JP2013119136A - 脚式ロボット - Google Patents

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Abstract

【課題】直立したときにモータ等の駆動源の駆動力を低減可能な脚式ロボットを提供する。
【解決手段】脚式ロボット10は、胴部11と、胴部11に揺動可能に連結される脚部12と、を有し、脚部12は、大腿部12a、大腿部12aに膝関節19を介して連結される下腿部12bを有し、モータ26a〜26d,31a〜31dによって脚部12を揺動させて歩行する。脚部12に、屈曲した脚部12が伸長するように弾性力を発生させて、モータ26a〜26d,31a〜31dの、脚部12を伸長させるときの駆動力を補助する弾性部材34,36を設ける。脚式ロボット10が直立するとき、大腿部12a及び下腿部12bが、大腿部12a及び下腿部12bに回転可能に連結される膝関節19の皿部材22に当接する。弾性部材34,36は、大腿部12a及び下腿部12bが膝関節19の皿部材22に当接した状態を保つように弾性力を発生させる。
【選択図】図3

Description

本発明は、胴部と、胴部に揺動可能に連結される脚部と、を有し、モータ等によって脚部を揺動させて歩行する脚式ロボットに関する。
複数の脚部を有する脚式ロボットは、各々の脚部を揺動させながら歩行する。人間のように二本足でバランスをとりながら歩く脚式ロボットは二足歩行ロボットと呼ばれる。動物のように四本足で歩行する脚式ロボットは四足歩行ロボットと呼ばれる。脚部の数は典型的には二本あるいは四本であるが、複数本であれば何本でもよい。
各脚部は、複数のリンクを胴部(体幹リンクとも呼ばれる)から複数の関節を介して順次連設して構成される。具体的には、各脚部は、大腿部、下腿部、足平部に相当するリンクをロボットの胴部から股関節、膝関節、足首関節を介して順次連設して構成される。リンクは関節に脚式ロボットの側方に伸びるピッチ軸の回りを回転可能に連結される。関節には、リンクを回転させる駆動源たるモータが備えられる。モータが適切な駆動力を出力し、リンクの回転角度を制御することによって、脚式ロボットが脚部を胴部に対して前後に揺動させる。ここで、股関節は胴部と脚部を連結する関節を意味するものであり、四足歩行ロボットの胴部と前脚とを連結する関節も股関節に含まれる。また、モータは電気、ガソリン等のエネルギを機械的な動きに変換する装置であり、典型的には電動モータあるいはエンジンである。
脚式ロボットには、消費エネルギを低減するために、小型で低出力のモータを使用するのが望まれる。そこで、ばね等の弾性体の弾性力を利用してモータの駆動力を補助する脚式ロボットが提案されている。
例えば、特許文献1には、股関節を介して連結される胴部と大腿部との間にばねを介在させ、ばねの伸縮による弾性力を、歩行時の脚部の前方への振り出しに利用し、歩行時の股関節のモータの駆動力を補助するように作用させた脚式ロボットが提案されている。
特許文献2には、膝関節を介して連結される大腿部と下腿部との間に空気ばねを介在させ、空気ばねの弾性力を、歩行時の脚部の屈伸に利用し、歩行時の膝関節のモータの駆動力を補助するように作用させた脚式ロボットが提案されている。
特開2008−44066号公報 特開2003−103480号公報
しかし、上記文献はいずれも歩行時のモータの駆動力を低減することに着目したものである。脚式ロボットは歩行するだけでなく、屈曲した脚部を伸長させて(言い換えれば、膝を伸ばして)直立していることもある。直立している時間も長いので、ロボットが直立した状態でいかにモータの駆動力を低減できるかも重要な課題である。ブレーキ機能又はセルフロック機能を持つ減速機を関節に組み込めば、モータに電力を供給しなくてもロボットが直立した状態を保つことができる。しかし、関節が大型化したり、制御が複雑になったりするので、運用上の新たな問題が生ずる。
そこで、本発明は、直立したときにモータ等の駆動源の駆動力を低減可能な脚式ロボットを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、胴部と、前記胴部に揺動可能に連結される脚部と、を有し、前記脚部は、大腿部、前記大腿部に膝関節を介して連結される下腿部を有し、駆動源によって前記脚部を揺動させて歩行する脚式ロボットであって、屈曲した前記脚部が伸長するように弾性力を発生させて、前記駆動源の、前記脚部を伸長させるときの駆動力を補助する弾性部材を備え、前記脚式ロボットが直立するとき、前記大腿部及び前記下腿部が、前記大腿部及び前記下腿部が回転可能に連結される前記膝関節の皿部材に当接し、又は、前記大腿部及び前記下腿部が互いに当接すると共に、前記弾性部材が、前記大腿部及び前記下腿部が前記膝関節の皿部材に当接した状態、又は、前記大腿部及び前記下腿部が互いに当接した状態を保つように弾性力を発生させる脚式ロボットである。
また、本発明の他の態様は、胴部と、前記胴部に揺動可能に連結される脚部と、を有し、前記脚部は、前記胴部に股関節を介して連結される大腿部、前記大腿部に膝関節を介して連結される下腿部を有し、駆動源によって脚部を揺動させて歩行する脚式ロボットであって、前記脚式ロボットが直立するとき、前記大腿部及び前記下腿部が、前記大腿部及び前記下腿部が回転可能に連結される前記膝関節の皿部材に当接し、又は、前記大腿部及び前記下腿部が互いに当接すると共に、前記駆動源が、前記膝関節の皿部材に前記大腿部及び前記下腿部が当接する状態、又は、前記大腿部及び前記下腿部が互いに当接する状態を保つようにトルクを発生させる脚式ロボットである。
本発明の一態様によれば、脚式ロボットが直立するとき、大腿部及び下腿部が膝関節の皿部材に当接し、又は、大腿部及び下腿部が互いに当接するので、大腿部及び下腿部が伸長した状態になるようにストッパ機能が働く。そして、弾性部材が、ストッパ機能が働いた状態を保つように弾性力を発生させるので、脚式ロボットの直立状態を安定させることができる。したがって、直立した状態を保つための駆動源の駆動力を低減することができ、場合によっては、駆動源が駆動力を発生させなくても(例えば、電動モータに電力を供給しなくても)、直立した状態を保つことができる。また、弾性部材が、歩行時に駆動源の駆動力を補助する弾性部材を兼用するので、膝関節が大型化するのを防止できる。
本発明の他の態様によれば、機能が働いた状態を保つようにトルクを発生させればよいので、駆動源の駆動力を低減させることができる。
本発明の一実施形態の脚式ロボットの全体構成を示す正面図 上記脚式ロボットの左側面図 カバーを取り外した上記脚式ロボットの左脚部の側面図 上記脚式ロボットが屈伸運動を行うときの様子を脚部の内側から見た示す図((a)は膝関節を伸ばした状態を示し、(b)は膝関節を浅く曲げた状態を示し、(c)は膝関節を深く曲げた状態を示す) 上記脚式ロボットが屈伸運動を行うときの様子を脚部の外側から見た図((a)は膝関節を伸ばした状態を示し、(b)は膝関節を浅く曲げた状態を示し、(c)は膝関節を深く曲げた状態を示す) 上記脚式ロボットの膝関節の斜視図((a)は、大腿部及び下腿部を伸長させた状態を示し、(b)は、大腿部を屈曲させた状態を示す) 上記脚式ロボットの歩行時の動作を説明する図((a)から(d)は、歩行時の所定のタイミングにおける脚式ロボットの脚部の姿勢を時系列的に示す)
以下添付図面に基づいて、本発明の一実施形態における脚式ロボットを説明する。図1は本実施形態の脚式ロボットの全体構成を示す正面図であり、図2は側面図である。図2において、脚式ロボットの胴部、左脚、及び左腕からカバーを取り外した状態が示される。本実施形態において、左右は図に示す脚式ロボット側から見た左右である。また、脚式ロボットの進行方向をx軸正方向、脚式ロボットからみて左手方向をy軸正方向、脚式ロボットの上方をz軸正方向としたとき、x軸をロール軸、y軸をピッチ軸、z軸をヨー軸とする。
脚式ロボット10は、胴部11の下方に設置された二本の脚部12と、胴部11の上方左右両側面に設置された二本の腕部13と、胴部11の上方に設置された一個の頭部14とから構成されており、人間に近い動作を可能としている。
二本の腕部13は、胴部11に肩関節16を介して連結され、胴部11の周囲で自在に回転できるようになっている。各腕部13は肘関節17を境に、肩に近い方の上腕部13bと、手部13aに近い方の下腕部13cと、を備える。下腕部13cの先端には手首関節を介して手部13aが設置されている。手部13aを利用することで物を掴んだり摘まんだりすることが可能となっている。
各脚部12は股関節18を介して胴部11の骨盤に少なくともピッチ軸の回りに揺動可能に連結される。この実施形態では、各脚部12は胴部11の骨盤にピッチ軸、ロール軸、ヨー軸の回りに揺動可能に連結される。脚式ロボット10は、二本の脚部12を少なくともピッチ軸の回りに交互に揺動させ、人間のように二本足でバランスをとりながら歩く。
各脚部12は、大腿部12a及び下腿部12bを備える。大腿部12aの下には膝関節19が設けられる。膝関節19の下には下腿部12bがピッチ軸の回りを回転可能に連結される。下腿部12bの下には足首関節29がピッチ軸の回りを回転可能に設けられる。足首関節29の下には歩行路面に着床する足平部21がロール軸の回りを回転可能に設けられる。
頭部14および胴部11には、それぞれにCCDカメラ15が設置される。このCCDカメラ15によって、脚式ロボット10の周囲の状況を画像データとして収集することが可能となっている。
この脚式ロボット10は、遠隔操作可能に構成されたロボットであり、離れた位置にある図示しない操作マニピュレータを操作者が操作することで、操作マニピュレータの動きに応じた動作を脚式ロボット10が実行できるようになっている。したがって、操作者は、インターネット回線等の無線通信手段や脚式ロボット10に設置されたCCDカメラ15等を介して、遠隔地に居ながらにして脚式ロボット10の周囲の状況を把握でき、脚式ロボット10の操作ができるようになっている。なお、脚式ロボット10は、離れた位置にある操作マニュピュレータだけでなく、有線接続された操作桿によって操作されてもよい。
以上、本実施形態の脚式ロボット10の全体構成の概要を説明した。次に、図3ないし図5を用いて、本実施形態の脚式ロボット10の脚部12の詳細を説明する。図3はカバーを取り外した左脚部12の側面図を示す。図4及び図5は脚式ロボット10が屈伸運動を行うときの様子を示す。図4には二本の脚部12の内側から見た図が示され、図5には二本の脚部12の外側からみた図が示される。図4及び図5において、(a)は膝関節19を伸ばして脚部12を伸長させた状態を示し、(b)は膝関節19を曲げて脚部12を浅く屈曲させた状態を示し、(c)は脚部12を深く屈曲させた状態を示す。
図3に示すように、左脚部12は、大腿部12a、下腿部12b、及び足平部21を有する。また、左脚部12は、股関節18、膝関節19、及び足首関節29を有する。股関節18は胴部11にヨー軸及びロール軸の回りを回転可能に連結される関節本体18aを備える。股関節18の関節本体18aには、大腿部12aがピッチ軸18bの回りを回転可能に連結される。大腿部12aの下端には、膝関節19の皿部材22がピッチ軸22aの回りを回転転可能に連結される。皿部材22には、下腿部12bがピッチ軸22bの回りを回転可能に連結される。下腿部12bの下端には、足首関節29の関節本体29aがピッチ軸29bの回りを回転可能に連結される。足首関節29の関節本体29aには、足平部21がロール軸23の回りを回転可能に連結される。なお、右脚部12も左脚部12と同一の構成なので、同一の符号を附してその説明を省略する。
図4(a)に示すように、大腿部12aは、上端が股関節18の関節本体18aにピッチ軸18bの回りを回転可能に連結され、下端が膝関節19の皿部材22にピッチ軸22aの回りを回転可能に連結される一対の平行なリンク(すなわち、本体フレーム24a及び補助リンク24b)を備える。本体フレーム24a及び補助リンク24bの長さは等しく、股関節18の関節本体18a、本体フレーム24a、補助リンク24b、及び膝関節19の皿部材22によって平行四辺形の平行クランク機構が構成される。図4(b)及び図4(c)に示すように、股関節18の関節本体18aに対して大腿部12aの本体フレーム24a及び補助リンク24bを揺動させれば、膝関節19の皿部材22は股関節18の関節本体18aに対して平行に移動する。
本体フレーム24aの上下端には、大腿部12aを揺動させる駆動源としての二つのサーボモータ26a,26bが配置される。上側のサーボモータ26aは股関節18の関節本体18aに対して本体フレーム24aを回転させ、下側のサーボモータ26bは膝関節19の皿部材22に対して本体フレーム24aを回転させる。さらに、本体フレーム24aの長さ方向の途中には、駆動源としての上下二つのサーボモータ26c,26dが配置される。サーボモータ26c,26dの出力軸には、連結片としてサーボホーン27c,27dが結合される。サーボホーン27c,27dの先端は、補助リンク24bに回転可能に連結される。サーボホーン27c,27dの長さは、股関節18の関節本体18aのリンク長さ及び膝関節19の皿部材22のリンク長さに等しく設定される。これらのサーボホーン27c,27dによって、平行クランク機構の平行四辺形がさらに小さい三つの平行四辺形に区画される。股関節18に対して大腿部12aをピッチ軸18bの回りに揺動させる場合には、四つのサーボモータ26a〜26dを同期して駆動させる。すなわち、四つのサーボモータ26a〜26dを制御する四つのドライバのうちの一つがマスタードライバとして機能し、残りの三つがマスタードライバから信号を受信するスレーブドライバとして機能する。このように、大腿部12aを四個のサーボモータ26a〜26dを使用して駆動することで、各サーボモータ26a〜26dを小型で低出力のものとすることができる。
図4(a)に示すように、下腿部12bは、上端が膝関節19の皿部材22にピッチ軸22bの回りを回転可能に連結され、下端が足首関節29の関節本体29aにピッチ軸29bの回りを回転可能に連結される一対の平行なリンク(すなわち、本体フレーム28a及び補助リンク28b)を備える。本体フレーム28a及び補助リンク28bの長さは等しく、膝関節19の皿部材22、本体フレーム28a、補助リンク28b、及び足首関節29の関節本体29aによって平行四辺形の平行クランク機構が構成される。図4(b)及び図4(c)に示すように、膝関節19の皿部材22に対して下腿部12bの本体フレーム28a及び補助リンク28bを揺動させれば、足首関節29の関節本体29aは膝関節19の皿部材22に対して平行に移動する。
下腿部12bは、平行クランク機構から構成されるという点で大腿部12aと同一の構成である。上述のように、股関節18の関節本体18aに対して膝関節19の皿部材22は平行に移動する。そして、膝関節19の皿部材22に対して足首関節29の関節本体29aは平行に移動する。このため、大腿部12a及び下腿部12bをどのように揺動させても、股関節18の関節本体18aに対して足首関節29の関節本体29aが平行に移動し、股関節18の関節本体18aに対して足首関節29の関節本体29aの姿勢が変化することはない。
下腿部12bの本体フレーム28aの上下端には、下腿部12bを揺動させる駆動源としての二つのサーボモータ31a,31bが配置される。上側のサーボモータ31aは膝関節19の皿部材22に対して本体フレーム28aを回転させ、下側のサーボモータ31bは足首関節29の関節本体29aに対して本体フレーム28aを回転させる。さらに、本体フレーム28aの長さ方向の途中には、駆動源としての上下二つのサーボモータ31c,31dが配置される。サーボモータ31c,31dの出力軸には連結片としてサーボホーン32c,32dが結合され、サーボホーン32c,32dの先端は補助リンク28bに回転可能に連結される。サーボホーン32c,32dの長さは股関節18の関節本体18aのリンク長さ及び膝関節19の皿部材22のリンク長さに等しく設定される。これらのサーボホーン32c,32dによって、平行クランク機構の平行四辺形の内部がさらに小さい三つの平行四辺形に区画される。膝関節19の皿部材22に対して下腿部12bをピッチ軸22bの回りに揺動させる場合には、四つのサーボモータ31a〜31dを同期して駆動させる。すなわち、四つのサーボモータ31a〜31dを制御する四つのドライバのうちの一つがマスタードライバとして機能し、残りの三つがマスタードライバから信号を受信するスレーブドライバとして機能する。このように、下腿部12bを四個のサーボモータ31a〜31dを使用して駆動することで、各サーボモータ31a〜31dを小型で低出力のものとすることができる。
図5(a)に示すように、膝関節19の皿部材22と大腿部12aとの間には、大腿部側弾性部材としての大腿部側コイルばね34が配置される。大腿部側コイルばね34の上端は大腿部12aの本体フレーム24aにピンを介して回転可能に連結され、大腿部側コイルばね34の下端は皿部材22にピンを介して回転可能に連結される(図6参照)。図5(a)に示すように脚部12を伸長させた状態にあっても、図5(b)及び(c)に示すように脚部12を屈曲させた状態にあっても、大腿部側コイルばね34は、自然長よりも伸びた状態にあり、引張りの弾性力を発生させる。膝関節19の皿部材22と大腿部12aは、ピッチ軸22aの回りに回転可能に連結されている。したがって、大腿部側コイルばね34が発生させる弾性力は、ピッチ軸回りのトルクを大腿部12aに加える。すなわち、大腿部側コイルばね34は、図5(b)及び図5(c)に示す屈曲した脚部12が図(a)に示す伸長した状態になるように弾性力を発生させる。図5(a)→(b)→(c)に示すように、大腿部12a及び下腿部12bの屈曲が深くなると、大腿部側コイルばね34の長さも長くなるので、長さに比例して大きな弾性力が発生するようになる。大腿部側コイルばね34は脚部12を伸長させるように弾性力を発生させるので、胴部11に作用する重力をキャンセルする効果を持つ。大腿部側コイルばね34は、サーボモータ26a〜26dが屈曲した脚部12を伸長させるときの駆動力を補助する。
膝関節19の皿部材22と下腿部12bとの間には、下腿部側弾性部材としての下腿部側コイルばね36が配置される。下腿部側コイルばね36の上端は膝関節19の皿部材22にピンを介して回転可能に連結され、下腿部側コイルばね36の下端は下腿部12bの本体フレーム28aにピンを介してに回転可能に連結される(図6参照)。図5(a)に示すように脚部12を伸長させた状態にあっても、図5(b)及び(c)に示すように脚部12を屈曲させた状態にあっても、下腿部側コイルばね36は、自然長よりも伸びた状態にあり、引張りの弾性力を発生させる。膝関節19の皿部材22と下腿部12bとは、ピッチ軸22bの回りに回転可能に連結されている。したがって、大腿部側コイルばね34が発生させる弾性力は、ピッチ軸22b回りのトルクを下腿部12bに加える。すなわち、大腿部側コイルばね34は、図5(b)及び5図(c)に示す屈曲した脚部12が図5(a)に示す伸長した状態になるように弾性力を発生させる。図5(a)→(b)→(c)に示すように、大腿部12a及び下腿部12bの屈曲が深くなると、下腿部側コイルばね36の長さも長くなるので、長さに比例して大きな弾性力が発生するようになる。下腿部側コイルばね36は脚部12を伸長させるように弾性力を発生させるので、胴部11に作用する重力をキャンセルする効果を持つ。下腿部側コイルばね36は、サーボモータ31a〜31cが屈曲した脚部12を伸長させるときの駆動力を補助する。
なお、本実施形態では、脚部12を伸長させるための弾性部材を大腿部側コイルばね34と下腿部側コイルばね36の二つとから構成しているが、大腿部12aと下腿部12bとの間に架け渡された一つの弾性部材とすることも可能である。
股関節18の関節本体18aと大腿部12aとの間には、股関節側コイルばね37が配置される。股関節側コイルばね37の上端は股関節18の関節本体18aに回転可能に連結され、股関節側コイルばね37の下端は大腿部12aの本体フレーム24aに回転可能に連結される。この股関節側コイルばね37も、脚部12を伸長させた状態にあっても、脚部12を屈曲させた状態にあっても、自然長よりも伸びた状態にあり、引張りの弾性力を発生させる。股関節側コイルばね37も、屈曲した脚部12が伸長した状態になるように弾性力を発し、サーボモータ26a〜26dが屈曲した脚部12を伸長させるときの駆動力を補助する。
図6は膝関節19の斜視図を示す。図6(a)は大腿部12a及び下腿部12bを伸長させた状態を示し、図6(b)は、ストッパ38,39を分かり易く示すために、膝関節19に対して大腿部12aを屈曲させ、膝関節19に対して下腿部12bは屈曲させていない状態を示す。図6(b)に示すように、大腿部12aの本体フレーム24aの下端には板状のストッパ38が結合される。下腿部12bの本体フレームの上端にも板状のストッパ39が結合される。図6(a)に示すように、屈曲した脚部12が伸長したとき、大腿部12a及び下腿部12bのストッパ38,39が皿部材22に当接する。これにより、皿部材22に対する大腿部12a及び下腿部12bのピッチ軸22a,22b回りの回転が制限され、大腿部12a及び下腿部12bが伸長した状態になる。
なお、本実施形態ではストッパが大腿部12a及び下腿部12bに設けられているが、ストッパ38,39は皿部材22に設けられていてもよい。また、大腿部12aと下腿部12bが直接的に当接することでストッパ機能を生じさせてもよい。
図3に示すように、脚式ロボット10を直立させたとき、大腿部12a及び下腿部12bの膝関節19側の回転軸(すなわち皿部材22に対する大腿部12a及び下腿部12bのピッチ軸22a,22b)の中心は、大腿部12aの股関節18側の回転軸(すなわち股関節18の関節本体18aのピッチ軸18b)の中心と下腿部12bの足首関節29側の回転軸の中心(すなわち足首関節29の関節本体29aのピッチ軸29b)とを結んだ線L上、又は、この線Lよりも僅かに脚式ロボット10の進行方向とは反対側に位置する。すなわち、大腿部12a及び下腿部12bは一直線状になるか、又は、歩行時のくの字の屈曲状態とは逆のくの字の屈曲状態になる。逆のくの字の屈曲状態とは、大腿部12a及び下腿部12bによって形成される凸の屈曲状態が進行方向とは反対方向を向くことを意味する。これにより、脚式ロボット10が直立したとき、脚式ロボット10に作用する重力によって、大腿部12a及び下腿部12bのストッパが膝関節19の皿部材22に当接した状態を保つようになるので、脚式ロボット10を直立させ易くなる。さらに、大腿部側コイルばね34及び下腿部側コイルばね36は、大腿部12a及び下腿部12bのストッパ38,39が皿部材22に当接した状態を保つように弾性力を発生させる。ストッパ機能と大腿部側コイルばね34及び下腿部側コイルばね36の弾性力の併用により、脚式ロボット10が直立した状態を安定させることができる。
図7を参照して、歩行時の脚式ロボット10の動作を説明する。(a)から(d)は、歩行時の所定のタイミングにおける脚式ロボット10の脚部12の姿勢を時系列的に示す。タイミング(a)は、遊脚の状態にある左脚部12を前方に振り出そうとする瞬間である。タイミング(b)は、前方に振り出した左脚部12が胴部11の前方で着床する瞬間である。タイミング(c)は左脚部12を立脚させ、右脚部12を離床させた瞬間である。タイミング(d)は前方に振り出した右脚部12が胴部11の前方で着床する瞬間である。タイミング(a)からダイミング(d)までが一歩行周期を示す。
タイミング(a)で離床した左脚部12は、くの字状に屈曲しながら前方へ振り出される。左脚部12のこのような動作はサーボモータ26a〜26d,31a〜31dを制御することにより可能である。前方へ振り出された左脚部12は、タイミング(b)で着床する。タイミング(b)の左脚部12が胴部11に対して最も前方に揺動した位置にある。タイミング(b)の着床に備えて左脚部12の膝関節19は伸ばされる。このように屈曲した遊脚状態の左脚部12を伸長させながら床面に着床するので、サーボモータ26a〜26d,31a〜31dには大きな荷重が作用する。それでも、大腿部側コイルばね34及び下腿部側コイルばね36が、脚部12を伸長させるように弾性力を発生させるので、サーボモータ26a〜26d,31a〜31dに作用する荷重を低減できる。タイミング(b)で左脚部12が着床したときは、右脚部12は胴部11に対して最も後方に揺動している。次のタイミング(c)では、右脚部12を離床させ、右脚部12を屈曲させながら前方に振り出している。タイミング(c)はタイミンング(a)の左右の脚を入れ替えた状態である。タイミング(c)の後は、右脚部12を伸ばしながら、右脚部12を最も前方に振り出し、タイミング(d)で右脚部12を着床させる。タイミング(d)の後は、再びタイミング(a)からの動作を繰り返す。
以上、本実施形態の脚式ロボット10の構造、動作を説明した。本実施形態の脚式ロボット10の効果は以下のとおりである。
本実施形態の脚式ロボット10によれば、脚式ロボット10が直立するとき、大腿部12a及び前記下腿部12bが膝関節19の皿部材22に当接するので、大腿部12a及び下腿部12bが伸長した状態になるようにストッパ機能が働く。そして、大腿部側コイルばね34及び下腿部側コイルばね36が、ストッパ機能が働いた状態を保つように弾性力を発生させるので、脚式ロボット10の直立状態を安定させることができる。したがって、直立した状態を保つための駆動源たるサーボモータ26a〜26d,31a〜31dの駆動力を低減することができ、場合によっては、サーボモータ26a〜26d,31a〜31dが駆動力を発生させなくても(例えば、サーボモータ26a〜26d,31a〜31dの電源を切った状態においても)、直立した状態を保つことができる。また、大腿部側コイルばね34及び下腿部側コイルばね36が、歩行時にサーボモータ26a〜26d,31a〜31dの駆動力を補助する弾性部材を兼用するので、膝関節19が大型化するのを防止できる。
脚式ロボット10を駆動するサーボモータ26a〜26d,31a〜31dは、歩行時に脚部12を屈曲させる場合に比べて伸長させる場合の方が大きな駆動力を必要とする。図5に示すように、屈伸運動するときは、サーボモータ26a〜26d,31a〜31dの駆動力が胴部11に作用する重力に打ち勝つ必要があるし、図7(b)に示すように、屈曲した遊脚を伸長させながら床面に着床するときにはサーボモータ26a〜26d,31a〜31dに大きな荷重が作用する。大腿部側コイルばね34及び下腿部側コイルばね36が脚部12を伸長させるときに弾性力を発生させるようにすることで、必要とされるサーボモータ26a〜26d,31a〜31dの駆動力を効果的に低減することができ、小型で低出力のサーボモータ26a〜26d,31a〜31dでも動作させることが可能になる。
サーボモータ26a〜26d,31a〜31dの駆動力を補助する弾性部材を、大腿部側コイルばね34と下腿部側コイルばね36の二つから構成することで、脚部12の屈曲状態によらず常に脚部12を伸長させるように弾性力を発生させるのが容易になる。大腿部12aと下腿部12bとの間に一つの弾性部材を配置したと仮定すると、脚部12を屈曲させたときと脚部12を伸長させたときの両方で脚部12を伸長させるように弾性力を発生させるのが困難になる。
脚式ロボット10を直立させたとき、脚式ロボット10の側方から見て、大腿部12a及び下腿部12bを一直線にするか、又は、脚部12が歩行時のくの字の屈曲状態と逆のくの字の屈曲状態になるようにすることで、胴部11の重力の作用により脚式ロボット10が直立した状態を安定させることができる。
股関節18と膝関節19の間を大腿部12aの平行な一対のリンクで連結し、膝関節19と足首関節29を下腿部12bの平行な一対のリンクで連結することで、股関節18に対して足首関節29が常に平行になり、脚式ロボット10を自立させるのが容易になる。
なお、本発明は上記実施形態に限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で様々な実施形態に変更可能である。
例えば、本発明の他の態様において、脚式ロボットが直立するとき、大腿部及び前記下腿部が膝関節の皿部材に当接してストッパ機能が働けば、サーボモータの駆動力を補助したり、直立した状態を保ったりする弾性部材を設けない構成も採用し得る。サーボモータモータが、ストッパ機能が働いた状態を保つようにトルクを発生させれば、脚式ロボットが直立した状態を維持することができる。
大腿部及び下腿部を平行な一対のリンクから構成しなくてもよい。股関節及び足首関節に、ストッパ機能、及びストッパ機能を維持する弾性力を発生させる弾性部材を設けることで、脚式ロボットを直立させることが可能になる。
脚式ロボットの脚の数は四本でも六本でもよい。弾性部材としてはコイルばねを用いているが、渦巻きばね等を用いてもよい。
また、前述した実施例においては、脚部を揺動させる駆動源としてモータを使用しているが、駆動源としてはこの他に、空圧又は油圧シリンダー、リニアモータ、人工筋アクチュエータ等種々のものを利用し得る。
10…脚式ロボット,11…胴部,12…脚部,12a…大腿部,12b…下腿部,18…股関節,18a…股関節の関節本体,22…皿部材,24a…本体フレーム(大腿部の平行な一対のリンクの一つ),24b…補助リンク(大腿部の平行な一対のリンクの一つ),26a〜26d,31a〜31d…サーボモータ(モータ,駆動源),28a…本体フレーム(下腿部の平行な一対のリンクの一つ),28b…補助リンク(下腿部の平行な一対のリンクの一つ),29…足首関節,29a…足首関節の関節本体,34,36…コイルばね(弾性部材),38,39…ストッパ,L…線

Claims (5)

  1. 胴部と、前記胴部に揺動可能に連結される脚部と、を有し、前記脚部は、大腿部、前記大腿部に膝関節を介して連結される下腿部を有し、駆動源によって前記脚部を揺動させて歩行する脚式ロボットであって、
    屈曲した前記脚部が伸長するように弾性力を発生させて、前記駆動源の、前記脚部を伸長させるときの駆動力を補助する弾性部材を備え、
    前記脚式ロボットが直立するとき、前記大腿部及び前記下腿部が、前記大腿部及び前記下腿部が回転可能に連結される前記膝関節の皿部材に当接し、又は、前記大腿部及び前記下腿部が互いに当接すると共に、
    前記弾性部材が、前記大腿部及び前記下腿部が前記膝関節の皿部材に当接した状態、又は、前記大腿部及び前記下腿部が互いに当接した状態を保つように弾性力を発生させる脚式ロボット。
  2. 前記膝関節は、前記皿部材を有し、
    前記弾性部材は、
    一端が前記大腿部に連結され、他端が前記皿部材に連結される大腿部側弾性部材と、
    一端が前記下腿部に連結され、他端が前記皿部材に連結される下腿部側弾性部材と、
    を有することを特徴とする請求項1に記載の脚式ロボット。
  3. 前記大腿部は、前記胴部に股関節を介して連結され、
    前記脚部はさらに、前記下腿部に足首関節を介して連結される足平部を有し、
    前記脚式ロボットを直立させたとき、前記脚式ロボットの側方から見て、前記大腿部及び前記下腿部の膝関節側の回転軸の中心は、前記大腿部の前記股関節側の回転軸の中心と前記下腿部の前記足首関節側の回転軸の中心とを結んだ線上、又は、前記脚部が歩行時のくの字の屈曲状態と逆のくの字の屈曲状態になるように、前記線よりも前記脚式ロボットの進行方向とは反対側に位置することを特徴とする請求項1又は2に記載の脚式ロボット。
  4. 前記大腿部は、前記胴部に股関節を介して連結され、
    前記脚部はさらに、前記下腿部に足首関節を介して連結される足平部を有し、
    前記膝関節は、前記皿部材を有し、
    前記脚式ロボットの側方から見て、前記股関節に対して前記皿部材が平行に動くように、前記大腿部は、前記股関節と前記膝関節の前記皿部材との間に架け渡される平行な一対のリンクを有し、
    前記脚式ロボットの側方から見て、前記皿部材に対して前記足首関節が平行に動くように、前記下腿部は、前記皿部材と前記足首関節との間に架け渡される平行な一対のリンクを有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の脚式ロボット。
  5. 胴部と、前記胴部に揺動可能に連結される脚部と、を有し、前記脚部は、前記胴部に股関節を介して連結される大腿部、前記大腿部に膝関節を介して連結される下腿部を有し、駆動源によって脚部を揺動させて歩行する脚式ロボットであって、
    前記脚式ロボットが直立するとき、前記大腿部及び前記下腿部が、前記大腿部及び前記下腿部が回転可能に連結される前記膝関節の皿部材に当接し、又は、前記大腿部及び前記下腿部が互いに当接すると共に、
    前記駆動源が、前記膝関節の皿部材に前記大腿部及び前記下腿部が当接する状態、又は、前記大腿部及び前記下腿部が互いに当接する状態を保つようにトルクを発生させる脚式ロボット。
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