JP2013064798A - フィルム、赤外反射板、積層体および合わせガラス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1の硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定してなる第1の液晶層と、前記第1の液晶層上に積層され、硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定してなる第2の液晶層を少なくとも1層以上有し、前記第1の硬化性液晶組成物が重合性液晶分子と少なくとも1つのペルフルオロアルキル鎖を有する第1のヘイズ低下剤とを含み、前記第1のヘイズ低下剤の浮き出し率が50%以下であるフィルム。
【選択図】なし
Description
日光による熱負荷を減少させるのには、太陽光スペクトルの可視光領域または赤外領域のいずれかの太陽光線の透過を防ぐことが必要である。断熱・遮熱性の高いエコガラスとしてよく用いられるのがLow−Eペアガラスと呼ばれる熱放射を遮断する特殊な金属膜をコーティングした複層ガラスである。特殊な金属膜は、例えば真空成膜法により複数層を積層することで作製できる。これらの特殊な金属膜のコーティングは反射性能に非常に優れるものの、真空プロセスは生産性が低く、生産コストが高い。また、金属膜を使うと、電磁波を同時に遮蔽してしまうために携帯電話等の使用では、電波障害を引き起こし、自動車に使用した場合にはETCやGPS等が使えないなどの問題がある。
しかしながら、一般的なペルフルオロアルキル鎖を有するヘイズ低減剤を添加して、塗布により複数のコレステリック液晶層を積層したコレステリック液晶フィルムを製造したところ、2層目以降の硬化性液晶組成物の塗布液がはじかれてしまう問題が生じることを見出した。特にこのような問題は、例えば20〜40m/分程度の高速塗布を行ったときに顕著であり、塗布ムラが生じると所望の性能を得られない問題があった。
[1] 第1の硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定してなる第1の液晶層と、
前記第1の液晶層上に積層され、硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定してなる第2の液晶層を少なくとも1層以上有し、
前記第1の硬化性液晶組成物が重合性液晶分子と少なくとも1つのペルフルオロアルキル鎖を有する第1のヘイズ低下剤とを含み、
前記第1のヘイズ低下剤の下記式(1)で表される浮き出し率が50%以下であることを特徴とするフィルム。
式(1)
浮き出し率(%)=100%×B/A
(式(1)中、重合性液晶分子とヘイズ低下剤を含む下層用硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定して下層を形成し、前記下層の上にヘイズ低下剤を除いた以外は下層用硬化性液晶組成物と同じ組成の上層用硬化性液晶組成物を塗布し、コレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定して上層を積層したときにおいて、Aは下層すなわち1層品の表面に存在する炭素原子およびフッ素原子の合計量に対するフッ素原子含有率を表し、Bは上層すなわち2層品の表面に存在する炭素原子およびフッ素原子の合計量に対するフッ素原子含有率を表す。)
[2] [1]に記載のフィルムは、前記第1のヘイズ低下剤が非重合性であることが好ましい。
[3] [1]または[2]に記載のフィルムは、前記第1のヘイズ低下剤が少なくとも2本以上のペルフルオロアルキル鎖を有することが好ましい。
[4] [1]〜[3]のいずれか一項に記載のフィルムは、前記第1のヘイズ低下剤がペルフルオロアルキル鎖を2本有することが好ましい。
[5] [1]〜[4]のいずれか一項に記載のフィルムは、前記第1のヘイズ低下剤が、前記第1の硬化性液晶組成物中の前記重合性分子に対して0.1質量%以上含まれることが好ましい。
[6] [1]〜[5]のいずれか一項に記載のフィルムは、前記硬化性液晶組成物が、第2のヘイズ低下剤を含むことが好ましい。
[7] [6]に記載のフィルムは、前記第2のヘイズ低下剤が非重合性であることが好ましい。
[8] [6]または[7]に記載のフィルムは、前記第2のヘイズ低下剤の前記式(1)で表される浮き出し率が50%よりも多いことが好ましい。
[9] [6]〜[8]のいずれか一項に記載のフィルムは、前記第2のヘイズ低下剤がペルフルオロアルキル鎖を有することが好ましい。
[10] [6]〜[9]のいずれか一項に記載のフィルムは、前記第2のヘイズ低下剤がペルフルオロアルキル鎖を6本有することが好ましい。
[11] [6]〜[10]のいずれか一項に記載のフィルムは、前記第2のヘイズ低下剤が、前記第1の硬化性液晶組成物中の前記重合性分子に対して0.005〜0.10質量%含まれることが好ましい。
[12] [1]〜[11]のいずれか一項に記載のフィルムは、前記第2の液晶膜に用いられる前記硬化性液晶組成物が、ヘイズ低下剤を含むことが好ましい。
[13] [1]〜[12]のいずれか一項に記載のフィルムは、赤外線波長域に選択反射特性を示すことが好ましい。
[14] 第1の硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化して固定する第1の液晶層を製膜する工程と、前記第1の液晶層上に硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化して固定してなる第2の液晶層を少なくとも1層以上製膜する工程とを有し、
前記第1の硬化性液晶組成物が重合性液晶分子と少なくとも1つのペルフルオロアルキル鎖を有する第1のヘイズ低下剤とを含み、
前記第1のヘイズ低下剤の下記式(1)で表される浮き出し率が50%以下であり、
第2の液晶層を少なくとも1層以上製膜する工程が、前記硬化性液晶組成物を20〜40m/分で塗布する工程を含むことを特徴とするフィルムの製造方法。
式(1)
浮き出し率(%)=100%×B/A
(式(1)中、重合性液晶分子とヘイズ低下剤を含む下層用硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定して下層を形成し、前記下層の上にヘイズ低下剤を除いた以外は下層用硬化性液晶組成物と同じ組成の上層用硬化性液晶組成物を塗布し、コレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定して上層を積層したときにおいて、Aは下層すなわち1層品の表面に存在する炭素原子およびフッ素原子の合計量に対するフッ素原子含有率を表し、Bは上層すなわち2層品の表面に存在する炭素原子およびフッ素原子の合計量に対するフッ素原子含有率を表す。)
[15] [14]に記載のフィルムの製造方法は、前記第1の硬化性液晶組成物に含まれる前記第1のヘイズ低下剤の量が、前記硬化性液晶組成物に含まれる前記重合性液晶分子に対して0.10質量%であることが好ましい。
[16] [15]に記載のフィルムの製造方法で製造されたことを特徴とするフィルム。
[17] [1]〜[13]および[16]のいずれか一項に記載のフィルムを含むことを特徴とする赤外反射板。
[18] [17]に記載の赤外反射板は、λ/2板を含むことが好ましい。
[19] [17]または[18]に記載の赤外反射板は、最外層に易接着層を有することが好ましい。
[20] [17]〜[19]のいずれか一項に記載の赤外反射板を用いて形成されてなり、少なくとも前記フィルムの前記第1の液晶膜および前記第2の液晶膜を有することを特徴とする積層体。
[21] [20]に記載の積層体と、少なくとも2枚のガラス板を有し、前記2枚のガラス中に前記積層体が挿入されたことを特徴とする合わせガラス。
[22] [21]に記載の合わせガラスを含む自動車用フロントガラス。
[23] [21]に記載の合わせガラスを含む建材用ガラス。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明のフィルムは、第1の硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定してなる第1の液晶層と、前記第1の液晶層上に積層され、硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定してなる第2の液晶層を少なくとも1層以上有し、前記第1の硬化性液晶組成物が重合性液晶分子と少なくとも1つのペルフルオロアルキル鎖を有する第1のヘイズ低下剤とを含み、前記第1のヘイズ低下剤の下記式(1)で表される浮き出し率が50%以下であることを特徴とする。
式(1)
浮き出し率(%)=100%×B/A
(式(1)中、重合性液晶分子とヘイズ低下剤を含む下層用硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定して下層を形成し、前記下層の上にヘイズ低下剤を除いた以外は下層用硬化性液晶組成物と同じ組成の上層用硬化性液晶組成物を塗布し、コレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定して上層を積層したときにおいて、Aは下層すなわち1層品の表面に存在する炭素原子およびフッ素原子の合計量に対するフッ素原子含有率を表し、Bは上層すなわち2層品の表面に存在する炭素原子およびフッ素原子の合計量に対するフッ素原子含有率を表す。)
このような構成により、本発明のフィルムは、ヘイズが低く、高速積層塗布適性に優れる。以下、本発明のフィルムの各構成について説明する。
本発明のフィルムは、第1の硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定してなる第1の液晶層を含む。
前記第1の硬化性液晶組成物は、重合性液晶分子と少なくとも1つのペルフルオロアルキル鎖を有する第1のヘイズ低下剤とを含み、前記第1のヘイズ低下剤の前記式(1)で表される浮き出し率が50%以下である。
本発明において、ヘイズ低下剤とは、得られるフィルムのヘイズを低下させることができる材料のことを言う。
前記ヘイズ低下剤は、配向制御剤であってもよい。フッ素系配向制御剤は、層の空気界面において、液晶化合物の分子のチルト角を低減若しくは実質的に水平配向させることができる。尚、本明細書で「水平配向」とは、液晶分子長軸と膜面が平行であることをいうが、厳密に平行であることを要求するものではなく、本明細書では、水平面とのなす傾斜角が20度未満の配向を意味するものとする。液晶化合物が空気界面付近で水平配向する場合、配向欠陥が生じ難いため、可視光領域での透明性が高くなる。一方、液晶化合物の分子が大きなチルト角で配向すると、例えば、コレステリック液晶相とする場合は、その螺旋軸が膜面法線からずれるため、反射率が低下したり、フィンガープリントパターンが発生し、ヘイズの増大や回折性を示したりするため好ましくない。
前記フッ素系配向制御剤として利用可能な前記含フッ素(メタ)アクリレート系ポリマーの例は、特開2007−272185号公報の[0018]〜[0043]等に記載がある。
前記フッ素系配向制御剤として利用可能な円盤状コアとその末端に長鎖フッ化アルキル基を有する液晶配向促進剤の例は、特開2002−129162号公報等に記載がある。
以下において、本発明に用いられるヘイズ低下剤について、説明する。
前記第1の硬化性液晶組成物は、少なくとも1つのペルフルオロアルキル鎖を有する第1のヘイズ低下剤を含み、前記第1のヘイズ低下剤の下記式(1)で表される浮き出し率が50%以下である。
式(1)
浮き出し率(%)=100%×B/A
(式(1)中、重合性液晶分子とヘイズ低下剤を含む下層用硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定して下層を形成し、前記下層の上にヘイズ低下剤を除いた以外は下層用硬化性液晶組成物と同じ組成の上層用硬化性液晶組成物を塗布し、コレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定して上層を積層したときにおいて、Aは下層すなわち1層品の表面に存在する炭素原子およびフッ素原子の合計量に対するフッ素原子含有率を表し、Bは上層すなわち2層品の表面に存在する炭素原子およびフッ素原子の合計量に対するフッ素原子含有率を表す。)
本発明ではX線光電子分光法で、各層の表面に存在するフッ素原子/炭素原子(F/C)を測定し、それらの値に基づいて、算出した。
本発明のフィルムは、前記第1のヘイズ低下剤が少なくとも2本以上のペルフルオロアルキル鎖を有することが好ましく、前記第1のヘイズ低下剤がペルフルオロアルキル鎖を2本有することがより好ましい。
下記式(I)の化合物は二価の基を中心に有し、末端にフッ化アルキル基を有することを特徴とす
る。末端にフッ化アルキル基を有する化合物は配向促進剤として効果的であるが、従来知られている配向促進剤は、使用濃度範囲が狭いといった点や溶解性が低いといった点があり、用途が制限されていた。下記式(I)の化合物は同等以上の配向性能をより広い濃度範囲かつ良好な溶解性で示すことから、それらを含む組成物は製造において使用しやすいというメリットがある。また重合で硬化可能であることから、光学部材等の種々の用途に有用である。
であり、さらに好ましくは
(CpF2p+1)−(CqH2q)−
上式において、pは1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましい。qは0〜20であることが好ましく、0〜10であることがより好ましく、0〜5であることがさらに好ましい。p+qは3〜30である。
(CpF2p+1)−(CqH2q)−
(CpF2p+1)−(CqH2q)−O−(CrH2r)−
(CpF2p+1)−(CqH2q)−COO−(CrH2r)−
(CpF2p+1)−(CqH2q)−OCO−(CrH2r)−
上式において、pは1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましい。qは0〜20であることが好ましく、0〜10であることがより好ましく、0〜5であることがさらに好ましい。p+qは3〜30である。rは1〜10であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
また、一般式(I)のlが1以上であるとき、末端のHb−(L1)k−Sp−L2−および−L5−Sp−(L6)n−Hbは、以下のいずれかの一般式で表される基であることが好ましい。
(CpF2p+1)−(CqH2q)−O
(CpF2p+1)−(CqH2q)−COO−
(CpF2p+1)−(CqH2q)−O−(CrH2r)−O−
(CpF2p+1)−(CqH2q)−COO−(CrH2r)−COO−
(CpF2p+1)−(CqH2q)−OCO−(CrH2r)−COO−
上式におけるp、qおよびrの定義は直上の定義と同じである。
以下に、一般式(I)で表される化合物の具体例を示す。ただし、本発明で採用することができる一般式(I)で表される化合物は、下記の具体例によって限定的に解釈されるべきものではない。
本発明のフィルムは、前記硬化性液晶組成物が、第2のヘイズ低下剤を含むことが好ましい。
前記第2のヘイズ低下剤は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限はない。
Xがとりうるアルキル基の炭素数は1〜8であり、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。アルキル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分枝状であることが好ましい。好ましいアルキル基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基などを例示することができ、その中でもメチル基が好ましい。Xがとりうるアルコキシ基のアルキル部分については、Xがとりうるアルキル基の説明と好ましい範囲を参照することができる。Xがとりうるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができ、塩素原子、臭素原子が好ましい。Xがとりうるエステル基としては、R’COO−で表される基を例示することができる。R’としては炭素数1〜8のアルキル基を挙げることができる。R’がとりうるアルキル基の説明と好ましい範囲については、上記のXがとりうるアルキル基の説明と好ましい範囲を参照することができる。エステルの具体例として、CH3COO−、C2H5COO−を挙げることができる。Ya、Yb、Yc、Ydがとりうる炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状であっても分枝状であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基などを例示することができる。
前記二価の芳香族複素環基は、5員、6員または7員の複素環を有することが好ましい。5員環または6員環がさらに好ましく、6員環が最も好ましい。複素環を構成する複素原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましい。複素環は、芳香族性複素環であることが好ましい。芳香族性複素環は、一般に不飽和複素環である。最多二重結合を有する不飽和複素環がさらに好ましい。複素環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピロリン環、ピロリジン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、トリアゾール環、フラザン環、テトラゾール環、ピラン環、チイン環、ピリジン環、ピペリジン環、オキサジン環、モルホリン環、チアジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環およびトリアジン環が含まれる。二価の複素環基は置換基を有していてもよい。そのような置換基の例の説明と好ましい範囲については、上記のA1とA2の3価または4価の芳香族炭化水素が取り得る置換基に関する説明と記載を参照することができる。
o、pはそれぞれ独立に0以上の整数であり、oおよびpが2以上であるとき複数のXは互いに同一であっても異なっていてもよい。oは1または2であることが好ましい。pは1〜4のいずれかの整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましい。
(CaF2a+1)−(CbH2b)−
(CaF2a+1)−(CbH2b)−O−(CrH2r)−
(CaF2a+1)−(CbH2b)−COO−(CrH2r)−
(CaF2a+1)−(CbH2b)−OCO−(CrH2r)−
上式において、aは2〜30であることが好ましく、3〜20であることがより好ましく、3〜10であることがさらに好ましい。bは0〜20であることが好ましく、0〜10であることがより好ましく、0〜5であることがさらに好ましい。a+bは3〜30である。rは1〜10であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
また、一般式(II)の末端のHb−Sp1−L1−Sp2−L2−および−L5−Sp3−L6−Sp4−Hbは、以下のいずれかの一般式で表される基であることが好ましい。
(CaF2a+1)−(CbH2b)−O
(CaF2a+1)−(CbH2b)−COO−
(CaF2a+1)−(CbH2b)−O−(CrH2r)−O−
(CaF2a+1)−(CbH2b)−COO−(CrH2r)−COO−
(CaF2a+1)−(CbH2b)−OCO−(CrH2r)−COO−
上式におけるa、bおよびrの定義は直上の定義と同じである。
以下に、一般式(II)で表される化合物の具体例を示す。ただし、本発明で採用することができる一般式(II)で表される化合物は、下記の具体例によって限定的に解釈されるべきものではない。
前記第1の硬化性液晶組成物は、重合性液晶分子を含む。
前記重合性液晶性分子としては、ディスコティック液晶性分子または棒状液晶性分子を用いることが好ましい。
D(−L−Q)d
上式中、Dは円盤状コアであり;Lは二価の連結基であり;Qは重合性基であり;dは4〜12の整数である。上記式の円盤状コア(D)の具体例を以下に示す。
以下の各具体例において、LQ(またはQL)は、二価の連結基(L)と重合性基(Q)との組み合わせを意味する。以下の具体例の中では、トリフェニレン(D4)が特に好ましい。
一般式(Ia)
Z1−Y1−A1−Y3−M1−Y4−A2−Y2−Z2
(一般式(Ia)中、Z1、Z2はそれぞれ独立に重合性基を表し、A1、A2はそれぞれ独立に原子連結鎖長1〜30のスペーサー(但し、該スペーサーはアルキレン基、または、複数のアルキレン基が−O−、−CO−を介して結合した連結基を表す)を表し、M1は(−T1−Y8)n−T2−を表し、nは自然数を表し、nが2以上の場合は複数の(−T1−Y8)は互いに同一であっても異なっていてもよく、T1およびT2はそれぞれ独立に飽和もしくは不飽和の炭化水素環、または、飽和もしくは不飽和の複素環(但し、該炭化水素環および該複素環は、アルキル基またはアルコキシ基を有していてもよい)を表し、Y1、Y2、Y3、Y4、Y8はそれぞれ独立に単結合、−O−、−CO−、−O−CO−、−CO−O−または−O−CO−O−を表す。)
前記一般式(Ia)中、Z1、Z2はそれぞれ独立に重合性基を表す。
重合可能な基Z1〜Z2としては、架橋成分Y1〜Y8と関連して、例えば
A1、A2はそれぞれ独立に原子連結鎖長1〜12のスペーサーであることが好ましい。A1、A2はそれぞれ独立に炭素原子1〜12のスペーサー(但し、該スペーサーは無置換のアルキレン基)であることがより好ましく、炭素原子2〜8のスペーサー(但し、該スペーサーは無置換のアルキレン基)であることが特に好ましい。
スペーサーA1およびA2は、通常、炭素原子1〜30、有利には1〜12個を有し、主として線状脂肪族基から成る。さらに炭素鎖は、1個またはそれ以上のメチル、フッ素、塩素または臭素で置換されるかおよび/またはエーテル官能基内の酸素、チオエーテル官能基内の硫黄によりまたは非隣接のイミノ基またはC1〜C4−アルキルイミノ基で中断されることができる。C1〜C4−アルキル基として、後者に対してメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチルおよびt−ブチルが該当する。
nは自然数を表し、nが2以上の場合は複数の(−T1−Y8)は互いに同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(Ia)におけるM1の表すnは1〜5であることが好ましく、2〜5であることがより好ましく、2〜4であることが特に好ましく、3または4であることがより特に好ましく、3であることがよりさらに特に好ましい。
その中でも、前記一般式(Ia)で表される化合物が、前記T1およびT2の表す炭化水素環および該複素環のうち1つの炭化水素環または該複素環がアルキル基またはアルコキシ基を有す化合物であることが好ましく、1つの炭化水素環がアルキル基(好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、より好ましくはCH3)またはアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基、より好ましくはOCH3)を有す化合物であることがより好ましく、1つの炭化水素環または該複素環がアルキル基を有す化合物であることが特に好ましい。
また、前記一般式(Ia)で表される化合物がM1に含まれるnが3である場合、炭化水素環および該複素環のうち中央の1つの炭化水素環または該複素環がアルキル基またはアルコキシ基を有す化合物であることが好ましく、より好ましい範囲は上記と同様である。
前記一般式(Ia)中、Y1、Y2、Y3、Y4およびY8はそれぞれ独立に単結合、−O−、−CO−、−O−CO−、−CO−O−または−O−CO−O−を表す。
有利には、式(Ia)の化合物中で、Y1〜Y4ならびに場合によりY8は、たがいに独立して酸素、−O−CO−、−CO−O−または−O−CO−O−を表す。
前記第1の硬化性液晶組成物は、重合開始剤を含有しているのが好ましい。例えば、紫外線照射により硬化反応を進行させて硬化膜を形成する態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であるのが好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)、アシルフォスフィンオキシド化合物(特公昭63−40799号公報、特公平5−29234号公報、特開平10−95788号公報、特開平10−29997号公報記載)等が挙げられる。
光重合開始剤の使用量は、組成物(塗布液の場合は固形分)の0.1〜20質量%であることが好ましく、1〜8質量%であることがさらに好ましい。
前記第1の硬化性液晶組成物は、前記ヘイズ低下剤および重合性液晶分子および重合開始剤に加えて、必要に応じて溶媒、不斉炭素原子を含む光学活性化合物(キラル剤)や他の添加剤(例えば、セルロースエステル)を含むことができる。
前記第1の硬化性液晶組成物の溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
前記第1の硬化性液晶組成物は、コレステリック液晶相を示すものであることが好ましく、そのためには、光学活性化合物を含有しているのが好ましい。但し、上記棒状液晶化合物が不正炭素原子を有する分子である場合には、光学活性化合物を添加しなくても、コレステリック液晶相を安定的に形成可能である場合もある。前記光学活性化合物は、公知の種々のキラル剤(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第一42委員会編、1989に記載)から選択することができる。光学活性化合物は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物もカイラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファンおよびこれらの誘導体が含まれる。光学活性化合物(キラル剤)は、重合性基を有していてもよい。光学活性化合物が重合性基を有するとともに、併用する棒状液晶化合物も重合性基を有する場合は、重合性光学活性化合物と重合性棒状液晶合物との重合反応により、棒状液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、光学活性化合物から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性光学活性化合物が有する重合性基は、重合性棒状液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であることが好ましい。従って、光学活性化合物の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基又はアジリジニル基であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが特に好ましい。
また、光学活性化合物は、液晶化合物であってもよい。
本発明のフィルムは、前記第1の液晶層上に積層され、硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定してなる第2の液晶層を少なくとも1層以上有する。
前記第2の液晶層に用いることができる硬化性液晶組成物は、前記第1の液晶層に用いられる前記第1の硬化性液晶組成物と同様であり、両者の好ましい範囲も同様である。
すなわち、前記第2の液晶膜に用いられる前記硬化性液晶組成物中の前記重合性液晶性分子および前記ヘイズ低下剤の種類および組成比が、前記第1の液晶膜に用いられる前記第1の硬化性液晶組成物中の前記重合性液晶性分子および前記ヘイズ低下剤の種類および組成比と同じであることが好ましい。
本発明では、前記コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜が、4層以上の積層体であることが好ましい。すなわち、前記液晶膜は、前記コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜が4層以上積層されていることが好ましい。図4は、本発明のフィルムの積層構成の一例を示したものであって、1は本発明のフィルムを、15bは第1の液晶膜を、15a、16a及び16bは第2の液晶膜(それぞれ赤外線反射層とも言う)をそれぞれ示している。
赤外線反射層15a、15b、16a及び16bは、いずれもコレステリック液晶相を固定してなる液晶膜であることが好ましく、当該コレステリック液晶相の螺旋ピッチに基づいて、特定の波長の光を反射する光選択反射性を示すことが好ましい。本発明の1つの実施形態では、隣接する赤外線反射層15aと15bは、それぞれのコレステリック液晶相の螺旋方向が互いに逆であるとともに、その反射中心波長λ15が同一である。また、同様に、隣接する赤外線反射層16aと16bは、それぞれのコレステリック液晶相の螺旋方向が互いに逆であるとともに、その反射中心波長λ16が同一である。本実施形態では、λ15≠λ16を満足するので、赤外線反射層15aと15bによって所定の波長λ15の左円偏光及右円偏光を選択反射するとともに、赤外線反射層16aと16bによって、波長λ15とは異なる波長λ16の左円偏光及び右円偏光を選択反射しており、全体として、反射特性の広帯域化が図れている。
例えば、赤外線反射層16bを通過した光(波長λ16の右円偏光が反射され、左円偏光のみが透過した光)が、次に通過するのが16bではなく15aや15bのように、選択反射の中心波長がλ16ではない場合、波長λ16の左円偏光成分は螺旋ピッチのサイズが異なるコレステリック液晶層を通過することになる。この場合、波長λ16の左円偏光成分は、他の赤外線反射層中のコレステッリツク液晶相の旋光性の影響を僅かではあるが受けることになり、左円偏光成分の波長がシフトするなどの変化が生じる。当然のことながら、この現象は、「波長λ16の左円偏光成分」に限って起こるわけではなく、ある波長のある円偏光が、異なる螺旋ピッチのコレステリック液晶相を通過する場合に生じる変化である。本発明者が種々検討した結果、経験則的なデータではあるが、所定の螺旋ピッチのコレステリック液晶層によって反射されなかった一方の円偏光成分が、反射されないまま、螺旋ピッチが異なる他のコレステリック液晶層を通過する場合、通過する当該層の数が3以上になると、通過する円偏光成分への悪影響が顕著になり、その後に、当該円偏光を反射可能なコレステリック液晶層に到達しても、当該層による反射率が顕著に低下することがわかった。本発明では、選択反射の中心波長が互いに同一であり、且つ螺旋方向が互いに異なる一組の赤外線反射層は、隣接させて配置しなくても、本発明の効果が得られるが、当該一組の赤外線反射層の間に配置される、他の赤外線反射層(螺旋ピッチが異なるコレステリック液晶相を固定して形成された、選択反射の中心波長が異なる赤外線反射層)は、2以下であるのが好ましい。勿論、当該一組の赤外線反射層が隣接しているのが好ましい。
前記コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜を構成する各赤外線反射層の厚さは、それぞれ、1〜10μmであることが好ましく、2〜7μmであることがより好ましい。前記液晶膜全体の厚さは、10〜50μmであることが好ましく、20〜40μmであることがより好ましい。
本発明のフィルムは、透明可塑性樹脂フィルム等の支持体を含むことが、前記コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜である赤外線光反射層を安定して製膜する観点から好ましい。但し、後述する本発明の積層体や本発明の合わせガラス中には前記支持体が残らない構成であっても、残る構成であってもよい。
その中でも、後述する本発明の積層体や本発明の合わせガラスにおいて、本発明のフィルム中に支持体が残らないことが好ましい。すなわち、後述する本発明の積層体や本発明の合わせガラスは、前記コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜が後述する第一の中間膜と接しており、前記コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜が後述する第二の中間膜とも接していることが好ましい。但し、後述する本発明の積層体や本発明の合わせガラスは、前記コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜と、前記第二の中間膜の間に支持体やその他の熱可塑性樹脂を含んでいてもよく、その場合も十分に本発明の効果を得ることができる。
本発明では、前記支持体はロール トゥ ロールで製造する観点から可塑性であることが好ましい。
また、前記支持体は、透明であっても透明でなくてもよい。その中でも、前記支持体は透明可塑性樹脂フィルムであることが好ましい。但し、支持体を剥離する工程を含む場合は、透明であることは必要ない。前記支持体のヘイズは、好ましくは3%以下であり、より好ましくは1%以下である。所定の光学特性を満足するように、生産工程を管理して製造される、λ/2板等の特殊の位相差板であってもよいし、また、面内レターデーションのバラツキが大きく、具体的には、波長1000nmの面内レターデーションRe(1000)のバラツキで表現すれば、Re(1000)のバラツキが20nm以上、また100nm以上であり、所定の位相差板としては使用不可能なポリマーフィルム等であってもよい。また前記支持体の面内レターデーションについても特に制限はなく、例えば、波長1000nmの面内レターデーションRe(1000)が、800〜13000nmである位相差板等を用いることができる。
光学異方性支持体は、所望の位相差をもたせて、λ/2板として使用することもできる。この際、位相差としては、350nm〜700nmが好ましく、400〜650nmがより好ましい。
また、本発明のフィルムは、上記構成のほかに有機材料及び/又は無機材料を含む非光反射性の層を有していてもよい。本発明に利用可能な前記非光反射性の層の一例には、他の部材(例えば、ガラス板)と密着するのを容易とするための易接着層や粘着材層が含まれる。
また、本発明に利用可能な前記非光反射性の層の他の例には、コレステリック液晶相の赤外線反射層を形成する際に設けられてもよい下塗り層、及び赤外線反射層を形成する際に利用される、液晶化合物の配向方向をより精密に規定する配向層が含まれる場合がある。
上述のとおり本発明のフィルムは、粘着材層を含んでいてもよい。
前記粘着材は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリビニルアルコール系など一般的な粘着材を用いることができる。本発明では、その中でもポリエステル系やアクリル系を用いることが好ましく、アクリル系を用いることがより好ましい。
前記粘着材は商業的に入手してもよく、本発明に好ましく用いられる粘着材の一例としては、サンリッツ(株)社製のPET−Wやパナック工業(株)社製のPD−S1などを挙げることができる。
粘着材層の厚みは、例えば、0.1〜5.0μmとすることができる。
易接着層は、例えば、前記赤外線反射層と前記粘着材層との接着性を改善する機能を有する。易接着層の形成に利用可能な材料としては、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂が挙げられる。ポリビニルブチラール樹脂は、ポリビニルアルコール(PVA)とブチルアルデヒドを酸触媒で反応させて生成するポリビニルアセタールの一種であり、下記構造の繰り返し単位を有する樹脂である。
なお、易接着層の厚みは、0.1〜5.0μmが好ましい。
本発明のフィルムは、赤外線反射層側に下塗り層を有していてもよい。赤外線反射層は、通常、支持体上に設けられることが好ましいが、このとき、支持体によっては、下塗り層を設けた上に赤外線反射層を設けることが好ましい場合があるためである。
下塗り層の形成に利用可能な材料の例には、アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水性ポリエステル等が含まれる。また、下塗り層の表面を中間膜と接着する態様では、下塗り層と中間膜との接着性が良好であるのが好ましく、その観点では、下塗り層は、ポリビニルブチラール樹脂も、前記材料とともに含有しているのが好ましい。また、下塗り層は、上記したように密着力を適度に調節する必要があるので、グルタルアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン等のジアルデヒド類またはホウ酸等の硬膜剤を適宜用いて硬膜させることが好ましい。硬膜剤の添加量は、下塗り層の乾燥質量の0.2〜3.0質量%が好ましい。
下塗り層の厚みは、0.05〜0.5μmが好ましい。
本発明のフィルムは、液晶膜と前記中間膜との間に配向層を有していてもよいが、本発明の積層体の製造方法では、支持体を剥離する場合はその際に一緒に剥離することもできる。
配向層は、コレステリック液晶相の赤外線反射層を製膜する際には、該赤外線反射層と隣接する必要があるので、コレステリック液晶相の赤外線反射層と基板又は下塗り層との間に設けるのが好ましい。但し、下塗り層が配向層の機能を有していてもよい。また、赤外線反射層の間に配向層を有していてもよい。
前記フィルムの厚みは、前記赤外線反射層の積層数により異なるが、5〜100μmであることが好ましく、10〜50μmであることがより好ましく、20〜40μmであることが特に好ましい。
本発明のフィルムの一態様は、コレステリック液晶相の配向(例えば、水平配向、垂直配向、ハイブリッド配向等)を固定したフィルムであって、光学異方性を示すフィルムである。当該フィルムは、反射フィルムや液晶表示装置等の光学補償フィルム等として利用される。
本発明のフィルムの一態様は、コレステリック液晶相を固定したフィルムであって、所定の波長域の光に対して選択反射特性を示すフィルムである。赤外線波長域(波長800〜1300nm)に選択反射特性を示す当該フィルムは、例えば建物または車両の窓ガラスに貼付され、もしくは合わせガラスに組み込まれて、遮熱部材として利用される。
また、本発明のフィルムは、光学素子の構成要素である、偏光素子、選択反射膜、カラーフィルタ、反射防止膜、視野角補償膜、ホログラフィー、配向膜等、種々の用途に利用することができる。
本発明のフィルムの製造方法は、第1の硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化して固定する第1の液晶層を製膜する工程と、前記第1の液晶層上に硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化して固定してなる第2の液晶層を少なくとも1層以上製膜する工程とを有し、前記第1の硬化性液晶組成物が重合性液晶分子と少なくとも1つのペルフルオロアルキル鎖を有する第1のヘイズ低下剤とを含み、前記第1のヘイズ低下剤の下記式(1)で表される浮き出し率が50%以下であり、第2の液晶層を少なくとも1層以上製膜する工程が、前記硬化性液晶組成物を30〜40m/分で塗布する工程を含むことを特徴とする。
式(1)
浮き出し率(%)=100%×B/A
(式(1)中、重合性液晶分子とヘイズ低下剤を含む下層用硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定して下層を形成し、前記下層の上にヘイズ低下剤を除いた以外は下層用硬化性液晶組成物と同じ組成の上層用硬化性液晶組成物を塗布し、コレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定して上層を積層したときにおいて、Aは下層すなわち1層品の表面に存在する炭素原子およびフッ素原子の合計量に対するフッ素原子含有率を表し、Bは上層すなわち2層品の表面に存在する炭素原子およびフッ素原子の合計量に対するフッ素原子含有率を表す。)
一方、前記第1の液晶層は、前記第1の硬化性液晶組成物を塗布等の方法により製膜することにより形成することができる。各硬化性液相組成物を配向膜の上に塗布し、液晶層を形成することにより光学異方性素子を作製することもできる。なお、本発明のフィルムは、光学異方性を示すことが好ましい。
液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。液晶層の厚さは、0.1〜50μmであることが好ましく、1〜30μmであることがさらに好ましく、2〜20μmであることが最も好ましい。液晶層中の前記一般式(I)で表されるヘイズ低下剤の塗布量は、0.1〜500mg/m2であることが好ましく、0.5〜450mg/m2であることがより好ましく、0.75〜400mg/m2であることがさらに好ましく、1.0〜350mg/m2であることが最も好ましい。
(A)透明可塑性樹脂フィルム等の支持体の表面に、配向制御剤と重合性(硬化性の)液晶化合物を含む組成物を塗布して、コレステリック液晶相の状態にすること、
(B)前記硬化性液晶組成物に紫外線を照射して硬化反応を進行させ、コレステリック液晶相を固定して赤外線反射層を形成すること、
を少なくとも含む製造方法である。
(A)及び(B)の工程を支持体の一方の表面上で4回繰り返すことで、図4に示した構成のコレステリック液晶相を固定してなる液晶膜(図4では支持体は不図示)を支持体上に製造することができ、さらに繰り返すことでさらに積層数を増やしたコレステリック液晶相を固定してなる液晶膜(赤外光反射層)を形成することができる。
前記配向層は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成等の手段で設けることができる。さらには、電場の付与、磁場の付与、或いは光照射により配向機能が生じる配向層も知られている。配向層は、ポリマーの膜の表面に、ラビング処理により形成するのが好ましい。配向膜は、後述する支持体と共に剥離することが好ましい。
前記(A)工程では、まず、支持体又は下層の赤外線反射層の表面に、前記硬化性液晶組成物を塗布する。前記硬化性液晶組成物は、溶媒に材料を溶解及び/又は分散した、塗布液として調製されるのが好ましい。前記塗布液の塗布は、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法等の種々の方法によって行うことができる。また、インクジェット装置を用いて、前記硬化性液晶組成物をノズルから吐出して、塗膜を形成することもできる。
次に、(B)の工程では、コレステリック液晶相の状態となった塗膜に、紫外線を照射して、硬化反応を進行させる。紫外線照射には、紫外線ランプ等の光源が利用される。この工程では、紫外線を照射することによって、前記硬化性液晶組成物の硬化反応が進行し、コレステリック液晶相が固定されて、赤外線反射層が形成される。
紫外線の照射エネルギー量については特に制限はないが、一般的には、100mJ/cm2〜800mJ/cm2程度が好ましい。また、前記塗膜に紫外線を照射する時間については特に制限はないが、硬化膜の充分な強度及び生産性の双方の観点から決定されるであろう。
なお、本発明においては、コレステリック液晶相の光学的性質が層中において保持されていれば十分であり、最終的に赤外線反射層中の液晶性混合物がもはや液晶性を示す必要はない。例えば、液晶性混合物が、硬化反応により高分子量化して、もはや液晶性を失っていてもよい。
本発明の赤外反射板は、本発明のフィルムを含むことを特徴とする。
本発明の赤外反射板は、λ/2板を含むことが好ましい。前記λ/2板としては特に制限はなく、必要に応じて適宜変更して好ましいものを用いることができる。
前記透明樹脂としては、0.1mm厚で全光線透過率が80%以上のものであれば特に制限されないが、トリアセチルセルロースの如きアセテート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、鎖状ポリオレフィン系樹脂、脂環式構造を有する重合体樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、等が挙げられる。なかでも、ポリカーボネート系樹脂又は脂環式構造を有する重合体樹脂が好ましい。脂環式構造含有重合体樹脂は、具体的には、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素添加物などが挙げられる。
本発明の積層体は、本発明の赤外反射板を用いて形成されてなり、少なくとも前記赤外反射板の前記コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜を有することを特徴とする。本発明の積層体は、中間膜を少なくとも一方の最外層に含むことが、合わせガラス化の容易化の観点から好ましい。
本発明の積層体は、中間膜を含み、さらに第二の中間膜を含むことが好ましい。通常の合わせガラスでは液晶膜の両側の前記第一および第二の中間膜の膜厚は同じであるが、本発明はそのような態様の合わせガラス用の積層体の製造方法に限定されず、前記第一および第二の中間膜の厚さが異なる態様に積層体を製造することもできる。また、前記第一および第二の中間膜の組成についても、同じであっても異なっていてもよい。
前記第一および第二の中間膜の厚みは、100〜1000μmであることが好ましく、200〜800μmであることがより好ましく、300〜500μmであることが特に好ましい。また、前記第一および第二の中間膜は複数のシートを重ねることによって厚膜化してもよい。
また、前記第一および第二の前記中間膜の脆性の基準としては、引張り試験による破断伸びが100〜800%であることが好ましく、100〜600%であることがより好ましく、200〜500%であることが特に好ましい。
前記第一および第二の中間膜は、樹脂中間膜であることが好ましい。前記樹脂中間膜は、主成分がポリビニルアセタール系の樹脂フィルムであることが好ましい。前記ポリビニルアセタール系の樹脂フィルムとしては特に制限はなく、例えば特開平6−000926号公報や特開2007−008797号公報などに記載のものを好ましく用いることができる。前記ポリビニルアセタール系の樹脂フィルムの中でも、本発明ではポリビニルブチラール樹脂フィルムを用いることが好ましい。前記ポリビニルブチラール樹脂フィルムは、それぞれ、ポリビニルブチラールを主成分とする樹脂フィルムであれば、特に定めるものは無く、広く公知の合わせガラス用中間膜としてのポリビニルブチラール樹脂フィルムを採用できる。その中でも、本発明では、前記中間膜は、ポリビニルブチラールまたはエチレンビニルアセテートが好ましい。なお、主成分である樹脂とは、前記樹脂中間膜の50質量%以上の割合を占める樹脂のことをいう。
前記第一および第二の中間膜は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、添加剤を含んでいてもよい。
前記添加剤としては、例えば、熱線遮蔽用の微粒子および遮音用の微粒子、可塑剤を挙げることができる。前記熱線遮蔽用の微粒子および遮音用の微粒子としては、例えば、無機微粒子、金属微粒子を挙げることができる。このような微粒子を前記第一または第二の中間膜などの弾性体内に分散混在せしめることにより、遮熱の効果を得られる。同時に、このような構成により、音波の伝搬を阻害し、振動減衰効果を得ることが好ましい。また前記微粒子の構造は球状が望ましいが、真球でなくともよい。またその形状を変えることはしてもよい。また、前記微粒子は中間膜(好ましくはPVB)内で分散していることが望ましく、適当なカプセルに入れることや分散剤とともに添加することもよい。この場合の添加量は、特に制限はないが、樹脂成分の0.1〜10質量%であることも好ましい。
前記積層体の製造方法は、前記支持体/液晶膜/中間膜の順に積層後に前記中間膜と前記液晶膜付き支持体の液晶膜を熱接着する工程を含むことが好ましい。本発明の積層体の製造方法は、前記熱接着を後述する支持体の剥離工程の前に行うことにより、支持体を剥離する際に位置ずれの発生を抑止することができる。
前記熱接着の方法としては特に制限はなく、加熱体を押し当てる熱圧着や、レーザー照射による加熱での熱融着などを採用することができる。その中でも本発明の積層体の製造方法は、前記中間膜に対して前記液晶膜を熱接着する工程が、熱圧着であることが好ましい。
前記熱圧着の方法としては特に制限はないが、例えば80〜140℃の加熱体を押し当てる方法が好ましい。前記加熱体としては、平面でも曲面でもよく、ローラーでもよい。前記熱圧着には、複数の加熱ローラーや、加熱可能な平面の挟圧面などを用いることができ、これらの組み合わせて用いてもよい。また、熱圧着は前記支持体/液晶膜/中間膜の積層体の一方の面に対して行っても、片面のみに行なってもよく、その場合は、熱圧着に用いるローラーの一方が加熱していないローラーや挟圧面であってもよい。これらの中でも本発明の積層体の製造方法は、前記熱圧着工程で加熱ローラーを用いることが好ましく、加熱ローラーと非加熱ローラーを組み合わせて用いることがより好ましい。
支持体/液晶膜/中間膜の順に積層した積層体を任意の位置においてスポットでラミネートすることによって、支持体剥離時の位置ずれを抑制することが可能であるが、本発明では剥離のきっかけとなる支持体の端部の特定の位置をラミネートすることにより、支持体剥離をより容易に行うことができる。
これらの中間膜と液晶膜付き支持体の液晶膜は、熱圧着ローラーによって熱圧着されることが好ましい。
また、このときの温度は、通常は、室温である。熱圧着ローラーの温度は、例えば、液晶膜1と第一の中間膜3が隣接する場合、60〜120℃とすることができる。
前記積層体の製造方法は、熱接着後に前記支持体を前記液晶膜から剥離する工程を含むことも好ましい。
前記積層体の製造方法は、前記支持体の剥離を、前記支持体の少なくとも1つの角部から開始することが好ましい。また、前記支持体の剥離を、剥離ローラーを用いて連続的に行う場合は、前記支持体の1辺全体から剥離を開始することがより好ましい。
前記積層体の製造方法は、前記支持体の剥離工程の後に、前記液晶膜の前記支持体が剥離された側の面に第2の中間膜を積層する工程を含むことが好ましい。すなわち、本発明の積層体は、さらに、第二の中間膜を有することが好ましい。
液晶膜1と第二の中間膜3’は隣接していてもよいし、それらの間に他の構成層を含んでいてもよいが、液晶膜1と第二の中間膜3’は隣接していることが好ましい。この場合の他の構成層としては、粘着材層が挙げられる。粘着材層は、通常、第二の中間膜側に設けられている。
これらの積層体は、熱圧着ローラーによって熱圧着されることが好ましい。
また、このときの温度は、通常は、室温である。熱圧着ローラーの温度は、例えば、液晶膜1と第二の中間膜が隣接する場合、60〜120℃とすることができる。
本発明の合わせガラスは、以上により得られた本発明の積層体と、少なくとも2枚のガラス板を有し、前記2枚のガラス中に前記積層体が挿入されたことを特徴とする。前記ガラス板は第一のガラスおよび第二のガラスの2枚であることが好ましい。
本発明の合わせガラスの用途は、特に制限はないが、住宅や自動車等の窓ガラス用であることが好ましい。
このときの好ましい態様について、以下説明する。
本発明の合わせガラスは任意のサイズに好ましく裁断することができ、その場合も本発明の合わせガラスは周辺部も含めて液晶膜のワレが抑制されているため、任意のサイズに裁断しても合わせガラス全面にシワやワレが広がりにくい。
前記ガラス板に挟持された積層体7は、図1に示すように前記コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜の端部が、前記ガラス板の端部および前記中間膜の端部と同じ位置にあってもよい。例えば、前記ガラス板に挟持された積層体7が4辺を有する形状の場合、図2に示すように前記コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜1の端部は4辺全てにおいて、前記ガラス板4および4’の端部および前記第一の中間膜3および第二の中間膜3’の端部と同じ位置の構成である。
一方、図3に示すように、本発明のフィルム1の端部は4辺全てにおいて、前記ガラス板4および4’の端部および前記第一の中間膜3および第二の中間膜3’の端部よりも突出した構成であってもよい。
本発明の合わせガラスでは、前記ガラス板が曲率を有さないガラスであっても、曲面ガラスであることが好ましい。前記ガラス板が曲率を有さないガラスである場合は、特に合わせガラスのサイズが大きいときに合わせガラスの周辺部にシワやワレが発生しやすく、上述の合わせガラスの製造方法を好ましく適用することができる。
一方、前記ガラス板が曲面ガラスである場合、曲率を有さないガラスに比べて前記コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜にシワやワレがより発生し易くなる。上述の合わせガラスの製造方法は、特に前記ガラス板が曲面である場合(湾曲したガラス板)においてもシワやワレの発生を抑制することができる。
また、前記コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜を挟持する2枚のガラス板は厚みが異なっていてもよく、着色されていてもよい。特に、遮熱性を目的として自動車のフロントガラス等に用いる場合は、合わせガラス状態の可視光線透過率がJIS−R3211で定められている70%を下回らない程度にガラス中に金属などの着色成分を混入させてもよく、一般的にはグリーンガラスを用いることで効果的に遮熱性を向上させることができる。グリーンガラスの色濃度については、添加する金属成分の量を調整したり、厚みを調整したりすることで目的に合った濃度に調節することが好ましい。
3次元的に湾曲したガラス板の形状としては、球面、楕円球面、あるいは、自動車の前面ガラスなどのような曲率半径が場所によって異なるガラス板である。
湾曲したガラス板の曲率半径は、特に制限はないが、0.9m〜3mであることが望ましい。曲率半径が0.9mより小さいと、一般に合わせ加工において、前記樹脂フィルムのシワが生じやすいが、上述の製造方法では曲率半径は0.9m未満であっても前記樹脂フィルムのシワの発生を抑制することができる。また、曲率半径が大きくなると、平面に近い形状となり、一般に前記樹脂フィルムのシワが生じにくくなるが、前記樹脂フィルムの周辺部にワレは生じることがある。そのため、上述の製造方法では、湾曲したガラスの曲率半径が3m以上であってもよいが、ワレの発生に加えてシワの発生も抑制する観点からは、湾曲したガラスの曲率半径が3mである場合に特に好ましく用いることができる。
また、上述の製造方法で得られる合わせガラスは、前記ガラス板を少なくとも2枚含むが、各ガラス板の曲率が異なる場合であっても上述の製造方法を用いることができる。
上述の合わせガラスの製造方法は、前記ガラス板に挟持された本発明の積層体を加熱しながら圧着する工程を含むことが好ましい。
前記ガラス板に挟持された本発明の積層体とガラス板との貼りあわせは、例えば、真空バッグなどで減圧下において、温度80〜120℃、時間30〜60分で予備圧着した後、オートクレーブ中、1.0〜1.5MPaの加圧下で120〜150℃の温度で貼り合せ、2枚のガラスに積層体が挟まれた合わせガラスとすることができる。また、粘着材等を用いて貼り合わせてもよい。
このとき、1.0〜1.5MPaの加圧下で120〜150℃の温度での加熱圧着の時間は、20〜90分であることが好ましい。
加熱圧着終了後、放冷の仕方については特に制限はなく、適宜圧力を開放しながら放冷して、合わせガラス体を得てもよい。本発明では、加熱圧着終了後、圧力を保持した状態で降温を行うことが、得られる合わせガラス体のシワや割れをさらに改善する観点から好ましい。ここで、圧力を保持した状態で降温するとは、加熱圧着時(好ましくは130℃)の装置内部圧力から、40℃のときの装置内部圧力が加熱圧着時の75%〜100%となるように降温することを意味する。圧力を保持した状態で降温する方法としては、40℃まで降温したときの圧力が上記範囲内であれば特に制限はないが、圧力装置内部圧力が温度減少に伴って自然と低下していくように装置内部から圧力を漏らさずに降温する態様や、装置内部圧力が温度減少に伴って減少しないように外部からさらに加圧しながら降温する態様が好ましい。圧力を保持した状態で降温する場合、120〜150℃で加熱圧着した後、40℃まで1〜5時間かけて放冷することが好ましい。
本発明では、圧力を保持した状態で降温を行った後、次いで圧力を開放する工程を含むことが好ましい。具体的には、圧力を保持した状態で降温を行った後、オートクレーブ内の温度が40℃以下になった後に圧力を開放して降温することが好ましい。
以上より、本発明の合わせガラスは、本発明の積層体を、少なくとも2枚のガラス板で挟持する工程と、その後1.0〜1.5MPaの加圧下で120〜150℃の温度で加熱圧着する工程と、圧力を保持した状態で降温を行う工程と、圧力を開放する工程を含むことが好ましい。
<第1の液晶膜用の第1の硬化性液晶組成物(R1)の調製>
下記化合物A,化合物B、フッ素系水平配向剤、キラル剤、重合開始剤、溶媒メチルエチルケトンを混合し、下記組成の塗布液を調製した。得られた塗布液を、各実施例および比較例のコレステリック液晶性混合物(R1)とした。
・下記重合性液晶分子A 100質量部
・下記表1に記載のへイズ低下剤 下記表1に記載の量
・下記のキラル剤(A) 5.0質量部
・重合開始剤IRGACURE819(チバジャパン社製) 3質量部
・溶媒(メチルエチルケトン) 溶質濃度が25質量%となる量
(第2の液晶膜用の硬化性液晶組成物の調製)
また、重合性液晶を含む塗布液(R1)のキラル剤(A)をLC−756(BASF社製) 3.0質量部に変更しただけで他は同様にして第2の液晶膜用の硬化性液晶組成物である塗布液(L1)を調製した。
下記に示す組成の下塗り層用塗布液(S1)を調製した。
下塗り層用塗布液(S1)の組成:
アクリルエステル樹脂ジュリマーET−410
(東亞合成(株)製、固形分濃度30%) 50質量部
メタノール 50質量部
下記に示す組成の配向層用塗布液(H1)を調製した。
配向層用塗布液(H1)の組成:
変性ポリビニルアルコールPVA203(クラレ社製) 10質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
PETフィルム(下塗り層無し、富士フイルム(株)製、厚み:50μm、大きさ320mm×400mm)の表面上に、下塗り層用塗布液(S1)を、ワイヤーバーを用いて、乾燥後の膜厚が0.25μmになるように塗布した。その後、150℃で10分間加熱し、乾燥、固化し、下塗り層を形成した。
次いで、形成した下塗り層の上に、配向層用塗布液(H1)を、ワイヤーバーを用いて、乾燥後の膜厚が1.0μmになるように塗布速度25m/分で塗布した。その後、100℃で2分間加熱し、乾燥、固化し、配向層を形成した。配向層に対し、ラビング処理(レーヨン布、圧力:0.1kgf、回転数:1000rpm、搬送速度:10m/min、回数:1往復)を施した。
(1)各塗布液を、ワイヤーバーを用いて、乾燥後の膜の厚みが6μmになるように、前記PETフィルム上に、室温にて塗布速度25m/分で塗布した。
(2)室温にて30秒間乾燥させて溶剤を除去した後、125℃の雰囲気で2分間加熱し、その後95℃でコレステリック液晶相とした。次いで、フージョンUVシステムズ(株)製無電極ランプ「Dバルブ」(90mW/cm)にて、出力60%で6〜12秒間UV照射し、コレステリック液晶相を固定して、コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜(赤外線反射層)を作製した。
(3)室温まで冷却した後、上記工程(1)及び(2)を繰り返し、4層積層されたコレステリック液晶相の液晶膜がPET上に形成された、各実施例および比較例のフィルムを作製した。
なお、塗布液は、(R1)、(R2)、(L1)、(L2)の順番に塗布を行なった。
各実施例および比較例で用いたヘイズ低下剤の浮き出し率、各実施例および比較例で製造した第1の液晶膜(R1)のヘイズおよび水の接触角、並びに各実施例および比較例で第2の液晶膜(R2)を塗布したときの高速積層塗布適性を以下の方法で評価した。得られた評価結果を下記表1に記載した。
各実施例および比較例のフィルムの製造において、前記重合性液晶分子A100質量部に対して、へイズ低下剤をそれぞれ0.03質量部添加した以外は第1の硬化性液晶組成物と同様にして、下層用塗布液を調製した。
また、ヘイズ低下剤を除いた以外は第1の硬化性液晶組成物と同じ組成の上層用硬化性液晶組成物を調製した。
得られた下層用塗布液を、前記第1の硬化性液晶組成物の代わりに用いた以外は同様にして、下層の液晶層を形成した。下層の液晶層の上に、前記上層用硬化性液晶組成物を塗布し、下層と同様にコレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定して上層を積層した。
前記下層の表面に存在するフッ素原子含有率と上層の表面に存在するフッ素原子含有率をX線光電子分光を用いて、以下の条件で測定した。
測定した結果から、第1の液晶層の表面に存在する炭素原子およびフッ素原子の合計量に対するフッ素原子含有率Aと、上層の表面に存在する炭素原子およびフッ素原子の合計量に対するフッ素原子含有率Bを用いて、浮き出し率を下記式(1)にしたがって求めた。
式(1)
浮き出し率(%)=100%×B/A
各実施例および比較例のフィルムの製造において、塗布液(R1)のみを塗布した試料に2μLの水を滴下したときの接触角を、協和界面科学社製接触角計 DM700によって測定した。測定した結果を以下の基準にしたがって評価した。
◎ 100°未満
○ 100°以上、115°未満
× 115°以上
各実施例および比較例のフィルムの製造において、塗布液(R1)のみを塗布した試料を作製した。
フィルムのヘイズは、日本電飾社製ヘイズメータNDH2000を用いて測定した。測定した結果を以下の基準にしたがって評価した。
○ 0.4%未満
× 0.4%以上
各実施例および比較例のフィルムの製造において、第2の液晶膜(R2)を塗布したときの高速積層塗布適性を、以下の基準にしたがって評価した。
○ 25m/min以上の速度で上層の液を塗りつけることができることを目視で確認。
× 25m/minの速度で塗りつけることができないことを目視で確認。
一方、比較例1〜9より、浮き出し率が本発明の範囲外であるヘイズ低下剤を用いた場合、得られたフィルムは第1の液晶膜の水の接触角が高く、高速積層塗布適性がないことがわかった。
<合わせガラスの製造>
(表面処理)
得られた各実施例および比較例のフィルムの液晶膜の表面を、下記の手順にて洗浄した。
2−ブタノンの入った容器に、上記で製膜した積層体を浸漬させ、40℃で10分間、洗浄処理をした。
前記PET上に製膜した液晶膜を含む各実施例および比較例のフィルムの端面が鉛直方向になるように周囲を切り落とした。一方、別途中間膜として両表面がエンボス加工されているPVBフィルムを端面が鉛直方向になるように周囲を切り落とした。各実施例および比較例のフィルムの液晶膜上に中間膜であるPVBを重ね合わせて積層体を得た。得られた積層体の表面側と裏面側に配置された2つのラミネート用加熱ローラーで全周(4辺)の液晶膜付き支持体5の端部から1mm以下の位置を挟圧し、液晶膜と中間膜を熱圧着して貼り合わせた。このとき、ラミネート用加熱ローラーは中間膜の裏面のエンボスをつぶさないように中間膜側のラミネートローラーは25℃とし、逆に中間膜の液晶膜側表面のエンボスを十分につぶして中間膜3と液晶膜1の接着性を高めるように支持体2(PET)側のラミネート用加熱ローラーを120℃とした。
その後、第二の中間膜であるPVBを積層した。
でき上がった積層体を、ガラス/中間膜/コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜/第二の中間膜/ガラスとなるように、重ね合わせてガラス板に挟持された積層体を製造した。ここで、前記ガラス板の端部と前記中間膜の端部は同じ位置であった。
また、前記ガラス板は厚さが2mmのものを用いた。湾曲したガラス板の曲率半径は、0.9m〜3.0mの間にあった。
得られたガラス板に挟持された積層体を真空下、95℃で30分予備圧着をおこなった。予備圧着後、ガラス板に挟持された積層体をオートクレーブ内で1.3MPa、120℃の条件で加熱しながら圧着処理し、合わせガラスを作製した。このようにして、4層積層されたコレステリック液晶相の赤外線反射層(液晶膜1)の上下を2枚の中間膜3および3’で挟み込んだ積層体を挿入した各実施例および比較例の合わせガラスを得た。
実施例1および2のフィルムの製造において、塗布液(R1)と(R2)のみを塗布し、合わせガラス製造時に、ガラス/中間膜/コレステリック液晶を固定してなる液晶膜/λ/2板/第2のコレステリック液晶を固定してなる液晶膜/第2の中間膜/ガラスとなるように重ね合わせてガラス板に挟持した積層体とした、ところのみを変えた試料を作製した。
作成した合わせガラスの性能を評価したところ、顕著な欠陥やスジのない良好な遮熱ガラスとして働くことを確認した。
3 中間膜
3’ 第二の中間膜
4、4’ ガラス板
6 合わせガラス
15b 第1の液晶膜(コレステリック液晶相を固定してなる赤外線反射層)
15a 第2の液晶膜(コレステリック液晶相を固定してなる赤外線反射層)
16a 第2の液晶膜(コレステリック液晶相を固定してなる赤外線反射層)
16b 第2の液晶膜(コレステリック液晶相を固定してなる赤外線反射層)
Claims (23)
- 第1の硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定してなる第1の液晶層と、前記第1の液晶層上に積層され、硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定してなる第2の液晶層を少なくとも1層以上有し
前記第1の硬化性液晶組成物が重合性液晶分子と少なくとも1つのペルフルオロアルキル鎖を有する第1のヘイズ低下剤とを含み、
前記第1のヘイズ低下剤の下記式(1)で表される浮き出し率が50%以下であることを特徴とするフィルム。
式(1)
浮き出し率(%)=100%×B/A
(式(1)中、重合性液晶分子とヘイズ低下剤を含む下層用硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定して下層を形成し、前記下層の上にヘイズ低下剤を除いた以外は下層用硬化性液晶組成物と同じ組成の上層用硬化性液晶組成物を塗布し、コレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定して上層を積層したときにおいて、Aは下層すなわち1層品の表面に存在する炭素原子およびフッ素原子の合計量に対するフッ素原子含有率を表し、Bは上層すなわち2層品の表面に存在する炭素原子およびフッ素原子の合計量に対するフッ素原子含有率を表す。) - 前記第1のヘイズ低下剤が非重合性であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
- 前記第1のヘイズ低下剤が少なくとも2本以上のペルフルオロアルキル鎖を有することを特徴とする請求項1または2に記載のフィルム。
- 前記第1のヘイズ低下剤がペルフルオロアルキル鎖を2本有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム。
- 前記第1のヘイズ低下剤が、前記第1の硬化性液晶組成物中の前記重合性分子に対して0.1質量%以上含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルム。
- 前記硬化性液晶組成物が、第2のヘイズ低下剤を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルム。
- 前記第2のヘイズ低下剤が非重合性であることを特徴とする請求項6に記載のフィルム。
- 前記第2のヘイズ低下剤の前記式(1)で表される浮き出し率が50%よりも多いことを特徴とする請求項6または7に記載のフィルム。
- 前記第2のヘイズ低下剤がペルフルオロアルキル鎖を有することを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載のフィルム。
- 前記第2のヘイズ低下剤がペルフルオロアルキル鎖を6本有することを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載のフィルム。
- 前記第2のヘイズ低下剤が、前記第1の硬化性液晶組成物中の前記重合性分子に対して
0.003〜0.10質量%含まれることを特徴とする請求項6〜10のいずれか一項に記載のフィルム。 - 前記第2の液晶膜に用いられる前記硬化性液晶組成物が、ヘイズ低下剤を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のフィルム。
- 赤外線波長域に選択反射特性を示すことを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のフィルム。
- 第1の硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化して固定する第1の液晶層を製膜する工程と、 前記第1の液晶層上に硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化して固定してなる第2の液晶層を少なくとも1層以上製膜する工程とを有し、
前記第1の硬化性液晶組成物が重合性液晶分子と少なくとも1つのペルフルオロアルキル鎖を有する第1のヘイズ低下剤とを含み、
前記第1のヘイズ低下剤の下記式(1)で表される浮き出し率が50%以下であり、
第2の液晶層を少なくとも1層以上製膜する工程が、前記硬化性液晶組成物を20〜40m/分で塗布する工程を含むことを特徴とするフィルムの製造方法。
式(1)
浮き出し率(%)=100%×B/A
(式(1)中、重合性液晶分子とヘイズ低下剤を含む下層用硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定して下層を形成し、前記下層の上にヘイズ低下剤を除いた以外は下層用硬化性液晶組成物と同じ組成の上層用硬化性液晶組成物を塗布し、コレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定して上層を積層したときにおいて、Aは下層すなわち1層品の表面に存在する炭素原子およびフッ素原子の合計量に対するフッ素原子含有率を表し、Bは上層すなわち2層品の表面に存在する炭素原子およびフッ素原子の合計量に対するフッ素原子含有率を表す。) - 前記第1の硬化性液晶組成物に含まれる前記第1のヘイズ低下剤の量が、前記硬化性液晶組成物に含まれる前記重合性液晶分子に対して0.10質量%であることを特徴とする請求項14に記載のフィルムの製造方法。
- 請求項15に記載のフィルムの製造方法で製造されたことを特徴とするフィルム。
- 請求項1〜13および16のいずれか一項に記載のフィルムを含むことを特徴とする赤外反射板。
- λ/2板を含むことを特徴とする請求項17に記載の赤外反射板。
- 最外層に易接着層を有することを特徴とする請求項17または18に記載の赤外反射板。
- 請求項17〜19のいずれか一項に記載の赤外反射板を用いて形成されてなり、少なくとも前記フィルムの前記第1の液晶膜および前記第2の液晶膜を有することを特徴とする積層体。
- 請求項20に記載の積層体と、少なくとも2枚のガラス板を有し、
前記2枚のガラス中に前記積層体が挿入されたことを特徴とする合わせガラス。 - 請求項21に記載の合わせガラスを含む自動車用フロントガラス。
- 請求項21に記載の合わせガラスを含む建材用ガラス。
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