JP2013087171A - ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物シート - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物シート Download PDF

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Abstract

【課題】 ポリアリーレンスルフィドの押出滞留安定性に優れ、金属との接着性に優れたポリアリーレンスルフィド組成物シートを提供すること。
【解決手段】 融点が260℃以下であるポリアリーレンスルフィド(A)とエポキシ基含有化合物(B)からなることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物シート。
【選択図】 なし

Description

本発明は、エポキシ樹脂をブレンドしたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物シートに関し、詳しくは、金属との接着性に優れたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物シートに関するものである。
ポリアリーレンスルフィドは優れた耐熱性、難燃性、剛性、耐薬品性、電気絶縁性および低吸湿性などの性質を有しており、特に電気・電子機器、機械部品および自動車部品などに好適に使用されている。
近年、ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略称することがある。)に代表されるポリアリーレンスルフィドフィルムは、その電気絶縁性や低吸湿性の高さを活かし、電気絶縁材料への適用が進められている。しかしながら、ポリアリーレンスルフィドフィルムは、一般に金属や他樹脂との接着性、密着性が低く、また、接着剤との反応性が乏しいという欠点を有している。
これらを改善したものとして、例えば、ポリアリーレンスルフィドとエポキシ樹脂とをブレンドし、ポリアリーレンスルフィドの接着性、密着性を改善する技術が開示されている(特許文献1)。しかし、ポリアリーレンスルフィドとエポキシ樹脂を単純にブレンドした場合、ポリアリーレンスルフィドが含有する種々の官能基が触媒として働き、エポキシ樹脂自身の自己重合を引き起こしてエポキシ樹脂のゲル化反応が生じ、樹脂全体の溶融粘度の上昇を招き、製膜性が著しく困難になる欠点があった。
また、特定の末端基を特定量含有するポリアリーレンスルフィドとエポキシ樹脂とをブレンドする技術が開示されている(特許文献2および特許文献3)。しかし、金属などの接着性において、未だ満足のいくものではなかった。
また、エポキシ基含有オレフィン共重合体を特定の分散状態で分散させる技術が開示されている(特許文献4)。しかし、耐衝撃性改良に関する技術であり、未だ金属などの接着性において満足のいくものではなかった。
特開昭57-17153号公報 特開2001−278951号公報 特開平5−214071号公報 特開平4−170467号公報
そこで本発明は、これらの問題点を解消し、製膜安定性に優れ、金属との接着性に優れたポリアリーレンスルフィド組成物シートを提供することを目的とするものである。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物シートは、上記課題を解決するために次の構成を有する。すなわち、融点が260℃以下であるポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、エポキシ基含有化合物(B)からなることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物シートである。
本発明によれば、特に金属との接着性に優れたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物シートを得ることができ、各種部品の金属シール材として好適に用いることができる。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物シートに用いるポリアリーレンスルフィド樹脂は、融点が260℃以下であることが重要であり、より好ましくは255℃以下である。
本発明で用いるポリアリーレンスルフィド樹脂とは、−(Ar−S)−の繰り返し単位を有するコポリマーである。Arとしては下記の式(A)〜式(K)などであらわされる単位などがあげられる。
Figure 2013087171
(R1,R2は、水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基から選ばれた置換基であり、R1とR2は同一でも異なっていてもよい)
本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂の繰り返し単位としては、上記の式(A)で表される構造式が好ましく、これらの代表的なものとして、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトンなどが挙げられ、特に好ましいポリアリーレンスルフィドとしては、フィルム物性と経済性の観点から、ポリフェニレンスルフィド(PPS)が好ましく例示される。PPSの主要構成単位として下記構造式で示されるp−フェニレンスルフィド単位を全繰り返し単位の80モル%以上92モル%以下で構成されていることが好ましい。より好ましくは、85モル%以上、90モル%以下である。かかる主成分が80モル%未満では、耐熱性、耐薬品性が低下する場合があり、92モル%を超えるとポリアリーレンスルフィド樹脂の融点を十分低下できず、金属との接着性を十分高められない場合がある。
Figure 2013087171
また、繰り返し単位の8モル%以上20モル%以下、好ましくは10モル%以上15モル%以下の範囲でp−フェニレンスルフィド単位と共重合することにより、本願規定の融点を有するポリアリーレンスルフィド樹脂を得ることが可能となる。かかる共重合単位が8モル%未満では、ポリアリーレンスルフィド樹脂の融点を十分低下できず、金属との接着性を十分高められない場合があり、20モル%を超えると、耐熱性、耐薬品性が低下する場合がある。
好ましい共重合単位は、下記式に示すm−フェニレンスルフィド単位、
Figure 2013087171
Figure 2013087171
Figure 2013087171
(ここでXは、アルキレン、CO、SO単位を示す。)
Figure 2013087171
Figure 2013087171
(ここでRはアルキル、ニトロ、フェニレン、アルコキシ基を示す。)が挙げられ、好ましい共重合単位は、m−フェニレンスルフィド単位である。
共重合成分との共重合の態様は特に限定はないが、ランダムコポリマーであることが好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物シートに用いるエポキシ基含有化合物(B)は、脂環式エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、メタクリル酸グリシジル共重合体などが挙げられ、本発明においては、メタクリル酸グリシジル共重合体が金属との接着性の観点で好ましく用いられる。
本発明で好ましく用いられるメタクリル酸グリシジル共重合体とは、α、β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルとオレフィンとの共重合体やポリオレフィン及びポリオレフィン共重合体へグラフト共重合する等の公知の方法によって製造される。
このα、β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルとは、下記式に示す一般式
Figure 2013087171
(ここで、Rは水素原子または低級アルキル基である。)で示される1種又はそれ以上の混合物であり、例えばアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル等が挙げられ、なかでもメタクリル酸グリシジルが好適に使用される。
このようなメタクリル酸グリシジル共重合体は、メタクリル酸グリシジルモノマーをメタクリル酸グリシジル共重合体の合計量に対して0.01〜20重量%、好適には0.05〜15重量%の範囲である。これらメタクリル酸グリシジル共重合体は「ボンドファースト」の名称で住友化学(株)より市販されている。
上記エポキシ基含有化合物(B)は、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物シートを構成するポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に対し、3重量%以上10重量%以下含有していることが好ましい。より好ましくは、4重量%以上、9重量%以下であり、さらに好ましくは、5重量%以上、7重量%以下である。エポキシ樹脂の含有量が3重量%未満の場合、金属との接着性が十分高められない場合があり、10重量%を超えると、樹脂全体の溶融粘度上昇が大きくなり、製膜性が悪化する場合がある。
本発明において、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物シートを構成するポリアリーレンスルフィド(A)とエポキシ基含有化合物(B)を混合する時期は、特に限定されないが、溶融押出前に、予備溶融混練(ペレタイズ)してマスターチップ化する方法が好ましく用いられる。マスターチップ化する場合、二軸押出機などのせん断応力のかかる高せん断混合機を用いて混練することが可能である。その場合、通常の一軸押出機に該混合されたマスターチップ原料を投入して溶融製膜してもよいし、高せん断を付加した状態でマスターチップ化せずに直接にシーティングしてもよい。二軸押出機で混合する場合、分散不良物を低減させる観点から、3条二軸タイプまたは2条二軸タイプのスクリューを装備したものが好ましい。予備溶融混練においては、溶融押出しされた樹脂の温度は、ポリアリーレンスルフィド樹脂の融点〜融点+30℃の範囲が好ましく、より好ましくは、ポリアリーレンスルフィド樹脂の融点+10℃〜融点+20℃の範囲である。本発明においては、金属との接着性の観点から溶融押出しされた樹脂の温度は、290℃以下が好ましく、280℃以下がより好ましい。溶融押出しされた樹脂の温度が290℃を超えるとエポキシ基含有化合物の反応性末端が失活し、金属との接着性が低下する場合がある。該樹脂温度に調整する方法は、押出機のシリンダーの温度を調整することにより調整できる。押出機内の滞留時間は1〜5分の範囲が好ましい。また、スクリュー回転数は、100〜500回転/分とすることが好ましく、さらに好ましくは100〜300回転/分の範囲である。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物シートの形態は特に限定されないが、上記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を溶融押出しして成形される未延伸シート、その後に二軸延伸して熱処理して成形される二軸延伸シートを用いることが可能である。本発明においては、金属との接着性の観点から未延伸シートが好ましい態様である。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物シートは、金属とのシール材として好適に用いることが可能であり、例えば、コネクタ、プリント基板、封止成形品などの電子・電気用シール材、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車などに使用される駆動モータ用絶縁材用シール材、電池用シール材として有用である。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物シートは、本発明の効果を阻害しない範囲内で、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤。また、シート表面に易滑性や耐磨耗性や耐スクラッチ性等を付与するために、無機粒子や有機粒子などを含むこともできる。そのような添加物としては、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、湿式または乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナおよびジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン等を構成成分とする有機粒子、ポリアリーレンスルフィドの重合反応時に添加する触媒等によって析出する、いわゆる内部粒子や、界面活性剤などが挙げられる。
次いで、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物シートを製造する方法について、ポリアリーレンスルフィド樹脂としてm−フェニレンスルフィドを共重合させた共重合フェニレンスルフィド樹脂(以下共重合PPS樹脂と略記する場合がある)を用いた場合を例にとって説明するが、本発明は、この例に限定されないことは無論である。
共重合PPS樹脂の製造方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。例えば、次のような方法がある。硫化ナトリウムとp−ジクロロベンゼンおよびm−フェニレンスルフィドを本発明でいう比率で配合し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などのアミド系極性溶媒中で重合助剤の存在下、高温高圧下で反応させる。必要によって、トリハロベンゼンなどの共重合成分を含ませることもできる。重合度調整剤として、苛性カリやカルボン酸アルカリ金属塩などを添加し、230〜280℃の温度で重合反応させる。重合後にポリマを冷却し、ポリマを水スラリーとしてフィルターで濾過後、粒状ポリマを得る。これを酢酸塩などの水溶液中で30〜100℃の温度で10〜60分間攪拌処理し、イオン交換水にて30〜80℃の温度で数回洗浄、乾燥して共重合PPS粒状ポリマを得る。得られた粒状ポリマを、酸素分圧10トール以下、好ましくは5トール以下でNMPにて洗浄後、30〜80℃の温度のイオン交換水で数回洗浄し、副生塩、重合助剤および未反応モノマ等を分離し、共重合PPS樹脂を得る。上記で得られたポリマには必要に応じて、無機または有機の添加剤等を本発明の目的に支障を与えない程度添加することができる。
上記で得られた共重合PPSとエポキシ基含有化合物を混合する場合、溶融押出前に、それぞれの樹脂の混合物を予備溶融混練(ペレタイズ)してマスターチップ化する方法が好ましく例示される。
本発明では、まず、共重合PPSとエポキシ基含有化合物のマスター原料を作製する。共重合PPSとエポキシ基含有化合物を二軸混練押出機に投入し、重量分率が97/3〜90/10となるマスター原料を作成する。混合・混練方法は、特に限定されることはなく各種混合・混練手段が用いられる。例えば、ヘンシェルミキサー、ボールミキサー、ブレンダーあるいはタンブラー等の混合機を利用して混合し、その後、溶融混練機にて溶融混練することでもよい。
共重合PPSとエポキシ基含有化合物の混練は、それぞれをベント式の二軸混練押出機に供給し、溶融混練してブレンドチップを得る。さらに、分散不良物を低減させる観点から、3条二軸タイプまたは2条二軸タイプのスクリューを装備したものが好ましく、そのときの滞留時間は1〜5分の範囲が好ましい。また、混練部を220〜300℃の温度範囲とすることが好ましく、さらに好ましい温度範囲は220〜280℃である。また、スクリュー回転数を100〜500回転/分とすることが好ましく、さらに好ましくは100〜300回転/分の範囲である。また、二軸押出機の(スクリュー軸長さ/スクリュー軸径)の比率は20〜60の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは30〜50の範囲である。
次いで、上記ペレタイズ作業により得られた、共重合PPSとエポキシ基含有化合物のマスター原料を、必要に応じて共重合PPSや粒子を混合した原料を一定の割合で適宜混合して、180℃で3時間以上減圧乾燥した後、260〜290℃の温度、好ましくは260〜280℃に加熱された押出機に投入する。ここで、押出機の温度が290℃を超えると、エポキシ基含有化合物の反応性末端の失活により、金属との接着性が低下する場合があり注意を要する。
その後、押出機を経た溶融ポリマーをフィルターに通過させた後、その溶融ポリマーをTダイの口金を用いてシート状に吐出する。このシート状物を表面温度20〜70℃の冷却ドラム上に密着させて冷却固化し、実質的に無配向状態の未延伸ポリフェニレンスルフィドシートを得る。
[特性の測定方法]
(1)融点
JIS K7121−1987に従って示差走査熱量計として、セイコーインスツルメンツ社製DSC(RDC220)、データ解析装置として同社製ディスクステーション(SSC/5200)を用いて、試料5mgをアルミニウム製受皿上、室温から350℃まで昇温速度20℃/分で昇温する。同試料を取り出し急冷したのち、室温から350℃まで昇温速度20℃/分で昇温し、そのとき、観測される融解の吸熱ピークのピーク温度を融点(Tm)とする。
(2)溶融粘度
フローテスターCFT−500(島津製作所製)を用いて、口金長さを10mm、口金径を1.0mmとして、予熱時間を5分に設定して、共重合PPS樹脂は300℃で、PPS樹脂は320℃で測定し、剪断速度200/sでの溶融粘度を測定した。
(3)接着性
30mm×100mmサイズのアルミニウム板(厚さ:0.7mm)2枚の間に30mm×50mmサイズのサンプルを挟んで熱プレス機で250℃で5秒間予熱した後、10MPaの押圧の下で3分間加熱して、サンプルとアルミニウム板との接着を行った。接着したアルミニウム板をT字型に折り曲げ、引張試験機を用い、チャック間距離10mm、引張速度20mm/分で180°方向に引っ張って最大接着強度を求め、n=5の平均値で下記基準で評価した。
◎:接着強度が250N/30mm以上である
○:接着強度が200N/30mm以上、250N/30mm未満
△:接着強度が150N/30mm以上、200N/30mm未満
×:接着強度が150N/30mm未満
(4)製膜安定性
製膜における濾圧上昇を下記基準で判定した。
○:製膜6時間を経過しても濾圧上昇なし
△:製膜6時間を経過後濾圧が製膜開始より2割上昇した。
×:製膜開始から濾圧が経時的上昇した。
(参考例1)
オートクレ−ブに100モルの硫化ナトリウム9水塩、45モルの酢酸ナトリウムおよび25リットルのN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略称する。)を仕込み、撹拌しながら徐々に220℃の温度まで昇温して、含有されている水分を蒸留により除去した。脱水の終了した系内に、主成分モノマとして90モルのp−ジクロロベンゼン、副成分モノマとして10モルのm−ジクロロベンゼンを5リットルのNMPとともに添加し、170℃の温度で窒素を3kg/cmで加圧封入後、昇温し、260℃の温度にて4時間重合した。重合終了後冷却し、蒸留水中にポリマーを沈殿させ、150メッシュ目開きを有する金網によって、小塊状ポリマーを採取した。このようにして得られた小塊状ポリマーを90℃の蒸留水により5回洗浄した後、減圧下120℃の温度にて乾燥して、300℃の溶融粘度が2800ポイズであり、融点が255℃の共重合PPS樹脂を作製した。
(参考例2)共重合PPS樹脂2の製造
参考例1で主成分モノマとして92モルのp−ジクロロベンゼン、副成分モノマとして8モルのm−ジクロロベンゼンを添加する以外は参考例1と同様にして、300℃の溶融粘度が3200ポイズ、融点が260℃の共重合PPS樹脂を作製した。
(参考例3)
主成分モノマとして100モルのp−ジクロベンゼンを用い、副成分モノマを用いないこと以外は参考例1と同様に実施して、320℃の溶融粘度が4500ポイズであり、融点が280℃のPPS樹脂を作製した。
(実施例1)
参考例1で作製した共重合PPS樹脂95重量部とエポキシ基含有化合物(B)として、エポキシ基含有オレフィン共重合体5重量部(住友化学社製“ボンドファーストE”)を配合し、280℃に加熱されたベント付き同方向回転式二軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)に投入し、滞留時間90秒、スクリュー回転数300回転/分で溶融押出してストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングして共重合PPS/ボンドファーストE(5重量%)ブレンドチップを作製した。得られたブレンドチップを、150℃で3時間減圧乾燥した後、溶融部が290℃に加熱されたフルフライトの単軸押出機に50kg/時間の吐出量で供給した。
次いで押出機で溶融したポリマーを温度290℃に設定した16μmカットフィルターで濾過した後、温度290℃に設定したTダイの口金から溶融押出した後、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、厚み100μmの未延伸ポリフェニレスルフィドシートを作製した。
得られた厚み100μmの未延伸シートの評価結果は表1に示したとおりであり、金属接着性、製膜安定性に優れたシートであった。
(実施例2)
実施例1の共重合PPS樹脂93重量部とエポキシ基含有化合物(B)として、実施例1で用いたエポキシ基含有オレフィン共重合体7重量部とする以外は、実施例1と同様にして厚み100μmの未延伸ポリフェニレスルフィドシートを作製した。
得られた厚み100μmの未延伸シートの評価結果は表1に示したとおりであり、金属接着性、製膜安定性に優れたシートであった。
(実施例3)
実施例1の共重合PPS樹脂90重量部とエポキシ基含有化合物(B)として、実施例1で用いたエポキシ基含有オレフィン共重合体10重量部とする以外は、実施例1と同様にして厚み100μmの未延伸ポリフェニレスルフィドシートを作製した。
得られた厚み100μmの未延伸シートの評価結果は表1に示したとおりであり、金属接着性、製膜安定性に優れたシートであった。
(実施例4)
実施例1の共重合PPS樹脂96重量部とエポキシ基含有化合物(B)として、実施例1で用いたエポキシ基含有オレフィン共重合体4重量部とする以外は、実施例1と同様にして厚み100μmの未延伸ポリフェニレスルフィドシートを作製した。
得られた厚み100μmの未延伸シートの評価結果は表1に示したとおりであり、金属接着性、製膜安定性に優れたシートであった。
(実施例5)
実施例1の共重合PPS97樹脂重量部とエポキシ基含有化合物(B)として、実施例1で用いたエポキシ基含有オレフィン共重合体3重量部とする以外は、実施例1と同様にして厚み100μmの未延伸ポリフェニレスルフィドシートを作製した。
得られた厚み100μmの未延伸シートの評価結果は表1に示したとおりであり、金属接着性、製膜安定性に優れたシートであった。
(実施例6)
実施例1のエポキシ基含有化合物(B)として、ビスフェノール型エポキシ樹脂(三菱化学社製“エピコート”1004)を用いる以外は実施例1と同様にして厚み100μmの未延伸ポリフェニレスルフィドシートを作製した。
得られた厚み100μmの未延伸シートの評価結果は表1に示したとおりであり、金属接着性、製膜安定性に優れたシートであった。
(実施例7)
参考例2で作製した共重合PPS樹脂を用いる以外は、実施例1と同様にして厚み100μmの未延伸ポリフェニレスルフィドシートを作製した。
得られた厚み100μmの未延伸シートの評価結果は表1に示したとおりであり、金属接着性、製膜安定性に優れたシートであった。
(比較例1)
実施例1で用いたPPS樹脂単体を用いる以外は、実施例1と同様にして厚みを100μmの未延伸ポリフェニレンスルフィドシートを作製した。
得られた厚み100μmの未延伸シートの評価結果は表1に示したとおりであり、製膜安定性は優れるものの、金属接着性が悪化した。
(比較例2)
参考例3で作製したPPS樹脂を用いる以外は、実施例1と同様にして厚み100μmの未延伸ポリフェニレスルフィドシートを作製した。
得られた厚み100μmの未延伸シートの評価結果は表1に示したとおりであり、製膜安定性は優れるものの、金属接着性が悪化した。
Figure 2013087171
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物シートは、金属との接着性に優れることから、各種部品の金属シール材として好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 融点が260℃以下であるポリアリーレンスルフィド(A)とエポキシ基含有化合物(B)からなることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物シート。
  2. ポリアリーレンスルフィド(A)がp−フェニレンスルフィド単位とp−フェニレンスルフィド単位以外の少なくとも1種以上の共重合単位からなる共重合ポリフェニレンスルフィドであることを特徴とする請求項1に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物シート。
  3. エポキシ基含有化合物(B)の含有量が融点が260℃以下であるポリアリーレンスルフィド(A)とエポキシ基含有化合物(B)の合計量に対して3重量%以上、10重量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物シート。
  4. エポキシ基含有化合物(B)がメタクリル酸グリシジル共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物シート。
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