JP2013100647A - 不燃積層材 - Google Patents

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Abstract

【課題】不燃性に優れ、内装制限を受ける箇所にも施工可能な高強度の不燃積層材を提供する。
【解決手段】断熱性基材11の一方の面に、接着層12を介して不燃補強層18が積層した不燃積層材10であって、不燃補強層18は、少なくとも紙からなる層13と金属層15とを備え、紙からなる層13は、金属層15よりも断熱性基材11側に位置し、該紙の厚さが0.2〜0.8mmである不燃積層材10。
【選択図】図1

Description

本発明は、建築用パネルとして使用される不燃積層材に関する。
建築物の壁、床、天井などの内装は、建築物の用途・構造、規模などに応じて、建築基準法に基く内装制限を受ける場合がある。内装制限とは、建築物内で火災が発生した際に、内装が激しく燃えて建築物内の人間の避難を妨げることがないように、内装に用いる材料を国土交通大臣認定の不燃材料などに限定するものである。
そこで、このような内装制限を受ける箇所にも使用できる、高い不燃性を備えた積層材が求められている。
例えば特許文献1には、断熱層の一方の面に、アルミニウム箔と、複数枚の紙が圧着積層して板状に形成された厚み1〜10mmの硬質板紙とが順次積層した断熱パネルが記載されている(特許文献1の図1参照。)。
特許第3339744号公報
しかしながら、特許文献1に記載された断熱パネルは、燃焼時の発熱量が多く、国が定める試験機関((財)日本建築総合試験所など。)において実際される不燃材料認定試験の発熱性試験に合格することはできない。
本発明の目的は、不燃性に優れ、内装制限を受ける箇所にも施工可能な高強度の不燃積層材を提供することである。
本発明の不燃積層材は、断熱性基材の一方の面に、接着層を介して不燃補強層が積層した不燃積層材であって、前記不燃補強層は、紙からなる層と金属層とを少なくとも備え、前記紙からなる層は、厚さが0.2〜0.8mmであり、かつ、前記金属層よりも前記断熱性基材側に位置することを特徴とする。
本発明によれば、不燃性に優れ、内装制限を受ける箇所にも施工可能な高強度の不燃積層材を提供できる。
本発明の不燃積層材の一例を示す断面図である。
以下、本発明の不燃積層材について一実施形態を例示して、詳細に説明する。
図1は、本発明の不燃積層材の一例を示す断面図である。
図1の不燃積層材10は、平板状の断熱性基材11と、該断熱性基材11の一方の面に第1の接着層12を介して形成された不燃補強層18とを備えている。この例の不燃補強層18は、紙からなる層(以下、紙層という場合がある。)13、金属層15、化粧層17の3層構造であり、紙層13と金属層15との間、金属層15と化粧層17との間は、それぞれ第2の接着層14および第3の接着層16で接着されている。
この不燃積層材10において、その一方の面(不燃補強層18側の表面)は、必要に応じて、塗装、モルタル加工などが施されたり、石膏ボードが積層されたりする内装側仕上面10aである。また、この不燃積層材10は、コンクリート打ち込み用面材として使用されてもよく、その場合、この不燃積層材10の他方の面側、すなわち断熱性基材11の表面10b側がコンクリート打ち込み面となる。なお、この表面10bをコンクリート打ち込み面とする場合には、コンクリートの密着性を向上させる目的で、例えば、水酸化アルミニウムを含有するシートからなる打ち込み用接着層(図示略)などを該表面10bに接着剤を用いて積層しておくことが好ましい。
<断熱性基材>
断熱性基材11としては、樹脂発泡体からなる板状物を主体とするものが使用される。該板状物の少なくとも一方の面には、樹脂を発泡させる際に用いられた面材(例えば、ガラス繊維紙など。)が一体化していてもよく、その場合には、樹脂発泡体からなる板状物と面材とで断熱性基材11が構成される。
樹脂発泡体を構成する樹脂としては、例えばフェノール樹脂、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリオレフィンなどが挙げられるが、断熱性能に優れる点から、フェノール樹脂が好ましい。
フェノール樹脂としては、レゾール樹脂が使用される。レゾール樹脂は、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニールフェノール、レゾルシノール等のフェノール化合物と、ホルムアルデヒド、フルフラール、アセトアルデヒド等のアルデヒドとの化学反応によって得られる。反応は、通常、触媒量の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、脂肪族アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミンなど。)の存在下で行われる。
フェノールとアルデヒドとのモル比は、好ましくはフェノール:アルデヒド=1:1〜1:3、より好ましくは1:1.5〜1:2.5、特に好ましくは1:1.6〜1:2.1である。
フェノール樹脂の重合を開始させるために使用される硬化剤としては、硫酸、リン酸等の無機酸、ベンゼンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフトールスルホン酸、フェノールスルホン酸等の有機酸が用いられ、ベンゼンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフトールスルホン酸及びフェノールスルホン酸が好ましく、特にパラトルエンスルホン酸およびキシレンスルホン酸が好適である。
これらの硬化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その使用量は、硬化剤の種類にもよるが、フェノール樹脂100質量部に対して、通常5〜25質量部、好ましくは7〜22質量部、より好ましくは10〜20質量部である。
フェノール樹脂の好ましい重量平均分子量は、400〜3,000であり、より好ましくは700〜2,000である。数平均分子量は、好ましくは150〜1,000であり、より好ましくは300〜700である。
樹脂を発泡する際の発泡剤は、特に限定されず、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素、炭素数1〜8の塩素化脂肪族炭化水素、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン等の弗素化炭化水素化合物(代替フロン)、トリクロロモノフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン等の塩弗素化炭化水素化合物、イソプロピルエーテル等のエーテル化合物、窒素、アルゴン、炭酸ガス、空気等を1種以上使用できる。
これらの発泡剤の中でも、得られる発泡体が低熱伝導率であり、かつ地球温暖化の潜在的危険性が小さいことから、炭素数2〜7の脂肪族炭化水素、炭素数2〜6の塩素化脂肪族炭化水素の少なくとも一方が好ましく用いられ、特に、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の炭素数3〜6の脂肪族炭化水素と、ジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリド等の炭素数2〜5の塩素化脂肪族炭化水素の2種以上の混合物が好ましい。
使用される発泡剤の量は、好ましくはフェノール樹脂100質量部に対して1〜20質量部であり、より好ましくはフェノール樹脂100質量部に対して3〜10質量部である。
樹脂発泡体の厚さには特に制限はないが、5〜150mmの範囲が好ましい。
なお、図示例では、厚さが12〜36mmのフェノール樹脂発泡体と、その両面に積層した面材(ガラス繊維紙(目付:102g/m))とから、断熱性基材11が構成されている。
<不燃補強層>
不燃補強層18は、第1の接着層12を介して、断熱性基材11の一方の面に設けられ、不燃積層材10に不燃性や強度を付与するものであって、少なくとも紙層13と金属層15とを備えている。そして、紙層13が金属層15よりも断熱性基材11側に位置している。
具体的には、この例の不燃補強層18は、紙層13と金属層15に加えて、化粧層17が積層した3層構成であり、化粧層17が不燃積層材10の不燃補強層18側の表面(内装側仕上面)10aを構成し、紙層13が第1の接着層12を介して断熱性基材11に接している。紙層13と金属層15の間は、第2の接着層14により接着され、金属層15と化粧層17の間は、第3の接着層16により接着されている。
ここで紙層13は、厚さ0.2〜0.8mmの紙からなる層であって、特に厚さ0.3mm以上の紙である場合は、紙管原紙として使用されるものが適している。このような厚さの紙層13は、通常時(非火災時)には、不燃積層材10の強度(圧縮強度、耐衝撃強度など。)、寸法安定性などを向上させる作用を奏する。そのため、この不燃積層材10は、コンクリート打ち込み用面材として使用される場合であっても、充分な強度を有する。より好ましい紙層13の厚さは0.3〜0.5mmである。
また、このような厚さの紙層13は、強度などを発揮するだけでなく、火災時において、詳しくは後述するが、金属層15とともに、不燃積層材10の不燃性を高める作用を奏する。
ここで紙層13の厚さが0.2mm未満であると、不燃積層材10の強度、寸法安定性などが不充分となる。また、火災時にその形状を維持できずに、不燃性に寄与できなくなる。一方、厚さが0.8mmを超えると、強度、寸法安定性に優れ、火災時にも形状を維持できたとしても、燃焼時の発熱量が多くなり、不燃材料認定試験の発熱性試験に合格することができなくなる。
なお、図示例では、紙層13を構成する紙として、厚さ0.3mmの紙管原紙(JIS P0001に規定される番号6065)が使用されている。また、JIS P0001に規定される番号6065には、紙管原紙について、「紙、はく(箔)、織物などを巻く心棒及び紙ドラムの製造に用いる強サイズ紙。」と定義されている。
金属層15は、不燃積層材10の発火を防止し、その不燃性を高めるための層であり、例えばアルミニウムなどの金属の箔または板からなる。厚みは0.02mm以上が好ましく、0.03〜0.05mmがより好ましい。なかでも、厚みが0.03〜0.05mmのアルミニウム箔は、不燃積層材10の不燃性を高める効果に優れることから好ましい。このような厚みであると、不燃積層材10に充分な不燃性を付与することができるとともに、金属層15の厚みが大きすぎることによるコストアップ、軽量性低下などを回避できる。
なお、図示例では、金属層15には、厚さ0.05mmのアルミニウム箔が使用されている。
化粧層17は、不燃積層材10の内装側仕上面10aを構成する層であり、例えば、水酸化アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどを含有するシート(無機混抄紙)、ポリエチレンテレフタレート製不織布などが使用される。このような化粧層17を設けることによって、内装側仕上面10aは、塗装、モルタル加工などに適した表面となる。
なお、化粧層17として無機混抄紙を使用する場合、その目付は50〜100g/mの範囲が好ましく、図示例では、目付75g/mの水酸化アルミニウム混抄紙が使用されている。
断熱性基材11と不燃補強層18とを接着する第1の接着層12には、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系などの硬化型接着剤が好適に使用される。このような接着剤としては、1液硬化型接着剤と2液硬化型接着剤とがあるが、硬化時に湿気の影響を受け難く、また、発熱量も少ないことから、ウレタン樹脂系の2液硬化型接着剤が好ましい。
第1の接着層12を構成するための接着剤の量には特に制限はないが、30〜100g/mが好ましい。
図示例では、第1の接着層12には、ウレタン樹脂系の2液硬化型接着剤(接着剤量:50g/m)が使用されている。
紙層13と金属層15の間を接着する第2の接着層14や、金属層15と化粧層17の間を接着する第3の接着層16には、ホットメルト系接着剤を使用することが好ましい。ホットメルト系接着剤としては特に制限はなく、例えばポリエチレンからなるホットメルト系接着剤が安価であり好ましい。第2、第3の各接着層14,16は、接着する層間にホットメルト系接着剤を押出し、その後冷却する方法により形成できる。第2、第3の各接着層14,16の厚みは、15〜25μmが好ましい。
図示例の第2、第3の各接着層14,16は、ポリエチレンホットメルト系接着剤により厚み15μmに形成されている。
以上説明したように、図1の不燃積層材10においては、不燃補強層18が特定の厚さの紙層13と金属層15とを備え、紙層13が金属層15よりも断熱性基材11側に位置している。
そのため、この不燃積層材10を施工した建築物内で火災が起こり、内装仕上面10a側に炎が発生した場合には、化粧層17は燃焼するものの、金属層15により、断熱性基材11側に火が移ることが防止される。さらに、この際、炎の側からみて金属層15の裏側には、火災時に炭化した場合でも、パルプ繊維の全てが炭化することがなく残存したパルプ繊維によっておおよその形状を維持した硬い炭化物となってばらばらになることがない、特定の厚さの紙層13が存在している。このように火災時でも形状を維持する紙層13が存在することにより、金属層15の変形が抑制され、金属層15による上述の作用、すなわち断熱性基材11側に火が移ることを防止する作用が充分に発揮される。また、紙層13が断熱性基材11を覆う状態となり、より効果的に、断熱性基材11側に火が移ることが防止される。その結果、不燃積層材10としての発熱量が抑制される。
図1の不燃積層材10は、このように特定の厚さの紙層13と金属層15とを特定の位置関係で有する不燃補強層18を具備するため、紙層13と金属層15との相乗効果により、発熱量が少なく抑制され、不燃材料認定試験の1つである発熱性試験に合格するような高い不燃性を備えたものとなる。
ここで仮に、不燃補強層が紙層を具備していない場合には、不燃積層材としての充分な強度が得られないだけでなく、火災時には金属層の変形が進み、その結果、金属層による上述の作用が得られなくなる。
また、紙層を具備していたとしても、その厚みが小さい場合には、これらは火災時にその形状を維持できずに縮んだり反ったりし、さらには、灰になってしまう場合もある。そのため、やはり金属層の変形を防止できず、金属層による上述の作用の発揮が困難となる。
また、紙層の代わりに塩化ビニル樹脂などの樹脂層を具備する場合には、樹脂層が溶解してしまうため、この場合も、金属層は充分な作用を発揮できなくなる。
また、紙層を具備していたとしても、その厚みが大きい場合には、発熱量が多くなる。
このように不燃補強層が特定の厚さの紙層を備えていない積層材の場合には、発熱量が多くなり、発熱性試験には不合格となる。
一方、不燃補強層が金属層を具備していない場合には、断熱性基材側まで火が移りやすい。その場合、紙層の厚みを大きくすることにより、ある程度、断熱性基材側へ火が移ることを抑制できるが、発熱量は大きくなってしまい、発熱性試験には合格できない。すなわち、金属層15が存在していることにより、紙層13として、発熱量が少ない厚みの小さなものを用いることができる。
また、金属層が紙層よりも断熱性基材側に位置していると、容易に断熱性基材にまで火が移り、発熱性試験には不合格となる。
なお、発熱性試験は、国が定める試験機関((財)日本建築総合試験所など。)において実際されるものであり、試験体の加熱試験の結果、試験体が下記(1)〜(3)の基準を満足する場合には、不燃材料として合格と判定される。
(1)加熱開始後20分間の総発熱量が、8MJ/m以下であること。
(2)加熱開始後20分間、防火上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴がないこと。
(3)加熱開始後20分間、最高発熱速度が、10秒以上継続して200kW/mを超えないこと。
不燃材料認定試験には、他にガス有害性試験もあり、発熱性試験およびガス有害性試験の結果により、不燃材料、準不燃材料などと認定されるが、本発明においては発熱性試験により評価を行った。
また、発熱性試験の詳細は、「防耐火性能試験・評価業務方法書((財)日本建築総合試験所:平成12年6月1日制定)」の「4.10.2 発熱性試験・評価方法」に記載されている。
以上説明したように、不燃補強層18が特定の厚さの紙層13と金属層15とを備え、紙層13が金属層15よりも断熱性基材11側に位置している不燃積層材10は、不燃性に優れるため、内装制限を受ける箇所などへの施工に好適に使用される。
具体的には、屋根、天井、床(外気に接する床、土間床、その他の床、土間床の外周部など。)などに施工できる。
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。
(実施例1)
図1の構成の不燃積層材10を作製した。
各層の構成は以下のとおりである。
断熱性基材11:厚さ35mmのフェノール樹脂発泡体と、その両面の面材(ガラス繊維紙(厚さ0.26mm、目付102g/m))との積層体。
紙層13:厚さ0.3mmの紙管原紙(JIS P0001 番号6065)。
金属層15:厚さ0.05mmのアルミニウム箔。
化粧層17:目付75g/mの水酸化アルミニウム混抄紙。
第1の接着層12:ウレタン樹脂系の2液硬化型接着剤(接着剤量:50g/m)使用。
第2、第3の各接着層14,16:ポリエチレンホットメルト系接着剤(厚み15μm)使用。
(実施例2)
紙層13を厚さ0.5mmの紙管原紙(JIS P0001 番号6065)としたこと以外は実施例1と同様にして不燃積層材10を作製した。
各実施例で得られた不燃積層材10から、100mm×100mmの大きさの試験体を切り出し、この試験体に対して、「防耐火性能試験・評価業務方法書((財)日本建築総合試験所:平成12年6月1日制定)」の「4.10.2 発熱性試験・評価方法」に準拠して、発熱性試験を行った。
結果を表1に示す。
なお、表1中、発熱量とは、加熱開始後20分間の総発熱量である。
また、試験体の加熱開始後5分経過時の状態と、加熱開始後20分間の状態を観察した結果も表1に示した。
(比較例1)
紙層13を厚さ1mmの板紙(JIS P0001 番号4001)としたこと以外は実施例1と同様にして不燃積層材10を作製して、発熱性試験を行った。結果を表1に示す。
Figure 2013100647
10 不燃積層材
11 断熱性基材
13 紙からなる層(紙層)
15 金属層
18 不燃補強層

Claims (1)

  1. 断熱性基材の一方の面に、接着層を介して不燃補強層が積層した不燃積層材であって、
    前記不燃補強層は、紙からなる層と金属層とを少なくとも備え、
    前記紙からなる層は、厚さが0.2〜0.8mmであり、かつ、前記金属層よりも前記断熱性基材側に位置することを特徴とする不燃積層材。
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