JP4250834B2 - 触媒スパッタリングによる薄膜形成方法 - Google Patents

触媒スパッタリングによる薄膜形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、触媒スパッタリングによる薄膜形成方法及び薄膜形成装置並びに半導体装置の製造方法に係り、特に高性能,高品質の薄膜を製造することが可能な触媒スパッタリングによる薄膜形成方法及び薄膜形成装置並びに半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スパッタリング法は、通常、不活性ガスであるアルゴンイオンによるターゲット(カソード)材料のスパッタ現象を用いる方法である。スパッタリング法は、CVD法に比べると、次のような特徴がある。すなわち、スパッタリング法では、基板温度を自由に選択できる。また、揮発性,不安定性のある物質以外のほとんどの物質を、薄膜として形成することができる。
【0003】
さらに、スパッタリングの工程中、化学反応はほとんど関与しない。また、基板に付着した原子と基板との密着性が非常によく、原子の付着に方向性がある。スパッタリングの条件は、真空度,蒸気圧,装置構造,電源出力等の物理的パラメータの制御のみで決定される。
【0004】
一般的なThorntonによる薄膜の微細構造によれば、アルゴン圧力が高く、基板温度が低い(Ts/Tm<0.3)ときに発生する微細構造が、領域1(Zone−1)である。薄膜は、密度が低く、電気比抵抗が高く、光に対する鏡面反射率が低い。耐環境性の弱い膜である。
アルゴン圧力が低く、基板温度が低い(Ts/Tm<0.3)ときに発生する微細構造が、領域T(Zone−T)である。薄膜は、密度が高く、電気比抵抗が低く、光の鏡面反射率が高い。耐環境性に優れた膜で、繊維状の柱状構造となる。
なお、上記Tsは基板温度(K)を示し、Tmは材料の融点(K)を示す。
【0005】
例えば、ポリシリコン膜をガラス基板上に形成する場合では、真空中におけるガラス基板の熱伝導性が悪いので、実用的には、基板温度を領域1程度までしか上げることができず、グレインサイズの大きなポリシリコン薄膜を形成することが難しいという問題がある。そのため、LCD用薄膜トランジスタ(以下「薄膜トランジスタ」を「TFT」と称する)の製造は、安価な低歪点ガラスにプラズマCVDまたはスパッタリング等でのアモルファスシリコン膜をエキシマレーザーアニールすることで、比較的大きなグレインサイズで大きな移動度のポリシリコン膜を形成する方法に取って代わられているのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記課題を解決するためになされたもので、基板上に高品質な薄膜を形成するための触媒スパッタリングによる薄膜形成方法及び薄膜形成装置並びに半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、高品質で且つ大型の表示装置にも適用可能な薄膜を形成するための触媒スパッタリングによる薄膜形成方法及び薄膜形成装置並びに半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、高品質な薄膜の形成を可能とするとともに、熱触媒体の劣化を防ぐことが可能な触媒スパッタリングによる薄膜形成方法及び薄膜形成装置並びに半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
求項1に係る発明によれば、真空容器中において、基板とターゲットとの間に熱触媒体を配置して、スパッタリングにより基板に薄膜を形成する触媒スパッタリングによる薄膜形成方法であって、前記基板上に薄膜を形成するときに、前記熱触媒体を加熱し、前記ターゲットに含まれる金属を含む薄膜を前記基板上に堆積させる。このように構成することにより、熱触媒体が、スパッタリングにより飛来してくるターゲット材の分子,原子に高いエネルギーを付与し、またその輻射熱で基板表面温度を昇温させるので、基板表面での原子、分子の泳動が大きくなり、基板表面に凹凸形状があっても、ステップカバレージの良い薄膜が形成でき、選択比の大きいホールの埋め込みが可能となる。
【0010】
このとき、前記熱触媒体は、高融点金属をセラミックスコーティングしたもの、または炭化ケイ素コーティングしたもの、または、表面を酸化又は窒化させたシリコンであり、前記薄膜として、半導体膜、金属酸化物膜、金属窒化物膜、導電性窒化膜、単体金属膜、合金膜、金属シリサイド膜、高誘電率膜、強誘電体膜よりなる群から選ばれた少なくとも1種以上の膜を形成する。このような表面が酸化劣化しにくい熱触媒体を用いることで、触媒スパッタリングにより金属酸化物膜等の薄膜を形成することが可能となる。
【0011】
このとき、前記半導体膜は、錫とゲルマニウムと鉛とのうち少なくともいずれか一つ以上を含有する半導体膜であるとよい。
このように、錫、ゲルマニウム、鉛のいずれか一つ以上を用いていることから、例えば、得られたシリコン層中に、四族元素である錫や鉛が混入してしまっても、これらは周期律表第四族の元素であってシリコン層中でキャリアにならず、そのためシリコン層は高抵抗なものとなる。よって、イオンドーピング(注入)等によるTFTのVth調整や抵抗値調整が容易になり、高性能な回路構成が可能になる。また、シリコン層中に残留する錫や鉛は結晶欠落に電気的に不活性にするため、得られたシリコン層は接合リークが低減され、移動度が高められたものとなる。
【0012】
また、前記熱触媒体を加熱した後に、前記真空容器中に、不活性ガスと水素ガスのうち少なくとも一種のガスを導入して、前記基板上に薄膜を形成すると好適である。
水素ガスを導入することにより、導入された水素ガスの一部が、熱触媒体での熱分解反応および触媒反応により、活性化水素イオンHとなって、この活性化水素イオンHが基板表面をクリーニングし、基板上に高品質の薄膜を形成することができる。
また、この活性化水素イオンHにより、チャンバ内の残留酸素による成膜中の膜の酸化が低減され、酸素含有量の少ない薄膜を形成することができる。なお、ポリシリコン膜等の半導体膜中の酸素含有量は、少ないほど電子の流れが良好になり、好ましい。例えば、ポリシリコン膜等の半導体膜中の酸素含有量は、1×1019atoms/cm以下、好ましくは3〜5×1018atoms/cm以下であると好適であるが、本発明では、薄膜形成中に水素ガスを導入しているため、この数値を達成することが可能となる。
【0013】
このとき、前記不活性ガスと前記水素ガスのうち少なくとも一種のガスは、少なくとも薄膜形成中において、前記真空容器内に常時供給されるように構成してもよい。
このように水素ガスを常時供給することにより、基板上のガス、水分等をクリーニングしながら薄膜形成を行うことができ、高品質の薄膜を形成することができる。また、不活性ガスを常時供給することにより、安定して薄膜を形成することができ、高品質の薄膜を形成することができる。
【0014】
また、前記熱触媒体を加熱した後に、前記真空容器中に不活性ガスと窒素ガスのうち少なくとも一種のガスを導入し、前記少なくとも1種以上の膜として、金属窒化物膜、導電性窒化膜よりなる群から選ばれた少なくとも1種以上の膜を形成するように構成することもできる。
【0015】
このように、金属窒化物膜、導電性窒化膜を形成するときに窒素ガスを導入すると、熱触媒体での熱分解反応および触媒反応によって窒素ガスの一部が活性化窒素イオンNとなり、この活性化窒素イオンNの窒化作用により、窒素イオン欠乏による膜の変質が防止され、本来の金属窒化物膜または導電性窒化膜の特性を有する膜を得ることができる。
【0016】
このとき、前記不活性ガスと前記窒素ガスのうち少なくとも一種のガスは、少なくとも薄膜形成中において、前記真空容器内に常時供給されると好適である。
このように不活性ガスおよび窒素ガスのうち少なくとも一種のガスを常時供給することにより、高品質の薄膜を形成することができる。
【0017】
また、前記窒素ガスを導入したときには、前記真空容器中に水素ガスを導入するように構成することもできる。
このように水素ガスを導入することにより、導入された水素ガスの一部が、熱触媒体での熱分解反応および触媒反応により、活性化水素イオンHとなって、この活性化水素イオンHが基板表面をクリーニングし、基板上に高品質の薄膜を形成することができる。なお、ポリシリコン膜等の半導体膜中の酸素含有量は、少ないほど電子の流れが良好になり、好ましい。例えば、ポリシリコン膜等の半導体膜中の酸素含有量は、1×1019atoms/cm以下、好ましくは3〜5×1018atoms/cm以下であると好適であるが、本発明では、薄膜形成中に水素ガスを導入しているため、この数値を達成することが可能となる。
【0018】
このとき、前記不活性ガス,前記水素ガス,前記窒素ガスのうち少なくとも一種のガスは、少なくとも薄膜形成中において、前記真空容器内に常時供給されると好適である。
このように不活性ガス,水素ガス,窒素ガスのうち少なくとも一種のガスを常時供給することにより、高品質の薄膜を形成することができる。
【0019】
このとき、前記基板へ薄膜が形成されている途中で、ガス制御手段によって、前記水素ガス,前記窒素ガスのうち少なくとも一種のガスの供給を増減させて高速成膜とするとよい。
このように構成することにより、真空容器中において、スパッタリングに用いるアルゴンガス等の不活性ガスの割合を高くすることができるので、基板への薄膜形成が高速で行われ作業性を向上させることが可能となる。
【0020】
また、前記薄膜の形成開始前および形成開始後における前記水素ガス,前記窒素ガスのうち少なくとも一種のガスの供給量を、前記薄膜の形成中における前記水素ガス,前記窒素ガスのうち少なくとも一種のガスの供給量よりも多くして基板表面およびターゲット表面のクリーニング効果を高めてもよい。
このように構成することにより、成膜前後に、熱触媒体により、活性化水素イオンH又は活性化酸素イオンO,活性化窒素イオンNを大量に発生させ、クリーニング、膜ストレス低減、膜の変質防止等を促進させることができる。なお、ポリシリコン膜等の半導体膜中の酸素含有量は、少ないほど電子の流れが良好になり、好ましい。例えば、ポリシリコン膜等の半導体膜中の酸素含有量は、1×1019atoms/cm以下、好ましくは3〜5×1018atoms/cm以下であると好適であるが、本発明では、薄膜形成中に水素ガスを導入しているため、この数値を達成することが可能となる。
【0021】
また、前記熱触媒体を加熱した後に、前記真空容器中に不活性ガスと酸素ガスのうち少なくとも一種のガスを導入し、前記少なくとも1種以上の膜として、金属酸化物膜、高誘電率膜、強誘電体膜よりなる群から選ばれた少なくとも1種以上の膜を形成するように構成することもできる。
このように、金属酸化物膜、高誘電率膜、強誘電体膜を形成するときに酸素ガスを導入することにより、導入された酸素ガスの一部が、熱触媒体による熱分解反応および触媒反応により活性化酸素イオンOとなり、この活性化酸素イオンOにより、ターゲットから飛来する薄膜原料原子または分子が、酸化作用を受けるため、絶縁性が高く,高性能・高品質の金属酸化物膜、高誘電率膜、強誘電体膜を堆積することが可能となる。また、この活性化酸素イオンOにより、基板およびターゲットの表面に吸着されているガス,有機物汚れ,水分等が除去され、基板およびターゲットの表面クリーニングを行うことができる。
【0022】
このとき、前記不活性ガスと前記酸素ガスの少なくとも一種のガスは、少なくとも薄膜形成中において、前記真空容器内に常時供給されると好適である。
このように酸素ガスを常時供給することにより、基板上のガス、水分等をクリーニングしながら薄膜形成を行うことができ、高品質の薄膜を形成することができる。また、不活性ガスを常時供給することにより、安定して薄膜を形成することができ、高品質の薄膜を形成することができる。
【0023】
これらのとき、前記基板へ薄膜が形成されている途中で、ガス制御手段によって、前記酸素ガスまたは前記水素ガスまたは前記窒素ガスの供給を増減させて高速成膜とするとよい。
このように構成することにより、真空容器中において、スパッタリングに用いるアルゴンガス等の不活性ガスの割合を高くすることができるので、基板への薄膜形成が高速で行われ作業性を向上させることが可能となる。
【0024】
また、このとき、前記薄膜の形成開始前および形成開始後における前記酸素ガスまたは前記水素ガスまたは前記窒素ガスの供給量を、前記薄膜の形成中における前記酸素ガスまたは前記水素ガスまたは前記窒素ガスの供給量よりも多くして、基板表面およびターゲット表面のクリーニング効果を高めてもよい。
このように構成することにより、成膜前後に、熱触媒体により、活性化水素イオンH又は活性化酸素イオンO,活性化窒素イオンNを大量に発生させ、クリーニング、膜ストレス低減、膜の変質防止等を促進させることができる。
【0036】
上記のとき、前記熱触媒体は、シート状、コイル状、ワイヤー状、網状のいずれかの形状を有する様にすると好適である。
【0061】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る触媒スパッタリングによる薄膜形成方法及び薄膜形成装置並びに半導体装置の製造方法について、好適な実施の形態を図1に基づいて説明する。
本発明における触媒スパッタリングによる薄膜形成方法は、真空容器1中において、基板10とターゲット4との間に熱触媒体5を配置して、スパッタリングにより基板に薄膜を形成する方法である。
【0062】
ここで、触媒スパッタリングとは、スパッタされた薄膜原料原子,分子の少なくとも一部を、融点未満に加熱された熱触媒体5の触媒反応、熱分解反応による高いエネルギー付与により活性化,イオン化させて、これらの堆積種を、少なくとも熱触媒体の輻射熱で加熱された基板上に堆積させる方法である。
【0063】
また、導入した水素ガス,または酸素ガス,または窒素ガスの少なくとも一部から、融点未満に加熱された熱触媒体の熱分解反応または触媒反応によって高いエネルギーの活性化水素イオンH,または活性化酸素イオンO,または活性化窒素イオンNを発生させ、これらの活性化イオンにより、ターゲット4,基板10,成膜された膜等のクリーニング,成膜中の酸化作用促進,成膜中の窒化作用促進を図り、高性能,高品質のスパッタリング膜を形成する方法でもある。
【0064】
本発明の触媒スパッタリングは、例えば、DCスパッタリング法、RFスパッタリング法、反応性スパッタリング法、非平衡型マグネトロンスパッタリング法、改良非平衡型マグネトロンスパッタリング法、プラズマスパッタリング法、バイアススパッタリング法、リングマグネトロンスパッタリング法、コリメートスパッタリング法、連続式スパッタリング法、バッチ式スパッタリング法、カルーセル型スパッタリング法、対向ターゲットスパッタリング法で行う。
【0065】
本発明の薄膜形成方法によって形成される薄膜は、シリコン、シリコンゲルマニウム、炭化ケイ素、化合物半導体(少なくともガリウムヒ素、ガリウムリン、ガリウムナイトライドのいずれかを含む)、ダイヤモンドのいずれかのアモルファスまたは多結晶または微結晶または単結晶の半導体薄膜、酸化シリコン、不純物(少なくともリンシリケートガラス(PSG)、ボロンシリケートガラス(BSG)、ボロンリンシリケートガラス(BPSG)のいずれかを含む)含有の酸化シリコン、窒化シリコン、窒酸化シリコン、酸化モリブデン、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化タンタル、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、酸化アルミニウム、酸化インジウム等の絶縁性薄膜、タングステン,チタン,タンタル,モリブデン等の高融点金属薄膜、窒化タングステン,窒化チタン,窒化タンタル,窒化モリブデン,窒化ニオブ,窒化バナジウム,窒化ジルコニウム等の導電性窒化薄膜、モリブデンシリサイド,タングステンシリサイド,チタンシリサイド,タンタルシリサイド等の高融点シリサイド薄膜、銅、アルミニウム、アルミニウム−シリコン又はアルミニウム−シリコン−銅からなる金属薄膜、ITO(Indium Tin Oxide),IZO(Indium Zinc Oxide)の導電性透明酸化膜、SrTiO、(Ba,Sr)TiO(BST)等の高誘電率薄膜、SrBiTa(SBT)、Pb(Zr,Ti)O(PZT)、(Pb,La)(Zr,Ti)O(PLZT)、BaTiO、LiNbO、BiTi12(BIT)等の強誘電体薄膜等である。
【0066】
本発明の真空容器1は、シングルチャンバ或いはマルチチャンバから構成される。
シングルチャンバからなる真空容器1を用いる場合には、装置が簡易な構成であるという利点がある。
他方、マルチチャンバからなる真空容器1を用いる場合には、異なる組成の複数の薄膜を形成する場合に、形成する膜ごとに導入するガスを変更しても、ガスを導入する室が異なり、導入するガスが互いに混合しないため、また、薄膜を形成する室が異なり、他の膜の混入がないため、高品質の薄膜を形成することができる。
【0067】
本発明の熱触媒体5は、シート状、図1に示すようなコイル状、ワイヤー状、図2に示すような網状のいずれかの形状を有する。
また、熱触媒体5は、図20に示すように、真空容器1内で可動可能な熱触媒体保持手段5bに保持し、熱触媒体保持手段5bは、基板10との距離を調整可能としてもよい。
【0068】
熱触媒体5は、図20に示すように、真空容器1内に複数個配設してもよい。この場合、熱触媒体5は、同一素材或いは異なる素材からそれぞれ形成される。また、これらの熱触媒体は同一形状或いは異形状にそれぞれ形成される。
複数の熱触媒体5は、それぞれ同一電流や電圧を供給する電源或いは異なる電流や電圧を供給する電源に接続される。
【0069】
また、本発明の基板10は、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、シリコンカーバイト、ガリウムひ素、ガリウムアルミニウムひ素、ガリウム燐、インジュウム燐、セレン化亜鉛、硫化カドミウム、石英ガラス、ほうけい酸ガラス、アルミノけい酸ガラス、ダイヤモンド薄膜コーティングガラス、耐熱性樹脂を含む半導体または絶縁性の材料から選ばれたものから構成される。
【0070】
基板10は、真空容器1内で可動可能な基板載置台2に載置され、基板載置台2により熱触媒体5との距離を調整可能とされる。また、図20に示すように、真空容器1内にレール6が敷設され、基板載置台2に、レール6上を移動可能な手段が取り付けられ、レール6上において基板載置台2を移動可能とするように構成しても良い。
本発明のターゲット4は、金属,窒化金属,酸化金属,またはそれらの混合金属,又はそれらの焼結体から構成される。
【0071】
本発明の真空容器1には、真空容器内1にガスを導入するためのガス導入系3が設けられる。このガス導入系3は、真空容器1内に位置するガス吹き出し部を備え、ガス吹き出し部は、熱触媒体5との距離を変更する位置調整手段を備える。
【0072】
また、本発明では、熱触媒体5とターゲット4との間に、移動可能なシャッター7が配置される。このシャッター7により、スパッタリング開始時には、熱触媒体5とターゲット4との間を遮蔽され、スパッタリングが安定した後に、熱触媒体5とターゲット4との遮蔽が解除される。
このように構成することにより、基板10上に、高品質の薄膜を形成することが可能となる。
【0073】
また、シャッター7が、真空容器1内の、熱触媒体5よりもターゲット4側に配置されることにより、スパッタリング開始前の熱触媒体5の温度昇温時において、熱触媒体5の副射熱を効率良く基板10に伝えることができ、基板10表面の昇温が容易となり、電力の節約、生産性の向上、成膜の品質向上等を図ることが可能となる。
また、スパッタリング中には、熱触媒体5の輻射熱でターゲット表面温度が昇温し、アウトガスの促進とスパッタリングの安定化,スパッタリング成膜速度の向上が図られるので、スパッタリングパワーをセーブでき、生産性向上とコストダウンが可能となる。
【0074】
本発明では、基板10上に薄膜を形成するときに、熱触媒体5を加熱し、ターゲット4に含まれる金属を含む薄膜を基板10上に堆積させる。
【0075】
請求項2に係る発明によると、高融点金属をセラミックスコーティングしたもの、または炭化ケイ素コーティングしたもの、または、表面を酸化又は窒化させたシリコンのいずれかである熱触媒体5(以下、「表面がコーティングされた熱触媒体5」と称する)を用いたときには、基板10上には、半導体膜、金属酸化物膜、金属窒化物膜、導電性窒化膜、単体金属膜、合金膜、金属シリサイド膜、高誘電率膜、強誘電体膜よりなる群から選ばれた少なくとも1種以上の膜を形成することができる。
【0076】
高融点金属をセラミックスまたは炭化ケイ素コーティングしたもの、または、表面を酸化又は窒化させたシリコンは、表面が、セラミックス,炭化ケイ素,酸化シリコン,窒化シリコンにより被覆されており、真空容器1中に酸素ガスを導入しても酸化劣化しにくいため、金属酸化物膜,高誘電率膜,強誘電体膜等の成膜にも適している。
【0077】
ここで、請求項2でいう高融点金属としては、タングステン、トリア含有タングステン、白金、パラジウム、タンタル、モリブデン、シリコン等がある。
また、高融点金属にコーティングをするセラミックスとしては、例えば、アルミナ等がある。
表面がコーティングされた熱触媒体5を用いて基板10上に薄膜を形成するときには、熱触媒体5は、例えば薄膜を構成する金属材料の少なくとも軟化点以上、好ましくは融点以上で、熱触媒体5の融点未満の温度に加熱される。
【0078】
また、半導体膜とは、例えばシリコン,ガリウムヒ素,炭化ケイ素からなる膜等である。金属酸化物膜とは酸化シリコン,酸化アルミニウム,酸化インジウムからなる膜等、金属窒化物膜とは、窒化シリコンからなる膜等、導電性窒化膜とは、窒化タングステン,窒化チタン,窒化タンタル,窒化モリブデンからなる膜等、単体金属膜とは、アルミニウム,銅からなる膜等、合金膜とは、アルミニウム−シリコン,銅−シリコンからなる膜等、金属シリサイド膜とは、タングステンシリサイド,チタンシリサイドからなる膜等、高誘電率膜とは、SrTiO,(Ba,Sr)TiO(BST)からなる膜等、強誘電体膜とは、SrBiTa(SBT),Pb(Zr,Ti)O(PZT),BaTiO,LiNからなる膜等である。
【0079】
また、半導体膜として、錫とゲルマニウムと鉛とのうち少なくともいずれか一つ以上を含有する半導体膜を形成することもできる。
このように、錫、ゲルマニウム、鉛のいずれか一つ以上を用いていることから、例えば、得られたシリコン層中に、四族元素である錫や鉛が混入してしまっても、これらは周期律表第四族の元素であってシリコン層中でキャリアにならず、そのためシリコン層は高抵抗なものとなる。よって、イオンドーピング(注入)等によるTFTのVth調整や抵抗値調整が容易になり、高性能な回路構成が可能になる。また、シリコン層中に残留する錫や鉛は結晶欠落に電気的に不活性にするため、得られたシリコン層は接合リークが低減され、移動度が高められたものとなる。
【0080】
表面がコーティングされた熱触媒体5を加熱した後には、真空容器1中に、不活性ガスと水素ガスのうち少なくとも一種のガス,すなわち不活性ガス,または水素ガス,または不活性ガスと水素ガスとの混合ガスを導入して、基板10上に半導体膜等の薄膜を形成する。
このように、基板10へ薄膜を形成するときに、水素ガスを供給するので、供給された水素ガスの一部が活性化水素イオンHとなって、この活性化水素イオンHが基板10表面をクリーニングし、基板10上に高品質の薄膜を形成することができる。
なお、本発明で不活性ガスとは、アルゴンガス,クリプトンガス,キセノンガス等をいう。
不活性ガスと水素ガスのうち少なくとも一種のガスは、少なくとも薄膜形成中において、真空容器1内に常時供給される。
また、基板10へ薄膜が形成されている途中で、ガス制御手段によって、水素ガスの供給を増減させる。
【0081】
また、本発明では、真空容器1中に、不活性ガスと窒素ガスのうち少なくとも一種のガス,または窒素ガスと水素ガス,または不活性ガスと窒素ガスと水素ガスを導入し、金属窒化物膜、導電性窒化膜よりなる群から選ばれた少なくとも1種以上の膜を形成する。
このように、金属窒化物膜、導電性窒化膜を形成するときに窒素ガスを導入すると、熱触媒体での熱分解反応および触媒反応によって窒素ガスの一部が活性化窒素イオンNとなり、この活性化窒素イオンNの窒化作用により、窒素イオン欠乏による膜の変質が防止され、本来の金属窒化物膜または導電性窒化膜の特性を有する膜を得ることができる。
【0082】
また、窒素ガスと共に水素ガスを真空容器1中に導入することにより、供給された水素ガスの一部が活性化水素イオンHとなって、この活性化水素イオンHが基板表面をクリーニングし、基板10上に高品質の薄膜を形成することができる。
【0083】
これらの不活性ガス,または水素ガス,または窒素ガス,または不活性ガスと窒素ガス,または不活性ガスと水素ガス,または窒素ガスと水素ガス,または不活性ガスと窒素ガスと水素ガスは、少なくとも薄膜形成中において、真空容器1内に常時供給される。
また、基板10へ薄膜が形成されている途中で、ガス制御手段によって、水素ガス,または窒素ガス,または水素ガスと窒素ガスの供給を増減させる。
薄膜の形成開始前および形成開始後における水素ガス,または窒素ガス,または水素ガスと窒素ガスの供給量を、薄膜の形成中における水素ガス,または窒素ガス,または水素ガスと窒素ガスの供給量よりも多くする。
このとき、基板10へ薄膜が形成されている途中で、ガス制御手段によって、水素ガスまたは窒素ガスの供給を増減させる。
【0084】
また、本発明では、表面がコーティングされた熱触媒体5を加熱した後に、真空容器1中に不活性ガスと酸素ガスのうち少なくとも一種のガス,すなわち不活性ガス,または酸素ガス,または不活性ガスと酸素ガスを導入し、金属酸化物膜、高誘電率膜、強誘電体膜よりなる群から選ばれた少なくとも1種以上の膜を形成する。
【0085】
このとき、不活性ガス,または酸素ガス,または不活性ガスと酸素ガスは、少なくとも薄膜形成中において、真空容器1内に常時供給する。
また、基板10へ薄膜が形成されている途中で、ガス制御手段によって、酸素ガスまたは水素ガスまたは窒素ガスの少なくとも一種のガスの供給を増減させる。
薄膜の形成開始前および形成開始後における酸素ガスまたは水素ガスの供給量を、前記薄膜の形成中における前記酸素ガスまたは前記水素ガスの供給量よりも多くすることもできる。
【0086】
また、本発明では、熱触媒体5を、金属、またはセラミックスまたは炭化ケイ素を芯として金属をコーティングしたものとし、半導体膜、金属窒化物膜、導電性窒化膜、金属シリサイド膜よりなる群から選ばれた少なくとも1種以上の膜を形成する。
このとき、半導体膜として、錫とゲルマニウムと鉛とのうち少なくともいずれか一つ以上を含有する半導体膜を形成することもできる。
【0087】
このとき、金属としては、例えば、前記の請求項2でいう高融点金属(タングステン、トリア含有タングステン、白金、パラジウム、タンタル、モリブデン、シリコン等)に加え、銅、アルミニウム等も含まれる。
このように、熱触媒体5として金属、またはセラミックスまたは炭化ケイ素を芯として金属をコーティングしたもの(以下、「金属が表面に裸出した熱触媒体」とする)を用いた場合、スパッタリングの条件を選択することにより、基板10上に、ターゲット4の材料だけでなく、熱触媒体5に含まれる金属をも堆積させることができる。
【0088】
このとき、薄膜の形成開始前および形成終了後には、熱触媒体5を、熱触媒体5の金属の融点未満の温度とし、薄膜の形成中には、熱触媒体5の金属による蒸着可能な温度とする。
温度をこのように設定することにより、熱触媒体5の金属の基板10上への堆積を制御することができる。
【0089】
金属が表面に裸出した熱触媒体を用いてスパッタリングを行う場合、真空容器1中に不活性ガスと水素ガス,または水素ガスのみを導入して、熱触媒体5の酸化劣化防止と基板10上のクリーニングを行いながら薄膜を形成する。
【0090】
金属が表面に裸出した熱触媒体を用いてスパッタリングを行う際には、熱触媒体5の金属が、ターゲット4に含まれる金属を含むように構成することもできる。
このようにすることにより、基板10上に、ターゲット4と同じ金属を、熱触媒体5による蒸着により堆積することができる。
【0091】
このとき、真空容器1中に不活性ガスと水素ガスに加えて,または水素ガスに加えて窒素ガスを導入し、金属窒化物膜、導電性窒化膜よりなる群から選ばれた少なくとも1種以上の膜を形成してもよい。
このように、金属窒化物膜、導電性窒化膜を形成するときに窒素ガスを導入すると、熱触媒体での熱分解反応および触媒反応によって窒素ガスの一部が活性化窒素イオンNとなり、この活性化窒素イオンNの窒化作用により、窒素イオン欠乏による膜の変質が防止され、本来の金属窒化物膜または導電性窒化膜の特性を有する膜を得ることができる。
【0092】
熱触媒体5として金属が表面に裸出した熱触媒体を用いる場合も、水素ガスまたは窒素ガス,または水素ガスと窒素ガスを、少なくとも薄膜形成中において、真空容器1内に常時供給する。
また、基板10へ薄膜が形成されている途中で、ガス制御手段によって、水素ガスまたは窒素ガス,または水素ガスと窒素ガスの供給を増減させることもできる。
さらに、薄膜の形成開始前および形成開始後における水素ガスの供給量を、薄膜の形成中における水素ガスの供給量よりも多くすることもできる。
【0093】
なお、熱触媒体5として、金属が表面に裸出した熱触媒体を用いた場合、真空容器内1に酸素ガスを導入することは適さない。
真空容器1内に酸素ガスを導入すると、熱触媒体5表面が酸化劣化して熱触媒体5が断線するからである。
【0094】
本発明では、基板の少なくとも半導体装置形成領域に段差を形成し、この段差を含む基板10上に単結晶半導体膜をグラフォエピタキシャル成長させることもできる。
また、基板10の少なくとも半導体装置形成領域に単結晶半導体と格子整合の良い物質層を形成し、この物質層を含む基板10上に単結晶半導体膜をヘテロエピタキシャル成長させる。
また、単結晶半導体と格子整合の良い物質層は、サファイアまたはスピネル構造体またはフッ化カルシウムからなる群より選ばれた物質とする。
ここで、本発明における単結晶半導体とは、単結晶シリコンのみならず、単結晶ガリウム・砒素や単結晶シリコン・ゲルマニウム等の単結晶化合物半導体も含む概念である。
また、本発明における単結晶には、単結晶のみからなるものだけでなく、亜粒界や転位を含有する単結晶も含むものである。
【0095】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、真空容器1中において、基板10とターゲット4との間に熱触媒体5を配置してスパッタリングにより基板10に薄膜層を形成し、この薄膜層を含む半導体装置を製造する方法である。
本発明に係る半導体装置の製造方法は、電界効果トランジスタ(FET)(MIS型と接合型)およびバイポーラトランジスタ薄膜トランジスタのいずれにも適用できるものである。
【0096】
本発明では、真空容器10中に水素ガスまたは酸素ガスを供給して熱触媒体5で発生した活性化水素イオンHまたは活性化酸素イオンOで前記基板上をクリーニングするクリーニング工程と、真空容器1に水素ガス,または酸素ガス,または窒素ガス,または水素ガスと窒素ガス,または酸素ガスと窒素ガスを少なくとも薄膜形成中において常時供給すると共に、不活性ガスを供給してスパッタリングにより前記基板上に薄膜を形成する薄膜形成工程と、を行う。
そして、このクリーニング工程と薄膜形成工程とを繰り返すことにより、基板10の少なくとも薄膜半導体装置形成領域に、少なくとも半導体薄膜とゲート絶縁膜を連続成膜して薄膜層を形成する。この薄膜層に所定の処理を施し、トップゲート型TFTを製作する。
【0097】
さらに、本発明では、水素ガスまたは酸素ガスを供給して熱触媒体5で発生した活性化水素イオンHまたは活性化酸素イオンOで前記基板上をクリーニングするクリーニング工程と、真空容器1に水素ガス,または酸素ガス,または窒素ガス,または水素ガスと窒素ガス,または酸素ガスと窒素ガスを少なくとも薄膜形成中において常時供給すると共に、不活性ガスを供給してスパッタリングにより前記基板上に薄膜を形成する薄膜形成工程と、を行う。
そして、このクリーニング工程と薄膜形成工程とを繰り返すことにより、予めゲート電極が形成された基板10の少なくとも薄膜半導体装置形成領域に少なくともゲート絶縁膜を成膜し、このゲート絶縁膜に連続して少なくとも半導体膜を成膜して半導体薄膜層を形成する。この半導体薄膜層に連続して少なくとも保護膜を形成し、半導体薄膜層および保護膜に所定の処理を施し、ボトムゲート型TFTを作製する。
【0098】
このように、水素ガスまたは酸素ガスを供給し、熱触媒体を加熱して触媒作用が可能な状態にし、少なくともシリコン膜等の半導体膜とゲート絶縁膜を連続成膜することで、ゲートチャンネル部を低ストレス,低コンタミとすることが可能となる。
【0099】
また、本発明では、水素ガスまたは酸素ガスを供給して熱触媒体で発生した活性化水素イオンHまたは活性化酸素イオンOで前記基板上をクリーニングするクリーニング工程と、真空容器1に水素ガス,または酸素ガス,または窒素ガス,または水素ガスと窒素ガス,または酸素ガスと窒素ガスを少なくとも薄膜形成中において常時供給すると共に、不活性ガスを供給してスパッタリングにより前記基板上に薄膜を形成する薄膜形成工程と、を行う。
そして、このクリーニング工程と薄膜形成工程とを繰り返すことにより、予め第1のゲート電極が形成された前記基板の少なくとも薄膜半導体装置形成領域に少なくとも第1のゲート絶縁膜を成膜し、この第1のゲート絶縁膜に連続して少なくとも半導体膜を成膜することにより半導体薄膜層を形成する。この半導体薄膜層に連続して少なくとも第2のゲート絶縁膜を成膜し、この第2のゲート絶縁膜に連続して少なくとも第2のゲート電極のための金属膜を成膜し、この第2のゲート絶縁膜および第2のゲート電極のための金属膜および半導体薄膜層に所定の処理を施し、デュアルゲート型TFTを作製する。
このとき、上記ゲート絶縁膜は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、窒酸化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、酸化アルミニウム膜、酸化タンタル膜、またはそれらの複合膜から選ばれる。
【0100】
本発明に係る半導体装置の製造方法では、薄膜形成工程の形成前,途中,後の少なくとも一つで、水素ガス,または酸素ガス,または窒素ガス,または水素ガスおよび窒素ガス,または酸素ガスおよび窒素ガスの供給を増減する。
薄膜層は、一つのチャンバを備えたシングルチャンバからなる真空容器1内で形成する。
【0101】
また、膜は、複数のチャンバを備えたマルチチャンバからなる真空容器1内の、ターゲット4に対応したチャンバ内で行う。
このように構成することにより、異なる組成の複数の薄膜を形成する場合に、形成する膜ごとに導入するガスを変更しても、ガスを導入する室が異なり、導入するガスが互いに混合しないため、高品質の薄膜を形成することができる。
マルチチャンバからなる真空容器1を用いた場合には、半導体膜として、錫とゲルマニウムと鉛とのうち少なくともいずれか一つ以上を含有する半導体膜を形成することができる。
【0102】
前記半導体膜は、電界効果トランジスタのチャンネル領域、ソース領域及びドレイン領域に適用され、またはバイポーラトランジスタのエミッタ領域、ベース領域、コレクタ領域に適用し、さらに、ダイオード、抵抗、コンデンサ等に適用し、これら各領域に注入された不純物種及び/またはその濃度が制御される。ここで、電界効果トランジスタとしては、MOS型、接合型の両者を含む。
【0103】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、シリコン半導体装置、シリコン半導体集積回路装置、シリコン−ゲルマニウム半導体装置、シリコン−ゲルマニウム半導体集積回路装置、化合物半導体装置、化合物半導体集積回路装置、炭化ケイ素半導体装置、炭化ケイ素半導体集積回路装置、ダイヤモンド半導体装置、ダイヤモンド半導体集積回路装置、液晶表示装置、エレクトロルミネセンス表示装置、フィールドエミッションディスプレイ(FED)装置、プラズマディスプレイパネル(PDP)装置、発光ポリマー表示装置、発光ダイオード表示装置、CCD/MOSイメージセンサ装置、光センサ装置、強誘電体または高誘電率メモリー装置、電子写真感光体装置又は太陽電池装置等の半導体装置の製造に用いられる。
【0104】
【実施例】
(実施例1)
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する部材,配置等は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
図1は、本発明の薄膜形成装置Sの一実施例を示す概略図である。
図1に示す薄膜形成装置Sは、シングルチャンバによる触媒DCスパッタリング装置であり、表面に薄膜を作成する基板10が配置される、真空容器としてのチャンバ1と、チャンバ1内の所定位置に基板10を配置するための、基板載置台としてのサセプタ2と、基板10とターゲット4との間にスパッタリングのプラズマを発生させるためのDC電極9と、DC電極9の下面に固定された薄膜原料からなるターゲット4と、不活性ガスおよび水素ガスをチャンバ1内に導入するスパッタリング用ガス導入系と、所定位置に配置された基板10の表面に臨むチャンバ1内の位置に設けられた熱触媒体5と、熱触媒体5を所定温度に加熱する加熱手段5aと、を備えている。なお、スパッタリング用電源は、DC電源のみならずRF電源を用いてもよいことは言うまでもない。
【0105】
本例のチャンバ1は、排気系1aを備えた気密な中空容器から構成されており、その形状は問わない。本例の排気系1aは、チャンバ1の排気用導管により図示しない真空ポンプ等に連結されている。この排気系1aによって、チャンバ1内を10−6Pa程度以上の圧力まで下げるように構成される。
【0106】
本例のサセプタ2は、チャンバ1の下部位置に配設されており、上面2aが平面に形成され、この上面2aに基板10を載置するよう構成されている。なお、基板10をサセプタ2の上面2aに確実に保持するために、サセプタ2の上面2aに静電気を誘起して行う静電吸着方式を採用したり、L字状部材によって基板10の縁を機械的に保持する方式を採用した構成としても良い。
【0107】
サセプタ2には、基板10を所定温度に加熱するためのヒータ2bが内蔵されている。本例のヒータ2bは、例えば、抵抗発熱方式のものが採用され、チャンバ1外に設けられた図示しないヒータ電源が接続されている。また、チャンバ1には不図示の、基板10とサセプタ2の温度を測定する測定手段が設けられている。ヒータ電源には、基板10又はサセプタ2の温度を監視する、測定手段からの信号によって、ヒータ供給電力を制御する不図示のコントローラが設けられている。
【0108】
なお、本例では、サセプタ2にヒータ2bを内蔵するように構成しているが、後述する熱触媒体5の加熱条件によっては、ヒータ2bを設けないように構成してもよい。ヒータ2bを設けない場合には、サセプタ2周辺の構造が簡易になり、安価な薄膜形成装置を得ることができる。
【0109】
又、必要に応じて、逆に基板を冷却する機構を設け、基板温度を制御してもよい。
なお、基板10を可動可能な基板載置台に載置してチャンバ1内で熱触媒体5との距離を調整可能な構成としても良い。このような構成とすれば、チャンバ1の広さ、或いはガスや熱触媒体5の種類、或いは熱触媒体5の形状や大きさに応じて、最も良好な触媒反応が得られる位置に基板10を位置させることが可能となる。
【0110】
さらにまた、チャンバ1内にレールを敷設し、基板載置台にレール上を移動可能な手段を取り付け、レール上において基板載置台を移動可能とする構成にすると、チャンバ1内に配設された長尺の熱触媒体5に沿って基板載置台を移動させることが可能となり、基板10に均等に成膜を施すことが可能となり、生産性向上によるコストダウンも可能となる。
【0111】
本例のDC電極9は、図1のチャンバ1の図面上部に配置され、チャンバ1外の接地されたDC電源9aに接続される。なお、DC電極9は、図示しない接地電位のカソード・シールドで覆われる。このカソード・シールドは、DC電極9のターゲット4を除く部分を覆うものであり、DC電極9から一定の距離を隔てて配設される。カソード・シールドは、陰極(DC電極9)のターゲット面以外で放電が発生することを防止する役割を果たす。
【0112】
本例のターゲット4は、薄膜材料からなり、DC電極9に固定される。ターゲット4は、図示しない熱伝導率の大きい銅の裏板に取り付けられる。
【0113】
次に、薄膜形成装置のガス導入系3について説明する。ガス導入系3は、アルゴンガス,水素ガス,酸素ガス,窒素ガス等のガスをチャンバ1内に導く配管と、配管に設けた不図示のバリアブル・リークバルブと、不図示の減圧弁と、各ガスを貯留する不図示のガスボンベとを備えている。バリアブル・リークバルブおよびMFC(マスフローコントローラー)により流量を調整しながら、各ガスをチャンバ1内に導入するように構成される。
【0114】
なお、ガス導入系3は、真空容器内に位置するガス吹き出し部を備え、このガス吹き出し部を位置調整手段により熱触媒体5との距離を変更するように構成しても良い。このように構成すると、真空容器1の広さ、或いはガスや熱触媒体5の種類、或いは熱触媒体5の形状や大きさに応じて、最も良好な触媒反応が得られる位置に、ガス吹き出し部を位置させることが可能となる。
【0115】
本例では、ガス導入系3を通してアルゴンガス,水素ガス,酸素ガス,窒素ガス等のガスが導入されるように構成される。アルゴンガスは、プラズマ中でアルゴンイオンとなり、このアルゴンイオンが陰極降下内で加速されてターゲットを衝撃し、スパッタ作用を起こす。このスパッタ作用により、ターゲットから原子が弾き出され、この原子が基板10上に付着して薄膜が形成される。なお、アルゴンガスを真空容器1内に導入せずに、水素イオン,酸素イオン,窒素イオン等によりスパッタリングすることもできる。
【0116】
本例の薄膜形成装置Sは、シングルチャンバによる触媒DCスパッタリング装置であり、真空容器1内には、熱触媒体5が配設されている。この熱触媒体5は、基板10表面の温度を上昇させてThorntonによる薄膜の微細構造モデル領域2,3における構造の薄膜の生成を可能とするために使用されるものである。また、真空容器内1に導入した水素ガス,酸素ガス,窒素ガスを活性化して基板10やスパッタリングターゲット4の吸着ガスをクリーニングし、基板上に成膜中の薄膜の酸化を防止するという役割をも果たす。
また、スパッタリングターゲット4表面温度を上昇させてスパッタリング作用を向上させ、成膜速度の向上,スパッタリングパワーの削減等をも図るものである。
【0117】
本例の熱触媒体5は、例えば、図1で示すように、直径0.5mm程度のワイヤーをコイル状にして構成されている。本例のワイヤーの素材としては、高融点金属(タングステン、トリア含有タングステン、白金、パラジウム、タンタル、モリブデン、シリコンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の材料を含む)をセラミックス(アルミナ等)コーティングしたもの、または炭化ケイ素コーティングしたもの、または、表面を酸化又は窒化させたシリコン等が用いられる。
【0118】
本例の熱触媒体5は、表面がセラミックス,炭化ケイ素,酸化シリコン,窒化シリコン等に被覆されているため、スパッタリング中に、ターゲット4から飛来した薄膜材料と反応しないという性質を有するものである。
【0119】
したがって、チャンバ1内に酸素ガスを入れた場合にも、熱触媒体5は酸化劣化しないため、チャンバ1内で活性化酸素イオンOが発生し、基板10上への酸化物(SiO,Al,In,ITO,SBT,BST等)の触媒スパッタリングが可能となる。一方、チャンバ1内に水素ガスを導入した場合も、活性化水素イオンHの効果も発揮される。さらに、ターゲット4から飛来した薄膜材料と反応しないため、熱触媒体5は、機械的強度が高いという性質を有する。また、ターゲット4から飛来した薄膜材料と反応しないため、ターゲット4が金属,シリコン,窒化物等である場合に、基板上に熱触媒体5の材料が混入しないという特長がある。
【0120】
表面を酸化又は窒化させたシリコンは、シリコンに、N型又はP型キャリア不純物を混入したものとしてもよい。このように構成することにより、熱触媒体の比抵抗を制御して、その温度制御を容易にすることができる。
【0121】
また、本例の熱触媒体5は、金属(タングステン、トリア含有タングステン、白金、パラジウム、チタン、タンタル、モリブデン、シリコン、N型またはP型キャリア不純物含有シリコン、銅、アルミニウム等)、またはセラミックスまたは炭化ケイ素の芯に、金属(タングステン、トリア含有タングステン、白金、パラジウム、チタン、タンタル、モリブデン、シリコン、N型またはP型キャリア不純物含有シリコン、銅、アルミニウム等)をコーティングしたものとして構成しても良い。ただし、この場合は、熱触媒体5の表面に金属が裸出しており、熱触媒体は酸化劣化する性質を有するので、熱触媒体5をこのように構成するときには、真空容器1内に、酸素ガスを導入することはできない。
【0122】
上記熱触媒体に、直流,または低周波交流(1MHz以下),または高周波交流(1MHzより大きく100MHz以下),または直流に低周波交流(1MHz以下)又は高周波交流(1MHzより大きく100MHz以下)を重畳させた電源(プラズマ放電開始電圧以下)を供給して、バイアス触媒スパッタリングとすることも可能である。このような加熱手段により、熱触媒体5は、スパッタリング材料の少なくとも軟化点以上、好ましくは融点以上で触媒体の融点以下の温度に加熱されるようになっている。
【0123】
そして、前記熱触媒体ホルダー5bは、チャンバ1内で移動可能とされ、最も効果的な触媒反応を得られるように、熱触媒体5と基板10との距離を調整可能に構成されている。触媒体ホルダー5bの調整は、図示しない駆動機構によって行っている。駆動機構としては、モータを駆動源として、モータの出力軸にピニオンギヤを取り付け、触媒体ホルダー5bにラックギヤを配設し、これらのギアを歯合させて、モータ(サーボモータやステッピングモータ)の出力によって調整可能としたり、熱触媒体ホルダー5bに連結した油圧式装置(気圧装置でも可)で距離調整したり、各種の構成を用いることが可能である。なお、熱触媒体5は、基板10から遠ざかるにしたがって、触媒反応の効果が薄れるので、基板10の近傍に、例えば5cm離れた位置に配置されることが好ましい。
【0124】
また、図2に示す熱触媒体5には、相対する辺(図中では左右に位置する辺)のほぼ中間部から、電源5aへ接続される接続線5bが延出している。この接続線5bを介して、電源5aから電流が供給され、熱触媒体5を所定温度に加熱されるように構成されている。
熱触媒体5の形状としては、上記のようにコイル状や網目状に形成する他、例えば、図3乃至図7に示すような形状に形成しても良い。
【0125】
図3に示す熱触媒体5は、長めのワイヤーから形成されている。即ち、ワイヤーを矩形ジグザクにして、複数の平行列を形成したものである。このように複数列に形成された熱触媒体5は、単体で用いてもよいが、図3の破線で示すように、平行列が直交するように、二枚重ねて配置しても良い。或いは、角度を変えて重ねても良く、さらに、二枚重ねに限らず、複数枚重ねて配設しても良い。
【0126】
なお、複数の熱触媒体5を配設するとき、熱触媒体5を同一素材から、それぞれ形成することが可能である。例えば、図7において、上部側に位置する熱触媒体5と、下部側に位置する熱触媒体5との両方を、セラミックコーティングしたタングステンまたはタングステンとする。
【0127】
或いは、複数の熱触媒体5を配設するとき、熱触媒体5を異なる素材から、それぞれ形成することが可能である。例えば、図7において、上部側に位置する熱触媒体5をセラミックコーティングしたタングステンとし、下部側に位置する熱触媒体5をセラミックコーティングしたパラジウムとして構成する。または、上部側をタングステンとし、下部側をパラジウムとして構成する。
【0128】
さらに、複数の熱触媒体5を配設するとき、図7に示すように、同一形状の熱触媒体5を配設する他、異なる形状の熱触媒体5を配設する構成としても良い。すなわち、例えば、図2に示される熱触媒体5と、図3に示される熱触媒体5とを組み合わせて配設する。
【0129】
さらにまた、図7に示すように、複数の熱触媒体5を配設するとき、各熱触媒体を、同一電流を供給する電源或いは異なる電流を供給する電源に接続させた構成とすることも可能である。これにより、例えば、複数の熱触媒体がそれぞれ異なる素材から形成されているときでも、電源の電圧・電流調整を行うことにより抵抗発熱体である熱触媒体の温度調整が可能となり良好な触媒反応を得ることができる。さらに、同一素材の熱触媒体を使用している場合でも、真空容器内の熱触媒体の位置や、熱触媒体自体の大きさに応じて、熱触媒体の加熱温度を調整することが可能となる。
【0130】
本例における電源は、直流電流或いは交流電源、又は直流に交流を重畳させた電源であり、状況に応じて選択されるものである。電源の電圧・電流の調整を行うことにより、抵抗発熱体である熱触媒体の温度調整をすることが可能となる。
【0131】
このように、真空容器1内に複数の熱触媒体5を配設し、熱触媒体の素材、形状、または接続される電源を自由に選択し、組み合わせることにより、最も良好な触媒反応を得ることが可能となる。
【0132】
このように熱触媒体5は、可動可能とし、材質の異なるものを複数併用し、電源を同一あるいは異ならせて各熱触媒体の温度を異ならせる等各種の構成を採用することが可能である。また、その他シート状、ワイヤー状等接触面積が大きい形状の単層又は複層のいずれの形状としてもよい。
【0133】
本例では、図1に示すように、シャッター7が、熱触媒体5とターゲット4との間に、熱触媒体5およびターゲット4とほぼ平行になるように設けられる。本例のシャッター7は、板状体からなり、その平面は、ターゲット4および熱触媒体5の間を遮断するために充分な面積を有する。本例のシャッター7は、耐熱性ガラス、石英ガラス、結晶化ガラス等、耐熱性があり、熱伝導率の低い材料からなる。本例のシャッター7は、図1に示す熱触媒体5とターゲット4との間の位置と、熱触媒体5とターゲット4の間を遮断しない位置とに、移動可能に構成される。
【0134】
以下、本明細書中において、シャッター7が図1に示す熱触媒体5とターゲット4との間の位置にある状態を「閉状態」、シャッター7が熱触媒体5とターゲット4の間を遮断しない位置にある状態を「開状態」と称する。
【0135】
本例のシャッター7は、スパッタリングが安定するまで熱触媒体5とターゲット4との間を遮断するように配置され、スパッタリングが安定してから熱触媒体5とターゲット4との間から取り除かれる。シャッター7をこのように構成することにより、スパッタリングが安定してから基板10上に薄膜を形成することができるので、高品質の薄膜を形成することが可能となる。
【0136】
本例のシャッター7は、そのターゲット側の面が、反射率の小さい膜として形成され、熱触媒体5側は鏡面として形成される。すなわち、本例のシャッター7は、熱触媒体5側が鏡面として構成される。このように構成することにより、スパッタリング開始前の熱触媒体5の温度昇温時において、熱触媒体5の副射熱を効率良く基板10に伝えることができるため、基板10表面の昇温が容易となり、電力の節約、生産性の向上、成膜の品質向上等を図ることができる。
【0137】
本例の薄膜形成装置Sによって薄膜形成を行うスパッタリングは、本明細書において、触媒スパッタリング法と呼ぶ。
すなわち、本例の薄膜形成装置Sは、ガス導入系を通して導入するアルゴンガスに、水素ガス,酸素ガス,窒素ガス等を混合して導入できるように構成している。この水素ガス,酸素ガスは、熱触媒体5との熱分解反応および触媒反応により活性化され、この活性化水素イオンHまたは活性化酸素イオンOによって基板表面の汚れを除去するクリーニングが行える。また、活性化水素イオンHにより、熱触媒体5の酸化を防ぎ、熱触媒体5の劣化断線を防止することができる。また、基板ホルダー2やチャンバー1内壁の酸化劣化を低減でき、また、そこから発塵するダストの量を低減でき、高品質の成膜が可能となる。
【0138】
本発明の特徴の一つは、上記のような触媒スパッタリング用の熱触媒体5を利用して成膜を行う他、アルゴンガスに水素ガス等を導入して、活性化水素イオンH等により、成膜の界面欠陥低減のための表面処理を行う点にも存する。
この点を、以下に詳説する。上述した触媒スパッタリング法において、水素ガスを導入すると、活性化水素イオンHにより基板の表面を改質したりクリーニングしたりする表面処理を行うことができる。このように、基板表面を処理した後に成膜を行うと、界面欠陥の極めて少ない良質な成膜を行うことが可能となる。
【0139】
本例では、基板10の表面に改質及びクリーニングを施すために、アルゴンガスと共に水素ガス等を導入する。水素ガスは熱触媒体5との熱分解反応および触媒反応により活性化され、この活性化水素イオンHによって基板表面の自然酸化膜や水分,汚れを除去するクリーニングが行える。また、活性化水素イオンHにより、熱触媒体5の酸化を防ぎ、熱触媒体5の劣化断線を防止することができる。
【0140】
また、成膜する膜の種類によっては、アルゴンガスと共に酸素ガスを導入して、活性化酸素イオンOで基板10表面のクリーニング等を行うことができる。ただし、酸素ガスと水素ガスとは、真空容器1内に同時に導入しないようにする。
【0141】
そして、最も大きな特徴点は、上記水素ガス等及びアルゴンガスの導入時間及びタイミングにより、所望の品質及び速度で成膜を行うことができる点にある。以下、図10乃至図19を参照して、図1の装置における水素ガス等及びアルゴンガスの導入方法について説明する。
【0142】
図10乃至図19に示すガス導入形態は、前提として、アルゴン(Ar)ガスの他に、水素(H)ガス,窒素(N)ガス,酸素(O)ガスの少なくともいずれか1種のガスをチャンバ1内に導入するものである。
なお、図10乃至図19において、アルゴンガスをAr,水素ガスをH,窒素ガスをN,酸素ガスをOと表す。また、ポリシリコン膜をポリSi,窒化シリコン膜をSiN,酸化シリコン膜をSiOと表す。活性化水素イオンH,活性化酸素イオンOによるクリーニングを、それぞれ単にHクリーニング,Oクリーニングと表す。
先ず、図10乃至図15に示すシングルチャンバを用いたスパッタリングにおけるガス導入形態について説明する。
【0143】
図10のガス導入形態は、ポリシリコン、アモルファスシリコン、単結晶シリコン、ガリウムヒ素、炭化ケイ素等の半導体膜の成膜を行う場合に用いることができるものであり、図10はそのうちのポリシリコン膜を形成する場合のガス導入形態を示すものである。この図10では、成膜を行う前後に、基板10の表面を活性化水素イオンHでクリーニングする場合が示されており、この場合の水素ガス及びアルゴンガスの導入形態が示されている。
【0144】
図10のポリシリコン膜を形成する場合には、ターゲット4として、シリコンからなるターゲットを、熱触媒体5として、表面を酸化させたシリコンを用いる。
なお、熱触媒体5としては、その他、高融点金属をセラミックスコーティングまたは炭化ケイ素コーティングしたもの、または、表面を窒化させたシリコン等を用いてもよい。
【0145】
また、金属(タングステン、モリブデン、シリコン、N型またはP型キャリア不純物含有シリコン)からなる熱触媒体、またはセラミックスまたは炭化ケイ素を芯として金属(タングステン、モリブデン、シリコン、N型またはP型キャリア不純物含有シリコン)をコーティングした熱触媒体(「金属が表面に裸出した熱触媒体」)を用いてもよい。
ここで、熱触媒体5として、金属が表面に裸出した熱触媒体を用いる場合には、この金属は、シリコンまたはタングステンまたはモリブデンからなるものに限定される。
【0146】
その理由は、以下の通りである。すなわち、金属が表面に裸出した熱触媒体を用いた場合、スパッタリング時に、この熱触媒体5表面の金属が蒸発して基板10上に堆積される可能性がある。したがって、熱触媒体5の表面は、ターゲット材料と共に基板10上に堆積されても特性上問題のない材料である必要があるが、基板10上にポリシリコン膜を堆積する本例の場合、ターゲット材と同じ金属であるシリコンおよび,シリコンに混入しても特性上問題のないタングステンまたはモリブデンは、ターゲット材と共に基板10上に堆積されても特性上問題がないからである。
【0147】
まず、不図示のゲートバルブを通してチャンバ1内に基板10を搬入し、サセプタ2に載置する。このとき、シャッター7を、「閉状態」とする。次いで、排気系1aを動作させて粗引きを行った後本引きを行い、チャンバ1内を所定圧力,本例では10−4〜10−5Paまで排気する。サセプタ2に内蔵されたヒータ2aを動作させて基板10を所定温度,本例では200〜550℃まで加熱する。
このように、基板10を加熱することにより吸着ガス(O,HO,CO等)の排出を促進することができる。
【0148】
なお、熱触媒体5として、セラミックス,炭化ケイ素,酸化シリコン,窒化シリコンで表面が被覆され耐熱性,耐酸化性を有する熱触媒体を用いる場合には、所定真空度に達する前に熱触媒体5の加熱を行っても良い。
【0149】
熱触媒体5として、金属が表面に裸出した熱触媒体を用いる場合には、熱触媒体5の加熱は、チャンバ1内が所定真空度に達してから行う必要がある。低い真空度中に含まれる微量酸素により、熱触媒体5の表面が酸化劣化するからである。
【0150】
そして、ガス導入系3を動作させて、まず水素ガスをチャンバ1内に導入する。その後、触媒体5を所定温度,本例では1600〜1800℃に加熱する。導入された水素ガスの一部は、熱触媒体5による熱分解反応および触媒反応により活性化水素イオンHとなり、基板10表面に到達する。この活性化水素イオンHは、基板10の表面に吸着されているガス、水分等を除去するので、基板10の表面クリーニングが行われる。また、同時にスパッタリングターゲット表面にも活性化水素イオンHが到達し、同様の表面クリーニングが行われる。これにより、安定したスパッタリングが開始され、常に安定したスパッタリングが行われる。
【0151】
上記のように、チャンバ1内に水素ガスが供給されている状態で、ガス導入系3を動作させ、アルゴンガスをチャンバ1内に導入する。このときのアルゴンガスと水素ガスの混合ガス圧力を、本例では、1Paとし、アルゴンガスに対する水素ガスの比率を5〜10モル比%程度とする。その後、DC電源9aをオンにすると、導入されたアルゴンガスおよび水素ガスは、DCプラズマによりイオン化される。アルゴンイオンおよび水素イオンは、ターゲット4に衝突し、ターゲット4から薄膜原料であるシリコン分子および原子がスパッタされる。このとき、シャッター7が「閉状態」にあるため、シリコン分子および原子は、シャッター7に遮られ、熱触媒体5および基板10には到達しない。
【0152】
チャンバ1内におけるアルゴンガスと水素ガスの混合ガスの圧力が安定し、スパッタリングが安定した段階で、シャッター7を「開状態」とする。スパッタされたシリコン原子は、熱触媒体5の近傍を通過しながら基板10に到達し、ポリシリコン薄膜が基板表面に作成される。
【0153】
成膜が終了したら、シャッター7を「閉状態」とし、DC電源9aをオフにして、DCプラズマを停止させる。アルゴンガスの導入を停止して、チャンバ1内からアルゴンガスを排出する。その後も、水素ガス導入および熱触媒体5,基板10の加熱は継続し、しばらくの間基板10表面のクリーニングを行う。なお、熱触媒体5として、金属が表面に裸出した熱触媒体を用いる場合には、熱触媒体5が所定温度に低下するまで水素ガスを流すことにより、熱触媒体5の表面の酸化劣化が防止される。その後、熱触媒体5及び基板10の加熱を停止し、熱触媒体5の温度が、問題のない温度まで低下した後に、水素ガスの導入を停止する。
【0154】
水素ガスは、可燃性気体であるため、充分に排気を行い、その後、窒素ガスでリークする。この際、窒素ガスを用いることにより、触媒体5及び基板10,チャンバ1内治具等が酸化劣化することを防止することができる。
その後、チャンバ1の真空を破り、基板10を取り出す。
【0155】
本例では、図10の実線で示すように、ポリシリコン膜の成膜前,成膜中,成膜後において、水素ガスを一定量導入するように構成したが、図10の点線で示すように、ポリシリコン膜の成膜前、成膜後に水素ガスの導入量を多くしても良い。このように構成すると、活性化水素イオンHによる成膜前後の基板表面のクリーニング効果を大きく、また成膜ストレスを低減することができる。
【0156】
また、図11で示すように、ポリシリコン膜の成膜中に、水素ガスの導入量を例えば5×10−2Pa程度まで低減させても良い。このように構成することにより、成膜中における、チャンバ1内のアルゴンイオンの濃度が高くなるため、基板10への薄膜形成を高速で行うことができ、作業性を向上させることが可能となる。
【0157】
次に、図12,図13に示すガス導入形態について説明する。図12,図13のガス導入形態は、窒化シリコン、窒化チタン、窒化モリブデン、窒化タンタル等の窒化膜の成膜を行う場合に用いることができるものであり、図12,図13は、そのうちの窒化シリコン膜を形成する場合のガス導入形態を示すものである。
この図12では、成膜を行う前後に、基板10の表面を活性化水素イオンHでクリーニングする場合が示されており、この場合の水素ガス,窒素ガス及びアルゴンガスの導入形態が示されている。
【0158】
図12の窒化シリコン膜を形成する場合には、ターゲット4として、窒化シリコンからなるターゲットを用いる。なお、シリコンからなるターゲットを用いてもよい。熱触媒体5には、表面を窒化させたシリコンを用いる。
なお、触媒体5としては、その他、高融点金属をセラミックスコーティングまたは炭化ケイ素コーティングしたもの、または、表面を酸化させたシリコン等を用いてもよい。
【0159】
また、金属(タングステン、シリコン、モリブデン、チタン、タンタル、N型またはP型キャリア不純物含有シリコン)からなる熱触媒体、またはセラミックスまたは炭化ケイ素を芯として金属(タングステン、シリコン、モリブデン、チタン、タンタル、N型またはP型キャリア不純物含有シリコン)をコーティングした熱触媒体等,金属が表面に裸出した熱触媒体を用いてもよい。
ただし、熱触媒体5として、金属が表面に裸出した熱触媒体を用いる場合には、この金属は、シリコンまたはタングステン、モリブデン、チタン、タンタルからなるものに限定される。
【0160】
その理由は、以下の通りである。すなわち、金属が表面に裸出した熱触媒体を用いた場合、スパッタリング時に、この熱触媒体5表面の金属が蒸発して基板10上に堆積される可能性がある。したがって、熱触媒体5の表面は、ターゲット材料と共に基板10上に堆積されても特性上問題のない材料である必要があるが、基板10上に窒化シリコン膜を堆積する本例の場合、ターゲット材と同じ金属であるシリコンは、ターゲット材と共に基板10上に堆積されても特性上問題がないからである。
また、成膜する膜の用途によっては、タングステン、モリブデン、チタン、タンタルがシリコンに混入しても、膜の特性に悪影響を及ぼさない場合があり、このような場合には、金属が表面に裸出した熱触媒体5の表面の金属として、タングステン、モリブデン、チタン、タンタルを用いることができる場合がある。
【0161】
まず、不図示のゲートバルブを通してチャンバ1内に基板10を搬入し、サセプタ2に載置する。このとき、シャッター7を、「閉状態」とする。次いで、排気系1aを動作させて粗引きを行った後本引きを行い、チャンバ1内を所定圧力,本例では10−4〜10−5Paまで排気する。サセプタ2に内蔵されたヒータ2aを動作させて基板10を所定温度,本例では200〜550℃まで加熱する。
【0162】
そして、ガス導入系3を動作させて、まず水素ガスをチャンバ1内に導入する。その後、触媒体5を所定温度,本例では1600〜1800℃に加熱する。導入された水素ガスの一部は、熱触媒体5による熱分解反応および触媒反応により活性化水素イオンHとなり、基板10表面に到達し、基板10の表面クリーニングが行われる。
【0163】
上記のように、チャンバ1内に水素ガスが供給されている状態で、ガス導入系3を動作させ、アルゴンガスおよび窒素ガスをチャンバ1内に導入する。このときのアルゴンガス,水素ガス,窒素ガスの混合ガス圧力を、本例では、1Paとし、アルゴンガスに対する水素ガスの比率を5〜10モル比%程度,アルゴンガスに対する窒素ガスの比率を10〜20モル比%程度とする。
【0164】
ここで、チャンバ1内に窒素ガスを導入するのは、以下の理由による。すなわち、窒化膜を成膜させる場合に、窒素ガスを導入しなければ、窒素イオン欠乏により変質して、形成された薄膜は、本来の窒化シリコンの特性が出にくくなるからである。そこで、本例では、窒素ガスをチャンバ1内に導入して、熱触媒体5により活性化窒素イオンNを発生させ、その窒化作用により、目的とする窒化シリコン膜を形成する。
【0165】
その後、DC電源9aをオンにする。導入されたアルゴンガスおよび窒素ガスおよび酸素ガスは、DCプラズマによりイオン化される。アルゴンイオン,窒素イオン,水素イオンは、ターゲット4に衝突し、ターゲット4から薄膜原料である窒化シリコン分子,シリコン分子,シリコン原子がスパッタされる。このとき、シャッター7が「閉状態」にあるため、窒化シリコン分子等は、シャッター7に遮られ、熱触媒体5および基板10には到達しない。
【0166】
チャンバ1内におけるアルゴンガスおよび窒素ガスと水素ガスの圧力が安定し、スパッタリングが安定した段階で、シャッター7を「開状態」とする。スパッタされた窒化シリコン分子,シリコン分子,シリコン原子は、熱触媒体5の近傍を通過しながら基板10に到達し、窒化シリコン薄膜が基板10表面に作成される。
DCプラズマと熱触媒体5により発生した活性化水素イオンHは、スパッタリング前後およびスパッタリング中において、基板10表面およびターゲット4表面に吸着しているガス及び水分等をクリーニングする。
【0167】
ターゲット4から飛来する窒化シリコン分子,シリコン分子,シリコン原子は、熱触媒体5により高い熱エネルギー及び運動エネルギーが付与されると共に、活性化窒素イオンNによる窒化作用を受ける。このようにして、絶縁性が高く,高性能・高品質の窒化シリコン膜が堆積される。
【0168】
成膜が終了したら、シャッター7を「閉状態」とし、DC電源9aをオフにして、DCプラズマを停止させる。アルゴンガスおよび窒素ガスの導入を停止して、チャンバ1内からアルゴンガスおよび窒素ガスを排出する。その後も、水素ガス導入および熱触媒体5の加熱は継続し、しばらくの間基板10表面のクリーニングを行う。なお、熱触媒体5として、金属が表面に裸出した熱触媒体を用いる場合には、熱触媒体5が所定温度に低下するまで水素ガスを流すことにより、熱触媒体5の表面の酸化劣化が防止される。その後、熱触媒体5及び基板10の加熱を停止し、熱触媒体5の温度が、問題のない温度まで低下した後に、水素ガスの導入を停止する。
【0169】
なお、本例では、スパッタリング終了後に、水素ガス導入を継続して基板10の表面のクリーニングを行うように構成しているが、水素ガスおよび窒素ガスを供給して、活性化水素イオンHによるクリーニングと活性化窒素イオンNによる窒化作用促進とを並行して行なってもよい。
【0170】
水素ガスは、可燃性気体であるため、充分に排気を行い、その後、窒素ガスでリークする。この際、窒素ガスを用いることにより、触媒体5及び基板10,チャンバ1内治具等が酸化劣化することを防止することができる。
その後、チャンバ1の真空を破り、基板10を取り出す。
【0171】
本例では、図12の実線で示すように、窒化シリコン膜の成膜前,成膜中,成膜後において、水素ガスを一定量導入するように構成したが、図12の点線で示すように、窒化シリコン膜の成膜前、成膜後に水素ガスの導入量を多くしても良い。このように構成すると、活性化水素イオンHによる成膜前後の基板10表面のクリーニング効果を大きくすると共に、成膜ストレスを低減することができる。
【0172】
また、図13で示すように、窒化シリコン膜の成膜中に、水素ガス,窒素ガスの導入量を、例えば水素ガスは5×10−2Pa程度,窒素ガスは10−1Pa程度まで半減させても良い。このように構成することにより、成膜中における、チャンバ1内のアルゴンイオンの濃度が高くなるため、基板10への薄膜形成を高速で行うことができ、作業性を向上させることが可能となる。
【0173】
次に、図14,図15に示すシングルチャンバを用いたスパッタリングにおけるガス導入形態について説明する。
図14のガス導入形態は、酸化シリコン、BST、SBT等の酸化膜の成膜を行う場合に用いることができるものであり、図14は、そのうちの酸化シリコン膜を形成する場合のガス導入形態を示すものである。この図14には、成膜を行う前後に、基板10の表面を活性化酸素イオンOでクリーニングする場合が示されており、この場合の酸素ガス及びアルゴンガスの導入形態が示されている。
【0174】
図14の酸化シリコン膜を形成する場合には、ターゲット4として、酸化シリコンからなるターゲットを、熱触媒体5として、表面を酸化させたシリコンを用いる。
なお、熱触媒体5としては、その他、高融点金属をセラミックスコーティングまたは炭化ケイ素コーティングしたもの、または、表面を窒化させたシリコン等を用いることができる。
【0175】
ただし、チャンバ1内に酸素ガスを導入して酸化シリコンを成膜する場合には、金属が表面に裸出した熱触媒体は適さず、使用することができない。
チャンバ1内に酸素ガスを導入すると、熱触媒体5表面が酸化劣化して熱触媒体5が断線するからである。
【0176】
また、チャンバ1内冶具類及びチャンバ1は、ステンレス,アルミニウム,またはアルミニウムコートステンレス等から形成する。これらの材料を用いると、活性化酸素イオンOをチャンバ1内に導入しても、チャンバ1内冶具類及びチャンバ1が酸化劣化しないからである。アルミニウムを用いた場合には、表面が酸化されてアルミナが形成され、治具類およびチャンバ1壁面内部は劣化しない。
【0177】
まず、不図示のゲートバルブを通してチャンバ1内に基板10を搬入し、サセプタ2に載置する。このとき、シャッター7を、「閉状態」とする。次いで、排気系1aを動作させて粗引きを行った後本引きを行い、チャンバ1内を所定圧力,本例では10−4〜10−5Paまで排気する。サセプタ2に内蔵されたヒータ2aを動作させて基板10を所定温度,本例では200〜550℃まで加熱する。
このように、基板10を加熱することにより吸着ガス(O,HO等)の排出を促進することができる。
【0178】
そして、ガス導入系3を動作させて、まず酸素ガスをチャンバ1内に導入する。その後、熱触媒体5を所定温度,本例では1600〜1800℃に加熱する。このように、熱触媒体5を加熱することにより、基板や内部冶工具類の吸着しているガス、水分が排出され、その後のクリーニング時間が短縮される。
【0179】
導入された酸素ガスの一部は、熱触媒体5による熱分解反応および触媒反応により活性化酸素イオンOとなり、基板10表面に到達する。この活性化酸素イオンOにより、基板10およびターゲット4の表面に吸着されているガス、水分、有機物汚れ等が除去され、基板10およびターゲット4表面のクリーニングが行われる。このターゲット4表面のクリーニングにより、安定したスパッタリングが開始され、常に安定したスパッタリングが行われる。
【0180】
上記のように、チャンバ1内に酸素ガスが供給されている状態で、ガス導入系3を動作させ、アルゴンガスをチャンバ1内に導入する。このときのアルゴンガスと酸素ガスの混合ガス圧力を、本例では、1Paとし、アルゴンガスに対する酸素ガスの比率を5〜10モル比%程度とする。その後、DC電源9aをオンにすると、導入されたアルゴンガスおよび酸素ガスは、DCプラズマによりイオン化される。アルゴンイオンおよび酸素イオンは、ターゲット4に衝突し、ターゲット4から薄膜原料である酸化シリコン分子,シリコン分子,シリコン原子等がスパッタされる。このとき、シャッター7が「閉状態」にあるため、上記シリコン分子,原子等は、シャッター7に遮られ、熱触媒体5および基板10には到達しない。
【0181】
チャンバ1内におけるアルゴンガスおよび酸素ガスの圧力が安定し、スパッタリングが安定した段階で、シャッター7を「開状態」とする。スパッタされた酸化シリコン分子,シリコン分子,シリコン原子等は、熱触媒体5の近傍を通過しながら基板10に到達し、酸化シリコン薄膜が基板表面に作成される。
【0182】
DCプラズマと熱触媒体5により発生した活性化酸素イオンOが、基板10表面に吸着しているガス及び水分等をクリーニングする。
ターゲット4から飛来する酸化シリコン分子シリコン分子,シリコン原子等は、熱触媒体5により高い熱エネルギー及び運動エネルギーが付与されると共に、活性化酸素イオンOによる酸化作用を受ける。このようにして、絶縁性が高く,高性能・高品質の酸化シリコン膜が堆積される。
【0183】
成膜が終了したら、シャッター7を「閉状態」とし、DC電源9aをオフにして、DCプラズマを停止させる。アルゴンガスの導入を停止して、チャンバ1内からアルゴンガスを排出する。その後も、酸素ガス導入および熱触媒体5の加熱は継続し、しばらくの間基板10表面のクリーニングおよび薄膜の酸化促進を行う。
【0184】
薄膜表面のクリーニングおよび薄膜の酸化を充分行った後、熱触媒体5及び基板10の加熱を停止し、酸素ガスの導入を停止する。
その後、充分に排気を行った後、窒素ガスでリークする。その後、チャンバ1の真空を破り、基板10を取り出す。
【0185】
本例では、図14の実線で示すように、酸化シリコン膜の成膜前,成膜中,成膜後において、酸素ガスを一定量導入するように構成したが、図14の点線で示すように、酸化シリコン膜の成膜前、成膜後に酸素ガスの導入量を多くしても良い。このように構成すると、活性化酸素イオンOによる基板表面のクリーニング効果を大きくすることができると共に、堆積した酸化シリコン膜の酸化作用を促進するので、高性能,高品質の酸化シリコン膜を得ることができる。
【0186】
また、図15で示すように、酸化シリコン膜の成膜中に、酸素ガスの導入量を例えば5×10−2Pa程度まで半減させても良い。このように構成することにより、成膜中における、チャンバ1内のアルゴンイオンの濃度が高くなるため、基板10への薄膜形成を高速で行うことができ、作業性を向上させることが可能となる。
【0187】
なお、酸化膜として、SiOF(フッ酸化シリコン)膜,すなわちSi−F結合を含むSiO(酸化シリコン)膜を形成してもよい。このとき、ターゲット4としてはSiOF(フッ酸化シリコン)を用い、上記酸化シリコン膜を形成する場合と同様の手順,条件で膜を形成する。
このように、酸化シリコンにSi−F結合を導入することにより、膜の比誘電率を低下させることができる。数atom%のF(フッ素)を含むことにより、膜の比誘電率は酸化シリコンの約4.0より3.5程度に低減され、配線間容量が低減し、デバイス特性が向上する。
【0188】
また、図10乃至図15のガス導入形態によってスパッタリングを行うことにより、薄膜をエピタキシャル成長させることもできる。
例えば、基板10上に、予め形成された段差をシードとして、図10のガス導入形態でスパッタリングを行うことにより、単結晶シリコン膜をグラフォエピタキシャル成長させることもできる。単結晶シリコン膜をグラフォエピタキシャル成長させる場合には、ターゲット4としてシリコンを用いる。
【0189】
また、基板10上に結晶性サファイア膜を形成した後、図10のガス導入形態でスパッタリングを行うことにより、単結晶シリコン膜をヘテロエピタキシャル成長させることもできる。単結晶シリコン膜をヘテロエピタキシャル成長させる場合には、ターゲット4としてシリコンを用いる。結晶性サファイア膜は、ターゲット4として単結晶サファイアを用い、図14のガス導入形態でスパッタリングすることにより成膜する。なお、この単結晶サファイア膜は、公知の触媒CVD法によって成膜しても良い。
【0190】
次に、シングルチャンバを用い、異なる組成の薄膜を連続して成膜する場合の図16に示すガス導入形態について説明する。
図16のガス導入形態は、異なる組成の薄膜を連続して成膜する場合の例として、窒化シリコン膜,酸化シリコン膜,ポリシリコン膜,酸化シリコン膜をこの順に連続して成膜する場合のガス導入形態を示すものである。この図16には、各薄膜の成膜を行う前後に、基板10の表面を活性化水素イオンまたは活性化酸素イオンでクリーニングする場合が示されている。
【0191】
図16の薄膜層を形成する場合には、ターゲット4として、シリコンからなるターゲットを、熱触媒体5として、表面をアルミナコーティングしたタングステンを用いる。
ただし、酸化シリコンを成膜する場合には、酸素をチャンバ1内に導入するので、金属が表面に裸出した熱触媒体は適さず、使用することができない。
【0192】
また、チャンバ1内冶具類及びチャンバ1は、ステンレス,アルミニウム,またはアルミニウムコートステンレス等から形成する。これらの材料を用いると、活性化酸素イオンOをチャンバ1内に導入しても、チャンバ1内冶具類及びチャンバ1が酸化劣化しないからである。アルミニウムを用いた場合には、表面が酸化されてアルミナが形成され、治具類およびチャンバ1壁面内部は劣化しない。
【0193】
次に、図16に示すガス導入の手順について説明する。まず、不図示のゲートバルブを通してチャンバ1内に基板10を搬入し、サセプタ2に載置する。
この後、チャンバ1内を排気し、図12に示す前記説明と同様の手順で、基板10上に窒化シリコン薄膜を形成する。
基板10上に所定膜厚の窒化シリコン薄膜が形成された後、充分にチャンバ1内を排気し、チャンバ1内の圧力を10−4〜10−5Pa程度とする。
【0194】
その後、図14に示す前記説明と同様の手順で、基板10上に酸化シリコン薄膜を形成する。
基板10上に所定膜厚の酸化シリコン薄膜が形成された後、充分にチャンバ1内を排気し、チャンバ1内の圧力を10−4〜10−5Pa程度とする。
【0195】
その後、図10に示す前記説明と同様の手順で、基板10上にポリシリコン薄膜を形成する。
基板10上に所定膜厚のポリシリコン薄膜が形成された後、充分にチャンバ1内を排気し、チャンバ1内の圧力を10−4〜10−5Pa程度とする。
その後、図14に示す前記説明と同様の手順で、基板10上に酸化シリコン薄膜を形成する。
【0196】
基板10上に所定膜厚の酸化シリコン薄膜が形成された後、充分にチャンバ1内を排気し、チャンバ1内の圧力を10−4〜10−5Pa程度とする。窒素ガスでリークした後、チャンバ1の真空を破り、基板10を取り出す。
【0197】
図16のように、同じチャンバ内で異なる薄膜を成膜する場合には、窒化シリコン膜,酸化シリコン膜,ポリシリコン膜,酸化シリコン膜のそれぞれの薄膜を成膜した後に、充分に排気を行う必要がある。同じチャンバ内に、水素ガスと酸素ガスを交互に導入するため、各成膜後に充分に排気が行われないと、次の薄膜を形成する際に水素ガスと酸素ガスが混合し、膜の品質が低下するからである。
【0198】
なお、上記各成膜の工程では、図16の実線で示すように、各薄膜の成膜前,成膜中,成膜後において、水素ガスまたは酸素ガスを一定量導入するように構成してもよい。また、図16の点線で示すように、各薄膜の成膜前、成膜後に水素ガスまたは酸素ガスの導入量を多くしても良い。
【0199】
また、図17で示すように、各薄膜の成膜中に、水素ガスまたは酸素ガスの導入量を例えば5×10−2Pa程度まで半減させ、窒素ガスの導入量を例えば10−1Pa程度まで半減させても良い。このように構成することにより、成膜中における、チャンバ1内のアルゴンイオンの濃度が高くなるため、基板10への薄膜形成を高速で行うことができ、作業性を向上させることが可能となる。
【0200】
次に、マルチチャンバを用い、異なる組成の薄膜を各チャンバ内で成膜する場合である図18,図19に示すガス導入形態について説明する。
図18,図19のガス導入形態は、異なる組成の薄膜を各チャンバ内で成膜する場合の例として、窒化シリコン膜,酸化シリコン膜,ポリシリコン膜,酸化シリコン膜をこの順に成膜する場合のガス導入形態を示すものである。この図18には、各薄膜の成膜を行う前後に、基板10の表面を活性化水素イオンHまたは活性化酸素イオンOでクリーニングする場合が示されている。
【0201】
図18の薄膜層を形成する場合は、真空容器1として、図32に示すマルチチャンバからなるチャンバ1を用いる。図32に示す真空容器1の構成および基板10の出し入れの手順等については、後に詳述する。図32に示す真空容器1は、4つのスパッタリング室15を備える。以下、4つのスパッタリング室15をそれぞれ第1チャンバ,第2チャンバ,第3チャンバ,第4チャンバとする。
【0202】
図18に示す場合では、第1チャンバで窒化シリコン膜を、第2チャンバで酸化シリコン膜を、第3チャンバでポリシリコン膜を、第4チャンバで酸化シリコン膜を形成する。
【0203】
窒化シリコン膜を成膜する第1チャンバ内には、窒化シリコンからなるターゲット4、酸化シリコン膜を成膜する第2チャンバ,第4チャンバ内には、酸化シリコンからなるターゲット4、ポリシリコン膜を成膜する第3チャンバ内には、シリコンからなるターゲット4が配置される。
なお、第1チャンバ〜第4チャンバのターゲット4として、シリコンからなるターゲット4を用いてもよい。
第1チャンバ〜第4チャンバには、熱触媒体5として、表面をアルミナコーティングしたタングステンを配置される。
【0204】
なお、第1チャンバ,第3チャンバでは、金属が表面に裸出した熱触媒体5を用いてもよい。但し、第2チャンバ,第4チャンバでは、酸素ガスを導入して酸化シリコンを成膜するので、金属が表面に裸出した熱触媒体は適さず、使用することができない。
【0205】
なお、本例では、4つのチャンバを備える真空容器内で上記薄膜を形成するように構成しているが、これに限定されるものでなく、3つのチャンバを備える真空容器を用いて、2番目に成膜される酸化シリコン膜と4番目に成膜される酸化シリコン膜とを、同じチャンバ内で形成するように構成しても良い。
【0206】
次に、図18に示すガス導入の手順について説明する。まず、ロード・ロック室26,バッファ室28を介してセパレーション室27に基板10を搬入する。次に、基板10を第1チャンバ内に搬入する。
この後、第1チャンバ内を排気し、図12に示す前記説明と同様の手順で、基板10上に窒化シリコン薄膜を形成する。
【0207】
基板10上に所定膜厚の窒化シリコン薄膜が形成された後、基板10をセパレーション室27を介して第2チャンバに搬入する。
この後、第2チャンバ内を排気し、図14に示す前記説明と同様の手順で、基板10上に酸化シリコン薄膜を形成する。
【0208】
基板10上に所定膜厚の酸化シリコン薄膜が形成された後、基板10をセパレーション室27を介して第3チャンバに搬入する。
この後、第3チャンバ内を排気し、図10に示す前記説明と同様の手順で、基板10上にポリシリコン薄膜を形成する。
【0209】
基板10上に所定膜厚のポリシリコン薄膜が形成された後、基板10をセパレーション室27を介して第4チャンバに搬入する。
この後、第2チャンバ内を排気し、図14に示す前記説明と同様の手順で、基板10上に酸化シリコン薄膜を形成する。
【0210】
基板10上に所定膜厚の酸化シリコン薄膜が形成された後、基板10を、セパレーション室27,バッファ室28,ロード・ロック室26を介して基板10を取り出す。
【0211】
なお、上記各成膜の工程では、図18の実線で示すように、各薄膜の成膜前,成膜中,成膜後において、水素ガスまたは酸素ガスを一定量導入するように構成してもよい。また、図18の点線で示すように、各薄膜の成膜前、成膜後に水素ガスまたは酸素ガスの導入量を多くしても良い。
【0212】
また、図19で示すように、各薄膜の成膜中に、水素ガスまたは酸素ガスの導入量を例えば5×10−2Pa程度まで半減させ、窒素ガスの導入量を例えば10−1Pa程度まで半減させても良い。このように構成することにより、成膜中における、チャンバ1内のアルゴンイオンの濃度が高くなるため、基板10への薄膜形成を高速で行うことができ、作業性を向上させることが可能となる。
【0213】
なお、本例では、図18および図19に示すガス導入形態により、マルチチャンバの各チャンバ内で、窒化シリコン膜,酸化シリコン膜,ポリシリコン膜,酸化シリコン膜を成膜するように構成しているが、このポリシリコン膜の代わりに、錫とゲルマニウムと鉛とのうち少なくともいずれか一つ以上を含有する半導体膜としての、錫含有のポリシリコン膜を成膜してもよい。
この場合は、図32の4つのスパッタリング室15の第1チャンバで窒化シリコン膜,第2チャンバで酸化シリコン膜,第3チャンバで錫含有のポリシリコン膜,第4チャンバで酸化シリコン膜を成膜する。
【0214】
窒化シリコン膜を成膜する第1チャンバ内には、窒化シリコンからなるターゲット4、酸化シリコン膜を成膜する第2チャンバ,第4チャンバ内には、酸化シリコンからなるターゲット4、ポリシリコン膜を成膜する第3チャンバ内には、錫含有シリコンからなるターゲット4が配置される。この錫含有シリコンからなるターゲット4には、1E1015atms/cm以上,好ましくは1018〜1020atms/cmの錫が含まれる。
なお、第1チャンバ,第2チャンバ,第4チャンバのターゲット4として、シリコンからなるターゲット4を用いてもよい。
ポリシリコン膜の代わりに、錫含有のポリシリコン膜を成膜する場合のその他の構成および手順は、マルチチャンバを用いて窒化シリコン膜,酸化シリコン膜,ポリシリコン膜,酸化シリコン膜を成膜する上記の場合と同様であり、図18,図19のガス導入形態に従って行う。
【0215】
このように、図10乃至図13、図16乃至図19に示す水素ガスの導入方法および図14、図15、図16乃至図19に示す酸素ガスの導入方法によれば、各種の成膜前後、所定時間において活性化水素イオンHまたは活性化酸素イオンOにより基板10表面およびターゲット4の吸着ガス(O,HO,CO等)のクリーニングをするので、高品質な薄膜層を形成することが可能となる。
【0216】
また、図10乃至図13、図16乃至図19に示す水素ガスの導入方法では、薄膜形成中は常にチャンバ1内に水素ガスを導入しているため、熱触媒体5およびチャンバ1内治具類を他のガスの影響から保護することになり、それらの酸化劣化を防止することができる。
【0217】
また、図18,図19に示すガス導入方法のように、マルチチャンバで薄膜を形成するときには、各チャンバでそれぞれ、所定の薄膜形成が行われるため、高い作業効率を得ることが可能となる。また、コンタミ防止とそれぞれの膜間のストレスが低減し、高品質の絶縁体−半導体接合構造の半導体装置等の製造が可能となる。
【0218】
次に、本例の薄膜形成装置Sを用いた薄膜形成方法の動作について、シングルチャンバからなる真空容器中でポリシリコン膜を形成する場合を例として説明する。
【0219】
本例の薄膜形成方法の手順としては、不図示のゲートバルブを通してチャンバ1内に基板10を搬入し、サセプタ2に載置する。このとき、シャッター7を、「閉状態」とする。次いで、排気系1aを動作させて粗引きを行った後本引きを行い、チャンバ1内を所定圧力,本例では10−4〜10−5Paまで排気する。サセプタ2に内蔵されたヒータ2aを動作させて基板10を所定温度,本例では200〜550℃まで加熱する。
ガス導入系3を動作させて、まず水素ガスをチャンバ1内に導入する。その後、触媒体5を所定温度,本例では1600〜1800℃に加熱する。
【0220】
このとき導入された水素ガスの一部は、熱触媒体5による熱分解反応および触媒反応により活性化水素イオンHとなり、基板10表面およびターゲット4に到達して、基板10表面およびターゲット4表面の吸着ガス(O,HO,CO等)のクリーニングを行う。
【0221】
チャンバ1内に水素ガスが供給されている状態で、ガス導入系3を動作させ、アルゴンガスをチャンバ1内に導入する。その後、DC電源9aをオンにしてDCプラズマを発生させる。チャンバ1内におけるアルゴンガスおよび水素ガスの圧力が安定し、スパッタリングが安定した段階で、シャッター7を「開状態」とし、基板10上へのスパッタリングを開始する。
【0222】
スパッタリングは、次のようにして起こる。すなわち、ガス導入系3から導入されたアルゴンガスおよび水素ガスが、プラズマ中でイオン化される。このアルゴンイオンおよび水素イオンは、ターゲット近傍に発生した陰極降下内で加速され、ターゲットを衝撃してスパッタリング作用が起こるのである。
【0223】
アルゴンイオンおよび水素イオンが衝撃してターゲットより飛来した薄膜原料原子,分子は、熱触媒体5により、薄膜原料の少なくとも軟化点以上好ましくは融点以上に加熱される。また、熱触媒体5の触媒反応により生成された活性化水素イオンHのエネルギーが、薄膜原料原子,分子に熱エネルギーおよび運動エネルギーとして与えられる。この薄膜原料原子の高いエネルギーにより、基板10表面上での堆積種の泳動及び生成過程の薄膜中での拡散が促進され、バルクに近い結晶の金属膜、又は高移動度の半導体膜、又は高絶縁性膜等が形成される。
【0224】
また、スパッタリング中においても、熱触媒体5による熱分解反応および触媒反応により活性化されてできた活性化水素イオンHが、基板10上に生成中の薄膜が酸化されることを防止する。
なお、これらのスパッタリングの効果は、当然であるが、後述するすべての実施例においても、共通して得ることができるものである。
【0225】
なお、本例では、触媒スパッタリングのためのガスとしてアルゴンガスおよび水素ガスを用いるように構成しているが、これに限定されるものではなく、水素ガスのみ、または酸素ガスのみ、または窒素ガスのみでスパッタリングするように構成しても良い。
【0226】
酸素ガスのみまたは窒素ガスのみでスパッタリングする場合には、熱触媒体5およびスパッタリング電源を用いて発生させたプラズマにより、真空容器1中には、活性化酸素イオンOまたは活性化窒素イオンNが発生し、これらの活性化酸素イオンO,活性化窒素イオンNによりスパッタリングが行われる。
【0227】
酸素ガスのみまたは窒素ガスのみによるスパッタリングは、アルゴンガスを導入する場合に比較して、一般的に、成膜速度は多少遅くなるが、酸化膜または窒化膜を形成する場合には、スパッタリングのみならす、活性化酸素イオンOによる酸化作用、活性化窒素イオンNによる窒化作用により、より品質の高い酸化膜または窒化膜が形成されるという利点がある。
【0228】
また、真空容器1中に水素ガスを導入して、水素ガスのみによるスパッタリングを行うこともできる。
水素ガスのみでスパッタリングする場合には、熱触媒体5およびスパッタリング電源を用いて発生させたプラズマにより、真空容器1中には、活性化水素イオンHが発生し、この活性化水素イオンHによりスパッタリングが行われる。
【0229】
水素ガスのみによるスパッタリングは、アルゴンガスを導入する場合や酸素ガスのみまたは窒素ガスのみによる場合に比較して、一般的に、成膜速度は遅くなるが、活性化水素イオンHは高エネルギーを有し化学反応作用が大きいと共に平均自由工程が大きいため、シリコンまたはポリシリコンまたはアモルファスシリコンのターゲットを活性化水素イオンHでスパッタリングおよび化学反応による輸送をすることにより、ポリシリコン膜の形成が可能になるという利点がある。
なお、活性化水素イオンHは、高いエネルギーを有しているので、成膜スペックによっては、スパッタリングパワーを印加しないで、化学反応での輸送のみでポリシリコン膜等の成膜をしても良い。
【0230】
目標とする膜厚の薄膜が形成されたことを確認した後、ガスの導入を停止し、ヒータ2b,5aの加熱を停止する。熱触媒体5および基板10の温度が所定温度以下に下がったことを確認した後、窒素ガスを導入し、真空を破って薄膜が形成された基板10を取り出し、1サイクルを終了する。
【0231】
図9に示すガス供給系3では、複数種のガス供給源を有しており、各種のガスから所望のガスを選択できるように構成されている。すなわち、選択されたガスの手動バルブ3c或いは自動バルブ3dを開放し、マスフローコントローラー(MFC)Mを介してチャンバ1内へ導くものである。なお、本例では三方弁3eが配設されており、選択されたガスをチャンバ1内へ導入するか、真空排気されるか、が最終的に決定されるように構成されている。
以上のようにして、基板10上に各種の薄膜が形成される。
【0232】
なお、本例ではマスフローコントローラーMによって、アルゴンガスに水素,窒素,酸素等の反応性ガスを混合できるように構成される。これにより、純金属ターゲットのリアクティブ・スパッタを行うことが可能となる。この純金属ターゲットのリアクティブ・スパッタによれば、シリコンからなるターゲット4を配置したシングル・チャンバにより、窒化シリコン、酸化シリコン、ポリシリコン等を成膜することが可能である。すなわち、窒化シリコン、酸化シリコン、ポリシリコンは、金属原子が同じであるため、同一のシリコンターゲットを用い、導入するガスを変更するのみで成膜することができる。
【0233】
また、薄膜の形成は、図1に示す薄膜形成装置Sに限らず、次述する各構成の装置によっても行われるものである。
図20に示す薄膜形成装置Sは、サセプタ2を挟んで、一対のガス導入系3と熱触媒体5が配設されている。熱触媒体5とターゲット4との間には、シャッター7が配置される。このシャッター7は、DCプラズマ放電が安定するまで熱触媒体5とターゲット4との間に配置され、DCプラズマ放電が安定した後に後退される。チャンバ1内には、レール6が敷設されている。そして、このレール6に沿って、熱触媒体5が配設されている。サセプタ2には、レール6上を移動可能な手段として、例えば、車輪やローラーが取り付けられ、チャンバ1内を移動可能に構成されている。サセプタ2に取り付けられた基板10は、熱触媒体5の輻射熱によって加熱されるが、サセプタ2内に独自の基板加熱機構を備えるように構成してもよい。
【0234】
このような構成とすることにより、例えば、チャンバ1内に長尺形状の熱触媒体5が配設されており、熱触媒体5上で、触媒反応に差が生じているような場合でも、レール6が熱触媒体5に沿って敷設されていれば、基板10を熱触媒体5に沿って移動させることができ、基板10に均等に薄膜を形成することが可能となる。大型ガラス基板が使用でき、スループット大による生産性向上でのコストダウンができる。なお、図20で示す薄膜形成装置Sにおいても、図2乃至図7を参照して説明したような熱触媒体5を使用することができるのは勿論である。
【0235】
すなわち、熱触媒体5は、熱触媒体保持手段としての熱触媒体ホルダー5bに固定されている。熱触媒体ホルダー5bは、例えば、モリブデンで形成されている。さらに、本例の熱触媒体5は、チャンバ1の外部で加熱手段5aと接続されている。本例における加熱手段5aは、熱触媒体5を通電して加熱する通電加熱用電源であり、この通電加熱用電源は、直流(DC)または交流(AC)または直流に交流を重畳させた電源により構成されている。このような加熱手段5aにより、熱触媒体5は、例えば1600℃〜1800℃(融点以下)に加熱されるようになっている。
【0236】
そして、前記熱触媒体ホルダー5bは、チャンバ1内で移動可能とされ、最も効果的な触媒反応を得られるように、熱触媒体5と基板10との距離を調整可能に構成されている。触媒体ホルダー5bの調整は、図示しない駆動機構によって行っている。駆動機構としては、モータを駆動源として、モータの出力軸にピニオンギヤを取り付け、触媒体ホルダー5bにラックギヤを配設し、これらのギアを歯合させて、モータ(サーボモータやステッピングモータ)の出力によって調整可能としたり、熱触媒体ホルダー5bに連結した油圧式装置(気圧装置でも可)で距離調整したり、各種の構成を用いることが可能である。なお、熱触媒体5は、基板10から遠ざかるにしたがって、触媒反応の効果が薄れるので、基板10の近傍に、例えば5cm離れた位置に配置されることが好ましい。
【0237】
なお、複数の熱触媒体5を配設するとき、熱触媒体5を同一素材から、それぞれ形成することが可能である。例えば、図7において、上部側に位置する熱触媒体5と、下部側に位置する熱触媒体5との両方を、セラミックコーティングされたタングステンとする。
【0238】
或いは、複数の熱触媒体5を配設するとき、熱触媒体5を異なる素材から、それぞれ形成することが可能である。例えば、図7において、上部側に位置する熱触媒体5をセラミックコーティングされたタングステンとし、下部側に位置する熱触媒体5をセラミックコーティングされたパラジウムとした構成とする。
【0239】
さらに、複数の熱触媒体5を配設するとき、図7に示すように、同一形状の熱触媒体5を配設する他、異なる形状の熱触媒体5を配設する構成としても良い。すなわち、例えば、図2に示される熱触媒体5と、図3に示される熱触媒体5とを組み合わせて配設する。
【0240】
さらにまた、図7に示すように、複数の熱触媒体5を配設するとき、各熱触媒体を、それぞれ異なる電源に接続させた構成とすることも可能である。本例における電源は、直流電流又は交流電源又は直流に交流を重畳させた電源であり、状況に応じて選択されるものである。電源の電圧・電流の調整を行うことにより、抵抗発熱体である熱触媒体の温度調整をすることが可能となる。
【0241】
このように、チャンバ1内に複数の熱触媒体5を配設し、熱触媒体の素材、形状、または接続される電源を自由に選択し、組み合わせることにより、最も良好な触媒反応を得ることが可能となる。
【0242】
このように熱触媒体5については、可動可能とし、材質の異なるものを複数併用し、電源を同一あるいは異ならせて各熱触媒体の温度を異ならせる等各種の構成を採用することが可能である。
【0243】
(実施例2)
図21において、薄膜形成装置Sの第2の実施例について説明する。本例において、前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0244】
図21に示す薄膜形成装置Sは、シングルチャンバによる触媒RFスパッタリング装置であり、真空容器としてのチャンバ1内に基板10とターゲット4との間にプラズマを発生させるためのRF電極9bを備え、チャンバ1外に高周波電源9c、整合回路9dを備える。基板10を載置するためのサセプタ2と、ターゲット4との間には、熱触媒体5が配置される。また、熱触媒体5とターゲット4との間には、スパッタリングが安定するまで基板10とターゲット4とを遮断するシャッター7が配置される。それ以外の点は、実施例1の構成と同様である。
【0245】
本例のRF電極9bは、図21のチャンバ1の図面上部に配置され、チャンバ1外の接地された高周波電源9cに接続される。なお、RF電極9bは、図示しない接地電位のカソード・シールドで覆われる。このカソード・シールドは、RF電極9bのターゲット4を除く部分を覆うものであり、RF電極9bから一定の距離を隔てて配設される。カソード・シールドは、陰極(RF電極9b)のターゲット面以外で放電が発生することを防止する役割を果たす。
【0246】
本例の高周波電源9cとしては、電波法で決められた工業バンドの周波数13.56MHz,出力インピーダンス50Ωの電源が使用される。また、本例の整合回路9dは、高周波電源と負荷とのインピーダンス整合をとるために、RF電極9bと高周波電源9cの間に設けられる。
【0247】
(実施例3)
図22において、薄膜形成装置Sの第3の実施例について説明する。本例において、前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
図22に示す薄膜形成装置Sは、シングルチャンバによる触媒プレーナマグネトロンスパッタリング装置であり、ターゲット4の上に永久磁石12を備える。ターゲット4とサセプタ2との間には、熱触媒体5が配置される。熱触媒体5とターゲット4との間には、シャッター7が配置される。それ以外の点は、実施例1の構成と同様である。マグネトロンスパッタリングは、電場と磁場が直交するマグネトロン放電を利用したスパッタリングであり、磁石を用いないスパッタリングよりもターゲットの電力密度が増大され、スパッタリング速度が速いものである。また、プレーナマグネトロンスパッタリングとは、平板状のターゲットを用いるマグネトロンスパッタリングをいう。本例の薄膜形成装置Sは、ターゲット4の上に永久磁石12を備えることにより、ターゲット4の下には、図22に示すように半円状の磁力線Bができる。
【0248】
プレーナマグネトロン型スパッタ装置ではターゲット背面から供給される磁界によって2次電子が効率よくターゲット直上の空間に閉じこめられる。この2次電子は、例えばアルゴンのような放電ガスのイオン化を促進する。従って、磁界を用いないコンベンショナル型スパッタ装置に比べてターゲット物質がスパッタされる速度を向上でき、高速成膜が可能となる。また2次電子閉じ込めの効率が良いためコンベンショナル型スパッタ装置に比べてより低い放電ガス圧での成膜も可能である。
【0249】
なお、本例では、電源としてDC電源9aを用いるように構成したが、これに限定されるものでなく、DC電源9aの代わりに高周波電源9c、整合回路9dを備えるように構成しても良い。
【0250】
(実施例4)
図23において、薄膜形成装置Sの第3の実施例について説明する。本例において、前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
図23に示す薄膜形成装置Sは、シングルチャンバによる触媒リングマグネトロンスパッタリング装置である。本例の触媒リングマグネトロンスパッタリング装置は、マグネトロンスパッタリング装置の一種である。ターゲット4は、中央に穴4aの開いたドーナツ状体からなり、ターゲット4の断面は図23に示すように楔形である。
【0251】
本例の永久磁石12は、図23に示すように、環状の永久磁石12a,12bとからなる。永久磁石12aは、ターゲット4の上に、ターゲット4の上面に並行に固定される。永久磁石12bは、ターゲット4の外側に、ターゲット4の側面に沿って固定される。このとき、磁界Bが、図23に示すようにターゲット4の斜面4bに平行に形成される。熱触媒体5は、サセプタ2とターゲット4との間に配置され、シャッター7が、熱触媒体5とターゲット4との間に配置される。その他の点は、実施例3の構成と同様である。
【0252】
なお、本例では、電源としてDC電源9aを用いるように構成したが、これに限定されるものでなく、DC電源9aの代わりに高周波電源9c、整合回路9dを備えるように構成しても良い。
【0253】
(実施例5)
図24において、薄膜形成装置Sの第5の実施例について説明する。本例において、前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
図24に示す薄膜形成装置Sは、シングルチャンバによる触媒コリメートスパッタリング装置である。コリメートスパッタリング法によると、コリメータ13が、スパッタ粒子のうち、基板10にほぼ垂直な方向に飛行するもののみを通過させるため、ステップカバレッジ特性を向上させることができる。
【0254】
本例では、コリメータ13は、コリメータとしての役割のみでなく、熱触媒体としての役割をも果たすものであり、本発明の熱触媒体としてコリメータ13が構成される。
このとき、基板10に対し斜め方向に飛行する粒子は、格子状のコリメータ13に付着することとなる。熱触媒体5としても構成されるコリメータ13に付着した粒子は、例えば1600℃〜1800℃に加熱されたコリメータ13の熱により高いエネルギーが付与される。ここで、ステップカバレッジ特性とは、基板の表面に形成された穴や溝、または段差に対する被覆性のことであり、上面への薄膜堆積量に対する溝又は穴(以下、ホールと総称する)の底部への薄膜堆積量の比であるボトムカバレッジ率を含む概念である。
【0255】
本例の薄膜形成装置Sは、熱触媒体5としても構成されるコリメータ13と、シャッター7と、コリメータ13を加熱するコリメータヒータ電源13aと、磁石12とを備える。
本例のコリメータ13は、鉛直方向に開口された断面四角形の孔を有する格子状の板状体からなる。コリメータ13には、コリメータ13の温度を一定の温度,例えば1600〜1800℃(以下、制御温度)に維持するためのコリメータヒータ電源13aが接続される。コリメータ13は、コリメータヒータ13aのスイッチをオンにすることにより、加熱される。また、コリメータ13には、コリメータ13の温度を測定する不図示の温度測定器と、温度測定器の測定結果に従ってヒータを制御する不図示のコントローラが設けられている。
【0256】
本例のコリメータ13の素材としては、タングステン、トリア含有タングステン、白金、パラジュウム、タンタル、モリブデン、シリコン等よりなる群から選ばれた少なくとも1種の材料をセラミックス(例えばアルミナ)コーティングまたは炭化ケイ素コーティングしたもの、またはタングステン、トリア含有タングステン、白金、パラジウム、チタン、タンタル、モリブデン、シリコン、N型またはP型キャリア不純物含有シリコン等よりなる群から選ばれた少なくとも1種の材料、またはセラミックス(アルミナ等)または炭化ケイ素の芯にタングステン、トリア含有タングステン、白金、パラジウム、チタン、タンタル、モリブデン、シリコン、N型またはP型キャリア不純物含有シリコン、銅、アルミニウム等よりなる群から選ばれた少なくとも1種の材料をコーティングしたもの、又は表面を酸化、又は窒化させたシリコン、アルミナ、炭化ケイ素等が用いられる。
【0257】
なお、コリメータ13の構成は、上記構成に限定されるものでなく、例えば、円形板状体に、直径10ミリ程度の円形の開口が均等間隔をおいて設けられるように構成しても良い。また、断面六角形の孔を蜂の巣状に有する板状体として構成しても良い。
【0258】
本例のコリメータ13は、コリメータとしての機能および熱触媒体としての機能を果たすものである。すなわち、基板10にほぼ垂直な方向に飛行する粒子のみを通過させることによりステップカバレッジ特性を向上させるというコリメータとしての機能と、通過させる粒子に高いエネルギーを付与し、更に基板10の表面温度を上昇させて領域2,3における構造の薄膜の生成を可能とする熱触媒体としての機能を有するものである。また、混合ガス中に含まれる水素ガスの一部で活性化水素イオンHを発生させて、基板やスパッタリングターゲットの吸着ガスをクリーニングし、基板上に成膜中の薄膜の酸化を防止するという熱触媒体としての機能をも果たす。なお、コリメーター13の周囲に円環状の抵抗加熱方式のヒータを設けるように構成しても良い。
【0259】
(実施例6)
図25において、薄膜形成装置Sの第6の実施例について説明する。本例において、前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
図25に示す薄膜形成装置Sは、基板ため込み式連続触媒スパッタリング装置である。一般に、連続式のスパッタリング法は、スパッタ室が常時真空に保たれ、放電を繰り返すが、放電中は、水蒸気などを取り除く作用(ガス・クリーンアップ)があるため、時間の経過とともにスパッタ室内のアルゴンガスの純度が良くなり、良品質の薄膜を得ることができるという特徴がある。
【0260】
図25に示す薄膜形成装置Sは、連続式の触媒スパッタリング装置の中でも、半連続ともいうべきものである。本例の薄膜形成装置は、チャンバ1内に、複数の基板10を保持する基板ため込み部14a,14bと、基板10を基板ため込み部14aから基板スパッタ位置14cを経て基板ため込み部14cに移送するための不図示の基板移送手段とを備えるように構成される。ターゲット4と基板スパッタ位置14cとの間には、図25に示すように、熱触媒体5が配置される。本例の薄膜形成装置Sのその他の構成は、上記実施例1に係る薄膜形成装置Sと同様である。
【0261】
本例の薄膜形成装置Sの動作について説明する。まず、基板ため込み部14aに、複数の基板10をセットする。排気系1aを作動させ、チャンバ1内を排気する。チャンバ1内が所定真空度の10−4〜10−5Paに達した後、基板10をチャンバ1内の図面左側の基板ため込み部14aから図面中央の基板スパッタ位置14cに移送する。その後、チャンバ1内に水素ガスを導入し、熱触媒体5を所定温度に加熱した後に、アルゴンガスと水素ガスとの混合ガスを導入してスパッタリングを行う。このとき、ターゲット4と基板スパッタ位置14cとの間に配置された熱触媒体5は、熱分解反応および触媒反応による活性化水素イオンHの生成及び輻射熱を通じて、堆積種の基板上での泳動及び生成過程の薄膜中での拡散を促進し、バルクに近い結晶の薄膜形成を促進するという作用をする。
【0262】
スパッタリングが完了した後、基板スパッタ位置14cから図面右側の基板ため込み部14bに基板10を移送する。この基板ため込み部14aから基板スパッタ位置14c,基板ため込み部14bへの移送及び基板スパッタ位置14cにおけるスパッタリングを、基板ため込み部14aに保持された複数の基板10について順次行う。すべての成膜が終了したら、熱触媒体5および基板10の加熱を停止し、アルゴンガスおよび水素ガスの供給を停止し、窒素ガスを導入して大気圧に戻し、基板10を取り出す。
【0263】
(実施例7)
図26において、薄膜形成装置Sの第7の実施例について説明する。本例において、前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
図26に示す薄膜形成装置Sは、片側ロード・ロック式連続触媒スパッタリング装置である。本例の片側ロード・ロック式連続触媒スパッタリング装置は、実施例6の基板ため込み式連続触媒スパッタリング装置と同様、連続スパッタリング装置の一種である。
【0264】
図26に示す薄膜形成装置Sは、チャンバ1内に、複数の基板10を保持する基板貯留室14dと、基板10へのスパッタリングを行うスパッタリング室15を備えるように構成される。スパッタリング室15内には、図26に示すように、ターゲット4と、基板10がスパッタリングされる基板スパッタ位置14cと、が設けられる。基板貯留室14dとスパッタリング室15との間には、開閉可能な扉16が設けられる。チャンバ1内には、基板10を基板貯留室14dと基板スパッタ位置14cとの間で往復移送するための不図示の基板移送手段とが設けられる。ターゲット4と基板スパッタ位置14cとの間には、図26に示すように、熱触媒体5およびシャッター7が配置される。本例の薄膜形成装置Sのその他の構成は、上記実施例1に係る薄膜形成装置Sと同様である。
【0265】
本例の薄膜形成装置Sの動作について説明する。まず、基板貯留室14dに、複数の基板10をセットする。排気系1aを作動させ、チャンバ1内を排気し、所定真空度の10−4〜10−5Paに達した後、扉16を開けると共に、基板10をチャンバ1内の基板貯留室14dから基板スパッタ位置14cに移送する。扉16を閉め、スパッタリング室15内に水素ガスを導入して熱触媒体5を所定温度真で加熱した後に、アルゴンガスと水素ガスとの混合ガスを導入する。基板10上へのスパッタリングは、基板10が、基板貯留室14dに戻る方向への移動中になされる。
【0266】
このとき、ターゲット4と基板スパッタ位置14cとの間に配置された熱触媒体5は、熱分解反応および触媒反応による活性化水素イオンHの生成および輻射熱を通じて、堆積種の基板上での泳動及び生成過程の薄膜中での拡散を促進し、バルクに近い結晶の薄膜形成を促進するという作用をする。
【0267】
スパッタリングが完了した後、アルゴンガスと水素ガスとの導入を停止し、充分に排気した後に、扉16を開け、基板10を基板貯留室14dに再び収容する。この基板貯留室14dと基板スパッタ位置14cとの間の基板10の移送及び基板10へのスパッタリングを、基板貯留室14dに保持された複数の基板10について順次行う。すべての成膜が終了したら、扉16を閉じ、基板貯留室14dに窒素ガスを導入して大気圧に戻し、基板10を取り出す。
【0268】
(実施例8)
図27において、薄膜形成装置Sの第8の実施例について説明する。本例において、前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
図27に示す薄膜形成装置Sは、両側ロード・ロック式連続触媒スパッタリング装置である。本例の両側ロード・ロック式連続触媒スパッタリング装置は、実施例6の基板ため込み式連続触媒スパッタリング装置,実施例7の片側ロード・ロック式連続触媒スパッタリング装置と同様、連続スパッタリング装置の一種である。
【0269】
図27に示す薄膜形成装置Sは、チャンバ1内に、複数の基板10を保持する基板貯留室14dと、基板10へのスパッタリングを行うスパッタリング室15と、スパッタリングの完了した基板10を受け入れて保持する基板貯留室14eを備えるように構成される。スパッタリング室15内には、図27に示すように、ターゲット4と、基板10がスパッタリングされる基板スパッタ位置14cと、が設けられる。
【0270】
基板貯留室14dとスパッタリング室15との間およびスパッタリング室15と基板貯留室14eとの間には、開閉可能な扉16d,16eがそれぞれ設けられる。チャンバ1内には、基板10を基板貯留室14dから基板スパッタ位置14cを経て基板貯留室14eに移送するための不図示の基板移送手段が設けられる。ターゲット4と基板スパッタ位置14cとの間には、図27に示すように、熱触媒体5およびシャッター7が配置される。本例の薄膜形成装置Sのその他の構成は、上記実施例1に係る薄膜形成装置Sと同様である。
【0271】
本例の薄膜形成装置Sの動作について説明する。まず、基板貯留室14dに、複数の基板10をセットする。排気系1aを作動させ、チャンバ1内を排気し、所定真空度の10−4〜10−5Paに達した後、扉16dを開けると共に、基板10をチャンバ1内の基板貯留室14dからスパッタリング室15内へ移送する。基板10がスパッタリング室15内に入った時点で、扉16dを閉める。
【0272】
この後、スパッタリング室15内に水素ガスを導入して熱触媒体5を所定温度まで加熱した後に、アルゴンと水素ガスの混合ガスを導入して所定ガス圧力,例えば1〜10−1Paとする。
基板10は、図27の右方向へ移送される途中のスパッタ位置14cでスパッタリングされる。
【0273】
このとき、ターゲット4と基板スパッタ位置14cとの間に配置された熱触媒体5は、熱分解反応および触媒反応による活性化水素イオンHの生成および輻射熱を通じて、堆積種の基板上での泳動及び生成過程の薄膜中での拡散を促進し、バルクに近い結晶の薄膜形成を促進するという作用をする。
【0274】
基板10は、基板スパッタ位置14cを経て、図面右方向へ移送される。基板10が、スパッタリング室15の右端に到達した時点で扉16eを開け、基板10を基板貯留室14eに収納する。基板10が基板貯留室14eに完全に入った時点で扉16eを閉める。
【0275】
本例の両側ロード・ロック式連続触媒スパッタリング法では、常時スパッタが行われ、基板10上へのスパッタリングは、基板10が、基板貯留室14dから基板貯留室14eに移送される途中でなされる。
この基板貯留室14dと基板スパッタ位置14cとの間の基板10の移送及び基板10へのスパッタリングを、基板貯留室14dに保持された複数の基板10について順次行う。すべての成膜が終了したら、扉16eを閉じ、基板貯留室14eに窒素ガスを導入して大気圧に戻し、基板10を取り出す。
【0276】
(実施例9)
図28において、薄膜形成装置Sの第9の実施例について説明する。本例において、前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
図28に示す薄膜形成装置Sは通過型連続触媒スパッタリング装置である。
本例の薄膜形成装置は、チャンバ1内に、矩形のターゲット4と、基板10を載置するトレー17と、このトレー17を移送する不図示のトレー移送手段と、ターゲット4とトレー17の間に熱触媒体5とシャッター7を備える。図28(a)は、本例のターゲット4とトレー17を上方から見た図であり、図28(b)は、本例のターゲット4とトレー17を横から見た図である。本例の薄膜形成装置Sのその他の構成は、上記実施例1に係る薄膜形成装置Sと同様である。
【0277】
本例の薄膜形成装置Sの動作について説明する。まず、トレー17に複数の基板10をセットする。排気系1aを作動させ、チャンバ1内を排気する。チャンバ1内が10−4〜10−5Paの真空度に達した後、水素ガスを導入して熱触媒体5を所定温度に加熱し、チャンバ1内にアルゴンガスと水素ガスとの混合ガスを導入し、チャンバ1内圧力を例えば1〜10−1Paとする。トレー17を、ターゲット4上を等速度で通過するように移動させてスパッタリングを行う。
【0278】
基板上に一様な膜厚の薄膜を形成するために、トレー17の移送は、次の条件になるよう制御する。すなわち、基板10の進行方向に直角なy方向のスパッタ原子束が基板10の範囲内で同一になるように制御する。また、トレー17の進行速度を一定にする。
【0279】
このとき、ターゲット4とトレー17との間に配置された熱触媒体5は、熱分解反応および触媒反応による活性化水素イオンHの生成および輻射熱を通じて、堆積種の基板上での泳動及び生成過程の薄膜中での拡散を促進し、バルクに近い結晶の薄膜形成を促進するという作用をする。
スパッタリングが完了した後、次にスパッタする基板10を載置したトレー17について、同様の手順を繰り返す。
【0280】
(実施例10)
図29において、薄膜形成装置Sの第10の実施例について説明する。本例において、前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
図29に示す薄膜形成装置Sは自公転成膜方式連続触媒スパッタリング装置である。
本例の薄膜形成装置Sは、チャンバ1内のスパッタリング室15に、RF電極9bと、このRF電極9bと平行するようにRF電極9bの基板10側に設けられたターゲット4と、基板10を載置するパレット18と、このパレット18を移送するパレット移送手段19と、を備える。スパッタリング時に基板10がセットされる位置とターゲット4との間には、不図示の熱触媒体5とシャッター7が配置される。本例の薄膜形成装置Sのその他の構成は、上記実施例1に係る薄膜形成装置Sと同様である。
【0281】
本例の薄膜形成装置Sの動作について説明する。まず、パレット18に複数の基板10をセットする。排気系1aを作動させ、チャンバ1内を排気する。チャンバ1内が所定真空度の10−4〜10−5Paに達した後、水素ガスを導入した熱触媒体5を所定温度に加熱した後に、チャンバ1内にアルゴンガスと水素ガスとの混合ガスを導入する。パレット18を図29の矢印Aの方向に公転させ、基板10を図29の矢印Bの方向に自転させながら、パレット移送手段19を作動させて、基板10を、スパッタリング室15に導入する。
パレット18および基板10を回転させたまま、スパッタリングを行う。
【0282】
本例の薄膜形成装置Sによれば、パレット18を公転させると共に基板10を自転させながらスパッタリングを行うため、基板上に一様な膜厚の薄膜を形成することができる。
このとき、ターゲット4と基板10との間に配置された熱触媒体5は、熱分解反応および触媒反応による活性化水素イオンHの生成および輻射熱を通じて、堆積種の基板上での泳動及び生成過程の薄膜中での拡散を促進し、バルクに近い結晶の薄膜形成を促進するという作用をする。
【0283】
スパッタリングが完了した後、熱触媒体5および基板10の加熱を停止し、アルゴンガスおよび水素ガス導入を停止した後に、窒素ガスを導入し、チャンバ1内の真空を破ってパレット18および基板10を取り出す。
【0284】
(実施例11)
図30において、薄膜形成装置Sの第11の実施例について説明する。本例において、前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
図30に示す薄膜形成装置Sはプリンターのサーマルヘッドの作成に適したカルーセル型触媒スパッタリング装置である。
【0285】
本例の薄膜形成装置Sは、チャンバ1内に、基板10を保持する基板ホルダ20、チャンバ1内を所定の温度に保持するためのヒータ21、スパッタが所定の条件で安定するまでターゲット4と基板10との間を遮蔽するシャッタ−7、チャンバ1の壁面に配置される標準カソード23、必要に応じて使用されるオプション・カソード24、標準カソード23またはオプション・カソード24と基板10との間に設けられる熱触媒体5、シャッター7と、を備える。本例の薄膜形成装置Sのその他の構成は、上記実施例1に係る薄膜形成装置Sと同様である。
【0286】
本例の基板ホルダ20は、図31に示すように、10角柱の形状からなる。なお、本例では、基板ホルダ20を10角柱の形状として構成したが、これに限定されるものでなく、多角柱形,円柱形等、回転させることができる他の形状として構成しても良い。基板ホルダ10は、その側面に、1面につき3枚の基板10を載置可能に形成される。このように、本例の基板ホルダによれば、多数の基板10を載置することができるので、バッチ式の装置であっても生産性を高くすることができ、基板処理面積当たりの装置コストを低減することが可能となるのである。基板ホルダ20の中心には、回転軸25が設けられ、図示しない回転駆動機構により、基板ホルダ20はこの回転軸25を中心として回転可能に構成される。
【0287】
本例の薄膜形成装置Sの動作について説明する。まず、基板ホルダ20に複数の基板10をセットする。排気系1aを作動させ、チャンバ1内を排気する。チャンバ1内が所定真空度の10−4〜10−5Paに達した後、水素ガスを導入して熱触媒体5を所定温度に加熱する。その後、チャンバ1内にアルゴンガスと水素ガスとの混合ガスを導入する。基板ホルダ20を回転軸25を中心として図31の矢印方向に回転させ、スパッタリングを行う。
【0288】
本例の薄膜形成装置Sによれば、基板10を回転させながらスパッタリングを行うため、基板上に一様な膜厚の薄膜を形成することができる。
このとき、ターゲット4と基板10との間に配置された熱触媒体5は、熱分解反応および触媒反応による活性化水素イオンHの生成および輻射熱を通じて、堆積種の基板上での泳動及び生成過程の薄膜中での拡散を促進し、バルクに近い結晶の薄膜形成を促進するという作用をする。
【0289】
スパッタリングが完了した後、熱触媒体5と基板10の加熱を停止し、アルゴンガスと水素ガスの供給を停止する。その後、窒素ガスを導入して真空を破り、基板ホルダ20をチャンバ1から取り出す。その後、次にスパッタする基板10を載置した基板ホルダ20について、同様の手順を繰り返す。
【0290】
本例の薄膜形成装置Sは、パソコン,ワープロ等の印刷、電卓や計測器等のレコーダに用いる抵抗膜(TaN)、電極配線薄膜(Al)、保護膜(SiO)、耐磨耗薄膜(Ta)など、薄膜タイプのサーマルヘッドやアモルファスシリコンまたはポリシリコン太陽電池の作成に好適である。
【0291】
(実施例12)
図32において、薄膜形成装置Sの第12の実施例について説明する。本例において、前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
図32に示す薄膜形成装置Sはマルチチャンバ触媒スパッタリング装置である。
本例の薄膜形成装置Sは、半導体の製造に適した薄膜形成装置であり、チャンバ1内に、ウエハの取り出し,装着を行うためのロード・ロック室26およびバッファ室28と、チャンバ1内でスパッタリングを行うためのスパッタリング室15と、ウエハを複数のスパッタリング室15に出し入れするためのセパレーション室27と、各スパッタリング室15内の不図示のターゲットとウエハとの間に設けられる熱触媒体と、シャッター7とを備える。本例の薄膜形成装置Sのその他の構成は、上記実施例1に係る薄膜形成装置Sと同様である。
【0292】
本例の排気系には、オイルフリーのクライオ・ポンプを使用する。ロードロック室26は、ウエハの取り出し、装着を行うための室である。ウエハの取り出し、装着は、ロードロック室26とバッファ室28との間を閉鎖してロードロック室26のみを大気に開放して行う。ウエハの取り出し、装着が完了すると、ロードロック室を真空にする。この方式は、ロード・ロック方式と呼ばれるものであり、排気時間を短縮できると共に、スパッタリング室15内を高真空に保つことができるので、安定した製品を得ることができるという特徴がある。本例のチャンバ1は、4つのスパッタリング室15,セパレーション室27,バッファ室28,2つのロードロック室26の合計8の独立した室からなる。これら8つの室は、それぞれ独立して排気可能に構成される。
【0293】
本例の薄膜形成装置Sの動作について説明する。排気系1aを作動させ、チャンバ1内を排気する。チャンバ1内が所定真空度の10−4〜10−5Paに達した後、各スパッタリング室15内に水素ガスを導入した熱触媒体5を所定温度に加熱する。その後、アルゴンガスと水素ガスとの混合ガスを導入して例えば1Paとし、スタンバイの状態にする。
【0294】
同時に、ウエハを、25枚を1つの図示しないカセットに収容し、このカセットを図示しないオートローダーに載せる。カセットは、オートローダーにより、ロードロック室26に運ばれる。カセットがロードロック室26に搬入されると、ロードロック室26内は、独立して真空排気される。
【0295】
ロードロック室26が所定の真空度に達すると、カセットは、バッファ室28を経てセパレーション室27に導かれる。セパレーション室27から、予め設定された順で、4つのスパッタリング室15にカセットが導かれ、各スパッタリング室15でのウエハへのスパッタが行われる。
【0296】
スパッタ時には、ターゲットとウエハとの間に配置された熱触媒体は、熱分解反応および触媒反応による活性化水素イオンHの生成および輻射熱を通じて、堆積種の基板上での泳動及び生成過程の薄膜中での拡散を促進し、バルクに近い結晶の薄膜形成を促進するという作用をする。
【0297】
各スパッタリング室15におけるスパッタリングが完了した後、カセットをセパレーション室27,バッファ室28を経てロードロック室26に導く。窒素ガスを導入し、ロードロック室26の真空を破り、カセットをチャンバ1外へ取り出す。その後、次にスパッタするウエハを載置したカセットについて、同様の手順を繰り返す。
【0298】
なお、本例の薄膜形成装置Sでは、カセット・ツー・カセット(C−to−C)方式を採用する。ここで、カセット・ツー・カセット(C−to−C)とは、作業者がカセットを各工程に取り付けると、ウエハが自動的に装置内を搬送処理され、再びカセットに戻って収容される方式をいう。スパッタリング工程も、これらの工程の一つである。
【0299】
(実施例13)
図33において、薄膜形成装置Sの第13の実施例について説明する。本例において、前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
図33に示す薄膜形成装置Sは同軸マグネトロン形の低温触媒スパッタリング装置である。
【0300】
本例の薄膜形成装置Sは、スパッタリング室15内に、ターゲット4と、基板10と、ターゲット4と基板10との間に配設されたトラップ電極28と、トラップ電極28とターゲット4との間に配設された熱触媒体5と、シャッター7とを備える。本例の薄膜形成装置Sのその他の構成は、上記実施例1に係る薄膜形成装置Sと同様である。
【0301】
本例のトラップ電極28は、円盤状体からなり、図33に示すように、トラップが形成されている。このトラップは、一種の格子であり、円周に沿って運動する原子はトラップされるが、ターゲット4から基板10へ向けて直進するスパッタされた原子は通過するように構成されている。
【0302】
本例の薄膜形成装置Sによれば、磁場により電子のエネルギーを小さくすると共に電子のトラップ電極28により電子衝撃を除去することができる。その結果、プラスチックの上にも付着強度の良い膜が、何の変形もなく付けることができる。また、スパッタ温度を上昇させることにより寸法の狂いが生じるため、スパッタ温度を上昇させることができないオングストロームオーダーの超精密部品にも成膜することが可能である。
【0303】
本例の薄膜形成装置Sの動作について説明する。基板10をセットした後、排気系1aを作動させ、スパッタリング室15内を排気する。スパッタリング室15内が所定真空度の10−4〜10−5Paに達した後、スパッタリング室15内に水素ガスを導入して熱触媒体5を所定温度に加熱する。その後、アルゴンガスと水素ガスとの混合ガスを導入し、基板10へのスパッタを行う。
【0304】
スパッタ時には、ターゲット4と基板10との間に配置された熱触媒体は、熱分解反応および触媒反応による活性化水素イオンHの生成および輻射熱を通じて、堆積種の基板上での泳動及び生成過程の薄膜中での拡散を促進し、バルクに近い結晶の薄膜形成を促進するという作用をする。
【0305】
スパッタリングが完了した後、熱触媒体5の加熱を停止し、水素ガスおよびアルゴンガス供給を停止した後に窒素ガスを導入し、スパッタリング室15の真空を破り、基板10をスパッタリング室15外へ取り出す。その後、次にスパッタする基板10について、同様の手順を繰り返す。
【0306】
(実施例14)
図34において、薄膜形成装置Sの第14の実施例について説明する。本例において、前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
図34に示す薄膜形成装置Sは基板/ターゲット間の距離を長距離とした低圧触媒スパッタリング装置である。
【0307】
本例の薄膜形成装置Sは、チャンバ1内に、ターゲット4と、基板としてのウエハ30と、ターゲット4とウエハ30との間に配設された熱触媒体5と、シャッター7とを備える。本例の薄膜形成装置Sのその他の構成は、上記実施例1に係る薄膜形成装置Sと同様である。
【0308】
本例のターゲット4/ウエハ30間の距離Dstは、一般的なスパッタリング装置の約4倍に該当する300mmとされる。このように構成することにより、磁場分布と強度が改善され、スパッタ圧を2〜3×10−2Paまで低下させることができ、その結果ボトムカバレッジを大幅に改善することができる。
【0309】
本例の薄膜形成装置Sの動作について説明する。ウエハ30をセットした後、排気系1aを作動させ、チャンバ1内を排気する。チャンバ1内が所定の真空度10−4〜10−5Paに達した後、水素ガスを導入して熱触媒体5および基板10を所定温度まで加熱する。その後、チャンバ1内にアルゴンガスと水素ガスとの混合ガスを導入し、ウエハ30へのスパッタを行う。
【0310】
スパッタ時には、ターゲット4とウエハ30との間に配置された熱触媒体5は、熱分解反応および触媒反応による活性化水素イオンHの生成および輻射熱を通じて、堆積種の基板上での泳動及び生成過程の薄膜中での拡散を促進し、バルクに近い結晶の薄膜形成を促進するという作用をする。
【0311】
スパッタリングが完了した後、熱触媒体5と基板10の加熱を停止してアルゴンガスおよび水素ガス供給を停止する。その後、窒素ガスを導入し、チャンバ1の真空を破り、ウエハ30をチャンバ1外へ取り出す。その後、次にスパッタするウエハ30について、同様の手順を繰り返す。
【0312】
(実施例15)
図35において、薄膜形成装置Sの第15の実施例について説明する。本例において、前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
図35に示す薄膜形成装置SはRF−DC結合形バイアス触媒スパッタリング装置である。
【0313】
本例の薄膜形成装置Sは、マグネトロン電極32と、高周波電源9cと、DC電源9aとを備え、チャンバ1内に、ターゲット4と、基板としてのウエハ30と、ターゲット4とウエハ30との間に配設された熱触媒体5と、シャッター7とを備える。本例の薄膜形成装置Sのその他の構成は、上記実施例1に係る薄膜形成装置Sと同様である。
【0314】
本例のマグネトロン電極32は、100MHzの高周波電源9cとDC電源9aで運転され、ウエハ30には、13.56MHzのRFバイアスが印加される。本例の薄膜形成装置Sは、100MHz高周波電源9cとDC電源9aの両方でスパッタのコントロールをすることができるという利点がある。例えば、100MHz高周波電源9cを一定電力にして主としてプラズマを作り、DC電源9aでターゲット電流を制御して、主としてスパッタ速度を制御することができる。このように、本例の薄膜形成装置Sによれば、ターゲットの電流とプラズマ密度を別に制御することができるので、設定できる条件の範囲が広がるという効果を奏する。
【0315】
本例の薄膜形成装置Sの動作について説明する。ウエハ30をセットした後、排気系1aを作動させ、チャンバ1内を排気する。チャンバ1内が所定の真空度10−4〜10−5Paに達した後、水素ガスを導入して熱触媒体5を所定温度まで加熱する。その後、チャンバ1内にアルゴンガスと水素ガスとの混合ガスを導入し、ウエハ30へのスパッタを行う。
【0316】
スパッタ時には、ターゲット4とウエハ30との間に配置された熱触媒体5は、熱分解反応および触媒反応による活性化水素イオンHの生成および輻射熱を通じて、堆積種のウエハ上での泳動及び生成過程の薄膜中での拡散を促進し、バルクに近い結晶の薄膜形成を促進するという作用をする。
【0317】
スパッタリングが完了した後、熱触媒体5と基板10の加熱を停止してアルゴンガスおよび水素ガス供給を停止する。その後、窒素ガスを導入し、チャンバ1の真空を破り、ウエハ30をチャンバ1外へ取り出す。その後、次にスパッタするウエハ30について、同様の手順を繰り返す。
【0318】
(実施例16)
図36において、薄膜形成装置Sの第16の実施例について説明する。本例において、前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
図36に示す薄膜形成装置Sは高密度触媒スパッタリング装置の一種のECR触媒スパッタリング装置である。
【0319】
本例の薄膜形成装置SはECR放電を触媒スパッタリングに適用した例であり、プラズマを作る部屋である空洞共振器38と、空洞共振器38の周囲を囲むように設けられた磁気コイル36と、空洞共振器38にマイクロ波を導入するための方形導波管34およびマイクロは導入窓35と、筒状体のターゲット4と、基板10と、基板ホルダ20と、ターゲット4と基板10との間に配設された熱触媒体5と、シャッター7とを備える。本例の薄膜形成装置Sのその他の構成は、上記実施例1に係る薄膜形成装置Sと同様である。
【0320】
本例の薄膜形成装置Sは、ECR放電を触媒スパッタリングに適用する装置である。ECR放電は、空洞共振器38に2.45GHzのマイクロ波を送り込み放電を起こすものである。空洞共振器38の軸方向,すなわち図36の上下方向には、磁場が印加されており、電子は磁力線の軸の周りを回転する電界により回転しながら加速される。この回転周波数とマイクロ波の周波数を最適磁束密度により一致させて共振させ、マイクロ波のエネルギーを効率よく電子に吸収させてプラズマを作る。ECR放電によれば、冷陰極且つ高真空でプラズマを作ることができる。
【0321】
本例の薄膜形成装置Sでは、ECRプラズマの近くにおいたターゲット4に負電圧を印加して触媒スパッタリングを行うものである。本例の薄膜形成装置Sによれば、高密度のECRプラズマ中で、かつ低い放電圧力下で効率よく触媒スパッタリングをすることができる。
【0322】
本例の薄膜形成装置Sの動作について説明する。基板10をセットした後、不図示の排気系を作動させ、不図示のチャンバの内部を排気する。チャンバ内が所定の真空度に達した後、方形導波管34からマイクロ波を導入し、磁気コイル36に電流を流し、空洞共振器38中にプラズマを発生させる。同時に水素ガスを導入して熱触媒体5および基板10を所定温度に加熱し、チャンバ内にアルゴンガスと水素ガスとの混合ガスを導入し、基板10へのスパッタを行う。
【0323】
スパッタ時には、ターゲット4と基板10との間に配置された熱触媒体5は、熱分解反応および触媒反応による活性化水素イオンHの生成および輻射熱を通じて、堆積種の基板上での泳動及び生成過程の薄膜中での拡散を促進し、バルクに近い結晶の薄膜形成を促進するという作用をする。
【0324】
スパッタリングが完了した後、マイクロ波導入の停止および熱触媒体5と基板10の加熱を停止してアルゴンガスおよび水素ガス供給を停止する。その後、窒素ガスを導入し、チャンバの真空を破り、基板10をチャンバ外へ取り出す。その後、次にスパッタする基板10について、同様の手順を繰り返す。
【0325】
(実施例17)
図37において、薄膜形成装置Sの第17の実施例について説明する。本例において、前記実施例と同様部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
図37に示す薄膜形成装置Sは対向ターゲット触媒スパッタリング装置である。
【0326】
本例の薄膜形成装置Sは、平行に対向して設けられた2つのターゲット4,4と、2つのターゲット4,4の一方の端部側にターゲット4,4に垂直に設けられた基板10と、ターゲット4,4の上または下に配置された永久磁石12と、ターゲット4および永久磁石12を囲むように設けられたアノード40と、ターゲット4と基板10との間に配設された熱触媒体5と、シャッター7とを備える。本例の薄膜形成装置Sのその他の構成は、上記実施例1に係る薄膜形成装置Sと同様である。
【0327】
本例の薄膜形成装置Sでは、イオン衝撃によりターゲットから放出された電子は、磁力線Bの間に閉じこめられ、高密度プラズマを発生する。この装置は、基板4をプラズマの外におくことができ、低い圧力でスパッタを行うことができるという特徴を有する。
【0328】
本例の薄膜形成装置Sの動作について説明する。基板10をセットした後、不図示の排気系を作動させ、不図示のチャンバの内部を排気する。チャンバ内が所定の真空度10−4〜10−5Paに達した後、水素ガスを導入して熱触媒体5を所定温度まで加熱する。チャンバ内にアルゴンガスと水素ガスとの混合ガスを導入し、基板10へのスパッタを行う。
【0329】
スパッタ時には、ターゲット4,4と基板10との間に配置された熱触媒体5は、熱分解反応および触媒反応による活性化水素イオンHの生成および輻射熱を通じて、堆積種の基板上での泳動及び生成過程の薄膜中での拡散を促進し、バルクに近い結晶の薄膜形成を促進するという作用をする。
【0330】
スパッタリングが完了した後、高密度プラズマを停止し、熱触媒体5と基板10の加熱を停止してアルゴンガスおよび水素ガス供給を停止する。その後、窒素ガスを導入し、チャンバの真空を破り、基板10をチャンバ外へ取り出す。その後、次にスパッタする基板10について、同様の手順を繰り返す。
【0331】
(具体的実施例1)
具体的な実施例1として、トップゲート型ポリシリコンCMOSTFT製法の実施例を示す。トップゲート型ポリシリコンCMOSTFTを作製するため、図38に示すように、先ず、絶縁性の基板10上の少なくともTFT形成領域に、触媒スパッタリング法により、熱触媒体を加熱して触媒作用が可能な状態にしておき、図18に示すガス導入形態で、保護膜用の窒化シリコン膜211及び酸化シリコン膜212、ポリシリコン膜213、ゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜214を成膜する。
【0332】
基板10の材質は、TFT形成過程での基板温度により選択される。触媒スパッタリング法を採用した場合、ポリシリコン膜や絶縁膜形成過程における基板温度は、200〜550℃程度の比較的低温に維持される。このため、TFT形成装置において基板温度がほうけい酸ガラスやアルミノけい酸ガラス等のガラス基板を用いることができる場合は、ほうけい酸ガラス基板やアルミノけい酸ガラス基板を使用できる。このときに、コスト面から基板を大きめにすることが可能であり、例えば、500mm×600mmの大きさで、0.5〜1.1mm厚さとされる。
【0333】
なお、TFT形成過程において、基板温度が800〜1000℃程度の比較的高温となる場合は、石英ガラス、結晶化ガラス等の耐熱性ガラス基板を用いる。耐熱性ガラス基板は、例えば、一般的なシリコンウェハと同様のオリエンテーション・フラット(オリフラ)を付けた直径15cm〜30cmの大きさで、700〜800μm厚さとされる。
【0334】
次に、第1工程〜第13工程からなるトップゲート型ポリシリコンCMOSTFTの作製工程について説明する。
本例の薄膜形成装置は、相互に扉で仕切られた第1〜第4のチャンバを備える。第1〜第4のチャンバは、順次隣接して線状に並ぶように配置され、基板10が第1〜第4のチャンバ内を順に通過可能に形成される。なお、中央にセパレーション室27が形成され、その周囲に放射状に第1〜第4のチャンバが配置されるように構成しても良い。
【0335】
まず、第1工程で、図18に示すガス導入形態により、第1のチャンバ内で窒化シリコン膜を成膜する。このとき、ターゲット4として、窒化シリコンからなるターゲット4を用いる。また、基板10は、所定温度(200〜550℃)まで加熱する。
本例では、窒化シリコン膜211を、50〜200(nm)の厚さに形成する。
【0336】
上記保護膜用の窒化シリコン膜211は、基板10としてほうけい酸またはアルミノけい酸ガラス基板を用いた場合、基板10からのNaイオンをストップするために形成されるものであり、基板10として合成石英ガラスを使用した場合は不要である。
【0337】
次に、基板10を、第2のチャンバに移送し、第2工程で、図18に示すガス導入態様により、保護膜用の酸化シリコン膜212を形成する。本例では、酸化シリコン膜212を、50〜100(nm)の厚さに形成する。
次に、基板10を、第3のチャンバに移送し、第3工程で、図18に示すガス導入態様により、ポリシリコン膜213を形成する。
【0338】
このとき、ターゲット4として、シリコンからなるターゲットを用いる。本例では、ポリシリコン膜213を、50〜100(nm)の厚さに形成する。
【0339】
一般に、低温(200〜550℃)でシリコンをスパッタリングすると、アモルファスシリコン膜が形成されるが、本発明では、熱触媒体によりシリコン分子/原子に高いエネルギーが付与されるので、ポリシリコン膜が形成されることとなる。
【0340】
ポリシリコン膜213が形成されたら、基板10を、第4のチャンバに移送し、第4工程として、ゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜214を成膜する。
成膜後は、窒素ガスを導入してチャンバ1内の真空を破り、基板10を取り出す。
こうして、絶縁基板10上に保護膜用の窒化シリコン膜および酸化シリコン膜,ポリシリコン膜,ゲート絶縁膜の酸化シリコン膜を連続成膜する。
【0341】
なお、本例では、マルチチャンバを用いて化合物(窒化物,酸化物等)ターゲットによるリアクティブ・スパッタを行うように構成したが、シリコンからなるターゲットを用い、窒素,酸素等の反応性ガスをアルゴンに混合させてスパッタリングを行うように構成しても良い。このようにすると、シングルチャンバでスパッタリングを行うことができる。
【0342】
次いで、上記ポリシリコン層をチャンネル領域とするMOSTFTの作製を行う。
第5工程として、図39に示すように、NチャンネルMOSTFT用のチャンネル領域の不純物濃度を制御するために、PチャンネルMOSTFTを、フォトレジストr1でマスクし、P型不純物イオン(例えば、ボロンイオンB)を、例えば、10keVで2〜3×1011atoms/cmのドーズ量で打ち込み、ポリシリコン層の導電型をP型化したシリコン層l1とする。
【0343】
次いで、第6工程として、図40に示すように、PチャンネルMOSTFT用のチャンネル領域の不純物濃度を制御するために、今度は、NチャンネルMOSTFTをフォトレジストr2でマスクし、N型不純物イオン(例えば、リンイオンP)を、例えば、10keVで1〜2×1011atoms/cmのドーズ量で打ち込み、ポリシリコン層のN型化したシリコン層l2とする。
【0344】
次いで、第7工程では、図41に示すように、ゲート電極材料としての耐熱性の高いモリブデン/タンタル合金膜216を、触媒スパッタリング法で、例えば、厚さ400(nm)に堆積させる。
【0345】
まず、チャンバ1内に基板10およびモリブデン/タンタルからなる合金ターゲット4を設置し、排気系1aを動作させてチャンバ1内を所定圧力になるまで排気するとともに、サセプタ2に内蔵されたヒータ2aを動作させて基板10を所定温度(200〜550℃)まで加熱する。次いで、チャンバ1内に水素ガスを供給する。水素ガスは、熱触媒体5との接触により活性化されて、一部が活性化水素イオンHとなり、基板10の表面のクリーニングがなされる。
【0346】
次に、モリブデン/タンタル合金膜216を形成する。水素ガスが供給されているチャンバ1内に、不活性ガスとしてのアルゴンガスを導入する。チャンバ1内では、イオン化されたアルゴンイオンおよび活性化水素イオンが、ターゲット4に衝突し、ターゲット4から薄膜原料であるモリブデン原子およびタンタル原子がスパッタされる。これらの原子は、熱触媒体5の近傍を通過する時に熱エネルギーが付与されながら基板10に到達し、基板10の一主面に、高品質のモリブデン/タンタル合金膜216が形成される。本例では、モリブデン/タンタル合金膜216が400(nm)形成される。
【0347】
このとき、チャンバ1内でのアルゴンガスの割合を高めるために、マスフローコントローラーMを制御して、水素ガスの供給を成膜の途中で低減させ、モリブデン/タンタル合金膜216を高速で成膜するように構成してもよい。
成膜後は、アルゴンガスをカットし、熱触媒体を問題ない温度まで冷却して、水素ガスの導入を停止する。その後、窒素ガスを導入してチャンバ1内の真空を破り、基板10を取り出す。
【0348】
次いで、第8工程では、図42に示すように、フォトレジストr3を所定パターンに形成し、これをマスクにして、モリブデン/タンタル合金膜216をゲート電極217の形状にエッチングし、更に、フォトレジストr3を除去する。
【0349】
次いで、第9工程では、図43に示すように、PチャンネルMOSTFT及びゲート電極217をフォトレジストr4でマスクし、N型不純物である、例えば、Asイオンを、例えば、20〜30keVで1〜2×1015atoms/cmのドーズ量でイオン注入し、フォトレジスト剥離後、N中約1000℃で10秒〜20秒間のRTA(Rapid Thermal Anneal)で活性化し、NチャンネルMOSTFTのN型ソース領域S及びドレイン領域Dをそれぞれ形成する。なお、このRTA処理は、PチャンネルMOSTFTの活性化と一緒にしても良い。
【0350】
次いで、第10工程では、図44に示すように、NチャンネルMOSTFT及びゲート電極217をフォトレジストr5でマスクし、P型不純物である、例えば、Bイオンを、例えば、10〜20keVで1〜2×1015atoms/cmのドーズ量でイオン注入し、フォトレジスト剥離後、N中約1000℃で10秒〜20秒間のRTA(Rapid Thermal Anneal)で活性化し、PチャンネルMOSTFTのP型ソース領域S及びドレイン領域Dを、それぞれ形成する。
【0351】
次いで、第11工程では、図45に示すように、全面に本発明の触媒スパッタリング法によって、酸化シリコン膜219を、例えば50〜100(nm)厚、リンシリケートガラス(PSG)膜220を、例えば200〜300(nm)厚、窒化シリコン膜221を100〜200(nm)厚に成膜する。
【0352】
次いで、第12工程では、図46に示すように、絶縁膜の所定位置にコンタクト窓開けを行い、各ホールを含む全面にアルミニウムなどの電極材料を、触媒スパッタリング法により、150℃で1μmの厚みに堆積し、これをパターンエッチングして、PチャンネルMOSTFT及びNチャンネルMOSTFTの、それぞれのソース又はドレイン電極S又はDとゲート取出し電極又は配線Gを形成し、フォーミングガス(N+H)中400℃1hでシンター処理してオーミックコンタクトと表面準位を改善し、各MOSTFTを完成する。
【0353】
(具体的実施例2)
さらに、具体的な実施例2として、ボトムゲート型ポリシリコンCMOSTFT製法の実施例について説明する。ボトムゲート型ポリシリコンCMOSTFTを作製するため、触媒スパッタリング法により、基板の少なくともTFT形成領域に、耐熱性の高いモリブデン/タンタル合金のスパッタ膜(300〜400(nm)厚)を形成し、ボトムゲート電極を形成する。ボトムゲート電極には、汎用フォトリソグラフイ及びエッチング技術により、20〜45度のテーパーエッチングを施す。
【0354】
次に、触媒スパッタリング法により、熱触媒体を加熱して触媒作用が可能な状態にしておき、保護膜用の窒化シリコン膜及びゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜、ポリシリコン膜、保護膜用の酸化シリコン膜を成膜する。
基板10の材質,大きさ等は、上記具体的実施例1と同様の基準により選択される。
【0355】
上記ボトムゲート型ポリシリコンCMOSTFTの作製工程についてさらに詳細に説明する。
まず、第1工程で、基板10の少なくともTFT領域に、モリブデン/タンタル合金のスパッタ膜300〜400(nm)を形成する。
【0356】
まず、チャンバ1内に基板10およびモリブデン/タンタルからなる合金ターゲット4を設置し、排気系1aを動作させてチャンバ1内を所定圧力10−4〜10−5Paになるまで排気するとともに、サセプタ2に内蔵されたヒータ2aを動作させて基板10を所定温度(200〜550℃)まで加熱する。次いで、チャンバ1内に水素ガスを供給する。水素ガスは、熱触媒体5との接触により活性化されて、一部が活性化水素イオンHとなり、基板10の表面のクリーニングがなされる。
【0357】
次に、厚さ300〜400(nm)のモリブデン/タンタル合金膜216を、上記具体的実施例1の第7工程と同様の手順により成膜する。
その後、汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術により、20〜45度のテーパーエッチングを施し、ボトムゲート電極を形成する。
【0358】
次いで、第2工程〜第6工程で、第1〜第4チャンバを備えるマルチチャンバ1内において、図18に示すガス導入態様により、保護膜用の窒化シリコン膜及びゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜、ポリシリコン膜、保護膜用の酸化シリコン膜を成膜する。
【0359】
第2工程では、排気系1aを動作させてマルチチャンバ1内を所定圧力10−4〜10−5Paまで排気するとともに、サセプタ2に内蔵されたヒータ2aを動作させて、基板10を所定温度200〜550℃まで加熱する。
【0360】
次いで、第3工程で、図18に示すガス導入形態により、第1のチャンバ内で50〜100(nm)の厚さの保護膜用の窒化シリコン膜を成膜する。このとき、ターゲット4として、窒化シリコンからなるターゲット4を用いる。
【0361】
次に、基板10を、第2のチャンバに移送し、第4工程では、図18に示すガス導入態様により、50〜100(nm)の厚さのボトムゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜212を形成する。
【0362】
次に、基板10を、第3のチャンバに移送し、第5工程では、図18に示すガス導入態様により、シリコンからなるターゲットを用い、50〜100(nm)の厚さのポリシリコン膜213を形成する。
【0363】
次に、基板10を、第4のチャンバに移送し、第6工程として、保護膜用の酸化シリコン膜を成膜する。
成膜後は、窒素ガスを導入してチャンバ1内の真空を破り、基板10を取り出す。
【0364】
こうして、絶縁基板10上に保護膜の窒化シリコン膜およびボトムゲート絶縁膜の酸化シリコン膜,ポリシリコン膜,保護膜の酸化シリコン膜を成膜する。次いで、前記具体的実施例1と同様な方法で、ポリシリコン層をチャンネル,ソース,ドレイン領域とするMOSTFTの作製を行う。
【0365】
(具体的実施例3)
具体的な実施例3として、デュアルゲート型ポリシリコンCMOSTFT製法の実施例について説明する。デュアルゲート型ポリシリコンCMOSTFTは、基板上の少なくともTFT作製領域に、耐熱性の高いモリブデン/タンタル合金のスパッタ膜を300〜400(nm)厚程度形成し、ボトムゲート電極を形成する。
ボトムゲート電極には、汎用フォトリソグラフイ及びエッチング技術により、20〜45度のテーパーエッチングを施す。
【0366】
次に、触媒スパッタリング法により、保護膜用の窒化シリコン膜及びボトムゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜、ポリシリコン膜、トップゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜及び窒化シリコン膜を成膜する。
基板10の材質,大きさ等は、上記具体的実施例1と同様の基準により選択される。
【0367】
次に、デュアルゲート型ポリシリコンCMOSTFTの作製工程について説明する。
まず、第1工程で、基板10の少なくともTFT領域に、上記具体的実施例1の第7工程と同様の手順により、モリブデン/タンタル合金のスパッタ膜300〜400(nm)を形成する。
そして汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術により、20〜45度のテーパーエッチングを施し、ボトムゲート電極を形成する。
【0368】
次いで、第2工程乃至第6工程で、上記具体的実施例2の第2工程乃至第6工程と同様の手順により、基板10上に保護膜用の窒化シリコン膜(50〜100(nm)),ボトムゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜(50〜100(nm)),ポリシリコン膜(50〜100(nm)),トップゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜(50〜100(nm))を成膜する。
【0369】
次いで、第7工程として、上記トップゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜に、上記具体的実施例1の第7工程と同様の手順により、上記モリブデン/タンタル合金の触媒スパッタ膜を形成して、汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術によりトップゲート電極を形成する。
次いで、前記具体的実施例1と同様な方法で、ポリシリコン層をチャンネル,ソース,ドレイン領域とするMOSTFTの作製を行う。
【0370】
(具体的実施例4)
具体的な実施例4として、トップゲート型単結晶シリコンCMOSTFT製法の実施例を示す。トップゲート型単結晶シリコンCMOSTFTを作製するため、基板10の少なくともTFT形成領域に適当な形状,寸法の段差を形成し、触媒スパッタリング法により半導体膜(単結晶シリコン膜)とゲート絶縁膜(酸化シリコン膜)を成膜させて、段差をシードにグラフォエピタキシャル成長させる。
基板10の材質,大きさ等は、上記具体的実施例1と同様の基準により選択される。
【0371】
次に、第1工程〜第13工程からなるトップゲート型単結晶シリコンCMOSTFTの作製工程について説明する。
まず、第1工程で、図47に示すように、基板10の一主面に、フォトレジストr1を所定パターンに形成し、これをマスクとして、例えば、四フッ化炭素(CF)プラズマのFイオンを照射し、リアクティブイオンエッチング(RIE)によって、基板10に段差10aを複数個形成する。
この場合、段差210aは、後述する単結晶シリコンのグラフォエピタキシャル成長時のシードとなるものであって、例えば、深さd100〜300nm、幅w5.0〜10.0μmに形成される。
【0372】
次いで、第2工程で、図48に示すように、基板10上に単結晶シリコン膜を形成する。単結晶シリコン膜は、シリコンからなるターゲット4を用い、図10に示すガス導入態様により、上述の実施例1のポリシリコン膜形成の場合と同様の手順により形成する。このときに、段差210aをシードにグラフォエピタキシャル成長させて、単結晶シリコン膜222を数μm〜0.005μm(例えば50〜100nm)の厚みに、エピタキシャル成長させる。
【0373】
基板10上に堆積した単結晶シリコン膜222は、エピタキシャル成長したものであるが、これは、グラフォエピタキシーと称される公知の現象によるものを、触媒スパッタリングに適用したものである。上記段差210aの形状を種々に変えることによって、成長層の結晶方位を制御することができる。
【0374】
単結晶シリコン膜222が形成されたら、図49に示すように、第3工程として、図14に示すガス導入態様により、実施例1に示す手順でゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜223を成膜する。
【0375】
こうして、触媒スパッタリングとグラフォエピタキシーによって、基板10上に単結晶シリコン膜222を堆積させる。次いで、単結晶シリコン膜をチャンネル領域とするMOSTFTの作製を行う。
【0376】
第4工程として、図50に示すように、NチャンネルMOSTFT用のチャンネル領域の不純物濃度を制御するために、PチャンネルMOSTFTをフォトレジストr2でマスクし、P型不純物イオン(例えば、ボロンイオンB)を、例えば、10〜20keVで2〜3×1011atoms/cmのドーズ量で打ち込み、単結晶シリコン膜の導電型をP型化したシリコン層l1とする。
【0377】
次いで、第5工程として、図51に示すように、PチャンネルMOSTFT用のチャンネル領域の不純物濃度を制御するために、今度は、NチャンネルMOSTFTをフォトレジストr3でマスクし、N型不純物イオン(例えば、リンイオンP)を、例えば、10〜20keVで1〜2×1011atoms/cmのドーズ量で打ち込み、単結晶シリコン膜のN型化したシリコン層l2とする。
【0378】
次いで、第6工程で、図52に示すように、上記具体的実施例1の第7工程と同様の手順により、ゲート電極材料としてのモリブデン/タンタル合金膜224を、厚さ400(nm)に堆積させる。
【0379】
次いで、第7工程では、図53に示すように、フォトレジストr4を所定パターンに形成し、これをマスクにして、モリブデン/タンタル合金膜224をゲート電極225の形状にパターンエッチングし、フォトレジストr4を除去する。
【0380】
次いで、第8工程では、図54に示すように、PチャンネルMOSTFT及びゲート電極225をフォトレジストr5でマスクし、N型不純物である、例えば、Asイオンを、例えば、20〜30keVで1〜2×1015atoms/cmのドーズ量でイオン注入しフォトレジスト除去後に、N中約1000℃で約20秒間のRTA(Rapid Thermal Anneal)で活性化し、NチャンネルMOSTFTのN型ソース領域S及びドレイン領域Dをそれぞれ形成する。
【0381】
次いで、第9工程では、図55に示すように、NチャンネルMOSTFT及びゲート電極225をフォトレジストr6でマスクし、P型不純物である、例えば、Bイオンを、例えば、10〜20keVで1〜2×1015atoms/cmのドーズ量でイオン注入しフォトレジスト除去後に、N中約1000℃で約20秒間のRTA(Rapid Thermal Anneal)で活性化し、PチャンネルMOSTFTのP型ソース領域S及びドレイン領域Dをそれぞれ形成する。なお、このRTA処理はNチャンネルMOSTFTの活性化を一緒にしてもよい。
【0382】
次いで、第10工程では、図56に示すように、全面に本発明の触媒スパッタリング法によって、酸化シリコン膜227を、例えば50〜100(nm)厚、リンシリケートガラス(PSG)膜228を、例えば200〜300(nm)厚、窒化シリコン膜229を、例えば、150〜200(nm)厚に成膜する。このとき、酸化シリコン膜227は、図14に示すガス導入態様により、上記実施例1の手順で成膜する。また、PSG膜228は、PSGからなるターゲット4を用い、図10に示すガス導入態様により、上記実施例1の手順で成膜する。窒化シリコン膜229は、図12に示すガス導入態様により、上記実施例1の手順で成膜する。
【0383】
次いで、第11工程では、図57に示すように、絶縁膜の所定位置にコンタクト窓開けを行い、各ホールを含む全面に、アルミニウムなどの電極材料を本発明の触媒スパッタリング法等によって150℃で1μmの厚みに堆積し、これをパターンエッチングして、PチャンネルMOSTFT及びNチャンネルMOSTFTの、それぞれのソース又はドレイン電極S又はDとゲート取出し電極又は配線Gを形成し、フォーミングガス(N+H)中400℃1hでシンター処理してオーミックコンタクトと表面準位を改善し、各MOSTFTを完成する。
【0384】
(具体的実施例5)
具体的な実施例5として、ボトムゲート型単結晶シリコンCMOSTFT製法の実施例を示す。ボトムゲート型単結晶シリコンCMOSTFTを作製するため、基板の少なくともTFT形成領域に、本発明の触媒スパッタリング法により、耐熱性の高いモリブデン/タンタル合金のスパッタ膜(300〜400(nm)厚)を形成し、ボトムゲート電極を形成する。
ボトムゲート電極には、汎用フォトリソグラフイ及びエッチング技術により、20〜45度のテーパーエッチングを施す。
【0385】
また、基板の少なくともTFT形成領域に適当な形状,寸法の段差を形成し、触媒スパッタリング法により、熱触媒体を加熱して触媒作用が可能な状態にしておき、半導体膜(ポリシリコン膜,アモルファスシリコン膜等)とゲート絶縁膜を連続成膜させて、段差をシードにグラフォエピタキシャル成長させて、単結晶シリコン膜を成膜させる。
基板10の材質,大きさ等は、上記具体的実施例1と同様の基準により選択される。
【0386】
上記ボトムゲート型単結晶シリコンCMOSTFTの作製工程について、さらに詳細に説明する。
まず、第1工程で、基板10の少なくともTFT領域に、上記具体的実施例1の第7工程と同様の手順により、モリブデン/タンタル合金のスパッタ膜300〜400(nm)を形成する。
そして、汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術により、20〜45度のテーパーエッチングを施し、ボトムゲート電極を形成する。
【0387】
次いで、図12に示すガス導入態様により、上述の実施例1と同様の手順で、50〜200(nm)厚さの保護膜用の窒化シリコン膜を形成する。
次いで、図14に示すガス導入態様により、上述の実施例1と同様の手順で、50〜100(nm)厚さのボトムゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜を形成する。
【0388】
次いで、基板10の一主面に、フォトレジストを所定パターンに形成し、これをマスクとして、例えば、CFプラズマのFイオンを照射し、リアクティブイオンエッチング(RIE)によって、基板10に深さd50〜200nm、幅w2〜3μmの段差10aを複数個形成する。
【0389】
フォトレジストの除去後に、本発明の触媒スパッタリング法により、基板10上に単結晶シリコン膜を成膜する。単結晶シリコン膜は、シリコンからなるターゲット4を用い、図10に示すガス導入態様により、上述の実施例1のポリシリコン膜形成の場合と同様の手順により形成する。このときに、段差10aをシードにグラフォエピタキシャル成長させて、単結晶シリコン膜を数μm〜0.005μm(例えば50〜100nm)の厚みに、エピタキシャル成長させる。
単結晶シリコン膜が形成されたら、図14に示すガス導入態様により、実施例1に示す手順で保護膜用の酸化シリコン膜を成膜する。
【0390】
こうして、触媒スパッタリング法とグラフォエピタキシーによって、基板10上に単結晶シリコン膜を堆積させる。次いで、前記具体的実施例4と同様な方法で、単結晶シリコン膜をチャンネル,ソース,ドレイン領域とするMOSTFTの作製を行う。
【0391】
なお、本例ではボトムゲート電極を作製しているため、MOSTFTの作製において、具体的実施例4の第6工程で行うゲート電極層の形成と、第7工程で行うゲート電極形状の形成は、不要となる。
【0392】
(具体的実施例6)
具体的な実施例6として、デュアルゲート型単結晶シリコンCMOSTFT製法の実施例について説明する。デュアルゲート型単結晶シリコンCMOSTFTは、基板10上の少なくともTFT作製領域に、モリブデン/タンタル合金のスパッタ膜を300〜400(nm)厚程度形成し、ボトムゲート電極を形成する。
【0393】
ボトムゲート電極には、汎用フォトリソグラフイ及びエッチング技術により、20〜45度のテーパーエッチングを施す。さらに、基板10の少なくともTFT形成領域に、適当な形状,寸法の段差を形成し、触媒スパッタリング法により、熱触媒体を加熱して触媒作用が可能な状態にしておき、半導体膜(ポリシリコン膜,アモルファスシリコン膜等)とゲート絶縁膜を成膜させて、段差をシードにグラフォエピタキシャル成長させて単結晶シリコン膜を形成する。このように、少なくとも、ポリシリコン膜とゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜とを成膜するときには、連続成膜するものとする。
基板10の材質,大きさ等は、上記具体的実施例1と同様の基準により選択される。
【0394】
上記デュアルゲート型単結晶シリコンCMOSTFTの作製工程について、さらに詳細に説明する。
第1工程で、基板10の少なくともTFT領域に、上記具体的実施例1の第7工程と同様の手順により、モリブデン/タンタル合金のスパッタ膜を300〜400(nm)形成する。
そして、汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術により、20〜45度のテーパーエッチングを施し、ボトムゲート電極を形成する。
【0395】
次いで、第2工程で、図12に示すガス導入態様により、上述の実施例1に示す手順で50〜200(nm)厚さの保護膜用の窒化シリコン膜を形成する。
【0396】
次いで、第3工程では、図14に示すガス導入態様により、実施例1に示す手順で50〜100(nm)厚さのゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜を成膜する。
次いで、基板10の一主面に、フォトレジストを所定パターンに形成し、これをマスクとして、例えば、四フッ化炭素(CF)プラズマのFイオンを照射し、リアクティブイオンエッチング(RIE)によって、基板10に深さd50〜100nm、幅w2〜3μmの段差10aを複数個形成する。
【0397】
フォトレジストの除去後に、本発明の触媒スパッタリング法により、基板10上に単結晶シリコン膜を成膜する。単結晶シリコン膜は、シリコンからなるターゲット4を用い、図10に示すガス導入態様により、上述の実施例1のポリシリコン膜形成の場合と同様の手順により形成する。このときに、段差10aをシードにグラフォエピタキシャル成長させて、単結晶シリコン膜を数μm〜0.005μm(例えば50〜100nm)の厚みに、エピタキシャル成長させる。
単結晶シリコン膜が形成されたら、図14に示すガス導入態様により、実施例1に示す手順で保護膜用の酸化シリコン膜を成膜する。
【0398】
単結晶シリコン膜が形成されたら、連続して触媒スパッタリング法により、図14に示すガス導入態様により実施例1に示す手順で、トップゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜を成膜する。
【0399】
次いで、上記絶縁膜用の酸化シリコン膜或いは窒化シリコン膜に、本発明の触媒スパッタリング法により、上記具体的実施例1の第7工程と同様の手順で、モリブデン/タンタル合金のスパッタ膜を形成して、汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術によりトップゲート電極を形成する。
【0400】
こうして、触媒スパッタリング法とグラフォエピタキシーによって、基板10上に単結晶シリコン膜を堆積させる。次いで、前記具体的実施例4と同様な方法で、単結晶シリコン膜をチャンネル,ソース,ドレイン領域とするMOSTFTの作製を行う。
【0401】
(具体的実施例7)
具体的な実施例7として、単結晶シリコン膜をヘテロエピタキシャル成長により形成して得た、トップゲート型単結晶シリコンCMOSTFT製法の実施例を示す。本例のトップゲート型単結晶シリコンCMOSTFTを作製するため、基板10の少なくともTFT形成領域に、触媒スパッタリング法により、単結晶半導体(単結晶シリコン等)と格子整合の良い物質層(結晶性サファイア膜等)を形成し、半導体膜(ポリシリコン膜,アモルファスシリコン膜等)とゲート絶縁膜を成膜させて、前記格子整合の良い物質をシードにヘテロエピタキシャル成長させる。
基板10の材質,大きさ等は、上記具体的実施例1と同様の基準により選択される。
【0402】
上記、第1工程〜第13工程からなるトップゲート型単結晶シリコンCMOSTFTの作製工程について、さらに詳細に説明する。
まず、第1工程で、本発明の触媒スパッタリング法により、図12に示すガス導入態様で、上述の実施例1に示す手順により、50〜200(nm)厚さの保護膜用の窒化シリコン膜を形成する。
次いで、第2工程で、本発明の触媒スパッタリング法により、結晶性サファイア薄膜(厚さ5〜200(nm))250を形成する。結晶性サファイア薄膜250は、単結晶サファイアをターゲット4とし、図14に示すガス導入態様により、上述の実施例1の酸化シリコンを成膜する場合と同様の手順で作製する。
【0403】
次いで、第3工程で、単結晶シリコン膜222を形成する。単結晶シリコン膜222は、シリコンからなるターゲット4を用い、図10に示すガス導入態様により、上述の実施例1のポリシリコン膜形成の場合と同様の手順により形成する。このときに、図59に示すように、結晶性サファイア薄膜250上に、全面に単結晶シリコン膜222を、0.005μm〜数μm(例えば、50〜100nm)の厚みに、エピタキシャル成長させる。
【0404】
このようにして、シリコンは、結晶性サファイア薄膜250をシード(種)としてヘテロエピタキシャル成長し、厚さ、例えば、50〜100nm程度の単結晶シリコン膜222として析出する。この場合、サファイアは、単結晶シリコンと格子定数が殆ど同じであるので、シリコンは、結晶性サファイア薄膜250上にエピタキシー成長する。
【0405】
単結晶シリコン膜22が形成されたら、図60に示すように、第4工程として、図14に示すガス導入態様により、実施例1に示す手順でゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜223を成膜する。
【0406】
こうして、触媒スパッタリング法とヘテロエピタキシーによって、基板10上に単結晶シリコン膜222を堆積させる。次いで、単結晶シリコン膜をチャンネル領域とするMOSTFTの作製を行う。
【0407】
第5工程として、図61に示すように、NチャンネルMOSTFT用のチャンネル領域の不純物濃度を制御するために、PチャンネルMOSTFTをフォトレジストr1でマスクし、P型不純物イオン(例えば、ボロンイオンB)を、例えば、10〜20keVで2〜3×1011atoms/cmのドーズ量で打ち込み、単結晶シリコン膜の導電型をP型化したシリコン層l1とする。
【0408】
次いで、第6工程として、図62に示すように、PチャンネルMOSTFT用のチャンネル領域の不純物濃度を制御するために、今度は、NチャンネルMOSTFTをフォトレジストr2でマスクし、N型不純物イオン(例えば、リンイオンP)を、例えば、10〜20keVで1〜2×1011atoms/cmのドーズ量で打ち込み、単結晶シリコン膜のN型化したシリコン層l2とする。
【0409】
次いで、第7工程では、図63に示すように、ゲート電極材料としてのモリブデン/タンタル合金膜224を、本発明の触媒スパッタリング法によって、上記具体的実施例1の第7工程と同様の手順で、厚さ400(nm)に堆積させる。
【0410】
次いで、第8工程では、図64に示すように、フォトレジストr3を所定パターンに形成し、これをマスクにして、モリブデン/タンタル合金膜224をゲート電極225の形状にパターンエッチングし、フォトレジストr3を除去する。
【0411】
次いで、第9工程では、図65に示すように、PチャンネルMOSTFT及びゲート電極25をフォトレジストr4でマスクし、N型不純物である、例えば、Asイオンを、例えば、20〜30keVで1〜2×1015atoms/cmのドーズ量でイオン注入しフォトレジスト除去後に、N中約1000℃で約20秒間のRTA(Rapid Thermal Anneal)で活性化し、NチャンネルMOSTFTのN型ソース領域S及びドレイン領域Dをそれぞれ形成する。
【0412】
次いで、第10工程では、図66に示すように、NチャンネルMOSTFT及びゲート電極225をフォトレジストr5でマスクし、P型不純物である、例えば、Bイオンを、例えば、10〜20keVで1〜2×1015atoms/cmのドーズ量でイオン注入しフォトレジスト除去後に、N中約1000℃で約20秒間のRTA(Rapid Thermal Anneal)で活性化し、PチャンネルMOSTFTのP型ソース領域S及びドレイン領域Dをそれぞれ形成する。なお、このRTA処理はNチャンネルMOSTFTの活性化を一緒にしてもよい。
【0413】
次いで、第11工程では、図67に示すように、本発明の触媒スパッタリング法により全面、酸化シリコン膜227を、例えば50〜100(nm)厚、リンシリケートガラス(PSG)膜228を、例えば200〜300(nm)厚、窒化シリコン膜229を、例えば、150〜200(nm)厚に成膜する。
【0414】
次いで、第12工程では、図68に示すように、絶縁膜の所定位置にコンタクト窓開けを行い、各ホールを含む全面に、アルミニウムなどの電極材料を本発明の触媒スパッタリング法等によって150℃で1μmの厚みに堆積し、これをパターニングして、PチャンネルMOSTFT及びNチャンネルMOSTFTの、それぞれのソース又はドレイン電極S又はDとゲート取出し電極又は配線Gを形成し、フォーミングガス(N+H)中400℃1hでシンター処理してオーミックコンタクトと表面準位を改善し、各MOSTFTを完成する。
【0415】
(具体的実施例8)
具体的な実施例8として、単結晶半導体膜をヘテロエピタキシャル成長により形成して得た、ボトムゲート型単結晶シリコンCMOSTFT製法の実施例を示す。ボトムゲート型単結晶シリコンCMOSTFTを作製するため、基板10の少なくともTFT形成領域に、モリブデン/タンタル合金のスパッタ膜(300〜400(nm)厚)を形成し、ボトムゲート電極を形成する。ボトムゲート電極には、汎用フォトリソグラフイ及びエッチング技術により、20〜45度のテーパーエッチングを施す。
【0416】
また、基板10の少なくともTFT形成領域に、触媒スパッタリング法により、熱触媒体を加熱して触媒作用が可能な状態にしておき、単結晶半導体(単結晶シリコン等)と格子整合の良い物質層(結晶性サファイア膜等)を形成し、半導体膜(ポリシリコン膜,アモルファスシリコン膜等)とゲート絶縁膜を成膜させて、前記格子整合の良い物質をシードにヘテロエピタキシャル成長させて単結晶半導体を形成する。このように、少なくとも、ポリシリコン膜とゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜とを成膜するときには、連続成膜するものとする。
基板10の材質,大きさ等は、上記具体的実施例1と同様の基準により選択される。
【0417】
次に、ボトムゲート型単結晶シリコンCMOSTFTを作製する場合について、単結晶シリコン膜の形成過程について説明する。
まず、第1工程で、基板10の少なくともTFT領域に、本発明の触媒スパッタリング法により、上記具体的実施例1の第7工程と同様の手順で、モリブデン/タンタル合金のスパッタ膜300〜400(nm)を形成する。
そして、汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術により、20〜45度のテーパーエッチングを施し、ボトムゲート電極を形成する。
【0418】
次いで、第2工程で、本発明の触媒スパッタリング法により、図12に示すガス導入態様で、上述の実施例1に示す手順で、50〜200(nm)厚さの保護膜用の窒化シリコン膜を形成する。
【0419】
次いで、第3工程では、本発明の触媒スパッタリング法により、図14に示すガス導入態様により、実施例1に示す手順で50〜100(nm)厚さのボトムゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜を形成する。
次いで、第4工程では、チャンバ1において、単結晶半導体(単結晶シリコン)と格子整合の良い物質層(結晶性サファイア膜等)を形成する。すなわち、基板10の一主面に、本発明の触媒スパッタリング法により、結晶性サファイア薄膜(厚さ5〜200(nm))を形成する。
【0420】
次いで、第5工程で、本発明の触媒スパッタリング法により、単結晶シリコン膜を形成する。結晶性サファイア薄膜上に、全面に単結晶シリコン膜を、0.005μm〜数μm(例えば、50〜100nm)の厚みにヘテロエピタキシャル成長させる。
【0421】
このようにして、シリコンは、サファイア薄膜をシード(種)としてヘテロエピタキシャル成長し、厚さ、例えば、50〜100nm程度の単結晶シリコン膜として析出する。この場合、サファイアは、単結晶シリコンと格子定数が殆ど同じであるので、シリコンは、サファイア薄膜上にエピタキシー成長する。
【0422】
単結晶シリコン膜が形成されたら、第7工程として、本発明の触媒スパッタリング法により、保護膜用の酸化シリコン膜を連続成膜する。
こうして、本発明の触媒スパッタリング法とヘテロエピタキシーによって、基板10上に単結晶シリコン膜を堆積させる。次いで、前記具体的実施例7と同様な方法で、単結晶シリコン膜をチャンネル,ソース,ドレイン領域とするMOSTFTの作製を行う。
【0423】
(具体的実施例9)
具体的な実施例9として、単結晶シリコン膜をヘテロエピタキシャル成長により形成して得た、デュアルゲート型単結晶シリコンCMOSTFT製法の実施例について説明する。デュアルゲート型単結晶シリコンCMOSTFTは、基板10上の少なくともTFT作製領域に、触媒スパッタリング法により、モリブデン/タンタル合金のスパッタ膜を300〜400(nm)厚程度形成し、ボトムゲート電極の形成、基板の活性化水素イオンHでのクリーニング、保護膜用の窒化シリコン膜の形成、ボトムゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜の形成、単結晶半導体(単結晶シリコン等)と格子整合の良い物質層(結晶性サファイア膜等)の形成、この物質層上の全面に単結晶シリコン膜を所定の厚みにヘテロエピタキシャル成長、トップゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜の成膜、必要に応じて保護膜用の窒化シリコン膜の形成、トップゲート電極の形成等から構成される。このとき、基板10の少なくともTFT形成領域に、触媒スパッタリング法により、単結晶半導体(単結晶シリコン等)と格子整合の良い物質層(結晶性サファイア膜等)を形成し、半導体膜(ポリシリコン,アモルファスシリコン膜等)とゲート絶縁膜を成膜させて、前記格子整合の良い物質をシードにヘテロエピタキシャル成長させる。
基板10の材質,大きさ等は、上記具体的実施例1と同様の基準により選択される。
【0424】
上記デュアルゲート型単結晶シリコンCMOSTFTの作製工程について、さらに詳細に説明する。
第1工程で、基板10の少なくともTFT領域に、本発明の触媒スパッタリング法により、上記具体的実施例1の第7工程と同様の手順で、モリブデン/タンタル合金のスパッタ膜を300〜400(nm)形成する。
そして、汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術により、20〜45度のテーパーエッチングを施し、ボトムゲート電極を形成する。
【0425】
次いで、第2工程で、本発明の触媒スパッタリング法により、図12に示すガス導入態様で、上述の実施例1に示す手順で、50〜200(nm)厚さの保護膜用の窒化シリコン膜を形成する。
【0426】
次いで、第3工程では、本発明の触媒スパッタリング法により、図14に示すガス導入態様で、実施例1に示す手順で、50〜100(nm)厚さのボトムゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜を形成する。
【0427】
次いで、第4工程では、チャンバ1において、単結晶半導体(単結晶シリコン等)と格子整合の良い物質層(結晶性サファイア膜等)を形成する。すなわち、基板10の一主面に、本発明の触媒スパッタリング法により結晶性サファイア薄膜(厚さ5〜200(nm))を形成する。結晶性サファイア薄膜は、単結晶サファイアをターゲット4とし、図14に示すガス導入態様により、上述の実施例1で酸化シリコンを成膜する場合と同様の手順で作製する。
【0428】
次いで、第5工程で、単結晶シリコン膜は、シリコンからなるターゲット4を用い、本発明の触媒スパッタリング法により、図10に示すガス導入態様により、上述の実施例1のポリシリコン膜形成の場合と同様の手順により形成する。触媒スパッタリング法によって、結晶性サファイア薄膜上に、全面に単結晶シリコン膜を、0.005μm〜数μm(例えば、50〜100nm)の厚みにヘテロエピタキシャル成長させる。
【0429】
このようにして、シリコンは、結晶性サファイア薄膜をシード(種)としてヘテロエピタキシャル成長し、厚さ、例えば、50〜100nm程度の単結晶シリコン膜として析出する。この場合、サファイアは、単結晶シリコンと格子定数が殆ど同じであるので、シリコンは、結晶性サファイア薄膜上にエピタキシー成長する。
【0430】
単結晶シリコン膜が形成されたら、第6工程として、本発明の触媒スパッタリング法により、図14に示すガス導入態様により、実施例1に示す酸化シリコン膜作成手順で、ゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜を成膜する。
第7工程では、上記絶縁膜用の酸化シリコン膜或いは窒化シリコン膜に、本発明の触媒スパッタリング法によって、上記具体的実施例1の第7工程と同様の手順で、モリブデン/タンタル合金のスパッタ膜を形成して、汎用フォトリソグラフィ及びエッチング技術によりトップゲート電極を形成する。
【0431】
こうして、触媒スパッタリング法とヘテロエピタキシーによって、基板10上に単結晶シリコン膜を堆積させる。必要に応じて、第2工程から第7工程まで、つまり窒化シリコン膜,ボトムゲート酸化シリコン膜,結晶性サファイア膜,単結晶シリコン膜,トップゲート絶縁膜の酸化シリコン膜を同一薄膜形成装置のマルチチャンバーで連続成膜してもよいが、少なくともボトムゲート絶縁膜の酸化シリコン膜,結晶性サファイア膜,単結晶シリコン膜,トップゲート絶縁膜の酸化シリコン膜に連続成膜するのが特性,品質面で良好である。次いで、前記具体的実施例1と同様な方法で、単結晶シリコン膜をチャンネル,ソース,ドレイン領域とするMOSTFTの作製を行う。
【0432】
【発明の効果】
本発明の薄膜形成方法によれば、触媒スパッタリング法で基板に薄膜を形成するときに、基板上に高品質な薄膜を形成することが可能となる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る薄膜形成装置の一例を示す説明図である。
【図2】本発明に係る熱触媒体の一例を示す説明図である。
【図3】本発明に係る熱触媒体の一例を示す説明図である。
【図4】本発明に係る熱触媒体の一例を示す説明図である。
【図5】本発明に係る熱触媒体の一例を示す説明図である。
【図6】本発明に係る熱触媒体の一例を示す説明図である。
【図7】本発明に係る熱触媒体の一例を示す説明図である。
【図8】本発明に係る薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図である。
【図9】ガスの供給方法の一例を示す説明図である。
【図10】チャンバへのガス導入形態を示すグラフ図である。
【図11】チャンバへのガス導入形態を示すグラフ図である。
【図12】チャンバへのガス導入形態を示すグラフ図である。
【図13】チャンバへのガス導入形態を示すグラフ図である。
【図14】チャンバへのガス導入形態を示すグラフ図である。
【図15】チャンバへのガス導入形態を示すグラフ図である。
【図16】チャンバへのガス導入形態を示すグラフ図である。
【図17】チャンバへのガス導入形態を示すグラフ図である。
【図18】チャンバへのガス導入形態を示すグラフ図である。
【図19】チャンバへのガス導入形態を示すグラフ図である。
【図20】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図である。
【図21】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図である。
【図22】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図である。
【図23】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図である。
【図24】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図である。
【図25】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図である。
【図26】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図である。
【図27】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図である。
【図28】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図である。
【図29】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図である。
【図30】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図である。
【図31】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図である。
【図32】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図である。
【図33】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図である。
【図34】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図である。
【図35】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図である。
【図36】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図である。
【図37】薄膜形成装置の他の実施例を示す説明図である。
【図38】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図39】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図40】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図41】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図42】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図43】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図44】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図45】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図46】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図47】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図48】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図49】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図50】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図51】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図52】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図53】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図54】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図55】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図56】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図57】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図58】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図59】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図60】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図61】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図62】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図63】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図64】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図65】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図66】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図67】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【図68】本発明の実施例における薄膜形成方法及び薄膜装置の製造方法のプロセスを示す説明図である。
【符号の説明】
1,A,B,C チャンバ
1a 排気系
2 サセプタ
2a 上面
2b ヒータ
2c ヒータ電源
3 ガス導入系
3c 手動バルブ
3d 自動バルブ
3e 三方弁
4 ターゲット
4a 穴
4b 斜面
5 熱触媒体
5a 加熱手段
5b 熱触媒体ホルダー
5b 接続線
6 レール
7 シャッター
8a 反応ガス供給ボックス
8b ベルト
9 DC電極
9a DC電源
9b RF電極
9c 高周波電源
9d 整合回路
10 基板
12,12a,12b 永久磁石
13 コリメータ
13a コリメータヒータ電源
14a,14b 基板ため込み部
14d,14e 基板貯留室
14c 基板スパッタ位置
15 スパッタリング室
16,16d,16e 扉
17 トレー
18 パレット
19 パレット移送手段
20 基板ホルダ
21 ヒータ
23 標準カソード
24 オプション・カソード
25 回転軸
26 ロード・ロック室
27 セパレーション室
28 トラップ電極
29 電子軌道
30 ウエハ
31 磁石回転モニタ
32 マグネトロン電極
33 ローパスフィルタ
34 方形導波管
35 マイクロ波導入窓
36 磁気コイル
37 ターゲット電源
38 空洞共振器
39 プラズマ
40 アノード
210a 段差
211,215,221,229 窒化シリコン膜
212,219,223,227 酸化シリコン膜
213 ポリシリコン膜
214 ゲート絶縁膜用の酸化シリコン膜
216,224モリブデン/タンタル合金膜
217,250 ゲート電極
220,228 リンシリケートガラス(PSG)膜
222 単結晶シリコン膜
250 サファイア薄膜
r1,r2,r3,r4,r5,r6 フォトレジスト
l1 シリコン層
l2 ポリシリコン層のN型化したシリコン層
S ソース電極
D ドレイン電極
型ソース領域
ドレイン領域
G ゲート取出し電極又は配線
型ソース領域
ドレイン領域

Claims (15)

  1. 真空容器中において、基板とターゲットとの間に熱触媒体を配置して、スパッタリングにより基板に薄膜を形成する触媒スパッタリングによる薄膜形成方法であって、
    前記基板上に薄膜を形成するときに、前記熱触媒体を加熱し、前記ターゲットに含まれる金属を含む薄膜を前記基板上に堆積させ
    前記熱触媒体は、高融点金属をセラミックスコーティングしたもの、または炭化ケイ素コーティングしたもの、または、表面を酸化又は窒化させたシリコンであり、前記薄膜として、半導体膜、金属酸化物膜、金属窒化物膜、導電性窒化膜、単体金属膜、合金膜、金属シリサイド膜、高誘電率膜、強誘電体膜よりなる群から選ばれた少なくとも1種以上の膜を形成することを特徴とする触媒スパッタリングによる薄膜形成方法。
  2. 前記半導体膜は、錫とゲルマニウムと鉛とのうち少なくともいずれか一つ以上を含有する半導体膜であることを特徴とする請求項記載の触媒スパッタリングによる薄膜形成方法。
  3. 前記熱触媒体を加熱した後に、前記真空容器中に、不活性ガスと水素ガスのうち少なくとも一種のガスを導入して、前記基板上に薄膜を形成することを特徴とする請求項記載の触媒スパッタリングによる薄膜形成方法。
  4. 前記不活性ガスと前記水素ガスのうち少なくとも一種のガスは、少なくとも薄膜形成中において、前記真空容器内に常時供給されることを特徴とする請求項記載の触媒スパッタリングによる薄膜形成方法。
  5. 前記熱触媒体を加熱した後に、前記真空容器中に不活性ガスと窒素ガスのうち少なくとも一種のガスを導入し,前記少なくとも1種以上の膜として、金属窒化物膜、導電性窒化膜よりなる群から選ばれた少なくとも1種以上の膜を形成することを特徴とする請求項記載の触媒スパッタリングによる薄膜形成方法。
  6. 前記不活性ガスと前記窒素ガスのうち少なくとも一種のガスは、少なくとも薄膜形成中において、前記真空容器内に常時供給されることを特徴とする請求項記載の触媒スパッタリングによる薄膜形成方法。
  7. 前記窒素ガスを導入したときには、前記真空容器中に水素ガスを導入することを特徴とする請求項記載の触媒スパッタリングによる薄膜形成方法。
  8. 前記不活性ガス,前記水素ガス,前記窒素ガスのうち少なくとも一種のガスは、少なくとも薄膜形成中において、前記真空容器内に常時供給されることを特徴とする請求項記載の触媒スパッタリングによる薄膜形成方法。
  9. 前記基板へ薄膜が形成されている途中で、ガス制御手段によって、前記水素ガス,前記窒素ガスのうち少なくとも一種のガスの供給を増減させてなることを特徴とする請求項記載の触媒スパッタリングによる薄膜形成方法。
  10. 前記薄膜の形成開始前および形成開始後における前記水素ガス,前記窒素ガスのうち少なくとも一種のガスの供給量を、前記薄膜の形成中における前記水素ガス,前記窒素ガスのうち少なくとも一種のガスの供給量よりも多くしたことを特徴とする請求項記載の触媒スパッタリングによる薄膜形成方法。
  11. 前記熱触媒体を加熱した後に、前記真空容器中に不活性ガスと酸素ガスのうち少なくとも一種のガスを導入し、前記少なくとも1種以上の膜として、金属酸化物膜、高誘電率膜、強誘電体膜よりなる群から選ばれた少なくとも1種以上の膜を形成することを特徴とする請求項記載の触媒スパッタリングによる薄膜形成方法。
  12. 前記不活性ガスと前記酸素ガスの少なくとも一種のガスは、少なくとも薄膜形成中において、前記真空容器内に常時供給されることを特徴とする請求項11記載の触媒スパッタリングによる薄膜形成方法。
  13. 前記基板へ薄膜が形成されている途中で、ガス制御手段によって、前記酸素ガスまたは前記水素ガスまたは前記窒素ガスの供給を増減させてなることを特徴とする請求項3,4,5,6,7,11,12のうちいずれか記載の触媒スパッタリングによる薄膜形成方法。
  14. 前記薄膜の形成開始前および形成開始後における前記酸素ガスまたは前記水素ガスまたは前記窒素ガスの供給量を、前記薄膜の形成中における前記酸素ガスまたは前記水素ガスまたは前記窒素ガスの供給量よりも多くしたことを特徴とする請求項3,4,5,6,7,11,12のうちいずれか記載の触媒スパッタリングによる薄膜形成方法。
  15. 前記熱触媒体は、シート状、コイル状、ワイヤー状、網状のいずれかの形状を有することを特徴とする請求項記載の触媒スパッタリングによる薄膜形成方法。
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