JP2013072386A - 液体供給装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】液体の導電性に拘わらず、装置の軽量化と電動モータから周囲に発信される電磁ノイズの抑制とを両立可能な液体供給装置を提供する。
【解決手段】ポンプ21と、電動モータ22とを備えた電動モータ付きポンプ2を有し、この電動モータ付きポンプ2によりホース3を介して所定の供給対象部材へ冷却水を供給するHV冷却システム1において、ポンプ21と、電動モータ22とを収容し且つ非導電性材料により形成されたケーシング20を設け、ホース3を導電性材料を含有した材料により形成し、このホース3の少なくとも一部をグランド接地している。これにより、冷却水の導電性や発信用アンテナを形成するホース3の経路長さに拘わらず、周囲に発信される電磁ノイズを抑制できる。
【選択図】 図5

Description

本発明は、電動モータ付きポンプによりホースを介して所定の供給対象部材へ導電性液体を供給する液体供給装置に関する。
従来より、多くの分野で回転駆動用の駆動源として電動モータが使用されており、自動車の分野においても、ラジエータファン、燃料ポンプ、ウォータポンプ等の駆動源として用いられている。この電動モータは、通常、複数の永久磁石を備えた回転子と、複数の積層コアとこれらコアに巻回されたコイルとを備えた固定子と、PWM(Pulse Width Modulation)等の方式で制御する制御回路と、制御回路からの制御信号に基づく駆動パルスを固定子のコイルへ送信する駆動回路等により形成されている。制御回路には制御用の演算処理を行うマイクロコンピュータ等が設けられ、駆動回路にはリアクタ、整流器、スイッチング回路を構成するトランジスタ等が設けられている。
前記の電動モータは、その構成上、大きく分けて2箇所の部分から電子機器に影響を与える電磁波(電磁ノイズ)を発生することが知られている。
第1は、制御基盤上に設置された制御回路から発せられる電磁ノイズである。
制御回路は周期的なカウント動作を行う水晶発振子を備えているため、この水晶発振子によるカウント動作に起因して水晶発振子から一定周期の電磁波が放射され、制御回路自体からも電磁波が放射されている。
第2は、固定子のコイル等から発せられる電磁ノイズである。
駆動回路自体とこの駆動回路に接続された巻回コイルから電磁波が発生している。
巻回コイルはインダクタンスを有しているため、通電された電流がオンからオフ又はオフからオンに切替えられた場合、自己誘導作用により巻回コイル内に大きな逆起電力が誘発されてコイルから電磁波が発生する。
従来、電動モータのケーシングは導電性を有する金属材料で形成され、電動モータ自体が電磁ノイズを発生しても、金属製ケーシングが固定部材を介してグランド接地(アース)されていたため、電動モータからの電磁ノイズの影響は殆ど生じていなかった。
一方、部品の重量やコスト等の低減を目的として、電動モータ等の部品を収容するケーシングを金属から軽量且つ安価な合成樹脂に材質変更するケースが多くなっている。
このように、電動モータのケーシングを非導電性である合成樹脂製ケーシングに材質変更した場合、電動モータの内部とグランドとが電気的に絶縁されるため、電動モータ内部で発生した電磁ノイズはケーシングを通過して外部へ放射され、通信用電子機器等に影響を与える虞がある。
特に、自動車等の車両には、ラジオ、テレビ、ナビゲーションシステム、キーレスエントリーシステム等多くの通信用電子機器が搭載されている。これら通信用電子機器の受信部として、各種センサやアンテナが車体に取り付けられているため、電動モータから放射される電磁ノイズがラジオのノイズや各電子機器の誤作動を招く虞がある。そこで、電動モータから放射される電磁ノイズを抑制する技術が提案されている。
特許文献1の電動モータ付き燃料ポンプは、金属製サブタンクに収容されたポンプモジュールが合成樹脂製の燃料タンク内に配置され、このポンプモジュールを囲繞した金属製サブタンクがシールグランド配線により車両ボディにアース接続されている。これにより、燃料ポンプのスイッチング回路に相当するパワーMOSFETから放射される電磁ノイズを金属製サブタンクにより遮断し、外部へ放射される電磁ノイズの発生を抑制している。
近年、燃費改善を目的として、エンジンや燃料タンク以外に、発電機、駆動モータ、インバータ、走行用バッテリ等を車両に搭載し、この車両の走行動力源をエンジンと駆動モータとの間で切替え可能にしたハイブリッド車両の需要が増している。このハイブリッド車両は、走行動力源に応じて作動する機器が異なるため、エンジン側からの冷却要求温度と駆動モータ(ハイブリッド)側からの冷却要求温度とが異なっている。それ故、夫々の動力源には、冷却水を独立して循環可能な2系統の冷却システムが設けられている。
エンジン用冷却システムは、冷却水をエンジンに駆動されるウォータポンプを用いてエンジン用ラジエータとの間を循環させることができるものの、ハイブリッド用冷却システムは、冷却水を独立駆動可能な電動モータ付きウォータポンプを用いてゴムホース等の冷却水通路を介してハイブリッド用ラジエータとの間を循環させている。これらの冷却システムは、通常、同じ成分のラジエータ冷却水(ロング・ライフ・クーラント: LLC)を用いており、このラジエータ冷却水の組成は、JIS規格にて不凍液成分としてのエチレングリコールと、防錆剤成分としてのリン酸塩系物質と、5%以下の水と定められている。
特開2008−38901号公報
特許文献1の電動モータ付き燃料ポンプは、ポンプモジュールを囲繞する金属製サブタンクがシールグランド配線を介して車体(グランド)にアースされているため、電動モータから発生された電磁ノイズを金属製サブタンクで遮断し、外部へ放射される電磁ノイズを抑制することができる。しかし、この電動モータ付き燃料ポンプでは、燃料タンクを金属製から合成樹脂製に材質変更することにより燃料タンクを軽量化したにも拘わらず、燃料ポンプとしては、新たに金属製サブタンクやシールグランド配線が追加されるため、装置全体として重量とコストの増加を招く虞がある。
本発明者らが鋭意検討した結果、前述の冷却水を循環する冷却システムのように、循環される移動媒体(液体)が多くのイオンを含み導電性を有する場合、電動モータから発生する電磁ノイズが冷却水内を伝搬していること、また、冷却水通路を形成する通路部材(ゴムホース等)が導電性を有する性質の場合、電動モータから発生する電磁ノイズが通路部材内を伝搬していることに着目し、冷却水或いは冷却水の通路部材が電磁ノイズを周囲に発信する発信用アンテナとして機能することを知見した。
それ故、移動媒体の導電性が高い程、移動媒体によるアンテナ効果が高くなり、また、移動媒体が純水や石油等のように導電性が極めて低い場合であっても、通路部材の導電性が高い程、通路部材によるアンテナ効果が高くなるため、電動モータから通路部材を介して周囲に発信される電磁ノイズが増加する虞がある。つまり、電動モータ付きウォータポンプのケーシングを非導電性材料である合成樹脂製ケーシングに材質変更した場合、移動媒体の導電性に拘わらず、電動モータからゴムホース等の通路部材を介して周囲に発信される電磁ノイズが増加する虞がある。
本発明の目的は、液体の導電性に拘わらず、装置の軽量化と電動モータから周囲に発信される電磁ノイズの抑制とを両立可能な液体供給装置を提供することである。
請求項1の液体供給装置は、ポンプと、このポンプを駆動する電動モータとを備えた電動モータ付きポンプを有し、この電動モータ付きポンプによりホースを介して所定の供給対象部材へ液体を供給する液体供給装置において、前記ポンプと、電動モータとを収容し且つ非導電性材料により形成されたケーシングを設け、前記ホースを導電性材料または導電性材料を含有した材料により形成し、このホースの少なくとも一部をグランド接地したことを特徴としている。
この液体供給装置では、ポンプと、電動モータとを収容するケーシングが合成樹脂等の非導電性材料により形成されているため、金属製ケーシングを用いた電動モータ付きポンプに比べて電動モータ付きポンプの重量低減とコスト低減とを達成することができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記液体は導電性液体であることを特徴としている。
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記電動モータ付きポンプは、電子機器に冷却水を供給するウォータポンプであることを特徴としている。
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記電子機器は車載用電子機器であることを特徴としている。
請求項1の発明によれば、電動モータ付きポンプのケーシングを合成樹脂等の非導電性材料により形成しても、液体の移動経路であるホースを確実にグランド接地することができるため、液体の導電性や発信用アンテナとして機能するホースの長さに拘わらず、簡単な構造で液体供給装置の軽量化を図りつつ、電動モータからホースを介して周囲に発信される電磁ノイズを抑制することができ、電子機器の誤作動を防止できる。
請求項2の発明によれば、アンテナ効果が高くなる導電性が高い液体を供給する液体供給装置であっても、液体の移動経路であるホースを利用して確実にグランド接地することができ、部品点数を増加することなく、電磁ノイズを抑制できる。
請求項3の発明によれば、流体が高い導電性を備えた冷却水等であっても、電動モータから発生した電磁ノイズによる電子機器の誤作動を防止できる。
請求項4の発明によれば、電動モータから発生した電磁ノイズによる車載用電子機器の誤作動を防止できる。
本発明の実施例1に係るHV冷却システムを搭載した車両の平面図である。 エンジンユニットの斜視図である。 電動モータ付きポンプの部分縦断面図である。 電動モータの電気的構成を示す図である。 電動モータ付きポンプの支持構造を示す図である。 HV冷却システムの冷却水の移動経路を示す図である。 グランド接地の変形例を示す要部拡大図である。 グランド接地の別の変形例を示す要部拡大図である。
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。尚、図2,3,5における上下方向を上下方向、左右方向を左右方向として説明する。
以下、本発明の実施例1について図1〜図6に基づいて説明する。
図1,図2に示すように、ハイブリッド車両Vは、エンジンユニットEUと、ハイブリッド用冷却システム1(流体供給装置)と、走行用高電圧バッテリB等を備えている。
また、このハイブリッド車両Vには、車載用電子機器としてラジオ受信機R、ナビゲーションシステム、キーレスエントリーシステム等と、これら車載用電子機器に応じた複数のセンサ及びアンテナが搭載され、特に、車両Vのリヤウインドガラスにはラジオ受信機Rと電気的に接続されたガラスアンテナAが設けられている。
ハイブリッド用冷却システム1(以下、HV冷却システムという)は、移動媒体としての冷却水を加圧により吐出可能な電動モータ付きポンプ2と、冷却水の移動通路を形成するホース3と、供給対象部材との熱交換により昇温された冷却水を冷却するためのハイブリッド用ラジエータ4(以下、HVラジエータという)等から構成されている。
このHV冷却システム1は、エンジン用冷却システム(図示略)と同様に、冷却水としてロング・ライフ・クーラント(LLC)が使用されている。LLCは、不凍液成分としてのエチレングリコールと、防錆剤成分としてのリン酸塩系物質(例えば、リン酸カリ塩等)とを含有している。このリン酸塩は、イオン化傾向が高く、空気中の酸素よりも金属との結合性が強いため、金属とイオン結合して金属表面に防錆皮膜を形成する。
まず、電動モータ付きポンプ2について説明する。
図3〜図5に示すように、電動モータ付きポンプ2は、合成樹脂製の筒状ケーシング20と、冷却水の移動用ポンプ21と、このポンプ21を回転駆動する電動モータ22と、この電動モータ22を制御駆動する制御回路23及び駆動回路24とが配置された制御基盤25と、ポンプ21の駆動軸と電動モータ22の回転軸との共通回動軸を形成するシャフト26等を備えている。
ケーシング20は、非導電性材料の合成樹脂で形成され、ポンプ21が収容されるケーシング20aと、電動モータ22が収容される円筒状のケーシング20bと、制御基盤25が収容されるケーシング20cとの3部材によって形成されている。
ケーシング20aには、還流された冷却水を吸入するためのパイプ状の吸入孔20dと、加圧された冷却水を外部へ吐出するためのパイプ状の吐出孔20eとが一体形成されている。吸入孔20dは、ケーシング20aの上部中央位置から上方へ延びるように形成され且つシャフト26の軸心と共通の軸心を有している。吐出孔20eは、ケーシング20aの右側側部から水平方向に延びるように形成され且つシャフト26の軸心と直交する軸心を有している。
図5に示すように、ケーシング20は、金属製取付ブラケット50を介して車体部材VBに固定されている。取付ブラケット50は、ケーシング20(電動モータ付きポンプ2)を載置し且つ水平方向に延びる支持部50aと、この支持部50aの端部から上方向へ延び且つ車体部材VBにボルト等を介して締結可能な締結部50bとにより形成されている。支持部50aには、ケーシング20cが上方から挿通可能な開口部が設けられ、ボルト等によりケーシング20bが締結されている。
図3に示すように、ポンプ21は、シャフト26の先端部分に固定されたインペラ21aと、ケーシング20aの内部においてインペラ21aが回動可能な渦室21b等を備えている。インペラ21aは、複数の羽根部を有し、これら複数の羽根部がケーシング20aの内部を周方向に対して複数の空間に分割している。それ故、シャフト26が回転されたとき、インペラ21aの回転により、吸入孔20dから冷却水が吸入され、複数の羽根部によって加圧された冷却水が吐出孔20eから吐出される。
図3,図4に示すように、電動モータ22は、固定子としての3組のステータ22a,22b,22cと、シャフト26の途中部に固定された回転子としてのロータ22d等を備えた三相交流電動機である。
3組のステータ22a,22b,22cは、夫々、ステータコア22x,22y,22zに対して交流電源に接続されたコイルを巻回して構成されている。ステータコア22x,22y,22zは、夫々、複数の磁性体片を積層して形成され、周方向に等間隔(120°間隔毎)に配置されるようにケーシング20bに対して固定されている。ロータ22dは、1対の永久磁石22fが周方向に複数組固定されている。
図4に示すように、制御回路23は、電動モータ22の回転速度及び回転速度に対応する通電比率(デューティ比)を演算するCPU23aと、このCPU23aを動作させるための水晶発振子23b等を備えたマイクロプロセッサとして形成されている。
駆動回路24は、駆動トランジスタ24a,24b,24cを備えたインバータと、整流器(図示略)と、リアクタ(図示略)等により形成されている。
駆動回路24は、制御回路23から送信された制御信号(スイッチングパルスのデューティ比)に基づき印加電圧を変更し、駆動トランジスタ24a,24b,24cをオンオフ制御するスイッチング回路を構成している。
これにより、ステータ22a,22b,22cに三相交流電流を通電することにより、電動モータ22内に回転磁界を発生させるため、この回転磁界による引張りトルクを用いてロータ22dを回動でき、ロータ22dに固定されたシャフト26を介してインペラ21aを回転駆動している。ポンプ21の吐出量は、電動モータ22のトルク(スイッチングパルスのデューティ比)と、交流電源の周波数とを変更することにより制御している。
次に、HV冷却システム1が設けられたエンジンユニットEUを簡単に説明する。
図2に示すように、エンジンユニットEUは、直列型4気筒エンジンEと、エンジンEに駆動される発電用ジェネレータ(図示略)とバッテリBに接続された走行用モータ(図示略)とが収容されたトランスアクスルTAと、パワーコントロールユニットPU等により一体的に形成されている。このエンジンユニットEUは、フロントフレーム(図示略)に対して複数のエンジンマウントを介して支持されている。
エンジンEは、気筒配列方向が車幅方向になるように横置き配置され、エンジンEの各冷却対象部材(例えば、燃焼室等)を冷却するためのエンジン用冷却システム(図示略)を備えている。このエンジン用冷却システムは、エンジンEの前側に配置されたエンジン用ラジエータ(図示略)と、エンジンEの回転軸に連結されるウォータポンプ(図示略)と、このウォータポンプから吐出された冷却水を冷却対象部材を経由してエンジン用ラジエータへ循環させるための冷却水通路等により構成されている。
トランスアクスルTAは、エンジンEの右側(車両進行方向に対して左側)下部に配置され、パワーコントロールユニットPUは、トランスアクスルTAの上部に設けられている。このパワーコントロールユニットPUは、走行用モータを駆動するインバータと、昇圧コンバータと、DC-DCコンバータ等を備えた車載用電子機器である。パワーコントロールユニットPUの後側上方位置には、HV冷却システム1内を循環する冷却水から気体を分離するリザーバタンク5が配置されている。このリザーバタンク5は、合成樹脂材料で形成され、車体部材に対して取付ブラケットにより固定されている。
次に、冷却水の移動経路を形成するホース3について説明する。
本実施例のHV冷却システム1では、図6に示すように、トランスアクスルTA、パワーコントロールユニットPU、HVラジエータ4、リザーバタンク5等が冷却水の供給対象部材であり、各供給対象部材はホース3により直列状に接続されている。このホース3は、電動モータ付きポンプ2の吐出孔20eから吸入孔20dに亙ってループ状に形成され、複数の可撓性ホース部31〜37を備えている。複数のホース部31〜37は、カーボン(C)が添加され導電性を備えたゴム材料により形成されている。
図2,図5,図6に示すように、電動モータ付きポンプ2の吐出孔20eとトランスアクスルTAとは、ホース部31とホース部32と金属製パイプ部材41とにより接続されている。ホース部31は、上流端がクリップ61により吐出孔20eに締結され、吐出孔20eから車幅方向外側へ延びると共に正面視にて略コ字状に形成されている。ホース部31の下流端は、電動モータ付きポンプ2の下側近傍位置において軸心が車幅方向に延びるパイプ部材41の一端と接続されている。ホース部32は、パイプ部材41の他端と接続され、車幅方向に延びると共にトランスアクスルTAに接続されている。これにより、吐出孔20eから吐出された冷却水は、ホース部31とこのホース部31にパイプ部材41を介して接続されたホース部32とを通過してトランスアクスルTAに供給される。
トランスアクスルTAとエンジン用ラジエータの上側位置に設置されたHVラジエータ4とは、車幅方向へ延びるホース部33により接続されている。
ホース部33は、一端がトランスアクスルTAの前部に接続され、他端がHVラジエータ4の車幅方向外側端部に接続されている。HVラジエータ4に供給された冷却水は、HVラジエータ4内通路を車幅方向中央側へ移行し、この移行時に走行風と熱交換を行っている。
ホース部34は、HVラジエータ4の車幅方向中央側端部から後方へ平面視にて略U字状に形成され、パワーコントロールユニットPUの前側部分に接続されている。
冷却水は、パワーコントロールユニットPUの冷却後、パワーコントロールユニットPUの後側部分から後側上方へ延びるホース部35を介してリザーバタンク5へ供給される。
リザーバタンク5と吸入孔20dとは、ホース部36とホース部37と金属製パイプ部材42とにより接続されている。ホース部36は、リザーバタンク5の前側部分から前方下がり傾斜状に延び、電動モータ付きポンプ2の上側近傍位置において軸心が上下方向に延びるパイプ部材42の上端と接続されている。ホース部37は、上流端がパイプ部材42の下端に接続され、下流端がクリップ62により吸入孔20dに締結されている。パイプ部材42は、パイプ部材41に対して略鉛直上方位置になるように配置されている。
これにより、リザーバタンク5で気液分離された冷却水は、ホース部36とこのホース部36にパイプ部材42を介して接続されたホース部37とを通過して吸入孔20dへ還流される。
図5に示すように、パイプ部材41,42は、夫々、金属製接続ブラケット51,52を介して取付ブラケット50に連結されている。上下方向へ延びる接続ブラケット51は、下端がパイプ部材41の外周部分に接合され、上端が締結部50bの下部に固定され、上下方向へ延びる接続ブラケット52は、上端がパイプ部材42の外周部分に接合され、下端が締結部50bの上部に固定されている。それ故、接続ブラケット51と接続ブラケット52とは、締結部50bを介して略直線状に配置されている。これにより、ホース3は、パイプ部材41,42と接続ブラケット51,52と取付ブラケット50とを介してグランド接地されている。
次に、実施例1に係るHV冷却システム1の作用、効果について説明する。
このHV冷却システム1は、ポンプ21と、電動モータ22と、制御回路23及び駆動回路24を収容するケーシング20が合成樹脂により形成されているため、金属製ケーシングを用いた電動モータ付きポンプに比べて電動モータ付きポンプ2の重量低減とコスト低減とを達成することができる。また、冷却水の移動経路であるホース3をパイプ部材41,42等を介して確実にグランド接地することができるため、冷却水の導電性や発信用アンテナとして機能するホース3の長さに拘わらず、簡単な構造でHV冷却システム1の軽量化を図りつつ、電動モータ22からホース3を介して周囲に発信される電磁ノイズを抑制することができ、電子機器の誤作動を防止できる。
HV冷却システム1を循環する冷却水が、アンテナ効果が高くなるイオン化傾向が高い成分であっても、冷却水の移動経路であるホース3を利用して確実にグランド接地することができ、部品点数を増加することなく、電磁ノイズを抑制できる。
電動モータ付きポンプ2は、パワーコントロールユニットPUに導電性を有する冷却水を供給するウォータポンプであるため、冷却水が導電性が高いラジエータ冷却水等であっても、電動モータ22から発生した電磁ノイズによるパワーコントロールユニットPUの誤作動を防止できる。
図7に基づき、実施例1に係るHV冷却システム1の変形例1Aについて説明する。
尚、前記実施例1のHV冷却システム1と異なる構成についてのみ説明し、実施例1と同一の部材には同一の符号を付して説明を省略する。
図7に示すように、HV冷却システム1Aのホース3Aは、電動モータ付きポンプ2の吐出孔20eから吸入孔20dに亙ってループ状に形成され、カーボン(C)が添加された導電性を有するゴム材料により形成されている。電動モータ付きポンプ2の吐出孔20eとトランスアクスルTAとは、実施例1で示したパイプ部材41を用いることなく、ホース部31A単体により接続されている。 ホース部31Aは、金属製取付ブラケット50Aによって車体部材VBに固定されている。
これにより、ホース部31Aを、導電性ジョイント部材等を用いることなく、取付ブラケット50Aを介して直接的にグランド接地できるため、更に部品点数を低減でき、電動モータ22から外部へ発生する電磁ノイズを効果的に抑制することができる。
図8に基づき、実施例1に係るHV冷却システム1の別の変形例1Bについて説明する。
図8に示すように、HV冷却システム1Bのホース3Bは、電動モータ付きポンプ2の吐出孔20eから吸入孔20dに亙ってループ状に形成され、カーボン(C)が添加された導電性を有するゴム材料により形成されている。電動モータ付きポンプ2の吸入孔20dとリザーバタンク5とは、ホース部36A単体により接続されている。ホース部36Aの下流端は、導電性を備えた金属製クリップ62Aにより吸入孔20dに締結され、クリップ62Aは、ボルト63によって車体部材VBに固定されている。
これにより、クリップ62Aがポンプ21の吸入孔20dに設けられているため、電磁ノイズの発信用アンテナを形成する吸入孔20dからグランド接地地点(クリップ62A)までの長さを最短化することができ、電動モータ22からホース3Bを介して周囲に発信される電磁ノイズを防止することができる。
次に、前記実施例を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施例においては、吸入孔及び吐出孔の近傍位置に夫々グランド接地するためのパイプ部材を設けた例を説明したが、少なくとも何れか一方のみにパイプ部材を設けても良い。また、パイプ部材を、他の冷却水供給対象部材間に配置し、3個所以上設けることも可能である。
2〕前記実施例においては、冷却水を循環させるホースがカーボンを含有した磁性体材料により形成された例を説明したが、少なくともホースが導電性を備えれば良く、他の導電性材料により形成されたホースを用いることも可能である。
3〕前記実施例においては、車両用HV冷却システムに適用した例を説明したが、少なくとも導電性液体を供給可能な電動モータ付きポンプを備えていれば良く、工作機械や建築機械等の電動モータ付きポンプに適用しても良い。
4〕前記実施例においては、電動モータ付きポンプが制御回路及び駆動回路を共に内蔵する例を説明したが、電動モータ付きポンプは少なくともステータをケーシング内部に備えていれば良く、制御回路及び駆動回路をケーシング外部に設置することも可能である。
駆動回路を含む制御回路の場合、制御回路のみをケーシング内部に収容しても良く、また、駆動回路のみを電動モータ付きポンプの内部に収容し、制御回路を電動モータ付きポンプの外部に配置することも可能である。
5〕前記実施例においては、リザーバタンクを合成樹脂材料で形成した例を説明したが、リザーバタンクを金属等の導電性材料により形成し、導電性ジョイント部材としてリザーバタンクをグランド接地しても良い。この場合、リザーバタンクを金属製取付ブラケットを介してエンジンや車体に固定することによりグランド接地する。
6〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
本発明は、電動モータ付きポンプによりホースを介して所定の供給対象部材へ液体を供給する液体供給装置において、ホースを導電性材料で形成し、このホースの一部をグランド接地したことで、液体の導電性に拘わらず、装置の軽量化と電動モータから周囲に発信される電磁ノイズの抑制とを両立することができる。
1 HV冷却システム
2 電動モータ付きポンプ
3 ホース
4 HVラジエータ
20 ケーシング
20d 吸入孔
20e 吐出孔
21 ポンプ
22 電動モータ
23 制御回路
24 駆動回路
41,42 パイプ部材
50,50A 取付ブラケット
51,52 接続ブラケット
62A クリップ
TA トランスアクスル
PU パワーコントロールユニット

Claims (4)

  1. ポンプと、このポンプを駆動する電動モータとを備えた電動モータ付きポンプを有し、この電動モータ付きポンプによりホースを介して所定の供給対象部材へ液体を供給する液体供給装置において、
    前記ポンプと、電動モータとを収容し且つ非導電性材料により形成されたケーシングを設け、
    前記ホースを導電性材料または導電性材料を含有した材料により形成し、このホースの少なくとも一部をグランド接地したことを特徴とする液体供給装置。
  2. 前記液体は導電性液体であることを特徴とする請求項1に記載の液体供給装置。
  3. 前記電動モータ付きポンプは、電子機器に冷却水を供給するウォータポンプであることを特徴とする請求項1または2に記載の液体供給装置。
  4. 前記電子機器は車載用電子機器であることを特徴とする請求項3に記載の液体供給装置。
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