JP6477252B2 - オーステナイト系耐熱合金および耐熱耐圧部材 - Google Patents
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C:0.02%を超えて0.15%以下、
Si:2.0%以下、
Mn:3.0%以下、
P:0.03%以下、
S:0.01%以下、
Cr:28.0〜38.0%、
Ni:40.0%を超えて60.0%以下、
W:3.0%を超えて15.0%以下、
Ti:0.05〜1.0%、
Zr:0.005〜0.2%、
Al:0.01〜0.3%、
N:0.02%以下、
Mo:0.5%未満、
B:0.005%以下、
Co:0〜20.0%、
残部:Feおよび不純物であり、
下記の(i)式および(ii)式を満足する、オーステナイト系耐熱合金。
(1.9Ti+15Zr)/6.5N≧25.0 ・・・(i)
0.015C≦B ・・・(ii)
但し、式中の各元素記号は、合金中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。
<1>Nb:1.0%以下、V:1.5%以下およびHf:1.0%以下
<2>Mg:0.05%以下、Ca:0.05%以下およびREM:0.5%以下
<3>Ta:8.0%以下、Re:8.0%以下、Ir:5.0%以下、Pd:5.0%以下、Pt:5.0%以下およびAg:5.0%以下
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
Cは、炭化物を形成して高温環境下で使用される際に必要となる引張強さおよびクリープ破断強度を確保する作用を有する。この効果を発揮させるためには、0.02%を超える量のCを含有させる必要がある。しかしながら、C含有量が0.15%を超えると、固溶化熱処理後の未固溶炭化物の量が増加するだけで、高温強度の向上に寄与しなくなり、さらに、靱性など他の機械的性質および溶接性も劣化させる。したがって、C含有量は0.02%を超えて0.15%以下とする。Cは、0.03%を超えて含有させるのが好ましく、0.05%を超えて含有させるのがより好ましい。また、C含有量は0.13%以下であるのが好ましく、0.12%以下であるのがより好ましい。
Siは、脱酸元素として含有される。また、Siは、耐酸化性、耐水蒸気酸化性等を高めるためにも有効な元素である。しかしながら、Si含有量が多くなって、特に、2.0%を超えると、σ相等の金属間化合物の生成を促進するので、高温における組織の安定性が劣化して靱性および延性の低下を招く。さらに、溶接性および熱間加工性も低下する。したがって、Si含有量は2.0%以下とする。靱性および延性が重視される場合には、Si含有量は1.0%以下にすることが好ましい。なお、他の元素で脱酸作用が十分確保されている場合、特にSi含有量について下限を設ける必要はない。しかし、脱酸作用、耐酸化性、耐水蒸気酸化性等を重視する場合は、Si含有量は0.05%以上とするのが好ましく、0.1%以上とするのがより好ましい。
Mnは、Siと同様に脱酸作用を有するとともに、合金中に不可避的に含有されるSを硫化物として固定して熱間加工性を改善する作用を有する。しかしながら、Mn含有量が3.0%を超えると、σ相等の金属間化合物の析出を助長するので、組織安定性および高温強度などの機械的性質が劣化する。したがって、Mn含有量は3.0%以下とする。Mn含有量は2.0%以下であるのが好ましく、1.5%以下であるのがより好ましい。なお、Mn含有量について下限を設ける必要はないが、熱間加工性改善作用を重視する場合、Mn含有量は0.1%以上とするのが好ましく、0.2%以上とするのがより好ましい。
Pは、不純物として合金中に不可避的に混入し、熱間加工性を低下させる。特に、P含有量が0.03%を超えると、熱間加工性の低下が著しくなる。したがって、P含有量を0.03%以下とする。
Sは、Pと同様に不純物として合金中に不可避的に混入し、熱間加工性を低下させる。特に、S含有量が0.01%を超えると、熱間加工性の低下が著しくなる。したがって、S含有量を0.01%以下とする。なお、良好な熱間加工性を確保したい場合には、S含有量は0.005%以下とするのが好ましく、0.003%以下とするのがより好ましい。
Crは、耐酸化性、耐水蒸気酸化性、耐高温腐食性などの耐食性改善作用を有する。さらに、Crは、α−Cr相として析出してクリープ破断強度を高めるため、本発明においては必須の元素である。しかしながら、その含有量が28.0%未満では、これらの効果が得られない。一方、Cr含有量が多くなって、特に、38.0%を超えると、熱間加工性が劣化し、さらに、σ相の析出などによる組織の不安定化を招く。したがって、Cr含有量は28.0〜38.0%とする。なお、30.0%を超える量のCrを含有させることが好ましい。
Niは、安定なオーステナイト組織を確保するために必須の元素である。28.0〜38.0%のCrを含有する本発明において、σ相の析出を抑制するとともにα−Cr相を安定に析出させるためには、40.0%を超える量のNiを含有させる必要がある。しかしながら、Ni含有量が過剰になって、特に、60.0%を超えると、Crの含有量によってはα−Cr相が十分に析出せず、さらに、経済性も損なわれる。したがって、Ni含有量は40.0%を超えて60.0%以下とする。
Wは、マトリックスに固溶して固溶強化元素としてクリープ破断強度の向上に寄与するばかりでなく、Fe2W型のLaves相またはFe7W6型のμ相として析出し、クリープ破断強度を大幅に向上させる極めて重要な元素である。さらに、Wは、28.0〜38.0%のCrを含有する本発明において析出するα−Cr相中に固溶して、高温での長時間使用中のα−Cr相の成長粗大化を抑制し、長時間側でのクリープ破断強度の急激な低下を抑止する作用を有する。しかしながら、W含有量が3.0%以下では、前記した効果が得られない。一方、15.0%を超える量のWを含有させても、前記の効果が飽和してコストが嵩むだけであり、しかも、組織安定性および熱間加工性が劣化する。したがって、W含有量は3.0%を超えて15.0%以下とする。W含有量は13.0%以下とするのが好ましい。なお、クリープ破断強度の向上効果をさらに重視する場合、6.0%を超える量のWを含有させるのが好ましい。
Tiは、α−Cr相の析出を促進させてクリープ破断強度を高める重要な元素である。特に、Tiを後述のZrと複合して含有させることで、α−Cr相の析出が一層促進されて、クリープ破断強度をより高めることが可能になる。しかしながら、Ti含有量が0.05%未満では十分な効果が得られず、一方、1.0%を超えると熱間加工性が低下する。したがって、Ti含有量は0.05〜1.0%とする。Ti含有量は0.1%以上とするのが好ましく、0.2%以上とするのがより好ましい。また、Ti含有量は0.9%以下とするのが好ましく、0.5%以下とするのがより好ましい。
Zrは、Tiと同様に、α−Cr相の析出を促進させてクリープ破断強度を高める重要な元素である。特に、Zrを上述のTiと複合して含有することで、α−Cr相の析出が一層促進されて、クリープ破断強度をより高めることが可能になる。しかしながら、Zr含有量が0.005%未満では十分な効果が得られず、一方、0.2%を超えると熱間加工性が低下する。したがって、Zr含有量は0.005〜0.2%とする。Zr含有量は0.01%以上であるのが好ましい。また、Zr含有量は0.1%以下であるのが好ましく、0.05%以下であるのがより好ましい。
Alは、脱酸作用を有する元素であり、その効果を発揮するには0.01%以上の含有量が必要である。なお、Alを多量に含有させることによって、γ’相が析出してクリープ破断強度を高めることができるが、本発明においては、適正量のW、TiおよびZrを含有させ、α−Cr相とLaves相等による複合析出強化でクリープ破断強度を飛躍的に高めることができるため、γ’相による強化は不要である。しかも、Al含有量が0.3%を超えると、熱間加工性、延性および靱性が劣化することがある。そのため、Al含有量を0.01〜0.3%とする。
前述のように、本発明においては、α−Cr相の析出促進のためにZrおよびTiを必須の元素として含有させている。通常の溶解法では不可避的に含まれる元素であるNは、ZrNおよびTiNを形成し、ZrおよびTiを消費してしまう。このことを避けるためには、N含有量は極力低減する必要がある。しかしながら、N含有量の極端な低減は、特殊溶解法の適用または高純度原料の使用を必要とし経済性を損なう。したがって、N含有量は0.02%以下とする。なお、N含有量は0.015%以下であるのが好ましい。
(1.9Ti+15Zr)/6.5N≧25.0 ・・・(i)
但し、式中の各元素記号は、合金中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。
従来、Moは、マトリックスに固溶して、固溶強化元素としてクリープ破断強度の向上に寄与する元素として、Wと同等の作用を有する元素と考えられてきた。しかしながら、本発明者らの検討によって、前述した量のWとCrとを含む合金にMoが複合して含まれている場合には、長時間使用した際にσ相が析出することがあり、このため、クリープ破断強度、延性および靱性の低下をきたすことがあることが判明した。よって、Mo含有量は極力低くすることが望ましく、0.5%未満とする。なお、Mo含有量は0.2%未満に制限することが好ましい。
Bは、B単体で粒界に、または炭窒化物中に存在し、高温での使用中における粒界強化による粒界すべり抑制および炭窒化物の微細分散析出促進によって、高温強度およびクリープ破断強度を向上させる作用を有する。しかしながら、B含有量が0.005%を超えると、溶接性が劣化する。したがって、B含有量は0.005%以下とする。
0.015C≦B ・・・(ii)
但し、式中の各元素記号は、合金中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。
Coは、Niと同様にオーステナイト組織を安定にする作用を有するとともに、クリープ破断強度の向上にも寄与する元素であるので、前記の効果を得るためにCoを含有させてもよい。しかしながら、20.0%を超えてCoを含有させても上記の効果が飽和してコストが嵩むばかりであり、しかも、熱間加工性も低下する。したがって、Co含有量は20.0%以下とする。なお、Co含有量は15.0%以下とすることが好ましい。一方、前記したCoのオーステナイト組織を安定にする効果およびクリープ破断強度の向上効果を確実に得るためには、Co含有量を0.05%以上とすることが好ましく、0.5%以上とすることがより好ましい。
<1>Nb:1.0%以下、V:1.5%以下およびHf:1.0%以下
<2>Mg:0.05%以下、Ca:0.05%以下およびREM:0.5%以下
<3>Ta:8.0%以下、Re:8.0%以下、Ir:5.0%以下、Pd:5.0%以下、Pt:5.0%以下およびAg:5.0%以下
Nbは、炭窒化物を形成して高温強度およびクリープ破断強度を向上させるとともに結晶粒を微細化して延性を向上させる作用を有する。このため、これらの効果を得るためにNbを含有させてもよい。しかしながら、Nb含有量が1.0%を超えると、熱間加工性および靱性が低下する。したがって、含有させる場合のNbの量は1.0%以下とする。Nb含有量は0.9%以下とするのがより好ましい。一方、上記の効果を確実に得るためには、Nb含有量は0.05%以上とするのが好ましく、0.1%以上とするのがより好ましい。
Vは、炭窒化物を形成して高温強度およびクリープ破断強度を向上させる作用を有する。このため、これらの効果を得るためにVを含有させてもよい。しかしながら、V含有量が1.5%を超えると、耐高温腐食性が低下し、さらに脆化相の析出に起因した延性および靱性の劣化をきたす。したがって、含有させる場合のVの量は1.5%以下とする。V含有量は1.2%以下とするのがより好ましい。一方、上記の効果を確実に得るためには、V含有量は0.02%以上とするのが好ましく、0.04%以上とするのがより好ましい。
Hfは、炭窒化物として析出強化に寄与し高温強度およびクリープ破断強度を向上させる作用を有するので、これらの効果を得るためにHfを含有させてもよい。しかしながら、Hf含有量が1.0%を超えると、加工性および溶接性が損なわれる。したがって、含有させる場合のHfの量は1.0%以下とする。Hf含有量は0.8%以下とするのがより好ましく、0.5%以下とするのがさらに好ましい。一方、上記の効果を確実に得るためには、Hf含有量は0.01%以上とするのが好ましく、0.02%以上とするのがより好ましい。
Mgは、合金中に不可避的に含有されるSを硫化物として固定して熱間加工性を改善する作用を有するので、この効果を得るためにMgを含有させてもよい。しかしながら、Mg含有量が0.05%を超えると、清浄性が低下し、かえって熱間加工性および延性が損なわれる。したがって、含有させる場合のMgの量は0.05%以下とする。Mg含有量は0.02%以下とするのがより好ましく、0.01%以下とするのがさらに好ましい。一方、上記の効果を確実に得るためには、Mg含有量は0.0005%以上とするのが好ましく、0.001%以上とするのがより好ましい。
Caは、熱間加工性を阻害するSを硫化物として固定して熱間加工性を改善する作用を有するので、この効果を得るためにCaを含有させてもよい。しかしながら、Ca含有量が0.05%を超えると、清浄性が低下し、かえって熱間加工性および延性が損なわれる。したがって、含有させる場合のCaの量は0.05%以下とする。Ca含有量は0.02%以下とするのがより好ましく、0.01%以下とするのがさらに好ましい。一方、上記の効果を確実に得るためには、Ca含有量は0.0005%以上とするのが好ましく、0.001%以上とするのがより好ましい。
REMは、Sを硫化物として固定して熱間加工性を改善する作用を有する。また、REMには、鋼表面のCr2O3保護皮膜の密着性を改善し、特に、繰り返し酸化時の耐酸化性を改善する作用、さらには、粒界強化に寄与して、クリープ破断強度およびクリープ破断延性を向上させる作用もある。しかしながら、REM含有量が0.5%を超えると、酸化物などの介在物が多くなり加工性および溶接性が損なわれる。したがって、含有させる場合のREMの量は0.5%以下とする。REM含有量は0.3%以下とするのがより好ましく、0.15%以下とするのがさらに好ましい。一方、上記の効果を確実に得るためには、REM含有量は0.0005%以上とするのが好ましく、0.001%以上とするのがより好ましく、0.002%以上とするのがさらに好ましい。
Taは、マトリックスであるオーステナイトに固溶するとともに、炭窒化物を形成して、高温強度およびクリープ破断強度を向上させる作用を有する。このため、これらの効果を得るためにTaを含有させてもよい。しかしながら、Ta含有量が8.0%を超えると、加工性および機械的性質が損なわれる。したがって、含有させる場合のTaの量は8.0%以下とする。Ta含有量は7.0%以下とするのがより好ましく、6.0%以下とするのがさらに好ましい。一方、上記の効果を確実に得るためには、Ta含有量は0.01%以上とするのが好ましく、0.1%以上とするのがより好ましく、0.5%以上とするのがさらに好ましい。
Reは、マトリックスであるオーステナイトに固溶して、高温強度およびクリープ破断強度を向上させる作用を有するので、これらの効果を得るためにReを含有させてもよい。しかしながら、Re含有量が8.0%を超えると、加工性および機械的性質が損なわれる。したがって、含有させる場合のReの量は8.0%以下とする。Re含有量は7.0%以下とするのがより好ましく、6.0%以下とするのがさらに好ましい。一方、上記の効果を確実に得るためには、Re含有量は0.01%以上とするのが好ましく、0.1%以上とするのがより好ましく、0.5%以上とするのがさらに好ましい。
Irは、マトリックスであるオーステナイトに固溶するとともに、含有量に応じて一部は微細な金属間化合物を形成して、高温強度およびクリープ破断強度を向上させる作用を有する。このため、これらの効果を得るためにIrを含有させてもよい。しかしながら、Ir含有量が5.0%を超えると、加工性および機械的性質が損なわれる。したがって、含有させる場合のIrの量は5.0%以下とする。Ir含有量は4.0%以下とするのがより好ましく、3.0%以下とするのがさらに好ましい。一方、上記の効果を確実に得るためには、Ir含有量は0.01%以上とするのが好ましく、0.05%以上とするのがより好ましく、0.1%以上とするのがさらに好ましい。
Pdは、マトリックスであるオーステナイトに固溶するとともに、含有量に応じて一部は微細な金属間化合物を形成して、高温強度およびクリープ破断強度を向上させる作用を有する。このため、これらの効果を得るためにPdを含有させてもよい。しかしながら、Pd含有量が5.0%を超えると、加工性および機械的性質が損なわれる。したがって、含有させる場合のPdの量は5.0%以下とする。Pd含有量は4.0%以下とするのがより好ましく、3.0%以下とするのがさらに好ましい。一方、上記の効果を確実に得るためには、Pd含有量は0.01%以上とするのが好ましく、0.05%以上とするのがより好ましく、0.1%以上とするのがさらに好ましい。
Ptも、マトリックスであるオーステナイトに固溶するとともに、含有量に応じて一部は微細な金属間化合物を形成して、高温強度およびクリープ破断強度を向上させる作用を有するので、これらの効果を得るためにPtを含有させてもよい。しかしながら、Pt含有量が5.0%を超えると、加工性および機械的性質が損なわれる。したがって、含有させる場合のPtの量は5.0%以下とする。Pt含有量は4.0%以下とするのがより好ましく、3.0%以下とするのがさらに好ましい。一方、上記の効果を確実に得るためには、Pt含有量は0.01%以上とするのが好ましく、0.05%以上とするのがより好ましく、0.1%以上とするのがさらに好ましい。
Agは、マトリックスであるオーステナイトに固溶するとともに、含有量に応じて一部は微細な金属間化合物を形成して、高温強度およびクリープ破断強度を向上させる作用を有する。このため、これらの効果を得るためにAgを含有させてもよい。しかしながら、Agの含有量が5.0%を超えると、加工性および機械的性質が損なわれる。したがって、含有させる場合のAgの量は5.0%以下とする。Ag含有量は4.0%以下とするのがより好ましく、3.0%以下とするのがさらに好ましい。一方、上記の効果を確実に得るためには、Ag含有量は0.01%以上とするのが好ましく、0.05%以上とするのがより好ましく、0.1%以上とするのがさらに好ましい。
上述のように、本発明のオーステナイト系耐熱合金を素材とすることによって、750℃での高いクリープ破断強度を安定的に発現する耐熱耐圧部材を得ることができる。本発明の耐熱耐圧部材は、例えば以下に示す加熱工程、最終加工工程および最終熱処理工程を順に施すことによって製造することが可能であるが、これに制限されるものではない。
加熱工程において、熱間または冷間による後述の最終加工工程の前に、少なくとも1回、1050〜1250℃に加熱することによって、加工中に析出した合金中の析出物を十分に固溶させる。
加熱工程の後、熱間または冷間による断面減少率10%以上の最終加工を施す。最終加工は、後述の最終熱処理工程において再結晶を促進させるために歪みを付与する目的で行う。この加工の断面減少率が10%未満の場合は、再結晶に必要な歪みを付与することが難しくなる。断面減少率は20%以上とすることがより好ましい。なお、断面減少率は大きいほどよいので上限は規定しないが、通常の加工での最大値は90%程度である。また、この加工工程は製品の寸法を決定する工程でもある。
最終加工工程後に、1100〜1250℃の範囲内の温度に加熱保持した後冷却する最終熱処理を行う。この熱処理の加熱温度が1100℃よりも低いと、十分な再結晶が起こらない。また、結晶粒が扁平な加工組織となり、クリープ強度が低くなる。一方、加熱温度が1250℃を超えると、高温粒界割れおよび延性低下を引き起こすことがあるので、最終製品熱処理の温度は、1100〜1250℃とする。最終熱処理工程における加熱温度は、加熱工程における加熱温度よりも10℃以上高くすることが好ましい。
Claims (3)
- 化学組成が、質量%で、
C:0.02%を超えて0.15%以下、
Si:0.31〜2.0%、
Mn:3.0%以下、
P:0.03%以下、
S:0.01%以下、
Cr:28.0〜38.0%、
Ni:40.0%を超えて60.0%以下、
W:3.0%を超えて15.0%以下、
Ti:0.05〜1.0%、
Zr:0.005〜0.2%、
Al:0.01〜0.3%、
N:0.02%以下、
Mo:0.5%未満、
B:0.005%以下、
Co:0〜20.0%、
残部:Feおよび不純物であり、
下記の(i)式および(ii)式を満足する、オーステナイト系耐熱合金。
(1.9Ti+15Zr)/6.5N≧25.0 ・・・(i)
0.015C≦B ・・・(ii)
但し、式中の各元素記号は、合金中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表す。 - 前記化学組成が、質量%で、さらに下記の<1>〜<3>のグループから選択される1以上のグループに属する1種以上の元素を含有する、請求項1に記載のオーステナイト系耐熱合金。
<1>Nb:1.0%以下、V:1.5%以下およびHf:1.0%以下
<2>Mg:0.05%以下、Ca:0.05%以下およびREM:0.5%以下
<3>Ta:8.0%以下、Re:8.0%以下、Ir:5.0%以下、Pd:5.0%以下、Pt:5.0%以下およびAg:5.0%以下 - 請求項1または請求項2に記載のオーステナイト系耐熱合金からなる、耐熱耐圧部材。
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