JP2013108866A - センサー装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のセンサー装置1は、電気抵抗体3と、電気抵抗体3に対して離間して設けられた電気抵抗体4と、電気抵抗体3上に設けられ、毛管凝縮効果を生じるように厚さ方向に貫通する貫通孔82を有する絶縁膜8と、電気抵抗体4上に設けられ、毛管凝縮効果を実質的に生じないように厚さ方向に貫通する貫通孔92を有する絶縁膜9と、電気抵抗体3、4の抵抗値をそれぞれ測定する機能を有する機能素子51とを備える。
【選択図】図3
Description
施工直後のコンクリート構造物中のコンクリートは、通常、強アルカリ性を呈する。そのため、施工直後のコンクリート構造物中の鉄筋は、その表面に不動態膜が形成されるため、安定である。しかし、施工後に酸性雨や排気ガス等の影響を受けたコンクリート構造物は、コンクリートが徐々に酸性化していくため、鉄筋が腐食することとなる。
特許文献1に係るセンサー装置では、細線が切断されたタイミングにより、コンクリート構造物中の鉄筋の腐食が始まった時期を知ることは可能である。しかし、特許文献1に係るセンサー装置では、細線が腐食し始めてから切断に至るまでの間に鉄筋の腐食が進行してしまい、鉄筋の腐食前に予防的または計画的な保全を行うことができないという課題があった。
本発明のセンサー装置は、第1の電気抵抗体と、
前記第1の電気抵抗体に対して離間して設けられた第2の電気抵抗体と、
前記第1の電気抵抗体上に設けられ、毛管凝縮効果を生じるように厚さ方向に貫通する貫通孔を有する絶縁膜と、
前記第1の電気抵抗体および前記第2の電気抵抗体の抵抗値をそれぞれ測定する機能を有する機能素子とを備えることを特徴とする。
そのため、第1の電気抵抗体の抵抗値に基づいて、塩化物イオンの侵入(塩害)を検知し、また、第2の電気抵抗体の抵抗値に基づいて、二酸化炭素の侵入(中性化)を検知することができる。
このようなことから、コンクリートの品質劣化を防止しつつ、測定対象物の状態を測定し、その測定結果に基づく情報を鉄筋の腐食前の計画的または予防的な保全に活用することができる。
前記第1の電気抵抗体に対して離間して設けられた第2の電気抵抗体と、
前記第1の電気抵抗体上に設けられ、毛管凝縮効果を生じるように厚さ方向に貫通する第1の貫通孔を有する第1の絶縁膜と、
前記第2の電気抵抗体上に設けられ、毛管凝縮効果を実質的に生じないように厚さ方向に貫通する第2の貫通孔を有する第2の絶縁膜と、
前記第1の電気抵抗体および前記第2の電気抵抗体の抵抗値をそれぞれ測定する機能を有する機能素子とを備えることを特徴とする。
そのため、第1の電気抵抗体の抵抗値に基づいて、塩化物イオンの侵入(塩害)を検知し、また、第2の電気抵抗体の抵抗値に基づいて、二酸化炭素の侵入(中性化)を検知することができる。
このようなことから、コンクリートの品質劣化を防止しつつ、測定対象物の状態を測定し、その測定結果に基づく情報を鉄筋の腐食前の計画的または予防的な保全に活用することができる。
これにより、比較的簡単に、毛管凝縮効果を生じるように第1の貫通孔を形成するとともに、毛管凝縮効果を実質的に生じないように第2の貫通孔を形成することができる。
本発明のセンサー装置では、前記第1の絶縁膜および前記第2の絶縁膜は、それぞれ、多孔質体で構成されていることが好ましい。
これにより、比較的簡単に、毛管凝縮効果を生じるように第1の貫通孔を形成するとともに、毛管凝縮効果を実質的に生じないように第2の貫通孔を形成することができる。
前記第1の絶縁膜は、前記第1の電気抵抗体の長手方向での一部の表面に接触していることが好ましい。
これにより、第1の電気抵抗体を局所的に腐食させ、第1の電気抵抗体を腐食により切断されやすくすることができる。
これにより、電気抵抗体の腐食を促進することができる。
本発明のセンサー装置では、前記第1の絶縁膜および前記第2の絶縁膜は、それぞれ、耐アルカリ性を有する材料から構成されていることが好ましい。
これにより、測定対象部位がコンクリートである場合であっても、第1の絶縁膜および第2の絶縁膜の耐久性を優れたものとすることができる。そのため、コンクリートの状態を長期に亘り安定して測定することができる。
これにより、測定対象部位のpHが所定値以上である場合に、第1の電気抵抗体および第2の電気抵抗体の表面に不動態膜が形成される。そのため、測定対象部位のpHが所定値以上であるか否かにより、第1の電気抵抗体および第2の電気抵抗体の二酸化炭素による腐食されやすさが急激に変化する。このようなことから、第1の電気抵抗体または第2の電気抵抗体の抵抗値に基づいて、測定対象部位に二酸化炭素が侵入したことを高精度に検知することができる。
これらの金属は比較的安価で入手が容易である。また、例えば、センサー装置をコンクリート構造物の状態測定に用いた場合、第1の電気抵抗体および第2の電気抵抗体をコンクリート構造物中の鉄筋と同一材料(または近似した材料)で構成することが可能であり、コンクリート構造物中の鉄筋の腐食状態を効果的に検知することができる。
これにより、測定対象物のpH変化あるいは塩化物イオン濃度変化に伴う状態変化を検知することができる。
本発明のセンサー装置は、アンテナと、前記アンテナに給電する機能を有する通信用回路とを有し、
前記機能素子は、前記通信用回路を駆動制御する機能をも有することが好ましい。
これにより、無線により測定対象物の外部へ測定結果を送信することができる。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るセンサー装置の使用状態の一例を示す図、図2は、図1に示すセンサー装置の概略構成を示すブロック図、図3は、図2に示す電気抵抗体および機能素子を説明するための平面図、図4は、図2に示す電気抵抗体を説明するための断面図(図3中のA−A線断面図)、図5は、図2に示す電気抵抗体(第1の電気抵抗体)を説明するための拡大断面図、図6は、図2に示す電気抵抗体(第2の電気抵抗体)を説明するための拡大断面図である。
図1に示すセンサー装置1は、コンクリート構造物100の品質を測定するものである。
コンクリート構造物100は、コンクリート101内に複数の鉄筋102が埋設されている。そして、センサー装置1は、コンクリート構造物100のコンクリート101内の鉄筋102付近に埋設されている。なお、センサー装置1は、コンクリート構造物100の打設する際に、コンクリート101の打設前に鉄筋に固定して埋め込んでもよいし、打設後に硬化したコンクリート101に穿孔して埋め込んでもよい。
また、センサー装置1は、図2に示すように、電気抵抗体3および電気抵抗体4にそれぞれ電気的に接続された機能素子51と、電源52と、温度センサー53と、通信用回路54と、アンテナ55と、発振器56とを有し、これらが本体2内に収納されている。
(本体)
本体2は、電気抵抗体3、電気抵抗体4および機能素子51等を支持する機能を有する。
このような本体2は、図3および図4に示すように、電気抵抗体3、電気抵抗体4および機能素子51を支持する基板21を有する。なお、基板21は、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56をも支持するが、図3および図4では、説明の便宜上、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56の図示を省略している。
この基板21上には、例えばソルダーレジストのような絶縁性の樹脂組成物で構成された絶縁層23が設けられている。そして、この絶縁層23を介して基板21上には、電気抵抗体3、電気抵抗体4および機能素子51が実装されている。
また、本体2は、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を収納する機能を有する。
具体的には、図3および図4に示すように、本体2は、封止部24を有する。この封止部24は、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を封止する機能を有する。これにより、センサー装置1を水分やコンクリートの存在下に設置した場合に、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56の劣化を防止することができる。
なお、封止部24は、必要に応じて設ければよく、省略することもできる。
電気抵抗体3および電気抵抗体4は、図4に示すように、それぞれ、前述した本体2の基板21上に設けられている。特に、電気抵抗体3および電気抵抗体4は、同一平面上に設けられている。そのため、電気抵抗体3および電気抵抗体4の設置環境の差が生じるのを防止することができる。
この電気抵抗低3、4は、それぞれ、酸または塩化物イオンにより腐食するものである。そのため、電気抵抗体3、4は、酸または塩化物イオンの環境下で、腐食により切断される。
また、電気抵抗体3は、電気抵抗体4よりも長尺となっている。なお、電気抵抗体3、4の長さの関係は、これに限定されず、例えば、電気抵抗体4が電気抵抗体3よりも長尺であってもよいし、電気抵抗体の長さと電気抵抗体4の長さが等しくてもよい。
これにより、測定対象部位のpHが所定値以上である場合に、電気抵抗体3の表面に不動態膜が形成される。
このような不動態膜(第1の不動態膜)を形成する金属材料(第1の金属材料)としては、例えば、Fe、Ni、Mg、Znまたはこれらを含む合金等が挙げられる。
中でも、電気抵抗体3を構成する金属材料は、FeまたはFeを含む合金(Fe系合金)、すなわち鉄系材料(具体的には、炭素鋼、合金鋼、SUS等)、ニッケルまたはこれらを含む合金であるのが好ましい。これらの材料は安価で入手が容易である。また、本実施形態のように、センサー装置1をコンクリート構造物100の状態測定に用いた場合、電気抵抗体3の構成材料をコンクリート構造物100の鉄筋102と同一または近似の材料とすることが可能であり、鉄筋102の腐食環境状態を効果的に検知することができる。例えば、電気抵抗体3がFeで構成されている場合、pHが9以上か否かの判断ができる。
また、電気抵抗体4の構成材料は、前述した電気抵抗体3の構成材料と同じであっても異なっていてもよい。
また、電気抵抗体3、4の厚さは、それぞれ、特に限定されないが、腐食による電気抵抗の変化が大きく、コンクリート強度に影響を及ぼさないためには、10nm以上5mm以下であるのが好ましい。
絶縁膜8は、電気抵抗体3の基板21とは反対側の面を覆うように設けられている。そして、絶縁膜8は、図5に示すように、複数の貫通孔82を構成する複数の空孔を有する多孔質体83で構成されている。そして、各貫通孔82は、隣接する空孔同士が連通する連続空孔(細孔)であり、絶縁膜8の厚さ方向に貫通するとともに、絶縁膜8の表面に開口している。
このように貫通孔82内が水で満たされていると、コンクリート101内に塩化物イオンが侵入したとき、その塩化物イオンを貫通孔82内の水を通じて電気抵抗体3上に供給することができる。
また、絶縁膜8の各貫通孔82による毛管凝縮効果を効果的に生じさせることができる。そのため、電気抵抗体3上に安定して液体の水を存在させることができる。すなわち、仮に絶縁膜8を省略した場合に電気抵抗体3上に結露が生じないような低い相対湿度においても、電気抵抗体3上に結露させて液体の水を存在させることができる。
また、複数の貫通孔82の幅(平均幅)W1は、前述したように毛管凝縮効果を生じ得る範囲であれば、特に限定されないが、例えば、2nm以上1000nm以下であるのが好ましく、10nm以上1000nm以下であるのがより好ましく、10nm以上50nm以下であるのがさらに好ましい。すなわち、貫通孔82は、メソ孔であるのが好ましい。
また、絶縁膜8の構成材料としては、絶縁性を有するものであれば、特に限定されないが、絶縁性および耐久性に優れるという観点から、例えば、金属やシリコンの酸化物、窒化物、フッ化物等(セラミックス材料)を用いるのが好ましい。なお、絶縁膜8の構成材料として、樹脂材料を用いることもできる。
なお、図5に示す複数の貫通孔82の形状は、一例であり、前述したように絶縁膜8の連続空孔が毛管凝縮効果を発揮し得るものであれば、図示のものに限定されず、絶縁膜8は、連続空孔を有する公知の各種多孔質体で構成することができる。また、貫通孔82は、例えばエッチング等により形成され、規則的な形状をなしていてもよい。
絶縁膜9は、電気抵抗体4の基板21とは反対側の面を覆うように設けられている。そして、絶縁膜9は、図6に示すように、複数の貫通孔92を構成する複数の空孔を有する多孔質体93で構成されている。そして、各貫通孔92は、隣接する空孔同士が連通する連続空孔(細孔)であり、絶縁膜9の厚さ方向に貫通するとともに、絶縁膜9の表面に開口している。
また、貫通孔92内に気体が存在していると、コンクリート101内に塩化物イオンが侵入していても、その塩化物イオンは、貫通孔82内の気体によりブロックされるため、電気抵抗体4上に到達しにくくなる。そのため、電気抵抗体4上に二酸化炭素を選択的に供給することができる。すなわち、電気抵抗体4は、塩化物イオンによる腐食よりも、二酸化炭素(中性化)による腐食の方が生じやすくなる。
また、貫通孔92の幅W2は、前述した絶縁膜8の貫通孔82の幅W1よりも大きい。これにより、比較的簡単に、毛管凝縮効果を生じるように貫通孔82を形成するとともに、毛管凝縮効果を実質的に生じないように貫通孔92を形成することができる。
さらに、絶縁膜9を構成する多孔質体93の空孔率は、それぞれ、特に限定されないが、例えば、10%以上90%以下であるのが好ましい。
また、絶縁膜9の平均厚さは、特に限定されないが、例えば、10nm以上1000nm以下であるのが好ましい。
このような絶縁膜9は、特に限定されず、前述した絶縁膜8と同様、公知の多孔質体膜の形成方法を用いて形成することができる。
なお、図6に示す複数の貫通孔92の形状は、一例であり、前述したように絶縁膜9の連続空孔が毛管凝縮効果を生じさせないものであれば、図示のものに限定されず、絶縁膜9は、連続空孔を有する公知の各種多孔質体で構成することができる。また、貫通孔92は、例えばエッチング等により形成され、規則的な形状をなしていてもよい。
機能素子51は、前述した本体2の内部に埋設されている。なお、機能素子51は、前述した本体2の基板21に対して電気抵抗体3および電気抵抗体4とは、同一面に設けても、反対側に設けても良い。
この機能素子51は、電気抵抗体3および電気抵抗体4の抵抗値をそれぞれ測定する機能を有する。これにより、電気抵抗体3、4の抵抗値に基づいて、測定対象部位の状態を測定することができる。
このような機能素子51は、例えば、集積回路である。より具体的には、機能素子51は、例えば、MCU(マイクロコントロールユニット)であり、図2に示すように、CPU511と、A/D変換回路512と、測定回路514とを有する。
また、機能素子51は、温度センサー53の検知温度情報を取得し得るように構成されている。これにより、測定対象部位の温度に関する情報も得ることができる。このような温度に関する情報を用いることにより、測定対象部位の状態をより正確に測定したり、測定対象部位の変化を高精度に予想したりすることができる。
また、機能素子51は、通信用回路54を駆動制御する機能をも有する。例えば、機能素子51は、電気抵抗体3、4の抵抗値に関する情報(以下、単に「抵抗値情報」ともいう)と、測定対象部位のpHあるいは塩化物イオン濃度が設定値以下か否かに関する情報(以下、単に「pH情報」ともいう)とをそれぞれ通信用回路54に入力する。また、機能素子51は、温度センサー53によって検知された温度に関する情報(以下、単に「温度情報」ともいう)も併せて通信用回路54に入力する。
この通信用回路54は、例えば、電磁波を送信するための送信回路、信号を変調する機能を有する変調回路等を有する。なお、通信用回路54は、信号の周波数を小さく変換する機能を有するダウンコンバータ回路、信号の周波数を大きく変換する機能を有するアップコンバータ回路、信号を増幅する機能を有する増幅回路、電磁波を受信するための受信回路、信号を復調する機能を有する復調回路等を有していてもよい。
また、機能素子51は、発振器56からのクロック信号を取得し得るように構成されている。これにより、各回路の同期をとったり、各種情報に時刻情報を付加したりすることができる。
以上説明したように構成されたセンサー装置1を用いた測定方法は、電気抵抗体3および電気抵抗体4を測定対象物であるコンクリート構造物100内にそれぞれ埋設し、電気抵抗体3、4の抵抗値に基づいて、コンクリート構造物100の状態を測定する。
打設直後のコンクリート構造物100において、通常、適切に打設されていれば、コンクリート101は強アルカリ性を呈する。そのため、このとき、電気抵抗体3および電気抵抗体4は、それぞれ、安定な不動態膜を形成する。
コンクリート101のpHが9程度にまで下がる前に、コンクリート構造物100のコンクリート101の測定対象部位に塩化物イオンが侵入すると、測定対象部位の塩化物イオン濃度が炭素鋼を腐食させる限界濃度(約1.2kg/m3)に達していなくても(約0.1kg/m3程度であっても)、電気抵抗体3に形成された不動態膜が絶縁膜8の各貫通孔82を通じた塩化物により腐食し、電気抵抗体3の抵抗値が大きくなる。なお、測定対象部位の塩化物イオン濃度が炭素鋼を腐食させる限界濃度に達していなくても、電気抵抗体3に形成された不動態膜が腐食するのは、貫通孔82を通じた塩化物イオンにより隙間腐食または孔食と同一または近似の現象が生じるためである。
そして、測定対象部位の塩化物イオン濃度が炭素鋼を腐食させる限界濃度に達すると、電気抵抗体4も腐食し、電気抵抗体4の抵抗値が大きくなる。ただし、塩化物イオンによる電気抵抗体4の腐食速度は、塩化物イオンによる電気抵抗体3の腐食速度よりも遅い。
このような電気抵抗体3、4の抵抗値に基づいて、測定対象部位への塩化物イオンの侵入を段階的に検知することができる。
このような電気抵抗体3、4の抵抗値に基づいて、測定対象部位のpHが9程度になったことを検知することができる。
以上説明したように第1実施形態のセンサー装置1によれば、電気抵抗体3を電気抵抗体4よりも塩化物イオンにより腐食されやすくするとともに、電気抵抗体3を電気抵抗体4よりも二酸化炭素により腐食されにくくすることができる。
このようなことから、センサー装置1は、コンクリート101の品質劣化を防止しつつ、コンクリート構造物100の状態を測定し、その測定結果に基づく情報を鉄筋102の腐食前の計画的または予防的な保全に活用することができる。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図7は、本発明の第2実施形態に係るセンサー装置を示す平面図、図8は、図7に示す電気抵抗体を説明するための断面図(図7中のA−A線断面図)である。
以下、第2実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図7に示すセンサー装置1Aは、本体2A上に設けられた電気抵抗体3A(第1の電気抵抗体)と、電気抵抗体3Aの表面に接触して設けられた絶縁膜8Aとを有する。
この第2の部分33の平面視での面積は、第1の部分31の平面視での面積、および、第1の部分32の平面視での面積よりも小さくなっている。すなわち、第1の部分31の平面視での面積、および、第1の部分32の平面視での面積は、それぞれ、第2の部分33の平面視での面積よりも大きくなっている。これにより、電気抵抗体3Aの腐食時にカソード反応を生じる部分の表面積を大きくすることができる。また、電気抵抗体3Aの腐食時にアノード反応を生じる部分の横断面(電流が流れる方向に直交する断面)の面積を小さくし、絶縁膜8A付近において電気抵抗体3Aが腐食により切断されやすくすることができる。
特に、絶縁膜8Aは、電気抵抗体3Aの長手方向での一部の表面に接触している。これにより、電気抵抗体3Aを局所的に腐食させ、電気抵抗体3Aを腐食により切断されやすくすることができる。
このような絶縁膜8Aは、公知の成膜法により形成することができる。
特に、電気抵抗体3Aは、絶縁膜8Aに覆われていない部分(開口部241から露出した部分)の表面積が絶縁膜8Aに覆われた部分の表面積よりも大きい。これにより、電気抵抗体3Aの腐食を促進することができる。
以上、本発明のセンサー装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
また、前述した実施形態では電気抵抗体がそれぞれ基板上に設けられた場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、電気抵抗体は、例えば、センサー装置の本体の封止樹脂で構成された部分の外表面上に設けてもよい。
また、前述した実施形態では機能素子がCPU、A/D変換回路および測定回路を有する場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、機能素子には、ROM、RAM、各種駆動回路等の他の回路が組み込まれていてもよい。
また、前述した実施形態では機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を本体2内に収納し、これらを電気抵抗体3および電気抵抗体4とともに測定対処物であるコンクリート構造物100内に埋設する場合を例に説明したが、機能素子51、電源52、温度センサー53、通信用回路54、アンテナ55および発振器56を測定対象物の外部に設けてもよい。
Claims (11)
- 第1の電気抵抗体と、
前記第1の電気抵抗体に対して離間して設けられた第2の電気抵抗体と、
前記第1の電気抵抗体上に設けられ、毛管凝縮効果を生じるように厚さ方向に貫通する貫通孔を有する絶縁膜と、
前記第1の電気抵抗体および前記第2の電気抵抗体の抵抗値をそれぞれ測定する機能を有する機能素子とを備えることを特徴とするセンサー装置。 - 第1の電気抵抗体と、
前記第1の電気抵抗体に対して離間して設けられた第2の電気抵抗体と、
前記第1の電気抵抗体上に設けられ、毛管凝縮効果を生じるように厚さ方向に貫通する第1の貫通孔を有する第1の絶縁膜と、
前記第2の電気抵抗体上に設けられ、毛管凝縮効果を実質的に生じないように厚さ方向に貫通する第2の貫通孔を有する第2の絶縁膜と、
前記第1の電気抵抗体および前記第2の電気抵抗体の抵抗値をそれぞれ測定する機能を有する機能素子とを備えることを特徴とするセンサー装置。 - 前記第2の貫通孔の幅は、前記第1の貫通孔の幅よりも大きい請求項2に記載のセンサー装置。
- 前記第1の絶縁膜および前記第2の絶縁膜は、それぞれ、多孔質体で構成されている請求項2または3に記載のセンサー装置。
- 前記第1の電気抵抗体は、長尺状をなし、
前記第1の絶縁膜は、前記第1の電気抵抗体の長手方向での一部の表面に接触している請求項2ないし4のいずれかに記載のセンサー装置。 - 前記第1の電気抵抗体は、前記第1の絶縁膜に覆われていない部分の表面積が前記第1の絶縁膜に覆われている部分の表面積よりも大きい請求項5に記載のセンサー装置。
- 前記第1の絶縁膜および前記第2の絶縁膜は、それぞれ、耐アルカリ性を有する材料から構成されている請求項2ないし6のいずれかに記載のセンサー装置。
- 前記第1の電気抵抗体および前記第2の電気抵抗体は、それぞれ、測定対象部位の環境変化に伴って表面に不動態膜を形成するか、または、表面に存在した不動態膜を消失させる金属材料で構成されている請求項1ないし7のいずれかに記載のセンサー装置。
- 前記金属材料は、鉄、ニッケルまたはこれらを含む合金である請求項8に記載のセンサー装置。
- 前記機能素子は、前記電気抵抗体の抵抗値に基づいて、前記測定対象部位のpHあるいは塩化物イオン濃度が設定値以下か否かを検知する機能をも有する請求項1ないし9のいずれかに記載のセンサー装置。
- アンテナと、前記アンテナに給電する機能を有する通信用回路とを有し、
前記機能素子は、前記通信用回路を駆動制御する機能をも有する請求項1ないし10のいずれかに記載のセンサー装置。
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