JP2013047388A - 微結晶シリコン膜形成方法、微結晶シリコン膜成膜装置および表示装置 - Google Patents
微結晶シリコン膜形成方法、微結晶シリコン膜成膜装置および表示装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】微結晶シリコン膜の移動度を高める。
【解決手段】高密度プラズマを用いて少なくとも(220)の結晶方位配列に成長させるように微結晶シリコン膜を形成する第1の工程を有し、第1の工程時、微結晶シリコン膜の結晶方位配列(111)に対する結晶方位配列(220)への成長比率が高くなるように、被処理体近傍の温度を300〜350℃の範囲内に設定し、総流量に対する水素ガスの流量比を高めた成膜ガスを供給する。これにより、ダングリングボンドの少ない微結晶シリコン膜20を形成して、移動度を高めることができる。
【選択図】図6
【解決手段】高密度プラズマを用いて少なくとも(220)の結晶方位配列に成長させるように微結晶シリコン膜を形成する第1の工程を有し、第1の工程時、微結晶シリコン膜の結晶方位配列(111)に対する結晶方位配列(220)への成長比率が高くなるように、被処理体近傍の温度を300〜350℃の範囲内に設定し、総流量に対する水素ガスの流量比を高めた成膜ガスを供給する。これにより、ダングリングボンドの少ない微結晶シリコン膜20を形成して、移動度を高めることができる。
【選択図】図6
Description
本発明は、微結晶シリコン膜を形成する微結晶シリコン膜形成方法、その方法を用いて微結晶シリコン膜を形成する微結晶シリコン膜成膜装置、およびその装置により成膜された微結晶シリコン膜を用いて製造された半導体を組み込んだ表示装置に関する。
薄膜トランジスタの活性層として機能するシリコン酸化膜は、非結晶膜(a−Si:アモルファスシリコン膜)、多結晶膜(Poly−Si:ポリシリコン膜)および微結晶膜(μc−Si:マイクロクリスタルシリコン膜)のいずれかを成膜することにより形成される。非結晶膜は、結晶構造を有さないので成膜後にアニール処理やレーザアニールを施すことにより膜を結晶化する。
図3(b)に示したように、結晶構造を有する膜中のグレインの粒界(グレインバウンダリ)にはシリコン原子の未結合手(ダングリングボンド)が存在する。粒界のダングリングボンドは、キャリアをトラップしてその輸送を妨げるため、移動度を低減させる原因となる。また、粒界のダングリングボンドは、デバイスの閾値電圧にも影響を与える。
そこで、従来から、H2ガスを含むガスを励起させてプラズマを生成し、プラズマ中の水素(H)とシリコン酸化膜中のシリコン(Si)とを反応させることにより、粒界のダングリングボンドを水素にて終端(ターミネート)させる水素プラズマ処理が行われている(たとえば、特許文献1、2を参照)。これによれば、ダングリングボンドが水素にて終端されているため、電子やホールからなるキャリアがグレインの粒界でトラップされることを回避することができる。この結果、シリコン酸化膜中の移動度を高めることができる。
しかしながら、非結晶膜の結晶化のための高温のアニール処理工程や熱酸化処理工程では、プロセスの最高温度を600℃以下に制限することができないため、基板の熱変形等を抑えるために石英基板を用いる必要があり、歪点の低いガラスを用いることはできない。
これに対して、非結晶膜の結晶化にレーザアニールを用いる方法もある。たとえば、エキシマレーザなどから発振されるパルスを用いたレーザアニールでは、照射時間が数十nsecであるため、非結晶膜は融解するがガラス基板までは熱は伝わらない。また、CW(Continuous Wave)レーザの場合、アルゴン(波長488nm)レーザのように可視領域を用いれば、非結晶膜のみ可視光を吸収して融解し、ガラス基板は透過し熱は伝わらない。このため、基板に安価なガラスを用いることができる。しかし、この方法ではレーザアニールの工程が増えてしまい、生産性を低下させる。
上記課題を解消するために、本発明では、大面積、高密度プラズマを用いて少なくとも(220)の結晶方位配列を有する微結晶シリコン膜を形成する微結晶シリコン膜形成方法、その方法を用いて微結晶シリコン膜を形成する微結晶シリコン膜成膜装置、およびその装置により形成された微結晶シリコン膜を用いて製造された半導体を組み込んだ表示装置を提供する。
すなわち、上記課題を解決するために、本発明のある態様によれば、高密度プラズマを用いて少なくとも(220)の結晶方位配列に成長させるように微結晶シリコン膜を形成する第1の工程を有し、前記第1の工程時、前記微結晶シリコン膜の結晶方位配列(111)に対する結晶方位配列(220)への成長比率が高くなるように、被処理体近傍の温度を300〜350℃の範囲内に設定し、総流量に対する水素ガスの流量比を高めた成膜ガスを供給する微結晶シリコン膜形成方法が提供される。
前述したように、微結晶シリコン膜中のグレイン(粒)の粒界(グレインバウンダリー)には、ダングリングボンド(結晶欠陥)が存在する。粒界のダングリングボンドは、キャリアをトラップしてその輸送を妨げるため移動度を低減させる原因となる。また、結晶欠陥は、デバイスの閾値電圧に影響を与える。
これに対して、かかる構成によれば、高密度プラズマを用いて少なくとも(220)の結晶方位配列に成長させるように微結晶シリコン膜が形成される。図6に示したように、発明者らは、ESR(Electron Spin Resonannce:電子磁気共鳴)強度から、微結晶シリコン膜の(220)配向面では(111)配向面よりダングリングボンドが1桁少ないことを見出した。
この現象は、(111)配向では柱状結晶が見られるのに対し、(220)配向では結晶が横方向に広がり、グレインのバウンダリがあまりはっきりしていないため、(220)配向に結晶が成長する過程では、ダングリングボンド(結晶欠陥)が少ないのではないかとの推定から導き出される。これによれば、微結晶シリコン膜の(220)配向面を移動するキャリアは、(111)配向面を移動するキャリアよりトラップされる確率が低い。このため、微結晶シリコン膜の(220)配向面では(111)配向面より移動度が高くなることがわかる。
また、微結晶シリコン膜はアニール処理する必要はないので、プロセス中の最高温度をガラスの歪点より低くすることができる。これにより、高価な石英に代えて比較的安価なガラス基板を使用することができる。なお、非結晶膜をレーザアニールすることによっても安価なガラス基板を使用することはできるが、前述したようにアニール処理工程が増えるので生産性が低下する。
発明者らは、図9に基づき、微結晶シリコン膜の結晶方位とプロセス中の基板近傍の温度および水素流量との間には相関関係があることをつきとめた。具体的には、発明者らは、基板近傍の温度が250℃のときには、供給する水素ガスの流量を増加させても結晶方位配列(111)に対する結晶方位配列(220)への成長比率はそれほどよくならなかったが、基板近傍の温度が300、350℃のときには、温度が上がるにつれ微結晶シリコン膜の結晶方位配列(111)に対する結晶方位配列(220)への成長比率が上がることを見いだした。
この結果から、発明者らは、前記第1の工程時、微結晶シリコン膜の結晶方位配列(111)に対する結晶方位配列(220)への成長比率が高くなるように基板近傍の温度を300〜350℃の範囲内に設定することが好ましく、これにより、微結晶シリコン膜を(220)配向へより効果的に成長させ、移動度をさらに高めることができると結論付けた。
また、発明者らは、図10に基づき、微結晶シリコン膜を成膜するための成膜ガスの総流量(または成膜時のアルゴンガスの流量)に対する水素の流量が多いほど、微結晶シリコン膜の結晶方位配列(111)に対する結晶方位配列(220)への成長比率が大きくなることを解明した。
この結果から、発明者らは、前記第1の工程時、前記微結晶シリコン膜の結晶方位配列(111)に対する結晶方位配列(220)への成長比率が高くなるように成膜ガスに水素ガスを混合させることを見いだした。これにより、微結晶シリコン膜を欠陥が少ない(220)の配向へより効果的に成長させることができる。この結果、移動度をさらに高めることができる。
また、本発明のある態様によれば、高密度プラズマを用いて少なくとも(220)の結晶方位配列に成長させるように微結晶シリコン膜を形成する第1の工程を有し、前記第1の工程前、前記微結晶シリコン膜の結晶方位配列(111)に対する結晶方位配列(220)への成長比率が高くなるように、水素ガスを含む所定のガスを生ガスとして処理室内に導入する微結晶シリコン膜の形成方法も提供される。
発明者らは、図10にプリトリートメントとして示したように、前記微結晶シリコン膜の結晶方位配列(111)に対する結晶方位配列(220)への成長比率が高くなるように、前記第1の工程前に水素ガスを含む所定のガス(生ガス)を処理室内に導入することが効果的であることを見いだした。これによって、微結晶シリコン膜を(220)配向へより効果的に成長させ、移動度をさらに高めることができる。
また、水素含有プラズマにより前記微結晶シリコン膜を水素にて終端させる第2の工程を有していてもよい。これによれば、図3に示したように、ダングリングボンドが水素で終端されるため、キャリアがトラップされず、移動度をさらに高めることができる。この結果、低消費電力で高速処理が可能な半導体を製造することができる。
前記第2の工程は、前記第1の工程後に実行してもよい。また、基板に印加するバイアス電圧のパワーを15〜35Wの範囲内に設定してもよい。
なお、高密度プラズマとは1011cm−3以上の電子密度のプラズマをいい、マイクロ波、ICP(Inductively Coupled Plasma)、ECR(Electron Cyclotron Resonance)などを用いて生成することができる。
前記高密度プラズマは、図5に示したラジアルラインスロットアンテナ(RLSA:Radial Line Slot Antenna)345が配置されたプラズマ処理装置(以下、RLSAプラズマ処理装置とも称呼する。)の前記ラジアルラインスロットアンテナから内部に供給されたマイクロ波のパワーを用いて所望のガスを励起させることにより生成することができる。
また、前記高密度プラズマは、図13に示したプラズマ処理装置(以下、CMEP(Cellular Microwave Excitation Plasma)プラズマ処理装置とも称呼する。)の前記複数の誘電体板31から内部に供給されたマイクロ波のパワーを用いて所望のガスを励起させることにより生成することもできる。
特に、CMEPプラズマ処理装置では、タイル状の誘電体板31がアレイ状に設けられる。各誘電体31は、格子状に形成された梁26で支持され、処理容器の天井面に固定されている。梁26は、非磁性体の導電性部材によって形成されている。2.45GHzのマイクロ波の自由空間における波長は約120mmである。各誘電体板31を透過したマイクロ波は、誘電体31の下面とプラズマとの間を表面波(進行波)となって伝搬し、梁26に到達すると反射して反射波となる。通常、進行波と反射波との干渉により定在波が生じる。しかしながら、CMEPプラズマ処理装置では、誘電体板31が120mm×120mm程度の大きさであり、これは、縦横共にせいぜい定在波の1波長程度の長さしかないので、CMEPプラズマ処理装置では定在波はほぼ生じないと考えてよい。定在波は均一なプラズマを安定的に生成することの妨げになるから、CMEPプラズマ処理装置によれば、誘電体板31を所定の間隔毎にアレイ状に多数設けることにより、プラズマを均一かつ安定的に生成することができ、この結果、均一なプラズマを用いて大面積の被処理体に対して精密なプラズマ処理を精度良く行うことができる。
マイクロ波プラズマ処理装置では、プラズマの電子密度neが、カットオフ密度ncよりも低い場合にはマイクロ波(電磁波)がプラズマ中を伝搬するため、高電子温度のプラズマが生成され、プラズマの状態も不安定になる。一方、プラズマの電子密度neが、カットオフ密度ncよりも高い場合、マイクロ波は、表面波となって誘電体板とプラズマとの間を伝搬する。伝搬中、マイクロ波の一部は、エバネッセント波としてプラズマに吸収されプラズマの維持に使われ、これにより、低電子温度のプラズマが安定的に生成される。
上記プラズマ生成の原理から、マイクロ波プラズマは、プラズマの電子密度neが、カットオフ密度ncよりも高い場合、容量結合型や誘導結合型のプラズマ処理装置にて生成されるプラズマと比べるとプラズマの電子密度neが高く、電子温度Teが低いため、高速なプラズマ処理で(220)配向の高い高品質な微結晶シリコン膜を製造することができる。
プロセス中、基板近傍の温度を600℃以下に制御するようにしてもよい。これによれば、高価な石英に比べ比較的安価なガラス基板上に微結晶シリコン膜を形成することができる。
以上に説明した微結晶シリコン膜形成方法を用いて微結晶シリコン膜を形成する微結晶シリコン膜成膜装置によれば、少なくとも(220)の結晶方位配列に成長させるように微結晶シリコン膜が形成される。これにより、移動度を高く保ち、低消費電力で高速処理が可能な半導体を製造することができる。
特に、前述したCMEPプラズマ処理装置では、将来、大面積化が予想される半導体の製造に対応できるように、広範囲に渡って均一に高密度プラズマを生成することができる。この大面積高密度プラズマを用いて微結晶シリコン膜を成膜することにより、良好な特性を有し、かつ大面積な半導体を製造することができる。
また、上記微結晶シリコン膜成膜装置により形成された微結晶シリコン膜を用いて製造された半導体を表示装置に組み込むことにより、高速処理が可能で消費電力の低い表示装置を製品化することができる。
以上説明したように本発明の一態様によれば、微結晶シリコン膜中の移動度を高めることができる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明が用いられる一実施形態にかかるTFT(薄膜トランジスタ)プロセス(半導体製造方法)ついて詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面において、同一の構成及び機能を有する構成要素については同一符号を付することにより重複説明を省略する。また、本明細書中、0℃、1atmのとき、1sccmは、10−6/60(m3/sec)、1mTorrは、10−3×101325/760(Pa)とする。
本実施形態のTFTプロセスでは、活性層として形成された微結晶シリコン膜からみてゲート電極がガラス基板と同方向に配置されたボトムゲート構造の薄膜トランジスタが製造される。図1、2には、ボトムゲート型TFTプロセスが示されている。図では、nチャネルTFTプロセスの各工程を示しているが、ドープする不純物を変えればpチャネルTFTプロセスの各工程となる。
1.ゲート酸化膜形成
ボトムゲート構造TFTプロセスでは、まず、図1(a)に示したように、リン(P)をドープしたドープドシリコン膜(低抵抗層(p+))のガラス基板S上にゲート酸化(SiO2)膜10を形成する。ゲート酸化膜10は、常圧、基板温度400℃の状態においてシラン(SiH4)および酸化窒素(N2O)の混合ガスを励起させてプラズマを生成し、そのプラズマにより100nmの厚さに成膜される(常圧CVD)。なお、ガラス基板Sはゲート電極として機能し、ゲート酸化膜10はゲート絶縁膜として機能する。
ボトムゲート構造TFTプロセスでは、まず、図1(a)に示したように、リン(P)をドープしたドープドシリコン膜(低抵抗層(p+))のガラス基板S上にゲート酸化(SiO2)膜10を形成する。ゲート酸化膜10は、常圧、基板温度400℃の状態においてシラン(SiH4)および酸化窒素(N2O)の混合ガスを励起させてプラズマを生成し、そのプラズマにより100nmの厚さに成膜される(常圧CVD)。なお、ガラス基板Sはゲート電極として機能し、ゲート酸化膜10はゲート絶縁膜として機能する。
成膜されたゲート酸化膜10は、たとえば、ガラス基板の歪点を考慮してレーザアニールすることにより、多結晶化(Poly−Si)させることもできる。また、基板に石英等の歪点の高い材質を用いる場合には、高温にてアニール処理することもできる。一例としては、瞬時ランプ加熱(RTA:Rapid Thermal Annealing)により酸素雰囲気にてゲート酸化膜10を800℃にて30秒アニールしてもよい。
2.微結晶シリコン膜形成
つぎに、図1(b)に示したように、ゲート酸化膜10上に微結晶シリコン(μc(micro crystal)−Si)膜20をマイクロ波プラズマCVD(低圧CVD(Low−Pressure Chemical Vapor Deposition)により形成する。このとき、マイクロ波のパワー密度を6.6W/cm2、処理容器内の圧力を4〜13.3Paの範囲内、基板温度を250〜350℃の範囲内に設定し、シランおよび水素の混合ガスをシランガス0.48sccm、水素ガス10sccmの流量にて供給する。さらに、不活性ガスの一例としてアルゴンガスを混合させてもよい。前記プロセス条件にてマイクロ波のパワーにより混合ガスを励起させることにより生成されたプラズマを用いて微結晶シリコン膜20を100nmの厚さまで成膜する。
つぎに、図1(b)に示したように、ゲート酸化膜10上に微結晶シリコン(μc(micro crystal)−Si)膜20をマイクロ波プラズマCVD(低圧CVD(Low−Pressure Chemical Vapor Deposition)により形成する。このとき、マイクロ波のパワー密度を6.6W/cm2、処理容器内の圧力を4〜13.3Paの範囲内、基板温度を250〜350℃の範囲内に設定し、シランおよび水素の混合ガスをシランガス0.48sccm、水素ガス10sccmの流量にて供給する。さらに、不活性ガスの一例としてアルゴンガスを混合させてもよい。前記プロセス条件にてマイクロ波のパワーにより混合ガスを励起させることにより生成されたプラズマを用いて微結晶シリコン膜20を100nmの厚さまで成膜する。
このとき、電子密度Neは3×1012(cm−3)であり、1011cm−3以上の高密度プラズマとなっており、電子温度Teは1.5〜2.0eVである。このように、マイクロ波プラズマでは、容量結合型や誘導結合型のプラズマと比べると、プラズマの電子密度neが高く、電子温度Teが低いため、高速なプラズマ処理で高品質な製品を製造することができる。
高密度プラズマを用いて形成された微結晶シリコン膜20は、グレインが小さく、グレインバウンダリの障壁も低く、結晶性に優れているのでアニール工程やレーザ再結晶工程を必要としない。よって、微結晶シリコン膜20をTFTのチャネル領域に使用すると、アモルファスシリコン膜を使用した場合に比して高いキャリア移動度、およびそれに伴うより優れた動作特性が実現でき、併せてアニール工程を省くことができるためにスループットの向上とコストダウンを図ることができる。なお、高密度プラズマにより形成された微結晶シリコン膜20の特性についての考察は詳述する。
3.低抵抗層(n+)形成
つぎに、図1(c)に示したように、たとえば、基板温度を300℃に設定し、シランおよび水素の混合ガスを励起させてプラズマを生成し、さらにボロン(B)をドープしたドープドシリコン膜(低抵抗層(n+))30を100nmの厚さまで成膜する。低抵抗層(n+)30は、ソース領域およびドレイン領域として機能する。
つぎに、図1(c)に示したように、たとえば、基板温度を300℃に設定し、シランおよび水素の混合ガスを励起させてプラズマを生成し、さらにボロン(B)をドープしたドープドシリコン膜(低抵抗層(n+))30を100nmの厚さまで成膜する。低抵抗層(n+)30は、ソース領域およびドレイン領域として機能する。
4.微結晶シリコン膜および低抵抗層(nチャネル)のパターニング
低抵抗層30の形成後、図1(d)に示したように、微結晶シリコン膜20および低抵抗層30をアイランド状にパターニングする。
低抵抗層30の形成後、図1(d)に示したように、微結晶シリコン膜20および低抵抗層30をアイランド状にパターニングする。
5.アルミ配線用膜形成
つぎに、図1(e)に示したように、アルミ配線用膜(Al層)40をスパッタリングにより形成する。アルミ配線用膜40は、真空蒸着により形成してもよい。
つぎに、図1(e)に示したように、アルミ配線用膜(Al層)40をスパッタリングにより形成する。アルミ配線用膜40は、真空蒸着により形成してもよい。
6.チャネルエッチング
ついで、図2(a)に示したように、電極パターンを形成するためにアルミ配線用膜40および低抵抗層30エッチングする(チャネルエッチング)。これにより、ゲート酸化膜10を隔てて微結晶シリコン膜20に対向する位置にゲート電極(ガラス基板S)が形成され、微結晶シリコン膜20に隣接して対向する位置にソース/ドレイン電極30s、30dが形成される。
ついで、図2(a)に示したように、電極パターンを形成するためにアルミ配線用膜40および低抵抗層30エッチングする(チャネルエッチング)。これにより、ゲート酸化膜10を隔てて微結晶シリコン膜20に対向する位置にゲート電極(ガラス基板S)が形成され、微結晶シリコン膜20に隣接して対向する位置にソース/ドレイン電極30s、30dが形成される。
7.裏面エッチング/裏面アルミ蒸着
つぎに、図2(b)に示したように、基板Sの裏面をエッチング後、蒸着により基板Sの裏面にAl層50を成膜する。
つぎに、図2(b)に示したように、基板Sの裏面をエッチング後、蒸着により基板Sの裏面にAl層50を成膜する。
8.水素プラズマ処理
つぎに、図2(c)に示したように、マイクロ波プラズマCVDにより微結晶シリコン膜20およびソース/ドレイン電極30s、30dに水素プラズマ処理を施す。このとき、圧力を13.3Pa、基板温度を300℃に設定し、400kHzの高周波電力(RF)により基板に600−700Vのバイアス電圧Vppを印加する。この状態でパワーが1.8W/cm2のマイクロ波により流量が4000sccmの水素ガスを励起させて水素プラズマを生成する。
つぎに、図2(c)に示したように、マイクロ波プラズマCVDにより微結晶シリコン膜20およびソース/ドレイン電極30s、30dに水素プラズマ処理を施す。このとき、圧力を13.3Pa、基板温度を300℃に設定し、400kHzの高周波電力(RF)により基板に600−700Vのバイアス電圧Vppを印加する。この状態でパワーが1.8W/cm2のマイクロ波により流量が4000sccmの水素ガスを励起させて水素プラズマを生成する。
水素プラズマ処理について説明する前に、水素プラズマ処理前の微結晶膜(μc−Si)の状態について、多結晶膜(Poly−Si)との差異を明確にしながら説明する。水素プラズマ処理前の多結晶膜および微結晶膜の状態を図14に示す。
図14(a)に示した多結晶は、結晶構造を有する膜中のシリコン粒すなわちグレイン(粒)の粒径が大きい。多結晶のグレイン内は単結晶とほぼ同様の状態になっているので、グレイン中を移動するときのキャリアの移動度μ(cm2/Vsec)は高い。一方、グレインとグレインとの間の粒界(グレインバウンダリ)では障壁hが高くなる。よって、キャリアの移動度μはグレインバウンダリで急激に低くなる。これにより、多結晶の場合、グレイン中を移動するときのキャリアの移動度μとグレインバウンダリを移動するときのキャリアの移動度μとの差が大きく、薄膜トランジスタ(TFT)の動作は不安定になる。
一方、図14(b)に示した微結晶では、グレイン(粒)の粒径が小さい。よって、グレイン中を移動するときのキャリアの移動度μは多結晶の場合より低い。一方、グレインバウンダリの障壁hはさほど高くない。よって、微結晶の場合、グレイン中を移動するときのキャリアの移動度μとグレインバウンダリを移動するときのキャリアの移動度μとの差が小さく、薄膜トランジスタ(TFT)の動作は安定する。
図3(a)は水素プラズマ処理前の微結晶膜の移動度と障壁との関係(図13(b)と同じ)、図3(b)は水素プラズマ処理中の微結晶の状態、図3(c)は水素プラズマ処理後の微結晶膜の移動度と障壁との関係を示している。
前述したように、微結晶シリコン膜20は、多結晶膜よりも粒径が小さいグレインから形成され、グレインバウンダリにはダングリングボンドが存在する。グレイン内は、一般的には共有結合であり、ダングリングボンドは少ない。グレインバウンダリにはシリコン原子が共有結合の相手を失って、結合に関与しない電子(不対電子)で占められた結合手(ダングリングボンド)が存在する。
グレインバウンダリのダングリングボンドは、電子やホールからなるキャリアをトラップしてその輸送を妨げるため、移動度を低減させる原因となる。そこで、本実施形態では、図3(b)に示したように、水素プラズマ処理を施すことにより、微結晶シリコン膜20のグレインバウンダリに存在するダングリングボンドを水素にて終端させる。詳細には、水素プラズマ中の水素イオン(H+)は、基板に印加されたバイアス電圧により基板に向かって加速中にグレインバウンダリに存在するダングリングボンドと結合する。これにより、粒界面の欠陥が修復され微結晶シリコン膜20の特性が改善する。
水素プラズマ処理を施した後、図3(c)に示したグレインバウンダリの障壁hは、ダングリングボンドが水素により終端されているため、図3(a)の水素プラズマ処理前のグレインバウンダリの障壁hより低くなっている。このように、水素プラズマ処理によれば、キャリアがグレインバウンダリの障壁hを越えて移動する際、その障壁hの高さを低くし、グレイン中を移動するときのキャリアの移動度μとグレインバウンダリを移動するときのキャリアの移動度μとの差を小さくすることができる。この結果、微結晶シリコン膜20全体の平均移動度を高めることができるとともに、グレイン内とグレインバウンダリのキャリアの移動度μの差を小さくすることにより、薄膜トランジスタ(TFT)の動作を非常に安定させることができる。なお、水素プラズマ処理は、マイクロ波プラズマを用いてもよく、平行平板リモートプラズマを用いてもよい。
発明者らは、マイクロ波のパワーを2000W、処理室内の圧力を13.3Pa、基板温度を300℃、TFTの幅/長さを20/5μmに設定し、この条件において5分間、水素プラズマ処理を施した場合の移動度μ(cm2/Vsec)の変化を検証した。この実験によれば、図11に示したように、バイアス電圧のパワーが15〜35Wのとき移動度が向上し、特に、バイアス電圧のパワーが20〜30Wのとき、移動度が飛躍的に向上することがわかった。
9.パッシベーション形成/アニール
最後に、以上のようにしてガラス基板S上に積層されたTFTを保護するために、図2(d)に示したように、プラズマCVDによりSiN膜等の絶縁膜がパッシベーション層60として形成される。形成されたパッシベーション層60は、圧力40Pa、基板温度450℃の条件下にアルゴンガスを流しながら2時間、熱処理される。
最後に、以上のようにしてガラス基板S上に積層されたTFTを保護するために、図2(d)に示したように、プラズマCVDによりSiN膜等の絶縁膜がパッシベーション層60として形成される。形成されたパッシベーション層60は、圧力40Pa、基板温度450℃の条件下にアルゴンガスを流しながら2時間、熱処理される。
なお、パッシベーション層60を熱処理しながら水素プラズマ処理を実行してもよい。この場合、水素がパッシベーション層60内部を拡散して、チャネル領域(30s、30d等)まで到達し、チャネル領域のダングリングボンドを水素にて終端させる。
(基板処理システム)
次に、図1、2に示した一連のプロセスを実施する基板処理システムについて、図4を参照しながら説明する。本実施形態にかかる基板処理システム100は、複数の処理装置を有するクラスタ型の装置である。
次に、図1、2に示した一連のプロセスを実施する基板処理システムについて、図4を参照しながら説明する。本実施形態にかかる基板処理システム100は、複数の処理装置を有するクラスタ型の装置である。
(基板処理システム100)
基板処理システム100は、ロードロック室LLM、搬送室TM(Transfer Module)、クリーニング室CM(Cleaning Module)および4つのプロセスモジュールPM(Process Module)1〜4から構成されている。
基板処理システム100は、ロードロック室LLM、搬送室TM(Transfer Module)、クリーニング室CM(Cleaning Module)および4つのプロセスモジュールPM(Process Module)1〜4から構成されている。
ロードロック室LLMは、大気系から搬送されたガラス基板Sを、減圧状態にある搬送室TMを経由して所定の真空度に保たれたプロセスモジュールPMに搬送するために、内部を所定の減圧状態に保持した真空搬送室である。搬送室TMには屈伸および旋回可能な多関節状の搬送アームArmが配設されている。基板処理システム100は、最初に、搬送アームArmを用いてガラス基板Sをロードロック室LLMからクリーニング室CMに搬送し、基板表面をクリーニングした後、プロセスモジュールPM2に搬送し、APCVDによりゲート酸化膜10を形成後、PM3に搬送し、マイクロ波プラズマCVDにより微結晶シリコン膜20を形成する。
図5にマイクロ波プラズマ処理を実行するRLSAプラズマCVD装置(PM3)の縦断面を模式的に示す。RLSAプラズマCVD装置は、天井面が開口された円筒状の処理容器300を有している。天井面の開口には、シャワープレート305が嵌め込まれている。処理容器300とシャワープレート305とは、処理容器300の内壁の段差部とシャワープレート305の下面外周部との間に配設されたOリング310により密閉され、これにより、プラズマ処理を施す処理室Uが形成されている。たとえば、処理容器300はアルミニウム等の金属からなり、シャワープレート305はアルミニウム等の金属または誘電体からなり、電気的に接地されている。
処理容器300の底部には、ウエハWを載置するサセプタ(載置台)315が絶縁体320を介して設置されている。サセプタ315には、整合器325aを介して高周波電源325bが接続されていて、高周波電源325bから出力された高周波電力により処理容器300の内部に所定のバイアス電圧Vppを印加するようになっている。また、サセプタ315には、コイル330aを介して高圧直流電源330bが接続されていて、高圧直流電源330bから出力された直流電圧により基板Sを静電吸着するようになっている。また、サセプタ315の内部には、ウエハWを冷却するために冷却水を供給する冷却ジャケット335が設けられている。
シャワープレート305は、その上部にてカバープレート340により覆われている。カバープレート340の上面には、ラジアルラインスロットアンテナ345が設けられている。ラジアルラインスロットアンテナ345は、多数の図示しないスロットが形成されたディスク上のスロット板345aとスロット板345を保持するディスク上のアンテナ本体345bとスロット板345aとアンテナ本体345bとの間に設けられ、アルミナ(Al2O3)などの誘電体から形成される遅相板345cとから構成されている。ラジアルラインスロットアンテナ345には、同軸導波管350を介して外部にマイクロ波発生器355が設置されている。
処理容器300には、真空ポンプ(図示せず)が取り付けられていて、ガス排出管360を介して処理容器300内のガスを排出することにより、処理室Uを所望の真空度まで減圧するようになっている。
ガス供給源365は、複数のバルブV、複数のマスフローコントローラMFC、水素(H2)ガス供給源365a、アルゴン(Ar)ガス供給源365bおよびシラン(SiH4)ガス供給源365cから構成されている。ガス供給源365は、各バルブVの開閉および各マスフローコントローラMFCの開度をそれぞれ制御することにより、所望の濃度のガスを処理容器300の内部に供給するようになっている。
水素ガスおよびアルゴンガスは、第1の流路370aを通ってシャワープレート305を貫通するガス導入管375から処理室Uの上方に供給され、シランガスは、第2の流路370bを通って一体型ガスパイプ380から第1のガスより下方に供給される。かかる構成によれば、マイクロ波発生器355からスロットおよびシャワープレート305を介して処理室U内に入射されたマイクロ波のパワーにより各種ガスを励起させてプラズマを生成する。生成されたプラズマにより微結晶シリコン膜20が形成される。
微結晶シリコン膜20を形成後、同プロセスモジュールPM3にてボロン(B)をドーピングしながら水素ガスおよびシランガスを更に供給することにより、低抵抗層30が形成される。
このようにして微結晶シリコン膜20を形成後、基板処理システム100は、基板Sを図4に示したプロセスモジュールPM1に搬送し、所望のパターンを用いて微結晶シリコン膜20および低抵抗層30をアイランド形状にエッチングする。
つぎに、基板処理システム100は、基板SをプロセスモジュールPM4に搬送し、スパッタリングによりAl層40を形成し、再び、プロセスモジュールPM1に搬送して、Al層40および低抵抗層30をエッチングすることにより、チャネル部分を露出させる。さらに、同モジュールPM1にて基板の裏面をエッチングし、(図示しない)蒸着装置またはプロセスモジュールPM4のスパッタリングにより基板の裏面にAl膜50を成膜する。
再び、基板処理システム100は、基板SをプロセスモジュールPM3に搬送し、水素ガス供給源365aから供給された水素ガスをマイクロ波のパワーにより励起させて水素プラズマを生成し、プラズマ中の水素イオンをバイアス電圧により基板方向へ加速させて、グレインバウンダリのダングリングボンドを水素イオンで終端(ターミネート)させることにより、微結晶シリコン膜20の界面の特性を向上させる。最後に、同モジュールPM3にてパッシベーション層60を形成し、(図示しない)熱処理室にてパッシベーション層60をアニール処理する。
(微結晶シリコン膜の配向)
以上に説明した各工程のうち、微結晶シリコン膜20の界面近傍はキャリア(電子またはホール)が移動するため、膜の特性が非常に重要になる。そこで、前述したように、本実施形態にかかる半導体製造方法では、水素プラズマ処理によりグレインバウンダリのダングリングボンドに水素をターミネートして膜の特性を向上させている。
以上に説明した各工程のうち、微結晶シリコン膜20の界面近傍はキャリア(電子またはホール)が移動するため、膜の特性が非常に重要になる。そこで、前述したように、本実施形態にかかる半導体製造方法では、水素プラズマ処理によりグレインバウンダリのダングリングボンドに水素をターミネートして膜の特性を向上させている。
これに加え、本実施形態にかかる半導体製造方法では、微結晶シリコン膜を形成する際、前記微結晶シリコン膜の結晶方位配列が、(220)の配向へ成長しやすいようにプロセスを制御する。
前述したように、ダングリングボンドではシリコンの原子は共有結合の相手を失っている状態である。言い換えれば、ダングリングボンドには不対電子で占められた結合手が存在する。よって、ESR(Electron Spin Resonannce)により、微結晶シリコン膜20の界面の不対電子の状態を計測することにより、グレインの粒界におけるダングリングボンドの状態が解明できる。
ESRの結果を図6に示す。この結果より、ダングリングの密度は、(111)配向で約6×1017cm−3、(220)配向で約7×1016cm−3であり、(220)配向の方が(111)配向よりも約一桁小さい。これは、(220)配向の方が(111)配向よりダングリングボンドが少ないことを表している。理由としては、(111)配向では柱状結晶が見られるのに対し、(220)配向では結晶が横方向に広がり、グレインのバウンダリがあまりはっきりしていないため、(220)配向に結晶が成長する過程では、ダングリングボンド(結晶欠陥)が少ないのではないかと推定される。
なお、(111)配向に成長した微結晶シリコン膜20は、高フローレート条件として、シランガス3sccm、水素ガス35sccm、圧力13.3Pa、基板温度350℃の条件下でマイクロ波プラズマにより成膜された。一方、(220)配向に成長した微結晶シリコン膜20は、低フローレート条件として、シランガス0.48sccm、水素ガス3sccm、圧力4Pa、基板温度350℃の条件下でマイクロ波プラズマにより成膜された。
発明者らは、この成膜条件を用いてTFTを作成し、水素プラズマ処理を行った。その結果に基づき、まず、発明者らは、微結晶シリコン膜20の結晶構造の膜厚依存性について検討した。図7は、横軸に微結晶シリコン膜20の膜厚(nm)を示し、左縦軸にX線回折(XRD:X−ray Diffraction)のピークの強度比I(220)/I(111)を示し、右縦軸にRMS(Root Mean Square)を示す。RMSは膜表面の凹凸を意味する。
グラフの実線は、XRD回折結果によるピーク強度比I(220)/I(111)の膜厚依存性を示す。たとえば、図8に示したXRD強度の測定結果の一例によれば、ピーク強度比I(220)/I(111)≒1.14となった。一方、グラフの破線はRMSである。これらの結果によれば、約300nmの膜厚以上から(220)配向への成長比率が高くなる方向に膜を安定して成長させることができる。
(微結晶膜の温度依存性および水素流量依存性)
つぎに、発明者らは、微結晶シリコン膜20の温度依存性および水素流量依存性について実験を行った。この実験では、シランガスの流量を3sccm、水素ガスとアルゴンガスの合計流量を35sccmに設定し(ガスの総流量38sccm)、基板温度を250℃、300℃、350℃の3種類に設定し、成膜ガスの総流量に対する水素ガスの流量を変化させた。その結果を図9に示す。
つぎに、発明者らは、微結晶シリコン膜20の温度依存性および水素流量依存性について実験を行った。この実験では、シランガスの流量を3sccm、水素ガスとアルゴンガスの合計流量を35sccmに設定し(ガスの総流量38sccm)、基板温度を250℃、300℃、350℃の3種類に設定し、成膜ガスの総流量に対する水素ガスの流量を変化させた。その結果を図9に示す。
これによれば、微結晶シリコン膜が成長する配向と基板近傍の温度および水素の流量との間には相関関係があることがわかる。具体的には、基板温度が250℃の場合、(111)配向に対する(220)配向への成長比率はそれほど向上しなかった。一方、基板温度が300℃の場合、結晶方位配列(111)に対する結晶方位配列(220)への成長比率は、基板温度が250℃の場合に比べて高くなり、さらに、基板温度が350℃の場合には、基板温度が300℃の場合に比べてさらに高くなった。この結果、発明者らは、基板温度を300〜350℃の範囲に設定すれば結晶方位配列(111)に対する結晶方位配列(220)への成長比率を高くすることができることを見いだした。
また、同温度では、ガスの総流量に対する水素ガスの流量比が高くなればなるほど、結晶方位配列(111)に対する結晶方位配列(220)への成長比率が高くなることがわかった。これにより、発明者らは、基板近傍の温度を300〜350℃の範囲内に設定し、さらにガスの総流量に対する水素ガスの流量比を高めることにより、(220)配向へより成長した微結晶シリコン膜20を成膜することができることをつきとめた。
(微結晶膜の水素流量依存性)
つぎに、発明者らは、微結晶シリコン膜20の水素流量依存性についての他の実験を行った。この実験では、図10に示したように、シランガスの流量を0.48sccmに設定し、水素ガスとアルゴンガスの合計流量を10sccm(曲線G)、35sccm(曲線H)の2パターンに変化させた。
つぎに、発明者らは、微結晶シリコン膜20の水素流量依存性についての他の実験を行った。この実験では、図10に示したように、シランガスの流量を0.48sccmに設定し、水素ガスとアルゴンガスの合計流量を10sccm(曲線G)、35sccm(曲線H)の2パターンに変化させた。
この結果、発明者らは、微結晶シリコン膜20の形成時、ガスの総流量に対する水素ガスの含有量を増やせば増やすほど、成膜された微結晶シリコン膜の結晶方位配列(111)に対する結晶方位配列(220)への成長比率が高くなることを見いだした。
また、プラズマ照射前にアルゴンガスおよび水素ガスからなる生ガスを処理室内に導入し(Ar/H2 pre−treatment)、その後、水素ガスとアルゴンガスの合計流量を10sccmに制御した状態で上記各種ガスを導入しながらプラズマにより微結晶シリコン膜を形成すると、(220)配向への成長比率が非常に高い微結晶シリコン膜を形成することができた。
よって、発明者は、微結晶シリコン膜20の形成時、成膜ガスに水素ガスを混合させることにより、微結晶シリコン膜20の結晶方位配列(111)に対する結晶方位配列(220)への成長比率を高くすることができ、さらに、微結晶膜形成前に処理室に水素を含む生ガスを流す(プリトリートメント)ことにより、ダングリングボンドの非常に少ない微結晶シリコン膜を形成することができることを解明した。
(微結晶シリコン膜への水素プラズマ処理、微結晶シリコン膜のRFバイアス依存性)
前述したように、発明者らは、図11に示したように、マイクロ波のパワーを2000W、処理室内の圧力を13.3Pa、基板温度を300℃、TFTの幅/長さ(W/L)を20/5μmに設定し、この条件において5分間、水素プラズマ処理を施した場合の移動度μ(cm2/Vsec)を検証した。この結果、発明者らは、微結晶シリコン膜20の形成時、RFバイアスのパワーを15〜35Wの範囲に設定することにより、バイアス電圧Vppが約500〜800Vで、移動度μが高められ、RFバイアスのパワーを20〜30Wの範囲に設定することにより、さらに移動度μを向上させることができることがわかった。
前述したように、発明者らは、図11に示したように、マイクロ波のパワーを2000W、処理室内の圧力を13.3Pa、基板温度を300℃、TFTの幅/長さ(W/L)を20/5μmに設定し、この条件において5分間、水素プラズマ処理を施した場合の移動度μ(cm2/Vsec)を検証した。この結果、発明者らは、微結晶シリコン膜20の形成時、RFバイアスのパワーを15〜35Wの範囲に設定することにより、バイアス電圧Vppが約500〜800Vで、移動度μが高められ、RFバイアスのパワーを20〜30Wの範囲に設定することにより、さらに移動度μを向上させることができることがわかった。
水素プラズマ処理後の薄膜トランジスタの動作特性を図12に示す。図12(a)に水素プラズマ処理を行わなかった薄膜トランジスタのゲート電圧Vgに対する移動度μおよびドレイン電流を示し、図12(b)に水素プラズマ処理を行った場合の移動度μおよびドレイン電流を示す。なお、TFTの幅/長さを20/4μm、ドレイン電圧を0.1Vとする。
これによれば、微結晶シリコン膜20の移動度に大きな差が見られた。具体的には、水素プラズマ処理を行わなかった場合、微結晶シリコン膜20の移動度μの最大値が0.001cm2/Vsecに満たなかったのに対し、水素プラズマ処理を行った場合には1.4cm2/Vsecを達成することができた。
また、ゲート電圧Vgに対するドレイン電流Idの変化についても顕著な差が生じた。すなわち、水素プラズマ処理を行わなかった場合のon/off比は2桁程度であったのに対し、水素プラズマ処理を行った場合のon/off比は5桁以上を達成することができた。
以上に説明したように、発明者は、高密度プラズマを用いて少なくとも(220)の結晶方位配列に成長させるようにプロセス条件を最適化させて微結晶シリコン膜20を成膜し、成膜された微結晶シリコン膜20をさらに水素にてターミネートすることにより、非常に欠陥が少なく、高い移動度、高いon/offの特性をもつ微結晶シリコン膜を形成することに成功した。
ダイヤモンドの結晶構造をもつ微結晶シリコン膜では、(220)の配向面より(111)の配向面により多くの原子が存在する。よって、微結晶シリコン膜の場合、原子の密度が高い(111)の配向面の方が(220)の配向面に比べて、シリコン原子が共有結合の相手を失い、ダングリングボンドが生じやすいと考えられる。このことから、(220)の配向に膜が成長するように微結晶シリコン膜の形成過程を制御することにより、ダングリングボンドが少なく、移動度およびon/off比の高いチャネル層を形成することができる。
さらに、形成された微結晶シリコン膜20に対して水素プラズマ処理を施すことにより、微結晶シリコン膜20を構成するグレインの粒界のダングリングボンドを水素にてターミネートする。この結果、移動度およびon/off比をさらに高めて、低消費電力で高速処理が可能で薄型トランジスタを製造することができる。
(マイクロ波プラズマ処理装置の他の構成)
なお、本実施形態にかかる半導体製造方法を用いて薄膜トランジスタを製造する半導体製造装置は、図5のRLSAプラズマ装置に限らず、たとえば、図13に示したように、所望の真空度に保たれた処理容器500の内部にてサセプタ505に載置された基板Sをプラズマ処理するプラズマ処理装置であって、タイル状に形成された複数枚の誘電体板510を処理容器500の天井面に均等に配置したCMEP(Cellular Microwave Excitation Plasma)プラズマ処理装置であってもよい。
なお、本実施形態にかかる半導体製造方法を用いて薄膜トランジスタを製造する半導体製造装置は、図5のRLSAプラズマ装置に限らず、たとえば、図13に示したように、所望の真空度に保たれた処理容器500の内部にてサセプタ505に載置された基板Sをプラズマ処理するプラズマ処理装置であって、タイル状に形成された複数枚の誘電体板510を処理容器500の天井面に均等に配置したCMEP(Cellular Microwave Excitation Plasma)プラズマ処理装置であってもよい。
マイクロ波プラズマ処理装置は、処理容器500と蓋体510とを備えている。処理容器500は、その上部が開口された有底立方体形状を有している。処理容器500と蓋体510とは、蓋本体21の下面外周部と処理容器500の上面外周部との間に配設されたOリング32により密閉され、これにより、プラズマ処理を施す処理室Uが形成されている。処理容器500および蓋体510は、たとえば、アルミニウム等の金属からなり、電気的に接地されている。
処理容器500には、その内部にて基板Gを載置するためのサセプタ11(載置台)が設けられている。サセプタ11は、たとえば窒化アルミニウムからなり、その内部には、給電部11aおよびヒータ11bが設けられている。
給電部11aには、整合器12a(たとえば、コンデンサ)を介して高周波電源12bが接続されている。また、給電部11aには、コイル13aを介して高圧直流電源13bが接続されている。整合器12a、高周波電源12b、コイル13aおよび高圧直流電源13bは、処理容器500の外部に設けられている。また、高周波電源12bおよび高圧直流電源13bは、接地されている。
給電部11aは、高周波電源12bから出力された高周波電力により処理容器500の内部に所定のバイアス電圧を印加するようになっている。また、給電部11aは、高圧直流電源13bから出力された直流電圧により基板Gを静電吸着するようになっている。
ヒータ11bには、処理容器500の外部に設けられた交流電源14が接続されていて、交流電源14から出力された交流電圧により基板Gを所定の温度に保持するようになっている。
処理容器500の底面は筒状に開口され、その外部周縁にはベローズ15の一端が装着されている。また、ベローズ15の他端は昇降プレート16に固着されている。このようにして、処理容器500底面の開口部分は、ベローズ15および昇降プレート16により密閉されている。
サセプタ11は、昇降プレート16上に配設された筒体17に支持されていて、昇降プレート16および筒体17と一体となって昇降し、これにより、サセプタ11を処理プロセスに応じた高さに調整するようになっている。また、サセプタ11の周囲には、処理室Uのガスの流れを好ましい状態に制御するためのバッフル板18が設けられている。
処理容器500の底部には、処理容器500の外部に設けられた真空ポンプ(図示せず)が備えられている。真空ポンプは、ガス排出管19を介して処理容器500内のガスを排出することにより、処理室Uを所望の真空度まで減圧する。
蓋体510には、蓋本体21、6本の方形導波管33、スロットアンテナ38、および、誘電体(複数枚の誘電体板31から構成)が設けられている。6本の方形導波管33は、その断面形状が矩形状であり、蓋本体21の内部にて平行に並べて設けられている。各方形導波管33の内部は、フッ素樹脂(たとえばテフロン(登録商標))、アルミナ(Al2O3)、石英などの誘電部材34で充填されていて、その誘電部材34により、λg1=λc/(ε1)1/2の式に従って各方形導波管33の管内波長λg1が制御される。ここで、λcは自由空間の波長、ε1は誘電部材34の誘電率である。
各方形導波管33は、上部にて開口し、その開口には、可動部35が昇降自在に挿入されている。可動部35は、アルミニウムなどの非磁性体である導電性材料から形成されている。
蓋本体21の外部であって、各可動部35の上面には、昇降機構36がそれぞれ設けられていて、可動部35を昇降移動させる。かかる構成により、誘電部材34の上面までを限度として、可動部35を昇降移動させるにより、方形導波管33は、その高さを任意に変えることができるようになっている。
スロットアンテナ38は、蓋本体21の下方にて蓋本体21と一体となって形成されている。スロットアンテナ38は、アルミニウムなどの非磁性体である金属から形成されている。スロットアンテナ38には、各方形導波管33の下面にて、図2に示した13個のスロット37(開口)が、それぞれ直列に並べて設けられている。各スロット37の内部には、フッ素樹脂、アルミナ(Al2O3)、石英などの誘電部材が充填されていて、その誘電部材により、λg2=λc/(ε2)1/2の式に従って各スロット37の管内波長λg2が制御される。ここで、λcは自由空間の波長、ε2はスロット37内部の誘電部材の誘電率である。
各誘電体板31は、互いに隣接する2本の方形導波管33の下面に設けられた26個(=13個×2列)のスロット37のうち、2つのスロットを跨ぐようにそれぞれ取り付けられている。以上の構成により、スロットアンテナ38の下面には、タイル状に形成された複数の誘電体板31が等間隔にアレイ状に取り付けられる。
各誘電体板31は、石英ガラス、AlN、Al2O3、サファイア、SiN、セラミックスなどの誘電材料を用いて形成されている。各誘電体板31には、図13に示したように基板Gと対向する面にて凹凸が形成されている。このように、各誘電体板31に凹部または凸部の少なくともいずれかを設けることによって、表面波が、各誘電体板31の表面を伝播する際の電界エネルギーの損失が増加し、これにより、表面波の伝播を抑止することができる。この結果、定在波の発生を抑制して、均一なプラズマを生成することができる。なお、各方形導波管33の下面に形成されるスロット37の個数は任意である。
スロットアンテナ38の下面には、複数の誘電体板31を支持するために格子状に形成された梁26が設けられている。各誘電体板31は、その誘電体板31と梁26(梁26a〜26d)とに段差が設けられるように、その周縁にて梁26にそれぞれ支持されている。すなわち、梁26は、各誘電体板31の周縁にて梁26が基板G側に突出するように設けられている。梁26は、アルミニウムなどの非磁性体である導電性材料にて形成されている。
梁26の下面には、その一部にて複数の支持体27(支持体27a〜27d)が設けられている。各ガスパイプ28(たとえば、下段のガスシャワーヘッドを構成する一単位となるパーツ)の両端は、支持体27により支持されている。ガスパイプ28は、アルミナなどの誘電体から形成されている。
冷却水配管44には、マイクロ波プラズマ処理装置100の外部に配置された冷却水供給源45が接続されていて、冷却水供給源45から供給された冷却水が冷却水配管44内を循環して冷却水供給源45に戻ることにより、蓋本体21は、所望の温度に保たれるようになっている。
以上に説明した構成により、マイクロ波発生器40から出力された、たとえば、2.45GHz×3のマイクロ波は、各方形導波管33を伝播し、各スロット37を通り、各誘電体板31を透過して処理室U内に入射されるようになっている。
ガス供給源43は、複数のバルブ(バルブ43a1、43a3、43b1、43b3、43b5、43b7)、複数のマスフローコントローラ(マスフローコントローラ43a2、43b2、43b6)、酸素ガス供給源43a4、シランガス供給源43b4およびアルゴンガス供給源43b8から構成されている。
ガス供給源43は、各バルブVの開閉および各マスフローコントローラMFCの開度をそれぞれ制御することにより、所望の濃度の水素ガス、シランガスおよびアルゴンガスを処理容器500内にそれぞれ供給するようになっている。
ガス導入管29(ガス導入管29a〜29d)は、梁26の内部を貫通している。ガス導入管29a、29cには、第1の流路42aを介して水素ガス供給源43a4が接続されている。また、ガス導入管29b、29dには、第2の流路42bを介してシランガス供給源43b4およびアルゴンガス供給源43b8が接続されている。
水素ガスは、たとえば、ガス導入管29a、29cを通って各誘電体板31と各ガスパイプ28との間の空間に導入され、マイクロ波の電界エネルギーによりプラズマ化される。一方、シランガスおよびアルゴンガスの混合ガスは、ガス導入管29b、29dを通って、各ガスパイプ28に設けられたガス供給孔からサセプタ11上の基板G側に導入される。このようにして生成されたプラズマにより微結晶シリコン膜20が形成される。
特に、上記CMEPプラズマ処理装置では、タイル状の誘電体板31がアレイ状に設けられる。各誘電体31は、格子状に形成された梁26で支持され、処理容器の天井面に固定されている。梁26は、非磁性体の導電性部材によって形成されている。2.45GHzのマイクロ波の自由空間における波長は約120mmである。各誘電体板31を透過したマイクロ波は、誘電体31の下面とプラズマとの間を表面波(進行波)となって伝搬し、梁26に到達すると反射して反射波となる。通常、進行波と反射波との干渉により定在波が生じる。しかしながら、上記CMEPプラズマ処理装置では、誘電体板31が120mm×120mm程度の大きさであり、これは、縦横共にせいぜい定在波の1波長程度の長さしかないので、CMEPプラズマ処理装置では定在波はほぼ生じないと考えてよい。定在波は均一なプラズマを安定的に生成する時の妨げになるから、CMEPプラズマ処理装置によれば、誘電体板31を所定の間隔毎にアレイ状に多数設けることにより、均一かつ安定的に生成されたプラズマを用いて大面積のガラス基板に対して精密な微結晶シリコン膜20を形成することができる。
以上に説明した微結晶シリコン膜形成方法により形成された微結晶シリコン膜を用いて半導体を製造する半導体製造装置によれば、微結晶シリコン膜中の移動度を高く保ち、高速処理が可能で消費電力の低い半導体を製造することができる。なお、本実施形態にかかる半導体製造方法は、シリコンウエハに形成する半導体の製造方法とフラットパネルディスプレイ(FPD:Flat Pannel Display)上に形成する半導体の製造方法を含む。
また、微結晶シリコン膜を用いるため、アニール処理が不要となり、これにより、プロセス中の温度を600℃以下に保持することによって安価なガラス基板上に微結晶シリコン膜を形成することができる。
上記実施形態において、各部の動作はお互いに関連しており、互いの関連を考慮しながら、一連の動作として置き換えることができる。そして、このように置き換えることにより、微結晶シリコン膜を形成する微結晶シリコン膜形成方法の発明の実施形態を、微結晶シリコン膜形成方法を用いて微結晶シリコン膜を形成する微結晶シリコン膜成膜装置の実施形態とすることができる。
なお、上記実施形態では、RLSAプラズマ処理装置やCMEPプラズマ処理装置を用いてプラズマCVDにより微結晶シリコン膜が成膜された。しかしながら、微結晶シリコン膜の形成は、容量結合型(平行平板型)プラズマ処理装置や誘導結合型プラズマ処理装置を用いて生成された高密度プラズマによりCVD処理やスパッタリング処理によって形成することもできる。
また、上記微結晶シリコン膜成膜装置により形成された微結晶シリコン膜を用いて製造された半導体を表示装置に組み込むことにより、高速処理が可能で消費電力の低い表示装置を製品化することができる。表示装置としては、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイやプラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)などが挙げられる。
上記微結晶シリコン膜成膜装置により処理されるガラス基板のサイズは、730mm×920mm以上である。たとえば、上記微結晶シリコン膜成膜装置は、730mm×920mm(チャンバ内の寸法、1000mm×1190mm)のG4.5基板サイズや1100mm×1300mm(チャンバ内の寸法、1470mm×1590mm)のG5基板サイズ以上の基板を連続成膜処理することができる。
また、上記微結晶シリコン膜成膜装置により上記処理が施される被処理体は、ガラス基板に限られず、直径が200mmや300mm等のシリコンウエハなどであってもよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
たとえば、上記実施形態では、ボトムゲート構造の薄型トランジスタの製造プロセスを例に挙げたが、本発明は、微結晶シリコン膜からみてガラス基板と反対にゲート電極が配置されるトップゲート構造の薄膜トランジスタを製造する方法にも用いることができる。
また、本発明に用いられる基板は、たとえば、有機ELディスプレイやプラズマディスプレイ、液晶ディスプレイなどに用いられる基板であればよく、本発明にかかる微結晶シリコン膜成膜装置は、このような基板に上記微結晶シリコン膜形成方法にて微結晶シリコン膜を形成することができる装置であればよい。
本発明は、微結晶シリコン膜を形成する微結晶シリコン膜形成方法に適用することができる。
10 ゲート酸化膜
20 微結晶シリコン膜
30 低抵抗層
40 アルミ配線用膜
50 裏面Al層
60 パッシベーション層
100 基板処理システム
PM1、PM2、PM3、PM4 プロセスモジュール
S 基板
20 微結晶シリコン膜
30 低抵抗層
40 アルミ配線用膜
50 裏面Al層
60 パッシベーション層
100 基板処理システム
PM1、PM2、PM3、PM4 プロセスモジュール
S 基板
Claims (11)
- 高密度プラズマを用いて少なくとも(220)の結晶方位配列に成長させるように微結晶シリコン膜を形成する第1の工程を有し、
前記第1の工程時、前記微結晶シリコン膜の結晶方位配列(111)に対する結晶方位配列(220)への成長比率が高くなるように、被処理体近傍の温度を300〜350℃の範囲内に設定し、総流量に対する水素ガスの流量比を高めた成膜ガスを供給する微結晶シリコン膜形成方法。 - 高密度プラズマを用いて少なくとも(220)の結晶方位配列に成長させるように微結晶シリコン膜を形成する第1の工程を有し、
前記第1の工程前、前記微結晶シリコン膜の結晶方位配列(111)に対する結晶方位配列(220)への成長比率が高くなるように、水素ガスを含む所定のガスを生ガスとして処理室内に導入する微結晶シリコン膜形成方法。 - 前記高密度プラズマは、ラジアルラインスロットアンテナが配置されたプラズマ処理装置の前記ラジアルラインスロットアンテナから内部に供給されたマイクロ波のパワーを用いて所望のガスを励起させることにより生成される請求項1又は請求項2に記載された微結晶シリコン膜形成方法。
- 前記高密度プラズマは、タイル状の複数の誘電体板がアレイ状に配置されたプラズマ処理装置の複数の誘電体板から内部に供給されたマイクロ波のパワーを用いて所望のガスを励起させることにより生成される請求項1〜3のいずれかに記載された微結晶シリコン膜形成方法。
- 前記高密度プラズマは、タイル状に形成された複数の誘電体板を透過して処理室内に供給されたマイクロ波のパワーを用いて所望のガスを励起させることにより生成される請求項1〜4のいずれかに記載された微結晶シリコン膜形成方法。
- 水素含有プラズマにより前記微結晶シリコン膜を水素にて終端させる第2の工程を有する請求項1〜5のいずれかに記載された微結晶シリコン膜形成方法。
- 前記第2の工程は、前記第1の工程後に実行される請求項6に記載された微結晶シリコン膜形成方法。
- 基板に印加するバイアス電圧のパワーを15〜35Wの範囲内に設定する請求項6〜7に記載された微結晶シリコン膜形成方法。
- プロセス中、被処理体近傍の温度を600℃以下に制御する請求項1〜9のいずれかに記載された微結晶シリコン膜形成方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載された微結晶シリコン膜形成方法を用いて微結晶シリコン膜を形成する微結晶シリコン膜成膜装置。
- 請求項10に記載された微結晶シリコン膜成膜装置により形成された微結晶シリコン膜を用いて製造された半導体を組み込んだ表示装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2012
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