JPH11254567A - 繊維強化樹脂構造部材およびその製造方法ならびにそれを用いた屋根材乃至は壁材 - Google Patents

繊維強化樹脂構造部材およびその製造方法ならびにそれを用いた屋根材乃至は壁材

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JPH11254567A
JPH11254567A JP11001894A JP189499A JPH11254567A JP H11254567 A JPH11254567 A JP H11254567A JP 11001894 A JP11001894 A JP 11001894A JP 189499 A JP189499 A JP 189499A JP H11254567 A JPH11254567 A JP H11254567A
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structural member
reinforced resin
resin
foam
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JP11001894A
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English (en)
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Ikuo Horibe
郁夫 堀部
Akira Nishimura
明 西村
Toyokazu Mizuguchi
豊和 水口
Toshiyuki Kondo
敏行 近藤
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量でありながら十分に高い強度、剛性を有
し、製造が容易で複雑な形状も可能であり、また、火災
時においてもFRPの持つ高強度・高弾性率などの機械
的特性を有効に発揮でき、防火性、断熱性に優れたFR
P構造部材を提供すること。 【解決手段】 芯材層の両面に繊維強化樹脂層が配され
たサンドイッチ構成を有する繊維強化樹脂構造部材の少
なくとも片面に防火材層が配され、一体となっているこ
とを特徴とする繊維強化樹脂構造部材、または、繊維強
化樹脂層の少なくとも片面に密度が700kg/m3以下で
ある防火材層が配され、一体となっていることを特徴と
する繊維強化樹脂構造部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維強化樹脂(以
下、FRPと呼ぶ)からなる構造部材に関し、特に屋
根、壁などを構成する材料として好適な防火FRP構造
部材に関する。
【0002】
【従来の技術】屋根材や壁材などをはじめとする建築構
造部材としては、一般にはスチール板やコンクリート、
木材などが使用されている。このような材料を用いる場
合、特にスチールやコンクリートを用いる場合におい
て、厚みが大きい形状になると、単位面積あたりの重量
が大きくなり、建物自体の強度を上げる必要が生じ、建
物用の材料費の増加や構造的に建造費の増大を招いてい
た。
【0003】また、上述のような材料では、一般に曲面
などの複雑形状にすることは困難であり、デザイン上の
制約を受ける。また、複雑な形状とする場合、その加工
コストなどが非常に高価となる。
【0004】そこで、強化繊維に樹脂を含浸させ硬化さ
せた、いわゆるFRPのみでこれらの構造部材を構成す
ることにより、軽量でかつ曲面形状を有する構造部材を
作製することが可能と考えられる。しかしながら、建築
構造部材においては、火災時における防火性能が要求さ
れるので、FRPを構成する強化繊維や樹脂は不燃ある
いは準不燃材料で構成する必要があり、繊維としては、
炭素繊維、ガラス繊維、樹脂としてはフェノール樹脂な
ど限られたものとなる。
【0005】また、防火性能はクリヤできたとしても、
FRPは雰囲気温度により機械的特性が大きく変化する
ため、その低下が少ない領域で使用することが重要とな
り、不燃あるいは準不燃の材料で構成したFRPにおい
ても、直接炎があたることでFRPそのものが高温にな
りその機械的特性が大幅に低下するという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の上述した問題点を解決すること、すなわち、軽量であ
りながら十分に高い強度、剛性を有し、製造が容易で複
雑な形状も可能であり、また、火災時においてもFRP
の持つ高強度・高弾性率などの機械的特性を有効に発揮
でき、防火性、断熱性に優れたFRP構造部材を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は基本的には以下の構成を有する。即ち、
「芯材層の両面に繊維強化樹脂層が配されたサンドイッ
チ構成を有する繊維強化樹脂構造部材の少なくとも片面
に防火材層が配され、一体となっていることを特徴とす
る繊維強化樹脂構造部材。」または、「繊維強化樹脂層
の少なくとも片面に防火材層が配され、一体となってい
ることを特徴とする繊維強化樹脂構造部材。」である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の望ましい実施の
形態を、図面を参照しながら説明する。なお、防火材は
ある程度断熱性も有しており、また、部材の構成上、防
火材も防火断熱材もほぼ同等と見なし得るので、以下、
防火材を例に取って説明するが、これに限定されるもの
ではない。
【0009】図1は、本発明に係るFRP構造部材の一
実施例を示している。強化繊維基材とマトリックス樹脂
からなるFRP層2は密度が700kg/m3以下の防火材
層3が接着され、一体となったFRP構造部材1であ
る。
【0010】図2は、本発明に係るFRP構造部材の他
の一実施例を示している。芯材層4の両側に強化繊維基
材とマトリックス樹脂からなるFRP層2が配され、さ
らに、一方のFRP層の表面には防火材層3が配され、
一体となったFRP構造部材1である。ここで、芯材層
4は、芯材とFRPの接着面に連続した溝を有し、FR
Pのマトリックス樹脂が充填されている。
【0011】図3は、本発明に係るFRP構造部材の他
の一実施例を示している。強化繊維基材とマトリックス
樹脂からなるFRP層2は、防火材層3aと断熱層3b
からなる密度が700kg/m3以下の防火材層3が接着さ
れ、一体となったFRP構造部材1である。
【0012】図4は、本発明に係るFRP構造部材の他
の一実施例を示している。芯材層4の両側に強化繊維基
材とマトリックス樹脂からなるFRP層2が配され、さ
らに、一方のFRP層の表面には防火材層3aと断熱層
3bからなる防火材層3が配され、一体となったFRP
構造部材1である。ここで、芯材層4は、芯材とFRP
の接着面に連続した溝を有し、FRPのマトリックス樹
脂が充填されている。
【0013】本発明のFRP構造部材は、FRPの従来
から知られている方法で成形することができるが、なか
でもレジン・トランスファー成形法や真空バッグ成形法
では大型の成形品が安価に製造することができるので、
好ましく用いられる。
【0014】ついで、本発明によるFRPの成形法を説
明するに図5は、本発明のFRPの成形法を示す一実施
例の断面図である。図5において、板状の防火材3の上
に強化繊維基材6が所定の方向に所定の枚数が積層さ
れ、その上に樹脂が硬化した後に引き剥がして除去する
シート、いわゆるピールプライ7を積層し、その上に樹
脂を繊維基材の全面に拡散させるための樹脂拡散媒体8
を置く。繊維基材の周囲には、真空ポンプの空気の吸引
口13を取り付け、エッジ・ブリーザ10として織物な
ど多孔性の材料を多数枚積層してはり巡らし、全体をバ
ッグ・フィルム11で覆い、空気が漏れないようにバッ
グ・フィルムの周囲を、ブチルゴム系やシリコーンゴム
系のシール材12で型に接着させる。バッグ・フィルム
の上部に樹脂タンクから注入される樹脂の吐出口9を取
り付け、吐出口の取り付け部から空気が漏れないように
シール材12で接着する。樹脂タンクには、硬化剤を所
定量入れた常温でシロップ状の常温硬化型樹脂あるいは
加熱硬化型樹脂を入れておく。ついで、真空ポンプでバ
ッグフィルムで覆われた繊維基材を含めた内部を、真空
圧力が700〜760Torr程度の真空状態にした
後、バルブ14を解放して樹脂を注入する。バッグ・フ
ィルムで覆われた中が真空状態であり、繊維基材の厚さ
方向より樹脂拡散媒体の面方向が樹脂の流通抵抗が小さ
いから、まず樹脂は媒体の全面に拡がった後、ついで繊
維基材の厚さ方向の含浸が進行する。この方法であると
樹脂の流れなければならない距離は、繊維基材積層体の
厚さでよいから、樹脂含浸が非常に早くて完了する。な
お、真空ポンプは少なくとも樹脂の含浸が完了するまで
運転し、バッグ・フィルムの中を真空状態に保つことが
好ましい。樹脂含浸完了後、バルブを閉口し、室温に放
置あるいは加熱し樹脂を硬化させる。樹脂の硬化後、ピ
ールプライを剥いで、媒体やバッグ・フイルムを除去
し、型から脱型することによってFRP成形品が得られ
る。
【0015】なお、図5は防火材を成形型として使用す
るケースについて示したが、図6に示すように通常用い
られている成形と同じように成形型を用いて成形を行っ
てもよい。
【0016】本発明に使用する媒体8の一例を図7に示
したが、媒体はバッグ内の真空圧力を繊維基材に伝え、
かつ注入される樹脂を媒体の隙間を通して、媒体側の繊
維基材上面の全体に樹脂を行き渡らせるものである。す
なわち、バッグ・フイルムとピールプライ間に位置する
媒体に樹脂が注入されると、図7において、注入された
樹脂はバッグ・フイルムに接するA群のバー15の間隙
を流れてバー15の方向とB群の矩形断面のバー16の
間隙を流れてバー16の方向に流れるから全面に樹脂が
拡散することとなる。また、バー15にかかる力をバー
16に伝えることができるから真空圧力を繊維基材に伝
えることができるのである。媒体の具体的なものとして
は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポ
リ塩化ビニルや金属などからなるメッシュ状のシート
で、たとえば、メッシュ状樹脂フイルム、織物、網状物
や編物などであり、必要に応じてこれらを数枚重ねて使
用することができる。
【0017】また、レジン・トランスファー成形法や真
空バッグ成形により作製する場合においては、板状の防
火材を用い、この防火材の上に繊維基材を積層し、さら
に全体をバッグフィルムで覆い、次にバッグフィルムで
覆われた内部を真空状態にし、繊維基材と接している防
火材の溝から樹脂を拡散させ、積層された繊維基材に常
温硬化型樹脂あるいは加熱硬化型樹脂を含浸させながら
防火材と繊維基材とを一体化させることもできる。
【0018】なお、上記はFRPの片面に防火材層を設
置する場合について説明したが、芯材の両側に強化繊維
基材が配置するサンドイッチ構成を有するFRPと防火
材層が一体になったFRP構造部材をレジン・トランス
ファー成形法や真空バッグ成形法により作製する場合に
おいては、以下のようにするとよい。まず、板状の防火
材または芯材に、少なくとも繊維基材と接する面に樹脂
の流路となる連続した溝を設け防火材、繊維基材、芯
材、繊維基材の順で積層し、さらに、全体をバッグフィ
ルムで覆い、次にバッグフィルムで覆われた内部を真空
状態にし、防火材または芯材の樹脂を拡散させるための
流路から積層された繊維基材に常温硬化型樹脂あるいは
熱硬化性樹脂型を含浸させながら芯材と繊維基材および
防火材とを一体化させることもできる。
【0019】この防火材あるいは芯材に設けた樹脂を拡
散させるための流路から積層された繊維基材に常温硬化
型樹脂あるいは熱硬化性樹脂型を含浸させながら繊維基
材と防火材や芯材とを一体化させる方法について、更に
詳しく説明する。図8は、本発明のFRPの成形法を示
す他の一実施例の断面図である。図8において、芯材4
の周囲にFRP2が配置するサンドイッチ構成を有する
FRP構造体と防火材層3が一体になったFRP構造部
材をレジン・トランスファー成形法や真空バッグ成形法
により作製する場合においては、強化繊維基材6と接す
る面に樹脂の流路となる連続した溝を有する板状の芯材
4を用い、芯材4の周囲に繊維基材6を所定の方向に所
定の枚数が積層して巻き付けたブロックを防火材3の上
に必要個数分配置する。そして、全体をバッグフィルム
11で覆い、空気が漏れないようにバッグ・フィルムの
周囲を、ブチルゴム系やシリコーンゴム系のシール材1
2で防火材に接着させる。
【0020】さらに、芯材4の側面の繊維基材6に穴を
あけて芯材の溝部に真空ポンプの空気の吸引口13を取
り付け、そして、芯材の真空ポンプの空気の吸引口13
を取り付けた部分から一番遠い側面に樹脂タンクから注
入される樹脂の吐出口9を取り付け、吸引口および吐出
口の取り付け部から空気が漏れないようにシール材12
で接着する。樹脂タンクには、硬化剤を所定量入れた常
温でシロップ状の常温硬化型樹脂あるいは加熱硬化型樹
脂を入れておく。ついで、真空ポンプでバッグフィルム
で覆われた繊維基材を含めた内部を、真空圧力が700
〜760Torr程度の真空状態にした後、バルブ14
を解放して樹脂を注入する。バッグ・フィルムで覆われ
た中が真空状態であり、注入された樹脂は繊維基材に比
べ、芯材の溝部の方が樹脂の流通抵抗が小さいから、ま
ず樹脂は芯材周囲の溝部全面に拡がった後、ついで繊維
基材へと含浸が進行する。この方法であると溝部を通し
て繊維基材全体に樹脂が流れた後、未含浸部へ含浸され
る。このため、繊維基材の樹脂の流れなければならない
距離は、溝と溝の間隔でよいから、樹脂含浸が非常に早
くて完了する。なお、真空ポンプは少なくとも樹脂の含
浸が完了するまで運転し、バッグ・フィルムの中を真空
状態に保つことが好ましい。樹脂含浸完了後、バルブを
閉口し、室温に放置あるいは加熱し樹脂を硬化させる。
樹脂の硬化後、バッグ・フイルムを除去することによっ
て防火材とFRPが一体となったFRP構造部材が得ら
れる。
【0021】なお、図8においては防火材を成形型とし
て使用するケースについて示したが、図9に示すように
通常用いられている成形と同じように成形型を用いて成
形を行ってもよい。
【0022】また、図9においては、防火材が、成形品
成形型と接してFRP成形品の下面に配置する例につい
て示したが、特に限定されるものではなく上面に配置し
ても構わない。図9のように、防火材が下面に配置され
ると、屋根材として用いる際には、ひっくり返さずにそ
のまま用いることができる。なぜならば、屋根材は下面
に防火材を有することが求められるものだからである。
特に10〜2000m 2の大型の屋根材の場合には最適
である。一方、図9とは反対に防火材が上面に配置され
ると、防火材への樹脂の浸透が少なく、外観が優れたも
のが得られて好ましい。これらの事情は図6で示した例
についても同様である。
【0023】芯材または防火材と繊維基材とが接する面
の溝は、成形後は、この溝の部分は樹脂が充填されるこ
とで、芯材にFRPの接着面積が増加し、接着が強固と
なる。さらに、芯材とFRPの接着面が平面でなく凸凹
形状となるので、FRP付近の芯材にひび割れが発生し
た場合には、クラックの進展を抑制することができる。
【0024】溝の断面形状は、正方形、長方形、半円形
などいかなる形状であってもかまわないが、好ましく
は、発泡体の取り扱い時の溝の部分の崩れにくさから、
正方形、長方形、半円形がよく、溝の大きさは、断面の
一辺が2〜10mm程度であり、溝と溝との間隔は10
〜100mm程度である。
【0025】また、芯材の周囲に繊維基材を巻き付けた
ブロックを用いることにより、成形後は、上面と下面の
スキンが部分的に連続したリブ付のFRP構造部材とす
ることができ、FRP構造部材の厚み方向の圧縮強さを
向上させることができる。
【0026】さらに、構造部材としてスチールの桁材な
どを使用する場合においては、先のFRPのリブと同じ
位置に配置するようにすれば、この桁材は防火材の非加
熱面側に位置することになり、防火材によりFRPの防
火材層およびスチールの防火被覆も兼ねることができ
る。
【0027】上記に記載した成形法は、大きくは真空バ
ッグ成形法の範疇に入るが、樹脂注入と同時に樹脂を繊
維基材積層体の全面に拡散させる点で、従来の真空バッ
グ成形法とは異なり、とくに大型のFRP成形品の成形
に用いると好適である。
【0028】ここで、FRPを建築構造部材として使用
する場合、建設省告示第2999号(耐火構造の指定の
方法)に規定される耐火構造指定を受ける必要があり、
JISA1304(建築構造部分の耐火試験方法)にお
ける加熱条件に沿って加熱した場合、構造上有害な変形
や破壊がないことが規定されている。
【0029】そこで、繊維基材として、炭素繊維織物、
ガラスロービング織物およびガラスチョップドストラン
ドマット、樹脂として酸硬化タイプの液状レゾール系フ
ェノール樹脂を用いてFRPを作製し、その機械的特性
の各温度における保持率を調査したところ、200℃を
越えると大きく低下するとともに、FRPを構成する繊
維基材の層間で爆裂が発生し、構造上の有害な破壊が生
じた。この爆裂現象は、フェノール樹脂の溶剤と使用し
ている水が気化することで体積が膨張し生じたものと考
えられる。このようなことからFRPを建築構造部材と
して使用する場合において、FRP温度を200℃以下
に保持することが大きな命題であることがわかった。
【0030】そこで、このFRPの温度上昇を抑えるた
めの手法として、その表面に耐火材や防火材、断熱材を
貼り付けることができる。ここで、防火材(または耐火
材)としては、石膏ボードなどがよく用いられている
が、この石膏ボードのみでは、防火性は確保できるもの
の断熱性が劣るため、その裏面に断熱材としてロックウ
ールやガラスウールを配置した構成がよく用いられてい
る。そして、この防火材(または耐火材)と断熱材を組
み合わせることにより、所定の防火性や断熱性を確保で
きるようになるが、材料そのものが重いという問題や防
火材の裏面に断熱材を貼り付けるために作業性が悪いと
いう問題がある。このため、FRPの防火材としてこれ
らの材料を用いると、FRPの持つ軽量、高強度、高弾
性などの特性が損なわれることになる。また、先の真空
バック成形によりFRPとこれらの防火材を一体成形し
ようとすると、成形時に断熱材層に樹脂が充填されるこ
とにより、重量がさらに増加することと断熱特性が低下
するという問題が発生した。そこで、種々の検討を行っ
た結果、FRPと防火材を一体化させることにより、こ
れらの問題を改善できるとともにJISA1304の耐
火試験方法による30分間ないし1時間耐火試験におい
て防火材層と接する繊維強化樹脂層の最高温度が200
℃以下に抑えることができ、FRPの爆裂現象が発生し
ないことがわかった。つまり、防火材層が発泡体やフェ
ルトなど内部に空気の気泡や空隙部を含んでいるため、
これらの断熱効果により火災などでFRP構造部材表面
に炎が当たってもFRPの温度上昇が小さく、防火断熱
効果に優れることがわかった。さらに、これらの防火材
は空気の気泡や空隙部を含んでいるため、FRPに貼り
合わせることによる重量増は小さく、FRPの持つ軽量
高強度高弾性率などの特性を損なうことがないことがわ
かった。また、発泡体においては気泡を含んでいること
により曲面加工のためにスリット入れるなどの切削加工
性にも優れる。
【0031】防火材としては、プラスチックなどの有機
系材料あるいは無機系材料からなる発泡体を用いること
もでき、準不燃あるいは不燃の燃焼特性を有するもので
あることが望まれる。たとえば、軽量気泡コンクリー
ト、珪酸カルシウム発泡体、炭酸カルシウム発泡体、フ
ェノール樹脂発泡体などである。なかでも、無機系の材
料に比べ、軽量で脆くないことから有機系の材料が好ま
しく、特にフェノール樹脂発泡体が軽量でかつ熱伝導率
が小さいので好ましい。
【0032】フェノール樹脂発泡体としては、公知のフ
ェノール樹脂発泡体を用いることができる。具体的に
は、粉末状のノボラック型フェノール樹脂、液状の水系
あるいは非水系のレゾール型フェノール樹脂からなる発
泡体であり、これらのフェノール樹脂にヘキサメチレン
テトラミンなどのアミン、リン酸、塩酸などの無機酸、
パラトルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸などの
有機酸から選ばれた硬化剤、シリコーン系非イオン型界
面活性剤などの整泡剤、フルオロカーボンなどの発泡剤
を配合し、加熱発泡硬化させたものである。
【0033】また、防火材となる発泡体の発泡方法とし
ては、独立発泡あるいは連続発泡がある。ここで、連続
発泡は、真空バック成形などにより強化繊維基材に樹脂
を含浸させる際に、発泡体内部に樹脂が浸透する可能性
があるため、独立発泡が好ましい。
【0034】防火材の密度は、防火断熱層を構成する各
防火材の総重量をm3当たりに換算したものであり、7
00kg/m3以下である。これは、700kg/m3
越えると防火材そのものの重量が大きくなり、FRPの
持つ軽量でかつ高強度・高弾性率などの優れた機械的特
性が損なわれてしまう。また、防火材が発泡体で構成さ
れる場合においては、40〜400kg/m3の範囲が
好ましい。これは、40kg/m3未満であれば、軽量
であるが発泡倍率が大きいために、真空バッグ成形時に
発泡体が潰れやすい。一方、400kg/m3を越える
と発泡倍率が小さいため、発泡体の潰れの問題はなくな
るもののは重量そのものが大きくなるという問題が生じ
る。より好ましくは、40〜120kg/m3の範囲で
あり、さらに好ましくは60〜80kg/m3の範囲で
ある。
【0035】防火材の圧縮強さは、1.0kgf/cm
2以上であることが好ましい。これは成形時に真空バッ
グする際に1.0kgf/cm2で真空減圧されるた
め、1.0kgf/cm2未満であれば発泡体の潰れが
生じてしまうからである。
【0036】防火材の厚みは、10〜100mmにする
ことが好ましい。厚みが、10mm未満であれば断熱効
果が小さく、FRPが高温にさらされてしまい機械的特
性の低下が大きい。一方、100mmを越えると重量が
重くなり、取り扱いにくくなる。このため、厚みは、10
〜100mmの範囲が好ましい。より好ましくは、適度
な断熱効果があり、かつ、軽量であることから25〜5
0mmがよい。
【0037】防火材は、発泡体の表面に難燃以上の防火
性能を有する紙などのシートを接着され、一体化されて
いてもよい。特に、フェノール樹脂発泡体は脆く、取り
扱いにくいためシートを接着させることが好ましい。シ
ートとしては、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、アス
ベスト、ガラス繊維、水酸化アルミニウムなどからなる
ものであり、これらに結合剤やその他の添加剤を含浸さ
せてあってもよい。
【0038】また、防火材はその脆さや圧縮強さなどの
機械的特性を改善するためにガラス繊維や炭素繊維など
の無機系の短繊維を混入させてあってもよい。
【0039】さらに、防火材が有機系の発泡体の場合に
は、無機系に比べ軽量で脆くはないものの防火性能が劣
るため、防火断熱性能を向上させるために、無機ボード
や金属板を貼り合わせることが好ましい。そうすること
によりいっそう防火性能が向上する。
【0040】無機ボードとしては、ロックウール成形
板、石膏ボード、珪酸カルシウムボード、木毛セメント
板などである。なかでもロックールにフェノール樹脂な
どの有機あるいは無機のバインダーを含浸させたロック
ウール成形板は防火性能のみならず断熱性能にも優れて
いるために、断熱特性が優れた発泡体と併用することで
よりいっそう防火性能を向上させることができるため好
ましい。
【0041】また、金属板と発泡体を併用する場合にお
いても、熱伝導性が優れる金属板により、炎の熱を広範
囲に拡散するとともに、発泡体で断熱するこで、部分的
な温度上昇を防ぐことができるので好ましい。
【0042】さらに、前記の無機ボードや金属板のかわ
りに防火材の表面に防火性の塗料を塗布することも好ま
しい。そうすることによってもよりいっそう防火性能が
向上する。
【0043】防火性の塗料としては、構造部材が火災に
より高温に晒された場合、塗膜が着火を防ぐ非発泡性の
防火塗料と防火塗料が高温に晒されたとき塗料に含まれ
る発泡剤が発泡膨張し、断熱性を付与する発泡性防火塗
料があるがどちらでもよい。なかでも、発泡性の防火塗
料は高温にさらされた場合に発泡することで気泡の断熱
層が形成され、断熱効果が大きいので好ましい。
【0044】また、防火塗料がシート状物であると、塗
膜の厚みが均一で希望の厚みのものが得られ、塗布斑が
なくなり、安定した防火断熱性能を有する構造部材とな
るためより好ましい。
【0045】さらに、防火材と防火塗料を併用すること
で、防火材単独で用いる場合に比べ、防火材の厚みを薄
くすることができ、より軽量にすることができる。この
場合の防火材の厚みは、使用する防火塗料の種類や厚み
にもよるが、10〜30mmが好ましい。
【0046】また、防火材としては、セラミックファイ
バー、アルミナファイバー、ロックウール、ガラスウー
ルなどの無機繊維からなるフェルト状のものであっても
よい。そしてこれらの材料を単独あるいは適宜組み合わ
せて防火材を構成すればよいが、好ましくは、炎に晒さ
れる面に防火材層として耐火性の優れたセラミックファ
イバーまたはアルミナファイバーとし、断熱層として、
ロックウールまたはガラスウールを用いるとよい。
【0047】フェルトの密度は、上記のフェルト状材料
を単独あるいは適宜組み合わせたものの総重量をm3
たりに換算したものであり、50〜200kg/m3
ある。これは、50kg/m3未満であれば、軽量であ
るが空隙部が多くなることから炎が貫通し易くなり、満
足な耐火性能を得るためには厚みを厚くする必要があ
る。一方、200kg/m3を越えると耐火性能の面か
らは好ましいものの重量そのものが大きくなるという問
題が生じる。このため、50〜200kg/m3の範囲
が適度な耐火性能を有し、構造体をより軽量化できるの
で好ましい。
【0048】芯材は、有機系あるいは無機系の発泡体で
あり、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、PVC、シリコーン、イソシアヌレー
ト、フェノールなどの樹脂からなる発泡体や軽量気泡コ
ンクリート、珪酸カルシウム発泡体、炭酸カルシウム発
泡体などである。なかでも、軽量でかつ熱伝導率が小さ
く、防火断熱性能が優れたフェノール樹脂発泡体が好ま
しい。
【0049】フェノール樹脂発泡体としては、防火材と
同様に、公知のフェノール樹脂発泡体を用いることがで
きる。具体的には、粉末状のノボラック型フェノール樹
脂、液状の水系あるいは非水系のレゾール型フェノール
樹脂からなる発泡体であり、これらのフェノール樹脂に
ヘキサメチレンテトラミンなどのアミン、リン酸、塩酸
などの無機酸、パラトルエンスルホン酸、フェノールス
ルホン酸などの有機酸から選ばれた硬化剤、シリコーン
系非イオン型界面活性剤などの整泡剤、フルオロカーボ
ンなどの発泡剤を配合し、加熱発泡硬化させたものであ
る。
【0050】芯材の密度は、40〜400kg/m3
ある。これは、40kg/m3未満であれば、軽量であ
るが発泡倍率が大きいために、真空バッグ成形時に発泡
体が潰れやすい。一方、400kg/m3を越えると発
泡倍率が小さいため、発泡体の潰れの問題はなくなるも
ののは重量そのものが大きくなるという問題が生じる。
【0051】芯材の圧縮強さは、1.0kgf/cm2
以上であることが好ましい。これは成形時に真空バッグ
する際に1.0kgf/cm2で真空減圧されるため、
1.0kgf/cm2未満であれば発泡体の潰れが生じ
てしまうからである。
【0052】芯材の厚みは、特に限定されるものではな
く、任意の厚みでよい。
【0053】また、芯材は、その表面に難燃以上の防火
性能を有する紙などのシートを接着され、一体化されて
いてもよい。特に、フェノール樹脂発泡体は非常に脆
く、取り扱いにくいためシートを接着させることが好ま
しい。シートとしては、珪酸カルシウム紙、炭酸カルシ
ウム紙、アスベスト紙、ガラスペーパー紙などであり、
防火性能の向上のためにこれらに結合剤やその他の添加
剤を含浸させてあってもよい。
【0054】本発明に使用する強化繊維基材は、炭素繊
維、ガラス繊維やポリアラミド繊維からなる織物やチョ
ップド・ストランド・マット、コンティニュアス・スト
ランド・マットであってもよいし、これら強化繊維糸を
並行に配列したシートを0゜(繊維基材の長さ方向)、
90゜(繊維基材の幅方向)や±45゜(繊維基材の斜
め方向)に積層され、これをガラス繊維、ポリエステル
繊維な、ポリアラミド繊維などのステッチ糸で縫合した
多軸ステッチ布帛であってもよい。
【0055】本発明の成形に用いる樹脂は、常温で液状
のエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエス
テル樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂であり、
常温あるいは加熱により硬化させることができる。ま
た、これらの樹脂に難燃剤などの添加剤を混合して難燃
性を向上させた難燃性樹脂であってもよい。また、樹脂
の粘度は、樹脂の含浸性や含浸速度の点から低粘度樹脂
が好ましく、0.5〜10ポイズ程度、より好ましくは
0.5〜5ポイズ未満である。
【0056】なかでも、樹脂がフェノール樹脂である
と、樹脂そのものが高難燃、低発煙、燃焼ガス低毒性お
よび耐熱性に優れ、FRPそのものの防火性能がより向
上するため好ましい。
【0057】フェノール樹脂としては、フェノール、ク
レゾール、ジメチルフェノールなどのフェノール類とホ
ルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデ
ヒドなどのアルデヒド類を酸または塩基触媒を用いて反
応させて得られるもので、さらにこれを各種アルキルフ
ェノール類、動植物油類などで変性させたものである。
なかでも、低粘度、速硬化など取り扱い性の面から酸硬
化剤を使用する水溶性の液状レゾールタイプが好まし
い。
【0058】また、防火性能をより向上させるために石
膏、クレー、タルク、水酸化アルミなどのフィラーを添
加してもよい。
【0059】本発明の成形に用いるピールプライは、樹
脂が硬化した後にFRPから引き剥がして除去するシー
トであるが、樹脂を通過させることができることが必要
であり、ナイロン繊維織物、ポリエステル繊維織物やガ
ラス繊維織物などである。なお、ナイロン繊維織物やポ
リエステル繊維織物は安価であるため好ましく用いられ
るが、これら織物を製造する際に用いられている油剤や
サイジング剤がFRPの樹脂に混入するのを防ぐため、
精練を行い、また常温硬化型樹脂の硬化発熱による収縮
を防ぐため、熱セットされた織物を使用することが好ま
しい。
【0060】本発明の成形に用いるエッジ・ブリーザ
は、空気および樹脂を通過させることができることが必
要であり、ナイロン繊維織物、ポリエステル繊維織物、
ガラス繊維織物やナイロン繊維、ポリエステル繊維から
なるマットを使用することができる。
【0061】また、本発明の成形に用いるバッグ・フイ
ルムは、気密性であることが必要でありナイロンフイル
ム、ポリエステルフイルムやPVCフイルムなどであ
る。
【0062】繊維強化樹脂構造部材の成形は、通常成形
型を用いて行うが、防火材をそのまま型として用いると
型の製作/取り外しが不要となるためスチールやコンク
リートなどに比べて安価にできる。
【0063】また、発泡体にスリットを入れることで曲
げ加工が可能となり、複雑な曲面形状にも容易に対応で
き、デザイン上の自由度が大幅に向上する。
【0064】このようにすることによって屋根材として
は、FRPの少なくとも片面に防火断熱材層があるた
め、FRPの持つ軽量でかつ高強度高弾性の特性を損な
うことなく、適度な断熱性と防火性を有する。また、大
型で曲面形状を有するFRP構造部材を一体成形ででき
ることから、施工や組立行程を大幅に削減することがで
き、目標とする屋根体や壁体を容易に完成させることも
できる。
【0065】
【実施例】以下、実施例によりさらに本発明を詳細に説
明する。 実施例1 本発明の効果を明確にするために下記に示す条件で耐火
試験に供する1.2m×1.2mのFRP構造部材の作
製を行った。
【0066】強化繊維基材として、二方向に炭素繊維が
配向した300g/m2の炭素繊維織物、基材目付が3
00g/m2のガラスチョップドストランドマット、二
方向にガラスロービングが配向した570g/m2のガ
ラスロービング織物を用いた。また、樹脂として、酸硬
化剤で硬化する水溶性のレゾールタイプのフェノール樹
脂を用いた。さらに、防火材として、表面に不燃紙を貼
り付けた厚みが40mmで密度が60kg/m3のフェ
ノール樹脂発泡体、芯材として厚みが10cmで密度が
60kg/m3のフェノール樹脂発泡体を用いた。
【0067】そして、繊維基材と接する面に樹脂の流路
となる連続した溝(溝の大きさは、断面の一辺が3mm
であり、溝と溝との間隔は25mmである。)を有する発
泡体からなる板状の芯材の周囲に、ガラスチョップドス
トランドマット/炭素繊維織物/炭素繊維織物/ガラス
チョップドストランドマット/ガラスロービング織物/
ガラスチョップドストランドマットの順に巻き、フェノ
ール樹脂発泡体の上に配置した。そして、全体をバッグ
フィルムで覆い、空気が漏れないようにバッグ・フィル
ムの周囲を、シール材で防火材に接着させ、芯材の側面
の繊維基材に穴をあけて芯材の溝部に真空ポンプの空気
の吸引口と樹脂タンクから注入される樹脂の吐出口を取
り付け、吸引口および突出口の取り付け部から空気が漏
れないようにシール材で接着させ、真空ポンプでバッグ
・フィルム内を真空状態にした後、樹脂の吐出口を解放
して樹脂を注入し、強化繊維基材に樹脂を含浸させた。
そして、真空ポンプを樹脂が硬化するまで運転し、一晩
放置後、バッグ・フイルムを除去し、防火材層/FRP
層/芯材層/FRP層の4種の材料の層構成からなるF
RP構造部材Aを得た。 実施例2 実施例1におけるフェノール樹脂発泡体からなる防火材
のかわりに、厚みが9mmで密度が400kg/m3
ロックウール成形板と厚みが40mmで密度が60kg
/m3のフェノール樹脂発泡体を無機系の接着剤で貼り
合わせた厚みが50mmの防火材を用いた他は、実施例
1と同じようにしてFRP構造部材Bを得た。 実施例3 実施例1におけるフェノール樹脂発泡体からなる防火材
のかわりに、厚みが0.35mmの金属板と厚みが40
mmで密度が60kg/m3のフェノール樹脂発泡体を
無機系の接着剤で貼り合わせた厚みが41mmの防火材
を用いた他は、実施例1と同じようにしてFRP構造部
材Cを得た。 比較例1 実施例1におけるFRPの樹脂としてフェノール樹脂の
かわりに不飽和ポリエステル樹脂を、また、防火材を用
いなかった他は、実施例1と同じようにしてFRP構造
部材Dを得た。 比較例2 実施例1において防火材を用いなかった他は、実施例1
と同じようにしてFRP構造部材Eを得た。
【0068】そしてこれらのFRP構造部材を試験体と
し、JISA1304に準じての30分および1時間耐
火試験を行った。ここで、加熱面は、防火材層の面と
し、加熱の熱源はプロパンガスを用いた。なお、各部の
温度測定はJISC1602に規定されたCA熱電対を
用い、FRP温度は加熱源に近い防火材層に接したFR
Pの裏面(芯材側)に貼り付けた熱電対により測定し
た。この試験結果を表1および表2にまとめた。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】表1に示す30分耐火試験結果において本
発明の実施例1のFRP構造部材Aは、FRP層と接し
てフェノール樹脂発泡体からなる防火材層を有している
ために、耐火試験時のFRP温度が152℃とフェノー
ル樹脂を用いたFRPの機械的特性の低下が小さい温度
領域である200℃以下に維持でき、試験パネルの変形
が1.2cmと小さく、耐火試験に合格するレベルであ
った。なお、発泡体からなる防火材層は、減圧工程を経
ても気泡構造が実質上保たれていた。また、FRPと防
火材層との接着性も良好であり、実用上問題のない性能
を発揮した。
【0072】一方、比較例3のFRP構造部材Dにおい
ては、防火材層がなく、可燃のマトリックス樹脂のた
め、FRPが燃えてしまい、構造上の有害な変形が生じ
た。また、比較例4のFRP構造部材Eにおいては、マ
トリックス樹脂の難燃性は優れるもののFRPそのもの
が680℃と高温にさらされるために、載荷試験に耐え
ることができず、構造上有害な破壊を生じた。このFR
P部材を切断し、断面観察を行ったところ、炭素繊維織
物とガラスマットの層間で剥離が発生していた。
【0073】同様に1時間耐火試験においても本発明の
実施例2、3のFRP構造部材B、Cは、FRP層と接
してロックウール成形板または金属板とフェノール樹脂
発泡体からなる防火材層を有しているために、耐火試験
時のFRP温度がそれぞれ103℃、115℃とフェノ
ール樹脂を用いたFRPの機械的特性の低下が小さい温
度領域である200℃以下に維持でき、試験パネルの変
形がそれぞれ0.9cm、1.1cmと小さく、耐火試
験に合格するレベルであった。なお、発泡体からなる防
火材層は、減圧工程を経ても気泡構造が実質上保たれて
いた。また、FRPと防火材層との接着性も良好であ
り、実用上問題のない性能を発揮した。
【0074】一方、比較例1のFRP構造部材Dにおい
ては、防火材層がなく、可燃のマトリックス樹脂のた
め、FRPが燃えてしまい、構造上の有害な変形が生じ
た。また、比較例2のFRP構造部材Eにおいては、マ
トリックス樹脂の難燃性は優れるもののFRPそのもの
が789℃と高温にさらされるために、載荷試験に耐え
ることができず、構造上有害な破壊を生じた。このFR
P部材を切断し、断面観察を行ったところ、炭素繊維織
物とガラスマットの層間で剥離が発生していた。
【0075】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の繊維強化
樹脂構造部材によれば、FRP層の少なくとも片面に防
火材層が配され、一体となったFRP構造部材であるた
めに、軽量でありながら、防火性、断熱性を兼ね備える
とともに高温にさらされた場合にFRPの持つ高強度、
高剛性の特性を損なわれることがない。また、運搬取り
扱い組立施工がきわめて容易デザイン上の自由度が大き
く、複雑な形状も容易にとりうる屋根材や壁材に用いて
好適な構造材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明により得られるFRP構造部材に関す
る一実施例の斜視図である。
【図2】 本発明により得られるFRP構造部材に関す
る他の一実施例の斜視図である。
【図3】 本発明により得られるFRP構造部材に関す
る他の一実施例の斜視図である。
【図4】 本発明により得られるFRP構造部材に関す
る他の一実施例の斜視図である。
【図5】 本発明のFRP構造部材の成形法を説明する
一実施例の断面図である。
【図6】 本発明のFRP構造部材の成形法を説明する
他の一実施例の断面図である。
【図7】 樹脂拡散媒体の斜視図である。
【図8】 本発明のFRP構造部材の成形法を説明する
一実施例の断面図である。
【図9】 本発明のFRP構造部材の成形法を説明する
他の一実施例の断面図である。
【図10】 本発明のFRP構造部材からなる屋根の一
実施例の断面図である。
【図11】 本発明のFRP構造部材からなる壁の一実
施例の断面図である。
【符号の説明】
1:FRP構造部材 2:FRP 3:防火材 3a:防火材層 3b:断熱層 4:芯材 5:成形型 6:強化繊維基材 7:ピールプライ 8:樹脂拡散媒体 9:吐出口 10:エッジ・ブリーザ 11:バッグ・フィルム 12:シール材 13:吸引口 14:バルブ 15:A群のバー 16:B群のバー 17:屋根(FRP構造部材) 18:柱 19:壁(FRP構造部材) 20:柱
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B32B 31/24 E04D 3/18 E04D 3/18 E04F 13/18 A E04F 13/18 B29C 67/14 L // B29K 105:06 (72)発明者 近藤 敏行 愛媛県伊予郡松前町大字筒井1515番地 東 レ株式会社愛媛工場内

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯材層の両面に繊維強化樹脂層が配され
    たサンドイッチ構成を有する繊維強化樹脂構造部材の少
    なくとも片面に防火材層が配され、一体となっているこ
    とを特徴とする繊維強化樹脂構造部材。
  2. 【請求項2】 繊維強化樹脂層の少なくとも片面に防火
    材層が配され、一体となっていることを特徴とする繊維
    強化樹脂構造部材。
  3. 【請求項3】 該防火材層の密度が700kg/m3である
    ことを特徴とする請求項2に記載の繊維強化樹脂構造部
    材。
  4. 【請求項4】 該防火材層が発泡体からなることを特徴
    とする請求項1乃至は3のいずれかに記載の繊維強化樹
    脂構造部材。
  5. 【請求項5】 該防火材層が発泡体と、無機ボードまた
    は金属板からなることを特徴とする請求項1乃至は3の
    いずれかに記載の繊維強化樹脂構造部材。
  6. 【請求項6】 該防火材層が無機繊維のフェルトからな
    ることを特徴とする請求項1乃至は3のいずれかに記載
    の繊維強化樹脂構造部材。
  7. 【請求項7】 該発泡体がフェノール樹脂発泡体である
    ことを特徴とする請求項4または5記載の繊維強化樹脂
    構造部材。
  8. 【請求項8】 該芯材層の発泡体および/または該防火
    材層の発泡体の該繊維強化樹脂層と接する面に溝を有
    し、この溝がFRPのマトリックス樹脂で充填されてい
    ることを特徴とする請求項4、5、乃至は7のいずれか
    に記載の繊維強化樹脂構造部材。
  9. 【請求項9】 該防火材層の発泡体の密度が40〜40
    0kg/m3であることを特徴とする請求項4、5、7乃至
    は8のいずれかに記載の繊維強化樹脂構造部材。
  10. 【請求項10】 該フェルトの密度が50〜200kg/m
    3であることを特徴とする請求項6記載の繊維強化樹脂
    構造部材。
  11. 【請求項11】 該繊維強化樹脂層のマトリックス樹脂
    がフェノール樹脂であることを特徴とする請求項1〜1
    0のいずれかに記載の繊維強化樹脂構造部材。
  12. 【請求項12】 該芯材がフェノール樹脂発泡体である
    ことを特徴とする請求項1、4〜11のいずれかに記載
    の繊維強化樹脂構造部材。
  13. 【請求項13】 該防火材層が有機系の材料からなり、
    かつ、該防火材層の繊維強化樹脂層と接していない面に
    防火性の塗料が塗布されていることを特徴とする請求項
    1〜5、7〜9、11、12のいずれかに記載の繊維強
    化樹脂構造部材。
  14. 【請求項14】 JISA1304の耐火試験方法によ
    る30分間耐火試験において該防火材層と接する該繊維
    強化樹脂層の最高温度が200℃以下であることを特徴
    とする請求項1〜13のいずれかに記載の繊維強化樹脂
    構造部材。
  15. 【請求項15】 JISA1304の耐火試験方法によ
    る1時間耐火試験において該防火材層と接する該繊維強
    化樹脂層の最高温度が200℃以下であることを特徴と
    する請求項1〜13のいずれかに記載の繊維強化樹脂構
    造部材。
  16. 【請求項16】 (a)発泡体、(b)発泡体と無機ボ
    ード、または(c)発泡体と金属板のいずれかからなる
    板状の防火材の上に繊維基材を積層した積層体を構成
    し、その上に樹脂拡散媒体を置き、さらに、全体をバッ
    クフィルムで覆い、次にバックフィルムで覆われた内部
    を真空状態にし、積層された繊維基材の表面に常温硬化
    型樹脂あるいは熱硬化型樹脂を拡散させ、繊維基材に該
    樹脂を含浸させながら防火材層と一体化させることを特
    徴とする繊維強化樹脂構造部材の製造方法。
  17. 【請求項17】 成形型上に、該積層体の積層順序を、
    該繊維基材の上に防火断熱材を積層した積層順序に変え
    た積層体を構成したことを特徴とする請求項16に記載
    の繊維強化樹脂構造部材の製造方法。
  18. 【請求項18】 (a)発泡体、(b)発泡体と無機ボ
    ード、または(c)発泡体と金属板のいずれかからなる
    板状の防火材の上に繊維基材を積層した積層体を構成
    し、かつ、該防火材の繊維基材と接した面に溝が設けら
    れており、さらに全体をバックフィルムで覆い、次にバ
    ックフィルムで覆われた内部を真空状態にし、防火材の
    溝から樹脂を拡散させ、積層された繊維基材に常温硬化
    型樹脂あるいは熱硬化型樹脂を含浸させながら繊維基材
    と防火材とを一体化させることを特徴とする繊維強化樹
    脂構造部材の製造方法。
  19. 【請求項19】 成形型の上に、該防火材の上に該繊
    維基材を積層した積層体を構成したことを特徴とする請
    求項18に記載の繊維強化樹脂構造部材の製造方法。
  20. 【請求項20】 成形型上に、該積層体の積層順序を、
    該繊維基材の上に防火断熱材を積層した積層順序に変え
    た積層体を構成したことを特徴とする請求項18に記載
    の繊維強化樹脂構造部材の製造方法。
  21. 【請求項21】 (a)発泡体、(b)発泡体と無機ボ
    ード、または(c)発泡体と金属板のいずれかからなる
    板状の防火材の上に繊維基材、芯材、繊維基材を積層し
    た積層体を構成し、かつ、該防火材及び/又は芯材の繊
    維基材と接した面に溝が設けられており、さらに全体を
    バックフィルムで覆い、次にバックフィルムで覆われた
    内部を真空状態にし、防火材及び/又は芯材の溝から樹
    脂を拡散させ、積層された繊維基材に常温硬化型樹脂あ
    るいは熱硬化型樹脂を含浸させながら繊維基材と防火材
    および芯材とを一体化させることを特徴とする繊維強化
    樹脂構造部材の製造方法。
  22. 【請求項22】 成形型上に、防火材の上に繊維基材、
    芯材、繊維基材を積層した積層体を構成したことを特徴
    とする請求項21記載の繊維強化樹脂構造部材の製造方
    法。
  23. 【請求項23】 成形型上に、該積層体の積層順序を、
    繊維基材の上に芯材、繊維基材、防火材を積層した積層
    順序に変えた積層体を構成したことを特徴とする請求項
    21記載の繊維強化樹脂構造部材の製造方法。
  24. 【請求項24】 請求項1〜15のいずれかに記載の繊
    維強化樹脂構造部材からなる屋根材。
  25. 【請求項25】 請求項1〜15のいずれかに記載の繊
    維強化樹脂構造部材からなる壁材。
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