JP2006068884A - ロボット装置及びその制御方法、並びに受動車輪装置 - Google Patents

ロボット装置及びその制御方法、並びに受動車輪装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 2足歩行ロボットの各可動脚に対し、駆動アクチュエータを持たない受動車輪機構を装備し、車輪の推進による高速且つ高効率の移動を実現する。
【解決手段】 足底ベース部をロール方向に回転することで、受動回動軸回りの回転を生じさせることにより、受動車輪を操舵し、脚をヨー方向に駆動することを容易にすることができる。これにより両脚支持状態であっても滑らかな操舵が可能となり、走行路面上で脚先を左右対称に蛇行運動させることで直進・旋回することが出来る。
【選択図】 図8

Description

本発明は、複数の可動部を備えたロボット装置及びその制御方法、並びに受動車輪装置に係り、特に、移動手段を備えたロボット装置及びその制御方法、並びに受動車輪装置に関する。
さらに詳しくは、本発明は、脚式の移動と車輪型の移動の双方の特質を兼ね備えた脚車輪ハイブリッド型のロボット装置及びその制御方法、並びに受動車輪装置に係り、特に、2足歩行ロボットの各可動脚に受動車輪を付加することで脚による走行性能を向上させるロボット装置及びその制御方法、並びに受動車輪装置に関する。
電気的若しくは磁気的な作用を用いて人間の動作に似せた運動を行なう機械装置のことを「ロボット」という。ロボットの語源は、スラブ語の“ROBOTA(奴隷機械)”に由来すると言われている。わが国では、ロボットが普及し始めたのは1960年代末からであるが、その多くは、工場における生産作業の自動化・無人化などを目的としたマニピュレータや搬送ロボットなどの産業用ロボット(industrial robot)であった。
最近では、ヒトやサルなどの2足直立歩行を行なう動物の身体メカニズムや動作を模した脚式移動ロボットに関する研究開発が進展し、実用化への期待も高まってきている(例えば、特許文献1を参照のこと)。2足直立による脚式移動は、クローラ式や、4足又は6足式などに比し不安定で姿勢制御や歩行制御が難しくなるが、不整地や障害物など作業経路上に凹凸のある歩行面や、階段や梯子の昇降など不連続な歩行面に対応することができるなど、柔軟な移動作業を実現できるという点で優れている。
人間の作業空間や居住空間のほとんどは、2足直立歩行という人間が持つ身体メカニズムや行動様式に合わせて形成されおり、車輪その他の駆動装置を移動手段とした現状の機械システムが移動するのには多くの障壁が存在する。したがって、機械システムすなわちロボットがさまざまな人的作業を代行し、さらに人間の住空間に深く浸透していくためには、ロボットの移動可能範囲が人間のそれとほぼ同じであることが好ましい。これが、脚式移動ロボットの実用化が大いに期待されている所以でもある。
多くの場合、脚式移動ロボットの姿勢安定制御には、ZMP(Zero Moment Point)が歩行の安定度判別の規範として用いられている。ここで言う「ZMP」とは、歩行中の床反力によるモーメントがゼロとなる床面上の点のことである。ZMPによる安定度判別規範は、歩行系から路面には重力と慣性力、並びにこれらのモーメントが路面から歩行系への反作用としての床反力並びに床反力モーメントとバランスするという「ダランベールの原理」に基づく。力学的推論の帰結として、足底接地点と路面の形成する支持多角形の内側にピッチ軸及びロール軸モーメントがゼロとなる点、すなわちZMPが存在する(例えば、非特許文献1を参照のこと)。また、支持多角形が広くなる姿勢において、ロボットの姿勢はより安定化する。
目標ZMP制御は、すべての瞬間において、動的釣り合いを取るように運動を計画することにより、実機上で成功を収めている。ZMP規範に基づく2足歩行パターン生成は、足底着地点をあらかじめ設定することができ、路面形状に応じた足先の運動学的拘束条件を考慮し易いなどの利点がある。また、ZMPを安定度判別規範とすることは、力ではなく軌道を運動制御上の目標値として扱うことを意味するので、技術的に実現可能性が高まる。
ところが、脚式移動ロボットは高い対地適応性が得られる反面、移動速度や効率の面で、車輪型移動ロボットよりも劣るという問題がある。このため、脚式の移動と車輪型の移動の双方の特質を兼ね備えた、いわば脚車輪ハイブリッド型の移動体に関する研究が行なわれている。
車輪を利用した移動ロボットとして、例えば、災害現場への進入を行う極限作業用の6脚走行車(例えば、非特許文献2を参照のこと)や移動体(例えば、非特許文献3を参照のこと)、またクローラも連続的な無限軌道を用いるという観点から広義の車輪と捉えれば、地雷撤去を目的として開発されたCOMET−III(例えば、非特許文献4を参照のこと)などが挙げられる。
これらの移動体は車輪として駆動力を持つ能動車輪を用いている。これに対し、脚式による歩行機械は一般に歩行のための多くの自由度を有し、機体質量は増大しがちである。その上、車輪駆動のためのアクチュエータを搭載すると、いたずらに質量増加を招き、その結果、歩行機械としての運動性能を逆に制約する。
そこで、簡素な機構で質量増加も少ない受動車輪を用いた歩行機械のハイブリッド化手法が提案されている。
例えば、ローラースケート靴を履くことにより、通常の歩行動作時よりもダイナミックで高速な移動作業を実現することができる脚式移動ロボットについて提案がなされている(例えば、特許文献2を参照のこと)。この場合のロボット装置は、2本の可動脚と上体で構成される2足歩行型の移動ロボットで、下肢と上体を用いた全身運動を動作制御することにより各種の動作パターンを実現することができる。そして、各可動脚の足底に所定の滑走方向を持つ滑走ユニットが着脱自在に取り付けられ、滑走ユニットを滑走方向に一致させながら移動速度を維持するとともに、滑走ユニットを滑走方向と異ならせることにより制動することができる。
この種のローラースケート靴を履いたロボット装置の場合、以下の事柄が前提となる。すなわち、
(1)受動車輪は脚関節ピッチ軸と常に平行である。
(2)滑走方法は歩行のように交互に脚を遊脚化する。
ここで、受動車輪は脚関節ピッチ軸と平行に保持されている場合、両足支持期には進行方向を変更することができない。このため、推進方向の変更は支持脚切り替え時にのみ行なうことができ、連続ではない。また、両脚接地期においてスキーのボーゲンのように車輪をハの字に傾けることにより制動することができるが、車輪が接地したままで脚の足先をヨー回転させることは、車軸方向に速度を発生させることから(図23を参照のこと)、非常に大きな負荷トルクが発生する。
また、歩行のように交互に脚を遊脚化するという滑走方法では、片足支持期を前提とすることで、転倒し易くなる。また、受動車輪の軸方向摩擦力を用いて推進方向に蹴り出すことで推進を行なっているが、この方式では、蹴り出すエネルギをバネなどで蓄積しない限り、原理的に足先が出す速度以上の推進速度は得られない。このため、最大歩行速度とほぼ同程度の推進速度しか出し得ないと思料される。
前者の受動車輪がピッチ軸に常に平行に保持され、ヨー回転反モーメントが増大するという問題に関しては、車輪間距離(ホイールベース・トレッド)を縮める、あるいはインライン・スケートのように受動車輪を一列に並べるという解決方法も考えられる。しかしながら、現状の2足歩行ロボットのハードウェア構成では十分な足底接地面積を持つことが転倒回避のために必要であることから、これらは現実的な解決策ではない。
また、足先に取り付けられた受動車輪に推進力を与える手法として、ローラースケートと同様の原理を利用した「ローラーウォーカー」を挙げることができる(例えば、非特許文献5を参照のこと)。
図24及び図25には、ローラーウォーカーの自由度構成を模式的に示している。同図に示すハイブリッド歩行機械は、4足の脚式移動ロボットであり、各脚部は、足平より付け根に向かって、3つのロール回りの自由度と1つのヨー回りの自由度の合計4自由度構成である(但し、ロボットの前方向をXと置き、進行方向として座標系を図示のように設定する)。足部の足平は円盤状をなし、車輪としての機能を兼ね備えている。すなわち、歩行時には、図24に示すように、足首角度をロール回りに回転させることで、円盤状の車輪を倒して接地させ、足裏として利用する。また、車輪を用いた走行時には、図25に示すように足首角度をロール回りに回転させ、円盤状の車輪を起こして、足首以降で車輪をピッチ軸周りに受動回転可能にする。このように簡素な機構を用いることで、車輪を用いた走行性能を実現しつつ、過大な重量増加を抑え、歩行機械としての性能低下を最小限に抑えることができる。
さて、受動車輪による推進は、車輪の転がり方向は摩擦係数が少なく、軸方向は摩擦が大きい。このような抗力の異方性を利用することにより、受動車輪による推進を実現する。例えば左右の各脚の付け根のヨー軸回転を利用することにより、左右の車輪はそれぞれX方向に対して傾きを持ちながら左右の車輪間の軸方向の距離が伸縮する。このとき、軸方向の摩擦が大きいことから、車輪の軸方向に発生する摩擦力が車輪の転がりによって解放されて、X方向への推進力に変換される。
ここで、車輪の軸方向の摩擦力を車輪の回転に変換するには、車輪の転がり方向をヨー回りに回転させる機構を持ち、車輪に印加される摩擦力に対し転がり方向が非直交である必要がある。また、車輪の転がり方向と推進方向(若しくはロボットの主たる進行方向)のなす角θG(グライド角と呼ぶことにする)は言わばギアの減速比に相当する。したがって、グライド角θGにより大きな角度をつければ低速となることから装置の推進方向に大きな推進力を発生することができる。逆に、グライド角θGにより小さな角度を与えることにより、小さな推進力であるが、ロボットを高速に推進することができる(例えば、非特許文献6及び非特許文献7を参照のこと)。
このように、ローラーウォーカーによれば、足先が出す最大速度以上の高速な推進や、脚軌道を変更することによる減速比調整などを実現することができる。しかしながら、基本的には4脚歩行ロボットを前提としており、この手法を2足歩行ロボットに適用することができない。
特開平13−129775号公報 特開2001−138272号公報 ヴコブラトビッチ(Miomir Vukobratovic)著「脚式移動ロボット(LEGGED LOCOMOTION ROBOTS)」(加藤一郎外著『歩行ロボットと人工の足』(日刊工業新聞社)) N.Kimura, T.Kamigaki, N.Suzuki, A.Nishikawa and N.Yamamoto: "Locomotion Mechanism and Control Architecture for Disaster Preventing Robot" '91 ISART pp.375-380(1991) H.Adachi, N.Koyachi, T.Arai, A.SHimizu and Y.Nogami: "Mechanism and Control of a Leg-Wheel Hybrid Mobile Robot", International Conference on Intelligent Robots and Systems Proc., pp.1792-1797(1999) http://mec2.tm.chiba-u.jp/~nonami/ G.Endo, S.Hirose: "Study on Roller-Walker(Multi-mode Steering Control and Self-contained Locomotion", IEEE International Conference on Robotics and Automation, pp.2808-2814(2000) 遠藤玄:"索状能動体と脚車輪ハイブリッド移動体におけるグライド推進の研究",東京工業大学大学院理工学研究科機械物理工学専攻学位論文,pp.8-10(2000) 遠藤玄:"索状能動体と脚車輪ハイブリッド移動体におけるグライド推進の研究",東京工業大学大学院理工学研究科機械物理工学専攻学位論文,pp.80-87(2000)
本発明の目的は、脚式の移動と車輪型の移動の双方の特質を兼ね備えた脚車輪ハイブリッド型の優れたロボット装置及びその制御方法、並びに受動車輪装置を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、2足歩行ロボットの各可動脚に車輪機構を付加することで脚による走行性能を向上させることができる、優れたロボット装置及びその制御方法、並びに受動車輪装置を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、2足歩行ロボットの各可動脚に対し、駆動アクチュエータを持たない受動車輪機構を装備することで、車輪の推進による高速且つ高効率の移動を実現することができる、優れたロボット装置及びその制御方法、並びに受動車輪装置を提供することにある。
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、1以上の可動脚を備えたロボット装置であって、
前記可動脚の足先に取り付けられた滑走ユニットと、
少なくとも可動脚の動作を制御する動作制御手段とを備え、
前記滑走ユニットは、
前記可動脚の足部に取り付けられ、XY平面を構成する足部ベース部と、
XY平面と一定の角度をなす2つの傾斜面を前後にそれぞれ有する第1の支持部材と、
前記の各傾斜面に対し、傾斜面法線方向と平行となるように配設された前方及び後方の受動回転軸と、
前記の前方及び後方の各受動回転軸に、前記第1の支持部材に対して受動回転軸回りに回動自在にそれぞれ取り付けられた第2の支持部材と、
前記の前方及び後方の第2の支持部材の左右両端に回転可能にそれぞれ取り付けられた略同軸状の受動車輪とを備える、
ことを特徴とするロボット装置である。
脚式移動ロボットは高い対地適応性が得られる反面、移動速度や効率の面で、車輪型移動ロボットよりも劣るということから、脚式の移動と車輪型の移動の双方の特質を兼ね備えた、いわば脚車輪ハイブリッド型の移動体が優れていると思料される。また、機体の総重量を考慮すると、能動車輪ではなく、受動車輪を用いることが好ましいが、推進力をいかに得るかが問題となる。
しかしながら、2足型の脚式移動ロボットに車輪機構を適用した場合、受動車輪が脚関節ピッチ軸と平行に保持されている構成では、推進方向の変更は支持脚切り替え時にのみ行なうことができ、連続ではない。また、歩行のように交互に脚を遊脚化するという滑走方法では、片足支持期を前提とすることで、転倒し易くなる。
本発明によれば、4個の受動車輪を備えた滑走ユニットが各可動脚の足底に取り付けられている。足部の前後にそれぞれ配設された第2の支持部材の左右両端部にそれぞれ取り付けられた受動車輪は対を成して、第2の支持部材は第1の支持部材に対し受動回動軸回りに回転することができる。ここで、第2の支持部材の受動回動軸回りの角度については、駆動力を持たないことから、直接回動することはできない。そこで、前記動作制御手段は、第2の支持部材の受動回動軸回りの角度を、足底ベース部のロール角度調節によって間接的に角度を変更することができる。
すなわち、足底ベース部がロール方向に傾くと、左右のうち床面と足底ベース部の距離が短くなった側では前後の車輪の間隔が短くなり、逆に、左右のうち床面と足底ベース部の距離が長くなった側では、前後の車輪の間隔が長くなる。この場合、すべての受動車輪が足底ベース部と床面のなす空間にちょうど収まるように、第2の支持部材の受動回動軸回りの受動的な回転を生じることになる。この結果として、前方並びに後方の第2の支持部材にそれぞれ取り付けられた左右1対の受動車輪の転がり方向はロボットのX方向に対し傾くので、受動車輪機構全体として操舵角を与え、ロボットの進行方向を操舵することができる。
したがって、このような滑走ユニットによれば、両脚支持したままの姿勢で推進力を得ることができることから、支持多角形が大きくなり、転倒しにくくなる。また、支持多角形面積を十分に取ることができるので、実現可能性が高く、受動車輪を用いた動作のための高度な制御系を新たに必要とはしない。
ここで、前記滑走ユニットは、前記第2の支持部材の前記第1の支持部材に対する回転を拘束する回転拘束手段をさらに備えていてもよい。回転拘束手段は、具体的には電磁ブレーキやパウダークラッチなどにより、受動回動軸回りの摩擦トルクを制御する、あるいは単純にラッチピンなどにより、一定角度で固定するようにしても良い。例えば、受動車輪の転がり方向がロボットの進行方向すなわちX方向と一致するような位置で受動回動軸を固定すれば、滑走ユニットは特許文献2で述べられている、脚を遊脚化することによるスケート推進制御法をそのまま用いることができる。
また、前記ロボット装置は、それぞれ前記滑走ユニットを装着した左右の可動脚を備えている場合、前記動作制御手段は、左右の可動脚の足部に対するロール角度調節を同期的に行なうことにより、ロボット装置の両脚支持状態で滑走させることができる。例えば、空走状態では車輪転がり方向は進行方向に平行となり、停止状態ではトーイン角を与えるように、左右の可動脚の足部に対するロール角度調節を同期的に行なうようにすることができる。
また、前記動作制御手段は、前記XY平面上でY方向への足先軌道を与え、単脚では蛇行軌道を描くようにしてもよい。前記XY平面上でのY方向への足先軌道は、正弦波、半円弧を組み合わせた複合曲線、又はクロソイド曲線を用いた複合曲線、サーペノイド曲線(曲率の変化率が正弦波)に基づいて与えることができる。
このとき、受動車輪が受動回転軸方向に速度が生じないようにすれば、受動車輪による推進力を得ることができる。例えば、左右の脚の足先にY方向への運動を左右対称に行なわせることによって、車輪の転がり方向は摩擦係数が少ないが軸方向は摩擦が大きいという抗力の異方性に基づいて、Y方向への運動が推進用受動車輪の回転運動に変換されて、推進方向(ロボットの進行方向すなわちX方向)への推進力を得ることができる。すなわち、受動車輪の転がり方向にのみ滑らかに推進することができ、アクチュエータ負荷は非常に小さくなる。
また、前記動作制御手段は、左右の可動脚の足部に与えるロール角度に異なるオフセットを与えることにより左右の足先軌道に速度差を与え、前記オフセットに相当する旋回半径を以って進行方向を変化させることができる。
また、前記受動車輪の回転を一方向に限定する手段をさらに備えていても良い。このような手段は、例えば、受動車輪に内蔵される一方向クラッチとして構成することができる。
受動車輪の回転を一方向に限定することにより、上述したような推進動作は非常に簡単化することができる。定常直進の場合を例にとると、脚X位置を正弦波で駆動すれば、脚を後方に蹴る動作はクラッチにより推進力となり、逆に前方に復帰する動作は受動車輪が空転することにより、抵抗力にはならない。また、旋回する場合は、XY平面上で曲線となる基準軌道を設定し、その軌道に沿うように往復運動をすることで、直進と同様に推進力を得ることができる。
本発明によれば、脚式の移動と車輪型の移動の双方の特質を兼ね備えた脚車輪ハイブリッド型の優れたロボット装置及びその制御方法、並びに受動車輪装置を提供することができる。
また、本発明によれば、2足歩行ロボットの各可動脚に車輪機構を付加することで脚による走行性能を向上させることができる、優れたロボット装置及びその制御方法、並びに受動車輪装置を提供することができる。
また、本発明によれば、2足歩行ロボットの各可動脚に対し、駆動アクチュエータを持たない受動回転軸とその回転を拘束する機構及び受動車輪を持つ足底機構を装備することで、車輪の推進による高速且つ高効率の移動を実現することができる、優れたロボット装置及びその制御方法、並びに受動車輪装置を提供することができる。
本発明の具体的な効果として以下の事柄を挙げることができる。
(1)支持脚期においても滑らかに進行方向を変更することができる。
(2)両脚支持で推進できることから、支持多角形が大きくなり、転倒しにくくなる。また、支持多角形面積を十分に取ることができるので、実現可能性が高く、受動車輪を用いた動作のための高度な制御系を新たに必要とはしない。
(3)ユーザがインタラクティブに受動車輪機構による推進速度・方向を変更できる。
(4)簡素な機構でありながら、車輪型の高速・高効率の移動が可能になる。
(5)足先速度よりも速い推進が可能となることから、エンタテインメント性が高い。
(6)上下動の少ない滑らかな移動であることから、カメラ画像などを用いた制御に適する。
(7)歩行機械に付加する形態であるので、既存の2足歩行ロボットに広く適用することができる。
(8)足底に付加することから、力センサなど歩行のためのセンサ系をそのまま用いることができる。
(9)脚軌道を選ぶことにより減速比の調整ができることから、傾斜面の登坂や高速の移動も実現することができる。
(10)受動車輪は転がり摩擦が少ないことから、傾斜面を下る場合、移動エネルギを必要としない。
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
A.ロボット装置の構成
本発明では、胴体部に繋がった複数の関節を持ち、ロボット内部の制御周期毎に静的なモーション及びリアルタイムな動作生成による目標指令値(角度やトルク、アクチュエータ・ゲインなど)を各関節アクチュエータ(若しくは関節駆動に対応するデバイス)に与えることができるロボット装置を想定としている。
図1及び図2には本発明の実施に供される「人間形」又は「人間型」のロボット装置100が直立している様子を前方及び後方の各々から眺望した様子を示している。図示の通り、ロボット装置100は、胴体部と、腰部と、頭部と、左右の上肢部と、脚式移動を行なう左右2足の下肢部とで構成され、例えば胴体に内蔵されている制御部(図示しない)によりロボット装置の動作を統括的にコントロールするようになっている。
左右各々の下肢は、大腿部と、膝関節と、脛部と、足首と、足平とで構成され、股関節によって体幹部の略最下端にて連結されている。また、左右各々の上肢は、上腕と、肘関節と、前腕とで構成され、肩関節によって体幹部の上方の左右各側縁にて連結されている。また、頭部は、首関節によって体幹部の略最上端中央に連結されている。
このように構成されたロボット装置100は、制御部(図1及び図2には図示しない)による全身協調的な動作制御により、2足歩行を実現することができる。かかる2足歩行は、一般に、以下に示す各動作期間に分割される歩行周期を繰り返すことによって行なわれる。すなわち、
(1)右脚を持ち上げた、左脚による単脚支持期
(2)右足が接地した両脚支持期
(3)左脚を持ち上げた、右脚による単脚支持期
(4)左足が接地した両脚支持期
制御部は、このロボット装置100を構成する各関節アクチュエータの駆動制御や各センサ(後述)などからの外部入力を処理するコントローラ(主制御部)や、電源回路その他の周辺機器類を搭載した筐体である。制御部は、その他、遠隔操作用の通信インターフェースや通信装置を含んでいてもよい。
脚式移動ロボット100における歩行制御は、例えばZMPを安定度判別規範として、あらかじめ下肢の目標軌道を計画し、上記の各期間において計画軌道の修正を行なうことによっても実現される。この場合、両脚支持期では、下肢軌道の修正を停止して、計画軌道に対する総修正量を用いて腰の高さを一定値で修正する。また、単脚支持期では、修正を受けた脚の足首と腰との相対位置関係を計画軌道に復帰させるように修正軌道を生成する。
あるいは、脚式移動ロボット100の左右の脚部など、全身の可動部のうち少なくとも一部を物理振動子として捉え、センサ出力などに基づいて得られる内部状態と外部環境に応じて物理振動子の位相を数学的に操作により発生させて、機体の大局的な安定性を実現するとともに、未知の外乱に適応的に対応することができる。
図3には、このロボット装置100が具備する関節自由度構成を模式的に示している。同図に示すように、ロボット装置100は、2本の腕部と頭部1を含む上肢と、移動動作を実現する2本の脚部からなる下肢と、上肢と下肢とを連結する体幹部と、腰部で構成された、複数の肢を備えた構造体である。
頭部を支持する首関節(Neck)は、首関節ヨー軸101と、首関節ピッチ軸102A、頭ピッチ軸102B、首関節ロール軸3という4自由度を有している。
また、各腕部は、その自由度として、肩(Shoulder)における肩関節ピッチ軸104と、肩関節ロール軸105と、上腕ヨー軸6、肘(Elbow)における肘関節ピッチ軸107と、手首(Wrist)における手首関節ヨー軸108と、手部とで構成される。手部は、実際には、複数本の指を含む多関節・多自由度構造体である。
また、体幹部(Trunk)は、体幹ピッチ軸109と、体幹ロール軸110という2自由度を有する。
また、下肢を構成する各々の脚部は、股関節(Hip)における股関節ヨー軸111と、股関節ピッチ軸112と、股関節ロール軸113と、膝(Knee)における膝関節ピッチ軸114と、足首(Ankle)における足首関節ピッチ軸115と、足首関節ロール軸116と、足部とで構成される。
但し、ロボット装置100が上述したすべての自由度を装備しなければならない訳でも、あるいはこれに限定される訳でもない。設計・製作上の制約条件や要求仕様などに応じて、自由度すなわち関節数を適宜増減することができることは言うまでもない。
上述したようなロボット装置100が持つ各自由度は、実際には回転型アクチュエータを用いて実装され、これらの回転位置制御に基づいて運動制御を行なうようになっている。外観上で余分な膨らみを排してヒトの自然体形状に近似させること、2足歩行という不安定構造体に対して姿勢制御を行なうことなどの要請から、これら関節アクチュエータは小型且つ軽量であることが好ましい。
本実施形態では、ギア直結型で、且つサーボ制御系、電源系、並びにセンサ系の回路を搭載した制御基板をモータ・ユニットに内蔵したタイプの小型ACサーボ・アクチュエータを搭載することとした。モータ・ユニット内のセンサには、サーボ制御のための回転位置若しくは関節位置を検出する角度・位置センサ、姿勢安定制御(例えばZMP方程式のパラメータ取得)のための加速度センサやジャイロ・センサ、異常状態検出のためのトルク・センサや電流検出センサなどが含まれる。また、アクチュエータ・モータの直結ギアとして低減速ギアを採用することにより、人間との物理的インタラクションを重視するタイプのロボット100に求められている駆動系自身の受動的特性を得ている。この種のACサーボ・アクチュエータに関しては、例えば本出願人に既に譲渡されている特開2000−299970号公報や特開2004−181613号公報などに開示されている。
図4には、ロボット装置100の制御システム構成を模式的に示している。同図に示すように、ロボット装置100は、ヒトの四肢を表現した各機構ユニット130、140、141、150R/L、160R/Lと、各機構ユニット間の協調動作を実現するための適応制御を行なう制御ユニット180とで構成される(但し、R及びLの各々は、右及び左の各々を示す接尾辞である。以下同様)。
ロボット装置100全体の動作は、制御ユニット180によって統括的に制御される。制御ユニット180は、CPU(Central Processing Unit)やメモリなどの主要回路コンポーネント(図示しない)で構成される主制御部181と、電源回路やロボット100の各構成要素とのデータやコマンドの授受を行なうインターフェース(いずれも図示しない)などを含んだ周辺回路182とで構成される。
ここで言う周辺回路182は、ロボット装置に搭載される周辺機器類の他、ケーブルや無線を通して接続される外付けの周辺機器、充電ステーション(図示しない)やその他の周辺機器を接続するためのインターフェース・コネクタなどを含むものとする。
本発明を実現する上で、この制御ユニット180の設置場所は特に限定されない。図4では体幹部ユニット140に搭載されているが、頭部ユニット130に搭載してもよい。あるいは、ロボット装置100外に制御ユニット180を配設して、ロボット装置100本体とは有線若しくは無線で交信するようにしてもよい。
図3に示したロボット装置100内の各関節自由度は、それぞれに対応するアクチュエータによって実現される。すなわち、頭部ユニット30には、首関節ヨー軸101、首関節ピッチ軸102、首関節ロール軸103の各々を表現する首関節ヨー軸アクチュエータM1、首関節ピッチ軸アクチュエータM2A、頭ピッチ軸アクチュエータM2B、首関節ロール軸アクチュエータM3が配設されている。
また、体幹部ユニット140には、体幹ピッチ軸109、体幹ロール軸110の各々を表現する体幹ピッチ軸アクチュエータM9、体幹ロール軸アクチュエータM10が配設されている。
また、腕部ユニット150R/Lは、上腕ユニット151R/Lと、肘関節ユニット152R/Lと、前腕ユニット153R/Lに細分化されるが、肩関節ピッチ軸104、肩関節ロール軸105、上腕ヨー軸106、肘関節ピッチ軸107、手首関節ヨー軸108の各々を表現する肩関節ピッチ軸アクチュエータM4、肩関節ロール軸アクチュエータM5、上腕ヨー軸アクチュエータM6、肘関節ピッチ軸アクチュエータM7、手首関節ヨー軸アクチュエータM8が配設されている。
また、脚部ユニット160R/Lは、大腿部ユニット161R/Lと、膝ユニット162R/Lと、脛部ユニット163R/Lに細分化されるが、股関節ヨー軸111、股関節ピッチ軸112、股関節ロール軸113、膝関節ピッチ軸114、足首関節ピッチ軸115、足首関節ロール軸116の各々を表現する股関節ヨー軸アクチュエータM11、股関節ピッチ軸アクチュエータM12、股関節ロール軸アクチュエータM13、膝関節ピッチ軸アクチュエータM14、足首関節ピッチ軸アクチュエータM15、足首関節ロール軸アクチュエータM16が配設されている。
各関節に用いられるアクチュエータM1、M2、M3…は、より好ましくは、ギア直結型で且つサーボ制御系をワンチップ化してモータ・ユニット内に搭載したタイプの小型ACサーボ・アクチュエータ(前述)で構成することができる。
頭部ユニット130、体幹部ユニット140、腕部ユニット150、各脚部ユニット160などの機構ユニット毎に、アクチュエータ駆動制御用の副制御部135、145、155、165が配設されている。
腰部141には、加速度センサ196と姿勢センサ195が配設されている。加速度センサ196は、XYZの各軸方向に配置する。また、腰部141に加速度センサ196を配設することによって、質量操作量が大きな部位である腰部を制御対象点として設定して、その位置における姿勢や加速度を直接計測して、ZMPに基づく姿勢安定制御を行なうことができる。加速度センサ96と姿勢センサ95は、図3中ではそれぞれ加速度センサA1及びジャイロ・センサG1として構成されている。
また、左右の各脚部160R及び160Lには、接地確認センサ191及び192と、加速度センサ193及び194がそれぞれ配設されている。接地確認センサ191及び192は、例えば足底に圧力センサを装着することにより構成され、床反力の有無により足底が着床したか否かを検出することができる。また、加速度センサ193及び194は、少なくともX及びYの各軸方向に配置する。左右の足部に加速度センサ193及び194を配設することにより、ZMP位置に最も近い足部で直接ZMP方程式を組み立てることができる。図3中では、左右の足首に、足平における加速度を計測するセンサA2及びA2と、足平の姿勢を計測するジャイロ・センサG2及びG3がそれぞれ配設されている。また、左右の足底の四隅に、接地並びに床反力を計測する力センサF1〜F4、F5〜F8が配設されている。
本実施形態では、路面との接触部位である足部にZMPと力を直接する反力センサ・システム(床反力センサなど)を配設するとともに、制御に用いるローカル座標とその座標を直接的に計測するための加速度センサを配設している。したがって、ZMP位置に最も近い足部で直接的にZMP釣合い方程式を組み立てることによって、より厳密な姿勢安定化制御を高速で実現することができる。
主制御部180は、各センサA1〜A3、G1〜G3、F1〜F8の出力に応答して制御目標をダイナミックに補正することができる。より具体的には、副制御部135、145、155、165の各々に対して適応的な制御を行ない、ロボット装置100の上肢、体幹、及び下肢が協調して駆動する全身運動パターンを実現する。
ロボット装置100の全身運動は、足部運動、ZMP軌道、体幹運動、上肢運動、腰部高さなどを設定するとともに、これらの設定内容に従った動作を指示するコマンドを各副制御部135、145、155、165に転送する。そして、各々の副制御部135、145…では、主制御部181からの受信コマンドを解釈して、各アクチュエータM1、M2、M3…に対して駆動制御信号を出力する。
B.受動車輪機構
本実施形態に係るロボット装置は、足部に受動車輪機構を着脱自在に取り付けることにより、脚式の移動と車輪型の移動の双方の特質を兼ね備えたハイブリッド型の移動を実現することができる。また、車輪は足部の動作により受動的に推進力を得ることができ、車輪駆動用のアクチュエータを搭載しないことから、総重量を増大させずに済む。
また、本発明では、足先の受動車輪機構は着脱自在とし、足先に装着することで、脚式及び車輪式併用の移動機能を実現することができる。図5〜図9には、本発明の一実施形態に係る滑走ユニットの構成を示している。
同図において、足底ベース部10は、脚式移動ロボットの足部に取り付けるための部材であり、形状は脚構造によって任意に設計することができる。以下の構造は、YZ平面に対して対称とする.
第1のステー1は、足底ベース部10に取り付けられている。図4からも判るように、第1のステー1は、XY平面と一定の角度をなす2つの傾斜面を前後にそれぞれ有する。各傾斜面には、傾斜面法線に平行となる受動回動軸が回転自在に取り付けられている。
各受動回転軸には、第1のステー1に対して受動回転軸回りに自在に回動する第2のステー2がそれぞれ連結されている。
また、前後の各第2のステー2の左右両端には、1対のホイル・ステー11がそれぞれ取り付けられている。ホイル・ステー11にはそれぞれ車軸と車軸止めが取り付けられている。そして、左右の車軸には、車輪が車軸回りに回転自在に軸支されている。前後の各第2のステー2ではそれぞれ、左右の車軸はほぼ同軸となるように配設されているものとする。
この車輪は、車軸回りに駆動力を持たない受動車輪である。受動回動軸は、第1のステー1に取り付けられた回転拘束機構により、第2のステー2の回転を拘束することができる。
なお、図示の例では、足底ベース部10と第1のステー1は組み立て易さを考え別部品としたが、一体で構成することも可能である。また、受動回動軸、第2のステー2、ホイル・ステー11、車軸止めも一体で構成しても構わない。また、図21に示すように、第1のステー1は前後分離し、傾斜面角度を図4の場合と逆になるように構成しても良い。
以上のように構成すると、足部の前後にそれぞれ配設された第2のステー2の左右両端部にある受動車輪は対を成しており、第2のステー2は第1のステー1に対し受動回動軸回りに回転することができる。受動回動軸回りの角度については、駆動力を持たないことから、直接回動することはできないが、後述するように足底ベース部10のロール角度調節によって間接的に角度を変更することができる。
図10には、受動車輪の構造の一例を示している。図示しないが、車輪内部には一方向クラッチなどの回転拘束機構を内蔵しても良い。この場合、車輪推進による後退動作はできなくなるが、前方への推進は非常に簡潔な制御方法を用いることができる(後述)。
回転拘束機構は、具体的には電磁ブレーキやパウダークラッチなどにより、受動回動軸回りの摩擦トルクを制御する、あるいは単純にラッチピンなどにより、一定角度で固定するようにしても良い。受動回動軸を図7で示した位置で固定すれば、滑走ユニットは特許文献2で述べられている、脚を遊脚化することによるスケート推進制御法をそのまま用いることができ、本発明と矛盾しない。
図11には、図5〜図9に示した受動車輪機構において、進行方向を変化させるための操舵角を得る仕組みを図解している。また、図22には、2足脚式ロボットが足先にロール角θRollを与えた様子を示している。
図示するように、足底ベース部10をロール方向にロール角θRollだけ回転する。この場合、足底の前後それぞれに配設された各第2のステー2それぞれの左右両端に取り付けられた4つの車輪が同じ床面内での接地状態を維持するようにする。すなわち、足底ベース部がロール方向に傾くと、左右のうち床面と足底ベース部の距離が短くなった側では前後の車輪の間隔が短くなり、逆に、左右のうち床面と足底ベース部の距離が長くなった側では、前後の車輪の間隔が長くなる。この場合、4つの車輪が足底ベース部10と床面のなす空間にちょうど収まるように、第2のステー2の受動回動軸回りの受動的な回転を生じることになる。例えば、図11に示すように、前方の第2のステー2が受動回動軸回りにθpassiveだけ受動回転するとともに、後方の第2のステー2が受動回動軸回りに−θpassiveだけ受動回転する。
この結果として、前方の第2のステー2に取り付けられた左右1対の受動車輪の転がり方向はロボットのX方向に対しθstrだけ傾きを持ち、且つ後方の第2のステー2に取り付けられた左右一対の受動車輪の転がり方向はロボットのX方向に対し−θstrだけ傾きを持つので、受動車輪機構全体を操舵角θstrを以って操舵することができる。このような仕組みにして操舵することで、脚をヨー方向に駆動することを容易にすることができる。
一例として、特許文献2で述べられている、両脚支持状態で直進滑走を行ない、スキーのボーゲンのようにトーイン角をつけることで制動する方法について示す。
図12には、図5〜図9に示した受動車輪機構を左右の両脚の足部に装着した場合において、制動操作を行なった場合に左右の受動車輪機構がそれぞれ描く軌道を示している。同図に示すように、空走状態では車輪転がり方向は進行方向に平行であり、停止状態ではトーイン角を持っている。
過渡的な状態では時間の関数として受動車輪軌跡は必ず曲率半径ρ(t)を持つことになる。この曲率半径に合わせて受動車輪を操舵することができれば、滑らかな移動が可能になり、また脚部ヨー回転アクチュエータ・トルクを非常に低くできる。この例では、トーイン角が単調に増加する軌跡について述べたが、曲率が複雑に変化する曲線に関しても適用することが可能である。したがって、特許文献2とは相違し、支持脚時の連続的な方向転換が可能である。
C.操舵方法
図11を参照しながら既に説明したように、本発明に係る受動車輪機構によれば、足底ベース部10をロール方向に回転することで、足底の前後にそれぞれ配設された第2のステー2が受動回動軸回りに回動する。その結果として、前後それぞれの受動車輪における転がり方向にはロボット本体の進行方向に対する傾きが与えられ、受動車輪を操舵するための操舵角θstrを得ることができる。
以下では、足底ベース部10のロール角度と操舵角の関係について、数式を用いながら説明する。足底ベース部10の傾きをθRoll(但し、θRoll≠0)、第1のステー1(若しくは足底ベース部10)の傾斜面とXY平面のなす角をθPitch(θPitch≠0)、第2のステー2の受動回動軸回りの回転角をθPassive、受動車輪の転がり方向と進行方向(ここではX方向とする)のなす角を操舵角θstrとおく。また、受動回転軸の受動回転の中心Z座標をZ0、受動車輪の受動回転軸に対する回動半径をRとおく。図5〜図9に示した受動車輪機構では、第2のステー2の構成並びに操舵時の動作は前後方向で対称であることから、前後輪どちらか一方のみ扱えば十分である。
まず始めに、左右対になっている受動車輪のどちらか一方を外し、一輪のみである場合を考える。この場合の受動車輪の下端が描く軌跡は、図13に示すように受動回動軸を中心として傾斜面上の円で表される。車輪は常に接地しているものと仮定すれば、床面からの垂直抗力がZ正方向に働く。したがって、受動回転軸は回動し、第1のステー1若しくは足底ベース部10のなす平面の最大傾斜線方向と、受動車輪軌跡円の交点が安定平衡点となり、停止する。すなわち、車輪の最下端の接地点が床面とベース面の距離が最も離れている点に到達するように、第2のステー2が受動回転軸に対し首振り動作し、その到達点が安定平衡点となる。ここで、受動車輪下端の位置を下式のように定める
Figure 2006068884
このとき受動車輪下端の描く軌跡はθPassiveをパラメータとして次式で表される。
Figure 2006068884
安定平衡点はPzが最大値となる点であることから、以下の関数gを最大化するθPassiveを求めればよい。
Figure 2006068884
そして、上式を解くことにより次式を得ることができる。
Figure 2006068884
以上より、一輪の場合の安定平衡点が求められる。次に、1つの第2のステー2の左右両端に取り付けられた2輪の車輪が対になっている場合を考える。受動回転角θPassiveは明らかに左右のPzが等しくなる点が安定平衡点である。一輪の場合の安定平衡点を受動回動軸周りにπ/2回動させた点であることから,改めてθPassiveは下式の通りとなる。
Figure 2006068884
このとき床面に対する実効的な操舵角θstrは図示する投影角度であることから、1輪の場合の安定平衡点座標(px,py)を用い、下式に従って求めることができる。
Figure 2006068884
より具体的には進行方向とのなす角を考えると、下式のように表される。
Figure 2006068884
以上より、望みのθstrを得るための(θRoll,θPitch)が求められる。なお、ロール角度θRoll=0のときは、明らかに操舵角θstr=0である。
図14には、ピッチ角度θPitchを第1のステー1の設計パラメータとして、θRollとθstrの関係を示している。ここでは、左右の対称性に考慮して、ゼロから90[deg]の範囲でのみ図示する。操舵にθRollを用いるとすると、θPitchをθstrへの変換ゲインとみなすことができる。つまり、θPitchを小さく設定すれば、少ないθRollで大きな操舵角θstrを得ることができる。また逆に、θPitchを大きく設定すれば、θRoll変化に対して小さな操舵角θstrの変換となる。
例えば、脚部の可動範囲制限によりロール角度θRollが大きく取れない場合には、ピッチ角度θPitchを小さくすることで、操舵角θstrを大きく拡大することができる。また、ピッチ角度θPitchを大きく取れば、操舵角θstrの安定性を高めることができる。つまり、ロール角度θRollの変化に対して操舵角θstrが鈍くなることから、外乱が加わりロール角度θRollが乱されるような場合であっても操舵角θstr自体の変化は微小となることから、操舵は安定する。
通常の自動車での操舵の場合、操舵角θstrはおよそ30[deg]程度である。最大操舵角のときにθRoll=θstrとなるようにθPitch=41[deg]と設定すると、ロール角度θRollと操舵角θstrとの関係は図15に示すようになる。この範囲で線形と近似しても十分に差し支えない、したがって、ロール角度θRollを通常の自動車のステアリングとみなしても全く遜色が無いことが分る。
以上より、ピッチ角度θPitchが機構的に一定値である場合、足底ベース部10のロール角度θRollを変えることで一意に操舵角θstrを求められることが示された。
D.受動車輪機構を備えた脚式移動ロボットによる運動生成方法
この項では、上述した受動車輪機構を利用した脚式移動ロボットによる運動生成方法について詳解する。ここでは、図1〜図4に示したような2つの可動脚を備えた2脚歩行ロボットへ適用した具体例について考察する。但し、ロボット装置は、足先に受動車輪機構を備え車輪移動動作を行なう場合には、両脚支持のまま推進する方法をとるものとする。
図16には、受動車輪機構を利用した脚式移動ロボットの運動を生成するための処理手順をフローチャートの形式で示している。
まず、ロボット装置の進行速度並びに進行方向を設定し(ステップS1)、これに基づいて、周期関数や初期位置などの脚の運動を設定する(ステップS2)。
ここで、設定された脚の運動が、脚の可動範囲や速度上限値の許容範囲内であるかどうかをチェックする(ステップS3)。ここで、許容範囲を逸脱する場合には、ステップS2に戻り、脚の運動の再設定を行なう。
次いで、絶対空間デカルト座標系から見た足先速度を算出し(ステップS4)、滑走ユニットの受動車輪の接地面における摩擦抗力を算出し(ステップS5)、重心加速度を算出する(ステップS6)。そして、重心加速度を時間積分することにより重心速度を得て(ステップS7)、設定した進行速度を得ることができたかどうかを判別する(ステップS8)。ここで、設定した進行速度が得られなかった場合には、ステップS2に戻り、脚の運動の再設定を行なう。
このようにして、ステップS2において設定した脚の運動を得ることができたならば、これを実行する(ステップS9)。
以下では、図16に示した運動生成手順に従って、図1〜図4に示した2足ロボット装置により直進運動並びに旋回運動を行なう場合についてそれぞれ説明する。
D−1.直進
走行路面は平坦であると仮定し、足先Z位置を一定とし、遊脚化は行なわない。ロボットの進行速度(絶対座標系から見たローカル座標原点の速度)を設定する。一例として、ロボットはロール軸方向(X方向)に一定速度ωで進むとする(ステップS1)。
次に、ローカル座標系を用いて、脚運動の設定を行なう(ステップS2)。足先軌道をロール−ピッチ軸平面上(XY平面上)でピッチ軸方向(Y方向)に振動させ、単脚では図17に示すような蛇行軌道を描くものとする。
このとき、受動車輪が受動回転軸方向に速度が生じないようにすれば、受動車輪による推進力を得ることができる。例えば、左右の脚の足先にY方向への運動を左右対称に行なわせることによって、車輪の転がり方向は摩擦係数が少ないが軸方向は摩擦が大きいという抗力の異方性に基づいて、Y方向への運動が推進用受動車輪の回転運動に変換されて、推進方向(ロボットの進行方向すなわちX方向)への推進力を得ることができる。すなわち、受動車輪の転がり方向にのみ滑らかに推進することができ、アクチュエータ負荷は非常に小さくなる。この仕組みを、以下では幾何学的関係から求める。
ωを定数、tを時間として、ロボットがロール軸方向(X方向)に一定に進む場合、絶対空間座標系において下式のように表すことができる。
Figure 2006068884
このとき、ピッチ軸方向(Y方向)位置をxの関数として以下のように仮定する。
Figure 2006068884
ここで、f(x)は2階微分可能な連続関数、yoffsetは定数である。このとき、足先のヨー方向回転角度θYawは次式で表される。
Figure 2006068884
また、曲率半径ρはよく知られるように、次式で表される。
Figure 2006068884
この曲率半径に沿うように操舵角θstrを制御すれば、受動車輪軸方向速度は生じない。したがって、図18に示すように前後輪の軸間距離を2Lwxとおくと、下式のように表される。
Figure 2006068884
よって式(7)及び式(12)より、下式が得られる。
Figure 2006068884
以上より、XY方向の脚軌道位置が与えられたときに幾何学的に矛盾を生じないための条件式が得られる。
推進するための具体的な関数f(x)として、代表的なものを挙げると、正弦波、半円弧を組み合わせた複合曲線、クロソイド曲線を用いた複合曲線、サーペノイド曲線(曲率の変化率が正弦波)などが考えられる。以上の軌道を両脚で左右対称に描くことで(図19を参照のこと)、Y方向の力を釣り合わせ相殺し、X方向への推進力を得ることができる。すなわち車輪の転がり方向は摩擦係数が少ないが軸方向は摩擦が大きいという抗力の異方性に基づいて、Y方向への運動が推進用受動車輪の回転運動に変換されて、推進方向(ロボットの進行方向すなわちX方向)への推進力を得ることができる。
この脚軌道が各関節の可動範囲・速度上限値内であるか否かの判定を行なう。そして、実現できないようであれば、周期関数f(x)、初期位置yoffsetを変更する(ステップS3)。
さて、胴体座標系から見た足先位置が決められているので、時間微分し、胴体座標系の移動速度を加算することで、絶対座標系から見た足先速度Vlegを求めることができる(ステップS4)。受動車輪が足先速度Vlegで動く場合、車輪に生ずる床面からの反力は、クーロン摩擦条件から下式のように表される。
Figure 2006068884
但し、Ft、Fn、μt、μnはそれぞれ受動車輪転がり方向摩擦力、軸方向摩擦力、転がり方向動摩擦係数、軸方向動摩擦係数である。また、Nは垂直抗力である。よって、この関係から、ロボットに働く反力が求められる(ステップS5)。この力によってロボットは推進することから、加速度を算出することができる(ステップS6)。そして、一階積分することで進行速度を得ることができる(ステップS7)。
上記の式(9)〜式(13)で定められる脚軌道はロボットの進行速度がωのときFn=0となり、車輪軸方向に滑りを生じず、最も移動のエネルギ効率が良くなる平衡速度ωに収束する。したがって、定常状態では多くの場合、進行速度はωとなる。しかしながら、μt、μnの値によってはωに達するまで非常に長い時間を要したり、全く推進できない場合も考えられる。このような場合、再び脚の運動設定のステップに戻り、パラメータの調節を行なう(ステップS8)。そして、設定した進行速度との差が十分小さくなった軌道を用いて、運動を実行する(ステップS9)。
移動速度はωによって変更可能である。実際に実験を行なったところ、移動速度0からおよそ0.5[m/s]までの滑らかな速度変化を確認した。なお、最大推進速度0.5[m/s]は歩行に比しておよそ2倍の高速な移動を実現することができる。
D−2.旋回運動
推進方向を変化させる場合、次式に示すようにオフセットを加えることにより、旋回半径を変更することができる。
Figure 2006068884
このとき、θRoll_offsetにより規定される旋回半径ρoffsetは次式で表される。
Figure 2006068884
図20には、このときの足先軌道の外形を示している。同図では、左右脚のピッチ軸方向オフセットyoffset_L並びにyoffset_Rを合わせて示している。もしこれらのオフセット量が大きければ、自動車で言う内輪差が左右脚に生じ、速度差が発生する。この場合、図16に示したフローチャートのステップ2に戻り、軌道の修正を行なう。しかしながら、旋回半径に比してyoffset_L、yoffset_Rは通常十分に小さいので、軌道修正は多くの場合必要がない。
この場合、オフセット値θRoll_offsetによって連続的に旋回半径が変更されることから、ユーザがインタラクティブに指令値を変更しても対応することができる。このオフセットは一般の乗用車のステアリング操舵角に相当するものであり、直観的に操作し易い。
なお、旋回のためのオフセットを加えることで足首ロール方向の関節可動範囲リミットに制約される場合も考えられる。この場合は左右脚Z高さを変更することで、ロボット全体をロール方向に倒し込み、可動範囲の不足を補うことができる。高速で旋回する場合には、遠心力が無視できなくなるが、ロボット全体を旋回中心側に傾けることで釣り合いを保つことができる。
以上の方法を実装したところ、直進から半径0.5[m]程度の円弧まで滑らかに旋回できることが確かめられた。
E.一方向クラッチを使用する場合
受動車輪内に一方向クラッチを内蔵する場合、推進動作は非常に簡単化することができる。定常直進の場合を例にとると、脚X位置を正弦波で駆動すれば、脚を後方に蹴る動作はクラッチにより推進力となり、逆に前方に復帰する動作は受動車輪が空転することにより、抵抗力にはならない。また、旋回する場合は、XY平面上で曲線となる基準軌道を設定し、その軌道に沿うように往復運動をすることで、直進と同様に推進力を得ることができる。但し、この場合、最大推進速度は足先最大速度であることから、前述の方式の方が優れていると考えられる。
以上、脚位置軌道のみに注目して述べたが、実際に制御する際にはZMP制御則などを用いて、転倒しないように運動を調整することが必要である。また、足底力センサ情報などを用いて、左右脚に均等に荷重が負荷できるよう調節することで、例えば左右で高さが異なるような路面であっても推進することができる。
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
本発明の要旨は、必ずしも「ロボット」と称される製品には限定されない。すなわち、電気的若しくは磁気的な作用を用いて人間の動作に似せた運動を行なう機械装置あるいはその他一般的な移動体装置であるならば、例えば玩具などのような他の産業分野に属する製品であっても、同様に本発明を適用することができる。
また、本明細書では、2足ロボットに本発明を適用した実施形態について説明してきたが、勿論、4足などの多足の移動ロボットに対して本発明を適用することも可能である。
要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
図1は、本発明の実施に供される「人間形」又は「人間型」のロボット装置100が直立している様子を前方から眺望した様子を示した図である。 図2は、本発明の実施に供される「人間形」又は「人間型」のロボット装置100が直立している様子を後方から眺望した様子を示した図である。 図3は、ロボット装置100が具備する関節自由度構成を模式的に示した図である。 図4は、ロボット装置100の制御システム構成を模式的に示した図である。 図5は、本発明の一実施形態に係る滑走ユニットの構成を示した図である。 図6は、本発明の一実施形態に係る滑走ユニットの構成を示した図である。 図7は、本発明の一実施形態に係る滑走ユニットの構成を示した図である。 図8は、本発明の一実施形態に係る滑走ユニットの構成を示した図である。 図9は、本発明の一実施形態に係る滑走ユニットの構成を示した図である。 図10は、受動車輪の構造の一例を示した図である。 図11は、図5〜図9に示した受動車輪機構において、進行方向を変化させるための操舵角を得る仕組みを説明するための図である。 図12は、図5〜図9に示した受動車輪機構を左右の両脚の足部に装着した場合において、制動操作を行なった場合に左右の受動車輪機構がそれぞれ描く軌道を示した図である。 図13は、左右対になっている受動車輪のどちらか一方を外し、一輪のみである場合の受動車輪の下端が描く軌跡を示した図である。 図14は、ピッチ角度θPitchを第1のステー1の設計パラメータとして、θRollとθstrの関係を示した図である。 図15は、ロール角度θRollと操舵角θstrとの関係を示した図である。 図16は、受動車輪機構を利用した脚式移動ロボットの運動を生成するための処理手順を示したフローチャートである。 図17は、足先軌道をロール−ピッチ軸平面上(XY平面上)でピッチ軸方向(Y方向)に振動させ、単脚では蛇行軌道を描く様子を示した図である。 図18は前後輪の軸間距離を示した図である。 図19は、両脚で左右対称に足先軌道を描く様子を示した図である。 図20は、旋回運動を行なう際の足先軌道の外形を示した図である。 図21は、第1のステー1の変形例を示した図である。 図22は、2足脚式ロボットが足先にロール角θRollを与えた様子を示した図である。 図23は、両脚接地期においてスキーのボーゲンのように車輪をハの字に傾けることにより制動するときの挙動を説明するための図である。 図24は、ローラーウォーカーの自由度構成を模式的に示した図である。 図25は、ローラーウォーカーの自由度構成を模式的に示した図である。
符号の説明
1…第1のステー
2…第2のステー
10…足底ベース部
11…ホイル・ステー
100…脚式移動ロボット
101…首関節ヨー軸
102A…第1の首関節ピッチ軸
102B…第2の首関節(頭)ピッチ軸
103…首関節ロール軸
104…肩関節ピッチ軸
105…肩関節ロール軸
106…上腕ヨー軸
107…肘関節ピッチ軸
108…手首関節ヨー軸
109…体幹ピッチ軸
110…体幹ロール軸
111…股関節ヨー軸
112…股関節ピッチ軸
113…股関節ロール軸
114…膝関節ピッチ軸
115…足首関節ピッチ軸
116…足首関節ロール軸
130…頭部ユニット
140…体幹部ユニット
141…腰部ユニット
150…腕部ユニット,151…上腕ユニット
152…肘関節ユニット,153…前腕ユニット
160…脚部ユニット,161…大腿部ユニット
162…膝関節ユニット,163…脛部ユニット
180…制御ユニット,181…主制御部
182…周辺回路
191,192…接地確認センサ
193,194…加速度センサ
195…姿勢センサ
196…加速度センサ

Claims (18)

  1. 1以上の可動脚を備えたロボット装置であって、
    前記可動脚の足先に取り付けられた滑走ユニットと、
    少なくとも可動脚の動作を制御する動作制御手段とを備え、
    前記滑走ユニットは、
    前記可動脚の足部に取り付けられ、XY平面を構成する足部ベース部と、
    前記XY平面と一定の角度をなす2つの傾斜面を前後にそれぞれ有する第1の支持部材と、
    前記の各傾斜面に対し、傾斜面法線方向と平行となるように配設された前方及び後方の受動回転軸と、
    前記の前方及び後方の各受動回転軸に、前記第1の支持部材に対して受動回転軸回りに回動自在にそれぞれ取り付けられた第2の支持部材と、
    前記の前方及び後方の第2の支持部材の左右両端に回転可能にそれぞれ取り付けられた略同軸状の受動車輪とを備える、
    ことを特徴とするロボット装置。
  2. 前記第2の支持部材の前記第1の支持部材に対する回転を拘束する回転拘束手段をさらに備える、
    ことを特徴とする請求項1に記載のロボット装置。
  3. 前記動作制御手段は、足底ベース部のロール角度調節に基づいて第2の支持部材の受動回動軸回りの角度を間接的に変更することにより、前記受動車輪の進行方向を前記ロボット装置のX方向に傾けて操舵角を得る、
    ことを特徴とする請求項1に記載のロボット装置。
  4. 前記ロボット装置は、それぞれ前記滑走ユニットを装着した左右の可動脚を備え、
    前記動作制御手段は、左右の可動脚の足部に対するロール角度調節を同期的に行ない、両脚支持状態で滑走させる、
    ことを特徴とする請求項3に記載のロボット装置。
  5. 前記動作制御手段は、空走状態では車輪転がり方向は進行方向に平行となり、停止状態ではトーイン角を与えるように、左右の可動脚の足部に対するロール角度調節を同期的に行なう、
    ことを特徴とする請求項4に記載のロボット装置。
  6. 前記動作制御手段は、前記XY平面上でY方向の足先軌道を与え、単脚では蛇行軌道を描かせる、
    ことを特徴とする請求項3に記載のロボット装置。
  7. 前記動作制御手段は、前記XY平面上でのY方向への足先軌道を正弦波、半円弧を組み合わせた複合曲線、クロソイド曲線を用いた複合曲線、又はサーペノイド曲線に基づいて与える、
    ことを特徴とする請求項6に記載のロボット装置。
  8. 前記動作制御手段は、左右の可動脚の足部に与えるロール角度に異なるオフセットを与えることにより左右の足先軌道に速度差を与え、前記オフセットに相当する旋回半径を以って進行方向を変化させる、
    ことを特徴とする請求項4に記載のロボット装置。
  9. 前記受動車輪の回転を一方向に限定する手段をさらに備える、
    ことを特徴とする請求項1に記載のロボット装置。
  10. 1以上の可動脚を備え、前記可動脚の足先に滑走ユニットが取り付けられたロボット装置の制御方法であって、
    前記滑走ユニットは、前記可動脚の足部に取り付けられ、XY平面を構成する足部ベース部と、前記XY平面と一定の角度をなす2つの傾斜面を前後にそれぞれ有する第1の支持部材と、前記の各傾斜面に対し、傾斜面法線方向と平行となるように配設された前方及び後方の受動回転軸と、前記の前方及び後方の各受動回転軸に、前記第1の支持部材に対して受動回転軸回りに回動自在にそれぞれ取り付けられた第2の支持部材と、前記の前方及び後方の第2の支持部材の左右両端に回転可能にそれぞれ取り付けられた略同軸状の受動車輪で構成され、
    足底ベース部のロール角度調節に基づいて第2の支持部材の受動回動軸回りの角度を間接的に変更することにより、前記受動車輪の進行方向を前記ロボット装置のX方向に傾けて操舵角を得る動作制御ステップを備える、
    ことを特徴とするロボット装置の制御方法。
  11. 前記ロボット装置は、それぞれ前記滑走ユニットを装着した左右の可動脚を備え、
    前記動作制御ステップでは、左右の可動脚の足部に対するロール角度調節を同期的に行ない、両脚支持状態で滑走させる、
    ことを特徴とする請求項10に記載のロボット装置の制御方法。
  12. 前記動作制御ステップでは、空走状態では車輪転がり方向は進行方向に平行となり、停止状態ではトーイン角を与えるように、左右の可動脚の足部に対するロール角度調節を同期的に行なう、
    ことを特徴とする請求項11に記載のロボット装置の制御方法。
  13. 前記動作制御ステップでは、前記XY平面上でY方向の足先軌道を与え、単脚では蛇行軌道を描かせる、
    ことを特徴とする請求項10に記載のロボット装置の制御方法。
  14. 前記動作制御ステップでは、前記XY平面上でのY方向への足先軌道を正弦波、半円弧を組み合わせた複合曲線、クロソイド曲線を用いた複合曲線、又はサーペノイド曲線に基づいて与える、
    ことを特徴とする請求項13に記載のロボット装置の制御方法。
  15. 前記動作制御ステップでは、左右の可動脚の足部に与えるロール角度に異なるオフセットを与えることにより左右の足先軌道に速度差を与え、前記オフセットに相当する旋回半径を以って進行方向を変化させる、
    ことを特徴とする請求項11に記載のロボット装置の制御方法。
  16. 複数の可動脚を備え脚式移動動作を行なうロボット装置に対して適用され、前記可動脚の動作に応じた受動的な回転作用を生じて推進力を得る受動車輪装置であって、
    前記可動脚の足部に取り付けられ、XY平面を構成する足部ベース部と、
    前記XY平面と一定の角度をなす2つの傾斜面を前後にそれぞれ有する第1の支持部材と、
    前記の各傾斜面に対し、傾斜面法線方向と平行となるように配設された前方及び後方の受動回転軸と、
    前記の前方及び後方の各受動回転軸に、前記第1の支持部材に対して受動回転軸回りに回動自在にそれぞれ取り付けられた第2の支持部材と、
    前記の前方及び後方の第2の支持部材の左右両端に回転可能にそれぞれ取り付けられた略同軸状の受動車輪と、
    を具備することを特徴とする受動車輪装置。
  17. 前記第2の支持部材の前記第1の支持部材に対する回転を拘束する回転拘束手段をさらに備える、
    ことを特徴とする請求項16に記載の受動車輪装置。
  18. 前記受動車輪の回転を一方向に限定する手段をさらに備える、
    ことを特徴とする請求項16に記載の受動車輪装置。
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