JP6182844B2 - クラミジアトラコマチスの検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、クラミジアトラコマチス(Chlamydia trachomatis)を検出するためのプライマーおよびプローブ、ならびに、それらを用いたクラミジアトラコマチスの検出方法に関する。
クラミジアトラコマチスは主に性器クラミジア感染症の原因菌であり、男性では尿道炎と精巣上体炎を、女性では子宮頸管炎と骨盤内炎症性疾患を発症する。これらの疾患は性行為により感染、伝播する。また、最近では咽頭感染も増えている(非特許文献1)。
クラミジアトラコマチスは細胞内寄生性の病原体であり、分離培養には培養細胞が必要とされる。しかし培養検査は困難を伴い、一般的な検査室では実施されない。
その他の検査法としては抗原抗体反応を利用する方法や核酸増幅法が挙げられる。しかし抗原抗体法については感度が劣ることが指摘されている。
現在はクラミジアトラコマチスの検査法としては核酸増幅法が主流になっており、日本国内で体外診断薬として販売されている。代表的なものとしてはPCRを用いたアンプリコアSTD−1(登録商標、ロシュダイアグノスティックス製)、SDA法を用いたBDプローブテック・クラミジア/ゴノレア(登録商標、日本ベクトン・ディッキンソン製)、TMA法を用いたアプティマCombo2・クラミジア/ゴノレア(登録商標、富士レビオ製)がある(非特許文献1)。
上記の核酸増幅法はいずれも感度特異度とも優れた検査法であると言われている。しかし、いずれにも検査時間が数時間以上かかるという問題点がある。また、もう一つの問題点として検査費用が比較的高額であることが指摘されている。比較的高額と言われる理由の一つとして、上記の既存検査法は複数のオリゴヌクレオチドプライマーセット、あるいは複数のオリゴヌクレオチドプローブを使用することが挙げられる。
核酸増幅法によるクラミジアトラコマチス検査法の中には、クラミジアトラコマチスの内在性プラスミド(cryptic plasmid)を核酸増幅および検出ターゲットとするものがある。しかしスウェーデンで発見された変異株は内在性プラスミドのうち、アンプリコアSTD−1によって増幅される領域を含む部分領域を欠損しており、一部の核酸増幅法はこの領域をターゲットとしていたため、該変異株を検出できないという問題点も指摘されている(非特許文献2)。
日本性感染症学会誌 第22巻 第1号 Supplement Ripa T. and Nilson PA. (2007)Sex Transm Dis. 34, 255−256
臨床現場においては、より迅速・正確かつ安価にクラミジアトラコマチスを検出できる核酸増幅法ならびに該核酸増幅法に使用するためのオリゴヌクレオチドプライマー、オリゴヌクレオチドプローブ、そして上記方法を実施するためのキットが望まれていた。
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討した結果、クラミジアトラコマチスの内在性プラスミド領域を特異的に増幅する1対のオリゴヌクレオチドプライマー、および、該オリゴヌクレオチドプライマーを用いた核酸増幅法によって増幅される領域を特異的に検出する1種類のオリゴヌクレオチドプローブを用いることにより、従来技術よりも迅速・正確かつ安価にクラミジアトラコマチスを検出できることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は以下のような構成からなる。
[項1]
クラミジアトラコマチスの内在性プラスミドを増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーであって、配列番号3で示される塩基配列の中の連続する22〜29塩基からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドプライマー。
[項2]
クラミジアトラコマチスの内在性プラスミドを増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーであって、配列番号4で示される塩基配列の中の連続する22〜29塩基からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドプライマー。
[項3]
項1に記載のオリゴヌクレオチドプライマーであって、配列番号9〜11で示されるオリゴヌクレオチドプライマー。
[項4]
項2に記載のオリゴヌクレオチドプライマーであって、配列番号12〜14で示されるオリゴヌクレオチドプライマー。
[項5]
クラミジアトラコマチスの内在性プラスミドを増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーであって、配列番号5で示される塩基配列の中の連続する25〜30塩基からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドプライマー。
[項6]
クラミジアトラコマチスの内在性プラスミドを増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーであって、配列番号6で示される塩基配列の中の連続する24〜29塩基からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドプライマー。
[項7]
項5に記載のオリゴヌクレオチドプライマーであって、配列番号15〜17で示されるオリゴヌクレオチドプライマー。
[項8]
項6に記載のオリゴヌクレオチドプライマーであって、配列番号18〜20で示されるオリゴヌクレオチドプライマー。
[項9]
項1または項3に記載のオリゴヌクレオチドプライマーのうちいずれか1本をフォワードプライマーとし、項5または項7に記載のオリゴヌクレオチドプライマーのうちいずれか1本をリバースプライマーとする、1対のオリゴヌクレオチドプライマーセット。
[項10]
項2または項4に記載のオリゴヌクレオチドプライマーのうちいずれか1本をフォワードプライマーとし、項6または項8に記載のオリゴヌクレオチドプライマーのうちいずれか1本をリバースプライマーとする、1対のオリゴヌクレオチドプライマーセット。
[項11]
クラミジアトラコマチスの内在性プラスミドを検出するためのオリゴヌクレオチドプローブであって、配列番号7で示される塩基配列または該塩基配列に相補的な塩基配列の中の連続する21〜24塩基からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドプローブ。
[項12]
クラミジアトラコマチスの内在性プラスミドを検出するためのオリゴヌクレオチドプローブであって、配列番号8で示される塩基配列または該塩基配列に相補的な塩基配列の中の連続する21〜24塩基からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドプローブ。
[項13]
項11に記載のオリゴヌクレオチドプローブであって、塩基配列が配列番号21または22で示され、なおかつ末端の核酸のうちいずれか片方のみが蛍光標識されていることを特徴とするオリゴヌクレオチドプローブ。
[項14]
項12に記載のオリゴヌクレオチドプローブであって、塩基配列が配列番号23または24で示され、なおかつ末端の核酸のうちいずれか片方のみが蛍光標識されていることを特徴とするオリゴヌクレオチドプローブ。
[項15]
クラミジアトラコマチスを検出する方法であって、以下の(1)〜(3)の工程を含む方法。
(1)項9に記載のオリゴヌクレオチドプライマーセットを用いて核酸増幅を行う工程。
(2)工程(1)によって得られた核酸増幅産物と、項11または項13に記載のオリゴヌクレオチドプローブのうちいずれか1本とをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめる工程。
(3)工程(2)で得られた複合体を検出する工程。
[項16]
クラミジアトラコマチスを検出する方法であって、以下の(1)〜(3)の工程を含む方法。
(1)項10に記載のオリゴヌクレオチドプライマーセットを用いて核酸増幅を行う工程。
(2)工程(1)によって得られた核酸増幅産物と、項12または項14に記載のオリゴヌクレオチドプローブのうちいずれか1本とをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめる工程。
(3)工程(2)で得られた複合体を検出する工程。
[項17]
項15または項16の(3)の工程を、連続的な温度上昇を行いながら、オリゴヌクレオチドプローブを標識している蛍光色素の蛍光を測定することにより融解曲線分析を行い、融解曲線分析の結果に基づいてクラミジアトラコマチスの内在性プラスミドの存在を検出することを特徴とする、項15または項16に記載の方法。
[項18]
項9に記載のオリゴヌクレオチドプライマーセット、項11または項13に記載のオリゴヌクレオチドプローブのうちいずれか1本、DNAポリメラーゼ、緩衝液、マグネシウムイオン、dNTPs、DMSOを含む、クラミジアトラコマチスの内在性プラスミドの検出を行う方法のためのキット。
[項19]
項10に記載のオリゴヌクレオチドプライマーセット、項12または項14に記載のオリゴヌクレオチドプローブのうちいずれか1本、DNAポリメラーゼ、緩衝液、マグネシウムイオン、dNTPs、DMSOを含む、クラミジアトラコマチスの内在性プラスミドの検出を行う方法のためのキット。
本発明によれば、クラミジアトラコマチスの検出を迅速、正確、安価に行うことができる。
実施例1の結果を示す図である。 実施例1の結果を示す図である。 実施例1の結果を示す図である。 実施例1の結果を示す図である。 実施例1の結果を示す図である。 実施例2の結果を示す図である。 実施例2の結果を示す図である。 実施例2の結果を示す図である。 実施例2の結果を示す図である。 実施例2の結果を示す図である。 実施例2の結果を示す図である。
本発明はクラミジアトラコマチスを検出するためのオリゴヌクレオチドプライマー(プライマー)およびオリゴヌクレオチドプローブ(プローブ)、ならびにこれらを用いてクラミジアトラコマチスを検出する方法、該方法を実施するためのキットに係る。
本発明ではクラミジアトラコマチスの内在性プラスミドの部分領域を検出対象としている。クラミジアトラコマチス内在性プラスミドの部分領域の塩基配列を配列番号1に示す。また、配列番号1の相補的塩基配列を配列番号2に示す。
[1]本発明のオリゴヌクレオチドプライマー
本発明の実施形態の一つは、以下の(I)〜(IV)に記載されるオリゴヌクレオチドプライマーである。
(I)クラミジアトラコマチスの内在性プラスミドを増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーであって、配列番号3で示される塩基配列の中の連続する22〜29塩基からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドプライマー。
(II)クラミジアトラコマチスの内在性プラスミドを増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーであって、配列番号4で示される塩基配列の中の連続する22〜29塩基からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドプライマー。
(III)クラミジアトラコマチスの内在性プラスミドを増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーであって、配列番号5で示される塩基配列の中の連続する25〜30塩基からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドプライマー。
(IV)クラミジアトラコマチスの内在性プラスミドを増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーであって、配列番号6で示される塩基配列の中の連続する24〜29塩基からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドプライマー。
上記配列番号3〜6のうち、配列番号3および4は配列番号1で示される塩基配列の一部分である。また、配列番号5および6は配列番号2で示される塩基配列の一部分である。
上記(I)〜(IV)のオリゴヌクレオチドプライマーのうち、(I)および(II)はフォワードプライマー、(III)および(IV)はリバースプライマーとして用いられる。これらのオリゴヌクレオチドプライマーはそれぞれ単独で用いることを制限されるものではないが、(I)をフォワードプライマーとする場合は(III)をリバースプライマーとするオリゴヌクレオチドプライマーセットとして用いることが好ましい。また、(II)をフォワードプライマーとする場合は(IV)をリバースプライマーとして用いることが好ましい。
上記(I)のオリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号3で示される塩基配列の中の連続する22〜29塩基のいずれかで示されるオリゴヌクレオチドプライマーであれば特に制限されない。該オリゴヌクレオチドプライマーとして、配列番号9〜11が例示できる。
上記(II)のオリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号4で示される塩基配列の中の連続する22〜29塩基のいずれかで示されるオリゴヌクレオチドプライマーであれば特に制限されない。該オリゴヌクレオチドプライマーとして、配列番号12〜14が例示できる。
上記(III)のオリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号5で示される塩基配列の中の連続する25〜30塩基のいずれかで示されるオリゴヌクレオチドプライマーであれば特に制限されない。該オリゴヌクレオチドプライマーとして、配列番号15〜17が例示できる。
上記(IV)のオリゴヌクレオチドプライマーは、配列番号6で示される塩基配列の中の連続する24〜29塩基のいずれかで示されるオリゴヌクレオチドプライマーであれば特に制限されない。該オリゴヌクレオチドプライマーとして、配列番号18〜20が例示できる。
上記(I)〜(IV)のオリゴヌクレオチドプライマーは全て非特許文献2に記載されているスウェーデンで発見された変異株の内在性プラスミドに対してもアニーリング可能な塩基配列であることをデータベースで確認している。従って、本発明のオリゴヌクレオチドプライマーを用いることで、一部の核酸増幅法で問題となっていた変異株の核酸も増幅させることができる。
[2]本発明のオリゴヌクレオチドプローブ
本発明の実施形態の一つは、以下の(A)または(B)に記載されるオリゴヌクレオチドプローブである。
(A)クラミジアトラコマチスの内在性プラスミドを検出するためのオリゴヌクレオチドプローブであって、配列番号7で示される塩基配列または該塩基配列に相補的な塩基配列の中の連続する21〜24塩基からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドプローブ。
(B)クラミジアトラコマチスの内在性プラスミドを検出するためのオリゴヌクレオチドプローブであって、配列番号8で示される塩基配列または該塩基配列に相補的な塩基配列の中の連続する21〜24塩基からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドプローブ。
上記配列番号7および8は配列番号1で示される塩基配列の一部分である。配列番号7および8の塩基配列はクラミジアトラコマチスに特異的であり、現在塩基配列が明らかになっている他のクラミジア属とは2塩基以上異なる塩基配列を選択している。従って、配列番号7または8で示される塩基配列の一部または全部をオリゴヌクレオチドプローブとすることで、クラミジアトラコマチスのみを特異的に検出することが可能である。
上記(A)のオリゴヌクレオチドプローブは、配列番号7で示される塩基配列の中の連続する21〜24塩基のいずれかで示されるオリゴヌクレオチドプローブであれば特に制限されない。該オリゴヌクレオチドプローブとして、配列番号21または22が例示できる。
上記(B)のオリゴヌクレオチドプローブは、配列番号8で示される塩基配列の中の連続する21〜24塩基のいずれかで示されるオリゴヌクレオチドプローブであれば特に制限されない。該オリゴヌクレオチドプローブとして、配列番号23または24が例示できる。
上記(A)および(B)のオリゴヌクレオチドプローブは核酸が標識されていてもされていなくてもよい。標識される場合、標識される核酸の数に特に制限は無い。好ましくはオリゴヌクレオチドプローブの末端の核酸が標識されている形態であり、より好ましくは末端の核酸のうちどちらか片方のみが標識されている形態である。標識物質にも特に制限はないが、蛍光物質であることがより好ましい。蛍光標識としては特に標的核酸とのハイブリダイゼーション時に消光を生じる蛍光物質が好ましく、具体的には、フルオロセインまたはその誘導体(例えばフルオロセインイソチオシアネート(FITC))、BODIPY(商標)シリーズ、ローダミンまたはその誘導体(例えば5−カルボキシローダミン6G(GR6G)やテトラメチルローダミン(TAMRA))が例示できる。
上記(A)(B)のオリゴヌクレオチドプローブは全て非特許文献2に記載されているスウェーデンで発見された変異株の内在性プラスミドに対しても結合可能な塩基配列であることをデータベースで確認している。従って、本発明のオリゴヌクレオチドプローブを用いることで、一部の核酸増幅法で問題となっていた変異株の核酸を検出できる。また、前述したオリゴヌクレオチドプライマーと組み合わせることで、該変異株の核酸増幅および検出を連続的に行うことが可能である。
[3−(1)]本発明のクラミジアトラコマチス検出方法
本発明のクラミジアトラコマチスの検出方法において、試料中のクラミジアトラコマチス由来の核酸を検出する方法としては、以下の(1)〜(3)の工程を例示することができる。
(1)上記で説明したオリゴヌクレオチドプライマーセットのうちいずれか1セットを用いて核酸増幅を行う工程。
(2)工程(1)によって得られた核酸増幅産物と、上記で説明したオリゴヌクレオチドプローブのうちいずれか1本とをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめる工程。
(3)工程(2)で得られた複合体を検出する工程。
上記方法は、以下の(1)〜(4)に示す工程であっても良い。
(1)クラミジアトラコマチスの内在性プラスミドを増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーセットを用意する。
(2)被検核酸および該オリゴヌクレオチドプライマーセットを含む反応液によって被検核酸を増幅する。
(3)工程(2)によって得られた核酸増幅産物と、該核酸増幅産物の一部と複合体を形成せしめるように設計されたオリゴヌクレオチドプローブとをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめる。
(4)工程(3)で得られた複合体を検出する。
上記で示したプライマーセットとプローブセットの組み合わせは、上記で説明した範囲内であれば、原則、任意であるが、好ましくは、以下の組み合わせである。
(a)配列番号3で示される塩基配列の中の連続する22〜29塩基からなる群から選択されるフォワードプライマー(たとえば、配列番号9〜11で示されるオリゴヌクレオチドプライマー)と、配列番号5で示される塩基配列の中の連続する25〜30塩基からなる群から選択されるリバースプライマー(たとえば、配列番号15〜17で示されるオリゴヌクレオチドプライマー)とからなる一対のプライマーセット、および、配列番号7で示される塩基配列または該塩基配列に相補的な塩基配列の中の連続する21〜24塩基からなる群から選択されるプローブの組み合わせ。
(b)配列番号4で示される塩基配列の中の連続する22〜29塩基からなる群から選択されるフォワードプライマー(たとえば、配列番号12〜14で示されるオリゴヌクレオチドプライマー)と、配列番号6で示される塩基配列の中の連続する24〜29塩基からなる群から選択されるリバースプライマー(たとえば、配列番号18〜20で示されるオリゴヌクレオチドプライマー)とからなる一対のプライマーセット、および、配列番号8で示される塩基配列または該塩基配列に相補的な塩基配列の中の連続する21〜24塩基からなる群から選択されるプローブの組み合わせ。
上記の組み合わせ以外では、プライマーとプローブが重複する場合があるが、そのような場合でも、プライマー対を用いて増幅した後、二重鎖を解離させて、プローブとハイブリダイズさせ複合体を形成するので、理論的には問題ない。しかし、そのような場合は、それぞれの濃度など試薬組成の設定によっては、プライマーとプローブが鋳型に対して競合する可能性があるので、上記(a)または(b)の組み合わせを選択することが好ましい。
さらに、後述の実施例からも明らかなように、(b)の方が融解曲線分析におけるシグナルの微分値が相対的に高く、より好ましい。
なお、後述の実施例では、上記(a)または(b)の組み合わせすべてについて実験を行ってはいない。しかし、以下の理由により、実験を行っていないプライマーセットにおいても、上記と同様の良好な結果を得られることが強く示唆される。
例えば、配列番号3で示される塩基配列の中の連続する22〜29塩基からなる群から選択されるフォワードプライマーに関して、配列番号3の中で5’末端側および3’末端側から各7塩基を除いた15塩基はいずれのフォワードプライマーにも含まれており、部分的な塩基配列の同一性はいずれのフォワードプライマーでも連続して保たれている。同様に、配列番号5で示される塩基配列の中の連続する25〜30塩基からなる群から選択されるリバースプライマーに関して、配列番号5の中で5’末端側および3’末端側から各5塩基を除いた20塩基の同一性はいずれのリバースプライマーでも連続して保たれている。配列番号4で示される塩基配列の中の連続する22〜29塩基からなる群から選択されるフォワードプライマー、および、配列番号6で示される塩基配列の中の連続する24〜29塩基からなる群から選択されるリバースプライマーについても同様である。
このように、各プライマー群の中では、若干の長さの相違があるものの、いずれも部分的な塩基配列の同一性が保たれており、これによってターゲット部位に対する特異性が維持されている。したがって、上記(a)または(b)の範囲内におけるバリエーションは、プライマーとしての機能を大きく変化させるものではないことがわかる。
実施例にて選択された複数のオリゴヌクレオチドプライマーは、いずれを用いてもクラミジアトラコマチスの検出に成功していることからも、以上の推測が間違っていないことが強く示唆される。
[3−(2)]被検核酸の増幅
本発明における被検核酸は、例えば、一本鎖でもよいし、二本鎖でもよい。二本鎖の場合は、例えば、被検核酸とプローブとをハイブリダイズさせてハイブリッド体を形成するために、加熱により前記二本鎖を一本鎖に解離させる工程を含むことが好ましい。
前記被検核酸の種類としては、特に制限されないが、例えば、DNAや、トータルRNA、mRNA等のRNA等があげられる。また、前記被検核酸は、例えば、クラミジアトラコマチスを寄生させた細胞培養試料や生体試料等の試料に含まれる核酸が挙げられる。
前記生体試料としては、特に制限されないが、例えば、生殖器や咽頭をぬぐったスワブ、あるいは該スワブに付着したぬぐい液、尿、うがい液などが挙げられる。
試料の採取方法、DNAやRNA等の核酸の調製方法等は、制限されず、従来公知の方法が採用できる。
続いて、単離したDNAを鋳型として、上述のオリゴヌクレオチドプライマーセットを用いて、PCR等の核酸増幅法によって、検出目的の塩基部位を含む配列を増幅させる。なお、PCR等の条件は、特に制限されず、従来公知の方法により行うことができる。
本発明のクラミジアトラコマチスの検出方法における核酸の増幅工程に用いられる具体的な核酸増幅方法としては特に限定されず、適宜公知の方法を用いることができる。例えば、PCR(Polymerase Chain Reaction)法、NASBA(Nucleic acid sequence based amplification)法、TMA(Transcription−mediated amplification)法、SDA(Strand Displacement Amplification)法等があげられるが、PCR法を用いることが好ましい。なお、これらの各方法において、増幅反応の条件は特に制限されず、従来公知の方法により行うことができる。
核酸増幅にPCR法を用いる場合、DNAポリメラーゼには、α型DNAポリメラーゼを用いることが好ましい。その理由を以下に説明する。
本発明プローブが含まれる反応系でクラミジアトラコマチスに含まれるDNAを増幅する場合、核酸増幅工程中に該オリゴヌクレオチドプローブが試料のクラミジアトラコマチスに含まれるDNA遺伝子またはその増幅産物と結合しうる。核酸増幅工程中にクラミジアトラコマチスに含まれるDNA遺伝子またはその増幅産物と結合した該オリゴヌクレオチドプローブは、オリゴヌクレオチドプライマーとDNAポリメラーゼによる核酸増幅反応を阻害する。
Taq DNA PolymeraseなどPolI型のDNAポリメラーゼは5’− 3’エキソヌクレアーゼ活性を持つことが知られている。この活性のため、核酸増幅反応中に鋳型となるDNAと結合した核酸がある場合、該結合核酸はエキソヌクレアーゼ活性によって分解されてしまう。このため、反応系中の該オリゴヌクレオチドプローブが減少し核酸検出工程に問題が生じる可能性がある。従って、PolI型DNAポリメラーゼを用いて本発明を実施することは好ましくない。
他方、KOD DNA Polymerase(超好熱始原菌Thermococcus kodakaraensis KOD1由来)などα型のDNAポリメラーゼは5’−3’エキソヌクレアーゼ活性は持たず、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を持つ。従って、α型DNAポリメラーゼを用いれば上記問題を解決できるのみならず、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性により核酸増幅工程において高い正確性が発揮される。
通常、α型DNAポリメラーゼは3’→ 5’エキソヌクレアーゼ活性のため、核酸増幅速度はPolI型酵素と比較して低い傾向がある。しかし、KOD DNA Polymeraseはα型DNAポリメラーゼでありながらDNA合成活性が高く100塩基/秒以上のDNA合成速度を有し伸長効率が優れている。従って、本発明の実施にはα型DNAポリメラーゼの中でも、KOD DNA Polymerase(東洋紡績製、商標)を用いることが好ましい。
さらに、α型DNAポリメラーゼを変異させて100塩基/秒以上のデオキシリボ核酸合成速度を達成させた変異型、あるいは、野生型および/または変異型の組み合わせにより当該性能を達成させたDNAポリメラーゼ組成物も、本発明の実施に適したDNAポリメラーゼとして用いることができる。
例えば、上記KOD DNA Polymerase以外に100塩基/秒以上のデオキシリボ核酸合成速度を有するDNAポリメラーゼとして、「KOD FX(東洋紡績製、登録商標)」、「KOD −Plus−(東洋紡績製、商標)」、「KOD Dash(東洋紡績製、登録商標)」、PrimeSTAR HS DNAポリメラーゼ(タカラバイオ製、登録商標)なども利用できる。
なかでも、高い正確性とDNA合成活性とをあわせ持つKOD −Plus−が望ましい。
[DNA合成活性]
本明細書において、DNA合成活性とは鋳型DNAにアニールされたオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの3’−ヒドロキシル基にデオキシリボヌクレオシド5’−トリホスフェートのα−ホスフェートを共有結合せしめることにより、デオキシリボ核酸にデオキシリボヌクレオシド5’−モノホスフェートを鋳型依存的に導入する反応を触媒する活性をいう。
その活性測定法は、酵素活性が高い場合には、保存緩衝液でサンプルを希釈して測定を行う。本発明では、下記A液25μL、B液およびC液各5μLおよび滅菌水10μLをエッペンドルフチューブに加えて攪拌混合した後、上記酵素液5μLを加えて75℃で10分間反応する。その後、氷冷し、E液50μL、D液100μLを加えて、攪拌後、さらに10分間氷冷する。この液をガラスフィルター(ワットマンGF/Cフィルター)で濾過し、D液及びエタノールで充分洗浄し、フィルターの放射活性を液体シンチレーションカウンター(パッカード社製)で計測し、鋳型DNAへのヌクレオチドの取り込みを測定する。酵素活性の1単位はこの条件下で30分あたり10nモルのヌクレオチドを酸不溶性画分に取り込む酵素量とする。
A: 40mM Tris−HCl(pH7.5)
16mM 塩化マグネシウム
15mM ジチオスレイトール
100μg/mL BSA
B: 2μg/μL 活性化仔牛胸腺DNA
C: 1.5mM dNTP(250cpm/pmol〔3H〕dTTP)
D: 20% トリクロロ酢酸(2mMピロリン酸ナトリウム)
E: 1μg/μL キャリアーDNA
[3’−5’エキソヌクレアーゼ活性]
本明細書において、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性とは、DNAの3’末端領域を切除し、5’−モノヌクレオチドを遊離する活性をいう。
その活性測定法は、50μLの反応液(120mM Tris−HCl(pH8.8 at 25℃), 10mM KCl, 6mM 硫酸アンモニウム,1mM MgCl, 0.1% Triton X−100, 0.001% BSA,5 μg トリチウムラベルされた大腸菌DNA)を1.5mLのエッペンチューブに分注し、DNAポリメラーゼを加える。75℃で10分間反応させた後、氷冷によって反応を停止し、次にキャリアーとして、0.1%のBSAを50μL加え、さらに10%のトリクロロ酢酸、2%ピロリン酸ナトリウム溶液を100μL加え混合する。氷上で15分放置した後、12,000回転で10分間遠心し沈殿を分離する。上清100μLの放射活性を液体シンチレーションカウンター(パッカード社製)で計測し、酸可溶性画分に遊離したヌクレオチド量を測定する。
[3−(3)]クラミジアトラコマチス由来の核酸増幅産物とプローブとの複合体形成
本発明のクラミジアトラコマチスの検出方法においては、上記で説明した被検核酸の増幅によって得られた増幅産物と、該核酸増幅産物の一部と複合体を形成せしめるように設計されたオリゴヌクレオチドプローブとをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめる。
核酸増幅産物を含む試料にオリゴヌクレオチドプローブを添加するタイミングは、特に制限されず、例えば、前述の核酸増幅反応前、核酸増幅反応途中および核酸増幅反応後のいずれに、増幅反応の反応系に添加してもよい。
中でも、増幅反応と、後述の検出反応とを連続的に行うことができるため、増幅反応前に添加することが好ましい。このように核酸増幅反応の前に前記プローブを添加する場合は、例えば、後述のように、その3’末端に、蛍光色素を付加したり、リン酸基を付加したりすることが好ましい。
[3−(4)]核酸増幅産物とプローブとの複合体の検出
上記で得られた複合体を検出する方法は特に限定されない。例えば、融解曲線分析による方法が挙げられる。
融解曲線分析の場合は、例えば、以下のように行う。
二本鎖DNAを含む溶液を加熱していくと、260nmにおける吸光度が上昇する。これは、二本鎖DNAにおける両鎖間の水素結合が加熱によってほどけ、一本鎖DNAに解離(DNAの融解)することが原因である。そして、全ての二本鎖DNAが解離して一本鎖DNAになると、その吸光度は、加熱開始時の吸光度(二本鎖DNAのみの吸光度)の約1.5倍程度を示し、これによって融解が完了したと判断できる。
本発明において、融解曲線分析を行うための温度変化に伴うシグナル変動の測定は、前述のような原理から、260nmの吸光度測定により行うこともできるが、本発明のオリゴヌクレオチドプローブに付加した標識のシグナルを測定することが好ましい。このため、本発明のクラミジアトラコマチスの検出方法に用いるオリゴヌクレオチドプローブとしては、標識化プローブを使用することが好ましい。
標識化プローブとしては、例えば、単独でシグナルを示し且つハイブリッド形成によりシグナルを示さない標識化プローブ、または、単独でシグナルを示さず且つハイブリッド形成によりシグナルを示す標識化プローブがあげられる。前者のプローブであれば、検出対象配列とハイブリッド(二本鎖)を形成している際にはシグナルを示さず、加熱によりプローブが遊離するとシグナルを示す。また、後者のプローブであれば、検出対象配列とハイブリッド(二本鎖)を形成することによってシグナルを示し、加熱によりプローブが遊離するとシグナルが減少(消失)する。したがって、この標識によるシグナルをシグナル特有の条件(吸光度等)で検出することによって、前記260nmの吸光度測定と同様に、融解の進行を把握することができる。
標識化プローブの具体例として、例えば、蛍光色素で標識され、単独で蛍光を示し且つハイブリッド形成により蛍光が減少(例えば、消光)するプローブが好ましい。このような現象は、一般に、蛍光消光現象と呼ばれる。この蛍光消光現象を利用したプローブとしては、中でも、一般的にグアニン消光プローブとよばれるものが好ましい。このようなプローブは、いわゆるQProbe(登録商標)として知られている。グアニン消光プローブとは、例えば、オリゴヌクレオチドの3’末端もしくは5’末端の塩基がシトシンとなるように設計し、その末端の塩基シトシンが相補的な塩基グアニンに近づくと発光が弱くなる蛍光色素で前記末端を標識化したプローブである。本発明のプローブにおいては、例えば、蛍光消光現象を示す蛍光色素を、前記オリゴヌクレオチドの3’末端のシトシンに結合させてもよいし、前記オリゴヌクレオチドの5’末端をシトシンに設計し、これに結合させてもよい。
前記蛍光色素は、制限されないが、例えば、フルオレセイン、リン光体、ローダミン、ポリメチン色素誘導体等があげられ、市販の蛍光色素としては、例えば、BODIPY FL(商標名、モレキュラープローブ社製)、FluorePrime(商品名、アマシャムファルマシア社製)、Fluoredite(商品名、ミリポア社製)、FAM(ABI社製)、Cy3およびCy5(アマシャムファルマシア社製)、TAMRA(モレキュラープローブ社製)等があげられる。プローブの検出条件は、特に制限されず、使用する蛍光色素により適宜決定できるが、例えば、Pacific Blueは、検出波長450〜480nm、TAMRAは、検出波長585〜700nm、BODIPY FLは、検出波長515〜555nmで検出できる。このようなプローブを使用すれば、シグナルの変動により、ハイブリダイズと解離とを容易に確認することができる。
本発明のクラミジアトラコマチスの検出方法に用いるプローブは、例えば、3’末端にリン酸基が付加されてもよい。後述するように、遺伝子の有無を検出する被検核酸(標的核酸)は、PCR等の核酸増幅法によって調製することができ、この際、本発明のプローブを核酸増幅反応の反応系に共存させることができる。このような場合、プローブの3’末端にリン酸基を付加させておけば、プローブ自体が核酸増幅反応によって伸長することを十分に防止できる。また、3’末端に前述のような標識物質を付加することによっても、同様の効果が得られる。
得られたPCR増幅産物の解離、および、解離により得られた一本鎖DNAと前記標識化プローブとのハイブリダイズは、例えば、前記反応液の温度変化によって行うことができる。
前記解離工程における加熱温度は、前記増幅産物が解離できる温度であれば特に制限されないが、例えば、85〜98℃である。加熱時間も特に制限されないが、通常、1秒〜10分であり、好ましくは1秒〜5分である。
また、解離した一本鎖DNAと前記標識化プローブとのハイブリダイズは、例えば、前記解離工程の後、前記解離工程における加熱温度を降下させることによって行うことができる。温度条件としては、例えば、35〜50℃である。
ハイブリダイズ工程の反応系(反応系)における各組成の体積や濃度は、特に制限されない。具体例としては、前記反応系において、DNAの濃度は、例えば、0.01〜100μmol/Lであり、好ましくは0.1〜10μmol/L、前記標識化プローブの濃度は、例えば、前記DNAに対する添加割合を満たす範囲が好ましく、例えば、0.01〜100μmol/Lであり、好ましくは0.01〜10μmol/Lである。
そして、前記反応液の温度を変化させ、前記増幅産物と前記標識化プローブとのハイブリッド形成体の融解状態を示すシグナル値を測定する。具体的には、例えば、前記反応液(前記一本鎖DNAと前記標識化プローブとのハイブリッド形成体)を加熱し、温度上昇に伴うシグナル値の変動を測定する。前述のように、末端のC塩基が標識化されたプローブ(グアニン消光プローブ)を使用した場合、一本鎖DNAとハイブリダイズした状態では、蛍光が減少(または消光)し、解離した状態では、蛍光を発する。したがって、例えば、蛍光が減少(または消光)しているハイブリッド形成体を徐々に加熱し、温度上昇に伴う蛍光強度の増加を測定すればよい。
蛍光強度の変動を測定する際の温度範囲は、特に制限されないが、例えば、開始温度が室温〜85℃であり、好ましくは25〜70℃であり、終了温度は、例えば、40〜105℃である。また、温度の上昇速度は、特に制限されないが、例えば、0.05〜20℃/秒であり、好ましくは0.08〜5℃/秒である。
被検核酸の有無の決定は、例えば、ハイブリッド形成時におけるシグナル変動を測定することによって行いうる。すなわち、前記プローブを含む反応液の温度を降下させてハイブリッド形成体を形成する際に、前記温度降下に伴うシグナル変動を測定する。
具体例として、単独でシグナルを示し且つハイブリッド形成によりシグナルを示さない標識化プローブ(例えば、グアニン消光プローブ)を使用した場合、一本鎖DNAとプローブとが解離している状態では蛍光を発しているが、温度の降下によりハイブリッドを形成すると、前記蛍光が減少(または消光)する。したがって、例えば、前記反応液の温度を徐々に降下させて、温度下降に伴う蛍光強度の減少を測定すればよい。他方、単独でシグナルを示さず且つハイブリッド形成によりシグナルを示す標識化プローブを使用した場合、一本鎖DNAとプローブとが解離している状態では蛍光を発していないが、温度の降下によりハイブリッドを形成すると、蛍光を発するようになる。したがって、例えば、前記反応液の温度を徐々に降下させて、温度下降に伴う蛍光強度の増加を測定すればよい。
また、本発明においては、目的の塩基部位における遺伝子型の決定のために、前記シグナルの変動を解析してTm(melting temperature)値として決定してもよい。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
〔実施例1:クラミジアトラコマチス内在性プラスミドの検出〕
(1)試料の調製
クラミジアトラコマチスから抽出したDNA試料を10mMのTris−HCl(pH7.5)で内在性プラスミドが100(コピー/μL)となるように調製し、試料とした。また、陰性コントロール(NC)として水を使用した。
(2)核酸増幅および融解曲線解析
上記試料および陰性コントロールにそれぞれ下記試薬を添加して、下記条件によりクラミジアトラコマチスの内在性プラスミドを検出した。核酸増幅および融解曲線解析には東洋紡績社製GENECUBE(登録商標)を使用した。
試薬
以下の試薬を含む溶液を調製した。なお、オリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせについては表1に記載した。
10μMオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号9〜11のいずれか1本)0.4μL
100μMオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号15〜17のいずれか1本)0.2μL
10μMオリゴヌクレオチドプローブ(配列番号21、3’末端をBODIPY−FL標識)0.3μL
KOD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μL
PPD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μL
試料3μL
核酸増幅および融解曲線解析
94℃・2分
(以上1サイクル)
97℃・1秒
58℃・3秒
63℃・6秒
(以上50サイクル)
94℃・30秒
39℃・30秒
39℃〜75℃(0.09℃/秒で温度上昇)
結果
図1は、表1の組み合わせNo.1で示されるオリゴヌクレオチドプライマーを用いて核酸増幅を行い、その後の温度上昇にともなう蛍光強度の変化を、グラフの横軸を温度、縦軸を蛍光シグナルの微分値として解析結果を表した図である。グラフのうちCT DNAはクラミジアトラコマチスDNA試料の解析結果を、WaterはNCである水の解析結果を示している。図1より明らかなように、クラミジアトラコマチスの内在性プラスミドが検出されている。また、図2から図5は、それぞれ表1の組み合わせNo.2から5で示されるオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、同様の実験を行った結果である。いずれの組み合わせでもクラミジアトラコマチスの内在性プラスミドが検出されており、本発明のクラミジアトラコマチス検出用オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブはいずれもクラミジアトラコマチスの検出に有効であることが示された。また、本検査における核酸増幅および融解曲線解析は約45分間で完了した。これは既存のクラミジアトラコマチス核酸増幅検査法と比較して、検査に要する時間が半分以下であり、本発明が迅速性に優れたクラミジアトラコマチス検査法を提供できることが示唆された。
〔実施例2:異なるオリゴヌクレオチドプライマーセットおよびプローブを用いたクラミジアトラコマチス内在性プラスミドの検出〕
(1)試料の調製
実施例1と同じ。
(2)核酸増幅および融解曲線解析
実施例1と同じ。
試薬
以下の試薬を含む溶液を調製した。なお、オリゴヌクレオチドプライマーの組み合わせについては表2に記載した。
10μMオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号12〜14のいずれか1本)0.4μL
100μMオリゴヌクレオチドプライマー(配列番号18または19のいずれか1本)0.2μL
10μMオリゴヌクレオチドプローブ(配列番号23、3’末端をBODIPY−FL標識)0.4μL
KOD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μL
PPD Mix(ジーンキューブ(R)テストベーシック、東洋紡製)3μL
試料3μL
核酸増幅および融解曲線解析
実施例1と同じ。
結果
図6は、表2の組み合わせNo.1で示されるオリゴヌクレオチドプライマーを用いて核酸増幅を行い、その後の温度上昇にともなう蛍光強度の変化を、グラフの横軸を温度、縦軸を蛍光シグナルの微分値として解析結果を表した図である。図6より明らかなように、クラミジアトラコマチスの内在性プラスミドが検出されている。また、図7から図11は、それぞれ表2の組み合わせNo.2から6で示されるオリゴヌクレオチドプライマーを用いて、同様の実験を行った結果である。いずれの組み合わせでもクラミジアトラコマチスの内在性プラスミドが検出された。
本発明をクラミジアトラコマチス検査に利用することで、迅速性、正確性の両方に優れ、なおかつ高感度にクラミジアトラコマチスを検出することができる。また、本発明は1対のオリゴヌクレオチドプライマーセットと1本のオリゴヌクレオチドプローブによって実施可能であるため、既存のクラミジアトラコマチス核酸増幅法よりも必要とするオリゴヌクレオチドの本数を抑えることができる。従って、本発明を利用することで既存の核酸増幅法よりも安価に検査を実施することができる。

Claims (8)

  1. 以下の(a1)および(a2)からなるクラミジアトラコマチス検出用のプライマー・プローブのセット
    (a1)配列番号9〜11で示されるオリゴヌクレオチドの群から1つ選択されるフォワードプライマーと配列番号15〜17で示されるオリゴヌクレオチドの群から1つ選択されるリバースプライマーとの組合せからなるプライマー対
    (a2)配列番号21で示されるオリゴヌクレオチドプローブ
  2. 以下の(b1)および(b2)からなるクラミジアトラコマチス検出用のプライマー・プローブのセット
    (b1)配列番号12〜14で示されるオリゴヌクレオチドの群から1つ選択されるフォワードプライマーと配列番号18〜20で示されるオリゴヌクレオチドの群から1つ選択されるリバースプライマーとの組合せからなるプライマー対
    (b2)配列番号23で示されるオリゴヌクレオチドプローブ
  3. 以下の(c1)〜(c3)の工程を含む、クラミジアトラコマチスを検出する方法。
    (c1)請求項1の(a1)に記載のプライマー対を用いて核酸増幅を行う工程。
    (c2)工程(1)によって得られた核酸増幅産物と、請求項1の(a2)に記載のプローブとをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめる工程。
    (c3)工程(2)で得られた複合体を検出する工程。
  4. 以下の(d1)〜(d3)の工程を含む、クラミジアトラコマチスを検出する方法。
    (d1)請求項2の(b1)に記載のプライマー対を用いて核酸増幅を行う工程。
    (d2)工程(1)によって得られた核酸増幅産物と、請求項2の(b2)に記載のプローブとをハイブリダイズさせ複合体を形成せしめる工程。
    (d3)工程(2)で得られた複合体を検出する工程。
  5. 請求項3の(c3)の工程を、連続的な温度上昇を行いながら、オリゴヌクレオチドプローブを標識している蛍光色素の蛍光を測定することにより融解曲線分析を行い、融解曲線分析の結果に基づいてクラミジアトラコマチスの内在性プラスミドの存在を検出することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
  6. 請求項4の(d3)の工程を、連続的な温度上昇を行いながら、オリゴヌクレオチドプローブを標識している蛍光色素の蛍光を測定することにより融解曲線分析を行い、融解曲線分析の結果に基づいてクラミジアトラコマチスの内在性プラスミドの存在を検出することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  7. 請求項1に記載のプライマー・プローブのセット、DNAポリメラーゼ、緩衝液、マグネシウムイオン、dNTPs、DMSOを含む、クラミジアトラコマチスの内在性プラスミドの検出を行う方法のためのキット。
  8. 請求項2に記載のプライマー・プローブのセット、DNAポリメラーゼ、緩衝液、マグネシウムイオン、dNTPs、DMSOを含む、クラミジアトラコマチスの内在性プラスミドの検出を行う方法のためのキット。
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