JP2013089363A - リチウムデンドライトの析出判定方法及びリチウムデンドライトの析出判定装置 - Google Patents

リチウムデンドライトの析出判定方法及びリチウムデンドライトの析出判定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】定電流充電時におけるリチウムデンドライトの析出を検出できるリチウムデンドライトの析出判定方法を提供する。
【解決手段】リチウムデンドライトの析出判定方法は、定電流充電によって徐々に上昇する電池電圧Vの時間t当たりの変化量(dV/dt)を検出し、電池電圧Vの時間t当たりの変化量(dV/dt)の極小値近傍からリチウムデンドライトが析出したと判定する。
【選択図】図4

Description

この発明は、リチウムイオン電池におけるリチウムデンドライトの析出判定方法及び析出判定装置に関する。
近年、リチウムイオン電池は、携帯機器用電源や電気自動車用電源・動力源など様々な用途で用いられている。リチウムイオン電池は、高い作動電圧、高エネルギー密度という利点があり、利用が増加している。
リチウムイオン電池の充電方法としては、定電流定電圧(CC−CV)充電が採用されている。定電流定電圧充電は、まず定電流で所定電圧まで充電(CC充電)を行い、続いて所定電圧になったらこの所定電圧が一定となるように充電(CV充電)を行う。
しかし、リチウムイオン電池は、過充電時等において負極側にリチウムのデンドライト(樹枝状晶)が析出するおそれがある。リチウムデンドライトが析出すると、内部短絡の原因となるほか、熱安定性や充放電特性を低下させ、自己発熱現象を誘発するおそれがある。このため、リチウムイオン電池を使用する機器には、内部短絡が起こってもリチウムイオン電池の発火・破裂を防ぐために、様々な対策がなされている。
そこで、リチウムイオン電池の短絡を検出する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のリチウムイオン電池の短絡検出方法は、充電電流、及び端子電圧の挙動を観察することにより、電池内に発生する微小短絡を検出する。これは、リチウムイオン電池に内部短絡が発生する前には、微小短絡が発生することに着目したものである。そして、この微小短絡を検出することで内部短絡の発生前に電池を交換することにより、電池の内部短絡の発生を未然に防止する。
特開平9−17458号公報
しかしながら、上記のリチウムイオン電池の短絡検出方法では、微小ながらも短絡が起きてからの検出となるため、微小短絡が発生するまで相当量のリチウムデンドライトが析出する必要がある。つまり、リチウムデンドライトが析出してからもしばらくの間充電が行われることとなる。また、実際に短絡が起きると、微小短絡により発生するはずの充電電流の乱れが生じていない。これは、充電電流の乱れを検出するには、リチウムデンドライトが負極から離脱する必要があるためである。
そこで、発明者らは、定電流定電圧充電の定電圧充電時における電流値の変化に基づいてリチウムデンドライトの析出を判定する方法及び装置を発明している。ところで、リチウムイオン電池は、定電流充電時においてリチウムデンドライトが析出している可能性もあるので、定電流充電時におけるリチウムデンドライトの析出を判定する方法及び装置が求められていた。また、リチウムイオン電池において、リチウムデンドライトの析出を確実に確認するには、破壊して内部を観察しなければならず、破壊すると再度使用することができなくなるので、非破壊でリチウムデンドライトの析出判定が可能な方法及び装置が求められていた。
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、定電流充電時におけるリチウムデンドライトの析出を判定できるリチウムデンドライトの析出判定方法及びリチウムデンドライトの析出判定装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、リチウムイオン電池の定電流充電におけるリチウムデンドライトの析出判定方法であって、前記定電流充電によって徐々に上昇する電池電圧の時間当たり変化量を検出し、前記電池電圧の時間当たり変化量の極小値近傍からリチウムデンドライトが析出したと判定することをその要旨としている。
発明者らは、リチウムイオン電池の定電流充電時において、リチウムデンドライトが析出すると、負極電位が徐々に減少して一定となり、極小値を境に上昇に転じることを発見した。そこで、同構成によれば、正極電位と負極電位との電位差から求められる電池電圧は、リチウムデンドライトの析出による負極電位の変化によって変動するので負極電位の極小値近傍、すなわち電池電圧の時間当たり変化量の極小値近傍からリチウムデンドライトが析出したと判定することが可能となる。よって、定電流充電時におけるリチウムデンドライトの析出を判定することが可能となる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のリチウムデンドライトの析出判定方法において、前記電池電圧の時間当たり変化量の逆数が規定値以上となる状態からリチウムデンドライトが析出したと判定することをその要旨としている。
発明者らは、リチウムイオン電池の定電流充電時において、リチウムデンドライトが析出した際には、電池電圧の時間当たり変化量を検出すると、該変化量の逆数が極端に大きくなることを発見した。そこで、同構成によれば、電池電圧の時間当たり変化量を観察し、電池電圧の時間当たり変化量の逆数が規定値以上となる際に、リチウムデンドライトが析出したと判定する。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のリチウムデンドライトの析出判定方法において、前記電池電圧の時間当たり変化量の逆数が規定値を超過する時点からリチウムデンドライトが析出したと判定することをその要旨としている。
発明者らは、電池電圧の時間当たり変化量の極小値近傍において、電池電圧の時間当たり変化量の逆数が極端に上昇することに着目した。そこで、同構成によれば、電池電圧の時間当たり変化量の逆数を観察し、規定値を超過する時点からリチウムデンドライトが析出したと判定する。よって、電池電圧の時間当たり変化量の小さいことがより明確となり、定電流充電時におけるリチウムデンドライトの析出を容易に判定することが可能となる。
請求項4に記載の発明は、リチウムイオン電池の定電流充電におけるリチウムデンドライトの析出判定装置であって、前記定電流充電によって徐々に上昇する電池電圧の時間当たり変化量を検出する検出手段と、前記電池電圧の時間当たり変化量の極小値近傍からリチウムデンドライトが析出したと判定する判定手段と、を備えることをその要旨としている。
発明者らは、リチウムイオン電池の定電流充電時において、リチウムデンドライトが析出すると、負極電位が徐々に減少して一定となり、極小値を境に上昇に転じることを発見した。そこで、同構成によれば、正極電位と負極電位との電位差から求められる電池電圧は、リチウムデンドライトの析出による負極電位の変化によって変動するので負極電位の極小値近傍、すなわち電池電圧の時間当たり変化量の極小値近傍からリチウムデンドライトが析出したと判定することが可能となる。よって、定電流充電時におけるリチウムデンドライトの析出を判定することが可能となる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のリチウムデンドライトの析出判定装置において、前記判定手段は、前記電池電圧の時間当たり変化量の逆数が規定値以上となる状態からリチウムデンドライトが析出したと判定することをその要旨としている。
発明者らは、リチウムイオン電池の定電流充電時において、リチウムデンドライトが析出した際には、電池電圧の時間当たり変化量を検出すると、該変化量の逆数が極端に大きくなることを発見した。そこで、同構成によれば、電池電圧の時間当たり変化量を観察し、電池電圧の時間当たり変化量の逆数が規定値以上となる際に、リチウムデンドライトが析出したと判定する。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のリチウムデンドライトの析出判定装置において、前記判定手段は、前記電池電圧の時間当たり変化量の逆数が規定値を超過する時点からリチウムデンドライトが析出したと判定することをその要旨としている。
発明者らは、電池電圧の時間当たり変化量の極小値近傍において、電池電圧の時間当たり変化量の逆数が極端に上昇することに着目した。そこで、同構成によれば、電池電圧の時間当たり変化量の逆数を観察し、規定値を超過する時点からリチウムデンドライトが析出したと判定する。よって、電池電圧の時間当たり変化量の小さいことがより明確となり、定電流充電時におけるリチウムデンドライトの析出を容易に判定することが可能となる。
本発明によれば、リチウムイオン電池の定電流充電時においてリチウムデンドライトの析出を検出できる。
リチウムデンドライトの析出有無を判定する実験装置を示す概略図。 CC−CV充電を示す図。 リチウムデンドライトの析出時における正極電位及び負極電位並びに電池電圧の変化を示す図。 リチウムデンドライトの析出時おける電池電圧及び電池電圧の時間当たり変化量の逆数を示す図。 リチウムデンドライトの析出有無を判定する実験装置を示す概略図。 作用極電位の極小点前後におけるリチウムデンドライトの析出確認実験を示す図。 作用極電位の極小点前における作用極の走査型電子顕微鏡画像を示す図。 作用極電位の極小点における作用極の走査型電子顕微鏡画像を示す図。 作用極電位の極小点後における作用極の走査型電子顕微鏡画像を示す図。
以下、本発明に係るリチウムデンドライトの析出判定方法について図1〜図9を参照して説明する。本発明のリチウムデンドライトの析出判定方法は、リチウムイオン電池の定電流充電において、リチウムデンドライトが析出した際の電池電圧が示す挙動から、リチウムイオン電池を破壊することなくリチウムデンドライトの析出を判定する。発明者らは、実験装置において、リチウムデンドライトが析出した際の電池電圧が示す挙動からリチウムデンドライトの析出有無を判定可能であることを確認した。
まず、リチウムデンドライトが析出する際のリチウムイオン電池の充電時における挙動を図1〜図4を参照して説明する。
図1に示されるように、実験装置のリチウムイオン電池1は、グラファイト(C)からなる作用極2と、コバルト酸リチウム(LiCoO)からなる対極3と、リチウム(Li)からなる参照極4とを備えた三極セルである。これら作用極2と対極3と参照極4とは、電解液5に浸されている。そして、リチウムイオン電池1には、充放電装置11を介して制御用PC(パーソナルコンピュータ)12が接続されている。制御用PC12は、メモリ12aに格納される充放電プログラムに従って充放電装置11を制御する。リチウムイオン電池1は、充放電装置11によって、充電及び放電される。
作用極2、対極3、及び参照極4は、充放電装置11に接続されている。制御用PC12は、充放電装置11を介して参照極4を基準電位として作用極2及び対極3の電位を正確に検出するとともに、作用極2と対極3との間の電池電圧Vを計測する。電解液5は、有機電解液であるLiPF6−EC/DMCで構成されている。なお、この参照極4は、リチウムイオン電池1の性能(電圧・電流など)に影響を及ぼさない。
次に、リチウムイオン電池1が充放電される際の作用極2と対極3との間におけるリチウムイオンの授受について説明する。
リチウムイオン電池1における充電時には作用極2にリチウムイオンが貯蔵され、放電時には作用極2からリチウムイオンが放出される。充電時においては、作用極2が貯蔵できるリチウムイオンの量が限界に到達する、すなわち作用極2がリチウムイオンを貯蔵できなくなると、作用極2の表面にリチウムのデンドライトが析出する。
次に、リチウムイオン電池1の作用極2にリチウムデンドライトを析出させるための処理について図2を参照して説明する。
図2に示されるように、制御用PC12は、メモリ12aに記憶されている充放電プログラムに従い、充放電装置11を通じて3サイクル充放電を行うことにより電極を安定化させる。リチウムイオン電池1の充電では、一般的な充電方式である定電流定電圧(CC−CV)充電を行う。CC−CV充電は、まず一定の充電電流Iによって所定電圧、すなわち対極3の正極電位と作用極2の負極電位との差を所定の電位差にした後、所定電圧を一定に保ちつつ、充電電流Iを徐々に小さくしながら電池に蓄えられる電力量を高める。
次に、制御用PC12によるリチウムイオン電池1の計測結果を図3〜図4に示す。
図3に示されるように、CC−CV充電のCC充電において、徐々に上昇していた電池電圧Vは、時刻t1付近で変化量が小さくなる。これは、時刻t1付近において、作用極2がリチウムイオンを貯蔵できなくなったと推測される。すなわち、時刻t1において、リチウムイオン電池1の作用極2にリチウムデンドライトが析出したものと推測される。
電池電圧Vの変化がよりわかるように縦軸を拡大したものを図4に示す。図4に示されるように、電池電圧Vは時刻t1まで上昇するが、負極電位E2の極小点からの上昇によって、電池電圧Vの変化が極めて小さな極小値を示す。なお、極小点が極小値に相当する。
制御用PC12には、電池電圧Vの時間t当たりの変化量(dV/dt)を検出する検出部12bが設けられている。検出部12bは、電池電圧Vの時間t当たりの変化量(dV/dt)を検出し、電池電圧Vの時間t当たりの変化量(dV/dt)の逆数である判定値(dt/dV)を算出することで、時間tにおける電池電圧Vの変化量(dV/dt)の小ささを検出する。電池電圧Vの変化量が小さい場合には、電池電圧Vの時間t当たりの変化量(dV/dt)が限りなく0に近づくので、判定値(dt/dV)は無限大となる。よって、図示されるように、リチウムイオン電池1の判定値(dt/dV)は、時刻t1付近において無限大となる。なお、検出部12bが検出手段として機能する。
そして、制御用PC12には、リチウムデンドライトが析出したか否かを判定する判定部12cが設けられている。判定部12cは、上記判定値(dt/dV)が規定値Pよりも大きい(超過した)際に、電池電圧Vの時間t当たりの変化量(dV/dt)が極めて小さい極小値近傍を示すことからリチウムデンドライトが析出したと判定する。ここで、規定値Pは、リチウムデンドライトが析出したと判定する析出量に応じて変更可能である。また、規定値Pは、判定値(dt/dV)が通常の値よりも大きい値、すなわち通常であれば達しない値に設定する。または、規定値Pは、判定値(dt/dV)が明らかに大きいと判定できる値に設定する。なお、判定部12cが判定手段として機能する。
上記のように、リチウムイオン電池1のCC充電において、電池電圧Vの変化量dVが極めて小さい極小値近傍、すなわち負極電位E2の極小点付近でリチウムデンドライトが析出するという推測が正しいか否かを図5に示した実験装置にて確認した実験結果を図6に示す。図5に示されるように、実験装置の試験体6は、グラファイト(C)からなる作用極2と、リチウム(Li)からなる対極7と、リチウム(Li)からなる参照極4とを備えた三極セルである。
図6に示されるように、この実験では、試験体6を少なくとも3個用意し、各試験体6を作用極電位E3の極小点前である時刻t0と、作用極電位E3の極小点となる時刻t1と、作用極電位E3の極小点後である時刻t2とにおいて充電を停止する。そして、各試験体6をそれぞれ解体して、作用極2を走査型電子顕微鏡によって観察する。なお、試験体6は、電極を安定化させるための3サイクル充放電を行った後、CC充電を行った。
各時刻における作用極2の電子顕微鏡画像を図7〜図9に示し、リチウムデンドライトの析出について検証する。
図7に示されるように、作用極電位E3が極小点に到達する前の時刻t0における試験体6の作用極2では、リチウムデンドライトの析出は認められない。一方、図8に示されるように、作用極電位E3が極小点となる時刻t1における試験体6の作用極2では、リチウムデンドライトが析出している。また、図9に示されるように、作用極電位E3が極小点となる時刻t2における試験体6の作用極2では、リチウムデンドライトが析出しており、時刻t1よりもリチウムデンドライトが成長している。ここで、時刻t1におけるリチウムデンドライトの析出量は時刻t2におけるリチウムデンドライトの析出量よりも少ない。よって、作用極電位E3が極小点となった時点では、リチウムデンドライトの析出が始まったばかりであることがわかる。
よって、上記確認実験の実験結果からもわかるように、時間t当たりの電池電圧Vの変化量(dV/dt)の極小値近傍において、リチウムデンドライトが析出したと判断できることが確認された。なお、時間t当たりの電池電圧Vの変化量(dV/dt)が極小値近傍に至らない際には、リチウムデンドライトが析出していないと判断する。すなわち、リチウムイオン電池は、解体しなくとも電池電圧Vの変化量(dV/dt)を利用することによって、リチウムデンドライトの析出を判定することができる。
また、判定値(dt/dV)を用いることによって、リチウムデンドライトの析出を正確に検出することができる。具体的には、判定値(dt/dV)に対して規定値Pを設定し、判定値(dt/dV)が規定値Pよりも大きい際に、リチウムデンドライトが析出したと判定する。
さて、本実施例では、リチウムイオン電池のCC充電において、電池電圧Vの変化量dVを観察することによって、リチウムイオン電池を解体することなく、リチウムデンドライトの析出有無が判定できることを説明した。特に、電池電圧Vの時間t当たりの変化量(dV/dt)の逆数である判定値(dt/dV)が規定値Pよりも大きいことに基づくことでリチウムデンドライトの析出を判定できる。なお、判定値(dt/dV)が規定値Pよりも小さい際には、リチウムデンドライトが析出していないと判断する。よって、CC充電時においても、リチウムデンドライトの析出が判定可能となるので、リチウムデンドライトの析出を早期に発見し、リチウムイオン電池を安全に使用することができる。
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)定電流充電時にリチウムデンドライトが析出すると、負極電位E2が徐々に減少して一定となり、極小値を境に上昇に転じることを発見した。そこで、正極電位E1と負極電位E2との電位差から求められる電池電圧Vは、リチウムデンドライトの析出による負極電位E2の変化によって変動するので負極電位E2の極小値近傍、すなわち電池電圧Vの時間t当たりの変化量(dV/dt)の極小値近傍からリチウムデンドライトが析出したと判定することができる。よって、定電流充電時におけるリチウムデンドライトの析出を判定することができる。
(2)リチウムイオン電池の定電流充電時において、リチウムデンドライトが析出した際には、電池電圧Vの時間t当たりの変化量(dV/dt)を検出すると、変化量(dV/dt)の逆数である判定値(dt/dV)が極端に大きくなることを発見した。そこで、電池電圧Vの時間t当たりの変化量(dV/dt)を観察し、電池電圧Vの時間t当たりの変化量(dV/dt)の逆数である判定値(dt/dV)が規定値P以上となる際に、リチウムデンドライトが析出したと判定する。
(3)電池電圧Vの時間t当たりの変化量(dV/dt)の極小値近傍において、電池電圧Vの時間t当たりの変化量(dV/dt)の逆数である判定値(dt/dV)が極端に上昇することに着目した。そこで、電池電圧Vの時間t当たりの変化量(dV/dt)の逆数である判定値(dt/dV)を観察し、規定値Pを超過する時点からリチウムデンドライトが析出したと判定する。よって、電池電圧Vの時間t当たりの変化量(dV/dt)の小さいことがより明確となり、定電流充電時におけるリチウムデンドライトの析出を容易に判定することができる。
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記実施形態において、電池電圧Vの変化量(dV/dt)の極小値近傍を判定する際に、判定値(dt/dV)を用いたが、電池電圧Vの変化量(dV/dt)を利用した値であればよい。例えば、1/dVを判定値として採用してもよい。
・上記実施形態では、対極3にはコバルト酸リチウムを使用したが、コバルト酸リチウム以外のリチウムイオン電池用正極材料を使用してもよい。すなわち、電池電圧Vの極小点を利用したリチウムデンドライトの析出の有無の検出は、対極3にコバルト酸リチウム以外のリチウムイオン電池用正極材料を使用したリチウムイオン電池にも適用することができる。
・上記実施形態において、電解液5は、LiPF6−EC/DMCに限らない。
・上記実施形態において、セパレータを設けてもよい。
・上記実施形態において、リチウムイオン電池1のCC−CV充電時に限らず、CC充電のみの場合に適用してもよい。
・上記実施形態のリチウムデンドライトの析出判定方法を利用して、リチウムデンドライトの析出判定装置を構築することができる。
1…リチウムイオン電池、2…作用極、3,7…対極、4…参照極、5…電解液、6…試験体、11…充放電装置、12…制御用PC、12a…メモリ、12b…検出部、12c…判定部。

Claims (6)

  1. リチウムイオン電池の定電流充電におけるリチウムデンドライトの析出判定方法であって、
    前記定電流充電によって徐々に上昇する電池電圧の時間当たり変化量を検出し、前記電池電圧の時間当たり変化量の極小値近傍からリチウムデンドライトが析出したと判定する
    ことを特徴とするリチウムデンドライトの析出判定方法。
  2. 請求項1に記載のリチウムデンドライトの析出判定方法において、
    前記電池電圧の時間当たり変化量の逆数が規定値以上となる状態からリチウムデンドライトが析出したと判定する
    ことを特徴とするリチウムデンドライトの析出判定方法。
  3. 請求項2に記載のリチウムデンドライトの析出判定方法において、
    前記電池電圧の時間当たり変化量の逆数が規定値を超過する時点からリチウムデンドライトが析出したと判定する
    ことを特徴とするリチウムデンドライトの析出判定方法。
  4. リチウムイオン電池の定電流充電におけるリチウムデンドライトの析出判定装置であって、
    前記定電流充電によって徐々に上昇する電池電圧の時間当たり変化量を検出する検出手段と、
    前記電池電圧の時間当たり変化量の極小値近傍からリチウムデンドライトが析出したと判定する判定手段と、を備える
    ことを特徴とするリチウムデンドライトの析出判定装置。
  5. 請求項4に記載のリチウムデンドライトの析出判定装置において、
    前記判定手段は、前記電池電圧の時間当たり変化量の逆数が規定値以上となる状態からリチウムデンドライトが析出したと判定する
    ことを特徴とするリチウムデンドライトの析出判定装置。
  6. 請求項5に記載のリチウムデンドライトの析出判定装置において、
    前記判定手段は、前記電池電圧の時間当たり変化量の逆数が規定値を超過する時点からリチウムデンドライトが析出したと判定する
    ことを特徴とするリチウムデンドライトの析出判定装置。
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