JP2013048619A - メチシリン耐性黄色ブドウ球菌を検出するためのプライマーおよびプローブ、ならびに、それらを用いたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の検出方法 - Google Patents
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌を検出するためのプライマーおよびプローブ、ならびに、それらを用いたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の検出方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】試料中のMRSAを検出する方法であって、黄色ブドウ球菌に特異的なnuc遺伝子領域を特異的に増幅するプライマー対を用意し、被検核酸および該核酸プライマー対を含む反応液によって被検核酸を増幅し、得られた核酸増幅産物と、該核酸増幅産物の一部と複合体を形成せしめるように設計された核酸プローブとをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめ、得られた複合体を検出する方法。
【選択図】 なし
Description
黄色ブドウ球菌を検出する方法としては、黄色ブドウ球菌に特異的なnuc遺伝子(熱安定性ヌクレアーゼをコードしている遺伝子)を検出する方法が知られている(非特許文献1)。
メチシリン耐性を試験する方法としては、培養による薬剤感受性試験、mecAがコードするPBP−2’を抗PBP−2’抗体を用いたイムノアッセイで検出する方法、mecA又はmecAと連鎖するDNAをPCRで増幅して検出する方法などが実施されている(非特許文献2、非特許文献3)。
試料中のMRSAを検出する方法であって、以下の(A)に示す工程により試料中の黄色ブドウ球菌由来の核酸を検出する手段を含むことを特徴とする、MRSAの検出方法。
(A)
(1)配列番号1と95%以上相同な塩基配列で示される核酸配列のうち一部領域を核酸増幅するための核酸プライマー対であって、以下の(I)または(II)のいずれか1つ以上に該当する核酸プライマー対を用意する工程。
(I)フォワードプライマーが、配列番号3で示される塩基配列を含む20塩基以上36塩基以下の塩基配列からなる核酸プライマーである。
(II)リバースプライマーが、配列番号4で示される塩基配列を含む20塩基以上36塩基以下の塩基配列からなる核酸プライマーである。
(2)被検核酸および核酸プライマー対を含む反応液によって、被検核酸を増幅する工程。
(3)工程(2)によって得られた核酸増幅産物と、該核酸増幅産物の一部と複合体を形成せしめるように設計された核酸プローブとをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめる工程。
(4)工程(3)で得られた複合体を検出する工程。
[項2]
項1に記載のMRSAの検出方法において、工程(A)(I)に記載の核酸プライマー対が、配列番号1で示される核酸配列のうち一部領域を核酸増幅するための核酸プライマー対である、項1に記載のMRSAの検出方法。
[項3]
項1または項2のいずれかに記載のMRSAの検出方法において、工程(A)(I)に記載のフォワードプライマーが配列番号7、8、9、10、のいずれかで示される塩基配列である項1または項2に記載のMRSAの検出方法。
[項4]
項1または項2のいずれかに記載のMRSAの検出方法において、工程(A)(II)に記載のリバースプライマーが配列番号11、12、13、14のいずれかで示される塩基配列である項1または項2に記載のMRSAの検出方法。
[項5]
項1〜項4のいずれかに記載のMRSAの検出方法において、工程(A)に記載の核酸プローブが、配列番号24、25のいずれかに示される核酸配列からなる核酸プローブである、項1〜項4のいずれかに記載のMRSAの検出方法。
[項6]
項5に記載の核酸プローブが、末端のシトシンのうち少なくとも一つが蛍光色素で標識されている核酸プローブである、項5に記載のMRSAの検出方法。
[項7]
項1〜6のいずれかに記載のMRSAの検出方法において、核酸増幅を、α型DNAポリメラーゼ、および、α型DNAポリメラーゼを変異させた変異型、のうち1つ以上を含む系で行う、項1〜6のいずれかに記載のMRSAの検出方法。
[項8]
項1〜7のいずれかに記載のMRSAの検出方法において、さらに、以下の(B)に示す工程により試料中のメチシリン耐性遺伝子由来の核酸を検出する手段を含むことを特徴とする、MRSAの検出方法。
(B)
(5)配列番号2と95%以上相同な塩基配列で示される核酸配列のうち一部領域を核酸増幅するための核酸プライマー対であって、以下の(III)または(IV)のいずれか1つ以上に該当する核酸プライマー対を用意する工程。
(III)フォワードプライマーが、配列番号5で示される塩基配列を含む20塩基以上36塩基以下の塩基配列からなる核酸プライマーである。
(IV)リバースプライマーが、配列番号6で示される塩基配列を含む20塩基以上36塩基以下の塩基配列からなる核酸プライマーである。
(6)被検核酸および核酸プライマー対を含む反応液によって、被検核酸を増幅する工程。
(7)工程(6)によって得られた核酸増幅産物と、該核酸増幅産物の一部と複合体を形成せしめるように設計された核酸プローブとをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめる工程。
(8)工程(7)で得られた複合体を検出する工程。
[項9]
項8に記載のMRSAの検出方法において、工程(B)(III)に記載のフォワードプライマーが配列番号15、16、17、18、19のいずれかで示される塩基配列である項8に記載のMRSAの検出方法。
[項10]
項8に記載のMRSAの検出方法において、工程(B)(IV)に記載のリバースプライマーが配列番号20、21、22、23のいずれかで示される塩基配列である項8に記載のMRSAの検出方法。
[項11]
試料中のMRSAを検出するためのプライマーセットであって、配列番号3で示される塩基配列を含む20塩基以上36塩基以下の塩基配列からなるフォワードプライマー、および、配列番号4で示される塩基配列を含む20塩基以上36塩基以下の塩基配列からなるリバースプライマーから構成されるプライマーセット。
[項12]
項11に記載のプライマーセットが、配列番号7、8、9、10、のいずれかで示される塩基配列であるフォワードプライマー、および、配列番号11、12、13、14のいずれかで示される塩基配列であるリバースプライマーから構成される、項11に記載のプライマーセット。
[項13]
項11または項12に記載のプライマーセットに加えて、さらに、配列番号5で示される塩基配列を含む20塩基以上36塩基以下の塩基配列からなるフォワードプライマー、および、配列番号6で示される塩基配列を含む20塩基以上36塩基以下の塩基配列からなるリバースプライマーから構成されるプライマーセットを含む、項11または項12に記載のプライマーセット。
[項14]
項11または項12に記載のプライマーセットに加えて、さらに、配列番号15、16、17、18、19のいずれかで示される塩基配列であるフォワードプライマー、および、配列番号20、21、22、23のいずれかで示される塩基配列であるリバースプライマーから構成されるプライマーセットを含む、項13に記載のプライマーセット。
[項15]
項11〜14のいずれかに記載のプライマーセットを含む、MRSA検出キット。
本発明のMRSAの検出方法は、試料中のMRSAを検出する方法であって、ある特定の工程により試料中の黄色ブドウ球菌由来の核酸を検出する方法、を含むことを特徴とする。
(1)黄色ブドウ球菌に特異的なnuc遺伝子の領域を特異的に増幅する1対のプライマー対を用意する。
(2)被検核酸および該核酸プライマー対を含む反応液によって被検核酸を増幅する。
(3)工程(2)によって得られた核酸増幅産物と、該核酸増幅産物の一部と複合体を形成せしめるように設計された核酸プローブとをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめる。
(4)工程(3)で得られた複合体を検出する。
本発明のMRSAの検出方法において、黄色ブドウ球菌に特異的なnuc遺伝子の領域を特異的に増幅する1対のプライマー対は、配列番号1で示されるnuc遺伝子と95%以上相同な塩基配列で示される核酸配列のうち一部領域を核酸増幅するための核酸プライマー対である。
上記において、配列番号1との核酸配列の相同性は、好ましくは96%以上、さらに好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上、さらに好ましくは100%(すなわち配列番号1そのもの)である。
なお、本願明細書において、核酸配列の相同性は、GENETYXソフトで比較した値を意味する。
GENETYXソフトは、例えば、GENETYX CORPORATIONから販売されているGENETYX WIN Version 6.1のものを使用できる。
また、本願明細書において、「相同性」の用語は、「同一性」の意味で用いている。
(I)フォワードプライマーが、配列番号3で示される塩基配列を含む20塩基以上36塩基以下の塩基配列からなる核酸プライマーである。
(II)リバースプライマーが、配列番号4で示される塩基配列を含む20塩基以上36塩基以下の塩基配列からなる核酸プライマーである。
配列番号3はnuc遺伝子のセンス鎖に由来する配列であり、配列番号4はアンチセンス鎖に由来する配列である。
上記のプライマー対は(I)または(II)のいずれか1つ以上に該当すれば特に限定されるものではないが、センス鎖に由来する配列とアンチセンス鎖に由来する配列の組合せでなければならない。
本発明における被検核酸は、例えば、一本鎖でもよいし、二本鎖でもよい。二本鎖の場合は、例えば、被検核酸とプローブとをハイブリダイズさせてハイブリッド体を形成するために、加熱により前記二本鎖を一本鎖に解離させる工程を含むことが好ましい。
試料の採取方法、DNAやRNA等の核酸の調製方法等は、制限されず、従来公知の方法が採用できる。
例えば、上記KOD DNA Polymerase以外に100塩基/秒以上のデオキシリボ核酸合成速度を有するDNAポリメラーゼとして、「KOD FX(東洋紡績製、登録商標)」、「KOD −Plus−(東洋紡績製、商標)」、「KOD Dash(東洋紡績製、登録商標)」、PrimeSTAR HS DNAポリメラーゼ(タカラバイオ製、登録商標)なども利用できる。
なかでも、高い正確性とDNA合成活性とをあわせ持つKOD −Plus−が望ましい。
本発明において、DNA合成活性とは鋳型DNAにアニールされたオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの3’−ヒドロキシル基にデオキシリボヌクレオシド5’−トリホスフェートのα−ホスフェートを共有結合せしめることにより、デオキシリボ核酸にデオキシリボヌクレオシド5’−モノホスフェートを鋳型依存的に導入する反応を触媒する活性をいう。
A: 40mM Tris−HCl(pH7.5)
16mM 塩化マグネシウム
15mM ジチオスレイトール
100μg/ml BSA
B: 2μg/μl 活性化仔牛胸腺DNA
C: 1.5mM dNTP(250cpm/pmol〔3H〕dTTP)
D: 20% トリクロロ酢酸(2mMピロリン酸ナトリウム)
E: 1μg/μl キャリアーDNA
本発明において、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性とは、DNAの3’末端領域を切除し、5’−モノヌクレオチドを遊離する活性をいう。
その活性測定法は、50μlの反応液(120mM Tris−HCl(pH8.8 at 25℃), 10mM KCl, 6mM 硫酸アンモニウム,1mM MgCl2, 0.1% Triton X−100, 0.001% BSA,5 μg トリチウムラベルされた大腸菌DNA)を1.5mlのエッペンドルフチューブに分注し、DNAポリメラーゼを加える。75℃で10分間反応させた後、氷冷によって反応を停止し、次にキャリアーとして、0.1%のBSAを50μl加え、さらに10%のトリクロロ酢酸、2%ピロリン酸ナトリウム溶液を100μl加え混合する。氷上で15分放置した後、12,000回転で10分間遠心し沈殿を分離する。上清100μlの放射活性を液体シンチレーションカウンター(パッカード社製)で計測し、酸可溶性画分に遊離したヌクレオチド量を測定する。
本発明のMRSAの検出方法においては、工程(2)によって得られた核酸増幅産物と、該核酸増幅産物の一部と複合体を形成せしめるように設計された核酸プローブとをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめる。
中でも、増幅反応と、後述の検出反応とを連続的に行うことができるため、増幅反応前に添加することが好ましい。このように核酸増幅反応の前に前記プローブを添加する場合は、例えば、後述のように、その3’末端に、蛍光色素を付加したり、リン酸基を付加したりすることが好ましい。
配列番号25で示される本発明のプローブも、nuc遺伝子の358〜376位に相補的な配列で構成されている。
本発明プローブは野生型nuc遺伝子と完全に相補的な塩基配列であるため、nuc遺伝子中の本発明プローブが結合する部分領域の野生型と変異型とを識別することができる。
nuc遺伝子の402位はチミンでもシトシンでもアミノ酸には変化が無い。従って、上記変異は黄色ブドウ球菌の形質には影響を与えないものと考えられる。
上記で得られた複合体を検出する方法は特に限定されない。例えば、融解曲線分析による方法が挙げられる。
二本鎖DNAを含む溶液を加熱していくと、260nmにおける吸光度が上昇する。これは、二本鎖DNAにおける両鎖間の水素結合が加熱によってほどけ、一本鎖DNAに解離(DNAの融解)することが原因である。そして、全ての二本鎖DNAが解離して一本鎖DNAになると、その吸光度は、加熱開始時の吸光度(二本鎖DNAのみの吸光度)の約1.5倍程度を示し、これによって融解が完了したと判断できる。
また、本発明のMRSAの検出方法においては、さらに、試料中のメチシリン耐性遺伝子由来の核酸を検出する手段として、以下の(5)〜(8)の工程を含ませることができる。これにより、黄色ブドウ球菌由来の核酸と、メチシリン耐性遺伝子由来の核酸とを、同時に検出することができ、正確な検査結果をより迅速に臨床現場に提供することが可能になる。
(5)MRSAのメチシリン耐性遺伝子の領域を特異的に増幅する1対のプライマー対を用意する。
(6)被検核酸および核酸プライマー対を含む反応液によって、被検核酸を増幅する。
(7)工程(6)によって得られた核酸増幅産物と、該核酸増幅産物の一部と複合体を形成せしめるように設計された核酸プローブとをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめる。
(8)工程(7)で得られた複合体を検出する。
上記において、配列番号2との核酸配列の相同性は、好ましくは96%以上、さらに好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上、さらに好ましくは100%(すなわち配列番号2そのもの)である。
(III)フォワードプライマーが、配列番号5で示される塩基配列を含む20塩基以上36塩基以下の塩基配列からなる核酸プライマーである。
(IV)リバースプライマーが、配列番号6で示される塩基配列を含む20塩基以上36塩基以下の塩基配列からなる核酸プライマーである。
配列番号5mecA遺伝子のセンス鎖に由来する配列であり、配列番号6はアンチセンス鎖に由来する配列である。
上記のプライマー対は(III)または(IV)のいずれか1つ以上に該当すれば特に限定されるものではないが、センス鎖に由来する配列とアンチセンス鎖に由来する配列の組合せでなければならない。
本発明のプライマーセットは、上記のMRSA検出方法に用いることが出来る。
その一態様は、黄色ブドウ球菌に特異的なnuc遺伝子の領域を特異的に増幅することができる、配列番号3で示される塩基配列を含む20塩基以上36塩基以下の塩基配列からなるフォワードプライマー、および、配列番号4で示される塩基配列を含む20塩基以上36塩基以下の塩基配列からなるリバースプライマーから構成されるプライマーセットである。
nuc遺伝子の領域を特異的に増幅することができるプライマーセットとして、好ましくは、配列番号7、8、9、10、のいずれかで示される塩基配列であるフォワードプライマー、および、配列番号11、12、13、14のいずれかで示される塩基配列であるリバースプライマーから構成される、項11に記載のプライマーセットである。
メチシリン耐性遺伝子由来の核酸領域を特異的に増幅することができるプライマーセットとして、好ましくは、配列番号15、16、17、18、19のいずれかで示される塩基配列であるフォワードプライマー、および、配列番号20、21、22、23のいずれかで示される塩基配列であるリバースプライマーから構成されるプライマーセットである。
[7]MRSA検出キット
本発明のMRSA検出キットは、上記のプライマーセットのうちいずれかを含み、上記のMRSA検出方法に用いることが出来る。該キットは、核酸プローブと、DNAポリメラーゼとを含み、そのほかに、反応に必要な試薬を適宜含むことが好ましい。
(1)試料の調製
STAPHYLOCOCCUS AUREUS (mecA+) DNA CONTROL(Vircell社製)を10mMのTris−HCl(pH7.5)で100(コピー/μl)に調製し、試料とした。陰性コントロール(NC)として水を使用した。
(2)核酸増幅および融解曲線解析
上記試料および陰性コントロールにそれぞれ下記試薬を添加して、下記条件によりnuc遺伝子を検出した。核酸増幅および融解曲線解析には東洋紡績社製GENECUBE(登録商標)を使用した。
以下の試薬を含む溶液を調製した。なお、核酸プライマーの組み合わせについては表1に記載した。
100μM核酸プライマー(配列番号7、8、9、10のいずれか1本)0.2μl
10μM核酸プライマー(配列番号11、12、13、14のいずれか1本)0.4μl
10μM核酸プローブ(配列番号24、3’末端をBODIPY−FL標識)0.4μl
KOD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
PPD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
試料3μl
94℃・2分
(以上1サイクル)
97℃・1秒
50℃・5秒
63℃・5秒
(以上60サイクル)
94℃・30秒
39℃・30秒
39℃〜75℃(0.09℃/秒で温度上昇)
図1は、表1の組み合わせNo.1で示されるプライマー対を用いて核酸増幅を行い、その後の温度上昇にともなう蛍光強度の変化を、グラフの横軸を温度、縦軸を蛍光シグナルの微分値として解析結果を表した図である。図1より明らかなように、黄色ブドウ球菌の遺伝子が検出されている。なお、本実施例では増幅開始から検出終了まで約45分で完了しており、非特許文献4に記載の各方法よりもさらに迅速性に優れる検査方法である。
また、図2から図10は、それぞれ表1の組み合わせNo.2から10で示されるプライマー対を用いて、同様の実験を行った結果である。いずれの組み合わせでも黄色ブドウ球菌のnuc遺伝子が検出されており、本発明のnuc遺伝子検出用核酸プライマーはいずれもnuc遺伝子の迅速検出に有効であることが示された。
(1)試料の調製
実施例1と同じ。
(2)核酸増幅および融解曲線解析
実施例1と同じ。
以下の試薬を含む溶液を調製した。なお、核酸プライマーの組み合わせについては表2に記載した。
10μM核酸プライマー(配列番号15、16、17、18、19のいずれか1本)0.4μl
100μM核酸プライマー(配列番号20、21、22、23のいずれか1本)0.2μl
10μM核酸プローブ(配列番号26、3’末端をBODIPY−FL標識)0.4μl
KOD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
PPD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
試料3μl
実施例1と同じ。
図11は、表1の組み合わせNo.1で示されるプライマー対を用いて核酸増幅を行い、その後の温度上昇にともなう蛍光強度の変化を、グラフの横軸を温度、縦軸を蛍光シグナルの微分値として解析結果を表した図である。図11より明らかなように、mecA遺伝子が検出されている。また、図12から図18は、それぞれ表1の組み合わせNo.2から9で示されるプライマー対を用いて、同様の実験を行った結果である。いずれの組み合わせでも黄色ブドウ球菌のmecA遺伝子が検出されており、本発明のmecA遺伝子検出用核酸プライマーはいずれもmecA遺伝子の迅速検出に有効であることが示された。
(1)試料の調製
実施例1と同じ。
(2)核酸増幅および融解曲線解析
実施例1と同じ。
以下の試薬を含む溶液を調製した。なお、核酸プライマーの組み合わせについては表3に記載した。
10μM核酸プライマー(配列番号7、9のいずれか1本)0.4μl
100μM核酸プライマー(配列番号11、12のいずれか1本)0.2μl
10μM核酸プローブ(配列番号25、3’末端をBODIPY−FL標識)0.4μl
KOD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
PPD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
試料3μl
図19は組み合わせNo.1、図20は組み合わせNo.2で示されるプライマー対を用いて核酸増幅を行い、その後の温度上昇にともなう蛍光強度の変化を、グラフの横軸を温度、縦軸を蛍光シグナルの微分値として解析結果を表した図である。いずれのプライマー対でもnuc遺伝子が検出されており、配列番号25で示される核酸プローブもnuc遺伝子検出に適していることが示される。
上記の実施例1における組み合わせ番号1と、実施例2における組み合わせ番号1のプライマーセットおよびプローブを用いて核酸増幅を行い、nuc遺伝子およびmecA遺伝子の同時検出を行った。
(1)資料の調製
血液培養ボトルにて培養された黄色ブドウ球菌(MSSA)およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)からフェノールクロロホルム抽出法によって抽出したDNA(約100コピー/μl)を試料とした。
(2)核酸増幅および融解曲線解析
実施例1と同じ。
nuc遺伝子検出用試薬は実施例1と、mecA遺伝子検出用試薬は実施例2と同じ。
実施例1と同じ。
本実施例の融解曲線解析の結果を図23および図24に示した。図のResultは検出結果を示しており、nucのmは402位に変異が入った変異型nuc遺伝子が検出されたことを、Wは野生型のnuc遺伝子が検出されたことを示す。mecAの−はmecA遺伝子が検出されなかったことを、RはmecA遺伝子が検出されたことを示す。また、PeakTm1は検出ピークが現れた時の温度を、PeakF1はピークの蛍光微分値を示している。
図23ではnuc遺伝子がm、mecAが−であり、試料であるMSSA DNAはメチシリン耐性遺伝子を持っておらず、なおかつnuc遺伝子が変異型であることが明らかとなった。図24ではnuc遺伝子がW、mecAがRであり、試料であるMRSADNAはnuc遺伝子とmecA遺伝子の両方を有することが明らかになった。
以上から、本発明のプライマー・プローブを用いてnuc遺伝子とmecA遺伝子を同時に調べることでMSSAとMRSAの識別を容易に行うことが可能である。また、nuc遺伝子については402位の変異を検出できることが示唆された。
(1)試料の調製
STAPHYLOCOCCUS AUREUS (mecA+) DNA CONTROL(Vircell社製)を10mMのTris−HCl(pH7.5)で25コピー/μlに調製し、試料とした。陰性コントロール(NC)として水を使用した。
(2)核酸増幅および融解曲線解析
実施例1と同じ。
以下の試薬を含む10μl溶液を調製した。核酸プライマーは本発明に記載の核酸プライマー(配列番号7、11)および発明効果比較用核酸プライマー(配列番号28、29)を用いた。
[試薬組成1]
100μM核酸プライマー(配列番号7)0.15μl
10μM核酸プライマー(配列番号11)0.3μl
10μM核酸プローブ(配列番号24、3’末端をBODIPY−FL標識)0.3μl
KOD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
PPD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
水0.25μl
試料 1μl
[試薬組成2]
以下の試薬を含む10μl溶液を調製した。
100μM核酸プライマー(配列番号28)0.15μl
10μM核酸プライマー(配列番号29)0.3μl
10μM核酸プローブ(配列番号24、3’末端をBODIPY−FL標識)0.3μl
KOD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
PPD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
水0.25μl
試料 1μl
実施例1と同じ。
本比較例は核酸増幅産物長がnuc遺伝子検出に及ぼす影響を見たものである。核酸プライマー7、11による核酸増幅では増幅産物長は188bpとなる。一方、核酸プライマー28、29による核酸増幅では増幅産物長は509bpとなる。
本比較例の結果は図21で表される。増幅産物長が短くなるよう設計した核酸プライマーを含む試薬組成1で核酸増幅および検出を行うと、25コピーのDNAからnuc遺伝子を検出した。しかし、増幅産物長が長くなるよう設計した核酸プライマーを含む試薬組成2で核酸増幅および検出を行うと、25コピーのDNAからnuc遺伝子を検出することはできなかった。以上から、増幅産物長を短く限定すると遺伝子検査の感度が向上することが示された。
(1)試料の調製
比較例1と同じ
(2)核酸増幅および融解曲線解析
実施例1と同じ。
以下の試薬を含む10μl溶液を調製した。核酸プライマーは本発明に記載の核酸プライマー(配列番号15、20)および発明効果比較用核酸プライマー(配列番号30、31)を用いた。
[試薬組成1]
10μM核酸プライマー(配列番号15)0.3μl
100μM核酸プライマー(配列番号20)0.15μl
10μM核酸プローブ(配列番号26、3’末端をBODIPY−FL標識)0.3μl
KOD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
PPD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
水0.25μl
試料 1μl
[試薬組成2]
10μM核酸プライマー(配列番号30)0.3μl
100μM核酸プライマー(配列番号31)0.15μl
10μM核酸プローブ(配列番号26、3’末端をBODIPY−FL標識)0.3μl
KOD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
PPD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
水0.25μl
試料 1μl
実施例1と同じ。
本比較例は核酸増幅産物長がmecA遺伝子検出に及ぼす影響を見たものである。核酸プライマー15、20による核酸増幅では増幅産物長は205bpとなる。一方、核酸プライマー30、31による核酸増幅では増幅産物長は418bpとなる。
本比較例の結果は図22で表される。増幅産物長が短くなるよう設計した核酸プライマーを含む試薬組成1で核酸増幅および検出を行うと、25コピーのDNAからmecA遺伝子を検出した。しかし、増幅産物長が長くなるよう設計した核酸プライマーを含む試薬組成2で核酸増幅および検出を行うと、25コピーのDNAからmecA遺伝子を検出することはできなかった。以上から、nuc遺伝子検査の場合(比較例1)と同様に、mecA遺伝子検査においても増幅産物長を短く限定すると遺伝子検査の感度が向上することが示された。
Claims (15)
- 試料中のMRSAを検出する方法であって、以下の(A)に示す工程により試料中の黄色ブドウ球菌由来の核酸を検出する手段を含むことを特徴とする、MRSAの検出方法。
(A)
(1)配列番号1と95%以上相同な塩基配列で示される核酸配列のうち一部領域を核酸増幅するための核酸プライマー対であって、以下の(I)または(II)のいずれか1つ以上に該当する核酸プライマー対を用意する工程。
(I)フォワードプライマーが、配列番号3で示される塩基配列を含む20塩基以上36塩基以下の塩基配列からなる核酸プライマーである。
(II)リバースプライマーが、配列番号4で示される塩基配列を含む20塩基以上36塩基以下の塩基配列からなる核酸プライマーである。
(2)被検核酸および核酸プライマー対を含む反応液によって、被検核酸を増幅する工程。
(3)工程(2)によって得られた核酸増幅産物と、該核酸増幅産物の一部と複合体を形成せしめるように設計された核酸プローブとをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめる工程。
(4)工程(3)で得られた複合体を検出する工程。 - 請求項1に記載のMRSAの検出方法において、工程(A)(I)に記載の核酸プライマー対が、配列番号1で示される核酸配列のうち一部領域を核酸増幅するための核酸プライマー対である、請求項1に記載のMRSAの検出方法。
- 請求項1または請求項2のいずれかに記載のMRSAの検出方法において、工程(A)(I)に記載のフォワードプライマーが配列番号7、8、9、10、のいずれかで示される塩基配列である請求項1または請求項2に記載のMRSAの検出方法。
- 請求項1または請求項2のいずれかに記載のMRSAの検出方法において、工程(A)(II)に記載のリバースプライマーが配列番号11、12、13、14のいずれかで示される塩基配列である請求項1または請求項2に記載のMRSAの検出方法。
- 請求項1〜請求項4のいずれかに記載のMRSAの検出方法において、工程(A)に記載の核酸プローブが、配列番号24、25のいずれかに示される核酸配列からなる核酸プローブである、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のMRSAの検出方法。
- 請求項5に記載の核酸プローブが、末端のシトシンのうち少なくとも一つが蛍光色素で標識されている核酸プローブである、請求項5に記載のMRSAの検出方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のMRSAの検出方法において、核酸増幅を、α型DNAポリメラーゼ、および、α型DNAポリメラーゼを変異させた変異型、のうち1つ以上を含む系で行う、請求項1〜6のいずれかに記載のMRSAの検出方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のMRSAの検出方法において、さらに、以下の(B)に示す工程により試料中のメチシリン耐性遺伝子由来の核酸を検出する手段を含むことを特徴とする、MRSAの検出方法。
(B)
(5)配列番号2と95%以上相同な塩基配列で示される核酸配列のうち一部領域を核酸増幅するための核酸プライマー対であって、以下の(III)または(IV)のいずれか1つ以上に該当する核酸プライマー対を用意する工程。
(III)フォワードプライマーが、配列番号5で示される塩基配列を含む20塩基以上36塩基以下の塩基配列からなる核酸プライマーである。
(IV)リバースプライマーが、配列番号6で示される塩基配列を含む20塩基以上36塩基以下の塩基配列からなる核酸プライマーである。
(6)被検核酸および核酸プライマー対を含む反応液によって、被検核酸を増幅する工程。
(7)工程(6)によって得られた核酸増幅産物と、該核酸増幅産物の一部と複合体を形成せしめるように設計された核酸プローブとをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめる工程。
(8)工程(7)で得られた複合体を検出する工程。 - 請求項8に記載のMRSAの検出方法において、工程(B)(III)に記載のフォワードプライマーが配列番号15、16、17、18、19のいずれかで示される塩基配列である請求項8に記載のMRSAの検出方法。
- 請求項8に記載のMRSAの検出方法において、工程(B)(IV)に記載のリバースプライマーが配列番号20、21、22、23のいずれかで示される塩基配列である請求項8に記載のMRSAの検出方法。
- 試料中のMRSAを検出するためのプライマーセットであって、配列番号3で示される塩基配列を含む20塩基以上36塩基以下の塩基配列からなるフォワードプライマー、および、配列番号4で示される塩基配列を含む20塩基以上36塩基以下の塩基配列からなるリバースプライマーから構成されるプライマーセット。
- 請求項11に記載のプライマーセットが、配列番号7、8、9、10、のいずれかで示される塩基配列であるフォワードプライマー、および、配列番号11、12、13、14のいずれかで示される塩基配列であるリバースプライマーから構成される、請求項11に記載のプライマーセット。
- 請求項11または請求項12に記載のプライマーセットに加えて、さらに、配列番号5で示される塩基配列を含む20塩基以上36塩基以下の塩基配列からなるフォワードプライマー、および、配列番号6で示される塩基配列を含む20塩基以上36塩基以下の塩基配列からなるリバースプライマーから構成されるプライマーセットを含む、請求項11または請求項12に記載のプライマーセット。
- 請求項11または請求項12に記載のプライマーセットに加えて、さらに、配列番号15、16、17、18、19のいずれかで示される塩基配列であるフォワードプライマー、および、配列番号20、21、22、23のいずれかで示される塩基配列であるリバースプライマーから構成されるプライマーセットを含む、請求項13に記載のプライマーセット。
- 請求項11〜14のいずれかに記載のプライマーセットを含む、MRSA検出キット。
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