JP2005066810A - ロボットのための関節装置 - Google Patents

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洋 大澤
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Abstract

【課題】 エネルギの浪費や接点の摩耗の問題なく、歩行・走行・跳躍などの脚式作業をともに効率よく実現する。
【解決手段】 ロボットの脚部関節装置は、正逆自在に回転トルクを出力するアクチュエータ12と、アクチュエータ12の出力端に回転軸からオフセットした位置に突設された駆動軸11と、一端が回動自在に支持され長円状の溝を持つリンク部材13で構成される。駆動軸11は長円状の溝に嵌め合わされるように組み立てられる。アクチュエータ12の回転に従って駆動軸11は溝に沿って滑動し、リンク部材13は出力端が持つオフセット半径に拘束されながら一端を中心に揺動する。リンク部材13の回転角度が関節の出力となる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、生体のメカニズムや動作をモデル化して構成されるロボットに係り、特に、特定の脚式移動型動物の身体メカニズムをモデル化して構成される脚式移動ロボットに関する。
さらに詳しくは、本発明は、現実の動物の姿や動きを忠実に真似た跳躍が可能な、高度でリアリティのあるロボットの脚部などの関節装置に係り、特に、エネルギの浪費や接点の摩耗の問題なく、歩行・走行・跳躍などの脚式作業をともに実現するロボットの脚部などの関節装置に関する。
電気的若しくは磁気的な作用を用いて人間の動作に似せた運動を行う機械装置のことを「ロボット」という。ロボットの語源は、スラブ語の“ROBOTA(奴隷機械)”に由来すると言われている。
わが国では、ロボットが普及し始めたのは1960年代末からであるが、その多くは、工場における生産作業の自動化・無人化などを目的としたマニピュレータや搬送ロボットなどの産業用ロボット(industrial robot)であった。最近では、脚式移動ロボットに関する研究開発が進展し、実用化への期待も高まってきている。ヒトの動作をモデルにした脚式移動ロボットのことを、特に、「人間形」、若しくは「人間型」のロボット(humanoid robot)と呼ぶ。
脚式移動は、クローラ式や、4足又は6足式などに比し不安定で姿勢制御や歩行制御が難しくなるが、不整地や障害物など作業経路上に凹凸のある歩行面や、階段や梯子の昇降など不連続な歩行面に対応することができるなど、柔軟な移動作業を実現できるという点で優れている。
すなわち、脚式移動ロボットは、他の形式のロボットに比し移動自由度が高く、優れた運動性能を備えている。したがって、脚式移動ロボットを単に歩行による前進動作だけでなく、床面上を走ったり、さらには跳び上がったりするなどの自律的な空中動作を行なわせることも、関節自由度の観点からは充分可能である。跳び上がり動作が実現すれば、ロボットの動作表現力がさらに増すであろう。また、脚式移動ロボットをサッカーその他のスポーツに適用する場合には、跳び上がり動作は必須の運動パターンの1つでさえある。
しかしながら、直立姿勢においていきなり跳び上がるためには、脚式ロボットは特に膝関節など脚部において強力なアクチュエータを搭載して、重力に充分打ち勝つことができる鉛直方向の初速を与える必要がある。
従来の脚式移動ロボットの多くは、歩行はできても走ったり跳躍したりということはできない。また逆に、跳躍できるロボットにおいては跳躍しかできず、歩行・走行・跳躍をともに実現することはできない。
また、脚式作業はそれぞれの可動脚が遊脚期間と立脚期間を交互に繰り返すことになるが、この際、アクチュエータの正転と逆転を繰り返す必要があることから、エネルギの浪費や接点の磨耗の問題がある。同様に、直立姿勢時にも常に一定位置に制御をかけるため、常に多大なエネルギ消費を余儀なくされるため、バッテリ持続時間の低減や接点寿命の低下の問題がある。
例えば、図15や図16に示すように、2足歩行又は4足歩行のロボットの脚部にバネなどのサスペンションを用い、その共振作用を利用して跳躍歩行を実現することも考えられる(例えば、特許文献1を参照のこと)。各図に示す跳躍機構は、要するに、脚の角度を駆動するための回転関節と、脚の長さ方向に駆動するための能動及び受動の直動関節とで構成されている。
このようなサスペンションを用いた駆動機構によれば、機体の運動方程式を解く際に用いる物理モデルを比較的簡単に構成することができるので、機体の歩行動作制御のための演算コストが少なくて済むという利点がある。
しかしながら、サスペンションを用いた駆動機構は、脚式移動を行う現実の動物が備えるものではない。言い換えれば、このような駆動機構を用いたロボットは、動物の姿や仕草を忠実に真似るには限界があり、見る人にも不自然な印象を与えてしまう。このような不自然さは、ユーザがロボットに愛着を覚えるための阻害要因にもなりかねない。
特開2003−80476号公報
本発明の目的は、脚式移動型動物の身体メカニズムをモデル化して構成される、優れた脚式移動ロボットを提供することにある。
本発明のさらなる目的は、現実の動物の姿や動きを忠実に真似た跳躍が可能な、高度でリアリティのある、ロボットの脚部などのための優れた関節装置を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、エネルギの浪費や接点の摩耗の問題なく、歩行・走行・跳躍などの脚式作業をともに効率よく実現することができる、ロボットの脚部などのための優れた関節装置を提供することにある。
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、正逆自在に回転トルクを出力するアクチュエータと、前記アクチュエータの出力端に回転軸からオフセットした位置に突設された駆動軸と、一端が回動自在に支持されるとともに、内側に前記駆動軸を収容するための長円状の溝を持つリンク部材で構成される、揺動スライダ・リンク方式の関節装置であり、ロボットの脚部などに適用することができる。
ここで、前記駆動軸は前記溝に嵌め合わされるように組み立てられる。そして、前記アクチュエータの回転角度に従って前記駆動軸は前記溝に沿って滑動し、前記リンク部材は前記回転軸から前記出力端までの半径に拘束されながら前記一端を中心に揺動する。すなわち、前記リンク部材の回転角度が関節の出力軸としての回転角度となる。
本発明に係る揺動スライダ・リンク機構は、リンク部材の回転角度θoutの極大値に相当する上死点と、リンク部材の回転角度θoutの極小値に相当する下死点を有している。これら上死点並びに下死点においては、リンク部材とアクチュエータの接点である出力軸に印加される力の方向にアクチュエータの回転軸が到来する。このため、これら上死点並びに下死点において関節位置を保持するために、アクチュエータの駆動力はほとんど必要なくなる。機械的な構造力によって力(自重及び外力による関節への負荷)を受けてしまうことから、アクチュエータはこの位置(角度)を維持するための制御をすればよく、エネルギ消費を非常に低く抑えることができる。
本発明に係る揺動スライダ・リンク機構において、アクチュエータが正転又は逆転の一方向に回転を続けると、リンク部材は、上死点及び下死点をそれぞれ上端及び下端として、所定の可動範囲を上下し続けることになる。
ここで、アクチュエータの正転又は逆転を繰り返すことによって同じ動きをすることも可能である。他方、遊脚と立脚を交互に繰り返すような脚式動作では、アクチュエータの正転と逆転を毎回切り替えるよりも一方向に回転を続ける方が、アクチュエータの慣性モーメントを考慮すると、アクチュエータを駆動するための消費エネルギは低くなる。また、アクチュエータに電気ギアード・モータを使用している場合には、その正転と逆転を繰り返すと加減速時に大きな負荷電流が流れるため、そのモータ整流子における電気摩耗を加速する原因となる。これに対し、一方向に回転し続けることで加減速の回数が減り整流子寿命の向上につながる。
本発明に係る揺動スライダ・リンク・システムは、前記アクチュエータが正転及び逆転を交互に切り替えることによって同じ動きをする第1の動作モードと、前記アクチュエータが一方向に回転を続けて同じ動きをする第2の動作モードを備えている。
前者の正転逆転させる方法によれば、細かく応答性のよい制御を行なうことができるが、消費エネルギが大きい。また、後者の一方向にのみ回転させる方法によれば、細かい応答制御に制限が生じるが、消費エネルギを少なくすることができる。
可動脚が初動期間の後に定常状態に入るような運動をする場合、この2つのアクチュエータ駆動方法を組み合わせることで、効率的な動作制御が実現される。すなわち、初動期間では、アクチュエータの正転と逆転を繰り返すことで、微妙な制御を行ない、最短時間で定常状態に移行させることができる。一方、定常状態に移行した時点で、アクチュエータを一方向のみの回転に切り替えることによって、より少ないエネルギで大きな運動を行なうことができる。
また、入力軸と、前記入力軸及び前記出力軸に各端部が固定されたバネを、前記出力軸に取り付けるようにしてもよい。この場合、前記バネは、前記出力軸側から力が印加されると所定のバネ定数に従って撓むことになる。前記入力軸と前記出力軸の間に前記バネの撓み角度を検出するための角度検出センサを配設してもよい。
このバネ機構を用いると、バネの撓みに合わせて入力軸への駆動力を制御することで、バネの回生力を利用し少ない力で跳躍することができる。
例えば、脚式動作の初動期間では、アクチュエータの正転と逆転を交互に繰り返して、バネの回生力を蓄積していく。そして、バネの共振周波数に達した時点で、アクチュエータを一方向のみの回転に切り替えるとともに、バネに同期させることで、バネの回生力を最大限に利用しながら脚を上下することができる。この結果、アクチュエータに必要なエネルギは非常に少なく、ダイナミックな跳躍運動を行なうことができる。
本発明によれば、エネルギの浪費や接点の摩耗の問題なく、歩行・走行・跳躍などの脚式作業をともに効率よく実現することができる、ロボットの脚部などのための優れた関節装置を提供することができる。
本発明に係るロボットの脚構造によれば、歩行のみならず走行や跳躍を行なうことができるロボットを実現することができる。本発明によれば、脚部などの高出力トルクを必要とする関節に揺動スライダ・リンク機構を用いることで、制御における消費電力の低減を図ることができる。また、バネの回生力を用いることで、より低エネルギでの跳躍が可能となる。
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
図1には、本発明の一実施形態に係る脚式移動ロボットの構造を、下肢を中心に模式的に示している。図示のロボットは、2本の可動脚3及び4が胴体部2の左右の側面に取り付けられている。
脚3及び脚4はそれぞれ複数の関節で構成される。それぞれの関節には、関節を駆動するアクチュエータ6、及び関節角度を検出するセンサ7が内蔵されている。メイン・コントロール部5は、センサ7からの検出信号に基づいて脚3及び脚4の各関節におけるアクチュエータ6の駆動を制御して、これら脚3及び脚4を折り畳んだり伸展させることによって、歩行用ロボット1は自力で、立ったり、座ったりすることができる。そして、これら脚3及び脚4を運動させることにより、歩行用ロボット1は自力で歩行・走行及び跳躍を行なうことができる。
胴体部2の内部には、マイクロコンピュータなどで構成されるメイン・コントロール部5が内蔵されている。
このように構成された脚式移動ロボットは、メイン・コントロール部5による全身協調的な動作制御により、2足歩行を実現することができる。かかる2足歩行は、一般に、以下に示す各動作期間に分割される歩行周期を繰り返すことによって行なわれる。すなわち、
(1)右脚を持ち上げた、左脚による単脚支持期
(2)右足が接地した両脚支持期
(3)左脚を持ち上げた、右脚による単脚支持期
(4)左足が接地した両脚支持期
脚式移動ロボットにおける歩行制御は、あらかじめ下肢の目標軌道を計画し、上記の各期間において計画軌道の修正を行なうことによって実現される。すなわち、両脚支持期では、下肢軌道の修正を停止して、計画軌道に対する総修正量を用いて腰の高さを一定値で修正する。また、単脚支持期では、修正を受けた脚の足首と腰との相対位置関係を計画軌道に復帰させるように修正軌道を生成する。
歩行動作の軌道修正を始めとして、機体の姿勢安定制御には、ZMP(Zero Moment Point)を歩行の安定度判別の規範として用い、ZMPに対する偏差を小さくするための位置、速度、及び加速度が連続となるように、5次多項式を用いた補間計算により行なう。ZMPによる安定度判別規範は、歩行系から路面には重力と慣性力、並びにこれらのモーメントが路面から歩行系への反作用としての床反力並びに床反力モーメントとバランスするという「ダランベールの原理」に基づく。力学的推論の帰結として、足底接地点と路面の形成する支持多角形(すなわちZMP安定領域)の辺上あるいはその内側にピッチ軸及びロール軸モーメントがゼロとなる点、すなわちZMPが存在する。但し、ZMPを用いた方法は制御方法の一例であり、本発明の要旨はこの方法に限定するものではない。また、歩行周期のみならず、両足を揃えて跳躍したり、片足のみで跳躍(ケンケン)したりすることも可能である。
図1に示したような脚式移動ロボットは、例えば図2に示すように頭8や腕9、尻尾10を持つことで恐竜や爬虫類動物に似た動きやおどけたしぐさなどのパフォーマンスを表現することができる。
図3には、本実施形態に係るロボットの脚関節機構の構造を示している。図示の脚関節機構は、回転トルクを出力するアクチュエータ12と、アクチュエータ12の出力端に回転軸からオフセットした位置に突設された駆動軸(突起)11と、内側に駆動軸11を収容するための長円状の溝が穿設されているリンク部材13で構成される。駆動軸11がリンク部材13の溝に嵌るように、アクチュエータ12とリンク部材13が組み合わされる。リンク部材13の回転軸にはさらにその先の関節(脚)が接続される。
アクチュエータ12は、内部のモータ電源などの駆動機構により、自己の回転軸を中心として正/逆自在に回転することができる。アクチュエータ12が回転すると、リンク部材13に形設されている溝はアクチュエータ12の出力端側の駆動軸11と嵌め合わさっていることから、アクチュエータ12の回転角度に従って駆動軸11は溝内を滑動し、リンク部材13自身は、駆動軸11がアクチュエータ12の回転軸に対して持つ半径に拘束されながら、紙面右端にある自己の回転軸中心周りに揺動する(図4を参照のこと)。以下では、このような機構のことを「揺動スライダ・リンク」と呼ぶ。
図示の脚関節機構は、アクチュエータ12の回転によって駆動軸11が溝内をスライドするとともに、リンク部材13が揺動する。そして、関節の出力としてのリンク部材13の回転角度は、アクチュエータ12の回転角度と腕の長さ(すなわちリンク部材13の回転軸から駆動軸11までの距離)によって決定される。このときのアクチュエータ12の回転角度をθin、リンク部材13の回転角度をθoutとすると、θinとθoutの関係は下式の通りである。図5には、θinとθoutの関係をグラフで示している。
Figure 2005066810
この揺動スライダ・リンク機構は、図4並びに図5に示すように、リンク部材13の回転角度θoutの極大値に相当する上死点と、リンク部材13の回転角度θoutの極小値に相当する下死点を有している。これら上死点並びに下死点においては、リンク部材13とアクチュエータ12の接点である駆動軸11に印加される力の方向にアクチュエータ12の回転軸が到来する。このため、これら上死点並びに下死点において関節位置を保持するために、アクチュエータの駆動力はほとんど必要なくなる。機械的な構造力によって力を受けてしまうため、アクチュエータ12はこの位置(角度)を維持するための制御をすればよく、エネルギ消費を非常に低く抑えることができる。
ここで、本実施形態に係る揺動スライダ・リンク機構が上死点において位置を保持するためのエネルギ消費が少なくなる理由について補足説明しておく。
図6に示すように、ある角度で出力軸を静止させる場合、アクチュエータは駆動軸を任意の位置で静止させるためにエネルギを消費し、また、そのときの負荷(自重及び外力)を支えるためにエネルギを消費する。同図に示す例では、負荷が駆動軸に及ぼす力は出力軸を中心とする円の接線方向と考えられるので、アクチュエータが負荷を支えるために必要なトルクは下式のように表される。
T=m×A
これに対し、図7に示すように、上死点で静止させている場合、負荷mの方向と駆動軸が一致するので、図6におけるA寸法は0となることから、アクチュエータが負荷を支えるために必要なトルクは下式のように表される。つまり、駆動軸(アクチュエータ)は負荷を支えるためのエネルギを必要としない。
T=m×A=m×0=0
また、一般的なスライダ・リンク機構の場合、負荷(自重及び外力)を支えるためにアクチュエータは常に下式のトルクを発生させるためのエネルギを消費しなくてはならない(図17を参照のこと)。
T=m×L
本実施形態に係る揺動スライダ・リンク機構において、アクチュエータ12が正転又は逆転の一方向に回転を続けると、リンク部材13は、上死点及び下死点をそれぞれ上端及び下端として、所定の可動範囲を上下し続けることになる。
ここで、アクチュエータ12の正転又は逆転を繰り返すことによって同じ動きをすることも可能である。他方、遊脚と立脚を交互に繰り返すような脚式動作では、アクチュエータ12の正転と逆転を毎回切り替えるよりも一方向に回転を続ける方が、アクチュエータ12の慣性モーメントを考慮すると、アクチュエータ12を駆動するための消費エネルギは低くなる。また、アクチュエータ12に電気ギアード・モータを使用している場合には、その正転と逆転を繰り返すと加減速時に大きな負荷電流が流れるため、そのモータ整流子における電気摩耗を加速する原因となるが、一方向に回転し続けることで加減速の回数が減り、整流子の寿命の向上につながる。
本実施形態に係る揺動スライダ・リンク・システムにおいて、リンク部材13を揺動させるためには、アクチュエータ12を交互に正転・逆転させる方法と、一方向に回転させる方法の2通りある。前者の正転逆転させる方法によれば、細かく応答性のよい制御を行なうことができるが、消費エネルギが大きい。また、後者の一方向にのみ回転させる方法によれば、細かい応答制御に制限が生じるが、消費エネルギを少なくすることができる。
可動脚が初動期間の後に定常状態に入る様な運動をする場合、この2つのアクチュエータ駆動方法を組み合わせることで、効率的な動作制御が実現される。すなわち、初動期間では、アクチュエータの正転と逆転を繰り返すことで、微妙な制御を行ない、最短時間で定常状態に移行させることができる。一方、定常状態に移行した時点で、アクチュエータを一方向のみの回転に切り替えることによって、より少ないエネルギで大きな運動を行なうことができる。
図8には、アクチュエータ12を交互に正転・逆転させたときの消費エネルギ(モータ電流)とリンク部材13の位置との関係を示している。
同図に示す例では、上死点からリンク部材13を降下させる回転方向にアクチュエータ12の駆動を開始する。そして、リンク部材13が中点に到達すると、アクチュエータ13を一端停止する。そして、アクチュエータ12の回転を反転させて、リンク部材13を上死点まで上昇させる。そして、リンク部材13が上死点まで到達するとアクチュエータ13を一端停止する。
リンク部材13が上死点から降下し始めてから再び上死点まで戻ってくるまでの期間を、アクチュエータ12の正転・逆転時における動作の1サイクルとする。そして、さらに上死点からリンク部材13を降下させる回転方向にアクチュエータ12の駆動を開始し、初動期間が終わり定常状態に移行するまで同様の動作が繰り返し実行される。モータ電流を時間で積分したものが消費エネルギに相当する。この場合、アクチュエータ12の正転と反転を交互に繰り返すことから、消費電力は比較的多くなる。
また、図9には、アクチュエータ12を一方向にのみ回転させたときの消費エネルギとリンク部材13の位置との関係を示している。
同図に示す例では、上死点からリンク部材13を降下させる回転方向にアクチュエータ12の駆動を開始し、アクチュエータ12は一方向にのみ回転することから、リンク部材13は中点、下死点、中点を経て再び上死点に戻る。ロボットが所望の動作が完了するまでは、アクチュエータ12は同じ方向に回転し続ける。リンク部材13が上死点から降下し始めてから再び上死点まで戻ってくるまでの期間を動作の1サイクルとする。モータ電流を時間で積分したものが消費エネルギに相当する。この場合、アクチュエータ12の回転開始時並びに回転停止時以外は微小な電流しか流れないので、消費電力は図8に示した場合に比し少なくて済む。
図10には、本発明に係る脚関節機構の変形例を示している。図示の通り、揺動スライダ・リンクのリンク部材13の回転軸と、さらにその先に接続される関節との間にはバネ機構14が配設されている。リンク部材13の回転軸は、アクチュエータ12の駆動力の出力軸となる。
このバネ機構14は、ねじりコイル・バネ15と、入力軸16と、出力軸17で構成されている。ねじりコイル・バネ15の片端は入力軸16に固定され、もう一方端は出力軸17に固定されている。出力軸側からの力が印加されると、ねじりコイル・バネ15があるバネ定数を持って撓むようにできている。入力軸16と出力軸17の間に角度検出センサを配設することで、ねじりコイルばね15の撓み角度を検出することができる。
図10に示す例では、ねじりコイルばね15を用いた機構例としているが、引っ張りコイルばね、圧縮コイルばね、トーション・スプリングなどを用いることでも同様の機能を実現することができる。また、入力軸16は揺動スライダ・リンク機構を用いて力を伝達する機構例としているが、歯車やベルトを用いた機構を用いることでもこの機能を実現できる。
このバネ機構14を用いると、バネの撓みに合わせて入力軸への駆動力を制御することで、バネの回生力を利用し少ない力で跳躍することができる。
この揺動スライダ・リンク・システムとバネ機構を併せて用いることで、「跳躍」のような初動期間の後に定常状態に入るような運動を最小限のエネルギで実現することができる。
図11並びに図12には、アクチュエータ12の消費エネルギとリンク部材13の位置との関係を示している。このときの初動期間では、アクチュエータの正転と逆転を交互に繰り返して、バネの回生力を蓄積していく。
そして、バネの共振周波数に到達した時点で定常状態となり(図12を参照のこと)、アクチュエータを一方向のみの回転に切り替えるとともに、バネに同期させることで、バネの回生力を最大限に利用しながら脚を上下することができる。この結果、アクチュエータに必要なエネルギは非常に少なく、ダイナミックな跳躍運動を行なうことができる。
通常、多脚の歩行ロボットにおいては、可動脚1本当たり、図13に示すような3自由度があれば足先の点を自在に移動させることができる。また、図14には、前後方向の自由度をさらに1つ加えて1脚辺りの自由度を1つ増やした脚構造である。
このようにして1つ増やしたそれぞれの関節自由度に対して前述の揺動スライダ・リンク機構やバネ機構を組み込み、跳躍力発生に特化した自由度とすることで、他の自由度により姿勢制御のみを行なえばよくなる。
このようにして1つ増やした自由度を跳躍力発生に特化させることで、他の自由度に求められる速度や力を姿勢制御ができる程度の性能に抑えることができる。したがって、すべての脚自由度を用いて跳躍力を発生させる場合に比べて低い性能で良く、小型化、軽量化、低コスト化を計る事が出来る。
また、このようにして1つ増やした自由度を跳躍力発生に特化させることで、この自由度においては大きなパワーを出力すること、バネなどを用いて力を可能な限り回生することに特化すればよくなる。
[追補]
以上、特定の実施例を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。
本発明の要旨は、必ずしも「ロボット」と称される製品には限定されない。すなわち、電気的若しくは磁気的な作用を用いて人間の動作に似せた運動を行なう機械装置あるいはその他一般的な移動体装置であるならば、例えば玩具などのような他の産業分野に属する製品であっても、同様に本発明を適用することができる。
要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
図1は、本発明の一実施形態に係る脚式移動ロボットの構造を模式的に示した図である。 図2は、脚式移動ロボットの実装例の概観を示した図である。 図3は、本発明に係る脚関節機構の構造を示した図である。 図4は、本発明に係る脚関節機構が作動する様子を示した図である。 図5は、アクチュエータ12の回転角度θinとリンク部材13の回転角度の関係を示した図である。 図6は、揺動スライダ・リンク機構が上死点において位置を保持するためのエネルギ消費が少なくなる理由を説明するための図である。 図7は、揺動スライダ・リンク機構が上死点において位置を保持するためのエネルギ消費が少なくなる理由を説明するための図である。 図8は、アクチュエータ12を交互に正転・逆転させたときの消費エネルギ(モータ電流)とリンク部材13の位置との関係を示したチャートである。 図9は、アクチュエータ12を一方向にのみ回転させたときの消費エネルギとリンク部材13の位置との関係を示したチャートである。 図10は、本発明に係る脚関節機構の変形例を示した図である。 図11は、揺動スライダ・リンク・システムとバネ機構を併せて用いた場合のアクチュエータ12の消費エネルギとリンク部材13の位置との関係を示したチャートである。 図12は、揺動スライダ・リンク・システムとバネ機構を併せて用いた場合のアクチュエータ12の消費エネルギとリンク部材13の位置との関係を示したチャートである。 図13は、ロボットの可動脚の自由度構成例を示した図である。 図14は、前後方向の自由度をさらに1つ加えて1脚あたりの自由度を1つ増やした脚構造を示した図である。 図15は、バネなどのサスペンションを用い、その共振作用を利用して跳躍歩行を実現するロボットの脚部の構成例(従来例)を示した図である。 図16は、バネなどのサスペンションを用い、その共振作用を利用して跳躍歩行を実現するロボットの脚部の構成例(従来例)を示した図である。 図17は、一般的なスライダ・リンク機構において、負荷(自重及び外力)を支えるために必要なトルクを説明するための図である。
符号の説明
1…ロボット
2…胴体部
3,4…可動脚
5…メイン・コントロール部
6…アクチュエータ
7…センサ
11…駆動軸
12…アクチュエータ
13…リンク部材
14…バネ機構
15…ねじりコイル・バネ
16…入力軸
17…出力軸

Claims (6)

  1. 正逆自在に回転トルクを出力するアクチュエータと、
    前記アクチュエータの回転軸からオフセットした位置に突設された駆動軸と、
    一端が回動自在に支持されるとともに、内側に前記駆動軸を収容するための長円状の溝を持つリンク部材を備え、
    前記駆動軸は前記溝に嵌め合わされ、前記アクチュエータの回転角度に従って前記駆動軸は前記溝に沿って滑動し、前記リンク部材は前記回転軸から前記駆動軸までの半径に拘束されながら前記一端を中心に揺動し、
    前記リンク部材の回転角度を当該関節の出力軸としての回転角度とする、
    ことを特徴とするロボットのための関節装置。
  2. リンク部材の回転角度の極大値に相当する上死点と極小値に相当する下死点において、リンク部材とアクチュエータの接点である出力軸に印加される力の方向にアクチュエータの回転軸が到来する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のロボットのための関節装置。
  3. 前記アクチュエータが正転及び逆転を交互に切り替えることによって同じ動きをする第1の動作モードと、
    前記アクチュエータが一方向に回転を続けて同じ動きをする第2の動作モードと、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載のロボットのための関節装置。
  4. 入力軸と、前記入力軸及び前記出力軸に各端部が固定されたバネがさらに前記出力軸に取り付けられ、
    前記バネは、前記出力軸側から力が印加されると所定のバネ定数に従って撓む、
    ことを特徴とする請求項1に記載のロボットのための関節装置。
  5. 前記入力軸と前記出力軸の間に前記バネの撓み角度を検出するための角度検出センサを配設した、
    ことを特徴とする請求項4に記載のロボットのための関節装置。
  6. 初動期間において前記アクチュエータの正転と逆転を交互に繰り返して、バネの回生力を蓄積する第3の動作モードと、
    バネの共振周波数に到達した時点で前記アクチュエータが一方向のみの回転に切り替えてバネの回生力を利用する第4の動作モードと、
    を備えることを特徴とする請求項4に記載のロボットのための関節装置。
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