JP2013114751A - 非水系二次電池用セパレータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】前記耐熱層は、セラミックスと増粘剤と分散剤とを含有するペースト状の耐熱層用塗工液を、前記基材の表面に塗工することによって形成され、前記増粘剤の固形分率は0.06wt%以上0.2wt%以下であり、また前記分散剤の固形分率は0.3wt%となっている。
【選択図】図2
Description
ここで、このような非水系二次電池(リチウムイオン二次電池)においては、正極と負極との間に介在するセパレータの劣化や異物混入により電池に内部短絡が発生して、電池内部の温度(以下、「電池温度」と記載する)が急激に上昇することがあり、さらに急激な温度上昇によりセパレータが溶融するおそれがある。
このようなことから、前記非水系二次電池においては、電池温度の急激な上昇に伴うセパレータの溶融を防止するために、従来から、セパレータに耐熱層(Heat Resistance Layer)を形成することが試みられている(例えば、「特許文献1」を参照。)。
つまり、前記耐熱層が形成されたセパレータを非水系二次電池の内部に設ければ、多くの水分が非水系二次電池内に持ち込まれることになり、該非水系二次電池の電池容量の低下の原因となる。
即ち、本発明における非水系二次電池用セパレータによれば、非水系二次電池の本体内部への水分の持込量が少なくてすみ、該非水系二次電池の電池容量の劣化を効果的に防止することができる。
先ず始めに、本発明者が、本発明に係る非水系二次電池用セパレータを完成させるに至った経緯について説明する。
例えば、リチウムイオン二次電池などからなる非水系二次電池においては、正極と負極との間に介在するセパレータの劣化や異物混入により生じる内部短絡に因る電池温度の急激な上昇を防ぐため、従来から、耐熱層によってセパレータを被覆する技術が知られている。
その一方で、セパレータの表面にこのような耐熱層を設けた場合、前記耐熱層には、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)からなる増粘剤が添加されるが、該増粘剤は一般的に吸湿性を備えるため、前記セパレータの含水量が全体的に増加することとなって、非水系二次電池内部への水分の持込が発生し、電池容量の低下の原因となることも知られている。
また、前記耐熱層用塗工液には、少なくとも塗工作業を適度に行い得るだけの粘度が、予め付与されている必要があり、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)からなる増粘剤を予めセラミックス溶液に添加することによって、耐熱層用塗工液の粘度を確保することとしている。
これに対して、非水系二次電池内部に持ち込まれる水分量を低減するために、耐熱層用塗工液が含有する増粘剤の割合(固形分率)を少なくすると、塗工作業を可能にし得るだけの粘度を確保することが困難となる。
なおNV(Non−Volatiles)値とは、前記耐熱層用塗工液に対する固形分(耐熱層用塗工液から溶媒を除いた成分)の、含有率を示すものである。
次に、本発明を具現化する非水系二次電池用のセパレータを備える、非水系二次電池の構成について説明する。
本実施例における非水系二次電池は、所謂リチウムイオン二次電池であって、例えば、シート状の正極及び負極を備えた電極体を、巻回した状態で電池ケース内に収容することによって、円筒型電池や角型電池として構成される。
このように、非水系二次電池には、正極や負極やセパレータなどからなる電極体や、該電極体を保持する電池ケースなどが備えられており、前記電解液としては非水電解液が用いられている。
前記非水溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、などのカーボネート類を用いることが好ましいが、これらに限定されるものではない。また、非水溶媒は一種を単独で用いることもできるが、二種以上を組み合せて用いるのが好ましい。
一方、溶質については、LiPF6などのリチウム塩が用いられる。
また、増粘剤としては、例えばCMCが用いられる。
負極については、リチウムイオンを充電時には吸蔵し、かつ放電時には放出する特性を有する負極活製物質を用いることができれば、特に限定されるものではない。このような特性を有する材料としては、例えば、リチウム金属や、グラファイトや、非晶質炭素等の炭素材料などが挙げられる。
その中でも、リチウムイオンの充放電に伴い電圧変化の比較的大きい炭素材料を使用することが好ましく、結晶性の高い天然黒鉛や人造黒鉛などからなる炭素材料を用いるのがより好ましい。
そして、負極は、例えば前記負極活物質に、結着材としての「スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)」、および増粘剤としての「CMC」を添加することにより構成される。
セパレータは、非水電解液を保持しつつ、正極及び負極を電気的に絶縁するためのものである。
ここで、本実施例におけるセパレータは、電気絶縁性の多孔質膜からなる基材と、該基材の表面に形成される耐熱層(HRL層:Heat Resistance Layer層)とを備えている。
なお、前記耐熱層は、少なくとも前記基材の正極側の表面に形成されていることが必要であるが、正極側及び負極側の双方の表面に形成されていてもよい。
一方、耐熱層を構成する材料としては、前記基材に比べて融点が高いことが好ましく、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)などのセラミックスによって構成される。
先ず、セラミックスを溶媒に分散させて、セラミックス溶液を生成する。この際、溶媒としては、例えばアセトンやヘキサンなどの有機溶媒を用いることが考えられるが、本実施例におけるセパレータにおいては、環境保護や経済性などの観点から、蒸留水が用いられている。
ここで、前記増粘剤としてはCMCが用いられ、その固形分率は0.06[wt%]以上0.2[wt%]以下となっている。また、前記分散剤としてはポリアクリル酸ナトリウムが用いられ、その固形分率は0.3[wt%]となっている。
なお、これらCMCやポリアクリル酸ナトリウムに関する各々の固形分率は、後述する検証実験に基づいて、導き出された数値である。
また、この際の耐熱層用塗工液のNV値は、NV70[%]に設定される。
その後、前記耐熱層用塗工液が塗工されたセパレータは、略常温の雰囲気中にて一定時間放置され、凝固液中に浸漬された後、基材の融点以下の温度によって乾燥される。
こうして、基材表面に耐熱層が形成されたセパレータが製造される。
また、本実施例においては、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウムを用いているが、これに限定されるものではなく、例えば、ポリカルボン酸ナトリウムやポリアクリル酸アンモニウムなどを用いてもよい。
次に、耐熱層用塗工液のNV値や、耐熱層用塗工液における増粘剤及び分散剤の添加量に関する適切な割合(固形分率)を導き出すために、本発明者が行った検証実験について、図1及び図2を用いて説明する。
先ず始めに、蒸留水からなる溶媒に酸化アルミニウムを分散させて、セラミックス溶液を生成した。
このAタイプ塗工液においては、NV値がNV70[wt%]となるように調製した。
また、Aタイプ塗工液において、ポリアクリル酸ナトリウムの割合(固形分率)については、一律0.3[wt%]とし、CMCの割合(固形分率)については、およそ0.0[wt%]〜1.5[wt%]の範囲内における複数種類のものを用意した。
このBタイプ塗工液においては、NV値がNV47[wt%]となるように調製した。
また、Bタイプ塗工液において、CMCの割合(固形分率)については、およそ0.0[wt%]〜1.5[wt%]の範囲内における複数種類のものを用意することとした。
そして、このようなAタイプ塗工液、及びBタイプ塗工液の種類ごとに、ポリプロピレン(PP)の多孔質膜からなる基材を各々用意し、既知のグラビアコーター方式による塗工装置を用いて、前記基材の表面に、これら複数のAタイプ塗工液、及びBタイプ塗工液をそれぞれ塗工した。
これにより、基材の表面上に耐熱層が形成され、NV値や、増粘剤及び分散剤に関する割合(固形分率)が相異する耐熱層用塗工液から形成された耐熱層を備える、複数種類のセパレータをサンプルとして得ることができた。
なお、本図においては、各固形分率について複数のサンプルを測定した結果得られた複数の水分率の測定値のうち、最大の測定値(図1における、黒塗り四角形状のドットによって示された測定値)、及び最小の測定値(図1における、白塗り四角形状のドットによって示された測定結果)について、主に表示している。
そこで、前記直線L1が、セパレータ全体の水分率600[ppm]を示す直線(図1における直線M1)と交差する点(図1における交点A1)について、増粘剤(CMC)の固形分率を見てみると、その値は0.2[wt%]であることが示されている。
よって、非水系二次電池に内装されるセパレータの水分率を600[ppm]以下に保持するためには、耐熱層用塗工液中における増粘剤(CMC)の固形分率を0.2[wt%]以下とする必要があることが分かる。
なお、本図において、Aタイプ塗工液(即ち、NV値がNV70[%]である耐熱層用塗工液)に関する測定結果は、複数の白塗り四角形状のドットと、これらドットをトレースした直線L3とによって示されている。また、Bタイプ塗工液(即ち、NV値がNV47[%]である耐熱層用塗工液)に関する測定結果は、複数の黒塗り菱角形状のドットと、これらドットをトレースした直線L4とによって示されている。
そこで、Aタイプ塗工液に関する前記直線L3が、耐熱層用塗工液のペースト粘度1000[mPa・s]を示す直線(図2における直線M2)と交差する点(図2における交点A2)について、増粘剤(CMC)の固形分率を見てみると、その値は0.06[wt%]であることが示されている。
よって、耐熱層用塗工液のペースト粘度を1000[mPa・s]以上に保持するためには、耐熱層用塗工液中における増粘剤(CMC)の固形分率を0.06[wt%]以上とする必要があることが分かる。
つまり、NV値がNV47[%]である耐熱層用塗工液(Bタイプ塗工液)においては、該耐熱層用塗工液のペースト粘度を1000[mPa・s]以上に保持しつつ、非水系二次電池に内装されるセパレータの水分率を600[ppm]以下に保持することは、不可能なのである。
従って、本実施例における非水系二次電池用セパレータによれば、非水系二次電池の本体内部への水分の持込量が少なくてすみ、該非水系二次電池の電池容量の劣化を効果的に防止することができるのである。
A2 交点
A3 交点
L1 直線
L2 直線
L3 直線
L4 直線
M1 直線
M2 直線
Claims (2)
- 多孔質膜からなる基材と、該基材の表面を被覆する耐熱層と、を備える非水系二次電池用セパレータであって、
前記耐熱層は、
セラミックスと増粘剤と分散剤とを含有するペースト状の耐熱層用塗工液を、前記基材の表面に塗工することによって形成され、
前記増粘剤の固形分率は0.06wt%以上0.2wt%以下であり、また
前記分散剤の固形分率は0.3wt%である、
ことを特徴とする非水系二次電池用セパレータ。 - 前記増粘剤はカルボキシメチルセルロースであり、また
前記分散剤はポリアクリル酸ナトリウムである、
ことを特徴とする、請求項1に記載の非水系二次電池用セパレータ。
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