JP2013200516A - 液晶フィルム、赤外反射板および合わせガラス - Google Patents

液晶フィルム、赤外反射板および合わせガラス Download PDF

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Abstract

【課題】ヘイズが低く、膜強度にも優れる液晶フィルムの提供。
【解決手段】硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定して得られる液晶膜を少なくとも1枚含み、前記液晶膜がシクロヘキサノンを1〜500mg/m3含む液晶フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶フィルム、赤外反射板および合わせガラスに関する。より詳しくは、積層塗布適性に優れたコレステリック液晶性組成物を用いた液晶フィルム、該液晶フィルムを用いた赤外反射板および合わせガラスに関する。
近年、環境・エネルギーへの関心の高まりから省エネに関する工業製品へのニーズは高く、その一つとして住宅及び自動車等の窓ガラスの遮熱、つまり日光による熱負荷を減少させるのに効果のある、ガラス及びフィルムが求められている。自動車のフロントガラスや建材の窓ガラス用途として、2枚のガラス板中に遮熱フィルムを挿入した合わせガラスが用いられている。これらの用途に用いられる遮熱フィルムは、ヘイズが少なく、視認性がよいことが求められている。
日光による熱負荷を減少させるのには、太陽光スペクトルの可視光領域または赤外領域のいずれかの太陽光線の透過を防ぐことが必要である。断熱・遮熱性の高いエコガラスとしてよく用いられるのがLow−Eペアガラスと呼ばれる熱放射を遮断する特殊な金属膜をコーティングした複層ガラスである。特殊な金属膜は、例えば真空成膜法により複数層を積層することで作製できる。これらの特殊な金属膜のコーティングは反射性能に非常に優れるものの、真空プロセスは生産性が低く、生産コストが高い。また、金属膜を使うと、電磁波を同時に遮蔽してしまうために携帯電話等の使用では、電波障害を引き起こし、自動車に使用した場合にはETCやGPS等が使えないなどの問題がある。
遮熱フィルムとして、任意の支持体上にコレステリック液晶相を固定してなる液晶膜を設けた構成の選択波長反射フィルムが知られている。このような液晶膜は、電磁波透過性にも優れており、例えば重合性のコレステリック液晶化合物を含む塗布液を塗布・乾燥した後、重合し、コレステリック液晶層を固定して作製することができる(例えば特許文献1および2参照)。
特許文献1には、棒状液晶性化合物、キラル剤、重合開始剤、パーフルオロアルキル基を含む円盤状配向制御剤を、2−ブタノンに溶解させた塗布液を4層塗布して、遮熱性能の高い赤外光反射板を作製した例が記載されている。
特許文献2には、コレステリック液晶材料と、1,3−ジオキサランを含むコレステリック液晶組成物に対して、第2の溶媒としてシクロヘキサノンを添加した液晶組成物を塗布して、選択的な反射波長を有するコレステリック液晶フィルムを作製した例が記載されている。
特開2011−154215号公報 特開2007−502911号公報
本発明者らが特許文献1および2に記載の液晶フィルムの特性を検討したところ、依然として自動車のフロントガラスや建材の窓ガラス用途として求められるヘイズまでは低減できていないことがわかった。
また、本発明者らが特許文献1および2に記載の液晶フィルムの膜強度について検討したところ、膜強度の観点からも自動車のフロントガラスや建材の窓ガラス用途としては問題があることが判明した。
本発明は上記の問題を改善することを目的とするものである。すなわち、本発明が解決しようとする課題は、ヘイズが低く、膜強度にも優れる液晶フィルムを提供することにある。
上記課題を解決することを目的に本発明者らが鋭意検討した結果、膜中に特定の範囲の含有量でシクロヘキサノンを含む液晶フィルムとすることで、ヘイズが低く、膜強度にも優れる液晶フィルムを提供できることを見出すに至った。
上記課題を解決するための手段である本発明は以下のとおりである。
[1] 硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定して得られる液晶膜を少なくとも1枚含み、前記液晶膜がシクロヘキサノンを1〜500mg/m3含むことを特徴とする液晶フィルム。
[2] [1]に記載の液晶フィルムは、前記液晶膜の膜厚が100μm以下であることを特徴とする。
[3] [1]に記載の液晶フィルムは、前記液晶膜の膜厚が50μm以下であることを特徴とする。
[4] [1]に記載の液晶フィルムは、前記液晶膜の膜厚が30μm以下であることを特徴とする。
[5] [1]〜[4]のいずれか一項に記載の液晶フィルムは、前記液晶膜がシクロヘキサノンを5〜300mg/m3含むことを特徴とする。
[6] [1]〜[4]のいずれか一項に記載の液晶フィルムは、前記液晶膜がシクロヘキサノンを10〜100mg/m3含むことを特徴とする。
[7] [1]〜[6]のいずれか一項に記載の液晶フィルムは、前記硬化性液晶組成物が重合性液晶分子と少なくとも1つのペルフルオロアルキル鎖を有するヘイズ低下剤とを含むことを特徴とする。
[8] [1]〜[7]のいずれか一項に記載の液晶フィルムは、前記硬化性液晶組成物が光学活性化合物を含むことを特徴とする。
[9] [1]〜[8]のいずれか一項に記載の液晶フィルムは、前記液晶膜が、支持体上に積層されたことを特徴とする。
[10] [1]〜[9]のいずれか一項に記載の液晶フィルムは、前記液晶膜が2層以上積層されたことを特徴とする。
[11] [1]〜[10]のいずれか一項に記載の液晶フィルムは、前記液晶膜が4層以上の積層されたことを特徴とする。
[12] [1]〜[11]のいずれか一項に記載の液晶フィルムは、赤外線波長域に選択反射特性を示すことを特徴とする。
[13] [1]〜[12]のいずれか一項に記載の液晶フィルムを含むことを特徴とする赤外反射板。
[14] [13]に記載の赤外反射板は、λ/2板を含むことを特徴とする。
[15] 少なくとも2枚のガラス板と、該2枚のガラス板の間に挿入された[1]〜[12]のいずれか一項に記載の液晶フィルムまたは[13]もしくは[14]に記載の赤外反射板と、を有することを特徴とする合わせガラス。
[16] [15]に記載の合わせガラスを含む車用のフロントガラス。
[17] [15]に記載の合わせガラスを含む建材用ガラス。
本発明によれば、ヘイズが低く、膜強度にも優れる液晶フィルムを提供することができる。
図1は、本発明の合わせガラスの一例の断面を表す概略図である。 図2は、本発明の液晶フィルムの一例の断面を表す概略図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
[液晶フィルム]
本発明の液晶フィルム(以下、本発明のフィルムとも言う)は、硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定して得られる液晶膜を少なくとも1枚含み、前記液晶膜がシクロヘキサノンを1〜500mg/m3含むことを特徴とする。
このような構成により、本発明のフィルムは、ヘイズが低く、膜強度にも優れる。以下、本発明のフィルムの各構成について説明する。
<液晶膜>
本発明のフィルムは、硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定して得られる液晶膜を少なくとも1枚含み、前記液晶膜がシクロヘキサノンを1〜500mg/m3含む。
(溶媒)
前記液晶膜は、シクロヘキサノンを1〜500mg/m3含むことにより、ヘイズが低く、膜強度にも優れる。
いかなる理論に拘泥するものでもないが、液晶材料の溶解性が優れ、高沸点溶媒であるシクロヘキサノンを使用して乾燥後にも一定程度残留させることにより、液晶材料塗布後、乾燥時の急激な塗布液揮発による液晶の配向乱れを抑制し、ヘイズ低減、膜強度向上が発生すると推定する。
ここで、シクロヘキサノンを硬化性樹脂組成物の溶媒として用いた場合でも、乾燥後の液晶膜中に所望量のシクロヘキサンを有するように制御して、硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定して得られる液晶膜を形成することが必要である。例えば、特開2007−502911号公報に記載のように120℃で約5分間のアニールを行ってしまうと、乾燥後の液晶膜中に所望量のシクロヘキサンを有さなくなり、上記効果が得られなくなることがある。
本発明の液晶フィルムは、前記液晶膜がシクロヘキサノンを5〜300mg/m3含むことが好ましく、10〜100mg/m3含むことがより好ましい。
なお、シクロヘキサノンは後述する通常の有機溶媒中には不純物として含まれることはほとんどない。
前記シクロヘキサノンと併用することができる溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましく、例えば1−ブタノンは、前記シクロヘキサノンの効果を阻害しないことから二種類以上の有機溶媒を併用する場合に好ましく用いられる。
シクロヘキサノンと他の溶媒との組成比としては特に制限はないが、全溶媒中、シクロヘキサノンが1〜60質量%含まれることが好ましく、5〜50質量%含まれることより好ましく、10〜40質量%含まれることが特に好ましい。
(膜厚)
本発明の液晶フィルムは、前記液晶膜の膜厚が100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、30μm以下であること特に好ましい。液晶膜の膜厚の下限値は特に制限はないが、例えば1μm以上とすることが好ましい。
(液晶膜のその他の組成)
(1) ヘイズ低下剤
本発明において、ヘイズ低下剤とは、得られるフィルムのヘイズを低下させることができる材料のことを言う。
前記ヘイズ低下剤は、配向制御剤であってもよい。フッ素系配向制御剤は、層の空気界面において、液晶化合物の分子のチルト角を低減若しくは実質的に水平配向させることができる。尚、本明細書で「水平配向」とは、液晶分子長軸と膜面が平行であることをいうが、厳密に平行であることを要求するものではなく、本明細書では、水平面とのなす傾斜角が20度未満の配向を意味するものとする。液晶化合物が空気界面付近で水平配向する場合、配向欠陥が生じ難いため、可視光領域での透明性が高くなる。一方、液晶化合物の分子が大きなチルト角で配向すると、例えば、コレステリック液晶相とする場合は、その螺旋軸が膜面法線からずれるため、反射率が低下したり、フィンガープリントパターンが発生し、ヘイズの増大や回折性を示したりするため好ましくない。
前記フッ素系配向制御剤として利用可能な前記含フッ素(メタ)アクリレート系ポリマーの例は、特開2007−272185号公報の[0018]〜[0043]等に記載がある。
前記フッ素系配向制御剤として利用可能な円盤状コアとその末端に長鎖フッ化アルキル基を有する液晶配向促進剤の例は、特開2002−129162号公報等に記載がある。
以下において、本発明に用いられるヘイズ低下剤について、説明する。
本発明の液晶フィルムは、前記硬化性液晶組成物は、少なくとも1つのペルフルオロアルキル鎖を有するヘイズ低下剤を含むことが好ましい。
前記ヘイズ低下剤が非重合性であることが好ましい。
前記ヘイズ低下剤が少なくとも2本以上のペルフルオロアルキル鎖を有することが好ましい。
前記ヘイズ低下剤が、前記硬化性液晶組成物中の前記重合性分子に対して0.03質量%以上含まれることが好ましく、0.10質量%以上含まれることがさらに好ましい。
前記ヘイズ低下剤は、下記一般式(2)で表されることが好ましい。
下記式(2)の化合物は二価の基を中心に有し、末端にフッ化アルキル基を有することを特徴とする。末端にフッ化アルキル基を有する化合物は配向促進剤として効果的であるが、従来知られている配向促進剤は、使用濃度範囲が狭いといった点や溶解性が低いといった点があり、用途が制限されていた。下記式(2)の化合物は同等以上の配向性能をより広い濃度範囲かつ良好な溶解性で示すことから、それらを含む組成物は製造において使用しやすいというメリットがある。また重合で硬化可能であることから、光学部材等の種々の用途に有用である。
Figure 2013200516
一般式(2)において、L1、L2、L3、L4、L5、L6はおのおの独立して単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−COS−、−SCO−、−NRCO−、−CONR−(Rは水素原子または炭素数が1〜6のアルキル基)を表し、より好ましくは−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−COS−、−SCO−であり、さらに好ましくは−O−、−CO−、−COO−、−OCO−である。上記のRがとりうるアルキル基は、直鎖状であっても分枝状であってもよい。炭素数は1〜3であることがより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基を例示することができる。
Spは単結合または炭素数1〜10のアルキレン基を表し、より好ましくは単結合または炭素数1〜7のアルキレン基であり、さらに好ましくは単結合または炭素数1〜4のアルキレン基であり、該アルキレン中の隣接しないメチレン基は−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−COS−、−SCO−、−NRCO−、−CONR−、−OHで置換されていてもよい。アルキレン基には、分枝があっても無くてもよいが、好ましいのは分枝がない直鎖のアルキレン基である。
1、A2は二価の芳香族炭化水素基または二価の複素環基を表し、より好ましくは二価の芳香族炭化水素である。二価の芳香族炭化水素基の炭素数は6〜22であることが好ましく、6〜14であることがより好ましく、6〜10であることがさらに好ましく、フェニレン基であることがさらにより好ましい。フェニレン基である場合は、メタ位またはパラ位に結合手を有することが好ましく、パラ位に結合手を有することが特に好ましい。二価の複素環基は、5員、6員または7員の複素環を有することが好ましい。5員環または6員環がさらに好ましく、6員環が最も好ましい。複素環を構成する複素原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましい。複素環は、芳香族性複素環であることが好ましい。芳香族性複素環は、一般に不飽和複素環である。最多二重結合を有する不飽和複素環がさらに好ましい。複素環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピロリン環、ピロリジン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、トリアゾール環、フラザン環、テトラゾール環、ピラン環、チイン環、ピリジン環、ピペリジン環、オキサジン環、モルホリン環、チアジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環およびトリアジン環が含まれる。A1、A2で表される二価の芳香族炭化水素基または二価の複素環基は置換基を有していてもよい。そのような置換基の例として、炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基またはエステル基を挙げることができる。これらの基の説明と好ましい範囲については、下記のTの対応する記載を参照することができる。A1、A2で表される二価の芳香族炭化水素基または二価の複素環基に対する置換基としては、例えばメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、臭素原子、塩素原子、シアノ基などを挙げることができる。A1とA2は同一であることが好ましい。
Tは
Figure 2013200516
で表される二価の基または二価の芳香族複素環基を表す(Xは炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基またはエステル基を表し、Ya、Yb、Yc、Ydはおのおの独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す)であり、より好ましくは
Figure 2013200516

であり、さらに好ましくは
Figure 2013200516
である。Xがとりうるアルキル基の炭素数は1〜8であり、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。アルキル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分枝状であることが好ましい。好ましいアルキル基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基などを例示することができる。Xがとりうるアルコキシ基のアルキル部分については、Xがとりうるアルキル基の説明と好ましい範囲を参照することができる。Xがとりうるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができ、塩素原子、臭素原子が好ましい。Xがとりうるエステル基としては、RCOO−で表される基を例示することができる。Rとしては炭素数1〜8のアルキル基を挙げることができる。Rがとりうるアルキル基の説明と好ましい範囲については、上記のXがとりうるアルキル基の説明と好ましい範囲を参照することができる。エステルの具体例として、CH3COO−、C25COO−を挙げることができる。Ya、Yb、Yc、Ydがとりうる炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状であっても分枝状であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基などを例示することができる。二価の芳香族複素環基の説明と好ましい範囲については、下記のA1とA2の芳香族複素環基に関する説明と記載を参照することができる。
Hbは炭素数3〜30のフッ化アルキル基を表し、より好ましくは炭素数3〜20のフッ化アルキル基であり、さらに好ましくは3〜10のフッ化アルキル基である。ここで、フッ化アルキル基は水素で置換されていても置換されていなくてもよい。フッ化アルキル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよいが、直鎖状または分枝状であるものが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。フッ化アルキル基としては、末端がペルフルオロアルキル基であるものを好ましく例示することができる。すなわち、以下の一般式で表される基であることが好ましい。
(Cp2p+1)−(Cq2q)−
上式において、pは1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましい。qは0〜20であることが好ましく、0〜10であることがより好ましく、0〜5であることがさらに好ましい。p+qは3〜30である。
k,l,m,n,pは0以上の整数を表し、oは1〜4のいずれかの整数である。また、k,l,m,n,o,pが2以上であるとき、複数存在する括弧内の構造は互いに同一であっても異なっていてもよい。例えば、kが2であるとき、分子内に2つ存在するL1は互いに同一であっても異なっていてもよい。一般式(2)のk,l,m,nは0〜6のいずれかの整数であることが好ましく、0〜4のいずれかの整数であることがより好ましく、0〜3のいずれかの整数であることがさらに好ましく、0〜2のいずれかの整数であることがさらにより好ましい。一般式(2)のk,l,m,nの好ましい組み合わせとして、l=m=1でありk=n=0である組み合わせと、l=m=1でありk=n=1である組み合わせを挙げることができ、より好ましい組み合わせとしてl=m=1でありk=n=0である組み合わせを挙げることができる。oは1または2であることが好ましい。pは1〜4のいずれかの整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましい。
一般式(2)で表される化合物は、分子構造が対称性を有するものであってもよいし、対称性を有しないものであってもよい。なお、ここでいう対称性とは、点対称、線対称、回転対称のいずれかに該当するものを意味し、非対称とは点対称、線対称、回転対称のいずれにも該当しないものを意味する。
一般式(2)で表される化合物は、以上述べたフッ化アルキル基(Hb)、連結基(L1k−Sp−(L2−A1l−L3および−L4−(A2−L5m−Sp−(L6n、ならびに排除体積効果を持つ2価の基であるTを組み合わせた化合物である。分子内に2つ存在するフッ化アルキル基(Hb)は互いに同一であることが好ましく、分子内に存在する連結基(L1k−Sp−(L2−A1l−L3および−L4−(A2−L5m−Sp−(L6nも互いに同一であることが好ましい。末端のHb−(L1k−Sp−および−Sp−(L6n−Hbは、以下のいずれかの一般式で表される基であることが好ましい。
(Cp2p+1)−(Cq2q)−
(Cp2p+1)−(Cq2q)−O−(Cr2r)−
(Cp2p+1)−(Cq2q)−COO−(Cr2r)−
(Cp2p+1)−(Cq2q)−OCO−(Cr2r)−
上式において、pは1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましい。qは0〜20であることが好ましく、0〜10であることがより好ましく、0〜5であることがさらに好ましい。p+qは3〜30である。rは1〜10であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
また、一般式(2)のlが1以上であるとき、末端のHb−(L1k−Sp−L2−および−L5−Sp−(L6n−Hbは、以下のいずれかの一般式で表される基であることが好ましい。
(Cp2p+1)−(Cq2q)−O
(Cp2p+1)−(Cq2q)−COO−
(Cp2p+1)−(Cq2q)−O−(Cr2r)−O−
(Cp2p+1)−(Cq2q)−COO−(Cr2r)−COO−
(Cp2p+1)−(Cq2q)−OCO−(Cr2r)−COO−
上式におけるp、qおよびrの定義は直上の定義と同じである。
以下に、一般式(2)で表される化合物の具体例を示す。ただし、本発明で採用することができる一般式(2)で表される化合物は、下記の具体例によって限定的に解釈されるべきものではない。
Figure 2013200516
Figure 2013200516
Figure 2013200516
Figure 2013200516
Figure 2013200516
Figure 2013200516
Figure 2013200516
Figure 2013200516
一般式(2)で表される化合物は、特開2002−129162号公報や特開2002−97170号や当該公報において引用されている文献に記載される合成法を適宜選択して組み合わせることにより合成することができる。また、その他の公知の合成法も必要に応じて組み合わせることにより合成することができる。
本発明のフィルムは、前記硬化性液晶組成物が下記一般式(II)で表されるヘイズ低下剤を含んでいてもよい。
Figure 2013200516
一般式(II)において、L1、L2、L3、L4、L5、L6はおのおの独立して単結合、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−COS−、−SCO−、−NRCO−、−CONR−(一般式(II)中におけるRは水素原子または炭素数が1〜6のアルキル基を表す)を表し、−NRCO−、−CONR−は溶解性を減ずる効果があり、膜作成時にヘイズ値が上昇する傾向があることからより好ましくは−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−COS−、−SCO−であり、化合物の安定性の観点からさらに好ましくは−O−、−CO−、−COO−、−OCO−である。上記のRがとりうるアルキル基は、直鎖状であっても分枝状であってもよい。炭素数は1〜3であることがより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基を例示することができる。
Sp1、Sp2、Sp3、Sp4はそれぞれ独立して単結合または炭素数1〜10のアルキレン基を表し、より好ましくは単結合または炭素数1〜7のアルキレン基であり、さらに好ましくは単結合または炭素数1〜4のアルキレン基である。但し、該アルキレン基の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。アルキレン基には、分枝があっても無くてもよいが、好ましいのは分枝がない直鎖のアルキレン基である。合成上の観点からは、Sp1とSp4が同一であり、かつ、Sp2とSp3が同一であることが好ましい。
1、A2は3価または4価の芳香族炭化水素である。3価または4価の芳香族炭化水素基の炭素数は6〜22であることが好ましく、6〜14であることがより好ましく、6〜10であることがさらに好ましく、6であることがさらにより好ましい。A1、A2で表される3価または4価の芳香族炭化水素基は置換基を有していてもよい。そのような置換基の例として、炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基またはエステル基を挙げることができる。これらの基の説明と好ましい範囲については、下記のTの対応する記載を参照することができる。A1、A2で表される3価または4価の芳香族炭化水素基に対する置換基としては、例えばメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、臭素原子、塩素原子、シアノ基などを挙げることができる。ペルフルオロアルキル部分を分子内に多く有する分子は、少ない添加量で液晶を配向させることができ、ヘイズ低下につながることから、分子内にペルフルオロアルキル基を多く有するようにA1、A2は4価であることが好ましい。合成上の観点からは、A1とA2は同一であることが好ましい。
Tは
Figure 2013200516
で表される二価の基または二価の芳香族複素環基を表す(Xは炭素数1〜8のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基またはエステル基を表し、Ya、Yb、Yc、Ydはおのおの独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す)であり、より好ましくは
Figure 2013200516
であり、さらに好ましくは
Figure 2013200516
であり、よりさらに好ましくは、
Figure 2013200516
である。
Xがとりうるアルキル基の炭素数は1〜8であり、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。アルキル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分枝状であることが好ましい。好ましいアルキル基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基などを例示することができ、その中でもメチル基が好ましい。Xがとりうるアルコキシ基のアルキル部分については、Xがとりうるアルキル基の説明と好ましい範囲を参照することができる。Xがとりうるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができ、塩素原子、臭素原子が好ましい。Xがとりうるエステル基としては、R’COO−で表される基を例示することができる。R’としては炭素数1〜8のアルキル基を挙げることができる。R’がとりうるアルキル基の説明と好ましい範囲については、上記のXがとりうるアルキル基の説明と好ましい範囲を参照することができる。エステルの具体例として、CH3COO−、C25COO−を挙げることができる。Ya、Yb、Yc、Ydがとりうる炭素数1〜4のアルキル基は、直鎖状であっても分枝状であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基などを例示することができる。
前記二価の芳香族複素環基は、5員、6員または7員の複素環を有することが好ましい。5員環または6員環がさらに好ましく、6員環が最も好ましい。複素環を構成する複素原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましい。複素環は、芳香族性複素環であることが好ましい。芳香族性複素環は、一般に不飽和複素環である。最多二重結合を有する不飽和複素環がさらに好ましい。複素環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピロリン環、ピロリジン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾール環、ピラゾリン環、ピラゾリジン環、トリアゾール環、フラザン環、テトラゾール環、ピラン環、チイン環、ピリジン環、ピペリジン環、オキサジン環、モルホリン環、チアジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環およびトリアジン環が含まれる。二価の複素環基は置換基を有していてもよい。そのような置換基の例の説明と好ましい範囲については、上記のA1とA2の3価または4価の芳香族炭化水素が取り得る置換基に関する説明と記載を参照することができる。
Hbは炭素数2〜30のペルフルオロアルキル基を表し、より好ましくは炭素数3〜20のペルフルオロアルキル基であり、さらに好ましくは3〜10のペルフルオロアルキル基である。ペルフルオロアルキル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよいが、直鎖状または分枝状であるものが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
m、nはそれぞれ独立に2または3であり、このとき複数存在する括弧内の構造は互いに同一であっても異なっていてもよいが、互いに同一であることが好ましい。一般式(II)のm、nは、前記のA1、A2の価数によって定まり、好ましい範囲もA1、A2の価数の好ましい範囲によって定まる。従来知られていた及びnが1の化合物に比べ、mおよびnが2または3である化合物が、添加量が少なくても顕著にヘイズ低下性能が良いのは、いかなる理論に拘泥するものでもないが、化合物中のフッ素含有量に起因すると推測される。
o、pはそれぞれ独立に0以上の整数であり、oおよびpが2以上であるとき複数のXは互いに同一であっても異なっていてもよい。oは1または2であることが好ましい。pは1〜4のいずれかの整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましい。
一般式(II)で表される化合物は、分子構造が対称性を有するものであってもよいし、対称性を有しないものであってもよい。なお、ここでいう対称性とは、点対称、線対称、回転対称のいずれかに該当するものを意味し、非対称とは点対称、線対称、回転対称のいずれにも該当しないものを意味する。
一般式(II)で表される化合物は、以上述べたペルフルオロアルキル基(Hb)、連結基−(−Sp1−L1−Sp2−L2m−A1−L3−および−L4−A2−(L5−Sp3−L6−Sp4−)n−、ならびに好ましくは排除体積効果を持つ2価の基であるTを組み合わせた化合物である。分子内に2つ存在するペルフルオロアルキル基(Hb)は互いに同一であることが好ましく、分子内に存在する連結基−(−Sp1−L1−Sp2−L2m−A1−L3−および−L4−A2−(L5−Sp3−L6−Sp4−)n−も互いに同一であることが好ましい。末端のHb−Sp1−L1−Sp2−および−Sp3−L6−Sp4−Hbは、以下のいずれかの一般式で表される基であることが好ましい。
(Ca2a+1)−(Cb2b)−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−O−(Cr2r)−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−COO−(Cr2r)−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−OCO−(Cr2r)−
上式において、aは2〜30であることが好ましく、3〜20であることがより好ましく、3〜10であることがさらに好ましい。bは0〜20であることが好ましく、0〜10であることがより好ましく、0〜5であることがさらに好ましい。a+bは3〜30である。rは1〜10であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
また、一般式(II)の末端のHb−Sp1−L1−Sp2−L2−および−L5−Sp3−L6−Sp4−Hbは、以下のいずれかの一般式で表される基であることが好ましい。
(Ca2a+1)−(Cb2b)−O
(Ca2a+1)−(Cb2b)−COO−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−O−(Cr2r)−O−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−COO−(Cr2r)−COO−
(Ca2a+1)−(Cb2b)−OCO−(Cr2r)−COO−
上式におけるa、bおよびrの定義は直上の定義と同じである。
以下に、一般式(II)で表される化合物の具体例を示す。ただし、本発明で採用することができる一般式(II)で表される化合物は、下記の具体例によって限定的に解釈されるべきものではない。
Figure 2013200516
Figure 2013200516
Figure 2013200516
Figure 2013200516
Figure 2013200516
Figure 2013200516
Figure 2013200516
Figure 2013200516
Figure 2013200516
Figure 2013200516
一般式(II)で表される化合物は、特開2002−129162号公報や特開2002−97170号や当該公報において引用されている文献に記載される合成法を適宜選択して組み合わせることにより合成することができる。また、その他の公知の合成法も必要に応じて組み合わせることにより合成することができる。
(2)重合性液晶分子
前記硬化性液晶組成物は、重合性液晶分子を含むことが好ましい。
前記重合性液晶性分子としては、ディスコティック液晶性分子または棒状液晶性分子を用いることが好ましい。
ディスコティック液晶性分子は、様々な文献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. Comm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am.Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されている。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載されている。ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。従って、重合性基を有するディスコティック液晶性分子は、下記式で表わされる化合物であることが好ましい。
D(−L−Q)d
上式中、Dは円盤状コアであり;Lは二価の連結基であり;Qは重合性基であり;dは4〜12の整数である。上記式の円盤状コア(D)の具体例を以下に示す。
以下の各具体例において、LQ(またはQL)は、二価の連結基(L)と重合性基(Q)との組み合わせを意味する。以下の具体例の中では、トリフェニレン(D4)が特に好ましい。
Figure 2013200516
Figure 2013200516
Figure 2013200516
連結基Lや重合性基Qの詳細や好ましい範囲については、特開2002−129162号公報の[0161]〜[0171]を参照することができる。
前記棒状液晶分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
前記棒状液晶分子の複屈折率は、0.001〜0.7であることが好ましい。重合性基の具体例については、特開2002−129162号公報の[0169]を参照することができる。棒状液晶性分子は、短軸方向に対してほぼ対称となる分子構造を有することが好ましい。そのためには、棒状分子構造の両端に重合性基を有することが好ましい。
前記重合性液晶分子として、下記一般式(Ia)で表される化合物も好ましい。
一般式(Ia)
1−Y1−A1−Y3−M1−Y4−A2−Y2−Z2
(一般式(Ia)中、Z1、Z2はそれぞれ独立に重合性基を表し、A1、A2はそれぞれ独立に原子連結鎖長1〜30のスペーサー(但し、該スペーサーはアルキレン基、または、複数のアルキレン基が−O−、−CO−を介して結合した連結基を表す)を表し、M1は(−T1−Y8n−T2−を表し、nは自然数を表し、nが2以上の場合は複数の(−T1−Y8)は互いに同一であっても異なっていてもよく、T1およびT2はそれぞれ独立に飽和もしくは不飽和の炭化水素環、または、飽和もしくは不飽和の複素環(但し、該炭化水素環および該複素環は、アルキル基またはアルコキシ基を有していてもよい)を表し、Y1、Y2、Y3、Y4、Y8はそれぞれ独立に単結合、−O−、−CO−、−O−CO−、−CO−O−または−O−CO−O−を表す。)
(Z1、Z2
前記一般式(Ia)中、Z1、Z2はそれぞれ独立に重合性基を表す。
重合可能な基Z1〜Z2としては、架橋成分Y1〜Y8と関連して、例えば
Figure 2013200516
〔式中、Yは、架橋成分Y1〜Y8の定義、すなわち、化学的単結合、酸素、硫黄、−O−CO−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CO−NR−、−NR−CO−O−または−NR−CO−NR−を表し、かつRは、水素またはC1〜C4−アルキル、すなわちメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチルおよびt−ブチルであり、またY'は化学的単結合を表す(以下では、重合可能な基Z1〜Z2は架橋成分Y1〜Y8と関連して、重合可能な単位としてならびにZ−Yおよび/またはZ−Y'として表す)]が該当する。
これらの重合可能な単位の中で、シアナートは自発的にシアヌラートに三量体化できる。マレインイミド基は、殊に、スチリル基を重合可能な基として有する式Iaおよび/またはIbの液晶性化合物とラジカル共重合のために適する。
エポキシド基、オキセタン基、カルボキシル基、スルホン酸基、チイラン基、アジリジン基、イソシアナート基およびイソチオシアナート基を有する式Iaおよび/またはIbの化合物は、重合のために、相補的反応性単位を有する別の化合物を必要とする。すなわち例えば、適当なイソシアナートは、アルコールと一緒にウレタンに、またアミンと一緒では尿素誘導体に重合できる。同様なことは、相当するチイランおよびアジリジンにも該当する。
相補的反応性単位は、式Ia類似の液晶性化合物から構成される液晶性化合物中に含まれることができる。しかし、基Z1−Y1−、Z2−Y2−の代わりに、これらの化合物は、例えばヒドロキシル基、メルカプト基またはNHR基を含み、ここで最後者のRは水素または例えばC1〜C4−アルキルの意味を有する。さらに、相補的反応性単位は、液晶性物質混合物内に持ち込まれる補助化合物内に含まれることもできる。
前記一般式(Ia)中、A1、A2はそれぞれ独立に原子連結鎖長1〜30のスペーサー(但し、該スペーサーはアルキレン基、または、複数のアルキレン基が−O−、−CO−を介して結合した連結基を表す)を表す。
1、A2はそれぞれ独立に原子連結鎖長1〜12のスペーサーであることが好ましい。A1、A2はそれぞれ独立に炭素原子1〜12のスペーサー(但し、該スペーサーは無置換のアルキレン基)であることがより好ましく、炭素原子2〜8のスペーサー(但し、該スペーサーは無置換のアルキレン基)であることが特に好ましい。
スペーサーA1およびA2は、通常、炭素原子1〜30、有利には1〜12個を有し、主として線状脂肪族基から成る。さらに炭素鎖は、1個またはそれ以上のメチル、フッ素、塩素または臭素で置換されるかおよび/またはエーテル官能基内の酸素、チオエーテル官能基内の硫黄によりまたは非隣接のイミノ基またはC1〜C4−アルキルイミノ基で中断されることができる。C1〜C4−アルキル基として、後者に対してメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチルおよびt−ブチルが該当する。
代表的なスペーサーは、例えば
Figure 2013200516
〔式中、pは1〜30の整数、有利には1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12、かつmは1〜14の整数、有利には1、2または3をとる〕である。
前記一般式(Ia)中、M1は(−T1−Y8n−T2−を表す。
nは自然数を表し、nが2以上の場合は複数の(−T1−Y8)は互いに同一であっても異なっていてもよい。
前記一般式(Ia)におけるM1の表すnは1〜5であることが好ましく、2〜5であることがよ
り好ましく、2〜4であることが特に好ましく、3または4であることがより特に好ましく、3であることがよりさらに特に好ましい。
基T1およびT2は、可能な範囲内で、C1〜C20−アルキル、C1〜C20−アルコキシ、C1〜C20−アルコキシカルボニル、C1〜C20−モノアルキルアミノカルボニル、C1〜C20−アルキルカルボニル、C1〜C20−アルキルアミノカルボニルオキシ、C1〜C20−アルキルカルボニルアミノ、ホルミル、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシまたはニトロから成る群から選ばれる3個までの同じかまたは異なる置換を有することができる。しかし、置換基T1および/またはT2は、一回置換が有利である。
殊には、基T1およびT2として、
Figure 2013200516
が該当する。
殊に有利には、メソゲン基M1およびM2がそれぞれ独立に次式
Figure 2013200516
であり、ここでそれぞれの環Zは互いに独立に、C1〜C20−アルキル、C1〜C20−アルコキシ、C1〜C20−アルコキシカルボニル、C1〜C20−モノアルキルアミノカルボニル、C1〜C20−アルキルカルボニル、C1〜C20−アルキルカルボニルオキシ、C1〜C20−アルキルカルボニルアミノ、ホルミル、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシまたはニトロから成る群から選ばれる3個までの同じかまたは異なる置換基を有することができる。
芳香族環Zのための有利な置換基は、フッ素、塩素、臭素、シアノ、ホルミル、ヒドロキシ、短鎖脂肪族基(炭素数1〜4であることが好ましく、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル)ならびにこれらのアルキル基を含むアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基およびモノアルキルアミノカルボニル基である。
殊に有利なM1のベンゼン環Zは、有利には下記の置換パターンを有するか、
Figure 2013200516
またはClの代わりにF、Br、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、より好ましくはCH3)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基、より好ましくはOCH3)、CHO、COCH3、OCOCH3またはCNを用いて同様に置換されており、その際置換基も混合して存在することができる。さらに構造
Figure 2013200516
も好ましく挙げられ、ここでsは2〜20の整数、有利には8、9、10、11、12、13、14または15をとる。
より殊に有利なM1のベンゼン環Zの置換基は下記である。
Figure 2013200516
前記一般式(Ia)で表される化合物が、前記T1およびT2の表す炭化水素環および該複素環のうち少なくとも1つの炭化水素環または該複素環がアルキル基またはアルコキシ基を有す化合物であることが好ましい。
その中でも、前記一般式(Ia)で表される化合物が、前記T1およびT2の表す炭化水素環および該複素環のうち1つの炭化水素環または該複素環がアルキル基またはアルコキシ基を有す化合物であることが好ましく、1つの炭化水素環がアルキル基(好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、より好ましくはCH3)またはアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基、より好ましくはOCH3)を有す化合物であることがより好ましく、1つの炭化水素環または該複素環がアルキル基を有す化合物であることが特に好ましい。
また、前記一般式(Ia)で表される化合物がM1に含まれるnが3である場合、炭化水素環および該複素環のうち中央の1つの炭化水素環または該複素環がアルキル基またはアルコキシ基を有す化合物であることが好ましく、より好ましい範囲は上記と同様である。
(Y1、Y2、Y3、Y4およびY8
前記一般式(Ia)中、Y1、Y2、Y3、Y4およびY8はそれぞれ独立に単結合、−O−、−
CO−、−O−CO−、−CO−O−または−O−CO−O−を表す。
有利には、式(Ia)の化合物中で、Y1〜Y4ならびに場合によりY8は、たがいに独立して酸素、−O−CO−、−CO−O−または−O−CO−O−を表す。
有利には、液晶性物質混合物およびその有利な実施態様形は、重合可能な単位Z1−Y1−、Z2−Y2−が、メタクリロイルオキシ、アクリロイルオキシおよびビニルオキシから成る群から選ばれる式(Ia)の化合物を含む。
以下に、前記一般式(Ia)で表される化合物の具体例を示す。ただし、本発明で採用することができる前記一般式(Ia)で表される化合物は、下記の具体例によって限定的に解釈されるべきものではない。
Figure 2013200516
Figure 2013200516



Figure 2013200516
Figure 2013200516
Figure 2013200516
(3)重合開始剤
前記硬化性液晶組成物は、重合開始剤を含有しているのが好ましい。例えば、紫外線照射により硬化反応を進行させて硬化膜を形成する態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であるのが好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)、アシルフォスフィンオキシド化合物(特公昭63−40799号公報、特公平5−29234号公報、特開平10−95788号公報、特開平10−29997号公報記載)等が挙げられる。
光重合開始剤の使用量は、組成物(塗布液の場合は固形分)の0.1〜20質量%であることが好ましく、1〜8質量%であることがさらに好ましい。
(4)その他の成分
前記硬化性液晶組成物は、前記ヘイズ低下剤および重合性液晶分子および重合開始剤に加えて、必要に応じて溶媒、不斉炭素原子を含む光学活性化合物(キラル剤)や他の添加剤(例えば、セルロースエステル)を含むことができる。
光学活性化合物(キラル剤):
前記硬化性液晶組成物は、コレステリック液晶相を示すものであることが好ましく、そのためには、光学活性化合物を含有しているのが好ましい。但し、上記棒状液晶化合物が不正炭素原子を有する分子である場合には、光学活性化合物を添加しなくても、コレステリック液晶相を安定的に形成可能である場合もある。前記光学活性化合物は、公知の種々のキラル剤(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第一42委員会編、1989に記載)から選択することができる。光学活性化合物は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物もカイラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファンおよびこれらの誘導体が含まれる。光学活性化合物(キラル剤)は、重合性基を有していてもよい。光学活性化合物が重合性基を有するとともに、併用する棒状液晶化合物も重合性基を有する場合は、重合性光学活性化合物と重合性棒状液晶合物との重合反応により、棒状液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、光学活性化合物から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性光学活性化合物が有する重合性基は、重合性棒状液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であることが好ましい。従って、光学活性化合物の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基又はアジリジニル基であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが特に好ましい。
また、光学活性化合物は、液晶化合物であってもよい。
前記硬化性液晶組成物中の光学活性化合物は、併用される液晶化合物に対して、1〜30モル%であることが好ましい。光学活性化合物の使用量は、より少なくした方が液晶性に影響を及ぼさないことが多いため好まれる。従って、キラル剤として用いられる光学活性化合物は、少量でも所望の螺旋ピッチの捩れ配向を達成可能なように、強い捩り力のある化合物が好ましい。この様な、強い捩れ力を示すキラル剤としては、例えば、特開2003−287623公報に記載のキラル剤が挙げられ、本発明に好ましく用いることができる。
(液晶膜の積層)
本発明のフィルムは、前記液晶膜上に積層され、硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定してなる第2の液晶膜を少なくとも1層以上有することが好ましい。
前記第2の液晶膜に用いることができる硬化性液晶組成物は、前記液晶膜に用いられる前記硬化性液晶組成物と同様であり、両者の好ましい範囲も同様である。
すなわち、前記第2の液晶膜に用いられる前記硬化性液晶組成物中の前記重合性液晶性分子および前記ヘイズ低下剤の種類および組成比が、前記液晶膜に用いられる前記硬化性液晶組成物中の前記重合性液晶性分子および前記ヘイズ低下剤の種類および組成比と同じであることが好ましい。
上述のとおり、本発明のフィルムはコレステリック液晶相を固定してなる液晶膜を2層以上有することが好ましい。
本発明では、前記コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜が、4層以上の積層体であることが好ましい。すなわち、前記液晶膜は、前記コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜が4層以上積層されていることが好ましい。図2は、本発明のフィルムの積層構成の一例を示したものであって、1は本発明のフィルムを、15bは第1の液晶膜を、15a、16a及び16bは第2の液晶膜(それぞれ赤外線反射層とも言う)をそれぞれ示している。
赤外線反射層15a、15b、16a及び16bは、いずれもコレステリック液晶相を固定してなる液晶膜であることが好ましく、当該コレステリック液晶相の螺旋ピッチに基づいて、特定の波長の光を反射する光選択反射性を示すことが好ましい。本発明の1つの実施形態では、隣接する赤外線反射層15aと15bは、それぞれのコレステリック液晶相の螺旋方向が互いに逆であるとともに、その反射中心波長λ15が同一である。また、同様に、隣接する赤外線反射層16aと16bは、それぞれのコレステリック液晶相の螺旋方向が互いに逆であるとともに、その反射中心波長λ16が同一である。本実施形態では、λ15≠λ16を満足するので、赤外線反射層15aと15bによって所定の波長λ15の左円偏光及右円偏光を選択反射するとともに、赤外線反射層16aと16bによって、波長λ15とは異なる波長λ16の左円偏光及び右円偏光を選択反射しており、全体として、反射特性の広帯域化が図れている。
図2では、赤外線反射層15aと15bによる選択反射の中心波長λ15が、例えば1010〜1070nmの範囲にあり、赤外線反射層16aと16bによる選択反射の中心波長λ16が、例えば1190〜1290nmの範囲にあるなど、異なっていてもよい。選択反射波長がそれぞれ前記範囲である2組の赤外線反射層を利用することで、赤外線の反射効率を改善できる。太陽光エネルギー強度のスペクトル分布は、短波長であるほど高エネルギーであるという一般的傾向を示すが、赤外光波長域のスペクトル分布には、波長950〜1130nm、及び波長1130〜1350nmに、2つのエネルギー強度のピークが存在する。選択反射の中心波長が、1010〜1070nm(より好ましくは1020〜1060nm)の範囲にある少なくとも一組の赤外線反射層と、選択反射の中心波長が、1190〜1290nm(より好ましくは1200〜1280nm)の範囲にある少なくとも一組の赤外線反射層とを利用することにより、該2つのピークに相当する光をより効率的に反射することができ、その結果、遮熱性をより改善することができる。
上記反射中心波長を示すコレステリック液晶相の螺旋ピッチは、一般的には、波長λ15で650〜690nm程度、波長λ16で760nm〜840nm程度である。また、各赤外線反射層の厚みは、1μm〜8μm程度(好ましくは3〜7μm程度)である。但し、これらの範囲に限定されるものではない。層の形成に用いる材料(主には重合性液晶化合物及びキラル剤)の種類及びその濃度等を調整することで、所望の螺旋ピッチの赤外線反射層を形成することができる。また層の厚みは、塗布量を調整することで所望の範囲とすることができる。
上記した通り、隣接する赤外線反射層15aと15bは、それぞれのコレステリック液晶相の螺旋方向が互いに逆であり、同様に、隣接する赤外線反射層16aと16bは、それぞれのコレステリック液晶相の螺旋方向が互いに逆であることが好ましい。このように、逆向きのコレステリック液晶相からなり、選択反射の中心波長が同一の赤外線反射層を近くに配置することで、同波長の左円偏光及び右円偏光の双方を反射することができる。
例えば、赤外線反射層16bを通過した光(波長λ16の右円偏光が反射され、左円偏光のみが透過した光)が、次に通過するのが16bではなく15aや15bのように、選択反射の中心波長がλ16ではない場合、波長λ16の左円偏光成分は螺旋ピッチのサイズが異なるコレステリック液晶層を通過することになる。この場合、波長λ16の左円偏光成分は、他の赤外線反射層中のコレステッリツク液晶相の旋光性の影響を僅かではあるが受けることになり、左円偏光成分の波長がシフトするなどの変化が生じる。当然のことながら、この現象は、「波長λ16の左円偏光成分」に限って起こるわけではなく、ある波長のある円偏光が、異なる螺旋ピッチのコレステリック液晶相を通過する場合に生じる変化である。本発明者が種々検討した結果、経験則的なデータではあるが、所定の螺旋ピッチのコレステリック液晶層によって反射されなかった一方の円偏光成分が、反射されないまま、螺旋ピッチが異なる他のコレステリック液晶層を通過する場合、通過する当該層の数が3以上になると、通過する円偏光成分への悪影響が顕著になり、その後に、当該円偏光を反射可能なコレステリック液晶層に到達しても、当該層による反射率が顕著に低下することがわかった。本発明では、選択反射の中心波長が互いに同一であり、且つ螺旋方向が互いに異なる一組の赤外線反射層は、隣接させて配置しなくても、本発明の効果が得られるが、当該一組の赤外線反射層の間に配置される、他の赤外線反射層(螺旋ピッチが異なるコレステリック液晶相を固定して形成された、選択反射の中心波長が異なる赤外線反射層)は、2以下であるのが好ましい。勿論、当該一組の赤外線反射層が隣接しているのが好ましい。
コレステリック液晶層の態様は、上記態様に限定されるものではない。基板の一方の表面上に、5層以上赤外線反射層を積層した構成であってもよいし、また、基板の双方の表面上に、1組以上ずつ(合計で5層以上)赤外線反射層を積層した構成であってもよい。また、同一の反射中心波長を示す2組以上の赤外線反射層を有する態様であってもよい。
前記コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜を構成する各赤外線反射層の厚さは、それぞれ、1〜10μmであることが好ましく、2〜7μmであることがより好ましい。前記液晶膜全体の厚さは、10〜50μmであることが好ましく、20〜40μmであることがより好ましい。
<支持体>
本発明のフィルムは、透明可塑性樹脂フィルム等の支持体を含むことが、前記コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜である赤外線光反射層を安定して製膜する観点から好ましい。但し、後述する本発明の積層体や本発明の合わせガラス中には前記支持体が残らない構成であっても、残る構成であってもよい。
その中でも、本発明の合わせガラスにおいて、本発明のフィルム中に支持体が残らないことが好ましい。すなわち、後述する本発明の合わせガラスは、前記コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜が後述する第一の中間膜と接しており、前記コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜が後述する第二の中間膜とも接していることが好ましい。但し、後述する本発明の合わせガラスは、前記コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜と、前記第二の中間膜の間に支持体やその他の熱可塑性樹脂を含んでいてもよく、その場合も十分に本発明の効果を得ることができる。
前記支持体は、自己支持性があり、前記赤外線光反射層を支持するものであれば、なんら限定はない。特に複数の赤外線反射膜を積層して赤外線反射層を形成する場合は、支持体として下層の赤外線反射層を含めて支持体として、下層の赤外線反射層の上に順次赤外線反射膜を積層していくことができる。
本発明では、前記支持体はロール トゥ ロールで製造する観点から可塑性であることが好ましい。
また、前記支持体は、透明であっても透明でなくてもよい。その中でも、前記支持体は透明可塑性樹脂フィルムであることが好ましい。但し、支持体を剥離する工程を含む場合は、透明であることは必要ない。前記支持体のヘイズは、好ましくは3%以下であり、より好ましくは1%以下である。所定の光学特性を満足するように、生産工程を管理して製造される、λ/2板等の特殊の位相差板であってもよいし、また、面内レターデーションのバラツキが大きく、具体的には、波長1000nmの面内レターデーションRe(1000)のバラツキで表現すれば、Re(1000)のバラツキが20nm以上、また100nm以上であり、所定の位相差板としては使用不可能なポリマーフィルム等であってもよい。また前記支持体の面内レターデーションについても特に制限はなく、例えば、波長1000nmの面内レターデーションRe(1000)が、800〜13000nmである位相差板等を用いることができる。
本発明で用いる前記支持体は、ポリビニルブチラール樹脂フィルムなどの前記第一および第二の中間膜との圧着や、前記樹脂フィルム中に支持体が残る場合には合わせガラス時にポリビリルブチラール樹脂の伸縮に耐えうる剛性を有していることが好ましく、ヤング率はポリビニルブチラール樹脂の100倍〜1000倍程度が好ましい。このような構成とすることにより、前記樹脂フィルムの周辺部も含めて膜ワレやシワを抑制でき、得られる合わせガラスの反射ムラをより効果的に抑制することができる。
可視光に対する透過性が高いポリマーフィルムとしては、液晶表示装置等の表示装置の部材として用いられる種々の光学フィルム用のポリマーフィルムが挙げられる。前記透明可塑性樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル;ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリイミド、トリアセチルセルロース(TAC)、などを主成分とするフィルムが例示される。この中でも、ポリエチレンテレフタレートおよび/またはトリアセチルセルロースを主成分とするフィルムが好ましい。
支持体を形成する材料は、光学等方性支持体とするか、光学異方性支持体とするかに応じて決定する。光学等方性支持体の場合は、一般にガラスまたはセルロースエステルが用いられる。光学異方性支持体の場合は、一般に合成ポリマー(例、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ノルボルネン樹脂)が用いられる。ただし、欧州特許0911656A2号明細書に記載されている(1)レターデーション上昇剤の使用、(2)セルロースアセテートの酢化度の低下、あるいは(3)冷却溶解法によるフィルムの製造により、光学異方性の(レターデーションが高い)セルロースエステルフィルムを製造することもできる。ポリマーフィルムからなる支持体は、ソルベントキャスト法により形成することが好ましい。
光学異方性支持体を得るためには、ポリマーフィルムに延伸処理を実施することが好ましい。光学的一軸性支持体を製造する場合は、通常の一軸延伸処理または二軸延伸処理を実施すればよい。光学的二軸性支持体を製造する場合は、アンバランス二軸延伸処理を実施することが好ましい。アンバランス二軸延伸では、ポリマーフィルムをある方向に一定倍率(例えば3〜100%、好ましくは5〜30%)延伸し、それと垂直な方向にそれ以上の倍率(例えば6〜200%、好ましくは10〜90%)延伸する。二方向の延伸処理は、同時に実施してもよい。延伸方向(アンバランス二軸延伸では延伸倍率の高い方向)と延伸後のフィルムの面内の遅相軸とは、実質的に同じ方向になることが好ましい。延伸方向と遅相軸との角度は、10°未満であることが好ましく、5°未満であることがさらに好ましく、3°未満であることが最も好ましい。
光学異方性支持体は、所望の位相差をもたせて、λ/2板として使用することもできる。この際、位相差としては、350nm〜700nmが好ましく、400〜650nmがより好ましい。
前記支持体の厚さが、30μm〜200μmであることが好ましく、100〜200μmであることがより好ましい。このような厚さとすることにより、前記赤外光反射層を安定的に製造することができ、また、前記ガラス板に挟持された積層体が前記支持体を含む場合にも、前記樹脂フィルムの周辺部も含めて膜ワレやシワを抑制でき、得られる合わせガラスの反射ムラをより効果的に抑制することができる。
支持体とその上に設けられる層(接着層、配向膜あるいは光学異方性層)との接着を改善するため、支持体に表面処理(例、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。支持体に紫外線吸収剤を添加してもよい。支持体の上に、接着層(下塗り層)を設けてもよい。接着層については、特開平7−333433号公報に記載がある。接着層の厚さは、0.1〜2μmであることが好ましく、0.2〜1μmであることがさらに好ましい。
<フィルムのその他の構成層>
また、本発明のフィルムは、上記構成のほかに有機材料及び/又は無機材料を含む非光反射性の層を有していてもよい。本発明に利用可能な前記非光反射性の層の一例には、他の部材(例えば、ガラス板)と密着するのを容易とするための易接着層や粘着材層が含まれる。
また、本発明に利用可能な前記非光反射性の層の他の例には、コレステリック液晶相の赤外線反射層を形成する際に設けられてもよい下塗り層、及び赤外線反射層を形成する際に利用される、液晶化合物の配向方向をより精密に規定する配向層が含まれる場合がある。
粘着材層:
上述のとおり本発明のフィルムは、粘着材層を含んでいてもよい。
前記粘着材は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリビニルアルコール系など一般的な粘着材を用いることができる。本発明では、その中でもポリエステル系やアクリル系を用いることが好ましく、アクリル系を用いることがより好ましい。
前記粘着材は商業的に入手してもよく、本発明に好ましく用いられる粘着材の一例としては、サンリッツ(株)社製のPET−Wやパナック工業(株)社製のPD−S1などを挙げることができる。
粘着材層の厚みは、例えば、0.1〜5.0μmとすることができる。
易接着層:
易接着層は、例えば、前記赤外線反射層と前記粘着材層との接着性を改善する機能を有する。易接着層の形成に利用可能な材料としては、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂が挙げられる。ポリビニルブチラール樹脂は、ポリビニルアルコール(PVA)とブチルアルデヒドを酸触媒で反応させて生成するポリビニルアセタールの一種であり、下記構造の繰り返し単位を有する樹脂である。
Figure 2013200516
また、前記易接着層は、いわゆるアンダーコート層といわれる、アクリル樹脂、スチレン/アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等からなる層であってもよい。これらの材料からなる易接着層も塗布により形成することができる。なお、市販されているポリマーフィルムの中には、アンダーコート層が付与されているものもあるので、それらの市販品を基板として利用することもできる。さらに、前記易接着層には紫外線吸収剤や帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤などを添加してもよい。
なお、易接着層の厚みは、0.1〜5.0μmが好ましい。
下塗り層:
本発明のフィルムは、赤外線反射層側に下塗り層を有していてもよい。赤外線反射層は、通常、支持体上に設けられることが好ましいが、このとき、支持体によっては、下塗り層を設けた上に赤外線反射層を設けることが好ましい場合があるためである。
下塗り層の形成に利用可能な材料の例には、アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水性ポリエステル等が含まれる。また、下塗り層の表面を中間膜と接着する態様では、下塗り層と中間膜との接着性が良好であるのが好ましく、その観点では、下塗り層は、ポリビニルブチラール樹脂も、前記材料とともに含有しているのが好ましい。また、下塗り層は、上記したように密着力を適度に調節する必要があるので、グルタルアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン等のジアルデヒド類またはホウ酸等の硬膜剤を適宜用いて硬膜させることが好ましい。硬膜剤の添加量は、下塗り層の乾燥質量の0.2〜3.0質量%が好ましい。
下塗り層の厚みは、0.05〜0.5μmが好ましい。
配向層:
本発明のフィルムは、液晶膜と前記中間膜との間に配向層を有していてもよいが、支持体を剥離する場合はその際に一緒に剥離することもできる。
配向層は、コレステリック液晶相の赤外線反射層を製膜する際には、該赤外線反射層と隣接する必要があるので、コレステリック液晶相の赤外線反射層と基板又は下塗り層との間に設けるのが好ましい。但し、下塗り層が配向層の機能を有していてもよい。また、赤外線反射層の間に配向層を有していてもよい。
<フィルムの特性>
前記フィルムの厚みは、前記赤外線反射層の積層数により異なるが、5〜100μmであることが好ましく、10〜80μmであることがより好ましく、15〜70μmであることが特に好ましい。
<本発明のフィルムの用途>
本発明のフィルムの一態様は、コレステリック液晶相の配向(例えば、水平配向、垂直配向、ハイブリッド配向等)を固定したフィルムであって、光学異方性を示すフィルムである。当該フィルムは、反射フィルムや液晶表示装置等の光学補償フィルム等として利用される。
本発明のフィルムの一態様は、コレステリック液晶相を固定したフィルムであって、所定の波長域の光に対して選択反射特性を示すフィルムである。赤外線波長域(波長800〜1300nm)に選択反射特性を示す当該フィルムは、例えば建物または車両の窓ガラスに貼付され、もしくは合わせガラスに組み込まれて、遮熱部材として利用される。
また、本発明のフィルムは、光学素子の構成要素である、偏光素子、選択反射膜、カラーフィルタ、反射防止膜、視野角補償膜、ホログラフィー、配向膜等、種々の用途に利用することができる。
[フィルムの製造方法]
前記液晶層は、前記硬化性液晶組成物を塗布等の方法により製膜することにより形成することができる。各硬化性液相組成物を配向膜の上に塗布し、液晶層を形成することにより光学異方性素子を作製することもできる。なお、本発明のフィルムは、光学異方性を示すことが好ましい。
前記重合性液晶性分子は、配向状態を維持して固定することが好ましい。固定化は、液晶性分子に導入した重合性基の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜50J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。液晶膜の厚さは、0.1〜50μmであることが好ましく、1〜30μmであることがさらに好ましく、2〜20μmであることが最も好ましい。液晶膜中の前記一般式(2)で表されるヘイズ低下剤の塗布量は、0.1〜500mg/m2であることが好ましく、0.5〜450mg/m2であることがより好ましく、0.75〜400mg/m2であることがさらに好ましく、1.0〜350mg/m2であることが最も好ましい。
製造方法の一例は、
(A)透明可塑性樹脂フィルム等の支持体の表面に、配向制御剤と重合性(硬化性の)液晶化合物を含む組成物を塗布して、コレステリック液晶相の状態にすること、
(B)前記硬化性液晶組成物に紫外線を照射して硬化反応を進行させ、コレステリック液晶相を固定して赤外線反射層を形成すること、
を少なくとも含む製造方法である。
(A)及び(B)の工程を支持体の一方の表面上で4回繰り返すことで、図2に示した構成のコレステリック液晶相を固定してなる液晶膜(図2では支持体は不図示)を支持体上に製造することができ、さらに繰り返すことでさらに積層数を増やしたコレステリック液晶相を固定してなる液晶膜(赤外光反射層)を形成することができる。
前記下塗り層は、塗布により透明可塑性樹脂フィルム等の支持体の表面上に形成されることが好ましい。このときの塗布方法については特に限定はなく、公知の方法をもちいることができる。
前記配向層は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成等の手段で設けることができる。さらには、電場の付与、磁場の付与、或いは光照射により配向機能が生じる配向層も知られている。配向層は、ポリマーの膜の表面に、ラビング処理により形成するのが好ましい。配向膜は、後述する支持体と共に剥離することが好ましい。
(A)工程
前記(A)工程では、まず、支持体又は下層の液晶膜の表面に、前記硬化性液晶組成物を塗布する。前記硬化性液晶組成物は、溶媒に材料を溶解及び/又は分散した、塗布液として調製されるのが好ましい。前記塗布液の塗布は、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法等の種々の方法によって行うことができる。また、インクジェット装置を用いて、前記硬化性液晶組成物をノズルから吐出して、塗膜を形成することもできる。
次に、表面に塗布され、塗膜となった前記硬化性液晶組成物を、コレステリック液晶相の状態にすることが好ましい。前記硬化性液晶組成物は溶媒を含む塗布液として調製されており、シクロヘキサノンを1〜500mg/m3含むように塗膜を乾燥し、溶媒を一部除去することで、コレステリック液晶相の状態にすることができる。
シクロヘキサノンを1〜500mg/m3含むように溶媒を一部除去するときの加熱温度としては100〜50℃であることが好ましく、90〜60℃であることがより好ましく、75〜85℃であることが特に好ましい。
またこのとき、上記の加熱温度において、溶媒の組成にも関連するものの、例えば加熱時間は40〜250秒間とすることが好ましく、50〜200秒間とすることがより好ましく、60〜150秒間とすることが特に好ましい。
また、コレステリック液晶相への転移温度とするために、所望により、前記塗膜を加熱してもよい。例えば、一旦等方性相の温度まで加熱し、その後、コレステリック液晶相転移温度まで冷却する等によって、安定的にコレステリック液晶相の状態にすることができる。前記硬化性液晶組成物の液晶相転移温度は、製造適性等の面から10〜250℃の範囲内であることが好ましく、10〜150℃の範囲内であることがより好ましい。10℃未満であると液晶相を呈する温度範囲にまで温度を下げるために冷却工程等が必要となることがある。また200℃を超えると、一旦液晶相を呈する温度範囲よりもさらに高温の等方性液体状態にするために高温を要し、熱エネルギーの浪費、基板の変形、変質等からも不利になる。
(B)工程
次に、(B)の工程では、コレステリック液晶相の状態となった塗膜に、紫外線を照射して、硬化反応を進行させる。紫外線照射には、紫外線ランプ等の光源が利用される。この工程では、紫外線を照射することによって、前記硬化性液晶組成物の硬化反応が進行し、コレステリック液晶相が固定されて、赤外線反射層が形成される。
紫外線の照射エネルギー量については特に制限はないが、一般的には、100mJ/cm2〜800mJ/cm2程度が好ましい。また、前記塗膜に紫外線を照射する時間については特に制限はないが、硬化膜の充分な強度及び生産性の双方の観点から決定されるであろう。
硬化反応を促進するため、加熱条件下で紫外線照射を実施してもよい。また、紫外線照射時の温度は、コレステリック液晶相が乱れないように、コレステリック液晶相を呈する温度範囲に維持するのが好ましい。また、雰囲気の酸素濃度は重合度に関与するため、空気中で所望の重合度に達せず、膜強度が不十分の場合には、窒素置換等の方法により、雰囲気中の酸素濃度を低下させることが好ましい。好ましい酸素濃度としては、10%以下が好ましく、7%以下がさらに好ましく、3%以下が最も好ましい。紫外線照射によって進行される硬化反応(例えば重合反応)の反応率は、層の機械的強度の保持等や未反応物が層から流出するのを抑える等の観点から、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがよりさらに好ましい。反応率を向上させるためには照射する紫外線の照射量を増大する方法や窒素雰囲気下あるいは加熱条件下での重合が効果的である。また、一旦重合させた後に、重合温度よりも高温状態で保持して熱重合反応によって反応をさらに推し進める方法や、再度紫外線を照射する(ただし、本発明の条件を満足する条件で照射する)方法を用いることもできる。反応率の測定は反応性基(例えば重合性基)の赤外振動スペクトルの吸収強度を、反応進行の前後で比較することによって行うことができる。
上記工程では、コレステリック液晶相が固定されて、赤外線反射層が形成される。ここで、液晶相を「固定化した」状態は、コレステリック液晶相となっている液晶化合物の配向が保持された状態が最も典型的、且つ好ましい態様である。それだけには限定されず、具体的には、通常0℃〜50℃、より過酷な条件下では−30℃〜70℃の温度範囲において、該層に流動性が無く、また外場や外力によって配向形態に変化を生じさせることなく、固定化された配向形態を安定に保ち続けることができる状態を意味するものとする。本発明では、紫外線照射によって進行する硬化反応により、コレステリック液晶相の配向状態を固定する。
なお、本発明においては、コレステリック液晶相の光学的性質が層中において保持されていれば十分であり、最終的に赤外線反射層中の液晶性混合物がもはや液晶性を示す必要はない。例えば、液晶性混合物が、硬化反応により高分子量化して、もはや液晶性を失っていてもよい。
なお、後述する本発明の合わせガラスを赤外光反射板として用いる場合、その他の重要な性能は、可視光の透過率とヘイズである。材料の選択及び製造条件等を調整して、用途に応じて、好ましい可視光の透過率及びヘイズを示す赤外光反射板を提供できる。例えば可視光の透過率が高い用途に用いられる態様では、可視光の透過率が90%以上であり、且つ赤外光の反射率が上記反応を満足する赤外光反射板とすることができる。
[赤外反射板]
本発明の赤外反射板は、本発明の液晶フィルムを含むことを特徴とする。
本発明の赤外反射板は、λ/2板を含むことが好ましい。前記λ/2板としては特に制限はなく、必要に応じて適宜変更して好ましいものを用いることができる。
1/2波長板は、例えば、透明樹脂からなるフィルムを延伸して得られるものである。
前記透明樹脂としては、0.1mm厚で全光線透過率が80%以上のものであれば特に制限されないが、トリアセチルセルロースの如きアセテート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、鎖状ポリオレフィン系樹脂、脂環式構造を有する重合体樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、等が挙げられる。なかでも、ポリカーボネート系樹脂又は脂環式構造を有する重合体樹脂が好ましい。脂環式構造含有重合体樹脂は、具体的には、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素添加物などが挙げられる。
前記樹脂には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機又は無機の充填材、中和剤、滑剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止材、抗菌剤や熱可塑性エラストマーなどの公知の添加剤を添加することができる。
また、1/2波長板として、液晶化合物を透明樹脂上に塗布・配向・固定化したものや、水晶やサファイアなどの無機結晶、微細な凹凸を樹脂やガラス基板上に設けた構造性複屈折板を用いることもできる。
赤外反射層を合わせはさむガラスのかわりに、ガラス代替樹脂形成体、もしくはガラス代替樹脂形成体とガラスの組み合わせたものを用いることができる。ガラス代替樹脂の例としては、ポリカーボネート樹脂やアクリル系樹脂、メタクリル系樹脂などがあげられる。こうしたガラス代替樹脂上にハードコート層をコーティングしたものを用いることもできる。ハードコート層の例としては、アクリル系ハードコート材、シリコーン系ハードコート材、メラミン系ハードコート材や、これらのハードコート材の中にシリカやチタニア、アルミナ、ジルコニアなどの無機微粒子を分散させたものがあげられる。
[合わせガラス]
本発明の合わせガラスは、少なくとも2枚のガラス板と、該2枚のガラス板の間に挿入された本発明の液晶フィルムまたは本発明の赤外反射板とを有する。前記ガラス板は第一のガラスおよび第二のガラスの2枚であることが好ましい。
(中間膜)
本発明の合わせガラスは、一方のガラス板と本発明の液晶フィルムまたは本発明の赤外反射板との間に中間膜を含み、さらにもう一方のガラス板と本発明の液晶フィルムまたは本発明の赤外反射板との間に第二の中間膜を含むことが好ましい。通常の合わせガラスでは液晶膜の両側の前記第一および第二の中間膜の膜厚は同じであるが、本発明はそのような態様の合わせガラス用の積層体の製造方法に限定されず、前記第一および第二の中間膜の厚さが異なる態様に積層体を製造することもできる。また、前記第一および第二の中間膜の組成についても、同じであっても異なっていてもよい。
前記第一および第二の中間膜は、樹脂中間膜であることが好ましい。前記樹脂中間膜は、主成分がポリビニルアセタール系の樹脂フィルムであることが好ましい。前記ポリビニルアセタール系の樹脂フィルムとしては特に制限はなく、例えば特開平6−000926号公報や特開2007−008797号公報などに記載のものを好ましく用いることができる。前記ポリビニルアセタール系の樹脂フィルムの中でも、本発明ではポリビニルブチラール樹脂フィルムを用いることが好ましい。前記ポリビニルブチラール樹脂フィルムは、それぞれ、ポリビニルブチラールを主成分とする樹脂フィルムであれば、特に定めるものは無く、広く公知の合わせガラス用中間膜としてのポリビニルブチラール樹脂フィルムを採用できる。その中でも、本発明では、前記中間膜は、ポリビニルブチラールまたはエチレンビニルアセテートが好ましい。なお、主成分である樹脂とは、前記樹脂中間膜の50質量%以上の割合を占める樹脂のことをいう。
前記支持体/液晶膜/中間膜の順に積層後に前記中間膜と前記液晶膜付き支持体の液晶膜を熱接着する工程を含むことが好ましい。前記熱接着を後述する支持体の剥離工程の前に行うことにより、支持体を剥離する際に位置ずれの発生を抑止することができる。
前記熱接着の方法としては特に制限はなく、加熱体を押し当てる熱圧着や、レーザー照射による加熱での熱融着などを採用することができる。その中でも前記中間膜に対して前記液晶膜を熱接着する工程が、熱圧着であることが好ましい。
熱接着後に前記支持体を前記液晶膜から剥離する工程を含むことも好ましい。
前記支持体の剥離工程の後に、前記液晶膜の前記支持体が剥離された側の面に第二の中間膜を積層する工程を含むことが好ましい。
図1中、液晶膜1と第二の中間膜3’は隣接していてもよいし、それらの間に他の構成層を含んでいてもよいが、液晶膜1と第二の中間膜3’は隣接していることが好ましい。この場合の他の構成層としては、粘着材層が挙げられる。粘着材層は、通常、第二の中間膜側に設けられている。
これらの積層体は、熱圧着ローラーによって熱圧着されることが好ましい。
前記液晶膜と前記中間膜を含む積層体は、加工に際し、刃物を用いて切断したり、レーザー、ウオータージェットや熱によって切断したりしてもよい。
本発明の合わせガラスの用途は、特に制限はないが、住宅や自動車等の窓ガラス用であることが好ましい。
このときの好ましい態様について、以下説明する。
本発明の合わせガラスは任意のサイズに好ましく裁断することができ、その場合も本発明の合わせガラスは周辺部も含めて液晶膜のワレが抑制されているため、任意のサイズに裁断しても合わせガラス全面にシワやワレが広がりにくい。
前記液晶膜と前記中間膜を含む積層体を、前記第一のガラスまたは第二のガラスと積層する方法は、特に制限はなく、公知の方法により2枚のガラス板の間に挿入して積層することができる。
前記ガラス板に挟持された積層体は、ガラス板/中間膜/本発明のフィルム/中間膜/ガラス板の順に積層された構成となることが好ましい。
図1は、ガラス板に挟持された積層体7を含む合わせガラスの構造の一例を示す概略図である。図1中、1は本発明のフィルム(コレステリック液晶相を固定してなる第1の液晶膜および第2の液晶膜の積層体)を、3は中間膜を、3’は第二の中間膜を、4は第一のガラス板を、4’は第二のガラス板をそれぞれ示す。
前記ガラス板に挟持された積層体7は、図1に示すように前記コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜の端部が、前記ガラス板の端部および前記中間膜の端部と同じ位置にあってもよいが、外部へ突出していても、内部にあってもよい。
ガラス板に挟持された積層体は、本発明のフィルム1と第一の中間膜3、および本発明のフィルム1と第二の中間膜3’は、それぞれ隣接していてもよいし、他の構成層を有していてもよい。前記コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜1が後述する赤外線反射層を含む場合、前記積層体の製造方法では前記支持体を剥離する工程を採用することにより、積層体のさらなる薄膜化を達成することができる。
ガラス板に挟持された積層体は、ガラス板/中間膜/コレステリック液晶を固定してなる液晶膜/λ/2膜/コレステリック液晶を固定してなる液晶膜/中間膜/ガラス板の順に積層された構成でも良い。この際、λ/2膜の両側のコレステリック液晶を固定してなる液晶膜の螺旋方向は、反射中心波長が同じものは同一方向であることが望ましい。
(ガラス板)
本発明の合わせガラスでは、前記ガラス板が曲率を有さないガラスであっても、曲面ガラスであることが好ましい。前記ガラス板が曲率を有さないガラスである場合は、特に合わせガラスのサイズが大きいときに合わせガラスの周辺部にシワやワレが発生しやすく、上述の合わせガラスの製造方法を好ましく適用することができる。
一方、前記ガラス板が曲面ガラスである場合、曲率を有さないガラスに比べて前記コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜にシワやワレがより発生し易くなる。上述の合わせガラスの製造方法は、特に前記ガラス板が曲面である場合(湾曲したガラス板)においてもシワやワレの発生を抑制することができる。
また、前記コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜を挟持する2枚のガラス板は厚みが異なっていてもよく、着色されていてもよい。特に、遮熱性を目的として自動車のフロントガラス等に用いる場合は、合わせガラス状態の可視光線透過率がJIS−R3211で定められている70%を下回らない程度にガラス中に金属などの着色成分を混入させてもよく、一般的にはグリーンガラスを用いることで効果的に遮熱性を向上させることができる。グリーンガラスの色濃度については、添加する金属成分の量を調整したり、厚みを調整したりすることで目的に合った濃度に調節することが好ましい。
湾曲したガラス板は、フロート法によるソーダライムガラスを軟化点以上の温度に加熱し、曲げ加工されて得られ、3次元的に湾曲したガラス板の使用が簡便である。
3次元的に湾曲したガラス板の形状としては、球面、楕円球面、あるいは、自動車の前面ガラスなどのような曲率半径が場所によって異なるガラス板である。
湾曲したガラス板の曲率半径は、特に制限はないが、0.9m〜3mであることが望ましい。曲率半径が0.9mより小さいと、一般に合わせ加工において、前記樹脂フィルムのシワが生じやすいが、上述の製造方法では曲率半径は0.9m未満であっても前記樹脂フィルムのシワの発生を抑制することができる。また、曲率半径が大きくなると、平面に近い形状となり、一般に前記樹脂フィルムのシワが生じにくくなるが、前記樹脂フィルムの周辺部にワレは生じることがある。そのため、上述の製造方法では、湾曲したガラスの曲率半径が3m以上であってもよいが、ワレの発生に加えてシワの発生も抑制する観点からは、湾曲したガラスの曲率半径が3mである場合に特に好ましく用いることができる。
また、上述の製造方法で得られる合わせガラスは、前記ガラス板を少なくとも2枚含むが、各ガラス板の曲率が異なる場合であっても上述の製造方法を用いることができる。
<前記ガラス板に挟持された積層体を加熱しながら圧着する工程>
上述の合わせガラスの製造方法は、前記ガラス板に挟持された積層体を加熱しながら圧着する工程を含むことが好ましい。
前記ガラス板に挟持された積層体とガラス板との貼りあわせは、例えば、真空バッグなどで減圧下において、温度80〜120℃、時間30〜60分で予備圧着した後、オートクレーブ中、1.0〜1.5MPaの加圧下で120〜150℃の温度で貼り合せ、2枚のガラスに積層体が挟まれた合わせガラスとすることができる。また、粘着材等を用いて貼り合わせてもよい。
このとき、1.0〜1.5MPaの加圧下で120〜150℃の温度での加熱圧着の時間は、20〜90分であることが好ましい。
加熱圧着終了後、放冷の仕方については特に制限はなく、適宜圧力を開放しながら放冷して、合わせガラス体を得てもよい。本発明では、加熱圧着終了後、圧力を保持した状態で降温を行うことが、得られる合わせガラス体のシワや割れをさらに改善する観点から好ましい。ここで、圧力を保持した状態で降温するとは、加熱圧着時(好ましくは130℃)の装置内部圧力から、40℃のときの装置内部圧力が加熱圧着時の75%〜100%となるように降温することを意味する。圧力を保持した状態で降温する方法としては、40℃まで降温したときの圧力が上記範囲内であれば特に制限はないが、圧力装置内部圧力が温度減少に伴って自然と低下していくように装置内部から圧力を漏らさずに降温する態様や、装置内部圧力が温度減少に伴って減少しないように外部からさらに加圧しながら降温する態様が好ましい。圧力を保持した状態で降温する場合、120〜150℃で加熱圧着した後、40℃まで1〜5時間かけて放冷することが好ましい。
本発明では、圧力を保持した状態で降温を行った後、次いで圧力を開放する工程を含むことが好ましい。具体的には、圧力を保持した状態で降温を行った後、オートクレーブ内の温度が40℃以下になった後に圧力を開放して降温することが好ましい。
以上より、本発明の合わせガラスは、前記積層体を、少なくとも2枚のガラス板で挟持する工程と、その後1.0〜1.5MPaの加圧下で120〜150℃の温度で加熱圧着する工程と、圧力を保持した状態で降温を行う工程と、圧力を開放する工程を含むことが好ましい。
前記ガラス板と前記積層体とを熱圧着させる範囲は、前記ガラス板の全面積にわたる範囲でもよいが、前記ガラス板の周縁部のみでもよく、周縁部の熱圧着はシワの発生をより抑制することもできる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
<第1の液晶膜用の第1の硬化性液晶組成物(R1)の調製>
下記重合性液晶分子A、へイズ低下剤、キラル剤、重合開始剤、シクロヘキサノンを含む溶媒を混合し、下記組成の塗布液を調製した。得られた塗布液を、実施例1のコレステリック液晶性混合物(R1)とした。
・下記重合性液晶分子A 100質量部
・下記へイズ低下剤(化合物1) 0.03質量部
・キラル剤LC−756(BASF社製) 5.0質量部
・重合開始剤IRGACURE819(チバジャパン社製) 3質量部
・1−ブタノン/シクロヘキサノン=90/10 溶質濃度が25質量%となる量
Figure 2013200516
Figure 2013200516
<フィルムの製造>
(第2の液晶膜用の硬化性液晶組成物の調製)
また、重合性液晶を含む塗布液(R1)のキラル剤LC−756(BASF社製)を、下記キラル剤(A) 3.0質量部に変更しただけで他は同様にして第2の液晶膜用の硬化性液晶組成物である塗布液(L1)を調製した。
Figure 2013200516
(第3の液晶膜用の硬化性液晶組成物の調製)
また、重合性液晶を含む塗布液(R1)のキラル剤LC−756(BASF社製)の処方量を4.0質量部に変更しただけで他は同様にして塗布液(R2)を調製した。
(第4の液晶膜用の硬化性液晶組成物の調製)
また、重合性液晶を含む塗布液(L1)のキラル剤(A)の処方量を2.4質量部に変更しただけで他は同様にして塗布液(L2)を調製した。
(下塗り層用塗布液の調製)
下記に示す組成の下塗り層用塗布液(S1)を調製した。
下塗り層用塗布液(S1)の組成:
アクリルエステル樹脂ジュリマーET−410
(東亞合成(株)製、固形分濃度30%) 50質量部
メタノール 50質量部
(配向層用塗布液の調製)
下記に示す組成の配向層用塗布液(H1)を調製した。
配向層用塗布液(H1)の組成:
変性ポリビニルアルコールPVA203(クラレ社製) 10質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
水 371質量部
メタノール 119質量部
(塗布、乾燥およびフィルムの形成)
PETフィルム(下塗り層無し、富士フイルム(株)製、厚み:50μm、大きさ320mm×400mm)の表面上に、下塗り層用塗布液(S1)を、ワイヤーバーを用いて、乾燥後の膜厚が0.25μmになるように塗布した。その後、150℃で10分間加熱し、乾燥、固化し、下塗り層を形成した。
次いで、形成した下塗り層の上に、配向層用塗布液(H1)を、ワイヤーバーを用いて、乾燥後の膜厚が1.0μmになるように塗布速度25m/分で塗布した。その後、100℃で2分間加熱し、乾燥、固化し、配向層を形成した。配向層に対し、ラビング処理(レーヨン布、圧力:0.1kgf、回転数:1000rpm、搬送速度:10m/min、回数:1往復)を施した。
次いで、調製した重合性液晶を含む塗布液(R1)、(R2)、(L1)、(L2)を用い、下記の手順にてコレステリック液晶相を固定し、赤外線反射層であるコレステリック液晶相を固定してなる液晶膜を製造した。
(1)各塗布液を、ワイヤーバーを用いて、乾燥後の膜の厚みが17μmになるように、前記PETフィルム上に、室温にて塗布速度25m/分で塗布した。
(2)室温にて30秒間乾燥させて溶剤を除去した後、80℃の雰囲気で60秒間加熱し、その後95℃でコレステリック液晶相とした。次いで、フージョンUVシステムズ(株)製無電極ランプ「Dバルブ」(90mW/cm)にて、出力60%で6〜12秒間UV照射し、コレステリック液晶相を固定して、コレステリック液晶相を固定してなる第1の液晶膜(赤外線反射層)を作製した。
(3)室温まで冷却した後、上記工程(1)及び(2)を繰り返し、第1〜第4の液晶膜としてコレステリック液晶相の液晶膜がPET上に4層積層された、実施例1の液晶フィルムを作製した。
なお、塗布液は、(R1)、(R2)、(L1)、(L2)の順番に塗布を行なった。
[実施例2〜11、比較例1〜10]
実施例1の液晶フィルムの作成において、溶媒組成と加熱時間を下記表1に記載のように変更した以外は実施例1と同様にして、第1の液晶膜〜第4の液晶膜の4層の液晶膜が形成された各実施例および比較例の液晶フィルムを作製した。
<評価>
各実施例および比較例で製造した第1の液晶膜(R1)の膜中溶媒量、膜厚、ヘイズおよび破断点荷重を以下の方法で評価した。得られた評価結果を下記表1に記載した。
(フィルムの膜中溶媒量)
フィルムの膜中シクロヘキサノン量は、PETベースから剥離した10×10cmのフィルムを密閉したガラス瓶に入れ170℃、3分間加熱後、発生したシクロヘキサン量をガスクロマトグラフィーを用いて測定した。測定した結果を下記表1に記載した。
一方、フィルムの膜中1−ブタノン量は、上記シクロヘキサノンを1−ブタノンに変更する以外は上記シクロヘキサノンの測定と同様にして、測定した。その結果、各実施例および比較例で製造した第1の液晶膜中の1−ブタノン量はいずれも47〜54mg/m3の間であり、ほぼ一定であった。
(フィルムの膜厚)
フィルムの乾燥膜厚は、PETフィルムから液晶膜を剥離し、デジタル膜厚計を用いて測定した。測定した結果を下記表1に記載した。
(フィルムのヘイズ)
フィルムのヘイズは、日本電飾社製ヘイズメータNDH2000を用いて測定した。測定した結果を下記表1に記載した。
(フィルムの破断点荷重)
フィルムの引張破断点荷重を、テンシロン引張試験機(オリエンテック社製)を用いて、測定した。測定した結果を下記表1に記載した。
Figure 2013200516
上記表1に示すように、各実施例より、本発明の液晶フィルムは、第1の液晶膜のヘイズが低く、膜強度に優れることがわかった。
一方、比較例1〜10より、シクロヘキサノンの含有量が本発明で規定する上限値を上回る場合も、下限値を下回る場合も、得られたフィルムは第1の液晶膜のヘイズが高過ぎであり、膜強度も不足していたことがわかった。
なお、各実施例および比較例で用いた重合性液晶分子Aを、下記の各種の重合性液晶分子IV−13に変更したところ、いずれも同様の傾向の結果が得られることがわかった。
Figure 2013200516
[実施例101]
<合わせガラスの製造>
(表面処理)
得られた各実施例および比較例の液晶フィルムの液晶膜の表面を、下記の手順にて洗浄した。
2−ブタノンの入った容器に、上記で製膜した積層体を浸漬させ、40℃で10分間、洗浄処理をした。
<積層体(積層中間膜)の製造>
前記PET上に製膜した液晶膜を含む各実施例および比較例の液晶フィルムの端面が鉛直方向になるように周囲を切り落とした。一方、別途中間膜として両表面がエンボス加工されているPVBフィルムを端面が鉛直方向になるように周囲を切り落とした。各実施例および比較例の液晶フィルムの液晶膜上に中間膜であるPVBを重ね合わせて積層体を得た。得られた積層体の表面側と裏面側に配置された2つのラミネート用加熱ローラーで全周(4辺)の液晶膜付き支持体の端部から1mm以下の位置を挟圧し、液晶膜と中間膜を熱圧着して貼り合わせた。このとき、ラミネート用加熱ローラーは中間膜の裏面のエンボスをつぶさないように中間膜側のラミネートローラーは25℃とし、逆に中間膜の液晶膜側表面のエンボスを十分につぶして中間膜3と液晶膜1の接着性を高めるように支持体(PET)側のラミネート用加熱ローラーを120℃とした。
その後、第二の中間膜であるPVBを積層した。
<合わせガラス化>
でき上がった積層体を、ガラス/中間膜/コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜/第二の中間膜/ガラスとなるように、重ね合わせてガラス板に挟持された積層体を製造した。ここで、前記ガラス板の端部と前記中間膜の端部は同じ位置であった。
また、前記ガラス板は厚さが2mmのものを用いた。湾曲したガラス板の曲率半径は、0.9m〜3.0mの間にあった。
得られたガラス板に挟持された積層体を真空下、95℃で30分予備圧着をおこなった。予備圧着後、ガラス板に挟持された積層体をオートクレーブ内で1.3MPa、120℃の条件で加熱しながら圧着処理し、合わせガラスを作製した。このようにして、4層積層されたコレステリック液晶相の赤外線反射層(液晶膜1)の上下を2枚の中間膜3および3’で挟み込んだ積層体を挿入した各実施例および比較例の合わせガラスを得た。
実施例101において、作成した合わせガラスの性能を評価したところ、顕著な欠陥やスジのない良好な遮熱ガラスとして働くことを確認した。
1 本発明の液晶フィルム(コレステリック液晶相を固定してなる液晶膜であり、支持体を含んでいてもよい)
3 中間膜
3’ 第二の中間膜
4、4’ ガラス板
6 合わせガラス
15b 第1の液晶膜(コレステリック液晶相を固定してなる赤外線反射層)
15a 第2の液晶膜(コレステリック液晶相を固定してなる赤外線反射層)
16a 第2の液晶膜(コレステリック液晶相を固定してなる赤外線反射層)
16b 第2の液晶膜(コレステリック液晶相を固定してなる赤外線反射層)

Claims (17)

  1. 硬化性液晶組成物をコレステリック液晶相の状態で硬化することによって固定して得られる液晶膜を少なくとも1枚含み、
    前記液晶膜がシクロヘキサノンを1〜500mg/m3含むことを特徴とする液晶フィルム。
  2. 前記液晶膜の膜厚が100μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の液晶フィルム。
  3. 前記液晶膜の膜厚が50μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の液晶フィルム。
  4. 前記液晶膜の膜厚が30μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の液晶フィルム。
  5. 前記液晶膜がシクロヘキサノンを5〜300mg/m3含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶フィルム。
  6. 前記液晶膜がシクロヘキサノンを10〜100mg/m3含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶フィルム。
  7. 前記硬化性液晶組成物が重合性液晶分子と少なくとも1つのペルフルオロアルキル鎖を有するヘイズ低下剤とを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶フィルム。
  8. 前記硬化性液晶組成物が光学活性化合物を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の液晶フィルム。
  9. 前記液晶膜が、支持体上に積層されたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の液晶フィルム。
  10. 前記液晶膜が2層以上積層されたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の液晶フィルム。
  11. 前記液晶膜が4層以上の積層されたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の液晶フィルム。
  12. 赤外線波長域に選択反射特性を示すことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の液晶フィルム。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の液晶フィルムを含むことを特徴とする赤外反射板。
  14. λ/2板を含むことを特徴とする請求項13に記載の赤外反射板。
  15. 少なくとも2枚のガラス板と、
    該2枚のガラス板の間に挿入された請求項1〜12のいずれか一項に記載の液晶フィルムまたは請求項13もしくは14に記載の赤外反射板と、を有することを特徴とする合わせガラス。
  16. 請求項15に記載の合わせガラスを含む車用のフロントガラス。
  17. 請求項15に記載の合わせガラスを含む建材用ガラス。
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