JP2000120195A - 構造体およびそれよりなる屋根又は壁および耐火断熱タイル - Google Patents

構造体およびそれよりなる屋根又は壁および耐火断熱タイル

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JP2000120195A
JP2000120195A JP11160688A JP16068899A JP2000120195A JP 2000120195 A JP2000120195 A JP 2000120195A JP 11160688 A JP11160688 A JP 11160688A JP 16068899 A JP16068899 A JP 16068899A JP 2000120195 A JP2000120195 A JP 2000120195A
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layer
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Ikuo Horibe
郁夫 堀部
Akira Nishimura
明 西村
Toyokazu Mizuguchi
豊和 水口
Tatsuya Senba
竜也 仙波
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、火災時においても繊維強化樹脂の
持つ高強度・高弾性率などの機械的特性を有効に発揮し
ながら、耐火性および断熱性に優れた繊維強化樹脂構造
体および屋根ならびに壁を提供せんとするものである。 【解決手段】 構造部材の少なくとも片面に耐火断熱材
層が配されて一体化された構造体であって、該耐火断熱
材層の接合部の隙間が、耐火材料で充填されていること
を特徴とする構造体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐火断熱性能の優
れた構造体および屋根ならびに壁あるいはタイルに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、炭素繊維をはじめとする強化繊維
が持つ高強度・高弾性などの優れた力学的特性を利用す
るために、強化繊維に樹脂を含浸させ硬化させた、いわ
ゆる繊維強化樹脂が、建築構造部材として使用されてき
ている。
【0003】しかしながら、建築構造体に使用する材料
には、火災時における耐火性能が要求され、建築基準法
により規定されている耐火性能をクリヤする必要があ
る。このため、繊維強化樹脂を使用する場合において
は、構成する強化繊維や樹脂は、不燃あるいは準不燃材
料で構成する必要があり、繊維としては、炭素繊維、ガ
ラス繊維、樹脂としてはフェノール樹脂など限られたも
のとなる。
【0004】さらに、これらの不燃あるいは準不燃材料
の強化繊維や樹脂で繊維強化樹脂を構成した場合におい
ても、燃えないとしても繊維強化樹脂は雰囲気温度によ
り機械的特性が大きく変化するため、その低下が少ない
領域で使用することが重要となる。つまり、繊維強化樹
脂単独では、直接炎に晒されることで繊維強化樹脂その
ものが高温になってしまい、その機械的特性が大きく低
下するという問題がある。
【0005】そこで、繊維強化樹脂の表面温度の急激な
上昇を防ぐ手段として、特開平9−235893号公報
にはコンクリート構造物の表面に繊維強化樹脂を貼り付
け、さらにその繊維強化樹脂の表面に発泡性の耐火塗料
などの難燃性塗料を塗布したものが記載されている。
【0006】しかし、この耐火塗料は250℃以上の温
度になると塗料が化学反応を起こし、アンモニアガスな
どを発生し、体積が膨張し、徐々に発泡を開始するた
め、繊維強化樹脂部材の表面に発泡性の防火物質や耐火
塗料を直接塗布しただけでは火災時の熱で耐火塗料が発
泡する少なくとも250℃までは繊維強化樹脂部材の温
度が急上昇し、繊維強化樹脂の機械的特性が急激に低下
するという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の背景に鑑み、火災時においても繊維強化樹脂の持
つ高強度・高弾性率などの機械的特性を有効に発揮しな
がら、耐火性および断熱性に優れた構造体および屋根な
らびに壁を提供せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明は、構造部材の少なくとも片面に
耐火断熱材層が配されて一体化された構造体であって、
該耐火断熱材層の接合部の隙間が、耐火材料で充填され
ていることを特徴とする構造体。また、本発明の屋根な
らびに壁は、かかる構造体からなることを特徴とするも
のである。さらに前記接合部の隙間に特定の構造を与え
る構造を有する耐火断熱タイルである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の望ましい実施の
形態を、図面を参照しながら説明する。
【0010】図1は、本発明に係る構造体の一実施例を
示している。強化繊維基材とマトリックス樹脂からなる
FRP層1は、その片面に耐火断熱材層2が接着され、
一体となった構造体であり、耐火断熱材層2の接合部3
に発泡性の耐火材料4が充填されている。
【0011】また、図2は、本発明に係る構造体の他の
一実施例を示している。芯材層6の両側に強化繊維基材
とマトリックス樹脂からなるFRP層2が配され、さら
に、一方のFRP層の表面には耐火断熱層3が配され
て、一体化された構造体であり、耐火断熱材層2の接合
部3に発泡性の耐火材料4が充填されている。
【0012】さて、FRPを建築構造部材として使用す
る場合においては、建設省告示第2999号(耐火構造
の指定の方法)に規定される耐火構造指定を受ける必要
があり、JIS A 1304(建築構造部分の耐火試
験方法)における加熱条件に沿って加熱した場合、構造
上有害な変形や破壊がないことが規定されている。
【0013】そこで、強化繊維として、炭素繊維クロ
ス、ガラスロービングクロスおよびガラスチョップドス
トランドマットから選ばれた少なくとも1種を用い、樹
脂として酸硬化タイプの液状レゾール系フェノール樹脂
を用いてFRPを作製し、その機械的特性の各温度にお
ける保持率を調査したところ、200℃を越えると大き
く低下するとともに、FRPを構成する繊維基材の層間
で爆裂が発生し、構造上有害と見なされる破壊が生じ
た。この爆裂現象は、フェノール樹脂の溶剤である水が
気化することで、体積が膨張して生じたものと考えられ
る。このようなことからFRPを建築構造部材として使
用する場合において、FRP温度を200℃以下に保持
することが大きな命題であることがわかった。
【0014】そこで、FRP表面に発泡性の耐火材料を
塗布して再実験を行ったところ、発泡性の耐火材料が発
泡する前に、FRP温度が200℃を越えてしまい、耐
火性能を満足することができなかった。すなわち、単に
耐火材料をFRP表面に塗布するだけでは耐火性能を発
揮させるまではいかないことがわかった。
【0015】また、他の耐火断熱手段としては、表面に
石膏ボードや珪酸カルシウムボードなどの耐火断熱材を
配置させる方法がある。しかし、これらの石膏ボードや
珪酸カルシウムボードなどの耐火断熱材は、運搬の関係
から3×6サイズと呼ばれる、幅910mm、長さ18
20mmのものが一般的に採用されているが、単に構造
部材の表面に隙間なく配置し、耐火断熱材層を構成させ
たとしても、この耐火断熱材が火災時に炎に晒されて高
温になることで、収縮や膨張などの変形が生じ、その接
合部の隙間から炎が進入し、FRP表面温度が部分的に
高温になるという問題があることがわかった。
【0016】そこで、種々の検討を行った結果、FRP
と耐火断熱材を一体化させ、耐火断熱材の接合部を耐火
材料で充填することにより、これらの問題を改善できる
ことがわかった。つまり、耐火断熱材の接合部に耐火材
料を充填することで、耐火断熱材が高温に長時間晒され
て、膨張/収縮などにより変形し、耐火断熱材の接合部
に隙間が生じても、この接合部に予め充填された耐火材
料が、発泡等により膨張し、該接合部を覆うために、接
合部のFRP表面温度が急激に上昇するようなことがな
いことがわかった。また、耐火断熱材の接合部の隙間の
構造を耐火断熱性構造にすることも有効である。例え
ば、耐火断熱材の接合部の隙間の構造を直線的なものに
せず、屈曲したり膨らんだ構造を設けることで、耐火断
熱材が高温に長時間曝されて、膨張/収縮などにより変
形し、耐火断熱材の接合部に隙間が生じても、その隙間
は直線的ではないので、炎が侵入し難く、輻射が直接的
に構造部材に曝されないために、接合部のFRP表面温
度が急激に上昇するようなことがないことがわかった。
【0017】ここで、耐火断熱材としては、石膏ボード
や珪酸カルシウムボードなどの無機ボード単独ではな
く、内部に気泡を含んだ発泡体を単独もしくはこの発泡
体と前記無機ボードを併用することが好ましい。つま
り、発泡体を用いることで、発泡体内の気泡による断熱
効果により無機ボード単独に比べ、FRPの温度はさほ
ど上昇せず、耐火断熱効果に優れる。また、気泡を含ん
でいるため、耐火断熱材の重量も小さく、FRPに貼り
合わせた場合の重量増が小さく、FRPの持つ軽量・高
強度・高弾性率などの特性を損なうことがない。
【0018】この耐火断熱材としての発泡体は、無機系
材料あるいはプラスチックなどの有機系材料からなる発
泡体を使用することができ、たとえば、軽量気泡コンク
リート、珪酸カルシウムフォーム、炭酸カルシウムフォ
ーム、フェノール樹脂フォームなどを使用することがで
きる。
【0019】なお、耐火断熱材を発泡体のみとする場合
においては、発泡体が直接炎に晒されるために無機系素
材を使用するのが好ましい。また、無機ボードを発泡体
と併用する場合においては、無機系と有機系のものを適
宜組み合わせてもよいが、なかでも、無機系の材料に比
べ、軽量で脆くないことから、有機系の材料が好まし
く、特にフェノール樹脂フォームが、軽量でかつ熱伝導
率が小さいので好ましく使用される。
【0020】耐火断熱材となる発泡体の発泡方法として
は、独立発泡あるいは連続発泡がある。ここで、連続発
泡は、FRPの成形において強化繊維基材に樹脂を含浸
させる際に、発泡体内部に樹脂が浸透するので、独立発
泡が好ましい。
【0021】発泡体の密度は、40〜400kg/m3
である。これは、40kg/m3 未満であれば、軽量で
あるが発泡倍率が大きいために、発泡体が潰れやすい。
一方、400kg/m3 を越えると発泡倍率が小さいた
め、発泡体の潰れの問題はなくなるもののは重量そのも
のが大きくなるという問題が生じる。なかでも、40〜
120kg/m3 の範囲が構造体をより軽量化できるの
で、さらに好ましい。
【0022】また、発泡体は、発泡体の表面に難燃以上
の耐火性能を有する紙などのシートを接着され、一体化
されていてもよい。特に、フェノール樹脂フォームはプ
ラスチックフォームのなかでは脆く、取り扱いにくいた
めシートを接着させることが好ましい。シートとして
は、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、アスベスト、ガ
ラス繊維、水酸化アルミニウムなどからなるものであ
り、これらに結合剤やその他の添加剤を含浸させてあっ
てもよい。
【0023】また、耐火断熱材は、その脆さや圧縮強さ
などの機械的特性を改善するために、ガラス繊維や炭素
繊維などの無機系の短繊維を混入させたものであっても
使用することができる。
【0024】フェノール樹脂フォームとしては、公知の
フェノール樹脂フォームを用いることができる。具体的
には、粉末状のノボラック型フェノール樹脂、液状の水
系あるいは非水系のレゾール型フェノール樹脂からなる
フォームを使用することができ、これらフォームは、フ
ェノール樹脂にヘキサメチレンテトラミンなどのアミ
ン、リン酸、塩酸などの無機酸、パラトルエンスルホン
酸、フェノールスルホン酸などの有機酸から選ばれた硬
化剤や、シリコーン系非イオン型界面活性剤などの整泡
剤、フルオロカーボンなどの発泡剤を配合し、これを加
熱発泡硬化させたものである。
【0025】また、発泡体と併用する無機ボードとして
は、石膏ボード、珪酸カルシウムボード、ロックウール
成形板、鋼板などを使用することができる。なかでも、
ロックウールにフェノールバインダーを含浸させたロッ
クウール成形板は、耐火性能のみならず断熱特性に優れ
ているために、断熱特性が優れたフェノール樹脂発泡体
と併用することで、いっそう耐火性能を向上させること
ができるので好ましく使用される。
【0026】また、鋼板とフェノール樹脂発泡体を併用
する場合においても、熱伝導性が優れる鋼板により、炎
の熱を広範囲に拡散するとともに、フェノール樹脂発泡
体で断熱することで、部分的な温度上昇を防ぐことがで
きるので好ましく使用される。
【0027】かかる耐火断熱材の厚みは、好ましくは1
0〜100mm、さらに好ましくは30〜70mmであ
る。厚みが、10mm未満であれば断熱効果が小さく、
FRPが高温に晒されてしまい機械的特性の低下が大き
い。一方、100mmを越えると重量が重くなり、取り
扱いにくくなる。
【0028】耐火断熱材の接合部の隙間を充填する耐火
材料としては、加熱によって所定温度以上で材料自身が
発泡し、スポンジ状の断熱層を形成することによって燃
焼時の熱を遮断する性質を有するものが好ましく、特に
発泡性の耐火塗料が好ましい。塗料の発泡メカニズムと
しては、塗料が高温になると徐々に熱分解を始め、塗料
は軟化し、部分的に脱水したりん酸および塩のような強
酸を生成し、塗膜は粘稠な溶融物になる。そして、分解
により発生したガスにより溶融塗膜が膨張し、発泡した
塗膜が次第に硬くなる。さらに、この発泡した塗膜は、
黒鉛と類似の性質を有し、表面から次第に酸化されるが
断熱効果を有するようになる。つまり、このような発泡
性の耐火材料を耐火断熱材の接合部に充填させることに
より、火災時に炎に晒され、耐火材の接合部が所定温
度、たとえば250℃以上になると塗料が化学反応を起
こし、アンモニアガスや水蒸気や炭酸ガスを発生し、体
積が膨張し始める。さらに、加熱されることにより体積
が数十倍に膨張し、炭化物からなる断熱層を形成し、隙
間を覆ってしまうために火災による炎が進入することも
なくFRP表面温度の急激な上昇を防ぐことができる。
なお、発泡性塗料の発泡の温度範囲については、発泡塗
料の成分によって発泡開始温度をコントロールすること
が可能であるが、あまり低いと効果が発揮できないた
め、少なくとも100℃以上の温度で発泡するものがよ
い。また逆にあまり高いと発泡する前に構造体にダメー
ジを与えてしまうため、発泡開始温度は300℃以下が
好ましい。最も好ましいのは、150〜250℃で発泡
するものである。
【0029】耐火材料は、樹脂バインダー、無機フィラ
ー、起泡剤および溶剤から構成されるものである。かか
る起泡剤としては、ジシアンジアミド、メラミン、塩素
化パラフィン、燐酸塩などが使用される。これらの起泡
剤は200℃以上になると熱により分解し、不燃性のア
ンモニアガスや炭酸ガスの発生と水の離脱により発泡、
膨張する。
【0030】本発明における耐火断熱層間に存在する耐
火性の接合部の隙間構造は、耐火性構造を有しているこ
とが好ましい。即ち、耐火断熱材が高温に長時間晒され
て、膨張/収縮などにより変形し、耐火断熱材の接合部
に隙間が生じても、その隙間に炎が侵入し難く、輻射が
直接的に構造部材に曝されないような構造である。例え
ば、耐火断熱層の接合部の隙間の厚さ方向への正射影
が、該層の接合部の隙間の開口部とは、形状、大きさ乃
至は位置が一致しないような、厚さ方向に垂直な面で切
った断面を有する構造である。図3はその一態様であ
り、該正射影が該開口部の大きさよりも大きい例であ
る。この図では断面が十字型であるが、キの字型のよう
に2つ、あるいはさらに複数の膨らみ部分を有していて
も良い。また、前記膨らみ部分は方形だけでなく三角
形、曲線でもよい。しかし、これらのうち加工性の点か
ら膨らみ部分の形状は方形が最も好ましい。もし、耐火
断熱層が、2層以上の多層積層構成である場合、前記方
形の場合の膨らみ部分の上端部乃至は底部が、当該多層
構成の境界層と一致させるように構成すると、加工性が
良く好ましい。特に限定されないが、該正射影が該開口
部の大きさの1.5〜5倍であることが好ましい。
【0031】なぜならば、前記範囲の下限値を下回る
と、加熱面に対して膨らみ部分の寄与が非常に小さくな
るため、膨らみ部分の、直接構造体が炎にさらされるの
を防ぐという能力が、非常に小さくなる。また上限値を
上回ると、隙間への充填材の量が非常に多くなり、コス
ト的に問題となる。なお、正射影が該開口部の大きさの
1.5〜5倍となる断面部分の厚さは、接合部の隙間厚
さの25〜75%で有ることが好ましい。なぜならば前
記範囲の下限値を下回ると、正射影の大きさが小さくな
るのと同様に、隙間部分の寄与が非常に小さくなるから
である。一方上限値を上回ると、正射影部分が大きくな
るのと同様に、充填材が大量に必要で、コスト的に問題
となる。また、図4は、該正射影と該開口部の位置が離
れている例である。この場合、接合部の隙間が厚さ方向
に対して斜行して設けられているので、直接炎が侵入し
たり、輻射に曝されたりし難い。特に限定されないが、
該正射影と該開口部の位置が最短距離で5mm〜100
mm離れていることが好ましい。前記最短距離とは、該
正射影上の任意の点と該開口部上の任意の点を結んだ距
離のうち、距離が最小となる値である。あるいは図示し
ないが、途中で2回90°に折れ曲がる構造でもよい。
【0032】なお、前記のような接合構造は、耐火断熱
タイルの端部に当該構造に相当する構造を予め形成して
おくことによっても達成される。図3、4などの例では
かかる加工が比較的単純な掘削や切削により容易に達成
され、製作し易い。さらに図3の例では一方が雄型で他
方が雌型などとタイル同士のはめあわせを考慮する必要
がないので、タイルの張り付け作業が繁雑にならず好ま
しい。
【0033】芯材は、有機系あるいは無機系の発泡体で
あり、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、PVC、シリコーン、イソシアヌレー
ト、フェノールのフォームや軽量気泡コンクリート、珪
酸カルシウムフォーム、炭酸カルシウムフォームなどで
ある。なかでも、軽量でかつ熱伝導率が小さいプラスチ
ックフォームが好ましく、そのなかでも、耐火性能が優
れたフェノール樹脂フォームがより好ましい。
【0034】芯材のフェノール樹脂フォームとしては、
耐火断熱材と同様に、公知のフェノール樹脂フォームを
用いることができる。具体的には、粉末状のノボラック
型フェノール樹脂、液状の水系あるいは非水系のレゾー
ル型フェノール樹脂からなるフォームであり、これらの
フェノール樹脂にヘキサメチレンテトラミンなどのアミ
ン、リン酸、塩酸などの無機酸、パラトルエンスルホン
酸、フェノールスルホン酸などの有機酸から選ばれた硬
化剤、シリコーン系非イオン型界面活性剤などの整泡
剤、フルオロカーボンなどの発泡剤を配合し、加熱発泡
硬化させたものである。
【0035】芯材の密度は、40〜400kg/m3
ある。これは、40kg/m3 未満であれば、軽量であ
るが発泡倍率が大きいために、成形時に発泡体が潰れや
すい。一方、400kg/m3 を越えると発泡倍率が小
さいため、発泡体の潰れの問題はなくなるものの重量そ
のものが大きくなるという問題が生じる。芯材の厚み
は、特に限定されるものではなく、任意の厚みでよい。
【0036】また、芯材は、その表面に難燃以上の耐火
性能を有する紙などのシートが接着されていてもよく、
さらに一体化されていてもよい。特に、フェノール樹脂
フォームは、プラスチツクフォームのなかでは脆く、取
り扱いにくいため、かかる耐火性シートを接着させるこ
とが好ましい。かかるシートとしては、珪酸カルシウム
紙、炭酸カルシウム紙、アスベスト紙、ガラスペーパー
紙などを使用することができ、耐火性能の向上のため
に、かかる耐火性シートに、さらに結合剤やその他の添
加剤を含浸させてあってもよい。
【0037】本発明に使用する強化繊維基材は、炭素繊
維、ガラス繊維やポリアラミド繊維からなる織物やチョ
ップド・ストランド・マット、コンティニュアス・スト
ランド・マットや、これら強化繊維糸を並行に配列した
シートを0゜(繊維基材の長さ方向)、90゜(繊維基
材の幅方向)や±45゜(繊維基材の斜め方向)に積層
し、これをガラス繊維、ポリエステル繊維、ポリアラミ
ド繊維などのステッチ糸で縫合した多軸ステッチ布帛な
どを使用することができる。
【0038】本発明の成形に用いる樹脂は、常温で液状
のエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエス
テル樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を使用す
ることができ、常温あるいは加熱により硬化させること
ができる樹脂が使用される。また、これらの樹脂に、さ
らに難燃剤などの添加剤を混合して難燃性を向上させた
難燃性樹脂であってもよい。また、かかる樹脂の粘度
は、樹脂の含浸性や含浸速度の点から低粘度樹脂が好ま
しく、0.5〜10ポイズ程度、より好ましくは0.5
〜5ポイズ未満であるものがよい。
【0039】なかでもフェノール樹脂は、樹脂そのもの
が高難燃、低発煙、燃焼ガス低毒性および耐熱性に優
れ、FRPそのものの耐火性能がより向上するため好ま
しく使用される。かかるフェノール樹脂としては、フェ
ノール、クレゾール、ジメチルフェノールなどのフェノ
ール類とホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ベ
ンズアルデヒドなどのアルデヒド類を酸または塩基触媒
を用いて反応させて得られるものや、さらにこれを各種
アルキルフェノール類、動植物油類などで変性させたも
のを使用することができる。なかでも、低粘度、速硬化
など取り扱い性の面から酸硬化剤を使用する水溶性の液
状レゾールタイプが好ましく使用される。また、耐火性
能をより向上させるために石膏、クレー、タルク、水酸
化アルミなどのフィラーを添加したものも使用すること
ができる。
【0040】
【実施例】以下、実施例によりさらに本発明を詳細に説
明する。 (実施例1)下記に示す条件で、耐火試験に供する1.
2m×1.2mの構造体を作製した。
【0041】強化繊維基材として、二方向に炭素繊維が
配向した300g/m2 の炭素繊維クロス、基材目付が
300g/m2 のガラスチョップドストランドマット、
二方向にガラスロービングが配向した570g/m2
ガラスロービングクロスを用いた。
【0042】また、樹脂として、酸硬化剤で硬化する水
溶性のレゾールタイプのフェノール樹脂を用いた。さら
に、耐火断熱材として、厚みが12mmのロックウール
成形板と厚みが40mmで密度が100kg/m3 のフ
ェノール樹脂フォームを用い、前者の耐火断熱材が、最
も底部の外表面となるように積層した。また、芯材とし
て厚みが100mmで密度が60kg/m3 のフェノー
ル樹脂フォームを用いた。
【0043】そして、発泡体からなる板状の芯材の周囲
に、ガラスチョップドストランドマット/炭素繊維クロ
ス/炭素繊維クロス/ガラスチョップドストランドマッ
ト/ガラスロービングクロス/ガラスチョップドストラ
ンドマットの順に巻き、ハンドレイアップ成形により繊
維基材に樹脂を含浸させ、FRP層/芯材層/FRP層
の4種の材料の層構成からなるFRP成形品を得た。
【0044】さらに、このFRP成形品に耐火断熱材を
貼り合わせた後、耐火断熱材に接合部の隙間に発泡性の
耐火塗料を充填させ、構造体Aを得た。 (実施例2)実施例1において耐火断熱材の接合部の断
面が図3に示す十字型の構造とし、接合部の隙間にポリ
サルファイド系耐火シーリング剤を充填した他は同じよ
うに作製し、構造体Bを得た。なお、前記十字型構造の
横方向に伸びている膨らみ部分の各寸法は、横方向の差
し渡しが30mm、厚さが10mm、底部から構造体底面の
外部表面までの距離が12mm(多層積層の境界層と底部
が一致している)とした。 (比較例1)実施例1のうち、耐火断熱材を用いずに、
FRP成形品の表面に厚さ1mmになるように耐火塗料
を塗布して、耐火断熱層を形成した他は、実施例1と同
じようにして構造体Cを得た。 (比較例2)実施例1において、耐火断熱材の接合部に
耐火材料を充填させなかった他は実施例1と同じように
して構造体Dを得た。
【0045】そして、これら構造体A〜Dを試験体と
し、JIS A 1304に準じて、30分耐火試験を
行った。ここで、加熱面は、耐火断熱材層の面とし、加
熱の熱源はプロパンガスを用いた。なお、各部の温度測
定はJIS C 1602に規定された熱電対を用い、
FRP温度は、加熱源に近い耐火断熱材層に接したFR
Pの裏面(芯材側)に貼り付けた熱電対により測定し
た。この試験結果を表1にまとめた。
【0046】
【表1】
【0047】*:載荷試験の支点間距離は100cm 表1において、実施例1のものは、耐火断熱材の接合部
が高温になると隙間に充填した発泡性の耐火塗料が膨張
し断熱層を形成することから耐火断熱材の接合部の隙間
からの炎の進入もなかった。このため、耐火試験時のF
RP温度が157℃であり、試験パネルの変形も1.4
cmと小さく、耐火試験に合格するレベルであった。
【0048】また、実施例2においても、耐火断熱材の
接合部の断面形状が十字型の隙間を有しており、この部
分に耐火シーラントが充填されているために、耐火断熱
材の接合部が高温にさらされて耐火シーラントが多少収
縮しても隙間から脱落することがなく、かつ、炎が直接
進入しにくい形状であるから、耐火試験時のFRP温度
が163℃であり、試験パネルの変形も1.6cmと小
さく、耐火試験に合格するレベルであった。
【0049】一方、比較例1のものは、FRP表面温度
が230℃を越えてから耐火材料が発泡し、そのため、
FRPが燃えることはなかったものの爆裂が発生し、載
荷試験においては最大たわみが大きく不合格であった。
【0050】また、比較例2のものは、実施例1と同じ
耐火断熱材を用いたものの耐火断熱材の接合部の隙間が
存在し、この部分から炎が進入したため、FRPの爆裂
が発生し、載荷試験において最大たわみが大きく不合格
であった。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、軽量でありながら、耐
火性、断熱性を兼ね備えるとともに高温に晒された場合
に、耐火断熱材が変形したり、接合部に隙間が生じて
も、その隙間から炎が進入することもなく、FRPの機
械的特性の低下が小さい温度領域に保持できるので、F
RPの持つ高強度、高剛性の特性を損なわれることのな
い構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る構造体の一例を示す断面図であ
る。
【図2】 本発明に係る構造体において、サンドイッチ
構造を用いた例を示す断面図である。
【図3】 本発明に係る構造体の耐火断熱層において、
膨らみ部を有する接合部の隙間を有する例を示す断面図
である。
【図4】 本発明に係る構造体の耐火断熱層において、
厚さ方向に対して斜行した接合部の隙間を有する例を示
す断面図である。
【図5】 本発明に係る構造体からなる屋根の他の一例
を示す断面図である。
【符号の説明】
1:FRP層 2:耐火断熱層 3:耐火断熱材の接合部の隙間 4:耐火材料 5:開口部 6:コア材 7:リブ 8:サンドイッチ構造 9:接合部の隙間の膨らみ部 10:厚さ方向に対して斜行した接合部の隙間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 仙波 竜也 愛媛県伊予郡松前町大字筒井1515番地 東 レ株式会社愛媛工場内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造部材の少なくとも片面に耐火断熱材
    層が配されて一体化された構造体であって、該耐火断熱
    材層の接合部の隙間が、耐火材料で充填されていること
    を特徴とする構造体。
  2. 【請求項2】 該耐火材料が、所定温度以上で発泡、膨
    張する発泡性の耐火材料であることを特徴とする請求項
    1記載の構造体。
  3. 【請求項3】 該耐火材料が、耐火塗料であることを特
    徴とする請求項1又は2記載の構造体。
  4. 【請求項4】 該構造部材が、繊維強化樹脂からなるも
    のである請求項1〜3のいずれかに記載の構造体。
  5. 【請求項5】 該構造部材が、芯材層を有し、かつ、そ
    の両面に繊維強化樹脂層が配されたサンドイッチ構造を
    有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の構造
    体。
  6. 【請求項6】 該芯材が、プラスチックフォームである
    請求項5記載の構造体。
  7. 【請求項7】 該繊維強化樹脂が、フェノール樹脂をマ
    トリックス樹脂とするものである請求項4〜6のいずれ
    かに記載の構造体。
  8. 【請求項8】 該耐火断熱層が、ロックウール成形板と
    フェノール樹脂発泡体からなるものである請求項1〜7
    のいずれかに記載の構造体。
  9. 【請求項9】 該耐火断熱層が、鋼板とフェノール樹脂
    発泡体からなるものである請求項1〜7のいずれかに記
    載の構造体。
  10. 【請求項10】 該耐火断熱層が、無機繊維フェルトを
    含むものである請求項1〜7記載の構造体。
  11. 【請求項11】 耐火断熱層の接合部の隙間の厚さ方向
    への正射影が、該層の接合部の隙間の開口部とは、形
    状、大きさ乃至は位置が一致しないような、厚さ方向に
    垂直な面で切った断面を有する請求項1〜10の構造
    体。
  12. 【請求項12】 該正射影が該開口部の大きさの1.5
    〜5倍であることを特徴とする請求項11記載の構造
    体。
  13. 【請求項13】 該正射影と該開口部の位置が最短距離
    で5mm〜100mm離れている請求項11に記載の構
    造体。
  14. 【請求項14】 請求項1〜13のいずれかに記載の構
    造体からなることを特徴とする屋根。
  15. 【請求項15】 請求項1〜13のいずれかに記載の構
    造体からなることを特徴とする壁。
  16. 【請求項16】 請求項11〜13のいずれかに記載の
    接合部の隙間構造が形成され得る構造を有することを特
    徴とする耐火断熱タイル。
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