JP2013078945A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】意匠性に優れるとともに、汚染防止効果を発揮し、汚染物質の付着に起因する不具合を抑制し、それを維持することができる積層体を得る。
【解決手段】基材の上に、着色粒子による模様を有する装飾層及びシリカ及び合成樹脂を特定重量比で含む透明層を積層する。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な積層体に関する。本発明積層体は、例えば、建築物の外壁面等に適用する建材として使用できる。
建築物外装等に用いる建材には、景観上の観点から美観性が求められている。近年、このような建材としては、例えば天然石をイメージしたもの等が注目されており、比較的厚みがあり、様々な凹凸パターンによって重厚感が付与されたもの等も採用されている。
このような建材としては、基材上に装飾層が形成された建材が多くある。例えば、特許文献1には、基材上に、砂状の無機または有機粒状物が固着された装飾層が形成された装飾材が記載されている。また、特許文献2には、凹凸面を有する基材に装飾層が付着した擬石構造体が記載されている。
特開2002−127348号公報 特開2007−98871号公報
しかし、特許文献1、2に記載の材料の表面は、粒状物または基材に由来する凹凸形状有するものであり、この凹部には汚染物質が付着しやすい。特に都市部においては、自動車等からの排出ガスにより、大気中に油性の汚染物質が浮遊しているため、汚染が進行しやすい状況にある。このような汚染物質は、美観性低下を引き起こすだけでなく、太陽光中の赤外線の吸収能が非常に高いため、蓄熱場として作用し、温度上昇を助長するおそれがある。さらに、このような汚染物質に起因する過度の温度上昇は、材料劣化等の原因となるおそれもある。
本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、優れた美観性を有すると共に、汚染防止効果を発揮し、汚染物質の付着に起因する不具合を抑制し、それを維持することができる積層体を得ることを目的とするものである。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、基材上に、着色粒子による模様を有する装飾層、及び特定のシリカ及び合成樹脂を特定重量比で含む透明層を有する積層体に想到し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の積層体は、下記の特徴を有するものである。
1.基材上に、装飾層及び透明層が積層された積層体であって、
前記装飾層は、着色粒子を含有し、
前記透明層は、平均一次粒子径1〜200nmのシリカ100重量部に対し、合成樹脂を固形分重量比率で5〜500重量部含むことを特徴とする積層体。
2.前記基材は、凹凸形状を有し、
前記装飾層は、着色粒子による模様が前記基材の凹凸に沿って形成され、且つその層の表面が前記着色粒子に由来する微視的な凹凸形状を有するものであることを特徴とする1.に記載の積層体。
3.前記着色粒子は、無機質粒子の表面を金属酸化物で着色した着色骨材を含むことを特徴とする1.または2.に記載の積層体。
4.前記着色粒子は、粒子径22μm以上600μm以下の着色粒子を含むことを特徴とする1.から3.のいずれかに記載の積層体。
本発明の積層体は、基材の上に、着色粒子による模様を有する装飾層及び特定の透明層を有するものである。本発明では、装飾層の色彩等によって、美観性が付与され、透明層によって、十分な汚染防止効果が発揮されるものである。これによって、装飾層の色彩等に基づく美観性が長期にわたり保持され、さらには、汚染物質の付着に起因する温度上昇等も長期間回避できる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明の積層体は、基材上に、装飾層及び透明層を有するものである。この積層体は、主に建築物の外装建材として適用できるものであり、建築物外装面(下地)に積層体を貼り付けて使用するものである。
(基材)
本発明の基材としては、特に限定されないが、基材の材質として、例えば、紙、合成紙、不燃紙、樹脂シート、金属シート、織布、不織布等が挙げられる。これらは、必要に応じて表面処理等が施されたものであってもよい。その厚みは、0.05mm以上(より好ましく0.1mm〜5mm)であることが好ましい。このような範囲内であれば、強度、伸縮性等の点で好適である。
特に、本発明では、基材として織布または不織布を使用することが好ましい。また、織布または不織布にガラスメッシュ、ガラスクロス、セラミックペーパー、合成紙、不燃紙等の1種以上を積層したもの等も好適に使用することができる。このような織布または不織布としては、厚み0.05〜1.5mm(より好ましくは0.1〜1.2mm、さらに好ましくは0.2〜1mm)、坪量は5〜300g/m、(より好ましくは10〜250g/m、さらに好ましくは20〜200g/m)であるものが好ましい。このような基材を用いることにより、美観性に優れた積層体が得られるとともに、積層体を下地へ施工した際、積層体を安定的に支えることができる。
また、本発明では、基材として樹脂シートも好適に使用することができる。樹脂シートとしては、特に限定されないが、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン等の熱可塑性樹脂シートが特に好ましい。熱可塑性樹脂の場合、成形が容易であるため複雑な凹凸形状も簡単に設けることができる。
本発明の基材は、凹凸形状を有するものが好ましい。このような基材は、装飾層及び透明層が積層される側の面(以下、「表面」という。)に少なくとも凹凸形状を有するものであればよい。また、本発明の基材は表面及び裏面に凹凸形状を有するものであってもよく、この場合、表裏両面が対応した凹凸形状を有することが好ましい。なお、表裏両面が対応した凹凸形状とは、基材の表面と裏面の両面に凹凸形状が付与されており、表面の凹部が裏面の凸部に対応し、表面の凸部が裏面の凹部に対応した形状を有することである。
基材の裏面にも凹凸形状を有する場合、下地に接着剤を介して積層体を貼着する際、基材と接着剤との接触面積が大きくなるため付着性が向上する。また、基材の表裏両面が対応した凹凸形状を有する場合、積層体の伸縮性、柔軟性が向上する。このような作用によって積層体は、下地に対して優れた追従性、付着性を発揮することができる。
凹凸形状としては、具体的には、ゆず肌模様、さざ波模様、スタッコ模様、砂壁模様、石材模様、岩肌模様、砂岩模様、吹放し模様、月面模様、櫛引模様、虫喰模様、木目模様、筋状模様、格子状模様、幾何学模様等、種々の凹凸形状が挙げられる。
このような凹凸形状を有する基材上に、後述の装飾層が積層されることにより、意匠性に優れた積層体を容易に得ることができる。
基材の凹凸の程度としては、好ましくは0.3mm以上10mm(より好ましくは0.5mm以上8mm以下)の高低差を有するものである。このような範囲の場合、装飾層が積層された場合、基材の凹凸模様が活かされ、意匠性に優れた積層体を得ることができる。また、積層体を下地に貼着した場合、優れた追従性、付着性を発揮することができる。
(装飾層)
本発明の装飾層は、上記基材上に形成され、積層体に意匠性を付与する層である。この装飾層は、着色粒子による模様を有するものであり、例えば、以下のようなものが挙げられる。また、基材が凹凸模様を有する場合は、基材の凹凸形状に沿って装飾層を形成することにより、優れた意匠性を付与することができる。
この装飾層は、着色粒子による模様を有するものであり、例えば、以下のようなものが挙げられる。
(1)着色粒子として着色骨材を含み、模様が着色骨材により形成される装飾層
(2)着色粒子として樹脂成分及び着色顔料を含む着色材の粒状化物を含み、模様が粒状化物によって形成される装飾層
また、上記(1)(2)を組み合わせることもできる。
上記(1)は、着色骨材(A)及び樹脂成分(B)を必須成分として含む装飾層用組成物により形成されるものである。
着色粒子として着色骨材(A)(以下、「(A)成分」ともいう。)を使用することによって、粒子径の小さい一般的な着色顔料等を使用した場合と異なり、(A)成分がそれぞれ模様として視認され、優れた色調や質感が付与できる。また(A)成分は、装飾層表面に微視的な凹凸を形成し、立体的な意匠の付与にも寄与するものである。
このような(A)成分としては、何らかの色彩を有する固体粒子であれば特に限定されず、その材質が、無機質、有機質のいずれも使用でき、天然品、人工品のいずれも使用することができる。具体的には、例えば、重質炭酸カルシウム、マイカ、カオリン、クレー、陶土、チャイナクレー、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、貝殻、バライト粉、大理石、御影石、蛇紋岩、花崗岩、蛍石、寒水石、長石、珪石、珪砂等の粉砕物、陶磁器粉砕物、セラミック粉砕物、金属片、金属粉、ガラスビーズ、ガラス粉砕物等の無機質粒子、樹脂ビーズ、樹脂粉砕物、ゴム類、プラスチック類、植物繊維、植物片等の有機質粒子が挙げられる。また、これらに着色を施したものも使用することができる。
本発明の(A)成分は、特に、無機質粒子(a)(以下「(a)成分」ともいう。)であることが好ましい。さらに、(a)成分の表面が、金属酸化物で着色されていることが好ましい。このような金属酸化物としては、例えば、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅等の遷移金属元素;ホロミウム、プラセオジウム、ネオジウム、エルビウム等の希土類元素;金、白金、銀、パラジウム、ロジウム等の貴金属元素;から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属酸化物、あるいはこれらの金属酸化物の複合酸化物が使用できる。複合酸化物としては、上記金属酸化物から選ばれる少なくとも1種と、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、鉛、アンチモン及びスズ等の金属酸化物;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウム等のアルカリ土類金属酸化物;ホウ素、リン等の無機酸化物;から選ばれる少なくとも1種の酸化物との複合酸化物が挙げられる。
上記金属酸化物は、上記(a)成分の表面に、直接付着したものであっても、バインダー成分を介して付着されたものであってもよい。バインダー成分としては、有機系、無機系、有機‐無機複合系等、公知のものが使用できる。本発明では特に、ケイ酸塩、アルミニウム塩、リン酸塩等から選ばれる1種以上を含む無機系バインダーが好ましい。
このように(a)成分の表面が、金属酸化物で着色されている(A)成分は、美観性に優れた色調を長期にわたり維持することができ、優れた赤外線反射作用を発揮することもできる。
(A)成分は、粒子径22μm以上600μm以下の着色粒子を含むことが好ましい。特に本発明では、(A)成分中に、粒子径22μm以上150μm未満の着色粒子(A1)が10重量%以上含まれることが好ましい。(A)成分中の上記着色粒子(A1)の比率は、より好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは20〜70重量%、最も好ましくは30〜60重量%である。
また、(A)成分中に、粒子径150μm以上212μm未満の着色粒子(A2)が10〜45重量%含まれることが好ましい。(A)成分中の上記着色粒子(A2)の比率は、より好ましくは15〜40重量%、さらに好ましくは20〜35重量%である。
さらに、(A)成分中に、粒子径212μm以上600μm以下の着色粒子(A3)が10〜45重量%含まれることが好ましい。(A)成分中の上記着色粒子(A3)の比率は、より好ましくは15〜40重量%、さらに好ましくは20〜35重量%である。
このような粒度分布を有する(A)成分は、平均粒子径の異なる少なくとも2種以上、好ましくは3種以上の着色粒子を組み合せることによって得ることができる。好適な態様としては、平均粒子径53μm以上125μm未満の着色粒子と、平均粒子径125μm以上500μm未満の着色粒子との組み合わせが挙げられる。より好適な態様としては、平均粒子径53μm以上125μm未満の着色粒子と、平均粒子径125μm以上212μm未満の着色粒子と、平均粒子径212μm以上500μm未満の着色粒子との組み合わせが挙げられる。なお(A)成分の平均粒子径は、JIS Z8801−1:2000に規定される金属製網ふるいを用いてふるい分けを行い、その重量分布の平均値を算出することによって得られる値である。
本発明では、上述のような(A)成分の粒度構成によって、美観性を一層高めることができ、さらに、積層体の温度上昇抑制、劣化防止(膨れ等の防止)等の点でも有利である。この作用機構は明確ではないが、装飾層において(A)成分が密に凝集し、(A)成分同士の間隙が減少した態様となり、その結果以下のような作用が生じるものと推定される。
・装飾層の表面付近における光の拡散反射作用が高まる。
・装飾層表面における凹凸の程度が緩和され、蓄熱源となる汚染物質が一層付着し難くなる。
・(A)成分の熱伝導性によって、装飾層の熱拡散作用が高まり、局所的な温度上昇が抑制される。
上記(1)における樹脂成分(B)(以下、「(B)成分」ともいう)は、上記(A)成分を固定化する役割を担う。このような(B)成分としては、例えば、各種の樹脂成分が使用できる。樹脂成分としては、例えば、溶剤可溶型樹脂、非水分散型樹脂、無溶剤型樹脂、水分散型樹脂、水溶性樹脂等が挙げられる。樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体等、あるいはこれらの複合物等が挙げられる。このような樹脂成分は、塗膜形成後に架橋反応を生じる性質を有するものであってもよい。
(B)成分のガラス転移温度は、好ましくは−60℃〜60℃、より好ましくは−40℃〜30℃、さらに好ましくは−30℃〜20℃である。(B)成分のガラス転移温度がこのような範囲の場合、適度な可とう性を付与することが可能となる。また、本発明では(B)成分としてガラス転移温度が比較的低いものを使用しても、透明層の作用により十分な汚染防止効果が得られる。なお、ガラス転移温度はFoxの計算式により求められる値である。
(B)成分の比率は、固形分換算で、(A)成分100重量部に対し、通常3重量部以上50重量部以下、好ましくは4重量部以上30重量部以下、より好ましくは5重量部以上20重量部未満、さらに好ましくは6重量部以上19重量部以下である。このような比率であれば、(A)成分の質感を活かした意匠性が付与され、さらには温度上昇が効果的に抑制できる。また、装飾層が十分な水蒸気透過性を有するため、着色層の膨れ等も防止できる。
上記成分に加え、(C)光安定剤(以下「(C)成分」ともいう)を使用することもできる。このような(C)成分を含むことにより、長期にわたり、後述の透明層と優れた密着性を維持することができ、本発明の効果を十分に発揮することができる。
このような(C)成分としては、ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。具体的には、例えば、ビス(2,2,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等が挙げられる。
(C)成分の比率は、(A)成分100重量部に対し、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは0.1〜3重量部である。
また、上記成分に加え、本発明の効果を著しく損なわない限り、必要に応じ、その他の成分を含むことができる。このような成分としては、例えば、可塑剤、防藻剤、抗菌剤、消臭剤、吸着剤、難燃剤、着色顔料、体質顔料、光輝性顔料、蓄光顔料、蛍光顔料、骨材、繊維、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒等が挙げられる。
例えば、光輝性顔料としては、アルミニウムフレーク顔料、蒸着アルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆アルミニウムフレーク顔料、着色アルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆マイカ顔料、金属酸化物被覆合成マイカ顔料、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料、金属被覆ガラスフレーク顔料、金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料、金属酸化物被覆板状酸化鉄、グラファイト、ステンレスフレーク、金属チタンフレーク顔料、板状硫化モリブデン、板状塩化ビスマス、ホログラム顔料、コレステリック液晶ポリマー、金属蒸着高分子フィルムの破砕品等が挙げられる。
上記(2)は、着色粒子として樹脂成分及び着色顔料を含む着色材(d)(以下「(d)成分」ともいう。)の粒状化物(D)(以下「(D)成分」ともいう。)を塗付することによって形成されるものである。
(d)成分における樹脂成分としては、上記(1)と同様の樹脂成分が使用できる。
(d)成分における顔料としては、着色顔料が使用できる。具体的に、着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、カーボンブラック、酸化第二鉄(弁柄)、黄色酸化鉄、酸化鉄、群青、コバルトグリーン等の無機着色顔料、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等の有機着色顔料、パール顔料、アルミニウム顔料、蛍光顔料等が挙げられる。このような着色顔料の1種または2種以上を組み合わせることにより、(d)成分を所望の色調に調製することができる。(d)成分の着色顔料の濃度は、好ましくは40重量%以下に設定すればよい。
(d)成分においては、このような着色顔料に加え、体質顔料を使用することもできる。体質顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、カオリン、陶土、タルク、珪石粉、珪藻土等が挙げられる。
上記(2)は、上記基材の上に(D)成分が散在した形態、具体的には、少なくとも2色以上(より好ましくは3〜8色)の(D)成分が散在した形態が望ましい。(D)成分の色調は、最終的に形成される模様に応じて適宜設定すればよい。(D)成分の粒子径は、好ましくは0.1〜20mm(より好ましくは1〜10mm)程度であればよい。本発明では、粒子径が異なる(D)成分を種々組み合せることによって、意匠性の幅を広げることもできる。
上記(2)は、以下の(I)または(II)の方法によって形成できる。
(I)液状またはゲル状の着色材(d)をカプセル化またはゲル化した少なくとも2種以上の粒状粒子(D)が分散媒中に分散した組成物(以下、「着色樹脂粒子分散体」ともいう)を塗付する。
(II)少なくとも2種以上の着色材(d)を粒状に塗付する。
上記(I)の着色樹脂粒子分散体の分散媒としては、特に限定されないが、上記着色材(d)で述べた水分散型樹脂または水溶性樹脂及び水を主成分とするものが好ましく、必要に応じゲル化剤、その他添加剤等を含むこともできる。
上記(I)では、1回の塗装で効率的に模様面が形成できる。着色樹脂粒子分散体の塗装においては、種々の塗装方法を採用することができるが、特に吹き付け塗装が好適である。着色樹脂粒子分散体の塗付け量は、好ましくは0.1〜1kg/m程度である。
上記(II)では、種々の塗装方法を採用することができるが、特に吹付け塗装が好適である。これら着色材(d)は同時に、または順に塗装すればよい。複数種の着色材(d)を同時に塗装する場合には、塗装器具として多頭型吹付け塗装機等を使用することができる。着色材(d)の塗付け量は、好ましくは0.01〜3kg/m(より好ましくは0.05〜2kg/m)程度である。
本発明の装飾層は、その表面に、上記(A)成分に由来する微視的な凹凸形状を有するものが好ましい。この微視的な凹凸は、(A)成分の粒子径や凝集具合等に起因するもので、好ましくは1.5mm以下(より好ましくは0.005mm以上1.2mm以下、さらに好ましくは0.01mm以上1mm以下、最も好ましくは0.02mm以上0.8mm以下)の高低差を有するものである。
上記(1)(2)の装飾層の厚みは、目的に応じて適宜設定すればよいが、好ましくは0.1mm〜5mm、より好ましくは0.2mm〜3mmである。このような範囲の場合、意匠性に優れた装飾層が得られやすい。
(透明層)
本発明の透明層は、積層体の最表面に設けられるものであり、(E)平均一次粒子径1〜200nmのシリカ(以下「(E)成分」ともいう)が(F)合成樹脂(以下「(F)成分」ともいう)で固定化されたものである。
透明層における(E)成分は、粒子自体の硬度が高く、さらに粒子表面にシラノール基を多く有する等によって、優れた汚染防止効果を発揮するものである。
(E)成分の平均一次粒子径は、通常1〜200nm、好ましくは3〜100nm、より好ましくは5〜60nmである。この範囲内であれば、平均一次粒子径が異なる複数のシリカを併用することもできる。(E)成分の平均一次粒子径が200nmよりも大きい場合は、比表面積が小さくなり、シラノール基も減るため汚染防止性が不十分となる。平均一次粒子径が1nmよりも小さい場合は、シリカ自体が不安定化するため、実用的でない。なお、ここで言う平均一次粒子径は、光散乱法によって測定される値である。
このような(E)成分としては、シリカゾルに由来するものが好ましく、さらにはpH5以上12以下(好ましくは6以上10以下、より好ましくは6以上9以下)の水分散性シリカゾルに由来するものが好ましい。
このような水分散性シリカゾルは、例えば、珪酸ソーダ、珪酸リチウム、珪酸カリウム、シリケート化合物等を原料として製造できる。このうち、シリケート化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラsec−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン等、あるいはこれらの縮合物等が挙げられる。この他、上記シリケート化合物以外のアルコキシシラン化合物や、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、フッ素アルコール、シランカップリング剤、ポリオキシアルキレン基含有化合物等を併せて使用することもできる。
上記(E)成分を固定化する(F)成分としては、各種樹脂が使用できる。具体的には上記(B)成分と同様のものが挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。このような樹脂としては、水溶性樹脂及び/または水分散性樹脂が好ましい。
(F)成分の比率は、(E)成分の固形分100重量部に対し、通常5〜500重量部、好ましくは10〜100重量部、より好ましくは20〜80重量部である。このような比率であることにより、装飾層への密着性に優れると共に、十分な汚染防止効果が得られ、温度上昇抑制の点でも有利である。しかも、このような効果が長期間にわたり発揮される。また、装飾層の水蒸気透過性が阻害されず、膨れ防止等の点でも有利である。(E)成分の熱伝導性に基づく熱拡散作用によって、局所的な温度上昇も抑制されると考えられる。
透明層は、装飾層の全面を被覆する形態であればよい。透明層の単位面積当たりの重量は、固形分換算で、好ましくは0.1〜50g/m、より好ましくは0.5〜20g/mである。このような透明層は、装飾層上部における個々の着色粒子の表面、着色粒子の近傍、着色粒子同士の間隙等を含む装飾層全体を覆うことができる。
本発明において、透明層は、微視的な凹凸形状の凹部に偏在した態様とすることができる。このような態様では、装飾層の美観性を阻害することなく、汚染防止、温度上昇抑制等の効果を一層高めることができる。しかも、その効果を長期間にわたり発揮することができる。その作用機構は明確ではないが、以下のような点が関与しているものと推定される。
・装飾層表面の凹凸が緩和され、汚染物質等の付着が抑制される。
・装飾層表面における着色粒子同士の界面、あるいは着色粒子と合成樹脂の界面が補強される。
・凹部では、膜厚が厚くなるため、侵食等の影響を受け難くなる。
(積層体の製造方法)
本発明では、上記基材の上に装飾層及び透明層が積層される限り、その製造方法は特に限定されないが、特に下記のように、装飾層を形成した後、装飾層の上に透明層を形成する製造方法が好ましい。この方法によれば、透明層が装飾層の全面を被覆すると共に、微視的な凹凸形状の凹部に偏在した態様が得られやすく、本発明の効果発現の点でも好適である。
(ア)基材上に、(A)着色骨材及び(B)樹脂成分を含む装飾層用組成物を塗付して装飾層を形成した後、(E)シリカ及び(F)合成樹脂を含む透明層用組成物を塗付し透明層を形成する方法。
(イ)基材上に、着色樹脂粒子分散体を塗付して装飾層を形成した後、(E)シリカ及び(F)合成樹脂を含む透明層用組成物を塗付し透明層を形成する方法。
(ウ)基材上に、着色材を粒状に塗付して装飾層を形成した後、(E)シリカ及び(F)合成樹脂を含む透明層用組成物を塗付し透明層を形成する方法。
上記(ア)〜(ウ)においては、基材を水平に設置しその上に、装飾層及び透明層を積層することが望ましい。
上記(ア)〜(ウ)において、装飾層用組成物、着色樹脂粒子分散体、着色材、並びに透明層用組成物は、本発明の効果を著しく損なわない限り、必要に応じ、公知の添加剤を含むことができる。このような添加剤としては、例えば、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、湿潤剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、消臭剤、分散剤、消泡剤、吸着剤、難燃剤、着色顔料、体質顔料、光輝性顔料、蓄光顔料、蛍光顔料、繊維、撥水剤、架橋剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒等が挙げられる。
上記(ア)において、装飾層用組成物を塗付する際には、例えば、スプレー、ローラー、鏝、レシプロ、コーター、流し込み等の公知の塗付器具が使用できる。また、上記(イ)、上記(ウ)において、着色樹脂粒子分散体、または着色材を塗付する際にも、上記と同様の塗付器具が使用できるが、特にスプレー、レシプロ、等の吹き付け用の塗装器具を使用することが好ましい。さらに、上記(ア)〜(ウ)において、透明層用組成物を塗付する際には、例えば、スプレー、ローラー等の公知の塗付器具が使用できる。
上記(ア)〜(ウ)において、装飾層、透明層の乾燥は、それぞれ別に行ってもよいし、装飾層が未乾燥の状態で透明層用組成物を塗付し同時に行ってもよい。乾燥は、常温で行うこともできるが、本発明では加熱することが好ましい。加熱温度としては40℃以上170℃未満程度とすることが好ましい。
(積層体の施工方法)
本発明積層体は、主に建築物の外装建材として適用できる。すなわち、本発明積層体の施工においては、建築物外装面(下地)に対し積層体を貼着すればよい。このような下地としては、コンクリート、モルタル、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、石膏ボード、タイル、ALC板、サイディング板、押出成形板、鋼板、プラスチック板、木質板等が挙げられる。これら下地は、フィラー、パテ、シーラー等で処理されたものであってもよい。
本発明積層体を下地に貼着する際には、例えば、接着剤、粘着剤、粘着テープ、釘、鋲等を用いればよい。その他、ピン、ファスナー、レール等を用いて固定化することもできる。中でも、接着剤を介して下地に貼着することが好ましい。
また、積層体を接着剤で貼着する際には、隣接する積層体同士を突き合わせて貼着したり、積層体を所定の間隔で貼着して目地を設けたりすることができる。本発明では、接着剤が積層体の間で露出するように、積層体を貼着することによって、容易に目地部を形成することができる。この場合、積層体を貼着する間隔(目地幅)は、好ましくは1〜30mm程度であればよい。このような範囲であれば、目地模様を活かした装飾仕上げが得られる。目地部の接着剤は、必要に応じ、へら等で平滑処理しても良い。なお、接着剤を硬化させる際の雰囲気温度は、適宜設定することができるが、通常は常温でよい。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
(基材)
・基材1:波状凹凸形状を有する不織布(厚み0.2mm、凹凸の高低差1.0mm)
・基材2:不織布(厚み0.3mm)
(装飾層用組成物1〜10)
表1に示す配合に従い、各原料を常法により混合・攪拌することによって装飾層用組成物1〜10を製造した。なお、原料としては以下のものを使用した。
・着色骨材1:珪石の表面に複合酸化物(酸化マンガン・酸化コバルト・酸化鉄)が付着した黒色粒子(平均粒子径90μm)
・着色骨材2:珪石の表面に複合酸化物(酸化マンガン・酸化コバルト・酸化鉄)が付着した黒色粒子(平均粒子径160μm)
・着色骨材3:珪石の表面に複合酸化物(酸化マンガン・酸化コバルト・酸化鉄)が付着した黒色粒子(平均粒子径300μm)
・着色骨材4:珪石の表面に酸化鉄を含む金属酸化物が付着した茶色粒子(平均粒子径80μm)
・着色骨材5:珪石の表面に酸化鉄を含む金属酸化物が付着した茶色粒子(平均粒子径170μm)
・着色骨材6:珪石の表面に酸化鉄を含む金属酸化物が付着した茶色粒子(平均粒子径280μm)
・着色骨材7:珪石の表面に酸化チタンを含む金属酸化物が付着した白色粒子(平均粒子径95μm)
・着色骨材8:珪石の表面に酸化チタンを含む金属酸化物が付着した白色粒子(平均粒子径140μm)
・着色骨材9:珪石の表面に酸化チタンを含む金属酸化物が付着した白色粒子(平均粒子径350μm)
・着色骨材10:陶磁器粉砕物(平均粒子径90μm)
・着色骨材11:陶磁器粉砕物(平均粒子径160μm)
・着色骨材12:陶磁器粉砕物(平均粒子径300μm)
・樹脂成分1(アクリル樹脂エマルション、固形分50重量%、ガラス転移温度0℃)
・光安定剤(ビス(1,2,2,6,6‐ペンタメチル‐4‐ピペリジル)セバケート)
なお、装飾層用組成物5の着色粒子中、粒子径22μm以上150μm未満の着色粒子(A1)は40重量%、粒子径150μm以上212μm未満の着色粒子(A2)は30重量%、粒子径212μm以上600μm未満の着色粒子(A3)は30重量%であった。
装飾層用組成物6の着色粒子中、(A1)は45重量%、(A2)は31重量%、(A3)は24重量%であった。
装飾層用組成物7中の着色粒子中、(A1)は52重量%、(A2)は22重量%、(A3)は26重量%であった。
装飾層用組成物8、10は、装飾層用組成物5と同様であった。
(装飾層用組成物11)
黒色粒子(アクリル樹脂エマルション、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、弁柄、酸化チタン、水を主成分とする着色材のゲル化物、着色顔料濃度16重量%、粒子径約2mm)と、灰色粒子(アクリル樹脂エマルション、黒色酸化鉄、酸化チタン、水を主成分とする着色材のゲル化物、着色顔料濃度13重量%、粒子径約1mm)と、灰紫色粒子(アクリル樹脂エマルション、弁柄、フタロシアニンブルー、酸化チタン、水を主成分とする着色材のゲル化物、着色顔料濃度17重量%、粒子径約2mm)が水性媒体中(アクリル樹脂エマルション、水を主成分とする水性媒体)に分散した水中水型の着色樹脂粒子分散体。黒粒子:灰色粒子:灰紫色粒子=30:35:35(重量比率)。
(透明層用組成物)
透明層用組成物としては、以下のものを用意した。
・透明層用組成物1
シリカ(水分散性シリカゾル、pH7.6、平均一次粒子径27nm):アクリルシリコンポリマー(メチルメタクリレート‐n‐ブチルアクリレート‐2‐エチルヘキシルアクリレート‐γ‐メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合樹脂、ガラス転移温度18℃)=100:60(固形分重量比)の水分散液。
・透明層用組成物2
シリカ(水分散性シリカゾル、pH7.3、平均一次粒子径43nm):アクリルシリコンポリマー(メチルメタクリレート‐n‐ブチルアクリレート‐2‐エチルヘキシルアクリレート‐γ‐メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合樹脂、ガラス転移温度18℃)=100:38(固形分重量比)の水分散液。
・透明層用組成物3
シリカ(水分散性シリカゾル、pH7.8、平均一次粒子径12nm):アクリルシリコンポリマー(メチルメタクリレート‐n‐ブチルアクリレート‐2‐エチルヘキシルアクリレート‐γ‐メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合樹脂、ガラス転移温度18℃)=100:72(固形分重量比)の水分散液。
・透明層用組成物4
シリカ(水分散性シリカゾル、pH7.6、平均一次粒子径27nm):アクリルシリコンポリマー(メチルメタクリレート‐n‐ブチルアクリレート‐2‐エチルヘキシルアクリレート‐γ‐メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合樹脂、ガラス転移温度18℃)=100:320(固形分重量比)の水分散液。
・透明層用組成物5
アクリルシリコンポリマー(メチルメタクリレート‐n‐ブチルアクリレート‐2‐エチルヘキシルアクリレート‐γ‐メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合樹脂、ガラス転移温度18℃)の水分散液。
(試験例1)
基材1上に、装飾層用組成物1を、乾燥厚みが2mmとなるようにコーターで塗付し、60℃下で60分間乾燥した。次いで、透明層用組成物1を、乾燥後の固形分重量が5g/mとなるようにスプレー塗装後、80℃下で60分間乾燥し、積層体1を得た。得られた積層体は、基材の凹凸に沿って装飾層が形成されており、装飾層における微視的凹凸の高低差は0.2mmであった。
得られた積層体1について以下の試験を行った。
(意匠性試験)
上述の方法で得られた積層体を、目視にて観察し、評価した。評価は、美観性に優れるものを「A」とし、順に「A’」、「B」、「B’」、「C」、美観性に劣るものを「C’」とする6段階評価とした。結果は表2に示す。
(汚染性試験)
上述の方法で得られた積層体を、大阪府茨木市にて南向き45度の角度で屋外曝露し、3ヶ月後の外観を確認し、評価した。評価は、美観性を維持しているものを「A」とし、順に「A’」、「B」、「B’」、「C」、汚れが目立ったものを「C’」とする6段階評価とした。結果は表2に示す。
(温度上昇防止性試験)
また、上述の方法で得られた積層体を、汚染物質懸濁液(濃度1重量%)に2時間浸漬し、引き上げて標準状態で24時間放置した後、水洗・乾燥した。以上の処理を行った積層体に対し、赤外線ランプを50cmの距離から照射し、温度上昇が平衡に達したときの試験体の裏面温度を測定し、温度上昇抑制性を評価した。評価は、温度が55.0℃未満であったものを「A」、55.0℃以上57.5℃未満であったものを「A’」、57.5℃以上60.0℃未満であったものを「B」、60.0℃以上62.5℃未満であったものを「B’」、62.5℃以上65.0℃未満であったものを「C」、65.0℃以上であったものを「C’」とした。
結果は、試験例1では「A’」となった。なお、後述する実験例2は「B」、実験例3、4、8、11は「A’」、実験例5、6、7、9、10、12は「A」の結果となった。また、実験例15、16は「C’」となった。
(試験例2〜5)
装飾層用組成物1を装飾層用組成物2〜5に代えた以外は、試験例1と同様の方法で、それぞれ積層体2〜5を作製した(いずれも基材の凹凸に沿って装飾層が形成されており、装飾層における微視的凹凸の高低差は0.2mmであった)。
得られた積層体につき、試験例1と同様の試験を行った。結果は表2に示す。
(試験例6〜8)
装飾層用組成物1を装飾層用組成物5、透明層用組成物1を透明層用組成物2〜4に代えた以外は、試験例1と同様の方法で、それぞれ積層体6〜8を作製した(いずれも基材の凹凸に沿って装飾層が形成されており、装飾層における微視的凹凸の高低差は0.2mmであった)。
得られた積層体につき、試験例1と同様の試験を行った。結果は表2に示す。
(試験例9)
装飾層用組成物1を装飾層用組成物8に代えた以外は、試験例1と同様の方法で、それぞれ積層体9を作製した(基材の凹凸に沿って装飾層が形成されており、装飾層における微視的凹凸の高低差は0.2mmであった)。
得られた積層体につき、試験例1と同様の試験を行った。結果は表2に示す。
(試験例10)
基材1上に、装飾層用組成物5、6、7を、1:1:1の重量比率で、それぞれ風圧を用いて乾燥厚みが2mmとなるように玉状(粒状)に吹付け、80℃下で60分間乾燥した。次いで、透明層用組成物1を、乾燥後の固形分重量が5g/mとなるようにスプレー塗装後、80℃下で60分間乾燥し、積層体10を得た。得られた積層体は、基材の凹凸に沿って装飾層が形成されており、装飾層における微視的凹凸の高低差は0.2mmであった。
得られた積層体10について、試験例1と同様の試験を行った。結果は表2に示す。
(試験例11)
基材1を基材2に代えた以外は、試験例1と同様の方法で、それぞれ積層体11を作製した。
得られた積層体につき、試験例1と同様の試験を行った。結果は表2に示す。
(試験例12)
基材1上に、装飾層用組成物11を、乾燥厚みが0.5mmとなるように80℃下で60分間乾燥した。次いで、透明層用組成物1を、乾燥後の固形分重量が5g/mとなるようにスプレー塗装後、80℃下で60分間乾燥し、積層体12を得た。得られた積層体12は、基材の凹凸に沿って装飾層が形成されており、装飾層における微視的凹凸の高低差は0.2mmであった。
得られた積層体12について、試験例1と同様の試験を行った。結果は表2に示す。
(試験例13)
装飾層用組成物1を装飾層用組成物9に代えた以外は、試験例1と同様の方法で、それぞれ積層体13を作製した(基材の凹凸に沿って装飾層が形成されており、装飾層における微視的凹凸の高低差は0.2mmであった)。
得られた積層体につき、試験例1と同様の試験を行った。結果は表2に示す。
(試験例14)
装飾層用組成物1を装飾層用組成物10に代えた以外は、試験例1と同様の方法で、それぞれ積層体14を作製した(基材の凹凸に沿って装飾層が形成されており、装飾層における微視的凹凸の高低差は0.2mmであった)。
得られた積層体につき、試験例1と同様の試験を行った。結果は表2に示す。
(試験例15)
基層1上に、装飾層用組成物1を、乾燥厚みが2mmとなるようにコーターで塗付し、60℃下で60分間乾燥後、さらに80℃下で60分間乾燥し、積層体15を得た。得られた積層体は、基材の凹凸に沿って装飾層が形成されており、装飾層における微視的凹凸の高低差は0.2mmであった。
得られた積層体15について、試験例1と同様の試験を行った。結果は表2に示す。
(試験例16)
透明層用組成物1を透明層用組成物5に代えた以外は、試験例1と同様の方法で積層体16を作製した。得られた積層体は、基材の凹凸に沿って装飾層が形成されており、装飾層における微視的凹凸の高低差は0.2mmであった。得られた積層体16について、試験例1と同様の試験を行った。結果は表2に示す。
(試験例17)
上述の積層体5及び積層体9を、促進耐候性試験機にて1200時間曝露後、試験例1と同様の温度上昇防止性試験を実施した。その結果、曝露後の積層体5は「B」、曝露後の積層体9は「A」の評価となった。
Figure 2013078945
Figure 2013078945

Claims (4)

  1. 基材上に、装飾層及び透明層が積層された積層体であって、
    前記装飾層は、着色粒子を含有し、
    前記透明層は、平均一次粒子径1〜200nmのシリカ100重量部に対し、合成樹脂を固形分重量比率で5〜500重量部含むことを特徴とする積層体。
  2. 前記基材は、凹凸形状を有し、
    前記装飾層は、着色粒子による模様が前記基材の凹凸に沿って形成され、且つその層の表面が前記着色粒子に由来する微視的な凹凸形状を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 前記着色粒子は、無機質粒子の表面を金属酸化物で着色した着色骨材を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層体。
  4. 前記着色粒子は、粒子径22μm以上600μm以下の着色粒子を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の積層体。

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