JP2013073855A - 多層の膜電極接合体の製造方法、リチウムイオン二次電池の製造方法及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

多層の膜電極接合体の製造方法、リチウムイオン二次電池の製造方法及びリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、ゲル状電解質の積層が簡便で、かつ質のよい多層の膜電極接合体、これを用いた多層の膜電極接合体の製造方法,リチウムイオン二次電池の製造方法及びこの製造方法を用いて製造されたリチウムイオン二次電池を提供する。
【解決手段】正極板2と負極板4との間に空隙を有するシート状のセパレータ3及びゲル状電解質15を積層させて形成される多層の膜電極接合体の製造方法において、互いに積層された正極板2と負極板4との間にセパレータ3を介挿させるとともに、正極板2とセパレータ3との板面間又は負極板4とセパレータ3との板面間のいずれか一方にゲル状電解質15を配置する工程と、正極板2と負極板4とを互いに近接する方向に押圧し、セパレータ3に対向する正極板2の正極活物質層9、セパレータ3の空隙内及びセパレータ3に対向する負極板4の負極活物質層13にゲル状電解質15を浸透させることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池等に用いられる多層の膜電極接合体の製造方法、リチウムイオン二次電池の製造方法及びリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、鉛蓄電池やニッケル水素電池に比べて、エネルギー密度及び起電力が高いという特徴を有するため、小型化及び軽量化が要求される携帯電話やノートパソコン等の電源として広く使用されている。従来より、リチウムイオン二次電池には、非水溶媒を用いた電解液が用いられ、金属製の硬質の筐体により密封されていたが、最近では、更なる小型化、薄型化及び形状の自由度の要請に基づいて、また、非水電解液の電池からの漏洩を回避すべく固体又はゲル(半固体)の電解質が使用されている(例えば、下記特許文献1)。
特許文献1に記載されたリチウムイオン二次電池の積層体は、正極及び負極の各電極集電体(金属箔)の両面にそれぞれ正極及び負極に対応する電極活物質層を形成し、この電極活物質層が形成された正極集電体及び負極集電体の双方の表面にゲル状電解質層を形成し、正極活物質層が形成された集電体と負極活物質層が形成された集電体とを貼り合わせて形成されている。そして、電極上にゲル状電解質層を形成する際に、ゲル状電解質が塗工される塗工部周辺の環境温度を、ゲル状電解質を液状に維持し得る範囲内に制御しつつ、電極原反上にゲル状電解質を塗工し、ゲル状電解質の正極又は負極活物質への染み込みを確実に行うようにしている。
特開2001−229965号公報
しかし、上記従来のゲル状電解質を用いたリチウムイオン二次電池の製造方法によれば、ゲル状電解質を一旦液状に溶融する工程と、液状に維持する工程と有し、電解液の状態で正極板及び負極板の双方の活物質層表面に塗工し、これら正極板及び負極板の双方の活物質層表面に浸透させており、製造工程が煩雑であるという問題があった。
そこで、本発明は、上記の課題に鑑み、ゲル状電解質の積層が簡便で、かつ質のよい多層の膜電極接合体、これを用いたリチウムイオン二次電池の製造方法及びこの製造方法を用いて製造されたリチウムイオン二次電池を提供する。
請求項1の発明は、正極板と負極板との間に空隙を有するシート状のセパレータ及びゲル状電解質を積層させて形成される多層の膜電極接合体の製造方法において、互いに積層された前記正極板と前記負極板との間に前記セパレータを介挿させるとともに、前記正極板と前記セパレータとの板面間又は前記負極板と前記セパレータとの板面間のいずれか一方にゲル状電解質を配置する工程と、前記正極板と前記負極板とを互いに近接する方向に押圧し、前記セパレータに対向する正極板の正極活物質層、前記セパレータの空隙内及び前記セパレータに対向する前記負極板の負極活物質層に前記ゲル状電解質を浸透させることを特徴とする。
本発明では、正極板、セパレータ、ゲル状電解質及び負極板の積層が、セパレータと正極板又は負極板との板面間にゲル状のまま電解質を配置して押圧するという簡便な手法で行われるとともに、ゲル状電解質を正極板又は負極板とセパレータとの板面間のいずれか一方に配置すればよいため、多層の膜電極接合体の製造工程を簡素化することができる。
また、ゲル状電解質を挟み込んだ状態で正極板と負極板とを近接する方向に押圧することによって、セパレータとの間でゲル状電解質を挟み込んだ電極板の活物質層にこのゲル状電解質を浸透させ、更にゲル状電解質をセパレータに浸透及び通過させて前記電極板と対極の電極板の活物質層に浸透させることができる。したがって、正極板及び負極板の各表面の電極活物質への電解質の浸透を簡便かつ良好に行うことができる。
また、ゲル状電解質をゲル状のまま正極板又は負極板とセパレータとの間に配し、正極板と負極板とを近接する方向に押圧してゲル状電解質を正極活物質層、セパレータ内及び負極活物質層に浸透させるものであるため、ゲル状電解質を正極板とセパレータとの間及び負極板とセパレータとの間に均等に拡げ易い。
請求項2の発明は、請求項1に記載の多層の膜電極接合体の製造方法において、前記ゲル状電解質の粘度は、100Pa・S〜10000Pa・Sであることを特徴とする。
本発明では、ゲル状電解質の粘度が100Pa・S〜10000Pa・Sに設定されているため、ゲル状電解質を正極活物質層、セパレータの空隙内及び負極活物質層に均等に浸透させることができる。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の多層の膜電極接合体の製造方法において、前記正極板と前記負極板とを互いに近接する方向に押圧する際に、前記正極板又は前記負極板の表面全体を均等に押圧することを特徴とする。
本発明では、前記正極板と前記負極板とを互いに近接する方向に押圧する際に、前記正極板又は前記負極板の表面全体を均等に押圧することにより、ゲル状電解質が正極板、セパレータ及び負極板の板面間方向に浸透しやすくなる。
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の多層の膜電極接合体の製造方法において、前記セパレータの空隙率は、60%〜90%であることを特徴とする。
本発明では、セパレータの空隙率が60%〜90%に設定されているため、ゲル状電解質を浸透させることができるとともに、ゲル状電解質が押圧により破損するのを回避することができる。
請求項5の発明は、リチウムイオン二次電池の製造方法であって、請求項1から4のいずれか一に記載の多層の膜電極接合体の製造方法を用いたことを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1から4のいずれか一に記載の多層の膜電極接合体の製造方法を用いて製造されたリチウムイオン二次電池であることを特徴とする。
請求項4及び5の本発明では、リチウムイオン二次電池の製造方法を簡便化することができるとともに、リチウムイオン二次電池の品質の向上を図ることができる。
本発明によれば、正極板、セパレータ、ゲル状電解質、負極板の積層及びゲル状電解質の浸透が、正極板又は負極板とセパレータとの板面間にゲル状のまま電解質を配置して押圧するという簡便な手法で行われるとともに、正極板又は負極板とセパレータとの板面間のいずれか一方にのみゲル状電解質を配置するだけであるため、多層の膜電極接合体の製造工程を簡素化することができるという効果を奏する。
また、ゲル状電解質を挟み込んだ状態で正極板と負極板とを押圧することによって一方の電極板から他方の電極板側にゲル状電解質を浸透させるようになっているため、押圧時に、セパレータとの間でゲル状電解質を挟み込んだ電極板の活物質層にこのゲル状電解質を浸透させ、更にゲル状電解質をセパレータに浸透及び通過させて前記電極板と対極の電極板の活物質層に浸透させることができる。したがって、正極板及び負極板の各表面の電極活物質への電解質の浸透を簡便かつ良好に行うことができ、また、多層の膜電極接合体の製造効率を上げることが可能となるという効果を奏する。
また、ゲル状電解質をゲル状のまま正極板又は負極板とセパレータとの間に配し、正極板と負極板とを押圧してゲル状電解質を正極活物質層、セパレータ及び負極活物質層に浸透させるものであるため、ゲル状電解質を正極活物質層、セパレータの空隙内及び負極活物質層に均等に浸透させやすく、ゲル状電解質の厚さの均質化が図りやすくなるという効果を奏する。
は、本発明の第1の実施形態として示した製造方法を用いて製造された多層の膜電極接合体を示した斜視図である。 は、本発明の第1の実施形態として示した製造方法に用いられる多層の膜電極接合体の構成部材を示した図であり、(a)は正極板の平面図、(b)はセパレータの平面図、(c)は負極板の平面図である。 (a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態として示した多層の膜電極接合体の製造方法の製造工程を示した模式図である。 (a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態として示した多層の膜電極接合体の製造方法の製造工程を示した模式図である。 は、本発明の第1の実施形態の多層の膜電極接合体の製造方法に用いられる治具の例を示した斜視図である。 (a)〜(c)は、本発明の第2の実施形態として示した多層の膜電極接合体の製造方法の各製造工程を示した模式図である。
以下、図を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の製造方法により製造された多層の膜電極接合体1を示した斜視図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態の製造方法の対象となる多層の膜電極接合体1は、複数の正極板2,2・・と、セパレータ3,3・・と、複数の負極板4,4とを交互に積層し、ゲル状電解質15(図3(a)〜(c)参照)を正極板2の表面、セパレータ3及び負極板4の表面に浸透させて形成されたものである。
複数の正極板2,2・・は、一端部8aが接合されているとともに端子用タブ5がこの一端部8aに接合されている。また、複数の負極板4,4・・は、一端部12aが接合されているとともに、端子用タブ6がこの一端部12aに接合されている。
この多層の膜電極接合体1は、ラミネート等により形成された筐体内に配置されて、例えばリチウムイオン二次電池等の積層型電池となる。
図2(a)に示すように、正極板2は、例えば略長方形に形成されたアルミニウム箔からなる正極集電体7に、長手方向の一端部8aを残して両面に正極活物質層9を形成したものである。一端部8aは、正極板2,2・・同士を接合する際の接合代となる部分であり、それ以外は電極塗工部8bとなっている。
正極活物質層9は、例えば正極活物質、導電助剤及びバインダーとなる結着剤を溶媒に分散させてなる正極用スラリーを用いて構成されたものであり、正極集電体7の電極塗工部8bの両面に形成されている。
正極活物質としては、例えば一般式LiMxOy(ただし、Mは金属であり、x及びyは金属Mと酸素Oの組成比である)で表される金属酸リチウム化合物が用いられている。
具体的には、金属酸リチウム化合物としては、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム等が用いられている。
導電助剤としてはアセチレンブラック等が用いられ、結着剤としてはポリフッ化ビニリデン等が用いられている。
図1に示すように、この正極板2は、正極活物質層9が形成されていない一端部8aを同方向に向けて複数積層されている。正極板2の一端部8aは、導通が確保され、例えば抵抗溶接や超音波溶接、テープによる貼着等の方法によって厚さ方向に接合されており、一端部8a以外の端部は正極板2が互いに分離した開放端10を形成している。
正極板2の端子用タブ5は、一端部8aに接合されて外方に突出するように設けられたものであり、例えばアルミニウム等により形成されているが、正極活物質層9が形成されていない一端部8aが端子用タブ5を兼ねたものであってもよい。
図2(c)に示すように、負極板4は、例えば略長方形に形成された銅(Cu)からなる負極集電体11に、長手方向の一端部12aを残して両面に負極活物質層13を形成したものである。一端部12aは、負極板4,4・・同士を接合する際の接合代となる部分であり、それ以外は電極塗工部12bとなっている。
負極活物質層13は、例えば炭素粉末や黒鉛粉末等からなる炭素材料と、ポリフッ化ビニリデンのような結着剤とを溶媒に分散させてなる負極用スラリーを用いて構成されたものであり、負極集電体11の両面に形成されている。
図1に示すように、この負極板4は、負極活物質層13が形成されていない一端部12aを同方向に向けて複数積層されている。負極板4の一端部12aは、導通が確保され、例えば抵抗溶接や超音波溶接、テープによる貼着等の方法によって厚さ方向に接合されており、一端部12a以外の端部は負極板4が互いに分離した開放端14を形成している。
負極板4の端子用タブ6は、一端部12aに接合されて外方に突出するように設けられたものであり、例えばニッケル等により形成されているが、負極活物質層13が形成されていない一端部12aが端子用タブ6を兼ねたものであってもよい。
図2(b)に示すように、セパレータ3は、不織布等を基材として形成されたものであり、材質として、特に限定されないがポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレン等)やポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂等が用いられる。セパレータ3の板面(表面)は、正極板2の電極塗工部8b及び負極板3の電極塗工部12bの板面(表面)よりも大きい寸法に形成されており、これら電極塗工部8b、12bの全体を覆い得るように形成されている。
セパレータ3は、その内部に空隙部を有しており、図3(c)に示すように、セパレータ3の一方の板面3aから他方の板面3bに向かってゲル状電解質を通過させることができるようになっている。空隙部の空隙率が60%未満の場合、ゲル状電解質15を通過させることが困難となり、90%以上の場合セパレータ3の強度が弱くなり多層の膜電極接合体1の作製工程において破損するおそれがある。したがって、セパレータ3の空隙率は、60%〜90%とされている。
なお、セパレータ3の空隙率とは、セパレータ3全体の体積に占める空隙部の体積の割合、すなわち「{1−(セパレータ3を構成する物体の体積)/(セパレータ3全体の体積)}×100」を意味する。この場合のセパレータ3全体の体積は、例えば、セパレータ3の表面積と厚みを用いて算定するか、もしくはセパレータ3の板面の一定面積分を切り出し、切り出されたセパレータ3の板面の面積と厚みの値を用いて算定すればよく、または、セパレータ3の表面単位面積当たりの重量(g/m2)の値を用いても算出してもよい。一方、セパレータ3を構成する物体(例えば不織布である場合には、不織布を構成する繊維)の体積は、切り出されたセパレータ3の重量を測定するとともに、例えば、島津製アキュアピックII 1340等の測定器を用いて、切り出されたセパレータ3の密度を測定し、前記重量を前記密度で割ることによって算出することができる。なお、ここで「セパレータ3全体の体積」とは、セパレータ3の外郭(輪郭)で決定される見かけ上の体積を意味する。
図3(a)〜(c)に示すゲル状電解質15は、例えば、高分子マトリックス及び非水電解液(すなわち、非水溶媒及び電解質塩)をゲル化させて表面に粘着性を生じさせたものである。
また、ゲル状電解質15は、例えば下方から順に正極板2、セパレータ3、負極板4を積層し、セパレータ3と負極板4との板面間に配された時に、負極板4を押圧することなくセパレータ3内及びセパレータ3と正極板2との板面間に全て流動してしまうことのない粘度、すなわち、負極板4をその表面から押圧することによってゲル状電解質15が徐々にセパレータ3に浸透し、正極板2側に到達することができる粘度であって、かつ、セパレータ3上に略均一に塗工できる範囲の粘度のものが用いられる。具体的には、ゲル状電解質15の粘度が100Pa・S以下である場合には、ゲル状電解質15はセパレータ3よりも下方に流動してしまいセパレータ3と負極板4との間に殆ど残らないため、セパレータ3よりも上方の負極活物質層13にゲル状電解質15を浸透させることができない。また、ゲル状電解質15の粘度が10000Pa・S以上である場合、ゲル状電解質15の粘度が高過ぎて正負極板2,4の活物質層上に均一に塗工できない。したがって、ゲル状電解質15の粘度は、100Pa・S〜10000Pa・Sの範囲に設定され、ゲル状電解質15の正極活物質層9、セパレータ3及び負極活物質層13への円滑かつ良好な浸透及びロバスト性を持たせることを考慮すると、100Pa・S〜5000Pa・Sであることが望ましい。
なお、上記ゲル状電解質15の粘度の測定は、レオメーター(粘弾性測定装置。具体的には、例えばハーケ社製レオストレス600)を使用し、高分子マトリックスの流動性が確保できる温度(例えば高分子マトリックスとしてポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(PVDF−HFP)を使用した場合には80℃)でゲル状電解質1gを加温して流動性のある状態とし、このゲル状電解質に0.1〜10(1/sec)のせん断速度を与えた時のせん断応力を測定して、式「せん断応力=せん断速度×粘度」から算出することができる。なお、レオメーターで粘度を測定する場合、材料の物性やせん断速度によっては、せん断応力が変化する場合があるので、せん断速度を変化させてせん断応力の変化を見て、粘度を算出することが好ましい。そして、せん断応力(=粘度)が上記範囲でほぼ一定の場合には、当該粘度を確定させ、せん断応力が変化する場合には、平均値を算出して用いればよい。
高分子マトリックスとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシドやポリプロピレンオキシド等のアルキレンエーテルをはじめ、ポリエステル、ポリアミン、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン等が用いられる。
非水溶媒は、γ−ブチロラクトン等のラクトン化合物;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等の炭酸エステル化合物;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等のカルボン酸エステル化合物;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル化合物;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル化合物;アセトニトリル等のニトリル化合物;スルホラン等のスルホン化合物、ジメチルホルムアミド等のアミド化合物等、単独または2種類以上を混合して調製される。
また、電解液をゲル状電解質にする場合には、アセトニトリル等のニトリル化合物;テトラヒドロフラン等のエーテル化合物:ジメチルホルムアミド等のアミド系化合物を単独または2種類以上を混合して調製される。
電解質塩としては、特に限定されないが六フッ化リン酸リチウム、過塩素酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム等のリチウム塩等が使用できる。
次に、本実施形態の多層の膜電極接合体1の製造方法について図2〜図5を用いて説明する。この多層の膜電極接合体1を製造するにあたっては、まず、図2(a)に示すように、アルミニウム箔等を用いて正極集電体7とし、該正極集電体7に正極用スラリーが塗工されない一端部8aと電極塗工部8bとを設定する。そして、電極塗工部8bの両面に正極用スラリーを塗工し、乾燥させて正極集電体7上に正極活物質層9を形成しロール状にした正極シートを作製する。そして、この正極シートを延出し、所定の寸法で順次切断し又は打ち抜き、正極板2を得る。なお、正極用スラリーの塗工後は、必要に応じてプレスを行ってもよい。
また、負極板4も、正極板2と略同様の方法で作製される。すなわち、図2(c)に示すように、まず、銅箔等を用いて、負極集電体11とし、該負極集電体11に負極用スラリーが塗工されない一端部12aと電極塗工部12bとを設定する。そして、電極塗工部12bの両面に負極用スラリーを塗工し、乾燥させて負極集電体11上に負極活物質層13を形成しロール状にした負極シートを作製しておく。この負極シートを延出し、所定の寸法で順次切断し又は打ち抜き、負極板4を得る。なお、負極用スラリーの塗工後は、必要に応じてプレスを行ってもよい。
図3,図4は、正極板2及び負極板4について電極塗工部8b、12bのみを表示し、それ以外の部分を省略して示した多層の膜電極接合体1の製造工程図である。
正極板2、セパレータ3、ゲル状電解質15及び負極板4を積層するにあたっては、上記のようにして得られた正極板2(又は負極板4)を、図3(a)に示すように、積層位置Pに配置した後にセパレータ3を積層し、その後セパレータ3上にゲル状電解質15を配置し、更に同図(b)に示すように、ゲル状電解質15を挟んでセパレータ3上に負極板4(又は正極板2)を積層し、同図(c)に示すように、負極板4(又は正極板2)の表面全体をこれらが板面間方向に互いに近接する方向に押圧する。この際、ゲル状電解質15の均一な浸透及び正負電極板2,4及びセパレータ3を破損させないことを考慮すると、押圧時の圧力は、0.001kg〜10kg/cm2であることが好ましく、0.05〜1kgであることがより好ましく、0.01〜0.02kg/cm2であることが更に好ましい。
具体的には、図3(a),(b)に示すように、例えば正極板2の上面にセパレータ3を積層し、このセパレータ3の上面の中央部に例えば粘度が100Pa・S〜5000Pa・Sのゲル状電解質15を配置する。この際、ゲル状電解質15は、正極活物質層9、セパレータ3及び負極活物質層13に浸透するのに必要な分量より多めに配置する。そして、望ましくは、セパレータ3上のゲル状電解質15が少なくとも正極板2の電極塗工部8bの全体を覆うようにならした後、該ゲル状電解質15上に負極板4を配し、負極板4の電極塗工部12bの一部又は略全体を覆う平面を有する押圧部材(不図示)で負極板4をその上方から下方に向かって軽く押し当てて押圧してゲル状電解質15の厚みの均質化を図る。
そして同図(c)に示すように、前記押圧部材の平面部を負極板4の板面4aの一部又は略全体に押し当てて上記圧力で更に押圧すると、ゲル状電解質15はセパレータ3に対向する負極活物質層13に浸透するとともに、セパレータ3の一方の板面3aから空隙部内に浸入し、更に、セパレータ3の板面3b側に溢れ出て、ゲル状電解質15が正極板2の正極活物質層9に浸透する。また、ゲル状電解質15は、多めの分量で配置されているため、押圧によって正極活物質層9、セパレータ3及び負極活物質層13に浸透した残りが、積層された正極板2、セパレータ3及び負極板4の層のそれぞれの端部からはみ出される。
なお、正極板2、セパレータ3、ゲル状電解質15、負極板4を積層するにあたっては、図5に示すように、少なくともセパレータ3を配置できる底面積を有するとともに、積層される多層の膜電極接合体1の厚さ寸法分の深さを有する凹所31を上面側に設けた治具30を用い、この凹所31を積層位置Pとして正極板2、セパレータ3、負極板4等を積層し、凹所31の開口部の寸法に合わせて形成された押圧部材を用いて最表面に積層された正極板2又は負極板4を押圧するとよい。
このようにして、セパレータ3に対向する正極板2の正極活物質層9、セパレータ3の空隙部及びセパレータ3に対向する負極板4の負極活物質層13それぞれにゲル状電解質15を浸透させるが、多層の膜電極接合体1にするには、図4(a)に示すように、負極板4の上面に更にセパレータ3を配置し、その後セパレータ3上の外縁部よりも内側で極力中央部にゲル状電解質15を配置し、このゲル状電解質15をならして負極板4の電極塗工部13全体を覆うように引き伸ばし、ゲル状電解質15上に正極板2を積層する。そして、上述した方法と同様に、同図(b)に示すように、正極板2の全体を覆う押圧部材(不図示)で正極板2を押圧し、ゲル状電解質15を正極活物質層9、セパレータ3の空隙部内及び負極活物質層13に浸透させる。
そして、同図(c)に示すように、セパレータ3上にゲル状電解質15及び負極板4を積層して順次上記した作業を繰り返した後に、図1に示すように正極板2,2・・及び負極板4,4・・のそれぞれの一端部8a,12a同士を接合し、これら一端部8a,12bにそれぞれ端子用タブ5,6を接合して多層の膜電極接合体1を形成することができる。
以上のように、本発明の多層の膜電極接合体1の製造方法によれば、正極板2、セパレータ3、ゲル状電解質15及び負極板4の積層及びゲル状電解質15の正極活物質層9、セパレータ3及び負極活物質層13への浸透を、正極板2又は負極板4とセパレータ3との板面間のいずれか一方にのみゲル状のままで電解質15を配置し、正極板2又は負極板4を押圧するという簡便な工程で行うことができるため、多層の膜電極接合体1の製造工程を簡素化することができるという効果が得られる。
また、ゲル状電解質15を挟み込んだ状態で正極板2と負極板4とを押圧することによって正極板2(又は負極板4)とセパレータ3との板面間から負極板4(又は正極板2)とセパレータ3との板面間にゲル状電解質15を浸透させるようになっているため、押圧時に、ゲル状電解質15を挟み込んだ電極板の活物質層にこのゲル状電解質15を浸透させ、次にゲル状電解質15をセパレータ3に浸透及び通過させ、更に前記電極板と対極の電極板の活物質層に順次浸透させることができる。したがって、正極板2及び負極板4の各表面の電極活物質へのゲル状電解質15の浸透を簡便かつ良好に行うことができ、多層の膜電極接合体1の製造効率を上げることが可能となるという効果が得られる。
また、ゲル状電解質15をゲル状のまま正極板2又は負極板4とセパレータ3との間に配置させるものであるため、ゲル状電解質15の積層時に、正極板2とセパレータ3との間及び負極板4とセパレータ3との間の距離を保ちやすくなるという効果が得られる。
また、ゲル状電解質15の粘度を100Pa・S〜10000Pa・Sとしているため、ゲル状電解質15のロバスト性をもってゲル状電解質15をセパレータ3の空隙内及び正極活物質層9及び負極活物質層13により浸透させやすく、かつ、正極板2とセパレータ3との間及び負極板4とセパレータ3との間の距離を保ち、ゲル状電解質15が不均等に拡がるのをより一層防止しやすく、ゲル状電解質15の厚さの均質化を図りやすいという効果が得られる。
また更に、正極板2と負極板4とを互いに近接する方向に押圧する際に、正極板2又は負極板4の表面全体を均等に、すなわち、押圧面全体で印加する力の誤差が5%以下となるように押圧することにより、ゲル状電解質15が正極板2、セパレータ3及び負極板4の板面間方向に浸透しやすくなるとともに、ゲル状電解質15の厚さの均質化がより図りやすくなる。
また、セパレータ3の空隙率が60%〜90%に設定されているため、ゲル状電解質15を浸透させることができるとともに、ゲル状電解質が押圧により破損するのを回避することができる。
以上の製造方法により多層の膜電極接合体1を製造することができるため、これを用いたリチウムイオン二次電池等の製造効率を高めることができるとともに、正極活物質層9、セパレータ3及び負極活物質層13に十分にゲル状電解質15が浸透した質のよいリチウムイオン二次電池等を提供することができるという効果が得られる。
次に、本発明の第2の実施形態の製造方法について説明する。本実施形態において第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、同一の構成及び第1の実施形態と同一の製造工程についてはその説明を省略する。
本実施形態においては、複数の正極板2,2及び複数の負極板4,4のそれぞれの一端部8a,12aを予め接合して正極積層体16及び負極積層体17を設けておき、積層位置Pに向かって正極板2、セパレータ3、ゲル状電解質15、負極板4を交互に積層する点で、互いに分離した複数の正極板2及び複数の負極板4をそれぞれ積層する第1の実施形態の製造方法と異なる。
具体的には、本実施形態では、第1の実施形態において示した正極板2、セパレータ3、ゲル状電解質15、負極板4の積層前に、(I)図6(a)に示すように、複数の正極板2,2・・を積層するとともに、これら複数の正極板2,2の一端部8aを抵抗溶接等により接合して閉じ、他端部を開放端10とする正極板積層体16を形成する工程と、(II)図6(b)に示すように、複数の負極板4,4・・を積層するとともに、これら複数の負極板4,4・・の一端部12aを接合して閉じ、他端部を開放端14とする負極板積層体17を形成する工程と、(III)正極板2、セパレータ3、負極板4及びゲル状電解質15の積層工程とを有している。
(I)正極板積層体を形成する工程
正極板積層体16を形成するに際しては、図6(a)に示すように、正極板2を、一端部8aが一方向を向くようにして複数積層し、これら複数の正極板2,2・・の一端部8a,8a・・を抵抗溶接,導電性ペーストによる接着,超音波溶接,導電性の粘着剤を塗工した金属テープ等の導電性テープによる貼着等の方法により接合して正極板積層体16を得る。正極板積層体16において一体となるよう接合された一端部8aには、例えばアルミニウム等よりなる端子用タブ5を溶接により接合し、正極板2の外方に向けて突出させるか、正極活物質層9が形成されていない一端部8aを端子用タブ5と兼用させる。
(II)負極板積層体を形成する工程
負極板積層体17は、負極板4を、図6(b)に示すように、一端部12aが一方向を向くようにして複数積層し、これら複数の負極板4,4・・の一端部12a,12a・・を抵抗溶接,導電性ペーストによる接着,超音波溶接,導電性テープによる貼着等の方法により接合して負極板積層体17を得る。負極板積層体17において、一体となるよう接合された一端部12aには、例えばニッケル等よりなる端子用タブ6を溶接により接合し、負極板4の外方に向けて突出させるか、負極活物質層13が形成されていない一端部12aを端子用タブ6と兼用させる。
この負極板積層体17の負極板4は、正極板積層体16の正極板2の積層よりも一枚多く積層されている。
上記のようにして得られた正極板積層体16及び負極板積層体17は、乾燥炉等で十分に水分を飛ばして乾燥し、ゲル状電解質15との積層を良好に行えるようにしておく。
(III)正極板2、セパレータ3、負極板4及びゲル状電解質15の積層工程
正極板2、セパレータ3、負極板4及びゲル状電解質15の積層工程は、第1の実施形態における正極板2、セパレータ3、負極板4及びゲル状電解質15の積層工程と略同様であるが、正極板2及び負極板4の積層位置Pへの配置の仕方において異なっている。
詳細に説明すると、正極板2及び負極板4を積層位置Pに配置する場合、まず正極板積層体16と負極板積層体17とをドライルーム等の乾燥環境内に搬入し、一端部8aと一端部12aとを平行に対向させて、図6(c)に示すように、一端部8a,12aを軸として正極板2,2・・の開放端10,10・・及び負極板4,4・・の開放端14,14を互いに反対方向に向ける。
そして、負極板積層体17の最上部に位置する負極板4を反転させて積層位置Pに配置し、その後該負極板4の電極塗工部12b上にセパレータ3を積層し、セパレータ3の上面にゲル状電解質15(図6においては不図示)を配置する。この際、ゲル状電解質15が負極板4の電極塗工部12b全体に拡がるようにセパレータ3上でならすとよい。そして、ゲル状電解質15上に正極板2を積層し、正極板2の上面全体を覆う不図示の押圧部材で正極板2の板面全体を均等に押圧し、上述した方法と同様にしてゲル状電解質15をセパレータ3の上面側から下面側に向かって浸透させる。この際、セパレータ3は、正極板2及び負極板4の電極塗工部8b、12bの全体を覆うように正極板2及び負極板4よりも大きく切り出したものを積層する。また、正極板2と負極板4とは、それぞれの電極塗工部8b、12b、すなわち正極活物質層9と負極活物質層13同士が互いに対向して重なり合うように積層する。
同様にして、更に正極板積層体16の正極板2上にセパレータ3を積層し、このセパレータ3の上面にゲル状電解質15を配置してならし、ゲル状電解質15上に負極板4を反転させ積層位置P上に積層した上で負極板4の上面を押圧し、ゲル状電解質15を浸透させる。
このように、正極板2,セパレータ3,ゲル状電解質15、負極板4を積層して押圧し、更に最上面の負極板4上に、セパレータ3,ゲル状電解質15、正極板2を積層し押圧するという工程を繰り返すことによって、図1に示す多層の膜電極接合体1が得られる。この場合、負極板積層体17には、正極板積層体16の正極板2の枚数よりも1枚多く負極板4を積層されているので、多層の膜電極接合体1の最外層(最上面及び最下面)に位置する電極板は負極板4,4となる。
このようにして多層の膜電極接合体1を形成することにより、第1の実施形態において得られた効果と同様の効果が得られるとともに、一端部8aが接合されて連結固定された複数の正極板2,2・・と、一端部12aが接合されて連結固定された複数の負極板4,4・・とを用いて積層しているため、積層時に正極板2及び負極板4が位置ずれし難く、またセパレータ3及びゲル状電解質15を介装させて相互に挟み込んだ状態となるため、積層を重ねるにしたがって各正極板2及び負極板4が動き難くなり、交互に積層された正極板2及び負極板4の積層体自身が堅固に位置決めされた状態となる。また、正極板2、負極板4を押圧してゲル状電解質15をセパレータ3並びに正極活物質層9及び負極活物質層13への浸透が行いやすくなるという効果が得られる。
また、最外層に正極板2を位置させることにより生じ得るリチウムの樹枝状析出物(デンドライト)の発生を防止してショート等の不具合を引き起こすおそれを回避することができる。なお、左記デンドライトの発生は、多層の膜電極接合体1の最外層に正極板2が位置し、かつ正極板2の外方を向く(すなわち負極板4に対向していない)板面に正極活物質層9が形成されている場合であるので、多層の膜電極接合体1の正極板2と負極板4の双方の枚数を調整せず正極板2を最外層に位置させる場合であっても、該最外層に位置する正極板2の外方を向く板面に正極活物質層9を形成しないことによって、デンドライトの発生を防止してショート等の不具合を引き起こすおそれを回避することができるという効果が得られる。
上記の方法で得られた多層の膜電極接合体1は、正極板積層体16の一端部8aと負極板積層体17の一端部12aとの双方に接続された端子用タブ5,6を外方に突出させた状態で、例えばラミネートフィルム等のケースで包装し、その後に外周を封止してリチウムイオン二次電池等の積層型電池となる。
なお、上記第1及び第2の実施形態においては、ゲル状電解質15を、セパレータ3の上面側に配置して、押圧部材の平面部を押し当てて下面側に向かって浸透させるようにしたが、セパレータ3の下面側に配置して、押圧により上面側に向かって浸透させるようにしたものであってもよい。
また、ゲル状電解質15を正極活物質層9、セパレータ3及び負極活物質層13に浸透させる際、上記第1及び第2の実施形態では上面側から積層された正極板2又は負極板4を押圧したが、下面側から負極板4及び正極板2を押圧してもよく、或いは正極板2及び負極板4をこれらが互いに近接する方向に共に押圧してもよい。
または、多層の膜電極接合体1は、上下方向に積層され上方から押圧してゲル状電解質15を浸透させているが、水平方向に積層して左右方向から正極板2及び負極板4が互いに近接する方向に押圧してゲル状電解質15を浸透させるものであってもよい。
また、正極板2又は負極板4を押圧してゲル状電解質15を浸透させる工程は、複数組の正極板2、セパレータ3、ゲル状電解質15及び負極板4を積層した後に一括して行ってもよい。
また、ゲル状電解質15に配された正極板2又は負極板4の押圧は、押圧部材の平面部を正極板2又は負極板4の一部又は略全体を押し当てて行うこととしたが、ローラーを用いて正極板2又は負極板4の一端部から他端部に向けてロールプレスにより行ってもよい。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
<ゲル電解質>
非水電解液として、LiPF6(キシダ化学製、リチウム塩濃度1mol/l、ジメチルカーボネート:エチレンカーボネート(2:1、体積比)混合溶媒)を94質量部用いた。
高分子マトリクスとして、PVDF−HFP(ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体、アルドリッチ製)を6質量部用いた。
非水電解液と高分子マトリクスを80℃で加温しながら、ディスパー(プライミクス(株)製 TKホモディスパー2.5型)で1時間攪拌し、ゲル状電解質15の粘度を1000Pa・Sとした。
<電極>
<正極板>
LiCoO2(コバルト酸リチウム 日本化学工業(株)セルシードC-5H)89質量部と、PVDF(ポリフッ化ビニリデン、(株)クレハ KFポリマーL♯1120)6質量部と、カーボンブラック(電気化学工業 デンカブラック5質量部と、N−メチルピロリドン(NMP)100質量部とを前記ディスパーで1時間混合し、20μmのアルミニウム箔に両面塗布し、更に減圧乾燥(100℃、−0.1MPa、10時間)してロールプレスした。理論容量は1.5mAh/cm2である。
塗工部を68×46mm、未塗工部を46×20mmとし、未塗工部にアルミ製のタブを超音波溶接した。
<負極>
グラファイト(日本黒鉛工業(株)CGB−10)90質量部、PVDF(ポリフッ化ビニリデン、(株)クレハ KFポリマーL♯1120)10質量部、N−メチルピロリドン(NMP)120質量部を前記ディスパーで1時間混合し、20μmの銅箔に両面塗布し、減圧乾燥(100℃、−0.1MPa、10時間)してロールプレスした。理論容量は1.61.5mAh/cm2である。
塗工部を72×50mm、未塗工部を50×20mmとし、未塗工部にニッケル製のタブを超音波溶接した。
<セパレータ>
廣瀬製紙製HOP−6(オレフィン系、厚み29μm、空隙率76%)を83×61mmにカットした。
<作製方法>
治具に負極板4をセットし、セパレータ3を載せ、セパレータ3に加温したゲル状電解質15を3g注液した。そして、表面を均一にならし、正極板2を載せた。
正極板2の上に500gの錘を載せて圧力をかけ、多層の膜電極接合体1とした。この多層の膜電極接合体1をアルミラミネートの袋に入れて熱シールにより真空シールし、リチウムイオン二次電池とした。
[実施例2]
ゲル状電解質15の非水電解液を90質量部とし、高分子マトリクスを10質量部とし、粘度を3000Pa・Sとし、他は実施例1と同様にして作成された多層の膜電極接合体1を作製し、アルミラミネートの袋に入れて熱シールにより真空シールした。
[実施例3]
ゲル状電解質15の非水電解液を96質量部とし、高分子マトリクスを4質量部とし、粘度を500Pa・Sとし、他は実施例1と同様にして作成された多層の膜電極接合体1を作製し、アルミラミネートの袋に入れて熱シールにより真空シールした。
[実施例4]
ゲル状電解質15の非水電解液を86質量部とし、高分子マトリクスを14質量部とし、粘度を7000Pa・Sとし、他は実施例1と同様にして作成された多層の膜電極接合体1を作製し、アルミラミネートの袋に入れて熱シールにより真空シールした。
2.評価結果
実施例1〜4のリチウムイオン二次電池を、25℃において0.2Cの定電流定電圧充電を、上限電圧4.2Vとして電流値が0.1Cに収束するまで行った後、0.2Cの定電流放電を2.7Vまで行った。その後、充放電電流を1Cとして同様の方法で、充放電サイクルを数回〜数十回程度繰り返し行い、電池の状態を安定化させた。その後、充放電電流を1Cとして同様の方法で、充放電サイクルを繰り返し行った。容量発現率は、理論容量に対する安定化後の1サイクル目の放電容量(1サイクル目の放電容量(mAh)/理論容量(mAh))の比率から算出した。その結果、実施例1については、容量発現率は0.98であった。実施例2については、0.96となった。また、実施例3については、0.94となった。また、実施例4については、0.65となり、いずれについても良好な結果が得られた。
1 多層の膜電極接合体
2 正極板
3 セパレータ
4 負極板
15 ゲル状電解質

Claims (6)

  1. 正極板と負極板との間に空隙を有するシート状のセパレータ及びゲル状電解質を積層させて形成される多層の膜電極接合体の製造方法において、
    互いに積層された前記正極板と前記負極板との間に前記セパレータを介挿させるとともに、前記正極板と前記セパレータとの板面間又は前記負極板と前記セパレータとの板面間のいずれか一方にゲル状電解質を配置する工程と、
    前記正極板と前記負極板とを互いに近接する方向に押圧し、前記セパレータに対向する正極板の正極活物質層、前記セパレータの空隙内及び前記セパレータに対向する前記負極板の負極活物質層に前記ゲル状電解質を浸透させることを特徴とする多層の膜電極接合体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の多層の膜電極接合体の製造方法において、
    前記ゲル状電解質の粘度は、100Pa・S〜10000Pa・Sであることを特徴とする多層の膜電極接合体の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の多層の膜電極接合体の製造方法において、
    前記正極板と前記負極板とを互いに近接する方向に押圧する際に、前記正極板又は前記負極板の表面の全体を均等に押圧することを特徴とする多層の膜電極接合体の製造方法。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の多層の膜電極接合体の製造方法において、
    前記セパレータの空隙率は、60%〜90%であることを特徴とする多層の膜電極接合体の製造方法。
  5. 請求項1から4のいずれか一に記載の多層の膜電極接合体の製造方法を用いたことを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。
  6. 請求項1から4のいずれか一に記載の多層の膜電極接合体の製造方法を用いて製造されることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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