JP2013107967A - Pcb汚染フィルム素子の処理装置及び方法 - Google Patents

Pcb汚染フィルム素子の処理装置及び方法 Download PDF

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Abstract

【課題】PCB汚染フィルム素子の洗浄後に保管する場合における保管施設内の作業環境の悪化を防止することができるPCB汚染フィルム素子の処理装置及び方法を提供する。
【解決手段】細分化(粉砕、裁断等)されたPCB汚染フィルム素子11をPCB除去洗浄溶剤(IPA、NS100、ヘキサン等)で洗浄するPCB除去洗浄装置13と、前記PCB除去洗浄装置13で洗浄した後、PCB除去フィルム素子14中の残留PCB濃度を判定する卒業判定装置17と、判定合格PCB除去フィルム素子14Aを溶解溶剤24で溶解・溶融する溶解装置20と、フィルム素子溶解物25を蒸留し、溶剤を回収する蒸留分離装置27と、を具備する。
【選択図】図1

Description

本発明は、PCB汚染フィルム素子の処理装置及び方法に関する。
PCBは、従来からトランスやコンデンサなどの絶縁油として広く使用されてきた経緯があるが、その毒性が強いことにより、PCBを処理する必要がある。このため、PCBを無害化処理する種々の分解方法が提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
ここで、PCB無害化装置はPCBのみを処理するものであるが、一方のPCBを抜き出したPCB汚染容器等は有機溶剤や界面活性剤等の洗浄液により洗浄処理が施されて、容器の無害化を図っている(特許文献4)。
また、蛍光灯安定器、トランス、コンデンサ等の紙素子のPCB除去を行うために、アルコール洗浄剤として、イソプロピルアルコール(以下「IPA」ともいう。)を用い、除去されたPCBを含むIPAは水熱分解処理装置でPCBを分解することを先に提案した(特許文献5)。
特開平11−253795号公報 特開平11−253796号公報 特開2000−126588号公報 特開2002−248455号公報 特開2005−21830号公報 特開2010−137156号公報
しかしながら、前記特許文献5の洗浄法は、PCBを確実に除去することができるものの、洗浄液のイソプロピルアルコールが多量に、しかも高濃度で紙素子が保管されることとなる。このイソプロピルアルコールは、沸点が82.4℃と通常の有機溶剤(ヘキサン、アセトン等)よりは高いので、洗浄素子からなかなか除去できない、という問題がある。
このような高濃度のイソプロピルアルコール(IPA)を含む例えばフィルム素子等は、保管管理する場合に、そのIPA臭対策等の厳重な管理が必要となる。
また、紙素子は上質紙であるので再利用が可能であるが、イソプロピルアルコールを多量に含む場合には、再利用に関する作業環境が悪化すると共に、ハンドリング性が困難である、という問題がある。
そこで、本発明者等は、先に、紙素子からのイソプロピルアルコールを、洗浄水を用いて除去する除去装置の提案をした(特許文献6)。
しかしながら、特許文献6の提案では、洗浄水を多量に使用する結果、洗浄排水の処理として、水熱分解処理装置で処理する必要があり、水熱分解処理装置での処理負荷がかかるという問題がある。このため、水熱分解処理装置での負荷が無い、イソプロピルアルコール等の洗浄溶剤を除去することが切望されている。
また、紙素子以外のフィルム素子(PP等)からPCBを洗浄する場合、フィルム素子の裁断物をメッシュ状袋に入れて、浸漬洗浄し、その後乾燥するが、乾燥が不十分な場合や、素子同士の間に、洗浄剤が残留する場合には、洗浄溶剤が保管場所に充満する、という問題がある。
IPAは蒸気密度(空気=1)が2.1であり、空気より重いので、保管施設内作業環境中に、降下拡散して、作業者の作業域(立ち位置)で高濃度化してくる、という課題がある。特に、作業が連続して行われる場合、外部への払い出し期間が遅くなり、保管倉庫に長期保管される場合には、これが顕著となり、作業環境の悪化となる。
そこで、PCB汚染フィルム素子の洗浄後に残留する洗浄溶剤の濃度を低下させ、保管施設内の作業環境の悪化を防止する対策が切望されている。
本発明は、前記問題に鑑み、PCB汚染フィルム素子の洗浄後に保管する場合における保管施設内の作業環境の悪化を防止することができるPCB汚染フィルム素子の処理装置及び方法を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、PCB汚染フィルム素子をPCB除去洗浄溶剤で洗浄するPCB除去洗浄装置と、前記PCB除去洗浄装置で洗浄した後、PCB除去フィルム素子中の残留PCB濃度を判定する判定装置と、判定合格PCB除去フィルム素子を溶解溶剤で溶解又は溶融する溶解装置と、フィルム素子溶解物を蒸留し、溶剤を回収する蒸留分離装置と、を具備することを特徴とするPCB汚染フィルム素子の処理装置にある。
第2の発明は、第1の発明において、前記溶解装置が、判定合格PCB除去フィルム素子を投入する内槽と、該内槽を内部に収納する外槽と、該外槽を周囲から加熱する加熱手段とを具備してなり、前記内槽に溶解溶剤を投入し、前記加熱手段で加熱しつつ判定合格PCB除去フィルム素子を溶解することを特徴とするPCB汚染フィルム素子の処理装置にある。
第3の発明は、PCB汚染フィルム素子をPCB除去洗浄溶剤で洗浄除去したPCB除去フィルム素子中の残留PCB濃度を判定し、判定に合格した合格PCB除去フィルム素子を溶解溶剤で溶解・溶融させフィルム素子溶解物を形成し、該フィルム素子溶解物を蒸留し、溶剤を回収すると共に、フィルム残渣固化物を分離することを特徴とするPCB汚染フィルム素子の処理方法にある。
本発明によれば、溶剤処理での判定合格品のPCB除去フィルム素子を溶剤により溶解又は溶融させ、この溶解物を蒸留して蒸留残渣と溶剤とに分離することで、PCB除去フィルム素子残留するPCB除去溶剤を分離除去するので、蒸留残渣に溶剤が残留することが無くなり、保管施設内の作業環境の悪化を防止することができる。
図1は、実施例に係るPCB汚染フィルム素子の処理装置の概略図である。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
本発明による実施例に係るPCB汚染フィルム素子の処理装置について、図面を参照して説明する。図1は、実施例に係るPCB汚染フィルム素子の処理装置の概略図である。
図1に示すように、本実施例に係るPCB汚染フィルム素子の処理装置10は、細分化(粉砕、裁断等)されたPCB汚染フィルム素子11をPCB除去溶剤(IPA、NS100、ヘキサン等)12で洗浄するPCB除去洗浄装置13と、前記PCB除去洗浄装置13で洗浄した後、PCB除去フィルム素子14中の残留PCB濃度を判定する卒業判定装置(以下、「判定装置」という)17と、判定合格PCB除去フィルム素子14Aを溶解溶剤24で溶解・溶融する溶解装置20と、フィルム素子溶解物25を蒸留し、溶剤を回収する蒸留分離装置27と、を具備するものである。
なお、PCB汚染フィルム素子11は、裁断機41や既に裁断又は小片とされ、保管されている保管容器42からのものである。
ここで、本発明でPCB汚染フィルム素子11とは、PCBが含有されていた絶縁油を用いたトランス、コンデンサ等の分解処理物の内、フィルム素子部分を、粉砕手段や裁断手段により細分化された処理物でPCBが付着又は含有している汚染物をいう。
PCB汚染フィルム素子11をPCB除去溶剤12で洗浄するPCB除去洗浄装置13は、現在稼動しているPCB処理設備での公知のPCB洗浄装置であり、例えばPCB除去溶剤として例えばイソプロピルアルコール(IPA)、NS100、ヘキサン、アルコール、アセトン、トルエン等が用いられており、PCB除去溶剤にPCB汚染フィルム素子11をメッシュ状の袋に入れ、所定時間又は所定回数浸漬等させて、PCB汚染フィルム素子11からPCBを洗浄除去している。
このPCB除去洗浄装置13で洗浄がなされたPCB除去フィルム素子14は、PCBが残留しているか否かの判定を行う卒業判定装置17で判定がなされる。
この判定装置17では、PCB除去フィルム素子14を判定槽に浸漬等し、判定液中に残留したPCBを溶解させ、判定液中のPCBの濃度を分析手段により測定することで、間接的にPCBの残留量を測定するものである。
ここで、判定液としては、例えばヘキサン、イソプロピルアルコール又はイソプロピルアルコールと水との混合物、トリクロロエタン、パラフィン系炭化水素を例示することができる。
この卒業判定装置17において、処理の基準以下にPCBが除去されたと判定されたものは、合格品である判定合格PCB除去フィルム素子14Aとなる。一方不合格品は再度PCB除去洗浄装置13で洗浄がなされる。
この判定合格PCB除去フィルム素子14Aは、従来ではメッシュ等の袋に入れられたまま保管していたが、本発明では、以下のような溶解装置20及び蒸留分離装置27を用いた処理を行うようにしている。
ここで、前記判定合格PCB除去フィルム素子14Aを溶解又は溶融させる溶解装置20は、判定合格PCB除去フィルム素子14Aを投入する内槽21と、該内槽21を内部に収納する外槽22と、該外槽22を周囲から加熱する加熱手段26とを具備している。そして溶剤タンク23から溶解溶剤24を内槽21に投入し、前記加熱手段26で加熱しつつ、投入された判定合格PCB除去フィルム素子14Aを溶解又は溶融するようにしている。
ここで、溶解溶剤24としては、判定合格PCB除去フィルム素子14Aを溶解又は溶融させるものであり、例えばトルエン、ベンゼン、キシレン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン(THF)等を例示することができる。
溶解装置20での溶解の際には、外槽22の本体22aの周囲から加熱手段26で間接的に加熱して、判定合格PCB除去フィルム素子14Aを徐々に溶解又は溶融処理している。
また、溶解溶剤24を投入して溶解又は溶融させる温度としては、判定合格PCB除去フィルム素子14Aが溶解溶剤24に溶融又は溶解できる温度であればよく、例えば60〜100℃程度とすることとしている。
なお、内槽21内には、駆動手段Mにより駆動される攪拌手段31が設けられており、攪拌手段31により判定合格PCB除去フィルム素子14Aが溶解溶剤24に溶融又は溶解することの促進を図るようにしている。
また、内槽21の上面は開口しており、溶解溶剤24で溶解又は溶融する際の蒸発物は、残留PCBが微量に含まれているので、外槽22の蓋22bに設けられた排気ラインLに介装されたバルブVを開放して外部に排出し、浄化手段43において、別途浄化処理される。
溶解装置20で溶解又は溶融されたフィルム素子溶解物25は、内槽21に入れられたまま蒸留分離装置27に移動され、ここで蒸留処理され、蒸留物29と蒸留残渣(残渣)32とに分離され、減容化がなされる。
蒸留分離装置27での蒸留条件としては、常圧で例えば80〜110℃としているが、使用する溶剤により適宜変更される。
蒸留物29は溶剤回収タンク30に回収され、再度溶解装置20で用いる溶解溶剤24として再利用(※1)をしている。
本発明では、PCB汚染フィルム素子11をPCB除去洗浄溶剤で洗浄除去したPCB除去フィルム素子14中の残留PCB濃度を卒業判定装置17で判定し、判定合格PCB除去フィルム素子14Aを溶解溶剤24を用いて溶解装置20で溶解・溶融させ、フィルム素子溶解物25としている。
そして、このフィルム素子溶解物25を蒸留分離装置27で蒸留し、蒸留物29を冷却器28で冷却し、溶剤を回収している。
また、蒸留分離装置27でのフィルム残渣固化物である残渣32を分離することとしている。
この残渣32は、判定合格PCB除去フィルム素子14Aに僅かに含まれているPCBが濃縮されたものであり、判定合格PCB除去フィルム素子14Aからの減容化を図ることができる。
すなわち、卒業判定装置17からの判定合格PCB除去フィルム素子14Aは、樹脂小片であるので、嵩があり、そのまま保管する場合には、大容積の保管区域が必要であるが、本発明によるPCB汚染フィルム素子の処理装置によれば、大幅な減容化を図ることとなる。
また、この減容化によって、保管設備の容積のコンパクト化を図ることができる。
さらに、この減容化された残渣32は、溶剤が除去されているので、保管倉庫に長期保管した場合においても、作業環境の悪化となることが解消される。
10 PCB汚染フィルム素子の処理装置
11 PCB汚染フィルム素子
12 PCB除去溶剤
13 PCB除去洗浄装置
14 PCB除去フィルム素子
17 卒業判定装置
20 溶解装置
24 溶解溶剤

Claims (3)

  1. PCB汚染フィルム素子をPCB除去洗浄溶剤で洗浄するPCB除去洗浄装置と、
    前記PCB除去洗浄装置で洗浄した後、PCB除去フィルム素子中の残留PCB濃度を判定する判定装置と、
    判定合格PCB除去フィルム素子を溶解溶剤で溶解又は溶融する溶解装置と、
    フィルム素子溶解物を蒸留し、溶剤を回収する蒸留分離装置と、を具備することを特徴とするPCB汚染フィルム素子の処理装置。
  2. 請求項1において、
    前記溶解装置が、判定合格PCB除去フィルム素子を投入する内槽と、
    該内槽を内部に収納する外槽と、
    該外槽を周囲から加熱する加熱手段とを具備してなり、
    前記内槽に溶解溶剤を投入し、前記加熱手段で加熱しつつ判定合格PCB除去フィルム素子を溶解することを特徴とするPCB汚染フィルム素子の処理装置。
  3. PCB汚染フィルム素子をPCB除去洗浄溶剤で洗浄除去したPCB除去フィルム素子中の残留PCB濃度を判定し、
    判定に合格した合格PCB除去フィルム素子を溶解溶剤で溶解・溶融させフィルム素子溶解物を形成し、
    該フィルム素子溶解物を蒸留し、溶剤を回収すると共に、フィルム残渣固化物を分離することを特徴とするPCB汚染フィルム素子の処理方法。
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