JP6343899B2 - 黄色ブドウ球菌の検出方法 - Google Patents

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本発明は、従来知られていなかった遺伝子変異を有する黄色ブドウ球菌を検出するための試薬に関する。
黄色ブドウ球菌は、常在菌であり、かつ血流感染、肺炎、髄膜炎など様々な感染症の原因菌である。特に血流感染の場合は様々な合併症を引き起こしうるため、早期にかつ正確に診断する方法が必要不可欠である。
通常、黄色ブドウ球菌の検査はグラム染色およびコアグラーゼ試験によって行われることが多い。これは、人から通常検出され、かつコアグラーゼ陽性であるブドウ球菌は黄色ブドウ球菌のみであるという知見に基づく。該方法は広く知られる検査法であるが、分離培養を行って得られたコロニーに対して行われるため、検査を行うにはまず菌の培養を行わなければならない。
これに対してPCRなどの核酸増幅による検査では、培養した黄色ブドウ球菌以外にも、鼻腔スワブや膿などの臨床サンプル中に存在する黄色ブドウ球菌を検出することが可能である(非特許文献1)。核酸増幅検査では、例えば黄色ブドウ球菌に特異的なnuc遺伝子(熱安定性ヌクレアーゼをコードしている遺伝子)をPCRによって増幅し検出する方法が知られている(非特許文献2)。
核酸増幅を用いた方法では核酸増幅産物をどのようにして検出するかが問題となる。最も古典的な検出方法としてはアガロースゲル電気泳動よって増幅産物を視認する方法がある。しかしこの方法では増幅産物のキャリーオーバーによるコンタミネーションが生じる可能性がある。
この問題を解決する方法として、標的核酸と結合すると消光する特徴を有する蛍光色素標識プローブQProbeを用いて正確性に優れた黄色ブドウ球菌の遺伝子検出方法が提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載の検出方法では核酸増幅と核酸検出を連続して行えるため、核酸増幅後に反応系を開放する必要がなく、キャリーオーバーコンタミネーションを防ぐことができる。
特開2013−48619
German Medical Science, July, 2009, 7:Doc06 Journal of Clinical Microbiology, July 1992, p.1654-1660
特許文献1ではnuc遺伝子を標的として検出する方法が提示されている。しかし、該方法はnuc遺伝子の塩基配列に変異が生じた場合、プライマーまたはプローブのミスマッチが生じてnuc遺伝子を検出できなくなる可能性があった。そして現実に、本発明者らは、特許文献1に記載の方法で検出できないタイプの黄色ブドウ球菌を発見した。
本発明が解決しようとする課題は、新たに発見された変異したnuc遺伝子を有する黄色ブドウ球菌を、通常の黄色ブドウ球菌と同様に検出するための方法および該方法を実施するための検出試薬に関する。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、nuc遺伝子の一部領域を特異的に増幅するための核酸プライマーおよび該核酸プライマーを用いた核酸増幅反応によって得られた増幅核酸を検出するための核酸プローブを含んだ冷蔵で保存が可能な試薬組成を見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち本発明は以下のような構成からなる。
[項1]
黄色ブドウ球菌のnuc遺伝子を検出する方法であって、該方法は以下の工程(1)〜(3)からなる方法であり、該方法の(1)の工程で用いられる核酸プライマーセットが(A)および(B)の特徴を有し、核酸プローブが(C)および(D)の特徴を有する方法。
(1)1対の核酸プライマーセットを含む反応液によって被検核酸を増幅する工程
(2)(1)によって得られた核酸増幅産物と、該核酸増幅産物の一部または全部と複合体を形成しうる核酸プローブとをハイブリダイズさせ、複合体を形成せしめる工程
(3)(2)で得られた複合体を検出する工程
(A)配列番号1と95%以上の同一性を有する塩基配列であるオリゴヌクレオチドの一部または全部を増幅できる核酸プライマーセット
(B)配列番号2と95%以上の同一性を有する塩基配列であるオリゴヌクレオチドの一部または全部を増幅できる核酸プライマーセット
(C)配列番号1と95%以上の同一性を有する塩基配列であるオリゴヌクレオチドのうち、該核酸プライマーセットによって増幅された領域と複合体を形成できる核酸プローブ
(D)配列番号2と95%以上の同一性を有する塩基配列であるオリゴヌクレオチドのうち、該核酸プライマーセットによって増幅された領域と複合体を形成できる核酸プローブ
[項2]
項1に記載の方法であって、該方法の(1)の工程で用いられる核酸プライマーセットが(A´)および(B´)の特徴を有し、(2)の工程で用いられる核酸プローブが(C´)および(D´)の特徴を有する、方法。
(A´)配列番号1で示される塩基配列であるオリゴヌクレオチドのうち一部または全部を増幅できる核酸プライマーセット
(B´)配列番号2で示される塩基配列であるオリゴヌクレオチドのうち一部または全部を増幅できる核酸プライマーセット
(C´)配列番号1で示される塩基配列であるオリゴヌクレオチドのうち、該核酸プライマーセットによって増幅された領域と複合体を形成できる核酸プローブ
(D´)配列番号2で示される塩基配列であるオリゴヌクレオチドのうち、該核酸プライマーセットによって増幅された領域と複合体を形成できる核酸プローブ
[項3]
前記試料が全血、血液培養液、膿、髄液、胸水、鼻腔拭い液、咽頭拭い液、喀痰、カテーテル洗浄液、組織切片、およびこれらを適当な溶液で希釈したもの、のいずれかから選択される項1または項2に記載の方法。
[項4]
前記核酸プローブの少なくとも一方の末端が蛍光標識されており、かつ、前記核酸プローブの蛍光標識されている核酸の塩基はシトシンである、項1〜3のいずれかに記載の方法。
[項5]
1対の核酸プライマーからなる核酸プライマーセットであって、フォワードプライマーが以下の(E)の特徴を有し、リバースプライマーが以下の(F)の特徴を有する、核酸プライマーセット。
(E)配列番号1で示される塩基配列の83番目または84番目を3´末端とし、該配列の54番目〜65番目の任意の塩基を5´末端とする塩基配列の核酸プライマー
(F)配列番号3で示される塩基配列の59番目を3´末端とし、該配列の31〜41番目の任意の塩基を5´末端とする塩基配列の核酸プライマー
[項6]
フォワードプライマーが配列番号6〜8のいずれかで示される塩基配列の核酸プライマーであり、リバースプライマーが塩基配列9〜11のいずれかで示される塩基配列の核酸プライマーである、項5に記載の核酸プライマーセット。
[項7]
nuc遺伝子の一部領域を検出するための核酸プローブであって、配列番号3で示される塩基配列の137番目を3´末端とし、該配列の118番目〜123番目の任意の塩基を5´末端とする塩基配列を有する核酸プローブ。
[項8]
前記核酸プローブが、配列番号12または13で示される塩基配列を有する、項7に記載の核酸プローブ
[項9]
前記核酸プライマーセットが項5または項6に記載の核酸プライマーセットであり、前記核酸プローブが項7または項8に記載の核酸プローブである、項1〜4のいずれかに記載の方法。
[項10]
項1〜4および項9のうちいずれかに記載の方法を実施するための組成物であって、項5または項6のいずれかに記載の核酸プライマーセットと、項7または項8のいずれかに記載の核酸プローブとを含む組成物。
[項11]
項1〜4および項9のうちいずれかに記載の方法を実施するためのキットであって、項5または項6のいずれかに記載の核酸プライマーセットと項7または項8のいずれかに記載の核酸プローブ、または、項10に記載の組成物を含むキット。
本発明によれば、通常の黄色ブドウ球菌の検出と、従来報告されていなかったnuc遺伝子変異を有する黄色ブドウ球菌の検出とを区別することなく、迅速、確実かつ簡便に行うことが可能となる。
実施例2の結果を示す図である。 実施例2の結果を示す図である。 実施例2の結果を示す図である。 比較例1の結果を示す図である。
本発明は、通常のnuc遺伝子を有する黄色ブドウ球菌と、変異したnuc遺伝子を有する黄色ブドウ球菌の両方を検出するための核酸プライマー(プライマー)、核酸プローブ(プローブ)、ならびにこれらを用いて黄色ブドウ球菌を検出するための方法、および該方法を実施するためのキット等に関する。
本発明における通常のnuc遺伝子とは、NCBIのアクセションNo.BX571856のRegion895661〜896347に掲載された塩基配列を有するnuc遺伝子を指す。該遺伝子の303位〜542位を示したものが配列番号1である。また、本発明における「変異したnuc遺伝子」とは、303位〜542位が配列番号2で示される塩基配列であるnuc遺伝子を指す。配列番号2の部分配列を有するnuc遺伝子をもつ黄色ブドウ球菌はこれまで報告がなく、今回初めて発見された塩基配列である。
また、配列番号3は配列番号1の相補的配列であり、配列番号4は配列番号2の相補的配列である。配列番号5はデータベースに登録されているnuc遺伝子全体の塩基配列である。
核酸プライマーセット
本発明の黄色ブドウ球菌の検出方法において、黄色ブドウ球菌に特異的なnuc遺伝子の領域を特異的に増幅する核酸プライマーセットは、1対の核酸プライマーからなり、かつ以下の(A)および(B)の両方の特徴を有する。
(A)配列番号1と95%以上の同一性を有する塩基配列で示される塩基配列であるオリゴヌクレオチドの一部または全部を核酸増幅することが可能な核酸プライマーセットである。
(B)配列番号2と95%以上の同一性を有する塩基配列で示される塩基配列であるオリゴヌクレオチドの一部または全部を核酸増幅することが可能な核酸プライマーセットである。
上記の(A)において、配列番号1との同一性は、好ましくは96%以上、さらに好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上、さらに好ましくは100%(すなわち配列番号1そのもの)である。同様に、上記の(B)において、配列番号2との同一性は、好ましくは96%以上、さらに好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上、さらに好ましくは100%(すなわち配列番号2そのもの)である。
本明細書における「1対の核酸プライマーセット」は、1種類(1配列)のフォワードプライマーと1種類(1配列)のリバースプライマーとで構成される。
[核酸配列の相同性]
本願明細書において、核酸配列の同一性は、GENETYXソフトで比較した値を意味する。
GENETYXソフトは、例えば、GENETYX CORPORATIONから販売されているGENETYX WIN Version 6.1のものを使用できる。
上記の核酸プライマーセットは、(A)および(B)の両方の特徴を有するものであれば特に限定されないが、好ましくはフォワードプライマーが以下の(E)からなり、リバースプライマーが以下の(F)からなる。
(E)配列番号1で示される塩基配列の83番目または84番目を3´末端とし、該配列の54番目〜65番目の任意の塩基を5´末端とする塩基配列の核酸プライマー
(F)配列番号3で示される塩基配列の59番目を3´末端とし、該配列の31〜41番目の任意の塩基を5´末端とする塩基配列の核酸プライマー
前記(E)の核酸プライマーの塩基配列は3´末端が配列番号1で示される塩基配列の83番目または84番目のいずれかの塩基であるならば、5´末端は配列番号1の54番目〜65番目の中の任意の塩基にしてよい。好ましくは5´末端が配列番号1の56番目〜62番目であり、より好ましくは58番目〜61番目である。
また、前記(F)の核酸プライマーの塩基配列は3´末端が配列番号3で示される塩基配列の59番目の塩基であるならば、5´末端は配列番号3の31番目〜41番目の中の任意の塩基にしてよい。好ましくは5´末端が配列番号3の32〜40番目であり、より好ましくは34〜38番目である。
前記核酸プライマーセットを構成するそれぞれの核酸プライマーは、少なくとも3´末端から5番目までの核酸が配列番号1および配列番号2の両方と一致するように設計されている。従って、該核酸プライマーセットは配列番号1で示される塩基配列であるオリゴヌクレオチドの一部、および配列番号2で示される塩基配列であるオリゴヌクレオチドの一部の両方を核酸増幅することが可能になっている。
このような核酸プライマーセットとして、特に、フォワードプライマーとして配列番号6〜8のいずれかで示される塩基配列、および、リバースプライマーとして配列番号9〜11のいずれかで示される塩基配列、の組合せが例示できる。
核酸プローブ
本発明で用いられる核酸プローブは、上記核酸プライマーセットによって核酸増幅された核酸増幅産物の一部または全部とハイブリダイズして複合体を形成しうるものであれば特に制限されない。より好ましくは、該核酸増幅産物のみと特異的に複合体を形成し、それ以外の塩基配列を有する核酸とは複合体を形成しない核酸プローブであり、より好ましくは該核酸増幅産物の一部または全部の塩基配列と同一または相補的な塩基配列を有する核酸プローブである。
そのような核酸プローブとして好ましくは(C)および(D)の両方の特徴を備えた核酸プローブが挙げられる。
(C)配列番号1と95%以上の同一性を有する塩基配列であるオリゴヌクレオチドのうち、前記核酸プライマーセットによって増幅された領域と複合体を形成できる核酸プローブ
(D)配列番号2と95%以上の同一性を有する塩基配列であるオリゴヌクレオチドのうち、前記核酸プライマーセットによって増幅された領域と複合体を形成できる核酸プローブ
上記の(C)において、配列番号1との同一性は、好ましくは96%以上、さらに好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上、さらに好ましくは100%(すなわち配列番号1そのもの)である。同様に、上記の(D)において、配列番号2との同一性は、好ましくは96%以上、さらに好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上、さらに好ましくは100%(すなわち配列番号2そのもの)である。
前記核酸プローブの塩基配列は、前記(C)(D)を満たすものであれば特に制限されないが、好ましくは配列番号3で示される塩基配列の137番目を3´末端とし、該配列の118番目〜123番目の任意の塩基を5´末端とする塩基配列の核酸プローブである。前記塩基配列の核酸プローブは、配列番号1および2の共通配列の一部と同じ配列を有しており、1と2のいずれの配列番号で示される塩基配列を含む核酸増幅産物とも複合体を形成することができる。
このような核酸プローブとして、配列番号12、13の塩基配列で示される核酸プローブが例示できる。
上記核酸プローブは核酸が標識されていてもいなくてもよい。標識されている場合は、標識される核酸の位置および数に制限はないが、好ましくは核酸プローブ末端の核酸が標識されることであり、より好ましくはいずれか片方の末端が標識されることである。さらに好ましくは、標識される末端の核酸の塩基がシトシンであることである。
標識物質は特に制限されないが、好ましくは蛍光物質であり、より好ましくは単独では蛍光を示し、標的核酸とハイブリッドを形成した場合には消光する性質を有する蛍光物質である。前記蛍光物質は、制限されないが、フルオレセイン、リン光体、ローダミン、ポリメチン色素誘導体等があげられ、市販の蛍光色素としては、例えば、BODIPY FL(商標、モレキュラープローブ社製)、FluorePrime(商標、アマシャムファルマシア社製)、Fluoredite(商標、ミリポア社製)、FAM(ABI社製)、Cy3およびCy5(アマシャムファルマシア社製)、TAMRA(モレキュラープローブ社製)、カルボキシローダミン6G(CR6G)等が例示できる。
本発明の黄色ブドウ球菌の検出方法
本発明の黄色ブドウ球菌の検出方法は、試料中の黄色ブドウ球菌を検出する方法であって、ある特定の工程により試料中の黄色ブドウ球菌由来の核酸を検出する方法、を含むことを特徴とする。
該方法の一つの様態として、以下の(1)〜(3)の工程を含む黄色ブドウ球菌のnuc遺伝子を検出する方法が挙げられる。
(1)1対の核酸プライマーセットを含む反応液によって被検核酸を増幅する工程
(2)(1)によって得られた核酸増幅産物と、該核酸増幅産物の一部または全部と複合体を形成しうる核酸プローブとをハイブリダイズさせ、複合体を形成せしめる工程
(3)(2)で得られた複合体を検出する工程
該方法で用いられる核酸プライマーセットおよび核酸プローブとしては前記のものが使用できる。
本発明のnuc遺伝子検出方法は、上記工程が含まれること以外は特に制限されない。nuc遺伝子の検出が可能ならば上記工程に新たな工程を追加してもよい。
該方法で用いられるnuc遺伝子を増幅し検出するための核酸プライマーセットおよび核酸プローブは、それぞれ前記したものを用いることができる。さらに、例えばnuc遺伝子とは異なる遺伝子を増幅し検出する目的で、前記の核酸プライマーセットおよび核酸プローブとは異なる核酸プライマーや核酸プローブを追加することも特に制限されない。
被検核酸の増幅
本発明における被検核酸は、例えば、一本鎖でもよいし、二本鎖でもよい。二本鎖の場合は、例えば、被検核酸とプローブとをハイブリダイズさせてハイブリッド体を形成するために、加熱により前記二本鎖を一本鎖に解離させる工程を含むことが好ましい。
前記被検核酸の種類としては、特に制限されないが、例えば、DNAや、トータルRNA、mRNA等のRNA等があげられる。また、前記被検核酸は、例えば、黄色ブドウ球菌の血液培養試料、カテーテル洗浄液、生体試料等の試料に含まれる核酸があげられる。これらの試料はそのまま用いてもよいし、適当な溶液で希釈したものを用いてもよい。適当な溶液としては、水、生理食塩水、緩衝液、アルカリ性水溶液、酸性水溶液、核酸抽出試薬、界面活性剤、有機溶媒などが挙げられる
前記生体試料としては、特に制限されないが、例えば、膿、髄液、胸水、鼻腔拭い液、咽頭拭い液、喀痰、組織切片、血液(全血)などが挙げられる。
試料の採取方法、DNAやRNA等の核酸の調製方法等は、制限されず、従来公知の方法が採用できる。
続いて、単離したゲノムDNAを鋳型として、上述の核酸プライマーセットを用いて、PCR等の核酸増幅法によって、検出目的の塩基部位を含む配列を増幅させる。具体的な核酸増幅方法としては特に限定されず、適宜公知の方法を用いることができる。例えば、PCR(Polymerase Chain Reaction)法、NASBA(Nucleic acid sequence based amplification)法、TMA(Transcription−mediated amplification)法、SDA(Strand Displacement Amplification)法、LAMP(Loop−Mediated Isothermal Amplification)等があげられるが、PCR法を用いることが好ましい。なお、これらの各方法において、増幅反応の条件は特に制限されず、従来公知の方法により行うことができる。
核酸増幅にPCR法を用いる場合、使用するDNAポリメラーゼは特に制限されないが、α型DNAポリメラーゼを用いることが好ましい。その理由を以下に説明する。
本発明プローブが含まれる反応系でnuc遺伝子を増幅する場合、核酸増幅工程中に該核酸プローブが試料のnuc遺伝子またはそれらの増幅産物と結合しうる。核酸増幅工程中にnuc遺伝子と結合した該核酸プローブは、核酸プライマーとDNAポリメラーゼによる核酸増幅反応を阻害する。
Taq DNA PolymeraseなどPolI型のDNAポリメラーゼは5’− 3’エキソヌクレアーゼ活性を持つことが知られている。この活性のため、核酸増幅反応中に鋳型となるnuc遺伝子と結合した核酸がある場合、該結合核酸はエキソヌクレアーゼ活性によって分解されてしまう。このため、反応系中の該核酸プローブが減少し核酸検出工程に問題が生じる可能性がある。従って、PolI型DNAポリメラーゼを用いて本発明を実施することは好ましくない。
他方、KOD DNA Polymerase(超好熱始原菌Thermococcus kodakaraensis KOD1由来)などα型のDNAポリメラーゼは5’−3’エキソヌクレアーゼ活性を持たず、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を持つ。従って、α型DNAポリメラーゼを用いれば上記問題を解決できるのみならず、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性により核酸増幅工程において高い正確性が発揮される。
通常、α型DNAポリメラーゼは3’→ 5’エキソヌクレアーゼ活性のため、核酸増幅速度はPolI型酵素と比較して低い傾向がある。しかし、KOD DNA Polymeraseはα型DNAポリメラーゼでありながらDNA合成活性が高く100塩基/秒以上のDNA合成速度を有し伸長効率が優れている。従って、本発明の実施にはα型DNAポリメラーゼの中でも、KOD DNA Polymerase(東洋紡製、商標)を用いることが好ましい。
さらに、α型DNAポリメラーゼを変異させて100塩基/秒以上のデオキシリボ核酸合成速度を達成させた変異型、あるいは、野生型および/または変異型の組み合わせにより当該性能を達成させたDNAポリメラーゼ組成物も、本発明の実施に適したDNAポリメラーゼとして用いることができる。
例えば、上記KOD DNA Polymerase以外に100塩基/秒以上のデオキシリボ核酸合成速度を有するDNAポリメラーゼとして、「KOD FX(東洋紡製、商標)」、「KOD −Plus−(東洋紡製、商標)」、「KOD Dash(東洋紡製、商標)」、PrimeSTAR HS DNAポリメラーゼ(タカラバイオ製、商標)なども利用できる。
なかでも、高い正確性とDNA合成活性とをあわせ持つKOD −Plus−が望ましい。
DNA合成活性
本発明において、DNA合成活性とは鋳型DNAにアニールされたオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの3’−ヒドロキシル基にデオキシリボヌクレオシド5’−トリホスフェートのα−ホスフェートを共有結合せしめることにより、デオキシリボ核酸にデオキシリボヌクレオシド5’−モノホスフェートを鋳型依存的に導入する反応を触媒する活性をいう。
その活性測定法は、酵素活性が高い場合には、保存緩衝液でサンプルを希釈して測定を行う。本発明では、下記A液25μl、B液およびC液各5μlおよび滅菌水10μlをエッペンドルフチューブに加えて攪拌混合した後、上記酵素液5μlを加えて75℃で10分間反応する。その後、氷冷し、E液50μl、D液100μlを加えて、攪拌後、さらに10分間氷冷する。この液をガラスフィルター(ワットマンGF/Cフィルター)で濾過し、D液及びエタノールで充分洗浄し、フィルターの放射活性を液体シンチレーションカウンター(パッカード社製)で計測し、鋳型DNAへのヌクレオチドの取り込みを測定する。酵素活性の1単位はこの条件下で30分あたり10nモルのヌクレオチドを酸不溶性画分に取り込む酵素量とする。
A: 40mM Tris−HCl(pH7.5)
16mM 塩化マグネシウム
15mM ジチオスレイトール
100μg/ml BSA
B: 2μg/μl 活性化仔牛胸腺DNA
C: 1.5mM dNTP(250cpm/pmol〔3H〕dTTP)
D: 20% トリクロロ酢酸(2mMピロリン酸ナトリウム)
E: 1μg/μl キャリアーDNA
3’−5’エキソヌクレアーゼ活性
本発明において、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性とは、DNAの3’末端領域を切除し、5’−モノヌクレオチドを遊離する活性をいう。
その活性測定法は、50μlの反応液(120mM Tris−HCl(pH8.8 at 25℃), 10mM KCl, 6mM 硫酸アンモニウム,1mM MgCl, 0.1% Triton X−100, 0.001% BSA,5 μg トリチウムラベルされた大腸菌DNA)を1.5mlのエッペンドルフチューブに分注し、DNAポリメラーゼを加える。75℃で10分間反応させた後、氷冷によって反応を停止し、次にキャリアーとして、0.1%のBSAを50μl加え、さらに10%のトリクロロ酢酸、2%ピロリン酸ナトリウム溶液を100μl加え混合する。氷上で15分放置した後、12,000回転で10分間遠心し沈殿を分離する。上清100μlの放射活性を液体シンチレーションカウンター(パッカード社製)で計測し、酸可溶性画分に遊離したヌクレオチド量を測定する。
核酸増幅産物とプローブとの複合体形成
本発明のnuc遺伝子検出方法においては、工程(1)によって得られた核酸増幅産物と、該核酸増幅産物の一部と複合体を形成せしめるように設計された核酸プローブとをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめる。
核酸増幅産物を含む試料に核酸プローブを添加するタイミングは、特に制限されず、例えば、前述の核酸増幅反応前、核酸増幅反応途中および核酸増幅反応後のいずれに、増幅反応の反応系に添加してもよい。
中でも、増幅反応と、後述の検出反応とを連続的に行うことができるため、増幅反応前に添加することが好ましい。このように核酸増幅反応の前に前記プローブを添加する場合は、例えば、後述のように、その3’末端に、蛍光色素を付加したり、リン酸基を付加したりすることが好ましい。
前記プローブは、核酸増幅産物を含む液体試料に添加してもよいし、溶媒中で核酸増幅産物と混合してもよい。前記溶媒としては、特に制限されず、例えば、Tris−HCl等の緩衝液、KCl、MgCl、MgSO、グリセロール等を含む溶媒、PCR反応液等、従来公知のものがあげられる。
核酸増幅産物とプローブとの複合体の検出
前記方法の(3)で示される工程において、得られた複合体を検出する方法は特に限定されない。例えば、融解曲線分析による方法が挙げられる。
融解曲線分析の場合は、例えば、以下のように行う。
二本鎖DNAを含む溶液を加熱していくと、260nmにおける吸光度が上昇する。これは、二本鎖DNAにおける両鎖間の水素結合が加熱によってほどけ、一本鎖DNAに解離(DNAの融解)することが原因である。そして、全ての二本鎖DNAが解離して一本鎖DNAになると、その吸光度は、加熱開始時の吸光度(二本鎖DNAのみの吸光度)の約1.5倍程度を示し、これによって融解が完了したと判断できる。
本発明において、融解曲線分析を行うための温度変化に伴うシグナル変動の測定は、前述のような原理から、260nmの吸光度測定により行うこともできるが、本発明のプローブに付加した標識のシグナルを測定することが好ましい。このため、本発明のnuc遺伝子の検出方法に用いるプローブとしては、標識化プローブを使用することが好ましい。
標識化プローブとしては、例えば、単独でシグナルを示し且つハイブリッド形成によりシグナルを示さない標識化プローブ、または、単独でシグナルを示さず且つハイブリッド形成によりシグナルを示す標識化プローブがあげられる。前者のプローブであれば、検出対象配列とハイブリッド(二本鎖)を形成している際にはシグナルを示さず、加熱によりプローブが遊離するとシグナルを示す。また、後者のプローブであれば、検出対象配列とハイブリッド(二本鎖)を形成することによってシグナルを示し、加熱によりプローブが遊離するとシグナルが減少(消失)する。したがって、この標識によるシグナルをシグナル特有の条件(吸光度等)で検出することによって、前記260nmの吸光度測定と同様に、融解の進行を把握することができる。
標識化プローブの具体例として、例えば、蛍光色素で標識され、単独で蛍光を示し且つハイブリッド形成により蛍光が減少(例えば、消光)するプローブが好ましい。このような現象は、一般に、蛍光消光現象と呼ばれる。この蛍光消光現象を利用したプローブとしては、中でも、一般的にグアニン消光プローブとよばれるものが好ましい。このようなプローブは、いわゆるQProbe(登録商標)として知られている。グアニン消光プローブとは、例えば、オリゴヌクレオチドの3’末端もしくは5’末端の塩基がシトシンとなるように設計し、その末端の塩基シトシンが相補的な塩基グアニンに近づくと発光が弱くなる蛍光色素で前記末端を標識化したプローブである。本発明のプローブにおいては、例えば、蛍光消光現象を示す蛍光色素を、前記オリゴヌクレオチドの3’末端のシトシンに結合させてもよいし、前記オリゴヌクレオチドの5’末端をシトシンに設計し、これに結合させてもよい。
本発明のnuc遺伝子の検出方法に用いるプローブは、例えば、3’末端にリン酸基が付加されてもよい。後述するように、遺伝子の有無を検出する被検核酸(標的核酸)は、PCR等の核酸増幅法によって調製することができ、この際、本発明のプローブを核酸増幅反応の反応系に共存させることができる。このような場合、プローブの3’末端にリン酸基を付加させておけば、プローブ自体が核酸増幅反応によって伸長することを十分に防止できる。また、3’末端に前述のような標識物質を付加することによっても、同様の効果が得られる。
得られたPCR増幅産物の解離、および、解離により得られた一本鎖DNAと前記標識化プローブとのハイブリダイズは、例えば、前記反応液の温度変化によって行うことができる。
前記解離工程における加熱温度は、前記増幅産物が解離できる温度であれば特に制限されないが、例えば、85〜98℃である。加熱時間も特に制限されないが、通常、1秒〜10分であり、好ましくは1秒〜5分である。
また、解離した一本鎖DNAと前記標識化プローブとのハイブリダイズは、例えば、前記解離工程の後、前記解離工程における加熱温度を降下させることによって行うことができる。温度条件としては、例えば、35〜50℃である。
ハイブリダイズ工程の反応系(反応系)における各組成の体積や濃度は、特に制限されない。具体例としては、前記反応系において、DNAの濃度は、例えば、0.01〜100μmol/Lであり、好ましくは0.1〜10μmol/L、前記標識化プローブの濃度は、例えば、前記DNAに対する添加割合を満たす範囲が好ましく、例えば、0.01〜100μmol/Lであり、好ましくは0.01〜10μmol/Lである。
そして、前記反応液の温度を変化させ、前記増幅産物と前記標識化プローブとのハイブリッド形成体の融解状態を示すシグナル値を測定する。具体的には、例えば、前記反応液(前記一本鎖DNAと前記標識化プローブとのハイブリッド形成体)を加熱し、温度上昇に伴うシグナル値の変動を測定する。前述のように、末端のC塩基が標識化されたプローブ(グアニン消光プローブ)を使用した場合、一本鎖DNAとハイブリダイズした状態では、蛍光が減少(または消光)し、解離した状態では、蛍光を発する。したがって、例えば、蛍光が減少(または消光)しているハイブリッド形成体を徐々に加熱し、温度上昇に伴う蛍光強度の増加を測定すればよい。
蛍光強度の変動を測定する際の温度範囲は、特に制限されないが、例えば、開始温度が室温〜85℃であり、好ましくは25〜70℃であり、終了温度は、例えば、40〜105℃である。また、温度の上昇速度は、特に制限されないが、例えば、0.05〜20℃/秒であり、好ましくは0.08〜5℃/秒である。
被検核酸の有無の決定は、例えば、ハイブリッド形成時におけるシグナル変動を測定することによって行いうる。すなわち、前記プローブを含む反応液の温度を降下させてハイブリッド形成体を形成する際に、前記温度降下に伴うシグナル変動を測定する。
具体例として、単独でシグナルを示し且つハイブリッド形成によりシグナルを示さない標識化プローブ(例えば、グアニン消光プローブ)を使用した場合、一本鎖DNAとプローブとが解離している状態では蛍光を発しているが、温度の降下によりハイブリッドを形成すると、前記蛍光が減少(または消光)する。したがって、例えば、前記反応液の温度を徐々に降下させて、温度下降に伴う蛍光強度の減少を測定すればよい。他方、単独でシグナルを示さず且つハイブリッド形成によりシグナルを示す標識化プローブを使用した場合、一本鎖DNAとプローブとが解離している状態では蛍光を発していないが、温度の降下によりハイブリッドを形成すると、蛍光を発するようになる。したがって、例えば、前記反応液の温度を徐々に降下させて、温度下降に伴う蛍光強度の増加を測定すればよい。
また、本発明においては、目的の塩基部位における遺伝子型の決定のために、前記シグナルの変動を解析してTm(melting temperature)値として決定してもよい。
nuc遺伝子検出キット
本発明のnuc遺伝子検出キットは、前記核酸プライマーセットを含み、前記nuc遺伝子検出方法に用いることが出来る。該キットは、さらに前記核酸プローブを含み、そのほかに、核酸増幅反応および/または核酸増幅産物検出反応に必要な試薬を適宜含むことが好ましい。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
〔実施例1:nuc遺伝子のシークエンス解析〕
(1)試料の調製
STAPHYLOCOCCUS AUREUS (mecA+) DNA CONTROL(Vircell社製)を10mMのTris−HCl(pH7.5)で10000(コピー/μl)に調製したDNA希釈液、および分離培養された黄色ブドウ球菌のコロニーを10mMのTris−HCl(pH7.5)に懸濁したコロニー液を試料とした。前者を試料1、後者を試料2とした。
(2)核酸増幅およびシークエンス
上記試料にそれぞれ下記試薬を添加して、下記条件によりnuc遺伝子をPCRによって核酸増幅した。この核酸増幅産物をPCRで使用した核酸プライマーを用いてシークエンス解析し、塩基配列を解読した。
核酸増幅用試薬
以下の試薬を含む溶液を調製した。
10μM核酸プライマー(配列番号14)1.0μl
10μM核酸プライマー(配列番号15)1.0μl
10×KOD Plus Buffer Ver.2(東洋紡)2.5μl
25mM MgSO 1.5μl
2mM dNTP 2.5μl
KOD −Plus− 0.5μl
試料 2μl
精製水 14μl
核酸増幅
94℃・2分
(以上1サイクル)
98℃・10秒
60℃・30秒
68℃・20秒
(以上35サイクル)
68℃・1分
(以上1サイクル)
結果
シークエンス解析の結果、試料1からは配列番号1の塩基配列が、試料2からは配列番号2の塩基配列が得られ、両者でnuc遺伝子の塩基配列が大きく異なることが明らかになった。
〔実施例2:本発明プライマー・プローブによるnuc遺伝子の検出〕
(1)試料の調製
STAPHYLOCOCCUS AUREUS (mecA+) DNA CONTROL(Vircell社製)を10mMのTris−HCl(pH7.5)で50(コピー/μl)に調製したDNA希釈液、および分離培養された黄色ブドウ球菌のコロニーを10mMのTris−HCl(pH7.5)に懸濁し、それをTris前記緩衝液で10倍希釈したコロニー希釈液を試料とした。前者を試料3、後者を試料4とした。試料3は配列番号1からなる塩基配列を含むnuc遺伝子を有しており、試料4は配列番号2からなる塩基配列を含むnuc遺伝子を有している。また、陰性コントロール(NC)として精製水を試料とした。
(2)核酸増幅および融解曲線解析
上記試料にそれぞれ下記試薬を添加して、下記条件によりメチシリン耐性遺伝子を検出した。核酸増幅および融解曲線解析には東洋紡社製GENECUBE(登録商標)を使用した。
試薬
以下の試薬を含む溶液を調製した。
100μM核酸プライマー(配列番号6、7、8のいずれか一つ)0.15μl
10μM核酸プライマー(配列番号10)0.3μl
10μM核酸プローブ(配列番号12、3’末端をBODIPY−FL標識)0.3μl
KOD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
PPD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
試料 試料3、試料4、精製水のいずれか一つ(1μl)
精製水2.25μl
核酸増幅および融解曲線解析
94℃・2分
(以上1サイクル)
97℃・1秒
58℃・3秒
63℃・5秒
(以上50サイクル)
94℃・30秒
39℃・30秒
39℃〜75℃(0.09℃/秒で温度上昇)
結果
図1は、フォワードプライマーが配列番号6、リバースプライマーが配列番号10、核酸プローブが配列番号12からなる核酸プライマー・プローブの組合せを用いて、核酸増幅を行い、その後の温度上昇にともなう蛍光強度の変化を、グラフの横軸を温度、縦軸を蛍光シグナルの微分値として解析結果を表した図である。図1より明らかなように、試料3(F6,試料3)と試料4(F6,試料4)の両方からnuc遺伝子が検出されている。また、図2、図3は、フォワードプライマーとしてそれぞれ配列番号7、8の塩基配列からなる核酸プライマーを用い、リバースプライマーと核酸プローブは上記と同じものを用いて、同様の実験を行った結果である。いずれの組み合わせでも,試料3と試料4の両方が検出されていることが明らかである。
以上から、本発明の核酸プライマーは配列番号1および配列番号2のいずれの一部領域も核酸増幅可能であり、本発明の核酸プローブは配列番号1および配列番号2由来の核酸増幅産物の両方を検出できることが示され、また、本発明の方法は、配列番号1を含む塩基配列を有するnuc遺伝子および配列番号2を含む塩基配列を有するnuc遺伝子の両方を検出できる方法であることが示された。
〔比較例1:異なる核酸プライマーおよび核酸プローブを用いたnuc遺伝子の検出〕
(1)試料の調製
実施例2と同じ。
(2)核酸増幅および融解曲線解析
実施例2と同じ。
試薬
以下の試薬を含む溶液を調製した。なお、核酸プライマーの組み合わせについては表3に記載した。
100μM核酸プライマー(配列番号16)0.15μl
10μM核酸プライマー(配列番号17)0.3μl
10μM核酸プローブ(配列番号18、3’末端をBODIPY−FL標識)0.3μl
KOD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
PPD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μl
試料 試料3、試料4、精製水のいずれか一つ(1μl)
精製水2.25μl
結果
図4は上記試薬組成で核酸増幅を行い、その後の温度上昇にともなう蛍光強度の変化を、グラフの横軸を温度、縦軸を蛍光シグナルの微分値として解析結果を表した図である。図4から、試料3からはnuc遺伝子を検出できているが(比較 試料3)、試料4はNCと同様の結果が得られており(比較 試料4、比較 NC)、試料4からのnuc遺伝子検出はできていないことが明らかである。
従って、異なる核酸プライマーおよび核酸プローブを用いると、本発明の検出方法と同様の方法を用いても、本発明のように配列番号1を含む塩基配列を有するnuc遺伝子および配列番号2を含む塩基配列を有するnuc遺伝子の両方を検出できる方法には成りえないことが示された。以上から、本発明で規定した特徴を有する核酸プライマーセットおよび核酸プローブを用いて、本発明の検出方法を実施することが重要であることが示された。
本発明を黄色ブドウ球菌の遺伝子検査に利用することで、迅速性、正確性の両方に優れ、なおかつ高感度に黄色ブドウ球菌を検出することができる。さらに、配列番号1と95%以上相同な塩基配列を含むnuc遺伝子を有する黄色ブドウ球菌と、配列番号2と95%以上相同な塩基配列を含むnuc遺伝子を有する黄色ブドウ球菌の両方を検出できる検出方法、検出試薬を提供できる。

Claims (11)

  1. 試料中の黄色ブドウ球菌のnuc遺伝子を検出する方法であって、該方法は以下の工程(1)〜(3)からなる方法であり、該方法の(1)の工程で用いられる核酸プライマーセットが、以下の(E)の特徴を有するフォワードプライマーと以下の(F)の特徴を有するリバースプライマーとで構成され、該方法の(2)で用いられる核酸プローブが(C)および(D)の特徴を有する方法。
    (1)1対の核酸プライマーセットを含む反応液によって被検核酸を増幅する工程
    (2)(1)によって得られた核酸増幅産物と、該核酸増幅産物の一部または全部と複合体を形成しうる核酸プローブとをハイブリダイズさせ、複合体を形成せしめる工程
    (3)(2)で得られた複合体を検出する工程
    (E)配列番号1で示される塩基配列の83番目または84番目を3’末端とし、該配列の54番目〜65番目の任意の塩基を5’末端とする塩基配列の核酸プライマー
    (F)配列番号3で示される塩基配列の59番目を3’末端とし、該配列の31〜41番目の任意の塩基を5’末端とする塩基配列の核酸プライマー
    (C)配列番号1と95%以上の同一性を有する塩基配列であるオリゴヌクレオチドのうち、該核酸プライマーセットによって増幅された領域と複合体を形成できる核酸プローブ
    (D)配列番号2と95%以上の同一性を有する塩基配列であるオリゴヌクレオチドのうち、該核酸プライマーセットによって増幅された領域と複合体を形成できる核酸プローブ
  2. 前記核酸プローブが、配列番号3で示される塩基配列の137番目を3’末端とし、該配列の118番目〜123番目の任意の塩基を5’末端とする塩基配列を有する核酸プローブである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記試料が全血、血液培養液、膿、髄液、胸水、鼻腔拭い液、咽頭拭い液、喀痰、カテーテル洗浄液、組織切片、およびこれらを適当な溶液で希釈したもの、のいずれかから選択される請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 前記核酸プローブの少なくとも一方の末端が蛍光標識されており、かつ、前記核酸プローブの蛍光標識されている核酸の塩基はシトシンである、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 試料中の黄色ブドウ球菌のnuc遺伝子を検出するための1対の核酸プライマーからなる核酸プライマーセットであって、フォワードプライマーが以下の(E)の特徴を有し、リバースプライマーが以下の(F)の特徴を有する、核酸プライマーセット。
    (E)配列番号1で示される塩基配列の83番目または84番目を3’末端とし、該配列の54番目〜65番目の任意の塩基を5’末端とする塩基配列の核酸プライマー
    (F)配列番号3で示される塩基配列の59番目を3’末端とし、該配列の31〜41番目の任意の塩基を5’末端とする塩基配列の核酸プライマー
  6. フォワードプライマーが配列番号6〜8のいずれかで示される塩基配列の核酸プライマーであり、リバースプライマーが配列番号9〜11のいずれかで示される塩基配列の核酸プライマーである、請求項5に記載の核酸プライマーセット。
  7. nuc遺伝子の一部領域を検出するための核酸プローブであって、配列番号3で示される塩基配列の137番目を3’末端とし、該配列の118番目〜123番目の任意の塩基を5’末端とする塩基配列を有する核酸プローブ。
  8. 前記核酸プローブが、配列番号12または13で示される塩基配列を有する、請求項7に記載の核酸プローブ。
  9. 前記核酸プライマーセットが請求項6に記載の核酸プライマーセットであり、前記核酸プローブが請求項8に記載の核酸プローブである、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  10. 請求項1〜4および請求項9のうちいずれかに記載の方法を実施するための組成物であって、請求項5または請求項6のいずれかに記載の核酸プライマーセットと、請求項7または請求項8のいずれかに記載の核酸プローブとを含む組成物。
  11. 請求項1〜4および請求項9のうちいずれかに記載の方法を実施するためのキットであって、請求項5または請求項6のいずれかに記載の核酸プライマーセットと請求項7または請求項8のいずれかに記載の核酸プローブ、または、請求項10に記載の組成物を含むキット。
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