JP2013114763A - 荷電粒子線装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 X線検出器を備えた荷電粒子線装置において、X線検出器12(25〜30)のX線検出面と同軸上に第一の反射電子検出器15がX線検出器12と一体もしくは独立して配置され、X線検出器12によりX線信号を、第一の反射電子検出器15により反射電子信号を同時もしくは個別に検出する。
【選択図】図1
Description
(実施例1)
本発明の第1の実施例について、図1〜図4を用いて説明する。図1は本実施例に係る荷電粒子線装置である走査電子顕微鏡の全体概略構成図である。図1に示す走査電子顕微鏡1は、電子源2と当該電子源2より放出される一次電子ビーム3を収束するコンデンサレンズ4と、一次電子ビーム3を走査する偏向コイル5と、一次電子ビーム3の焦点を合わせる対物レンズ6を含む電子光学系7と、前記電子光学系7の条件を制御する電子光学系制御部8と、試料室9と、被検出対象としての試料10への一次電子ビーム3の照射によって試料10より発生する二次電子を検出する二次電子検出器11と、特性X線を検出するエネルギー分散形のX線検出器12と前記X線検出器12から出力される信号を処理して分析を行う信号処理制御部13と、試料室9から吊り下げられたアーム14に固定された反射電子を検出するCoax−BSE検出器15と、対物レンズ6下面に配置したtop−BSE検出器16と、前記二次電子検出器11および前記Coax−BSE検出器15および前記top−BSE検出器16から出力される画像信号を処理して画像を形成する画像形成制御部17と、SEM全体制御部18に接続された表示部としての画像表示端末19と、水平方向2軸、回転方向、傾斜方向、垂直方向の計5軸をモータードライブ等で操作することができ、試料10の位置情報を把握できる試料微動装置20を備え、真空配管21を介して試料室9に接続された真空ポンプ22等により構成される。なお、同一符号は同一構成要素を示す。また、ここでは、電子光学系制御部8、信号処理制御部13、画像形成制御部17、SEM全体制御部18と夫々個別に制御部が構成されるように説明したが、これらを一つの制御部として構成されるようにしても良い。
なお、本実施例のCoax−BSE検出器15はエネルギー分散型のX線検出器12を備える走査電子顕微鏡だけでなく、波長分散型X線分析装置を備える走査電子顕微鏡、またはその類似装置においても適用可能である。
以上、本実施例によれば、X線元素分析を行う前段階においてX線分析に適した試料上の位置を評価・判別でき、分析者が高い信頼性を確保した分析を手戻り無く、短時間に行うことができる荷電粒子線装置を提供することができる。
(実施例2)
第2の実施例について図5(a)(b)を用いて説明する。図5(a)は本実施例に係る荷電粒子線装置である走査電子顕微鏡におけるCoax−BSE検出器の概略斜視図、図5(b)はCoax−BSE検出器とtop−BSE検出器の概略配置図である。Coax−BSE検出器15がX線検出器12先端部に固定されている点以外は実施例1で示したものと同様である。
以上、本実施例によれば、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、X線検出器とCoax−BSE検出器を一体型とすることにより、互いの位置合わせが不要となり信頼性の高い分析を容易に行うことが可能となる。
(実施例3)
第3の実施例について、図6、図7を用いて説明する。図6は、本実施例に係る荷電粒子線装置である走査電子顕微鏡1におけるX線検出器先端部に配置した反射電子検出器の概略斜視図である。BSE検出器45の形状が図2や図5(a)に示すものと異なり、中心位置がX線検出器12の軸上に存在せず非同軸である。ここでは、BSE検出器の非同軸の位置が、X線検出器のX線検出面と同軸を取り囲む領域の一部を占める位置となっている。なお、非同軸であるという点以外は実施例1で示したものと同様である。
また、試料10に対してX線検出器12のX線検出面が配置される方向と同方向であって試料10で発生し、そのまま直進する反射電子を検出可能な位置に、BSE検出器45を配置すればよい。ここで試料10に対してX線検出器12のX線検出面が配置される方向と同方向とは、上述したBSE検出器45の中心位置は点線(1)、(2)よりも内側に配置することをいい、試料10で発生し、そのまま直進する反射電子を検出可能な位置とは、上述したBSE検出器45の中心位置を領域III、IVに配置することをいうものとする。
また、BSE検出器45を、X線検出器12先端の検出面よりも前方、つまりX線検出器12の先端と試料との間に配置することも可能である。さらに、BSE検出器45をX線検出器12の先端部に配置することも可能である。ここで、BSE検出器45をX線検出器12の先端部に配置するとは、X線検出器12の先端にBSE検出器45を直接配置する場合も、X線検出器12の先端近傍に接するようにBSE検出器45を配置する場合も含まれ、また、X線検出器12の先端であって当該検出器軸と同軸上にBSE検出器45を配置するものも含まれ、上述したX線検出器12の先端と試料との間であって、BSE検出器45の中心位置を領域III、IVに配置するものも含まれるものとする。
以上、本実施例によれば、X線元素分析を行う前段階においてX線分析に適した試料上の位置を評価・判別でき、分析者が高い信頼性を確保した分析を手戻り無く、短時間に行うことができる荷電粒子線装置を提供することができる。
(実施例4)
第4の実施例について、図8〜図12を用いて説明する。図8は本実施例に係る荷電粒子線装置である走査電子顕微鏡1におけるCoax−BSE検出器の移動機構の例を示した概略図である。本実施例においては、Coax−BSE検出器15の中心に穴が開いておらず、X線検出器12前面の軸上への挿入・退避機構を有していることで、X線検出器12の方向、即ちX線検出器12に完全同軸上に弾性散乱した反射電子のみによる反射電子像を得ることができるという点以外は実施例1で示したものと同様である。
実施例1乃至3および本実施例において、第一の反射電子検出器の配置位置に関して説明した。どの構成でも適切な分析位置の判別は可能であるが、判別精度はそれぞれ異なる。X線検出器12と同軸かつX線検出器12の先端部に配置した場合、得られる反射電子像はX線検出器12から見た試料表面の形状情報を最もよく反映した像となるため、最も正確に分析位置を判別可能である。以降、X線検出器12の先端部に配置した場合、X線検出器12と同方向に配置した場合、の順に判別精度は低下する。
以上、本実施例によれば、X線元素分析を行う前段階においてX線分析に適した試料上の位置を評価・判別でき、分析者が高い信頼性を確保した分析を手戻り無く、短時間に行うことができる荷電粒子線装置を提供することができる。また、Coax−BSE検出器をX線検出器前面の軸上への挿入・退避機構を備えることにより、Coax−BSE検出器の中心に穴を設ける必要がなく、X線検出器に完全同軸上に弾性散乱した反射電子による反射電子像を得ることができ、よりX線分析に適した試料上の位置を評価・判別できる。
(実施例5)
第5の実施例について、図13〜図15を用いて説明する。本実施例では実施例1で示した走査電子顕微鏡を用いてX線の検出効率が高い場所を自動的に判別する方法について説明する。なお、実施例1乃至4の何れかに記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情がない限り本実施例にも適用することができる。なお、走査電子顕微鏡の動作は、例えばSEM全体制御部18等の、制御部により制御される。本実施例では、top−BSE検出器16を使用せず、Coax−BSE検出器15のみを使用してX線元素分析可能位置の判別を行う。図13は本実施例での最適なX線分析位置を得るための処理フローを示したもの、図14は実際にCoax−BSE検出器15により取得したCoax−BSE像を用いて図13の処理フローを説明したもの、図15は分析位置判別時に表示するウィンドウを示したものである。
STEP1(図13のS131):
Coax−BSE検出器15により、Coax−BSE像を取得する(図14(a))。この時得られる画像の画素数は横方向m画素、縦方向n画素であるとし、画像を図14(b)に示す。
STEP2(S132):
STEP1にて得られたCoax−BSE像を、例えば8bitで量子化し256階調のグレースケール画像で表現した場合、全画素のコントラスト値に対し標準化を行い、画像のコントラスト最小値を0に、コントラスト最大値を255に合わせる。
STEP3(S133):
コントラスト値に対してある閾値Rthを設け、STEP2で標準化したコントラスト値とRthを比較し、標準化したコントラスト値がRth以上ならば分析に適した場所、Rth未満ならば分析に適さない場所と判別する。コントラスト値は標準化を行っているため、Rthのデフォルト値を設けることは可能であるが、図15(a)のウィンドウにより分析者が任意に設定してもよい。
STEP1A:
Coax−BSE検出器15により、Coax−BSE像を取得する。この時得られる画像の画素数は横方向m画素、縦方向n画素であるとする。
STEP2A:
STEP1Aにて得られたCoax−BSE像を、例えば8bitで量子化し256階調のグレースケール画像で表現した場合、全画素のコントラスト値に対し標準化を行い、画像のコントラスト最小値を0に、コントラスト最大値を255に合わせる。
STEP3A:
例えば画像を横x、縦yに分割し、判別の最小領域を定義する。xおよびyは図15(b)のウィンドウにより分析者が任意に設定可能とする。
STEP4A:
STEP3Aで定義した領域単位でコントラスト値の平均をとり、平均化した値がRth以上ならば分析に適した場所、Rth未満ならば分析に適さない場所と判別する。コントラスト値は標準化を行っているため、Rthのデフォルト値を設けることは可能であるが、図15(b)のウィンドウにより分析者が任意に設定してもよい。
以上、本実施例によれば、X線元素分析を行う前段階においてX線分析に適した試料上の位置を自動で評価・判別でき、分析者が高い信頼性を確保した分析を手戻り無く、短時間に行うことができる荷電粒子線装置を提供することができる。
(実施例6)
第5の実施例について、図16〜図19を用いて説明する。本実施例では実施例1で示した走査電子顕微鏡を用い、top−BSE像、及びCoax−BSE像を用いてX線の検出効率が高い場所を自動的に判別する方法について説明する。なお、実施例1乃至4の何れかに記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情がない限り本実施例にも適用することができる。なお、走査電子顕微鏡の動作は、例えばSEM全体制御部18等の、制御部により制御される。図16は本実施例での最適なX線分析位置を得るための処理フローを示したもの、図17および図18は、実際にtop−BSE検出器16およびCoax−BSE検出器15により取得したtop−BSE像およびCoax−BSE像を用いて図16の処理フローを説明したもの、図19は分析位置判別時に表示するウィンドウを示したものである。
STEP1(図16のS161):
top−BSE検出器16により、top−BSE像を取得する(図17(a))。このとき得られる画像の画素数は横方向i画素、縦方向j画素であるとし、画像を図17(c)に示す。
STEP2(S162):
Coax−BSE検出器15により、Coax−BSE像を取得する(図17(b))。このとき得られる画像の画素数はtop−BSE像と同じく横方向i画素、縦方向j画素であり、画像を図17(d)に示す。例えば、STEP1(S161)、STEP2(S162)で得られるtop−BSE像とCoax−BSE像を同時取得する場合、一次電子ビーム3の走査範囲にずれはないため画素の位置ずれは発生しない。そのため、双方の画像を比較する前にパターンマッチング等の画像の位置を特定する処理を行う必要はない。
STEP3(S163):
STEP1(S161)、STEP2(S162)にて得られたtop−BSE像とCoax−BSE像を、例えば8bitで量子化し256階調のグレースケール画像で表現した場合、全画素のコントラスト値に対し標準化を行い、画像のコントラスト最小値を0に、コントラスト最大値を255に合わせる。
STEP4(S164):
例えば画像を横x、縦yに分割し、図18(a)、(b)のように判別の最小領域を定義する。x及びyは図19のウィンドウにより分析者が任意に設定可能とする。また、判別の最小領域の横及び縦の画素数をそれぞれp、qとする。
STEP5(S165):
STEP4(S164)で定義した領域単位で類似度を計算する。類似度の計算方法にはコントラスト値の平均を用いるもの、同一画素に対する濃度値の相関値を用いるもの、ヒストグラムの形状の類似比較を用いるもの等があるが、いずれの手法を用いても良い。ここでは便宜上コントラスト値の平均を用いる。それぞれの画像における単位領域のコントラスト値の比を取ることで類似度と定義する。
STEP6(S166):
STEP5(S165)で求めた類似度に対してある閾値Rthを設け、類似度がRth以上ならば分析に適した場所、Rth未満ならば分析に適さない場所と判別する。Rthは図19のウィンドウにより、類似度の計算方法に応じて分析者が任意に設定可能とする。例えば類似度の計算にコントラスト値の平均を用いた場合は、Rthは0〜255の整数とする。
以上、本実施例によれば、X線元素分析を行う前段階においてX線分析に適した試料上の位置を自動で評価・判別でき、分析者が高い信頼性を確保した分析を手戻り無く、短時間に行うことができる荷電粒子線装置を提供することができる。
(実施例7)
第7の実施例について図20を用いて説明する。図20は分析可能位置と不可能位置を画像表示端末上へ表示する方法を示した図である。本実施例において、実施例5の図13や実施例6の図16に示す処理フローを行った結果、適切な分析位置と不適切な分析位置を判別することができた場合の画像表示端末上への表示方法について説明する。なお、実施例1乃至6のいずれかに記載され、本実施例に未記載の事項は、特段の事情がない限り本実施例にも適用することができる。
Claims (13)
- X線検出器を備えた荷電粒子線装置において、
前記X線検出器のX線検出面と同軸上に第一の反射電子検出器が前記X線検出器と一体もしくは独立して配置され、前記X線検出器によりX線信号を、前記第一の反射電子検出器により反射電子信号を同時もしくは個別に検出する機能を有していることを特徴とする荷電粒子線装置。 - X線検出器を備えた荷電粒子線装置において、
前記X線検出器のX線検出面と非同軸の位置に第一の反射電子検出器が前記X線検出器と一体もしくは独立して配置され、前記X線検出器によりX線信号を、前記第一の反射電子検出器により反射電子信号を同時もしくは個別に検出する機能を有していることを特徴とする荷電粒子線装置。 - X線検出器を備えた荷電粒子線装置において、
前記X線検出器の周囲に配置された第一の反射電子検出器を前記X線検出器のX線検出面の前面かつX線光軸上へ挿入、または前記X線検出器のX線検出面の前面かつX線光軸上に配置された第一の反射電子検出器を前記X線検出器の周囲に退避させる機構を有し、前記X線検出器によりX線信号を、前記第一の反射電子検出器により反射電子信号を同時もしくは個別に検出する機能を有していることを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の荷電粒子線装置において、
二次電子検出器および一次荷電粒子線光軸上に第二の反射電子検出器を更に備え、
前記X線検出器のX線検出面前段に配置した前記第一の反射電子検出器により得られる第一の反射電子像と、前記一次荷電粒子線光軸上に配置された前記第二の反射電子検出器により得られる第二の反射電子像、および前記二次電子検出器から得られる二次電子像を、それぞれ個別に、もしくは同時に取得し、画面上に個別に、もしくは同時に表示する機能を有することを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の荷電粒子線装置において、
前記第一の反射電子検出器により得られる前記第一の反射電子像を用いて、前記第一の反射電子像における画素毎の反射電子信号量を解析し、前記荷電粒子線装置による観察範囲のX線検出効率を少なくとも評価もしくは判別する機能を有することを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項4記載の荷電粒子線装置において、
前記第二の反射電子検出器による前記第二の反射電子像及び前記第一の反射電子検出器による前記第一の反射電子像を用いて、画像処理解析を実施し、前記荷電粒子線装置による観察範囲のX線検出効率を少なくとも評価もしくは判別する機能を有することを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項5もしくは請求項6記載の荷電粒子線装置において、
前記観察範囲のX線検出効率もしくはその判別結果を前記第二の反射電子像、または前記二次電子像、あるいはその両方に重ねて表示する、または前記観察範囲がX線元素分析可能であるかどうかをダイアログ表示する機能を有することを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項2記載の荷電粒子線装置において、
前記非同軸の位置とは、第一の反射電子検出器の検出面の中心と試料の分析点とを通る反射電子の光軸が、X線検出器のX線検出面の中心と試料の分析点とを通るX線光軸を取り囲む領域の一部を占める位置であることを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項1記載の荷電粒子線装置において、
前記第一の反射電子検出器は、前記X線検出面と同軸上にX線が通過する穴を有することを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項3記載の荷電粒子線装置において、
前記第一の反射電子検出器は、前記X線検出面と同軸上の反射電子を検出するものであることを特徴とする荷電粒子線装置。 - X線検出器を備えた荷電粒子線装置において、
被検出対象に対して前記X線検出器のX線検出面が配置される方向と同方向であって前記被検出対象からの直進する反射電子を検出可能な位置に、第一の反射電子検出器が配置され、前記X線検出器によりX線信号を、前記第一の反射電子検出器により反射電子信号を同時もしくは個別に検出する機能を有していることを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項1、2又は11に記載の荷電粒子線装置において、
前記第一の反射電子検出器は、前記X線検出器の先端部に配置されていることを特徴とする荷電粒子線装置。 - 請求項1、2又は11に記載の荷電粒子線装置において、
第一の反射電子検出器の検出面の中心と試料の分析点とを通る反射電子の光軸と、X線検出器のX線検出面の中心と試料の分析点とを通るX線光軸とのなす角が0°以上20°以下であることを特徴とする荷電粒子線装置。
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