JP2013080734A - プリント配線板用銅箔及びそれを用いた積層板 - Google Patents

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Abstract

【課題】ファインピッチ化に適した、裾引きが小さい断面形状の回路を製造可能なプリント配線板用銅箔及びそれを用いた積層板を提供する。
【解決手段】液温50℃の塩化第二銅又は塩化第二鉄水溶液における、電位−pH図のpH=0における酸化還元電位が銅の酸化還元電位よりも貴である金属又はその酸化物が、銅箔厚みの10分の1以下相当の付着量で、銅箔基材の表面の少なくとも一部を被覆したプリント配線板用銅箔。
【選択図】図3

Description

本発明は、プリント配線板用銅箔及びそれを用いた積層板に関し、特にフレキシブルプリント配線板用の銅箔及びそれを用いた積層板に関する。
プリント配線板はここ半世紀に亘って大きな進展を遂げ、今日ではほぼすべての電子機器に使用されるまでに至っている。近年の電子機器の小型化、高性能化ニーズの増大に伴い搭載部品の高密度実装化や信号の高周波化が進展し、プリント配線板に対して導体パターンの微細化(ファインピッチ化)や高周波対応等が求められている。
プリント配線板は銅箔に絶縁基板を接着、もしくは絶縁基板上にNi合金等を蒸着させた後に電気めっきで銅層を形成させて銅張積層板とした後に、エッチングにより銅箔または銅層面に導体パターンを形成するという工程を経て製造されるのが一般的である。そのため、プリント配線板用の銅箔または銅層には良好なエッチング性が要求される。
エッチング性を向上させる技術として、例えば、特許文献1には、銅張積層板の構成材である絶縁基材との張り合わせ面に、銀又は銀−パラジウム合金で構成された銀系被覆層を備えた銀系被覆層付銅箔に係る発明が開示されている。
特開2005−101398号公報
しかしながら、高密度実装基板に対して近年要求されるレベルの精密な回路を形成するためには、銅箔のエッチング性が単純に良好であるというだけでは足りない。すなわち、近年求められるエッチング性とは、回路間の絶縁部に表面処理由来の金属が残存しないこと、回路の裾引きが小さいことをいう。回路間の絶縁部に金属が残存していれば、回路間で短絡が起こってしまう。また、一般に、銅箔のエッチングには塩化第二銅水溶液、または塩化第二鉄水溶液が用いられる。このうち、塩化第二銅水溶液では酸化剤がCu2+であるから、エッチングの反応式は
CuCl2 + Cu → 2CuCl
となる。また、塩化第二鉄水溶液では酸化剤がFe3+であるから、エッチングの反応式は
2FeCl3 + Cu → 2FeCl2 + CuCl2
となる。
このエッチング反応は、銅箔の厚み方向及び水平方向に等方的に進行する。そのため、銅箔の厚みが厚いとき、すなわち、エッチング時間が長い場合は、回路のトップ幅は狭くなる。このため、回路形成のエッチングでは、回路上面から下(絶縁基板側)に向かって、末広がりにエッチングされ、回路の断面は台形になる。この台形の上底と下底との差(以下「裾引き」と呼ぶ)が小さければ、回路間のスペースを狭くでき、高密度配線基板が得られる。裾引きが大きければ、回路間のスペースを狭くすると回路が短絡するので、高密度実装基板を製造することができない。
これに対し、特許文献1に開示された発明は、貴金属で構成された被覆層を銅箔の粗化面に形成しているため、回路上部相当部でのサイドエッチを抑制するものではなく、裾引きの小さい回路を良好に作製することが難しい可能性がある。
そこで、本発明は、ファインピッチ化に適した、裾引きが小さい断面形状の回路を製造可能なプリント配線板用銅箔及びそれを用いた積層板を提供することを課題とする。
本発明者は鋭意検討の結果、銅の酸化還元電位よりも銅箔エッチング面の金属またはその酸化物の酸化還元電位が貴であれば、銅側から表面処理層に電子が流れ込み、金属またはその酸化物の層を介してエッチング液の酸化剤が還元され、これによりレジストの裏側ではサイドエッチが抑制され、裾引きが小さい断面形状の回路を製造することができるという知見を得た。また、このように表面処理金属またはその酸化物の酸化還元電位がエッチング液の酸化還元電位よりも貴である場合、初期エッチング性が悪くなることが予想されるため、金属付着量を少なくすることで初期エッチング性の低下が抑制されるという知見を得た。
以上の知見を基礎として完成した本発明は一側面において、液温50℃の塩化第二銅又は塩化第二鉄水溶液における、電位−pH図のpH=0における酸化還元電位が銅の酸化還元電位よりも貴である金属又はその酸化物が、銅箔厚みの10分の1以下相当の付着量で、銅箔基材の表面の少なくとも一部を被覆したプリント配線板用銅箔である。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の一実施形態においては、前記銅箔基材の表面の少なくとも一部を被覆する金属がAg、Hg、Mo、Rh、Ruのいずれか1種以上である。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の別の実施形態においては、Agの付着量が400〜10000μg/dm2、Moの付着量が10000μg/dm2以下、Rhの付着量が2400μg/dm2以下、Ruの付着量が2400μg/dm2以下である。
本発明に係るプリント配線板用銅箔の更に別の実施形態においては、Agの付着量が700〜2000μg/dm2、Moの付着量が15〜1000μg/dm2、Rhの付着量が20〜1200μg/dm2、Ruの付着量が20〜1200μg/dm2である。
本発明は、別の一側面において、本発明の銅箔と樹脂基板との積層体である。
本発明は、更に別の一側面において、銅層と樹脂基板との積層体であって、銅層の表面の少なくとも一部を被覆する本発明の被覆層を備えた積層体である。
本発明に係る積層体の一実施形態においては、樹脂基板がポリイミド基板である。
本発明は、更に別の一側面において、本発明の積層体を材料としたプリント配線板である。
本発明によれば、ファインピッチ化に適した、裾引きが小さい断面形状の回路を製造可能なプリント配線板用銅箔及びそれを用いた積層板を提供することができる。
Cuの酸化還元電位のグラフである。 Pdの酸化還元電位のグラフである。 Moの酸化還元電位のグラフである。 Auの酸化還元電位のグラフである。 Niの酸化還元電位のグラフである。 回路パターンの一部の表面写真、当該部分における回路パターンの幅方向の横断面の模式図、及び、該模式図を用いたエッチングファクター(EF)の計算方法の概略である。 例3に係る、エッチング液を加熱しない場合(液温25℃)の電位−pH図である。 例3に係る、液温50℃の下、塩化第二銅の濃度を1.0Mとしたときの電位−pH図である。 例3に係る、液温50℃の下、塩化第二銅の濃度を4.0Mとしたときの電位−pH図である。
(銅箔基材)
本発明に用いることのできる銅箔基材の形態に特に制限はないが、典型的には圧延銅箔や電解銅箔の形態で用いることができる。一般的には、電解銅箔は硫酸銅めっき浴からチタンやステンレスのドラム上に銅を電解析出して製造され、圧延銅箔は圧延ロールによる塑性加工と熱処理を繰り返して製造される。屈曲性が要求される用途には圧延銅箔を適用することが多い。
銅箔基材の材料としてはプリント配線板の導体パターンとして通常使用されるタフピッチ銅や無酸素銅といった高純度の銅の他、例えばSn入り銅、Ag入り銅、Cr、Zr又はMg等を添加した銅合金、Ni及びSi等を添加したコルソン系銅合金のような銅合金も使用可能である。なお、本明細書において用語「銅箔」を単独で用いたときには銅合金箔も含むものとする。
本発明に用いることのできる銅箔基材の厚さについても特に制限はなく、プリント配線板用に適した厚さに適宜調節すればよい。例えば、5〜100μm程度とすることができる。但し、ファインパターン形成を目的とする場合には30μm以下、好ましくは20μm以下であり、典型的には5〜20μm程度である。
本発明に使用する銅箔基材は、特に限定されないが、例えば、粗化処理をしないものを用いても良い。従来は特殊めっきで表面にμmオーダーの凹凸を付けて表面粗化処理を施し、物理的なアンカー効果によって樹脂との接着性を持たせるケースが一般的であるが、一方でファインピッチや高周波電気特性は平滑な箔が良いとされ、粗化箔では不利な方向に働くことがある。また、粗化処理をしないものであると、粗化処理工程が省略されるので、経済性・生産性向上の効果がある。
(1)被覆層の構成
銅箔基材の絶縁基板との接着面の反対側(回路形成予定面側)の表面の少なくとも一部には、被覆層が形成されている。ここで、銅の酸化還元電位よりも銅箔エッチング面の金属またはその酸化物の酸化還元電位が貴であれば、銅側から被覆層に電子が流れ込み、金属またはその酸化物の層を介してエッチング液の酸化剤が還元される。これにより、レジストの裏側ではサイドエッチが抑制される。塩化第二銅水溶液の酸化還元電位はCu2+/Cu+、塩化第二鉄水溶液の酸化還元電位はFe3+/Fe2+で支配される。これらエッチング液の酸化還元電位は銅の酸化還元電位よりも貴である。これに対し、本発明の銅箔における被覆層は、液温50℃の塩化第二銅又は塩化第二鉄水溶液における、電位−pH図のpH=0における酸化還元電位が銅の酸化還元電位よりも貴である金属又はその酸化物で構成されている。このため、当該銅箔の被覆層側に形成された回路の裾引きが小さくなる。これにより、銅箔の厚みが薄くなくても裾引きが小さい回路を形成することが可能となるため、高密度実装基板の形成が可能となる。
被覆層の厚さは、Agであれば4〜100nmが好ましく、7〜20nmがより好ましい。Moであれば100nm以下が好ましく、0.1〜20nmがより好ましい。Rh、Ruであれば20nm以下が好ましく、0.1〜10nmがより好ましい。被覆層の厚さが規定の範囲の厚み未満ではサイドエッチ抑制効果が十分ではなく、規定の範囲の厚みを超えると初期エッチング性が劣化するおそれがある。
(2)被覆層の同定
被覆層の同定はXPS、若しくはAES等表面分析装置にて表層からアルゴンスパッタし、深さ方向の化学分析を行い、夫々の検出ピークの存在によって同定することができる。
(3)付着量
上述の被覆層を構成する金属としては、Ag、Hg、Mo、Rh、Ruのいずれか1種以上が好ましい。当該金属又はその酸化物の付着量としては、銅箔厚みの10分の1以下相当の付着量とする。当該金属又はその酸化物の付着量を銅箔厚みの10分の1以下相当とすることで、被覆層に残留応力が発生して銅箔に反りが生じることを抑制することができる。
具体的には、被覆層がAgを含む場合は、Agの付着量が400〜10000μg/dm2が好ましく、700〜2000μg/dm2がより好ましい。被覆層がMoを含む場合は、Moの付着量が10000μg/dm2以下が好ましく、15〜1000μg/dm2がより好ましい。被覆層がRhを含む場合は、Rhの付着量が2400μg/dm2以下が好ましく、20〜1200μg/dm2がより好ましい。被覆層がRuを含む場合は、Ruの付着量が2400μg/dm2以下が好ましく、20〜1200μg/dm2がより好ましい。被覆層のAgの付着量が10000μg/dm2超、被覆層のMoの付着量が10000μg/dm2超、被覆層のRhの付着量が2400μg/dm2超、及び、被覆層のRuの付着量が2400μg/dm2超であると、それぞれ初期エッチング性に悪影響を及ぼす可能性がある。
被覆層上の最表層には、防錆効果を高めるために、さらに防錆処理層を形成することができる。また、被覆層と銅箔との間に、さらに加熱処理による酸化を抑制するため、耐酸化性を有する下地層を形成してもよい。
(銅箔の製造方法)
本発明に係るプリント配線板用銅箔は、スパッタリング法により形成することができる。すなわち、スパッタリング法によって銅箔基材の表面の少なくとも一部を、被覆層により被覆する。具体的には、スパッタリング法によって、銅箔のエッチング面側に、液温50℃の塩化第二銅又は塩化第二鉄水溶液における、電位−pH図のpH=0における酸化還元電位が銅の酸化還元電位よりも貴である金属又はその酸化物の層を、銅箔厚みの10分の1以下相当の付着量で形成する。被覆層は、スパッタリング法に限らず、例えば、電気めっき、無電解めっき等の湿式めっき法で形成してもよい。
また、本発明に係るプリント配線板用銅箔は、スパッタリング処理を行う前に、前処理として、銅箔表面に公知の手段により酸化膜の除去等を行うことが好ましい。
(プリント配線板の製造方法)
本発明に係る銅箔を用いてプリント配線板(PWB)を常法に従って製造することができる。以下に、プリント配線板の製造方法の例を示す。
まず、銅箔と絶縁基板とを貼り合わせて積層体を製造する。銅箔が積層される絶縁基板はプリント配線板に適用可能な特性を有するものであれば特に制限を受けないが、例えば、リジッドPWB用に紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、合成繊維布基材エポキシ樹脂、ガラス布・紙複合基材エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂及びガラス布基材エポキシ樹脂等を使用し、FPC用にポリエステルフィルムやポリイミドフィルム等を使用する事ができる。
貼り合わせの方法は、リジッドPWB用の場合、ガラス布などの基材に樹脂を含浸させ、樹脂を半硬化状態まで硬化させたプリプレグを用意する。銅箔を被覆層の反対側の面からプリプレグに重ねて加熱加圧させることにより行うことができる。
フレキシブルプリント配線板(FPC)用の場合、ポリイミドフィルム又はポリエステルフィルムと銅箔とをエポキシ系やアクリル系の接着剤を使って接着することができる(3層構造)。また、接着剤を使用しない方法(2層構造)としては、ポリイミドの前駆体であるポリイミドワニス(ポリアミック酸ワニス)を銅箔に塗布し、加熱することでイミド化するキャスティング法や、ポリイミドフィルム上に熱可塑性のポリイミドを塗布し、その上に銅箔を重ね合わせ、加熱加圧するラミネート法が挙げられる。キャスティング法においては、ポリイミドワニスを塗布する前に熱可塑性ポリイミド等のアンカーコート材を予め塗布しておくことも有効である。
本発明に係る積層体は各種のプリント配線板(PWB)に使用可能であり、特に制限されるものではないが、例えば、導体パターンの層数の観点からは片面PWB、両面PWB、多層PWB(3層以上)に適用可能であり、絶縁基板材料の種類の観点からはリジッドPWB、フレキシブルPWB(FPC)、リジッド・フレックスPWBに適用可能である。また、本発明に係る積層体は、銅箔を樹脂に貼り付けてなる上述のような銅張積層板に限定されず、樹脂上にスパッタリング、めっきで銅層を形成したメタライジング材であってもよい。
上述のように作製した積層体の銅箔上に形成された被覆層表面にレジストを塗布し、マスクによりパターンを露光し、現像することによりレジストパターンを形成する。
続いて、レジストパターンの開口部に露出した被覆層を、試薬を用いて除去する。当該試薬としては、塩酸、硫酸又は硝酸を主成分とするものを用いるのが、入手しやすさ等の理由から好ましい。
次に、積層体を、塩化第二銅水溶液、又は、塩化第二鉄水溶液で構成されたエッチング液に浸漬する。このとき、エッチングを抑制する本発明の被覆層は、銅箔上のレジスト部分に近い位置にあり、レジスト側の銅箔のエッチングは、この被覆層近傍がエッチングされていく速度よりも速い速度で、被覆層から離れた部位の銅のエッチングが進行することにより、銅の回路パターンのエッチングがほぼ垂直に進行する。これにより銅の不必要部分を除去されて、次いでエッチングレジストを剥離・除去して回路パターンを露出することができる。
積層体に回路パターンを形成するために用いるエッチング液に対しては、被覆層のエッチング速度は、銅よりも十分に小さいためエッチングファクターを改善する効果を有する。
また、被覆層を形成する前に、あらかじめ銅箔基材表面に耐熱層を形成しておいてもよい。
(プリント配線板の銅箔表面の回路形状)
上述のように被覆層側からエッチングされて形成されたプリント配線板の銅箔表面の回路は、その長尺状の2つの側面が絶縁基板上に垂直に形成されるのではなく、通常、銅箔の表面から下に向かって、すなわち樹脂層に向かって、末広がりに形成される(ダレの発生)。これにより、長尺状の2つの側面はそれぞれ絶縁基板表面に対して傾斜角θを有している。現在要求されている回路パターンの微細化(ファインピッチ化)のためには、回路のピッチをなるべく狭くすることが重要であるが、この傾斜角θが小さいと、それだけダレが大きくなり、回路のピッチが広くなってしまう。また、傾斜角θは、通常、各回路及び回路内で完全に一定ではない。このような傾斜角θのばらつきが大きいと、回路の品質に悪影響を及ぼすおそれがある。従って、被覆層側からエッチングされて形成されたプリント配線板の銅箔表面の回路は、長尺状の2つの側面がそれぞれ絶縁基板表面に対して65〜90°の傾斜角θを有し、且つ、同一回路内のtanθの標準偏差が1.0以下であるのが望ましい。また、エッチングファクターとしては、回路のピッチが50μm以下であるとき、1.5以上であるのが好ましく、2.5以上であるのが更に好ましい。
以下、本発明の実施例を示すが、これらは本発明をより良く理解するために提供するものであり、本発明が限定されることを意図するものではない。
(例1:エッチング液中の種々の金属の電位−pH図の作成)
OLI Systems Inc.社の電気化学ソフトCorrosion Analyzerを用いて、各エッチング液中の種々の金属の電位−pH図を作成した。計算を行うに当たって、MSE−FWをデーターベースとして用いた。計算条件を以下に示す。
(i)塩化第二銅水溶液
塩化第二銅:2.0M
液温:50℃
(ii)塩化第二鉄水溶液
塩化第二鉄:3.2M
液温:50℃
濃度、液温は通常の製造条件の代表的な数値を採用した。(i)(Cu2+/Cu+)の酸化還元電位は1.1V(vs SHE)、(ii)(Fe3+/Fe2+)の酸化還元電位は1.0V(vs SHE)であった。
図1〜5に、それぞれCu、Pd、Mo、Au、Niの酸化還元電位を示す。図中に示す「Natural pH」は(i)及び(ii)の液組成におけるpHである。通常のエッチングでは塩酸を添加して不溶性塩CuClを溶解させるので、pHは0またはマイナスになる。このため、作成された電位−pH図のpH=0における銅の酸化還元電位とその他の金属およびその酸化物の酸化還元電位を比較する。例えば、Cu(Cu+/Cu)の(i)における酸化還元電位は+0.2V(vs SHE)である。同様に(i)におけるPd(Pd2+/Pd)、Mo(H4Mo724Cl3-/MoO2=Mo6+/Mo4+)、Au(Au(OH)3/Au=Au3+/Au)、Ni(NiCl+/Ni=Ni2+/Ni)の酸化還元電位はそれぞれ+0.8V(vs SHE)、+0.5V(vs SHE)、+1.4V(vs SHE)、−0.5V(vs SHE)である。Cu(Cu+/Cu)よりも酸化還元電位が低いNiは、サイドエッチ抑制効果は期待できない。同様にしてその他の金属またはその酸化物の酸化還元電位を表1にまとめた。
(例2:効果の確認)
上記例1の計算により効果が期待されるAg、Au、Hg、Mo、Pd、Pt、Rh、Ruのうち、Ag、Au、Mo、Pd、Pt、Ruの効果を確認した。Hgはその有害性から実用性が低いとして対象から外した。Rhはそれ自体が難溶性であること、その適切な選択エッチング液がないことから、試験対象から外した。適切な選択エッチング液があればRhもサイドエッチ抑制効果を有すると推定される。
(例2−1:実施例1〜19、比較例4〜8)
<銅箔への被覆層の形成(エッチング面)>
銅箔基材として、表面粗さ(Rz)は0.1μm、17μm厚の圧延銅箔(JX日鉱日石金属社製C1100)を用意した。
イオンビーム源を備えたCHA社製Vaccume WEB Chamber(14inch幅)を使用して、銅箔表面の前処理を行った。イオンビーム源にはカーフマン型イオンビーム源6.0cm×40cm Linear Ion Source(ION TECH INC製)を使用した。イオンビーム源の電源は同社MPS−5001で、イオンビームの最大出力はおよそ3W/cm2であった。
表面処理に先立って行ったイオンビームによる前処理条件を以下に示す。
出力:1.2W/cm2
Ar圧:0.2Pa
銅箔搬送速度:10m/min
この前処理で銅箔表面に付着している薄い酸化膜を取り除き、Ag、Au、Mo、Pd、Pt、Ruをスパッタリングすることにより、被覆層を形成した。スパッタリングに使用した各種金属の単体は純度が3Nのものを用いた。付着量は出力を変化させて調整した。
<表面処理層の形成(接着面)>
上述の被覆層が形成された表面の反対側の銅箔基材表面に対して、ポリイミドフィルムとの接着層を同じスパッタリング装置を用いて形成した。薄い酸化皮膜を前処理で取り除いた後、Ni層(付着量90μg/dm2)、この上にCr層(付着量70μg/dm2)を形成した。
<付着量の測定>
被覆層のAu、Pt、Pd付着量測定は、王水で銅層の半分程度を溶解させ、その溶解液を希釈し、原子吸光分析法で行った。その他は50mm×50mmの銅層表面の皮膜をHNO3(2重量%)とHCl(5重量%)を混合した溶液に溶解し、その溶液中の金属濃度をICP発光分光分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、SFC−3100)にて定量し、単位面積当たりの金属量(μg/dm2)を算出した。
<CCL化>
銅箔基材のNi層及びCr層形成側表面に接着剤付きポリイミドフィルム(ニッカン工業性、CISV1215)を圧力7kgf/cm2、160℃、40分の条件で接着した。
<エッチングによる回路形状>
銅箔の表面処理層が形成された面に感光性レジスト塗布及び露光工程により10本の33μm幅の回路(開口幅7μm)を印刷し、銅箔の不要部分を除去するエッチング処理を以下の条件で実施した。Ru処理材のみ硝酸二アンモニウムセリウム水溶液で開口部に露出したRuを除去した後、回路形成エッチングを行った。
<エッチング条件>
エッチングは、下記の条件でスプレーエッチング装置を用いて行った。
・液組成
(1)塩化第二銅(2.0mol/L)+塩酸(1.5mol/L)
(2)塩化第二鉄(3.2mol/L)+塩酸(1.0mol/L)
・スプレー圧:0.2MPa
・液温:50℃
(40μmピッチ回路形成)
・レジストL/S=33μm/7μm
・仕上がり回路ボトム(底部)幅:18μm
・エッチング終点の確認:時間を変えてエッチングを数水準行い、光学顕微鏡で回路間に銅が残存しなくなるのを確認し、これをエッチング時間とした。
エッチング後、45℃のNaOH水溶液(100g/L)に1分間浸漬させてレジストを剥離した。
<エッチングファクターの測定条件>
エッチングファクターは、末広がりにエッチングされた場合(ダレが発生した場合)、回路が垂直にエッチングされたと仮定した場合の、銅層からの垂線と樹脂基板との交点からのダレの長さの距離をaとした場合において、このaと銅層の厚さbとの比:b/aを示すものであり、この数値が大きいほど、傾斜角は大きくなり、エッチング残渣が残らず、ダレが小さくなることを意味する。図6に、回路パターンの一部の表面写真と、当該部分における回路パターンの幅方向の横断面の模式図と、該模式図を用いたエッチングファクターの計算方法の概略とを示す。このaは回路上方からのSEM観察により測定し、エッチングファクター(EF=b/a)を算出した。このエッチングファクターを用いることにより、エッチング性の良否を簡単に判定できる。さらに、傾斜角θは上記手順で測定したa及び銅層の厚さbを用いてアークタンジェントを計算することにより算出した。これらの測定範囲は回路長600μmで、12点のエッチングファクター、その標準偏差及び傾斜角θの平均値を結果として採用した。
<銅箔の反り高さ>
表面処理後の銅箔を3cm×3cmの正方形状に切り出し、これを水平な台上に置いたときの4角の各頂点(合計4点)の台からの高さを測定し、この平均値を採用した。
(例2−2:比較例1)
銅箔のエッチング面に何も処理せずに例2−1の手順でエッチング性を評価した。
(例2−3:比較例2、3)
電位−pH図を作成して、Cu(Cu+/Cu)の酸化還元電位よりも卑であったCo層Zn層を銅箔エッチング面に例1の手順で形成し、エッチング性を評価した。
試験条件及び評価結果を、表2及び3に示す。
<評価>
実施例1〜19は、いずれもエッチングファクターが大きく、矩形方に近い断面の回路を形成することができた。また、銅箔の反りも良好に抑制されていた。
表面処理が施されていない比較例1、及び、Cu(Cu+/Cu)の酸化還元電位よりも卑であったCo層Zn層を被覆層として形成した比較例2及び3は、いずれもエッチングファクターが小さく、裾引きが大きい回路となった。
比較例4及び6は、エッチングファクターが大きく、矩形方に近い断面の回路を形成することができたものの、被覆層を構成するAg又はMoの付着量が銅箔厚みの10分の1超であったため、被覆層に残留応力が発生して銅箔に大きな反りが生じた。
比較例5は、被覆層を構成するAgの付着量が少なすぎたため、いずれもエッチングファクターが小さく、裾引きが大きい回路となった。
比較例7及び8は、被覆層を構成するRh又はRuの付着量が多すぎたため、エッチング性が不良となった。
(例3:濃度、液温と電位−pH図との関係)
濃度、液温と電位−pH図との関係を確認するために、以下の試験を行った。
エッチング液を加熱しない場合(液温25℃)の電位−pH図を作成した(図7)。図7によれば、液温が50℃の場合と比べて、ほぼ同じであることがわかる。従って、この範囲の液温には電位−pH図は依存しないと言える。
また、液温50℃の下、塩化第二銅の濃度を1.0M(図8)、4.0M(図9)として電位−pH図を作成した。これらも塩化第二銅濃度が2.0Mの場合と同様であった。従って、電位−pH図はこの範囲の濃度に依存しないと言える。

Claims (8)

  1. 液温50℃の塩化第二銅又は塩化第二鉄水溶液における、電位−pH図のpH=0における酸化還元電位が銅の酸化還元電位よりも貴である金属又はその酸化物が、銅箔厚みの10分の1以下相当の付着量で、銅箔基材の表面の少なくとも一部を被覆したプリント配線板用銅箔。
  2. 前記銅箔基材の表面の少なくとも一部を被覆する金属がAg、Hg、Mo、Rh、Ruのいずれか1種以上である請求項1に記載のプリント配線板用銅箔。
  3. Agの付着量が400〜10000μg/dm2、Moの付着量が10000μg/dm2以下、Rhの付着量が2400μg/dm2以下、Ruの付着量が2400μg/dm2以下である請求項2に記載のプリント配線板用銅箔。
  4. Agの付着量が700〜2000μg/dm2、Moの付着量が15〜1000μg/dm2、Rhの付着量が20〜1200μg/dm2、Ruの付着量が20〜1200μg/dm2である請求項3に記載のプリント配線板用銅箔。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の銅箔と樹脂基板との積層体。
  6. 銅層と樹脂基板との積層体であって、前記銅層の表面の少なくとも一部を被覆する請求項1〜4のいずれかに記載の被覆層を備えた積層体。
  7. 前記樹脂基板がポリイミド基板である請求項5又は6に記載の積層体。
  8. 請求項5〜7の何れかに記載の積層体を材料としたプリント配線板。
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