本発明は、室外の空気を調湿した後で室内へ供給する調湿装置に関するものである。
従来より、室外から取り込んだ空気を調湿した後で室内へ供給する調湿装置が知られている。そして、これらの調湿装置の中には、特許文献1に示すように、室外に連通する外気口と室内に連通する内気口とがケーシングの上面に開口しているものがある。
特許文献1の調湿装置は、縦長の直方体状に形成されたケーシングを備えている。このケーシング内には、上下に並んだ3つの空間に区画されている。上側の空間は、外気口に連通する外気空間と内気口に連通する内気空間とに区画されている。中間の空間は、上下に並んだ2つの調湿室と、これらの調湿室を挟んで両側に位置する上記外気空間に連通する外気中間空間と上記内気空間に連通する内気中間空間とに区画されている。下側の空間には、上記調湿室に設けられた吸着熱交換器を接続した冷媒回路の圧縮機が収容されている。
ところで、この調湿装置を室内に設置した場合において、室内と室外との温度差が大きくなると、上記外気口に連通している部分、つまり外気空間及び外気中間空間で結露が生じやすくなる。これらの空間は空気が流通する空気通路を構成しており、上述した結露による水滴によって、この空気通路にカビや雑菌等が繁殖してしまうという問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、室外の空気を調湿した後で室内へ供給する調湿装置において、空気通路内に生じる結露をできるだけ低コストで防止できるようにすることにある。
第1の発明は、箱状のケーシング(11)と、上記ケーシング(11)の上面(16)に開口して室外に連通する外気口(50,53)と、上記ケーシング(11)の上面(16)に開口して室内に連通する内気口(51,52)と、上記ケーシング(11)内の空気が流通する空気流路(74)を有して該空気流路(74)の空気を調湿する調湿部材(75,76)と、上記調湿部材(75,76)の空気流路(74)を通じて上記外気口(50,53)及び上記内気口(51,52)を連通して該調湿部材(75,76)の下側でUターンする空気流れを上記ケーシング(11)内に形成する空気通路(1,2)とを備えた調湿装置であって、上記空気通路(1,2)は、上記外気口(50,53)から延びて上記調湿部材(75,76)に係る空気流路(74)の上側空気口(80)に連通する外気通路(1a,2a)と、上記内気口(51,52)から上記調湿部材(75,76)の側方下側へ延び側方下側から上側へ回り込んで上記調湿部材(75,76)に係る空気流路(74)の下側空気口(81)に連通する内気通路(1b,2b)とを有していることを特徴としている。
第1の発明では、上記空気通路(1,2)により、上記調湿部材(75,76)を通過させるとともに該調湿部材(75,76)の下側でUターンさせる空気流れが上記ケーシング(11)内に形成される。この空気通路(1,2)は、上記外気口(50,53)から上記調湿部材(75,76)の上側空気口(80)へ至る外気通路(1a,2a)と、上記内気口(51,52)から上記調湿部材(75,76)の下側空気口(81)へ至る内気通路(1b,2b)とを有している。そして、上記内気通路(1b,2b)及び上記外気通路(1a,2a)のうち、上記内気通路(1b,2b)は、上記調湿部材(75,76)の側方下側から上記調湿部材(75,76)の下面へ回り込むように形成している。
これにより、上記外気通路(1a,2a)は、上記内気通路(1b,2b)と違って上記調湿部材(75,76)を回り込まない分だけ、上記内気通路(1b,2b)よりも短くなる。そして、上記空気通路(1,2)の結露防止のため、上記外気通路(1a,2a)に断熱部材(4)を設ける場合には、該外気通路(1a,2a)が短くなった分だけ断熱部材(4)を節約することができるようになる。
第2の発明は、第1の発明において、上記外気口(50,53)は、室外吸込口(50)及び室外排気口(53)で構成され、上記内気口(51,52)は、室内吸込口(52)及び室内給気口(51)で構成され、上記調湿部材(75,76)は、上記空気流路(74)の空気を調湿する吸着剤が担持された第1及び第2の吸着熱交換器(75,76)で構成され、上記空気通路(1,2)は、上記室外吸込口(50)と上記室内給気口(51)とを連通する第1空気通路(1)と、上記室内吸込口(52)と上記室外排気口(53)とを連通する第2空気通路(2)とで構成される一方、上記第1及び第2の吸着熱交換器(75,76)と上記第1及び第2の空気通路(1,2)との間の連通状態を交互に切り換える流路切換部(D1〜D8)を備えていることを特徴としている。
第2の発明では、上記流路切換部(D1〜D8)によって、上記第1及び第2の吸着熱交換器(75,76)と上記第1及び第2の空気通路(1,2)との間の連通状態を切り換えながら運転する調湿装置の場合にも、第1及び第2の空気通路(1,2)に係る外気通路(1a,2a)が内気通路(1b,2b)よりも短くなった分だけ断熱部材(4)を節約することができるようになる。
第3の発明は、第2の発明において、上記流路切換部(D1〜D8)は、上記第1及び第2の空気通路(1,2)に係る外気通路(1a,2a)と上記第1及び第2の吸着熱交換器(75,76)に係る上側空気口(80)との間の連通状態を切り換える複数の外気ダンパ(D1,D2,D7,D8)を含み、上記第1及び第2の空気通路(1,2)に係る外気通路(1a,2a)は、上記ケーシング(11)内に区画されて上記第1及び第2の吸着熱交換器(75,76)がそれぞれ収容される第1及び第2の収容室(27,28)の上面(20)を貫通する一方、上記複数の外気ダンパ(D1,D2,D7,D8)は、上記第1及び第2の収容室(27,28)に係る外気通路(1a,2a)の貫通面に設けられていることを特徴としている。
第3の発明では、上記複数の外気ダンパ(D1,D2,D7,D8)を第1及び第2の収容室(27,28)の上面に形成している。これにより、上記外気口(50,53)の開口方向と上記外気ダンパ(D1,D2,D7,D8)の開口方向とを一致させることができるようになる。この結果、これらの開口方向が不一致の場合に比べて、上記外気口(50,53)及び上記外気ダンパ(D1,D2,D7,D8)の間の部分を最短で繋ぎやすくなり、上記外気通路(1a,2a)をさらに短くしやすくなる。
第4の発明は、第2又は第3の発明において、上記流路切換部(D1〜D8)は、上記第1及び第2の空気通路(1,2)に係る内気通路(1b,2b)と上記第1及び第2の吸着熱交換器(75,76)に係る下側空気口(81)との間の連通状態を切り換える複数の内気ダンパ(D3,D4,D5,D6)を含み、上記第1及び第2の空気通路(1,2)に係る内気通路(1b,2b)は、上記ケーシング(11)内に区画されて上記第1及び第2の吸着熱交換器(75,76)がそれぞれ収容される第1及び第2の収容室(27,28)の側面(23,24)を貫通する一方、上記複数の内気ダンパ(D3,D4,D5,D6)は、上記第1及び第2の収容室(27,28)に係る内気通路(1b,2b)の貫通面に設けられていることを特徴としている。
第4の発明では、上記複数の内気ダンパ(D3,D4,D5,D6)を第1及び第2の収容室(27,28)の側面に形成している。これにより、上記内気口(51,52)の開口方向と上記内気ダンパ(D3,D4,D5,D6)の開口方向とを直交させることができるようになる。この結果、これらの開口方向が平行の場合に比べて、上記内気通路(1b,2b)が、上記吸着熱交換器を回り込みやすくなる。
第5の発明は、第4の発明において、上記内気通路(1b,2b)の少なくとも一部は、第1及び第2の収容室(27,28)に係る内気ダンパ(D3,D4,D5,D6)が形成された側面(23,24)と上記ケーシング(11)の側面(14)とに面するように形成されていることを特徴としている。
第5の発明では、上記内気通路(1b,2b)の通路幅を、第1及び第2の収容室(27,28)の幅と同じ寸法にすることができるようになる。これにより、上記内気通路(1b,2b)の通路幅が、各収容室(27,28)の幅よりも広くなる
第6の発明は、第2から第5の何れか1つの発明において、上記第1及び第2の吸着熱交換器(75,76)は、水平方向に並べられていることを特徴としている。
第6の発明では、上記ケーシング(11)の底面から上記第1及び第2の吸着熱交換器(75,76)までの高さを揃えることができるようになる。これにより、これらの吸着熱交換器の高さが異なる場合に比べて、上記ケーシング(11)の高さ寸法を小さくすることができるようになる。
本発明によれば、上記空気通路(1,2)により、上記調湿部材(75,76)を通過させるとともに該調湿部材(75,76)の下側でUターンさせる空気流れが上記ケーシング(11)内に形成される。ここで、上記空気通路(1,2)の外気通路(1a,2a)は、上記内気通路(1b,2b)と違って上記調湿部材(75,76)を回り込まない分だけ、上記内気通路(1b,2b)よりも短くすることができる。
これにより、上記空気通路(1,2)の結露防止のため、上記外気通路(1a,2a)に断熱部材(4)を設ける場合には、該外気通路(1a,2a)が短くなった分だけ断熱部材(4)を節約することができ、空気通路(1,2)内に生じる結露を低コストで防止することができる。
また、上記第2の発明によれば、上記流路切換部(D1〜D8)を有する調湿装置の場合にも、第1の発明と同様に、上記外気通路(1a,2a)を上記内気通路(1b,2b)よりも短くすることができる。これにより、上記外気通路(1a,2a)に設ける断熱部材(4)を節約することができ、空気通路(1,2)内に生じる結露をできるだけ低コストで防止することができる。
また、上記第3の発明によれば、上記外気口(50,53)の開口方向と上記外気ダンパ(D1,D2,D7,D8)の開口方向が不一致の場合に比べて、上記外気口(50,53)及び上記外気ダンパ(D1,D2,D7,D8)の間の部分を最短で繋ぎやすくなり、上記外気通路(1a,2a)を短くすることができる。これにより、上記外気通路(1a,2a)に設ける断熱部材(4)をさらに節約することができる。
また、上記第4の発明によれば、上記内気口(51,52)の開口方向と上記内気ダンパ(D3,D4,D5,D6)の開口方向が平行の場合に比べて、上記内気通路(1b,2b)が吸着熱交換器(75,76)を回り込みやすくなる。これにより、上記ケーシング(11)内に上記内気通路(1b,2b)を形成しやすくすることができる。
また、上記第5の発明によれば、上記内気通路(1b,2b)の通路幅を、各収容室(27,28)の幅よりも広げることができる。これにより、各収容室(27,28)から上記内気通路(1b,2b)へ流出する空気流れを拡大することができ、該内気通路(1b,2b)を通過する空気の抵抗を減らすことができる。
また、上記第6の発明によれば、上記第1及び第2の吸着熱交換器(75,76)の高さが異なる場合に比べて、上記ケーシング(11)の高さ寸法を小さくなる。これにより、上記ケーシング(11)を小型化しつつ、空気通路(1,2)内に生じる結露を低コストで防止することができる。
実施形態に係る調湿装置の概略構成図である。
実施形態に係る調湿装置の概略構成図であり、図2(A)は上面図を示し、図2(B)は図2(A)のW−W矢視図を示し、図2(C)は図2(A)のX−X矢視図を示し、図2(D)は図2(A)のY−Y矢視図を示し、図2(E)は図2(A)のZ−Z矢視図を示している。
実施形態に係る調湿装置の除湿換気運転および加湿換気運転の第1動作中の空気の流れのうち、室外吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する斜視図である。
実施形態に係る調湿装置の除湿換気運転および加湿換気運転の第1動作中の空気の流れのうち、室内吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する斜視図である。
実施形態に係る調湿装置の除湿換気運転および加湿換気運転の第2動作中の空気の流れのうち、室外吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する斜視図である。
実施形態に係る調湿装置の除湿換気運転および加湿換気運転の第2動作中の空気の流れのうち、室内吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する斜視図である。
実施形態に係る調湿装置の室外吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する模式図である。
実施形態に係る調湿装置の室内吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する模式図である。
実施形態に係る調湿装置の冷媒回路を示す配管系統図である。
実施形態に係る吸着熱交換器の構成を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図3に示すように、本発明の実施形態に係る調湿装置(10)は、室内の床面に設置されて室内の湿度調節を行う床置き型の調湿装置である。ここで、以下の説明における上下方向および左右方向は、図1のケーシング(11)の前面側から視たそれぞれの方向をいうものとする。尚、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《調湿装置の構成》
本実施形態の調湿装置(10)は、ケーシング(11)を備えている。このケーシング(11)には、冷媒回路(70)、給気ファン(57)、及び排気ファン(58)等が収容されている。又、このケーシング(11)の内部には、8つのダンパ(D1〜D8)が取り付けられている。尚、これらのダンパ(D1〜D8)が本発明の流路切換部を構成する。又、このケーシング(11)の空気通路(1,2)には、該空気通路(1,2)での結露を防止するための断熱部材(4)が部分的に取り付けられている。
−ケーシング−
上記ケーシング(11)は、縦長の直方体状に形成されている。このケーシング(11)は、その前面を覆うと共に、ケーシング(11)に対して着脱自在に取り付けられる前面カバー(12)を備え、後面側に背面板(15)とが取り付けられている。又、このケーシング(11)には、上端部に天板(16)が、下端部に底板(17)がそれぞれ取り付けられている。ケーシング(11)には、右端部に右側面板(13)が左端部に左側面板(14)がそれぞれ取り付けられている。
上記天板(16)には、4つのダクト接続口(50〜53)が形成されている。これらのダクト接続口(50〜53)は、天板(16)の4隅に対応するように互いに隣り合って形成されている。具体的には、4つのダクト接続口(50〜53)は、天板(16)の前方左側寄りに形成される室外吸込口(50)と、天板(16)の後方右寄りに形成される室内給気口(51)と、天板(16)の前方右寄りに形成される室内吸込口(52)と、天板(16)の後方左寄りに形成される室外排気口(53)とで構成されている。ここで、上記室外吸込口(50)及び上記室外排気口(53)が、本発明の外気口を構成し、上記室内給気口(51)及び室内吸込口(52)が、本発明の内気口を構成する。
各ダクト接続口(50〜53)には、それぞれ空気が流通可能なダクト(図示なし)が取り付けられている。各ダクトは、室内の天井側に向かって上方に延び、天井裏を伝って所定の空間まで配設されている。これらのダクトを介して室外吸込口(50)および室外排気口(53)は室外空間と繋がり、室内吸込口および室内給気口(51)は室内空間と繋がっている。上記室外吸込口(50)は、フィルタユニット(54)を介してダクトに接続されている。フィルタユニット(54)は、室外吸込口(50)の上部に設けられ、外気フィルタ(56)を収容している。つまり、ダクトを流れる室外空気は、フィルタユニット(54)の内部を流れ、外気フィルタ(56)を通過した後、室外吸込口(50)からケーシング(11)内に取り込まれる。
上記前面カバー(12)は、ケーシング(11)の前側の開放部を覆うようにケーシング(11)に取り付け/取り外し可能に構成されている。前面カバー(12)には、調湿装置(10)の利用者などが調湿装置(10)の運転を切り換えるための操作スイッチ(図示なし)が設けられている。
上記ケーシング(11)は、その内部に直方体状の空間が形成されている。ケーシング(11)の内部には、上部仕切板(20)と下部仕切板(21)とが上下に並んで設けられている。上部仕切板(20)および下部仕切板(21)は、矩形状の板材に形成され、ケーシング(11)の内部で水平な姿勢で支持されている。
下部仕切板(21)と底板(17)との間には、扁平な直方体状の機械室(60)が区画されている。この機械室(60)には、後述する圧縮機(72)、四路切換弁(73)、及びこの調湿装置(10)の運転を制御する制御コントローラ(図示なし)等が収容されている。
又、上記上部仕切板(20)と天板(16)との間には、扁平な直方体状の空間が区画されている。この空間には、縦仕切板(18)と横仕切板(19)とが設けられている。縦仕切板(18)は、長辺が前後方向に延びる板状に形成され、横仕切板(19)は、長辺が左右方向に延びる鉛直な姿勢でケーシング(11)に支持されている。縦仕切板(18)および横仕切板(19)は、上部仕切板(20)と天板(16)との間の空間を4つの部屋(45,46,47,48)に区画している。
これらの4つの部屋は、第1〜第4部屋(45,46,47,48)で構成されている。上記第1室(45)は、ケーシング(11)の前方左寄りに形成され、第2室(46)は、ケーシング(11)の前方右寄りに形成されている。また、第3室(47)は、ケーシング(11)の後方右側寄りに形成され、第4室(48)は、ケーシング(11)の後方左側寄りに形成されている。
上記縦仕切板(18)は、図3〜図7に示すように、上記第1室(45)と第2室(46)とを仕切る部分のやや後方寄りに第1開口(41)が形成され、第3室(47)と第4室(48)とを仕切る部分のやや前方寄りに第4開口(44)が形成されている。この第1開口(41)は、第1室(45)と第2室(46)とを繋ぐものであり、第4開口(44)は、第3室(47)と第4室(48)とを繋ぐものである。
上記上部仕切板(20)には、図3〜図7に示すように、第1、第2、第7および第8流通口(31,32,37,38)と、第2および第3開口(42,43)が形成されている。第1流通口(31)は、上部仕切板(20)における第1室(45)に臨む部位に形成されている。第2開口(42)は、上部仕切板(20)における第2室(46)に臨む部位の前方側に形成されている。第2流通口(32)は、上部仕切板(20)における第2室(46)に臨む部位に形成されている。第7流通口(37)は、上部仕切板(20)における第3室(47)に臨む部位に形成されている。第3開口(43)は、上部仕切板(20)における第3室(47)に臨む部位の後方側に形成されている。第8流通口(38)は、上部仕切板(20)における第4室(48)に臨む部位に形成されている。
上記第2室(46)には、天板(16)と上部仕切板(20)との間の下側寄りに外気通路カバー(62)が配置されている。外気通路カバー(62)は、第1開口(41)と第2流通口(32)とに両方に連通する空間を形成するものである。外気通路カバー(62)は、第1開口(41)および第2流通口(32)と、第2開口(42)とを仕切るように第2室(46)に設けられている。
また、第2室(46)内の第2流通口(32)には、内気フィルタ(55)が設けられている。内気フィルタ(55)は、室内吸込口(52)の下側に配設されている。内気フィルタ(55)は、板状、あるいはシート状に形成され、第2流通口(32)を覆うように取り付けられている。この内気フィルタ(55)は、第2室(46)において前後方向に進退自在に構成されている。
上記第3室(47)には、天板(16)と上部仕切板(20)との間の下側寄りに排気通路カバー(63)が配置されている。排気通路カバー(63)は、第4開口(44)と第7流通口(37)との両方に連通する空間を形成するものである。排気通路カバー(63)は、第4開口(44)および第7流通口(37)と、第3開口(43)とを仕切るように第3室(47)に設けられている。
また、第3室(47)には上記排気通路カバー(63)の上部に給気ファン(57)が設けられ、第4室(48)には排気ファン(58)が設けられている。これらのファン(57,58)は、それぞれ遠心型の多翼ファン(いわゆるシロッコファン)で構成されている。
下部仕切板(21)と上部仕切板(20)との間には、直方体状の空間が区画されている。この空間には、前側仕切板(23)と後側仕切板(24)とが設けられている。前側仕切板(23)および後側仕切板(24)は、下部仕切板(21)から上部仕切板(20)に亘って形成され、ケーシング(11)の左右の側面板(13,14)と平行に鉛直な姿勢でケーシング(11)に支持されている。そして、前側仕切板(23)および後側仕切板(24)は、下部仕切板(21)および上部仕切板(20)の間の空間を3つの空間に仕切っている。
上記前側仕切板(23)には、第3および第4流通口(33,34)が形成されている。第3流通口(33)は前側仕切板(23)の下部の左側寄りに形成され、第4流通口(34)は前側仕切板(23)の下部の右側寄りに形成されている。
上記後側仕切板(24)には、第5および第6流通口(35,36)が形成されている。第5流通口(35)は、前側仕切板(23)の下部の左側寄りに形成されている。第5流通口(35)は、第1吸着熱交換器(75)に対応している。第6流通口(36)は、前側仕切板(23)の下部の右側寄りに形成されている。第6流通口(36)は、第2吸着熱交換器(76)に対応している。
上記3つの空間のうち、前側寄りの空間は第1中間通路(25)を構成している。第1中間通路(25)は、前側仕切板(23)とケーシング(11)の前面カバー(12)との間に形成されている。また、3つの空間のうち、後側寄りの空間は第2中間通路(26)を構成している。第2中間通路(26)は、後側仕切板(24)とケーシング(11)の背面板(15)との間に形成されている。
上記第1中間通路(25)は、その上端が第2開口(42)と連通し、その下端が下部仕切板(21)によって閉塞されている。また、第2中間通路(26)は、その上端が第3開口(43)と連通し、その下端が下部仕切板(21)によって閉塞されている。
上記3つの空間のうちの中央の空間は、中央仕切板(22)によって左右に区画されている。そして、左右の空間のうち、左側の空間が第1調湿室(27)を構成し、右側の空間が第2調湿室(28)を構成している。つまり、第1調湿室(27)と第2調湿室(28)とは、中央仕切板(22)を挟んで互いに隣り合うように左右に並んで形成されている。尚、上記第1調湿室(27)には、後述する第1吸着熱交換器(75)が収容され、上記第2調湿室(28)には、後述する第2吸着熱交換器(76)が収容されている。
−冷媒回路−
上記冷媒回路(70)は、図9に示すように、圧縮機(72)、第1吸着熱交換器(75)、第2吸着熱交換器(76)、四路切換弁(73)、および電子膨張弁(95)が互いに冷媒配管(85)によって接続された閉回路である。尚、第1及び第2の吸着熱交換器(75,76)が、本発明の調湿部材を構成する。この冷媒回路(70)は、冷媒配管(85)の内部を冷媒が循環されることによって、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うものである。
上記圧縮機(72)は、縦置き型の圧縮機に構成され、例えばスクロール型又はロータリ型の圧縮機構を有している。この圧縮機(72)は、上述したように、ケーシング(11)の機械室(60)に収容されている。
上記第1及び第2の吸着熱交換器(75,76)は、図10に示すように、クロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器によって構成されている。これら吸着熱交換器(75,76)は、銅製の伝熱管(77)とアルミニウム製のフィン(78)とを備えている。吸着熱交換器(75,76)に設けられた複数のフィン(78)は、それぞれが長方形状に形成され、一定の間隔で並べられている。また、伝熱管(77)は、フィン(78)の配列方向に蛇行する形状となっている。つまり、この伝熱管(77)では、各フィン(78)を貫通する直管部と、隣り合った直管部同士を接続するU字管部とが交互に構成されている。尚、フィン(78)とフィン(78)との間が、吸着熱交換器(75,76)の空気流路(74)を構成する。
上記各吸着熱交換器(75,76)では、各フィン(78)の表面に吸着剤が担持されており、フィン(78)の間を通過する空気がフィン(78)に担持された吸着剤と接触する。この吸着剤としては、ゼオライト、シリカゲル、活性炭、親水性の官能基を有する有機高分子材料など、空気中の水分に対して所定の吸脱着性能を有するものが用いられている。
尚、本実施形態の吸着熱交換器(75,76)はクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器で構成されているが、これに限定される必要はなく、例えば、プレート型の熱交換器やシェル・アンド・チューブ熱交換器で構成されていもよい。
上述したように、第1吸着熱交換器(75)は第1調湿室(27)に収容され、第2吸着熱交換器(76)は第2調湿室(28)に収容されている。各吸着熱交換器(75,76)は、それぞれの調湿室(27,28)において水平となる姿勢で配置されている。このとき、上記第1及び第2の吸着熱交換器(75,76)は、上記ケーシング(11)の中央仕切板(22)を挟んで両側に水平方向に並んでいる。
上記四路切換弁(73)は、上記冷媒回路(70)を流れる冷媒の循環方向を切り換えるものである。この四路切換弁(73)は4つのポートを備えている。そして、この四路切換弁(73)は、第1のポートと第4のポートとが連通して第2のポートと第3のポートとが連通する第1状態と、第1のポートと第3のポートとが連通して第2のポートと第4のポートとが連通する第2状態とに切り換え可能となっている。
尚、上記第1のポートには上記圧縮機(72)の吐出部が接続され、上記第2ポートには上記圧縮機(72)の吸入部が接続されている。又、上記第3ポートと上記第4ポートとを接続する冷媒配管には、第3ポートから第4ポートへ向かって順に、第1吸着熱交換器(75)と、電子膨張弁(95)と、第2吸着熱交換器(76)とが接続されている。
−ダンパ−
上記8つのダンパ(D1〜D8)は、例えば2枚のシャッタと、水平軸を支点として各シャッタを回転させるモータとを有している。各ダンパ(D1〜D8)では、モータの回転により2枚のシャッタが変位して対応する流通口(31〜38)を開放状態と閉鎖状態とに切り換わる。これらのダンパ(D1〜D8)を開閉することにより、各吸着熱交換器(75,76)を通過する空気の流れを切り換えることができる。
上記各ダンパ(D1〜D8)は、図2〜図8に示すように、上記上部仕切板(20)、前側仕切板(23)および後側仕切板(24)に設けられている。上記上部仕切板(20)には4つのダンパ(D1,D2,D7,D8)が設けられ、前側仕切板(23)および後側仕切板(24)には、それぞれ2つのダンパ((D3,D4),(D5,D6))が設けられている。
(室外吸入側の外気ダンパ)
上記ケーシング(11)の第1流通口(31)に第1ダンパ(D1)が取り付けられ、第2流通口(32)に第2ダンパ(D2)が取り付けられている。これらの第1及び第2ダンパ(D1,D2)が室外吸入側の外気ダンパ(D1,D2)を構成する。
ここで、上記第1ダンパ(D1)が開となり且つ上記第2ダンパ(D2)が閉となる状態が室外吸入側の外気ダンパ(D1,D2)に係る第1状態である(図3を参照)。この第1状態では、上記第1室(45)と、上記第1流通口(31)とを通じて上記室外吸込口(50)と上記第1調湿室(27)とが連通する。尚、上記室外吸込口(50)から上記第1吸着熱交換器(75)の上面(80)へ至るまでの通路が本発明の外気通路(1a)を構成する(図7を参照)。
一方、上記第1状態とは逆に、上記第1ダンパ(D1)が閉となり且つ上記第2ダンパ(D2)が開となる状態が室外吸入側の外気ダンパ(D1,D2)に係る第2状態である(図5を参照)。この第2状態では、上記第1室(45)と、上記第1開口(41)と、上記第2室(46)に係る外気通路カバー(62)の内部空間と、上記第2流通口(32)とを通じて上記室外吸込口(50)と上記第2調湿室(28)とが連通する。尚、上記室外吸込口(50)から上記第2吸着熱交換器(76)の上面へ至るまでの通路が本発明の外気通路(1a)を構成する(図7を参照)。
(室内吸入側の内気ダンパ)
上記ケーシング(11)の第3流通口(33)に第3ダンパ(D3)が取り付けられ、第4流通口(34)に第4ダンパ(D4)が取り付けられている。これらの第3及び第4ダンパ(D3,D4)が室内吸入側の内気ダンパ(D3,D4)を構成する。
ここで、上記第3ダンパ(D3)が開となり且つ上記第4ダンパ(D4)が閉となる状態が室内吸入側の内気ダンパ(D3,D4)に係る第1状態である(図6を参照)。この第1状態では、上記第2室(46)に係る外気通路カバー(62)の内部空間と、上記第2開口(42)と、上記第1中間通路(25)と、上記第3流通口(33)とを通じて上記室内吸込口(52)と上記第1調湿室(27)とが連通する。尚、上記室内吸込口(52)から上記第1吸着熱交換器(75)の下面へ至るまでの通路が本発明の内気通路(2b)を構成する(図8を参照)。
一方、上記第1状態とは逆に、上記第3ダンパ(D3)が閉となり且つ上記第4ダンパ(D4)が開となる状態が室内吸入側の内気ダンパ(D3,D4)に係る第2状態である(図4を参照)。この第2状態では、上記第2室(46)に係る外気通路カバー(62)の内部空間と、上記第2開口(42)と、上記第1中間通路(25)と、上記第4流通口(34)とを通じて上記室内吸込口(52)と上記第2調湿室(28)とが連通する。尚、上記室内吸込口(52)から上記第2吸着熱交換器(76)の下面(81)へ至るまでの通路が本発明の内気通路(2b)を構成する(図8を参照)。
(室内給気側の内気ダンパ)
上記ケーシング(11)の第5流通口(35)に第5ダンパ(D5)が取り付けられ、第6流通口(36)に第6ダンパ(D6)が取り付けられている。これらの第5及び第6ダンパ(D5,D6)が室内給気側の内気ダンパ(D5,D6)を構成する。
ここで、上記第5ダンパ(D5)が開となり且つ上記第6ダンパ(D6)が閉となる状態が室内給気側の内気ダンパ(D5,D6)に係る第1状態である(図3を参照)。この第1状態では、上記第5流通口(35)と、上記第2中間通路(26)と、上記第3開口(43)と、上記第3室(47)に係る排気通路カバー(63)の外部空間とを通じて上記室内給気口(51)と上記第1調湿室(27)とが連通する。尚、上記室内給気口(51)から上記第1吸着熱交換器(75)の下面へ至るまでの通路が本発明の内気通路(1b)を構成する(図7を参照)。
一方、上記第1状態とは逆に、上記第5ダンパ(D5)が閉となり且つ上記第6ダンパ(D6)が開となる状態が室内給気側の内気ダンパ(D5,D6)に係る第2状態である(図5を参照)。この第2状態では、上記第6流通口(36)と、上記第2中間通路(26)と、上記第3開口(43)と、上記第3室(47)に係る排気通路カバー(63)の外部空間とを通じて上記室内給気口(51)と上記第2調湿室(28)とが連通する。尚、上記室内給気口(51)から上記第2吸着熱交換器(76)の下面(81)へ至るまでの通路が本発明の内気通路(1b)を構成する(図7を参照)。
(室外排気側の外気ダンパ)
上記ケーシング(11)の第7流通口(37)に第7ダンパ(D7)が取り付けられ、第8流通口(38)に第8ダンパ(D8)が取り付けられている。これらの第7及び第8ダンパ(D7,D8)が室外排気側の外気ダンパ(D7,D8)を構成する。
ここで、上記第8ダンパ(D8)が開となり且つ上記第7ダンパ(D7)が閉となる状態が室外排気側の外気ダンパ(D7,D8)に係る第1状態である(図6を参照)。この第1状態では、上記第8流通口(38)と、上記第4室(48)とを通じて上記室外排気口(53)と上記第1調湿室(27)とが連通する。尚、上記室外排気口(53)から上記第1吸着熱交換器(75)の上面(80)へ至るまでの通路が本発明の外気通路(2a)を構成する(図8を参照)。
一方、上記第1状態とは逆に、上記第8ダンパ(D8)が閉となり且つ上記第7ダンパ(D7)が開となる状態が室外排気側の外気ダンパ(D7,D8)に係る第2状態である(図4を参照)。この第2状態では、上記第7流通口(37)と、上記第3室(47)に係る排気通路カバー(63)の内部空間と、上記第4開口(44)と、上記第4室(48)とを通じて上記室外排気口(53)と上記第2調湿室(28)とが連通する。尚、上記室外排気口(53)から上記第2吸着熱交換器(76)の上面へ至るまでの通路が本発明の外気通路(2a)を構成する(図8を参照)。
−断熱部材−
上記ケーシング(11)の内面には断熱部材(4)が設けられている。この断熱部材(4)によって、上記ケーシング(11)の空気通路(1,2)内で生じる結露が抑制される。ここで、この空気通路(1,2)のうち室外に連通している部分、本実施形態では外気通路(1a,2a)で結露が生しやすいことから、この外気通路(1a,2a)に断熱部材(4)を設けている。具体的には、図7及び図8に示すように、上記第1室(45)の内面、上記第1及び第2調湿室(27,28)に係る各吸着熱交換器(75,76)よりも上側の内面、及び上記第4室(48)の内面にそれぞれ断熱部材(4)が設けられている。
尚、本実施形態では、上記内気通路(1b,2b)の長さよりも上記外気通路(1a,2a)の長さが短くなるように空気通路(1,2)を形成している。具体的には、この空気通路(1,2)によって、ケーシング(11)内に取り込まれた空気が上記吸着熱交換器(75,76)を通過するとともに該吸着熱交換器(75,76)の下側でUターンする空気流れが形成される。そして、上記内気通路(1b,2b)及び上記外気通路(1a,2a)のうち、上記内気通路(1b,2b)は、上記調湿部材(75,76)の側方下側から上記調湿部材(75,76)の下面へ回り込むように形成している。
これにより、上記外気通路(1a,2a)は、上記内気通路(1b,2b)と違って上記調湿部材を回り込まない分だけ、上記内気通路(1b,2b)よりも短くなる。この結果、上記外気通路(1a,2a)が短くなった分だけ断熱部材(4)を節約することができるようになる。
《調湿装置の運転動作》
上記実施形態の調湿装置(10)は、「除湿換気運転」と「加湿換気運転」とを選択的に行う。「除湿換気運転」と「加湿換気運転」では、取り込んだ室外空気(OA)を湿度調湿してから供給空気(SA)として室内へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)を排出空気(EA)として室外へ排出する。以下には、これらの運転について詳細に説明する。
〈除湿換気運転〉
除湿換気運転中の調湿装置(10)では、後述する第1動作と第2動作が所定の間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返される。
除湿換気運転中の調湿装置(10)において、給気ファン(57)を運転すると、室外空気が室外吸込口(50)からケーシング(11)の内へ第1空気として取り込まれる。また、排気ファン(58)を運転すると、室内空気が室内吸込口(52)からケーシング(11)内へ第2空気として取り込まれる。
−除湿換気運転の第1動作−
先ず、除湿換気運転の第1動作について説明する。図3および図4に示すように、この第1動作中には、室外吸入側の外気ダンパ(D1,D2)と室内給気側の内気ダンパ(D5,D6)とが第1状態に設定され、室内吸入側の内気ダンパ(D3,D4)と室外排気側の外気ダンパ(D7,D8)が第2状態に設定される。この結果、第1流通口(31)、第4流通口(34)、第5流通口(35)、および第7流通口(37)が開状態となり、第2流通口(32)、第3流通口(33)、第6流通口(36)、および第8流通口(38)が閉状態となる。
第1動作中の冷媒回路(70)では、図9に実線で示すように、四路切換弁(73)が第1状態に設定される。この状態の冷媒回路(70)では、圧縮機(72)から吐出された冷媒が第2吸着熱交換器(76)、電子膨張弁(95)、第1吸着熱交換器(75)の順に通過し、第2吸着熱交換器(76)が凝縮器となって、第1吸着熱交換器(75)が蒸発器となる。
図3、図4、図7および図8に示すように、ダクトを通過して外気フィルタ(56)を通過した空気は、室外吸込口(50)から第1室(45)へ流入する。外気フィルタ(56)では、第1空気中に含まれる塵埃が捕捉される。第1室(45)へ流入した第1空気は、第1流通口(31)を流れて第1調湿室(27)へ流入する。この第1空気は、第1調湿室(27)内を流れて第1吸着熱交換器(75)を通過する。第1吸着熱交換器(75)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(75)で除湿された第1空気は、第5流通口(35)から第2中間通路(26)へ流出する。第1空気は、第2中間通路(26)を上右方に流れて第3開口(43)から第3室(47)内へ流入し、第3室(47)を流れて室内給気口(51)よりダクトへ流出して室内へ供給される。
一方、上記室内吸込口(52)から第2室(46)内へ流入した第2空気は、内気フィルタ(55)を通過する。内気フィルタ(55)では、第2空気中に含まれる塵埃が捕捉される。内気フィルタ(55)を通過した第2空気は、第2開口(42)から第1中間通路(25)に流れ、第4流通口(34)より第2調湿室(28)へ流入する。この第2空気は、第2調湿室(28)内を流れて第2吸着熱交換器(76)を通過する。第2吸着熱交換器(76)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気へ付与される。第2吸着熱交換器(76)の吸着剤の再生に利用された第2空気は、第7流通口(37)から第3室(47)内に流入し、第4開口(44)を通過して第4室(48)内に流入する。第2空気は、第4室(48)内を流れて室外排気口(53)よりダクトへ流出して室外へ排出される。
−除湿換気運転の第2動作−
次に、除湿換気運転の第2動作について説明する。図5および図6に示すように、この第2動作中には、室外吸入側の外気ダンパ(D1,D2)と室内給気側の内気ダンパ(D5,D6)とが第2状態に設定され、室内吸入側の内気ダンパ(D3,D4)と室外排気側の外気ダンパ(D7,D8)が第1状態に設定される。この結果、各ダンパ(D1〜D8)の状態が切り換わることで、第2流通口(32)、第3流通口(33)、第6流通口(36)、および第8流通口(38)が開状態となり、第1流通口(31)、第4流通口(34)、第5流通口(35)、および第7流通口(37)が閉状態となる。
第2動作中の冷媒回路(70)では、図9に破線で示すように、四路切換弁(73)が第2状態に設定される。この状態の冷媒回路(70)では、圧縮機(72)から吐出された冷媒が第1吸着熱交換器(75)、電子膨張弁(95)、第2吸着熱交換器(76)の順に通過し、第1吸着熱交換器(75)が凝縮器となって、第2吸着熱交換器(76)が蒸発器となる。
図5、図6、図7および図8に示すように、ダクトを通過して外気フィルタ(56)を通過した空気は、室外吸込口(50)から第1室(45)へ流入する。外気フィルタ(56)では、第1空気中に含まれる塵埃が捕捉される。第1室(45)へ流入した第1空気は、第1開口(41)を通過して第2室(46)内へ流れ、第2流通口(32)を流れて第2調湿室(28)へ流入する。この第1空気は、第2調湿室(28)内を流れて第2吸着熱交換器(76)を通過する。第2吸着熱交換器(76)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(76)で除湿された第1空気は、第6流通口(36)から第2中間通路(26)へ流出する。第1空気は、第1中間通路(25)を上方に流れて第3室(47)内へ流入し、第3室(47)を流れて室内給気口(51)よりダクトへ流出して室内へ供給される。
一方、上記室内吸込口(52)から第2室(46)内へ流入した第2空気は、内気フィルタ(55)を通過する。内気フィルタ(55)では、第2空気中に含まれる塵埃が捕捉される。内気フィルタ(55)を通過した第2空気は、第2開口(42)から第1中間通路(25)に流れ、第3流通口(33)より第1調湿室(27)へ流入する。この第2空気は、第1調湿室(27)内を流れて第1吸着熱交換器(75)を通過する。第1吸着熱交換器(75)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気へ付与される。第1吸着熱交換器(75)の吸着剤の再生に利用された第2空気は、第8流通口(38)から第4室(48)内に流入に流入する。第2空気は、第4室(48)内を流れて室外排気口(53)よりダクトへ流出して室外へ排出される。
〈加湿換気運転〉
加湿換気運転中の調湿装置(10)では、後述する第1動作と第2動作が所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返される。
加湿換気運転中の調湿装置(10)において、給気ファン(57)を運転すると、室外空気が室外吸込口(50)からケーシング(11)の内へ第1空気として取り込まれる。また、排気ファン(58)を運転すると、室内空気が室内吸込口(52)からケーシング(11)内へ第2空気として取り込まれる。
−加湿換気運転の第1動作−
先ず、加湿換気運転の第1動作について説明する。ここで、各ダンパ(D1〜D8)の切換状態は、除湿換気運転の第1動作と同じであるため省略する。又、加湿換気運転の第1動作中の冷媒回路(70)では、図9に破線で示すように、四路切換弁(73)が第2状態に設定される。この結果、第1吸着熱交換器(75)が凝縮器となって、第2吸着熱交換器(76)が蒸発器となる。
ここで、上記ケーシング(11)内を流通する第1空気の流れは、除湿換気運転の第1動作と同じであるため省略する。尚、この加湿換気運転の第1動作において、第1吸着熱交換器(75)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第1空気に付与される。これにより、第1空気は、第1吸着熱交換器(75)で加湿される。
又、上記ケーシング(11)内を流通する第2空気の流れは、除湿換気運転の第1動作と同じであるため省略する。尚、この加湿換気運転の第1動作において、第2吸着熱交換器(76)では、第2空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。これにより、第2空気は、第2吸着熱交換器(76)の吸着剤の再生に利用される。
−加湿換気運転の第2動作−
次に、加湿換気運転の第2動作について説明する。ここで、各ダンパ(D1〜D8)の切換状態は、除湿換気運転の第2動作と同じであるため省略する。又、加湿換気運転の第2動作中の冷媒回路(70)では、図9に実線で示すように、四路切換弁(73)が第1状態に設定される。この結果、第1吸着熱交換器(75)が蒸発器となって、第2吸着熱交換器(76)が凝縮器となる。
ここで、上記ケーシング(11)内を流通する第1空気の流れは、除湿換気運転の第2動作と同じであるため省略する。尚、この加湿換気運転の第2動作において、第2吸着熱交換器(76)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第1空気に付与される。これにより、第1空気は、第2吸着熱交換器(76)で加湿される。
又、上記ケーシング(11)内を流通する第2空気の流れは、除湿換気運転の第2動作と同じであるため省略する。尚、この加湿換気運転の第2動作において、第1吸着熱交換器(75)では、第2空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。これにより、第2空気は、第1吸着熱交換器(75)の吸着剤の再生に利用される。
−実施形態の効果−
上記実施形態によれば、上記空気通路(1,2)により、上記調湿部材(75,76)を通過させるとともに該調湿部材(75,76)の下側でUターンさせる空気流れが上記ケーシング(11)内に形成される。ここで、上記空気通路(1,2)の外気通路(1a,2a)は、上記内気通路(1b,2b)と違って上記吸着熱交換器(75,76)を回り込まない分だけ、上記内気通路(1b,2b)よりも短くすることができる。
これにより、上記空気通路(1,2)の結露防止のため、上記外気通路(1a,2a)に断熱部材(4)を設ける場合には、該外気通路(1a,2a)が短くなった分だけ断熱部材(4)を節約することができ、空気通路(1,2)内に生じる結露を低コストで防止することができる。
また、上記実施形態によれば、上記流路切換部(D1〜D8)を有する調湿装置の場合にも、第1の発明と同様に、上記外気通路(1a,2a)を上記内気通路(1b,2b)よりも短くすることができる。これにより、上記外気通路(1a,2a)に設ける断熱部材(4)を節約することができ、空気通路(1,2)内に生じる結露をできるだけ低コストで防止することができる。
また、上記実施形態によれば、上記外気口(50,53)及び上記外気ダンパ(D1,D2,D7,D8)の開口方向を一致させている。こうすると、上記外気口(50,53)の開口方向と上記外気ダンパ(D1,D2,D7,D8)の開口方向が不一致の場合に比べて、上記外気口(50,53)及び上記外気ダンパ(D1,D2,D7,D8)の間の部分を最短で繋ぎやすくなり、上記外気通路(1a,2a)を短くすることができる。これにより、上記外気通路(1a,2a)に設ける断熱部材(4)をさらに節約することができる。
また、上記実施形態によれば、上記内気口(51,52)の開口方向と上記内気ダンパ(D3,D4,D5,D6)の開口方向が平行の場合に比べて、上記内気通路(1b,2b)が吸着熱交換器(75,76)に対して回り込みやすくなる。これにより、上記ケーシング(11)内に上記内気通路(1b,2b)を形成しやすくすることができる。
また、上記実施形態によれば、上記内気通路(1b,2b)の通路幅を、各調湿室(27,28)の幅よりも広げることができる。これにより、各調湿室(27,28)から上記内気通路(1b,2b)へ流出する空気流れを拡大することができ、該内気通路(1b,2b)を通過する空気の抵抗を減らすことができる。
また、上記実施形態によれば、上記第1及び第2の吸着熱交換器(75,76)の高さが異なる場合に比べて、上記ケーシング(11)の高さ寸法を小さくなる。これにより、上記ケーシング(11)を小型化しつつ、空気通路(1,2)内に生じる結露を低コストで防止することができる。
以上説明したように、本発明は、室外の空気を調湿した後で室内へ供給する調湿装置について有用である。
1 第1空気通路
2 第2空気通路
1a,2a 外気通路
1b,2b 内気通路
4 断熱部材
10 調湿装置
11 ケーシング
27 第1調湿室
28 第2調湿室
50 室外吸込口
51 室内給気口
52 室内吸込口
53 室外排気口
70 冷媒回路
75 第1吸着熱交換器(調湿部材)
76 第2吸着熱交換器(調湿部材)
D1,D2,D7,D8 外気ダンパ(流路切換部)
D3,D4,D5,D6 内気ダンパ(流路切換部)
本発明は、室外の空気を調湿した後で室内へ供給する調湿装置に関するものである。
従来より、室外から取り込んだ空気を調湿した後で室内へ供給する調湿装置が知られている。そして、これらの調湿装置の中には、特許文献1に示すように、室外に連通する外気口と室内に連通する内気口とがケーシングの上面に開口しているものがある。
特許文献1の調湿装置は、縦長の直方体状に形成されたケーシングを備えている。このケーシング内には、上下に並んだ3つの空間に区画されている。上側の空間は、外気口に連通する外気空間と内気口に連通する内気空間とに区画されている。中間の空間は、上下に並んだ2つの調湿室と、これらの調湿室を挟んで両側に位置する上記外気空間に連通する外気中間空間と上記内気空間に連通する内気中間空間とに区画されている。下側の空間には、上記調湿室に設けられた吸着熱交換器を接続した冷媒回路の圧縮機が収容されている。
ところで、この調湿装置を室内に設置した場合において、室内と室外との温度差が大きくなると、上記外気口に連通している部分、つまり外気空間及び外気中間空間で結露が生じやすくなる。これらの空間は空気が流通する空気通路を構成しており、上述した結露による水滴によって、この空気通路にカビや雑菌等が繁殖してしまうという問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、室外の空気を調湿した後で室内へ供給する調湿装置において、空気通路内に生じる結露をできるだけ低コストで防止できるようにすることにある。
第1の発明は、調湿装置を対象とする。そして、箱状のケーシング(11)と、上記ケーシング(11)の上面(16)に開口して室外に連通する外気口(50,53)と、上記ケーシング(11)の上面(16)に開口して室内に連通する内気口(51,52)と、上記ケーシング(11)内に設けられ、空気が上下方向に流通する空気流路(74)を有して該空気流路(74)の空気を調湿する調湿部材(75,76)と、上記調湿部材(75,76)の空気流路(74)を通じて上記外気口(50,53)と上記内気口(51,52)を連通させて該調湿部材(75,76)の下側でUターンする空気流れを上記ケーシング(11)内に形成する空気通路(1,2)とを備え、上記空気通路(1,2)は、上記外気口(50,53)から延びて上記調湿部材(75,76)の空気流路(74)の上端に連通する外気通路(1a,2a)と、上記内気口(51,52)から上記調湿部材(75,76)の側方下側へ延び側方下側から上側へ回り込んで上記調湿部材(75,76)の空気流路(74)の下端に連通する内気通路(1b,2b)とを有しているものである。
第1の発明では、上記空気通路(1,2)により、上記調湿部材(75,76)を通過させるとともに該調湿部材(75,76)の下側でUターンさせる空気流れが上記ケーシング(11)内に形成される。この空気通路(1,2)は、上記外気口(50,53)から上記調湿部材(75,76)の空気流路(74)の上端へ至る外気通路(1a,2a)と、上記内気口(51,52)から上記調湿部材(75,76)の空気流路(74)の下端へ至る内気通路(1b,2b)とを有している。そして、上記内気通路(1b,2b)及び上記外気通路(1a,2a)のうち、上記内気通路(1b,2b)は、上記調湿部材(75,76)の側方下側から上記調湿部材(75,76)の下面へ回り込むように形成している。
これにより、上記外気通路(1a,2a)は、上記内気通路(1b,2b)と違って上記調湿部材(75,76)を回り込まない分だけ、上記内気通路(1b,2b)よりも短くなる。そして、上記空気通路(1,2)の結露防止のため、上記外気通路(1a,2a)に断熱部材(4)を設ける場合には、該外気通路(1a,2a)が短くなった分だけ断熱部材(4)を節約することができるようになる。
第2の発明は、第1の発明において、上記外気口(50,53)は、室外吸込口(50)及び室外排気口(53)で構成され、上記内気口(51,52)は、室内吸込口(52)及び室内給気口(51)で構成され、上記調湿部材(75,76)は、上記空気流路(74)の空気を調湿する吸着剤が担持された第1及び第2の吸着熱交換器(75,76)で構成され、上記空気通路(1,2)は、第1の外気通路(1a)及び第1の内気通路(1b)を有して上記室外吸込口(50)と上記室内給気口(51)を連通させる第1空気通路(1)と、第2の外気通路(2a)及び第2の内気通路(2b)を有して上記室内吸込口(52)と上記室外排気口(53)を連通させる第2空気通路(2)とで構成される一方、上記第1の空気通路(1)を流れる空気が上記第1の吸着熱交換器(75)を通過して上記第2の空気通路(2)を流れる空気が上記第2の吸着熱交換器(76)を通過する状態と、上記第1の空気通路(1)を流れる空気が上記第2の吸着熱交換器(76)を通過して上記第2の空気通路(2)を流れる空気が上記第1の吸着熱交換器(75)を通過する状態とを交互に切り換える流路切換部(D1〜D8)を備えているものである。
第2の発明では、上記流路切換部(D1〜D8)によって、上記第1及び第2の吸着熱交換器(75,76)と上記第1及び第2の空気通路(1,2)との間の連通状態を切り換えながら運転する調湿装置の場合にも、第1及び第2の空気通路(1,2)に係る外気通路(1a,2a)が内気通路(1b,2b)よりも短くなった分だけ断熱部材(4)を節約することができるようになる。
第3の発明は、第2の発明において、上記流路切換部(D1〜D8)は、上記第1及び第2の空気通路(1,2)の外気通路(1a,2a)と上記第1及び第2の吸着熱交換器(75,76)の空気流路(74)との間の連通状態を切り換える複数の外気ダンパ(D1,D2,D7,D8)を含み、上記ケーシング(11)内には、上記第1の吸着熱交換器(75)が収容される第1の収容室(27)と、上記第2の吸着熱交換器(76)が収容される第2の収容室(28)とが形成され、上記第1及び第2の空気通路(1,2)の外気通路(1a,2a)は、上記第1及び第2の収容室(27,28)の上面(20)を貫通する一方、上記複数の外気ダンパ(D1,D2,D7,D8)は、上記第1及び第2の収容室(27,28)の上面(20)に設けられているものである。
第3の発明では、上記複数の外気ダンパ(D1,D2,D7,D8)を第1及び第2の収容室(27,28)の上面に設けている。これにより、上記外気口(50,53)の開口方向と上記外気ダンパ(D1,D2,D7,D8)の開口方向とを一致させることができるようになる。この結果、これらの開口方向が不一致の場合に比べて、上記外気口(50,53)及び上記外気ダンパ(D1,D2,D7,D8)の間の部分を最短で繋ぎやすくなり、上記外気通路(1a,2a)をさらに短くしやすくなる。
第4の発明は、第2又は第3の発明において、上記流路切換部(D1〜D8)は、上記第1及び第2の空気通路(1,2)の内気通路(1b,2b)と上記第1及び第2の吸着熱交換器(75,76)の空気流路(74)との間の連通状態を切り換える複数の内気ダンパ(D3,D4,D5,D6)を含み、上記ケーシング(11)内には、上記第1の吸着熱交換器(75)が収容される第1の収容室(27)と、上記第2の吸着熱交換器(76)が収容される第2の収容室(28)とが形成され、上記第1及び第2の空気通路(1,2)の内気通路(1b,2b)は、上記第1及び第2の収容室(27,28)の側面(23,24)を貫通する一方、上記複数の内気ダンパ(D3,D4,D5,D6)は、上記第1及び第2の収容室(27,28)の側面(23,24)に設けられているものである。
第4の発明では、上記複数の内気ダンパ(D3,D4,D5,D6)を第1及び第2の収容室(27,28)の側面に設けている。これにより、上記内気口(51,52)の開口方向と上記内気ダンパ(D3,D4,D5,D6)の開口方向とを直交させることができるようになる。この結果、これらの開口方向が平行の場合に比べて、上記内気通路(1b,2b)が、上記吸着熱交換器を回り込みやすくなる。
第5の発明は、第4の発明において、上記内気通路(1b,2b)の少なくとも一部は、内気ダンパ(D3,D4,D5,D6)が設けられた第1及び第2の収容室(27,28)の側面(23,24)と上記ケーシング(11)の側面(14)とに面するように形成されているものである。
第5の発明では、上記内気通路(1b,2b)の通路幅を、第1及び第2の収容室(27,28)の幅と同じ寸法にすることができるようになる。これにより、上記内気通路(1b,2b)の通路幅が、各収容室(27,28)の幅よりも広くなる。
第6の発明は、第2から第5の何れか1つの発明において、上記第1及び第2の吸着熱交換器(75,76)は、水平方向に並べられていることを特徴としている。
第6の発明では、上記ケーシング(11)の底面から上記第1及び第2の吸着熱交換器(75,76)までの高さを揃えることができるようになる。これにより、これらの吸着熱交換器の高さが異なる場合に比べて、上記ケーシング(11)の高さ寸法を小さくすることができるようになる。
本発明によれば、上記空気通路(1,2)により、上記調湿部材(75,76)を通過するとともに該調湿部材(75,76)の下側でUターンする空気流れが上記ケーシング(11)内に形成される。ここで、上記空気通路(1,2)の外気通路(1a,2a)は、上記内気通路(1b,2b)と違って上記調湿部材(75,76)を回り込まない分だけ、上記内気通路(1b,2b)よりも短くすることができる。
これにより、上記空気通路(1,2)の結露防止のため、上記外気通路(1a,2a)に断熱部材(4)を設ける場合には、該外気通路(1a,2a)が短くなった分だけ断熱部材(4)を節約することができ、空気通路(1,2)内に生じる結露を低コストで防止することができる。
また、上記第2の発明によれば、上記流路切換部(D1〜D8)を有する調湿装置の場合にも、第1の発明と同様に、上記外気通路(1a,2a)を上記内気通路(1b,2b)よりも短くすることができる。これにより、上記外気通路(1a,2a)に設ける断熱部材(4)を節約することができ、空気通路(1,2)内に生じる結露をできるだけ低コストで防止することができる。
また、上記第3の発明によれば、上記外気口(50,53)の開口方向と上記外気ダンパ(D1,D2,D7,D8)の開口方向が不一致の場合に比べて、上記外気口(50,53)及び上記外気ダンパ(D1,D2,D7,D8)の間の部分を最短で繋ぎやすくなり、上記外気通路(1a,2a)を短くすることができる。これにより、上記外気通路(1a,2a)に設ける断熱部材(4)をさらに節約することができる。
また、上記第4の発明によれば、上記内気口(51,52)の開口方向と上記内気ダンパ(D3,D4,D5,D6)の開口方向が平行の場合に比べて、上記内気通路(1b,2b)が吸着熱交換器(75,76)を回り込みやすくなる。これにより、上記ケーシング(11)内に上記内気通路(1b,2b)を形成しやすくすることができる。
また、上記第5の発明によれば、上記内気通路(1b,2b)の通路幅を、各収容室(27,28)の幅よりも広げることができる。これにより、各収容室(27,28)から上記内気通路(1b,2b)へ流出する空気流れを拡大することができ、該内気通路(1b,2b)を通過する空気の抵抗を減らすことができる。
また、上記第6の発明によれば、上記第1及び第2の吸着熱交換器(75,76)の高さが異なる場合に比べて、上記ケーシング(11)の高さ寸法を小さくなる。これにより、上記ケーシング(11)を小型化しつつ、空気通路(1,2)内に生じる結露を低コストで防止することができる。
実施形態に係る調湿装置の概略構成図である。
実施形態に係る調湿装置の概略構成図であり、図2(A)は上面図を示し、図2(B)は図2(A)のW−W矢視図を示し、図2(C)は図2(A)のX−X矢視図を示し、図2(D)は図2(A)のY−Y矢視図を示し、図2(E)は図2(A)のZ−Z矢視図を示している。
実施形態に係る調湿装置の除湿換気運転および加湿換気運転の第1動作中の空気の流れのうち、室外吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する斜視図である。
実施形態に係る調湿装置の除湿換気運転および加湿換気運転の第1動作中の空気の流れのうち、室内吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する斜視図である。
実施形態に係る調湿装置の除湿換気運転および加湿換気運転の第2動作中の空気の流れのうち、室外吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する斜視図である。
実施形態に係る調湿装置の除湿換気運転および加湿換気運転の第2動作中の空気の流れのうち、室内吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する斜視図である。
実施形態に係る調湿装置の室外吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する模式図である。
実施形態に係る調湿装置の室内吸込口から吸い込まれた空気の流れを説明する模式図である。
実施形態に係る調湿装置の冷媒回路を示す配管系統図である。
実施形態に係る吸着熱交換器の構成を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図3に示すように、本発明の実施形態に係る調湿装置(10)は、室内の床面に設置されて室内の湿度調節を行う床置き型の調湿装置である。ここで、以下の説明における上下方向および左右方向は、図1のケーシング(11)の前面側から視たそれぞれの方向をいうものとする。尚、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《調湿装置の構成》
本実施形態の調湿装置(10)は、ケーシング(11)を備えている。このケーシング(11)には、冷媒回路(70)、給気ファン(57)、及び排気ファン(58)等が収容されている。又、このケーシング(11)の内部には、8つのダンパ(D1〜D8)が取り付けられている。尚、これらのダンパ(D1〜D8)が本発明の流路切換部を構成する。又、このケーシング(11)の空気通路(1,2)には、該空気通路(1,2)での結露を防止するための断熱部材(4)が部分的に取り付けられている。
−ケーシング−
上記ケーシング(11)は、縦長の直方体状に形成されている。このケーシング(11)は、その前面を覆うと共に、ケーシング(11)に対して着脱自在に取り付けられる前面カバー(12)を備え、後面側に背面板(15)とが取り付けられている。又、このケーシング(11)には、上端部に天板(16)が、下端部に底板(17)がそれぞれ取り付けられている。ケーシング(11)には、右端部に右側面板(13)が左端部に左側面板(14)がそれぞれ取り付けられている。
上記天板(16)には、4つのダクト接続口(50〜53)が形成されている。これらのダクト接続口(50〜53)は、天板(16)の4隅に対応するように互いに隣り合って形成されている。具体的には、4つのダクト接続口(50〜53)は、天板(16)の前方左側寄りに形成される室外吸込口(50)と、天板(16)の後方右寄りに形成される室内給気口(51)と、天板(16)の前方右寄りに形成される室内吸込口(52)と、天板(16)の後方左寄りに形成される室外排気口(53)とで構成されている。ここで、上記室外吸込口(50)及び上記室外排気口(53)が、本発明の外気口を構成し、上記室内給気口(51)及び室内吸込口(52)が、本発明の内気口を構成する。
各ダクト接続口(50〜53)には、それぞれ空気が流通可能なダクト(図示なし)が取り付けられている。各ダクトは、室内の天井側に向かって上方に延び、天井裏を伝って所定の空間まで配設されている。これらのダクトを介して室外吸込口(50)および室外排気口(53)は室外空間と繋がり、室内吸込口(52)および室内給気口(51)は室内空間と繋がっている。上記室外吸込口(50)は、フィルタユニット(54)を介してダクトに接続されている。フィルタユニット(54)は、室外吸込口(50)の上部に設けられ、外気フィルタ(56)を収容している。つまり、ダクトを流れる室外空気は、フィルタユニット(54)の内部を流れ、外気フィルタ(56)を通過した後、室外吸込口(50)からケーシング(11)内に取り込まれる。
上記前面カバー(12)は、ケーシング(11)の前側の開放部を覆うようにケーシング(11)に取り付け/取り外し可能に構成されている。前面カバー(12)には、調湿装置(10)の利用者などが調湿装置(10)の運転を切り換えるための操作スイッチ(図示なし)が設けられている。
上記ケーシング(11)は、その内部に直方体状の空間が形成されている。ケーシング(11)の内部には、上部仕切板(20)と下部仕切板(21)とが上下に並んで設けられている。上部仕切板(20)および下部仕切板(21)は、矩形状の板材に形成され、ケーシング(11)の内部で水平な姿勢で支持されている。
下部仕切板(21)と底板(17)との間には、扁平な直方体状の機械室(60)が区画されている。この機械室(60)には、後述する圧縮機(72)、四路切換弁(73)、及びこの調湿装置(10)の運転を制御する制御コントローラ(図示なし)等が収容されている。
又、上記上部仕切板(20)と天板(16)との間には、扁平な直方体状の空間が区画されている。この空間には、縦仕切板(18)と横仕切板(19)とが設けられている。縦仕切板(18)は、長辺が前後方向に延びる板状に形成され、横仕切板(19)は、長辺が左右方向に延びる鉛直な姿勢でケーシング(11)に支持されている。縦仕切板(18)および横仕切板(19)は、上部仕切板(20)と天板(16)との間の空間を、第1室(45)と第2室(46)と第3室(47)と第4室(48)とに区画している。
第1室(45)は、ケーシング(11)の前方左寄りに形成され、第2室(46)は、ケーシング(11)の前方右寄りに形成されている。また、第3室(47)は、ケーシング(11)の後方右側寄りに形成され、第4室(48)は、ケーシング(11)の後方左側寄りに形成されている。
上記縦仕切板(18)は、図3〜図7に示すように、上記第1室(45)と第2室(46)とを仕切る部分のやや後方寄りに第1開口(41)が形成され、第3室(47)と第4室(48)とを仕切る部分のやや前方寄りに第4開口(44)が形成されている。この第1開口(41)は、第1室(45)と第2室(46)とを繋ぐものであり、第4開口(44)は、第3室(47)と第4室(48)とを繋ぐものである。
上記上部仕切板(20)には、図3〜図7に示すように、第1、第2、第7および第8流通口(31,32,37,38)と、第2および第3開口(42,43)が形成されている。第1流通口(31)は、上部仕切板(20)における第1室(45)に臨む部位に形成されている。第2開口(42)は、上部仕切板(20)における第2室(46)に臨む部位の前方側に形成されている。第2流通口(32)は、上部仕切板(20)における第2室(46)に臨む部位に形成されている。第7流通口(37)は、上部仕切板(20)における第3室(47)に臨む部位に形成されている。第3開口(43)は、上部仕切板(20)における第3室(47)に臨む部位の後方側に形成されている。第8流通口(38)は、上部仕切板(20)における第4室(48)に臨む部位に形成されている。
上記第2室(46)には、天板(16)と上部仕切板(20)との間の下側寄りに外気通路カバー(62)が配置されている。外気通路カバー(62)は、第1開口(41)と第2流通口(32)とに両方に連通する空間を形成するものである。外気通路カバー(62)は、第1開口(41)および第2流通口(32)と、第2開口(42)とを仕切るように第2室(46)に設けられている。
また、第2室(46)内の第2流通口(32)には、内気フィルタ(55)が設けられている。内気フィルタ(55)は、室内吸込口(52)の下側に配設されている。内気フィルタ(55)は、板状、あるいはシート状に形成され、第2流通口(32)を覆うように取り付けられている。この内気フィルタ(55)は、第2室(46)において前後方向に進退自在に構成されている。
上記第3室(47)には、天板(16)と上部仕切板(20)との間の下側寄りに排気通路カバー(63)が配置されている。排気通路カバー(63)は、第4開口(44)と第7流通口(37)との両方に連通する空間を形成するものである。排気通路カバー(63)は、第4開口(44)および第7流通口(37)と、第3開口(43)とを仕切るように第3室(47)に設けられている。
また、第3室(47)には上記排気通路カバー(63)の上部に給気ファン(57)が設けられ、第4室(48)には排気ファン(58)が設けられている。これらのファン(57,58)は、それぞれ遠心型の多翼ファン(いわゆるシロッコファン)で構成されている。
下部仕切板(21)と上部仕切板(20)との間には、直方体状の空間が区画されている。この空間には、前側仕切板(23)と後側仕切板(24)とが設けられている。前側仕切板(23)および後側仕切板(24)は、下部仕切板(21)から上部仕切板(20)に亘って形成され、ケーシング(11)の前面カバー(12)および背面板(15)と平行に鉛直な姿勢でケーシング(11)に支持されている。そして、前側仕切板(23)および後側仕切板(24)は、下部仕切板(21)および上部仕切板(20)の間の空間を3つの空間に仕切っている。
上記前側仕切板(23)には、第3および第4流通口(33,34)が形成されている。第3流通口(33)は前側仕切板(23)の下部の左側寄りに形成され、第4流通口(34)は前側仕切板(23)の下部の右側寄りに形成されている。
上記後側仕切板(24)には、第5および第6流通口(35,36)が形成されている。第5流通口(35)は、後側仕切板(24)の下部の左側寄りに形成されている。第5流通口(35)は、第1吸着熱交換器(75)に対応している。第6流通口(36)は、後側仕切板(24)の下部の右側寄りに形成されている。第6流通口(36)は、第2吸着熱交換器(76)に対応している。
上記3つの空間のうち、前側寄りの空間は第1中間通路(25)を構成している。第1中間通路(25)は、前側仕切板(23)とケーシング(11)の前面カバー(12)との間に形成されている。また、3つの空間のうち、後側寄りの空間は第2中間通路(26)を構成している。第2中間通路(26)は、後側仕切板(24)とケーシング(11)の背面板(15)との間に形成されている。
上記第1中間通路(25)は、その上端が第2開口(42)と連通し、その下端が下部仕切板(21)によって閉塞されている。また、第2中間通路(26)は、その上端が第3開口(43)と連通し、その下端が下部仕切板(21)によって閉塞されている。
上記3つの空間のうちの中央の空間は、中央仕切板(22)によって左右に区画されている。そして、左右の空間のうち、左側の空間が第1調湿室(27)を構成し、右側の空間が第2調湿室(28)を構成している。つまり、第1調湿室(27)と第2調湿室(28)とは、中央仕切板(22)を挟んで互いに隣り合うように左右に並んで形成されている。尚、上記第1調湿室(27)には、後述する第1吸着熱交換器(75)が収容され、上記第2調湿室(28)には、後述する第2吸着熱交換器(76)が収容されている。
−冷媒回路−
上記冷媒回路(70)は、図9に示すように、圧縮機(72)、第1吸着熱交換器(75)、第2吸着熱交換器(76)、四路切換弁(73)、および電子膨張弁(95)が互いに冷媒配管(85)によって接続された閉回路である。尚、第1及び第2の吸着熱交換器(75,76)が、本発明の調湿部材を構成する。この冷媒回路(70)は、冷媒配管(85)の内部を冷媒が循環されることによって、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うものである。
上記圧縮機(72)は、縦置き型の圧縮機に構成され、例えばスクロール型又はロータリ型の圧縮機構を有している。この圧縮機(72)は、上述したように、ケーシング(11)の機械室(60)に収容されている。
上記第1及び第2の吸着熱交換器(75,76)は、図10に示すように、クロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器によって構成されている。これら吸着熱交換器(75,76)は、銅製の伝熱管(77)とアルミニウム製のフィン(78)とを備えている。吸着熱交換器(75,76)に設けられた複数のフィン(78)は、それぞれが長方形状に形成され、一定の間隔で並べられている。また、伝熱管(77)は、フィン(78)の配列方向に蛇行する形状となっている。つまり、この伝熱管(77)では、各フィン(78)を貫通する直管部と、隣り合った直管部同士を接続するU字管部とが交互に構成されている。尚、フィン(78)とフィン(78)との間が、吸着熱交換器(75,76)の空気流路(74)を構成する。
上記各吸着熱交換器(75,76)では、各フィン(78)の表面に吸着剤が担持されており、フィン(78)の間を通過する空気がフィン(78)に担持された吸着剤と接触する。この吸着剤としては、ゼオライト、シリカゲル、活性炭、親水性の官能基を有する有機高分子材料など、空気中の水分に対して所定の吸脱着性能を有するものが用いられている。
上述したように、第1吸着熱交換器(75)は第1調湿室(27)に収容され、第2吸着熱交換器(76)は第2調湿室(28)に収容されている。各吸着熱交換器(75,76)は、それぞれの調湿室(27,28)において水平となる姿勢で配置されている。このとき、上記第1及び第2の吸着熱交換器(75,76)は、上記ケーシング(11)の中央仕切板(22)を挟んで両側に水平方向に並んでいる。
上記四路切換弁(73)は、上記冷媒回路(70)を流れる冷媒の循環方向を切り換えるものである。この四路切換弁(73)は4つのポートを備えている。そして、この四路切換弁(73)は、第1のポートと第4のポートとが連通して第2のポートと第3のポートとが連通する第1状態と、第1のポートと第3のポートとが連通して第2のポートと第4のポートとが連通する第2状態とに切り換え可能となっている。
尚、上記第1のポートには上記圧縮機(72)の吐出部が接続され、上記第2ポートには上記圧縮機(72)の吸入部が接続されている。又、上記第3ポートと上記第4ポートとを接続する冷媒配管には、第3ポートから第4ポートへ向かって順に、第1吸着熱交換器(75)と、電子膨張弁(95)と、第2吸着熱交換器(76)とが接続されている。
−ダンパ−
上記8つのダンパ(D1〜D8)は、例えば2枚のシャッタと、水平軸を支点として各シャッタを回転させるモータとを有している。各ダンパ(D1〜D8)では、モータの回転により2枚のシャッタが変位して対応する流通口(31〜38)を開放状態と閉鎖状態とに切り換わる。これらのダンパ(D1〜D8)を開閉することにより、各吸着熱交換器(75,76)を通過する空気の流れを切り換えることができる。
上記各ダンパ(D1〜D8)は、図2〜図8に示すように、上記上部仕切板(20)、前側仕切板(23)および後側仕切板(24)に設けられている。上記上部仕切板(20)には4つのダンパ(D1,D2,D7,D8)が設けられ、前側仕切板(23)および後側仕切板(24)には、それぞれ2つのダンパ((D3,D4),(D5,D6))が設けられている。
(室外吸入側の外気ダンパ)
上記ケーシング(11)の第1流通口(31)に第1ダンパ(D1)が取り付けられ、第2流通口(32)に第2ダンパ(D2)が取り付けられている。これらの第1及び第2ダンパ(D1,D2)が室外吸入側の外気ダンパ(D1,D2)を構成する。
ここで、上記第1ダンパ(D1)が開となり且つ上記第2ダンパ(D2)が閉となる状態が室外吸入側の外気ダンパ(D1,D2)に係る第1状態である(図3を参照)。この第1状態では、上記第1室(45)と、上記第1流通口(31)とを通じて上記室外吸込口(50)と上記第1調湿室(27)とが連通する。尚、上記室外吸込口(50)から上記第1吸着熱交換器(75)の上面(80)へ至るまでの通路が本発明の外気通路(1a)を構成する(図7を参照)。
一方、上記第1状態とは逆に、上記第1ダンパ(D1)が閉となり且つ上記第2ダンパ(D2)が開となる状態が室外吸入側の外気ダンパ(D1,D2)に係る第2状態である(図5を参照)。この第2状態では、上記第1室(45)と、上記第1開口(41)と、上記第2室(46)に係る外気通路カバー(62)の内部空間と、上記第2流通口(32)とを通じて上記室外吸込口(50)と上記第2調湿室(28)とが連通する。尚、上記室外吸込口(50)から上記第2吸着熱交換器(76)の上面へ至るまでの通路が本発明の外気通路(1a)を構成する(図7を参照)。
(室内吸入側の内気ダンパ)
上記ケーシング(11)の第3流通口(33)に第3ダンパ(D3)が取り付けられ、第4流通口(34)に第4ダンパ(D4)が取り付けられている。これらの第3及び第4ダンパ(D3,D4)が室内吸入側の内気ダンパ(D3,D4)を構成する。
ここで、上記第3ダンパ(D3)が開となり且つ上記第4ダンパ(D4)が閉となる状態が室内吸入側の内気ダンパ(D3,D4)に係る第1状態である(図6を参照)。この第1状態では、上記第2室(46)に係る外気通路カバー(62)の内部空間と、上記第2開口(42)と、上記第1中間通路(25)と、上記第3流通口(33)とを通じて上記室内吸込口(52)と上記第1調湿室(27)とが連通する。尚、上記室内吸込口(52)から上記第1吸着熱交換器(75)の下面へ至るまでの通路が本発明の内気通路(2b)を構成する(図8を参照)。
一方、上記第1状態とは逆に、上記第3ダンパ(D3)が閉となり且つ上記第4ダンパ(D4)が開となる状態が室内吸入側の内気ダンパ(D3,D4)に係る第2状態である(図4を参照)。この第2状態では、上記第2室(46)に係る外気通路カバー(62)の内部空間と、上記第2開口(42)と、上記第1中間通路(25)と、上記第4流通口(34)とを通じて上記室内吸込口(52)と上記第2調湿室(28)とが連通する。尚、上記室内吸込口(52)から上記第2吸着熱交換器(76)の下面(81)へ至るまでの通路が本発明の内気通路(2b)を構成する(図8を参照)。
(室内給気側の内気ダンパ)
上記ケーシング(11)の第5流通口(35)に第5ダンパ(D5)が取り付けられ、第6流通口(36)に第6ダンパ(D6)が取り付けられている。これらの第5及び第6ダンパ(D5,D6)が室内給気側の内気ダンパ(D5,D6)を構成する。
ここで、上記第5ダンパ(D5)が開となり且つ上記第6ダンパ(D6)が閉となる状態が室内給気側の内気ダンパ(D5,D6)に係る第1状態である(図3を参照)。この第1状態では、上記第5流通口(35)と、上記第2中間通路(26)と、上記第3開口(43)と、上記第3室(47)に係る排気通路カバー(63)の外部空間とを通じて上記室内給気口(51)と上記第1調湿室(27)とが連通する。尚、上記室内給気口(51)から上記第1吸着熱交換器(75)の下面へ至るまでの通路が本発明の内気通路(1b)を構成する(図7を参照)。
一方、上記第1状態とは逆に、上記第5ダンパ(D5)が閉となり且つ上記第6ダンパ(D6)が開となる状態が室内給気側の内気ダンパ(D5,D6)に係る第2状態である(図5を参照)。この第2状態では、上記第6流通口(36)と、上記第2中間通路(26)と、上記第3開口(43)と、上記第3室(47)に係る排気通路カバー(63)の外部空間とを通じて上記室内給気口(51)と上記第2調湿室(28)とが連通する。尚、上記室内給気口(51)から上記第2吸着熱交換器(76)の下面(81)へ至るまでの通路が本発明の内気通路(1b)を構成する(図7を参照)。
(室外排気側の外気ダンパ)
上記ケーシング(11)の第7流通口(37)に第7ダンパ(D7)が取り付けられ、第8流通口(38)に第8ダンパ(D8)が取り付けられている。これらの第7及び第8ダンパ(D7,D8)が室外排気側の外気ダンパ(D7,D8)を構成する。
ここで、上記第8ダンパ(D8)が開となり且つ上記第7ダンパ(D7)が閉となる状態が室外排気側の外気ダンパ(D7,D8)に係る第1状態である(図6を参照)。この第1状態では、上記第8流通口(38)と、上記第4室(48)とを通じて上記室外排気口(53)と上記第1調湿室(27)とが連通する。尚、上記室外排気口(53)から上記第1吸着熱交換器(75)の上面(80)へ至るまでの通路が本発明の外気通路(2a)を構成する(図8を参照)。
一方、上記第1状態とは逆に、上記第8ダンパ(D8)が閉となり且つ上記第7ダンパ(D7)が開となる状態が室外排気側の外気ダンパ(D7,D8)に係る第2状態である(図4を参照)。この第2状態では、上記第7流通口(37)と、上記第3室(47)に係る排気通路カバー(63)の内部空間と、上記第4開口(44)と、上記第4室(48)とを通じて上記室外排気口(53)と上記第2調湿室(28)とが連通する。尚、上記室外排気口(53)から上記第2吸着熱交換器(76)の上面へ至るまでの通路が本発明の外気通路(2a)を構成する(図8を参照)。
−断熱部材−
上記ケーシング(11)の内面には断熱部材(4)が設けられている。この断熱部材(4)によって、上記ケーシング(11)の空気通路(1,2)内で生じる結露が抑制される。ここで、この空気通路(1,2)のうち室外に連通している部分、本実施形態では外気通路(1a,2a)で結露が生しやすいことから、この外気通路(1a,2a)に断熱部材(4)を設けている。具体的には、図7及び図8に示すように、上記第1室(45)の内面、上記第1及び第2調湿室(27,28)に係る各吸着熱交換器(75,76)よりも上側の内面、及び上記第4室(48)の内面にそれぞれ断熱部材(4)が設けられている。
尚、本実施形態では、上記内気通路(1b,2b)の長さよりも上記外気通路(1a,2a)の長さが短くなるように空気通路(1,2)を形成している。具体的には、この空気通路(1,2)によって、ケーシング(11)内に取り込まれた空気が上記吸着熱交換器(75,76)を通過するとともに該吸着熱交換器(75,76)の下側でUターンする空気流れが形成される。そして、上記内気通路(1b,2b)及び上記外気通路(1a,2a)のうち、上記内気通路(1b,2b)は、上記吸着熱交換器(75,76)の側方下側から上記吸着熱交換器(75,76)の下面へ回り込むように形成している。
これにより、上記外気通路(1a,2a)は、上記内気通路(1b,2b)と違って上記吸着熱交換器(75,76)を回り込まない分だけ、上記内気通路(1b,2b)よりも短くなる。この結果、上記外気通路(1a,2a)が短くなった分だけ断熱部材(4)を節約することができるようになる。
《調湿装置の運転動作》
上記実施形態の調湿装置(10)は、「除湿換気運転」と「加湿換気運転」とを選択的に行う。「除湿換気運転」と「加湿換気運転」では、取り込んだ室外空気(OA)を湿度調湿してから供給空気(SA)として室内へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)を排出空気(EA)として室外へ排出する。以下には、これらの運転について詳細に説明する。
〈除湿換気運転〉
除湿換気運転中の調湿装置(10)では、後述する第1動作と第2動作が所定の間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返される。
除湿換気運転中の調湿装置(10)において、給気ファン(57)を運転すると、室外空気が室外吸込口(50)からケーシング(11)の内へ第1空気として取り込まれる。また、排気ファン(58)を運転すると、室内空気が室内吸込口(52)からケーシング(11)内へ第2空気として取り込まれる。
−除湿換気運転の第1動作−
先ず、除湿換気運転の第1動作について説明する。図3および図4に示すように、この第1動作中には、室外吸入側の外気ダンパ(D1,D2)と室内給気側の内気ダンパ(D5,D6)とが第1状態に設定され、室内吸入側の内気ダンパ(D3,D4)と室外排気側の外気ダンパ(D7,D8)が第2状態に設定される。この結果、第1流通口(31)、第4流通口(34)、第5流通口(35)、および第7流通口(37)が開状態となり、第2流通口(32)、第3流通口(33)、第6流通口(36)、および第8流通口(38)が閉状態となる。
第1動作中の冷媒回路(70)では、図9に実線で示すように、四路切換弁(73)が第1状態に設定される。この状態の冷媒回路(70)では、圧縮機(72)から吐出された冷媒が第2吸着熱交換器(76)、電子膨張弁(95)、第1吸着熱交換器(75)の順に通過し、第2吸着熱交換器(76)が凝縮器となって、第1吸着熱交換器(75)が蒸発器となる。
図3、図4、図7および図8に示すように、ダクトを通過して外気フィルタ(56)を通過した空気は、室外吸込口(50)から第1室(45)へ流入する。外気フィルタ(56)では、第1空気中に含まれる塵埃が捕捉される。第1室(45)へ流入した第1空気は、第1流通口(31)を流れて第1調湿室(27)へ流入する。この第1空気は、第1調湿室(27)内を流れて第1吸着熱交換器(75)を通過する。第1吸着熱交換器(75)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(75)で除湿された第1空気は、第5流通口(35)から第2中間通路(26)へ流出する。第1空気は、第2中間通路(26)を上右方に流れて第3開口(43)から第3室(47)内へ流入し、第3室(47)を流れて室内給気口(51)よりダクトへ流出して室内へ供給される。
一方、上記室内吸込口(52)から第2室(46)内へ流入した第2空気は、内気フィルタ(55)を通過する。内気フィルタ(55)では、第2空気中に含まれる塵埃が捕捉される。内気フィルタ(55)を通過した第2空気は、第2開口(42)から第1中間通路(25)に流れ、第4流通口(34)より第2調湿室(28)へ流入する。この第2空気は、第2調湿室(28)内を流れて第2吸着熱交換器(76)を通過する。第2吸着熱交換器(76)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気へ付与される。第2吸着熱交換器(76)の吸着剤の再生に利用された第2空気は、第7流通口(37)から第3室(47)内に流入し、第4開口(44)を通過して第4室(48)内に流入する。第2空気は、第4室(48)内を流れて室外排気口(53)よりダクトへ流出して室外へ排出される。
−除湿換気運転の第2動作−
次に、除湿換気運転の第2動作について説明する。図5および図6に示すように、この第2動作中には、室外吸入側の外気ダンパ(D1,D2)と室内給気側の内気ダンパ(D5,D6)とが第2状態に設定され、室内吸入側の内気ダンパ(D3,D4)と室外排気側の外気ダンパ(D7,D8)が第1状態に設定される。この結果、各ダンパ(D1〜D8)の状態が切り換わることで、第2流通口(32)、第3流通口(33)、第6流通口(36)、および第8流通口(38)が開状態となり、第1流通口(31)、第4流通口(34)、第5流通口(35)、および第7流通口(37)が閉状態となる。
第2動作中の冷媒回路(70)では、図9に破線で示すように、四路切換弁(73)が第2状態に設定される。この状態の冷媒回路(70)では、圧縮機(72)から吐出された冷媒が第1吸着熱交換器(75)、電子膨張弁(95)、第2吸着熱交換器(76)の順に通過し、第1吸着熱交換器(75)が凝縮器となって、第2吸着熱交換器(76)が蒸発器となる。
図5、図6、図7および図8に示すように、ダクトを通過して外気フィルタ(56)を通過した空気は、室外吸込口(50)から第1室(45)へ流入する。外気フィルタ(56)では、第1空気中に含まれる塵埃が捕捉される。第1室(45)へ流入した第1空気は、第1開口(41)を通過して第2室(46)内へ流れ、第2流通口(32)を流れて第2調湿室(28)へ流入する。この第1空気は、第2調湿室(28)内を流れて第2吸着熱交換器(76)を通過する。第2吸着熱交換器(76)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(76)で除湿された第1空気は、第6流通口(36)から第2中間通路(26)へ流出する。第1空気は、第2中間通路(26)を上方に流れて第3室(47)内へ流入し、第3室(47)を流れて室内給気口(51)よりダクトへ流出して室内へ供給される。
一方、上記室内吸込口(52)から第2室(46)内へ流入した第2空気は、内気フィルタ(55)を通過する。内気フィルタ(55)では、第2空気中に含まれる塵埃が捕捉される。内気フィルタ(55)を通過した第2空気は、第2開口(42)から第1中間通路(25)に流れ、第3流通口(33)より第1調湿室(27)へ流入する。この第2空気は、第1調湿室(27)内を流れて第1吸着熱交換器(75)を通過する。第1吸着熱交換器(75)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気へ付与される。第1吸着熱交換器(75)の吸着剤の再生に利用された第2空気は、第8流通口(38)から第4室(48)内に流入に流入する。第2空気は、第4室(48)内を流れて室外排気口(53)よりダクトへ流出して室外へ排出される。
〈加湿換気運転〉
加湿換気運転中の調湿装置(10)では、後述する第1動作と第2動作が所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返される。
加湿換気運転中の調湿装置(10)において、給気ファン(57)を運転すると、室外空気が室外吸込口(50)からケーシング(11)の内へ第1空気として取り込まれる。また、排気ファン(58)を運転すると、室内空気が室内吸込口(52)からケーシング(11)内へ第2空気として取り込まれる。
−加湿換気運転の第1動作−
先ず、加湿換気運転の第1動作について説明する。ここで、各ダンパ(D1〜D8)の切換状態は、除湿換気運転の第1動作と同じであるため省略する。又、加湿換気運転の第1動作中の冷媒回路(70)では、図9に破線で示すように、四路切換弁(73)が第2状態に設定される。この結果、第1吸着熱交換器(75)が凝縮器となって、第2吸着熱交換器(76)が蒸発器となる。
ここで、上記ケーシング(11)内を流通する第1空気の流れは、除湿換気運転の第1動作と同じであるため省略する。尚、この加湿換気運転の第1動作において、第1吸着熱交換器(75)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第1空気に付与される。これにより、第1空気は、第1吸着熱交換器(75)で加湿される。
又、上記ケーシング(11)内を流通する第2空気の流れは、除湿換気運転の第1動作と同じであるため省略する。尚、この加湿換気運転の第1動作において、第2吸着熱交換器(76)では、第2空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。これにより、第2空気は、第2吸着熱交換器(76)の吸着剤の再生に利用される。
−加湿換気運転の第2動作−
次に、加湿換気運転の第2動作について説明する。ここで、各ダンパ(D1〜D8)の切換状態は、除湿換気運転の第2動作と同じであるため省略する。又、加湿換気運転の第2動作中の冷媒回路(70)では、図9に実線で示すように、四路切換弁(73)が第1状態に設定される。この結果、第1吸着熱交換器(75)が蒸発器となって、第2吸着熱交換器(76)が凝縮器となる。
ここで、上記ケーシング(11)内を流通する第1空気の流れは、除湿換気運転の第2動作と同じであるため省略する。尚、この加湿換気運転の第2動作において、第2吸着熱交換器(76)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第1空気に付与される。これにより、第1空気は、第2吸着熱交換器(76)で加湿される。
又、上記ケーシング(11)内を流通する第2空気の流れは、除湿換気運転の第2動作と同じであるため省略する。尚、この加湿換気運転の第2動作において、第1吸着熱交換器(75)では、第2空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。これにより、第2空気は、第1吸着熱交換器(75)の吸着剤の再生に利用される。
−実施形態の効果−
上記実施形態によれば、上記空気通路(1,2)により、上記吸着熱交換器(75,76)を通過するとともに該吸着熱交換器(75,76)の下側でUターンする空気流れが上記ケーシング(11)内に形成される。ここで、上記空気通路(1,2)の外気通路(1a,2a)は、上記内気通路(1b,2b)と違って上記吸着熱交換器(75,76)を回り込まない分だけ、上記内気通路(1b,2b)よりも短くすることができる。
これにより、上記空気通路(1,2)の結露防止のため、上記外気通路(1a,2a)に断熱部材(4)を設ける場合には、該外気通路(1a,2a)が短くなった分だけ断熱部材(4)を節約することができ、空気通路(1,2)内に生じる結露を低コストで防止することができる。
また、上記実施形態によれば、上記流路切換部(D1〜D8)を有する調湿装置の場合にも、第1の発明と同様に、上記外気通路(1a,2a)を上記内気通路(1b,2b)よりも短くすることができる。これにより、上記外気通路(1a,2a)に設ける断熱部材(4)を節約することができ、空気通路(1,2)内に生じる結露をできるだけ低コストで防止することができる。
また、上記実施形態によれば、上記外気口(50,53)及び上記外気ダンパ(D1,D2,D7,D8)の開口方向を一致させている。こうすると、上記外気口(50,53)の開口方向と上記外気ダンパ(D1,D2,D7,D8)の開口方向が不一致の場合に比べて、上記外気口(50,53)及び上記外気ダンパ(D1,D2,D7,D8)の間の部分を最短で繋ぎやすくなり、上記外気通路(1a,2a)を短くすることができる。これにより、上記外気通路(1a,2a)に設ける断熱部材(4)をさらに節約することができる。
また、上記実施形態によれば、上記内気口(51,52)の開口方向と上記内気ダンパ(D3,D4,D5,D6)の開口方向が平行の場合に比べて、上記内気通路(1b,2b)が吸着熱交換器(75,76)に対して回り込みやすくなる。これにより、上記ケーシング(11)内に上記内気通路(1b,2b)を形成しやすくすることができる。
また、上記実施形態によれば、上記内気通路(1b,2b)の通路幅を、各調湿室(27,28)の幅よりも広げることができる。これにより、各調湿室(27,28)から上記内気通路(1b,2b)へ流出する空気流れを拡大することができ、該内気通路(1b,2b)を通過する空気の抵抗を減らすことができる。
また、上記実施形態によれば、上記第1及び第2の吸着熱交換器(75,76)の高さが異なる場合に比べて、上記ケーシング(11)の高さ寸法を小さくなる。これにより、上記ケーシング(11)を小型化しつつ、空気通路(1,2)内に生じる結露を低コストで防止することができる。
以上説明したように、本発明は、室外の空気を調湿した後で室内へ供給する調湿装置について有用である。
1 第1空気通路
2 第2空気通路
1a,2a 外気通路
1b,2b 内気通路
4 断熱部材
10 調湿装置
11 ケーシング
27 第1調湿室
28 第2調湿室
50 室外吸込口
51 室内給気口
52 室内吸込口
53 室外排気口
70 冷媒回路
75 第1吸着熱交換器(調湿部材)
76 第2吸着熱交換器(調湿部材)
D1,D2,D7,D8 外気ダンパ(流路切換部)
D3,D4,D5,D6 内気ダンパ(流路切換部)