JP7364123B1 - 銅張積層板およびそれを用いた回路基板 - Google Patents

銅張積層板およびそれを用いた回路基板 Download PDF

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Abstract

低粗度の銅箔と接着性に優れるポリアリーレンスルフィド系樹脂からなる樹脂層とを接着層を介して積層した伝送損失を低減できる積層体およびそれを用いた回路基板を提供することにある。低粗度の銅箔とポリアリーレンスルフィド樹脂(A)を主成分として、ガラス転移温度140℃以上、若しくは融点230℃以上のポリアリーレンスルフィド系樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂(B)からなる樹脂層とを接着層を介して積層させることで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。

Description

本発明は、銅箔と、接着層と、低誘電特性を有し、ポリアリーレンスルフィド系樹脂を主成分とする接着性に優れる樹脂層が積層した積層体およびそれを用いた回路基板に関する。
近年、パソコン、モバイル端末などの電子機器では、通信の高速化及び大容量化に伴い、電気信号の高周波化が進んでおり、これに対応するプリント配線板が求められている。特に、電気信号の周波数は、高周波になるほど信号電力の損失(減衰)が大きくなり、信号電力の損失(伝送損失)を低減できるプリント配線板が必要である。伝送損失は、導体となる銅箔側の導体損失と基材側の誘電体損失がある。導体損失は、高周波域では表皮効果があり、信号が導体の表面を流れる特性を有するため、導体となる銅箔は表面粗さを小さくするのが好ましい。他方、誘電体損失の低減には、樹脂基材の低誘電特性が好ましく、基材に液晶ポリマー(LCP)などからなるフィルムが用いられている。しかし、LCPフィルムは低粗度銅箔との接着性に劣るため、銅箔表面を荒らす必要があり、伝送損失を悪化させてしまう欠点がある。
一方、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)に代表されるポリアリーレンスルフィド系樹脂は、耐熱性、難燃性、耐薬品性、電気絶縁性に優れ、低誘電特性であることからプリント配線板の分野に適用されうる。しかし、ポリアリーレンスルフィド系樹脂は、一般に金属や他樹脂との接着性、密着性が低く、また、接着剤との反応性に乏しいという課題がある。これを改善するものとして、例えば、特許文献1には、金属板の少なくとも片面に、融点が275℃以下となるポリアリーレンスルフィド系樹脂からなる層を熱ラミネートにて積層されていることが記載されている。
しかしながら、特許文献1には、低融点の共重合ポリアリーレンスルフィド系樹脂からなる層と金属板が直接積層された積層体であり、ポリアリーレンスルフィド系樹脂層を共重合ポリアリーレンスルフィド系樹脂からなる層との共押出の多層化、若しくは積層化が必要であり、生産性に劣り、また、積層体の耐熱性の低下等の問題点がある。
特開2020-6678号公報
そこで、本発明は、低粗度の銅箔と接着性に優れるポリアリーレンスルフィド系樹脂からなる樹脂層とを接着層を介して積層した伝送損失を低減できる積層体およびそれを用いた回路基板を提供することにある。
本発明者らは、誠意検討を行った結果、低粗度の銅箔とポリアリーレンスルフィド系樹脂(A)を主成分として、ガラス転移温度140℃以上、若しくは融点230℃以上のポリアリーレンスルフィド系樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂(B)からなる樹脂層とを接着層を介して積層させることで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記(1)~(16)に関する。
(1)少なくとも銅箔と、接着層と、ポリアリーレンスルフィド系樹脂(A)を主成分とする樹脂層とがこの順に積層した構成体であり、
前記銅箔おいて、接着層を積層させる側の銅箔の表面粗度(Rz)が2.0μm以下で厚さが1μm~50μmであり、
前記樹脂層が、ポリアリーレンスルフィド系樹脂(A)を主成分として、ガラス転移温度140℃以上、若しくは融点230℃以上のポリアリーレンスルフィド系樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)を副成分とし、連続相および分散相を有する樹脂層であり、誘電率が3.5以下、かつ、誘電正接が0.005以下である積層体。
(2)前記分散相であるポリアリーレンスルフィド系樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)の平均分散径が5μm以下である1に記載の積層体。
(3)前記ポリアリーレンスルフィド系樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)の配合量の割合が、ポリアリーレンスルフィド系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の合計量100質量%に対して、1 49質量%の範囲である1または2に記載の積層体。
(4)前記ポリアリーレンスルフィド系樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)が、少なくともポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリフェニレンサルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリサルホン樹脂、含フッ素系樹脂から選ばれる1種以上である1~3のいずれか1つに記載の積層体。
(5)前記接着層と前記樹脂層からなる積層体の誘電率が3.5以下であり、かつ、誘電正接が0.03以下である1~4のいずれか1つに記載の積層体。
(6)更に、反応性基が付与された変性エラストマー(C)が含有することを特徴とした1~5のいずれか1つに記載の積層体。
(7)前記変性エラストマー(C)がエポキシ基、酸無水物基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基を有するオレフィン系重合体からなる、6に記載の積層体。
(8)前記変性エラストマー(C)の配合量の割合が、ポリアリーレンスルフィド系樹脂(A)、ポリアリーレンスルフィド以外の熱可塑性樹脂(B)、及び変性エラストマー(C)の合計100質量%に対して、1~15質量%含有することを特徴とした6または7に記載の積層体。
(9)前記変性エラストマー(C)のα-オレフィン含有率が、前記変性エラストマーの総質量に対して、50~95質量%であることを特徴とした6~8のいずれか1つに記載の積層体。
(10)更に、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基から選択される少なくとも1種の官能基を含有するシランカップリング剤(D)を0.01~5質量%含む1~9のいずれか1つに記載の積層体。
(11)更に、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体(E)が含まれる1~10のいずれか1つに記載の積層体。
(12)前記スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体(E)が0.1~10質量%含有した11に記載の積層体。
(13)前記接着層の厚みが30μm以下の1~12のいずれか1つ記載の積層体。
(14)前記接着層の周波数5GHzにおける誘電率が3.5以下であり、誘電正接が0.01以下である1~13のいずれか1つに記載の積層体。
(15)前記樹脂層が二軸延伸フィルムである1~14のいずれか1つに記載の積層体。
(16)1~15のいずれか1つに記載の積層体を用いてなる回路基板。
(17)1~16のいずれか1つに記載の積層体からなる高周波回路基板。
に関するものである。
本発明によれば、ポリアリーレンスルフィド系樹脂(A)と、ガラス転移温度140℃以上、若しくは融点230℃以上のポリアリーレンスルフィド系樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂(B)からなる樹脂組成物を用いる事で接着剤との接着性が向上し、低粗度の銅箔との積層化が可能となり、高周波に対応した銅張積層板およびプリント配線板を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
[樹脂層]
樹脂層を構成する樹脂組成物は、ポリアリーレンスルフィド系樹脂(以下、「PAS系樹脂」と称することがある)を主成分として、ガラス転移温度140℃以上、または融点230℃以上のポリアリーレンスルフィド系樹脂以外の熱可塑性樹脂を原料とする。この際、前記樹脂組成物は、連続相および分散相を有し、前記連続相が、ポリアリーレンスルフィド系樹脂を含み、前記分散相が、ガラス転移温度140℃以上、または融点230℃以上のポリアリーレンスルフィド系樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)を含む。
本発明の樹脂層は、周波数5GHzでの誘電率3.5以下、誘電正接0.005以下が好ましい。さらには、誘電率3.3以下、誘電正接0.004以下がより好ましい。誘電率3.5以下、誘電正接0.005以下であれば、電気特性の要求が厳しいFPC関連製品にも好適に用いることができる。また、前記範囲の誘電率、誘電正接であれば、接着層を積層したあとの誘電率3.5以下、誘電正接0.03以下となる樹脂層/接着層の層構成、層比率とすることで低粗度の銅箔と積層させた積層体にて伝送損失を抑制することができ、高周波用途のFPC関連製品に好適に用いることができる。
分散相の平均分散径は、5μm以下であり、好ましくは0.5μm以上5μm以下であり、さらに好ましくは0.5μm以上3μm以下である。分散相の平均分散径が0.5μm以上5μm以下の範囲内であれば、樹脂層の物性を維持し、金属との接着性に優れた樹脂層を得ることができる。なお、本発明細書において、「分散相の平均分散径」は実施例に記載の方法で測定された値を採用するものとする
[ポリアリーレンスルフィド系樹脂(A)]
ポリアリーレンスルフィド系樹脂(A)(PAS系樹脂(A))は、樹脂組成物の主成分であり、原則として樹脂組成物の連続相に含まれる。
PAS系樹脂(A)は、芳香族環と硫黄原子とが結合した構造(具体的には、下記式(1)で表される構造)を繰り返し単位として含む重合体である。
Figure 0007364123000001
上記式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~4のアルキル基、ニトロ基、アミノ基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基を表し、nは、それぞれ独立して、1~4の整数である。
ここで、式(1)で表される構造中のRは、いずれも水素原子であることが好ましい。かかる構成により、PAS系樹脂(A)の機械的強度をより高めることができる。Rがいずれも水素原子である式(1)で表される構造としては、下記式(2)で表される構造(すなわち、硫黄原子が芳香族環に対してパラ位で結合する構造)、および下記式(3)で表される構造(すなわち、硫黄原子が芳香族環に対してメタ位で結合する構造)が挙げられる。
Figure 0007364123000002
これらの中でも、式(1)で表される構造は、式(2)で表される構造であることが好ましい。式(2)で表される構造を有するPAS系樹脂(A)であれば、耐熱性や結晶性をより向上させることができる。
また、PAS系樹脂(A)は、上記式(1)で表される構造のみならず、下記式(4)~(7)で表される構造を繰り返し単位として含んでいてもよい。
Figure 0007364123000003
式(4)~(7)で表される構造は、PAS系樹脂(A)を構成する全繰り返し単位中に、30モル%以下含まれることが好ましく、10モル%以下含まれることがより好ましい。かかる構成により、PAS系樹脂(A)の耐熱性や機械的強度をより高めることができる。
また、式(4)~(7)で表される構造の結合様式としては、ランダム状、ブロック状のいずれであってもよい。
また、PAS系樹脂(A)は、その分子構造中に、下記式(8)で表される3官能性の構造、ナフチルスルフィド構造等を繰り返し単位として含んでいてもよい。
Figure 0007364123000004
式(8)で表される構造、ナフチルスルフィド構造等は、PAS系樹脂(A)を構成する全繰り返し単位中に、1モル%以下含まれることが好ましく、実質的には含まれないことがより好ましい。かかる構成により、PAS系樹脂(A)中における塩素原子の含有量を低減することができる。
また、PAS系樹脂(A)の特性は、本発明の効果を損ねない限り、特に限定されないが、その300℃における溶融粘度(V6)は、100~2000Pa・sであることが好ましく、さらに流動性および機械的強度のバランスが良好となることから、120~1600Pa・sであることがより好ましい。
さらに、PAS系樹脂(A)は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いた測定において、分子量25,000~40,000の範囲にピークを有し、かつ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比率(Mw/Mn)が5~10の範囲にあり、かつ、非ニュートン指数が0.9~1.3の範囲にあることが特に好ましい。かかるPAS系樹脂(A)を用いることにより、絶縁フィルムでの機械的強度を低下させることなく、PAS系樹脂(A)自体における塩素原子の含有量を700~2,000ppmの範囲にまで低減でき、ハロゲンフリーの電子・電気部品用途への適用が容易となる。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、それぞれゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定された値を採用する。なお、GPCの測定条件は、以下の通りである。
[ゲル浸透クロマトグラフィーによる測定条件]
装置:超高温ポリマー分子量分布測定装置(センシュウ科学社製SSC-7000)
カラム :UT-805L(昭和電工社製)
カラム温度:210℃
溶媒 :1-クロロナフタレン
測定方法 :UV検出器(360nm)で6種類の単分散ポリスチレンを校正に
用いて分子量分布とピーク分子量を測定する。
PAS系樹脂(A)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、1)硫黄と炭酸ソーダの存在下で、ジハロゲノ芳香族化合物を、必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加えて、重合させる方法、2)極性溶媒中でスルフィド化剤等の存在下に、ジハロゲノ芳香族化合物を、必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加えて、重合させる方法、3)p-クロルチオフェノールを、必要ならばその他の共重合成分を加えて、自己縮合させる方法等が挙げられる。これらの製造方法の中でも、上記2)の方法が汎用的であり好ましい。
なお、反応の際には、重合度を調節するために、カルボン酸やスルホン酸のアルカリ金属塩や、水酸化アルカリを添加してもよい。
上記2)の方法の中でも、次の2-1)の方法または2-2)の方法が特に好ましい。
2-1)の方法では、加熱した有機極性溶媒とジハロゲノ芳香族化合物とを含む混合物に、含水スルフィド化剤を、水が反応混合物から除去され得る速度で導入し、有機極性溶媒中でジハロゲノ芳香族化合物とスルフィド化剤とを、必要に応じてポリハロゲノ芳香族化合物と加え、反応させる際に、反応系内の水分量を、有機極性溶媒1モルに対して0.02~0.5モルの範囲にコントロールすることにより、PAS系樹脂(A)を製造する(特開平07-228699号公報参照)。
2-2)の方法では、固形のアルカリ金属硫化物および非プロトン性極性有機溶媒の存在下で、ジハロゲノ芳香族化合物と、必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加え、アルカリ金属水硫化物および有機酸アルカリ金属塩とを反応させる際に、有機酸アルカリ金属塩の量を硫黄源1モルに対して0.01~0.9モルの範囲にコントロールすること、および反応系内の水分量を非プロトン性極性有機溶媒1モルに対して0.02モル以下の範囲にコントロールすることにより、PAS系樹脂(A)を製造する(WO2010/058713号パンフレット参照)。
ジハロゲノ芳香族化合物の具体例としては、p-ジハロベンゼン、m-ジハロベンゼン、o-ジハロベンゼン、2,5-ジハロトルエン、1,4-ジハロナフタレン、1-メトキシ-2,5-ジハロベンゼン、4,4’-ジハロビフェニル、3,5-ジハロ安息香酸、2,4-ジハロ安息香酸、2,5-ジハロニトロベンゼン、2,4-ジハロニトロベンゼン、2,4-ジハロアニソール、p,p’-ジハロジフェニルエーテル、4,4’-ジハロベンゾフェノン、4,4’-ジハロジフェニルスルホン、4,4’-ジハロジフェニルスルホキシド、4,4’-ジハロジフェニルスルフィド、および上記各化合物の芳香環に炭素原子数1~18の範囲のアルキル基を有する化合物が挙げられる。
また、ポリハロゲノ芳香族化合物としては、1,2,3-トリハロベンゼン、1,2,4-トリハロベンゼン、1,3,5-トリハロベンゼン、1,2,3,5-テトラハロベンゼン、1,2,4,5-テトラハロベンゼン、1,4,6-トリハロナフタレンなどが挙げられる。
なお、上記化合物中に含まれるハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子であることが望ましい。
重合工程により得られたPAS系樹脂(A)を含む反応混合物の後処理方法には、公知慣用の方法が用いられる。かかる後処理方法としては、特に限定されないが、例えば、次の(1)~(5)の方法が挙げられる。
(1)の方法では、重合反応終了後、まず反応混合物をそのまま、あるいは酸または塩基を加えた後、減圧下または常圧下で溶媒を留去し、次いで溶媒留去後の固形物を水、反応溶媒(または低分子ポリマーに対して同等の溶解度を有する有機溶媒)、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類などの溶媒で1回または2回以上洗浄し、さらに中和、水洗、濾過および乾燥する。
(2)の方法では、重合反応終了後、反応混合物に水、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素などの溶媒(使用した重合溶媒に可溶であり、かつ少なくともPAS系樹脂(A)に対しては貧溶媒である溶媒)を沈降剤として添加して、PAS系樹脂(A)や無機塩等の固体状生成物を沈降させ、これらを濾別、洗浄、乾燥する。
(3)の方法では、重合反応終了後、反応混合物に反応溶媒(または低分子ポリマーに対して同等の溶解度を有する有機溶媒)を加えて攪拌した後、濾過して低分子量重合体を除いた後、水、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類などの溶媒で1回または2回以上洗浄し、その後中和、水洗、濾過および乾燥する。
(4)の方法では、重合反応終了後、反応混合物に水を加えて水洗浄、濾過、必要に応じて水洗浄のときに酸を加えて酸処理し、乾燥する。
(5)の方法では、重合反応終了後、反応混合物を濾過し、必要に応じ、反応溶媒で1回または2回以上洗浄し、さらに水洗浄、濾過および乾燥する。
上記(4)の方法で使用可能な酸としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、モノクロロ酢酸等の飽和脂肪酸、アクリル酸、クロトン酸、オレイン酸等の不飽和脂肪酸、安息香酸、フタル酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸、マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等のスルホン酸等の有機酸、塩酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸等の無機酸が挙げられる。
また、水素塩としては、例えば、硫化水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。ただし、実機での使用においては、金属部材への腐食が少ない有機酸が好ましい。
なお、上記(1)~(5)の方法において、PAS系樹脂(A)の乾燥は、真空中で行ってもよいし、空気中あるいは窒素のような不活性ガス雰囲気中で行ってもよい。
特に、上記(4)の方法で後処理されたPAS系樹脂(A)は、その分子末端に結合する酸基の量が増加することで、変性エラストマー(C)と混合する場合、それらの分散性を高める効果が得られる。酸基としては、特に、カルボキシル基であることが好ましい。
樹脂組成物中におけるPAS系樹脂(A)の含有量は、50~93質量%であればよいが、55~90質量%であることが好ましい。PAS系樹脂(A)の含有量が上記範囲であれば、樹脂層の耐熱性および耐薬品性をより向上させることができる。
[ポリアリーレンスルフィド系樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)]
本発明のポリアリーレンスルフィド系樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂(B)(以下、「熱可塑性樹脂(B)」と称することがある。)は、ガラス転移温度140℃以上、若しくは融点230℃以上のPAS系樹脂以外の熱可塑性樹脂であれば良い。ガラス転移温度140℃以上、若しくは融点230℃以上の熱可塑性樹脂(B)であればポリフェニレンスルフィド樹脂の耐熱性の大幅な悪化を抑制してコロナ処理、プラズマ処理による改質効果を高めることができ、本発明の樹脂組成物から得られる樹脂層と銅箔との積層に際し、接着剤を介してより高い密着力のある積層体を得ることができる。接着剤を介した積層化のため、低粗度の銅箔との積層化が可能となり、導体損失を抑制する事ができる。
PAS系樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂(B)としては、ガラス転移温度140℃以上、若しくは融点230℃以上の熱可塑性樹脂であれば良いが、例えば、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、含フッ素系樹脂等の各種ポリマーおよびこれらのポリマーの少なくとも1種を含むブレンド物を用いることができる。中でも、低誘電特性、PAS系樹脂との混合性、低吸湿性の観点からポリフェニレンエーテル、若しくは、含フッ素系樹脂が好ましい。
樹脂層を構成する樹脂組成物中における熱可塑性樹脂(B)の含有量は、1~49質量%であればよいが、3~40質量%であることが好ましい。熱可塑性樹脂(B)の含有量が上記範囲であれば、積層体の物性を維持し、接着剤との密着性に効果がある。
ポリフェニレンエーテル系樹脂(以下、「PPE系樹脂」と称することがある。)は、樹脂層を低誘電率、低誘電正接化する機能も付与する成分である。
PPE系樹脂は、下記式(9)で表される構造を繰り返し単位として含む重合体である。
Figure 0007364123000005
上記式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~7の第一級アルキル基、炭素数1~7の第二級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基、少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基であり、mは、それぞれ独立して、1~4の整数である。
PPE系樹脂の具体例としては、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2-メチル-6-エチル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2-メチル-6-フェニル-1,4-フェニレンエ-テル)、ポリ(2,6-ジクロロ-1,4-フェニレンエーテル)等の単重合体、2,6-ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6-トリメチルフェノールや2-メチル-6-ブチルフェノール)との共重合体等が挙げられる。
これらの中でも、PPE系樹脂としては、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)、2,6-ジメチルフェノールと2,3,6-トリメチルフェノールとの共重合体であることが好ましく、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)であることがより好ましい。
PPE系樹脂の数平均分子量は、1,000以上であることが好ましく、1,500~50,000であることがより好ましく、1,500~30,000であることがさらに好ましい。
含フッ素系樹脂は、樹脂層を低誘電率、低誘電正接化する機能も付与する成分である。含フッ素系樹脂は、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基及びイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の反応性官能基を有するものが好ましい。これらの反応性官能基が2種以上含まれても良い。中でも、PAS系樹脂(A)との反応性に優れる点からカルボニル基含有基が好ましい。カルボニル基含有基としては、炭化水素基の炭素原子間にカルボニル基を有する基、カーボネート基、カルボキシ基、ハロホルミル基、アルコキシカルボニル基、酸無水物基、ポリフルオロアルコキシカルボニル基等が挙げられる。
含フッ素系樹脂の反応性官能基を導入する方法としては、(1)重合反応で反応性官能基を有する含フッ素系樹脂の主鎖を製造する際に、反応性官能基を有するモノマーを使用する。(2)反応性官能基を有するラジカルを発生する連鎖移動剤を用いて、重合反応で官能基を有する含フッ素系樹脂を製造する。(3)反応性官能基を有するラジカルを発生する重合開始剤を用いて、重合反応で官能基を有する含フッ素系樹脂を製造する。(4)フッ素系樹脂を酸化、熱分解などの手法により変性する方法などが挙げられる。また、(5)フッ素系樹脂に相溶し、前記官能基を含有する化合物または樹脂を配合する方法が挙げられる。
反応性官能基含有単量体としては、カルボニル基含有基を有する単量体、エポキシ基含有単量体、ヒドロキシ基含有単量体、イソシアネート基含有単量体等が挙げられる。
カルボキシル基含有基を有する単量体としては、不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、ハイミック酸、5-ノルボルネン-2、3-ジカルボン酸、マレイン酸)、それらの不飽和ジカルボン酸無水物、不飽和モノカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸)、ビニルエステル(酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、ブタン酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル、クロトン酸ビニル)等が挙げられる。
ヒドロキシ基含有単量体としては、ヒドロキシ基含有ビニルエステル、ヒドロキシ基含有ビニルエーテル、ヒドロキシ含有アリルエーテル、ヒドロキシ含有(メタ)アクリレート、クロトン酸ヒドロキシエチル、アリルアルコール等が挙げられる。
エポキシ基含有単量体としては、不飽和グリシジルエーテル(アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル等)、不飽和グリシジルエステル(アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等)が挙げられる。
イソシアネート基含有単量体としては、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-(2-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エチルイソシアネート、1,1-ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が挙げられる。
含フッ素系樹脂中に含まれる反応性官能基量は、含フッ素系樹脂を構成する全単位のうち、0.01~3モル%が好ましく、0.03~2モル%がより好ましく、0.05~1モル%がさらに好ましい。反応性官能基量が前記範囲内であれば、PAS系樹脂との反応性に優れ、流動性の悪化も抑制できる。
含フッ素系樹脂の構造は、特に限定されるものでは無いが、少なくとも1種のフルオロオレフィン単位から構成される。例えば、テトラフルオロエチレン重合体や、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとの共重合体、更には、エチレン、プロピレン、ブテン、アルキルビニルエーテル類等のフッ素を含まない非フッ素エチレン系単量体との共重合体も挙げられる。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンーテトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン-テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等が挙げられる。中でも、溶融押出性が容易である点からエチレンーテトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体が好ましい。
本発明で用いられる含フッ素系樹脂の融点は、特に限定されるものではないが、230℃以上が好ましく、270℃以上がより好ましい。含フッ素系樹脂の融点が前記範囲内であれば、耐熱性の維持と良好な溶融押出安定性が得られる。
本発明で用いられる含フッ素系樹脂のガラス転移温度は、特に限定されるものではないが、130℃以下であり、120℃以下、110℃以下がより好ましい。前記のガラス転移温度を有する含フッ素系樹脂であれば、PAS系樹脂(A)との混合物を用いた延伸フィルム(樹脂層の一形態)を作製する際、延伸において、連続相であるPAS系樹脂(A)と分散相である含フッ素系樹脂との界面での剥離を抑える事ができる。それにより、延伸時の破断が抑制でき、更には、優れた機械物性を有するフィルムを得る事ができる。
[変性エラストマー(C)]
変性エラストマー(C)は、原則として樹脂層を構成する樹脂組成物の分散相に含まれる。変性エラストマー(C)は、PAS系樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)の少なくとも一種と反応可能な反応性基を有することにより、積層体の機械的強度(引張特性、耐折強度等)を向上させる機能を有する成分である。
変性エラストマー(C)が有する反応性基としては、エポキシ基および酸無水物基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、エポキシ基であることがより好ましい。これらの反応性基は、PAS系樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)が有する分子末端の官能基と迅速に反応可能である。
かかる変性エラストマー(C)としては、α-オレフィンに基づく繰り返し単位と、上記官能基を有するビニル重合性化合物に基づく繰り返し単位とを含む共重合体、α-オレフィンに基づく繰り返し単位と、上記官能基を有するビニル重合性化合物に基づく繰り返し単位と、アクリル酸エステルに基づく繰り返し単位とを含む共重合体等が挙げられる。
α-オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン-1等の炭素数2~8のα-オレフィン等が挙げられる。
また、官能基を有するビニル重合性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のα,β-不飽和カルボン酸およびそのエステル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、その他炭素数4~10の不飽和ジカルボン酸、そのモノまたはジエステル、その酸無水物等のα,β-不飽和ジカルボン酸、そのエステルおよびその酸無水物、α,β-不飽和グリシジルエステル等が挙げられる。
α,β-不飽和グリシジルエステルとしては、特に限定されないが、下記式(10)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0007364123000006
上記式中、Rは、炭素数1~6のアルケニル基である。
炭素数1~6のアルケニル基としては、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-メチルエテニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、1-メチル-1-プロペニル基、1-メチル-2-プロペニル基、2-メチル-1-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4ペンテニル基、1-メチル-1-ペンテニル基、1-メチル-3-ペンテニル基、1,1-ジメチル-1-ブテニル基、1-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基等が挙げられる。
は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基である。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、2,4-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基等が挙げられる。
α,β-不飽和グリシジルエステルの具体例としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられ、グリシジルメタクリレートであることが好ましい。
変性エラストマー(C)中に占めるα-オレフィンに基づく繰り返し単位の割合は、50~95質量%であることが好ましく、50~80質量%であることがより好ましい。α-オレフィンに基づく繰り返し単位の占める割合が上記範囲であれば、樹脂層となる二軸延伸フィルムの延伸均一性、耐折強度、接着層との接着強度を向上することができる。
また、変性エラストマー(C)中に占める官能基を有するビニル重合性化合物に基づく繰り返し単位の割合は、1~30質量%であることが好ましく、2~20質量%であることがより好ましい。官能基を有するビニル重合性化合物に基づく繰り返し単位の占める割合が上記範囲であれば、目的とする改善効果のみならず、良好な押出安定性が得られる。
樹脂層を構成する樹脂組成物中における変性エラストマー(C)の含有量は、1~15質量%であることが好ましく、2~10質量%であることがより好ましい。変性エラストマー(C)の含有量が上記範囲であれば、積層体の耐折強度、接着強度等の向上効果が顕著に発揮される。
[シランカップリング剤(D)]
本発明では、PAS系樹脂(A)と、他の成分(PAS系樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)、変性エラストマー(C))との相溶性、相互作用を高める機能を有する成分としてシランカップリング剤を使用することが好ましく、PAS系樹脂(A)中における他の成分の分散性が飛躍的に向上し、良好なモルフォロジーを形成することができる。
シランカップリング剤(D)は、カルボキシル基と反応し得る官能基を有する化合物であることが好ましい。かかるシランカップリング剤は、他の成分と反応することで、これらと強固に結合する。その結果、シランカップリング剤の効果がより顕著に発揮され、PAS系樹脂(A)中における他の成分の分散性を特に高めることができる。
かかるシランカップリング剤としては、例えば、エポキシ基、イソシアネート基、アミノ基または水酸基を有する化合物が挙げられる。
シランカップリング剤の具体例としては、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ-イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ-イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ-イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ-イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ-イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ-イソシアナトプロピルトリクロロシラン等のイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ-ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン等の水酸基含有アルコキシシラン化合物が挙げられる。
樹脂層を構成する樹脂組成物中におけるシランカップリング剤の含有量は、0.01~5質量%であることが好ましく、0.05~2.5質量%であることがより好ましい。シランカップリング剤の含有量が上記範囲であれば、PAS系樹脂(A)中における他の成分の分散性を向上する効果が顕著に発揮される。
[スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体(E)]
スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体は、その多くが樹脂層を構成する樹脂組成物の分散相に含まれる。分散相中のスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体は、樹脂組成物の流動性と樹脂層の機械的強度を高める機能を有する成分である。
また、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体(E)は、後述するように相溶化剤としても機能すると本発明者らが考えている変性エラストマー(C)と反応して、PAS系樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との界面接着性を高めるため、樹脂層、若しくは、樹脂層の一形態である二軸延伸フィルムの機械的強度(耐折強度等)を向上させる機能も有する。尚、前述した変性エラストマーとの反応性が必要なため、本発明のスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体(E)は、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸系モノマーとの共重合体であり、グリシジル基、オキサゾリル基のいずれの官能基も有しないものである。
スチレン系モノマーとしては、特に限定されないが、スチレンおよびその誘導体が挙げられる。スチレン誘導体としては、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレン等のアルキルスチレン;フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン等のハロゲン化スチレン;ニトロスチレン;アセチルスチレン;メトキシスチレン等が挙げられる。これらのスチレン系モノマーは、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
メタクリル酸系モノマーとしては、メタクリル酸の他、置換または非置換の炭素数1~6のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルが挙げられる。この場合、置換基としては、特に限定されないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、水酸基等が挙げられる。なお、置換基は、1つのみ有していてもよいし、2以上有していてもよい。置換基を2以上有する場合には、それぞれの置換基は同じであっても異なってもよい。
置換または非置換の炭素数1~6のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルの具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸n-へキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等が挙げられる。中でも、変性エラストマー(C)との相溶性、反応性の観点から、メタクリル酸アルキルエステルは、メタクリル酸であることが好ましい。なお、これらのメタクリル酸系モノマーは、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体(E)中に含まれるメタクリル酸に基づく繰り返し単位の含有率は、全繰り返し単位の1~30質量%であることが好ましく、1~20質量%であることがより好ましく、1~18質量%であることがさらに好ましい。この場合、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体(E)に熱可塑性樹脂(B)および変性エラストマー(C)との良好な相溶性が得られ、樹脂層となる二軸延伸フィルムの延伸均一性、および積層体の耐折強度等をより向上させることができる。
スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体(E)の重合反応には、汎用されているスチレン系モノマーの重合方法を応用することができる。
重合方式は、特に限定はないが、塊状重合、懸濁重合または溶液重合が好ましい。中でも、生産効率のから、重合方式は、特に連続塊状重合が好ましい。例えば、1個以上の攪拌式反応器と、可動部分のない複数のミキシングエレメントが内部に固定されている管状反応器とを組み込んだ装置を用いて、連続塊状重合を行うことにより、特性に優れたスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体(E)を得ることができる。
なお、重合開始剤を使用せずに熱重合させることもできるが、種々のラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。また、重合反応に必要な懸濁剤や乳化剤等の重合助剤は、通常のポリスチレンの製造で使用される化合物を利用することができる。
重合反応での反応物の粘性を低下させるために、反応系に有機溶剤を添加してもよい。かかる有機溶剤としては、例えば、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、アセトニトリル、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、シアノベンゼン、ジメチルフォルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、2,2-ビス(4,4-ジ-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール類;クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ヘキシルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類;ベンゾイルパーオキサイド、ジシナモイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート、t-ブチルパーオキシイシプロピルモノカーボネート等のパーオキシエステル類;N,N’-アゾビスイソブチルニトリル、N,N’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、N,N’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、N,N’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、N,N’-アゾビス[2-(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、得られるスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体(E)の分子量が過度に大きくなり過ぎないように、反応系に連鎖移動剤を添加してもよい。
連鎖移動剤としては、連鎖移動基を1つ有する単官能連鎖移動剤でも、連鎖移動基を複数有する多官能連鎖移動剤でも使用することができる。
単官能連鎖移動剤としては、アルキルメルカプタン類、チオグリコール酸エステル類等が挙げられる。多官能連鎖移動剤としては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール中のヒドロキシ基をチオグリコール酸または3-メルカプトプロピオン酸でエステル化した化合物等が挙げられる。これらの連鎖移動剤は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、得られるスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体(E)のゲル化を抑制するために、長鎖アルコールやポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル等も使用することが可能である。
樹脂層を構成する樹脂組成物中におけるスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体(E)の含有量は、0.1~10質量%であることが好ましく、0.5~5質量%であることより好ましく、1~5質量%であることが特に好ましい。スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体(E)の含有量が上記範囲であれば、樹脂層となる二軸延伸フィルムの延伸均一性、および積層体の耐折強度等をより向上させることができる。
[スチレン系樹脂]
樹脂層を構成する樹脂組成物は、スチレン系樹脂を含んでいてもよい。スチレン系樹脂は、原則として樹脂組成物の分散相に含まれる。なお、スチレン系樹脂は、特にポリフェニレンエーテル系樹脂と相溶性が高いことから、ポリフェニレンエーテル樹脂と相溶、またはこれに近い形で含まれうる。前記スチレン系樹脂は、溶融時の流動性を向上させる機能を有する。なお、本明細書において、「スチレン系樹脂」とは、上述のスチレン-メタクリル酸共重合体以外のものであって、スチレン系モノマーを主要なモノマー単位とする樹脂を意味する。
前記スチレン系樹脂としては、特に制限されないが、スチレン系モノマーの重合体が挙げられる。この際、前記スチレン系モノマーとしては、上述したものが用いられうる。
スチレン系樹脂は、スチレン系モノマーの単独重合体であってもよいし、2種以上を共重合してなる共重合体であってもよい。例えば、グリシジル基及び、又はオキサゾリン基を有する不飽和モノマーとスチレンを主たる成分とするモノマーとの共重合体、スチレンモノマーと共役ジエン化合物を共重合して得られるブロック共重合体およびこのブロック共重合体をさらに水素添加反応して得られる水添ブロック共重合体が挙げられる。また、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン-イソプレン共重合体等のゴム成分を用いてゴム変性スチレン(ハイインパクトスチレン)とであっても良い。
なお、上述のスチレン系樹脂は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[銅箔]
銅箔は、圧延銅箔、電解銅箔等が例示される。銅箔の厚みは1μm以上50μm以下が好ましく、1μm以上30μm以下がさらに好ましい。また、該銅箔は、各種表面処理(粗化、防錆処理等)が施されたものであっても良い。防錆化処理として、Ni、Zn、Sn等を含むめっき処理、クロメート処理等の、鏡面化処理が例示される。
本発明により得られる銅張積層板を使用した回路基板が良好な高周波特性を示すためには、接着層と接する側の銅箔の表面粗度は低い方が良い。接着層と接する側の銅箔の表面粗度Rzは2μm以下が好ましく、さらには、1.5μm以下がより好ましく、無粗化がさらに好ましい。
[接着層]
接着層は、銅箔とポリアリーレンスルフィド系樹脂組成物層とを接着する事が可能な樹脂成分から構成されているものであれば特に限定されないが、熱硬化性樹脂を主成分として含むものであることが好ましい。また、熱硬化性樹脂以外に必要に応じて、硬化剤や、硬化促進剤、可とう成分、無機充填剤、難燃剤の添加剤が含まれていても良い。
接着層に用いる化合物としては、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、アクリル系化合物やウレタン化合物に代表される接着剤、オレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリイミド系などの種々の樹脂の単体または混合物、化合物、変性物等を用いることができ、溶液系、フィルム系を問わない。
熱硬化性樹脂としては公知の熱硬化樹脂を1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、耐熱性の観点からエポキシ系化合物が好ましく使用される。エポキシ系化合物はエポキシ基を分子中に少なくとも2個以上含むものであればよく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、ヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。
また、硬化させる硬化剤硬化剤としては、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフィド、ジアミノベンゾフェノン、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトリアミンなどのアミン系化合物、2-アルキル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-アルキルイミダゾール、2-フェニル―4-アルキルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン、7,1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンなどのDBU系化合物、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン等のリン系化合物、ベンジルジメチルアミン、2-(ジメチルアミノ)フェノール、2,4,6-トリス(ジアミノメチル)フェノール等の芳香族三級アミン類、ジメチルシクロヘキシルアミン等の脂環族三級アミン類、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸等の有機酸、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素ピペラジン錯体等の三フッ化ホウ素のアミン錯体、三塩化ホウ素のアミン錯体、五フッ化リン、五フッ化ヒ素、五フッ化アンチモン、四フッ化ホウ素アミン錯体、三フッ化ホウ素ピペラジン錯体等の三フッ化ホウ素のアミン錯体、三塩化ホウ素のアミン錯体、五フッ化リン、五フッ化ヒ素、五フッ化アンチモン、四フッ化ホウ素アミン塩、ホウフッ化亜鉛などのホウフッ化金属等があげられ、これらを単独、2種以上混合して用いても良い。また、レゾール型、ノボラック型フェノール樹脂等のフェノール樹脂を用いても良い、フェノール樹脂としては、フェノール、ビフェノール、クレゾール等のアルキル置換フェノール、テルペン、ジシクロペンタジエン等の環状アルキル変性フェノール、ニトロ基、アミノ基等のヘテロ原子を含む官能基を有するもの、ナフタレン、アントラセン等の骨格を有するものが挙げられる。
また、上述した熱硬化樹脂と共に必要に応じて硬化促進剤、可とう成分、無機充填剤、難燃剤を加えることができる。
可とう成分としては公知の物が使用できる。例えば、アクリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシル含有アクリロニトリルブタジエンゴム等の各種合成ゴム、ゴム変性の高分子量化合物、変性ポリイミド、変性ポリアミドイミド、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタンポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、フェノキシ樹脂等を用いることができる。これらの成分は、単独、2種類以上併用して使用しても良い。
無機充填剤としては、公知のものが使用できる。例えば、シリカ、アルミナ、窒化珪素水酸化アルミ、水酸化マグネシウム、タルク、クレー等を挙げる事ができる。これらの充填剤は、単独、2種類以上併用して使用することができる。
難燃剤としては、公知のものが使用できる。例えば、リン原子含有化合物や窒素原子含有化合物や無機系難燃剤化合物などが挙げることができる。具体的には、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ-2-エチルヘエキシルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート等のリン酸エステル、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド、赤リン、リン酸グアニジン、ジアルキルヒドロキシメチルホスホネート等の縮合リン酸エステル化合物などの燐原子含有化合物、メラミンなどの窒素原子含有化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸カルシウムなどの無機系難燃化合物等を挙げることができる。これらの成分は、単独、2種類以上併用して使用することができる。
接着層を塗布する方法としては、例えば、グラビアコート、ダイコート、ナイフコートなど、ボンディングシートのようなフィルム状の接着層を積層する方法としては、熱ラミネートなどの周知の方法を適用することができる。
接着層の硬化後の厚みが0.5μm以上30μm以下であることが好ましく、1μm以上30μm以下がより好ましく、3μm以上20μm以下がさらに好ましい。接着層厚みが上記範囲であれば、部材同士の接着性を確実に確保することができる。30μmを越えると接着層成分の誘電特性が影響し、伝送損失が大きくなる可能性があるので好ましくない。
接着層の硬化後、周波数5GHzでの誘電率3.5以下、誘電正接0.01以下が好ましい。さらには、誘電率3.5以下、誘電正接0.007以下がより好ましい。誘電率3.5以下、誘電正接0.01以下であれば、電気特性の要求が厳しいFPC関連製品にも好適に用いることができる。
[樹脂層の添加剤]
樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線安定剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、導電剤、難燃剤等を含有してもよい。
樹脂層の組成物を製造する方法としては、特に限定されないが、PAS系樹脂(A)と他の成分(PAS系樹脂以外の熱可塑性樹脂(B))、および必要に応じてその他の成分(変性エラストマー(C)、シランカップリング剤(D)等)をタンブラーまたはヘンシェルミキサー等で均一に混合し、次いで、二軸押出機に投入して溶融混練する方法が挙げられ、この溶融混錬は剪断流動場での混錬、伸長流動場での混錬のいずれか一方、若しくは、両方であってもよい。
この溶融混練は、混練物の吐出量(kg/hr)とスクリュー回転数(rpm)との比率(吐出量/スクリュー回転数)が0.02~0.2(kg/hr・rpm)となる条件で行うことが好ましい。
更に詳述すれば、各成分を二軸押出機内に投入し、設定温度300℃、ストランドダイでの樹脂温度330℃程度の温度条件下に溶融混練する方法が好ましい。この際、混練物の吐出量は、回転数250rpmで5~50kg/hrの範囲となる。特に各成分の分散性を高める観点からは、混練物の吐出量は、回転数250rpmで20~35kg/hrであることが好ましい。よって、混練物の吐出量(kg/hr)とスクリュー回転数(rpm)との比率(吐出量/スクリュー回転数)は、0.08~0.14(kg/hr・rpm)であることがより好ましい。
[PAS系樹脂(A)を主成分とするフィルム]
本発明の樹脂層の形成の一つに、以上の様なPAS系樹脂(A)を主成分とする組成物から得られるフィルムが挙げられ、中でも、二軸延伸フィルムが好ましい。二軸延伸フィルムを積層させることで樹脂層の耐熱性が向上できる。
かかるフィルムの一実施態様では、PAS系樹脂(A)をマトリックス(連続相)として、このマトリックス中にPAS系樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)、を含む粒子(分散相)が分散している。
なお、変性エラストマー(C)は、熱可塑性樹脂(B)の粒子の表面(すなわちマトリックスと粒子との界面)、熱可塑性樹脂(B)の粒子内、または熱可塑性樹脂(B)の粒子と別の粒子(分散相)として存在する。
また、本発明者らは、変性エラストマー(C)は、PAS系樹脂(A)と熱可塑性樹脂樹脂(B)との相溶化剤としても機能することにより、粒子がマトリックス中に微分散化することで、延伸時のフィルムの破れを抑制することができ、二軸延伸フィルムの機械的強度(耐折強度等)が向上し、積層体での機械的強度も向上するものと考えられる。さらに、本発明者らは、シランカップリング剤との併用により、変性エラストマー(C)を介したマトリックスと粒子との界面の接着性がより向上し、二軸延伸フィルムおよび積層体の機械的強度(耐折強度等)がさらに向上するものとも考えている。
フィルム状態でのマトリックス中に分散する粒子(分散相)の平均粒径(平均分散径)は、5μm以下であることが好ましく、0.5μm以上5μm以下であることがより好ましく、0.5μm以上3μm以下であることがさらに好ましい。粒子の平均粒径が上記範囲であれば、二軸延伸フィルムおよび樹脂層としての性能を維持し、銅箔や接着層との接着性が良好である。
フィルムは、樹脂層の組成物から得られた未延伸シートを二軸延伸してなる二軸延伸フィルムであることが好ましい。
二軸延伸フィルムは、少なくとも、本発明の樹脂層の組成物からなる層が最外層に一層あれば良く、他の樹脂組成物からなる層が直接、あるいは、接着層などを介して、積層されていても良い。
本発明で用いる二軸延伸積層フィルムの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、積層構成とする場合、各樹脂層に用いる樹脂又は樹脂混合物を、それぞれ別々の押出機で加熱溶融させ、共押出積層ダイス法やフィードブロック法等の方法により溶融状態で目的とする積層構成で積層した後、インフレーションやTダイ・チルロール法等によりシート状に成形する共押出法が挙げられる。この共押出法は、各層の厚さの比率を比較的自由に調整することが可能で、コストパフォーマンスにも優れた未延伸積層シートが得られるので好ましい。
次に、二軸延伸する場合、前記で得られた未延伸シート、未延伸積層シートを二軸延伸する。
延伸方法としては、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法、またはこれらを組み合わせた方法を用いることができる。
逐次二軸延伸法により二軸延伸をする場合には、例えば、得られた未延伸シートを加熱ロール群で加熱し、長手方向(MD方向)に1.5~4倍(好ましくは2~3.8倍)に、1段または2段以上の多段で延伸した後、30~60℃の冷却ロール群で冷却する。
なお、延伸温度は、PAS系樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)~Tg+40℃であることが好ましく、Tg+5℃~Tg+30℃であることがより好ましく、Tg+5℃~Tg+20℃であることがさらに好ましい。
次に、テンターを用いる方法により幅方向(TD方向)に延伸する。MD方向に延伸させたフィルムの両端部をクリップで把持して、テンターに導き、TD方向の延伸を行う。
なお、延伸倍率は、1.5~~~~~~~~~~~~~~~~~4倍であることが好ましく、2~3.8倍であることがより好ましい。
また、延伸温度は、Tg~Tg+40℃であることが好ましく、Tg+5℃~Tg+30℃であることがより好ましく、Tg+5℃~Tg+20℃であることがさらに好ましい。
次に、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら熱固定する。
熱固定温度は、特に限定されないが、200~280℃であることが好ましく、220~280℃であることがより好ましく、240~275℃であることがさらに好ましい。なお、熱固定は、熱固定温度を変更して2段で実施してもよい。この場合、2段目の熱固定温度を1段目の熱固定温度より+10~40℃高くすることが好ましい。この範囲の熱固定温度で熱固定された延伸フィルムは、その耐熱性、機械的強度がより向上する。
また、熱固定時間は、1~60秒間であることが好ましい。
さらに、このフィルムを50~275℃の温度ゾーンで、幅方向に弛緩しながら冷却する。弛緩率は、0.5~10%であることが好ましく、2~8%であることがより好ましく、3~7%であることがさらに好ましい。
二軸延伸フィルム、若しくは、二軸延伸積層フィルム(以下、両二軸延伸フィルムを「延伸フィルム」と称することがある。)の厚さは、特に限定されないが、10~300μmであることが好ましく、10~200μmであることがより好ましく、10~150μmであることがさらに好ましい。かかる厚さの延伸フィルムフィルムであれば、十分な機械的強度、絶縁性のある樹脂層を得ることができる。
本発明の延伸フィルムと銅箔あるいは接着層との接着性を高める目的で延伸フィルムに表面処理を施しても良い。該表面処理としては、コロナ放電処理(各種ガス雰囲気下でのコロナ処理も含む)、プラズマ処理(各種ガス雰囲気下でのプラズマ処理も含む)、化学薬品や紫外線、電子照射線等による酸化処理等が挙げられる。中でも、プラズマ処理が好ましい。
[積層体]
本発明によれば、上述の延伸フィルムと、前記延伸フィルムの少なくとも一方の最外樹脂層面に接着層を介して銅箔が積層された積層体が提供される。
本発明の積層体は、例えば、以下の手順で作製することができる。先ず、延伸フィルムの表面に、接着層形成用の樹脂溶液を塗布して乾燥させる、若しくは、接着剤からなるフィルムを熱ラミネートさせ、延伸フィルム表面に未硬化状態の接着層が形成されたフィルムを作製する。
次に、上記フィルムの接着層側と銅箔とを貼り合わせる。貼り合わせ方法としては公知の方法が利用できるが、ロールを用いてラミネートする方法が好ましい。貼り合わせ後、加熱処理を行い未硬化状態の接着層を硬化させる。
一実施形態において積層体は、銅箔-接着層-延伸フィルム、銅箔-接着層-延伸フィルム-接着層-銅箔、銅箔-接着層-延伸フィルム-接着層-銅箔-接着層-延伸フィルム等の構成を有しうる。
次に、実施例を挙げて本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
1.樹脂組成物および二軸延伸フィルムの製造
84.5質量%のポリフェニレンスルフィド樹脂(A)(DIC株式会社製、リニア型、融点285℃、300℃における溶融粘度(V6)160Pa・s)と、15質量%のポリフェニレンエーテル樹脂(B)(三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製、ガラス転移温度210℃、以下「PPE」と称することがある。)と、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(D)0.5質量%とを、タンブラーで均一に混合して混合物を得た。なお、ポリフェニレンスルフィド樹脂は、その分子末端にカルボキシル基を有している。
また、本願のポリフェニレンスルフィド樹脂は、ポリアリーレンスルフィド系樹脂の代表的な樹脂である。
以下では、ポリフェニレンスルフィド樹脂を「PPS」と、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランを「シランカップリング剤」と称することがある。
次に、上記で得られた混合物を、ベント付二軸押出機(株式会社日本製鋼所製、「TEX-30α」)に投入した。その後、吐出量20kg/hr、スクリュー回転数300rpm、シリンダー設定温度300℃、ストランドダイでの樹脂温度300℃程度となる条件で溶融押出してストランド状に吐出し、温度30℃の水で冷却した後、カッティングして樹脂組成物を製造した。
次に、この樹脂組成物を、140℃で3時間乾燥した後、フルフライトスクリューの単軸押出機に投入して、280~310℃の条件で溶融させた。溶融した樹脂組成物をTダイから押出した後、40℃に設定したチルロールで密着冷却し、未延伸シートを作製した。
次に、作製された未延伸シートを、バッチ式二軸延伸機(株式会社井本製作所製)を用いて100℃で3.0×3.0倍に二軸延伸することで、厚み50μmのフィルムを得た。さらに、得られたフィルムを型枠に固定し、275℃のオーブンにて熱固定処理することで、二軸延伸フィルムを製造した。
得られた二軸延伸フィルムの接着層と接する面側にコロナ処理を施し、該処理面に接着層厚みが8μmとなる様にアプリケーターを調整して、変性エポキシ系接着剤AS60(東亜合成株式会社製)を塗工・乾燥させ、半硬化状の接着層付き二軸延伸フィルムを得た。
得られた接着層付き二軸延伸フィルムと圧延銅箔(厚さ12μm、Rz1.0μm)を直接重ね合わせ、熱プレス機にて150℃/3MPaの圧力下で15秒間加圧し、プレス接着後、150℃、30分のキュアを行い、銅張積層板を作製した。
製造した樹脂組成物中の粒子の平均粒径を、次のようにして測定した。
まず、樹脂組成物ペレットを、超薄切片法により、流動方向に対して直角方向に切断した。次に、切断されたペレットの切断面をそれぞれ2000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影とし、得られた画像をA3サイズに拡大した。次に、拡大したSEM写真の任意の50個の粒子を選択し、切断面における各粒子の最大直径を計測し、平均粒径を算出した。
その結果、樹脂組成物ペレット中の粒子の平均粒径は、0.9μmであった。
また、上記で得られた樹脂組成物からなる樹脂ペレットのSEM-EDS分析を行い、樹脂組成物ペレットのマトリックスおよび粒子を構成する成分について分析した。その結果、マトリックスを構成する成分は、PPSであり、粒子を構成する成分は、PPE樹脂であることが判った
(実施例2)
PPS(A)94.5質量%、PAS系樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)にポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス化学社製、ガラス転移温度145℃、以下「PC」と称することがある。)を5質量%とした以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物、二軸延伸フィルムおよび銅張積層板を製造した。
(実施例3)
PAS系樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)にポリエーテルサルホン樹脂(BASF株式会社製、ガラス転移温度225℃、以下「PES」と称することがある。)を用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物、二軸延伸フィルムおよび銅張積層板を製造した。
(実施例4)
PAS系樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)にポリフェニレンサルホン樹脂(BASF株式会社製、ガラス転移温度220℃、以下「PPSU」と称することがある。)を用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物、二軸延伸フィルムおよび銅張積層板を製造した。
(実施例5)
PPS(A)94.5質量%、PAS系樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)にポリエーテルイミド樹脂(SABIC株式会社製、ガラス転移温度216℃、以下「PEI」と称することがある。)を5質量%とした以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物、二軸延伸フィルムおよび銅張積層板を製造した。
(実施例6)
PAS系樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)にポリサルホン樹脂(SOLVAY株式会社製、ガラス転移温度190℃、以下「PSU」と称することがある。)を用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物、二軸延伸フィルムおよび銅張積層板を製造した。
(実施例7)
PPS(A)78.5質量%、PPE(B)15質量%、反応基を有する変性エラストマー(C)にボンドファースト7L(住友化学社製、エチレン/グリシジルメタクリレート/アクリル酸メチル=70/3/27(質量%)3質量%、スチレン-メタクリル酸共重合体(E)(DIC株式会社製、メタクリル酸含有率3質量%)3質量%、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン0.5質量%の配合とした以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物、二軸延伸フィルムおよび銅張積層板を製造した。
(実施例8)
銅箔に無粗化銅箔(厚さ12μm、Rz0.8μm)に変更した以外は、実施例7と同様にして、樹脂組成物、二軸延伸フィルムおよび銅張積層板を製造した。
[比較例1]
株式会社日本製鋼所製ベント付2軸押出機「TEX-30α」にPPSのみを投入した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物、二軸延伸フィルムおよび銅張積層板を製造した。
[比較例2]
圧延銅箔に無粗化銅箔(厚さ12μm、Rz0.8μm)を用いた以外は、比較例1と同様にして、樹脂組成物、二軸延伸フィルムおよび銅張積層板を製造した。
[評価]
樹脂層の誘電特性
誘電率および誘電正接の測定は、JIS C 2565:1992に規定された空洞共振法に基づいて行った。具体的には、二軸延伸フィルムから幅3mm×長さ150mmの短冊を作製した。次いで、作製した短冊を23℃、50%Rhの環境下、24hr静置した後、ADMS010cシリーズ(株式会社エーイーティー製)を用いて、空洞共振法にて周波数5GHzの誘電率および誘電正接を測定した。
2.接着性
接着性は、JIS K 6854:1999に規定された試験方法に基づいて、銅張積層板を用いて剥離強度を測定し、以下の基準に従って評価した。
◎:8N/cm以上
○:6N/cm以上8N/cm未満
×:6N/cm未満
3.樹脂層/接着層からなる積層体の誘電特性
誘電率および誘電正接の測定は、JIS C 2565:1992に規定された空洞共振法に基づいて行った。具体的には、接着層付き二軸延伸フィルムから幅3mm×長さ150mmの短冊を作製した。次いで、作製した短冊を23℃、50%Rhの環境下、24hr静置した後、ADMS010cシリーズ(株式会社エーイーティー製)を用いて、空洞共振法にて周波数5GHzの誘電率および誘電正接を測定した。
4.耐熱性
トップ温度260℃、10秒となるリフロー工程を3回通過させ、通過後のサンプルを観察し、膨れ・剥がれの有無を評価
〇;膨れ、剥がれなし
×;膨れ、剥がれあり
Figure 0007364123000007

*PPS;ポリフェニレンスルフィド樹脂
PPE;ポリフェニレンエーテル樹脂
PC;ポリカーボネート樹脂
PES;ポリエーテルサルホン樹脂
PPSU;ポリフェニレンサルホン樹脂
PEI;ポリエーテルイミド樹脂
PSU;ポリサルホン樹脂
Figure 0007364123000008
Figure 0007364123000009
実施例1~8で得られた銅張積層板は、接着性、耐熱性に優れる結果を示した。
これに対して、比較例1、2で得られた銅張積層板は、接着性および耐熱性に劣る結果であった。

Claims (16)

  1. 少なくとも銅箔と、接着層と、樹脂層とがこの順に積層した構成体であり、
    前記銅箔において、接着層を積層させる側の銅箔の表面粗度(Rz)が2.0μm以下で厚さが1μm~50μmであり、
    前記樹脂層が、ポリアリーレンスルフィド系樹脂(A)と、ガラス転移温度140℃以上、または融点230℃以上のポリアリーレンスルフィド系樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)を含有し、ポリアリーレンスルフィド系樹脂(A)と前記ポリアリーレンスルフィド系樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)の合計量100質量部に対して、ポリアリーレンスルフィド系樹脂(A)が51~99%、前記ポリアリーレンスルフィド系樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)が1~49質量%の範囲であり、
    ポリアリーレンスルフィド系樹脂(A)である連続相および前記ポリアリーレンスルフィド系樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)である分散相を有する樹脂層であり、樹脂層の誘電率が3.5以下、かつ、誘電正接が0.005以下である積層体。
  2. 前記分散相であるポリアリーレンスルフィド系樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)の平均分散径が5μm以下である請求項1に記載の積層体。
  3. 前記ポリアリーレンスルフィド系樹脂以外の熱可塑性樹脂(B)が、少なくともポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリフェニレンサルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリサルホン樹脂、含フッ素系樹脂から選ばれる1種以上である請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記接着層と前記樹脂層からなる積層体の誘電率が3.5以下であり、かつ、誘電正接が0.03以下である請求項1または2に記載の積層体。
  5. 更に、前記樹脂層に反応性基が付与された変性エラストマー(C)が含有されることを特徴とした請求項1または2に記載の積層体。
  6. 前記変性エラストマー(C)がエポキシ基、酸無水物基からなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基を有するオレフィン系重合体からなる、請求項5に記載の積層体。
  7. 前記変性エラストマー(C)の配合量の割合が、ポリアリーレンスルフィド系樹脂(A)、ポリアリーレンスルフィド以外の熱可塑性樹脂(B)、及び変性エラストマー(C)の合計100質量%に対して、1~15質量%含有されることを特徴とした請求項5に記載の積層体。
  8. 前記変性エラストマー(C)のα-オレフィン含有率が、前記変性エラストマーの総質量に対して、50~95質量%であることを特徴とした請求項5に記載の積層体。
  9. 更に、前記樹脂層にエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基から選択される少なくとも1種の官能基を含有するシランカップリング剤(D)を0.01~5質量%含有される請求項1または2に記載の積層体。
  10. 更に、前記樹脂層にスチレン(メタ)アクリル酸共重合体(E)が含有される請求項1または2に記載の積層体。
  11. 前記スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体(E)が0.1~10質量%含有される請求項10に記載の積層体。
  12. 前記接着層の厚みが0.5μm以上30μm以下の請求項1または2に記載の積層体。
  13. 前記接着層の周波数5GHzにおける誘電率が3.5以下であり、誘電正接が0.01以下である請求項1または2に記載の積層体。
  14. 前記樹脂層が二軸延伸フィルムである請求項1または2に記載の積層体
  15. 請求項1または2に記載の積層体を用いてなる回路基板。
  16. 請求項1または2に記載の積層体からなる高周波回路基板。
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