JP2013079014A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】ドライ操安性とスノー操安性とを両立できる空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】この空気入りタイヤ1は、センター領域の陸部31と、左右のショルダー領域の陸部32とが、複数のサイプ312、322をそれぞれ有する。また、センター領域に配置されたサイプ312の90[%]以上が二次元サイプから成ると共に、ショルダー領域に配置されたサイプ322の90[%]以上が三次元サイプから成る。また、センター領域におけるキャップゴム151_ceの−10[℃]におけるゴム硬度H1_ceおよび20[℃]におけるゴム硬度H2_ceと、ショルダー領域におけるキャップゴム151_shの−10[℃]におけるゴム硬度H1_shおよび20[℃]におけるゴム硬度H2_shとが、H1_ce<H1_shかつH2_ce<H2_shの関係を有する。
【選択図】図1

Description

この発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、ドライ操安性とスノー操安性とを両立できる空気入りタイヤに関する。
一般的なウィンタータイヤでは、タイヤのスノー操安性を向上させるために、トレッド部にサイプを有している。かかる構成を採用する従来の空気入りタイヤとして、特許文献1に記載される技術が知られている。
特開2010−6107号公報
ここで、ウィンタータイヤでは、スノー操安性のみならず、ドライ操安性をも向上させるべき要請がある。
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ドライ操安性とスノー操安性とを両立できる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在する複数の周方向主溝と、前記周方向主溝に区画されて成る複数の陸部とをトレッド部に備える空気入りタイヤであって、タイヤ幅方向の最も外側にある左右の前記周方向主溝を最外周方向主溝と呼び、左右の前記最外周方向主溝の溝中心線を境界とする前記トレッド部のタイヤ幅方向内側の領域をセンター領域と呼ぶと共にタイヤ幅方向外側の左右の領域をショルダー領域と呼ぶときに、前記センター領域の前記陸部と、左右の前記ショルダー領域の前記陸部とが、複数のサイプをそれぞれ有し、前記センター領域に配置された前記サイプの90[%]以上が二次元サイプから成ると共に、前記ショルダー領域に配置された前記サイプの90[%]以上が三次元サイプから成り、前記トレッド部がキャップゴムおよびアンダーゴムを有し、且つ、前記センター領域における前記キャップゴムの−10[℃]におけるゴム硬度H1_ceおよび20[℃]におけるゴム硬度H2_ceと、前記ショルダー領域における前記キャップゴムの−10[℃]におけるゴム硬度H1_shおよび20[℃]におけるゴム硬度H2_shとが、H1_ce<H1_shかつH2_ce<H2_shの関係を有することを特徴とする。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、前記センター領域におけるゴム硬度H1_ce、H2_ceおよび前記ショルダー領域におけるゴム硬度H1_sh、H2_shが、65≦H1_ce≦75、62≦H2_ce≦72、68≦H1_sh≦78および65≦H2_sh≦75、ならびに、3≦H1_sh−H1_ce≦10および3≦H2_sh−H2_ce≦10の条件を満たすことが好ましい。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、前記センター領域におけるサイプ密度D_ceと、前記ショルダー領域におけるサイプ密度D_shとが、1.3≦D_ce/D_sh≦2.0の関係を有することが好ましい。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、前記センター領域における接地幅W_ceと、タイヤ接地幅TWとが、0.45≦W_ce/TW≦0.55の関係を有することが好ましい。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、タイヤ接地面における前記センター領域の接地幅W_ce内の溝面積比S_ceが0.25≦S_ce≦0.35の範囲内にあり、且つ、タイヤ接地面における総溝面積比S_tが0.25≦S_t≦0.38の範囲内にあることが好ましい。
また、この発明にかかる空気入りタイヤは、左右の前記最外周方向主溝に区画されて成る1つのセンター陸部を前記センター領域に備え、且つ、前記センター陸部が、タイヤ周方向に配列された複数の主傾斜溝および複数の副傾斜溝を有し、前記複数の主傾斜溝が、タイヤ周方向の一方向に向かってタイヤ赤道面から離隔する態様でタイヤ周方向に対して傾斜しつつそれぞれ延在し、一方の端部にて、左右の前記最外周方向主溝のいずれか一方にそれぞれ連通すると共に、タイヤ赤道面の両側にてタイヤ周方向に向かって交互に配置され、前記複数の副傾斜溝が、タイヤ周方向の一方向に向かってタイヤ赤道面から離隔する態様でタイヤ周方向に対して傾斜しつつそれぞれ延在し、2つの前記主傾斜溝に対して交差しつつ前記センター陸部内で両端部を終端させると共に、タイヤ赤道面の両側にてタイヤ周方向に向かって交互に配置されることが好ましい。
この発明にかかる空気入りタイヤでは、二次元サイプがセンター領域に配置され、三次元サイプが左右のショルダー領域に配置されるので、センター領域の剛性が低く、左右のショルダー領域の剛性が高く設定される。また、センター領域のゴム硬度H1_ce、H2_ceと、ショルダー領域のゴム硬度H1_sh、H2_shとが、H1_ce<H1_shかつH2_ce<H2_shの関係を有するので、センター領域の剛性が低く、左右のショルダー領域の剛性が高く設定される。したがって、センター領域の剛性が相乗的に低くなり、また、左右のショルダー領域の剛性が相乗的に高くなる。すると、センター領域がスノー操安性の向上に大きく寄与し、また、ショルダー領域がドライ操安性の向上に大きく寄与する。これにより、タイヤのドライ操安性とスノー操安性とが高次元で両立する利点がある。
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。 図2は、図1に記載した空気入りタイヤのトレッド面を示す平面図である。 図3は、三次元サイプの一例を示す説明図である。 図4は、三次元サイプの一例を示す説明図である。 図5は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例1を示す説明図である。 図6は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例2を示す説明図である。 図7は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す表である。
[空気入りタイヤ]
図1は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤを示すタイヤ子午線方向の断面図である。図2は、図1に記載した空気入りタイヤのトレッド面を示す平面図である。これらの図は、乗用車用ラジアルタイヤを示している。なお、図1では、キャップトレッドゴムにハッチングを付してある。
この空気入りタイヤ1は、一対のビードコア11、11と、一対のビードフィラー12、12と、カーカス層13と、ベルト層14と、トレッドゴム15と、一対のサイドウォールゴム16、16とを備える(図1参照)。一対のビードコア11、11は、環状構造を有し、左右のビード部のコアを構成する。一対のビードフィラー12、12は、一対のビードコア11、11のタイヤ径方向外周にそれぞれ配置されてビード部を補強する。カーカス層13は、単層構造を有し、左右のビードコア11、11間にトロイダル状に架け渡されてタイヤの骨格を構成する。また、カーカス層13の両端部は、ビードコア11およびビードフィラー12を包み込むようにタイヤ幅方向外側に巻き返されて係止される。ベルト層14は、積層された一対のベルトプライ141、142から成り、カーカス層13のタイヤ径方向外周に配置される。これらのベルトプライ141、142は、スチールあるいは有機繊維材から成る複数のベルトコードを配列して圧延加工して構成され、ベルトコードをタイヤ周方向に相互に異なる方向に傾斜させることによりクロスプライ構造を構成する。トレッドゴム15は、カーカス層13およびベルト層14のタイヤ径方向外周に配置されてタイヤのトレッド部を構成する。一対のサイドウォールゴム16、16は、カーカス層13のタイヤ幅方向外側にそれぞれ配置されて左右のサイドウォール部を構成する。
また、空気入りタイヤ1は、タイヤ周方向に延在する複数の周方向主溝21と、これらの周方向主溝21に区画されて成る複数の陸部31、32とをトレッド部に備える(図2参照)。なお、周方向主溝とは、3[mm]以上の溝幅を有する周方向溝をいう。また、陸部31、32は、ブロック列であっても良いし(図2参照)、リブであっても良い(図示省略)。
また、タイヤ幅方向の最も外側にある左右の周方向主溝21、21を最外周方向主溝と呼ぶ。また、左右の最外周方向主溝21、21の溝中心線を境界とするトレッド部のタイヤ幅方向内側の領域をセンター領域と呼び、タイヤ幅方向外側の左右の領域をショルダー領域と呼ぶ。
例えば、この実施の形態では、空気入りタイヤ1が、左右対称なトレッドパターンを有している。また、一対の周方向主溝21、21が、タイヤ赤道面CLを境界とする左右の領域に、左右対称に配置されている。また、これらの周方向主溝21、21により、1列のセンター陸部31と、左右一対のショルダー陸部32、32とが区画されている。また、これらの周方向主溝21、21が、左右の最外周方向主溝となり、トレッド部をセンター領域とショルダー領域とに区画している。また、センター陸部31および左右のショルダー陸部32、32が、タイヤ幅方向に延在する複数のラグ溝311、321をそれぞれ有している。また、これらのラグ溝311、321が、タイヤ周方向に所定間隔で配置されている。また、センター陸部31のラグ溝311が、オープン構造を有し、センター陸部31をタイヤ幅方向に横断してセンター陸部31の左右のエッジ部にそれぞれ開口している。これにより、センター陸部31がタイヤ周方向に分断されて、ブロック列が形成されている。一方、ショルダー陸部32のラグ溝321が、セミクローズド構造を有し、タイヤ幅方向外側の端部にてショルダー陸部32のエッジ部に開口し、タイヤ幅方向内側の端部にてショルダー陸部32内に終端している。したがって、ショルダー陸部32が、タイヤ周方向に連続したリブとなっている。
[サイプ構成とゴム硬度]
また、この空気入りタイヤ1では、センター領域の陸部31と、左右のショルダー領域の陸部32、32とが、複数のサイプ312、322をそれぞれ有する(図2参照)。また、センター領域に配置されたサイプ312の90[%]以上が二次元サイプから成り、ショルダー領域に配置されたサイプ322の90[%]以上が三次元サイプから成る。
ここで、サイプとは、陸部に形成された切り込みをいう。また、二次元サイプとは、サイプ長さ方向に垂直な断面視にて、直線形状のサイプ壁面を有するサイプをいう。また、三次元サイプとは、サイプ長さ方向に垂直な断面視にて、サイプ幅方向に屈曲した形状のサイプ壁面を有するサイプをいう。三次元サイプは、二次元サイプと比較して、対向するサイプ壁面の噛合力が強いため、陸部の剛性を補強する作用を有する。
例えば、この実施の形態では、センター陸部31と左右のショルダー陸部32、32とが、複数のサイプ312、322をそれぞれ有している。また、これらのサイプ312、322が、タイヤ幅方向に延在するストレート形状を有し、タイヤ周方向に並列かつ所定間隔で配置されている。また、これらのサイプ312、322が、クローズド構造を有し、陸部31、32内にて終端している。また、センター陸部31のサイプ312が、すべて二次元サイプであり、左右のショルダー陸部32、32のサイプ322が、すべて三次元サイプとなっている。したがって、二次元サイプ312と三次元サイプ322との剛性差により、センター陸部31の剛性が低く、左右のショルダー陸部32、32の剛性が高く設定されている。
また、この空気入りタイヤ1では、トレッド部がキャップゴム151およびアンダーゴム152を有する(図1参照)。また、センター領域におけるキャップゴム151_ceの−10[℃]におけるゴム硬度H1_ceおよび20[℃]におけるゴム硬度H2_ceと、ショルダー領域におけるキャップゴム151_shの−10[℃]におけるゴム硬度H1_shおよび20[℃]におけるゴム硬度H2_shとが、H1_ce<H1_shかつH2_ce<H2_shの関係を有する。
なお、ゴム硬度とは、JIS−K6263に準拠したJIS−A硬度をいう。所定領域(センター領域あるいはショルダー領域)におけるキャップゴムあるいはアンダーゴムが複数のゴム材料から成る場合には、ゴム硬度が以下の数式(1)により平均ゴム硬度として算出される。数式(1)において、Skは、タイヤ子午線方向の断面視における各ゴム材料の断面積を示し、Hkは、各ゴム材料のゴム硬度を示し、Saは、タイヤ子午線方向の断面視における所定領域の断面積を示している。
ゴム硬度H=(ΣSk×Hk)/Sa (k:1、2、3、…、n) …(1)
例えば、この実施の形態では、キャップゴム151が、センターキャップゴム151_ceと左右一対のショルダーキャップゴム151_sh、151_shとを有している。また、センターキャップゴム151_ceがトレッド部センター領域に配置され、ショルダーキャップゴム151_shが左右のトレッド部ショルダー領域にそれぞれ配置されている。このとき、センターキャップゴム151_ceと左右のショルダーキャップゴム151_sh、151_shとの境界が、最外周方向主溝21、21の溝底下方に位置している。そして、センターキャップゴム151_ceのゴム硬度H1_ce、H2_ceと、左右のショルダーキャップゴム151_sh、151_shのゴム硬度H1_sh、H2_shとが、H1_ce<H1_shかつH2_ce<H2_shの関係を有している。したがって、キャップゴム151_ce、151_shのゴム硬度差により、センター陸部31の剛性が低く、左右のショルダー陸部32、32の剛性が高く設定されている。
この空気入りタイヤ1では、二次元サイプ312がセンター領域に配置され、三次元サイプ322が左右のショルダー領域に配置されるので、センター領域の剛性が低く、左右のショルダー領域の剛性が高く設定される(図1および図2参照)。また、センター領域のゴム硬度H1_ce、H2_ceと、ショルダー領域のゴム硬度H1_sh、H2_shとが、H1_ce<H1_shかつH2_ce<H2_shの関係を有するので、センター領域の剛性が低く、左右のショルダー領域の剛性が高く設定される。したがって、センター領域の剛性が相乗的に低くなり、また、左右のショルダー領域の剛性が相乗的に高くなる。すると、センター領域がスノー操安性の向上に大きく寄与し、また、ショルダー領域がドライ操安性の向上に大きく寄与する。これにより、ドライ操安性とスノー操安性とが高次元で両立する。
なお、図1の構成では、センターキャップゴム151_ceと左右のショルダーキャップゴム151_sh、151_shとの境界が、最外周方向主溝21、21の溝底下方に位置している。しかし、これに限らず、センターキャップゴム151_ceと左右のショルダーキャップゴム151_sh、151_shとの境界が、最外周方向主溝21、21の溝底下方から外れた位置に配置されても良い(図示省略)。かかる構成では、センター領域におけるキャップゴムのゴム硬度H1_in、H2_inと、ショルダー領域におけるキャップゴムのゴム硬度H1_out、H2_outとが、上記の数式(1)に基づいて算出される。
図3および図4は、三次元サイプの一例を示す説明図である。これらの図は、三次元サイプの壁面の斜視図を示している。
図3の三次元サイプでは、サイプ壁面が、三角錐と逆三角錐とをサイプ長さ方向に連結した構造を有する。言い換えると、サイプ壁面が、トレッド面側のジグザグ形状と底部側のジグザグ形状とを互いにタイヤ幅方向にピッチをずらせ、該トレッド面側と底部側とのジグザグ形状の相互間で互いに対向し合う凹凸を有する。また、サイプ壁面が、これらの凹凸において、タイヤ回転方向に見たときの凹凸で、トレッド面側の凸屈曲点と底部側の凹屈曲点との間、トレッド面側の凹屈曲点と底部側の凸屈曲点との間、トレッド面側の凸屈曲点と底部側の凸屈曲点とで互いに隣接し合う凸屈曲点同士の間をそれぞれ稜線で結ぶと共に、これら稜線間をタイヤ幅方向に順次平面で連結することにより形成される。また、一方のサイプ壁面が、凸状の三角錐と逆三角錐とを交互にタイヤ幅方向に並べた凹凸面を有し、他方のサイプ壁面が、凹状の三角錐と逆三角錐とを交互にタイヤ幅方向に並べた凹凸面を有する。そして、サイプ壁面が、少なくともサイプの両端最外側に配置した凹凸面をブロックの外側に向けている。なお、このような三次元サイプとして、例えば、特許第3894743号公報に記載される技術が知られている。
また、図4の三次元サイプでは、サイプ壁面が、ブロック形状を有する複数の角柱をサイプ深さ方向に対して傾斜させつつサイプ深さ方向およびサイプ長さ方向に連結した構造を有する。言い換えると、サイプ壁面が、トレッド面においてジグザグ形状を有する。また、サイプ壁面が、ブロックの内部ではタイヤ径方向の2箇所以上でタイヤ周方向に屈曲してタイヤ幅方向に連なる屈曲部を有し、また、該屈曲部においてタイヤ径方向に振幅を持ったジグザグ形状を有する。また、サイプ壁面が、タイヤ周方向の振幅を一定にする一方で、トレッド面の法線方向に対するタイヤ周方向への傾斜角度をトレッド面側の部位よりもサイプ底側の部位で小さくし、屈曲部のタイヤ径方向の振幅をトレッド面側の部位よりもサイプ底側の部位で大きくする。なお、このような三次元サイプとして、例えば、特許第4316452号公報に記載される技術が知られている。
なお、この空気入りタイヤ1では、センター領域におけるゴム硬度H1_ce、H2_ceおよびショルダー領域におけるゴム硬度H1_sh、H2_shが、65≦H1_ce≦75、62≦H2_ce≦72、68≦H1_sh≦78および65≦H2_sh≦75、ならびに、3≦H1_sh−H1_ce≦10および3≦H2_sh−H2_ce≦10の条件を満たすことが好ましい。これにより、センター領域のゴム硬度H1_ce、H2_ceとショルダー領域のゴム硬度H1_sh、H2_shとの関係が適正化される。
例えば、この実施の形態では、センターキャップゴム151_ceと左右のショルダーキャップゴム151_sh、151_shとの境界が、左右の周方向主溝21、21の溝底下方に位置している(図1参照)。このため、センター領域にあるセンター陸部31がセンターキャップゴム151_ceから構成され、左右のショルダー領域にあるショルダー陸部32、32が左右のショルダーキャップゴム151_sh、151_shから構成されている。そして、センターキャップゴム151_ceのゴム硬度H1_ce、H2_ceと、左右のショルダーキャップゴム151_sh、151_shのゴム硬度H1_sh、H2_shとが、上記の条件に設定されて、センター陸部31と左右のショルダー陸部32、32との剛性差が適正化されている。
また、この空気入りタイヤ1では、センター領域におけるサイプ密度D_ceと、ショルダー領域におけるサイプ密度D_shとが、1.3≦D_ce/D_sh≦2.0の関係を有することが好ましい(図示省略)。すなわち、センター領域のサイプ密度D_ceが、ショルダー領域のサイプ密度D_shよりも高いことが好ましい。
なお、サイプ密度とは、サイプ長さと陸部の接地面積との比をいう。サイプ長さは、例えば、サイプを屈曲形状とすることにより大きくできる。また、サイプ密度は、例えば、サイプ長さ、サイプ本数などの調整により、容易に調整できる。
上記のように、この空気入りタイヤ1では、二次元サイプ312および三次元サイプ322の配置と、センターキャップゴム151_ceおよびショルダーキャップゴム151_shのゴム硬度差とによって、センター陸部31の剛性が低く、左右のショルダー陸部32、32の剛性が高く設定される。したがって、上記したサイプ密度D_ce、D_shの差が設けられることにより、センター陸部31の剛性がさらに低く、左右のショルダー陸部32、32の剛性がさらに高く設定される。
また、この空気入りタイヤ1では、センター領域における接地幅W_ceと、タイヤ接地幅TWとが、0.45≦W_ce/TW≦0.55の関係を有することが好ましい(図2参照)。これにより、センター領域の接地幅W_ceが適正化される。
例えば、この実施の形態では、センター領域の接地幅W_ceが、センター陸部31の接地幅に一致し、また、タイヤ接地幅TWが、左右のタイヤ接地端Tにより規定されている。そして、これらの比W_ce/TWが上記の範囲内に設定されている。
なお、センター領域の接地幅W_ceおよびタイヤ接地幅TWは、タイヤが規定リムに装着されて規定内圧を付与されると共に静止状態にて平板に対して垂直に置かれて規定荷重に対応する負荷を加えられたときのタイヤと平板との接触面にて、測定される。
ここで、規定リムとは、JATMAに規定される「適用リム」、TRAに規定される「Design Rim」、あるいはETRTOに規定される「Measuring Rim」をいう。また、規定内圧とは、JATMAに規定される「最高空気圧」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「INFLATION PRESSURES」をいう。また、規定荷重とは、JATMAに規定される「最大負荷能力」、TRAに規定される「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」の最大値、あるいはETRTOに規定される「LOAD CAPACITY」をいう。ただし、JATMAにおいて、乗用車用タイヤの場合には、規定内圧が空気圧180[kPa]であり、規定荷重が最大負荷能力の88[%]である。
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ接地面におけるセンター領域の接地幅W_ce内の溝面積比S_ceが0.25≦S_ce≦0.35の範囲内にあり、且つ、タイヤ接地面における総溝面積比S_tが0.25≦S_t≦0.38の範囲内にあることが好ましい(図2参照)。これにより、センター領域の溝面積比S_ceが適正化される。
なお、溝面積比とは、溝面積/(溝面積+接地面積)として定義される。溝面積とは、接地面における溝の開口面積をいう。また、溝とは、トレッド部の周方向溝およびラグ溝をいい、サイプやカーフを含まない。また、接地面積とは、タイヤと接地面との接触面積をいう。また、溝面積および接地面積は、タイヤが規定リムに装着されて規定内圧を付与されると共に静止状態にて平板に対して垂直に置かれて規定荷重に対応する負荷を加えられたときのタイヤと平板との接触面にて、測定される。
例えば、この実施の形態では、センター領域における接地幅W_ceがセンター陸部31の接地幅に一致するため、接地面におけるセンター陸部31のラグ溝311の溝面積と接地面積との比が、センター領域の接地幅W_ce内の溝面積比S_ceとして算出される。したがって、センター領域の接地幅W_ce内の溝面積には、周方向主溝21の溝面積が含まれず、ラグ溝311の溝面積のみが含まれる。一方、タイヤ接地面における総溝面積には、周方向主溝21の溝面積およびラグ溝311、321の溝面積が含まれる。そして、これらにより、接地面におけるセンター領域の接地幅W_ce内の溝面積比S_ceと、タイヤ接地面における総溝面積比S_tとが算出されて、上記の範囲に適正化される。
[変形例1]
図5は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例1を示す説明図である。
図2の構成では、一対の周方向主溝21、21が配置され、これらの周方向主溝21、21を境界として、トレッド部がセンター領域とショルダー領域とに区画されている。しかし、これに限らず、3本以上の周方向主溝21、22が配置されても良い(図5参照)。
例えば、図5の変形例1では、4本の周方向主溝21、22がタイヤ赤道面CLを境界とする左右の領域に、左右対称に配置されている。また、これらの周方向主溝21、22により、3列のセンター陸部31と、左右一対のショルダー陸部32、32とが区画されている。また、左右の最外周方向主溝22、22により、トレッド部がセンター領域とショルダー領域とに区画されている。また、各センター陸部31が、複数のラグ溝311をそれぞれ有することにより、ブロック列となっている。また、各センター陸部31および左右のショルダー陸部32が、複数のサイプ312、322をそれぞれ有している。また、各センター陸部31に配置されたすべてのサイプ312が二次元サイプであり、左右のショルダー陸部32に配置されたすべてのサイプ322が三次元サイプとなっている。
なお、3本以上の周方向主溝21、22を有する構成では、センター領域における接地幅W_ceが、左右の最外周方向主溝22、22の間にある各センター陸部31の接地幅W_ce1〜W_ce3の総和(W_ce=W_ce1+W_ce2+W_ce3)となる(図5参照)。また、タイヤ接地面におけるセンター領域の接地幅W_ce内の溝面積には、各周方向主溝21、22の溝面積が含まれず、ラグ溝311の溝面積のみが含まれる。一方、タイヤ接地面における総溝面積には、すべての周方向主溝21、22の溝面積およびラグ溝311、321の溝面積が含まれる。そして、これらに基づいて、タイヤ接地面におけるセンター領域の接地幅W_ce内の溝面積比S_ceと、タイヤ接地面における総溝面積比S_tとが算出されて、上記の範囲に適正化されている。
[変形例2]
図6は、図1に記載した空気入りタイヤの変形例2を示す説明図である。同図は、方向性トレッドパターンを有する乗用車用ウィンタータイヤを示している。
図2の構成では、センター陸部31が、オープン構造のラグ溝311を有することにより、ブロック列となっている。しかし、これに限らず、センター陸部31が、セミクローズド構造のラグ溝あるいはクローズド構造のラグ溝を有することにより、リブ状構造を有しても良い(図6参照)。さらに、センター陸部31が、傾斜溝を有しても良い。
また、図2の構成では、ショルダー陸部32が、セミクローズド構造のラグ溝321を有することにより、リブとなっている。しかし、これに限らず、ショルダー陸部32が、オープン構造を有する複数のラグ溝321に区画されて成るブロック列であっても良い(図6参照)。
また、図2の構成では、センター陸部31のサイプ312およびショルダー陸部32のサイプ322が、いずれもクローズドサイプとなっている。しかし、これに限らず、センター陸部31のサイプが、オープンサイプであっても良いし、セミクローズドサイプであっても良い(図6参照)。
例えば、図6の変形例2では、空気入りタイヤ1が、方向性トレッドパターンを有している。また、空気入りタイヤ1が、車両に対するタイヤの装着方向の指定を有することにより、車両の前進方向を基準とした回転方向の指定を有している。なお、タイヤ装着方向の指定は、一般に、タイヤのサイドウォール部に表記される。
また、空気入りタイヤ1が、タイヤ周方向に延在する2本の周方向主溝21、21と、これらの周方向主溝21、21に区画されて成る1つのセンター陸部31および左右のショルダー陸部32、32とを備えている。また、タイヤ赤道面CLが、センター陸部31の中央部に位置している。また、タイヤ赤道面CLから周方向主溝21の溝中心線までの距離W1と、タイヤ赤道面CLからタイヤ接地端Tまでの距離TW/2とが、0.40≦W1/(TW/2)≦0.60の関係を有している。
また、センター陸部31が、リブ状構造を有し、また、複数の主傾斜溝313と複数の副傾斜溝314とを有している。
また、主傾斜溝313が、タイヤ周方向の一方向に向かってタイヤ赤道面CLから離隔する態様でタイヤ周方向に対して傾斜しつつ延在している。また、複数の主傾斜溝313が、タイヤ周方向に所定間隔で配置され、また、タイヤ赤道面CLの両側にてタイヤ周方向に向かって交互に配置されている。また、各主傾斜溝313の一方の端部(タイヤ回転方向に対して後側の端部)が、左右の周方向主溝21、21のいずれか一方にそれぞれ連通している。また、この一方の端部における主傾斜溝313と周方向主溝21とのなす角θ1が、56[deg]≦θ1≦76[deg]の範囲内にある。また、各主傾斜溝313の他方の端部(タイヤ回転方向に対して前側の端部)が、タイヤ赤道面CLを越えて他の主傾斜溝313に連通している。また、この他方の端部における主傾斜溝313と副傾斜溝314とのなす角θ2が、37[deg]≦θ2≦57[deg]の範囲内にある。また、複数の主傾斜溝313が、タイヤ赤道面CL上にて、タイヤ周方向に沿って延在するジグザグ形状の中央溝を形成している。また、各主傾斜溝313が、この中央溝となる部分にて、2[mm]以上6[mm]以下の溝幅を有し、また、2[mm]以上6[mm]以下の溝深さを有している。
また、副傾斜溝314が、タイヤ周方向の一方向に向かってタイヤ赤道面CLから離隔する態様でタイヤ周方向に対して傾斜しつつ延在している。また、副傾斜溝314が、2つの主傾斜溝313に対して交差しつつ、センター陸部31内で両端部を終端させている。なお、副傾斜溝314が、3つ以上の主傾斜溝313に対して交差しても良い(図示省略)。また、複数の副傾斜溝314が、タイヤ周方向に所定間隔で配置され、また、タイヤ赤道面CLの両側にてタイヤ周方向に向かって交互に配置されている。また、タイヤ赤道面CLから副傾斜溝314のタイヤ幅方向内側の端部までの距離W2と、タイヤ赤道面CLからタイヤ接地端Tまでの距離TW/2とが、0.05≦W2/(TW/2)≦0.25の関係を有している。また、タイヤ赤道面CLから副傾斜溝314のタイヤ幅方向外側の端部までの距離W3と、タイヤ赤道面CLからタイヤ接地端Tまでの距離TW/2とが、0.25≦W3/(TW/2)≦0.45の関係を有している。
また、左右のショルダー陸部32が、複数のラグ溝321と、周方向細溝323とをそれぞれ有している。
また、各ラグ溝321が、一方の端部にて周方向主溝21に連通すると共に、他方の端部にてタイヤ接地端Tを越えてタイヤ幅方向に延在している。また、各ラグ溝321が、周方向主溝21を間において主傾斜溝313に連通している(周方向主溝21に対する開口部を対向させている)。
また、周方向細溝323が、タイヤ周方向に延在するストレート形状の細溝となっている。また、周方向細溝323の溝幅が、2[mm]以上4[mm]以下の範囲内に設定されている。また、周方向細溝323の溝深さが、2[mm]以上4[mm]以下の範囲内に設定されている。
そして、センター陸部31と、左右のショルダー陸部32とが、複数のサイプ312、322をそれぞれ有している。また、センター陸部31に配置されたサイプ312の90[%]以上が二次元サイプから構成され、また、ショルダー陸部32に配置されたサイプ322の90[%]以上が三次元サイプから構成されている。また、センター陸部31におけるキャップゴム151_ceのゴム硬度H1_ce、H2_ceと、ショルダー陸部32におけるキャップゴム151_shのゴム硬度H1_sh、H2_shとが、H1_ce<H1_shかつH2_ce<H2_shの関係を有している(図1参照)。
図6の変形例2では、センター陸部31が、タイヤ赤道面CL付近からタイヤ幅方向外側に向かって延在する主傾斜溝313および副傾斜溝314を備えるので、タイヤの排水性能および排雪性能が向上する。これにより、ドライ操安性およびスノー操安性が向上する利点がある。また、副傾斜溝314が、少なくとも2つの主傾斜溝313に対して交差しつつセンター陸部31内で両端を終端させ、また、主傾斜溝313および副傾斜溝314がタイヤ周方向で交互に配置されることにより、トレッド部の剛性が維持される。これにより、ドライ操安性を適正に確保しつつスノー操安性を向上できる。
なお、図6の変形例2では、センター領域における接地幅W_ceが、左右の周方向主溝21、21に区画されたセンター陸部31の幅に一致する(図6参照)。また、センター領域における接地幅W_ce内の溝面積には、主傾斜溝313および副傾斜溝314の溝面積が含まれ、周方向主溝21の溝面積が含まれない。一方、タイヤ接地面における総溝面積には、左右の周方向主溝21の溝面積および主傾斜溝313および副傾斜溝314の溝面積が含まれる。そして、これらに基づいて、タイヤ接地面におけるセンター領域の接地幅W_ce内の溝面積比S_ceと、タイヤ接地面における総溝面積比S_tとが算出されて、上記の範囲に適正化されている。
[効果]
以上説明したように、この空気入りタイヤ1は、タイヤ周方向に延在する複数の周方向主溝21と、これらの周方向主溝21に区画されて成る複数の陸部31、32とをトレッド部に備える(図2参照)。また、センター領域の陸部31と、左右のショルダー領域の陸部32とが、複数のサイプ312、322をそれぞれ有する。また、センター領域に配置されたサイプ312の90[%]以上が二次元サイプから成ると共に、ショルダー領域に配置されたサイプ322の90[%]以上が三次元サイプから成る。また、トレッド部がキャップゴム151およびアンダーゴム152を有する(図1参照)。また、センター領域におけるキャップゴム151_ceの−10[℃]におけるゴム硬度H1_ceおよび20[℃]におけるゴム硬度H2_ceと、ショルダー領域におけるキャップゴム151_shの−10[℃]におけるゴム硬度H1_shおよび20[℃]におけるゴム硬度H2_shとが、H1_ce<H1_shかつH2_ce<H2_shの関係を有する。
かかる構成では、二次元サイプ312がセンター領域に配置され、三次元サイプ322が左右のショルダー領域に配置されるので、センター領域の剛性が低く、左右のショルダー領域の剛性が高く設定される(図2参照)。また、センター領域のゴム硬度H1_ce、H2_ceと、ショルダー領域のゴム硬度H1_sh、H2_shとが、H1_ce<H1_shかつH2_ce<H2_shの関係を有するので、センター領域の剛性が低く、左右のショルダー領域の剛性が高く設定される。したがって、センター領域の剛性が相乗的に低くなり、また、左右のショルダー領域の剛性が相乗的に高くなる。すると、センター領域がスノー操安性の向上に大きく寄与し、また、ショルダー領域がドライ操安性の向上に大きく寄与する。これにより、タイヤのドライ操安性とスノー操安性とが高次元で両立する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、センター領域におけるゴム硬度H1_ce、H2_ceおよびショルダー領域におけるゴム硬度H1_sh、H2_shが、65≦H1_ce≦75、62≦H2_ce≦72、68≦H1_sh≦78および65≦H2_sh≦75、ならびに、3≦H1_sh−H1_ce≦10および3≦H2_sh−H2_ce≦10の条件を満たす。かかる構成では、センター領域のゴム硬度H1_ce、H2_ceおよびショルダー領域のゴム硬度H1_sh、H2_shの範囲、ならびに、センター領域とショルダー領域とのゴム硬度差が適正化されるので、タイヤのドライ操安性とスノー操安性とがさらに高次元で両立する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、センター領域におけるサイプ密度D_ceと、ショルダー領域におけるサイプ密度D_shとが、1.3≦D_ce/D_sh≦2.0の関係を有する。かかる構成では、センター領域のサイプ密度D_ceとショルダー領域のサイプ密度D_shとの比D_ce/D_shが適正化されるので、タイヤのドライ操安性とスノー操安性とがさらに高次元で両立する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、センター領域における接地幅W_ceと、タイヤ接地幅TWとが、0.45≦W_ce/TW≦0.55の関係を有する(図2参照)。かかる構成では、センター領域の接地幅W_ceが適正化されるので、タイヤのドライ操安性とスノー操安性とがさらに高次元で両立する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1では、タイヤ接地面におけるセンター領域の接地幅W_ce内の溝面積比S_ceが0.25≦S_ce≦0.35の範囲内にあり、且つ、タイヤ接地面における総溝面積比S_tが0.25≦S_t≦0.38の範囲内にある。かかる構成では、センター領域の溝面積比S_ceが適正化されるので、タイヤのドライ操安性とスノー操安性とがさらに高次元で両立する利点がある。
また、この空気入りタイヤ1は、左右の最外周方向主溝21、21に区画されて成る1つのセンター陸部31をセンター領域に備える(図6参照)。また、センター陸部31が、タイヤ周方向に配列された複数の主傾斜溝313および複数の副傾斜溝314を有する。また、複数の主傾斜溝313が、タイヤ周方向の一方向に向かってタイヤ赤道面CLから離隔する態様でタイヤ周方向に対して傾斜しつつそれぞれ延在する。また、複数の主傾斜溝313が、一方の端部にて、左右の最外周方向主溝21、21のいずれか一方にそれぞれ連通する。また、複数の主傾斜溝313が、タイヤ赤道面CLの両側にてタイヤ周方向に向かって交互に配置される。また、複数の副傾斜溝314が、タイヤ周方向の一方向に向かってタイヤ赤道面CLから離隔する態様でタイヤ周方向に対して傾斜しつつそれぞれ延在する。また、複数の副傾斜溝314が、2つの主傾斜溝313、313に対して交差しつつセンター陸部31内で両端部を終端させる。また、複数の副傾斜溝314が、タイヤ赤道面CLの両側にてタイヤ周方向に向かって交互に配置される。
かかる構成では、センター陸部31が、タイヤ赤道面CL付近からタイヤ幅方向外側に向かって延在する主傾斜溝313および副傾斜溝314を備えるので、タイヤの排水性能および排雪性能が向上する。これにより、ドライ操安性およびスノー操安性が向上する利点がある。
図7は、この発明の実施の形態にかかる空気入りタイヤの性能試験の結果を示す表である。
この性能試験では、相互に異なる複数の空気入りタイヤについて、(1)ドライ操安性および(2)スノー操安性に関する評価が行われた(図7参照)。これらの性能試験では、タイヤサイズ235/45R19の空気入りタイヤがリムサイズ19×8Jのリムに組み付けられ、この空気入りタイヤに250[kPa]の空気圧およびETRTO規定の「LOAD CAPACITY」の85[%]の荷重が付与される。また、試験車両として、排気量3.0[L]のセダンタイプの四輪駆動車が用いられる。
(1)ドライ操安性に関する評価では、空気入りタイヤを装着した試験車両が平坦な周回路を有するテストコースを60[km/h]〜240[km/h]で走行する。そして、テストドライバーがレーンチェンジ時およびコーナリング時における操舵性ならびに直進時における安定性について官能評価を行う。この評価は比較例1を基準(100)とした指数評価により行われ、その数値が大きいほど好ましい。
(2)スノー操安性に関する評価では、空気入りタイヤを装着した試験車両が雪路試験場のハンドリングコースを速度40[km/h]で走行して、テストドライバーが官能評価を行う。この評価は比較例1を基準(100)とした指数評価により行われ、その数値が大きいほど好ましい。
実施例1の空気入りタイヤ1は、図1および図2に記載した構成を有し、2本の周方向主溝21と、1つのセンター陸部31および左右のショルダー陸部32とをトレッド部に備える。また、センター陸部31に配置されたすべてのサイプ312が二次元サイプから成り、ショルダー陸部32に配置されたすべてのサイプ322が三次元サイプから成る。また、センター陸部31におけるキャップゴム151_ceのゴム硬度H1_ce、H2_ceが、ショルダー陸部32におけるキャップゴム151_shのゴム硬度H1_sh、H2_shよりも小さい(H1_ce<H1_shかつH2_ce<H2_sh)。また、センター領域におけるサイプ密度D_ceが、ショルダー領域におけるサイプ密度D_shよりも大きい(1.00<D_ce/D_sh)。
実施例2〜9の空気入りタイヤ1は、実施例1の空気入りタイヤ1の変形例である。また、実施例10の空気入りタイヤ1は、図5に記載した構成を有し、4本の周方向主溝21、22と、3つのセンター陸部31および左右のショルダー陸部32とをトレッド部に備える。また、実施例11の空気入りタイヤ1は、図6に記載した構成を有し、センター陸部31に、主傾斜溝313および副傾斜溝314を備える。
従来例1の空気入りタイヤは、2本の周方向主溝と、1つのセンター陸部および左右のショルダー陸部とをトレッド部に備える。また、センター陸部のサイプおよびショルダー陸部のサイプが、いずれも二次元サイプである。また、センター陸部におけるキャップゴムのゴム硬度H1_ce、H2_ceが、ショルダー陸部におけるキャップゴムのゴム硬度H1_sh、H2_shよりも大きい。また、センター領域におけるサイプ密度D_ceが、ショルダー領域におけるサイプ密度D_shよりも大きい。
従来例2の空気入りタイヤは、従来例1の空気入りタイヤにおいて、センター陸部におけるキャップゴムのゴム硬度H1_ce、H2_ceが、ショルダー陸部におけるキャップゴムのゴム硬度H1_sh、H2_shよりも小さい。また、センター領域におけるサイプ密度D_ceが、ショルダー領域におけるサイプ密度D_shよりも小さい。
従来例3の空気入りタイヤは、従来例1の空気入りタイヤにおいて、センター陸部のサイプおよびショルダー陸部のサイプが、いずれも三次元サイプである。
比較例1〜3は、実施例1の空気入りタイヤ1に対して、センター陸部およびショルダー陸部におけるサイプ形状およびキャップゴム硬度差が相異する。
試験結果に示すように、実施例1〜11の空気入りタイヤ1では、比較例1の空気入りタイヤと比較して、タイヤのドライ操安性およびスノー操安性が向上することが分かる(図7参照)。また、実施例1〜3を比較すると、センター陸部31のゴム硬度H1_ce、H2_ceと、ショルダー陸部32のゴム硬度H1_sh、H2_shとが適正化されることにより、タイヤのドライ操安性とスノー操安性とが両立することが分かる。また、実施例1、4、5を比較すると、センター領域のサイプ密度D_ceとショルダー領域のサイプ密度D_shとの比D_ce/D_shが適正化されることにより、タイヤのドライ操安性とスノー操安性とが両立することが分かる。また、実施例1、6、7を比較すると、センター領域の接地幅W_ceが適正化されることにより、タイヤのドライ操安性とスノー操安性とが両立することが分かる。また、実施例1、8、9を比較すると、センター領域の溝面積比S_ceが適正化されることにより、タイヤのドライ操安性とスノー操安性とが両立することが分かる。
1 空気入りタイヤ、21、22 周方向主溝、31 センター陸部、311 ラグ溝、312 サイプ、313 主傾斜溝、314 副傾斜溝、32 ショルダー陸部、321 ラグ溝、322 サイプ、323 周方向細溝、11 ビードコア、12 ビードフィラー、13 カーカス層、14 ベルト層、141、142 ベルトプライ、15 トレッドゴム、151_ce、151_sh キャップゴム、152 アンダーゴム、16 サイドウォールゴム

Claims (6)

  1. タイヤ周方向に延在する複数の周方向主溝と、前記周方向主溝に区画されて成る複数の陸部とをトレッド部に備える空気入りタイヤであって、
    タイヤ幅方向の最も外側にある左右の前記周方向主溝を最外周方向主溝と呼び、左右の前記最外周方向主溝の溝中心線を境界とする前記トレッド部のタイヤ幅方向内側の領域をセンター領域と呼ぶと共にタイヤ幅方向外側の左右の領域をショルダー領域と呼ぶときに、
    前記センター領域の前記陸部と、左右の前記ショルダー領域の前記陸部とが、複数のサイプをそれぞれ有し、
    前記センター領域に配置された前記サイプの90[%]以上が二次元サイプから成ると共に、前記ショルダー領域に配置された前記サイプの90[%]以上が三次元サイプから成り、
    前記トレッド部がキャップゴムおよびアンダーゴムを有し、且つ、
    前記センター領域における前記キャップゴムの−10[℃]におけるゴム硬度H1_ceおよび20[℃]におけるゴム硬度H2_ceと、前記ショルダー領域における前記キャップゴムの−10[℃]におけるゴム硬度H1_shおよび20[℃]におけるゴム硬度H2_shとが、H1_ce<H1_shかつH2_ce<H2_shの関係を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記センター領域におけるゴム硬度H1_ce、H2_ceおよび前記ショルダー領域におけるゴム硬度H1_sh、H2_shが、65≦H1_ce≦75、62≦H2_ce≦72、68≦H1_sh≦78および65≦H2_sh≦75、ならびに、3≦H1_sh−H1_ce≦10および3≦H2_sh−H2_ce≦10の条件を満たす請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記センター領域におけるサイプ密度D_ceと、前記ショルダー領域におけるサイプ密度D_shとが、1.3≦D_ce/D_sh≦2.0の関係を有する請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記センター領域における接地幅W_ceと、タイヤ接地幅TWとが、0.45≦W_ce/TW≦0.55の関係を有する請求項1〜3のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  5. タイヤ接地面における前記センター領域の接地幅W_ce内の溝面積比S_ceが0.25≦S_ce≦0.35の範囲内にあり、且つ、タイヤ接地面における総溝面積比S_tが0.25≦S_t≦0.38の範囲内にある請求項1〜4のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
  6. 左右の前記最外周方向主溝に区画されて成る1つのセンター陸部を前記センター領域に備え、且つ、
    前記センター陸部が、タイヤ周方向に配列された複数の主傾斜溝および複数の副傾斜溝を有し、
    前記複数の主傾斜溝が、タイヤ周方向の一方向に向かってタイヤ赤道面から離隔する態様でタイヤ周方向に対して傾斜しつつそれぞれ延在し、一方の端部にて、左右の前記最外周方向主溝のいずれか一方にそれぞれ連通すると共に、タイヤ赤道面の両側にてタイヤ周方向に向かって交互に配置され、
    前記複数の副傾斜溝が、タイヤ周方向の一方向に向かってタイヤ赤道面から離隔する態様でタイヤ周方向に対して傾斜しつつそれぞれ延在し、2つの前記主傾斜溝に対して交差しつつ前記センター陸部内で両端部を終端させると共に、タイヤ赤道面の両側にてタイヤ周方向に向かって交互に配置される請求項1〜5のいずれか一つに記載の空気入りタイヤ。
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