JP2013093515A - 窒化物半導体層を成長させるためのバッファ層構造を有する基板とその製造方法 - Google Patents

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Nobuyuki Hoteida
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Abstract

【課題】窒化物半導体デバイス用の半導体積層構造を成長させるために改善されたバッファ層構造を有する基板を提供する。
【解決手段】窒化物半導体層を成長させるためのバッファ層構造を有する基板は、Si単結晶基板の(111)主面上に形成された窒化ケイ素層、この窒化ケイ素層上に堆積されたAlN結晶層、およびこのAlN層上に堆積された複数のAlGa1−xN(1>x>0)結晶層を含み、これら複数のAlGa1−xN結晶層においてはその下層に比べて上層ほど小さなAl組成比xを有しており、複数のAlGa1−xN層結晶中の一層は非晶質と結晶質が混在するAlN中間層を含んでいる。
【選択図】図1

Description

本発明は、窒化物半導体層を成長させるためのバッファ層構造を有する基板の改善に関し、特にその基板が有するバッファ層構造の改善に関する。そのように改善された基板上に積層された複数の窒化物半導体層を含むエピタキシャルウエハは、例えばヘテロ接合電界効果トランジスタのような窒化物半導体デバイスの作製に好ましく利用され得るものである。
ヘテロ接合電界効果トランジスタに必要な例えばGaNチャネル層とAlGaN障壁層との積層構造を含むエピタキシャルウエハを作製する場合、GaN基板が高価であることから、サファイア、SiC、Siなどの異種材料の基板上にそれらの窒化物半導体層を結晶成長させることが従来から行なわれている。
異種材料の基板上に窒化物半導体層をMOCVD(有機金属気相堆積)で成長させる場合、基板と半導体層との間における結晶構造の相違、格子不整合、熱膨張係数差などに基づく歪を緩和するために、種々のバッファ層構造が用いられている。
例えば特許文献1の特開平2−229476号公報は、サファイア基材上に400℃以上900℃以下の比較的低い基板温度でAlN層をバッファ層として堆積させることを教示している。このように比較的低温で堆積されたバッファ層は、低温バッファ層とも呼ばれる。
しかし、低温バッファ層は、非晶質の母相中に微結晶や多結晶を含んでいる。したがって、半導体デバイス用の窒化物半導体層を低温バッファ層上に結晶成長させるために基板温度を1000℃程度以上まで上昇させたとき、そのバッファ層内の非晶質の母相が多結晶化して内部に比較的多量の転位を含むことになる。そして、そのバッファ層上に成長させたデバイス用の窒化物半導体積層構造において、多量の転位が導入されると共に、結晶品質がばらついて、クラックが入りやすくなる傾向がある。
他方、例えば特許文献2の特開2002−367917号公報は、サファイア基板上に1100℃以上1250℃以下の比較的高い基板温度でAlN結晶層をバッファ層として堆積させることを教示している。このように比較的高温で堆積されたバッファ層は、高温バッファ層とも呼ばれる。
しかし、特許文献3の特開2007−59850号公報は、高温バッファ層上に成長させた窒化物半導体積層構造においてはクラックが発生しにくくなるが、そのバッファ層の表面において原子レベルでの平坦性を確保するためには、バッファ層の厚さを大きくしなければならないと述べている。実際に、特許文献2は、その発明の実施例において高温AlNバッファ層をかなり大きな2μmの厚さに堆積することを教示している。特許文献3はまた、バッファ層の厚さを大きくすれば基板とバッファ層との格子定数差に起因して基板に反りが発生しやすくなることも述べており、さらにAlNバッファ層の堆積温度を高くすればそのバッファ層の表面に白濁が発生しやすくなることも述べている。
一方、特許文献4の特開2009−152627号公報は、単結晶シリコン基板上に窒化物半導体結晶層を成長させる場合の問題点を指摘している。具体的には、シリコン基板上に窒化物低温バッファ層を堆積してから窒化物半導体結晶層を成長させる場合、窒化物低温バッファ層の堆積時にシリコン基板表面のランダムな領域に非晶質窒化ケイ素を生じ、これが基板と窒化物半導体結晶層との界面の平坦度を悪化させたり、窒化物半導体結晶層に欠陥を生じさせる原因となると指摘している。そして、この問題を改善するために、特許文献4は窒化物低温バッファ層の堆積前にシリコン基板表面を窒化処理によって均一厚さの窒化ケイ素層で覆うことを提案している。
特開平2−229476号公報 特開2002−367917号公報 特開2007−59850号公報 特開2009−152627号公報
本発明者たちは、バッファ層構造を有する基板の改善のための予備的実験において、Si基板の(111)主面上にAlN結晶層を堆積し、その上に複数のAlGa1−xN(1>x>0)結晶層をさらに堆積した。これら複数のAlGa1−xN結晶層は、下層に比べて上層ほど小さなAl組成比xを有していており、これを組成傾斜バッファ層構造とも呼ぶこととする。本発明者たちは、このような組成傾斜バッファ層構造が基板の反りを軽減させるように作用し得ることを確認した。しかし、傾斜バッファ層構造の上面には微細な凸状欠陥が現れる問題を生じることが分かった。なお、本発明者たちは、予備的実験の幾つかの例において、組成傾斜バッファ層上にさらに超格子バッファ層構造を積層することも試みた。
上記のような傾斜バッファ層構造の上面における微細な凸状欠陥の問題に鑑み、本発明者たちは、特許文献4の教示を考慮して、Si基板の(111)主面を窒化処理し、その窒化ケイ素層上にAlN結晶層および複数のAlGa1−xN結晶層を順次に堆積した。その結果、Si基板を窒化ケイ素層で覆っても、組成傾斜バッファ層の上表面において微細な凸状欠陥が依然として多く生じることが暗視野光学顕微鏡法によって確認された。
そこで、本発明者たちは、組成傾斜バッファ層の上表面に微細な凸状欠陥がどのようにして生じるかを透過電子顕微鏡(TEM)観察によって調べた。
図4は、TEM観察によって確認された結果として、表面凸状欠陥の発達過程を誇張して示す模式的断面図である。この図において、Si基板1の(111)主面は、窒化処理で形成された窒化ケイ素層1aで覆われている。この窒化ケイ素層1a上には、AlN結晶層2が形成され、その上に複数のAlGa1−xN結晶層を含む組成傾斜バッファ層構造CGBが形成されている。
この場合に、AlN層2の上表面には極微細の凸状欠陥2Pが形成される。そして、このような極微細凸状欠陥2Pは複数のAlGa1−xN結晶層を含む組成傾斜バッファ層構造CGBに引継がれ、その組成傾斜バッファ層構造の成長に伴って、凸状欠陥の面積と段差が拡大する傾向にあることが分かった。すなわち、組成傾斜バッファ層構造CGBの上面における凸状欠陥CGBPの面積と段差は、AlN結晶層2の上面における段差2Pに比べて大きな面積と大きな段差を有している。
図5は、予備的実験において観察されたTEM写真の一例を示している。このTEM写真は200kVの電子線加速電圧と40000倍の倍率の条件下で撮影され、右下の10目盛のスケールは全体で800nmの長さを表している。
図5のTEM写真に示された試料において、Si基板1の(111)主面は、極めて薄い窒化ケイ素層1aによって覆われている。窒化ケイ素層1a上には、AlN結晶層2が堆積され、その上にAl0.7Ga0.3N結晶層3、Al0.4Ga0.6N結晶層4、およびAl0.1Ga0.9N結晶層5が順次堆積されている。すなわち、これらのAlGa1−xN結晶層3−5が組成傾斜バッファ層構造を構成している。そして、この試料においては、組成傾斜バッファ層構造3−5上にさらに超格子バッファ層6が堆積されている。
この図5に見られるように、例えばAl0.4Ga0.6N結晶層4の上面に生じている25nmの段差を有する凸状欠陥は、Al0.1Ga0.9N結晶層5の成長に伴ってその段差と面積が拡大して、Al0.1Ga0.9N結晶層5の上面では約30nmの段差になっている。
本発明者たちが予備的実験によって確認した上述のような課題に鑑み、本願発明は、窒化物半導体デバイス用の半導体積層構造を成長させるためにさらに改善されたバッファ層構造を有する基板を提供することを主要な目的としている。
本発明によれば、窒化物半導体層を成長させるためのバッファ層構造を有する基板は、Si単結晶基板の(111)主面上に形成された窒化ケイ素層、この窒化ケイ素層上に堆積されたAlN結晶層、およびこのAlN層上に堆積された複数のAlGa1−xN(1>x>0)結晶層を含み、これら複数のAlGa1−xN結晶層においてはその下層に比べて上層ほど小さなAl組成比xを有しており、それら複数のAlGa1−xN層結晶中の一層は非晶質と結晶質が混在するAlN中間層を含んでいることを特徴としている。
なお、AlN中間層は10nmより大きく100nm未満の厚さを有していることが好ましい。また、複数のAlGa1−xN結晶層中の最下層がAlN中間層を含んでいることが好ましい。複数のAlGa1−xN結晶層は、下層から上層への順に0.7、0.4および0.1のAl組成比xを有する3つの層を好ましく含み得る。複数のAlGa1−xN結晶層上においてAlN層およびAlGa1−yN(1>x≧0)層が繰返し積層された超格子バッファ層をさらに含むことも好ましい。
上述のような基板を製造する方法においては、AlN中間層は750℃より高くかつ1000℃未満の基板温度において気相堆積されることが好ましい。また、AlN結晶層および複数のAlGa1−xN結晶層は1000℃より高い基板温度において気相堆積されることが好ましい。
上記のような本発明によれば、複数のAlGa1−xN結晶層中の一層内に非晶質と結晶質が混在するAlN中間層を含めることによって、複数のAlGa1−xN結晶層の最上表面における凸状欠陥を低減させることができる。
本発明による基板を用いて作製し得るヘテロ接合電界効果トランジスタの積層構造の一例を示す模式的断面図である。 比較例1として作製された基板の表面の暗視野光学顕微鏡写真である。 本発明の実施例1として作製された基板の表面の暗視野光学顕微鏡写真である。 組成傾斜バッファ層構造の堆積中に表面凸状欠陥が成長する態様を誇張して示す模式的断面図である。 図4において模式的に示された表面凸状欠陥の成長の態様を示すTEM観察写真である。
(実施形態)
図1は、本発明による基板を用いて作製し得るヘテロ接合電界効果トランジスタの積層構造の一例を模式的断面図で示している。このようなヘテロ接合電界効果トランジスタの積層構造の作製方法の一例が、以下において説明される。基板1としては、(111)主面を有するSi基板が用いられる。まず、フッ酸系のエッチャントでSi基板1の表面酸化膜を除去した後に、MOCVD(有機金属気相堆積)装置のチャンバ内にその基板がセットされる。
MOCVD装置内ではSi基板1が1050℃に加熱され、チャンバ内圧力13.3kPaの水素雰囲気にて基板表面のクリーニングが300秒間行なわれる。
続いて、チャンバ内圧力と基板温度を維持したまま、NH流量=12.5slmとH流量=37.5slmの条件下でSi基板1の表面が40秒間窒化処理される。これによって、Si基板1の表面に窒化ケイ素層1aが形成される。
窒化ケイ素層1a上には、AlN結晶バッファ層2が、1050℃の基板温度、13.3kPaの圧力、108.5sccmのTMA流量、および12.5slmのNHのMOCVD条件下で200nmの厚さに成長させられる。
その後、基板温度を1150℃に上昇させ、TMA(トリメチルアルミニウム)流量=90.0sccm、TMG(トリメチルガリウム)流量=12.7sccm、およびNH流量=12.5slmの条件下で、Al0.7Ga0.3N結晶層3が200nmの厚さに堆積される。
その後、基板温度を900℃に低下させ、10.0kPaの圧力、18.5sccmのTMA流量、および0.1slmのNH流量のMOCVD条件下で非常に薄い30nmの厚さのAlN中間層3aが堆積させられる。この中間層3aは、比較的低い基板温度の下で堆積されるので、非晶質と結晶質が混在した構造を有している。
そして基板温度が再度1150℃に上げられ、再度TMA流量=90.0sccm、TMG流量=12.7sccm、およびNH流量=12.5slmの条件下で、Al0.7Ga0.3N層3が200nmの厚さに堆積される。
続いて、基板温度を維持したまま、TMA流量=50.9sccm、TMG流量=22.1sccm、およびNH流量=12.5slmの条件下で、Al0.4Ga0.6N層4が400nmの厚さに堆積され、さらにTMA流量=16.4sccm、TMG流量=30.4、およびNH流量=12.5slmの条件下で、Al0.1Ga0.9N層5が400nmの厚さに堆積される。これによって、中間層3aを含む組成傾斜バッファ層構造3−5が形成される。
Al0.1Ga0.9N層5上には、同じ基板温度の下で、AlN層(5nm厚)/Al0.1Ga0.9N(20nm厚)層の50周期の繰返しを含む超格子多層バッファ層構造6が堆積される。このとき、AlN層はTMA流量=102μmol/minおよびNH流量=12.5slmの条件下で堆積され、Al0.1Ga0.9N層はTMG流量=720μmol/min、TMA流量=80μmol/minおよびNH流量=12.5slmの条件下で堆積され得る。なお、超格子多層バッファ層構造6は、ヘテロ接合電界効果トランジスタの製造コストや製造時間などの観点から省略されてもよい。
その後に基板温度が1100℃に下げられ、TMG流量=224μmol/minおよびNH流量=12.5slmの条件下で、GaN層7が13.3kPaの圧力下で1.0μmの厚さに堆積され、GaN層8が90kPaの圧力下で0.5μmの厚さに堆積される。ここで、堆積圧力が低い場合にTMGに含まれるカーボンがGaN層内にドープされやすく、堆積圧力が高い場合にTMGからGaN層内にカーボンがドープされにくい傾向にある。
そして、GaN層8上には、13.3kPaの圧力下で、AlN特性改善層9(1nm厚)、Al0.2Ga0.8N障壁層10(20nm厚)およびGaNキャップ層11(1nm厚)を含む電子供給層が堆積される。このとき、AlN層9はTMA流量=51μmol/minおよびNH流量=12.5slmの条件下で堆積され、AlGaN層10はTMG流量=46μmol/min、TMA流量=7μmol/minおよび、NH流量=12.5slmの条件下で堆積され、そしてGaN層11はTMG流量=58μmol/minおよびNH流量=12.5slmの条件下で堆積され得る。
なお、以上の実施形態ではAlGaN層3、4および5のAl組成比が0.7、0.4および0.1の順に変化させられたが、組成傾斜バッファ層構造に含まれるAlGa1−xN結晶層におけるAl組成比xの組合せはこの組合せに限定されるものではない。また、組成傾斜バッファ層構造に含まれて異なるAl組成比xを有するAlGa1−xN結晶層の数も3層に限定されず、任意の数とすることができる。重要なことは、組成傾斜バッファ層構造の下面から上面に向かうにしたがってAl組成比xが徐々に減少していくことである。さらに、超格子多層バッファ層構造6は、AlN層/Al0.1Ga0.9N層の繰返しに限定されず、例えばAl0.1Ga0.9N層は他のAl組成比xを有するAlGa1−xN層に置き換えることも可能である。
(比較例1)
本発明の基板の改善効果を調べるために、比較例1としての基板が作製された。この比較例1の基板は、図1におけるSi基板1、窒化ケイ素層1a、AlN結晶バッファ層2および組成傾斜バッファ層構造3−5を有しているが、中間層3aを含んでいない。
すなわち、比較例1においては、上述の実施形態と同様に表面クリーニング処理されたSi基板1に窒化ケイ素層1aが形成され、その上にAlN結晶バッファ層2が、1050℃の基板温度、13.3kPaの圧力、108.5sccmのTMA流量、および12.5slmのNHのMOCVD条件下で200nmの厚さに成長させられた。その後、AlN中間層3aを含まないことを除いて、AlN結晶バッファ層2上に上述の実施形態と同様に組成傾斜バッファ層構造3−5が形成された。
図2は、こうして得られた比較例1の基板におけるAl0.1Ga0.9N層5の表面の暗視野光学顕微鏡写真を示している。なお、この顕微鏡写真中の右下に示された白い線分は、50μmのスケールを示している。図2の写真から分かるように、比較例1の基板の表面は多くの微細な凸状欠陥を含んでおり、その基板の中央部における欠陥密度を測定したところ2.4×10個/cmであった。
(実施例1)
本発明による実施例1による基板が比較例1に類似して作製された。この実施例1の基板は、比較例1に比べて、図1に示されているようにAl0.7Ga0.3N層3がAlN中間層3aを含んでいることのみにおいて異なっている。
すなわち、実施例1では、Al0.7Ga0.3N層3に関する基板温度=1150℃、TMA流量=90.0sccm、TMG流量=12.7sccm、およびNH流量=12.5slmの堆積条件に比べて、AlN中間層3aの堆積条件が顕著に異なっており、上述の実施形態で述べられたように、基板温度を900℃に低下させ、10.0kPaの圧力、18.5sccmのTMA流量、および0.1slmのNH流量のMOCVD条件下で30nmの厚さに堆積させられた。このように比較的低い基板温度の下で堆積されたAlN中間層3aは、非晶質と結晶質が混在した構造を有している。
図3は、こうして得られた実施例1の基板におけるAl0.1Ga0.9N層5の表面の暗視野光学顕微鏡写真を示している。この顕微鏡写真中の右下に示された白い線分も、50μmのスケールを示している。図2と図3の写真の比較から分かるように、実施例1の基板の表面においては微細な凸状欠陥が減少しており、その基板の中央部で欠陥密度を測定したところ1.2×10個/cmであった。すなわち、実施例1の基板においては、比較的低い基板温度で堆積したAlN中間層3aを組成傾斜バッファ層構造3−5内に挿入した効果として、比較例1に比べて、凸状欠陥密度が約半分に減少していることが分かる。
この理由としては、AlN結晶バッファ層2の表面で発生した極微細の凸状欠陥が組成傾斜バッファ層構造3−5の堆積に伴って発達する過程において、その凸状欠陥が低温で堆積された薄いAlN中間層3aによってマスクされ、それよって上の層に凸状欠陥が伝わりにくくなったからであると考えられる。何故ならば、低温で堆積された薄いAlN中間層3a内では非晶質と結晶が混在しており、非晶質部分が歪緩和作用や結晶質部分の凸状欠陥をマスクする作用を有すると考えられるからである。
なお、本発明の上述の実施形態と実施例においてAlN中間層3aの堆積時の基板温度として900℃が例示されたが、その基板温度は750℃より高くかつ1000℃未満の範囲内にあればよい。AlN中間層の堆積時の基板温度が750℃以下であれば、その中間層の非晶質性が強くなり過ぎて、その上に堆積されるAlGaN層の結晶性が劣化するので好ましくない。他方、AlN中間層の堆積時の基板温度が1000℃以上であれば、非晶質による歪緩和効果が得られず、凸状欠陥の発達を抑制できなくなるので好ましくない。
また、本発明の上述の実施形態と実施例においては30nmの厚さのAlN中間層3aが例示されたが、その厚さは10nmより大きくかつ100nm未満であればよい。何故ならば、AlN中間層の厚さが10nm以下であれば、下層からの凸状欠陥や転位の伝播をマスクする効果が十分得られないからである。他方、AlN中間層の厚さが100nm以上あれば、その上に成長するAlGaN層の結晶性が低下する恐れがあるからである。
なお、上述の実施形態と実施例においてはAlN中間層3aが組成傾斜バッファ層構造中の最下層であるAl0.7Ga0.3N層3内に含められる例が説明されたが、AlN中間層は組成傾斜バッファ層構造中のいずれの層内に含められても、表面凸状欠陥の低減効果は得られる。ただし、AlN中間層のAl濃度に近いAl濃度を有する最下層のAlGa1−xN層内にAlN中間層を含めることがより好ましい。
また、上述の実施形態と実施例においては組成傾斜バッファ層構造がAl組成比の異なる3層のAlGa1−xN層を含む例を説明したが、より多くの層を含んでもよいことは言うまでもない。
以上から明らかなように、本発明によれば、組成傾斜バッファ層構造内に低温で堆積された薄いAlN中間層を介在させるとによって、その組成傾斜バッファ層構造の表面の平滑性を改善することができ、その結果として組成傾斜バッファ層構造上に成長する窒化物半導体層の表面の平滑性をも改善することができる。
そして、そのように改善された表面平滑性を有する基板を利用することによって、その基板上に改善された種々の窒化物半導体デバイスを作製することができる。
1 Si基板、1a 窒化ケイ素層、2 AlN結晶層、3 Al0.7Ga0.3N層、3a AlN中間層、4 Al0.4Ga0.6N層、5 Al0.1Ga0.9N層、6 AlN/Al0.1Ga0.9N超格子バッファ構造、7 カーボンドープGaN層、8 アンドープGaNチャネル層、9 AlN特性改善層、10 Al0.2Ga0.8N障壁層、11 GaNキャップ層。

Claims (7)

  1. 窒化物半導体層を成長させるためのバッファ層構造を有する基板であって、
    Si単結晶基板の(111)主面上に形成された窒化ケイ素層、
    この窒化ケイ素層上に堆積されたAlN結晶層、および
    前記AlN層上に堆積された複数のAlGa1−xN(1>x>0)結晶層を含み、
    前記複数のAlGa1−xN結晶層においてはその下層に比べて上層ほど小さなAl組成比xを有しており、
    前記複数のAlGa1−xN層結晶中の一層は非晶質と結晶質が混在するAlN中間層を含んでいることを特徴とする基板。
  2. 前記AlN中間層は10nmより大きく100nm未満の厚さを有していることを特徴とする請求項1に記載の基板。
  3. 前記複数のAlGa1−xN結晶層中の最下層が前記AlN中間層を含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載の基板。
  4. 前記複数のAlGa1−xN結晶層は下層から上層への順に0.7、0.4および0.1のAl組成比xを有する3つの層を含んでいることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の基板。
  5. 前記複数のAlGa1−xN結晶層上においてAlN層およびAlGa1−yN(1>y≧0)層が繰返し積層された超格子バッファ層をさらに含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の基板。
  6. 請求項1から5のいずれかの基板の製造方法であって、前記AlN中間層は750℃より高くかつ1000℃未満の基板温度において気相堆積されることを特徴とする基板の製造方法。
  7. 前記AlN結晶層および前記複数のAlGa1−xN結晶層は1000℃より高い基板温度において気相堆積されることを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
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JP2018098356A (ja) * 2016-12-13 2018-06-21 三菱電機株式会社 Iii−v族窒化物半導体エピタキシャルウェハの製造方法

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