JP2013079699A - 回転伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転伝達装置の軽量化と信頼性の向上を図る
【解決手段】ハウジング1内に2方向クラッチ10と、その2方向クラッチ10を制御する電磁クラッチ50とを組込む。制御保持器16Aと回転保持器16Bの柱部25、29が外輪11と内輪13間に配置され、フランジ24,28が外輪11の外部に配置される組込みとして、外輪11の軸方向長さのコンパクトと軽量化を図る。電磁クラッチ50のアーマチュア51を入力軸22に嵌合された支持リング30でスライド自在に支持する。支持リング30を非磁性体で形成し、電磁石53に対する通電によるアーマチュア51の磁気吸着時に、アーマチュア51から入力軸22に磁束が漏洩するのを防止して、信頼性を高める。
【選択図】図1

Description

この発明は、回転の伝達と遮断の切換えを行なうことができるようにした回転伝達装置に関する。
駆動軸から従動軸への回転の伝達と遮断とを行う回転伝達装置として、2方向クラッチを有し、その2方向クラッチの係合および解除を電磁クラッチにより制御するようにしたものが従来から知られている。
特許文献1に記載された回転伝達装置においては、外輪とその内側に組み込まれた内輪との間に制御保持器と回転保持器とを、各保持器に形成された柱部が周方向で交互に配置されるよう組込み、隣接する柱部間に形成されたポケット内に対向一対のローラを組込み、その一対のローラをその対向部間に組み込まれた弾性部材で離反する方向に付勢して、外輪の内周に形成された円筒面と内輪の外周に形成されたカム面に係合する位置にスタンバイさせ、上記内輪の一方向への回転により一方のローラを円筒面およびカム面に係合させ、内輪の回転を外輪に伝達するようにしている。
また、内輪に接続された入力軸上に電磁クラッチを設け、その電磁クラッチにより制御保持器を軸方向に移動させ、その制御保持器のフランジと回転保持器のフランジの対向面間に設けられたトルクカムの作用によりポケットの周方向幅が小さくなる方向に制御保持器と回転保持器とを相対回転させて、各保持器の柱部で一対のローラを係合解除位置まで移動させ、内輪から外輪への回転伝達を遮断するようにしている。
上記回転伝達装置においては、電磁クラッチにより制御保持器のフランジが回転保持器のフランジから離反する方向に制御保持器を移動させると、対向一対のローラ間に組み込まれた弾性部材の押圧作用により制御保持器と回転保持器とがポケットの周方向幅が大きくなる方向に相対回転して対向一対のローラが円筒面およびカム面に直ちに係合するため、回転方向ガタがきわめて小さく、応答性に優れているという特徴を有している。
特開2009−293679号公報
ところで、上記特許文献1に記載された回転伝達装置においては、外輪内に制御保持器と回転保持器の全体を収容する構成であるため、軸方向長さの長い外輪を必要として重量も重くなり、その軽量化を図る上において改善すべき点が残されている。
ここで、上記回転伝達装置においては、入力軸の材質について何も言及されていないが、耐久性を考慮して、磁性金属によって形成するのが一般的である。このとき、電磁石に対する通電によってロータにアーマチュアを吸着した際、磁束が入力軸に漏洩し、磁気吸着力が低下して2方向クラッチを精度よく制御することができなくなる。そのような問題点を解決するためには、大型の電磁石を採用する必要が生じ、回転伝達装置が大型化して、その小型化を図る上においても、改善すべき点が残されている。
この発明の課題は、外輪の軸方向長さのコンパクト化によって回転伝達装置の軽量化を図ること、および、磁束の漏洩を防止して小型の電磁石が使用できるようにすることである。
上記の課題を解決するため、この発明においては、外輪の内周とその内側に組込まれた内輪の外周における一方に円筒面を形成し、他方にその円筒面との間で周方向の両端に至るに従って狭小のくさび空間を形成する複数のカム面を周方向に間隔をおいて設け、前記複数のカム面と円筒面間に形成されたくさび空間のそれぞれに対向一対のローラと、その対向一対のローラを離反する方向に付勢する弾性部材とを組込み、その対向一対のローラのそれぞれを保持器で保持し、その保持器が、制御保持器と回転保持器とからなり、その両保持器が環状のフランジの外周部に複数の柱部が周方向に間隔をおいて形成された構成とされ、その両保持器は、フランジが軸方向で対向し、柱部が周方向に交互に配置される組み合わせとされて、隣接する柱部間に前記対向一対のローラおよび弾性部材が収容されるポケットが形成され、前記制御保持器のフランジと回転保持器のフランジの対向面間に、その対向するフランジ間の間隔が狭くなる方向への制御保持器の移動によってポケットの周方向幅が小さくなる方向に一対の保持器を相対回転させるトルクカムを設け、前記内輪を軸端部に有する入力軸上に前記制御保持器を軸方向に移動させる電磁クラッチを設け、その電磁クラッチが、入力軸の軸方向に移動自在に支持されたアーマチュアと、そのアーマチュアと軸方向で対向し、前記入力軸の外周に設けられた段部で軸方向に位置決めされたロータと、そのロータと軸方向で対向し、通電によってロータにアーマチュアを吸着させる電磁石とからなり、前記アーマチュアに前記制御保持器を連結して、制御保持器を軸方向に移動させるようにした回転伝達装置において、前記制御保持器および回転保持器を、その柱部が外輪と内輪間に配置され、軸方向で対向するフランジが外輪の開口端面とアーマチュア間に配置される組込みとし、前記ロータと前記段部間に、その外径面で前記アーマチュアをスライド自在に支持すると共に、前記回転保持器と対向する側面で、その回転保持器のアーマチュア側への移動を阻止する支持リングを嵌合し、その支持リングを非磁性体で形成した構成を採用したのである。
上記のように、制御保持器および回転保持器を、軸方向で対向するフランジが外輪とアーマチュア間に配置される組込みとすることによって、制御保持器および回転保持器の全体を外輪と内輪間に収容する組込みとする場合に比較して外輪の軸方向長さのコンパクト化と軽量化を図ることができる。
また、非磁性体からなる支持リングによってアーマチュアをスライド自在に支持することにより、電磁石に対する通電時、アーマチュアから入力軸に磁束が漏洩するのを防止することができる。
このため、電磁石として小型のものを採用することができ、回転伝達装置の小型化を図ることができる。
ここで、支持リングの外径面に軸方向に延びる溝を周方向に間隔をおいて設けておくと、磁束の漏洩をより効果的に防止することができる。
支持リングを形成する非磁性体は、非磁性金属であってもよく、合成樹脂であってもよい。合成樹脂を採用する場合において、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の自己潤滑性樹脂を採用することにより、アーマチュアの摺動抵抗を低減し、そのアーマチュアを軸方向にスムーズに移動させることができる。
この発明に係る回転伝達装置において、支持リングと回転保持器の間に、回転保持器を回転自在に支持するスラストころ軸受を組込むようにすると、回転保持器の回転抵抗の低減化を図り、回転保持器を制御保持器に対して円滑に相対回転させることができる。
この場合、スラストころ軸受として、一対の軌道輪と、その軌道輪間にころおよびころを保持する保持器を有し、前記一対の軌道輪が軸方向に非分離とされた非分離形スラストころ軸受を採用すると、組付けの容易化を図ることができる。
また、入力軸の外周に制御保持器のフランジ内径面をスライド自在に支持するスライド案内面を設けると、そのスライド案内面と支持リングの外径面の2箇所でもってアーマチュアがスライド自在に支持されることになり、アーマチュアをロータに対して常に平行状態に保持することができる。
このため、アーマチュアとロータとの対向面間に形成される磁気吸引隙間は周方向の全体にわたって均一な大きさとされ、電磁石への通電によってアーマチュアをロータに確実に磁気吸引することができ、ローラの係合および係合解除を精度よく行うことができる。
この発明においては、上記のように、制御保持器および回転保持器を、軸方向で対向するフランジが外輪とアーマチュア間に配置される組込みとしたことによって、外輪の軸方向長さのコンパクト化を図ることができ、回転伝達装置の軽量化を図ることができる。
また、入力軸に嵌合した非磁性体からなる支持リングによってアーマチュアをスライド自在に支持したことにより、アーマチュアから入力軸に磁束が漏洩するのを防止することができる。このため、小型の電磁クラッチを採用することができ、回転伝達装置の小型化を図ることができる。
さらに、ロータがアーマチュアを吸着する際の磁気吸着力の低下が少ないため、電磁クラッチによって外輪と内輪の相互間で回転の伝達と遮断の切換えを行なう2方向クラッチを確実に制御することができ、信頼性の高い回転伝達装置を得ることができる。
この発明に係る回転伝達装置の実施の形態を示す縦断面図 図1の一部を拡大して示す断面図 図1のIII−III線に沿った断面図 図1のIV−IV線に沿った断面図 図4のV−V線に沿った断面図 図1のVI−VI線に沿った断面図 (a)は、図6のVII−VII線に沿った断面図、(b)は、作動状態を示す断面図 支持リングの他の例を示す断面図 支持リングのさらに他の例を示す断面図 この発明に係る回転伝達装置の他の実施の形態を示す縦断面図
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明に係る回転伝達装置の実施の形態を示す。図示のように、回転伝達装置は、ハウジング1と、ハウジング1内に収容された2方向クラッチ10およびその2方向クラッチ10の係合、解除を制御する電磁クラッチ50とからなる。
ハウジング1は円筒状をなし、その一端部には小径の軸受筒2が設けられている。軸受筒2の内周には位置決めリング3が設けられている。
図1乃至図3に示すように、2方向クラッチ10は、外輪11の内周に円筒面12を設け、外輪11の内側に組み込まれた内輪13の外周に複数のカム面14を周方向に等間隔に形成し、その複数のカム面14のそれぞれと円筒面12間に一対のローラ15を組込み、そのローラ15を保持器16で保持し、上記内輪13の一方向への回転により一対のローラ15の一方を円筒面12およびカム面14に係合させて内輪13の回転を外輪11に伝達し、また、内輪13の他方向への回転時に他方のローラ15を円筒面12およびカム面14に係合させて内輪13の回転を外輪11に伝達するようにしている。
ここで、外輪11は、図1に示すように、閉塞端を有し、その閉塞端に出力軸17が設けられ、その出力軸17がハウジング1の軸受筒2内に挿通されて端部が外部に臨んでおり、上記軸受筒2内には出力軸17を回転自在に支持する軸受4と弾性部材5とが組み込まれている。
弾性部材5は、2方向クラッチ10およびその2方向クラッチ10の係合、解除を制御する電磁クラッチ50をハウジング1の他端開口部の内周に取付けられた止め輪からなる抜止めリング6に向けて付勢して、電磁クラッチ50を抜止めリング6に押し付けている。このため、ハウジング1内に組込まれた2方向クラッチ10と電磁クラッチ50からなる内蔵部品は、ガタツキのない組込みとされている。
ここで、弾性部材5として、ウェーブばねや皿ばね等を採用することができる。
図1および図2に示すように、外輪11には、閉塞端部の内面側に小径の凹部18が形成され、その凹部18内に組み込まれた軸受19によって上記内輪13を軸端部に有する金属製の入力軸22が回転自在に支持されている。
図1では、入力軸22の軸端部に内輪13を一体に設けた例を示しているが、図10に示すように、入力軸22に対して内輪13を別体とし、その内輪13の内側に入力軸22の軸端部を嵌合し、その嵌合面間に形成されたセレーション36により内輪13と入力軸22とを連結一体化してもよい。
図3に示すように、内輪13の外周に形成されたカム面14は、相反する方向に傾斜する一対の傾斜面14a、14bから形成されて外輪11の円筒面12との間に周方向の両端が狭小のくさび形空間を形成しており、上記一対の傾斜面14a、14b間には内輪13の接線方向に向く平坦なばね支持面20が設けられ、そのばね支持面20によって弾性部材21が支持されている。
弾性部材21として、図4では、断面が円形の矩形コイルばねが示されているが、これに限定されるものではない。この弾性部材21は、図3に示すように、上記支持面20で支持されるようにして一対のローラ15間に組込まれ、その弾性部材21により一対のローラ15は離反する方向に付勢されている。
図1および図2に示すように、保持器16は、制御保持器16Aと、回転保持器16Bとからなる。図1および図6に示すように、制御保持器16Aは、環状のフランジ24の片面外周部にカム面14と同数の柱部25を周方向に等間隔に設け、その隣接する柱部25間に円弧状の長孔26を形成し、外周には柱部25と反対向きに筒部27を設けた構成とされている。
一方、回転保持器16Bは、環状のフランジ28の外周にカム面14と同数の柱部29を周方向に等間隔に設けた構成とされている。
制御保持器16Aと回転保持器16Bは、制御保持器16Aの長孔26内に回転保持器16Bの柱部29が挿入されて、その柱部25、29が周方向に交互に並ぶ組み合わせとされている。そして、その組み合わせ状態で柱部25、29の先端部が外輪11と内輪13間に配置され、制御保持器16Aのフランジ24および回転保持器16Bのフランジ28が入力軸22の外周に嵌合された支持リング30と外輪11間に位置する組込みとされている。
上記のような保持器16A、16Bの組込みによって、図3に示すように、制御保持器16Aの柱部25と回転保持器16Bの柱部29間にポケット31が形成され、そのポケット31は内輪13のカム面14と径方向で対向し、各ポケット31内に対向一対のローラ15および弾性部材21が組込まれている。
図2に示すように、制御保持器16Aのフランジ24および回転保持器16Bのフランジ28は入力軸22の外周に形成されたスライド案内面32に沿ってスライド自在に支持され、上記回転保持器16Bのフランジ28と入力軸22の支持リング30間にスラスト軸受33が組み込まれている。
スラスト軸受33は、一対の軌道輪33a、33b間にころ33cおよび保持器33dを組み込んだスラストころ軸受からなる。このスラストころ軸受33は、組込みの容易化を図るため、ここでは、一対の軌道輪33a、33b、ころ33cおよび保持器33dを軸方向に非分離とした非分離形のものが用いられている。
図2、図6および図7(b)に示すように、制御保持器16Aのフランジ24と回転保持器16Bのフランジ28間には、トルクカム40が設けられている。トルクカム40は、制御保持器16Aのフランジ24と回転保持器16Bのフランジ28の対向面それぞれに周方向の中央部で深く両端に至るに従って次第に浅くなる対向一対のカム溝41、42を設け、一方のカム溝41の一端部と他方のカム溝42の他端部間にボール43を組み込んだ構成としている。
カム溝41、42として、ここでは円弧状の溝を示したが、V溝であってもよい。
上記トルクカム40は、制御保持器16Aのフランジ24が回転保持器16Bのフランジ28に接近する方向に制御保持器16Aが軸方向に移動した際に、図7(a)に示すように、ボール43がカム溝41、42の溝深さの最も深い位置に向けて転がり移動し、制御保持器16Aと回転保持器16Bをポケット31の周方向幅が小さくなる方向に相対回転させるようになっている。
図4および図5に示すように、内輪13に形成されたカム面14の軸方向他側には小径の円筒面45が形成され、その円筒面45に環状の保持プレート46が嵌合されて内輪13に固定されている。保持プレート46の外周面には制御保持器16Aの柱部25と回転保持器16Bの柱部29間の各ポケット31内に配置される複数の回り止め片47が形成されている。
複数の回り止め片47は、制御保持器16Aと回転保持器16Bとがポケット31の周方向幅を縮小する方向に相対回転した際に、制御保持器16Aの柱部25および回転保持器16Bの柱部29を両側縁で受け止めて対向一対のローラ15を中立位置に保持するようになっている。
保持プレート46の外周部には複数の弾性部材21のそれぞれ外径側に張り出すばね押えアーム48が設けられ、そのばね押えアーム48によって弾性部材21は一対のローラ15間より外径側に逃げでるのが防止されている。
図2に示すように、電磁クラッチ50は、制御保持器16Aに形成された筒部27の端面と軸方向で対向するアーマチュア51と、そのアーマチュア51と軸方向で対向するロータ52と、そのロータ52と軸方向で対向する電磁石53とを有している。
アーマチュア51は、入力軸22の支持リング30の外周に嵌合されて回転自在に、かつ、スライド自在に支持され、そのアーマチュア51の外周部に設けられた連結筒55内に制御保持器16Aの筒部27が圧入されて制御保持器16Aとアーマチュア51が連結一体化されている。その連結によってアーマチュア51は、支持リング30の円筒状外径面54と入力軸22の外周のスライド案内面32の軸方向の2箇所においてスライド自在の支持とされている。
ロータ52は、入力軸22に圧入され、そのロータ52と入力軸22の外周に設けられた支持リング30との間にシム56が設けられている。
ここで、支持リング30は、入力軸22のスライド案内面32の軸方向他側に形成された段部34によって軸方向に位置決めされており、その支持リング30とロータ52の間にシム56を組み込むことによって、ロータ52は、軸方向に位置決めされることになる。
また、支持リング30は、非磁性体から形成されている。非磁性体は、非磁性金属であってもよく、合成樹脂であってもよい。合成樹脂として、ポリアセタール(POM)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の自己潤滑性樹脂を採用することにより、アーマチュア51の摺動抵抗を低減し、そのアーマチュア51を軸方向にスムーズに移動させることができる。
図1および図2に示すように、電磁石53は、電磁コイル53aと、その電磁コイル53aを支持するコア53bとからなり、上記コア53bの外側端面には筒部57が形成され、その筒部57内に組み込まれた軸受58は、筒部57の内周に取付けられた止め輪59によって筒部57から抜け出るのが防止されている。また、軸受58は、入力軸22の外径面に形成された段部60と上記止め輪59によって軸方向に位置決めされ、その軸受58によって電磁石53と入力軸22は相対的に回転自在とされている。
また、コア53bは、ハウジング1の他端部内に位置する組込みとされて、軸受筒2内に組み込まれた前述の弾性部材5の弾性力によりハウジング1の他端部開口内に取付けた前述の抜止めリング6に押し付けられて抜止めされている。
実施の形態で示す回転伝達装置は上記の構造からなり、図1は、電磁石53の電磁コイル53aに対する通電の遮断状態を示し、アーマチュア51はロータ52から離反する状態にある。また、2方向クラッチ10の対向一対のローラ15は、図3に示すように、外輪11の円筒面12および内輪13のカム面14に対して係合するスタンバイ位置に位置している。なお、図1では、アーマチュア51とロータ52は密着した状態が示されているが、実際には両者間に隙間が存在している。
2方向クラッチ10のスタンバイ状態において、電磁コイル53aに通電すると、アーマチュア51に吸引力が作用し、アーマチュア51が軸方向に移動してロータ52に吸着される。
ここで、アーマチュア51は制御保持器16Aに連結一体化されているため、アーマチュア51の軸方向への移動に伴って制御保持器16Aは、そのフランジ24が回転保持器16Bのフランジ28に接近する方向に移動する。
このとき、図7(b)に示すボール43が図7(a)に示すように、カム溝41、42の溝深さの最も深い位置に向けて転がり移動し、制御保持器16Aと回転保持器16Bはポケット31の周方向幅が小さくなる方向に相対回転する。
この場合、回転保持器16Bは、スラスト軸受33で回転自在に支持されているため、制御保持器16Aと回転保持器16Bは円滑に相対回転し、その相対回転により、図3に示す対向一対のローラ15が制御保持器16Aの柱部25と回転保持器16Bの柱部29で押されて互いに接近する方向に移動する。
このため、ローラ15は円筒面12およびカム面14から係合解除して中立状態となり、2方向クラッチ10は係合解除状態とされる。
2方向クラッチ10の係合解除状態において、入力軸22に回転トルクを入力して内輪13を一方向に回転すると、保持プレート46に形成された回り止め片47が制御保持器16Aの柱部25と回転保持器16Bの柱部29の一方を押圧するため、内輪13と共に制御保持器16Aおよび回転保持器16Bが回転する。このとき、対向一対のローラ15は係合解除された中立位置に保持されているため、内輪13の回転は外輪11に伝達されず、内輪13はフリー回転する。
ここで、制御保持器16Aと回転保持器16Bがポケット31の周方向幅を小さくなる方向に相対回転すると、制御保持器16Aの柱部25と回転保持器16Bの柱部29が保持プレート46の回り止め片47の両側縁に当接して相対回転量が規制される。
このため、弾性部材21は必要以上に収縮することはなくなり、伸長と収縮が繰り返し行われても疲労によって破損するようなことはない。
内輪13のフリー回転状態において、電磁コイル53aに対する通電を解除すると、アーマチュア51は吸着が解除されて回転自在となる。その吸着解除により、弾性部材21の押圧によって制御保持器16Aと回転保持器16Bがポケット31の周方向幅が大きくなる方向に相対回転し、対向一対のローラ15のそれぞれが、図3に示すように、円筒面12およびカム面14に係合するスタンバイ状態とされ、その対向一対のローラ15の一方を介して内輪13と外輪11の相互間で一方向の回転トルクが伝達される。
ここで、入力軸22を停止して、その入力軸22の回転方向を切換えると、他方のローラ15を介して内輪13の回転が外輪11に伝達される。
このように、電磁コイル53aに対する通電の遮断により、制御保持器16Aと回転保持器16Bがポケット31の周方向幅が大きくなる方向に相対回転して、対向一対のローラ15のそれぞれが円筒面12およびカム面14に直ちに噛み込むスタンバイ状態とされるため、回転方向ガタは小さく、内輪13の回転を外輪11に直ちに伝達することができる。
また、内輪13から外輪11への回転トルクの伝達は、カム面19と同数のローラ15を介して行われるため、内輪13から外輪11に大きな回転トルクを伝達することができる。
なお、制御保持器16Aと回転保持器16Bがポケット31の周方向幅が大きくなる方向に相対回転すると、ボール43は対向一対のカム溝41、42の浅溝部に向けて転がり移動して、図7(b)に示す状態となる。
図1に示す実施の形態では、制御保持器16Aおよび回転保持器16Bを、その柱部25、29が外輪11と内輪13間に位置し、軸方向で対向するフランジ24,28が外輪11とアーマチュア51間に配置される組込みとしているため、外輪11の軸方向長さのコンパクト化と軽量化とを図ることができる。
また、アーマチュア51の内径面を入力軸22に嵌合された支持リング30の円筒状外径面でスライド自在に支持し、かつ、制御保持器16Aのフランジ内径面を入力軸22の外周に形成されたスライド案内面32で移動自在に支持することによって、アーマチュア51をロータ52に対して常に平行状態に保持することができ、電磁石53への通電によってアーマチュア51をロータ52に確実に磁気吸引することができる。このため、ローラ15の係合および係合解除を精度よく行うことができ、信頼性の高い回転伝達装置を得ることができる。
実施の形態で示すように、入力軸22に嵌合した支持リング30を非磁性体で形成することにより、アーマチュア51から入力軸22に磁束が漏れるのを防止することができる。このため、電磁石53として小型のものを採用することができ、回転伝達装置の小型化を図ることができる。
図8および図9は、支持リング30の他の例を示す。図8に示す支持リング30においては、その外径面に軸方向に延びる複数の溝37を周方向に間隔をおいて形成している。
上記のように、支持リング30の外径面に複数の軸方向の溝37を形成することにより、アーマチュア51から入力軸22への磁束の漏洩を効果的に防止することができる。
図9に示す支持リング30においては、回転保持器16Bのフランジ28と対向する側面に低摩擦係数のコーティング被膜38を形成している。
低摩擦係数のコーティング被膜38として、4ふっ化エチレン樹脂を挙げることができる。
上記のように、支持リング30の側面に低摩擦係数のコーティング被膜38を形成することにより、そのコーティング被膜38で回転保持器16Bのフランジ28を回転自在に支持することができる。このため、図8に示すスラストころ軸受33の組込みを不要とすることができ、部品点数の削減によって組立性の向上を図ることができる。
1 ハウジング
2 軸受筒
3 位置決めリング
5 弾性部材
6 抜止めリング
11 外輪
12 円筒面
13 内輪
14 カム面
15 ローラ
16A 制御保持器
16B 回転保持器
21 弾性部材
22 入力軸
24 フランジ
25 柱部
28 フランジ
29 柱部
30 支持リング
31 ポケット
32 スライド案内面
33 スラストころ軸受
33a 軌道輪
33b 軌道輪
33c ころ
33d 保持器
34 段部
37 溝
38 コーティング被膜
40 トルクカム
50 電磁クラッチ
51 アーマチュア
52 ロータ
53 電磁石

Claims (9)

  1. 外輪の内周とその内側に組込まれた内輪の外周における一方に円筒面を形成し、他方にその円筒面との間で周方向の両端に至るに従って狭小のくさび空間を形成する複数のカム面を周方向に間隔をおいて設け、前記複数のカム面と円筒面間に形成されたくさび空間のそれぞれに対向一対のローラと、その対向一対のローラを離反する方向に付勢する弾性部材とを組込み、その対向一対のローラのそれぞれを保持器で保持し、その保持器が、制御保持器と回転保持器とからなり、その両保持器が環状のフランジの外周部に複数の柱部が周方向に間隔をおいて形成された構成とされ、その両保持器は、フランジが軸方向で対向し、柱部が周方向に交互に配置される組み合わせとされて、隣接する柱部間に前記対向一対のローラおよび弾性部材が収容されるポケットが形成され、前記制御保持器のフランジと回転保持器のフランジの対向面間に、その対向するフランジ間の間隔が狭くなる方向への制御保持器の移動によってポケットの周方向幅が小さくなる方向に一対の保持器を相対回転させるトルクカムを設け、前記内輪を軸端部に有する入力軸上に前記制御保持器を軸方向に移動させる電磁クラッチを設け、その電磁クラッチが、入力軸の軸方向に移動自在に支持されたアーマチュアと、そのアーマチュアと軸方向で対向し、前記入力軸の外周に設けられた段部で軸方向に位置決めされたロータと、そのロータと軸方向で対向し、通電によってロータにアーマチュアを吸着させる電磁石とからなり、前記アーマチュアに前記制御保持器を連結して、制御保持器を軸方向に移動させるようにした回転伝達装置において、
    前記制御保持器および回転保持器を、その柱部が外輪と内輪間に配置され、軸方向で対向するフランジが外輪の開口端面とアーマチュア間に配置される組込みとし、前記ロータと前記段部間に、その外径面で前記アーマチュアをスライド自在に支持すると共に、前記回転保持器と対向する側面で、その回転保持器のアーマチュア側への移動を阻止する支持リングを嵌合し、その支持リングを非磁性体で形成したことを特徴とする回転伝達装置。
  2. 前記支持リングの外径面に軸方向に延びる溝を周方向に間隔をおいて設けた請求項1に記載の回転伝達装置。
  3. 前記支持リングが、非磁性金属からなる請求項1又は2に記載の回転伝達装置。
  4. 前記支持リングが、合成樹脂からなる請求項1又は2に記載の回転伝達装置。
  5. 前記合成樹脂が、ポリアセタール、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンサルファイドの一種からなる請求項4に記載の回転伝達装置。
  6. 前記支持リングの回転保持器と対向する側面に低摩擦係数のコーティング被膜を設けた請求項1乃至5のいずれかの項に記載の回転伝達装置。
  7. 前記支持リングと前記回転保持器の間に、回転保持器を回転自在に支持するスラストころ軸受を組み込んだ請求項1乃至5のいずれかの項に記載の回転伝達装置。
  8. 前記スラストころ軸受が、一対の軌道輪と、その軌道輪間にころおよびころを保持する保持器を有し、前記一対の軌道輪が軸方向に非分離とされた非分離形スラストころ軸受からなる請求項7に記載の回転伝達装置。
  9. 前記入力軸の外周に前記制御保持器のフランジ内径面をスライド自在に支持するスライド案内面を設けた請求項1乃至8のいずれかの項に記載の回転伝達装置。
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