JP2001131741A - 触媒スパッタリングによる薄膜形成方法及び薄膜形成装置並びに半導体装置の製造方法 - Google Patents

触媒スパッタリングによる薄膜形成方法及び薄膜形成装置並びに半導体装置の製造方法

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JP2001131741A
JP2001131741A JP31038199A JP31038199A JP2001131741A JP 2001131741 A JP2001131741 A JP 2001131741A JP 31038199 A JP31038199 A JP 31038199A JP 31038199 A JP31038199 A JP 31038199A JP 2001131741 A JP2001131741 A JP 2001131741A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、基板上に高品質な薄膜を形
成するための触媒スパッタリングによる薄膜形成方法及
び薄膜形成装置並びに半導体装置の製造方法を提供する
ことにある。 【解決手段】 本発明に係る触媒スパッタリングによる
薄膜形成方法では、真空容器1中において、基板10と
ターゲット4との間に熱触媒体5を配置して、スパッタ
リングにより基板に薄膜を形成する。このとき、熱触媒
体5を加熱し、真空容器1中に、不活性ガスと共に、水
素ガス,酸素ガス,窒素ガスのうち少なくとも一種のガ
スを導入して、ターゲット4に含まれる金属を含む薄膜
を前記基板10上に堆積させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、触媒スパッタリン
グによる薄膜形成方法及び薄膜形成装置並びに半導体装
置の製造方法に係り、特に高性能,高品質の薄膜を製造
することが可能な触媒スパッタリングによる薄膜形成方
法及び薄膜形成装置並びに半導体装置の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】スパッタリング法は、通常、不活性ガス
であるアルゴンイオンによるターゲット(カソード)材
料のスパッタ現象を用いる方法である。スパッタリング
法は、CVD法に比べると、次のような特徴がある。す
なわち、スパッタリング法では、基板温度を自由に選択
できる。また、揮発性,不安定性のある物質以外のほと
んどの物質を、薄膜として形成することができる。
【0003】さらに、スパッタリングの工程中、化学反
応はほとんど関与しない。また、基板に付着した原子と
基板との密着性が非常によく、原子の付着に方向性があ
る。スパッタリングの条件は、真空度,蒸気圧,装置構
造,電源出力等の物理的パラメータの制御のみで決定さ
れる。
【0004】一般的なThorntonによる薄膜の微
細構造によれば、アルゴン圧力が高く、基板温度が低い
(Ts/Tm<0.3)ときに発生する微細構造が、領
域1(Zone−1)である。薄膜は、密度が低く、電
気比抵抗が高く、光に対する鏡面反射率が低い。耐環境
性の弱い膜である。アルゴン圧力が低く、基板温度が低
い(Ts/Tm<0.3)ときに発生する微細構造が、
領域T(Zone−T)である。薄膜は、密度が高く、
電気比抵抗が低く、光の鏡面反射率が高い。耐環境性に
優れた膜で、繊維状の柱状構造となる。なお、上記Ts
は基板温度(K)を示し、Tmは材料の融点(K)を示
す。
【0005】例えば、ポリシリコン膜をガラス基板上に
形成する場合では、真空中におけるガラス基板の熱伝導
性が悪いので、実用的には、基板温度を領域1程度まで
しか上げることができず、グレインサイズの大きなポリ
シリコン薄膜を形成することが難しいという問題があ
る。そのため、LCD用薄膜トランジスタ(以下「薄膜
トランジスタ」を「TFT」と称する)の製造は、安価
な低歪点ガラスにプラズマCVDまたはスパッタリング
等でのアモルファスシリコン膜をエキシマレーザーアニ
ールすることで、比較的大きなグレインサイズで大きな
移動度のポリシリコン膜を形成する方法に取って代わら
れているのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
課題を解決するためになされたもので、基板上に高品質
な薄膜を形成するための触媒スパッタリングによる薄膜
形成方法及び薄膜形成装置並びに半導体装置の製造方法
を提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、高品質で且つ大型の
表示装置にも適用可能な薄膜を形成するための触媒スパ
ッタリングによる薄膜形成方法及び薄膜形成装置並びに
半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0008】本発明のさらに他の目的は、高品質な薄膜
の形成を可能とするとともに、熱触媒体の劣化を防ぐこ
とが可能な触媒スパッタリングによる薄膜形成方法及び
薄膜形成装置並びに半導体装置の製造方法を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題は、請求項1に
係る発明によれば、真空容器中において、基板とターゲ
ットとの間に熱触媒体を配置して、スパッタリングによ
り基板に薄膜を形成する触媒スパッタリングによる薄膜
形成方法であって、前記基板上に薄膜を形成するとき
に、前記熱触媒体を加熱し、前記ターゲットに含まれる
金属を含む薄膜を前記基板上に堆積させることにより解
決される。このように構成することにより、熱触媒体
が、スパッタリングにより飛来してくるターゲット材の
分子,原子に高いエネルギーを付与し、またその輻射熱
で基板表面温度を昇温させるので、基板表面での原子、
分子の泳動が大きくなり、基板表面に凹凸形状があって
も、ステップカバレージの良い薄膜が形成でき、選択比
の大きいホールの埋め込みが可能となる。
【0010】このとき、前記熱触媒体は、高融点金属を
セラミックスコーティングしたもの、または炭化ケイ素
コーティングしたもの、または、表面を酸化又は窒化さ
せたシリコンであり、前記薄膜として、半導体膜、金属
酸化物膜、金属窒化物膜、導電性窒化膜、単体金属膜、
合金膜、金属シリサイド膜、高誘電率膜、強誘電体膜よ
りなる群から選ばれた少なくとも1種以上の膜を形成す
ると好適である。このような表面が酸化劣化しにくい熱
触媒体を用いると、触媒スパッタリングにより金属酸化
物膜等の薄膜を形成することが可能となる。
【0011】このとき、前記半導体膜は、錫とゲルマニ
ウムと鉛とのうち少なくともいずれか一つ以上を含有す
る半導体膜であるとよい。このように、錫、ゲルマニウ
ム、鉛のいずれか一つ以上を用いていることから、例え
ば、得られたシリコン層中に、四族元素である錫や鉛が
混入してしまっても、これらは周期律表第四族の元素で
あってシリコン層中でキャリアにならず、そのためシリ
コン層は高抵抗なものとなる。よって、イオンドーピン
グ(注入)等によるTFTのVth調整や抵抗値調整が
容易になり、高性能な回路構成が可能になる。また、シ
リコン層中に残留する錫や鉛は結晶欠落に電気的に不活
性にするため、得られたシリコン層は接合リークが低減
され、移動度が高められたものとなる。
【0012】また、前記熱触媒体を加熱した後に、前記
真空容器中に、不活性ガスと水素ガスのうち少なくとも
一種のガスを導入して、前記基板上に薄膜を形成すると
好適である。水素ガスを導入することにより、導入され
た水素ガスの一部が、熱触媒体での熱分解反応および触
媒反応により、活性化水素イオンHとなって、この活
性化水素イオンHが基板表面をクリーニングし、基板
上に高品質の薄膜を形成することができる。また、この
活性化水素イオンHにより、チャンバ内の残留酸素に
よる成膜中の膜の酸化が低減され、酸素含有量の少ない
薄膜を形成することができる。なお、ポリシリコン膜等
の半導体膜中の酸素含有量は、少ないほど電子の流れが
良好になり、好ましい。例えば、ポリシリコン膜等の半
導体膜中の酸素含有量は、1×1019atoms/c
以下、好ましくは3〜5×1018atoms/c
以下であると好適であるが、本発明では、薄膜形成
中に水素ガスを導入しているため、この数値を達成する
ことが可能となる。
【0013】このとき、前記不活性ガスと前記水素ガス
のうち少なくとも一種のガスは、少なくとも薄膜形成中
において、前記真空容器内に常時供給されるように構成
してもよい。このように水素ガスを常時供給することに
より、基板上のガス、水分等をクリーニングしながら薄
膜形成を行うことができ、高品質の薄膜を形成すること
ができる。また、不活性ガスを常時供給することによ
り、安定して薄膜を形成することができ、高品質の薄膜
を形成することができる。
【0014】また、前記熱触媒体を加熱した後に、前記
真空容器中に不活性ガスと窒素ガスのうち少なくとも一
種のガスを導入し、前記少なくとも1種以上の膜とし
て、金属窒化物膜、導電性窒化膜よりなる群から選ばれ
た少なくとも1種以上の膜を形成するように構成するこ
ともできる。
【0015】このように、金属窒化物膜、導電性窒化膜
を形成するときに窒素ガスを導入すると、熱触媒体での
熱分解反応および触媒反応によって窒素ガスの一部が活
性化窒素イオンNとなり、この活性化窒素イオンN
の窒化作用により、窒素イオン欠乏による膜の変質が防
止され、本来の金属窒化物膜または導電性窒化膜の特性
を有する膜を得ることができる。
【0016】このとき、前記不活性ガスと前記窒素ガス
のうち少なくとも一種のガスは、少なくとも薄膜形成中
において、前記真空容器内に常時供給されると好適であ
る。このように不活性ガスおよび窒素ガスのうち少なく
とも一種のガスを常時供給することにより、高品質の薄
膜を形成することができる。
【0017】また、前記窒素ガスを導入したときには、
前記真空容器中に水素ガスを導入するように構成するこ
ともできる。このように水素ガスを導入することによ
り、導入された水素ガスの一部が、熱触媒体での熱分解
反応および触媒反応により、活性化水素イオンHとな
って、この活性化水素イオンHが基板表面をクリーニ
ングし、基板上に高品質の薄膜を形成することができ
る。なお、ポリシリコン膜等の半導体膜中の酸素含有量
は、少ないほど電子の流れが良好になり、好ましい。例
えば、ポリシリコン膜等の半導体膜中の酸素含有量は、
1×1019atoms/cm以下、好ましくは3〜
5×1018atoms/cm以下であると好適であ
るが、本発明では、薄膜形成中に水素ガスを導入してい
るため、この数値を達成することが可能となる。
【0018】このとき、前記不活性ガス,前記水素ガ
ス,前記窒素ガスのうち少なくとも一種のガスは、少な
くとも薄膜形成中において、前記真空容器内に常時供給
されると好適である。このように不活性ガス,水素ガ
ス,窒素ガスのうち少なくとも一種のガスを常時供給す
ることにより、高品質の薄膜を形成することができる。
【0019】このとき、前記基板へ薄膜が形成されてい
る途中で、ガス制御手段によって、前記水素ガス,前記
窒素ガスのうち少なくとも一種のガスの供給を増減させ
て高速成膜とするとよい。このように構成することによ
り、真空容器中において、スパッタリングに用いるアル
ゴンガス等の不活性ガスの割合を高くすることができる
ので、基板への薄膜形成が高速で行われ作業性を向上さ
せることが可能となる。
【0020】また、前記薄膜の形成開始前および形成開
始後における前記水素ガス,前記窒素ガスのうち少なく
とも一種のガスの供給量を、前記薄膜の形成中における
前記水素ガス,前記窒素ガスのうち少なくとも一種のガ
スの供給量よりも多くして基板表面およびターゲット表
面のクリーニング効果を高めてもよい。このように構成
することにより、成膜前後に、熱触媒体により、活性化
水素イオンH又は活性化酸素イオンO,活性化窒素
イオンNを大量に発生させ、クリーニング、膜ストレ
ス低減、膜の変質防止等を促進させることができる。な
お、ポリシリコン膜等の半導体膜中の酸素含有量は、少
ないほど電子の流れが良好になり、好ましい。例えば、
ポリシリコン膜等の半導体膜中の酸素含有量は、1×1
19atoms/cm以下、好ましくは3〜5×1
18atoms/cm以下であると好適であるが、
本発明では、薄膜形成中に水素ガスを導入しているた
め、この数値を達成することが可能となる。
【0021】また、前記熱触媒体を加熱した後に、前記
真空容器中に不活性ガスと酸素ガスのうち少なくとも一
種のガスを導入し、前記少なくとも1種以上の膜とし
て、金属酸化物膜、高誘電率膜、強誘電体膜よりなる群
から選ばれた少なくとも1種以上の膜を形成するように
構成することもできる。このように、金属酸化物膜、高
誘電率膜、強誘電体膜を形成するときに酸素ガスを導入
することにより、導入された酸素ガスの一部が、熱触媒
体による熱分解反応および触媒反応により活性化酸素イ
オンOとなり、この活性化酸素イオンOにより、タ
ーゲットから飛来する薄膜原料原子または分子が、酸化
作用を受けるため、絶縁性が高く,高性能・高品質の金
属酸化物膜、高誘電率膜、強誘電体膜を堆積することが
可能となる。また、この活性化酸素イオンOにより、
基板およびターゲットの表面に吸着されているガス,有
機物汚れ,水分等が除去され、基板およびターゲットの
表面クリーニングを行うことができる。
【0022】このとき、前記不活性ガスと前記酸素ガス
の少なくとも一種のガスは、少なくとも薄膜形成中にお
いて、前記真空容器内に常時供給されると好適である。
このように酸素ガスを常時供給することにより、基板上
のガス、水分等をクリーニングしながら薄膜形成を行う
ことができ、高品質の薄膜を形成することができる。ま
た、不活性ガスを常時供給することにより、安定して薄
膜を形成することができ、高品質の薄膜を形成すること
ができる。
【0023】これらのとき、前記基板へ薄膜が形成され
ている途中で、ガス制御手段によって、前記酸素ガスま
たは前記水素ガスまたは前記窒素ガスの供給を増減させ
て高速成膜とするとよい。このように構成することによ
り、真空容器中において、スパッタリングに用いるアル
ゴンガス等の不活性ガスの割合を高くすることができる
ので、基板への薄膜形成が高速で行われ作業性を向上さ
せることが可能となる。
【0024】また、このとき、前記薄膜の形成開始前お
よび形成開始後における前記酸素ガスまたは前記水素ガ
スまたは前記窒素ガスの供給量を、前記薄膜の形成中に
おける前記酸素ガスまたは前記水素ガスまたは前記窒素
ガスの供給量よりも多くして、基板表面およびターゲッ
ト表面のクリーニング効果を高めてもよい。このように
構成することにより、成膜前後に、熱触媒体により、活
性化水素イオンH又は活性化酸素イオンO,活性化
窒素イオンNを大量に発生させ、クリーニング、膜ス
トレス低減、膜の変質防止等を促進させることができ
る。
【0025】また、上記課題は、請求項16に係る発明
によれば、真空容器中において、基板とターゲットとの
間に熱触媒体を配置してスパッタリングにより基板に薄
膜を形成する触媒スパッタリングによる薄膜形成方法で
あって、前記熱触媒体は、金属、またはセラミックスま
たは炭化ケイ素を芯として金属をコーティングしたもの
であり、前記真空容器中に不活性ガスと水素ガス,また
は水素ガスのみを導入し、前記薄膜の形成開始前および
形成終了後には、前記熱触媒体を、前記熱触媒体の金属
の融点未満の温度とし、前記薄膜の形成中には、前記熱
触媒体の金属による蒸着可能な温度とし、前記熱触媒体
の金属および前記ターゲットに含まれる金属を含む薄膜
を前記基板上に堆積させ、前記薄膜として、半導体膜、
金属窒化物膜、導電性窒化膜、金属シリサイド膜よりな
る群から選ばれた少なくとも1種以上の膜を形成するこ
とにより解決される。このように水素ガスを導入するこ
とにより、導入された水素ガスの一部が、熱触媒体での
熱分解反応および触媒反応により、活性化水素イオンH
となって、この活性化水素イオンHが基板表面をク
リーニングし、基板上に高品質の薄膜を形成することが
できる。なお、ポリシリコン膜等の半導体膜中の酸素含
有量は、少ないほど電子の流れが良好になり、好まし
い。例えば、ポリシリコン膜等の半導体膜中の酸素含有
量は、1×1019atoms/cm以下、好ましく
は3〜5×1018atoms/cm以下であると好
適であるが、本発明では、薄膜形成中に水素ガスを導入
しているため、この数値を達成することが可能となる。
【0026】また、熱触媒体として、金属、またはセラ
ミックスまたは炭化ケイ素を芯として金属をコーティン
グしたものを用いているので、スパッタリングの条件を
選択することにより、基板上に、ターゲット材料だけで
なく、熱触媒体に含まれる金属をも堆積させることがで
きる。
【0027】このとき、前記半導体膜は、錫とゲルマニ
ウムと鉛とのうち少なくともいずれか一つ以上を含有す
る半導体膜であるように構成することもできる。このよ
うに、錫、ゲルマニウム、鉛のいずれか一つ以上を用い
ていることから、例えば、得られたシリコン層中に、四
族元素である錫や鉛が混入してしまっても、これらは周
期律表第四族の元素であってシリコン層中でキャリアに
ならず、そのためシリコン層は高抵抗なものとなる。よ
って、イオンドーピング(注入)等によるTFTのV
th調整や抵抗値調整が容易になり、高性能な回路構成
が可能になる。また、シリコン層中に残留する錫や鉛は
結晶欠落に電気的に不活性にするため、得られたシリコ
ン層は接合リークが低減され、移動度が高められたもの
となる。
【0028】また、前記熱触媒体の金属は、前記ターゲ
ットに含まれる金属を含むようにしてもよい。これによ
り、基板上に、ターゲットに含まれる金属と同じである
熱触媒体の金属をも堆積させることができる。
【0029】上記のとき、前記真空容器中に前記不活性
ガスと前記水素ガスに加えて,または前記水素ガスに加
えて窒素ガスを導入し、金属窒化物膜、導電性窒化膜よ
りなる群から選ばれた少なくとも1種以上の膜を形成す
るように構成すると好適である。
【0030】このように、金属窒化物膜、導電性窒化膜
を形成するときに窒素ガスを導入すると、熱触媒体での
熱分解反応および触媒反応によって窒素ガスの一部が活
性化窒素イオンNとなり、この活性化窒素イオンN
の窒化作用により、窒素イオン欠乏による膜の変質が防
止され、本来の金属窒化物膜または導電性窒化膜の特性
を有する膜を得ることができる。
【0031】このとき、前記水素ガスおよび前記窒素ガ
スのうち少なくとも一種のガスは、少なくとも薄膜形成
中において、前記真空容器内に常時供給されるとよい。
水素ガスおよび窒素ガスのうち少なくとも一種のガスを
常時供給することにより、高品質の薄膜を形成すること
ができる。
【0032】このとき、前記基板へ薄膜が形成されてい
る途中で、ガス制御手段によって、前記水素ガス,前記
窒素ガスの少なくとも一種のガスの供給を増減させて高
速成膜とすると好適である。このように構成することに
より、真空容器中において、スパッタリングに用いるア
ルゴンガス等の不活性ガスの割合を高くすることができ
るので、基板への薄膜形成が高速で行われ作業性を向上
させることが可能となる。
【0033】また、前記水素ガスは、少なくとも薄膜形
成中において、前記真空容器内に常時供給されるように
構成することもできる。このように水素ガスを常時供給
することにより、基板上のガス、水分等をクリーニング
しながら薄膜形成を行うことができ、高品質の薄膜を形
成することができる。
【0034】このとき、前記基板へ薄膜が形成されてい
る途中で、ガス制御手段によって、前記水素ガスの供給
を増減させて高速成膜とすると好適である。このように
構成することにより、真空容器中において、スパッタリ
ングに用いるアルゴンガス等の不活性ガスの割合を高く
することができるので、基板への薄膜形成が高速で行わ
れ作業性を向上させることが可能となる。
【0035】また、前記薄膜の形成開始前および形成開
始後における前記水素ガスの供給量を、前記薄膜の形成
中における前記水素ガスの供給量よりも多くして、基板
表面およびターゲット表面のクリーニング効果を高めて
もよい。このように構成することにより、成膜前後に、
熱触媒体により、活性化水素イオンHを大量に発生さ
せ、クリーニング、膜ストレス低減等を促進させること
ができる。
【0036】上記のとき、前記熱触媒体は、シート状、
コイル状、ワイヤー状、網状のいずれかの形状を有する
様にすると好適である。
【0037】前記スパッタリング開始時には、前記熱触
媒体と前記ターゲットとの間を遮蔽し、前記スパッタリ
ングが安定した後に、前記熱触媒体と前記ターゲットと
の遮蔽を解除するように構成すると好適である。このよ
うに構成すると、スパッタリングが安定してから基板上
に薄膜を形成することができるので、基板上に、高品質
の薄膜を形成することが可能となる。
【0038】また、前記基板の少なくとも半導体装置形
成領域に段差を形成し、該段差を含む前記基板上に単結
晶半導体膜をグラフォエピタキシャル成長させるように
してもよい。即ち、基板に段差を設け、段差を含む基板
上に単結晶半導体膜をグラフォエピタキシャル成長させ
ているので、高い移動度を有し、動作特性に優れる単結
晶半導体膜を得ることができる。
【0039】このとき、前記基板の少なくとも半導体装
置形成領域に単結晶半導体と格子整合の良い物質層を形
成し、該物質層を含む前記基板上に単結晶半導体膜をヘ
テロエピタキシャル成長させるように構成することもで
きる。即ち基板に単結晶半導体と格子整合の良い物質層
を形成し、この物質層を含む基板上に単結晶半導体膜を
ヘテロエピタキシャル成長させているので、高い移動度
を有し、動作特性に優れる単結晶半導体膜を得ることが
できる。
【0040】このとき、前記単結晶半導体と格子整合の
良い物質層は、サファイアまたはスピネル構造体または
フッ化カルシウムを含む群より選ばれた、少なくとも一
種以上の物質よりなるように構成するとよい。
【0041】上記課題は、請求項30に係る発明によれ
ば、真空容器と、該真空容器内に配置された薄膜を形成
させる基板と、前記真空容器内に配置された薄膜原料か
らなるターゲットと、スパッタリング電源と、を備えた
薄膜形成装置であって、前記基板と前記ターゲットとの
間には、熱触媒体が配置され、該熱触媒体を加熱する加
熱手段と、前記真空容器内にガスを導入するガス導入系
と、を備え、前記ターゲットをスパッタリングして前記
熱触媒体を介し、前記基板の表面に薄膜を形成すること
により解決される。
【0042】このとき、前記ガス導入系から、不活性ガ
スと、水素ガスと、酸素ガスと、窒素ガスと、のうち少
なくとも一つ以上を前記真空容器内へ所定量導入する制
御手段を備えるように構成するとよい。このように構成
することにより、上記ガス導入系により導入された水素
ガス,酸素ガス,窒素ガスの一部が、熱触媒体での熱分
解反応および触媒反応により、活性化水素イオンH
活性化酸素イオンO,活性化窒素イオンNとするこ
とが可能となる。この活性化水素イオンH,活性化酸
素イオンOが基板表面をクリーニングし、基板上に高
品質の薄膜を形成することができる。また、活性化酸素
イオンOにより、ターゲットから飛来する薄膜原料原
子または分子が、酸化作用を受けるため、絶縁性が高
く,高性能・高品質の金属酸化物膜、高誘電率膜、強誘
電体膜を堆積することが可能となる。また、この活性化
窒素イオンN の窒化作用により、窒素イオン欠乏によ
る膜の変質が防止され、本来の金属窒化物膜または導電
性窒化膜の特性を有する膜を得ることができる。
【0043】また、前記ガス導入系は、前記真空容器内
に位置するガス吹き出し部を備え、該ガス吹き出し部は
前記熱触媒体との距離を変更する位置調整手段を備えて
いるように構成してもよい。
【0044】前記熱触媒体は、高融点金属をセラミック
スコーティングまたは炭化ケイ素コーティングしたもの
又は表面を酸化又は窒化させたシリコンであると好適で
ある。このような表面が酸化劣化しにくい熱触媒体を用
いると、触媒スパッタリングにより金属酸化物膜等の薄
膜を形成することが可能となる。
【0045】また、前記熱触媒体は、金属からなるも
の、またはセラミックスまたは炭化ケイ素を芯として金
属をコーティングしたものであってもよい。このような
熱触媒体を用いることにより、スパッタリングの条件を
選択することにより、基板上に、ターゲット材料だけで
なく、熱触媒体に含まれる金属をも堆積させることがで
きる。前記熱触媒体は、金属からなるもの、またはセラ
ミックスまたは炭化ケイ素を芯として金属をコーティン
グしたものであって、前記熱触媒体の金属は、前記ター
ゲットに含まれる金属を含むように構成することもでき
る。
【0046】前記熱触媒体と前記ターゲットとの間に、
移動可能なシャッターが配置されると好適である。この
ようなシャッターを配置すると、スパッタリングが安定
してから基板上に薄膜を形成することができるので、基
板上に、高品質の薄膜を形成することが可能となる。
【0047】また、前記基板は、前記真空容器内で可動
可能な基板載置台に載置され、該基板載置台により前記
熱触媒体との距離を調整可能とされていると好適であ
る。このとき、前記真空容器内にはレールが敷設され、
前記基板載置台には前記レール上を移動可能な手段が取
り付けられ、前記レール上において前記基板載置台を移
動可能とすると好適である。前記薄膜形成装置は、シン
グルチャンバ或いはマルチチャンバから構成されるとよ
い。
【0048】また、前記ターゲットは、錫とゲルマニウ
ムと鉛とのうち少なくともいずれか一つ以上を含有する
と好適である。このように、錫、ゲルマニウム、鉛のい
ずれか一つ以上を用いていることから、例えば、得られ
たシリコン層中に、四族元素である錫や鉛が混入してし
まっても、これらは周期律表第四族の元素であってシリ
コン層中でキャリアにならず、そのためシリコン層は高
抵抗なものとなる。よって、イオンドーピング(注入)
等によるTFTのVth調整や抵抗値調整が容易にな
り、高性能な回路構成が可能になる。また、シリコン層
中に残留する錫や鉛は結晶欠落に電気的に不活性にする
ため、得られたシリコン層は接合リークが低減され、移
動度が高められたものとなる。
【0049】前記熱触媒体は、シート状、コイル状、ワ
イヤー状、網状のいずれかの形状を有するようにすると
よい。前記熱触媒体は、前記真空容器内で可動可能な熱
触媒体保持手段に保持され、該熱触媒体保持手段は前記
基板との距離を調整可能とされていると好適である。
【0050】また、前記熱触媒体は前記真空容器内に複
数個配設されるとよい。このとき、前記複数の熱触媒体
は同一素材或いは異なる素材からそれぞれ形成され流と
好適である。前記複数の熱触媒体は同一形状或いは異形
状にそれぞれ形成されるとよい。前記複数の熱触媒体
は、それぞれ同一電流や電圧を供給する電源或いは異な
る電流や電圧を供給する電源に接続されると好適であ
る。
【0051】上記課題は、請求項47に係る発明によれ
ば、真空容器中において、基板とターゲットとの間に熱
触媒体を配置してスパッタリングにより基板に薄膜層を
形成し、該薄膜層を含む半導体装置を製造する方法であ
って、前記真空容器内に、水素ガスまたは酸素ガスを供
給して熱触媒体で発生した活性化水素イオンHまたは
活性化酸素イオンOで前記基板上をクリーニングする
クリーニング工程と、前記真空容器に水素ガス,または
酸素ガス,または窒素ガス,または水素ガスと窒素ガ
ス,または酸素ガスと窒素ガスを少なくとも薄膜形成中
において常時供給すると共に、不活性ガスを供給してス
パッタリングにより前記基板上に薄膜を形成する薄膜形
成工程と、を備え、前記クリーニング工程と前記薄膜形
成工程とを繰り返すことにより、前記基板の少なくとも
薄膜半導体装置形成領域に、少なくとも半導体薄膜とゲ
ート絶縁膜を連続成膜して薄膜層を形成し、該薄膜層に
所定の処理を施し、トップゲート型TFTを製作するこ
とにより解決される。
【0052】また、上記課題は、請求項48に係る発明
によれば、真空容器中において、基板とターゲットとの
間に熱触媒体を配置してスパッタリングにより基板に薄
膜層を形成し、該薄膜層を含む半導体装置を製造する方
法であって、前記真空容器内に、水素ガスまたは酸素ガ
スを供給して熱触媒体で発生した活性化水素イオンH
または活性化酸素イオンOで前記基板上をクリーニン
グするクリーニング工程と、前記真空容器に水素ガス,
または酸素ガス,または窒素ガス,または水素ガスと窒
素ガス,または酸素ガスと窒素ガスを少なくとも薄膜形
成中において常時供給すると共に、不活性ガスを供給し
てスパッタリングにより前記基板上に薄膜を形成する薄
膜形成工程と、を備え、前記クリーニング工程と前記薄
膜形成工程とを繰り返すことにより、予めゲート電極が
形成された前記基板の少なくとも薄膜半導体装置形成領
域に少なくともゲート絶縁膜を成膜し、該ゲート絶縁膜
に連続して少なくとも半導体膜を成膜して半導体薄膜層
を形成し、該半導体薄膜層に連続して少なくとも保護膜
を形成し、前記半導体薄膜層および前記保護膜に所定の
処理を施し、ボトムゲート型TFTを作製することによ
り解決される。
【0053】さらに、上記課題は、請求項49に係る発
明によれば、真空容器中において、基板とターゲットと
の間に熱触媒体を配置してスパッタリングにより基板に
薄膜層を形成し、該薄膜層を含む半導体装置を製造する
方法であって、前記真空容器内に、水素ガスまたは酸素
ガスを供給して熱触媒体で発生した活性化水素イオンH
または活性化酸素イオンOで前記基板上をクリーニ
ングするクリーニング工程と、前記真空容器に水素ガ
ス,または酸素ガス,または窒素ガス,または水素ガス
と窒素ガス,または酸素ガスと窒素ガスを少なくとも薄
膜形成中において常時供給すると共に、不活性ガスを供
給してスパッタリングにより前記基板上に薄膜を形成す
る薄膜形成工程と、を備え、前記クリーニング工程と前
記薄膜形成工程とを繰り返すことにより、予め第1のゲ
ート電極が形成された前記基板の少なくとも薄膜半導体
装置形成領域に少なくとも第1のゲート絶縁膜を成膜
し、該第1のゲート絶縁膜に連続して少なくとも半導体
膜を成膜することにより半導体薄膜層を形成し、該半導
体薄膜層に連続して少なくとも第2のゲート絶縁膜を成
膜し、該第2のゲート絶縁膜に連続して少なくとも第2
のゲート電極のための金属膜を成膜し、前記第2のゲー
ト絶縁膜および前記第2のゲート電極のための金属膜お
よび前記半導体薄膜層に所定の処理を施し、デュアルゲ
ート型TFTを作製することにより解決される。
【0054】これらのとき、前記薄膜形成工程の形成
前,途中,後の少なくとも一つで、前記水素ガス,また
は前記酸素ガス,または窒素ガス,または前記水素ガス
および前記窒素ガス,または前記酸素ガスおよび窒素ガ
スの供給を増減して高速成膜とすると好適である。この
ように構成することにより、真空容器中において、スパ
ッタリングに用いるアルゴンガス等の不活性ガスの割合
を高くすることができるので、基板への薄膜形成が高速
で行われ作業性を向上させることが可能となる。
【0055】また、前記薄膜層は、一つのチャンバを備
えたシングルチャンバからなる前記真空容器内で形成す
るとよい。
【0056】また、前記膜は、複数のチャンバを備えた
マルチチャンバからなる前記真空容器内の、前記ターゲ
ットに対応した前記チャンバ内で形成するように構成し
てもよい。このとき、前記膜のうち半導体膜は、錫とゲ
ルマニウムと鉛とのうち少なくともいずれか一つ以上を
含有する半導体膜であるように構成することもできる。
【0057】上記のとき、前記基板の少なくとも半導体
装置形成領域に段差を形成し、該段差を含む前記基板上
に単結晶半導体膜をグラフォエピタキシャル成長させる
ように構成すると好適である。即ち、基板に段差を設
け、段差を含む基板上に単結晶半導体膜をグラフォエピ
タキシャル成長させているので、高い移動度を有し、動
作特性に優れる単結晶半導体膜を得ることができる。
【0058】また、前記基板の少なくとも半導体装置形
成領域に単結晶半導体と格子整合の良い物質層を形成
し、該物質層を含む前記基板上に単結晶半導体膜をヘテ
ロエピタキシャル成長させるように構成してもよい。即
ち基板に単結晶半導体と格子整合の良い物質層を形成
し、この物質層を含む基板上に単結晶半導体膜をヘテロ
エピタキシャル成長させているので、高い移動度を有
し、動作特性に優れる単結晶半導体膜を得ることができ
る。
【0059】このとき、前記単結晶半導体と格子整合の
良い物質層は、サファイアまたはスピネル構造体または
フッ化カルシウムを含む群より選ばれた、少なくとも一
種以上の物質よりなるように構成することもできる。
【0060】前記半導体膜を電界効果トランジスタのチ
ャンネル領域、ソース領域及びドレイン領域に適用し、
これら各領域に注入した不純物種及び/またはその濃度
を制御すると好適である。
【0061】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る触媒スパッタ
リングによる薄膜形成方法及び薄膜形成装置並びに半導
体装置の製造方法について、好適な実施の形態を図1に
基づいて説明する。本発明における触媒スパッタリング
による薄膜形成方法は、真空容器1中において、基板1
0とターゲット4との間に熱触媒体5を配置して、スパ
ッタリングにより基板に薄膜を形成する方法である。
【0062】ここで、触媒スパッタリングとは、スパッ
タされた薄膜原料原子,分子の少なくとも一部を、融点
未満に加熱された熱触媒体5の触媒反応、熱分解反応に
よる高いエネルギー付与により活性化,イオン化させ
て、これらの堆積種を、少なくとも熱触媒体の輻射熱で
加熱された基板上に堆積させる方法である。
【0063】また、導入した水素ガス,または酸素ガ
ス,または窒素ガスの少なくとも一部から、融点未満に
加熱された熱触媒体の熱分解反応または触媒反応によっ
て高いエネルギーの活性化水素イオンH,または活性
化酸素イオンO,または活性化窒素イオンNを発生
させ、これらの活性化イオンにより、ターゲット4,基
板10,成膜された膜等のクリーニング,成膜中の酸化
作用促進,成膜中の窒化作用促進を図り、高性能,高品
質のスパッタリング膜を形成する方法でもある。
【0064】本発明の触媒スパッタリングは、例えば、
DCスパッタリング法、RFスパッタリング法、反応性
スパッタリング法、非平衡型マグネトロンスパッタリン
グ法、改良非平衡型マグネトロンスパッタリング法、プ
ラズマスパッタリング法、バイアススパッタリング法、
リングマグネトロンスパッタリング法、コリメートスパ
ッタリング法、連続式スパッタリング法、バッチ式スパ
ッタリング法、カルーセル型スパッタリング法、対向タ
ーゲットスパッタリング法で行う。
【0065】本発明の薄膜形成方法によって形成される
薄膜は、シリコン、シリコンゲルマニウム、炭化ケイ
素、化合物半導体(少なくともガリウムヒ素、ガリウム
リン、ガリウムナイトライドのいずれかを含む)、ダイ
ヤモンドのいずれかのアモルファスまたは多結晶または
微結晶または単結晶の半導体薄膜、酸化シリコン、不純
物(少なくともリンシリケートガラス(PSG)、ボロ
ンシリケートガラス(BSG)、ボロンリンシリケート
ガラス(BPSG)のいずれかを含む)含有の酸化シリ
コン、窒化シリコン、窒酸化シリコン、酸化モリブデ
ン、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化タンタル、ダ
イヤモンドライクカーボン(DLC)、酸化アルミニウ
ム、酸化インジウム等の絶縁性薄膜、タングステン,チ
タン,タンタル,モリブデン等の高融点金属薄膜、窒化
タングステン,窒化チタン,窒化タンタル,窒化モリブ
デン,窒化ニオブ,窒化バナジウム,窒化ジルコニウム
等の導電性窒化薄膜、モリブデンシリサイド,タングス
テンシリサイド,チタンシリサイド,タンタルシリサイ
ド等の高融点シリサイド薄膜、銅、アルミニウム、アル
ミニウム−シリコン又はアルミニウム−シリコン−銅か
らなる金属薄膜、ITO(Indium Tin Ox
ide),IZO(Indium Zinc Oxid
e)の導電性透明酸化膜、SrTiO、(Ba,S
r)TiO(BST)等の高誘電率薄膜、SrBi
Ta(SBT)、Pb(Zr,Ti)O(PZ
T)、(Pb,La)(Zr,Ti)O(PLZ
T)、BaTiO 、LiNbO、BiTi
12(BIT)等の強誘電体薄膜等である。
【0066】本発明の真空容器1は、シングルチャンバ
或いはマルチチャンバから構成される。シングルチャン
バからなる真空容器1を用いる場合には、装置が簡易な
構成であるという利点がある。他方、マルチチャンバか
らなる真空容器1を用いる場合には、異なる組成の複数
の薄膜を形成する場合に、形成する膜ごとに導入するガ
スを変更しても、ガスを導入する室が異なり、導入する
ガスが互いに混合しないため、また、薄膜を形成する室
が異なり、他の膜の混入がないため、高品質の薄膜を形
成することができる。
【0067】本発明の熱触媒体5は、シート状、図1に
示すようなコイル状、ワイヤー状、図2に示すような網
状のいずれかの形状を有する。また、熱触媒体5は、図
20に示すように、真空容器1内で可動可能な熱触媒体
保持手段5bに保持し、熱触媒体保持手段5bは、基板
10との距離を調整可能としてもよい。
【0068】熱触媒体5は、図20に示すように、真空
容器1内に複数個配設してもよい。この場合、熱触媒体
5は、同一素材或いは異なる素材からそれぞれ形成され
る。また、これらの熱触媒体は同一形状或いは異形状に
それぞれ形成される。複数の熱触媒体5は、それぞれ同
一電流や電圧を供給する電源或いは異なる電流や電圧を
供給する電源に接続される。
【0069】また、本発明の基板10は、シリコン、ゲ
ルマニウム、シリコンゲルマニウム、シリコンカーバイ
ト、ガリウムひ素、ガリウムアルミニウムひ素、ガリウ
ム燐、インジュウム燐、セレン化亜鉛、硫化カドミウ
ム、石英ガラス、ほうけい酸ガラス、アルミノけい酸ガ
ラス、ダイヤモンド薄膜コーティングガラス、耐熱性樹
脂を含む半導体または絶縁性の材料から選ばれたものか
ら構成される。
【0070】基板10は、真空容器1内で可動可能な基
板載置台2に載置され、基板載置台2により熱触媒体5
との距離を調整可能とされる。また、図20に示すよう
に、真空容器1内にレール6が敷設され、基板載置台2
に、レール6上を移動可能な手段が取り付けられ、レー
ル6上において基板載置台2を移動可能とするように構
成しても良い。本発明のターゲット4は、金属,窒化金
属,酸化金属,またはそれらの混合金属,又はそれらの
焼結体から構成される。
【0071】本発明の真空容器1には、真空容器内1に
ガスを導入するためのガス導入系3が設けられる。この
ガス導入系3は、真空容器1内に位置するガス吹き出し
部を備え、ガス吹き出し部は、熱触媒体5との距離を変
更する位置調整手段を備える。
【0072】また、本発明では、熱触媒体5とターゲッ
ト4との間に、移動可能なシャッター7が配置される。
このシャッター7により、スパッタリング開始時には、
熱触媒体5とターゲット4との間を遮蔽され、スパッタ
リングが安定した後に、熱触媒体5とターゲット4との
遮蔽が解除される。このように構成することにより、基
板10上に、高品質の薄膜を形成することが可能とな
る。
【0073】また、シャッター7が、真空容器1内の、
熱触媒体5よりもターゲット4側に配置されることによ
り、スパッタリング開始前の熱触媒体5の温度昇温時に
おいて、熱触媒体5の副射熱を効率良く基板10に伝え
ることができ、基板10表面の昇温が容易となり、電力
の節約、生産性の向上、成膜の品質向上等を図ることが
可能となる。また、スパッタリング中には、熱触媒体5
の輻射熱でターゲット表面温度が昇温し、アウトガスの
促進とスパッタリングの安定化,スパッタリング成膜速
度の向上が図られるので、スパッタリングパワーをセー
ブでき、生産性向上とコストダウンが可能となる。
【0074】本発明では、基板10上に薄膜を形成する
ときに、熱触媒体5を加熱し、ターゲット4に含まれる
金属を含む薄膜を基板10上に堆積させる。
【0075】請求項2に係る発明によると、高融点金属
をセラミックスコーティングしたもの、または炭化ケイ
素コーティングしたもの、または、表面を酸化又は窒化
させたシリコンのいずれかである熱触媒体5(以下、
「表面がコーティングされた熱触媒体5」と称する)を
用いたときには、基板10上には、半導体膜、金属酸化
物膜、金属窒化物膜、導電性窒化膜、単体金属膜、合金
膜、金属シリサイド膜、高誘電率膜、強誘電体膜よりな
る群から選ばれた少なくとも1種以上の膜を形成するこ
とができる。
【0076】高融点金属をセラミックスまたは炭化ケイ
素コーティングしたもの、または、表面を酸化又は窒化
させたシリコンは、表面が、セラミックス,炭化ケイ
素,酸化シリコン,窒化シリコンにより被覆されてお
り、真空容器1中に酸素ガスを導入しても酸化劣化しに
くいため、金属酸化物膜,高誘電率膜,強誘電体膜等の
成膜にも適している。
【0077】ここで、請求項2でいう高融点金属として
は、タングステン、トリア含有タングステン、白金、パ
ラジウム、タンタル、モリブデン、シリコン等がある。
また、高融点金属にコーティングをするセラミックスと
しては、例えば、アルミナ等がある。表面がコーティン
グされた熱触媒体5を用いて基板10上に薄膜を形成す
るときには、熱触媒体5は、例えば薄膜を構成する金属
材料の少なくとも軟化点以上、好ましくは融点以上で、
熱触媒体5の融点未満の温度に加熱される。
【0078】また、半導体膜とは、例えばシリコン,ガ
リウムヒ素,炭化ケイ素からなる膜等である。金属酸化
物膜とは酸化シリコン,酸化アルミニウム,酸化インジ
ウムからなる膜等、金属窒化物膜とは、窒化シリコンか
らなる膜等、導電性窒化膜とは、窒化タングステン,窒
化チタン,窒化タンタル,窒化モリブデンからなる膜
等、単体金属膜とは、アルミニウム,銅からなる膜等、
合金膜とは、アルミニウム−シリコン,銅−シリコンか
らなる膜等、金属シリサイド膜とは、タングステンシリ
サイド,チタンシリサイドからなる膜等、高誘電率膜と
は、SrTiO,(Ba,Sr)TiO(BST)
からなる膜等、強誘電体膜とは、SrBi Ta
(SBT),Pb(Zr,Ti)O(PZT),Ba
TiO,LiNからなる膜等である。
【0079】また、半導体膜として、錫とゲルマニウム
と鉛とのうち少なくともいずれか一つ以上を含有する半
導体膜を形成することもできる。このように、錫、ゲル
マニウム、鉛のいずれか一つ以上を用いていることか
ら、例えば、得られたシリコン層中に、四族元素である
錫や鉛が混入してしまっても、これらは周期律表第四族
の元素であってシリコン層中でキャリアにならず、その
ためシリコン層は高抵抗なものとなる。よって、イオン
ドーピング(注入)等によるTFTのVth調整や抵抗
値調整が容易になり、高性能な回路構成が可能になる。
また、シリコン層中に残留する錫や鉛は結晶欠落に電気
的に不活性にするため、得られたシリコン層は接合リー
クが低減され、移動度が高められたものとなる。
【0080】表面がコーティングされた熱触媒体5を加
熱した後には、真空容器1中に、不活性ガスと水素ガス
のうち少なくとも一種のガス,すなわち不活性ガス,ま
たは水素ガス,または不活性ガスと水素ガスとの混合ガ
スを導入して、基板10上に半導体膜等の薄膜を形成す
る。このように、基板10へ薄膜を形成するときに、水
素ガスを供給するので、供給された水素ガスの一部が活
性化水素イオンHとなって、この活性化水素イオンH
が基板10表面をクリーニングし、基板10上に高品
質の薄膜を形成することができる。なお、本発明で不活
性ガスとは、アルゴンガス,クリプトンガス,キセノン
ガス等をいう。不活性ガスと水素ガスのうち少なくとも
一種のガスは、少なくとも薄膜形成中において、真空容
器1内に常時供給される。また、基板10へ薄膜が形成
されている途中で、ガス制御手段によって、水素ガスの
供給を増減させる。
【0081】また、本発明では、真空容器1中に、不活
性ガスと窒素ガスのうち少なくとも一種のガス,または
窒素ガスと水素ガス,または不活性ガスと窒素ガスと水
素ガスを導入し、金属窒化物膜、導電性窒化膜よりなる
群から選ばれた少なくとも1種以上の膜を形成する。こ
のように、金属窒化物膜、導電性窒化膜を形成するとき
に窒素ガスを導入すると、熱触媒体での熱分解反応およ
び触媒反応によって窒素ガスの一部が活性化窒素イオン
となり、この活性化窒素イオンNの窒化作用によ
り、窒素イオン欠乏による膜の変質が防止され、本来の
金属窒化物膜または導電性窒化膜の特性を有する膜を得
ることができる。
【0082】また、窒素ガスと共に水素ガスを真空容器
1中に導入することにより、供給された水素ガスの一部
が活性化水素イオンHとなって、この活性化水素イオ
ンH が基板表面をクリーニングし、基板10上に高品
質の薄膜を形成することができる。
【0083】これらの不活性ガス,または水素ガス,ま
たは窒素ガス,または不活性ガスと窒素ガス,または不
活性ガスと水素ガス,または窒素ガスと水素ガス,また
は不活性ガスと窒素ガスと水素ガスは、少なくとも薄膜
形成中において、真空容器1内に常時供給される。ま
た、基板10へ薄膜が形成されている途中で、ガス制御
手段によって、水素ガス,または窒素ガス,または水素
ガスと窒素ガスの供給を増減させる。薄膜の形成開始前
および形成開始後における水素ガス,または窒素ガス,
または水素ガスと窒素ガスの供給量を、薄膜の形成中に
おける水素ガス,または窒素ガス,または水素ガスと窒
素ガスの供給量よりも多くする。このとき、基板10へ
薄膜が形成されている途中で、ガス制御手段によって、
水素ガスまたは窒素ガスの供給を増減させる。
【0084】また、本発明では、表面がコーティングさ
れた熱触媒体5を加熱した後に、真空容器1中に不活性
ガスと酸素ガスのうち少なくとも一種のガス,すなわち
不活性ガス,または酸素ガス,または不活性ガスと酸素
ガスを導入し、金属酸化物膜、高誘電率膜、強誘電体膜
よりなる群から選ばれた少なくとも1種以上の膜を形成
する。
【0085】このとき、不活性ガス,または酸素ガス,
または不活性ガスと酸素ガスは、少なくとも薄膜形成中
において、真空容器1内に常時供給する。また、基板1
0へ薄膜が形成されている途中で、ガス制御手段によっ
て、酸素ガスまたは水素ガスまたは窒素ガスの少なくと
も一種のガスの供給を増減させる。薄膜の形成開始前お
よび形成開始後における酸素ガスまたは水素ガスの供給
量を、前記薄膜の形成中における前記酸素ガスまたは前
記水素ガスの供給量よりも多くすることもできる。
【0086】また、本発明では、熱触媒体5を、金属、
またはセラミックスまたは炭化ケイ素を芯として金属を
コーティングしたものとし、半導体膜、金属窒化物膜、
導電性窒化膜、金属シリサイド膜よりなる群から選ばれ
た少なくとも1種以上の膜を形成する。このとき、半導
体膜として、錫とゲルマニウムと鉛とのうち少なくとも
いずれか一つ以上を含有する半導体膜を形成することも
できる。
【0087】このとき、金属としては、例えば、前記の
請求項2でいう高融点金属(タングステン、トリア含有
タングステン、白金、パラジウム、タンタル、モリブデ
ン、シリコン等)に加え、銅、アルミニウム等も含まれ
る。このように、熱触媒体5として金属、またはセラミ
ックスまたは炭化ケイ素を芯として金属をコーティング
したもの(以下、「金属が表面に裸出した熱触媒体」と
する)を用いた場合、スパッタリングの条件を選択する
ことにより、基板10上に、ターゲット4の材料だけで
なく、熱触媒体5に含まれる金属をも堆積させることが
できる。
【0088】このとき、薄膜の形成開始前および形成終
了後には、熱触媒体5を、熱触媒体5の金属の融点未満
の温度とし、薄膜の形成中には、熱触媒体5の金属によ
る蒸着可能な温度とする。温度をこのように設定するこ
とにより、熱触媒体5の金属の基板10上への堆積を制
御することができる。
【0089】金属が表面に裸出した熱触媒体を用いてス
パッタリングを行う場合、真空容器1中に不活性ガスと
水素ガス,または水素ガスのみを導入して、熱触媒体5
の酸化劣化防止と基板10上のクリーニングを行いなが
ら薄膜を形成する。
【0090】金属が表面に裸出した熱触媒体を用いてス
パッタリングを行う際には、熱触媒体5の金属が、ター
ゲット4に含まれる金属を含むように構成することもで
きる。このようにすることにより、基板10上に、ター
ゲット4と同じ金属を、熱触媒体5による蒸着により堆
積することができる。
【0091】このとき、真空容器1中に不活性ガスと水
素ガスに加えて,または水素ガスに加えて窒素ガスを導
入し、金属窒化物膜、導電性窒化膜よりなる群から選ば
れた少なくとも1種以上の膜を形成してもよい。このよ
うに、金属窒化物膜、導電性窒化膜を形成するときに窒
素ガスを導入すると、熱触媒体での熱分解反応および触
媒反応によって窒素ガスの一部が活性化窒素イオンN
となり、この活性化窒素イオンNの窒化作用により、
窒素イオン欠乏による膜の変質が防止され、本来の金属
窒化物膜または導電性窒化膜の特性を有する膜を得るこ
とができる。
【0092】熱触媒体5として金属が表面に裸出した熱
触媒体を用いる場合も、水素ガスまたは窒素ガス,また
は水素ガスと窒素ガスを、少なくとも薄膜形成中におい
て、真空容器1内に常時供給する。また、基板10へ薄
膜が形成されている途中で、ガス制御手段によって、水
素ガスまたは窒素ガス,または水素ガスと窒素ガスの供
給を増減させることもできる。さらに、薄膜の形成開始
前および形成開始後における水素ガスの供給量を、薄膜
の形成中における水素ガスの供給量よりも多くすること
もできる。
【0093】なお、熱触媒体5として、金属が表面に裸
出した熱触媒体を用いた場合、真空容器内1に酸素ガス
を導入することは適さない。真空容器1内に酸素ガスを
導入すると、熱触媒体5表面が酸化劣化して熱触媒体5
が断線するからである。
【0094】本発明では、基板の少なくとも半導体装置
形成領域に段差を形成し、この段差を含む基板10上に
単結晶半導体膜をグラフォエピタキシャル成長させるこ
ともできる。また、基板10の少なくとも半導体装置形
成領域に単結晶半導体と格子整合の良い物質層を形成
し、この物質層を含む基板10上に単結晶半導体膜をヘ
テロエピタキシャル成長させる。また、単結晶半導体と
格子整合の良い物質層は、サファイアまたはスピネル構
造体またはフッ化カルシウムからなる群より選ばれた物
質とする。ここで、本発明における単結晶半導体とは、
単結晶シリコンのみならず、単結晶ガリウム・砒素や単
結晶シリコン・ゲルマニウム等の単結晶化合物半導体も
含む概念である。また、本発明における単結晶には、単
結晶のみからなるものだけでなく、亜粒界や転位を含有
する単結晶も含むものである。
【0095】本発明に係る半導体装置の製造方法は、真
空容器1中において、基板10とターゲット4との間に
熱触媒体5を配置してスパッタリングにより基板10に
薄膜層を形成し、この薄膜層を含む半導体装置を製造す
る方法である。本発明に係る半導体装置の製造方法は、
電界効果トランジスタ(FET)(MIS型と接合型)
およびバイポーラトランジスタ薄膜トランジスタのいず
れにも適用できるものである。
【0096】本発明では、真空容器10中に水素ガスま
たは酸素ガスを供給して熱触媒体5で発生した活性化水
素イオンHまたは活性化酸素イオンOで前記基板上
をクリーニングするクリーニング工程と、真空容器1に
水素ガス,または酸素ガス,または窒素ガス,または水
素ガスと窒素ガス,または酸素ガスと窒素ガスを少なく
とも薄膜形成中において常時供給すると共に、不活性ガ
スを供給してスパッタリングにより前記基板上に薄膜を
形成する薄膜形成工程と、を行う。そして、このクリー
ニング工程と薄膜形成工程とを繰り返すことにより、基
板10の少なくとも薄膜半導体装置形成領域に、少なく
とも半導体薄膜とゲート絶縁膜を連続成膜して薄膜層を
形成する。この薄膜層に所定の処理を施し、トップゲー
ト型TFTを製作する。
【0097】さらに、本発明では、水素ガスまたは酸素
ガスを供給して熱触媒体5で発生した活性化水素イオン
または活性化酸素イオンOで前記基板上をクリー
ニングするクリーニング工程と、真空容器1に水素ガ
ス,または酸素ガス,または窒素ガス,または水素ガス
と窒素ガス,または酸素ガスと窒素ガスを少なくとも薄
膜形成中において常時供給すると共に、不活性ガスを供
給してスパッタリングにより前記基板上に薄膜を形成す
る薄膜形成工程と、を行う。そして、このクリーニング
工程と薄膜形成工程とを繰り返すことにより、予めゲー
ト電極が形成された基板10の少なくとも薄膜半導体装
置形成領域に少なくともゲート絶縁膜を成膜し、このゲ
ート絶縁膜に連続して少なくとも半導体膜を成膜して半
導体薄膜層を形成する。この半導体薄膜層に連続して少
なくとも保護膜を形成し、半導体薄膜層および保護膜に
所定の処理を施し、ボトムゲート型TFTを作製する。
【0098】このように、水素ガスまたは酸素ガスを供
給し、熱触媒体を加熱して触媒作用が可能な状態にし、
少なくともシリコン膜等の半導体膜とゲート絶縁膜を連
続成膜することで、ゲートチャンネル部を低ストレス,
低コンタミとすることが可能となる。
【0099】また、本発明では、水素ガスまたは酸素ガ
スを供給して熱触媒体で発生した活性化水素イオンH
または活性化酸素イオンOで前記基板上をクリーニン
グするクリーニング工程と、真空容器1に水素ガス,ま
たは酸素ガス,または窒素ガス,または水素ガスと窒素
ガス,または酸素ガスと窒素ガスを少なくとも薄膜形成
中において常時供給すると共に、不活性ガスを供給して
スパッタリングにより前記基板上に薄膜を形成する薄膜
形成工程と、を行う。そして、このクリーニング工程と
薄膜形成工程とを繰り返すことにより、予め第1のゲー
ト電極が形成された前記基板の少なくとも薄膜半導体装
置形成領域に少なくとも第1のゲート絶縁膜を成膜し、
この第1のゲート絶縁膜に連続して少なくとも半導体膜
を成膜することにより半導体薄膜層を形成する。この半
導体薄膜層に連続して少なくとも第2のゲート絶縁膜を
成膜し、この第2のゲート絶縁膜に連続して少なくとも
第2のゲート電極のための金属膜を成膜し、この第2の
ゲート絶縁膜および第2のゲート電極のための金属膜お
よび半導体薄膜層に所定の処理を施し、デュアルゲート
型TFTを作製する。このとき、上記ゲート絶縁膜は、
酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、窒酸化シリコン膜、
窒化アルミニウム膜、酸化アルミニウム膜、酸化タンタ
ル膜、またはそれらの複合膜から選ばれる。
【0100】本発明に係る半導体装置の製造方法では、
薄膜形成工程の形成前,途中,後の少なくとも一つで、
水素ガス,または酸素ガス,または窒素ガス,または水
素ガスおよび窒素ガス,または酸素ガスおよび窒素ガス
の供給を増減する。薄膜層は、一つのチャンバを備えた
シングルチャンバからなる真空容器1内で形成する。
【0101】また、膜は、複数のチャンバを備えたマル
チチャンバからなる真空容器1内の、ターゲット4に対
応したチャンバ内で行う。このように構成することによ
り、異なる組成の複数の薄膜を形成する場合に、形成す
る膜ごとに導入するガスを変更しても、ガスを導入する
室が異なり、導入するガスが互いに混合しないため、高
品質の薄膜を形成することができる。マルチチャンバか
らなる真空容器1を用いた場合には、半導体膜として、
錫とゲルマニウムと鉛とのうち少なくともいずれか一つ
以上を含有する半導体膜を形成することができる。
【0102】前記半導体膜は、電界効果トランジスタの
チャンネル領域、ソース領域及びドレイン領域に適用さ
れ、またはバイポーラトランジスタのエミッタ領域、ベ
ース領域、コレクタ領域に適用し、さらに、ダイオー
ド、抵抗、コンデンサ等に適用し、これら各領域に注入
された不純物種及び/またはその濃度が制御される。こ
こで、電界効果トランジスタとしては、MOS型、接合
型の両者を含む。
【0103】本発明に係る半導体装置の製造方法は、シ
リコン半導体装置、シリコン半導体集積回路装置、シリ
コン−ゲルマニウム半導体装置、シリコン−ゲルマニウ
ム半導体集積回路装置、化合物半導体装置、化合物半導
体集積回路装置、炭化ケイ素半導体装置、炭化ケイ素半
導体集積回路装置、ダイヤモンド半導体装置、ダイヤモ
ンド半導体集積回路装置、液晶表示装置、エレクトロル
ミネセンス表示装置、フィールドエミッションディスプ
レイ(FED)装置、プラズマディスプレイパネル(P
DP)装置、発光ポリマー表示装置、発光ダイオード表
示装置、CCD/MOSイメージセンサ装置、光センサ
装置、強誘電体または高誘電率メモリー装置、電子写真
感光体装置又は太陽電池装置等の半導体装置の製造に用
いられる。
【0104】
【実施例】(実施例1)以下、本発明の一実施例を図面
に基づいて説明する。なお、以下に説明する部材,配置
等は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲
内で種々改変することができるものである。図1は、本
発明の薄膜形成装置Sの一実施例を示す概略図である。
図1に示す薄膜形成装置Sは、シングルチャンバによる
触媒DCスパッタリング装置であり、表面に薄膜を作成
する基板10が配置される、真空容器としてのチャンバ
1と、チャンバ1内の所定位置に基板10を配置するた
めの、基板載置台としてのサセプタ2と、基板10とタ
ーゲット4との間にスパッタリングのプラズマを発生さ
せるためのDC電極9と、DC電極9の下面に固定され
た薄膜原料からなるターゲット4と、不活性ガスおよび
水素ガスをチャンバ1内に導入するスパッタリング用ガ
ス導入系と、所定位置に配置された基板10の表面に臨
むチャンバ1内の位置に設けられた熱触媒体5と、熱触
媒体5を所定温度に加熱する加熱手段5aと、を備えて
いる。なお、スパッタリング用電源は、DC電源のみな
らずRF電源を用いてもよいことは言うまでもない。
【0105】本例のチャンバ1は、排気系1aを備えた
気密な中空容器から構成されており、その形状は問わな
い。本例の排気系1aは、チャンバ1の排気用導管によ
り図示しない真空ポンプ等に連結されている。この排気
系1aによって、チャンバ1内を10−6Pa程度以上
の圧力まで下げるように構成される。
【0106】本例のサセプタ2は、チャンバ1の下部位
置に配設されており、上面2aが平面に形成され、この
上面2aに基板10を載置するよう構成されている。な
お、基板10をサセプタ2の上面2aに確実に保持する
ために、サセプタ2の上面2aに静電気を誘起して行う
静電吸着方式を採用したり、L字状部材によって基板1
0の縁を機械的に保持する方式を採用した構成としても
良い。
【0107】サセプタ2には、基板10を所定温度に加
熱するためのヒータ2bが内蔵されている。本例のヒー
タ2bは、例えば、抵抗発熱方式のものが採用され、チ
ャンバ1外に設けられた図示しないヒータ電源が接続さ
れている。また、チャンバ1には不図示の、基板10と
サセプタ2の温度を測定する測定手段が設けられてい
る。ヒータ電源には、基板10又はサセプタ2の温度を
監視する、測定手段からの信号によって、ヒータ供給電
力を制御する不図示のコントローラが設けられている。
【0108】なお、本例では、サセプタ2にヒータ2b
を内蔵するように構成しているが、後述する熱触媒体5
の加熱条件によっては、ヒータ2bを設けないように構
成してもよい。ヒータ2bを設けない場合には、サセプ
タ2周辺の構造が簡易になり、安価な薄膜形成装置を得
ることができる。
【0109】又、必要に応じて、逆に基板を冷却する機
構を設け、基板温度を制御してもよい。なお、基板10
を可動可能な基板載置台に載置してチャンバ1内で熱触
媒体5との距離を調整可能な構成としても良い。このよ
うな構成とすれば、チャンバ1の広さ、或いはガスや熱
触媒体5の種類、或いは熱触媒体5の形状や大きさに応
じて、最も良好な触媒反応が得られる位置に基板10を
位置させることが可能となる。
【0110】さらにまた、チャンバ1内にレールを敷設
し、基板載置台にレール上を移動可能な手段を取り付
け、レール上において基板載置台を移動可能とする構成
にすると、チャンバ1内に配設された長尺の熱触媒体5
に沿って基板載置台を移動させることが可能となり、基
板10に均等に成膜を施すことが可能となり、生産性向
上によるコストダウンも可能となる。
【0111】本例のDC電極9は、図1のチャンバ1の
図面上部に配置され、チャンバ1外の接地されたDC電
源9aに接続される。なお、DC電極9は、図示しない
接地電位のカソード・シールドで覆われる。このカソー
ド・シールドは、DC電極9のターゲット4を除く部分
を覆うものであり、DC電極9から一定の距離を隔てて
配設される。カソード・シールドは、陰極(DC電極
9)のターゲット面以外で放電が発生することを防止す
る役割を果たす。
【0112】本例のターゲット4は、薄膜材料からな
り、DC電極9に固定される。ターゲット4は、図示し
ない熱伝導率の大きい銅の裏板に取り付けられる。
【0113】次に、薄膜形成装置のガス導入系3につい
て説明する。ガス導入系3は、アルゴンガス,水素ガ
ス,酸素ガス,窒素ガス等のガスをチャンバ1内に導く
配管と、配管に設けた不図示のバリアブル・リークバル
ブと、不図示の減圧弁と、各ガスを貯留する不図示のガ
スボンベとを備えている。バリアブル・リークバルブお
よびMFC(マスフローコントローラー)により流量を
調整しながら、各ガスをチャンバ1内に導入するように
構成される。
【0114】なお、ガス導入系3は、真空容器内に位置
するガス吹き出し部を備え、このガス吹き出し部を位置
調整手段により熱触媒体5との距離を変更するように構
成しても良い。このように構成すると、真空容器1の広
さ、或いはガスや熱触媒体5の種類、或いは熱触媒体5
の形状や大きさに応じて、最も良好な触媒反応が得られ
る位置に、ガス吹き出し部を位置させることが可能とな
る。
【0115】本例では、ガス導入系3を通してアルゴン
ガス,水素ガス,酸素ガス,窒素ガス等のガスが導入さ
れるように構成される。アルゴンガスは、プラズマ中で
アルゴンイオンとなり、このアルゴンイオンが陰極降下
内で加速されてターゲットを衝撃し、スパッタ作用を起
こす。このスパッタ作用により、ターゲットから原子が
弾き出され、この原子が基板10上に付着して薄膜が形
成される。なお、アルゴンガスを真空容器1内に導入せ
ずに、水素イオン,酸素イオン,窒素イオン等によりス
パッタリングすることもできる。
【0116】本例の薄膜形成装置Sは、シングルチャン
バによる触媒DCスパッタリング装置であり、真空容器
1内には、熱触媒体5が配設されている。この熱触媒体
5は、基板10表面の温度を上昇させてThornto
nによる薄膜の微細構造モデル領域2,3における構造
の薄膜の生成を可能とするために使用されるものであ
る。また、真空容器内1に導入した水素ガス,酸素ガ
ス,窒素ガスを活性化して基板10やスパッタリングタ
ーゲット4の吸着ガスをクリーニングし、基板上に成膜
中の薄膜の酸化を防止するという役割をも果たす。ま
た、スパッタリングターゲット4表面温度を上昇させて
スパッタリング作用を向上させ、成膜速度の向上,スパ
ッタリングパワーの削減等をも図るものである。
【0117】本例の熱触媒体5は、例えば、図1で示す
ように、直径0.5mm程度のワイヤーをコイル状にし
て構成されている。本例のワイヤーの素材としては、高
融点金属(タングステン、トリア含有タングステン、白
金、パラジウム、タンタル、モリブデン、シリコンより
なる群から選ばれた少なくとも1種の材料を含む)をセ
ラミックス(アルミナ等)コーティングしたもの、また
は炭化ケイ素コーティングしたもの、または、表面を酸
化又は窒化させたシリコン等が用いられる。
【0118】本例の熱触媒体5は、表面がセラミック
ス,炭化ケイ素,酸化シリコン,窒化シリコン等に被覆
されているため、スパッタリング中に、ターゲット4か
ら飛来した薄膜材料と反応しないという性質を有するも
のである。
【0119】したがって、チャンバ1内に酸素ガスを入
れた場合にも、熱触媒体5は酸化劣化しないため、チャ
ンバ1内で活性化酸素イオンOが発生し、基板10上
への酸化物(SiO,Al,In,IT
O,SBT,BST等)の触媒スパッタリングが可能と
なる。一方、チャンバ1内に水素ガスを導入した場合
も、活性化水素イオンHの効果も発揮される。さら
に、ターゲット4から飛来した薄膜材料と反応しないた
め、熱触媒体5は、機械的強度が高いという性質を有す
る。また、ターゲット4から飛来した薄膜材料と反応し
ないため、ターゲット4が金属,シリコン,窒化物等で
ある場合に、基板上に熱触媒体5の材料が混入しないと
いう特長がある。
【0120】表面を酸化又は窒化させたシリコンは、シ
リコンに、N型又はP型キャリア不純物を混入したもの
としてもよい。このように構成することにより、熱触媒
体の比抵抗を制御して、その温度制御を容易にすること
ができる。
【0121】また、本例の熱触媒体5は、金属(タング
ステン、トリア含有タングステン、白金、パラジウム、
チタン、タンタル、モリブデン、シリコン、N型または
P型キャリア不純物含有シリコン、銅、アルミニウム
等)、またはセラミックスまたは炭化ケイ素の芯に、金
属(タングステン、トリア含有タングステン、白金、パ
ラジウム、チタン、タンタル、モリブデン、シリコン、
N型またはP型キャリア不純物含有シリコン、銅、アル
ミニウム等)をコーティングしたものとして構成しても
良い。ただし、この場合は、熱触媒体5の表面に金属が
裸出しており、熱触媒体は酸化劣化する性質を有するの
で、熱触媒体5をこのように構成するときには、真空容
器1内に、酸素ガスを導入することはできない。
【0122】上記熱触媒体に、直流,または低周波交流
(1MHz以下),または高周波交流(1MHzより大
きく100MHz以下),または直流に低周波交流(1
MHz以下)又は高周波交流(1MHzより大きく10
0MHz以下)を重畳させた電源(プラズマ放電開始電
圧以下)を供給して、バイアス触媒スパッタリングとす
ることも可能である。このような加熱手段により、熱触
媒体5は、スパッタリング材料の少なくとも軟化点以
上、好ましくは融点以上で触媒体の融点以下の温度に加
熱されるようになっている。
【0123】そして、前記熱触媒体ホルダー5bは、チ
ャンバ1内で移動可能とされ、最も効果的な触媒反応を
得られるように、熱触媒体5と基板10との距離を調整
可能に構成されている。触媒体ホルダー5bの調整は、
図示しない駆動機構によって行っている。駆動機構とし
ては、モータを駆動源として、モータの出力軸にピニオ
ンギヤを取り付け、触媒体ホルダー5bにラックギヤを
配設し、これらのギアを歯合させて、モータ(サーボモ
ータやステッピングモータ)の出力によって調整可能と
したり、熱触媒体ホルダー5bに連結した油圧式装置
(気圧装置でも可)で距離調整したり、各種の構成を用
いることが可能である。なお、熱触媒体5は、基板10
から遠ざかるにしたがって、触媒反応の効果が薄れるの
で、基板10の近傍に、例えば5cm離れた位置に配置
されることが好ましい。
【0124】また、図2に示す熱触媒体5には、相対す
る辺(図中では左右に位置する辺)のほぼ中間部から、
電源5aへ接続される接続線5bが延出している。この
接続線5bを介して、電源5aから電流が供給され、熱
触媒体5を所定温度に加熱されるように構成されてい
る。熱触媒体5の形状としては、上記のようにコイル状
や網目状に形成する他、例えば、図3乃至図7に示すよ
うな形状に形成しても良い。
【0125】図3に示す熱触媒体5は、長めのワイヤー
から形成されている。即ち、ワイヤーを矩形ジグザクに
して、複数の平行列を形成したものである。このように
複数列に形成された熱触媒体5は、単体で用いてもよい
が、図3の破線で示すように、平行列が直交するよう
に、二枚重ねて配置しても良い。或いは、角度を変えて
重ねても良く、さらに、二枚重ねに限らず、複数枚重ね
て配設しても良い。
【0126】なお、複数の熱触媒体5を配設するとき、
熱触媒体5を同一素材から、それぞれ形成することが可
能である。例えば、図7において、上部側に位置する熱
触媒体5と、下部側に位置する熱触媒体5との両方を、
セラミックコーティングしたタングステンまたはタング
ステンとする。
【0127】或いは、複数の熱触媒体5を配設すると
き、熱触媒体5を異なる素材から、それぞれ形成するこ
とが可能である。例えば、図7において、上部側に位置
する熱触媒体5をセラミックコーティングしたタングス
テンとし、下部側に位置する熱触媒体5をセラミックコ
ーティングしたパラジウムとして構成する。または、上
部側をタングステンとし、下部側をパラジウムとして構
成する。
【0128】さらに、複数の熱触媒体5を配設すると
き、図7に示すように、同一形状の熱触媒体5を配設す
る他、異なる形状の熱触媒体5を配設する構成としても
良い。すなわち、例えば、図2に示される熱触媒体5
と、図3に示される熱触媒体5とを組み合わせて配設す
る。
【0129】さらにまた、図7に示すように、複数の熱
触媒体5を配設するとき、各熱触媒体を、同一電流を供
給する電源或いは異なる電流を供給する電源に接続させ
た構成とすることも可能である。これにより、例えば、
複数の熱触媒体がそれぞれ異なる素材から形成されてい
るときでも、電源の電圧・電流調整を行うことにより抵
抗発熱体である熱触媒体の温度調整が可能となり良好な
触媒反応を得ることができる。さらに、同一素材の熱触
媒体を使用している場合でも、真空容器内の熱触媒体の
位置や、熱触媒体自体の大きさに応じて、熱触媒体の加
熱温度を調整することが可能となる。
【0130】本例における電源は、直流電流或いは交流
電源、又は直流に交流を重畳させた電源であり、状況に
応じて選択されるものである。電源の電圧・電流の調整
を行うことにより、抵抗発熱体である熱触媒体の温度調
整をすることが可能となる。
【0131】このように、真空容器1内に複数の熱触媒
体5を配設し、熱触媒体の素材、形状、または接続され
る電源を自由に選択し、組み合わせることにより、最も
良好な触媒反応を得ることが可能となる。
【0132】このように熱触媒体5は、可動可能とし、
材質の異なるものを複数併用し、電源を同一あるいは異
ならせて各熱触媒体の温度を異ならせる等各種の構成を
採用することが可能である。また、その他シート状、ワ
イヤー状等接触面積が大きい形状の単層又は複層のいず
れの形状としてもよい。
【0133】本例では、図1に示すように、シャッター
7が、熱触媒体5とターゲット4との間に、熱触媒体5
およびターゲット4とほぼ平行になるように設けられ
る。本例のシャッター7は、板状体からなり、その平面
は、ターゲット4および熱触媒体5の間を遮断するため
に充分な面積を有する。本例のシャッター7は、耐熱性
ガラス、石英ガラス、結晶化ガラス等、耐熱性があり、
熱伝導率の低い材料からなる。本例のシャッター7は、
図1に示す熱触媒体5とターゲット4との間の位置と、
熱触媒体5とターゲット4の間を遮断しない位置とに、
移動可能に構成される。
【0134】以下、本明細書中において、シャッター7
が図1に示す熱触媒体5とターゲット4との間の位置に
ある状態を「閉状態」、シャッター7が熱触媒体5とタ
ーゲット4の間を遮断しない位置にある状態を「開状
態」と称する。
【0135】本例のシャッター7は、スパッタリングが
安定するまで熱触媒体5とターゲット4との間を遮断す
るように配置され、スパッタリングが安定してから熱触
媒体5とターゲット4との間から取り除かれる。シャッ
ター7をこのように構成することにより、スパッタリン
グが安定してから基板10上に薄膜を形成することがで
きるので、高品質の薄膜を形成することが可能となる。
【0136】本例のシャッター7は、そのターゲット側
の面が、反射率の小さい膜として形成され、熱触媒体5
側は鏡面として形成される。すなわち、本例のシャッタ
ー7は、熱触媒体5側が鏡面として構成される。このよ
うに構成することにより、スパッタリング開始前の熱触
媒体5の温度昇温時において、熱触媒体5の副射熱を効
率良く基板10に伝えることができるため、基板10表
面の昇温が容易となり、電力の節約、生産性の向上、成
膜の品質向上等を図ることができる。
【0137】本例の薄膜形成装置Sによって薄膜形成を
行うスパッタリングは、本明細書において、触媒スパッ
タリング法と呼ぶ。すなわち、本例の薄膜形成装置S
は、ガス導入系を通して導入するアルゴンガスに、水素
ガス,酸素ガス,窒素ガス等を混合して導入できるよう
に構成している。この水素ガス,酸素ガスは、熱触媒体
5との熱分解反応および触媒反応により活性化され、こ
の活性化水素イオンHまたは活性化酸素イオンO
よって基板表面の汚れを除去するクリーニングが行え
る。また、活性化水素イオンHにより、熱触媒体5の
酸化を防ぎ、熱触媒体5の劣化断線を防止することがで
きる。また、基板ホルダー2やチャンバー1内壁の酸化
劣化を低減でき、また、そこから発塵するダストの量を
低減でき、高品質の成膜が可能となる。
【0138】本発明の特徴の一つは、上記のような触媒
スパッタリング用の熱触媒体5を利用して成膜を行う
他、アルゴンガスに水素ガス等を導入して、活性化水素
イオンH等により、成膜の界面欠陥低減のための表面
処理を行う点にも存する。この点を、以下に詳説する。
上述した触媒スパッタリング法において、水素ガスを導
入すると、活性化水素イオンHにより基板の表面を改
質したりクリーニングしたりする表面処理を行うことが
できる。このように、基板表面を処理した後に成膜を行
うと、界面欠陥の極めて少ない良質な成膜を行うことが
可能となる。
【0139】本例では、基板10の表面に改質及びクリ
ーニングを施すために、アルゴンガスと共に水素ガス等
を導入する。水素ガスは熱触媒体5との熱分解反応およ
び触媒反応により活性化され、この活性化水素イオンH
によって基板表面の自然酸化膜や水分,汚れを除去す
るクリーニングが行える。また、活性化水素イオンH
により、熱触媒体5の酸化を防ぎ、熱触媒体5の劣化断
線を防止することができる。
【0140】また、成膜する膜の種類によっては、アル
ゴンガスと共に酸素ガスを導入して、活性化酸素イオン
で基板10表面のクリーニング等を行うことができ
る。ただし、酸素ガスと水素ガスとは、真空容器1内に
同時に導入しないようにする。
【0141】そして、最も大きな特徴点は、上記水素ガ
ス等及びアルゴンガスの導入時間及びタイミングによ
り、所望の品質及び速度で成膜を行うことができる点に
ある。以下、図10乃至図19を参照して、図1の装置
における水素ガス等及びアルゴンガスの導入方法につい
て説明する。
【0142】図10乃至図19に示すガス導入形態は、
前提として、アルゴン(Ar)ガスの他に、水素
(H)ガス,窒素(N)ガス,酸素(O)ガスの
少なくともいずれか1種のガスをチャンバ1内に導入す
るものである。なお、図10乃至図19において、アル
ゴンガスをAr,水素ガスをH,窒素ガスをN,酸
素ガスをOと表す。また、ポリシリコン膜をポリS
i,窒化シリコン膜をSiN,酸化シリコン膜をSiO
と表す。活性化水素イオンH,活性化酸素イオンO
によるクリーニングを、それぞれ単にHクリーニン
グ,Oクリーニングと表す。先ず、図10乃至図15
に示すシングルチャンバを用いたスパッタリングにおけ
るガス導入形態について説明する。
【0143】図10のガス導入形態は、ポリシリコン、
アモルファスシリコン、単結晶シリコン、ガリウムヒ
素、炭化ケイ素等の半導体膜の成膜を行う場合に用いる
ことができるものであり、図10はそのうちのポリシリ
コン膜を形成する場合のガス導入形態を示すものであ
る。この図10では、成膜を行う前後に、基板10の表
面を活性化水素イオンHでクリーニングする場合が示
されており、この場合の水素ガス及びアルゴンガスの導
入形態が示されている。
【0144】図10のポリシリコン膜を形成する場合に
は、ターゲット4として、シリコンからなるターゲット
を、熱触媒体5として、表面を酸化させたシリコンを用
いる。なお、熱触媒体5としては、その他、高融点金属
をセラミックスコーティングまたは炭化ケイ素コーティ
ングしたもの、または、表面を窒化させたシリコン等を
用いてもよい。
【0145】また、金属(タングステン、モリブデン、
シリコン、N型またはP型キャリア不純物含有シリコ
ン)からなる熱触媒体、またはセラミックスまたは炭化
ケイ素を芯として金属(タングステン、モリブデン、シ
リコン、N型またはP型キャリア不純物含有シリコン)
をコーティングした熱触媒体(「金属が表面に裸出した
熱触媒体」)を用いてもよい。ここで、熱触媒体5とし
て、金属が表面に裸出した熱触媒体を用いる場合には、
この金属は、シリコンまたはタングステンまたはモリブ
デンからなるものに限定される。
【0146】その理由は、以下の通りである。すなわ
ち、金属が表面に裸出した熱触媒体を用いた場合、スパ
ッタリング時に、この熱触媒体5表面の金属が蒸発して
基板10上に堆積される可能性がある。したがって、熱
触媒体5の表面は、ターゲット材料と共に基板10上に
堆積されても特性上問題のない材料である必要がある
が、基板10上にポリシリコン膜を堆積する本例の場
合、ターゲット材と同じ金属であるシリコンおよび,シ
リコンに混入しても特性上問題のないタングステンまた
はモリブデンは、ターゲット材と共に基板10上に堆積
されても特性上問題がないからである。
【0147】まず、不図示のゲートバルブを通してチャ
ンバ1内に基板10を搬入し、サセプタ2に載置する。
このとき、シャッター7を、「閉状態」とする。次い
で、排気系1aを動作させて粗引きを行った後本引きを
行い、チャンバ1内を所定圧力,本例では10−4〜1
−5Paまで排気する。サセプタ2に内蔵されたヒー
タ2aを動作させて基板10を所定温度,本例では20
0〜550℃まで加熱する。このように、基板10を加
熱することにより吸着ガス(O,HO,CO等)の
排出を促進することができる。
【0148】なお、熱触媒体5として、セラミックス,
炭化ケイ素,酸化シリコン,窒化シリコンで表面が被覆
され耐熱性,耐酸化性を有する熱触媒体を用いる場合に
は、所定真空度に達する前に熱触媒体5の加熱を行って
も良い。
【0149】熱触媒体5として、金属が表面に裸出した
熱触媒体を用いる場合には、熱触媒体5の加熱は、チャ
ンバ1内が所定真空度に達してから行う必要がある。低
い真空度中に含まれる微量酸素により、熱触媒体5の表
面が酸化劣化するからである。
【0150】そして、ガス導入系3を動作させて、まず
水素ガスをチャンバ1内に導入する。その後、触媒体5
を所定温度,本例では1600〜1800℃に加熱す
る。導入された水素ガスの一部は、熱触媒体5による熱
分解反応および触媒反応により活性化水素イオンH
なり、基板10表面に到達する。この活性化水素イオン
は、基板10の表面に吸着されているガス、水分等
を除去するので、基板10の表面クリーニングが行われ
る。また、同時にスパッタリングターゲット表面にも活
性化水素イオンHが到達し、同様の表面クリーニング
が行われる。これにより、安定したスパッタリングが開
始され、常に安定したスパッタリングが行われる。
【0151】上記のように、チャンバ1内に水素ガスが
供給されている状態で、ガス導入系3を動作させ、アル
ゴンガスをチャンバ1内に導入する。このときのアルゴ
ンガスと水素ガスの混合ガス圧力を、本例では、1Pa
とし、アルゴンガスに対する水素ガスの比率を5〜10
モル比%程度とする。その後、DC電源9aをオンにす
ると、導入されたアルゴンガスおよび水素ガスは、DC
プラズマによりイオン化される。アルゴンイオンおよび
水素イオンは、ターゲット4に衝突し、ターゲット4か
ら薄膜原料であるシリコン分子および原子がスパッタさ
れる。このとき、シャッター7が「閉状態」にあるた
め、シリコン分子および原子は、シャッター7に遮ら
れ、熱触媒体5および基板10には到達しない。
【0152】チャンバ1内におけるアルゴンガスと水素
ガスの混合ガスの圧力が安定し、スパッタリングが安定
した段階で、シャッター7を「開状態」とする。スパッ
タされたシリコン原子は、熱触媒体5の近傍を通過しな
がら基板10に到達し、ポリシリコン薄膜が基板表面に
作成される。
【0153】成膜が終了したら、シャッター7を「閉状
態」とし、DC電源9aをオフにして、DCプラズマを
停止させる。アルゴンガスの導入を停止して、チャンバ
1内からアルゴンガスを排出する。その後も、水素ガス
導入および熱触媒体5,基板10の加熱は継続し、しば
らくの間基板10表面のクリーニングを行う。なお、熱
触媒体5として、金属が表面に裸出した熱触媒体を用い
る場合には、熱触媒体5が所定温度に低下するまで水素
ガスを流すことにより、熱触媒体5の表面の酸化劣化が
防止される。その後、熱触媒体5及び基板10の加熱を
停止し、熱触媒体5の温度が、問題のない温度まで低下
した後に、水素ガスの導入を停止する。
【0154】水素ガスは、可燃性気体であるため、充分
に排気を行い、その後、窒素ガスでリークする。この
際、窒素ガスを用いることにより、触媒体5及び基板1
0,チャンバ1内治具等が酸化劣化することを防止する
ことができる。その後、チャンバ1の真空を破り、基板
10を取り出す。
【0155】本例では、図10の実線で示すように、ポ
リシリコン膜の成膜前,成膜中,成膜後において、水素
ガスを一定量導入するように構成したが、図10の点線
で示すように、ポリシリコン膜の成膜前、成膜後に水素
ガスの導入量を多くしても良い。このように構成する
と、活性化水素イオンHによる成膜前後の基板表面の
クリーニング効果を大きく、また成膜ストレスを低減す
ることができる。
【0156】また、図11で示すように、ポリシリコン
膜の成膜中に、水素ガスの導入量を例えば5×10−2
Pa程度まで低減させても良い。このように構成するこ
とにより、成膜中における、チャンバ1内のアルゴンイ
オンの濃度が高くなるため、基板10への薄膜形成を高
速で行うことができ、作業性を向上させることが可能と
なる。
【0157】次に、図12,図13に示すガス導入形態
について説明する。図12,図13のガス導入形態は、
窒化シリコン、窒化チタン、窒化モリブデン、窒化タン
タル等の窒化膜の成膜を行う場合に用いることができる
ものであり、図12,図13は、そのうちの窒化シリコ
ン膜を形成する場合のガス導入形態を示すものである。
この図12では、成膜を行う前後に、基板10の表面を
活性化水素イオンHでクリーニングする場合が示され
ており、この場合の水素ガス,窒素ガス及びアルゴンガ
スの導入形態が示されている。
【0158】図12の窒化シリコン膜を形成する場合に
は、ターゲット4として、窒化シリコンからなるターゲ
ットを用いる。なお、シリコンからなるターゲットを用
いてもよい。熱触媒体5には、表面を窒化させたシリコ
ンを用いる。なお、触媒体5としては、その他、高融点
金属をセラミックスコーティングまたは炭化ケイ素コー
ティングしたもの、または、表面を酸化させたシリコン
等を用いてもよい。
【0159】また、金属(タングステン、シリコン、モ
リブデン、チタン、タンタル、N型またはP型キャリア
不純物含有シリコン)からなる熱触媒体、またはセラミ
ックスまたは炭化ケイ素を芯として金属(タングステ
ン、シリコン、モリブデン、チタン、タンタル、N型ま
たはP型キャリア不純物含有シリコン)をコーティング
した熱触媒体等,金属が表面に裸出した熱触媒体を用い
てもよい。ただし、熱触媒体5として、金属が表面に裸
出した熱触媒体を用いる場合には、この金属は、シリコ
ンまたはタングステン、モリブデン、チタン、タンタル
からなるものに限定される。
【0160】その理由は、以下の通りである。すなわ
ち、金属が表面に裸出した熱触媒体を用いた場合、スパ
ッタリング時に、この熱触媒体5表面の金属が蒸発して
基板10上に堆積される可能性がある。したがって、熱
触媒体5の表面は、ターゲット材料と共に基板10上に
堆積されても特性上問題のない材料である必要がある
が、基板10上に窒化シリコン膜を堆積する本例の場
合、ターゲット材と同じ金属であるシリコンは、ターゲ
ット材と共に基板10上に堆積されても特性上問題がな
いからである。また、成膜する膜の用途によっては、タ
ングステン、モリブデン、チタン、タンタルがシリコン
に混入しても、膜の特性に悪影響を及ぼさない場合があ
り、このような場合には、金属が表面に裸出した熱触媒
体5の表面の金属として、タングステン、モリブデン、
チタン、タンタルを用いることができる場合がある。
【0161】まず、不図示のゲートバルブを通してチャ
ンバ1内に基板10を搬入し、サセプタ2に載置する。
このとき、シャッター7を、「閉状態」とする。次い
で、排気系1aを動作させて粗引きを行った後本引きを
行い、チャンバ1内を所定圧力,本例では10−4〜1
−5Paまで排気する。サセプタ2に内蔵されたヒー
タ2aを動作させて基板10を所定温度,本例では20
0〜550℃まで加熱する。
【0162】そして、ガス導入系3を動作させて、まず
水素ガスをチャンバ1内に導入する。その後、触媒体5
を所定温度,本例では1600〜1800℃に加熱す
る。導入された水素ガスの一部は、熱触媒体5による熱
分解反応および触媒反応により活性化水素イオンH
なり、基板10表面に到達し、基板10の表面クリーニ
ングが行われる。
【0163】上記のように、チャンバ1内に水素ガスが
供給されている状態で、ガス導入系3を動作させ、アル
ゴンガスおよび窒素ガスをチャンバ1内に導入する。こ
のときのアルゴンガス,水素ガス,窒素ガスの混合ガス
圧力を、本例では、1Paとし、アルゴンガスに対する
水素ガスの比率を5〜10モル比%程度,アルゴンガス
に対する窒素ガスの比率を10〜20モル比%程度とす
る。
【0164】ここで、チャンバ1内に窒素ガスを導入す
るのは、以下の理由による。すなわち、窒化膜を成膜さ
せる場合に、窒素ガスを導入しなければ、窒素イオン欠
乏により変質して、形成された薄膜は、本来の窒化シリ
コンの特性が出にくくなるからである。そこで、本例で
は、窒素ガスをチャンバ1内に導入して、熱触媒体5に
より活性化窒素イオンNを発生させ、その窒化作用に
より、目的とする窒化シリコン膜を形成する。
【0165】その後、DC電源9aをオンにする。導入
されたアルゴンガスおよび窒素ガスおよび酸素ガスは、
DCプラズマによりイオン化される。アルゴンイオン,
窒素イオン,水素イオンは、ターゲット4に衝突し、タ
ーゲット4から薄膜原料である窒化シリコン分子,シリ
コン分子,シリコン原子がスパッタされる。このとき、
シャッター7が「閉状態」にあるため、窒化シリコン分
子等は、シャッター7に遮られ、熱触媒体5および基板
10には到達しない。
【0166】チャンバ1内におけるアルゴンガスおよび
窒素ガスと水素ガスの圧力が安定し、スパッタリングが
安定した段階で、シャッター7を「開状態」とする。ス
パッタされた窒化シリコン分子,シリコン分子,シリコ
ン原子は、熱触媒体5の近傍を通過しながら基板10に
到達し、窒化シリコン薄膜が基板10表面に作成され
る。DCプラズマと熱触媒体5により発生した活性化水
素イオンHは、スパッタリング前後およびスパッタリ
ング中において、基板10表面およびターゲット4表面
に吸着しているガス及び水分等をクリーニングする。
【0167】ターゲット4から飛来する窒化シリコン分
子,シリコン分子,シリコン原子は、熱触媒体5により
高い熱エネルギー及び運動エネルギーが付与されると共
に、活性化窒素イオンNによる窒化作用を受ける。こ
のようにして、絶縁性が高く,高性能・高品質の窒化シ
リコン膜が堆積される。
【0168】成膜が終了したら、シャッター7を「閉状
態」とし、DC電源9aをオフにして、DCプラズマを
停止させる。アルゴンガスおよび窒素ガスの導入を停止
して、チャンバ1内からアルゴンガスおよび窒素ガスを
排出する。その後も、水素ガス導入および熱触媒体5の
加熱は継続し、しばらくの間基板10表面のクリーニン
グを行う。なお、熱触媒体5として、金属が表面に裸出
した熱触媒体を用いる場合には、熱触媒体5が所定温度
に低下するまで水素ガスを流すことにより、熱触媒体5
の表面の酸化劣化が防止される。その後、熱触媒体5及
び基板10の加熱を停止し、熱触媒体5の温度が、問題
のない温度まで低下した後に、水素ガスの導入を停止す
る。
【0169】なお、本例では、スパッタリング終了後
に、水素ガス導入を継続して基板10の表面のクリーニ
ングを行うように構成しているが、水素ガスおよび窒素
ガスを供給して、活性化水素イオンHによるクリーニ
ングと活性化窒素イオンNによる窒化作用促進とを並
行して行なってもよい。
【0170】水素ガスは、可燃性気体であるため、充分
に排気を行い、その後、窒素ガスでリークする。この
際、窒素ガスを用いることにより、触媒体5及び基板1
0,チャンバ1内治具等が酸化劣化することを防止する
ことができる。その後、チャンバ1の真空を破り、基板
10を取り出す。
【0171】本例では、図12の実線で示すように、窒
化シリコン膜の成膜前,成膜中,成膜後において、水素
ガスを一定量導入するように構成したが、図12の点線
で示すように、窒化シリコン膜の成膜前、成膜後に水素
ガスの導入量を多くしても良い。このように構成する
と、活性化水素イオンHによる成膜前後の基板10表
面のクリーニング効果を大きくすると共に、成膜ストレ
スを低減することができる。
【0172】また、図13で示すように、窒化シリコン
膜の成膜中に、水素ガス,窒素ガスの導入量を、例えば
水素ガスは5×10−2Pa程度,窒素ガスは10−1
Pa程度まで半減させても良い。このように構成するこ
とにより、成膜中における、チャンバ1内のアルゴンイ
オンの濃度が高くなるため、基板10への薄膜形成を高
速で行うことができ、作業性を向上させることが可能と
なる。
【0173】次に、図14,図15に示すシングルチャ
ンバを用いたスパッタリングにおけるガス導入形態につ
いて説明する。図14のガス導入形態は、酸化シリコ
ン、BST、SBT等の酸化膜の成膜を行う場合に用い
ることができるものであり、図14は、そのうちの酸化
シリコン膜を形成する場合のガス導入形態を示すもので
ある。この図14には、成膜を行う前後に、基板10の
表面を活性化酸素イオンOでクリーニングする場合が
示されており、この場合の酸素ガス及びアルゴンガスの
導入形態が示されている。
【0174】図14の酸化シリコン膜を形成する場合に
は、ターゲット4として、酸化シリコンからなるターゲ
ットを、熱触媒体5として、表面を酸化させたシリコン
を用いる。なお、熱触媒体5としては、その他、高融点
金属をセラミックスコーティングまたは炭化ケイ素コー
ティングしたもの、または、表面を窒化させたシリコン
等を用いることができる。
【0175】ただし、チャンバ1内に酸素ガスを導入し
て酸化シリコンを成膜する場合には、金属が表面に裸出
した熱触媒体は適さず、使用することができない。チャ
ンバ1内に酸素ガスを導入すると、熱触媒体5表面が酸
化劣化して熱触媒体5が断線するからである。
【0176】また、チャンバ1内冶具類及びチャンバ1
は、ステンレス,アルミニウム,またはアルミニウムコ
ートステンレス等から形成する。これらの材料を用いる
と、活性化酸素イオンOをチャンバ1内に導入して
も、チャンバ1内冶具類及びチャンバ1が酸化劣化しな
いからである。アルミニウムを用いた場合には、表面が
酸化されてアルミナが形成され、治具類およびチャンバ
1壁面内部は劣化しない。
【0177】まず、不図示のゲートバルブを通してチャ
ンバ1内に基板10を搬入し、サセプタ2に載置する。
このとき、シャッター7を、「閉状態」とする。次い
で、排気系1aを動作させて粗引きを行った後本引きを
行い、チャンバ1内を所定圧力,本例では10−4〜1
−5Paまで排気する。サセプタ2に内蔵されたヒー
タ2aを動作させて基板10を所定温度,本例では20
0〜550℃まで加熱する。このように、基板10を加
熱することにより吸着ガス(O,HO等)の排出を促
進することができる。
【0178】そして、ガス導入系3を動作させて、まず
酸素ガスをチャンバ1内に導入する。その後、熱触媒体
5を所定温度,本例では1600〜1800℃に加熱す
る。このように、熱触媒体5を加熱することにより、基
板や内部冶工具類の吸着しているガス、水分が排出さ
れ、その後のクリーニング時間が短縮される。
【0179】導入された酸素ガスの一部は、熱触媒体5
による熱分解反応および触媒反応により活性化酸素イオ
ンOとなり、基板10表面に到達する。この活性化酸
素イオンOにより、基板10およびターゲット4の表
面に吸着されているガス、水分、有機物汚れ等が除去さ
れ、基板10およびターゲット4表面のクリーニングが
行われる。このターゲット4表面のクリーニングによ
り、安定したスパッタリングが開始され、常に安定した
スパッタリングが行われる。
【0180】上記のように、チャンバ1内に酸素ガスが
供給されている状態で、ガス導入系3を動作させ、アル
ゴンガスをチャンバ1内に導入する。このときのアルゴ
ンガスと酸素ガスの混合ガス圧力を、本例では、1Pa
とし、アルゴンガスに対する酸素ガスの比率を5〜10
モル比%程度とする。その後、DC電源9aをオンにす
ると、導入されたアルゴンガスおよび酸素ガスは、DC
プラズマによりイオン化される。アルゴンイオンおよび
酸素イオンは、ターゲット4に衝突し、ターゲット4か
ら薄膜原料である酸化シリコン分子,シリコン分子,シ
リコン原子等がスパッタされる。このとき、シャッター
7が「閉状態」にあるため、上記シリコン分子,原子等
は、シャッター7に遮られ、熱触媒体5および基板10
には到達しない。
【0181】チャンバ1内におけるアルゴンガスおよび
酸素ガスの圧力が安定し、スパッタリングが安定した段
階で、シャッター7を「開状態」とする。スパッタされ
た酸化シリコン分子,シリコン分子,シリコン原子等
は、熱触媒体5の近傍を通過しながら基板10に到達
し、酸化シリコン薄膜が基板表面に作成される。
【0182】DCプラズマと熱触媒体5により発生した
活性化酸素イオンOが、基板10表面に吸着している
ガス及び水分等をクリーニングする。ターゲット4から
飛来する酸化シリコン分子シリコン分子,シリコン原子
等は、熱触媒体5により高い熱エネルギー及び運動エネ
ルギーが付与されると共に、活性化酸素イオンOによ
る酸化作用を受ける。このようにして、絶縁性が高く,
高性能・高品質の酸化シリコン膜が堆積される。
【0183】成膜が終了したら、シャッター7を「閉状
態」とし、DC電源9aをオフにして、DCプラズマを
停止させる。アルゴンガスの導入を停止して、チャンバ
1内からアルゴンガスを排出する。その後も、酸素ガス
導入および熱触媒体5の加熱は継続し、しばらくの間基
板10表面のクリーニングおよび薄膜の酸化促進を行
う。
【0184】薄膜表面のクリーニングおよび薄膜の酸化
を充分行った後、熱触媒体5及び基板10の加熱を停止
し、酸素ガスの導入を停止する。その後、充分に排気を
行った後、窒素ガスでリークする。その後、チャンバ1
の真空を破り、基板10を取り出す。
【0185】本例では、図14の実線で示すように、酸
化シリコン膜の成膜前,成膜中,成膜後において、酸素
ガスを一定量導入するように構成したが、図14の点線
で示すように、酸化シリコン膜の成膜前、成膜後に酸素
ガスの導入量を多くしても良い。このように構成する
と、活性化酸素イオンOによる基板表面のクリーニン
グ効果を大きくすることができると共に、堆積した酸化
シリコン膜の酸化作用を促進するので、高性能,高品質
の酸化シリコン膜を得ることができる。
【0186】また、図15で示すように、酸化シリコン
膜の成膜中に、酸素ガスの導入量を例えば5×10−2
Pa程度まで半減させても良い。このように構成するこ
とにより、成膜中における、チャンバ1内のアルゴンイ
オンの濃度が高くなるため、基板10への薄膜形成を高
速で行うことができ、作業性を向上させることが可能と
なる。
【0187】なお、酸化膜として、SiOF(フッ酸化
シリコン)膜,すなわちSi−F結合を含むSiO
(酸化シリコン)膜を形成してもよい。このとき、タ
ーゲット4としてはSiOF(フッ酸化シリコン)を用
い、上記酸化シリコン膜を形成する場合と同様の手順,
条件で膜を形成する。このように、酸化シリコンにSi
−F結合を導入することにより、膜の比誘電率を低下さ
せることができる。数atom%のF(フッ素)を含む
ことにより、膜の比誘電率は酸化シリコンの約4.0よ
り3.5程度に低減され、配線間容量が低減し、デバイ
ス特性が向上する。
【0188】また、図10乃至図15のガス導入形態に
よってスパッタリングを行うことにより、薄膜をエピタ
キシャル成長させることもできる。例えば、基板10上
に、予め形成された段差をシードとして、図10のガス
導入形態でスパッタリングを行うことにより、単結晶シ
リコン膜をグラフォエピタキシャル成長させることもで
きる。単結晶シリコン膜をグラフォエピタキシャル成長
させる場合には、ターゲット4としてシリコンを用い
る。
【0189】また、基板10上に結晶性サファイア膜を
形成した後、図10のガス導入形態でスパッタリングを
行うことにより、単結晶シリコン膜をヘテロエピタキシ
ャル成長させることもできる。単結晶シリコン膜をヘテ
ロエピタキシャル成長させる場合には、ターゲット4と
してシリコンを用いる。結晶性サファイア膜は、ターゲ
ット4として単結晶サファイアを用い、図14のガス導
入形態でスパッタリングすることにより成膜する。な
お、この単結晶サファイア膜は、公知の触媒CVD法に
よって成膜しても良い。
【0190】次に、シングルチャンバを用い、異なる組
成の薄膜を連続して成膜する場合の図16に示すガス導
入形態について説明する。図16のガス導入形態は、異
なる組成の薄膜を連続して成膜する場合の例として、窒
化シリコン膜,酸化シリコン膜,ポリシリコン膜,酸化
シリコン膜をこの順に連続して成膜する場合のガス導入
形態を示すものである。この図16には、各薄膜の成膜
を行う前後に、基板10の表面を活性化水素イオン
たは活性化酸素イオンでクリーニングする場合が示さ
れている。
【0191】図16の薄膜層を形成する場合には、ター
ゲット4として、シリコンからなるターゲットを、熱触
媒体5として、表面をアルミナコーティングしたタング
ステンを用いる。ただし、酸化シリコンを成膜する場合
には、酸素をチャンバ1内に導入するので、金属が表面
に裸出した熱触媒体は適さず、使用することができな
い。
【0192】また、チャンバ1内冶具類及びチャンバ1
は、ステンレス,アルミニウム,またはアルミニウムコ
ートステンレス等から形成する。これらの材料を用いる
と、活性化酸素イオンOをチャンバ1内に導入して
も、チャンバ1内冶具類及びチャンバ1が酸化劣化しな
いからである。アルミニウムを用いた場合には、表面が
酸化されてアルミナが形成され、治具類およびチャンバ
1壁面内部は劣化しない。
【0193】次に、図16に示すガス導入の手順につい
て説明する。まず、不図示のゲートバルブを通してチャ
ンバ1内に基板10を搬入し、サセプタ2に載置する。
この後、チャンバ1内を排気し、図12に示す前記説明
と同様の手順で、基板10上に窒化シリコン薄膜を形成
する。基板10上に所定膜厚の窒化シリコン薄膜が形成
された後、充分にチャンバ1内を排気し、チャンバ1内
の圧力を10−4〜10−5Pa程度とする。
【0194】その後、図14に示す前記説明と同様の手
順で、基板10上に酸化シリコン薄膜を形成する。基板
10上に所定膜厚の酸化シリコン薄膜が形成された後、
充分にチャンバ1内を排気し、チャンバ1内の圧力を1
−4〜10−5Pa程度とする。
【0195】その後、図10に示す前記説明と同様の手
順で、基板10上にポリシリコン薄膜を形成する。基板
10上に所定膜厚のポリシリコン薄膜が形成された後、
充分にチャンバ1内を排気し、チャンバ1内の圧力を1
−4〜10−5Pa程度とする。その後、図14に示
す前記説明と同様の手順で、基板10上に酸化シリコン
薄膜を形成する。
【0196】基板10上に所定膜厚の酸化シリコン薄膜
が形成された後、充分にチャンバ1内を排気し、チャン
バ1内の圧力を10−4〜10−5Pa程度とする。窒
素ガスでリークした後、チャンバ1の真空を破り、基板
10を取り出す。
【0197】図16のように、同じチャンバ内で異なる
薄膜を成膜する場合には、窒化シリコン膜,酸化シリコ
ン膜,ポリシリコン膜,酸化シリコン膜のそれぞれの薄
膜を成膜した後に、充分に排気を行う必要がある。同じ
チャンバ内に、水素ガスと酸素ガスを交互に導入するた
め、各成膜後に充分に排気が行われないと、次の薄膜を
形成する際に水素ガスと酸素ガスが混合し、膜の品質が
低下するからである。
【0198】なお、上記各成膜の工程では、図16の実
線で示すように、各薄膜の成膜前,成膜中,成膜後にお
いて、水素ガスまたは酸素ガスを一定量導入するように
構成してもよい。また、図16の点線で示すように、各
薄膜の成膜前、成膜後に水素ガスまたは酸素ガスの導入
量を多くしても良い。
【0199】また、図17で示すように、各薄膜の成膜
中に、水素ガスまたは酸素ガスの導入量を例えば5×1
−2Pa程度まで半減させ、窒素ガスの導入量を例え
ば10−1Pa程度まで半減させても良い。このように
構成することにより、成膜中における、チャンバ1内の
アルゴンイオンの濃度が高くなるため、基板10への薄
膜形成を高速で行うことができ、作業性を向上させるこ
とが可能となる。
【0200】次に、マルチチャンバを用い、異なる組成
の薄膜を各チャンバ内で成膜する場合である図18,図
19に示すガス導入形態について説明する。図18,図
19のガス導入形態は、異なる組成の薄膜を各チャンバ
内で成膜する場合の例として、窒化シリコン膜,酸化シ
リコン膜,ポリシリコン膜,酸化シリコン膜をこの順に
成膜する場合のガス導入形態を示すものである。この図
18には、各薄膜の成膜を行う前後に、基板10の表面
を活性化水素イオンHまたは活性化酸素イオンO
クリーニングする場合が示されている。
【0201】図18の薄膜層を形成する場合は、真空容
器1として、図32に示すマルチチャンバからなるチャ
ンバ1を用いる。図32に示す真空容器1の構成および
基板10の出し入れの手順等については、後に詳述す
る。図32に示す真空容器1は、4つのスパッタリング
室15を備える。以下、4つのスパッタリング室15を
それぞれ第1チャンバ,第2チャンバ,第3チャンバ,
第4チャンバとする。
【0202】図18に示す場合では、第1チャンバで窒
化シリコン膜を、第2チャンバで酸化シリコン膜を、第
3チャンバでポリシリコン膜を、第4チャンバで酸化シ
リコン膜を形成する。
【0203】窒化シリコン膜を成膜する第1チャンバ内
には、窒化シリコンからなるターゲット4、酸化シリコ
ン膜を成膜する第2チャンバ,第4チャンバ内には、酸
化シリコンからなるターゲット4、ポリシリコン膜を成
膜する第3チャンバ内には、シリコンからなるターゲッ
ト4が配置される。なお、第1チャンバ〜第4チャンバ
のターゲット4として、シリコンからなるターゲット4
を用いてもよい。第1チャンバ〜第4チャンバには、熱
触媒体5として、表面をアルミナコーティングしたタン
グステンを配置される。
【0204】なお、第1チャンバ,第3チャンバでは、
金属が表面に裸出した熱触媒体5を用いてもよい。但
し、第2チャンバ,第4チャンバでは、酸素ガスを導入
して酸化シリコンを成膜するので、金属が表面に裸出し
た熱触媒体は適さず、使用することができない。
【0205】なお、本例では、4つのチャンバを備える
真空容器内で上記薄膜を形成するように構成している
が、これに限定されるものでなく、3つのチャンバを備
える真空容器を用いて、2番目に成膜される酸化シリコ
ン膜と4番目に成膜される酸化シリコン膜とを、同じチ
ャンバ内で形成するように構成しても良い。
【0206】次に、図18に示すガス導入の手順につい
て説明する。まず、ロード・ロック室26,バッファ室
28を介してセパレーション室27に基板10を搬入す
る。次に、基板10を第1チャンバ内に搬入する。この
後、第1チャンバ内を排気し、図12に示す前記説明と
同様の手順で、基板10上に窒化シリコン薄膜を形成す
る。
【0207】基板10上に所定膜厚の窒化シリコン薄膜
が形成された後、基板10をセパレーション室27を介
して第2チャンバに搬入する。この後、第2チャンバ内
を排気し、図14に示す前記説明と同様の手順で、基板
10上に酸化シリコン薄膜を形成する。
【0208】基板10上に所定膜厚の酸化シリコン薄膜
が形成された後、基板10をセパレーション室27を介
して第3チャンバに搬入する。この後、第3チャンバ内
を排気し、図10に示す前記説明と同様の手順で、基板
10上にポリシリコン薄膜を形成する。
【0209】基板10上に所定膜厚のポリシリコン薄膜
が形成された後、基板10をセパレーション室27を介
して第4チャンバに搬入する。この後、第2チャンバ内
を排気し、図14に示す前記説明と同様の手順で、基板
10上に酸化シリコン薄膜を形成する。
【0210】基板10上に所定膜厚の酸化シリコン薄膜
が形成された後、基板10を、セパレーション室27,
バッファ室28,ロード・ロック室26を介して基板1
0を取り出す。
【0211】なお、上記各成膜の工程では、図18の実
線で示すように、各薄膜の成膜前,成膜中,成膜後にお
いて、水素ガスまたは酸素ガスを一定量導入するように
構成してもよい。また、図18の点線で示すように、各
薄膜の成膜前、成膜後に水素ガスまたは酸素ガスの導入
量を多くしても良い。
【0212】また、図19で示すように、各薄膜の成膜
中に、水素ガスまたは酸素ガスの導入量を例えば5×1
−2Pa程度まで半減させ、窒素ガスの導入量を例え
ば10−1Pa程度まで半減させても良い。このように
構成することにより、成膜中における、チャンバ1内の
アルゴンイオンの濃度が高くなるため、基板10への薄
膜形成を高速で行うことができ、作業性を向上させるこ
とが可能となる。
【0213】なお、本例では、図18および図19に示
すガス導入形態により、マルチチャンバの各チャンバ内
で、窒化シリコン膜,酸化シリコン膜,ポリシリコン
膜,酸化シリコン膜を成膜するように構成しているが、
このポリシリコン膜の代わりに、錫とゲルマニウムと鉛
とのうち少なくともいずれか一つ以上を含有する半導体
膜としての、錫含有のポリシリコン膜を成膜してもよ
い。この場合は、図32の4つのスパッタリング室15
の第1チャンバで窒化シリコン膜,第2チャンバで酸化
シリコン膜,第3チャンバで錫含有のポリシリコン膜,
第4チャンバで酸化シリコン膜を成膜する。
【0214】窒化シリコン膜を成膜する第1チャンバ内
には、窒化シリコンからなるターゲット4、酸化シリコ
ン膜を成膜する第2チャンバ,第4チャンバ内には、酸
化シリコンからなるターゲット4、ポリシリコン膜を成
膜する第3チャンバ内には、錫含有シリコンからなるタ
ーゲット4が配置される。この錫含有シリコンからなる
ターゲット4には、1E1015atms/cm
上,好ましくは1018〜1020atms/cm
錫が含まれる。なお、第1チャンバ,第2チャンバ,第
4チャンバのターゲット4として、シリコンからなるタ
ーゲット4を用いてもよい。ポリシリコン膜の代わり
に、錫含有のポリシリコン膜を成膜する場合のその他の
構成および手順は、マルチチャンバを用いて窒化シリコ
ン膜,酸化シリコン膜,ポリシリコン膜,酸化シリコン
膜を成膜する上記の場合と同様であり、図18,図19
のガス導入形態に従って行う。
【0215】このように、図10乃至図13、図16乃
至図19に示す水素ガスの導入方法および図14、図1
5、図16乃至図19に示す酸素ガスの導入方法によれ
ば、各種の成膜前後、所定時間において活性化水素イオ
ンHまたは活性化酸素イオンOにより基板10表面
およびターゲット4の吸着ガス(O,HO,CO
等)のクリーニングをするので、高品質な薄膜層を形成
することが可能となる。
【0216】また、図10乃至図13、図16乃至図1
9に示す水素ガスの導入方法では、薄膜形成中は常にチ
ャンバ1内に水素ガスを導入しているため、熱触媒体5
およびチャンバ1内治具類を他のガスの影響から保護す
ることになり、それらの酸化劣化を防止することができ
る。
【0217】また、図18,図19に示すガス導入方法
のように、マルチチャンバで薄膜を形成するときには、
各チャンバでそれぞれ、所定の薄膜形成が行われるた
め、高い作業効率を得ることが可能となる。また、コン
タミ防止とそれぞれの膜間のストレスが低減し、高品質
の絶縁体−半導体接合構造の半導体装置等の製造が可能
となる。
【0218】次に、本例の薄膜形成装置Sを用いた薄膜
形成方法の動作について、シングルチャンバからなる真
空容器中でポリシリコン膜を形成する場合を例として説
明する。
【0219】本例の薄膜形成方法の手順としては、不図
示のゲートバルブを通してチャンバ1内に基板10を搬
入し、サセプタ2に載置する。このとき、シャッター7
を、「閉状態」とする。次いで、排気系1aを動作させ
て粗引きを行った後本引きを行い、チャンバ1内を所定
圧力,本例では10−4〜10−5Paまで排気する。
サセプタ2に内蔵されたヒータ2aを動作させて基板1
0を所定温度,本例では200〜550℃まで加熱す
る。ガス導入系3を動作させて、まず水素ガスをチャン
バ1内に導入する。その後、触媒体5を所定温度,本例
では1600〜1800℃に加熱する。
【0220】このとき導入された水素ガスの一部は、熱
触媒体5による熱分解反応および触媒反応により活性化
水素イオンHとなり、基板10表面およびターゲット
4に到達して、基板10表面およびターゲット4表面の
吸着ガス(O,HO,CO等)のクリーニングを
行う。
【0221】チャンバ1内に水素ガスが供給されている
状態で、ガス導入系3を動作させ、アルゴンガスをチャ
ンバ1内に導入する。その後、DC電源9aをオンにし
てDCプラズマを発生させる。チャンバ1内におけるア
ルゴンガスおよび水素ガスの圧力が安定し、スパッタリ
ングが安定した段階で、シャッター7を「開状態」と
し、基板10上へのスパッタリングを開始する。
【0222】スパッタリングは、次のようにして起こ
る。すなわち、ガス導入系3から導入されたアルゴンガ
スおよび水素ガスが、プラズマ中でイオン化される。こ
のアルゴンイオンおよび水素イオンは、ターゲット近傍
に発生した陰極降下内で加速され、ターゲットを衝撃し
てスパッタリング作用が起こるのである。
【0223】アルゴンイオンおよび水素イオンが衝撃し
てターゲットより飛来した薄膜原料原子,分子は、熱触
媒体5により、薄膜原料の少なくとも軟化点以上好まし
くは融点以上に加熱される。また、熱触媒体5の触媒反
応により生成された活性化水素イオンHのエネルギー
が、薄膜原料原子,分子に熱エネルギーおよび運動エネ
ルギーとして与えられる。この薄膜原料原子の高いエネ
ルギーにより、基板10表面上での堆積種の泳動及び生
成過程の薄膜中での拡散が促進され、バルクに近い結晶
の金属膜、又は高移動度の半導体膜、又は高絶縁性膜等
が形成される。
【0224】また、スパッタリング中においても、熱触
媒体5による熱分解反応および触媒反応により活性化さ
れてできた活性化水素イオンHが、基板10上に生成
中の薄膜が酸化されることを防止する。なお、これらの
スパッタリングの効果は、当然であるが、後述するすべ
ての実施例においても、共通して得ることができるもの
である。
【0225】なお、本例では、触媒スパッタリングのた
めのガスとしてアルゴンガスおよび水素ガスを用いるよ
うに構成しているが、これに限定されるものではなく、
水素ガスのみ、または酸素ガスのみ、または窒素ガスの
みでスパッタリングするように構成しても良い。
【0226】酸素ガスのみまたは窒素ガスのみでスパッ
タリングする場合には、熱触媒体5およびスパッタリン
グ電源を用いて発生させたプラズマにより、真空容器1
中には、活性化酸素イオンOまたは活性化窒素イオン
が発生し、これらの活性化酸素イオンO,活性化
窒素イオンNによりスパッタリングが行われる。
【0227】酸素ガスのみまたは窒素ガスのみによるス
パッタリングは、アルゴンガスを導入する場合に比較し
て、一般的に、成膜速度は多少遅くなるが、酸化膜また
は窒化膜を形成する場合には、スパッタリングのみなら
す、活性化酸素イオンOによる酸化作用、活性化窒素
イオンNによる窒化作用により、より品質の高い酸化
膜または窒化膜が形成されるという利点がある。
【0228】また、真空容器1中に水素ガスを導入し
て、水素ガスのみによるスパッタリングを行うこともで
きる。水素ガスのみでスパッタリングする場合には、熱
触媒体5およびスパッタリング電源を用いて発生させた
プラズマにより、真空容器1中には、活性化水素イオン
が発生し、この活性化水素イオンHによりスパッ
タリングが行われる。
【0229】水素ガスのみによるスパッタリングは、ア
ルゴンガスを導入する場合や酸素ガスのみまたは窒素ガ
スのみによる場合に比較して、一般的に、成膜速度は遅
くなるが、活性化水素イオンHは高エネルギーを有し
化学反応作用が大きいと共に平均自由工程が大きいた
め、シリコンまたはポリシリコンまたはアモルファスシ
リコンのターゲットを活性化水素イオンHでスパッタ
リングおよび化学反応による輸送をすることにより、ポ
リシリコン膜の形成が可能になるという利点がある。な
お、活性化水素イオンHは、高いエネルギーを有して
いるので、成膜スペックによっては、スパッタリングパ
ワーを印加しないで、化学反応での輸送のみでポリシリ
コン膜等の成膜をしても良い。
【0230】目標とする膜厚の薄膜が形成されたことを
確認した後、ガスの導入を停止し、ヒータ2b,5aの
加熱を停止する。熱触媒体5および基板10の温度が所
定温度以下に下がったことを確認した後、窒素ガスを導
入し、真空を破って薄膜が形成された基板10を取り出
し、1サイクルを終了する。
【0231】図9に示すガス供給系3では、複数種のガ
ス供給源を有しており、各種のガスから所望のガスを選
択できるように構成されている。すなわち、選択された
ガスの手動バルブ3c或いは自動バルブ3dを開放し、
マスフローコントローラー(MFC)Mを介してチャン
バ1内へ導くものである。なお、本例では三方弁3eが
配設されており、選択されたガスをチャンバ1内へ導入
するか、真空排気されるか、が最終的に決定されるよう
に構成されている。以上のようにして、基板10上に各
種の薄膜が形成される。
【0232】なお、本例ではマスフローコントローラー
Mによって、アルゴンガスに水素,窒素,酸素等の反応
性ガスを混合できるように構成される。これにより、純
金属ターゲットのリアクティブ・スパッタを行うことが
可能となる。この純金属ターゲットのリアクティブ・ス
パッタによれば、シリコンからなるターゲット4を配置
したシングル・チャンバにより、窒化シリコン、酸化シ
リコン、ポリシリコン等を成膜することが可能である。
すなわち、窒化シリコン、酸化シリコン、ポリシリコン
は、金属原子が同じであるため、同一のシリコンターゲ
ットを用い、導入するガスを変更するのみで成膜するこ
とができる。
【0233】また、薄膜の形成は、図1に示す薄膜形成
装置Sに限らず、次述する各構成の装置によっても行わ
れるものである。図20に示す薄膜形成装置Sは、サセ
プタ2を挟んで、一対のガス導入系3と熱触媒体5が配
設されている。熱触媒体5とターゲット4との間には、
シャッター7が配置される。このシャッター7は、DC
プラズマ放電が安定するまで熱触媒体5とターゲット4
との間に配置され、DCプラズマ放電が安定した後に後
退される。チャンバ1内には、レール6が敷設されてい
る。そして、このレール6に沿って、熱触媒体5が配設
されている。サセプタ2には、レール6上を移動可能な
手段として、例えば、車輪やローラーが取り付けられ、
チャンバ1内を移動可能に構成されている。サセプタ2
に取り付けられた基板10は、熱触媒体5の輻射熱によ
って加熱されるが、サセプタ2内に独自の基板加熱機構
を備えるように構成してもよい。
【0234】このような構成とすることにより、例え
ば、チャンバ1内に長尺形状の熱触媒体5が配設されて
おり、熱触媒体5上で、触媒反応に差が生じているよう
な場合でも、レール6が熱触媒体5に沿って敷設されて
いれば、基板10を熱触媒体5に沿って移動させること
ができ、基板10に均等に薄膜を形成することが可能と
なる。大型ガラス基板が使用でき、スループット大によ
る生産性向上でのコストダウンができる。なお、図20
で示す薄膜形成装置Sにおいても、図2乃至図7を参照
して説明したような熱触媒体5を使用することができる
のは勿論である。
【0235】すなわち、熱触媒体5は、熱触媒体保持手
段としての熱触媒体ホルダー5bに固定されている。熱
触媒体ホルダー5bは、例えば、モリブデンで形成され
ている。さらに、本例の熱触媒体5は、チャンバ1の外
部で加熱手段5aと接続されている。本例における加熱
手段5aは、熱触媒体5を通電して加熱する通電加熱用
電源であり、この通電加熱用電源は、直流(DC)また
は交流(AC)または直流に交流を重畳させた電源によ
り構成されている。このような加熱手段5aにより、熱
触媒体5は、例えば1600℃〜1800℃(融点以
下)に加熱されるようになっている。
【0236】そして、前記熱触媒体ホルダー5bは、チ
ャンバ1内で移動可能とされ、最も効果的な触媒反応を
得られるように、熱触媒体5と基板10との距離を調整
可能に構成されている。触媒体ホルダー5bの調整は、
図示しない駆動機構によって行っている。駆動機構とし
ては、モータを駆動源として、モータの出力軸にピニオ
ンギヤを取り付け、触媒体ホルダー5bにラックギヤを
配設し、これらのギアを歯合させて、モータ(サーボモ
ータやステッピングモータ)の出力によって調整可能と
したり、熱触媒体ホルダー5bに連結した油圧式装置
(気圧装置でも可)で距離調整したり、各種の構成を用
いることが可能である。なお、熱触媒体5は、基板10
から遠ざかるにしたがって、触媒反応の効果が薄れるの
で、基板10の近傍に、例えば5cm離れた位置に配置
されることが好ましい。
【0237】なお、複数の熱触媒体5を配設するとき、
熱触媒体5を同一素材から、それぞれ形成することが可
能である。例えば、図7において、上部側に位置する熱
触媒体5と、下部側に位置する熱触媒体5との両方を、
セラミックコーティングされたタングステンとする。
【0238】或いは、複数の熱触媒体5を配設すると
き、熱触媒体5を異なる素材から、それぞれ形成するこ
とが可能である。例えば、図7において、上部側に位置
する熱触媒体5をセラミックコーティングされたタング
ステンとし、下部側に位置する熱触媒体5をセラミック
コーティングされたパラジウムとした構成とする。
【0239】さらに、複数の熱触媒体5を配設すると
き、図7に示すように、同一形状の熱触媒体5を配設す
る他、異なる形状の熱触媒体5を配設する構成としても
良い。すなわち、例えば、図2に示される熱触媒体5
と、図3に示される熱触媒体5とを組み合わせて配設す
る。
【0240】さらにまた、図7に示すように、複数の熱
触媒体5を配設するとき、各熱触媒体を、それぞれ異な
る電源に接続させた構成とすることも可能である。本例
における電源は、直流電流又は交流電源又は直流に交流
を重畳させた電源であり、状況に応じて選択されるもの
である。電源の電圧・電流の調整を行うことにより、抵
抗発熱体である熱触媒体の温度調整をすることが可能と
なる。
【0241】このように、チャンバ1内に複数の熱触媒
体5を配設し、熱触媒体の素材、形状、または接続され
る電源を自由に選択し、組み合わせることにより、最も
良好な触媒反応を得ることが可能となる。
【0242】このように熱触媒体5については、可動可
能とし、材質の異なるものを複数併用し、電源を同一あ
るいは異ならせて各熱触媒体の温度を異ならせる等各種
の構成を採用することが可能である。
【0243】(実施例2)図21において、薄膜形成装
置Sの第2の実施例について説明する。本例において、
前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その説明
を省略する。
【0244】図21に示す薄膜形成装置Sは、シングル
チャンバによる触媒RFスパッタリング装置であり、真
空容器としてのチャンバ1内に基板10とターゲット4
との間にプラズマを発生させるためのRF電極9bを備
え、チャンバ1外に高周波電源9c、整合回路9dを備
える。基板10を載置するためのサセプタ2と、ターゲ
ット4との間には、熱触媒体5が配置される。また、熱
触媒体5とターゲット4との間には、スパッタリングが
安定するまで基板10とターゲット4とを遮断するシャ
ッター7が配置される。それ以外の点は、実施例1の構
成と同様である。
【0245】本例のRF電極9bは、図21のチャンバ
1の図面上部に配置され、チャンバ1外の接地された高
周波電源9cに接続される。なお、RF電極9bは、図
示しない接地電位のカソード・シールドで覆われる。こ
のカソード・シールドは、RF電極9bのターゲット4
を除く部分を覆うものであり、RF電極9bから一定の
距離を隔てて配設される。カソード・シールドは、陰極
(RF電極9b)のターゲット面以外で放電が発生する
ことを防止する役割を果たす。
【0246】本例の高周波電源9cとしては、電波法で
決められた工業バンドの周波数13.56MHz,出力
インピーダンス50Ωの電源が使用される。また、本例
の整合回路9dは、高周波電源と負荷とのインピーダン
ス整合をとるために、RF電極9bと高周波電源9cの
間に設けられる。
【0247】(実施例3)図22において、薄膜形成装
置Sの第3の実施例について説明する。本例において、
前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その説明
を省略する。図22に示す薄膜形成装置Sは、シングル
チャンバによる触媒プレーナマグネトロンスパッタリン
グ装置であり、ターゲット4の上に永久磁石12を備え
る。ターゲット4とサセプタ2との間には、熱触媒体5
が配置される。熱触媒体5とターゲット4との間には、
シャッター7が配置される。それ以外の点は、実施例1
の構成と同様である。マグネトロンスパッタリングは、
電場と磁場が直交するマグネトロン放電を利用したスパ
ッタリングであり、磁石を用いないスパッタリングより
もターゲットの電力密度が増大され、スパッタリング速
度が速いものである。また、プレーナマグネトロンスパ
ッタリングとは、平板状のターゲットを用いるマグネト
ロンスパッタリングをいう。本例の薄膜形成装置Sは、
ターゲット4の上に永久磁石12を備えることにより、
ターゲット4の下には、図22に示すように半円状の磁
力線Bができる。
【0248】プレーナマグネトロン型スパッタ装置では
ターゲット背面から供給される磁界によって2次電子が
効率よくターゲット直上の空間に閉じこめられる。この
2次電子は、例えばアルゴンのような放電ガスのイオン
化を促進する。従って、磁界を用いないコンベンショナ
ル型スパッタ装置に比べてターゲット物質がスパッタさ
れる速度を向上でき、高速成膜が可能となる。また2次
電子閉じ込めの効率が良いためコンベンショナル型スパ
ッタ装置に比べてより低い放電ガス圧での成膜も可能で
ある。
【0249】なお、本例では、電源としてDC電源9a
を用いるように構成したが、これに限定されるものでな
く、DC電源9aの代わりに高周波電源9c、整合回路
9dを備えるように構成しても良い。
【0250】(実施例4)図23において、薄膜形成装
置Sの第3の実施例について説明する。本例において、
前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その説明
を省略する。図23に示す薄膜形成装置Sは、シングル
チャンバによる触媒リングマグネトロンスパッタリング
装置である。本例の触媒リングマグネトロンスパッタリ
ング装置は、マグネトロンスパッタリング装置の一種で
ある。ターゲット4は、中央に穴4aの開いたドーナツ
状体からなり、ターゲット4の断面は図23に示すよう
に楔形である。
【0251】本例の永久磁石12は、図23に示すよう
に、環状の永久磁石12a,12bとからなる。永久磁
石12aは、ターゲット4の上に、ターゲット4の上面
に並行に固定される。永久磁石12bは、ターゲット4
の外側に、ターゲット4の側面に沿って固定される。こ
のとき、磁界Bが、図23に示すようにターゲット4の
斜面4bに平行に形成される。熱触媒体5は、サセプタ
2とターゲット4との間に配置され、シャッター7が、
熱触媒体5とターゲット4との間に配置される。その他
の点は、実施例3の構成と同様である。
【0252】なお、本例では、電源としてDC電源9a
を用いるように構成したが、これに限定されるものでな
く、DC電源9aの代わりに高周波電源9c、整合回路
9dを備えるように構成しても良い。
【0253】(実施例5)図24において、薄膜形成装
置Sの第5の実施例について説明する。本例において、
前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その説明
を省略する。図24に示す薄膜形成装置Sは、シングル
チャンバによる触媒コリメートスパッタリング装置であ
る。コリメートスパッタリング法によると、コリメータ
13が、スパッタ粒子のうち、基板10にほぼ垂直な方
向に飛行するもののみを通過させるため、ステップカバ
レッジ特性を向上させることができる。
【0254】本例では、コリメータ13は、コリメータ
としての役割のみでなく、熱触媒体としての役割をも果
たすものであり、本発明の熱触媒体としてコリメータ1
3が構成される。このとき、基板10に対し斜め方向に
飛行する粒子は、格子状のコリメータ13に付着するこ
ととなる。熱触媒体5としても構成されるコリメータ1
3に付着した粒子は、例えば1600℃〜1800℃に
加熱されたコリメータ13の熱により高いエネルギーが
付与される。ここで、ステップカバレッジ特性とは、基
板の表面に形成された穴や溝、または段差に対する被覆
性のことであり、上面への薄膜堆積量に対する溝又は穴
(以下、ホールと総称する)の底部への薄膜堆積量の比
であるボトムカバレッジ率を含む概念である。
【0255】本例の薄膜形成装置Sは、熱触媒体5とし
ても構成されるコリメータ13と、シャッター7と、コ
リメータ13を加熱するコリメータヒータ電源13a
と、磁石12とを備える。本例のコリメータ13は、鉛
直方向に開口された断面四角形の孔を有する格子状の板
状体からなる。コリメータ13には、コリメータ13の
温度を一定の温度,例えば1600〜1800℃(以
下、制御温度)に維持するためのコリメータヒータ電源
13aが接続される。コリメータ13は、コリメータヒ
ータ13aのスイッチをオンにすることにより、加熱さ
れる。また、コリメータ13には、コリメータ13の温
度を測定する不図示の温度測定器と、温度測定器の測定
結果に従ってヒータを制御する不図示のコントローラが
設けられている。
【0256】本例のコリメータ13の素材としては、タ
ングステン、トリア含有タングステン、白金、パラジュ
ウム、タンタル、モリブデン、シリコン等よりなる群か
ら選ばれた少なくとも1種の材料をセラミックス(例え
ばアルミナ)コーティングまたは炭化ケイ素コーティン
グしたもの、またはタングステン、トリア含有タングス
テン、白金、パラジウム、チタン、タンタル、モリブデ
ン、シリコン、N型またはP型キャリア不純物含有シリ
コン等よりなる群から選ばれた少なくとも1種の材料、
またはセラミックス(アルミナ等)または炭化ケイ素の
芯にタングステン、トリア含有タングステン、白金、パ
ラジウム、チタン、タンタル、モリブデン、シリコン、
N型またはP型キャリア不純物含有シリコン、銅、アル
ミニウム等よりなる群から選ばれた少なくとも1種の材
料をコーティングしたもの、又は表面を酸化、又は窒化
させたシリコン、アルミナ、炭化ケイ素等が用いられ
る。
【0257】なお、コリメータ13の構成は、上記構成
に限定されるものでなく、例えば、円形板状体に、直径
10ミリ程度の円形の開口が均等間隔をおいて設けられ
るように構成しても良い。また、断面六角形の孔を蜂の
巣状に有する板状体として構成しても良い。
【0258】本例のコリメータ13は、コリメータとし
ての機能および熱触媒体としての機能を果たすものであ
る。すなわち、基板10にほぼ垂直な方向に飛行する粒
子のみを通過させることによりステップカバレッジ特性
を向上させるというコリメータとしての機能と、通過さ
せる粒子に高いエネルギーを付与し、更に基板10の表
面温度を上昇させて領域2,3における構造の薄膜の生
成を可能とする熱触媒体としての機能を有するものであ
る。また、混合ガス中に含まれる水素ガスの一部で活性
化水素イオンHを発生させて、基板やスパッタリング
ターゲットの吸着ガスをクリーニングし、基板上に成膜
中の薄膜の酸化を防止するという熱触媒体としての機能
をも果たす。なお、コリメーター13の周囲に円環状の
抵抗加熱方式のヒータを設けるように構成しても良い。
【0259】(実施例6)図25において、薄膜形成装
置Sの第6の実施例について説明する。本例において、
前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その説明
を省略する。図25に示す薄膜形成装置Sは、基板ため
込み式連続触媒スパッタリング装置である。一般に、連
続式のスパッタリング法は、スパッタ室が常時真空に保
たれ、放電を繰り返すが、放電中は、水蒸気などを取り
除く作用(ガス・クリーンアップ)があるため、時間の
経過とともにスパッタ室内のアルゴンガスの純度が良く
なり、良品質の薄膜を得ることができるという特徴があ
る。
【0260】図25に示す薄膜形成装置Sは、連続式の
触媒スパッタリング装置の中でも、半連続ともいうべき
ものである。本例の薄膜形成装置は、チャンバ1内に、
複数の基板10を保持する基板ため込み部14a,14
bと、基板10を基板ため込み部14aから基板スパッ
タ位置14cを経て基板ため込み部14cに移送するた
めの不図示の基板移送手段とを備えるように構成され
る。ターゲット4と基板スパッタ位置14cとの間に
は、図25に示すように、熱触媒体5が配置される。本
例の薄膜形成装置Sのその他の構成は、上記実施例1に
係る薄膜形成装置Sと同様である。
【0261】本例の薄膜形成装置Sの動作について説明
する。まず、基板ため込み部14aに、複数の基板10
をセットする。排気系1aを作動させ、チャンバ1内を
排気する。チャンバ1内が所定真空度の10−4〜10
−5Paに達した後、基板10をチャンバ1内の図面左
側の基板ため込み部14aから図面中央の基板スパッタ
位置14cに移送する。その後、チャンバ1内に水素ガ
スを導入し、熱触媒体5を所定温度に加熱した後に、ア
ルゴンガスと水素ガスとの混合ガスを導入してスパッタ
リングを行う。このとき、ターゲット4と基板スパッタ
位置14cとの間に配置された熱触媒体5は、熱分解反
応および触媒反応による活性化水素イオンHの生成及
び輻射熱を通じて、堆積種の基板上での泳動及び生成過
程の薄膜中での拡散を促進し、バルクに近い結晶の薄膜
形成を促進するという作用をする。
【0262】スパッタリングが完了した後、基板スパッ
タ位置14cから図面右側の基板ため込み部14bに基
板10を移送する。この基板ため込み部14aから基板
スパッタ位置14c,基板ため込み部14bへの移送及
び基板スパッタ位置14cにおけるスパッタリングを、
基板ため込み部14aに保持された複数の基板10につ
いて順次行う。すべての成膜が終了したら、熱触媒体5
および基板10の加熱を停止し、アルゴンガスおよび水
素ガスの供給を停止し、窒素ガスを導入して大気圧に戻
し、基板10を取り出す。
【0263】(実施例7)図26において、薄膜形成装
置Sの第7の実施例について説明する。本例において、
前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その説明
を省略する。図26に示す薄膜形成装置Sは、片側ロー
ド・ロック式連続触媒スパッタリング装置である。本例
の片側ロード・ロック式連続触媒スパッタリング装置
は、実施例6の基板ため込み式連続触媒スパッタリング
装置と同様、連続スパッタリング装置の一種である。
【0264】図26に示す薄膜形成装置Sは、チャンバ
1内に、複数の基板10を保持する基板貯留室14d
と、基板10へのスパッタリングを行うスパッタリング
室15を備えるように構成される。スパッタリング室1
5内には、図26に示すように、ターゲット4と、基板
10がスパッタリングされる基板スパッタ位置14c
と、が設けられる。基板貯留室14dとスパッタリング
室15との間には、開閉可能な扉16が設けられる。チ
ャンバ1内には、基板10を基板貯留室14dと基板ス
パッタ位置14cとの間で往復移送するための不図示の
基板移送手段とが設けられる。ターゲット4と基板スパ
ッタ位置14cとの間には、図26に示すように、熱触
媒体5およびシャッター7が配置される。本例の薄膜形
成装置Sのその他の構成は、上記実施例1に係る薄膜形
成装置Sと同様である。
【0265】本例の薄膜形成装置Sの動作について説明
する。まず、基板貯留室14dに、複数の基板10をセ
ットする。排気系1aを作動させ、チャンバ1内を排気
し、所定真空度の10−4〜10−5Paに達した後、
扉16を開けると共に、基板10をチャンバ1内の基板
貯留室14dから基板スパッタ位置14cに移送する。
扉16を閉め、スパッタリング室15内に水素ガスを導
入して熱触媒体5を所定温度真で加熱した後に、アルゴ
ンガスと水素ガスとの混合ガスを導入する。基板10上
へのスパッタリングは、基板10が、基板貯留室14d
に戻る方向への移動中になされる。
【0266】このとき、ターゲット4と基板スパッタ位
置14cとの間に配置された熱触媒体5は、熱分解反応
および触媒反応による活性化水素イオンHの生成およ
び輻射熱を通じて、堆積種の基板上での泳動及び生成過
程の薄膜中での拡散を促進し、バルクに近い結晶の薄膜
形成を促進するという作用をする。
【0267】スパッタリングが完了した後、アルゴンガ
スと水素ガスとの導入を停止し、充分に排気した後に、
扉16を開け、基板10を基板貯留室14dに再び収容
する。この基板貯留室14dと基板スパッタ位置14c
との間の基板10の移送及び基板10へのスパッタリン
グを、基板貯留室14dに保持された複数の基板10に
ついて順次行う。すべての成膜が終了したら、扉16を
閉じ、基板貯留室14dに窒素ガスを導入して大気圧に
戻し、基板10を取り出す。
【0268】(実施例8)図27において、薄膜形成装
置Sの第8の実施例について説明する。本例において、
前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その説明
を省略する。図27に示す薄膜形成装置Sは、両側ロー
ド・ロック式連続触媒スパッタリング装置である。本例
の両側ロード・ロック式連続触媒スパッタリング装置
は、実施例6の基板ため込み式連続触媒スパッタリング
装置,実施例7の片側ロード・ロック式連続触媒スパッ
タリング装置と同様、連続スパッタリング装置の一種で
ある。
【0269】図27に示す薄膜形成装置Sは、チャンバ
1内に、複数の基板10を保持する基板貯留室14d
と、基板10へのスパッタリングを行うスパッタリング
室15と、スパッタリングの完了した基板10を受け入
れて保持する基板貯留室14eを備えるように構成され
る。スパッタリング室15内には、図27に示すよう
に、ターゲット4と、基板10がスパッタリングされる
基板スパッタ位置14cと、が設けられる。
【0270】基板貯留室14dとスパッタリング室15
との間およびスパッタリング室15と基板貯留室14e
との間には、開閉可能な扉16d,16eがそれぞれ設
けられる。チャンバ1内には、基板10を基板貯留室1
4dから基板スパッタ位置14cを経て基板貯留室14
eに移送するための不図示の基板移送手段が設けられ
る。ターゲット4と基板スパッタ位置14cとの間に
は、図27に示すように、熱触媒体5およびシャッター
7が配置される。本例の薄膜形成装置Sのその他の構成
は、上記実施例1に係る薄膜形成装置Sと同様である。
【0271】本例の薄膜形成装置Sの動作について説明
する。まず、基板貯留室14dに、複数の基板10をセ
ットする。排気系1aを作動させ、チャンバ1内を排気
し、所定真空度の10−4〜10−5Paに達した後、
扉16dを開けると共に、基板10をチャンバ1内の基
板貯留室14dからスパッタリング室15内へ移送す
る。基板10がスパッタリング室15内に入った時点
で、扉16dを閉める。
【0272】この後、スパッタリング室15内に水素ガ
スを導入して熱触媒体5を所定温度まで加熱した後に、
アルゴンと水素ガスの混合ガスを導入して所定ガス圧
力,例えば1〜10−1Paとする。基板10は、図2
7の右方向へ移送される途中のスパッタ位置14cでス
パッタリングされる。
【0273】このとき、ターゲット4と基板スパッタ位
置14cとの間に配置された熱触媒体5は、熱分解反応
および触媒反応による活性化水素イオンHの生成およ
び輻射熱を通じて、堆積種の基板上での泳動及び生成過
程の薄膜中での拡散を促進し、バルクに近い結晶の薄膜
形成を促進するという作用をする。
【0274】基板10は、基板スパッタ位置14cを経
て、図面右方向へ移送される。基板10が、スパッタリ
ング室15の右端に到達した時点で扉16eを開け、基
板10を基板貯留室14eに収納する。基板10が基板
貯留室14eに完全に入った時点で扉16eを閉める。
【0275】本例の両側ロード・ロック式連続触媒スパ
ッタリング法では、常時スパッタが行われ、基板10上
へのスパッタリングは、基板10が、基板貯留室14d
から基板貯留室14eに移送される途中でなされる。こ
の基板貯留室14dと基板スパッタ位置14cとの間の
基板10の移送及び基板10へのスパッタリングを、基
板貯留室14dに保持された複数の基板10について順
次行う。すべての成膜が終了したら、扉16eを閉じ、
基板貯留室14eに窒素ガスを導入して大気圧に戻し、
基板10を取り出す。
【0276】(実施例9)図28において、薄膜形成装
置Sの第9の実施例について説明する。本例において、
前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その説明
を省略する。図28に示す薄膜形成装置Sは通過型連続
触媒スパッタリング装置である。本例の薄膜形成装置
は、チャンバ1内に、矩形のターゲット4と、基板10
を載置するトレー17と、このトレー17を移送する不
図示のトレー移送手段と、ターゲット4とトレー17の
間に熱触媒体5とシャッター7を備える。図28(a)
は、本例のターゲット4とトレー17を上方から見た図
であり、図28(b)は、本例のターゲット4とトレー
17を横から見た図である。本例の薄膜形成装置Sのそ
の他の構成は、上記実施例1に係る薄膜形成装置Sと同
様である。
【0277】本例の薄膜形成装置Sの動作について説明
する。まず、トレー17に複数の基板10をセットす
る。排気系1aを作動させ、チャンバ1内を排気する。
チャンバ1内が10−4〜10−5Paの真空度に達し
た後、水素ガスを導入して熱触媒体5を所定温度に加熱
し、チャンバ1内にアルゴンガスと水素ガスとの混合ガ
スを導入し、チャンバ1内圧力を例えば1〜10−1
aとする。トレー17を、ターゲット4上を等速度で通
過するように移動させてスパッタリングを行う。
【0278】基板上に一様な膜厚の薄膜を形成するため
に、トレー17の移送は、次の条件になるよう制御す
る。すなわち、基板10の進行方向に直角なy方向のス
パッタ原子束が基板10の範囲内で同一になるように制
御する。また、トレー17の進行速度を一定にする。
【0279】このとき、ターゲット4とトレー17との
間に配置された熱触媒体5は、熱分解反応および触媒反
応による活性化水素イオンHの生成および輻射熱を通
じて、堆積種の基板上での泳動及び生成過程の薄膜中で
の拡散を促進し、バルクに近い結晶の薄膜形成を促進す
るという作用をする。スパッタリングが完了した後、次
にスパッタする基板10を載置したトレー17につい
て、同様の手順を繰り返す。
【0280】(実施例10)図29において、薄膜形成
装置Sの第10の実施例について説明する。本例におい
て、前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その
説明を省略する。図29に示す薄膜形成装置Sは自公転
成膜方式連続触媒スパッタリング装置である。本例の薄
膜形成装置Sは、チャンバ1内のスパッタリング室15
に、RF電極9bと、このRF電極9bと平行するよう
にRF電極9bの基板10側に設けられたターゲット4
と、基板10を載置するパレット18と、このパレット
18を移送するパレット移送手段19と、を備える。ス
パッタリング時に基板10がセットされる位置とターゲ
ット4との間には、不図示の熱触媒体5とシャッター7
が配置される。本例の薄膜形成装置Sのその他の構成
は、上記実施例1に係る薄膜形成装置Sと同様である。
【0281】本例の薄膜形成装置Sの動作について説明
する。まず、パレット18に複数の基板10をセットす
る。排気系1aを作動させ、チャンバ1内を排気する。
チャンバ1内が所定真空度の10−4〜10−5Paに
達した後、水素ガスを導入した熱触媒体5を所定温度に
加熱した後に、チャンバ1内にアルゴンガスと水素ガス
との混合ガスを導入する。パレット18を図29の矢印
Aの方向に公転させ、基板10を図29の矢印Bの方向
に自転させながら、パレット移送手段19を作動させ
て、基板10を、スパッタリング室15に導入する。パ
レット18および基板10を回転させたまま、スパッタ
リングを行う。
【0282】本例の薄膜形成装置Sによれば、パレット
18を公転させると共に基板10を自転させながらスパ
ッタリングを行うため、基板上に一様な膜厚の薄膜を形
成することができる。このとき、ターゲット4と基板1
0との間に配置された熱触媒体5は、熱分解反応および
触媒反応による活性化水素イオンHの生成および輻射
熱を通じて、堆積種の基板上での泳動及び生成過程の薄
膜中での拡散を促進し、バルクに近い結晶の薄膜形成を
促進するという作用をする。
【0283】スパッタリングが完了した後、熱触媒体5
および基板10の加熱を停止し、アルゴンガスおよび水
素ガス導入を停止した後に、窒素ガスを導入し、チャン
バ1内の真空を破ってパレット18および基板10を取
り出す。
【0284】(実施例11)図30において、薄膜形成
装置Sの第11の実施例について説明する。本例におい
て、前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その
説明を省略する。図30に示す薄膜形成装置Sはプリン
ターのサーマルヘッドの作成に適したカルーセル型触媒
スパッタリング装置である。
【0285】本例の薄膜形成装置Sは、チャンバ1内
に、基板10を保持する基板ホルダ20、チャンバ1内
を所定の温度に保持するためのヒータ21、スパッタが
所定の条件で安定するまでターゲット4と基板10との
間を遮蔽するシャッタ−7、チャンバ1の壁面に配置さ
れる標準カソード23、必要に応じて使用されるオプシ
ョン・カソード24、標準カソード23またはオプショ
ン・カソード24と基板10との間に設けられる熱触媒
体5、シャッター7と、を備える。本例の薄膜形成装置
Sのその他の構成は、上記実施例1に係る薄膜形成装置
Sと同様である。
【0286】本例の基板ホルダ20は、図31に示すよ
うに、10角柱の形状からなる。なお、本例では、基板
ホルダ20を10角柱の形状として構成したが、これに
限定されるものでなく、多角柱形,円柱形等、回転させ
ることができる他の形状として構成しても良い。基板ホ
ルダ10は、その側面に、1面につき3枚の基板10を
載置可能に形成される。このように、本例の基板ホルダ
によれば、多数の基板10を載置することができるの
で、バッチ式の装置であっても生産性を高くすることが
でき、基板処理面積当たりの装置コストを低減すること
が可能となるのである。基板ホルダ20の中心には、回
転軸25が設けられ、図示しない回転駆動機構により、
基板ホルダ20はこの回転軸25を中心として回転可能
に構成される。
【0287】本例の薄膜形成装置Sの動作について説明
する。まず、基板ホルダ20に複数の基板10をセット
する。排気系1aを作動させ、チャンバ1内を排気す
る。チャンバ1内が所定真空度の10−4〜10−5
aに達した後、水素ガスを導入して熱触媒体5を所定温
度に加熱する。その後、チャンバ1内にアルゴンガスと
水素ガスとの混合ガスを導入する。基板ホルダ20を回
転軸25を中心として図31の矢印方向に回転させ、ス
パッタリングを行う。
【0288】本例の薄膜形成装置Sによれば、基板10
を回転させながらスパッタリングを行うため、基板上に
一様な膜厚の薄膜を形成することができる。このとき、
ターゲット4と基板10との間に配置された熱触媒体5
は、熱分解反応および触媒反応による活性化水素イオン
の生成および輻射熱を通じて、堆積種の基板上での
泳動及び生成過程の薄膜中での拡散を促進し、バルクに
近い結晶の薄膜形成を促進するという作用をする。
【0289】スパッタリングが完了した後、熱触媒体5
と基板10の加熱を停止し、アルゴンガスと水素ガスの
供給を停止する。その後、窒素ガスを導入して真空を破
り、基板ホルダ20をチャンバ1から取り出す。その
後、次にスパッタする基板10を載置した基板ホルダ2
0について、同様の手順を繰り返す。
【0290】本例の薄膜形成装置Sは、パソコン,ワー
プロ等の印刷、電卓や計測器等のレコーダに用いる抵抗
膜(TaN)、電極配線薄膜(Al)、保護膜(Si
)、耐磨耗薄膜(Ta)など、薄膜タイプの
サーマルヘッドやアモルファスシリコンまたはポリシリ
コン太陽電池の作成に好適である。
【0291】(実施例12)図32において、薄膜形成
装置Sの第12の実施例について説明する。本例におい
て、前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その
説明を省略する。図32に示す薄膜形成装置Sはマルチ
チャンバ触媒スパッタリング装置である。本例の薄膜形
成装置Sは、半導体の製造に適した薄膜形成装置であ
り、チャンバ1内に、ウエハの取り出し,装着を行うた
めのロード・ロック室26およびバッファ室28と、チ
ャンバ1内でスパッタリングを行うためのスパッタリン
グ室15と、ウエハを複数のスパッタリング室15に出
し入れするためのセパレーション室27と、各スパッタ
リング室15内の不図示のターゲットとウエハとの間に
設けられる熱触媒体と、シャッター7とを備える。本例
の薄膜形成装置Sのその他の構成は、上記実施例1に係
る薄膜形成装置Sと同様である。
【0292】本例の排気系には、オイルフリーのクライ
オ・ポンプを使用する。ロードロック室26は、ウエハ
の取り出し、装着を行うための室である。ウエハの取り
出し、装着は、ロードロック室26とバッファ室28と
の間を閉鎖してロードロック室26のみを大気に開放し
て行う。ウエハの取り出し、装着が完了すると、ロード
ロック室を真空にする。この方式は、ロード・ロック方
式と呼ばれるものであり、排気時間を短縮できると共
に、スパッタリング室15内を高真空に保つことができ
るので、安定した製品を得ることができるという特徴が
ある。本例のチャンバ1は、4つのスパッタリング室1
5,セパレーション室27,バッファ室28,2つのロ
ードロック室26の合計8の独立した室からなる。これ
ら8つの室は、それぞれ独立して排気可能に構成され
る。
【0293】本例の薄膜形成装置Sの動作について説明
する。排気系1aを作動させ、チャンバ1内を排気す
る。チャンバ1内が所定真空度の10−4〜10−5
aに達した後、各スパッタリング室15内に水素ガスを
導入した熱触媒体5を所定温度に加熱する。その後、ア
ルゴンガスと水素ガスとの混合ガスを導入して例えば1
Paとし、スタンバイの状態にする。
【0294】同時に、ウエハを、25枚を1つの図示し
ないカセットに収容し、このカセットを図示しないオー
トローダーに載せる。カセットは、オートローダーによ
り、ロードロック室26に運ばれる。カセットがロード
ロック室26に搬入されると、ロードロック室26内
は、独立して真空排気される。
【0295】ロードロック室26が所定の真空度に達す
ると、カセットは、バッファ室28を経てセパレーショ
ン室27に導かれる。セパレーション室27から、予め
設定された順で、4つのスパッタリング室15にカセッ
トが導かれ、各スパッタリング室15でのウエハへのス
パッタが行われる。
【0296】スパッタ時には、ターゲットとウエハとの
間に配置された熱触媒体は、熱分解反応および触媒反応
による活性化水素イオンHの生成および輻射熱を通じ
て、堆積種の基板上での泳動及び生成過程の薄膜中での
拡散を促進し、バルクに近い結晶の薄膜形成を促進する
という作用をする。
【0297】各スパッタリング室15におけるスパッタ
リングが完了した後、カセットをセパレーション室2
7,バッファ室28を経てロードロック室26に導く。
窒素ガスを導入し、ロードロック室26の真空を破り、
カセットをチャンバ1外へ取り出す。その後、次にスパ
ッタするウエハを載置したカセットについて、同様の手
順を繰り返す。
【0298】なお、本例の薄膜形成装置Sでは、カセッ
ト・ツー・カセット(C−to−C)方式を採用する。
ここで、カセット・ツー・カセット(C−to−C)と
は、作業者がカセットを各工程に取り付けると、ウエハ
が自動的に装置内を搬送処理され、再びカセットに戻っ
て収容される方式をいう。スパッタリング工程も、これ
らの工程の一つである。
【0299】(実施例13)図33において、薄膜形成
装置Sの第13の実施例について説明する。本例におい
て、前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その
説明を省略する。図33に示す薄膜形成装置Sは同軸マ
グネトロン形の低温触媒スパッタリング装置である。
【0300】本例の薄膜形成装置Sは、スパッタリング
室15内に、ターゲット4と、基板10と、ターゲット
4と基板10との間に配設されたトラップ電極28と、
トラップ電極28とターゲット4との間に配設された熱
触媒体5と、シャッター7とを備える。本例の薄膜形成
装置Sのその他の構成は、上記実施例1に係る薄膜形成
装置Sと同様である。
【0301】本例のトラップ電極28は、円盤状体から
なり、図33に示すように、トラップが形成されてい
る。このトラップは、一種の格子であり、円周に沿って
運動する原子はトラップされるが、ターゲット4から基
板10へ向けて直進するスパッタされた原子は通過する
ように構成されている。
【0302】本例の薄膜形成装置Sによれば、磁場によ
り電子のエネルギーを小さくすると共に電子のトラップ
電極28により電子衝撃を除去することができる。その
結果、プラスチックの上にも付着強度の良い膜が、何の
変形もなく付けることができる。また、スパッタ温度を
上昇させることにより寸法の狂いが生じるため、スパッ
タ温度を上昇させることができないオングストロームオ
ーダーの超精密部品にも成膜することが可能である。
【0303】本例の薄膜形成装置Sの動作について説明
する。基板10をセットした後、排気系1aを作動さ
せ、スパッタリング室15内を排気する。スパッタリン
グ室15内が所定真空度の10−4〜10−5Paに達
した後、スパッタリング室15内に水素ガスを導入して
熱触媒体5を所定温度に加熱する。その後、アルゴンガ
スと水素ガスとの混合ガスを導入し、基板10へのスパ
ッタを行う。
【0304】スパッタ時には、ターゲット4と基板10
との間に配置された熱触媒体は、熱分解反応および触媒
反応による活性化水素イオンHの生成および輻射熱を
通じて、堆積種の基板上での泳動及び生成過程の薄膜中
での拡散を促進し、バルクに近い結晶の薄膜形成を促進
するという作用をする。
【0305】スパッタリングが完了した後、熱触媒体5
の加熱を停止し、水素ガスおよびアルゴンガス供給を停
止した後に窒素ガスを導入し、スパッタリング室15の
真空を破り、基板10をスパッタリング室15外へ取り
出す。その後、次にスパッタする基板10について、同
様の手順を繰り返す。
【0306】(実施例14)図34において、薄膜形成
装置Sの第14の実施例について説明する。本例におい
て、前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その
説明を省略する。図34に示す薄膜形成装置Sは基板/
ターゲット間の距離を長距離とした低圧触媒スパッタリ
ング装置である。
【0307】本例の薄膜形成装置Sは、チャンバ1内
に、ターゲット4と、基板としてのウエハ30と、ター
ゲット4とウエハ30との間に配設された熱触媒体5
と、シャッター7とを備える。本例の薄膜形成装置Sの
その他の構成は、上記実施例1に係る薄膜形成装置Sと
同様である。
【0308】本例のターゲット4/ウエハ30間の距離
stは、一般的なスパッタリング装置の約4倍に該当
する300mmとされる。このように構成することによ
り、磁場分布と強度が改善され、スパッタ圧を2〜3×
10−2Paまで低下させることができ、その結果ボト
ムカバレッジを大幅に改善することができる。
【0309】本例の薄膜形成装置Sの動作について説明
する。ウエハ30をセットした後、排気系1aを作動さ
せ、チャンバ1内を排気する。チャンバ1内が所定の真
空度10−4〜10−5Paに達した後、水素ガスを導
入して熱触媒体5および基板10を所定温度まで加熱す
る。その後、チャンバ1内にアルゴンガスと水素ガスと
の混合ガスを導入し、ウエハ30へのスパッタを行う。
【0310】スパッタ時には、ターゲット4とウエハ3
0との間に配置された熱触媒体5は、熱分解反応および
触媒反応による活性化水素イオンHの生成および輻射
熱を通じて、堆積種の基板上での泳動及び生成過程の薄
膜中での拡散を促進し、バルクに近い結晶の薄膜形成を
促進するという作用をする。
【0311】スパッタリングが完了した後、熱触媒体5
と基板10の加熱を停止してアルゴンガスおよび水素ガ
ス供給を停止する。その後、窒素ガスを導入し、チャン
バ1の真空を破り、ウエハ30をチャンバ1外へ取り出
す。その後、次にスパッタするウエハ30について、同
様の手順を繰り返す。
【0312】(実施例15)図35において、薄膜形成
装置Sの第15の実施例について説明する。本例におい
て、前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その
説明を省略する。図35に示す薄膜形成装置SはRF−
DC結合形バイアス触媒スパッタリング装置である。
【0313】本例の薄膜形成装置Sは、マグネトロン電
極32と、高周波電源9cと、DC電源9aとを備え、
チャンバ1内に、ターゲット4と、基板としてのウエハ
30と、ターゲット4とウエハ30との間に配設された
熱触媒体5と、シャッター7とを備える。本例の薄膜形
成装置Sのその他の構成は、上記実施例1に係る薄膜形
成装置Sと同様である。
【0314】本例のマグネトロン電極32は、100M
Hzの高周波電源9cとDC電源9aで運転され、ウエ
ハ30には、13.56MHzのRFバイアスが印加さ
れる。本例の薄膜形成装置Sは、100MHz高周波電
源9cとDC電源9aの両方でスパッタのコントロール
をすることができるという利点がある。例えば、100
MHz高周波電源9cを一定電力にして主としてプラズ
マを作り、DC電源9aでターゲット電流を制御して、
主としてスパッタ速度を制御することができる。このよ
うに、本例の薄膜形成装置Sによれば、ターゲットの電
流とプラズマ密度を別に制御することができるので、設
定できる条件の範囲が広がるという効果を奏する。
【0315】本例の薄膜形成装置Sの動作について説明
する。ウエハ30をセットした後、排気系1aを作動さ
せ、チャンバ1内を排気する。チャンバ1内が所定の真
空度10−4〜10−5Paに達した後、水素ガスを導
入して熱触媒体5を所定温度まで加熱する。その後、チ
ャンバ1内にアルゴンガスと水素ガスとの混合ガスを導
入し、ウエハ30へのスパッタを行う。
【0316】スパッタ時には、ターゲット4とウエハ3
0との間に配置された熱触媒体5は、熱分解反応および
触媒反応による活性化水素イオンHの生成および輻射
熱を通じて、堆積種のウエハ上での泳動及び生成過程の
薄膜中での拡散を促進し、バルクに近い結晶の薄膜形成
を促進するという作用をする。
【0317】スパッタリングが完了した後、熱触媒体5
と基板10の加熱を停止してアルゴンガスおよび水素ガ
ス供給を停止する。その後、窒素ガスを導入し、チャン
バ1の真空を破り、ウエハ30をチャンバ1外へ取り出
す。その後、次にスパッタするウエハ30について、同
様の手順を繰り返す。
【0318】(実施例16)図36において、薄膜形成
装置Sの第16の実施例について説明する。本例におい
て、前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その
説明を省略する。図36に示す薄膜形成装置Sは高密度
触媒スパッタリング装置の一種のECR触媒スパッタリ
ング装置である。
【0319】本例の薄膜形成装置SはECR放電を触媒
スパッタリングに適用した例であり、プラズマを作る部
屋である空洞共振器38と、空洞共振器38の周囲を囲
むように設けられた磁気コイル36と、空洞共振器38
にマイクロ波を導入するための方形導波管34およびマ
イクロは導入窓35と、筒状体のターゲット4と、基板
10と、基板ホルダ20と、ターゲット4と基板10と
の間に配設された熱触媒体5と、シャッター7とを備え
る。本例の薄膜形成装置Sのその他の構成は、上記実施
例1に係る薄膜形成装置Sと同様である。
【0320】本例の薄膜形成装置Sは、ECR放電を触
媒スパッタリングに適用する装置である。ECR放電
は、空洞共振器38に2.45GHzのマイクロ波を送
り込み放電を起こすものである。空洞共振器38の軸方
向,すなわち図36の上下方向には、磁場が印加されて
おり、電子は磁力線の軸の周りを回転する電界により回
転しながら加速される。この回転周波数とマイクロ波の
周波数を最適磁束密度により一致させて共振させ、マイ
クロ波のエネルギーを効率よく電子に吸収させてプラズ
マを作る。ECR放電によれば、冷陰極且つ高真空でプ
ラズマを作ることができる。
【0321】本例の薄膜形成装置Sでは、ECRプラズ
マの近くにおいたターゲット4に負電圧を印加して触媒
スパッタリングを行うものである。本例の薄膜形成装置
Sによれば、高密度のECRプラズマ中で、かつ低い放
電圧力下で効率よく触媒スパッタリングをすることがで
きる。
【0322】本例の薄膜形成装置Sの動作について説明
する。基板10をセットした後、不図示の排気系を作動
させ、不図示のチャンバの内部を排気する。チャンバ内
が所定の真空度に達した後、方形導波管34からマイク
ロ波を導入し、磁気コイル36に電流を流し、空洞共振
器38中にプラズマを発生させる。同時に水素ガスを導
入して熱触媒体5および基板10を所定温度に加熱し、
チャンバ内にアルゴンガスと水素ガスとの混合ガスを導
入し、基板10へのスパッタを行う。
【0323】スパッタ時には、ターゲット4と基板10
との間に配置された熱触媒体5は、熱分解反応および触
媒反応による活性化水素イオンHの生成および輻射熱
を通じて、堆積種の基板上での泳動及び生成過程の薄膜
中での拡散を促進し、バルクに近い結晶の薄膜形成を促
進するという作用をする。
【0324】スパッタリングが完了した後、マイクロ波
導入の停止および熱触媒体5と基板10の加熱を停止し
てアルゴンガスおよび水素ガス供給を停止する。その
後、窒素ガスを導入し、チャンバの真空を破り、基板1
0をチャンバ外へ取り出す。その後、次にスパッタする
基板10について、同様の手順を繰り返す。
【0325】(実施例17)図37において、薄膜形成
装置Sの第17の実施例について説明する。本例におい
て、前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その
説明を省略する。図37に示す薄膜形成装置Sは対向タ
ーゲット触媒スパッタリング装置である。
【0326】本例の薄膜形成装置Sは、平行に対向して
設けられた2つのターゲット4,4と、2つのターゲッ
ト4,4の一方の端部側にターゲット4,4に垂直に設
けられた基板10と、ターゲット4,4の上または下に
配置された永久磁石12と、ターゲット4および永久磁
石12を囲むように設けられたアノード40と、ターゲ
ット4と基板10との間に配設された熱触媒体5と、シ
ャッター7とを備える。本例の薄膜形成装置Sのその他
の構成は、上記実施例1に係る薄膜形成装置Sと同様で
ある。
【0327】本例の薄膜形成装置Sでは、イオン衝撃に
よりターゲットから放出された電子は、磁力線Bの間
に閉じこめられ、高密度プラズマを発生する。この装置
は、基板4をプラズマの外におくことができ、低い圧力
でスパッタを行うことができるという特徴を有する。
【0328】本例の薄膜形成装置Sの動作について説明
する。基板10をセットした後、不図示の排気系を作動
させ、不図示のチャンバの内部を排気する。チャンバ内
が所定の真空度10−4〜10−5Paに達した後、水
素ガスを導入して熱触媒体5を所定温度まで加熱する。
チャンバ内にアルゴンガスと水素ガスとの混合ガスを導
入し、基板10へのスパッタを行う。
【0329】スパッタ時には、ターゲット4,4と基板
10との間に配置された熱触媒体5は、熱分解反応およ
び触媒反応による活性化水素イオンHの生成および輻
射熱を通じて、堆積種の基板上での泳動及び生成過程の
薄膜中での拡散を促進し、バルクに近い結晶の薄膜形成
を促進するという作用をする。
【0330】スパッタリングが完了した後、高密度プラ
ズマを停止し、熱触媒体5と基板10の加熱を停止して
アルゴンガスおよび水素ガス供給を停止する。その後、
窒素ガスを導入し、チャンバの真空を破り、基板10を
チャンバ外へ取り出す。その後、次にスパッタする基板
10について、同様の手順を繰り返す。
【0331】(具体的実施例1)具体的な実施例1とし
て、トップゲート型ポリシリコンCMOSTFT製法の
実施例を示す。トップゲート型ポリシリコンCMOST
FTを作製するため、図38に示すように、先ず、絶縁
性の基板10上の少なくともTFT形成領域に、触媒ス
パッタリング法により、熱触媒体を加熱して触媒作用が
可能な状態にしておき、図18に示すガス導入形態で、
保護膜用の窒化シリコン膜211及び酸化シリコン膜2
12、ポリシリコン膜213、ゲート絶縁膜用の酸化シ
リコン膜214を成膜する。
【0332】基板10の材質は、TFT形成過程での基
板温度により選択される。触媒スパッタリング法を採用
した場合、ポリシリコン膜や絶縁膜形成過程における基
板温度は、200〜550℃程度の比較的低温に維持さ
れる。このため、TFT形成装置において基板温度がほ
うけい酸ガラスやアルミノけい酸ガラス等のガラス基板
を用いることができる場合は、ほうけい酸ガラス基板や
アルミノけい酸ガラス基板を使用できる。このときに、
コスト面から基板を大きめにすることが可能であり、例
えば、500mm×600mmの大きさで、0.5〜
1.1mm厚さとされる。
【0333】なお、TFT形成過程において、基板温度
が800〜1000℃程度の比較的高温となる場合は、
石英ガラス、結晶化ガラス等の耐熱性ガラス基板を用い
る。耐熱性ガラス基板は、例えば、一般的なシリコンウ
ェハと同様のオリエンテーション・フラット(オリフ
ラ)を付けた直径15cm〜30cmの大きさで、70
0〜800μm厚さとされる。
【0334】次に、第1工程〜第13工程からなるトッ
プゲート型ポリシリコンCMOSTFTの作製工程につ
いて説明する。本例の薄膜形成装置は、相互に扉で仕切
られた第1〜第4のチャンバを備える。第1〜第4のチ
ャンバは、順次隣接して線状に並ぶように配置され、基
板10が第1〜第4のチャンバ内を順に通過可能に形成
される。なお、中央にセパレーション室27が形成さ
れ、その周囲に放射状に第1〜第4のチャンバが配置さ
れるように構成しても良い。
【0335】まず、第1工程で、図18に示すガス導入
形態により、第1のチャンバ内で窒化シリコン膜を成膜
する。このとき、ターゲット4として、窒化シリコンか
らなるターゲット4を用いる。また、基板10は、所定
温度(200〜550℃)まで加熱する。本例では、窒
化シリコン膜211を、50〜200(nm)の厚さに
形成する。
【0336】上記保護膜用の窒化シリコン膜211は、
基板10としてほうけい酸またはアルミノけい酸ガラス
基板を用いた場合、基板10からのNaイオンをストッ
プするために形成されるものであり、基板10として合
成石英ガラスを使用した場合は不要である。
【0337】次に、基板10を、第2のチャンバに移送
し、第2工程で、図18に示すガス導入態様により、保
護膜用の酸化シリコン膜212を形成する。本例では、
酸化シリコン膜212を、50〜100(nm)の厚さ
に形成する。次に、基板10を、第3のチャンバに移送
し、第3工程で、図18に示すガス導入態様により、ポ
リシリコン膜213を形成する。
【0338】このとき、ターゲット4として、シリコン
からなるターゲットを用いる。本例では、ポリシリコン
膜213を、50〜100(nm)の厚さに形成する。
【0339】一般に、低温(200〜550℃)でシリ
コンをスパッタリングすると、アモルファスシリコン膜
が形成されるが、本発明では、熱触媒体によりシリコン
分子/原子に高いエネルギーが付与されるので、ポリシ
リコン膜が形成されることとなる。
【0340】ポリシリコン膜213が形成されたら、基
板10を、第4のチャンバに移送し、第4工程として、
ゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜214を成膜する。成
膜後は、窒素ガスを導入してチャンバ1内の真空を破
り、基板10を取り出す。こうして、絶縁基板10上に
保護膜用の窒化シリコン膜および酸化シリコン膜,ポリ
シリコン膜,ゲート絶縁膜の酸化シリコン膜を連続成膜
する。
【0341】なお、本例では、マルチチャンバを用いて
化合物(窒化物,酸化物等)ターゲットによるリアクテ
ィブ・スパッタを行うように構成したが、シリコンから
なるターゲットを用い、窒素,酸素等の反応性ガスをア
ルゴンに混合させてスパッタリングを行うように構成し
ても良い。このようにすると、シングルチャンバでスパ
ッタリングを行うことができる。
【0342】次いで、上記ポリシリコン層をチャンネル
領域とするMOSTFTの作製を行う。第5工程とし
て、図39に示すように、NチャンネルMOSTFT用
のチャンネル領域の不純物濃度を制御するために、Pチ
ャンネルMOSTFTを、フォトレジストr1でマスク
し、P型不純物イオン(例えば、ボロンイオンB
を、例えば、10keVで2〜3×1011atoms
/cmのドーズ量で打ち込み、ポリシリコン層の導電
型をP型化したシリコン層l1とする。
【0343】次いで、第6工程として、図40に示すよ
うに、PチャンネルMOSTFT用のチャンネル領域の
不純物濃度を制御するために、今度は、NチャンネルM
OSTFTをフォトレジストr2でマスクし、N型不純
物イオン(例えば、リンイオンP)を、例えば、10
keVで1〜2×1011atoms/cmのドーズ
量で打ち込み、ポリシリコン層のN型化したシリコン層
l2とする。
【0344】次いで、第7工程では、図41に示すよう
に、ゲート電極材料としての耐熱性の高いモリブデン/
タンタル合金膜216を、触媒スパッタリング法で、例
えば、厚さ400(nm)に堆積させる。
【0345】まず、チャンバ1内に基板10およびモリ
ブデン/タンタルからなる合金ターゲット4を設置し、
排気系1aを動作させてチャンバ1内を所定圧力になる
まで排気するとともに、サセプタ2に内蔵されたヒータ
2aを動作させて基板10を所定温度(200〜550
℃)まで加熱する。次いで、チャンバ1内に水素ガスを
供給する。水素ガスは、熱触媒体5との接触により活性
化されて、一部が活性化水素イオンHとなり、基板1
0の表面のクリーニングがなされる。
【0346】次に、モリブデン/タンタル合金膜216
を形成する。水素ガスが供給されているチャンバ1内
に、不活性ガスとしてのアルゴンガスを導入する。チャ
ンバ1内では、イオン化されたアルゴンイオンおよび活
性化水素イオンが、ターゲット4に衝突し、ターゲット
4から薄膜原料であるモリブデン原子およびタンタル原
子がスパッタされる。これらの原子は、熱触媒体5の近
傍を通過する時に熱エネルギーが付与されながら基板1
0に到達し、基板10の一主面に、高品質のモリブデン
/タンタル合金膜216が形成される。本例では、モリ
ブデン/タンタル合金膜216が400(nm)形成さ
れる。
【0347】このとき、チャンバ1内でのアルゴンガス
の割合を高めるために、マスフローコントローラーMを
制御して、水素ガスの供給を成膜の途中で低減させ、モ
リブデン/タンタル合金膜216を高速で成膜するよう
に構成してもよい。成膜後は、アルゴンガスをカット
し、熱触媒体を問題ない温度まで冷却して、水素ガスの
導入を停止する。その後、窒素ガスを導入してチャンバ
1内の真空を破り、基板10を取り出す。
【0348】次いで、第8工程では、図42に示すよう
に、フォトレジストr3を所定パターンに形成し、これ
をマスクにして、モリブデン/タンタル合金膜216を
ゲート電極217の形状にエッチングし、更に、フォト
レジストr3を除去する。
【0349】次いで、第9工程では、図43に示すよう
に、PチャンネルMOSTFT及びゲート電極217を
フォトレジストr4でマスクし、N型不純物である、例
えば、Asイオンを、例えば、20〜30keVで1
〜2×1015atoms/cmのドーズ量でイオン
注入し、フォトレジスト剥離後、N中約1000℃で
10秒〜20秒間のRTA(Rapid Therma
l Anneal)で活性化し、NチャンネルMOST
FTのN型ソース領域S及びドレイン領域Dをそ
れぞれ形成する。なお、このRTA処理は、Pチャンネ
ルMOSTFTの活性化と一緒にしても良い。
【0350】次いで、第10工程では、図44に示すよ
うに、NチャンネルMOSTFT及びゲート電極217
をフォトレジストr5でマスクし、P型不純物である、
例えば、Bイオンを、例えば、10〜20keVで1
〜2×1015atoms/cmのドーズ量でイオン
注入し、フォトレジスト剥離後、N中約1000℃で
10秒〜20秒間のRTA(Rapid Therma
l Anneal)で活性化し、PチャンネルMOST
FTのP型ソース領域S及びドレイン領域Dを、
それぞれ形成する。
【0351】次いで、第11工程では、図45に示すよ
うに、全面に本発明の触媒スパッタリング法によって、
酸化シリコン膜219を、例えば50〜100(nm)
厚、リンシリケートガラス(PSG)膜220を、例え
ば200〜300(nm)厚、窒化シリコン膜221を
100〜200(nm)厚に成膜する。
【0352】次いで、第12工程では、図46に示すよ
うに、絶縁膜の所定位置にコンタクト窓開けを行い、各
ホールを含む全面にアルミニウムなどの電極材料を、触
媒スパッタリング法により、150℃で1μmの厚みに
堆積し、これをパターンエッチングして、Pチャンネル
MOSTFT及びNチャンネルMOSTFTの、それぞ
れのソース又はドレイン電極S又はDとゲート取出し電
極又は配線Gを形成し、フォーミングガス(N
)中400℃1hでシンター処理してオーミックコ
ンタクトと表面準位を改善し、各MOSTFTを完成す
る。
【0353】(具体的実施例2)さらに、具体的な実施
例2として、ボトムゲート型ポリシリコンCMOSTF
T製法の実施例について説明する。ボトムゲート型ポリ
シリコンCMOSTFTを作製するため、触媒スパッタ
リング法により、基板の少なくともTFT形成領域に、
耐熱性の高いモリブデン/タンタル合金のスパッタ膜
(300〜400(nm)厚)を形成し、ボトムゲート
電極を形成する。ボトムゲート電極には、汎用フォトリ
ソグラフイ及びエッチング技術により、20〜45度の
テーパーエッチングを施す。
【0354】次に、触媒スパッタリング法により、熱触
媒体を加熱して触媒作用が可能な状態にしておき、保護
膜用の窒化シリコン膜及びゲート絶縁膜用の酸化シリコ
ン膜、ポリシリコン膜、保護膜用の酸化シリコン膜を成
膜する。基板10の材質,大きさ等は、上記具体的実施
例1と同様の基準により選択される。
【0355】上記ボトムゲート型ポリシリコンCMOS
TFTの作製工程についてさらに詳細に説明する。ま
ず、第1工程で、基板10の少なくともTFT領域に、
モリブデン/タンタル合金のスパッタ膜300〜400
(nm)を形成する。
【0356】まず、チャンバ1内に基板10およびモリ
ブデン/タンタルからなる合金ターゲット4を設置し、
排気系1aを動作させてチャンバ1内を所定圧力10
−4〜10−5Paになるまで排気するとともに、サセ
プタ2に内蔵されたヒータ2aを動作させて基板10を
所定温度(200〜550℃)まで加熱する。次いで、
チャンバ1内に水素ガスを供給する。水素ガスは、熱触
媒体5との接触により活性化されて、一部が活性化水素
イオンHとなり、基板10の表面のクリーニングがな
される。
【0357】次に、厚さ300〜400(nm)のモリ
ブデン/タンタル合金膜216を、上記具体的実施例1
の第7工程と同様の手順により成膜する。その後、汎用
フォトリソグラフィ及びエッチング技術により、20〜
45度のテーパーエッチングを施し、ボトムゲート電極
を形成する。
【0358】次いで、第2工程〜第6工程で、第1〜第
4チャンバを備えるマルチチャンバ1内において、図1
8に示すガス導入態様により、保護膜用の窒化シリコン
膜及びゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜、ポリシリコン
膜、保護膜用の酸化シリコン膜を成膜する。
【0359】第2工程では、排気系1aを動作させてマ
ルチチャンバ1内を所定圧力10 〜10−5Paま
で排気するとともに、サセプタ2に内蔵されたヒータ2
aを動作させて、基板10を所定温度200〜550℃
まで加熱する。
【0360】次いで、第3工程で、図18に示すガス導
入形態により、第1のチャンバ内で50〜100(n
m)の厚さの保護膜用の窒化シリコン膜を成膜する。こ
のとき、ターゲット4として、窒化シリコンからなるタ
ーゲット4を用いる。
【0361】次に、基板10を、第2のチャンバに移送
し、第4工程では、図18に示すガス導入態様により、
50〜100(nm)の厚さのボトムゲート絶縁膜用の
酸化シリコン膜212を形成する。
【0362】次に、基板10を、第3のチャンバに移送
し、第5工程では、図18に示すガス導入態様により、
シリコンからなるターゲットを用い、50〜100(n
m)の厚さのポリシリコン膜213を形成する。
【0363】次に、基板10を、第4のチャンバに移送
し、第6工程として、保護膜用の酸化シリコン膜を成膜
する。成膜後は、窒素ガスを導入してチャンバ1内の真
空を破り、基板10を取り出す。
【0364】こうして、絶縁基板10上に保護膜の窒化
シリコン膜およびボトムゲート絶縁膜の酸化シリコン
膜,ポリシリコン膜,保護膜の酸化シリコン膜を成膜す
る。次いで、前記具体的実施例1と同様な方法で、ポリ
シリコン層をチャンネル,ソース,ドレイン領域とする
MOSTFTの作製を行う。
【0365】(具体的実施例3)具体的な実施例3とし
て、デュアルゲート型ポリシリコンCMOSTFT製法
の実施例について説明する。デュアルゲート型ポリシリ
コンCMOSTFTは、基板上の少なくともTFT作製
領域に、耐熱性の高いモリブデン/タンタル合金のスパ
ッタ膜を300〜400(nm)厚程度形成し、ボトム
ゲート電極を形成する。ボトムゲート電極には、汎用フ
ォトリソグラフイ及びエッチング技術により、20〜4
5度のテーパーエッチングを施す。
【0366】次に、触媒スパッタリング法により、保護
膜用の窒化シリコン膜及びボトムゲート絶縁膜用の酸化
シリコン膜、ポリシリコン膜、トップゲート絶縁膜用の
酸化シリコン膜及び窒化シリコン膜を成膜する。基板1
0の材質,大きさ等は、上記具体的実施例1と同様の基
準により選択される。
【0367】次に、デュアルゲート型ポリシリコンCM
OSTFTの作製工程について説明する。まず、第1工
程で、基板10の少なくともTFT領域に、上記具体的
実施例1の第7工程と同様の手順により、モリブデン/
タンタル合金のスパッタ膜300〜400(nm)を形
成する。そして汎用フォトリソグラフィ及びエッチング
技術により、20〜45度のテーパーエッチングを施
し、ボトムゲート電極を形成する。
【0368】次いで、第2工程乃至第6工程で、上記具
体的実施例2の第2工程乃至第6工程と同様の手順によ
り、基板10上に保護膜用の窒化シリコン膜(50〜1
00(nm)),ボトムゲート絶縁膜用の酸化シリコン
膜(50〜100(nm)),ポリシリコン膜(50〜
100(nm)),トップゲート絶縁膜用の酸化シリコ
ン膜(50〜100(nm))を成膜する。
【0369】次いで、第7工程として、上記トップゲー
ト絶縁膜用の酸化シリコン膜に、上記具体的実施例1の
第7工程と同様の手順により、上記モリブデン/タンタ
ル合金の触媒スパッタ膜を形成して、汎用フォトリソグ
ラフィ及びエッチング技術によりトップゲート電極を形
成する。次いで、前記具体的実施例1と同様な方法で、
ポリシリコン層をチャンネル,ソース,ドレイン領域と
するMOSTFTの作製を行う。
【0370】(具体的実施例4)具体的な実施例4とし
て、トップゲート型単結晶シリコンCMOSTFT製法
の実施例を示す。トップゲート型単結晶シリコンCMO
STFTを作製するため、基板10の少なくともTFT
形成領域に適当な形状,寸法の段差を形成し、触媒スパ
ッタリング法により半導体膜(単結晶シリコン膜)とゲ
ート絶縁膜(酸化シリコン膜)を成膜させて、段差をシ
ードにグラフォエピタキシャル成長させる。基板10の
材質,大きさ等は、上記具体的実施例1と同様の基準に
より選択される。
【0371】次に、第1工程〜第13工程からなるトッ
プゲート型単結晶シリコンCMOSTFTの作製工程に
ついて説明する。まず、第1工程で、図47に示すよう
に、基板10の一主面に、フォトレジストr1を所定パ
ターンに形成し、これをマスクとして、例えば、四フッ
化炭素(CF)プラズマのFイオンを照射し、リア
クティブイオンエッチング(RIE)によって、基板1
0に段差10aを複数個形成する。この場合、段差21
0aは、後述する単結晶シリコンのグラフォエピタキシ
ャル成長時のシードとなるものであって、例えば、深さ
d100〜300nm、幅w5.0〜10.0μmに形
成される。
【0372】次いで、第2工程で、図48に示すよう
に、基板10上に単結晶シリコン膜を形成する。単結晶
シリコン膜は、シリコンからなるターゲット4を用い、
図10に示すガス導入態様により、上述の実施例1のポ
リシリコン膜形成の場合と同様の手順により形成する。
このときに、段差210aをシードにグラフォエピタキ
シャル成長させて、単結晶シリコン膜222を数μm〜
0.005μm(例えば50〜100nm)の厚みに、
エピタキシャル成長させる。
【0373】基板10上に堆積した単結晶シリコン膜2
22は、エピタキシャル成長したものであるが、これ
は、グラフォエピタキシーと称される公知の現象による
ものを、触媒スパッタリングに適用したものである。上
記段差210aの形状を種々に変えることによって、成
長層の結晶方位を制御することができる。
【0374】単結晶シリコン膜222が形成されたら、
図49に示すように、第3工程として、図14に示すガ
ス導入態様により、実施例1に示す手順でゲート絶縁膜
用の酸化シリコン膜223を成膜する。
【0375】こうして、触媒スパッタリングとグラフォ
エピタキシーによって、基板10上に単結晶シリコン膜
222を堆積させる。次いで、単結晶シリコン膜をチャ
ンネル領域とするMOSTFTの作製を行う。
【0376】第4工程として、図50に示すように、N
チャンネルMOSTFT用のチャンネル領域の不純物濃
度を制御するために、PチャンネルMOSTFTをフォ
トレジストr2でマスクし、P型不純物イオン(例え
ば、ボロンイオンB)を、例えば、10〜20keV
で2〜3×1011atoms/cmのドーズ量で打
ち込み、単結晶シリコン膜の導電型をP型化したシリコ
ン層l1とする。
【0377】次いで、第5工程として、図51に示すよ
うに、PチャンネルMOSTFT用のチャンネル領域の
不純物濃度を制御するために、今度は、NチャンネルM
OSTFTをフォトレジストr3でマスクし、N型不純
物イオン(例えば、リンイオンP)を、例えば、10
〜20keVで1〜2×1011atoms/cm
ドーズ量で打ち込み、単結晶シリコン膜のN型化したシ
リコン層l2とする。
【0378】次いで、第6工程で、図52に示すよう
に、上記具体的実施例1の第7工程と同様の手順によ
り、ゲート電極材料としてのモリブデン/タンタル合金
膜224を、厚さ400(nm)に堆積させる。
【0379】次いで、第7工程では、図53に示すよう
に、フォトレジストr4を所定パターンに形成し、これ
をマスクにして、モリブデン/タンタル合金膜224を
ゲート電極225の形状にパターンエッチングし、フォ
トレジストr4を除去する。
【0380】次いで、第8工程では、図54に示すよう
に、PチャンネルMOSTFT及びゲート電極225を
フォトレジストr5でマスクし、N型不純物である、例
えば、Asイオンを、例えば、20〜30keVで1
〜2×1015atoms/cmのドーズ量でイオン
注入しフォトレジスト除去後に、N中約1000℃で
約20秒間のRTA(Rapid Thermal A
nneal)で活性化し、NチャンネルMOSTFTの
型ソース領域S及びドレイン領域Dをそれぞれ
形成する。
【0381】次いで、第9工程では、図55に示すよう
に、NチャンネルMOSTFT及びゲート電極225を
フォトレジストr6でマスクし、P型不純物である、例
えば、Bイオンを、例えば、10〜20keVで1〜
2×1015atoms/cmのドーズ量でイオン注
入しフォトレジスト除去後に、N中約1000℃で約
20秒間のRTA(Rapid Thermal An
neal)で活性化し、PチャンネルMOSTFTのP
型ソース領域S及びドレイン領域Dをそれぞれ形
成する。なお、このRTA処理はNチャンネルMOST
FTの活性化を一緒にしてもよい。
【0382】次いで、第10工程では、図56に示すよ
うに、全面に本発明の触媒スパッタリング法によって、
酸化シリコン膜227を、例えば50〜100(nm)
厚、リンシリケートガラス(PSG)膜228を、例え
ば200〜300(nm)厚、窒化シリコン膜229
を、例えば、150〜200(nm)厚に成膜する。こ
のとき、酸化シリコン膜227は、図14に示すガス導
入態様により、上記実施例1の手順で成膜する。また、
PSG膜228は、PSGからなるターゲット4を用
い、図10に示すガス導入態様により、上記実施例1の
手順で成膜する。窒化シリコン膜229は、図12に示
すガス導入態様により、上記実施例1の手順で成膜す
る。
【0383】次いで、第11工程では、図57に示すよ
うに、絶縁膜の所定位置にコンタクト窓開けを行い、各
ホールを含む全面に、アルミニウムなどの電極材料を本
発明の触媒スパッタリング法等によって150℃で1μ
mの厚みに堆積し、これをパターンエッチングして、P
チャンネルMOSTFT及びNチャンネルMOSTFT
の、それぞれのソース又はドレイン電極S又はDとゲー
ト取出し電極又は配線Gを形成し、フォーミングガス
(N+H)中400℃1hでシンター処理してオー
ミックコンタクトと表面準位を改善し、各MOSTFT
を完成する。
【0384】(具体的実施例5)具体的な実施例5とし
て、ボトムゲート型単結晶シリコンCMOSTFT製法
の実施例を示す。ボトムゲート型単結晶シリコンCMO
STFTを作製するため、基板の少なくともTFT形成
領域に、本発明の触媒スパッタリング法により、耐熱性
の高いモリブデン/タンタル合金のスパッタ膜(300
〜400(nm)厚)を形成し、ボトムゲート電極を形
成する。ボトムゲート電極には、汎用フォトリソグラフ
イ及びエッチング技術により、20〜45度のテーパー
エッチングを施す。
【0385】また、基板の少なくともTFT形成領域に
適当な形状,寸法の段差を形成し、触媒スパッタリング
法により、熱触媒体を加熱して触媒作用が可能な状態に
しておき、半導体膜(ポリシリコン膜,アモルファスシ
リコン膜等)とゲート絶縁膜を連続成膜させて、段差を
シードにグラフォエピタキシャル成長させて、単結晶シ
リコン膜を成膜させる。基板10の材質,大きさ等は、
上記具体的実施例1と同様の基準により選択される。
【0386】上記ボトムゲート型単結晶シリコンCMO
STFTの作製工程について、さらに詳細に説明する。
まず、第1工程で、基板10の少なくともTFT領域
に、上記具体的実施例1の第7工程と同様の手順によ
り、モリブデン/タンタル合金のスパッタ膜300〜4
00(nm)を形成する。そして、汎用フォトリソグラ
フィ及びエッチング技術により、20〜45度のテーパ
ーエッチングを施し、ボトムゲート電極を形成する。
【0387】次いで、図12に示すガス導入態様によ
り、上述の実施例1と同様の手順で、50〜200(n
m)厚さの保護膜用の窒化シリコン膜を形成する。次い
で、図14に示すガス導入態様により、上述の実施例1
と同様の手順で、50〜100(nm)厚さのボトムゲ
ート絶縁膜用の酸化シリコン膜を形成する。
【0388】次いで、基板10の一主面に、フォトレジ
ストを所定パターンに形成し、これをマスクとして、例
えば、CFプラズマのFイオンを照射し、リアクテ
ィブイオンエッチング(RIE)によって、基板10に
深さd50〜200nm、幅w2〜3μmの段差10a
を複数個形成する。
【0389】フォトレジストの除去後に、本発明の触媒
スパッタリング法により、基板10上に単結晶シリコン
膜を成膜する。単結晶シリコン膜は、シリコンからなる
ターゲット4を用い、図10に示すガス導入態様によ
り、上述の実施例1のポリシリコン膜形成の場合と同様
の手順により形成する。このときに、段差10aをシー
ドにグラフォエピタキシャル成長させて、単結晶シリコ
ン膜を数μm〜0.005μm(例えば50〜100n
m)の厚みに、エピタキシャル成長させる。単結晶シリ
コン膜が形成されたら、図14に示すガス導入態様によ
り、実施例1に示す手順で保護膜用の酸化シリコン膜を
成膜する。
【0390】こうして、触媒スパッタリング法とグラフ
ォエピタキシーによって、基板10上に単結晶シリコン
膜を堆積させる。次いで、前記具体的実施例4と同様な
方法で、単結晶シリコン膜をチャンネル,ソース,ドレ
イン領域とするMOSTFTの作製を行う。
【0391】なお、本例ではボトムゲート電極を作製し
ているため、MOSTFTの作製において、具体的実施
例4の第6工程で行うゲート電極層の形成と、第7工程
で行うゲート電極形状の形成は、不要となる。
【0392】(具体的実施例6)具体的な実施例6とし
て、デュアルゲート型単結晶シリコンCMOSTFT製
法の実施例について説明する。デュアルゲート型単結晶
シリコンCMOSTFTは、基板10上の少なくともT
FT作製領域に、モリブデン/タンタル合金のスパッタ
膜を300〜400(nm)厚程度形成し、ボトムゲー
ト電極を形成する。
【0393】ボトムゲート電極には、汎用フォトリソグ
ラフイ及びエッチング技術により、20〜45度のテー
パーエッチングを施す。さらに、基板10の少なくとも
TFT形成領域に、適当な形状,寸法の段差を形成し、
触媒スパッタリング法により、熱触媒体を加熱して触媒
作用が可能な状態にしておき、半導体膜(ポリシリコン
膜,アモルファスシリコン膜等)とゲート絶縁膜を成膜
させて、段差をシードにグラフォエピタキシャル成長さ
せて単結晶シリコン膜を形成する。このように、少なく
とも、ポリシリコン膜とゲート絶縁膜用の酸化シリコン
膜とを成膜するときには、連続成膜するものとする。基
板10の材質,大きさ等は、上記具体的実施例1と同様
の基準により選択される。
【0394】上記デュアルゲート型単結晶シリコンCM
OSTFTの作製工程について、さらに詳細に説明す
る。第1工程で、基板10の少なくともTFT領域に、
上記具体的実施例1の第7工程と同様の手順により、モ
リブデン/タンタル合金のスパッタ膜を300〜400
(nm)形成する。そして、汎用フォトリソグラフィ及
びエッチング技術により、20〜45度のテーパーエッ
チングを施し、ボトムゲート電極を形成する。
【0395】次いで、第2工程で、図12に示すガス導
入態様により、上述の実施例1に示す手順で50〜20
0(nm)厚さの保護膜用の窒化シリコン膜を形成す
る。
【0396】次いで、第3工程では、図14に示すガス
導入態様により、実施例1に示す手順で50〜100
(nm)厚さのゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜を成膜
する。次いで、基板10の一主面に、フォトレジストを
所定パターンに形成し、これをマスクとして、例えば、
四フッ化炭素(CF)プラズマのFイオンを照射
し、リアクティブイオンエッチング(RIE)によっ
て、基板10に深さd50〜100nm、幅w2〜3μ
mの段差10aを複数個形成する。
【0397】フォトレジストの除去後に、本発明の触媒
スパッタリング法により、基板10上に単結晶シリコン
膜を成膜する。単結晶シリコン膜は、シリコンからなる
ターゲット4を用い、図10に示すガス導入態様によ
り、上述の実施例1のポリシリコン膜形成の場合と同様
の手順により形成する。このときに、段差10aをシー
ドにグラフォエピタキシャル成長させて、単結晶シリコ
ン膜を数μm〜0.005μm(例えば50〜100n
m)の厚みに、エピタキシャル成長させる。単結晶シリ
コン膜が形成されたら、図14に示すガス導入態様によ
り、実施例1に示す手順で保護膜用の酸化シリコン膜を
成膜する。
【0398】単結晶シリコン膜が形成されたら、連続し
て触媒スパッタリング法により、図14に示すガス導入
態様により実施例1に示す手順で、トップゲート絶縁膜
用の酸化シリコン膜を成膜する。
【0399】次いで、上記絶縁膜用の酸化シリコン膜或
いは窒化シリコン膜に、本発明の触媒スパッタリング法
により、上記具体的実施例1の第7工程と同様の手順
で、モリブデン/タンタル合金のスパッタ膜を形成し
て、汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術により
トップゲート電極を形成する。
【0400】こうして、触媒スパッタリング法とグラフ
ォエピタキシーによって、基板10上に単結晶シリコン
膜を堆積させる。次いで、前記具体的実施例4と同様な
方法で、単結晶シリコン膜をチャンネル,ソース,ドレ
イン領域とするMOSTFTの作製を行う。
【0401】(具体的実施例7)具体的な実施例7とし
て、単結晶シリコン膜をヘテロエピタキシャル成長によ
り形成して得た、トップゲート型単結晶シリコンCMO
STFT製法の実施例を示す。本例のトップゲート型単
結晶シリコンCMOSTFTを作製するため、基板10
の少なくともTFT形成領域に、触媒スパッタリング法
により、単結晶半導体(単結晶シリコン等)と格子整合
の良い物質層(結晶性サファイア膜等)を形成し、半導
体膜(ポリシリコン膜,アモルファスシリコン膜等)と
ゲート絶縁膜を成膜させて、前記格子整合の良い物質を
シードにヘテロエピタキシャル成長させる。基板10の
材質,大きさ等は、上記具体的実施例1と同様の基準に
より選択される。
【0402】上記、第1工程〜第13工程からなるトッ
プゲート型単結晶シリコンCMOSTFTの作製工程に
ついて、さらに詳細に説明する。まず、第1工程で、本
発明の触媒スパッタリング法により、図12に示すガス
導入態様で、上述の実施例1に示す手順により、50〜
200(nm)厚さの保護膜用の窒化シリコン膜を形成
する。次いで、第2工程で、本発明の触媒スパッタリン
グ法により、結晶性サファイア薄膜(厚さ5〜200
(nm))250を形成する。結晶性サファイア薄膜2
50は、単結晶サファイアをターゲット4とし、図14
に示すガス導入態様により、上述の実施例1の酸化シリ
コンを成膜する場合と同様の手順で作製する。
【0403】次いで、第3工程で、単結晶シリコン膜2
22を形成する。単結晶シリコン膜222は、シリコン
からなるターゲット4を用い、図10に示すガス導入態
様により、上述の実施例1のポリシリコン膜形成の場合
と同様の手順により形成する。このときに、図59に示
すように、結晶性サファイア薄膜250上に、全面に単
結晶シリコン膜222を、0.005μm〜数μm(例
えば、50〜100nm)の厚みに、エピタキシャル成
長させる。
【0404】このようにして、シリコンは、結晶性サフ
ァイア薄膜250をシード(種)としてヘテロエピタキ
シャル成長し、厚さ、例えば、50〜100nm程度の
単結晶シリコン膜222として析出する。この場合、サ
ファイアは、単結晶シリコンと格子定数が殆ど同じであ
るので、シリコンは、結晶性サファイア薄膜250上に
エピタキシー成長する。
【0405】単結晶シリコン膜22が形成されたら、図
60に示すように、第4工程として、図14に示すガス
導入態様により、実施例1に示す手順でゲート絶縁膜用
の酸化シリコン膜223を成膜する。
【0406】こうして、触媒スパッタリング法とヘテロ
エピタキシーによって、基板10上に単結晶シリコン膜
222を堆積させる。次いで、単結晶シリコン膜をチャ
ンネル領域とするMOSTFTの作製を行う。
【0407】第5工程として、図61に示すように、N
チャンネルMOSTFT用のチャンネル領域の不純物濃
度を制御するために、PチャンネルMOSTFTをフォ
トレジストr1でマスクし、P型不純物イオン(例え
ば、ボロンイオンB)を、例えば、10〜20keV
で2〜3×1011atoms/cmのドーズ量で打
ち込み、単結晶シリコン膜の導電型をP型化したシリコ
ン層l1とする。
【0408】次いで、第6工程として、図62に示すよ
うに、PチャンネルMOSTFT用のチャンネル領域の
不純物濃度を制御するために、今度は、NチャンネルM
OSTFTをフォトレジストr2でマスクし、N型不純
物イオン(例えば、リンイオンP)を、例えば、10
〜20keVで1〜2×1011atoms/cm
ドーズ量で打ち込み、単結晶シリコン膜のN型化したシ
リコン層l2とする。
【0409】次いで、第7工程では、図63に示すよう
に、ゲート電極材料としてのモリブデン/タンタル合金
膜224を、本発明の触媒スパッタリング法によって、
上記具体的実施例1の第7工程と同様の手順で、厚さ4
00(nm)に堆積させる。
【0410】次いで、第8工程では、図64に示すよう
に、フォトレジストr3を所定パターンに形成し、これ
をマスクにして、モリブデン/タンタル合金膜224を
ゲート電極225の形状にパターンエッチングし、フォ
トレジストr3を除去する。
【0411】次いで、第9工程では、図65に示すよう
に、PチャンネルMOSTFT及びゲート電極25をフ
ォトレジストr4でマスクし、N型不純物である、例え
ば、Asイオンを、例えば、20〜30keVで1〜
2×1015atoms/cmのドーズ量でイオン注
入しフォトレジスト除去後に、N中約1000℃で約
20秒間のRTA(Rapid Thermal An
neal)で活性化し、NチャンネルMOSTFTのN
型ソース領域S及びドレイン領域Dをそれぞれ形
成する。
【0412】次いで、第10工程では、図66に示すよ
うに、NチャンネルMOSTFT及びゲート電極225
をフォトレジストr5でマスクし、P型不純物である、
例えば、Bイオンを、例えば、10〜20keVで1
〜2×1015atoms/cmのドーズ量でイオン
注入しフォトレジスト除去後に、N中約1000℃で
約20秒間のRTA(Rapid Thermal A
nneal)で活性化し、PチャンネルMOSTFTの
型ソース領域S及びドレイン領域Dをそれぞれ
形成する。なお、このRTA処理はNチャンネルMOS
TFTの活性化を一緒にしてもよい。
【0413】次いで、第11工程では、図67に示すよ
うに、本発明の触媒スパッタリング法により全面、酸化
シリコン膜227を、例えば50〜100(nm)厚、
リンシリケートガラス(PSG)膜228を、例えば2
00〜300(nm)厚、窒化シリコン膜229を、例
えば、150〜200(nm)厚に成膜する。
【0414】次いで、第12工程では、図68に示すよ
うに、絶縁膜の所定位置にコンタクト窓開けを行い、各
ホールを含む全面に、アルミニウムなどの電極材料を本
発明の触媒スパッタリング法等によって150℃で1μ
mの厚みに堆積し、これをパターニングして、Pチャン
ネルMOSTFT及びNチャンネルMOSTFTの、そ
れぞれのソース又はドレイン電極S又はDとゲート取出
し電極又は配線Gを形成し、フォーミングガス(N
)中400℃1hでシンター処理してオーミックコ
ンタクトと表面準位を改善し、各MOSTFTを完成す
る。
【0415】(具体的実施例8)具体的な実施例8とし
て、単結晶半導体膜をヘテロエピタキシャル成長により
形成して得た、ボトムゲート型単結晶シリコンCMOS
TFT製法の実施例を示す。ボトムゲート型単結晶シリ
コンCMOSTFTを作製するため、基板10の少なく
ともTFT形成領域に、モリブデン/タンタル合金のス
パッタ膜(300〜400(nm)厚)を形成し、ボト
ムゲート電極を形成する。ボトムゲート電極には、汎用
フォトリソグラフイ及びエッチング技術により、20〜
45度のテーパーエッチングを施す。
【0416】また、基板10の少なくともTFT形成領
域に、触媒スパッタリング法により、熱触媒体を加熱し
て触媒作用が可能な状態にしておき、単結晶半導体(単
結晶シリコン等)と格子整合の良い物質層(結晶性サフ
ァイア膜等)を形成し、半導体膜(ポリシリコン膜,ア
モルファスシリコン膜等)とゲート絶縁膜を成膜させ
て、前記格子整合の良い物質をシードにヘテロエピタキ
シャル成長させて単結晶半導体を形成する。このよう
に、少なくとも、ポリシリコン膜とゲート絶縁膜用の酸
化シリコン膜とを成膜するときには、連続成膜するもの
とする。基板10の材質,大きさ等は、上記具体的実施
例1と同様の基準により選択される。
【0417】次に、ボトムゲート型単結晶シリコンCM
OSTFTを作製する場合について、単結晶シリコン膜
の形成過程について説明する。まず、第1工程で、基板
10の少なくともTFT領域に、本発明の触媒スパッタ
リング法により、上記具体的実施例1の第7工程と同様
の手順で、モリブデン/タンタル合金のスパッタ膜30
0〜400(nm)を形成する。そして、汎用フォトリ
ソグラフィ及びエッチング技術により、20〜45度の
テーパーエッチングを施し、ボトムゲート電極を形成す
る。
【0418】次いで、第2工程で、本発明の触媒スパッ
タリング法により、図12に示すガス導入態様で、上述
の実施例1に示す手順で、50〜200(nm)厚さの
保護膜用の窒化シリコン膜を形成する。
【0419】次いで、第3工程では、本発明の触媒スパ
ッタリング法により、図14に示すガス導入態様によ
り、実施例1に示す手順で50〜100(nm)厚さの
ボトムゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜を形成する。次
いで、第4工程では、チャンバ1において、単結晶半導
体(単結晶シリコン)と格子整合の良い物質層(結晶性
サファイア膜等)を形成する。すなわち、基板10の一
主面に、本発明の触媒スパッタリング法により、結晶性
サファイア薄膜(厚さ5〜200(nm))を形成す
る。
【0420】次いで、第5工程で、本発明の触媒スパッ
タリング法により、単結晶シリコン膜を形成する。結晶
性サファイア薄膜上に、全面に単結晶シリコン膜を、
0.005μm〜数μm(例えば、50〜100nm)
の厚みにヘテロエピタキシャル成長させる。
【0421】このようにして、シリコンは、サファイア
薄膜をシード(種)としてヘテロエピタキシャル成長
し、厚さ、例えば、50〜100nm程度の単結晶シリ
コン膜として析出する。この場合、サファイアは、単結
晶シリコンと格子定数が殆ど同じであるので、シリコン
は、サファイア薄膜上にエピタキシー成長する。
【0422】単結晶シリコン膜が形成されたら、第7工
程として、本発明の触媒スパッタリング法により、保護
膜用の酸化シリコン膜を連続成膜する。こうして、本発
明の触媒スパッタリング法とヘテロエピタキシーによっ
て、基板10上に単結晶シリコン膜を堆積させる。次い
で、前記具体的実施例7と同様な方法で、単結晶シリコ
ン膜をチャンネル,ソース,ドレイン領域とするMOS
TFTの作製を行う。
【0423】(具体的実施例9)具体的な実施例9とし
て、単結晶シリコン膜をヘテロエピタキシャル成長によ
り形成して得た、デュアルゲート型単結晶シリコンCM
OSTFT製法の実施例について説明する。デュアルゲ
ート型単結晶シリコンCMOSTFTは、基板10上の
少なくともTFT作製領域に、触媒スパッタリング法に
より、モリブデン/タンタル合金のスパッタ膜を300
〜400(nm)厚程度形成し、ボトムゲート電極の形
成、基板の活性化水素イオンHでのクリーニング、保
護膜用の窒化シリコン膜の形成、ボトムゲート絶縁膜用
の酸化シリコン膜の形成、単結晶半導体(単結晶シリコ
ン等)と格子整合の良い物質層(結晶性サファイア膜
等)の形成、この物質層上の全面に単結晶シリコン膜を
所定の厚みにヘテロエピタキシャル成長、トップゲート
絶縁膜用の酸化シリコン膜の成膜、必要に応じて保護膜
用の窒化シリコン膜の形成、トップゲート電極の形成等
から構成される。このとき、基板10の少なくともTF
T形成領域に、触媒スパッタリング法により、単結晶半
導体(単結晶シリコン等)と格子整合の良い物質層(結
晶性サファイア膜等)を形成し、半導体膜(ポリシリコ
ン,アモルファスシリコン膜等)とゲート絶縁膜を成膜
させて、前記格子整合の良い物質をシードにヘテロエピ
タキシャル成長させる。基板10の材質,大きさ等は、
上記具体的実施例1と同様の基準により選択される。
【0424】上記デュアルゲート型単結晶シリコンCM
OSTFTの作製工程について、さらに詳細に説明す
る。第1工程で、基板10の少なくともTFT領域に、
本発明の触媒スパッタリング法により、上記具体的実施
例1の第7工程と同様の手順で、モリブデン/タンタル
合金のスパッタ膜を300〜400(nm)形成する。
そして、汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術に
より、20〜45度のテーパーエッチングを施し、ボト
ムゲート電極を形成する。
【0425】次いで、第2工程で、本発明の触媒スパッ
タリング法により、図12に示すガス導入態様で、上述
の実施例1に示す手順で、50〜200(nm)厚さの
保護膜用の窒化シリコン膜を形成する。
【0426】次いで、第3工程では、本発明の触媒スパ
ッタリング法により、図14に示すガス導入態様で、実
施例1に示す手順で、50〜100(nm)厚さのボト
ムゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜を形成する。
【0427】次いで、第4工程では、チャンバ1におい
て、単結晶半導体(単結晶シリコン等)と格子整合の良
い物質層(結晶性サファイア膜等)を形成する。すなわ
ち、基板10の一主面に、本発明の触媒スパッタリング
法により結晶性サファイア薄膜(厚さ5〜200(n
m))を形成する。結晶性サファイア薄膜は、単結晶サ
ファイアをターゲット4とし、図14に示すガス導入態
様により、上述の実施例1で酸化シリコンを成膜する場
合と同様の手順で作製する。
【0428】次いで、第5工程で、単結晶シリコン膜
は、シリコンからなるターゲット4を用い、本発明の触
媒スパッタリング法により、図10に示すガス導入態様
により、上述の実施例1のポリシリコン膜形成の場合と
同様の手順により形成する。触媒スパッタリング法によ
って、結晶性サファイア薄膜上に、全面に単結晶シリコ
ン膜を、0.005μm〜数μm(例えば、50〜10
0nm)の厚みにヘテロエピタキシャル成長させる。
【0429】このようにして、シリコンは、結晶性サフ
ァイア薄膜をシード(種)としてヘテロエピタキシャル
成長し、厚さ、例えば、50〜100nm程度の単結晶
シリコン膜として析出する。この場合、サファイアは、
単結晶シリコンと格子定数が殆ど同じであるので、シリ
コンは、結晶性サファイア薄膜上にエピタキシー成長す
る。
【0430】単結晶シリコン膜が形成されたら、第6工
程として、本発明の触媒スパッタリング法により、図1
4に示すガス導入態様により、実施例1に示す酸化シリ
コン膜作成手順で、ゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜を
成膜する。第7工程では、上記絶縁膜用の酸化シリコン
膜或いは窒化シリコン膜に、本発明の触媒スパッタリン
グ法によって、上記具体的実施例1の第7工程と同様の
手順で、モリブデン/タンタル合金のスパッタ膜を形成
して、汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術によ
りトップゲート電極を形成する。
【0431】こうして、触媒スパッタリング法とヘテロ
エピタキシーによって、基板10上に単結晶シリコン膜
を堆積させる。必要に応じて、第2工程から第7工程ま
で、つまり窒化シリコン膜,ボトムゲート酸化シリコン
膜,結晶性サファイア膜,単結晶シリコン膜,トップゲ
ート絶縁膜の酸化シリコン膜を同一薄膜形成装置のマル
チチャンバーで連続成膜してもよいが、少なくともボト
ムゲート絶縁膜の酸化シリコン膜,結晶性サファイア
膜,単結晶シリコン膜,トップゲート絶縁膜の酸化シリ
コン膜に連続成膜するのが特性,品質面で良好である。
次いで、前記具体的実施例1と同様な方法で、単結晶シ
リコン膜をチャンネル,ソース,ドレイン領域とするM
OSTFTの作製を行う。
【0432】
【発明の効果】本発明の薄膜形成方法および薄膜形成装
置によれば、触媒スパッタリング法で基板に薄膜を形成
するときに、基板上に高品質な薄膜を形成することが可
能となる。また高品質で且つ大型の表示装置にも適用可
能な薄膜を形成することが可能となる。さらに、高品質
な薄膜の形成を可能とするとともに、熱触媒体の劣化を
防ぐことが可能となる。
【0433】すなわち、スパッタリング時に、水素ガス
または酸素ガスを真空容器内に導入することによって、
熱触媒体による熱分解反応および触媒反応により活性化
酸素イオンOまたは活性化水素イオンHを発生さ
せ、ターゲットおよび基板表面がクリーニングされるよ
うに構成されているので、基板上に高品質の薄膜を形成
することができる。また、酸化シリコン膜とポリシリコ
ン膜または単結晶シリコン膜の界面にアモルファスシリ
コンの遷移層が形成されず、高品質なポリシリコンまた
は単結晶シリコン薄膜層を形成することが可能となる。
さらに、水素を含むガスが基板の成膜中に導入されてい
るので、熱触媒体を他のガスの影響から保護することに
なり熱触媒体の劣化を防ぐことが可能となる。
【0434】そして、本発明の薄膜形成方法および薄膜
形成装置では、成膜するごとにターゲットおよび基板表
面にクリーニングを施すため、安定したスパッタリング
および膜間のストレス低減を図ることができ、高品質な
薄膜層を得ることが可能となる。
【0435】また、本発明の薄膜形成方法によれば、金
属窒化物膜、導電性窒化膜を形成するときに窒素ガスを
導入することにより、導入された窒素ガスの一部が、熱
触媒体による熱分解反応および触媒反応により活性化窒
素イオンNとなり、この活性化窒素イオンNによ
り、窒化作用が促進されるため、窒素イオン欠乏による
変質が防止され、本来の金属窒化物膜または導電性窒化
膜の特性を有する膜を得ることができる。
【0436】また、本発明の薄膜形成方法によれば、金
属酸化物膜、高誘電率膜、強誘電体膜を形成するときに
酸素ガスを導入することにより、導入された酸素ガスの
一部が、熱触媒体による熱分解反応および触媒反応によ
り活性化酸素イオンOとなり、この活性化酸素イオン
により、ターゲットから飛来する薄膜原料原子また
は分子が、酸化作用を受けるため、絶縁性が高く,高性
能・高品質の金属酸化物膜、高誘電率膜、強誘電体膜を
堆積することが可能となる。
【0437】本発明の薄膜形成方法によれば、ガス制御
手段によって、前記酸素ガス,前記水素ガス,前記窒素
ガスの少なくとも一種のガスの供給を増減させるように
構成しているので、真空容器中において、スパッタリン
グに用いるアルゴンガス等の不活性ガスの割合が高くな
り、基板への薄膜形成が高速で行われ作業性向上および
コストダウンを図ることが可能となる。
【0438】本発明の薄膜形成方法によれば、熱触媒体
を、金属、またはセラミックスまたは炭化ケイ素を芯と
して金属をコーティングしたものとし、薄膜の形成開始
前および形成終了後には、前記熱触媒体を、前記熱触媒
体の金属の融点未満の温度とし、前記薄膜の形成中に
は、前記熱触媒体の金属による蒸着可能な温度としてい
るので、基板上に、ターゲット材料だけでなく、熱触媒
体に含まれる金属をも堆積させることが可能となる。
【0439】さらに、本発明に係る触媒スパッタリング
法による薄膜形成方法及び薄膜形成装置によれば、基板
とターゲットとの間に熱触媒体を配置しているため、熱
触媒体が、スパッタリングにより飛来してくるターゲッ
ト材の分子,原子に高いエネルギーを付与し、またその
輻射熱で基板表面温度を昇温させる。したがって、基板
表面での原子、分子の泳動が大きくなり、基板表面に凹
凸形状があっても、ステップカバレージの良い薄膜が形
成でき、選択比の大きいホールの埋め込みが可能とな
る。
【0440】また、選択する条件によっては、基板裏面
からの加熱装置が不要となるため、基板裏面の加熱装置
を備えない安価な装置を実現することができる。また、
2次電子や反跳(中性)アルゴンは、加熱触媒体により
トラップされ、基板への到達が低減させるため、基板の
衝撃が低減され、MOS界面の放射線損傷低減による歩
留及び品質向上が実現される。さらに、熱触媒体による
基板加熱の効率が高いので、生産性が高くコストダウン
が出来る。
【0441】また、スパッタリング中に、熱触媒体の輻
射熱でターゲット表面温度が上昇し、スパッタリング成
膜速度が向上するため、スパッタリングパワーをセーブ
でき、生産性向上およびコストダウンが図られる。
【0442】本発明に係る薄膜半導体装置によれば、ゲ
ート絶縁膜とシリコン膜を成膜する際に、活性化水素イ
オンHにさらす処理をするため、水素アニール効果に
より、界面準位密度の低い半導体−絶縁体接合構造の高
品質半導体装置を製造することが可能となる。
【0443】このために、トップゲート型のみならず、
ボトムゲート型、デュアルゲート型TFTでも、高い移
動度のポリシリコン膜及び単結晶シリコン膜が得られ
る。したがって、本発明によれば、高性能,高品質のポ
リシリコン又は単結晶シリコン膜を使用した半導体装
置、電気光学装置等の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る薄膜形成装置の一例を示す説明図
である。
【図2】本発明に係る熱触媒体の一例を示す説明図であ
る。
【図3】本発明に係る熱触媒体の一例を示す説明図であ
る。
【図4】本発明に係る熱触媒体の一例を示す説明図であ
る。
【図5】本発明に係る熱触媒体の一例を示す説明図であ
る。
【図6】本発明に係る熱触媒体の一例を示す説明図であ
る。
【図7】本発明に係る熱触媒体の一例を示す説明図であ
る。
【図8】本発明に係る薄膜形成装置の他の実施例を示す
説明図である。
【図9】ガスの供給方法の一例を示す説明図である。
【図10】チャンバへのガス導入形態を示すグラフ図で
ある。
【図11】チャンバへのガス導入形態を示すグラフ図で
ある。
【図12】チャンバへのガス導入形態を示すグラフ図で
ある。
【図13】チャンバへのガス導入形態を示すグラフ図で
ある。
【図14】チャンバへのガス導入形態を示すグラフ図で
ある。
【図15】チャンバへのガス導入形態を示すグラフ図で
ある。
【図16】チャンバへのガス導入形態を示すグラフ図で
ある。
【図17】チャンバへのガス導入形態を示すグラフ図で
ある。
【図18】チャンバへのガス導入形態を示すグラフ図で
ある。
【図19】チャンバへのガス導入形態を示すグラフ図で
ある。
【図20】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図であ
る。
【図21】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図であ
る。
【図22】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図であ
る。
【図23】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図であ
る。
【図24】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図であ
る。
【図25】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図であ
る。
【図26】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図であ
る。
【図27】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図であ
る。
【図28】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図であ
る。
【図29】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図であ
る。
【図30】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図であ
る。
【図31】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図であ
る。
【図32】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図であ
る。
【図33】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図であ
る。
【図34】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図であ
る。
【図35】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図であ
る。
【図36】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図であ
る。
【図37】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図であ
る。
【図38】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図39】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図40】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図41】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図42】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図43】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図44】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図45】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図46】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図47】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図48】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図49】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図50】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図51】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図52】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図53】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図54】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図55】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図56】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図57】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図58】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図59】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図60】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図61】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図62】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図63】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図64】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図65】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図66】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図67】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図68】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄
膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【符号の説明】
1,A,B,C チャンバ 1a 排気系 2 サセプタ 2a 上面 2b ヒータ 2c ヒータ電源 3 ガス導入系 3c 手動バルブ 3d 自動バルブ 3e 三方弁 4 ターゲット 4a 穴 4b 斜面 5 熱触媒体 5a 加熱手段 5b 熱触媒体ホルダー 5b 接続線 6 レール 7 シャッター 8a 反応ガス供給ボックス 8b ベルト 9 DC電極 9a DC電源 9b RF電極 9c 高周波電源 9d 整合回路 10 基板 12,12a,12b 永久磁石 13 コリメータ 13a コリメータヒータ電源 14a,14b 基板ため込み部 14d,14e 基板貯留室 14c 基板スパッタ位置 15 スパッタリング室 16,16d,16e 扉 17 トレー 18 パレット 19 パレット移送手段 20 基板ホルダ 21 ヒータ 23 標準カソード 24 オプション・カソード 25 回転軸 26 ロード・ロック室 27 セパレーション室 28 トラップ電極 29 電子軌道 30 ウエハ 31 磁石回転モニタ 32 マグネトロン電極 33 ローパスフィルタ 34 方形導波管 35 マイクロ波導入窓 36 磁気コイル 37 ターゲット電源 38 空洞共振器 39 プラズマ 40 アノード 210a 段差 211,215,221,229 窒化シリコン膜 212,219,223,227 酸化シリコン膜 213 ポリシリコン膜 214 ゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜 216,224モリブデン/タンタル合金膜 217,250 ゲート電極 220,228 リンシリケートガラス(PSG)膜 222 単結晶シリコン膜 250 サファイア薄膜 r1,r2,r3,r4,r5,r6 フォトレジスト l1 シリコン層 l2 ポリシリコン層のN型化したシリコン層 S ソース電極 D ドレイン電極 S型ソース領域 D ドレイン領域 G ゲート取出し電極又は配線 S型ソース領域 D ドレイン領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/203 H01L 21/203 S 5F110 21/205 21/205 21/285 21/285 S 21/31 21/31 D 29/786 29/78 618A 21/336 618G Fターム(参考) 4K029 AA09 BA46 BA58 BA60 BB09 BB10 CA05 DA04 DA08 DA12 DC00 DC05 DC34 DC35 DC40 FA04 KA01 4M104 BB01 BB02 BB16 BB39 CC05 DD39 DD41 GG10 GG20 HH13 5F045 AA19 AB01 AB02 AB03 AB04 AB06 AB10 AB31 AB32 AB33 AB37 AC11 AC15 AC16 AD12 AD13 AD14 AE11 AE13 AE15 AF07 AF09 CA15 DP02 DP16 DQ17 EH13 EH16 EH17 EK07 EK08 5F052 DA01 DB07 FA12 5F103 AA08 BB23 BB43 DD03 DD16 DD17 DD27 GG01 GG02 GG03 HH03 HH04 LL13 NN01 5F110 AA17 BB04 CC02 CC07 DD02 DD03 DD12 DD13 DD14 DD17 EE06 EE27 EE44 GG02 GG12 GG13 GG32 GG33 GG34 GG43 HJ01 HJ04 HJ13 HJ23 HL03 HL23 NN03 NN04 NN23 NN24 NN25 QQ09

Claims (57)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空容器中において、基板とターゲット
    との間に熱触媒体を配置して、スパッタリングにより基
    板に薄膜を形成する触媒スパッタリングによる薄膜形成
    方法であって、前記基板上に薄膜を形成するときに、前
    記熱触媒体を加熱し、前記ターゲットに含まれる金属を
    含む薄膜を前記基板上に堆積させることを特徴とする触
    媒スパッタリングによる薄膜形成方法。
  2. 【請求項2】 前記熱触媒体は、高融点金属をセラミッ
    クスコーティングしたもの、または炭化ケイ素コーティ
    ングしたもの、または、表面を酸化又は窒化させたシリ
    コンであり、前記薄膜として、半導体膜、金属酸化物
    膜、金属窒化物膜、導電性窒化膜、単体金属膜、合金
    膜、金属シリサイド膜、高誘電率膜、強誘電体膜よりな
    る群から選ばれた少なくとも1種以上の膜を形成するこ
    とを特徴とする請求項1記載の触媒スパッタリングによ
    る薄膜形成方法。
  3. 【請求項3】 前記半導体膜は、錫とゲルマニウムと鉛
    とのうち少なくともいずれか一つ以上を含有する半導体
    膜であることを特徴とする請求項2記載の触媒スパッタ
    リングによる薄膜形成方法。
  4. 【請求項4】 前記熱触媒体を加熱した後に、前記真空
    容器中に、不活性ガスと水素ガスのうち少なくとも一種
    のガスを導入して、前記基板上に薄膜を形成することを
    特徴とする請求項2記載の触媒スパッタリングによる薄
    膜形成方法。
  5. 【請求項5】 前記不活性ガスと前記水素ガスのうち少
    なくとも一種のガスは、少なくとも薄膜形成中におい
    て、前記真空容器内に常時供給されることを特徴とする
    請求項4記載の触媒スパッタリングによる薄膜形成方
    法。
  6. 【請求項6】 前記熱触媒体を加熱した後に、前記真空
    容器中に不活性ガスと窒素ガスのうち少なくとも一種の
    ガスを導入し,前記少なくとも1種以上の膜として、金
    属窒化物膜、導電性窒化膜よりなる群から選ばれた少な
    くとも1種以上の膜を形成することを特徴とする請求項
    2記載の触媒スパッタリングによる薄膜形成方法。
  7. 【請求項7】 前記不活性ガスと前記窒素ガスのうち少
    なくとも一種のガスは、少なくとも薄膜形成中におい
    て、前記真空容器内に常時供給されることを特徴とする
    請求項6記載の触媒スパッタリングによる薄膜形成方
    法。
  8. 【請求項8】 前記窒素ガスを導入したときには、前記
    真空容器中に水素ガスを導入することを特徴とする請求
    項6記載の触媒スパッタリングによる薄膜形成方法。
  9. 【請求項9】 前記不活性ガス,前記水素ガス,前記窒
    素ガスのうち少なくとも一種のガスは、少なくとも薄膜
    形成中において、前記真空容器内に常時供給されること
    を特徴とする請求項8記載の触媒スパッタリングによる
    薄膜形成方法。
  10. 【請求項10】 前記基板へ薄膜が形成されている途中
    で、ガス制御手段によって、前記水素ガス,前記窒素ガ
    スのうち少なくとも一種のガスの供給を増減させてなる
    ことを特徴とする請求項9記載の触媒スパッタリングに
    よる薄膜形成方法。
  11. 【請求項11】 前記薄膜の形成開始前および形成開始
    後における前記水素ガス,前記窒素ガスのうち少なくと
    も一種のガスの供給量を、前記薄膜の形成中における前
    記水素ガス,前記窒素ガスのうち少なくとも一種のガス
    の供給量よりも多くしたことを特徴とする請求項9記載
    の触媒スパッタリングによる薄膜形成方法。
  12. 【請求項12】 前記熱触媒体を加熱した後に、前記真
    空容器中に不活性ガスと酸素ガスのうち少なくとも一種
    のガスを導入し、前記少なくとも1種以上の膜として、
    金属酸化物膜、高誘電率膜、強誘電体膜よりなる群から
    選ばれた少なくとも1種以上の膜を形成することを特徴
    とする請求項2記載の触媒スパッタリングによる薄膜形
    成方法。
  13. 【請求項13】 前記不活性ガスと前記酸素ガスの少な
    くとも一種のガスは、少なくとも薄膜形成中において、
    前記真空容器内に常時供給されることを特徴とする請求
    項12記載の触媒スパッタリングによる薄膜形成方法。
  14. 【請求項14】 前記基板へ薄膜が形成されている途中
    で、ガス制御手段によって、前記酸素ガスまたは前記水
    素ガスまたは前記窒素ガスの供給を増減させてなること
    を特徴とする請求項4,5,6,7,8,12,13い
    ずれか記載の触媒スパッタリングによる薄膜形成方法。
  15. 【請求項15】 前記薄膜の形成開始前および形成開始
    後における前記酸素ガスまたは前記水素ガスまたは前記
    窒素ガスの供給量を、前記薄膜の形成中における前記酸
    素ガスまたは前記水素ガスまたは前記窒素ガスの供給量
    よりも多くしたことを特徴とする請求項4,5,6,
    7,8,12,13いずれか記載の触媒スパッタリング
    による薄膜形成方法。
  16. 【請求項16】 真空容器中において、基板とターゲッ
    トとの間に熱触媒体を配置してスパッタリングにより基
    板に薄膜を形成する触媒スパッタリングによる薄膜形成
    方法であって、前記熱触媒体は、金属、またはセラミッ
    クスまたは炭化ケイ素を芯として金属をコーティングし
    たものであり、前記真空容器中に不活性ガスと水素ガ
    ス,または水素ガスのみを導入し、前記薄膜の形成開始
    前および形成終了後には、前記熱触媒体を、前記熱触媒
    体の金属の融点未満の温度とし、前記薄膜の形成中に
    は、前記熱触媒体の金属による蒸着可能な温度とし、前
    記熱触媒体の金属および前記ターゲットに含まれる金属
    を含む薄膜を前記基板上に堆積させ、前記薄膜として、
    半導体膜、金属窒化物膜、導電性窒化膜、金属シリサイ
    ド膜よりなる群から選ばれた少なくとも1種以上の膜を
    形成することを特徴とする触媒スパッタリングによる薄
    膜形成方法。
  17. 【請求項17】 前記半導体膜は、錫とゲルマニウムと
    鉛とのうち少なくともいずれか一つ以上を含有する半導
    体膜であることを特徴とする請求項16記載の触媒スパ
    ッタリングによる薄膜形成方法。
  18. 【請求項18】 前記熱触媒体の金属は、前記ターゲッ
    トに含まれる金属を含むことを特徴とする請求項16記
    載の触媒スパッタリングによる薄膜形成方法。
  19. 【請求項19】 前記真空容器中に前記不活性ガスと前
    記水素ガスに加えて,または前記水素ガスに加えて窒素
    ガスを導入し、金属窒化物膜、導電性窒化膜よりなる群
    から選ばれた少なくとも1種以上の膜を形成することを
    特徴とする請求項16記載の触媒スパッタリングによる
    薄膜形成方法。
  20. 【請求項20】 前記水素ガスおよび前記窒素ガスのう
    ち少なくとも一種のガスは、少なくとも薄膜形成中にお
    いて、前記真空容器内に常時供給されることを特徴とす
    る請求項19記載の触媒スパッタリングによる薄膜形成
    方法。
  21. 【請求項21】 前記基板へ薄膜が形成されている途中
    で、ガス制御手段によって、前記水素ガス,前記窒素ガ
    スの少なくとも一種のガスの供給を増減させてなること
    を特徴とする請求項19または20記載の触媒スパッタ
    リングによる薄膜形成方法。
  22. 【請求項22】 前記水素ガスは、少なくとも薄膜形成
    中において、前記真空容器内に常時供給されることを特
    徴とする請求項16記載の触媒スパッタリングによる薄
    膜形成方法。
  23. 【請求項23】 前記基板へ薄膜が形成されている途中
    で、ガス制御手段によって、前記水素ガスの供給を増減
    させてなることを特徴とする請求項16または22記載
    の触媒スパッタリングによる薄膜形成方法。
  24. 【請求項24】 前記薄膜の形成開始前および形成開始
    後における前記水素ガスの供給量を、前記薄膜の形成中
    における前記水素ガスの供給量よりも多くしたことを特
    徴とする請求項16または19記載の触媒スパッタリン
    グによる薄膜形成方法。
  25. 【請求項25】 前記熱触媒体は、シート状、コイル
    状、ワイヤー状、網状のいずれかの形状を有することを
    特徴とする請求項1,2,16,18いずれか記載の触
    媒スパッタリングによる薄膜形成方法。
  26. 【請求項26】 前記スパッタリング開始時には、前記
    熱触媒体と前記ターゲットとの間を遮蔽し、前記スパッ
    タリングが安定した後に、前記熱触媒体と前記ターゲッ
    トとの遮蔽を解除することを特徴とする請求項1または
    16記載の触媒スパッタリングによる薄膜形成方法。
  27. 【請求項27】 前記基板の少なくとも半導体装置形成
    領域に段差を形成し、該段差を含む前記基板上に単結晶
    半導体膜をグラフォエピタキシャル成長させることを特
    徴とする請求項1または16記載の触媒スパッタリング
    による薄膜形成方法。
  28. 【請求項28】 前記基板の少なくとも半導体装置形成
    領域に単結晶半導体と格子整合の良い物質層を形成し、
    該物質層を含む前記基板上に単結晶半導体膜をヘテロエ
    ピタキシャル成長させることを特徴とする請求項1また
    は16記載の触媒スパッタリングによる薄膜形成方法。
  29. 【請求項29】 前記単結晶半導体と格子整合の良い物
    質層は、サファイアまたはスピネル構造体またはフッ化
    カルシウムを含む群より選ばれた、少なくとも一種以上
    の物質よりなることを特徴とする請求項28記載の触媒
    スパッタリングによる薄膜形成方法。
  30. 【請求項30】 真空容器と、該真空容器内に配置され
    た薄膜を形成させる基板と、前記真空容器内に配置され
    た薄膜原料からなるターゲットと、スパッタリング電源
    と、を備えた薄膜形成装置であって、前記基板と前記タ
    ーゲットとの間には、熱触媒体が配置され、該熱触媒体
    を加熱する加熱手段と、前記真空容器内にガスを導入す
    るガス導入系と、を備え、前記ターゲットをスパッタリ
    ングして前記熱触媒体を介し、前記基板の表面に薄膜を
    形成することを特徴とする薄膜形成装置。
  31. 【請求項31】 前記ガス導入系から、不活性ガスと、
    水素ガスと、酸素ガスと、窒素ガスと、のうち少なくと
    も一つ以上を前記真空容器内へ所定量導入する制御手段
    を備えてなる請求項30記載の薄膜形成装置。
  32. 【請求項32】 前記ガス導入系は、前記真空容器内に
    位置するガス吹き出し部を備え、該ガス吹き出し部は前
    記熱触媒体との距離を変更する位置調整手段を備えてい
    ることを特徴とする請求項30記載の薄膜形成装置。
  33. 【請求項33】 前記熱触媒体は、高融点金属をセラミ
    ックスコーティングまたは炭化ケイ素コーティングした
    もの又は表面を酸化又は窒化させたシリコンであること
    を特徴とする請求項30記載の薄膜形成装置。
  34. 【請求項34】 前記熱触媒体は、金属からなるもの、
    またはセラミックスまたは炭化ケイ素を芯として金属を
    コーティングしたものであることを特徴とする請求項3
    0記載の薄膜形成装置。
  35. 【請求項35】 前記熱触媒体は、金属からなるもの、
    またはセラミックスまたは炭化ケイ素を芯として金属を
    コーティングしたものであって、前記熱触媒体の金属
    は、前記ターゲットに含まれる金属を含むことを特徴と
    する請求項30記載の薄膜形成装置。
  36. 【請求項36】 前記熱触媒体と前記ターゲットとの間
    に、移動可能なシャッターが配置されることを特徴とす
    る請求項30記載の薄膜形成装置。
  37. 【請求項37】 前記基板は、前記真空容器内で可動可
    能な基板載置台に載置され、該基板載置台により前記熱
    触媒体との距離を調整可能とされていることを特徴とす
    る請求項30記載の薄膜形成装置。
  38. 【請求項38】 前記真空容器内にはレールが敷設さ
    れ、前記基板載置台には前記レール上を移動可能な手段
    が取り付けられ、前記レール上において前記基板載置台
    を移動可能としたことを特徴とする請求項37記載の薄
    膜形成装置。
  39. 【請求項39】 前記薄膜形成装置は、シングルチャン
    バ或いはマルチチャンバから構成されることを特徴とす
    る請求項30記載の薄膜形成装置。
  40. 【請求項40】 前記ターゲットは、錫とゲルマニウム
    と鉛とのうち少なくともいずれか一つ以上を含有するこ
    とを特徴とする請求項30記載の薄膜形成装置。
  41. 【請求項41】 前記熱触媒体は、シート状、コイル
    状、ワイヤー状、網状のいずれかの形状を有することを
    特徴とする請求30,33,34,35いずれか記載の
    薄膜形成装置。
  42. 【請求項42】 前記熱触媒体は、前記真空容器内で可
    動可能な熱触媒体保持手段に保持され、該熱触媒体保持
    手段は前記基板との距離を調整可能とされていることを
    特徴とする請求項30,33,34,35,41いずれ
    か記載の薄膜形成装置。
  43. 【請求項43】 前記熱触媒体は前記真空容器内に複数
    個配設されたことを特徴とする請求項30,33,3
    4,35,41,42いずれか記載の薄膜形成装置。
  44. 【請求項44】 前記複数の熱触媒体は同一素材或いは
    異なる素材からそれぞれ形成されたことを特徴とする請
    求項43記載の薄膜形成装置。
  45. 【請求項45】 前記複数の熱触媒体は同一形状或いは
    異形状にそれぞれ形成されたことを特徴とする請求項4
    3または44記載の薄膜形成装置。
  46. 【請求項46】 前記複数の熱触媒体は、それぞれ同一
    電流や電圧を供給する電源或いは異なる電流や電圧を供
    給する電源に接続されたことを特徴とする請求項43,
    44,45いずれか記載の薄膜形成装置。
  47. 【請求項47】 真空容器中において、基板とターゲッ
    トとの間に熱触媒体を配置してスパッタリングにより基
    板に薄膜層を形成し、該薄膜層を含む半導体装置を製造
    する方法であって、前記真空容器内に、水素ガスまたは
    酸素ガスを供給して熱触媒体で発生した活性化水素イオ
    ンHまたは活性化酸素イオンOで前記基板上をクリ
    ーニングするクリーニング工程と、前記真空容器に水素
    ガス,または酸素ガス,または窒素ガス,または水素ガ
    スと窒素ガス,または酸素ガスと窒素ガスを少なくとも
    薄膜形成中において常時供給すると共に、不活性ガスを
    供給してスパッタリングにより前記基板上に薄膜を形成
    する薄膜形成工程と、を備え、前記クリーニング工程と
    前記薄膜形成工程とを繰り返すことにより、前記基板の
    少なくとも薄膜半導体装置形成領域に、少なくとも半導
    体薄膜とゲート絶縁膜を連続成膜して薄膜層を形成し、
    該薄膜層に所定の処理を施し、トップゲート型TFTを
    製作することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  48. 【請求項48】 真空容器中において、基板とターゲッ
    トとの間に熱触媒体を配置してスパッタリングにより基
    板に薄膜層を形成し、該薄膜層を含む半導体装置を製造
    する方法であって、前記真空容器内に、水素ガスまたは
    酸素ガスを供給して熱触媒体で発生した活性化水素イオ
    ンHまたは活性化酸素イオンOで前記基板上をクリ
    ーニングするクリーニング工程と、前記真空容器に水素
    ガス,または酸素ガス,または窒素ガス,または水素ガ
    スと窒素ガス,または酸素ガスと窒素ガスを少なくとも
    薄膜形成中において常時供給すると共に、不活性ガスを
    供給してスパッタリングにより前記基板上に薄膜を形成
    する薄膜形成工程と、を備え、前記クリーニング工程と
    前記薄膜形成工程とを繰り返すことにより、予めゲート
    電極が形成された前記基板の少なくとも薄膜半導体装置
    形成領域に少なくともゲート絶縁膜を成膜し、該ゲート
    絶縁膜に連続して少なくとも半導体膜を成膜して半導体
    薄膜層を形成し、該半導体薄膜層に連続して少なくとも
    保護膜を形成し、前記半導体薄膜層および前記保護膜に
    所定の処理を施し、ボトムゲート型TFTを作製するこ
    とを特徴とする半導体装置の製造方法。
  49. 【請求項49】 真空容器中において、基板とターゲッ
    トとの間に熱触媒体を配置してスパッタリングにより基
    板に薄膜層を形成し、該薄膜層を含む半導体装置を製造
    する方法であって、前記真空容器内に、水素ガスまたは
    酸素ガスを供給して熱触媒体で発生した活性化水素イオ
    ンHまたは活性化酸素イオンOで前記基板上をクリ
    ーニングするクリーニング工程と、前記真空容器に水素
    ガス,または酸素ガス,または窒素ガス,または水素ガ
    スと窒素ガス,または酸素ガスと窒素ガスを少なくとも
    薄膜形成中において常時供給すると共に、不活性ガスを
    供給してスパッタリングにより前記基板上に薄膜を形成
    する薄膜形成工程と、を備え、前記クリーニング工程と
    前記薄膜形成工程とを繰り返すことにより、予め第1の
    ゲート電極が形成された前記基板の少なくとも薄膜半導
    体装置形成領域に少なくとも第1のゲート絶縁膜を成膜
    し、該第1のゲート絶縁膜に連続して少なくとも半導体
    膜を成膜することにより半導体薄膜層を形成し、該半導
    体薄膜層に連続して少なくとも第2のゲート絶縁膜を成
    膜し、該第2のゲート絶縁膜に連続して少なくとも第2
    のゲート電極のための金属膜を成膜し、前記第2のゲー
    ト絶縁膜および前記第2のゲート電極のための金属膜お
    よび前記半導体薄膜層に所定の処理を施し、デュアルゲ
    ート型TFTを作製することを特徴とする半導体装置の
    製造方法。
  50. 【請求項50】 前記薄膜形成工程の形成前,途中,後
    の少なくとも一つで、前記水素ガス,または前記酸素ガ
    ス,または窒素ガス,または前記水素ガスおよび前記窒
    素ガス,または前記酸素ガスおよび窒素ガスの供給を増
    減することを特徴とする請求項47,48,49いずれ
    か記載の半導体装置の製造方法。
  51. 【請求項51】 前記薄膜層は、一つのチャンバを備え
    たシングルチャンバからなる前記真空容器内で形成する
    ことを特徴とする請求項47,48,49いずれか記載
    の半導体装置の製造方法。
  52. 【請求項52】 前記膜は、複数のチャンバを備えたマ
    ルチチャンバからなる前記真空容器内の、前記ターゲッ
    トに対応した前記チャンバ内で形成することを特徴とす
    る請求項47,48,49いずれか記載の半導体装置の
    製造方法。
  53. 【請求項53】 前記膜のうち半導体膜は、錫とゲルマ
    ニウムと鉛とのうち少なくともいずれか一つ以上を含有
    する半導体膜であることを特徴とする請求項52記載の
    半導体装置の製造方法。
  54. 【請求項54】 前記基板の少なくとも半導体装置形成
    領域に段差を形成し、該段差を含む前記基板上に単結晶
    半導体膜をグラフォエピタキシャル成長させることを特
    徴とする請求項47,48,49いずれか記載の半導体
    装置の製造方法。
  55. 【請求項55】 前記基板の少なくとも半導体装置形成
    領域に単結晶半導体と格子整合の良い物質層を形成し、
    該物質層を含む前記基板上に単結晶半導体膜をヘテロエ
    ピタキシャル成長させることを特徴とする請求項47,
    48,49いずれか記載の半導体装置の製造方法。
  56. 【請求項56】 前記単結晶半導体と格子整合の良い物
    質層は、サファイアまたはスピネル構造体またはフッ化
    カルシウムを含む群より選ばれた、少なくとも一種以上
    の物質よりなることを特徴とする請求項55記載の触媒
    スパッタリングによる薄膜形成方法。
  57. 【請求項57】 前記半導体膜を電界効果トランジスタ
    のチャンネル領域、ソース領域及びドレイン領域に適用
    し、これら各領域に注入した不純物種及び/またはその
    濃度を制御することを特徴とする請求項47,48,4
    9いずれか記載の半導体装置の製造方法。
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