JP2005193801A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Yasutaka Suda
泰崇 須田
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Abstract

【課題】氷雪上性能を高めるとともにヒールアンドトウ偏摩耗をも抑制する。
【解決手段】空気入りタイヤは、トレッド踏面部1を中央域Aと側部域Bとに区画し、中央域Aには、一対の周溝2とセンター周溝3とを連通する横溝4を設けて、二列のブロック列を形成し、中央域Aのネガティブ率を側部域Bのネガティブ率以下とし、その差を5%未満とし、中央域Aのエッジ成分を側部域Bのエッジ成分よりも大とし、センター周溝3を隔てて位置する横溝4の、センター周溝3に開口する周方向位置4a、4bを、相互に異ならせ、該センター周溝3から一対の周溝2に向かって伸びて該周溝2の手前で終了するラグ溝7を設け、センター周溝2を隔てて位置するラグ溝7のセンター周溝2に開口する周方向位置7a、7bを相互に異ならせるとともに、横溝4のセンター周溝に開口する周方向位置4a、4bとも異ならせてなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、氷雪上性能を高めた空気入りタイヤ、とくには小型トラック用のスタッドレスタイヤに関するものである。
小型トラックでは、空車時と積車時との荷重変化が大きいため、それに用いられる特許文献1に記載されているような、スタッドレスタイヤの、特に空車時のトレッド踏面の接地面積が極端に小さくなる傾向がある。このようにトレッド踏面の接地面積が小さくなると、氷雪上性能のうち、特に氷上性能が大きく低下する。ところが、氷上性能の向上を狙って、単にトレッド踏面の中央域のネガティブ率を低下させると、トレッド表面の雪への噛み込みが小さくなって、雪上性能の低下を招いてしまう。このため、中央域には雪への噛み込みを補償するため、ラグ溝が設けられることがあるが、これによっても、ヒールアンドトウ偏摩耗を助長してしまうという問題点が生じる。
特開平8−197913号公報
本発明は、背景技術が抱えるこのような問題を解決することを課題としてなされたものであり、その目的は、中央域のネガティブ率の設定とラグ溝の配設態様を最適化して、氷雪上性能を高めるとともにヒールアンドトウ偏摩耗をも抑制することができる空気入りタイヤを提供することにある。
本発明の空気入りタイヤは、トレッド踏面部に、タイヤ赤道線を隔てて位置してトレッド周方向に連続して延びる一対の周溝と、それらの周溝の間に位置するセンター周溝とを設け、該一対の周溝により、トレッド踏面を中央域と側部域とに区画し、中央域には、該一対の周溝とセンター周溝とを連通する横溝を設けて、二列のブロック列を形成してなるものであって、
中央域のネガティブ率を側部域のネガティブ率以下として、その差を5%未満とし、
中央域のエッジ成分を側部域のエッジ成分よりも大とし、
センター周溝を隔てて位置する横溝の、センター周溝に開口する周方向位置を、相互に異ならせ、
該センター周溝から一対の周溝に向かって伸びて該周溝の手前で終了するラグ溝を設け、
センター周溝を隔てて位置するラグ溝のセンター周溝に開口する周方向位置を、相互に異ならせるとともに、横溝のセンター周溝に開口する周方向位置とも異ならせてなることを特徴とする。
これによれば、小型トラックに使用して、空車の条件下での接地領域に相当する、前記中央域において、ネガティブ率を下げることにより、接地面積をなるべく大きくするとともに、エッジ成分を大とすることにより、氷上の水膜を除去する性能を高めることができる。これらのことにより、氷上性能を高めることができる。
ここで中央域のネガティブ率を側部域のネガティブ率より5%以上小さくすると、中央域のブロックが雪にめり込みにくくなり、雪上性能が損なわれる。(実施例の比較例2参照)
さらに、センター周溝に開口するラグ溝を設けることにより、トレッド踏面の中央域のブロックが、雪上路面における雪へめり込みやすくして、雪上性能を高めることができる。
ところで、このようなラグ溝を設けると、それによりブロックの動きが大きくなるので、ヒールアンドトウ偏摩耗の発生がより助長される。
そこで、ラグ溝のセンター周溝への開口位置を、センター周溝を隔てて相互に異ならせるとともに、中央域の横溝のセンター周溝への開口位置とも相違させることにより、各々のブロックのラグ溝により画成されるタイヤ周方向のブロック縁を、センター周溝を隔てて周方向にずらすことができる。これにより、センター周溝を隔てて位置するブロックを、周方向に途切れることなく連続させて、それらのブロックが連続して荷重支持を行うことができるため、ブロックが路面に引きずられることを抑制して、前記ヒールアンドトウ偏摩耗を抑制することができる。
ここで、エッジ成分とは、溝およびサイプにより区画される、トレッド踏面の陸部の踏み込み側の縁の、トレッド幅方向長さの合計を指すものとする。
また、ネガティブ率とは、タイヤを適用リムに装着するとともに、規定の空気圧を充填し、そこに最大負荷能力に対応する質量を負荷したときの、トレッド踏面の中央域または側部域のネガティブ率をいうものとする。ここで適用リムとは下記の規格に規定されたリムをいい、最大負荷能力とは、下記の規格でタイヤに負荷することが許される最大の質量をいい、規定の空気圧とは、下記の規格において、最大負荷能力に対応して規定される空気圧をいう。
そして規格とは、タイヤが生産又は使用される地域に有効な産業規格によって決められている。例えば、アメリカ合衆国では”THE TIRE AND RIM ASSOCIATION INC.のYEAR BOOK”であり、欧州では”The European Tyre and Rim Technical OrganizationのSTANDARDS MANUAL”であり、日本では日本自動車タイヤ協会の”JATMA YEAR BOOK”である。
以下に、本発明の実施の形態を、図面に示すところに基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態を、車両への装着姿勢の正面視で示すトレッドパターンの展開図である。
ここでは、トレッド踏面部1に、タイヤ赤道線Cを隔てて位置してトレッド周方向に連続して延びる一対の周溝2と、それらの周溝2の間に、タイヤ赤道線C上に位置するセンター周溝3とを設け、該一対の周溝2により、トレッド踏面を中央域Aと側部域Bとに区画し、中央域Aには、該一対の周溝2とセンター周溝3とを連通する横溝4を設けて、二列のブロック列を形成してなるものであって、
中央域Aのネガティブ率を側部域Bのネガティブ率以下として、その差を5%未満とし、
中央域Aにサイプ5を、側部域Bにサイプ6を設けて、
中央域Aのエッジ成分を側部域Bのエッジ成分よりも大とし、
センター周溝3を隔てて位置する横溝4の、センター周溝3に開口する周方向位置4a、4bを、相互に異ならせ、
該センター周溝3から一対の周溝2に向かって伸びて該周溝2の手前で終了するラグ溝7を設け、
センター周溝2を隔てて位置するラグ溝7のセンター周溝2に開口する周方向位置7a、7bを、相互に異ならせるとともに、横溝4のセンター周溝に開口する周方向位置4a、4bとも異ならせている。
これによれば、小型トラックに使用して、空車の条件下での接地領域に相当する、前記中央域Aにおいて、ネガティブ率を下げることにより、接地面積をなるべく大きくするとともに、エッジ成分を大とすることにより、氷上の水膜を除去する性能を高めることができる。これらのことにより、氷上性能を高めることができる。
さらに、センター周溝3に開口するラグ溝7を設けることにより、トレッド踏面1の中央域のブロックが、雪上路面における雪へめり込みやすくして、雪上性能を高めることができる。
また、ラグ溝7のセンター周溝3への開口位置7a、7bを、センター周溝3を隔てて相互に異ならせるとともに、中央域Aの横溝4のセンター周溝3への開口位置4a、4bとも相違させることにより、各々のブロックのラグ溝7により画成されるタイヤ周方向のブロック縁を、センター周溝3を隔ててタイヤ回転方向にずらすことができる。これにより、センター周溝3を隔てて位置するブロックが連続的に荷重を支持することができるため、ブロックが路面に引きずられることを抑制して、ヒールアンドトウ偏摩耗を抑制することができる。
本発明に係る空気入りタイヤの、氷雪路面上の駆動性能およびヒールアンドトウ偏摩耗の抑制性能を評価する目的で、供試タイヤとして、サイズがLYR 195/80 R15で、図1に示すトレッドパターンを有する実施例タイヤ1と表1に示す諸元の比較例タイヤ1〜3を、サイズが6Jのリムに装着するとともに、充填空気圧を450kPa(フロント、リアとも)として、試験車両(トヨタハイエース)に装着して、気温0℃の条件で氷上路面および雪上路面における加速度を測定し、比較例タイヤ1をコントロールとして指数評価を行った。数値が大きいほど駆動性能が高いことを示す。
また、フロントに装着したタイヤの10000km走行後のブロックの踏み込み側と蹴り出し側との段差量を測定し、これも比較例タイヤ1をコントロールとして指数評価を行った。数値が大きいほどヒールアンドトウ偏摩耗を抑制する効果が高いことを示す。
その結果を表1に示す。
表中、ラグ溝の位相ずらしとは、図1に示すところのタイヤにおいて、センター周溝3を隔てて位置する横溝4の、センター周溝3に開口する周方向位置4a、4bを、相互に異ならせ、かつ、センター周溝2を隔てて位置するラグ溝7のセンター周溝2に開口する周方向位置7a、7bを、異ならせるとともに、横溝4のセンター周溝に開口する周方向位置4a、4bとも異ならせることを指す。
また、エッジ成分は、比較例タイヤ1をコントロールとして、指数にて表示した。指数が大きいほどエッジ成分が大きいことを示す。
Figure 2005193801
表1のデータによれば、実施例タイヤ1は比較例タイヤ1〜3に比して、氷上路面の駆動性能と、雪上路面の駆動性能をバランスよく向上できていることがわかる。さらに、雪上路面の駆動性能を比較例タイヤ1並としながら、ヒールアンドトウ偏摩耗についても抑制できていることがわかる。
実施例タイヤ1と比較例タイヤ1とを比較すると、実施例タイヤ1では、中央域のネガティブ率を側部域のネガティブ率よりも小さくすることにより、中央域の接地面積を大きくするとともに、中央域のエッジ成分を側部域よりも大きくすることにより、中央域の水膜除去性能を高めているため、氷上路面の駆動性能が高められていることがわかる。
また、実施例タイヤ1と比較例タイヤ2とを比較すると、比較例タイヤ2では、中央域のネガティブ率を側部域のネガティブ率よりも5%以上小さくしていることにより、中央域のブロックが雪にめり込みにくくなって、雪上性能の低下を招いているが、実施例タイヤ1では、それを5%未満とすることにより、雪上性能を比較例タイヤ1並とできていることがわかる。
実施例タイヤ1と比較例タイヤ2とを比較すると、中央域にラグ溝を設けることにより、その分ネガティブ率が上がり、雪上路面での駆動性能が改善されていることがわかる。
さらに、実施例タイヤ1と比較例タイヤ3とを比較すると、中央域にラグ溝をセンター周溝を隔てて同位相に設けると、雪上路面での駆動性能は向上するものの、ヒールアンドトウ偏摩耗が助長されてしまうが、その位相をずらすことにより、ヒールアンドトウ偏摩耗をも抑制できていることが分かる。
本発明は、小型トラック用のスタッドレスタイヤに適用して効果的なものである。
本発明の実施の形態を示すトレッドパターンの展開図である。
符号の説明
1 トレッド踏面
2 周溝
3 センター周溝
4 横溝
4a 横溝の開口位置
4b 横溝の開口位置
5 サイプ
6 サイプ
7 ラグ溝
7a ラグ溝の開口位置
7b ラグ溝の開口位置

Claims (1)

  1. トレッド踏面部に、タイヤ赤道線を隔てて位置してトレッド周方向に連続して延びる一対の周溝と、それらの周溝の間に位置するセンター周溝とを設け、該一対の周溝により、トレッド踏面を中央域と側部域とに区画し、中央域には、該一対の周溝とセンター周溝とを連通する横溝を設けて、二列のブロック列を形成してなる空気入りタイヤであって、
    中央域のネガティブ率を側部域のネガティブ率以下として、その差を5%未満とし、
    中央域のエッジ成分を側部域のエッジ成分よりも大とし、
    センター周溝を隔てて位置する横溝の、センター周溝に開口する周方向位置を、相互に異ならせ、
    該センター周溝から一対の周溝に向かって伸びて該周溝の手前で終了するラグ溝を設け、
    センター周溝を隔てて位置するラグ溝のセンター周溝に開口する周方向位置を、相互に異ならせるとともに、横溝のセンター周溝に開口する周方向位置とも異ならせてなる空気入りタイヤ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008201368A (ja) * 2007-02-22 2008-09-04 Sumitomo Rubber Ind Ltd スタッドレスタイヤ
JP2013079014A (ja) * 2011-10-04 2013-05-02 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りタイヤ

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