JP2013086195A - 金属材料の剪断設備及び剪断方法 - Google Patents

金属材料の剪断設備及び剪断方法 Download PDF

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祐司 小原
Hiromasa Hayashi
宏優 林
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弘樹 永吉
Yuichi Shinozaki
侑一 篠崎
Yuto Noritake
悠人 則武
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Abstract

【課題】ローリングカットシャー方式による金属材料の剪断において、特別な設備的負担を要することなく、厚鋼板などの金属材料を小さい剪断荷重で効率的に剪断加工することができ、難剪断材料も容易に剪断加工することができる剪断設備及び剪断方法を提供する。
【解決手段】剪断前の上ナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスが、金属材料の通板性を損なわず、且つナイフ長手方向の相対レーキ角分布における最小相対レーキ角θ(deg)と上ナイフ長L(mm)がθ×L≧150を満足するように設定される。上ナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスが小さいことにより、ナイフ長手方向でほぼ一様に大きな相対レーキ角θで剪断を行うことができ、従来設備に較べて剪断時の鉛直方向荷重を大幅に低減できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ローリングカットシャー方式による金属材料の剪断設備及び剪断方法に関するもので、特に、ローリングカットシャーの剪断荷重を低減するための技術に関する。
近年、厚鋼板の製造技術分野では、例えば、ラインパイプ材用にAPI規格X120鋼の商用試作生産が開始されるなど、鋼材の高強度化が進んでいる。
厚鋼板の製造工程では、所定の厚さに圧延された鋼板の形状を矩形とすべく、幅方向両端部をローリングカット式サイドシャー(ローリングカットシャー)で剪断後、長手方向両端部をダウンカット式クロップシャーで切り落としているが、鋼材の高強度化に伴い、剪断作業への負荷は増大する傾向にあり、シャーの剪断能力の向上が要望されている。
図9にローリングカットシャーの構造を模式的に示す。このシャーは、被剪断材eが通過できるハウジング3の内側に、円弧状の刃先を持つ上ナイフ1と直線状の刃先を持つ下ナイフ2が配置され、下ナイフ2はハウジング側に固定されている。一方、上ナイフ1は、長手方向の前部(材料入側)を2つのリンク5a,5bからなるクランク機構6で、また後部(材料出側)を2つのリンク7a,7bからなるクランク機構8で、それぞれハウジング3に吊持されている。前記リンク5a,7aは、各一端部がハウジング3に設けられた駆動装置の回転軸(図示せず)に支持固定されており、この支持固定部を支点50,70として旋回駆動する。したがって、リンク5a,7aとこれを支持する回転軸はクランク軸を構成し、リンク5a,7aはそのクランク腕に相当する。また、リンク5a,リンク7aの各他端部は、下部側のリンク5b,リンク7bの各上端に回動可能に枢着51,71されている。また、下部側のリンク5b,リンク7bの各下端は、上ナイフ1に回動可能に枢着52,72されている。クランク機構6,8を構成するリンクの長さは、リンク5a>リンク7a、リンク5b<リンク7bとなっている。このローリングカットシャーは、クランク軸のクランク腕に相当するリンク5a,リンク7aが駆動装置(図示せず)により図中矢印方向に回転(旋回)するが、前後部のクランク機構6,8を構成するリンクが上記のような長さであるため、上ナイフ1が転動(ローリング)するように押し下げられ、下ナイフ2との間で被剪断材eを設備の材料出側方向から材料入側に向けて剪断する。
ローリングカットシャーによる被剪断材(厚鋼板)の剪断手順を図10(A)〜(H)に示す。まず、図10(A)に示すように、剪断前は上ナイフ1は上方に待機しており、上下ナイフ間のクリアランスは被剪断材eの通板を妨げないように確保されている(=最大板厚+α)。図10(B)に示すように、被剪断材eをシャー前後に配置されたピンチロール(図示せず)によって所定位置まで前進、停止させる。次いで、図10(C)〜(F)に示すように、クランク機構6,8を作動させ(リンク5a,リンク7aをクランク腕とするクランク軸を回転させる)、上ナイフ1を転動(ローリング)させるように押し下げて設備の材料出側方向から材料入側に向けて被剪断材eを剪断する。図10(G)に示すように、クランク機構6,8のリンク5a,リンク7aが1回転し終えることにより上ナイフ1は元の待機位置に復帰し、1回の剪断動作が完了する。次いで、図10(H)に示すように、再びピンチロールによって次回剪断のための所定位置まで被剪断材eを前進させるとともに、剪断後の屑となるエッジ部を専用のナイフで剪断する(図示せず)。以下、被剪断材全長の剪断が完了するまで、図10(B)〜(H)を繰り返す。
ローリングカットにおける剪断荷重P(N)は、一般には下記(i)式で求めることができる。
P=Kt/tanθ …(i)
θ=tan−1(t/L) …(ii)
但し t:被剪断材の板厚(mm)
K:被剪断材の剪断抵抗(=α・σTS)(MPa)
σTS:被剪断材の引張り強度(MPa)
θ:相対レーキ角(被剪断材と上ナイフとのなす角度)(deg)
L:剪断長(mm)
ここで、相対レーキ角θとは、図11に示すように、被剪断材e(金属材料)の剪断方向において、上ナイフ1の円弧状の刃先100が被剪断材下面と交わる点をpとした場合、円弧状の刃先100の点pにおける接線fと、被剪断材長手方向と平行な直線とがなす角度を指す。なお、Lは上ナイフ長である。
ローリングカットシャーの剪断能力は、上ナイフ1の被剪断材eへの押し付け力と上ナイフ1の相対レーキ角θに依存するが、相対レーキ角θはクランク機構による上ナイフ1の移動軌跡と刃形状により決まる。
一般にローリングカットシャーでは、長手方向で均一な剪断能力、剪断品質を保証するため、図10(F)に示すように、上ナイフ1の最下点到達時の上下ナイフラップ代が長手方向に凡そ±15mmの範囲でほぼ一定となるように設計されている(下ナイフは図示せず)。この場合の上ナイフは、一般にナイフ長が2〜6m程度で、その刃先形状は曲率半径R6〜120m程度の下側に凸の円弧形状であり、相対レーキ角θが上ナイフ長手方向で1.5〜3.5deg程度になるように構成される。ここで、上ナイフ長が大きくなるほど相対レーキ角θは相対的に小さくなり、相対レーキ角θ(deg)と上ナイフ長L(mm)の積(θ×L)は、ナイフ長手方向の相対レーキ角分布に応じて約±20mmの分布を有するが、装置仕様の違いに関わりなくほぼ80〜130mmの範囲に収まるように設計されるのが一般的である。ここで、上記剪断品質とは、残留応力による被剪断材の力学的特性の変化、曲がりの有無を指す。
難剪断材料(例えば、硬くて厚い材料)を剪断する場合は、押し付け力を増大させるか、相対レーキ角θを大きくする必要がある。しかし、押し付け力の増大は、上ナイフ1の駆動装置の増強やハウジング(門型フレーム)の補強が必要となり、大掛かりな設備工事となるため容易には実施できない。
一方、相対レーキ角θを大きくするには、上ナイフ1の移動軌跡を決定しているクランク機構を改造する方法が考えられるが、これも大掛かりな設備工事となるため容易には実施できない。特許文献1には、ダウンカット方式におけるレーキ角の決定方法が記載されているが、これは、ダウンカット方式においては上下ナイフのなすレーキ角θが上ナイフ形状に依ってのみ決定されることが前提となっており、本発明が対象とするようなローリングカット式の剪断設備への適用は困難である。
特開2009−78342号公報
したがって本発明の目的は、ローリングカットシャー方式による金属材料の剪断において、特別な設備的負担を要することなく、厚鋼板などの金属材料を小さい剪断荷重で効率的に剪断加工することができ、難剪断材料も容易に剪断加工することができる剪断設備及び剪断方法を提供することにある。
本発明者らが、上記課題を解決すべく検討を行った結果、剪断前の上ナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスを、被剪断材の通過性を損ねない範囲で極力小さくすることにより、ナイフ長手方向でほぼ一様に大きな相対レーキ角θで剪断を行うことができ、従来設備に較べて剪断時の鉛直方向荷重を大幅に低減できることを見出した。ここで、上ナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスの変更・調整は、既存の設備において大きな設備改造を伴うことなく行うことができる。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]ローリングカットシャーを備えた金属材料の剪断設備において、剪断前の上ナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスが、金属材料の通板性を損なわず、且つナイフ長手方向の相対レーキ角分布における最小相対レーキ角θ(deg)と上ナイフ長L(mm)がθ×L≧150を満足するように設定されることを特徴とする金属材料の剪断設備。
[2]上記[1]の剪断設備において、剪断前のナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスが、当該設備で剪断対象となる金属材料の最大板厚+20mm以上であることを特徴とする金属材料の剪断設備。
[3]上記[1]又は[2]の剪断設備において、材料送り用のピンチロールを備え、該ピンチロールによる材料送りと上下ナイフによる剪断を繰り返すことにより、金属材料をその長手方向で剪断する剪断設備であって、設定される上下ナイフ間のクリアランスに応じて、前記ピンチロールによる金属材料の送り速度が設定されることを特徴とする金属材料の剪断設備。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの剪断設備において、材料送り用のピンチロールを備え、該ピンチロールによる材料送りと上下ナイフによる剪断を繰り返すことにより、金属材料をその長手方向で剪断する剪断設備であって、上ナイフをローリングさせるクランク機構のクランク軸の回転速度が、[金属材料の送り過程での回転速度V]<[金属材料の剪断過程での回転速度V]となるように設定されることを特徴とする金属材料の剪断設備。
[5]ローリングカットシャーを備えた剪断設備による金属材料の剪断方法において、剪断前の上ナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスが、金属材料の通板性を損なわず、且つナイフ長手方向の相対レーキ角分布における最小相対レーキ角θ(deg)と上ナイフ長L(mm)がθ×L≧150を満足するように設定されることを特徴とする金属材料の剪断方法。
[6]上記[5]の剪断方法において、剪断前のナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスが、当該剪断設備で剪断対象となる金属材料の最大板厚+20mm以上であることを特徴とする金属材料の剪断方法。
[7]上記[5]又は[6]のいずれかの剪断方法において、剪断設備が材料送り用のピンチロールを備え、該ピンチロールによる材料送りと上下ナイフによる剪断を繰り返すことにより、金属材料をその長手方向で剪断する剪断方法であって、設定される上下ナイフ間のクリアランスに応じて、前記ピンチロールによる金属材料の送り速度が設定されることを特徴とする金属材料の剪断方法。
[8]上記[5]〜[7]のいずれかの剪断方法において、剪断設備が材料送り用のピンチロールを備え、該ピンチロールによる材料送りと上下ナイフによる剪断を繰り返すことにより、金属材料をその長手方向で剪断する剪断方法であって、上ナイフをローリングさせるクランク機構のクランク軸の回転速度が、[金属材料の送り過程での回転速度V]<[金属材料の剪断過程での回転速度V]となるように設定されることを特徴とする金属材料の剪断方法。
本発明によれば、上ナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスを所定の条件に設定するだけで、被剪断材をナイフ長手方向でほぼ一様に大きな相対レーキ角θで剪断することができ、従来設備に較べて剪断時の鉛直方向荷重を大幅に低減することができる。すなわち、特別な設備的負担を要することなく、厚鋼板などの金属材料を小さい剪断荷重で効率的に剪断加工することができる。このため、剪断時にハウジングやナイフの刃先に作用する反力が低下し、設備寿命と上ナイフ寿命を長くできるとともに、難剪断材料も容易に剪断加工することができる。
本発明設備(及び本発明法)と従来設備について、剪断前の上ナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスと剪断時の相対レーキ角θを示す図面 本発明設備(及び本発明法)と従来設備について、同じ剪断位置での相対レーキ角θと上ナイフの最下点軌跡を示す図面 従来設備と、この従来設備よりも剪断前の上ナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスをそれぞれ10mm、20mm、30mm小さくした設備において、1回の剪断におけるナイフ長手方向各位置での相対レーキ角θ(但し、従来設備の上ナイフ長手方向中央での相対レーキ角θを“1”とした場合の相対値)を示すグラフ 図3に示す設備において、1回の剪断におけるナイフ長手方向各位置での相対レーキ角θ(deg)と上ナイフ長L(mm)の積[θ×L]を示すグラフ 本発明設備を模式的に示す説明図 本発明において、材料送り過程でのピンチロールによる材料送り速度を高める場合の剪断過程と送り過程の各時間を、従来設備の場合と比較して示した図面 実施例において、本発明例と従来例の1回の剪断におけるナイフ長手方向各位置での相対レーキ角θ(deg)と上ナイフ長L(mm)の積[θ×L]を示すグラフ 実施例において、本発明例と従来例の1回の剪断における剪断荷重チャートを示す図面 ローリングカットシャーの構造を模式的に示す説明図 ローリングカットシャーによる被剪断材の剪断手順を示す説明図 ローリングカットシャーによる被剪断材の剪断手順を示す説明図 ローリングカットシャーによる被剪断材の剪断手順を示す説明図 ローリングカットシャーによる被剪断材の剪断手順を示す説明図 相対レーキ角θの定義を示す説明図
本発明は、ローリングカットシャーを備えた剪断設備及びこの設備を用いた剪断方法であり、剪断前の上ナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスが、被剪断材である金属材料(以下、厚鋼板を例に説明する)の通板性を損なわず、且つナイフ長手方向の相対レーキ角分布における最小相対レーキ角θ(deg)と上ナイフ長L(mm)がθ×L≧150を満足するように設定される。このような上ナイフ長Lに応じた最小相対レーキ角θを確保するには、剪断前の上ナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスを、厚鋼板の通過性を損ねない範囲で十分に小さくする必要がある。
なお、以下に説明する各図面において、1は上ナイフ、2は下ナイフ、eは被剪断材である厚鋼板を示す。
図1は、上ナイフ長Lが同じである本発明設備(及び本発明法)と従来設備について、剪断前の上ナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスと、剪断時の相対レーキ角θを示している。また、図2は、本発明設備(及び本発明法)と従来設備について、同じ剪断位置での相対レーキ角θと上ナイフ1の最下点軌跡を示している。図1(a)と図2(a)が本発明設備(及び本発明法)を、図1(b)と図2(b)が従来設備を、それぞれ示している。
さきに述べたように、従来設備では、上下ナイフのラップ代が長手方向に凡そ±15mmの範囲でほぼ一定となるように設計されている。これは、上下ナイフのラップ代が大きくなると、剪断により生じるスクラップの反りが大きくなり、テストシャーによるスクラップの細断処理に支障をきたすためである。このため、図1(b)に示すように、剪断前の上ナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスを十分に取り、上下ナイフのラップ代が上記範囲に収まるようにしている。
これに対して本発明では、剪断荷重を小さくするという観点から検討を行った結果、上ナイフ全体を下方にオフセットさせること、すなわち、図1(a)に示すように、剪断前の上ナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスを従来設備よりも十分に小さくすることにより、ナイフ長手方向で一様に大きな相対レーキ角θで剪断行うことができ、従来設備に較べて剪断荷重を大幅に低減できることを見出した。これは、剪断前の上ナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスが小さいと、上ナイフ1と厚鋼板eは早いタイミングで接触することになるが、この場合、上ナイフ中央(ナイフ円弧極小点)が最下点に到達する前、つまり上ナイフ全体が相対レーキ角θが高くなる側に傾いた状態で剪断を行うことになるためである。ここで、上ナイフ長が大きくなるほど相対レーキ角θは相対的に小さくなる。このため本発明では、ナイフ長手方向の相対レーキ角分布における最小相対レーキ角θ(deg)と上ナイフ長L(mm)の積[θ×L]が所定値以上となるように、上ナイフ全体を下方にオフセットさせ、剪断前の上ナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスを設定する。
本発明では、ナイフ長手方向の相対レーキ角分布における最小相対レーキ角θ(deg)と上ナイフ長L(mm)は[θ×L]≧150を満足する必要がある。[θ×L]≧150とすることにより、ナイフ長手方向でほぼ一様に大きな相対レーキ角θで剪断を行うことができ、従来設備に較べて剪断時の鉛直方向荷重を大幅に低減することができる。また、以上の観点からより好ましい条件は[θ×L]≧170である。このため、剪断前の上ナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスは、ナイフ長手方向の相対レーキ角分布における最小相対レーキ角θ(deg)と上ナイフ長L(mm)が[θ×L]≧150、好ましくは[θ×L]≧170を満足するように設定される。
図3は、従来設備(剪断前の上ナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランス:120mm)と、従来設備よりも剪断前の上ナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスをそれぞれ10mm、20mm、30mm小さくした(上ナイフ位置を下方へオフセットした)設備について、1回の剪断におけるナイフ長手方向各位置での相対レーキ角θを示したものである。各設備とも、上ナイフのナイフ長Lは2500mmである。なお、図3の縦軸の相対レーキ角θは、従来設備の上ナイフ長手方向中央での相対レーキ角θを“1”とした場合の相対値である。図3によれば、上下ナイフ間のクリアランスを小さくするほど、ナイフ長手方向の相対レーキ角θが全体として増大することが判る。上記各設備について、1回の剪断におけるナイフ長手方向各位置での相対レーキ角θ(deg)と上ナイフ長L(mm)の積[θ×L]を図4に示す。従来設備に対して上下ナイフ間のクリアランスを30mm小さくした(上ナイフ位置を下方へオフセットした)設備では、ナイフ長手方向の相対レーキ角分布における最小相対レーキ角θ(deg)と上ナイフ長L(mm)が[θ×L]≧150を満足している。
また、ローリングカットシャーによる厚鋼板の剪断工程では、上ナイフの1回のローリングによる剪断と厚鋼板の送りを交互に繰り返すことにより進行し、このため、剪断前の上ナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスは、厚鋼板の送りを妨げない(通板性を損なわない)ことが必要である。厚鋼板の形状不良や、搬送装置の摩耗(搬送ローラテーブルの不均一磨耗による隣接するロール上面間のレベル差)などに起因した厚鋼板の跳ね上がりなどを考慮して、上記クリアランスは、当該設備で剪断対象となる厚鋼板e(金属材料)の最大板厚+20mm以上であることが好ましい。
図5は、本発明設備を模式的に示す説明図であり、その基本構造は図9に示す設備と同様であるが(同じ構成については、図9と同一の符号を付す)、既存設備を改造して本発明設備とするには、例えば、図5に示すように、上刃ホルダ11と上刃ブロック12の間にスペーサブロック13を介装させ、上下ナイフ間のクリアランスを調整すればよい。また、このような構造以外に、例えば、上刃ホルダ11と上刃10との間にスペーサブロックを介装してもよいし、或いは、ナイフ固定用ボルト等の寸法制約がある場合には、上刃ホルダ11と上刃ブロック12間、上刃ホルダ11と上刃10間の両方にスペーサブロックを介装し、所望の厚さを確保するようにしてもよい。
ローリングカットシャーのうち、ダブルサイドシャーやスリッターでは、シャー前後に材料送り用のピンチロールが配置され、このピンチロールによる材料送りと上下ナイフによる剪断を繰り返すことにより、厚鋼板eがその長手方向で順次剪断される。すなわち、このローリングカットシャーによる厚鋼板eの剪断工程は、(i)前記シャー前後に配置されたピンチロール(図示せず)による厚鋼板eの送り過程と、(ii)上ナイフ1を転動(ローリング)させるように押し下げて設備の材料出側方向から材料入側に向けて厚鋼板eを剪断する過程、という2つの過程からなる。剪断過程では厚鋼板eを強く拘束するため、送り過程と剪断過程は、部分的に重複することのないようにする必要がある。送りと剪断を交互に繰り返し行う厚鋼板の剪断工程では、能率を高めるためには、送り過程と剪断過程との間に無駄な時間を設けないようにする必要がある。このため、上ナイフ1を駆動するクランク軸は常時回転させておき、非剪断領域、つまり上ナイフ1が厚鋼板eと干渉せず、空転している時間領域において、ピンチロールによる厚鋼板eの送りを実施するのが一般的である。
ここで、本発明のように、剪断前の上ナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスを従来設備に較べて小さくし(すなわち、従来設備に較べて上ナイフ全体を下方にオフセットさせる)、ナイフ長手方向でほぼ一様に大きな相対レーキ角θで剪断を行う場合、上ナイフ1が厚鋼板eと干渉する剪断過程が、従来設備に較べて長くなる。つまり、剪断過程の時間が長くなる。これは、上ナイフ1と厚鋼板eが従来設備よりも早いタイミングで接触し、遅いタイミングで非接触状態となるからである。一般に、上ナイフ1をローリングさせるクランク機構のクランク軸は等速で回転しているため、1回の剪断工程に要する時間(クランク軸が1回転する時間)が長くならないようにするには、剪断過程の時間が長くなった分、送り過程の時間を短縮する必要が生じる。
これを、剪断能率を低下させることなく実現する方法としては、送り過程でのピンチロールによる厚鋼板eの送り速度を高める方法がある。すなわち、設定されるクリアランスに応じて、ピンチロールによる厚鋼板eの送り速度を設定し、クリアランスが小さいほど剪断過程の時間が長くなるので、送り速度も高く設定するものである。これにより、剪断能率を低下させることなく、本発明による高相対レーキ角剪断を実施することが可能となる。図6は、本発明においてそのような送り速度設定を行う場合の剪断過程と送り過程の時間を、従来設備の場合と比較して示すものである。図6(a)は従来設備を、図6(b)は本発明の設備を、それぞれ示しており、横軸は等速回転するクランク軸が1回転する時間を示す。上述したように、本発明では、剪断過程の時間が長くなるため、ピンチロールの送り速度を高めることにより送り過程の時間を短縮でき、これにより剪断能率を低下させることなく、高相対レーキ角剪断を実施することが可能となる。
また、他の方法として、上ナイフ1をローリングさせるクランク機構のクランク軸の回転速度を、送り過程では減速させ、剪断過程では増速させる方法がある。すなわち、クランク軸の回転速度を[送り過程での回転速度V]<[剪断過程での回転速度V]となるように設定する。この方法は、ピンチロールを駆動するモータ能力不足のため、前記の方法が困難な場合でも、問題なく適用できる。この方法でも、剪断能率を低下させることなく、本発明による高相対レーキ角剪断を実施することが可能となる。
従来型の既設の厚鋼板剪断設備(従来例の剪断設備)は、上ナイフのナイフ長Lが2500mm、剪断前の上ナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスが120mm、上ナイフの円弧刃先の曲率半径が9mであり、この設備で剪断する厚鋼板の最大板厚は50mmである。
この既設の剪断設備において、図5に示すように上刃ホルダと上刃ブロック間にスペーサブロックを介装し、剪断前の上ナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスを90mmに設定し、これを本発明例とした。
従来例と本発明例について、1回の剪断におけるナイフ長手方向各位置での相対レーキ角θ(deg)と上ナイフ長L(mm)の積[θ×L]を図7に、剪断荷重チャートを図8に、それぞれ示す。これによれば、従来例に較べて本発明例は、ナイフ長手方向で一様に相対レーキ角θが増大し、剪断荷重が大幅に低減できることが判る。
なお、本発明例では、従来例に較べて上ナイフが厚鋼板と干渉する剪断過程の時間が増加したので、剪断能率を低下させることなく高相対レーキ角剪断を可能とするために、上ナイフをローリングさせるクランク機構のクランク軸の回転速度について、従来例に較べて、送り過程では回転速度を減速させ、剪断過程では回転速度を増速させることにより、クランク軸1回転に要する時間を従来例と同じにした。
1 上ナイフ
2 下ナイフ
3 ハウジング
5a,5b,7a,7b リンク
6,8 クランク機構
10 上刃
11 上刃ホルダ
12 上刃ブロック
13 スペーサブロック
51,52,71,72 枢着部
50,70 支点
100 刃先
e 被剪断材,厚鋼板

Claims (8)

  1. ローリングカットシャーを備えた金属材料の剪断設備において、
    剪断前の上ナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスが、金属材料の通板性を損なわず、且つナイフ長手方向の相対レーキ角分布における最小相対レーキ角θ(deg)と上ナイフ長L(mm)がθ×L≧150を満足するように設定されることを特徴とする金属材料の剪断設備。
  2. 剪断前のナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスが、当該設備で剪断対象となる金属材料の最大板厚+20mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の金属材料の剪断設備。
  3. 材料送り用のピンチロールを備え、該ピンチロールによる材料送りと上下ナイフによる剪断を繰り返すことにより、金属材料をその長手方向で剪断する剪断設備であって、
    設定される上下ナイフ間のクリアランスに応じて、前記ピンチロールによる金属材料の送り速度が設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属材料の剪断設備。
  4. 材料送り用のピンチロールを備え、該ピンチロールによる材料送りと上下ナイフによる剪断を繰り返すことにより、金属材料をその長手方向で剪断する剪断設備であって、
    上ナイフをローリングさせるクランク機構のクランク軸の回転速度が、[金属材料の送り過程での回転速度V]<[金属材料の剪断過程での回転速度V]となるように設定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属材料の剪断設備。
  5. ローリングカットシャーを備えた剪断設備による金属材料の剪断方法において、
    剪断前の上ナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスが、金属材料の通板性を損なわず、且つナイフ長手方向の相対レーキ角分布における最小相対レーキ角θ(deg)と上ナイフ長L(mm)がθ×L≧150を満足するように設定されることを特徴とする金属材料の剪断方法。
  6. 剪断前のナイフ待機位置における上下ナイフ間のクリアランスが、当該剪断設備で剪断対象となる金属材料の最大板厚+20mm以上であることを特徴とする請求項5に記載の金属材料の剪断方法。
  7. 剪断設備が材料送り用のピンチロールを備え、該ピンチロールによる材料送りと上下ナイフによる剪断を繰り返すことにより、金属材料をその長手方向で剪断する剪断方法であって、
    設定される上下ナイフ間のクリアランスに応じて、前記ピンチロールによる金属材料の送り速度が設定されることを特徴とする請求項5又は6に記載の金属材料の剪断方法。
  8. 剪断設備が材料送り用のピンチロールを備え、該ピンチロールによる材料送りと上下ナイフによる剪断を繰り返すことにより、金属材料をその長手方向で剪断する剪断方法であって、
    上ナイフをローリングさせるクランク機構のクランク軸の回転速度が、[金属材料の送り過程での回転速度V]<[金属材料の剪断過程での回転速度V]となるように設定されることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の金属材料の剪断方法。
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