メッキ法)によって、シリコン基板30に電圧を印加して前記スリット溝SDが金属で埋められる(電鋳工程、図4(C))。より具体的には、シリコン基板30に電源44の陰極が接続され、電源44の陽極に接続された陽極電極45およびシリコン基板30がメッキ液46に浸けられる。この際に、アスペクト比の高い溝SDにより確実にメッキ液46を浸透させるために、被メッキ物であるシリコン基板30の表面をアルカリ処理等の方法によって親水化したり、メッキ液46にシリコン基板30を浸けた状態で超音波振動を印加したり、メッキ液46シリコン基板30を真空チャンバーに入れることによって溝SD内の空気を抜き、この状態でメッキ液46に浸けたり、あるいは、メッキ液46にシリコン基板30を浸けた状態で真空脱泡して溝SD内の空気を抜いたり等の処理が行われてもよい。なお、シリコン基板30における、電源44の陰極に接続される部分にシリコン酸化膜等の絶縁層が形成されている場合には、電源44の陰極とシリコン基板30との導通を図るために、その部分が除去される。
このような電鋳法によってスリット溝SDに繋がる成長始端凹部APにおけるシリコン基板30(板状部分31)側から金属が析出し、成長する。そして、この金属が成長始端凹部APおよびスリット溝SDを埋めると、電鋳が終了される。これによって金属が成長始端凹部APを埋め、さらにシリコン基板30の板状部分32と同じ厚さHだけ成長する。こうして成長始端凹部APおよびスリット溝SDに金属が埋められ、金属部分12bにおける成長始端部分12bbおよび格子部分12baが形成される。
このような各製造工程を経ることによって、図1に示す構成の金属格子DGが製造される。
このような構成の金属格子DGの製造方法は、シリコン基板30をドライエッチングするので、スリット溝SDにおける幅Wに対する深さHの比(スリット溝SDのアスペクト比=深さH/幅W)の高いスリット溝SDを形成することができる。この結果、このような構成の金属格子DGの製造方法は、この高アスペクト比のスリット溝SDを金属で埋めることで、高アスペクト比の金属部分12bの格子部分12baを持つ金属格子DGを製造することができる。そして、電鋳工程で電鋳法によってスリット溝SDを金属で埋める際に、まず、絶縁層形成工程で、スリット溝SDの内表面および上述のように場合によってはレジスト層33の表面に絶縁層34が形成され、除去広表面積化工程の除去工程で、スリット溝SDの底部の部分BTに形成された絶縁層34の部分が除去され、さらに、除去広表面積化工程の広表面積化工程で、スリット溝SDの底部に露出したシリコン基板30の板状部分31がエッチングされて第2の深さhの成長始端凹部APが形成され、これによってスリット溝SDの底部分の表面積が該エッチング前(広表面積化工程を行う前)より広くされる。そして、これら絶縁層形成工程および除去広表面積化工程の前に実施されるエッチング工程では、パターニング工程後に残留しているレジスト層33の下部内側におけるシリコン基板30もエッチングされる。したがって、絶縁層形成工程では、所定膜厚のシリコン酸化膜(SiO膜、二酸化シリコン膜)等の絶縁層を形成することができ、凹部を構成する壁部32であってエッチング工程で残留したシリコン基板の壁部32の全表面が絶縁層によって絶縁状態となるとともに、スリット溝SDの底部分が通電可能な状態となる。しかも、エッチング工程で、パターニング工程後に残留しているレジスト層33の下部内側におけるシリコン基板30もエッチングされるため、パターニング工程後に残留しているレジスト層33は、笠を被ったように壁部32における頂部を覆うから、パターニング工程後に残留しているレジスト層33における両端部は、壁部32における頂部の両稜部(両肩部)に対しいわゆる庇のように機能することになる。このため、パターニング工程後に残留しているレジスト層33における両端部によって、スリット溝SDの稜部(壁部32における頂部の両稜部)が除去広表面積化工程の除去作用から保護されるため、スリット溝SDの稜部も、絶縁層34およびレジスト層33によってより確実に絶縁される。このため、スリット溝SDの壁面(内側側面)から金属がより確実に析出および成長することがなく、スリット溝SDの底部分から金属がより確実に析出し成長する。したがって、このような構成の金属格子DGの製造方法は、このように金属がスリット溝SDの底部分から選択的に成長するので、ボイドの発生を効果的に抑制することができる。この結果、このような構成の金属格子DGの製造方法は、電鋳法によって格子の金属部分12bをより緻密に形成することができる。特に、X線タルボ干渉計およびX線タルボ・ロー干渉計に用いられる回折格子は、金属部分12bの格子部分12baが高いアスペクト比が求められるが、本実施形態における金属格子DGの製造方法は、上述のように、このような高アスペクト比、例えば5倍以上、好ましくは10倍以上、より好ましくは20倍以上に対応することができ、しかもより緻密な金属部分12bの格子部分12baを形成することができ、X線タルボ干渉計およびX線タルボ・ロー干渉計に用いられる回折格子の製造方法として好適である。
また、本実施形態における金属格子DGの製造方法は、エッチング条件が調整されたボッシュプロセスによってシリコン基板30がドライエッチングされるので、スリット溝SDの側面がより平坦となり、この結果、高精度な金属格子DGを形成することができる。特に、金属格子DGが回折格子として機能する場合には、入射面あるいは出射面がより平坦となるので、好ましい。
また、本実施形態における金属格子DGの製造方法では、エッチング工程において、保護工程実施時間に対する削り取り工程実施時間の比(=削り取り工程実施時間/保護工程実施時間)は、忠実転写の場合に較べて高くされている。このように本実施形態では、このような比較的簡易な手法によって、パターニング工程後に残留しているレジスト層33の下部内側におけるシリコン基板30もさらにエッチングする前記エッチング工程が、より簡易に実現されている。
また、本実施形態における金属格子DGの製造方法では、エッチング工程において、削り取り工程に、保護工程に用いられる保護膜を形成するための保護膜形成原料、上述の例ではCガスも使用する場合に、この保護膜形成原料は、忠実転写の場合に較べて少なくされている。このように本実施形態では、このような比較的簡易な手法によって、パターニング工程後に残留しているレジスト層33の下部内側におけるシリコン基板30もさらにエッチングする前記エッチング工程が、より簡易に実現されている。
また、本実施形態における金属格子DGの製造方法では、エッチング工程において、削り取り工程でのドライエッチング法のバイアス電圧は、忠実転写の場合に較べて低電圧とされている。このように本実施形態では、このような比較的簡易な手法によって、パターニング工程後に残留しているレジスト層33の下部内側におけるシリコン基板30もさらにエッチングする前記エッチング工程が、より簡易に実現されている。
また、本実施形態における金属格子DGの製造方法では、エッチング工程において、ドライエッチング法におけるプラズマ化に用いられる電力は、忠実転写の場合に較べて大きくされている。このように本実施形態では、このような比較的簡易な手法によって、パターニング工程後に残留しているレジスト層33の下部内側におけるシリコン基板30もさらにエッチングする前記エッチング工程が、より簡易に実現されている。
また、本実施形態における金属格子DGの製造方法では、前記絶縁層形成工程は、堆積法、熱酸化法および陽極酸化法のうちのいずれかの方法によって、シリコン基板30におけるスリット溝SDの内表面に絶縁層34を形成するので、本実施形態における金属格子DGの製造方法は、緻密性に優れかつ電鋳工程の電鋳法に対し電気的な絶縁を確保することができる所定膜厚の絶縁層34を形成することができるから、電鋳工程の電鋳法に対し電気的な絶縁を確保することができる。
すなわち、例えば化学気相成長法等の堆積法が用いられる場合には、堆積法は、緻密性に優れた絶縁層を形成することができ、しかも、その膜厚を比較的容易に制御することができる。熱酸化法が用いられる場合には、熱酸化法は、緻密で密着性に優れたシリコン酸化膜を形成することができ、しかも、その膜厚を比較的容易に制御することができる。陽極酸化法が用いられる場合には、陽極酸化法は、緻密性、密着性および膜厚の均一性に優れたシリコン酸化膜を形成することができ、しかも、その膜厚を比較的容易に制御することができる。したがって、このような構成の金属格子の製造方法は、電鋳工程の電鋳法に対し電気的な絶縁を確保することができる緻密で所定膜厚の絶縁層を形成することができる。
例えば、シリコン酸化膜からなる絶縁層は、誘導結合型プラズマ処理装置に酸素を導入することによって形成することができる。しかしながら、非特許文献「大原淳士、外5名、「二重側壁保護膜を用いた新しいディープRIE技術の開発」、デンソーテクニカルレビュー、デンソー株式会社、2000年、Vol.5 No.1 2000、p45−50」を参照すると、その膜厚は、せいぜい2nm程度であり、プラズマ処理にかかわる放電条件や、酸素の流量、酸素を照射する時間等の条件を変えてもこれよりも厚い膜をつけるのは困難である。このため、除去工程における反応性イオンエッチングのマスクとして機能するが、上述の如く膜厚が薄く、そして、実際にはその緻密性に欠けるため、電鋳工程の電気絶縁膜として充分に機能しない場合があり、電鋳工程における適確な膜とはいえない。したがって、誘導結合型プラズマ処理装置による絶縁層の形成に較べて、本実施形態における堆積法、熱酸化法および陽極酸化法による絶縁層の形成は、優位である。
また、本実施形態では、除去広表面積化工程で、除去工程によってスリット溝SDの底部BTに形成された絶縁層34が除去されるだけでなく、広表面積化工程によってスリット溝SDの底部に露出したシリコン基板30の基部31が第2の所定の深さhでさらにエッチングされ、スリット溝SDの底部分の表面積が該エッチング前(広表面積化工程を行う前)より広くされる。このため、シリコン基板30が露出する面積がより広くなる結果、電鋳工程における通電面積がより広くなり、各スリット溝SDにおける金属の成長速度のばらつきが低減される。したがって、本実施形態における金属格子DGの製造方法は、電鋳法によって各スリット溝SDにおける金属の成長長の略均一な金属格子DGを製造することができる。
図8は、除去広表面積化工程後に電鋳工程を行う場合と、凹部の底部に形成された絶縁層のみを除去する除去工程後に電鋳工程を行う場合とにおける金属成長の相違を説明するための図である。図8(A)は、除去広表面積化工程後に電鋳工程を行った場合における各スリット溝SD内に成長した金属の様子を模式的に示した図であり、図8(B)は、その一例としての写真を図面化したものである。図8(C)は、除去工程後に電鋳工程を行った場合における各スリット溝SD内に成長した金属の様子を模式的に示した図であり、図8(D)は、その一例としての写真を図面化したものである。
図8(A)ないし(D)に示すように、スリット溝SDの両側面を絶縁層34で覆うとともにスリット溝SDの底部を通電可能な状態とすることによって、金属がスリット溝SDの底部から選択的に成長するので、ボイドの発生を効果的に抑制することができ、この結果、金属格子12bがより緻密に形成される。しかしながら、図8(A)および(B)と、図8(C)および(D)とを対比すると分かるように、除去工程後に電鋳工程を行った場合(図8(C)および(D))では、製造誤差に起因するスリット溝SDの底部BTにおける面積ゆらぎやメッキ液46の浸透度合いの揺らぎ等の、各スリット溝間における僅かな条件の相違に起因して電鋳工程における金属の成長速度にばらつきが生じ、各スリット溝SD内に成長した各金属の成長長が不均一となってしまう。一方、本実施形態のように、除去広表面積化工程後に電鋳工程を行った場合(図8(A)および(B))では、スリット溝SD内における通電部分の広表面積化によって電鋳工程における金属の成長速度のばらつきが低減され、各スリット溝SD内に成長した各金属の成長長が略均一となる。したがって、本実施形態における金属格子DGの製造方法は、歩留まりが改善され、より低コストで金属格子DGを製造することが可能となる。
このようなスリット溝SDの底部分の表面積を広表面積化するため、スリット溝SDの深さHと、成長始端凹部APの深さhとの比は、実験結果によれば経験的に、(スリット溝SDの深さH):(成長始端凹部APの深さh)=99:1〜80:20であることが好ましく、より好ましくは、(スリット溝SDの深さH):(成長始端凹部APの深さh)=95:5〜85:15である。
また、成長始端凹部APの両側面(両側壁)は、スリット溝SDと同様に略垂直(成長始端凹部APの底面と側面とが直交する態様、スリット溝SDの壁面が面一で成長始端凹部APの壁面に続く態様またはスリット溝SDの壁面と成長始端凹部APの壁面との成す角が略180度である態様)であってもよいが、成長始端部分12bb内に生じる可能性のあるボイドを回避するべく、本実施形態のように、成長始端凹部APの両側面(両側壁)は、テーパ状(成長始端凹部APの底面と側面とが斜交する態様または成長始端凹部APの両側面が交差する態様、スリット溝SDの壁面と成長始端凹部APの壁面との成す角が180度より小さい角度である態様)であることが好ましい。
図9は、凹部における底部分の断面形状の相違による電鋳工程での金属成長の相違を説明するための図である。図9(A)ないし(C)は、成長始端凹部APaの両側面がテーパ状である場合を示し、図9(A)は、成長始端凹部APaでの金属成長開始時の様子を模式的に示し、図9(B)は、成長始端凹部APaでの金属成長途中時の様子を模式的に示し、そして、図9(C)は、成長始端凹部APaでの金属成長終了時の様子を模式的に示す。また、図9(D)ないし(F)は、成長始端凹部APbの両側面が垂直である場合を示し、図9(D)は、成長始端凹部APbでの金属成長開始時の様子を模式的に示し、図9(E)は、成長始端凹部APbでの金属成長途中時の様子を模式的に示し、そして、図9(F)は、成長始端凹部APbでの金属成長終了時の様子を模式的に示す。なお、もちろん、図9(C)および図9(F)に示す成長始端凹部AP(APa、APb)での金属成長終了後に、続けて、スリット溝SD内での金属成長が行われる。
成長始端凹部APbの両側面が略垂直である場合では、図9(D)ないし(F)に示すように、成長始端凹部APbの底部よりも上部の方が電界強度がやや高くなるため、成長始端凹部APbの底部よりも上部の方が金属の成長速度が速くなる。このため、図9(D)から図9(E)を経て図9(F)に示すように、成長始端凹部APbにおいて、上部より底部方向の部分を金属が埋める前に上部が閉塞する場合があり、成長始端部分12bb内にボイドが生じる場合がある。これに対し、本実施形態のように、成長始端凹部APaの両側面がテーパ状である場合では、図9(A)から図9(B)を経て図9(C)に示すように、成長始端部分12bb内に生じるボイドを防止することができる。この結果、成長始端部分12bbも格子部分12baの一部と見なすことができ、成長始端部分12bbと格子部分12baとを一体とした金属格子DGの設計を行うことができる。このため、このような構成の金属格子DGの製造方法は、プロセス時間を短くすることができ、またスリット溝SDの深さHを成長始端凹部APaの深さhに対応する深さだけ浅くすることでスリット溝SDの加工性を容易化することもできる。
なお、図9(F)に示すように成長始端部分12bb内にボイドが形成されている場合でも、格子部分12baにはボイド無しで緻密にX線遮蔽機能を有する金属が充分な厚さHで形成され、X線を略100%遮断することができることから、金属格子DGとしての性能が劣化することはない。このような場合において金属格子DGがX線回折格子として用いられる場合には、成長始端部分12bb内のボイドに起因する本来予定されていない無用なX線散乱等を回避する観点から、X線入射面は、この成長始端部分12bb側ではなく、この成長始端部分12bb側に対向する格子部分12baの表面側(スリット溝SDの開口があった側)であることが好ましい。
一方、図9(C)に示すように成長始端部分12bb内にボイドが形成されていない場合には、金属格子DGがX線回折格子として用いられる場合に、X線入射面は、この成長始端部分12bb側であってもよく、また、この成長始端部分12bb側に対向する格子部分12baの表面側(スリット溝SDの開口があった側)であってもよい。なお、電鋳法において厚く金属を埋めた場合に、その表面(格子部分12baの表面)は、荒れ易い。このため、X線入射面は、この成長始端部分12bb側であることが好ましく、直接のX線入射面となる第1シリコン部分11の表面は、鏡面研磨されていることがより好ましい。
図10は、凹部における底部分の他の形状を示す図である。なお、上述では、成長始端凹部APは、その両側面(両側壁)が略垂直である成長始端凹部APb、好ましくは、その両側面(両側壁)がテーパ状である成長始端凹部APaであるが、図10に示すように、側面が曲面状である成長始端凹部APcであってもよい。この図10に示す成長始端凹部APcは、その両側面が外方向に凸の球面形状であって、断面形状がいわゆる果実のリンゴの断面形状のような形状となっている。このような形状の成長始端凹部APcは、広表面化工程において、例えば、シリコンのエッチングに適したガス、例えば、SFを用いたICPドライエッチングを行うことによって形成することができる。また例えば、成長始端凹部APcは、広表面化工程において、硝酸とフッ酸との混合溶液による等方性ウエットエッチングを行うことによって形成することができる。このような形状の成長始端凹部APcを形成することによってもシリコン基板30が露出する面積がより広くなる結果、電鋳工程における通電面積がより広くなり、各スリット溝SDにおける金属の成長速度のばらつきが低減される。この結果、本実施形態における金属格子DGの第2製造方法は、電鋳法によって各スリット溝SDにおける金属の成長長の略均一な金属格子DGを製造することができる。
なお、上述の製造方法では、レジスト層33は、シリコン酸化膜33a、金属酸化膜33bまたは酸化可能な金属膜33cであったが、これらに代え、感光性樹脂層33dがレジスト層33として用いられてもよい。
図11および図12は、実施形態における金属格子の他の製造方法を説明するための図である。
本実施形態の金属格子DGを製造するために、まず、シリコン基板30が用意される(図11(A))。好ましくは、シリコン基板30は、多数キャリアが電子であるn型シリコンである。
次に、シリコン基板30の主面上にレジスト層33として感光性樹脂層(フォトレジスト層)33dが形成され(レジスト層形成工程、図11(B))、この感光性樹脂層33dをパターニングして前記パターニングした部分の感光性樹脂層33dが除去される(パターニング工程、図11(C)、図12(A))。そして、感光性樹脂層33dは、後工程のエッチング工程および除去広表面積化工程の後に残留する厚みで形成される。
より具体的には、シリコン基板30上に感光性樹脂層33dが例えばスピンコート等によって形成される(図11(B))。この感光性樹脂層33dは、後工程のエッチング工程のエッチング処理および除去広表面積化工程の除去処理に対しシリコン基板30の板状部分32(壁部32、第2シリコン部分12a)を保護する保護膜として機能する所定の膜厚、例えば約2μmで形成される。ここで、感光性樹脂層33dは、リソグラフィーにおいて使用され、光(可視光だけでなく紫外線等も含む)や電子線等によって溶解性等の物性が変化する材料である。なお、これに限定されるものではなく、例えば、感光性樹脂層33dに代え、電子線露光用のレジストであってもよい。続いて、フォトリソグラフィー工程として、リソグラフィー法によって感光性樹脂層33dがパターニングされ(図11(C))、このパターニングした部分の感光性樹脂層33dが除去される(図12(A))。より具体的には、感光性樹脂層33dにリソグラフィーマスク41を押し当てて、感光性樹脂層33dにリソグラフィーマスク41を介して紫外線42が照射され、感光性樹脂層33dがパターン露光され、現像される(図11(C))。そして、露光されなかった部分(あるいは露光された部分)の感光性樹脂層33dが除去される(図12(A))。
そして、次に、所定のエッチング法によって感光性樹脂層33dを除去した部分に対応するシリコン基板30が、前記法線方向Dzに第1の所定の深さHまでエッチングされる。このシリコン基板30のエッチングの際に、図3(B)を用いて説明した上述と同様に、さらに、前記パターニング工程後に残留しているレジスト層33dの下部内側におけるシリコン基板30もエッチングされる。これによってレジスト層33dの開口部分の幅WAよりも広い幅WSを持つスリット溝SDが形成される(図12(B)、エッチング工程)。より具体的には、パターニングされた感光性樹脂層33dをマスクとして、シリコン基板30における表面から第1の所定の深さHまで、上述と同様のエッチング条件で、ボッシュプロセスのICPドライエッチングでシリコン基板30がエッチングされる。なお、このドライエッチングによって感光性樹脂層33dは、目減りするが、後工程の除去広表面積化工程に対しシリコン基板30の板状部分32(第2シリコン部分12a)を保護する保護膜として機能する所定の膜厚で残留する。例えば、上述の例では、感光性樹脂層33dは、約2μmから約1μmへ目減りし、約1μm残留する。
次に、シリコン基板30におけるスリット溝SDを形成した主面側の表面全体に、陽極酸化法によって、電鋳工程の電鋳法に対し絶縁性を有するように所定の厚さの絶縁層34が形成される(図12(C)、絶縁層形成工程)。以下、上述した、除去工程あるいは除去広表面積化工程が行われ、電鋳工程が行われる。ここで、このドライエッチングによって感光性樹脂層33dもエッチングされるが、この除去工程あるいは除去広表面積化工程後に残留する充分な厚さを感光性樹脂層33dが形成されているため、このドライエッチングも感光性樹脂層33dは、残留する。例えば、上述の例では、1μmから700nmの厚さになる。
このような各製造工程を経ることによって、上述と同様に、図1に示す構成の金属格子DGが製造される。
また、上述の実施形態では、回折格子DGは、一次元周期構造であったが、これに限定されるものではない。回折格子DGは、例えば、二次元周期構造の回折格子であってもよい。例えば、二次元周期構造の回折格子DGは、回折部材となるドットが線形独立な2方向に所定の間隔を空けて等間隔に配設されて構成される。このような二次元周期構造の回折格子は、平面に高アスペクト比の穴を二次元周期で空け、上述と同様に、その穴を金属で埋める、あるいは、平面に高アスペクト比の円柱を二次元周期で立設させ、上述と同様に、その周りを金属で埋めることによって形成することができる。
(タルボ干渉計およびタルボ・ロー干渉計)
上記実施形態の金属格子DGは、高アスペクト比で金属部分を形成することができるので、X線用のタルボ干渉計およびタルボ・ロー干渉計に好適に用いることができる。この金属格子DGを用いたX線用タルボ干渉計およびX線用タルボ・ロー干渉計について説明する。
図13は、実施形態におけるX線用タルボ干渉計の構成を示す斜視図である。図14は、実施形態におけるX線用タルボ・ロー干渉計の構成を示す上面図である。
実施形態のX線用タルボ干渉計100Aは、図13に示すように、所定の波長のX線を放射するX線源101と、X線源101から照射されるX線を回折する位相型の第1回折格子102と、第1回折格子102により回折されたX線を回折することにより画像コントラストを形成する振幅型の第2回折格子103とを備え、第1および第2回折格子102、103がX線タルボ干渉計を構成する条件に設定される。そして、第2回折格子103により画像コントラストの生じたX線は、例えば、X線を検出するX線画像検出器105によって検出される。そして、このX線用タルボ干渉計100Aでは、第1回折格子102および第2回折格子103の少なくとも一方は、前記金属格子DGである。
タルボ干渉計100Aを構成する前記条件は、次の式1および式2によって表される。式2は、第1回折格子102が位相型回折格子であることを前提としている。
l=λ/(a/(L+Z1+Z2)) ・・・(式1)
Z1=(m+1/2)×(d/λ) ・・・(式2)
ここで、lは、可干渉距離であり、λは、X線の波長(通常は中心波長)であり、aは、回折格子の回折部材にほぼ直交する方向におけるX線源101の開口径であり、Lは、X線源101から第1回折格子102までの距離であり、Z1は、第1回折格子102から第2回折格子103までの距離であり、Z2は、第2回折格子103からX線画像検出器105までの距離であり、mは、整数であり、dは、回折部材の周期(回折格子の周期、格子定数、隣接する回折部材の中心間距離、前記ピッチP)である。
このような構成のX線用タルボ干渉計100Aでは、X線源101から第1回折格子102に向けてX線が照射される。この照射されたX線は、第1回折格子102でタルボ効果を生じ、タルボ像を形成する。このタルボ像が第2回折格子103で作用を受け、モアレ縞の画像コントラストを形成する。そして、この画像コントラストがX線画像検出器105で検出される。
タルボ効果とは、回折格子に光が入射されると、或る距離に前記回折格子と同じ像(前記回折格子の自己像)が形成されることをいい、この或る距離をタルボ距離Lといい、この自己像をタルボ像という。タルボ距離Lは、回折格子が位相型回折格子の場合では、上記式2に表されるZ1となる(L=Z1)。タルボ像は、Lの奇数倍(=(2m+1)L、mは、整数)では、反転像が現れ、Lの偶数倍(=2mL)では、正像が現れる。
ここで、X線源101と第1回折格子102との間に被検体Sが配置されると、前記モアレ縞は、被検体Sによって変調を受け、この変調量が被検体Sによる屈折効果によってX線が曲げられた角度に比例する。このため、モアレ縞を解析することによって被検体Sおよびその内部の構造が検出される。
このような図13に示す構成のタルボ干渉計100Aでは、X線源101は、単一の点光源であり、このような単一の点光源は、単一のスリット(単スリット)を形成した単スリット板をさらに備えることで構成することができ、X線源101から放射されたX線は、前記単スリット板の前記単スリットを通過して被写体Sを介して第1回折格子102に向けて放射される。前記スリットは、一方向に延びる細長い矩形の開口である。
一方、タルボ・ロー干渉計100Bは、図14に示すように、X線源101と、マルチスリット板104と、第1回折格子102と、第2回折格子103とを備えて構成される。すなわち、タルボ・ロー干渉計100Bは、図14に示すタルボ干渉計100Aに加えて、X線源101のX線放射側に、複数のスリットを並列に形成したマルチスリット板104をさらに備えて構成される。
このマルチスリット板104は、上述した実施形態における金属格子DGの製造方法によって製造された格子であってよい。マルチスリット板104を、上述した実施形態における金属格子DGの製造方法によって製造することによって、X線をスリット(前記複数の第2シリコン部分12a)によって透過させるとともにより確実に前記複数の金属部分12bによって遮断することができるので、X線の透過と非透過とをより明確に区別することができるから、マルチスリット板104は、X線源101から放射されたX線を、より確実にマルチ光源とすることができる。
そして、タルボ・ロー干渉計100Bとすることによって、タルボ干渉計100Aよりも、被写体Sを介して第1回折格子102に向けて放射されるX線量が増加するので、より良好なモアレ縞が得られる。
このようなタルボ干渉計100Aやタルボ・ロー干渉計100Bに用いられる第1回折格子102、第2回折格子103およびマルチスリット板104の一例を挙げると、諸元は、次の通りである。なお、これらの例では、第2シリコン部分12aと金属部分12bとは、同幅に形成され、金属部分12bは、金によって形成される。
一例として、X線源101またはマルチスリット板104から第1回折格子102までの距離R1が2mであって、X線源101またはマルチスリット板104から第1回折格子102までの距離R2が2.5mである場合では、第1回折格子102は、そのピッチPが5μmであり、その金属部分12bの厚さが3μmであり、第2回折格子103は、そのピッチPが6μmであり、その金属部分12bの厚さが100μmであり(アスペクト比=100/3)、そして、マルチスリット板104は、そのピッチPが30μmであり、その金属部分12bの厚さが100μmである。
また、他の一例として、X線源101またはマルチスリット板104から第1回折格子102までの距離R1が1.8mであって、X線源101またはマルチスリット板104から第1回折格子102までの距離R2が2.5mである場合では、第1回折格子102は、そのピッチPが7μmであり、その金属部分12bの厚さが3μmであり、第2回折格子103は、そのピッチPが10μmであり、その金属部分12bの厚さが100μmであり(アスペクト比=100/5)、そして、マルチスリット板104は、そのピッチPが20μmであり、その金属部分12bの厚さが100μmである。
(X線撮像装置)
前記金属格子DGは、種々の光学装置に利用することができるが、高アスペクト比で金属部分12bを形成することができるので、例えば、X線撮像装置に好適に用いることができる。特に、X線タルボ干渉計を用いたX線撮像装置は、X線を波として扱い、被写体を通過することによって生じるX線の位相シフトを検出することによって、被写体の透過画像を得る位相コントラスト法の一つであり、被写体によるX線吸収の大小をコントラストとした画像を得る吸収コントラスト法に較べて、約1000倍の感度改善が見込まれ、それによってX線照射量が例えば1/100〜1/1000に軽減可能となるという利点がある。本実施形態では、前記回折格子DGを用いたX線タルボ干渉計を備えたX線撮像装置について説明する。
図15は、実施形態におけるX線撮像装置の構成を示す説明図である。図15において、X線撮像装置200は、X線撮像部201と、第2回折格子202と、第1回折格子203と、X線源204とを備え、さらに、本実施形態では、X線源204に電源を供給するX線電源部205と、X線撮像部201の撮像動作を制御するカメラ制御部206と、本X線撮像装置200の全体動作を制御する処理部207と、X線電源部205の給電動作を制御することによってX線源204におけるX線の放射動作を制御するX線制御部208とを備えて構成される。
X線源204は、X線電源部205から給電されることによって、X線を放射し、第1回折格子203へ向けてX線を照射する装置である。X線源204は、例えば、X線電源部205から供給された高電圧が陰極と陽極との間に印加され、陰極のフィラメントから放出された電子が陽極に衝突することによってX線を放射する装置である。
第1回折格子203は、X線源204から放射されたX線によってタルボ効果を生じる透過型の回折格子である。第1回折格子203は、例えば、上述した実施形態における金属格子DGの製造方法によって製造された回折格子である。第1回折格子203は、タルボ効果を生じる条件を満たすように構成されており、X線源204から放射されたX線の波長よりも充分に粗い格子、例えば、格子定数(回折格子の周期)dが当該X線の波長の約20以上である位相型回折格子である。なお、第1回折格子203は、このような振幅型回折格子であってもよい。
第2回折格子202は、第1回折格子203から略タルボ距離L離れた位置に配置され、第1回折格子203によって回折されたX線を回折する透過型の振幅型回折格子である。この第2回折格子202も、第1回折格子203と同様に、例えば、上述した実施形態における金属格子DGの製造方法によって製造された回折格子である。
これら第1および第2回折格子203、202は、上述の式1および式2によって表されるタルボ干渉計を構成する条件に設定されている。
X線撮像部201は、第2回折格子202によって回折されたX線の像を撮像する装置である。X線撮像部201は、例えば、X線のエネルギーを吸収して蛍光を発するシンチレータを含む薄膜層が受光面上に形成された二次元イメージセンサを備えるフラットパネルディテクタ(FPD)や、入射フォトンを光電面で電子に変換し、この電子をマイクロチャネルプレートで倍増し、この倍増された電子群を蛍光体に衝突させて発光させるイメージインテンシファイア部と、イメージインテンシファイア部の出力光を撮像する二次元イメージセンサとを備えるイメージインテンシファイアカメラなどである。
処理部207は、X線撮像装置200の各部を制御することによってX線撮像装置200全体の動作を制御する装置であり、例えば、マイクロプロセッサおよびその周辺回路を備えて構成され、機能的に、画像処理部271およびシステム制御部272を備えている。
システム制御部272は、X線制御部208との間で制御信号を送受信することによってX線電源部205を介してX線源204におけるX線の放射動作を制御すると共に、カメラ制御部206との間で制御信号を送受信することによってX線撮像部201の撮像動作を制御する。システム制御部272の制御によって、X線が被写体Sに向けて照射され、これによって生じた像がX線撮像部201によって撮像され、画像信号がカメラ制御部206を介して処理部207に入力される。
画像処理部271は、X線撮像部201によって生成された画像信号を処理し、被写体Sの画像を生成する。
次に、本実施形態のX線撮像装置の動作について説明する。被写体Sが例えばX線源204を内部(背面)に備える撮影台に載置されることによって、被写体SがX線源204と第1回折格子203との間に配置され、X線撮像装置200のユーザ(オペレータ)によって図略の操作部から被写体Sの撮像が指示されると、処理部207のシステム制御部272は、被写体Sに向けてXを照射すべくX線制御部208に制御信号を出力する。この制御信号によってX線制御部208は、X線電源部205にX線源204へ給電させ、X線源204は、X線を放射して被写体Sに向けてX線を照射する。
照射されたX線は、被写体Sを介して第1回折格子203を通過し、第1回折格子203によって回折され、タルボ距離L(=Z1)離れた位置に第1回折格子203の自己像であるタルボ像Tが形成される。
この形成されたX線のタルボ像Tは、第2回折格子202によって回折され、モアレを生じてモアレ縞の像が形成される。このモアレ縞の像は、システム制御部272によって例えば露光時間などが制御されたX線撮像部201によって撮像される。
X線撮像部201は、モアレ縞の像の画像信号をカメラ制御部206を介して処理部207へ出力する。この画像信号は、処理部207の画像処理部271によって処理される。
ここで、被写体SがX線源204と第1回折格子203との間に配置されているので、被写体Sを通過したX線には、被写体Sを通過しないX線に対し位相がずれる。このため、第1回折格子203に入射したX線には、その波面に歪みが含まれ、タルボ像Tには、それに応じた変形が生じている。このため、タルボ像Tと第2回折格子202との重ね合わせによって生じた像のモアレ縞は、被写体Sによって変調を受けており、この変調量が被写体Sによる屈折効果によってX線が曲げられた角度に比例する。したがって、モアレ縞を解析することによって被写体Sおよびその内部の構造を検出することができる。また、被写体Sを複数の角度から撮像することによってX線位相CT(computed tomography)により被写体Sの断層画像が形成可能である。
そして、本実施形態の第2回折格子202では、高アスペクト比の金属部分12bを備える上述した実施形態における金属格子DGであるので、良好なモアレ縞が得られ、高精度な被写体Sの画像が得られる。
また、金属格子DGがボッシュプロセスによってシリコン基板30の板状部分32(第2シリコン部分12a)がドライエッチングされるので、スリット溝SDの側面がより平坦となり、高精度に第2回折格子202を形成することができる。このため、より良好なモアレ縞が得られ、より高精度な被写体Sの画像が得られる。
なお、上述のX線撮像装置200は、X線源204、第1回折格子203および第2回折格子202によってタルボ干渉計を構成したが、X線源204のX線放射側にマルチスリットとしての上述した実施形態における金属格子DGをさらに配置することで、タルボ・ロー干渉計を構成してもよい。このようなタルボ・ロー干渉計とすることで、単スリットの場合よりも被写体Sに照射されるX線量を増加することができ、より良好なモアレ縞が得られ、より高精度な被写体Sの画像が得られる。
また、上述のX線撮像装置200では、X線源204と第1回折格子203との間に被写体Sが配置されたが、第1回折格子203と第2回折格子202との間に被写体Sが配置されてもよい。
また、上述のX線撮像装置200では、X線の像がX線撮像部201で撮像され、画像の電子データが得られたが、X線フィルムによって撮像されてもよい。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
DG 金属格子
SD スリット溝
AP、APa、APb、APc 成長始端凹部
11 第1シリコン部分
12 格子
12a 第2シリコン部分
12b 金属部分
12c 第1絶縁層
12d 第2絶縁層
12ba 格子部分
12bb 成長始端部分
30 シリコン基板
31 シリコン基板の基部
32 シリコン基板の壁部
33、33a、33b、33c、33d レジスト層
34、34a、34b 絶縁層
100A X線用タルボ干渉計
100B X線用タルボ・ロー干渉計
102、203 第1回折格子
103、202 第2回折格子
104 マルチスリット板
200 X線撮像装置

Claims (15)

  1. シリコン基板の主面上にレジスト層を形成するレジスト層形成工程と、
    前記レジスト層をパターニングして前記パターニングした部分の前記レジスト層を除去するパターニング工程と、
    所定のエッチング法によって前記レジスト層を除去した部分に対応する前記シリコン基板をエッチングして所定の深さの凹部を形成するエッチング工程と、
    前記シリコン基板における前記凹部を形成した側の表面に絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、
    前記凹部の底部に形成された前記絶縁層の部分を除去する除去工程と、
    電鋳法によって、前記シリコン基板に電圧を印加して前記凹部を金属で埋める電鋳工程とを備え、
    前記エッチング工程は、前記パターニング工程後に残留している前記レジスト層の下部内側におけるシリコン基板もエッチングすること
    を特徴とする金属格子の製造方法。
  2. 前記エッチング工程は、エッチングすべき部分の表面を削り取る削り取り工程と、削り取った表面を削り取りから保護する保護膜を形成する保護工程とを交互に繰り返すドライエッチング法であり、
    前記保護工程の実施時間に対する前記削り取り工程の実施時間の比は、平面視にて前記レジスト層を除去した部分の形状を維持するように前記シリコン基板をエッチングする場合に較べて、高いこと
    を特徴とする請求項1に記載の金属格子の製造方法。
  3. 前記エッチング工程は、エッチングすべき部分の表面を削り取る削り取り工程と、削り取った表面を削り取りから保護する保護膜を形成する保護工程とを交互に繰り返すドライエッチング法であり、
    前記削り取り工程に、前記保護工程に用いられる前記保護膜を形成するための保護膜形成原料も使用する場合に、該保護膜形成原料は、平面視にて前記レジスト層を除去した部分の形状を維持するように前記シリコン基板をエッチングする場合に較べて、少ないこと
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属格子の製造方法。
  4. 前記エッチング工程は、エッチングすべき部分の表面を削り取る削り取り工程と、削り取った表面を削り取りから保護する保護膜を形成する保護工程とを交互に繰り返すドライエッチング法であり、
    前記削り取り工程での前記ドライエッチング法のバイアス電圧は、平面視にて前記レジスト層を除去した部分の形状を維持するように前記シリコン基板をエッチングする場合に較べて、低電圧であること
    を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の金属格子の製造方法。
  5. 前記エッチング工程は、エッチングすべき部分の表面を削り取る削り取り工程と、削り取った表面を削り取りから保護する保護膜を形成する保護工程とを交互に繰り返すドライエッチング法であり、
    前記ドライエッチング法における少なくとも削り取り工程の際のプラズマ化に用いられる電力は、平面視にて前記レジスト層を除去した部分の形状を維持するように前記シリコン基板をエッチングする場合に較べて、大きいこと
    を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の金属格子の製造方法。
  6. 前記エッチング工程は、所定の第1エッチング法によって、平面視にて前記レジスト層を除去した部分の形状を維持するように前記シリコン基板をエッチングする第1工程と、前記第1エッチング法とは異なる所定の第2エッチング法によって、前記パターニング工程後に残留している前記レジスト層の下部内側におけるシリコン基板をエッチングする第2工程とを備えること
    を特徴とする請求項1に記載の金属格子の製造方法。
  7. 前記除去工程は、前記凹部の底部に形成された前記絶縁層の部分を除去するとともに、前記凹部の底部における前記シリコン基板をさらにエッチングすることによって前記凹部の底部分の表面積を該エッチング前より広くする除去広表面積化であること
    を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の金属格子の製造方法。
  8. 前記絶縁層形成工程は、堆積法、熱酸化法および陽極酸化法のうちのいずれかの方法によって、前記シリコン基板における前記凹部を形成した側の表面に絶縁層を形成すること
    を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の金属格子の製造方法。
  9. 前記ドライエッチング法は、RIEであること
    を特徴とする請求項2ないし請求項8のいずれか1項に記載の金属格子の製造方法。
  10. 前記シリコン基板は、n型シリコンであること
    を特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の金属格子の製造方法。
  11. X線タルボ干渉計またはX線タルボ・ロー干渉計に用いられる回折格子を製造する請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の金属格子の製造方法。
  12. 請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の金属格子の製造方法によって製造された金属格子。
  13. 第1シリコン層と、
    前記第1シリコン層上に形成され、周期的に配列された複数の金属部分と前記複数の金属部分間に配置される第2シリコン部分と持つ1次元格子または2次元格子とを備え、
    前記複数の金属部分と前記第2シリコン部分との間に複数の第1絶縁層をそれぞれさらに備え、
    前記複数の第2シリコン部分上および前記複数の第1絶縁層上に複数の第2絶縁層をそれぞれさらに備えること
    を特徴とする金属格子。
  14. 前記金属部分は、前記第1シリコン層内へさらに延設されていること
    を特徴とする請求項13に記載の金属格子。
  15. X線を放射するX線源と、
    前記X線源から放射されたX線が照射されるタルボ干渉計またはタルボ・ロー干渉計と、
    前記タルボ干渉計またはタルボ・ロー干渉計によるX線の像を撮像するX線撮像素子とを備え、
    前記タルボ干渉計またはタルボ・ロー干渉計は、請求項12ないし請求項14のいずれか1項に記載の金属格子を含むこと
    を特徴とするX線撮像装置。
JP2011270088A 2011-12-09 2011-12-09 金属格子の製造方法、金属格子およびx線撮像装置 Pending JP2013122487A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011270088A JP2013122487A (ja) 2011-12-09 2011-12-09 金属格子の製造方法、金属格子およびx線撮像装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011270088A JP2013122487A (ja) 2011-12-09 2011-12-09 金属格子の製造方法、金属格子およびx線撮像装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013122487A true JP2013122487A (ja) 2013-06-20
JP2013122487A5 JP2013122487A5 (ja) 2014-07-17

Family

ID=48774487

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011270088A Pending JP2013122487A (ja) 2011-12-09 2011-12-09 金属格子の製造方法、金属格子およびx線撮像装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013122487A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015034306A (ja) * 2013-08-07 2015-02-19 大日本印刷株式会社 金属充填構造体の製造方法及び金属充填構造体
KR101678596B1 (ko) 2015-07-01 2016-11-23 이비테크(주) 엑스선회절격자 선택형 위상차 엑스선 영상장치
JP2017041539A (ja) * 2015-08-20 2017-02-23 大日本印刷株式会社 金属充填構造体及びその製造方法
JP2017116475A (ja) * 2015-12-25 2017-06-29 キヤノン株式会社 X線遮蔽格子、該x線遮蔽格子の製造方法及び該x線遮蔽格子を備えるx線トールボット干渉計
WO2017159255A1 (ja) * 2016-03-14 2017-09-21 株式会社島津製作所 放射線位相差撮影装置
KR101832988B1 (ko) * 2016-08-04 2018-02-28 주식회사 티지오테크 모판, 모판의 제조 방법, 및 마스크의 제조 방법
WO2018097559A1 (ko) * 2016-11-28 2018-05-31 주식회사 티지오테크 모판, 모판의 제조 방법, 및 마스크의 제조 방법
US10045753B2 (en) 2014-07-24 2018-08-14 Canon Kabushiki Kaisha Structure, method for manufacturing the same, and talbot interferometer

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6243133A (ja) * 1985-08-20 1987-02-25 Mitsubishi Electric Corp 半導体装置の製造方法
JPH097997A (ja) * 1995-06-16 1997-01-10 Japan Aviation Electron Ind Ltd アンダーエッチング補正方法及びアンダーエッチング補正マスク
JP2005256110A (ja) * 2004-03-12 2005-09-22 Seiko Instruments Inc 電鋳用型の構造と製造方法およびその電鋳用型を用いた電鋳方法
JP2010185728A (ja) * 2009-02-10 2010-08-26 Nanocreate Co Ltd X線タルボ回折格子の製造方法、x線タルボ回折格子、x線タルボ干渉計及びx線位相イメージング装置
JP2011157622A (ja) * 2010-01-08 2011-08-18 Canon Inc 微細構造体の製造方法
JP2011162854A (ja) * 2010-02-10 2011-08-25 Canon Inc マイクロ構造体の製造方法および放射線吸収格子

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6243133A (ja) * 1985-08-20 1987-02-25 Mitsubishi Electric Corp 半導体装置の製造方法
JPH097997A (ja) * 1995-06-16 1997-01-10 Japan Aviation Electron Ind Ltd アンダーエッチング補正方法及びアンダーエッチング補正マスク
JP2005256110A (ja) * 2004-03-12 2005-09-22 Seiko Instruments Inc 電鋳用型の構造と製造方法およびその電鋳用型を用いた電鋳方法
JP2010185728A (ja) * 2009-02-10 2010-08-26 Nanocreate Co Ltd X線タルボ回折格子の製造方法、x線タルボ回折格子、x線タルボ干渉計及びx線位相イメージング装置
JP2011157622A (ja) * 2010-01-08 2011-08-18 Canon Inc 微細構造体の製造方法
JP2011162854A (ja) * 2010-02-10 2011-08-25 Canon Inc マイクロ構造体の製造方法および放射線吸収格子

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015034306A (ja) * 2013-08-07 2015-02-19 大日本印刷株式会社 金属充填構造体の製造方法及び金属充填構造体
US10045753B2 (en) 2014-07-24 2018-08-14 Canon Kabushiki Kaisha Structure, method for manufacturing the same, and talbot interferometer
KR101678596B1 (ko) 2015-07-01 2016-11-23 이비테크(주) 엑스선회절격자 선택형 위상차 엑스선 영상장치
JP2017041539A (ja) * 2015-08-20 2017-02-23 大日本印刷株式会社 金属充填構造体及びその製造方法
JP2017116475A (ja) * 2015-12-25 2017-06-29 キヤノン株式会社 X線遮蔽格子、該x線遮蔽格子の製造方法及び該x線遮蔽格子を備えるx線トールボット干渉計
WO2017159255A1 (ja) * 2016-03-14 2017-09-21 株式会社島津製作所 放射線位相差撮影装置
JPWO2017159255A1 (ja) * 2016-03-14 2019-01-31 株式会社島津製作所 放射線位相差撮影装置
US10732132B2 (en) 2016-03-14 2020-08-04 Shimadzu Corporation Radiation phase contrast imaging device
KR101832988B1 (ko) * 2016-08-04 2018-02-28 주식회사 티지오테크 모판, 모판의 제조 방법, 및 마스크의 제조 방법
WO2018097559A1 (ko) * 2016-11-28 2018-05-31 주식회사 티지오테크 모판, 모판의 제조 방법, 및 마스크의 제조 방법
KR20180060312A (ko) * 2016-11-28 2018-06-07 주식회사 티지오테크 모판, 모판의 제조 방법, 및 마스크의 제조 방법
KR101871956B1 (ko) * 2016-11-28 2018-07-02 주식회사 티지오테크 모판, 모판의 제조 방법, 및 마스크의 제조 방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6070555B2 (ja) 金属格子の製造方法
JP5585662B2 (ja) 金属格子の製造方法ならびに該製造方法によって製造された金属格子およびこの金属格子を用いたx線撮像装置
JP2013122487A (ja) 金属格子の製造方法、金属格子およびx線撮像装置
JP6296062B2 (ja) X線用金属格子、x線用金属格子の製造方法、x線用金属格子ユニットおよびx線撮像装置
WO2015060093A1 (ja) 湾曲型格子の製造方法、湾曲型格子、格子ユニット、及びx線撮像装置
CN109920577B (zh) 结构体、其制造方法和塔尔博干涉仪
JP2012127685A (ja) 金属格子の製造方法および金属格子ならびにこの金属格子を用いたx線撮像装置
EP3127861B1 (en) Method of manufacturing high aspect ratio structure and method of manufacturing ultrasonic probe
WO2013084429A1 (ja) 金属格子の製造方法、金属格子およびx線撮像装置
JP5736787B2 (ja) 回折格子の製造方法ならびに該製造方法によって製造された回折格子およびこの回折格子を用いたx線撮像装置
JP2016148544A (ja) X線用金属格子の製造方法、x線撮像装置およびx線用金属格子の中間製品
WO2012008118A1 (ja) 金属格子の製造方法および金属格子
JP2012150219A (ja) 金属格子の製造方法ならびに該製造方法によって製造された金属格子およびこの金属格子を用いたx線撮像装置
WO2013088647A1 (ja) 金属格子の製造方法、金属格子、x線撮像装置および金属格子用中間製品
JP2013124959A (ja) X線用回折格子の製造方法ならびに該製造方法によって製造されたx線用回折格子および該x線用回折格子を用いたx線撮像装置
JP2016211912A (ja) X線用金属格子の製造方法、x線撮像装置およびx線用金属格子
JP2013053979A (ja) 位相型回折格子の製造方法および位相型回折格子ならびにx線撮像装置
JP2018070956A (ja) 高アスペクト比構造物の製造方法、超音波プローブの製造方法、高アスペクト比構造物、および、x線撮像装置
US10533960B2 (en) Method for manufacturing high aspect ratio structure, a method for manufacturing ultrasonic probe, high aspect ratio structure, and X-ray imaging apparatus
US10283229B2 (en) High-aspect ratio structure production method, ultrasonic probe production method using same, and high-aspect ratio structure
JP2019144299A (ja) 高アスペクト比構造物の製造方法、高アスペクト比構造物およびx線撮像装置
JP2019074448A (ja) 高アスペクト比構造物の製造方法
JP2018151472A (ja) 高アスペクト比構造物の製造方法、超音波プローブの製造方法、高アスペクト比構造物、および、x線撮像装置
JP2017116475A (ja) X線遮蔽格子、該x線遮蔽格子の製造方法及び該x線遮蔽格子を備えるx線トールボット干渉計

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140603

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140603

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150423

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150512

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150707

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150804

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20160105