JP2013077714A - 半導体チップ突き上げ駒,半導体チップ突き上げ装置,及び半導体チップの突き上げ方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】半導体チップ突き上げ駒(2)は、粘着テープ(DT)上に貼着された半導体チップ(51a)を前記粘着テープ(DT)から剥離させるために、粘着テープ(DT)の下面(DTb)に対し中心軸線(CL)方向に突き上げられる。また、中心軸線(CL2)に直交する第1の平面の一部であって、縁部が、隣接する辺同士が互いに直交する四つの辺(2ta〜2td)を含んでなる平坦面(2t)と、平坦面(2t)における四つの隅部それぞれに立設し、最先端部が第1の平面に平行な第2の平面に含まれる四つの凸部(2b1〜2b4)と、四つの辺(2ta〜2td)それぞれを含み、中心軸線(CL2)から離れるに従って第1の平面から遠ざかる方向に傾斜した四つの平面(2h1〜2h4)と、を有する。
【選択図】図3
Description
この内の、半導体チップのダイシングテープからの剥離工程については、半導体チップに割れや欠けなどの不具合が生じないようにするための種々の工夫が行われてきている。
また、他の例が特許文献2に記載されている。特許文献2には、ダイシングテープ上に貼着固定された半導体チップを、ダイシングテープの下側から突き上げ棒で突き上げる構成を有し、半導体チップの四角部近傍を突き上げる第1の突き上げと、その後に中央部近傍を突き上げる第2の突き上げを含む多段回突き上げをする方法及び装置が記載されている。これにより、半導体チップをダイシングテープから、その端部から中央部へ容易に剥離させることができる、とされている。
半導体チップのダイシングテープから保持装置への受け渡しにおいて、割れや欠けなどの不具合を伴わずに剥離が良好に行われなければならないことは、チップサイズがいかに小さくなろうとも同様である。
しかしながら、極小の半導体チップのダイシングテープからの剥離において、特許文献1及び特許文献2に記載された突き上げ技術を適用しようとすると、ブロックや突き上げ棒は極細(例えば直径0.3mm以下)となって極めて座屈し易く、また、それら極細のブロックや突き上げ棒を1mm角の狭い範囲に複数個配置して保持し、さらに互いに独立して上下動させるという保持構造及び駆動構造自体、薄肉化に伴う強度維持の観点で実現が極めて困難となる。
1) 粘着テープ(DT)上に貼着された半導体チップ(51a)を前記粘着テープ(DT)から剥離させるために、前記粘着テープ(DT)の下面(DTb)に対し中心軸線(CL)方向に突き上げられる半導体チップ突き上げ駒であって、
前記中心軸線(CL2)に直交する第1の平面の一部であって、縁部が、隣接する辺同士が互いに直交する四つの辺(2ta〜2td)を含んでなる平坦面(2t)と、
前記平坦面(2t)における四つの隅部それぞれに立設し、最先端部が前記第1の平面に平行な第2の平面に含まれる四つの凸部(2b1〜2b4)と、
前記四つの辺(2ta〜2td)それぞれを含み、前記中心軸線(CL2)から離れるに従って前記第1の平面から遠ざかる方向に傾斜した四つの平面(2h1〜2h4)と、
を有することを特徴とする半導体チップ突き上げ駒(2)である。
2) 突き上げ駒(2)を備え、粘着テープ(DT)上に貼着された矩形の半導体チップ(51a)を前記粘着テープ(DT)の下面(DTb)から前記突き上げ駒(2)を突き上げることで前記粘着テープ(DT)から剥離させる半導体チップ突き上げ装置であって、
前記突き上げ駒(2)は、中心軸線(CL2)に直交する第1の平面の一部であって、縁部が、隣接する辺同士が互いに直交する四つの辺(2ta〜2td)を含んでなる平坦面(2t)と、前記平坦面(2t)における四つの隅部それぞれに立設し、最先端部が前記第1の平面に平行な第2の平面に含まれる四つの凸部(2b1〜2b4)と、前記四つの辺(2ta〜2td)それぞれを含み前記中心軸線(CL2)から離れるに従って前記第1の平面から遠ざかる方向に傾斜した四つの平面(2h1〜2h4)と、を有し、
突き上げ方向を前記中心軸線(CL)に沿った方向にし、
前記四つの凸部(2b1〜2b4)の各前記最先端部が、前記粘着テープ(DT)の下面(DTb)における前記半導体チップ(51a)の外形線から内側に寄った四つの角部(K1〜K4)近傍に対応する突き上げ位置をそれぞれ突き上げると共に、前記四つの平面(2h1〜2h4)が、前記突き上げ駒(2)の突き上げにおいて、前記粘着テープ(DT)に接触しない傾斜角度(θ)で形成されていることを特徴とする半導体チップ突き上げ装置(50)である。
3) 前記突き上げ駒(2)は、前記平坦面(2t)に空気を吸引する吸引口(SP2)を有することを特徴とする2)に記載の半導体チップの突き上げ装置(50)である。
4) 前記突き上げ位置は、前記半導体チップ(51a)における前記突き上げ位置が対応する前記角部(K1)に連結する第1及び第2の辺(51a1,51a4)からの距離(L5a,L5b)が、それぞれ第2及び第1の辺(51a4,51a1)の長さの0.01〜0.2倍の範囲(AR1)内にあることを特徴とする2)又は3)に記載の半導体チップ突き上げ装置(50)である。
5) 粘着テープ(DT)上に貼着された矩形の半導体チップ(51a)を前記粘着テープ(DT)から剥離させるために、前記半導体チップ(51a)を前記粘着テープ(DT)の下方から突き上げ駒(2)により突き上げる半導体チップの突き上げ方法であって、
前記突き上げ駒(2)を、中心軸線(CL2)に直交する第1の平面の一部であって、縁部が、隣接する辺同士が直交する四つの辺(2ta〜2td)を含んでなる平坦面(2t)と、前記平坦面(2t)における四つの隅部それぞれに立設し、最先端部が前記第1の平面に平行な第2の平面に含まれる四つの凸部(2b1〜2b4)と、前記四つの辺(2ta〜2td)それぞれを含み前記中心軸線(CL2)から離れるに従って前記第1の平面から遠ざかる方向に傾斜した四つの平面(2h1〜2h4)と、を有するものとし、
突き上げ方向を前記中心軸線(CL)に沿った方向にすると共に、
前記四つの凸部(2b1〜2b4)の各前記最先端部によって、前記粘着テープ(DT)の下面(DTb)における前記半導体チップ(51a)の外形線から内側に寄った四つの角部(K1〜K4)近傍に対応する突き上げ位置をそれぞれ突き上げる工程を含むことを特徴とする半導体チップの突き上げ方法である。
まず、図1及び図2を参照し、本発明の半導体チップ突き上げ装置の実施例である突き上げ装置50について説明する。
図1は、突き上げ装置50の使用状態を説明するための正面図であり、図2(a)は、突き上げ装置50の上面図であり、図2(b)は突き上げ装置1の先端側の一部についての断面図である。
突き上げ装置50の使用姿勢における上下方向は、図1の上下方向である。
ダイシングテープDTの端部は、チャック部52により保持されている。チャック部52は、図1における紙面に対して左右方向に延在して直交する平面(以下、XY平面と称する)上を移動可能にされており、半導体チップ51はXY平面上の任意の位置に移動可能とされている。また、チャック部52により、ダイシングテープDTの上下位置も調整可能とされている。
ダイシングテープDTの下方側には、複数の半導体チップ51の内の一つを上方に突き上げてダイシングテープDTから剥離させる突き上げ機構TKを有する突き上げ装置50が配置されている。
突き上げ装置50は、ダイシングテープDTと対向するケース1の先端面1a側に、ダイシングテープDTを吸引するための吸引部KI〔図2(a)参照〕が形成されている。
ダイシングテープDTの上方側には、突き上げ機構TKの突き上げ動作と連動して上下動作及び吸引動作を行い、ダイシングテープDTから剥離した半導体チップ51を吸引保持するコレット53が配置されている。突き上げ装置50の第1状態において、コレット53は、半導体チップ51に対して所定距離隔てた上方で待機するようになっている。
突き出し駒2は、中心に貫通孔2aを有して少なくとも軸方向の中央から上方側が丸棒状に形成されている。貫通孔2aには、突き出しピン3が上下動自在に挿通されている。
突き出し駒2と突き出しピン3とは、直接又は間接的に駆動部KD(図1参照)に連結されており、駆動部KDによってそれぞれ独立に上下動可能とされている。
ケース1に対する突き出し駒2及び突き出しピン3の上下方向位置は、駆動部KDによって制御される。
第1状態から突き出し駒2を先端面1aから上方に突出するように移動させ、最も突出した位置に達した状態を第2状態と称する。第2状態は図2(b)に示される。突き出し駒2の、先端面1aからの突出量をd2とし、図2(b)に示される最大の突出量をd2maxとする。ここで突き出し駒2で最も高く突出した部位は、凸部2b1〜2b4(図3参照:詳細は後述する)の先端面である。
突き出し駒2と突き出しピン3とは、メンテナンスが容易にできるように交換可能とされている。
図2(a)において、先端面1aには、外周側から異径なる4つの円周溝1d1〜1d4が形成されている。
円周溝1d1〜1d4は、概ね90°間隔で形成された径溝1d5〜1d8により溝として連結されている。
円周溝1d4と、突き出し駒2が挿通された貫通孔1c1と、の間には、複数の吸引孔1eが形成されており、径溝1d5〜1d8は吸引孔1eと連結している。
吸引孔1eからは、図示しない吸引ポンプにより空気が吸引されている。従って、先端面1aに当接したダイシングテープDTは、吸引孔1e,径溝1d5〜1d8,及び円周溝1d1〜1d4を介して吸引され、先端面1aに対して面当たりで保持される。
また、貫通孔1c1と突き出し駒2との隙間SP1から及び貫通孔2aと突き出しピン3との隙間からも空気が吸引されるようになっており、ダイシングテープDTは、第1状態で先端面1aの中央部分においても吸引保持される。
図3(a)は、突き出し駒2の上面図であり、図3(b)は、突き出し駒2の正面図である。また、図3(c)は、図3(b)における突き出し駒2から突き出しピン3が最も突出した状態を示す正面図である。
各辺2ta〜2tdは、隣接する辺同士が互いに直交する四つの辺であり、上面2tは、その縁部が四つの辺2ta〜2tdを含むように形成されている。
各辺2ta〜2tdよりも径方向で外側となる部分は、各辺2ta〜2tdを含む平面であって、外方に向かうに従って下方に向かうよう傾斜した平面2h1〜2h4とされている。換言するならば、中心軸線CL2から離れるに従って、上面2tが含まれる平面から遠ざかるように傾斜している。
平面2h1〜2h4は、上面2tに対して傾斜角度θで傾斜している。この傾斜角度θは、各平面2h1〜2h4について同じ値に設定されている。
突き出し駒2は、ケース1に対し、中心軸線CL2がケース1の中心軸線CLと一致するように配置されている。
上面2tには、中心軸線CL2を軸心として貫通孔2aが設けられており、貫通孔2aには突き出しピン3が上下動可能なように挿通されている。
突き出しピン3の外径は貫通孔2aの内径よりも所定量小さく設定し、突き出しピン3の外周面と貫通孔2aの内周面との間には隙間SP2を生じさせている。これは、この隙間を吸引口として空気を吸引してダイシングテープDTを先端面1aにより良好に吸引保持させるためである。
上面2tからの凸部2b1〜2b4の突出量(高さ)d2bは、四つの凸部2b1〜2b4がすべて同じ値になっている。
また、貫通孔2aから出没するように上下動する突き出しピン3は、その中心軸線CL3がケース1の中心軸線CLと一致するように配置されている。
突き出しピン3が上面2tから最も突出した状態を、第3状態と称する。第3状態は、図3(c)に示される。
突き出しピン3の上面2tからの突出量(高さ)d3は、第3状態において最大のd3maxとなる。そして、d2b<d3maxと設定されている。
図4(a)に示される第1状態では、先端面1aから突き出し駒2及び突き出しピン3は突出していない。
図4(b)に示される第2状態では、先端面1aから突き出し駒2が突出し、突き出しピン3は突き出し駒2から突出していない。先端面1aから突き出し駒2における凸部2b1〜2b4の先端まで距離が最大となる最大突出量Ht1は、上述のd2maxである。
第3状態では、突き出し駒2が最大突出量Ht1だけ突出した状態で、さらに、突き出しピン3が突き出し駒2から突出した状態である。先端面1aから突き出しピン3の先端までの距離が最大となる最大突出量Ht2は、d2max−d2b+d3maxで示される。
図4(a)〜図4(c)の各図面間に示される両矢印のように、動作は、第1状態→第2状態→第3状態の順、又はその逆の順のみ可能とされている。換言するならば、第2状態を経ずに第1状態と第3状態との間を移行する動作は禁止されている。
図5に示されるように、矩形の上面2tの各頂点を頂点P1〜P4、半導体チップ51の各角部を角部K1〜K4とし、半導体チップ51が平面視でX方向長さがW51h、Y方向長さがW51vの矩形であるとする。
すなわち、0.01 ≦ Wh/W51h ≦ 0.20、かつ、0.01 ≦ Wv/W51v ≦ 0.20 である頂点が存在することが望ましい。この理由は後述する。
この好ましい位置は、他の頂点P1,P3,P4の各角部K1,K3,K4からの位置においても同様である。頂点P1〜P4の位置として好ましい各範囲AR1は、図5においてハッチングした範囲として示されている。
工程は、代表的な第1〜第3段階の三つの段階に分け、それぞれ図6(a)〜図6(c)を参照して説明する。図6(a)〜図6(c)は、それぞれ突き上げ装置50の第1状態〜第3状態に対応している。
説明に際し、ダイシングテープDTの上面DTaには、予めダイシング加工により個片化された複数の半導体チップ51が整列して貼着されているものとする。
ここでは、複数の半導体チップ51の内、剥離する半導体チップに符号51aを付与して説明する。
尚、図面の都合上、凸部2b1〜2b4については凸部2b2,2b3のみを、角部K1〜K4についてはK2,K3のみを、頂点P1〜P4については頂点P2,P3のみが図示されている。
チャック部52(図1参照)の移動により、半導体チップ51aを、その中心位置が突き上げ装置50におけるケース1の中心軸線CL上に位置するように移動する。
上下位置を調整し、ダイシングテープDTの下面DTbを、突き上げ装置50に当接させると共に吸引部KIによって吸引保持する。コレット53は、半導体チップ51aの直上の近接した位置に待機している。この状態が図6(a)に示されている。
次に、突き上げ装置50を、第1状態から第2状態へ移行させる。具体的には、突き上げ駒2を、上方へ向け突出量が最大突出量Ht1となるまで移動させる。
この突き上げ駒2の上方への移動に伴い、凸部2b1〜2b4が、ダイシングテープDTの下面DTbにおける半導体チップ51aの外形線より内側に寄った角部K1〜K4近傍に対応する部位を突き上げる。
中心軸線CLから最も遠い突き上げ位置となる頂点P1〜P4が、半導体チップ51aの外形線よりも所定量内側に位置していることから、この突き上げにより、ダイシングテープDTの剥離は確実に角部K1〜K4から開始し、徐々に内側に進行し頂点P1〜P4に達する。この状態が図6(b)に示されている。
図7は、図6(b)の状態においてダイシングテープDTが剥離した範囲を説明するための平面図である。図7において、半導体チップ51aの外形線が矩形の実線で、凸部2b1〜2b4が破線で、辺2ta〜2tdが二点鎖線で、剥離範囲HK1がハッチングにて示されている。
このダイシングテープDTの傾斜した範囲AR2には、突き上げ駒2が接触しないようになっている。これは、範囲AR2に突き上げ駒2が接触すると、ダイシングテープDTが持ち上げられて頂点P1〜P4を繋ぐ矩形より外側の部分の傾斜角度が緩くなり、剥離が良好に行われ難くなる虞が生じるからである。
そのため、突き上げ駒2の平面2h1〜2h4は傾斜面とされ、その角度θ及び突き出し駒2の最大突出量Ht1は、平面2h1〜2h4とダイシングテープDTとが接触しないように設定されている。
次に、突き上げ装置50を、第2状態から第3状態へ移行させる。具体的には、突き上げ駒2が最大突出量Ht1となっている状態で、突き上げピン3を上方へ向けて突出量が最大突出量Ht2となるまで突き上げる。
この突き上げ動作に伴い、ダイシングテープDTの剥離がさらに進行し、剥離範囲HK1は、突き上げピン3が突き上げている中央部分に向けて拡大する。拡大した剥離範囲は、剥離範囲HK2として図7においてクロスハッチングで示されている。
一方、突き上げピン3の突き上げ動作及びダイシングテープDTの剥離の進行に連動して、半導体チップ51aの直上に近接して待機していたコレット53が吸引を開始し半導体チップ51aはダイシングテープDTから離れてコレット53に吸引保持される。
コレット53の上下方向位置は、突き上げピン3の最大突出量Ht2,ダイシングテープDTの厚さ,及び半導体チップ51aの厚さを考慮し、剥離から吸引という受け渡しがスムースに行えるように設定される。
この吸引を行わずに突き出し駒2の突き上げを行うと、その突き上げに伴ってダイシングテープDTを外方に引っ張るように生じる外向き張力の分布によっては、突き出し駒2の凸部2b1〜2b4に対してダイシングテープDTがずれてしまうことが考えられる。
これに対し、吸引を行うと、ダイシングテープDTに凸部2b1〜2b4で囲まれた範囲内へ引っ張る方向の内方向きの張力が生じる。そして、吸引力を調整し、凸部2b1〜2b4との接触部において、この内方向きの張力によって突き出しによって生じる外方向きの張力をキャンセルさせることで、接触部でのダイシングテープDTのずれを良好に防止することができる。
すなわち、半導体チップ51aのコレット53への受け渡し直前まで、ダイシングテープDTがずれたり捩れたりすることがない。従って、半導体チップ51aの姿勢が中心軸線CL回りに回転し難くくなっている。
従って、半導体チップ51aは、姿勢が回転してコレット53に受け渡されることがなく、ダイシングテープDTに保持されていた姿勢そのままでコレット53に保持される。
コレット53は、半導体チップ51aを保持したら、半導体チップ51aと共にワイヤーボンディング等の次工程へ移動する。
発明者らの検討によれば、凸部2b1〜2b4の設置位置が範囲AR1内から外れていると、剥離が半導体チップ51aの角部から開始しない場合が生じ、半導体チップ51aのダイシングテープDTからの分離に支障が生じる可能性が高くなる。
図5に示されるWh,Wvについて、Wh/W51h又はWv/W51vが0.20を越える場合、実質的に半導体チップ51aの中央部分のみを突き上げているのと同等となり、剥離の開始位置が誘導され難く剥離開始が遅れる。剥離開始が遅れる分、半導体チップ51aに高い応力が負荷されて割れなどが生じる可能性が急激に高まる。
逆に、Wh/W51h又はWv/W51vが0.01未満の場合、突き上げる位置と半導体チップ51aの外形縁との距離が近すぎ、実質的に半導体チップ51a全体を突き上げているのと同等となり、剥離の開始位置が誘導されず良好な剥離が行われないばかりか、隣接する半導体チップへの悪影響が生じ易くなる。
このように、突き上げる半導体チップ51aに対する凸部2b1〜2b4の設置として好ましい範囲AR1が存在する。
例えば、凸部2b1が半導体チップ51aの対角線上にあると、次のような効果が得られる。
図5において、半導体チップ51aの角部K1と角部K2とを繋ぐ辺を辺51a1、角部K1と角部K4とを繋ぐ辺を辺51a4とし、凸部2b1の最も外側の位置である頂点P1と角部K1との距離をL5,頂点P1と辺51a1との距離をL5a,及び頂点P1と辺51a4との距離をL5bとするならば、距離L5が最も長く、かつ、距離L5aと距離L5bとが等しくなる。
これは、距離L5が、距離L5aと距離L5bとの両方に対して等しく最も遠くなる関係にあることを示している。
従って、凸部2b1が対角線上にあると、その凸部2b1に対して角部K1が剥離の開始位置として極めて誘導され易くなる。
この寸法例では、突き出し駒2の外径Dを2.5mmとし、凸部2b1〜2b4における頂点P1〜P4の位置を、領域AR1の内、Wh/W51h,Wv/W51v共に0.1として設定している。従って、突き出し駒2の上面2tは、一辺が0.8mmの正方形となっている。
凸部2b1〜2b4は、それぞれ0.1mm角で、上面2tからの突出高さd2bを0.1mmとしている。
貫通孔2aは直径0.6mmで形成し、突き出しピン3の直径は、実用上座屈の可能性がない太さとして0.5mmとしている。
従って、貫通孔2aと突き出しピン3との間で行う空気の吸引は、両者の隙間、すなわち、半径分で0.05mmの隙間を介して行う。
平面2h1〜2h4のダイシングテープDTに対する逃げ角度である傾斜角度θは、13.2°としている。
図8(a)〜図8(d)は、切削加工で突き出し駒2の先端を加工する手順例を示している。
図8(a)に示す直径2.5mmのステンレスの丸棒30の先端に対し、横断面形状が一辺0.8mmの正方形となる高さ0.1mmの角柱部31と、角柱部31の各側面の所定の軸方向位置からそれぞれ傾斜角度θ(=13.2°)で傾斜する平面2h1〜2h4を形成する〔図8(b)〕。
図8(b)の角柱部31に対し、その一面に直交する送り方向DR81でエンドミルEを送り、0.1mm幅の突状部32,33を残すように切削する〔図8(c)〕。
次に、図8(c)の突状部32,33に対し、送り方向DR81に直交する送り方向DR82にエンドミルEを送り、0.1mm角の凸部2b1〜2b4を残すように切削する。
以上により、突き出し駒2の先端部が形成される。
角柱部31を、高さ方向の削りしろを含めた形状で形成し、エンドミルによる2回の切削で四つの凸部を残し、その後にそれらが所定の高さになるよう切削加工してもよい。
また、凸部2b1〜2b4に囲まれた矩形範囲内に、貫通孔2aと突き出しピン3との隙間を介してダイシングテープDTを吸引する吸引部が備えられているので、ダイシングテープDTからコレット53への受け渡しにおいて半導体チップ51a回転などの姿勢変化をする可能性が極めて低く、受け渡しが良好に行える。
突き出し駒2が備える稼働部材は、中心に位置する突き出しピン3のみなので、メンテナンスが容易で、維持管理も楽である。
大きさの異なる半導体チップを突き出す場合は、突き出しピン3はそのままで突き出し駒のみを別仕様の突き出し駒に交換するだけで対応が可能である。従って、半導体装置の他品種生産における効率が向上する。
凸部2b1〜2b4の上面2tからの突出高さは、切削加工によって高精度に決定される。従って、離れた場所にある複数の凸部の高さの差を極めて小さくすることができる。これにより、移動ピンにより突き出しを行う場合と比べ各突き出し高さがより一定となるので、半導体チップの剥離が極めて安定して行われ、半導体装置の生産効率が向上する。
半導体チップの角部に最も近い部位は、剥離の起点を確実に誘導する観点から、滑らかな形状ではなく、実施例のような頂点P1〜P4を有する形状であることが望ましい。例えば、直角三角錐である。直角三角錐の場合は、最先端部は面ではなく点(頂点)であり、各頂点は第2の平面に含まれる。
また、形成工程において、角柱部31を形成せず、丸棒30の先端を四角錐台形状に形成し、その四角錐台の先端部分をエンドミルにより、直交する送り方向で2回切削加工し、四箇所の凸部を残すように加工してもよい。
実施例で説明した寸法例は、限定されるものではなく適宜設定することができる。
実施例で説明したダイシングテープDTは、汎用品を適用することができる。ダイシングテープDTが、例えば粘着力がUV照射による低下する等の特性を有していても、実施例の効果は同様に発揮されることは言うまでもない。
1a 先端面、1b フランジ、1c 先端壁部、1c1 貫通孔
1d1〜1d4 円周溝、1d5〜1d8 径溝、1e 吸引孔
2 突き出し駒
2a 貫通孔、2b1〜2b4 凸部、2h1〜2h4 平面、2t 上面
2ta〜2td 辺
3 突き出しピン
30 丸棒、31 角柱部、32,33 突状部
50 半導体チップ突き上げ装置(突き上げ装置)
51,51a 半導体チップ
52 チャック部、53 コレット
AR1,AR2 範囲
HK1,HK2 剥離範囲
CL,CL2,CL3 中心軸線
d2,d2b,d3 突出量
d2max,d3max,Ht1,Ht2 最大突出量
DR81,DR82 送り方向
DT ダイシングテープ
DTa 上面、DTb 下面
E エンドミル
KI 吸引部、SP1,SP2 隙間、KD 駆動部、TK 突き上げ機構
W51h X方向長さ、W51v Y方向長さ
θ 傾斜角度
Claims (5)
- 粘着テープ上に貼着された半導体チップを前記粘着テープから剥離させるために、前記粘着テープの下面に対し中心軸線方向に突き上げられる半導体チップ突き上げ駒であって、
前記中心軸線に直交する第1の平面の一部であって、縁部が、隣接する辺同士が互いに直交する四つの辺を含んでなる平坦面と、
前記平坦面における四つの隅部それぞれに立設し、最先端部が前記第1の平面に平行な第2の平面に含まれる四つの凸部と、
前記四つの辺それぞれを含み、前記中心軸線から離れるに従って前記第1の平面から遠ざかる方向に傾斜した四つの平面と、
を有することを特徴とする半導体チップ突き上げ駒。 - 突き上げ駒を備え、粘着テープ上に貼着された矩形の半導体チップを前記粘着テープの下面から前記突き上げ駒を突き上げることで前記粘着テープから剥離させる半導体チップ突き上げ装置であって、
前記突き上げ駒は、中心軸線に直交する第1の平面の一部であって、縁部が、隣接する辺同士が互いに直交する四つの辺を含んでなる平坦面と、前記平坦面における四つの隅部それぞれに立設し、最先端部が前記第1の平面に平行な第2の平面に含まれる四つの凸部と、前記四つの辺それぞれを含み前記中心軸線から離れるに従って前記第1の平面から遠ざかる方向に傾斜した四つの平面と、を有し、
突き上げ方向を前記中心軸線に沿った方向にし、
前記四つの凸部の各前記最先端部が、前記粘着テープの下面における前記半導体チップの外形線から内側に寄った四つの角部近傍に対応する突き上げ位置をそれぞれ突き上げると共に、前記四つの平面が、前記突き上げ駒の突き上げにおいて、前記粘着テープに接触しない傾斜角度で形成されていることを特徴とする半導体チップ突き上げ装置。 - 前記突き上げ駒は、前記平坦面に空気を吸引する吸引口を有することを特徴とする請求項2記載の半導体チップ突き上げ装置。
- 前記突き上げ位置は、前記半導体チップにおける前記突き上げ位置が対応する前記角部に連結する第1及び第2の辺からの距離が、それぞれ第2及び第1の辺の長さの0.01〜0.2倍の範囲内にあることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の半導体チップ突き上げ装置。
- 粘着テープ上に貼着された矩形の半導体チップを前記粘着テープから剥離させるために、前記半導体チップを前記粘着テープの下方から突き上げ駒により突き上げる半導体チップの突き上げ方法であって、
前記突き上げ駒を、中心軸線に直交する第1の平面の一部であって、縁部が、隣接する辺同士が直交する四つの辺を含んでなる平坦面と、前記平坦面における四つの隅部それぞれに立設し、最先端部が前記第1の平面に平行な第2の平面に含まれる四つの凸部と、前記四つの辺それぞれを含み前記中心軸線から離れるに従って前記第1の平面から遠ざかる方向に傾斜した四つの平面と、を有するものとし、
突き上げ方向を前記中心軸線に沿った方向にすると共に、
前記四つの凸部の各前記最先端部によって、前記粘着テープの下面における前記半導体チップの外形線から内側に寄った四つの角部近傍に対応する突き上げ位置をそれぞれ突き上げる工程を含むことを特徴とする半導体チップの突き上げ方法。
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