JP2013067843A - 優れた高温強度を有するオーステナイト系耐熱鋼とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 化学成分添加量の最適化と組成均質化とにより、高温強度に優れた高強度耐熱鋼を提供する。
【解決手段】 質量%で、C:0.02〜0.08%、Si:0.3超〜0.8%、Mn:0.6〜2.0%、P:≦0.040%、S:≦0.005%、Ni:15超〜26%、Cr:18〜23%、W:1.8〜4.2%、Mo:≦0.5%、Nb:0.2〜0.5%、Al:0.001〜0.040%、N:0.07〜0.13%、B:<0.001%を含有し、残部Feおよび不可避不純物で、0.05%≦Nb−0.031(C+N)(-0.744Nb-0.772)≦0.15%、2.8%≦W+2Mo≦4.2%、9.5%≦Ni+27C+23N+0.2Mn+0.3Cu−1.2(Cr+Mo+0.5W)−0.5Si−0.3Nb+10%の3式を満たす高強度オーステナイト系耐熱鋼。
【選択図】 なし

Description

本発明は、超々臨界圧の石炭火力発電や石炭ガス化複合発電などに用いられる高強度ボイラ用の鋼管の素材である高温強度を有するオーステナイト系耐熱鋼とその製造方法に関する。
石炭火力発電システムは、経済性と安全性が高いことから、世界中で主要な電力源として多く採用されている。しかし、二酸化炭素を最も排出する発電方式であるため、近年、発電の高効率化が強く求められている。
従来の技術として、Mo、WとNbを高い含有量で有する高強度オーステナイト系耐熱合金が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この高強度オーステナイト系耐熱合金の製造法は、MoとWの複合添加による相乗効果と、NbとTiの複合添加およびBの添加による効果により、クリープ破断強度を著しく高める方法である。一般的に、鋼材中の元素偏析は、高温強度を低下させるので、偏析を可能な限り軽減するために、より高温での均質化熱処理や熱間加工が行われる。特に、より高温での熱間加工は、再結晶による拡散効果を同時に得ることができるので、均質化するための最も有効な手段として知られている。しかし、この方法では、強度向上のためにBが相当量添加されている影響で、鋼材のオーバーヒート温度が低下して、より高温での加工が困難となり、強化元素のMo、WおよびNbを十分に均質化できないため、さらなる強度向上に余地があった。
さらに、WとNbを含む鋼材を、熱間押出加工における加熱温度と加工後の冷却速度、固溶化熱処理温度および固溶化熱処理後の鋼中のNb固溶量を規定することで、溶接性に優れたオーステナイト系耐熱鋼を得る製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この方法は、短時間で高いリダクションの加工を行い、直ちに冷却を行う熱間押出法を利用している。このため、強化元素のWやNbの均質化が十分とは言えず、強度向上に余地があった。
さらに、固溶化熱処理後の鋼管に、さらにごく少量の冷間加工を施すことで、クリープ破断強度に優れたオーステナイト系耐熱鋼管を得る製造方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、実際のボイラの製作では、鋼管を大きく冷間曲げする必要があり、その後に曲げ部の固溶化熱処理を必ず行われなければならない。そのため曲げ部は、冷間加工による強化がリセットされて著しい強度低下が免れず、結果としてこの方法による鋼管を適用することは困難であった。
特開昭63−183155号公報 特開平11−21624号公報 特開2002−212634号公報
石炭火力発電システムの高効率化のために、現在、700℃で優れたクリープ破断強度を有する耐熱鋼が求められている。これまでに開発された高強度材の多くは、Nb、Mo、Wなどが添加されている。しかし、Nbは、鋼材中に偏析し易い元素である一方、MoやWは鋼材中の拡散が遅い元素であるため、偏析が原因で強度が低下する場合があった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、700℃において優れたクリープ破断強度を有するオーステナイト系耐熱鋼およびその製造方法を提供することである。
上記の課題を解決するための本発明の手段は、Mo、WおよびNb添加型オーステナイト系耐熱鋼の化学成分を最適化することと、より高温下で鋼材を加熱保持、熱間加工し、鋼材中の化学組成を均質化することである。
そこで、考慮すべき第1としては、合金組成中のB添加量である。一般的にBは、オーステナイト系耐熱鋼の高温強度と熱間加工延性の向上に有効な元素であるので、0.001%から0.005%程度、鋼材中に添加される。一方でBは、鉄クロムほう化物を生成させて鋼材のオーバーヒート温度を低下させるので、より高温での熱間加工が行えなくなり、鋼材組成の均質化をはかりにくくさせている。そこで、組成の均質化をはかるためには、B含有量を最小限に留めることが重要である。第2としては、熱間加工中の少量の未固溶炭窒化物である。少量の未固溶炭化物は、高温加熱時の結晶粒粗大化を抑制し、熱間加工性を悪化させずに熱間加工時の結晶粒の微細化に寄与し、拡散による均質化の効果を一層高める。そこで、熱間加工時の再結晶によるMo、WおよびNbの均質化を一層高めるために、熱間加工中にごく少量の未固溶Nb炭窒化物を存在させることが重要である。第3としては、鋼塊を1200℃以上1290℃以下で1時間以上加熱することで、鋼材中のMo、WおよびNbの自己拡散を高めて均質化することである。第4としては、鋼塊をより高温である1200℃以上で鍛錬比3以上の鍛造または圧延を行うことで、自己拡散効果に動的再結晶による拡散効果を加えて、鋼材中のMo、WおよびNbを飛躍的に均質化することである。
すなわち、上記の手段における、請求項1の発明は、質量%で、C:0.02〜0.08%、Si:0.3超〜0.8%、Mn:0.6〜2.0%、P:≦0.040%、S:≦0.005%、Ni:15超〜26%、Cr:18〜23%、W:1.8〜4.2%、Mo:≦0.5%、Nb:0.2〜0.5%、Al:0.001〜0.040%、N:0.07〜0.13%、B:<0.001%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、下記の(1)式、(2)式および(3)式を満足することからなる優れた高温強度を有するオーステナイト系耐熱鋼である。
0.05%≦Nb−0.031(C+N)(-0.744Nb-0.772)≦0.15%……(1)
2.8%≦W+2Mo≦4.2%……(2)
9.5%≦Ni+27C+23N+0.2Mn+0.3Cu−1.2(Cr+Mo+0.5W)−0.5Si−0.3Nb+10%……(3)
請求項2の発明は、質量%で、C:0.02〜0.08%、Si:0.3超〜0.8%、Mn:0.6〜2.0%、P:≦0.040%、S:≦0.005%、Ni:15超〜26%、Cr:18〜23%、W:1.8〜4.2%、Mo:≦0.5%、Nb:0.2〜0.5%、Al:0.001〜0.040%、N:0.07〜0.13%、B:<0.001%を含有し、さらに、Cu:2.0〜3.2%およびCa:0.001〜0.007%いずれか1種又は2種を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、下記の(1)式、(2)式および(3)式を満足することからなる優れた高温強度を有するオーステナイト系耐熱鋼である。
0.05%≦Nb−0.031(C+N)(-0.744Nb-0.772)≦0.15%……(1)
2.8%≦W+2Mo≦4.2%……(2)
9.5%≦Ni+27C+23N+0.2Mn+0.3Cu−1.2(Cr+Mo+0.5W)−0.5Si−0.3Nb+10%……(3)
請求項3の発明は、質量%で、C:0.02〜0.08%、Si:0.3超〜0.8%、Mn:0.6〜2.0%、P:≦0.040%、S:≦0.005%、Ni:15超〜26%、Cr:18〜23%、W:1.8〜4.2%、Mo:≦0.5%、Nb:0.2〜0.5%、Al:0.001〜0.040%、N:0.07〜0.13%、B:<0.001%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、下記の(1)式、(2)式および(3)式を満足するオーステナイト系耐熱鋼の鋼塊を、1200℃以上の温度で1時間以上加熱した後、鍛練比3以上の鍛造または圧延により形成したビレットを用いて鋼材を製造することからなる優れた高温強度を有するオーステナイト系耐熱鋼の鋼材の製造方法である。
0.05%≦Nb−0.031(C+N)(-0.744Nb-0.772)≦0.15%……(1)
2.8%≦W+2Mo≦4.2%……(2)
9.5%≦Ni+27C+23N+0.2Mn+0.3Cu−1.2(Cr+Mo+0.5W)−0.5Si−0.3Nb+10%……(3)
請求項4の発明は、質量%で、C:0.02〜0.08%、Si:0.3超〜0.8%、Mn:0.6〜2.0%、P:≦0.040%、S:≦0.005%、Ni:15超〜26%、Cr:18〜23%、W:1.8〜4.2%、Mo:≦0.5%、Nb:0.2〜0.5%、Al:0.001〜0.040%、N:0.07〜0.13%、B:<0.001%を含有し、さらに、Cu:2.0〜3.2%およびCa:0.001〜0.007%いずれか1種又は2種を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、下記の(1)式、(2)式および(3)式を満足するオーステナイト系耐熱鋼の鋼塊を、1200℃以上の温度で1時間以上加熱した後、鍛練比3以上の鍛造または圧延により形成したビレットを用いて鋼材を製造することからなる優れた高温強度を有するオーステナイト系耐熱鋼の鋼材の製造方法である。
0.05%≦Nb−0.031(C+N)(-0.744Nb-0.772)≦0.15%……(1)
2.8%≦W+2Mo≦4.2%……(2)
9.5%≦Ni+27C+23N+0.2Mn+0.3Cu−1.2(Cr+Mo+0.5W)−0.5Si−0.3Nb+10%……(3)
上記の手段の鋼成分の限定理由および(1式)〜(3)式の限定理由について以下に説明する。なお、%は質量%である。
C:0.02〜0.08%
Cは、高温強度向上のために0.02%以上必要である。しかし、Cが0.08%を超えると炭化物が多量に粒界に析出し、高温長時間経過後に靭性が著しく悪化する。そこで、Cは0.02〜0.08%とする。
Si:0.3超〜0.8%
Siは、脱酸のために必要な元素で、そのために0.3%より多く必要である。しかし、Siが0.8%を超えると、σ相の粒界析出を促進し、高温長時間経過後に靭性が著しく悪化する。そこで、Siは0.3超〜0.8%とし、望ましくは0.3超〜0.6%とする。
Mn:0.6〜2.0%
Mnは、脱酸のために必要な元素で、0.6%以上必要である。しかし、Mnが2.0%を超えると、過剰添加となり高コストとなる。そこで、Mnは0.6〜2.0%とする。
P:≦0.040%
Pは、不可避不純物として含有される元素である。しかし、Pが0.040%より多く含有されると溶接性が著しく悪化する。そこで、Pは0.040%以下とする。
S:≦0.005%
Sは、不可避不純物として含有される元素である。しかし、Sが0.005%より多く含有されると熱間加工性が悪化し、加工中の割れ発生を促進する。そこで、Sは0.005%以下とする。
Ni:15超〜26%
Niは、オーステナイト組織を安定化するために必要な元素で、15%より多く必要である。しかし、Niが26%を超えると、過剰添加となり高コストとなる。そこで、Niは15超〜26%とする。
Cr:18〜23%
Crは、優れた耐高温腐蝕性と耐水蒸気酸化性を確保するために必要な元素で、18%以上必要である。しかし、Crが23%を超えると、σ相の粒界析出を促進し、高温長時間経過後に靭性が著しく悪化する。そこで、Crは18〜23%とし、望ましくは19〜22%とする。
W:1.8〜4.2%
Wは、高温強度向上のために1.8%以上必要な元素である。しかし、Wが4.2%を超えると、Laves相が粒界に析出するようになり、高温長時間経過後に靭性が著しく悪化する。そこで、Wは1.8〜4.2%とする。
Mo:<0.5%
Moは、高温強度向上のために必要な元素である。しかし、Moが0.5%以上含有されるとLaves相が析出するようになり、高温長時間経過後に靭性が著しく悪化する。そこで、Moは0.5%未満とし、望ましくは0.3%以下とする。
Nb:0.2〜0.5%
Nbは、高温強度向上のために0.2%以上必要な元素である。しかし、Nbが0.5%より多く含有されると熱間加工性が悪化し、加工中の割れを発生する。そこで、Nbは0.2〜0.5%とする。
Al:0.001〜0.040%
Alは、脱酸のために必要な元素で、そのために0.001%以上必要である。しかし、Alが0.040%を超えると、粒界にAlNが生じて高温長時間経過後に靭性が著しく悪化する。そこで、Alは0.001〜0.040%とする。
N:0.07〜0.13%
Nは、高温強度向上のために0.07%以上必要な元素である。しかし、Nが0.13%を超えると、Laves相の析出を促進させて高温長時間経過後に靭性が著しく悪化する。そこで、Nは0.07〜0.13%とする。
B:<0.001%
Bは、鋼材の熱間加工延性の向上に有効な元素である。しかし、Bが0.001%以上添加されると、鋼材のオーバーヒート温度が低下し、より高温で熱間加工ができなくなって、動的再結晶による均質化効果が得られなくなる。そこで、Bは0.001%未満とする。
0.05%≦Nb−0.031(C+N)(-0.744Nb-0.772)≦0.15%……(1)
(1)式は、材料の熱間加工中の動的再結晶を促進させ、材料中の元素組成を均質化し高温強度を向上させるために0.05%以上とする必要がある。しかし、(1)式が0.15%より多いと熱間加工性を悪化し、加工中に割れを発生する。そこで、(1)式は0.05〜0.15%とする。
2.8%≦W+2Mo≦4.2%……(2)
(2)式は、材料の優れた高温強度を確保するために2.8%以上とする必要がある。しかし、(2)式が4.2%より多いと、Laves相が粒界に多量に析出するようになり、高温長時間経過後に靭性が著しく悪化する。そこで、(2)式は2.8〜4.2%とする。
9.5%≦Ni+27C+23N+0.2Mn+0.3Cu−1.2(Cr+Mo+0.5W)−0.5Si−0.3Nb+10%……(3)
(3)式は、オーステナイト組織安定化に必要な条件式で、優れた高温強度を確保するために9.5%以上とする必要がある。そこで、(3)式は9.5%以上とする。
本願発明は、上記の手段の化学成分からなり、かつ(1)式、(2)式および(3)式を満足することで、700℃において優れたクリープ破断強度を発揮するオーステナイト耐熱鋼である。本願発明は、超々臨界圧石炭火力発電や石炭ガス化複合発電などに用いられる高強度ボイラ用鋼管などに適用可能な効果を奏する。
本発明の実施するための形態について、以下に順次に表を参照して説明する。
表1に示す化学成分および表2に示す(1)式、(2)式および(3)式を満足するオーステナイト系耐熱鋼である発明例のNo.1〜12および比較例No13〜21の鋼種について、それぞれ真空溶解炉にて100kgの鋼塊に溶製した。この鋼塊を1200℃以上の高温で1時間以上加熱し、鍛練比3以上の熱間鍛造または熱間圧延によりビレットに成形した。このビレットからなる鋼材を1180℃〜1220℃で固溶化熱処理し、この材料をクリープ破断試験に供した。さらに、冷間加工した鋼材でも効果が得られることを確認するために、上記の熱間鍛造した鍛造材を冷間加工し、さらに1180℃〜1220℃で固溶化熱処理を行って、この鋼材をクリープ破断試験に供した。
なお、(1)式は、0.05%≦Nb−0.031(C+N)(-0.744Nb-0.772)≦0.15%、(2)式は、2.8%≦W+2Mo≦4.2%、(3)式は、9.5%≦Ni+27C+23N+0.2Mn+0.3Cu−1.2(Cr+Mo+0.5W)−0.5Si−0.3Nb+10%である。
Figure 2013067843
Figure 2013067843
クリープ破断試験は、平行部径6mm、標点距離30mmの試験片を用いて、700℃、750および800℃にて行った。試験結果からLarson−Millerパラメーターにて、700℃、10万時間時点におけるクリープ破断強度(推定値)を求めた。表2に、この推定値が115MPa以上の材料は「◎」、110MPa〜115MPa未満の材料は「○」とし、105MPa〜110MPa未満の材料は「△」とし、105MPa未満の材料は「×」としてそれぞれ評価して示した。
No.1〜12の全ての本発明の実施例は、No.1〜No.5、No.7、No.9、No.11およびNo.12が冷間加工を行わず、No.6、No.8およびNo.10が冷間加工を行ったものである。これらは、クリープ破断強度の700℃、10万時間における推定値が110MPa以上で、No.1、No.2、No.5、No.7、No.9、No.11およびNo.12は「○」の110MPa以上ないし115MPa未満であり、No.3、No.4、No.6、No.8およびNo.10は「◎」の115MPa以上であった。したがって、これらの実施例は、700℃で優れたクリープ破断強度を有するオーステナイト鋼であることが解る。
これに対して、No.13〜21の比較例は、No.13およびNo.14の化学成分のBは本願発明の範囲から外れている。さらに表2に示すように、これらNo.13〜21の比較例において、No.16、No.18〜21が冷間加工を行わず、No.15およびNo.17が冷間加工を行ったものである。さらに、No.16およびNo.21は加熱温度が本発明方法の1200℃以上の範囲から外れており、No.17およびNo.19は加熱時間が本発明方法の1時間以上の範囲から外れており、No.18〜No.21は鍛練比が本発明方法の3以上の範囲から外れており、No.15およびNo.20は(1)式の値が0.05〜0.15%の範囲から外れている。以上の結果、比較例のNo.13およびNo.14は上記したようにBの添加量は本発明範囲の0.0010%以上の範囲であるので、熱間加工温度領域でオーバーヒート割れを起こしており、冷間加工は行われておらず、したがってクリープ破断強度は評価できなかった。
上記したように、比較例のNo.15は(1)式の値が請求項から外れているのでクリープ破断強度の評価は「△」で、強度は105MPa以上ないし110MPa未満であった。比較例のNo.16は加熱温度が1180℃で、かつNo.21は加熱温度が1190℃といずれも1200℃より低いため、クリープ破断強度評価は「×」で、強度は105MPa未満であった。比較例のNo.17は、加熱時間が0.5時間で1時間よりも短いため、クリープ破断強度評価は「△」で、強度は105MPa以上ないし110MPa未満であった。比較例のNo.18は、鍛練比が2.5で3よりも小さいため、クリープ破断強度評価は「×」で、強度は105MPa未満であった。比較例のNo.19は、0.5時間で1時間よりも短く、かつ鍛練比が2で3よりも小さいため、クリープ破断強度評価は「×」で、強度は105MPa未満であった。比較例のNo.20は、鍛練比が2.5で3よりも小さく、かつ(1)式の値が0.05%よりも小さいため、クリープ破断強度評価は「×」で、強度は105MPa未満であった。比較例のNo.21は、加熱温度が1190℃で1200℃よりも低く、かつ鍛練比が3よりも小さいため、クリープ破断強度評価は「×」で、強度は105MPa未満であった。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.02〜0.08%、Si:0.3超〜0.8%、Mn:0.6〜2.0%、P:≦0.040%、S:≦0.005%、Ni:15超〜26%、Cr:18〜23%、W:1.8〜4.2%、Mo:≦0.5%、Nb:0.2〜0.5%、Al:0.001〜0.040%、N:0.07〜0.13%、B:<0.001%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、下記の(1)式、(2)式および(3)式を満足することを特徴とする優れた高温強度を有するオーステナイト系耐熱鋼。
    0.05%≦Nb−0.031(C+N)(-0.744Nb-0.772)≦0.15%……(1)
    2.8%≦W+2Mo≦4.2%……(2)
    9.5%≦Ni+27C+23N+0.2Mn+0.3Cu−1.2(Cr+Mo+0.5W)−0.5Si−0.3Nb+10%……(3)
  2. 質量%で、C:0.02〜0.08%、Si:0.3超〜0.8%、Mn:0.6〜2.0%、P:≦0.040%、S:≦0.005%、Ni:15超〜26%、Cr:18〜23%、W:1.8〜4.2%、Mo:≦0.5%、Nb:0.2〜0.5%、Al:0.001〜0.040%、N:0.07〜0.13%、B:<0.001%を含有し、さらに、Cu:2.0〜3.2%およびCa:0.001〜0.007%いずれか1種又は2種を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、下記の(1)式、(2)式および(3)式を満足することを特徴とする優れた高温強度を有するオーステナイト系耐熱鋼。
    0.05%≦Nb−0.031(C+N)(-0.744Nb-0.772)≦0.15%……(1)
    2.8%≦W+2Mo≦4.2%……(2)
    9.5%≦Ni+27C+23N+0.2Mn+0.3Cu−1.2(Cr+Mo+0.5W)−0.5Si−0.3Nb+10%……(3)
  3. 質量%で、C:0.02〜0.08%、Si:0.3超〜0.8%、Mn:0.6〜2.0%、P:≦0.040%、S:≦0.005%、Ni:15超〜26%、Cr:18〜23%、W:1.8〜4.2%、Mo:≦0.5%、Nb:0.2〜0.5%、Al:0.001〜0.040%、N:0.07〜0.13%、B:<0.001%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、下記の(1)式、(2)式および(3)式を満足するオーステナイト系耐熱鋼の鋼塊を、1200℃以上の温度で1時間以上加熱した後、鍛練比3以上の鍛造または圧延により形成したビレットを用いて鋼材を製造することを特徴とする優れた高温強度を有するオーステナイト系耐熱鋼の鋼材の製造方法。
    0.05%≦Nb−0.031(C+N)(-0.744Nb-0.772)≦0.15%……(1)
    2.8%≦W+2Mo≦4.2%……(2)
    9.5%≦Ni+27C+23N+0.2Mn+0.3Cu−1.2(Cr+Mo+0.5W)−0.5Si−0.3Nb+10%……(3)
  4. 質量%で、C:0.02〜0.08%、Si:0.3超〜0.8%、Mn:0.6〜2.0%、P:≦0.040%、S:≦0.005%、Ni:15超〜26%、Cr:18〜23%、W:1.8〜4.2%、Mo:≦0.5%、Nb:0.2〜0.5%、Al:0.001〜0.040%、N:0.07〜0.13%、B:<0.001%を含有し、さらに、Cu:2.0〜3.2%およびCa:0.001〜0.007%いずれか1種又は2種を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、下記の(1)式、(2)式および(3)式を満足するオーステナイト系耐熱鋼の鋼塊を、1200℃以上の温度で1時間以上加熱した後、鍛練比3以上の鍛造または圧延により形成したビレットを用いて鋼材を製造することを特徴とする優れた高温強度を有するオーステナイト系耐熱鋼の鋼材の製造方法。
    0.05%≦Nb−0.031(C+N)(-0.744Nb-0.772)≦0.15%……(1)
    2.8%≦W+2Mo≦4.2%……(2)
    9.5%≦Ni+27C+23N+0.2Mn+0.3Cu−1.2(Cr+Mo+0.5W)−0.5Si−0.3Nb+10%……(3)
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