JP2013087001A - スクライブ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 先のスクライブ後、次のスクライブ時に残留冷媒の影響を受けないようにしたスクライブ装置を提供する。
【解決手段】 テーブル1と、スクライブヘッド9と、スクライブヘッド9をテーブル1に対し相対的に移動する移動機構6、8、Mとを備え、スクライブヘッド9は、テーブル1上の脆性材料基板Wにレーザビームを照射して加熱領域となるレーザスポットを形成するレーザ照射部10、および、レーザスポットの移動方向後方位置に向けて液体を含む冷媒を噴射して冷却領域となる冷却スポットを形成する冷媒噴射部11を有し、基板Wに想定したスクライブ予定ラインに沿って、レーザスポットおよび冷却スポットをこの順で移動させて、熱応力によるスクライブラインを形成するスクライブ装置Aであって、スクライブヘッド9は、レーザスポットの移動方向前方位置に向けて気体を噴射する気体噴射部12をさらに備えるようにしている。
【選択図】図2
【解決手段】 テーブル1と、スクライブヘッド9と、スクライブヘッド9をテーブル1に対し相対的に移動する移動機構6、8、Mとを備え、スクライブヘッド9は、テーブル1上の脆性材料基板Wにレーザビームを照射して加熱領域となるレーザスポットを形成するレーザ照射部10、および、レーザスポットの移動方向後方位置に向けて液体を含む冷媒を噴射して冷却領域となる冷却スポットを形成する冷媒噴射部11を有し、基板Wに想定したスクライブ予定ラインに沿って、レーザスポットおよび冷却スポットをこの順で移動させて、熱応力によるスクライブラインを形成するスクライブ装置Aであって、スクライブヘッド9は、レーザスポットの移動方向前方位置に向けて気体を噴射する気体噴射部12をさらに備えるようにしている。
【選択図】図2
Description
本発明は、ガラス、セラミック、シリコン、サファイヤなどの脆性材料基板のスクライブ装置に関する。
従来、大型のガラス基板を単位基板(単位製品)に分断する方法として、例えば特許文献1に示されるように、局所加熱による熱応力を利用して基板にスクライブライン(亀裂)を形成し、続いてスクライブラインが形成された基板をブレイク装置に送ってブレイクバーやブレイクローラなどで押圧することにより、スクライブラインに沿って分断する方法が知られている。
熱応力を利用してスクライブラインを形成するスクライブ方法は、加熱源としてレーザビームを使用する。すなわち、テーブル上に基板を載置し、基板上に想定したスクライブ予定ラインに向けてレーザビームを照射して局所的な加熱領域であるレーザスポットを形成する。さらに冷却ユニットのノズルから冷媒を噴射して冷却領域である冷却スポットをレーザスポットの後方位置に形成する。そして想定したスクライブ予定ラインに沿ってレーザスポットを移動するとともに、これに追従するように冷却スポットを移動する。これにより、先行する加熱とその後の急冷によって生じる熱応力を利用して、あらかじめ基板の端部に形成してある初期亀裂(トリガ)を起点にして亀裂をスクライブ予定ラインの方向に進展させ、これにより一筋のスクライブラインが形成される。
このようにして、図3に示すように、第1スクライブ工程で一方向(X方向)のスクライブラインL1を等ピッチで複数形成した後、第2スクライブ工程でX方向のスクライブラインと直交するY方向の複数のスクライブラインL2を等ピッチで形成する。この後、X方向とY方向とのスクライブラインによってクロススクライブされた基板Wはブレイク装置に送られ、各スクライブラインL1、L2から分断されて製品となる単位基板が取り出される。
しかし、上記の手法において、第1スクライブ工程でX方向のスクライブラインL1を形成した後に第2スクライブ工程でY方向のスクライブラインL2を加工する際、第1スクライブ工程で噴射した冷媒が液体を含む場合に、基板上に液体が残留することがある。冷却液が残った部分に第2スクライブ工程でのスクライブ処理(レーザスポットの走査)が行われると、レーザスポットの照射熱が奪われて加熱が十分に行われなくなり、熱応力が十分に発生しなくなってスクライブラインの形成が不良になり、分断時に高品質の端面が得られない。
そこで、特許文献2に示すように、レーザスポットが通過し、さらに冷却スポットが通過した直後に、基板に付着した冷却媒体を吸入する吸入装置を設けて、冷却媒体を吸引除去する方法が開示されている。
また、別の方法として、特許文献3に示すように、冷媒の噴霧エリアを制限するためにノズルと基板との間に孔またはスリットを有する遮蔽マスクを設けるとともに、噴霧ミストを吸引する吸引ノズルを設けた構成が開示されている。
しかし、特許文献2に記載される手法では、噴射された冷却媒体を、吸入装置で完全に回収することは困難である。すなわち基板に対して非接触な状態で冷却するために、冷媒をノズルから噴射するようにしているが、ノズルからの噴射によって冷却媒体が飛散する領域は、直接冷却媒体が吹き付けられる冷却スポットの範囲よりも広がるので、吸入装置による除去だけでは、離れた位置に飛散した冷却媒体までは除去できない。例えば、図3(a)で示したように、複数条のX方向のスクライブラインL1を次々と形成する場合に、先に形成したスクライブラインL1に、後から形成される隣接するスクライブラインL1で噴射された冷却媒体が回り込んで付着することがある。その場合に、先に形成したスクライブラインL1上には冷却媒体が残留しているので、その後、図3(b)に示すY方向のスクライブラインL2を形成するときに、交点部分で冷却媒体が残留していることがあった。
また、特許文献3の手法でも、冷却媒体を完全に回収することはできない。すなわち、冷却ノズルと基板との間に設けられた遮蔽マスクの孔またはスリットを通って噴霧ミストが基板に供給されるので、孔やスリットを通りきれない噴霧ミストの一部は遮蔽マスクの上面で跳ね返って四方に飛散することになる。従って近傍に吸引ノズルを設けてあっても、飛散した全ての噴霧ミストをきれいに吸引除去することができない。さらに孔やスリットを通過した噴霧ミストの一部は、特許文献2と同様に、冷却スポットから離れた位置に飛散することになるが、これらについては上記と同様に離れた位置に飛散した冷却媒体は回収できない。
そこで本発明は、先のスクライブ加工時に使用した冷却媒体が何らかの理由で基板上に残留してしまった場合でも、その後のスクライブ加工の際に、残留した冷却媒体の影響を受けることなく、後のスクライブを正常に行うことができるスクライブ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明のスクライブ装置は、脆性材料基板を載置するテーブルと、前記脆性材料基板を加熱および冷却するスクライブヘッドと、前記スクライブヘッドを前記テーブルに対し相対的に移動する移動機構とを備え、前記スクライブヘッドは、前記テーブル上の脆性材料基板にレーザビームを照射して加熱領域となるレーザスポットを形成するレーザ照射部、および、前記レーザスポットの移動方向後方位置に向けて液体を含む冷媒を噴射して冷却領域となる冷却スポットを形成する冷媒噴射部を有し、前記基板に想定したスクライブ予定ラインに沿って、前記レーザスポットおよび前記冷却スポットをこの順で移動させて、熱応力によるスクライブラインを形成するスクライブ装置であって、前記スクライブヘッドは、前記レーザスポットの移動方向前方位置に向けて気体を噴射する気体噴射部をさらに備えるようにしている。ここで、気体噴射部から噴射する気体は乾燥空気が好ましいが、窒素ガスであってもよい。
本発明のスクライブ装置によれば、スクライブヘッドに気体噴射部を備え、スクライブ加工のためにレーザスポットがスクライブ予定ラインの各点を加熱しながら通過する直前に、当該加熱する各点に向けて気体を噴射して残留冷媒をスクライブ予定ライン上から除去するようにしたので、レーザスポットが加熱のため通過するときには、その位置より前方のスクライブ予定ライン上には残留溶媒が完全になくなっており、続くレーザスポットによる加熱において十分な熱量が基板に与えられて熱応力によるスクライブ加工を確実に進展させることができる。
ここで、気体噴射部には噴射する気体を加熱する気体加熱機構を備えてもよい。具体的には、気体加熱機構として電熱線ヒータまたはランプヒータを用いることが好ましい。
噴射する気体を加熱して温風とすることにより、残留媒体は蒸発しやすくなり、除去が促進される。
噴射する気体を加熱して温風とすることにより、残留媒体は蒸発しやすくなり、除去が促進される。
以下、本発明に係る脆性材料基板のスクライブ装置を、図面に示した実施例に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態であるスクライブ装置の一例を示す概略的な図であり、図2は主要部分の斜視図である。
このスクライブ装置Aは、ガラス基板Wを載置するテーブル1を備えている。テーブル1は、この上に載せた基板Wを定位置で保持できるように保持機構を備えている。本実施例では、この保持機構として、テーブル1に開口させた多数の小さなエア吸着孔1aを介して基板Wを吸着保持するようにしている。また、テーブル1は、水平なレール2に沿ってY方向(図1の前後方向)に移動できるようになっており、モータ(不図示)によって回転するボールネジ3により駆動される。さらにテーブル1は、モータを内蔵する回転駆動部4により水平面内で回動できるようになっている。
テーブル1を挟んで設けてある両側の支持柱5、5と、X方向に延びるガイドバー6とを備えたブリッジ7が、テーブル1上を跨ぐようにして設けられている。ガイドバー6に形成したガイド8に沿って移動できるようにしたスクライブヘッド9が設けられ、モータMの回転によりX方向に移動できるようになっている。スクライブヘッド9には加熱源としてのレーザ照射部10と、冷却機構としての冷媒噴射部11と、気体噴射部12とが一体に固定され、気体噴射部12が前、続いてレーザ照射部10、最後に冷媒噴射部11が配置されるようにして一直線上(X方向)に並ぶようにしてある。
レーザ照射部10は、レーザ光源(不図示)からのレーザビームを光学レンズ系により光路を絞るようにして、基板W上に所定の大きさのレーザスポットを形成する。具体的には、進行方向の長さが20mm、幅が2mm程度の楕円状のレーザスポットを形成する。
冷媒噴射部11は、レーザスポットの後方の隣接位置に向けて水やアルコールなどの液体を含む冷媒を噴射するノズルからなり、噴射された冷媒によって直接冷却される領域となる冷却スポットが形成される。具体的には直径2mm程度の円形領域(あるいは楕円領域など)が冷却スポットとして形成される。なお、噴射された冷媒の一部は基板で跳ね返り、冷却スポットの外側まで飛散することになる。
気体噴射部12は、基板Wに向けて上方から下方にエアを吹き付けるノズル12aが設けられている。噴射方向は、真下あるいは少し前方に傾斜させてもよい。さらに、ノズル12aの周囲に電熱ヒータを巻きつけたり、ランプヒータを固定したりして、温風として噴射するようにして冷媒の蒸発を促進させてもよい。
次に、上記スクライブ装置Aによるガラス基板Wのスクライブ工程について説明する。
まず、ガラス基板Wをテーブル1上の定位置に載置し、エア吸着孔1aにより吸着保持させる。そして、第1スクライブ工程で、スクライブヘッド9をX方向に移動させて、レーザ照射部10からのレーザビームによりスクライブ予定ラインに沿ってレーザスポットを走査するとともに、これに追従して冷媒噴射部11から液体を含む冷媒を噴射して冷却スポットを走査する。このとき、先行する加熱(レーザスポット)とその後の急冷(冷却スポット)によって生じる熱応力を利用して、あらかじめ基板Wの端部に形成してある初期亀裂(トリガ)を起点にして亀裂をスクライブ予定ラインの方向に進展させ、これにより一筋のスクライブラインL1が形成される。このようにして、図3(a)で示すように、第1スクライブ工程でX方向のスクライブラインL1を等ピッチで複数形成する。
まず、ガラス基板Wをテーブル1上の定位置に載置し、エア吸着孔1aにより吸着保持させる。そして、第1スクライブ工程で、スクライブヘッド9をX方向に移動させて、レーザ照射部10からのレーザビームによりスクライブ予定ラインに沿ってレーザスポットを走査するとともに、これに追従して冷媒噴射部11から液体を含む冷媒を噴射して冷却スポットを走査する。このとき、先行する加熱(レーザスポット)とその後の急冷(冷却スポット)によって生じる熱応力を利用して、あらかじめ基板Wの端部に形成してある初期亀裂(トリガ)を起点にして亀裂をスクライブ予定ラインの方向に進展させ、これにより一筋のスクライブラインL1が形成される。このようにして、図3(a)で示すように、第1スクライブ工程でX方向のスクライブラインL1を等ピッチで複数形成する。
その際に、最初の1本目のスクライブラインL1を形成する時点では、特に残留冷媒は存在しないので、気体噴射部12からのエアの噴射は必要ない(ただし、噴射してもよい)。続く2本目のスクライブラインL1を形成する時点からは、前回のスクライブのときに飛散した冷媒が今回のスクライブ予定ライン上に残留冷媒として付着している可能性があるので、気体噴射部12を作動し、加工部位の直前にエアを吹き付けながら、レーザスポットおよび冷却スポットを走査する。
以後、3本目以降のスクライブラインL1において気体噴射部12を作動してエアを吹き付けながら同様の加工を行う。
次いで、テーブル1を90度回転させた後、第2スクライブ工程で、図3(b)に示すように、X方向のスクライブラインL1と直交するY方向の複数のスクライブラインL2を前記同様の手法により等ピッチで形成する。この第2スクライブ工程においては、最初の1本目から気体噴射部12を作動させつつスクライブを行う。
これにより、レーザ照射部10によるレーザスポットが通過する直前に、残留冷媒が除去される。従って、残留冷媒により照射熱が奪われるようなことがなくなり、熱応力によるスクライブラインの形成を確実に行うことができる。
これにより、レーザ照射部10によるレーザスポットが通過する直前に、残留冷媒が除去される。従って、残留冷媒により照射熱が奪われるようなことがなくなり、熱応力によるスクライブラインの形成を確実に行うことができる。
以上本発明の代表的な実施例について説明したが、本発明は必ずしも上記の実施形態に特定されるものでなく、その目的を達成し、請求の範囲を逸脱しない範囲内で適宜修正、変更することが可能である。
例えば、上記実施形態では、X方向の2本目以降のスクライブラインL1を形成するとき、および、Y方向のスクライブラインL2を形成するときに、気体噴射部12を作動させるようにしたが、同方向のスクライブラインどうしの間隔が十分大きく設定されている場合であって、X方向またはY方向どうしのスクライブラインL1、L2の加工では残留冷媒の飛散が問題にならないときには、X方向のスクライブラインL1を形成する工程では気体噴射部12を作動させず、続くY方向のクロススクライブラインL2を行う工程から気体噴射部12を作動させるようにして、エアブローの処理を節約してもよい。
また、上記実施形態では、X方向はスクライブヘッド側を移動し、Y方向はテーブルを移動させたが、テーブルを二次元に移動できるようにして、スクライブヘッドは固定してもよい。
本発明のスクライブ装置は、ガラス基板などの脆性材料基板に熱応力を利用したレーザスクライブでスクライブラインを形成する際に利用することができる。
A スクライブ装置
W 基板
L1 X方向のスクライブライン
L2 Y方向のスクライブライン
1 テーブル
9 スクライブヘッド
10 レーザ照射部
11 冷媒噴射部(ノズル)
12 気体噴射部
12a ノズル
W 基板
L1 X方向のスクライブライン
L2 Y方向のスクライブライン
1 テーブル
9 スクライブヘッド
10 レーザ照射部
11 冷媒噴射部(ノズル)
12 気体噴射部
12a ノズル
Claims (3)
- 脆性材料基板を載置するテーブルと、
前記脆性材料基板を加熱および冷却するスクライブヘッドと、
前記スクライブヘッドを前記テーブルに対し相対的に移動する移動機構とを備え、
前記スクライブヘッドは、前記テーブル上の脆性材料基板にレーザビームを照射して加熱領域となるレーザスポットを形成するレーザ照射部、および、前記レーザスポットの移動方向後方位置に向けて液体を含む冷媒を噴射して冷却領域となる冷却スポットを形成する冷媒噴射部を有し、
前記基板に想定したスクライブ予定ラインに沿って、前記レーザスポットおよび前記冷却スポットをこの順で移動させて、熱応力によるスクライブラインを形成するスクライブ装置であって、
前記スクライブヘッドは、前記レーザスポットの移動方向前方位置に向けて気体を噴射する気体噴射部をさらに備えることを特徴とするスクライブ装置。 - 前記気体噴射部には噴射する気体を加熱する気体加熱機構を備えた請求項1に記載のスクライブ装置。
- 前記加熱機構は電熱線ヒータまたはランプヒータである請求項2に記載のスクライブ装置。
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