JP2013080203A - ポジ型感光性アクリル樹脂およびポジ型感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】主鎖末端にカルボキシル基を含有し、かつ、3員環および/または4員環の環状エーテル基を有する繰り返し単位を含有する、アルカリ現像液に不溶または難溶性で酸の作用によりアルカリ現像液に可溶となるポジ型感光性アクリル樹脂を用いる。
【選択図】なし
Description
従来の感光性樹脂組成物としては、例えば、特許文献1には、エッチングレジスト用ポジ型感光性樹脂組成物が、特許文献2には、エッチングレジスト用ポジ型感光性樹脂組成物が、特許文献3には、犠牲層レジストを使用したMEMS構造体作製の一例が、特許文献4のマイクロレンズ形成剤用途のポジ型層間絶縁膜材料用樹脂組成物が、特許文献5〜7には、バインダーポリマーの主鎖末端に特徴のある感光性樹脂組成物が開示されている。
また、ドライエッチングプロセスにおけるエッチングレジストとして使用する際には、エッチングによる精密なパターン作製を実現するため、矩形に近くテーパー角度の大きいプロファイル形成が求められる。
さらに、ドライエッチングやウェットエッチングプロセスにおいてレジスト膜が膨潤して剥離したり、溶解して消失したりすることのないよう、ある程度の溶剤耐性、薬品耐性、機械的強度などの耐久性が求められる。
厚膜レジストとして使用する場合には、現像工程にて適正なパターンを得るために高感度が求められており、また、厚膜では熱フローや硬化収縮の影響が大きくなるため、プロファイル制御技術が一層重要なものとなる。なお、厚膜とは、溶剤除去後の乾燥膜厚が4〜100μmであるレジストの使用形態が例示される。
例えば、特許文献1に記載の感光性樹脂組成物は、ベーク時の熱フローにより矩形プロファイルが得られないという問題があった。
また、特許文献4では、逆に、パターンおよびテーパーの曲線性が良いほど良い評価となっており、テーパー形状が矩形であるほど悪い評価となっている。
本発明が解決しようとする課題は、形成したパターンをベークした後であっても矩形または矩形に近いプロファイルが形成可能なポジ型感光性樹脂組成物を提供することである。
また、特許文献5〜7には、主鎖末端に相互作用基を導入したポリマーを用いるポジ型感光性樹脂組成物が開示されているが、本願発明者が検討したところ、矩形性やテーパー角に問題があることがわかった。
このような共重合体が、形成したパターンをベークした後であっても矩形または矩形に近いプロファイルが形成可能にする理由は、ベークによりポリマー主鎖末端のカルボキシル基が3員環または4員環と架橋反応を行うことにより、単純にポリマー側鎖にカルボキシル基が存在するよりもポリマーが規則的に配列して架橋すると考えられる。
<1>主鎖末端にカルボキシル基を含有し、かつ、3員環および/または4員環の環状エーテル基を有する繰り返し単位を含有する、アルカリ現像液に不溶または難溶性で酸の作用によりアルカリ現像液に可溶となるアクリル樹脂を含むポジ型感光性樹脂組成物。
<2>前記アクリル樹脂が、3員環および/または4員環の環状エーテル基を有する繰り返し単位が、一般式(1)で表される、<1>に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
一般式(1)
<3>前記アクリル樹脂の重量平均分子量が5000以上である、<1>または<2>に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
<4>前記アクリル樹脂が、上記3員環および/または4員環の環状エーテル基を有する繰り返し単位に加えて、さらに、カルボキシ基またはフェノール性水酸基が酸分解性基で保護された残基を有する繰り返し単位を有する、<1>〜<3>のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
<5>さらに、光酸発生剤を含有する、<1>〜<4>のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
<6>光酸発生基が、オニウム塩、および/または、オキシムスルホネ―トである、<5>に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
<7>架橋剤をさらに含む、<1>〜<6>のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
<8>溶剤をさらに含む、<1>〜<7>のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
<9><1>〜<8>のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物を、光および熱の少なくとも一方を付与して硬化させた硬化膜。
<10>層間絶縁膜である、<9>に記載の硬化膜。
<11>(1)<1>〜<8>のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布されたポジ型感光性樹脂組成物から溶剤を除去する工程、
(3)溶剤を除去されたポジ型感光性樹脂組成物を活性放射線で露光する工程、
(4)露光されたポジ型感光性樹脂組成物を水性現像液で現像する工程、および、
(5)現像されたポジ型感光性樹脂組成物を熱硬化するポストベーク工程、
を含む硬化膜の形成方法。
<12>前記露光工程における露光後に、加熱処理を行わずに前記現像工程を行う、<11>に記載の硬化膜の形成方法。
<13>エッチングレジスト用である、<1>〜<8>のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
<14>MEMS用構造部材用である、<1>〜<8>のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
<15><1>〜<8>のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物から溶剤を除去し膜を形成する膜形成工程、
前記膜を活性光線によりパターン状に露光する露光工程、
露光された前記膜を水性現像液により現像しパターンを形成する現像工程、および、
前記パターンを加熱するベーク工程、
を含むパターン形成方法。
<16>前記現像工程後、かつ前記ベーク工程の前に、前記パターンを活性光線により露光するポスト露光工程を含む、<15>に記載のパターン形成方法。
<17><15>または<16>に記載のパターン形成方法により作製したパターンを構造体積層時の犠牲層として用いて構造体を作製する工程、および、
前記犠牲層をプラズマ処理にて除去する工程、を含むMEMS構造体の製造方法。
<18><15>または<16>に記載のパターン形成方法により作製したパターンをドライエッチング用レジストとして用いてドライエッチングを行う工程、および、
前記パターンをプラズマ処理または薬品処理により除去する工程、
を含むドライエッチング方法。
<19><15>または<16>に記載のパターン形成方法により作製したパターンをウェットエッチング用レジストとして用いてウェットエッチングを行う工程、および、
前記パターンをプラズマ処理または薬品処理により除去する工程、
を含むウェットエッチング方法。
<20>重合性モノマーの重合時にカルボキシル基を有する連鎖移動剤を用いるか、カルボキシル基を有する重合開始剤を用いることによって、アクリル樹脂を製造することを含む、<1>〜<8>のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物の製造方法。
なお、本発明において、数値範囲を表す「下限〜上限」の記載は、「下限以上、上限以下」を表し、「上限〜下限」の記載は、「上限以下、下限以上」を表す。すなわち、上限および下限を含む数値範囲を表す。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本明細書では、「(メタ)アクリル酸またはそのエステルに由来する繰り返し単位」を「アクリル系繰り返し単位」ともいう。また、(メタ)アクリル酸は、メタクリル酸およびアクリル酸を総称するものとする。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物(以下、単に「感光性樹脂組成物」ともいう。)は、主鎖末端にカルボキシル基を含有し、かつ、3員環および/または4員環の環状エーテル基を有する繰り返し単位を含有する、アルカリ現像液に不溶または難溶性で酸の作用によりアルカリ現像液に可溶となるアクリル樹脂を含むことを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物であり、化学増幅型のポジ型感光性樹脂組成物(化学増幅ポジ型感光性樹脂組成物)であることが特に好ましい。
本発明で用いるアクリル樹脂は、主鎖末端にカルボキシル基を含有し、かつ、3員環および/または4員環の環状エーテル基を有する繰り返し単位を含有する、アルカリ現像液に不溶または難溶性で酸の作用によりアルカリ現像液に可溶となる樹脂(「特定重合体」、「重合体A」ともいう。)である。
本発明で用いるアクリル樹脂は、カルボキシ基またはフェノール性水酸基が酸分解性基で保護された残基を含むことが好ましく、該残基は、酸により前記酸分解性基を分解(脱保護)することにより、カルボキシ基またはフェノール性水酸基を生成することができる。本発明では、カルボキシ基またはフェノール性水酸基が酸分解性基で保護された残基を含む繰り返し単位(a1)を含むことが好ましい。
なお、本発明における「繰り返し単位」は、モノマー1分子から形成される構成単位だけでなく、モノマー1分子から形成される構成単位を高分子反応等により変性した構成単位も含むものとする。
また、本発明における「アルカリ可溶性」とは、当該化合物(樹脂)の溶液を基板上に塗布し、90℃で2分間加熱することによって形成される当該化合物(樹脂)の塗膜(厚さ4μm)の、23℃における0.4重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に対する溶解速度が、0.01μm/秒以上であることをいい、「アルカリ不溶性」とは、当該化合物(樹脂)の溶液を基板上に塗布し、90℃で2分間加熱することによって形成される当該化合物(樹脂)の塗膜(厚さ4μm)の、23℃における0.4重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に対する溶解速度が0.01μm/秒未満、好ましくは0.005μm/秒未満であることをいう。
なお、重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定されるポリスチレン換算の値である。溶剤はTHFを用い、カラムにはTSKgelSuperHZ3000およびTSKgel SuperHZM−M(いずれも東ソー(株)製)を使用して測定することが好ましい。
重合体Aは、カルボキシ基またはフェノール性水酸基が酸分解性基で保護された残基を有する繰り返し単位(a1)を有することがより好ましい。
重合体Aが繰り返し単位(a1)を有することにより、極めて高感度な感光性樹脂組成物とすることができる。カルボキシ基が酸分解性基で保護された残基を有する繰り返し単位は、フェノール性水酸基が酸分解性基で保護された残基を有する繰り返し単位に比べると、現像が速いという特徴がある。よって、速く現像したい場合にはカルボキシ基が酸分解性基で保護された残基を有する繰り返し単位が好ましい。逆に現像を遅くしたい場合にはフェノール性水酸基が酸分解性基で保護された残基を有する繰り返し単位を用いることが好ましい。
酸分解性基としては、これまでKrF用ポジ型レジスト、ArF用ポジ型レジストにおける酸分解性基として公知のものを使用でき、特に限定されない。従来、酸分解性基としては、酸により比較的分解し易い基(例えば、テトラヒドロピラニル基等のアセタール系官能基)や酸により比較的分解し難い基(例えば、tert−ブチルエステル基、tert−ブチルカーボネート基等のtert−ブチル系官能基)が知られている。
これらの酸分解性基の中でも、カルボキシ基がアセタールで保護された残基、または、カルボキシ基がケタールで保護された残基を有する繰り返し単位であることが、レジストの基本物性、特に感度やパターン形状、コンタクトホールの形成性、感光性樹脂組成物の保存安定性の観点から好ましい。さらに酸分解性基の中でもカルボキシ基が下記式(a1−1)で表されるアセタールまたはケタールで保護された残基であることが、感度の観点からより好ましい。なお、カルボキシ基が下記式(a1−1)で表されるアセタールまたはケタールで保護された残基である場合、残基の全体としては、−C(=O)−O−CR1R2(OR3)の構造となっている。
結合位置を表す。)
式(a1−1)において、R1、R2およびR3がアルキル基を表す場合、前記アルキル基
は直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれであってもよい。
直鎖状または分岐鎖状のアルキル基としては、炭素原子数1〜12であることが好ましく、炭素原子数1〜6であることがより好ましく、炭素原子数1〜4であることがさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基(2,3−ジメチル−2−ブチル基)、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができる。
環状アルキル基としては、炭素原子数3〜12であることが好ましく、炭素原子数4〜8であることがより好ましく、炭素原子数4〜6であることがさらに好ましい。環状アルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基等を挙げることができる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示され、これらの中でもフッ素原子または塩素原子が好ましい。
また、前記アリール基としては、炭素原子数6〜20のアリール基が好ましく、炭素原子数6〜12のアリール基がより好ましい。具体的には、フェニル基、α−メチルフェニル基、ナフチル基等が例示できる。
前記アラルキル基としては、炭素原子数7〜32のアラルキル基が好ましく、炭素原子数7〜20のアラルキル基がより好ましい。具体的には、ベンジル基、α−メチルベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が例示できる。
前記アルコキシ基としては、炭素原子数1〜6のアルコキシ基が好ましく、炭素原子数1〜4のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基またはエトキシ基がさらに好ましい。
また、アルキル基がシクロアルキル基である場合、前記シクロアルキル基は置換基として炭素原子数1〜10の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を有していてもよく、アルキル基が直鎖状または分岐鎖状のアルキル基である場合には、置換基として炭素原子数3〜12のシクロアルキル基を有していてもよい。
これらの置換基は、上記置換基でさらに置換されていてもよい。
は炭素原子数6〜12であることが好ましく、炭素原子数6〜10であることがより好ましい。前記アリール基は置換基を有していてもよく、前記置換基としては炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましく例示できる。アリール基としては、フェニル基、トリル基、シリル基、クメニル基、1−ナフチル基等が例示できる。
また、R1、R2およびR3は互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に環を
形成することができる。R1とR2、R1とR3またはR2とR3が結合した場合の環構造としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、テトラヒドロフラニル基、アダマンチル基およびテトラヒドロピラニル基等を挙げることができる。
なお、式(a1−1)において、R1およびR2のいずれか一方が、水素原子またはメチル基であることが好ましい。
また、上記の合成は(メタ)アクリル酸をその他のモノマーと予め共重合させておき、その後に酸触媒の存在下でビニルエーテルと反応させてもよい。
R1は、それぞれ、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、水素原子またはメチル基が好ましく、メチル基がさらに好ましい。
Liはカルボニル基またはフェニレン基を表し、カルボニル基がより好ましい。
R2はそれぞれ、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、水素原子またはメチル基が好ましく、何れも水素原子であることがより好ましい。
n1、n2、n3およびn4は、それぞれ、0が好ましい。
上記の中でも、特に、(1)、(2)、(5)または(7)が好ましく、(2)、または(7)がさらに好ましく、(7)が特に好ましい。
酸分解性基としては、前述したように、公知のものを使用でき、特に限定されない。酸分解性基の中でもフェノール性水酸基がアセタールで保護された残基、または、フェノール性水酸基がケタールで保護された残基を有する繰り返し単位であることが、レジストの基本物性、特に感度やパターン形状、感光性樹脂組成物の保存安定性、コンタクトホールの形成性の観点から好ましい。さらに、酸分解性基の中でもフェノール性水酸基が前記式(a1−1)で表されるアセタールまたはケタールで保護された残基であることが、感度の観点からより好ましい。なお、フェノール性水酸基が前記式(a1−1)で表されるアセタールまたはケタールで保護された残基である場合、残基の全体としては、−Ar−O−CR1R2(OR3)の構造となっている。なお、Arはアリーレン基を表す。
フェノール性水酸基を保護するアセタールエステル構造の好ましい例は、R1=R2=R3=メチル基やR1=R2=メチル基でR3=ベンジル基の組み合わせが例示できる。
本発明に用いる3員環および/または4員環の環状エーテル基を有する繰り返し単位における環状エーテル基としては、エポキシ基、オキセタニル基が例示される。環状エーテル基としてさらに好ましくは下記構造であることが好ましい。
一般式(1)
一般式(1)において、nが1のとき、R3およびR4で表される基はそれぞれ1つずつであり、nが2のとき、R3およびR4で表される基はそれぞれ2つずつとなる。
Lは、アリール基、アルキル基、エーテル結合、エステル結合、またはこれらが組み合わせを含む2価の連結基が好ましい。Lが有する置換基としては、アルキル基、フェニル基、アルコキシ基、フッ素原子、および臭素原子が例示される。
R2は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよい。
R3とR4は、水素原子であることがより好ましい。
エポキシ基を有する基としては、エポキシ環を有していれば、特に制限はないが、グリシジル基、3,4−エポキシシクロへキシルメチル基が好ましく例示できる。
オキセタニル基を有する基としては、オキセタン環を有していれば、特に制限はないが、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル基が好ましく例示できる。
エポキシ基を有する繰り返し単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体の具体例としては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3,4−エポキシブチル、アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、特許第4168443号公報の段落0031〜0035に記載の脂環式エポキシ骨格を含有する化合物などが挙げられる。
オキセタニル基を有する繰り返し単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体の例としては、例えば、特開2001−330953号公報の段落0011〜0016に記載のオキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどを挙げることができる。
これらのモノマーの中で、さらに好ましいものとしては、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、特許第4168443号公報の段落0034〜0035に記載の脂環式エポキシ骨格を含有する化合物および特開2001−330953号公報の段落0011〜0016に記載のオキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
耐熱透明性の観点から特に好ましいものとしては、アクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル、および、メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルのいずれかに由来する繰り返し単位である。
これらの繰り返し単位(a2)は、1種単独または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
重合体Aは、ドライエッチング耐性や耐薬品性向上の観点から、環構造を有する繰り返し単位(a4)を含有することが好ましい。但し、(a4)は、上記(a1)、(a2)に該当するものを除く趣旨である。
前記繰り返し単位(a4)を形成するモノマーとしては、例えば、スチレン類、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、不飽和芳香族化合物などが挙げられる。
環構造を有する繰り返し単位(a4)としては、下記式(a4−1)または式(a4−2)で表される繰り返し単位が好ましく例示できる。
観点から、水素原子またはメチル基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。Rは水素原子または炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基であることが好ましく、水素原子がより好ましい。
観点から、メチル基が好ましい。
前記式(a4−2)におけるXは、単結合、メチレン基またはエチレン基であることが好ましく、単結合であることがより好ましい。
前記式(a4−2)における環Aは、環Aを有していることが好ましく、シクロペンテン環またはシクロペンタン環であることが好ましく、シクロペンタン環であることがより好ましい。環Aにおけるシクロペンテン環の二重結合の位置は、特に制限はなく、任意の位置であればよい。
重合体Aは、現像性の観点から、カルボキシ基または水酸基を有する繰り返し単位(a5)を有することが好ましい。但し、上記(a1)、(a2)、(a4)に該当するものを除く趣旨である。
繰り返し単位(a5)は、重合体Aがアルカリ可溶性とならない範囲で導入することが好ましい。重合体Aにおける繰り返し単位(a5)の含有量は、重合体Aの全繰り返し単位に対し、2〜20モル%が好ましく、2〜15モル%がさらに好ましく、3〜15モル%が特に好ましい。繰り返し単位(a5)を上記の割合で含有させることにより、高感度が得られ、また、現像性も良好となる。
カルボキシ基を有する繰り返し単位(a5−1)としては、例えば、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和トリカルボン酸などの、分子中に少なくとも1個のカルボキシ基を有する不飽和カルボン酸等に由来する繰り返し単位が挙げられる。
カルボキシ基を有する繰り返し単位(a5−1)を得るために用いられる不飽和カルボン酸としては、以下に例示するものが用いられる。
すなわち、不飽和モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロロアクリル酸、ケイ皮酸などが例示できる。
また、不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸などが例示できる。
また、不飽和カルボン酸としては、アクリル酸−2−カルボキシエチルエステル、メタクリル酸−2−カルボキシエチルエステル、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン等も用いることができる。
中でも、現像性の観点から、カルボキシ基を有する繰り返し単位(a5−1)を形成するためには、アクリル酸、メタクリル酸を用いることが好ましい。
酸無水物としては、公知のものが使用でき、具体的には、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物などの酸無水物が挙げられる。これらの中では、現像性の観点から、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、または無水コハク酸が好ましい。
水酸基を有する繰り返し単位(a5−2)としては、フェノール性水酸基を有する繰り返し単位(a5−2−1)が例示できる。
水酸基を有する繰り返し単位(a5−2)のうち、フェノール性水酸基を有する繰り返し単位(a5−2−1)を形成するために用いられるラジカル重合性単量体としては、例えば、p−ヒドロキシスチレン、α−メチル−p−ヒドロキシスチレン等のヒドロキシスチレン類、特開2008−40183号公報の段落0011〜0016に記載の化合物、特許第2888454号公報の段落0007〜0010に記載の4−ヒドロキシ安息香酸誘導体類、4−ヒドロキシ安息香酸とメタクリル酸グリシジルとの付加反応物、4−ヒドロキシ安息香酸とアクリル酸グリシジルとの付加反応物等を好ましいものとして挙げることができる。
アリール基末端ポリアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばフェノキシポリエチレングリコール−(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシ−ポリエチレングリコール−(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシ−ポリプロピレングリコール−(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシ−ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)−(メタ)アクリレートを好ましい例として挙げることができる。
また、繰り返し単位(a5−2)がアルキレンオキシ基を有する場合、アルキレンオキシ基の繰り返し単位数としては、1〜25が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が最も好ましい。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピル、エチレングリコール繰り返し単位が2〜10個のメトキシポリエチレングリコール−(メタ)アクリレート、エチレングリコール繰り返し単位とプロピレングリコール繰り返し単位の和が2〜10個のオクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−(メタ)アクリレートがより好ましく、エチレングリコール繰り返し単位が2〜10個のメトキシポリエチレングリコール−(メタ)アクリレートおよび2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
繰り返し単位(a5)は、1種単独または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、重合体Aにおける繰り返し単位(a5)の含有量は、重合体Aの全重量に対し、3〜30重量%であり、3〜25重量%がさらに好ましく、5〜25重量%が特に好ましい。繰り返し単位(a5)を上記の割合で含有させることにより、現像性が良好となり、高感度の感光性組成物を得ることができる。特に、前述の繰り返し単位(a2)と繰り返し単位(a5)とを組み合わせることにより、非常に高い感度の感光性樹脂組成物を得ることができる。
重合体Aは、本発明の効果を妨げない範囲で、前記繰り返し単位(a1)〜(a5)以外の繰り返し単位(a6)を含有してもよい。
繰り返し単位(a6)を形成するために用いられるラジカル重合性単量体としては、例えば、特許第4207604号公報の段落0021〜0024に記載の化合物を挙げることができる(ただし、前述の繰り返し単位(a1)〜(a5)を形成するモノマーを除く。)。
重合体Aは、繰り返し単位(a6)を1種単独で有していても、2種類以上を有していてもよい。
また、重合体Aが繰り返し単位(a6)を含む場合は、重合体Aにおける繰り返し単位(a5)の含有量は、重合体Aの全繰り返し単位に対し、1〜40モル%が好ましく、5〜30モル%がより好ましく、5〜25モル%が特に好ましい。
なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量である。
重合法では、所定の官能基を含有するモノマーを予め合成した後に、これらのモノマーを共重合する。すなわち、繰り返し単位(a1)、繰り返し単位(a2)、繰り返し単位(a3)、繰り返し単位(a4)、繰り返し単位(a5)、および、必要により繰り返し単位(a6)を形成するために用いられるラジカル重合性単量体を含むラジカル重合性単量体混合物を有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を用いて重合することにより合成することができる。
高分子反応法では、重合反応を行った後に、得られた共重合体の繰り返し単位に含まれる反応性基を利用して必要な官能基を繰り返し単位中に導入する。
前記した繰り返し単位(a1)〜(a6)の重合体Aへの導入は、重合法でも高分子反応法でもよく、これらの2方法を併用してもよい。
重合体Aは、本発明の感光性樹脂組成物に1種単独または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
樹脂主鎖末端にカルボキシル基を導入する方法としては、重合時にカルボキシル基を有する連鎖移動剤を用いる方法と、カルボキシル基を有する重合開始剤を用いる方法がある。
重合時にカルボキシル基を有する連鎖移動剤を用いる方法では、カルボキシル基を少なくとも一つ有するチオール化合物を重合時に併用する。カルボキシル基を少なくとも一つ有するチオール化合物としては以下の例がある。
開始剤量と連鎖移動剤の総和により分子量が調整されるが、全モノマー総モルに対し、0.05〜10mol%であることが好ましく、0.1〜5mol%であることがさらに好ましい。
共重合反応の反応温度は、50〜100℃であることが好ましく、60〜95℃であることがより好ましい。
カルボキシル基を有する重合開始剤としては広範に用いられるが、例として、VA−057(和光純薬工業社製)、V−501(和光純薬工業社製)が挙げられる。
共重合反応の反応温度は、50〜100℃であることが好ましく、60〜100℃であることがより好ましい。
また、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、テーパー角70°以上のベーク断面形状を形成しうるポジ型感光性樹脂組成物であることが好ましい。
前記「テーパー角」とは、パターンを形成しベーク工程を行った後の断面形状において、パターンの側面と、パターンが形成されている基板平面とのなす角である。パターンの側面の断面形状が直線でない場合は、前記断面形状において、パターン上の膜厚が半分の点における接線と、基板平面とのなす角とする。なお、パターンの側面の断面形状が半円や弓形等であり、パターン上面が認められない場合も、膜の最上部と基板との中点、すなわち膜厚1/2の点における接線と板基板平面とのなす角とする。
具体例としては、図1、図2および図3に示す各パターン断面形状におけるθがテーパー角である。
図3の例では、パターン断面形状であり、パターン上面が認められないので、膜の最上部と基板との中点、すなわち膜厚が半分の点における接線と板基板平面とのなす角をθとしている。
なお、本発明の感光性樹脂組成物中では、本発明の効果を妨げない範囲で重合体A以外の樹脂を併用してもよい。ただし、重合体A以外の樹脂の含有量は、現像性の観点から重合体Aの含有量より少ない方が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、(B)光酸発生剤を含有する。
光酸発生剤としては、波長300nm以上、好ましくは波長300〜450nmの活性光線に感応し、酸を発生する化合物が好ましいが、その化学構造に制限されるものではない。また、波長300nm以上の活性光線に直接感応しない光酸発生剤についても、増感剤と併用することによって波長300nm以上の活性光線に感応し、酸を発生する化合物であれば、増感剤と組み合わせて好ましく用いることができる。
光酸発生剤としては、pKaが4以下の酸を発生する光酸発生剤が好ましく、pKaが3以下の酸を発生する光酸発生剤がより好ましい。
光酸発生剤の例として、トリクロロメチル−s−トリアジン類、スルホニウム塩やヨードニウム塩、第四級アンモニウム塩等のオニウム塩、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物、および、オキシムスルホネート化合物などを挙げることができる。これらの中でも、高感度である観点から、オニウム塩および/またはオキシムスルホネート化合物が好ましく、オキシシムスルホネート化合物がより好ましい。これら光酸発生剤は、1種単独または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
前記式(OS−3)〜(OS−5)中、R1で表されるアルキル基としては、置換基を有していてもよい総炭素数1〜30のアルキル基であることが好ましい。
また、前記式(OS−3)〜(OS−5)中、R1で表されるアリール基としては、置換基を有してもよい総炭素数6〜30のアリール基が好ましい。
また、前記式(OS−3)〜(OS−5)中、R1で表されるヘテロアリール基としては、置換基を有してもよい総炭素数4〜30のヘテロアリール基が好ましく、少なくとも1つの複素芳香環であればよく、例えば、複素芳香環とベンゼン環とが縮環していてもよい。
R1で表されるアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基が挙げられる。
前記式(OS−3)〜(OS−5)中、化合物中に2以上存在するR2のうち、1つまたは2つがアルキル基、アリール基またはハロゲン原子であることが好ましく、1つがアルキル基、アリール基またはハロゲン原子であることがより好ましく、1つがアルキル基であり、かつ残りが水素原子であることが特に好ましい。
前記式(OS−3)〜(OS−5)中、R2で表されるアルキル基またはアリール基は、置換基を有していてもよい。
R2で表されるアルキル基またはアリール基が有していてもよい置換基としては、前記R1におけるアルキル基またはアリール基が有していてもよい置換基と同様の基が例示できる。
R2で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基が好ましく、メチル基がさらに好ましい。
R2で表されるアリール基としてフェニル基、p−メチルフェニル基、o−クロロフェニル基、p−クロロフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−フェノキシフェニル基が好ましい。
前記式(OS−3)〜(OS−5)中、XはOまたはSを表し、Oであることが好ましい。
前記式(OS−3)〜(OS−5)において、Xを環員として含む環は、5員環または6員環である。
前記式(OS−3)〜(OS−5)中、nは1または2を表し、XがOである場合、nは1であることが好ましく、また、XがSである場合、nは2であることが好ましい。
前記式(OS−3)〜(OS−5)中、R6で表されるアルキル基としては、置換基を有していてもよい総炭素数1〜30のアルキル基であることが好ましい。
R6で表されるアルキルオキシ基としては、メチルオキシ基、エチルオキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、フェノキシエチルオキシ基、トリクロロメチルオキシ基、または、エトキシエチルオキシ基が好ましい。
R6におけるアミノスルホニル基としては、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、メチルフェニルアミノスルホニル基、アミノスルホニル基が挙げられる。
R6で表されるアルコキシスルホニル基としては、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基、プロピルオキシスルホニル基、ブチルオキシスルホニル基が挙げられる。
前記式(OS−6)におけるR7は、水素原子または臭素原子を表し、水素原子であることが好ましい。
前記式(OS−6)〜(OS−11)におけるR8は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子、クロロメチル基、ブロモメチル基、ブロモエチル基、メトキシメチル基、フェニル基またはクロロフェニル基を表し、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子またはフェニル基であることが好ましく、炭素数1〜8のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜6のアルキル基であることがさらに好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
前記式(OS−8)および(OS−9)におけるR9は、水素原子、ハロゲン原子、メチル基またはメトキシ基を表し、水素原子であることが好ましい。
前記式(OS−8)〜(OS−11)におけるR10は、水素原子またはメチル基を表し、水素原子であることが好ましい。
また、前記オキシムスルホネート化合物において、オキシムの立体構造(E,Z)については、どちらか一方であっても、混合物であってもよい。
Xは−O−、−S−、−NH−、−NR5−、−CH2−、−CR6H−、または−CR6R7−を表し、R5〜R7はアルキル基、またはアリール基を表す。
R21〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アミド基、スルホ基、シアノ基、またはアリール基を表す。R21〜R24のうち2つは、それぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
R21〜R24としては、水素原子、ハロゲン原子、およびアルキル基が好ましく、また、R21〜R24のうち少なくとも2つが互いに結合してアリール基を形成する態様もまた、好ましく挙げられる。中でも、R21〜R24がいずれも水素原子である態様が感度の観点から好ましい。
前記した置換基は、いずれも、さらに置換基を有していてもよい。
これらの中でも、式(OS−1)および式(OS−2)におけるR1がシアノ基、またはアリール基である態様がより好ましく、式(OS−2)で表され、R1がシアノ基、フェニル基またはナフチル基である態様が最も好ましい。
前記式(B−1)のRB5における炭素数1〜8のアルキル基、及び、ノナフルオロブチル基は、直鎖であっても、分岐を有していてもよい。
また、前記RB5におけるアルキル基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。
また、前記RB5におけるカンホリル(camphoryl)基と硫黄原子との結合位置は、特に制限はないが、10位であることが好ましい。すなわち、前記カンホリル基は、10−カンホリル基であることが好ましい。
前記式(B−1)におけるRB5は、メチル基、n−プロピル基、n−オクチル基、p−トルイル基又はカンホリル基が好ましく、n−プロピル基、n−オクチル基、p−トルイル基又はカンホリル基であることがより好ましく、n−プロピル基又はp−トルイル基であることが更に好ましい。
これらの詳細は、特開2010−282178号公報の0062〜0066の記載を参酌することができる。
R4Aで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子または臭素原子が好ましい。
R4Aで表される炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル基またはエチル基が好ましい。
R4Aで表される炭素原子数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基またはエトキシ基が好ましい。
Lとしては、0〜2が好ましく、0〜1が特に好ましい。
α−(エチルスルホニルオキシイミノ)ベンジルシアニド(R1A=フェニル基、R2A=シアノ基、R3A=エチル基)
α−(n−プロピルスルホニルオキシイミノ)ベンジルシアニド(R1A=フェニル基、R2A=シアノ基、R3A=n−プロピル基)
α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)ベンジルシアニド(R1A=フェニル基、R2A=シアノ基、R3A=n−ブチル基)
α−(4−トルエンスルホニルオキシイミノ)ベンジルシアニド(R1A=フェニル基、R2A=シアノ基、R3A=4−トリル基)
α−〔(メチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル〕アセトニトリル(R1A=4−メトキシフェニル基、R2A=シアノ基、R3A=メチル基)
α−〔(エチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル〕アセトニトリル(R1A=4−メトキシフェニル基、R2A=シアノ基、R3A=エチル基)
α−〔(n−プロピルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル〕アセトニトリル(R1A=4−メトキシフェニル基、R2A=シアノ基、R3A=n−プロピル基)
α−〔(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル〕アセトニトリル(R1A=4−メトキシフェニル基、R2A=シアノ基、R3A=n−ブチル基)
α−〔(4−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル〕アセトニトリル(R1A=4−メトキシフェニル基、R2A=シアノ基、R3A=4−トリル基)
R5、R6およびR7における芳香族基としては、炭素数6〜30の芳香族基が好ましく、置換基を有していてもよい。そのような芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、4−メトキシフェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ターシャリーブチルフェニル基、4−フェニルチオフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、4−メトキシ−1−ナフチル基、4−(4’−ジフェニルスルホニオフェニルチオ)フェニル基が挙げられる。
式(2)中、R8およびR9における芳香族基の好ましい例は、R5、R6およびR7の例と同一である。
R5、R6、R7、R8およびR9における置換基としては、特に芳香族基が好ましく、具体的にはフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−クロロフェニル基、4−(4’−ジフェニルスルホニオフェニルチオ)フェニル基が特に好ましい。
また、式(1)または式(2)で表される酸発生剤は、R5〜R9のいずれかで結合し、2量体等の多量体を形成してもよい。例えば、前記4−(4’−ジフェニルスルホニオフェニルチオ)フェニル基は2量体の一例であり、前記4−(4’−ジフェニルスルホニオフェニルチオ)フェニル基における対アニオンは、BY4 -、PY6 -、AsY6 -、SbY6 -、または、式(3)若しくは式(4)で表される一価のアニオンであることが好ましい。
式(3)および式(4)中、R21、R22およびR23における炭素原子数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ターシャリーブチル基、シクロヘキシル基、オクチル基等を挙げることができる。また、炭素原子数1〜10のフッ素原子を有するアルキル基としては、例えばトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、ドデカフルオロペンチル基、パーフルオロオクチル基等を挙げることができる。これらのうち、R21、R22およびR23は炭素原子数1〜10のフッ素原子を有するアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜6のフッ素原子を有するアルキル基がより好ましく、炭素原子数1〜4のフッ素原子を有するアルキル基が感度の点で特に好ましい。
式(3)および式(4)中、R21とR22とが互いに結合して環を形成する場合の炭素原子数2〜6のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等を挙げることができる。また、炭素原子数2〜6のフッ素原子を含有するアルキレン基としては、テトラフルオロエチレン基、ヘキサフルオロプロピレン基、オクタフルオロブチレン基、デカフルオロペンチレン基、ドデカフルオロヘキシレン基等を挙げることができる。これらのうち、R21とR22とが互いに結合して環を形成する場合は炭素原子数2〜6のフッ素原子を有するアルキレン基で結合することが好ましく、炭素原子数2〜4のフッ素原子を有するアルキレン基で結合することがより好ましく、炭素原子数3のフッ素原子を有するアルキレン基で結合することが特に感度の点で好ましい。
また、式(3)および式(4)においては、R21とR22とが互いに炭素原子数2〜6のアルキレン基若しくは炭素原子数2〜6のフッ素原子を有するアルキレン基で結合した環であることが好ましい。
式(1)および式(2)中において、X-は、BY4 -、PY6 -、または、式(3)若しくは式(4)で表される一価のアニオンであることが好ましく、式(3)で表される一価のアニオンであることが感度の点で特に好ましい、
また、式(5)のAr3およびAr4における二価の芳香族基としては、フェニレン基またはナフチレン基であることが好ましく、フェニレン基が特に好ましい。
以下に式(1)または式(2)で表される化合物の例を挙げる。中でも、PAG−7、PAG−12、および、PAG−14が好ましく、PAG−12が特に好ましい。
これに対してオキシムスルホネート化合物は、活性光線に感応して生成する酸が保護された酸性基の脱保護に対して触媒として作用するので、1個の光量子の作用で生成した酸が、多数の脱保護反応に寄与し、量子収率は1を超え、例えば、10の数乗のような大きい値となり、いわゆる化学増幅の結果として、高感度が得られるものと推測される。
本発明の感光性樹脂組成物は、(C)溶剤を含有していてもよい。
本発明の感光性樹脂組成物は、必須成分である重合体Aおよび成分B、並びに、好ましい成分である後述の各種添加剤の任意成分を、(C)溶剤に溶解した溶液として調製されることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物に使用される(C)溶剤としては、公知の溶剤を用いることができ、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エステル類、ケトン類、アミド類、ラクトン類等が例示できる。
上記した溶剤のうち、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、および/または、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが特に好ましい。
これら溶剤は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じ、(D)熱架橋剤を含有することが好ましい。(成分D)熱架橋剤を添加することにより、ベーク工程での熱フローを抑制することができる。なお、本発明における(D)は、重合体A以外のものとする。
熱架橋剤としては、アルコキシメチル基含有架橋剤、後述するエポキシ基を有するエポキシ樹脂やカルボキシ基を有する(メタ)アクリル樹脂等が好ましく例示できる。
アルコキシメチル基含有架橋剤も好適に用いることができ、メチロール化メラミン化合物を少なくとも含むことが好ましい。
アルコキシメチル基含有架橋剤としては、アルコキシメチル化メラミン、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン、アルコキシメチル化グリコールウリルおよびアルコキシメチル化尿素等が好ましい。これらは、それぞれメチロール化メラミン、メチロール化ベンゾグアナミン、メチロール化グリコールウリル、または、メチロール化尿素のメチロール基をアルコキシメチル基に変換することにより得られる。このアルコキシメチル基の種類については特に限定されるものではなく、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基等を挙げることができるが、アウトガスの発生量の観点から、メトキシメチル基が特に好ましい。
これらの架橋性化合物のうち、アルコキシメチル化メラミン、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン、アルコキシメチル化グリコールウリルが好ましい架橋性化合物として挙げられ、透明性の観点から、アルコキシメチル化グリコールウリルが特に好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、膜の硬化収縮を抑制してベーク後の矩形プロファイルを得るため、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基およびカルボキシ基を有する化合物を添加することが有効である。
(E)としては、重量平均分子量が1,000以上の樹脂であることが好ましい。
具体的には、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基および/またはカルボキシ基を含む繰り返し単位を含む共重合体が挙げられる。
また、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のホモポリマーのように、前記官能基を全く含まない化合物も、成分(E)として添加することができる。
なお、本発明においては、(E)が、前記架橋剤の定義を満たす場合には、その両方に分類する。例えば、(E)がエポキシ樹脂である場合、前記エポキシ樹脂は(D)架橋剤であり、かつ(E)である。なお、本発明における成分(E)は、重合体A以外のものとする。
また、エポキシ当量、オキセタニル当量、水酸基当量およびカルボキシ基当量の測定方法としては、特に制限はなく、公知の方法を用いることができ、例えば、特定量の化合物中における前記基の含有量を滴定等により測定することにより算出することができる。例えば、JIS K7236,K0070等に記載された方法を参照し、測定することができる。
成分(E)としては、エポキシ樹脂が好ましく挙げられる。エポキシ樹脂を添加することで、ベーク時の熱フローを抑制することができる。さらに、エポキシ樹脂は、架橋膜の硬化収縮を抑制して矩形または矩形に近いプロファイルを得るため、エポキシ当量が大きいものがよい。具体的には400g/eq以上が好ましく、400〜1,000g/eqがより好ましく、400〜600g/eqが特に好ましい。上記範囲であると、硬化収縮が小さいために矩形または矩形に近いプロファイルを得ることができ、また、硬化膜作製時のプロセス条件の許容範囲が大きい。
なお、エポキシ当量の測定方法は、JIS K7236に準拠することが好ましい。
EPICLON 1050、1055、3050,4050,7050、AM−020−P、AM−040−P、HM−091、HM−101、1050−70X、1050−75X、1055−75X、1051−75M、7070−40K、HM−091−40AX、152、153、153−60T、153−60M、1121N−80M、1123P−75M、TSR−601、1650−75MPX、5500、5800、5300−70、5500−60、EXA−4850−150、EXA−4850−1000、EXA−4816、EXA−4822(以上、DIC(株)製)、
エポキシ樹脂1001、1002、1003、1055、1004、1004AF、1007、1009、1010、1003F、1004F、1005F、1009F、1004FS、1006FS、1007FS、1001B80、1001X70、1001X75、1001T75、4004P、4005P、4007P、4010P、1256、4250、4275、5046B80、5047B75、5050T60、5050、5051、871、872、872X75(以上、三菱化学(株)製)、
YD−011、YD−012、YD−013、YD−014、YD−017、YD−019、YD−020G、YD−7011R、YD−901、YD−902、YD−903N、YD−904、YD−907、YD−6020、YDF−2001、YDF−2004、YDF−2005RL、YDB−400、YDB−405、YDB−400T60、YDB−400EK60、YDB−500EK80、FX−305EK70、ERF−001M30(以上、新日鐵化学(株)製)。
エポキシ樹脂は、1種単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、より矩形に近いプロファイルを得る観点から、アルコキシメチル基含有架橋剤、および、エポキシ樹脂を含有していることが好ましい。
成分(E)としては、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。
カルボキシ基を有する(メタ)アクリル樹脂としては、架橋膜の硬化収縮を抑制して矩形プロファイルを得るため、カルボキシ基当量が大きいものがよい。具体的には400g/eq以上が好ましく、400〜1,000g/eqがより好ましく、400〜600g/eqが特に好ましい。
カルボキシ基を有する(メタ)アクリル樹脂は、公知の(メタ)アクリル単量体を用いて、カルボキシ基当量の調整は、単量体の種類、量比を調整して得ることができる。
アクリル単量体としては、例えば、不飽和モノカルボン酸、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類(メタ)アクリルアミド類が好ましい。
この様な単量体の具体例としては、例えば、以下の様な化合物が挙げられる。
不飽和モノカルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−クロロアクリル酸、ケイ皮酸が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−tertブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリンなどが挙げられる。
これらの中でも、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル樹脂は、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体であることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物には、前記重合体A〜成分E以外のその他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、感度の観点から、(成分F)増感剤を含有することが好ましい。また、感度の観点から、(成分G)現像促進剤を添加することが好ましい。
さらに、本発明の感光性樹脂組成物は、基板密着性の観点から(成分H)密着改良剤を含有することが好ましく、液保存安定性の観点から(成分I)塩基性化合物を含有することが好ましく、塗布性の観点から(成分J)界面活性剤(フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤など)を含有することが好ましい。
さらに、必要に応じて、本発明の感光性樹脂組成物には、(成分K)酸化防止剤、(成分L)可塑剤、および、(成分M)熱ラジカル発生剤、(成分N)熱酸発生剤、(成分O)酸増殖剤、紫外線吸収剤、増粘剤、および、有機または無機の沈殿防止剤などの、公知の添加剤を加えることができる。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、より矩形に近いプロファイルを得る観点から、メチロール架橋剤、エポキシ樹脂、(成分H)密着改良剤、(成分I)塩基性化合物、および、(成分J)界面活性剤を含有することが好ましく、アルコキシメチル基含有架橋剤、エポキシ樹脂、(成分H)密着改良剤、(成分I)塩基性化合物、および、(成分J)界面活性剤を含有することが特に好ましい。
以下、本発明の感光性樹脂組成物に含むことができるその他の成分を説明する。
本発明の感光性樹脂組成物において、前述の(成分B)光酸発生剤との組み合わせにおいて、その分解を促進させるために(成分F)増感剤を添加することが好ましい。増感剤は、活性光線または放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、光酸発生剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用が生じる。これにより光酸発生剤は化学変化を起こして分解し、酸を生成する。
好ましい増感剤の例としては、特開2011−074314号7公報の段落番号0162〜0168に記載のものを好ましく採用できる。
増感剤の添加量は、感度、透明性の両立の観点から、(成分B)光酸発生剤100重量部に対して、20〜300重量部が好ましく、30〜200重量部が特に好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、(成分G)現像促進剤を含有することが好ましい。
(成分G)現像促進剤としては、現像促進効果のある任意の化合物を使用できるが、カルボキシ基、フェノール性水酸基、および、アルキレンオキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構造を有する化合物であることが好ましく、カルボキシ基またはフェノール性水酸基を有する化合物がより好ましく、フェノール性水酸基を有する化合物が最も好ましい。
また、(成分G)現像促進剤の分子量としては、100〜2,000が好ましく、150〜1,500がさらに好ましく、150〜1,000が特に好ましい。
カルボキシ基を有するものとしては、特開2000−66406号公報、特開平9−6001号公報、特開平10−20501号公報、特開平11−338150号公報等に記載の化合物を挙げることができる。
フェノール性水酸基を有するものとしては、特開2005−346024号公報、特開平10−133366号公報、特開平9−194415号公報、特開平9−222724号公報、特開平11−171810号公報、特開2007−121766号公報、特開平9−297396号公報、特開2003−43679号公報等に記載の化合物を挙げる事ができる。これらの中でも、ベンゼン環数が2〜10個のフェノール化合物が好適であり、ベンゼン環数が2〜5個のフェノール化合物がさらに好適である。特に好ましいものとしては、特開平10−133366号公報に溶解促進剤として開示されているフェノール性化合物を挙げることができる。
本発明の感光性樹脂組成物における(成分G)現像促進剤の添加量は、感度と残膜率の観点から、重合体A100重量部に対し、0.1〜30重量部が好ましく、0.2〜20重量部がより好ましく、0.5〜10重量部であることが最も好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、(成分H)密着改良剤を含有することが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物に用いることができる(成分H)密着改良剤は、基板となる無機物、例えば、シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン等のシリコン化合物、金、銅、アルミニウム等の金属と絶縁膜との密着性を向上させる化合物である。具体的には、シランカップリング剤、チオール系化合物等が挙げられる。本発明で使用される(成分H)密着改良剤としてのシランカップリング剤は、界面の改質を目的とするものであり、特に限定することなく、公知のものを使用することができる。
これらのうち、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、および、γ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランがより好ましく、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランがさらに好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物における(成分H)密着改良剤の含有量は、重合体A100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、0.5〜10重量部がより好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、(成分I)塩基性化合物を含有することが好ましい。
(成分I)塩基性化合物としては、化学増幅レジストで用いられるものの中から任意に選択して使用することができる。例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、第四級アンモニウムヒドロキシド、および、カルボン酸の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、ベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ジフェニルアミンなどが挙げられる。
複素環式アミンとしては、例えば、ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、N−メチル−4−フェニルピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8−オキシキノリン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.3.0]−7−ウンデセンなどが挙げられる。
第四級アンモニウムヒドロキシドとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
カルボン酸の第四級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムベンゾエート、テトラ−n−ブチルアンモニウムアセテート、テトラ−n−ブチルアンモニウムベンゾエートなどが挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物における(成分I)塩基性化合物の含有量は、重合体A100重量部に対して、0.001〜1重量部であることが好ましく、0.002〜0.2重量部であることがより好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、(成分J)界面活性剤(フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤など)を含有することが好ましい。
界面活性剤としては、下記に示す構成単位Aと構成単位Bとを含む共重合体(3)を好ましい例として挙げることができる。該共重合体の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜10,000以下であることが好ましく、1,500以上5,000以下であることがより好ましい。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定されるポリスチレン換算の値である。
構成単位B中におけるLは、下記式(4)で表されるアルキレン基であることが好ましい。
また、pとqとの和(p+q)は、p+q=100、すなわち、100重量%であることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物における(成分J)界面活性剤(フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤など)の添加量は、重合体A100重量部に対して、10重量部以下であることが好ましく、0.01〜10重量部であることがより好ましく、0.01〜1重量部であることがさらに好ましい。
本発明で用いる酸化防止剤は、特開2011−170305号公報の段落番号0086〜0087の記載を参酌できる。
本発明の感光性樹脂組成物は、(成分L)可塑剤を含有してもよい。
(成分L)可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジメチルグリセリンフタレート、酒石酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、トリアセチルグリセリンなどが挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物における(成分L)可塑剤の含有量は、重合体A100重量部に対して、0.1〜30重量部であることが好ましく、1〜10重量部であることがより好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、(成分M)熱ラジカル発生剤を含んでいてもよく、前述の少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物のようなエチレン性不飽和化合物を含有する場合、(成分M)熱ラジカル発生剤を含有することが好ましい。熱ラジカル発生剤の詳細は、特開2011−170305公報の段落番号0113を参酌できる。
(成分M)熱ラジカル発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用することも可能である。
本発明の感光性樹脂組成物における(成分M)熱ラジカル発生剤の含有量は、膜物性向上の観点から、重合体Aを100重量部としたとき、0.01〜50重量部が好ましく、0.1〜20重量部がより好ましく、0.5〜10重量部であることが最も好ましい。
本発明では、低温硬化での膜物性等を改良するために、(成分N)熱酸発生剤を使用してもよい。
熱酸発生剤とは、熱により酸が発生する化合物であり、通常、熱分解点が130℃〜250℃、好ましくは150℃〜220℃の範囲の化合物であり、例えば、加熱によりスルホン酸、カルボン酸、ジスルホニルイミドなどの低求核性の酸を発生する化合物である。
発生酸としてはpKaが2以下と強い、スルホン酸や電子求引基の置換したアルキルカルボン酸またはアリールカルボン酸、同じく電子求引基の置換したジスルホニルイミドなどが好ましい。電子求引基としてはフッ素原子などのハロゲン原子、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基、ニトロ基、シアノ基を挙げることができる。
露光光の照射によって実質的に酸を発生していないことは、化合物の露光前後でのIRスペクトル、NMRスペクトル測定により、スペクトルに変化がないことで判定することができる。
熱酸発生剤の分子量は、230〜1,000が好ましく、230〜800がより好ましい。
熱酸発生剤の感光性樹脂組成物への含有量は、重合体A100重量部に対し、0.5〜20重量部が好ましく、1〜15重量部が特に好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、感度向上を目的に、(成分O)酸増殖剤を用いることができる。本発明において用いる酸増殖剤は、酸触媒反応によってさらに酸を発生して反応系内の酸濃度を上昇させることができる化合物であり、酸が存在しない状態では安定に存在する化合物である。このような化合物は、1回の反応で1つ以上の酸が増えるため、反応の進行に伴って加速的に反応が進むが、発生した酸自体が自己分解を誘起するため、ここで発生する酸の強度は、酸解離定数、pKaとして3以下であるのが好ましく、特に2以下であるのが好ましい。
酸増殖剤の具体例としては、特開平10−1508号公報の段落0203〜0223、特開平10−282642号公報の段落0016〜0055、および、特表平9−512498号公報第39頁12行目〜第47頁2行目に記載の化合物を挙げることができる。
本発明のパターン作製方法は、本発明の感光性樹脂組成物を用いてパターンを作製する方法であれば、特に制限はないが、本発明の感光性樹脂組成物から溶剤を除去し膜を形成する膜形成工程、前記膜を活性光線によりパターン状に露光する露光工程、露光された前記膜を水性現像液により現像しパターンを形成する現像工程、および、前記パターンを加熱するベーク工程、を含むことが好ましい。
本発明におけるパターン作製方法は、以下の(1)〜(6)の工程を含むことがより好ましい。
(1)本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布する工程
(2)塗布された感光性樹脂組成物から溶剤を除去する工程
(3)溶剤が除去された感光性樹脂組成物を活性光線によりパターン状に露光する工程
(4)露光された感光性樹脂組成物を水性現像液により現像する工程
(5)現像された感光性樹脂組成物を活性光線により露光する工程(ポスト露光)
(6)現像された感光性樹脂組成物を熱硬化するベーク工程
前記膜形成工程は、上記塗布工程および上記溶剤除去工程であることが好ましい。
以下に各工程を順に説明する。
本発明の感光性樹脂組成物は、乾燥後の膜厚が4μm以上である、いわゆる厚膜レジストとして好適に用いられる。これは、本発明が高感度であることと、形状制御性が良いためである。膜厚としては4〜500μmが好ましく、4〜100μmが特に好ましい。
活性光線による露光には、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、レーザ発生装置などを用いることができる。
水銀灯を用いる場合には、g線(436nm)、i線(365nm)、h線(405nm)などの波長を有する活性光線が好ましく使用できる。水銀灯はレーザに比べると、大面積の露光に適するという点で好ましい。
レーザの1パルス当たりのエネルギー密度は、0.1mJ/cm2以上10,000mJ/cm2以下であることが好ましい。塗膜を十分に硬化させるには、0.3mJ/cm2以上がより好ましく、0.5mJ/cm2以上が最も好ましく、アブレーション現象により塗膜を分解させないようにするには、1,000mJ/cm2以下がより好ましく、100mJ/cm2以下が最も好ましい。また、パルス幅は0.1nsec以上30,000nsec以下であることが好ましい。アブレーション現象により色塗膜を分解させないようにするには、0.5nsec以上がより好ましく、1nsec以上が最も好ましく、スキャン露光の際に合わせ精度を向上させるには、1,000nsec以下がより好ましく、50nsec以下が最も好ましい。
さらに、レーザの周波数は1Hz以上50,000Hz以下であることが好ましい。露光処理時間を短くするには、10Hz以上がより好ましく、100Hz以上が最も好ましく、スキャン露光の際に合わせ精度を向上させるには、10,000Hz以下がより好ましく、1,000Hz以下が最も好ましい。
レーザは水銀灯と比べると、焦点を絞ることが容易であり、露光工程でのパターン形成のマスクが不要でコストダウンできるという点で好ましい。
本発明に使用可能な露光装置としては、特に制限はないが市販されているものとしては、Callisto((株)ブイ・テクノロジー製)やAEGIS((株)ブイ・テクノロジー製)やDF2200G(大日本スクリーン製造(株)製)などが使用可能である。また上記以外の装置も好適に用いられる。
また、必要に応じて長波長カットフィルタ、短波長カットフィルタ、バンドパスフィルタのような分光フィルタを通して照射光を調整することもできる。
本発明における繰り返し単位(a1)中の酸分解性基は、酸分解の活性化エネルギーが低く、露光による酸発生剤由来の酸により容易に分解し、カルボキシ基を生じるため、必ずしもPEBを行うことなく、現像によりポジ画像を形成することもできる。
なお、比較的低温でPEBを行うことにより、架橋反応を起こすことなく、酸分解性基の加水分解を促進することもできる。PEBを行う場合の温度は、30℃以上130℃以下であることが好ましく、40℃以上110℃以下がより好ましく、50℃以上90℃以下が特に好ましい。
アルカリ性現像液に使用できる塩基性化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩類;重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムなどのアルカリ金属重炭酸塩類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリンヒドロキシド等のアンモニウムヒドロキシド類;ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの水溶液を使用することができる。また、上記アルカリ類の水溶液にメタノールやエタノールなどの水溶性有機溶剤や界面活性剤を適当量添加した水溶液を現像液として使用することもできる。
現像液のpHは、10.0〜14.0であることが好ましい。
現像時間は、30〜180秒間であることが好ましく、また、現像の手法は液盛り法、ディップ法、シャワー法等のいずれでもよい。現像後は、流水洗浄を10〜90秒間行い、所望のパターンを形成させることが好ましい。
すなわち、本発明における硬化膜の形成方法は、現像工程とベーク工程との間に、活性光線により再露光する再露光工程を含むことが好ましい。
再露光工程における露光は、前記露光工程と同様の手段により行えばよいが、前記再露光工程では、基板の本発明の感光性樹脂組成物により膜が形成された側に対し、全面露光を行うことが好ましい。再露光工程の好ましい露光量としては、100〜1,000mJ/cm2である。
矩形または矩形に近いプロファイルを得るためには、異なる温度で2段階の加熱を行ういわゆる2段ベークを行うことが好ましい。2段ベークを行うことで、まず1段目のベークで膜をある程度硬化させ形状を決定し、さらに2段目のベークによって膜を焼成して必要な耐久性を付与することができる。1段目のベーク温度としては、90℃〜150℃が好ましく、時間は10〜60分が好ましい。2段目のベーク温度としては、180〜250℃が好ましく、時間は30〜90分が好ましい。
また、3段以上のベーク工程を行うことも可能である。
前記ベーク工程後の前記パターンの断面形状におけるテーパー角は、60°以上であることが好ましく、70°以上であることがより好ましく、80°以上であることが特に好ましい。
本発明のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)構造体の作製方法は、本発明のパターン作製方法により作製したパターンを構造体積層時の犠牲層として用いて構造体を作製する工程、および、前記犠牲層をプラズマ処理にて除去する工程、を含むことが好ましい。
本発明のMEMS構造体は、本発明のパターン作製方法で作製したパターンを構造物積層時の犠牲層として用いて作製されたMEMS構造体である。
本発明のMEMSシャッターデバイスは、本発明のMEMS構造体の作製方法により作製したMEMSシャッターデバイスである。
本発明の画像形成装置は、本発明のMEMSシャッターデバイスを備えたものであることが好ましい。
MEMS(Micro Electro Mechanical System)とは、マイクロサイズ以下の微小な構
造を有する電子機械素子またはシステムやマイクロマシンのことを指し、例えば、機械駆動部品、センサー、アクチュエータ、電子回路を1つのシリコン基板、ガラス基板、有機材料などの上に集積化したデバイスが挙げられる。
また、MEMSシャッターデバイス、および、MEMSシャッターデバイスを備えた画像形成装置としては、特表2008−533510号公報に記載のものが例示できる。
また、本発明において使用することができるMEMS犠牲層の下地材料としては、シリコン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、ガラス、ガラス−セラミックス、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、鋼、銅−シリコン合金、インジウム−スズ酸化物被覆ガラス;ポリイミドおよびポリエステルなどの有機フィルム;金属、半導体、および絶縁材料のパターニング領域を含有する任意の基板などが含まれるが、それらに限定されない。場合によって、本発明の感光性樹脂組成物を塗布する前に、吸収された湿分を除去するため基板上でベークステップを実施できる。
本発明のドライエッチング方法は、本発明のパターン作製方法で作製したパターンをドライエッチング用レジストとして用いてドライエッチングを行う工程、および、前記パターンをプラズマ処理または薬品処理により除去する工程、を含むこと好ましい。
また、本発明において使用することができる被ドライエッチング材料としては、シリコン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、ガラス、ガラス−セラミックス、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、鋼、銅−シリコン合金、インジウム−スズ酸化物被覆ガラス;金属、半導体、および、絶縁材料のパターニング領域を含有する任意の基板などが含まれるが、それらに限定されない。
また、プラズマエッチングには、例えば、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノンの中から選ばれる不活性ガス、O2、CF4、C2F4、N2、CO2、SF6、CHF3、少なくともO、N、FまたはClを含む反応性ガスを好ましく使用することができる。
本発明のウェットエッチング方法は、本発明のパターン作製方法で作製したパターンをウェットエッチング用レジストとして用いてウェットエッチングを行う工程、および、前記パターンをプラズマ処理または薬品処理により除去する工程、を含むことが好ましい。
また、本発明において使用することができる被ウェットエッチング材料としては、シリコン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、ガラス、ガラス−セラミックス、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、鋼、銅−シリコン合金、インジウム−スズ酸化物被覆ガラス;金属、半導体、および、絶縁材料のパターニング領域を含有する任意の基板などが含まれるが、それらに限定されない。
MEMS用犠牲層として用いる場合、MEMSの複雑な形状からレジストを除去するために、ドライプロセスによる剥離を行うことが好ましい。特に、酸素プラズマ処理が好ましい。
ウェットエッチングやドライエッチング用レジストとして平面レジストとして使用した場合でも、酸素プラズマ処理が好適に用いられるが、薬液による加熱処理によってレジストを剥離除去することも可能である。
MATHF:メタクリル酸2−テトラヒドロフラニル(合成品)
MAEVE:メタクリル酸1−エトキシエチル(和光純薬工業製)
MATB:メタクリル酸ターシャリーブチル(東京化成工業製)
OXE−30:メタクリル酸3−エチル−3オキセタニル(大阪有機化学工業製)
GMA:グリシジルメタクリレート(和光純薬製)
THFCH2OH:メタクリル酸テトラヒドロフルフリル(東京化成工業製)
St:スチレン
DCPM:メタクリル酸ジシクロペンタニル(東京化成工業製)
HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(和光純薬工業製)
V−65:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業製)
V−601:ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬製)
VA−057:2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン](和光純薬工業製)
V−501:4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(和光純薬工業製)
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(昭和電工製)
連鎖移動剤A:チオリンゴ酸 (東京化成工業製)
連鎖移動剤B:3―メルカプトプロピオン酸(東京化成工業製)
連鎖移動剤C:チオプロニン(東京化成工業製)
連鎖移動剤D:チオグリコール酸(東京化成工業製)
連鎖移動剤E:カプトプリル(東京化成工業製)
<合成例1:MATHFの合成>
3つ口フラスコにメタクリル酸50.33g(0.585mol)、カンファースルホン酸0.27g(0.2mol%)を混合して15℃に冷却した。その溶液に2,3−ジヒドロフラン41.00g(0.585mol)滴下した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(500mL)を加え、酢酸エチル(500mL)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥した。不溶物を濾過後40℃以下で減圧濃縮減圧し、残渣の無色油状物を減圧蒸留することで沸点(bp.)54〜56℃/3.5mmHg留分の73.02gのMATHFを得た。
3つ口フラスコにPGMEA(31.0g)を入れ、窒素雰囲気下において80℃に昇温した。その溶液にMATHF(19.5g)、HEMA(4.07g)、OXE−30(17.27g)、V−601(0.21g、モノマーに対して0.38mol%)、連鎖移動剤として、チオリンゴ酸(0.56g、モノマーに対し1.5mol%)をPGMEA(31.0g)に溶解させ、2時間かけて滴下した。滴下終了後4時間撹拌し、反応を終了させた。それにより特定樹脂Aを得た。重量平均分子量は19,000であった。
重合体A−1の合成で使用した各モノマーを表1に記載の各繰り返し単位(a1)〜(a5)を形成するモノマーに変更し、各繰り返し単位を形成するモノマーの使用量を表1に記載のものに変更した点と、基質に応じてラジカル重合開始剤V−601、VA−057、V−501、V−65を適切に用いた点と、表に記載の連鎖移動剤を必要に応じて用いた点以外は、重合体A−1の合成と同様にして、重合体A−2〜A−29をそれぞれ合成した。ラジカル重合開始剤V−601、VA−057、V−501、V−65の添加量は、表1に記載の分子量となるようにそれぞれ調整した。
(1)感光性樹脂組成物の調製
下記表2に示す各成分を混合した。ここで、バインダーポリマーについては、下記表3に示す重合体A−1〜A−29のいずれかを用いた。比較例3については、特許第4302178号明細書の実施例1に記載の組成物を採用した。
混合した成分を均一な溶液とした後、0.1μmのポアサイズを有するポリテトラフルオロエチレン製フィルタを用いてろ過して、実施例および比較例の感光性樹脂組成物をそれぞれ調製した。得られた実施例および比較例の感光性樹脂組成物を使用し、後述する評価をそれぞれ行った。評価結果を表3および表4に示す。
B1:CGI1397(下記化合物、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
B2:α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)フェニルアセトニトリル(合成方法は、下記に示した通りである。)
B3:下記合成方法により合成したオキシムスルホネート化合物
B4:下記に示す構造(Chem. Commun. , 2009, vol.7, p.827に記載の方法で合成)
B5:下記に示す構造(US4329300A1に記載の方法で合成)
F1:9,10−ジブトキシアントラセン(DBA)(9,10−ジブトキシアントラセン、川崎化成工業製)
I1:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、東京化成株式会社製、D1313
I2:2,4,5−トリフェニルイミダゾール(東京化成株式会社製、T0999)
E5:EPICLON EXA−4816(DIC(株)製、エポキシ当量:403g/eq)) D1:ニカラック MW−100LM((株)三和ケミカル製)
E9:JER157S65(三菱化学(株)製、エポキシ当量:200〜220g/eq)
J1:下記に示す化合物W−3
H1:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403(信越化学工業(株)製))
C1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
特表2002−528451号公報の段落0108に記載の方法に従って、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)フェニルアセトニトリルを合成した。
2−ナフトール(10g)、クロロベンゼン(30mL)の懸濁溶液に塩化アルミニウム(10.6g)、2−クロロプロピオニルクロリド(10.1g)を添加し、混合液を40℃に加熱して2時間反応させた。氷冷下、反応液に4NHCl水溶液(60mL)を滴下し、酢酸エチル(50mL)を添加して分液した。有機層に炭酸カリウム(19.2g)を加え、40℃で1時間反応させた後、2NHCl水溶液(60mL)を添加して分液し、有機層を濃縮後、結晶をジイソプロピルエーテル(10mL)でリスラリーし、ろ過、乾燥してケトン化合物(6.5g)を得た。
得られたケトン化合物(3.0g)、メタノール(30mL)の懸濁溶液に酢酸(7.3g)、50%ヒドロキシルアミン水溶液(8.0g)を添加し、加熱還流した。放冷後、水(50mL)を加え、析出した結晶をろ過、冷メタノール洗浄後、乾燥してオキシム化合物(2.4g)を得た。
得られたオキシム化合物(1.8g)をアセトン(20mL)に溶解させ、氷冷下トリエチルアミン(1.5g)、p−トルエンスルホニルクロリド(2.4g)を添加し、室温に昇温して1時間反応させた。反応液に水(50mL)を添加し、析出した結晶をろ過後、メタノール(20mL)でリスラリーし、ろ過、乾燥してB3(2.3g)を得た。
なお、B3の1H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl3)は、δ=8.3(d,1H),8.0(d,2H),7.9(d,1H),7.8(d,1H),7.6(dd,1H),7.4(dd,1H)7.3(d,2H),7.1(d.1H),5.6(q,1H),2.4(s,3H),1.7(d,3H)であった。
(1)感度の評価(PEB無し)
シリコン酸化膜を有するシリコンウエハ上に感光性樹脂組成物をスピン塗布した後、90℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークして膜厚4μmの塗膜を形成した。
次に、i線ステッパー(キヤノン(株)製FPA−3000i5+)を用いて、所定のマスクを介して露光した。露光後10分間基板を室温で放置した後、0.4質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により23℃で60秒間液盛り法により現像し、さらに超純水で45秒間リンスした。これらの操作により10μmのラインアンドスペースを1:1で解像する時の最適露光量(Eopt)を感度とした。感度は、小さいほうが高感度であるといえる。特に、感度が70mJ/cm2より低露光量の場合が好ましい。なお、PEBは実施していない。
シリコン酸化膜を有するシリコンウエハ上に、感光性樹脂組成物をスピン塗布した後、90℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークして膜厚4μmの塗膜を形成した。
次に、i線ステッパー(キヤノン(株)製FPA−3000i5+)を用いて、所定の
マスクを介して積算照射量70mJ/cm2露光した。露光後10分間基板を室温で放置した後、0.4質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により23℃で60秒間液盛り法により現像し、さらに超純水で45秒間リンスした。次に2段ベーク処理(1段目:140℃、30分、2段目:230℃、60分)を行い焼成した。
その後10μmのライン&スペースパターンの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、テーパー角を測定した。
さらに、テーパー角および全体の矩形性に基づきプロファイル形状を評価した。プロファイルが矩形に近いほど、MEMS用レジストであれば本来所望する形状(矩形)の構造体をレジスト上に積層させることができ、また、ドライエッチング用レジストであれば、ドライエッチング工程で被エッチング材料を精密に加工することができる。評価点3〜5までが実用可能で問題ないレベルと判定される。形状のイメージを図1に示す。
なお、本評価では矩形のライン&スペースパターンの形成を目指しているため以下のように高テーパー角度の方が優れた判定になっているが、所望するパターンが異なる場合には、必ずしも矩形である必要は無い。
5:ライン断面のテーパー角が80°以上90°以下である矩形または矩形に近いプロファイル
4:ライン断面のテーパー角が70°以上80°未満である矩形に近いプロファイル
3:ライン断面のテーパー角が60°以上70°未満である台形のプロファイル
2:ライン断面のテーパー角が40°以上60°未満であるプロファイル
1:ライン断面のテーパー角が40°未満のプロファイル
前記パターンプロファイル評価と同様の工程で作製した硬化膜の、膜厚(T1)を測定した。そして、この硬化膜が形成された基板を、5%シュウ酸水溶液に40℃、10分浸漬し。浸漬後の硬化膜の膜厚(t1)を測定し、浸漬による膜厚変化率{|t1−T1|/T1}×100〔%〕を算出した。評価点3〜5までが実用可能で問題ないレベルと判定される。
5:膜厚変化が±1%未満であった。
4:膜厚変化が±1%以上5%未満であった。
3:膜厚変化が±5%以上10%未満であった。
2:膜厚変化が±10%以上であった。
1:膜剥がれが確認された。
シリコン酸化膜を有するシリコンウエハ上に、感光性樹脂組成物をスピン塗布した後、90℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークして膜厚4μmの塗膜を形成した。
次に、i線ステッパー(キヤノン(株)製FPA−3000i5+)を用いて、所定の
マスクを介して積算照射量70mJ/cm2露光した。露光後10分間基板を室温で放置した後、0.4質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により23℃で60秒間液盛り法により現像した。現像後の基板を光学顕微鏡にて観察し、現像欠陥の個数をカウントした。
5:現像欠陥が0個/ウエハ
4:現像欠陥が1〜3個/ウエハ
3:現像欠陥が4〜10個/ウエハ
2:現像欠陥が11〜20個/ウエハ
1:現像欠陥が21個/ウエハ以上
特に、バインダーポリマーとして、重量平均分子量Mwが5000を超えるものを採用したときに、本発明の効果がより効果的に発揮されることが分かった。
12:パターン
14:膜の最上部と基板との中点
θ:テーパー角
Claims (20)
- 主鎖末端にカルボキシル基を含有し、かつ、3員環および/または4員環の環状エーテル基を有する繰り返し単位を含有する、アルカリ現像液に不溶または難溶性で酸の作用によりアルカリ現像液に可溶となるアクリル樹脂を含むポジ型感光性樹脂組成物。
- 前記アクリル樹脂の重量平均分子量が5000以上である、請求項1または2に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 前記アクリル樹脂が、上記3員環および/または4員環の環状エーテル基を有する繰り返し単位に加えて、さらに、カルボキシ基またはフェノール性水酸基が酸分解性基で保護された残基を有する繰り返し単位を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- さらに、光酸発生剤を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 光酸発生基が、オニウム塩、および/または、オキシムスルホネ―トである、請求項5に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 架橋剤をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 溶剤をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物を、光および熱の少なくとも一方を付与して硬化させた硬化膜。
- 層間絶縁膜である、請求項9に記載の硬化膜。
- (1)請求項1〜8のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布されたポジ型感光性樹脂組成物から溶剤を除去する工程、
(3)溶剤を除去されたポジ型感光性樹脂組成物を活性放射線で露光する工程、
(4)露光されたポジ型感光性樹脂組成物を水性現像液で現像する工程、および、
(5)現像されたポジ型感光性樹脂組成物を熱硬化するポストベーク工程、
を含む硬化膜の形成方法。 - 前記露光工程における露光後に、加熱処理を行わずに前記現像工程を行う、請求項11に記載の硬化膜の形成方法。
- エッチングレジスト用である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- MEMS用構造部材用である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物から溶剤を除去し膜を形成する膜形成工程、
前記膜を活性光線によりパターン状に露光する露光工程、
露光された前記膜を水性現像液により現像しパターンを形成する現像工程、および、
前記パターンを加熱するベーク工程、
を含むパターン形成方法。 - 前記現像工程後、かつ前記ベーク工程の前に、前記パターンを活性光線により露光するポスト露光工程を含む、請求項15に記載のパターン形成方法。
- 請求項15または16に記載のパターン形成方法により作製したパターンを構造体積層時の犠牲層として用いて構造体を作製する工程、および、
前記犠牲層をプラズマ処理にて除去する工程、を含むMEMS構造体の製造方法。 - 請求項15または16に記載のパターン形成方法により作製したパターンをドライエッチング用レジストとして用いてドライエッチングを行う工程、および、
前記パターンをプラズマ処理または薬品処理により除去する工程、
を含むドライエッチング方法。 - 請求項15または16に記載のパターン形成方法により作製したパターンをウェットエッチング用レジストとして用いてウェットエッチングを行う工程、および、
前記パターンをプラズマ処理または薬品処理により除去する工程、
を含むウェットエッチング方法。 - 重合性モノマーの重合時にカルボキシル基を有する連鎖移動剤を用いるか、カルボキシル基を有する重合開始剤を用いることによって、アクリル樹脂を製造することを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物の製造方法。
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