JP2015103665A - 窒化物半導体エピタキシャルウエハおよび窒化物半導体 - Google Patents

窒化物半導体エピタキシャルウエハおよび窒化物半導体 Download PDF

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伸之 伊藤
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Yushi Inoue
雄史 井上
淳 小河
Atsushi Ogawa
淳 小河
陽介 藤重
Yosuke Fujishige
陽介 藤重
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Abstract

【課題】超格子バッファ層における2次元電子ガスおよび2次元正孔ガスの発生を抑制する。【解決手段】基板(1)と、上記基板(1)上に形成されると共に、少なくともバッファ層,チャネル層(8)および電子供給層から成る窒化物半導体積層構造体とを備え、上記バッファ層は、上記基板(1)と上記チャネル層(8)との間に形成されるとともに、AlxInyGa1-x-yAsuPvN1-u-vで表される第1層とAlaInbGa1-a-bAscPdN1-c-dで表される第2層との積層体が、複数回繰り返して形成された超格子バッファ層(7)を含んでおり、上記第1層のバンドギャップエネルギーは、上記第2層のバンドギャップエネルギーよりも大きく、上記第1層における1層当たりの厚みが0.5nm以上且つ10.0nm以下である。【選択図】図1

Description

この発明は、窒化物半導体エピタキシャルウエハ、および、窒化物半導体に関する。詳しくは、窒化物半導体デバイスの寿命を改善するためのバッファ層の構造に関するものである。
窒化物半導体を用いた電子デバイスとしては、一般的にAlGaNとGaNとからなるヘテロ接合を用いた構造が使用されている。
具体的な構造としては、サファイアやSi等の基板の上に形成された窒化物半導体からなるバッファ層、上記バッファ層上に形成された一般的にはGaNからなるチャネル層、上記GaNチャネル層上に形成されたAlGaNからなる障壁層、上記AlGaN障壁層と上記GaNチャネル層との界面に形成された2次元電子ガス領域とオーミック接触を形成するソース電極およびドレイン電極、上記ソース電極と上記ドレイン電極との間に形成されたゲート電極からなっている。
サファイア基板やSiC基板上に窒化物半導体を形成する場合には、あまり大きな問題とはならないが、熱膨張係数が窒化物半導体よりも小さいSi基板を用いた場合には、窒化物半導体層の成長後に下に凸の形状に反ってしまい、更には結晶そのものに応力によりクラックが形成される。そのために、電子デバイスの形成に適さない。
Si基板と窒化物半導体との熱膨張係数差を緩和する方法として、特開2003‐59948号公報(特許文献1)に開示された「半導体装置」、および、特開2005‐85852号公報(特許文献2)に開示された「半導体電子デバイス」がある。
上記特許文献1に開示された「半導体装置」では、シリコン基板上に、AlGa1-xN(0<x≦1)から成る第1の層と、AlGa1-yN(y<x、0≦y<1)から成る第2の層とを、交互に20回繰り返し積層されたバッファ層が形成されており、バッファ層上にGaN電子走行層とAl0.2Ga0.8Nスペーサ層とn形Al0.2Ga0.8N電子供給層とを有するHEMT(High Electron Mobility Transistor:高電子移動度トランジスタ)素子半導体領域が形成されている。こうして、上記バッファ層を上記第1の層と上記第2の層との積層構造にすることによって、基板の結晶方位を良好に引き継ぐことができ、上記バッファ層の一方の主面に、上記HEMT素子半導体領域を、結晶方位を揃えて形成するようにしている。
また、上記特許文献2に開示された「半導体電子デバイス」では、シリコン基板上に形成されたGaN介在層の上に、バッファ層,GaN電子走行層,AlGaN電子供給層およびGaNコンタクト層が順次積層されている。ここで、上記バッファ層は、GaNから成る単一または複数の第1の層と、AlGaNから成る単一または複数の第2の層とが、この順で交互に積層されて構成されている。このように、上記バッファ層として材質が異なる第1の層と第2の層とを挿入することによって、下側から伝播する転位欠陥の方向を曲げて成長方向への伝播を抑止するようにしている。
しかしながら、上記従来の特許文献1に開示された半導体装置および特許文献2に開示された半導体電子デバイスにおいては、以下のような問題がある。
ここで、上記特許文献1および特許文献2の上記バッファ層である窒化物半導体のAlGaN超格子バッファ層において、2次元電子ガス生成のメカニズムを図10に示す。図10において、応力が緩和されて略バルクの格子定数を有するGaN層の上に、応力緩和が起こらない薄さの格子定数が小さいAlGaN層が形成されている。この場合には、GaN層とAlGaN層との自発分極Pspの差と、GaN層上のAlGaN層が面内で歪む(+σ)こととにより、ピエゾ分極Ppeが発生する。その結果、界面に2次元電子ガス(2DEG:2‐dimensional electron gas)が形成される。
同じ原理によって、図11に示すように、応力が緩和したAlGaN層の上に形成されたGaN層は、AlGaN層よりも格子定数が大きいため、図10の場合とは逆に歪む(−σ)ことになり、界面に2次元正孔ガス(2DHG:2‐dimensional hole gas)が形成されることになる。
このようにして電子デバイスのAlGaN超格子バッファ層中に発生した2次元電子ガスおよび2次元正孔ガスはリーク電流の原因となり、デバイス特性の低下を引き起こすという問題がある。
特開2003‐59948号公報 特開2005‐85852号公報
そこで、この発明の課題は、異なる組成の窒化物系III‐V族化合物半導体層を繰り返し交互に積層してなる超格子バッファ層における2次元電子ガスおよび2次元正孔ガスの発生を抑制できる窒化物半導体エピタキシャルウエハ、および、窒化物半導体を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の窒化物半導体エピタキシャルウエハは、
基板と、
上記基板上に形成されると共に、少なくともバッファ層,チャネル層および電子供給層から成る窒化物半導体積層構造体と
を備え、
上記バッファ層は、
上記基板と上記チャネル層との間に形成されると共に、
組成式が、AlInGa1-x-yAs1-u-v(0≦x≦1,0≦y≦1,x+y≦1,0≦u<1,0≦v<1,u+v<1)で表される第1層と、組成式が、AlInGa1-a-bAs1-c-d(0≦a≦1,0≦b≦1,a+b≦1,0≦c<1,0≦d<1,c+d<1)で表される第2層との積層体が、複数回繰り返して形成された超格子バッファ層を含んでおり、
上記第1層のバンドギャップエネルギーは、上記第2層のバンドギャップエネルギーよりも大きく、
上記第1層における1層当たりの厚みが0.5nm以上且つ10.0nm以下である
ことを特徴としている。
また、一実施の形態の窒化物半導体エピタキシャルウエハでは、
上記バッファ層は、上記基板と上記超格子バッファ層との間に形成されると共に、Al組成を上記基板側から段階的に減少させた複数のAlGaN層から成る組成傾斜バッファ層を含んでいる。
また、一実施の形態の窒化物半導体エピタキシャルウエハでは、
上記組成傾斜バッファ層の直下に下地層が形成されており、
上記組成傾斜バッファ層における上記チャネル層に最も近い上記AlGaN層と上記チャネル層とのAl組成差が、上記下地層に最も近い上記AlGaN層と上記下地層とのAl組成差よりも小さい。
また、一実施の形態の窒化物半導体エピタキシャルウエハでは、
上記超格子バッファ層は、上記第1層における1層当たりの厚みが0.5nm以上且つ5.0nm以下である。
また、この発明の窒化物半導体は、
基板と、
上記基板上に形成されると共に、少なくともバッファ層,チャネル層および電子供給層から成る窒化物半導体積層構造体と
を備え、
上記バッファ層は、
上記基板と上記チャネル層との間に形成されると共に、
組成式が、AlInGa1-x-yAs1-u-v(0≦x≦1,0≦y≦1,x+y≦1,0≦u<1,0≦v<1,u+v<1)で表される第1層と、組成式が、AlInGa1-a-bAs1-c-d(0≦a≦1,0≦b≦1,a+b≦1,0≦c<1,0≦d<1,c+d<1)で表される第2層との積層体が、複数回繰り返して形成された超格子バッファ層を含んでおり、
上記第1層のバンドギャップエネルギーは、上記第2層のバンドギャップエネルギーよりも大きく、
上記第1層における1層当たりの厚みが0.5nm以上且つ10.0nm以下である
ことを特徴としている。
以上より明らかなように、この発明の窒化物半導体エピタキシャルウエハおよび窒化物半導体は、基板とチャネル層との間に形成されるバッファ層を構成する超格子バッファ層において、バンドギャップエネルギーが大きい上記第1層における1層当たりの厚みを10.0nm以下にしている。したがって、2次元電子ガスおよび2次元正孔ガスの発生を抑制して、リーク電流の低下を図ることができる。また、上記第1層における1層当たりの厚みを0.5nm以上にしている。したがって、トンネル現象によるリーク電流の発生を防止することができる。
すなわち、この発明によれば、リーク電流の低下を図って、デバイス特性の向上を図ることができる。
この発明の窒化物半導体エピタキシャルウエハにおける断面図である。 窒化物系III‐V族化合物半導体で成る超格子バッファ層にこの発明を適用した場合におけるバンド図である。 窒化物系III‐V族化合物半導体で成る超格子バッファ層にこの発明を適用しない場合におけるバンド図である。 図1に示す窒化物半導体エピタキシャルウエハの電流電圧特性を示す図である。 この発明が適用されない超格子バッファ層を用いた窒化物半導体エピタキシャルウエハの電流電圧特性を示す図である。 図1とは異なる窒化物半導体エピタキシャルウエハにおける断面図である。 図1および図6とは異なる窒化物半導体エピタキシャルウエハにおける断面図である。 図1,図6および図7とは異なる窒化物半導体エピタキシャルウエハにおける断面図である。 図1,図6〜図8とは異なる窒化物半導体エピタキシャルウエハにおける断面図である。 2次元電子ガス生成のメカニズムを示す図である。 2次元正孔ガス生成のメカニズムを示す図である。
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
・第1実施の形態
図1は、本実施の形態の窒化物半導体エピタキシャルウエハにおける断面図である。図1において、基板として、CZ法(チョクラルスキー法)によって成長された抵抗率が0.01Ω・cmのB(ボロン)ドープSi基板1を用いる。このSi基板1上に、上記下地層の一例であるAlNから成る厚さが100nmのAlN初期成長層2が形成され、AlN初期成長層2上に、組成傾斜バッファ層3と超格子バッファ層7とがこの順序で形成されている。
ここで、上記組成傾斜バッファ層3は、厚さが200nmのAl0.7Ga0.3N層4と、厚さが400nmのAl0.4Ga0.6N層5と、厚さが400nmのAl0.1Ga0.9N層6とが、AlN初期成長層2側から順次積層されて形成されている。また、超格子バッファ層7は、厚さが3nmのAlN層と厚さが30nmのAl0.1Ga0.9N層との積層体が、複数回繰り返し成長されて形成されている。
そして、上記超格子バッファ層7上に、GaNから成る厚さが1μmのGaNチャネル層8、厚さが1nmの特性改善層としてのAlN中間層9、厚さが20nmのAl0.2Ga0.8N障壁層10、厚さが1nmのGaNキャップ層11が形成される。こうして、窒化物半導体エピタキシャルウエハが形成されている。ここで、AlN中間層9,AlGaN障壁層10およびGaNキャップ層11で、上記電子供給層を構成している。
尚、上記各層の膜厚および組成は、本実施の形態の数値に限定されるわけではなく、ウエハの反り調整等に応じて変化させることが可能である。
各層の成長は、一例であるが、以下のような成長方法で行われる。
上記AlN初期成長層2の成長に先立って、Si基板1表面の酸化膜をフッ酸系のエッチャントで除去した後、有機金属気相成長(MOCVD)装置にSi基板1をセットする。そして、Si基板1の温度を1100℃に設定し、チャンバー圧力13.3kPaで基板表面のクリーニングを行なう。
次に、基板温度およびチャンバー圧力を一定とし、アンモニアNH(12.5slm)を流すことでSi基板1表面の窒化を行なう。引き続き、AlNを、200nm(TMA(トリメチルアルミニウム)流量=117μmol/min,NH流量=12.5slm)成長してAlN初期成長層2を形成する。次に、基板温度1150℃で、Al0.7Ga0.3N層4を、400nm(TMG(トリメチルガリウム)流量=57μmol/min,TMA流量=97μmol/min,NH流量=12.5slm)成長する。次に、Al0.4Ga0.6N層5を、400nm(TMG流量=99μmol/min,TMA流量=55μmol/min,NH流量=12.5slm)成長する。次に、Al0.1Ga0.9N層6を、400nm(TMG流量=137μmol/min,TMA流量=18μmol/min,NH流量=12.5slm)成長する。こうして、Al0.7Ga0.3N層4とAl0.4Ga0.6N層5とAl0.1Ga0.9N層6とでなる組成傾斜バッファ層3を形成する。
その後、上記AlN(3nm)/Al0.1Ga0.9N(30nm)を複数回繰り返し成長することにより、超格子バッファ層7を成長する。引き続き、GaNチャネル層8を、1μm(TMG流量=50μmol,NH流量=12.5slm)成長する。さらに、AlN中間(特性改善)層9(1nm)/Al0.2Ga0.8N障壁層10(20nm)/GaNキャップ層11(1nm)からなる電子供給層を成長する。
尚、本実施の形態における各構成要素は、以下に説明する他の実施の形態における構成要素と、適合できる範囲で適宜組み合わせることが可能である。
以下、詳細な説明は省略するが、上述のようにしてSi基板1上に形成された窒化物半導体層に対して、求める電子デバイスに応じた加工を施して上記電子デバイスが形成される。
例えば、上記電子デバイスとして上記HEMTを形成する場合には、上記電子供給層とGaNチャネル層8との界面に形成される2次元電子ガスの層とオーミック接触を形成するソース電極(図示せず)およびドレイン電極(図示せず)が形成され、上記ソース電極と上記ドレイン電極との間にゲート電極(図示せず)が形成される。
上述したように、本実施の形態の窒化物半導体エピタキシャルウエハにおいては、GaNチャネル層8の下側に形成されるバッファ層として、Al組成がSi基板1側から順次減少する組成傾斜バッファ層3と、組成の異なる2つのAlGaN層が繰り返し交互に積層しなる超格子バッファ層7とが、形成されている。
したがって、上記Si基板1と窒化物半導体との熱膨張係数差を緩和して、窒化物半導体層の成長後に、窒化物半導体エピタキシャルウエハが下に凸の形状に反ることを防止することができる。
その際に、上記組成傾斜バッファ層3におけるチャネル層8に最も近いAlGaN層6とチャネル層8とのAl組成差を、初期成長層2に最も近いAlGaN層4と初期成長層2とのAl組成差よりも小さく設定している。したがって、Si基板1とGaNチャネル層8との熱膨張係数差によって生ずる歪みを、組成傾斜バッファ層3の構造における格子定数差による歪を利用して、チャネル層8に最も近いAlGaN層6とチャネル層8との格子定数を近づけることによって、抑制することができるのである。
また、図3は、上記超格子バッファ層を構成する異なる組成の2つの窒化物系III‐V族化合物半導体のうち、バンドギャップエネルギーの大きい方の第1層の厚さが10.0nmを超える場合におけるバンド図のシミュレート結果を示す。図3において、水平線状のフェルミ準位Eの上側にあって鋸の歯の形状を有する曲線は、伝導帯のエネルギー準位Eを示す。また、フェルミ準位Eの下側にあって鋸の歯の形状を有する曲線は、価電子帯のエネルギー準位Eを示す。また、図3中、右側が基板側である。
図10に示す2次元電子ガス発生のメカニズムおよび図11に示す2次元正孔ガス発生のメカニズムにおいて、AlGaN層を上記第1層とする一方、GaN層を上記第2層とすることによって、バンド図は、図3に示すようになる。図3において、伝導帯のエネルギー準位Eと価電子帯のエネルギー準位Eとの差であるバンドギャップEが第2層(B)よりも大きい第1層(A)と、上記第2層(B)とが交互に配置されている。そして、各第1層(A)の前端部(第2層(B)の後端部)において、フェルミ準位Eが伝導帯のエネルギー準位Eよりも上側(高エネルギー側)になることによって、2次元電子ガスが生ずる。また、各第1層(A)の後端部(第2層(B)の前端部)において、フェルミ準位Eが価電子帯のエネルギー準位Eよりも下側(低エネルギー側)になることによって、2次元正孔ガスが生ずる。上述のような2次元電子ガスおよび2次元正孔ガスの発生は、リーク電流の原因となり、デバイス特性の低下を引き起こす。
また、上記超格子バッファ層を構成する上記第1層(A)の厚さが0.5nmよりも薄い場合には、トンネル現象によってリーク電流の原因となる。
図2は、上記超格子バッファ層を構成する異なる組成の2つの窒化物系III‐V族化合物半導体のうち、バンドギャップエネルギーの大きい方の第1層の厚さが0.5nm以上且つ5.0nm以下である場合におけるバンド図のシミュレート結果を示す。この場合には、上記第1層(A)の厚さが薄くなることによって、例えば自発分極Pspや歪みσによるピエゾ分極Ppe等によりエネルギーの準位が変化する。その結果、各第1層(A)の前端部(第2層(B)の後端部)において、伝導帯のエネルギー準位Eが図3の場合よりも高められ、フェルミ準位Eが伝導帯のエネルギー準位Eよりも上側(高エネルギー側)になることはなく、2次元電子ガスの発生が抑制される。一方、各第1層(A)の後端部(第2層(B)の前端部)において、価電子帯のエネルギー準位Eが低められ、フェルミ準位Eが価電子帯のエネルギー準位Eよりも下側(低エネルギー側)になることはなく、2次元正孔ガスの発生が抑制される。こうして、上記キャリア(電子および正孔)による特性悪化を抑制でき、リーク電流の減少とデバイス歩留まりの向上とを図ることができる。
以上のことより、上記超格子バッファ層を構成する異なる組成の2つの窒化物系III‐V族化合物半導体のうち、バンドギャップエネルギーの大きい方の第1層の厚さが0.5nm以上且つ10.0nm以下である必要がある。さらに言えば、0.5nm以上且つ5.0nm以下であることが望ましい。
本実施の形態においては、上記超格子バッファ層7を構成するAlN(3nm)とAl0.1Ga0.9N(30nm)とのうち、バンドギャップエネルギーの大きい方の第1層であるAlN層の厚さが3nmであり、0.5nm以上且つ5.0nm以下である。したがって、図2のごとく、フェルミ準位Eが、伝導帯のエネルギー準位Eよりも高エネルギー側に、価電子帯のエネルギー準位Eよりも低エネルギー側になることはなく、2次元電子ガスおよび2次元正孔ガスの発生が抑制される。このようにして、キャリアによる特性悪化を抑制でき、リーク電流の低下とデバイス歩留まりの向上とを図ることができるのである。
図4および図5は、図1に示す窒化物半導体エピタキシャルウエハの上部にAl電極(図示せず)を形成し、Si基板1と上記Al電極との間に電圧を印加した場合の電流電圧特性を示す。但し、図4は、超格子バッファ層7を構成する上記第1層であるAlN層の厚さが3nmであって、この発明が適用された場合である。これに対し、図5は、AlN層の厚さが11nmであって、この発明が適用されない場合である。この場合、リーク電流が値が高く、バラツキも大きく製品歩留まりが悪い。
図4および図5から明らかなように、上記超格子バッファ層7を構成するAlN層(上記第1層)の厚さにこの発明を適用した図4の場合に、リーク電流減少の効果が奏されることが分かる。したがって、本実施の形態による窒化物半導体エピタキシャルウエハを用いることによって、デバイス歩留まりを向上させることが可能になるのである。
・第2実施の形態
図6は、本実施の形態の窒化物半導体エピタキシャルウエハにおける断面図である。図6において、基板として、上記CZ法により成長された抵抗率が0.01Ω・cmのB(ボロン)ドープSi基板21を用いる。このSi基板21上に、AlNから成る厚さ120nmのAlN初期成長層22が形成され、AlN初期成長層22上に、超格子バッファ層23が形成されている。
ここで、上記超格子バッファ層23においては、厚さが5nmのAlN層と厚さが30nmのAl0.2Ga0.8N層との積層体が、複数回繰り返し成長されて形成されている。
そして、上記超格子バッファ層23上に、GaNから成る厚さが1.5μmのGaNチャネル層24、厚さが25nmのAl0.22Ga0.78N障壁層25が形成される。こうして、窒化物半導体エピタキシャルウエハが形成されている。ここで、AlGaN障壁層25で、上記電子供給層を構成している。
本実施の形態の窒化物半導体エピタキシャルウエハにおいては、上記第1実施の形態の窒化物半導体エピタキシャルウエハに対して、組成傾斜バッファ層を無くすと共に、電子供給層の層数を削減することにより、成長時間の短縮を図ることができ、パーティクルによる転位や欠陥の発生を抑制し、結果として歩留りの向上を図ることができる。さらに、コスト削減を図ることができる。
尚、上記各層の膜厚および組成は、本実施の形態の数値に限定されるわけではなく、ウエハの反り調整等に応じて変化させることが可能である。
各層の成長は、上記第1実施の形態の場合と同様にして形成することが可能であり、詳細な説明は省略する。
尚、本実施の形態における各構成要素は、上記第1実施の形態および以下に説明する他の実施の形態における構成要素と、適合できる範囲内で適宜組み合わせることが可能である。
以上のごとく、本実施の形態においても、上記超格子バッファ層23を構成するAlN層(5nm)とAl0.2Ga0.8N層(30nm)とのうち、バンドギャップエネルギーの大きい方の第1層であるAlN層の厚さが5nmであって、0.5nm以上且つ5.0nm以下である。したがって、上記第1実施の形態の場合と同様に、2次元電子ガスおよび2次元正孔ガスの発生が抑制される。こうして、キャリアによる特性悪化を抑制でき、リーク電流の低下とデバイス歩留まりの向上とを図ることができるのである。
・第3実施の形態
図7は、本実施の形態の窒化物半導体エピタキシャルウエハにおける断面図である。図7において、SiC基板31上に、低温で成長されたGaNで成る厚さが50nmのGaN初期成長層32が形成され、GaN初期成長層32上に、超格子バッファ層33が形成されている。
ここで、上記超格子バッファ層33においては、厚さが3nmのAlN層と厚さが25nmのAl0.2Ga0.8N層との積層体が、複数回繰り返し成長されて形成されている。
そして、上記超格子バッファ層33上に、GaNから成る厚さ1.5μmのGaNチャネル層34、厚さ1nmの特性改善層としてのAlN中間層35、厚さが20nmのAl0.2Ga0.8N障壁層36、厚さが1nmのGaNキャップ層37が形成される。こうして、窒化物半導体エピタキシャルウエハが形成されている。ここで、AlN中間層35,AlGaN障壁層36およびGaNキャップ層37で、上記電子供給層を構成している。
尚、上記各層の膜厚および組成は、本実施の形態の数値に限定されるわけではなく、ウエハの反り調整等に応じて変化させることが可能である。
また、本実施の形態の窒化物半導体エピタキシャルウエハにおいては、上記第2実施の形態の窒化物半導体エピタキシャルウエハに対して、Si基板に代えて窒化物半導体との熱膨張係数差が少ないSiC基板を用いている。本実施の形態においては、上記基板としてSiC基板31を用いているが、SiCに限定されるものではない。例えば、Si,SiC,GaN,サファイア等の、通常窒化物半導体のエピタキシャル成長に使用可能な基板を用いることが可能である。
各層の成長は、上記第1実施の形態の場合と同様にして形成することが可能であり、詳細な説明は省略する。
尚、本実施の形態における各構成要素は、上記第1実施の形態や第2実施の形態および以下に説明する他の実施の形態における構成要素と、適合できる範囲で適宜組み合わせることが可能である。
以上のごとく、本実施の形態においても、上記超格子バッファ層33を構成するAlN層(3nm)とAl0.2Ga0.8N層(25nm)とのうち、バンドギャップエネルギーの大きい方の第1層であるAlN層の厚さが3nmであって、0.5nm以上且つ5.0nm以下である。したがって、上記第1実施の形態の場合と同様に、2次元電子ガスおよび2次元正孔ガスの発生が抑制される。こうして、キャリアによる特性悪化を抑制でき、更なるリーク電流の低下とデバイス歩留まりの向上とを図ることができるのである。
・第4実施の形態
図8は、本実施の形態の窒化物半導体エピタキシャルウエハにおける断面図である。図8において、基板として、上記CZ法によって成長された抵抗率が0.01Ω・cmのB(ボロン)ドープSi基板41を用いる。このSi基板41上に、AlNから成る厚さが100nmのAlN初期成長層42が形成され、AlN初期成長層42上に、組成傾斜バッファ層43と超格子バッファ層48とがこの順序で形成されている。
ここで、上記組成傾斜バッファ層43は、厚さが200nmのAl0.7Ga0.3N層44と、厚さが200nmのAl0.5Ga0.5N層45と、厚さが300nmのAl0.3Ga0.7N層46と、厚さが400nmのAl0.1Ga0.9N層47とが、AlN初期成長層42側から順次積層されて形成されている。また、超格子バッファ層48は、厚さが3nmのAlN層と厚さが30nmのAl0.1Ga0.9N層との積層体が、複数回繰り返し成長されて形成されている。
そして、上記超格子バッファ層48上に、GaNから成る厚さが1μmのGaNチャネル層49、厚さが20nmのAl0.2Ga0.8N障壁層50が形成される。こうして、窒化物半導体エピタキシャルウエハが形成されている。ここで、AlGaN障壁層50で、上記電子供給層を構成している。
本実施の形態の窒化物半導体エピタキシャルウエハにおいては、上記第1実施の形態の窒化物半導体エピタキシャルウエハに対して、AlN中間層およびGaNキャップ層を省略して電子供給層の層数を削減している。したがって、成長時間の短縮を図ることができ、パーティクルによる転位や欠陥の発生を抑制し、結果として歩留りの向上を図ることができる。さらに、コスト削減を図ることができる。
尚、上記各層の膜厚および組成は、本実施の形態の数値に限定されるわけではなく、ウエハの反り調整等に応じて変化させることが可能である。
各層の成長は、上記第1実施の形態の場合と同様にして形成することが可能であり、詳細な説明は省略する。
尚、本実施の形態における各構成要素は、上記第1実施の形態〜第3実施の形態および以下に説明する他の実施の形態における構成要素と、適合できる範囲で適宜組み合わせることが可能である。
以上のごとく、本実施の形態においても、上記組成傾斜バッファ層43におけるチャネル層49に最も近いAlGaN層47とチャネル層49とのAl組成差を、初期成長層42に最も近いAlGaN層44と初期成長層42とのAl組成差よりも小さく設定している。したがって、Si基板41とGaNチャネル層49の熱膨張係数差によって生ずる歪みを抑制することができる。
また、上記超格子バッファ層48を構成するAlN層(3nm)とAl0.1Ga0.9N層(30nm)とのうち、バンドギャップエネルギーの大きい方の第1層であるAlN層の厚さが3nmであって、0.5nm以上且つ5.0nm以下である。したがって、2次元電子ガスおよび2次元正孔ガスの発生が抑制される。こうして、キャリアによる特性悪化を抑制でき、リーク電流の低下とデバイス歩留まりの向上とを図ることができるのである。
・第5実施の形態
図9は、本実施の形態の窒化物半導体エピタキシャルウエハにおける断面図である。図9において、基板として、上記CZ法により成長された抵抗率が0.01Ω・cmのB(ボロン)ドープSi基板51を用いる。このSi基板51上に、AlNから成る厚さ100nmのAlN初期成長層52が形成され、AlN初期成長層52上に、組成傾斜バッファ層53と超格子バッファ層57とがこの順序で形成されている。
ここで、上記組成傾斜バッファ層53は、厚さが200nmのAl0.7Ga0.3N層54と、厚さが400nmのAl0.4Ga0.6N層55と、厚さが400nmのAl0.1Ga0.9N層56とが、AlN初期成長層52側から順次積層されて形成されている。また、超格子バッファ層57は、厚さが5nmのAl0.5Ga0.5N層と厚さが3nmのAlN層と厚さ25nmのAl0.1Ga0.9N層との積層体が、複数回繰り返し成長されて形成されている。
そして、上記超格子バッファ層57上に、GaNから成る厚さが1μmのGaNチャネル層58、厚さが1nmの特性改善層としてのAlN中間層59、厚さが20nmのAl0.2Ga0.8N障壁層60、厚さが1nmのGaNキャップ層61が形成される。こうして、窒化物半導体エピタキシャルウエハが形成されている。ここで、AlN中間層59,AlGaN障壁層60およびGaNキャップ層61で、上記電子供給層を構成している。
本実施の形態の窒化物半導体エピタキシャルウエハにおいては、上記第1実施の形態の窒化物半導体エピタキシャルウエハに対して、超格子バッファ層をAlGaN層/AlN層/AlGaN層の3層構造にしている。したがって、Si基板51とGaNチャネル層58との熱膨張係数差によって生ずる応力の調整範囲を大きく取ることができる。さらに、超格子バッファ層57の格子定数差を抑制して、結晶性の向上を図ることができる。また、膜厚を稼ぐことによって、エピタキシャル層上部とSi基板51との間の破壊耐圧を大きくすることができる。
尚、上記各層の膜厚および組成は、本実施の形態の数値に限定されるわけではなく、ウエハの反り調整等に応じて変化させることが可能である。
各層の成長は、上記第1実施の形態の場合と同様にして形成することが可能であり、詳細な説明は省略する。
尚、本実施の形態における各構成要素は、上記第1実施の形態〜第4実施の形態における構成要素と、適合できる範囲で適宜組み合わせることが可能である。
以上のごとく、本実施の形態においても、上記組成傾斜バッファ層53におけるチャネル層58に最も近いAlGaN層56とチャネル層58とのAl組成差を、初期成長層52に最も近いAlGaN層54と初期成長層52とのAl組成差よりも小さく設定している。したがって、Si基板51とGaNチャネル層58の熱膨張係数差によって生ずる歪みを抑制することができる。
また、上記超格子バッファ層57を構成するAl0.5Ga0.5N層(5nm)とAlN層(3nm)とAl0.1Ga0.9N層(30nm)とのうち、バンドギャップエネルギーの大きい方の第1層であるAlN層の厚さが3nmであり、0.5nm以上且つ5.0nm以下である。したがって、2次元電子ガスおよび2次元正孔ガスの発生が抑制される。こうして、キャリアによる特性悪化を抑制でき、リーク電流の低下とデバイス歩留まりの向上とを図ることができるのである。
以上、図面を参照して第1実施の形態〜第5実施の形態について説明したが、この発明は、以上の例示および説明の内容によって何ら限定されるものではない。
例えば、上記各実施の形態においては、窒化物半導体として「AlGaN」を用いた場合について説明している。しかしながら、この発明は「AlGaN」に限定されるものではなく、AlInGaAsPNで表される一般の窒化物系III‐V族化合物半導体に適用することができる。
その場合における上記超格子バッファ層を構成する組成の異なる2つの層は、
AlInGa1-x-yAs1-u-v
(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1、0≦u<1、0≦v<1、u+v<1)
で表される第1層と、
AlInGa1-a-bAs1-c-d
(0≦a≦1、0≦b≦1、a+b≦1、0≦c<1、0≦d<1、c+d<1)
で表される第2層と
で成り、且つ上記「第1層のバンドギャップエネルギー」>「上記第2層のバンドギャップエネルギー」である場合に、
上記第1層における1層当たりの厚みを、0.5nm以上且つ10.0nm以下とすることによって、上記超格子バッファ層において、フェルミ準位Eが、伝導帯のエネルギー準位Eよりも上側(高エネルギー側)に、価電子帯のエネルギー準位Eよりも下側(低エネルギー側)になることはなく、2次元電子ガスおよび2次元正孔ガスの発生が抑制される。したがって、上記キャリアによる特性悪化を抑制でき、リーク電流とデバイス歩留まりの向上とを図ることができるのである。
また、この発明は、上記第1実施の形態〜第5実施の形態に記載された窒化物半導体エピタキシャルウエハのみならず、上記各窒化物半導体エピタキシャルウエハを複数個に分割することによって得られた窒化物半導体、すなわち、
「基板と、
上記基板上に形成されると共に、少なくともバッファ層,チャネル層および電子供給層から成る窒化物半導体積層構造体と
を備え、
上記バッファ層は、
上記基板と上記チャネル層との間に形成されると共に、
組成式が、AlInGa1-x-yAs1-u-v(0≦x≦1,0≦y≦1,x+y≦1,0≦u<1,0≦v<1,u+v<1)で表される第1層と、組成式が、AlInGa1-a-bAs1-c-d(0≦a≦1,0≦b≦1,a+b≦1,0≦c<1,0≦d<1,c+d<1)で表される第2層との積層体が、複数回繰り返して形成された超格子バッファ層を含んでおり、
上記第1層のバンドギャップエネルギーは、上記第2層のバンドギャップエネルギーよりも大きく、
上記第1層における1層当たりの厚みが0.5nm以上且つ10.0nm以下である
窒化物半導体」
をも含むものである。
以上のごとく、この発明の窒化物半導体エピタキシャルウエハは、
基板1,21,31,41,51と、
上記基板1,21,31,41,51上に形成されると共に、少なくともバッファ層、チャネル層8,24,34,49,58、および、電子供給層から成る窒化物半導体積層構造体と
を備え、
上記バッファ層は、
上記基板1,21,31,41,51と上記チャネル層8,24,34,49,58との間に形成されると共に、
組成式が、AlInGa1-x-yAs1-u-v(0≦x≦1,0≦y≦1,x+y≦1,0≦u<1,0≦v<1,u+v<1)で表される第1層と、組成式が、AlInGa1-a-bAs1-c-d(0≦a≦1,0≦b≦1,a+b≦1,0≦c<1,0≦d<1,c+d<1)で表される第2層との積層体が、複数回繰り返して形成された超格子バッファ層7,23,33,48,57を含んでおり、
上記第1層のバンドギャップエネルギーは、上記第2層のバンドギャップエネルギーよりも大きく、
上記第1層における1層当たりの厚みが0.5nm以上且つ10.0nm以下である
ことを特徴としている。
上記超格子バッファ層7,23,33,48,57を構成している上記第1層と上記第2層のうち、バンドギャップエネルギーが大きい方の上記第1層における1層当たりの厚みが0.5nmよりも薄い場合には、トンネル現象によってリーク電流の原因となる。一方、上記厚みが10.0nmを超える場合には、上記第1層と上記第2層との境界部で、フェルミ準位が伝導帯のエネルギー準位よりも高エネルギー側になって2次元電子ガスが発生し、フェルミ準位が価電子帯のエネルギー準位よりも低エネルギー側になって2次元正孔ガスが生ずる。この2次元電子ガスおよび2次元正孔ガスはリーク電流の原因となる。
上記構成によれば、上記超格子バッファ層7,23,33,48,57において、バンドギャップエネルギーが大きい上記第1層における1層当たりの厚みを0.5nm以上且つ10.0nm以下にしている。したがって、2次元電子ガスおよび2次元正孔ガスの発生を抑制することができ、リーク電流の低下を図ることができる。また、トンネル現象によるリーク電流の発生を防止することができる。
すなわち、この発明によれば、リーク電流の低下を図って、デバイス特性の向上を図ることができる。
また、一実施の形態の窒化物半導体エピタキシャルウエハでは、
上記バッファ層は、上記基板1,41,51と上記超格子バッファ層7,48,57との間に形成されると共に、Al組成を上記基板側から段階的に減少させた複数のAlGaN層から成る組成傾斜バッファ層3,43,53を含んでいる。
この実施の形態によれば、上記基板1,41,51と上記チャネル層8,49,58との間に形成される上記バッファ層は、上記組成傾斜バッファ層3,43,53と上記超格子バッファ層7,48,57とを含んでいる。したがって、上記基板1,41,51と窒化物半導体との熱膨張係数差を効果的に緩和して、窒化物半導体層の成長後に、窒化物半導体エピタキシャルウエハが下に凸の形状に反ることを、より確実に防止することができる。
また、一実施の形態の窒化物半導体エピタキシャルウエハでは、
上記組成傾斜バッファ層3,43,53を構成する上記AlGaN層の層数は、2層から4層までの何れかである。
上記組成傾斜バッファ層を構成する上記AlGaN層の層数が5層を超えると、超格子バッファ層7,48,57を含む上記バッファ層の厚さ大きくなり、本窒化物半導体エピタキシャルウエハの厚さが不必要に厚くなってしまう。
この実施の形態によれば、上記組成傾斜バッファ層における上記AlGaN層の層数を4層以下にしている。したがって、本窒化物半導体エピタキシャルウエハの厚さが必要以上に厚くなることを防止することができる。
また、一実施の形態の窒化物半導体エピタキシャルウエハでは、
上記組成傾斜バッファ層3,43,53の直下に下地層2,42,52が形成されており、
上記組成傾斜バッファ層3,43,53における上記チャネル層8,49,58に最も近い上記AlGaN層6,47,56と上記チャネル層8,49,58とのAl組成差が、上記下地層2,42,52に最も近い上記AlGaN層4,44,54と上記下地層とのAl組成差よりも小さい。
この実施の形態によれば、上記組成傾斜バッファ層3,43,53において、上記チャネル層8,49,58に最も近い上記AlGaN層6,47,56と上記チャネル層8,49,58とのAl組成差が小さく設定されている。したがって、上記チャネル層8,49,58に最も近い上記AlGaN層6,47,56と上記チャネル層8,49,58との格子定数を近づけて、上記チャネル層8,49,58に対する歪みの発生を抑制することができる。
また、一実施の形態の窒化物半導体エピタキシャルウエハでは、
上記超格子バッファ層7,23,33,48,57は、上記第1層における1層当たりの厚みが0.5nm以上且つ5.0nm以下である。
この実施の形態によれば、上記超格子バッファ層7,23,33,48,57の上記第1層における1層当たりの厚みを、5.0nm以下に限定している。したがって、上記2次元正孔ガスの発生をより効果的に抑制して、リーク電流の更なる低下を図ることができる。
また、一実施の形態の窒化物半導体エピタキシャルウエハでは、
上記基板1,21,41,51は、Si基板である。
この実施の形態によれば、低コストであり、且つ加工性のよいSi基板を使用することによって、材料コストおよび生産コストの低減を図ることが可能になる。
また、この発明の窒化物半導体は、
基板1,21,31,41,51と、
上記基板1,21,31,41,51上に形成されると共に、少なくともバッファ層、チャネル層8,24,34,49,58、および、電子供給層から成る窒化物半導体積層構造体と
を備え、
上記バッファ層は、
上記基板1,21,31,41,51と上記チャネル層8,24,34,49,58との間に形成されると共に、
組成式が、AlInGa1-x-yAs1-u-v(0≦x≦1,0≦y≦1,x+y≦1,0≦u<1,0≦v<1,u+v<1)で表される第1層と、組成式が、AlInGa1-a-bAs1-c-d(0≦a≦1,0≦b≦1,a+b≦1,0≦c<1,0≦d<1,c+d<1)で表される第2層との積層体が、複数回繰り返して形成された超格子バッファ層7,23,33,48,57を含んでおり、
上記第1層のバンドギャップエネルギーは、上記第2層のバンドギャップエネルギーよりも大きく、
上記第1層における1層当たりの厚みが0.5nm以上且つ10.0nm以下である
ことを特徴としている。
上記構成によれば、上記超格子バッファ層7,23,33,48,57において、バンドギャップエネルギーが大きい上記第1層における1層当たりの厚みを0.5nm以上且つ10.0nm以下にしている。したがって、2次元電子ガスおよび2次元正孔ガスの発生を抑制することができ、リーク電流の低下を図ることができる。また、トンネル現象によるリーク電流の発生を防止することができる。
すなわち、この発明によれば、リーク電流の低下を図って、デバイス特性の向上を図ることができる。尚、この発明の窒化物半導体は、上記この発明の窒化物半導体エピタキシャルウエハを複数個に分割することによって得ることができる。
1,21,41,51…Si基板、
2,22,42,52…AlN初期成長層、
3,43,53…組成傾斜バッファ層、
4,44,54…Al0.7Ga0.3N層、
5,55…Al0.4Ga0.6N層、
6,47,56…Al0.1Ga0.9N層、
7,23,33,48…AlN/AlGaN超格子バッファ層、
8,24,34,49,58…GaNチャネル層、
9,35,59…AlN中間層(特性改善層)、
10,25,36,50,60…AlGaN障壁層、
11,37,61…GaNキャップ層、
31…SiC基板、
32…GaN初期成長層、
45…Al0.5Ga0.5N層、
46…Al0.3Ga0.7N層、
57…AlGaN/AlN/AlGaN超格子バッファ層。

Claims (5)

  1. 基板と、
    上記基板上に形成されると共に、少なくともバッファ層,チャネル層および電子供給層から成る窒化物半導体積層構造体と
    を備え、
    上記バッファ層は、
    上記基板と上記チャネル層との間に形成されると共に、
    組成式が、AlInGa1-x-yAs1-u-v(0≦x≦1,0≦y≦1,x+y≦1,0≦u<1,0≦v<1,u+v<1)で表される第1層と、組成式が、AlInGa1-a-bAs1-c-d(0≦a≦1,0≦b≦1,a+b≦1,0≦c<1,0≦d<1,c+d<1)で表される第2層との積層体が、複数回繰り返して形成された超格子バッファ層を含んでおり、
    上記第1層のバンドギャップエネルギーは、上記第2層のバンドギャップエネルギーよりも大きく、
    上記第1層における1層当たりの厚みが0.5nm以上且つ10.0nm以下である
    ことを特徴とする窒化物半導体エピタキシャルウエハ。
  2. 請求項1に記載の窒化物半導体エピタキシャルウエハにおいて、
    上記バッファ層は、上記基板と上記超格子バッファ層との間に形成されると共に、Al組成を上記基板側から段階的に減少させた複数のAlGaN層から成る組成傾斜バッファ層を含んでいる
    ことを特徴とする窒化物半導体エピタキシャルウエハ。
  3. 請求項2に記載の窒化物半導体エピタキシャルウエハにおいて、
    上記組成傾斜バッファ層の直下に下地層が形成されており、
    上記組成傾斜バッファ層における上記チャネル層に最も近い上記AlGaN層と上記チャネル層とのAl組成差が、上記下地層に最も近い上記AlGaN層と上記下地層とのAl組成差よりも小さい
    ことを特徴とする窒化物半導体エピタキシャルウエハ。
  4. 請求項1から請求項3までの何れか一つに記載の窒化物半導体エピタキシャルウエハにおいて、
    上記超格子バッファ層は、上記第1層における1層当たりの厚みが0.5nm以上且つ5.0nm以下である
    ことを特徴とする窒化物半導体エピタキシャルウエハ。
  5. 基板と、
    上記基板上に形成されると共に、少なくともバッファ層,チャネル層および電子供給層から成る窒化物半導体積層構造体と
    を備え、
    上記バッファ層は、
    上記基板と上記チャネル層との間に形成されると共に、
    組成式が、AlInGa1-x-yAs1-u-v(0≦x≦1,0≦y≦1,x+y≦1,0≦u<1,0≦v<1,u+v<1)で表される第1層と、組成式が、AlInGa1-a-bAs1-c-d(0≦a≦1,0≦b≦1,a+b≦1,0≦c<1,0≦d<1,c+d<1)で表される第2層との積層体が、複数回繰り返して形成された超格子バッファ層を含んでおり、
    上記第1層のバンドギャップエネルギーは、上記第2層のバンドギャップエネルギーよりも大きく、
    上記第1層における1層当たりの厚みが0.5nm以上且つ10.0nm以下である
    ことを特徴とする窒化物半導体。
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