JP2013044248A - エンジンの冷却制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷却水温度の増加に伴い電動シャッターを閉から開に切り替えたとき、ラジエータへの通気量の増加に伴う冷却水温度の過剰低下を抑制・防止する。
【解決手段】外気との熱交換によりエンジンの冷却水を冷却するラジエータと、ラジエータに対する通気の遮断が可能な電動シャッターと、ラジエータを含む冷却水循環回路に冷却水を循環させる電動ウォータポンプと、を備える。冷却水温度が低温側設定値Te1未満の第1の冷却モードでは、通気抵抗を低減するために電動シャッターを閉じ、電動ウォータポンプの作動により熱交換を行う。冷却水温度が上昇して、冷却水温度が低温側設定値Te1以上となると、電動シャッターを開く第2の冷却モードとして、ラジエータへの通気量を増加させて、熱交換を促進する。この際、電動ウォータポンプの出力を所定の出力低下分ΔEだけ低下する。
【選択図】図3

Description

本発明は、エンジンの冷却制御装置に関する。
水冷式エンジンでは、電動ウォータポンプ等によりエンジンの冷却水循環回路内に冷却水を循環させており、この冷却水循環回路内に、冷却水と外気との間で熱交換を行うラジエータが設けられる。ここで、特許文献1には、ラジエータへの通気を制御するために、ラジエータに対する強制的な通気が可能な電動ファンと、ラジエータに対する通気の遮断が可能な電動シャッターと、を設けた冷却制御装置が記載されている。このものでは、冷却水温度が低温側設定値以上の場合に、電動シャッターを開いてラジエータへの通気を可能とし、かつ、冷却水温度が上記の低温側設定値よりも高い高温側設定値以上となると、電動ファンを作動させて、ラジエータに対する強制的な通気を行うことで熱交換を促進している。
実開昭62−24012号公報
しかしながら、このように冷却水温度が低温側設定値以上の場合に電動シャッターを開くと、ラジエータへの通気が急激に開始されることで、冷却水温度が必要以上に低下することがある。特に、ある程度車速の高い状況で電動シャッターを開くと、ラジエータへの通気量が急激に増大するので、冷却水の温度低下が大きい。このように冷却水温度が不必要に低下すると、冷却水を循環させる電動ウォータポンプが不必要に電力を消費することとなり、燃費の悪化を招くおそれがある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明に係るエンジンの冷却制御装置は、外気との熱交換によりエンジンの冷却水を冷却するラジエータと、上記ラジエータに対する通気の遮断が可能な電動シャッターと、上記ラジエータを含む冷却水循環回路に冷却水を循環させる電動ウォータポンプと、を備えている。
冷却水温度が低温側設定値未満の場合には、通気抵抗を低減するために電動シャッターを閉じる第1の冷却モードとし、エンジン運転状態に応じて電動ウォータポンプの作動を制御することによって、熱交換を行う。
冷却水温度が上昇して、電動ウォータポンプの作動中に冷却水温度が所定の低温側設定値以上となると、電動シャッターを開く第2の冷却モードとし、第1の冷却モードに対して、ラジエータへの通気量を増加させて、熱交換を促進する。

そして本発明では、上記第1の冷却モードから第2の冷却モードへの切替時には、電動シャッターの開作動に伴って、電動ウォータポンプの出力を低下させている。これによって、電動シャッターの開作動に伴う急激な通気量の増加に起因する冷却水の温度低下を、電動ウォータポンプの出力を低下させることにより相殺して、電動シャッターの開作動に伴う冷却水温度の低下を抑制・防止することができる。
このように本発明によれば、電動シャッターの開作動に伴って電動ウォータポンプの出力を低下させることで、電動シャッターの開作動に伴う冷却水温度の低下を抑制しつつ、電動ウォータポンプの出力を節約して、燃費向上を図ることができる。
本発明の一実施例に係るエンジンの冷却制御装置を示すシステム構成図。 本実施例の制御の流れを示すフローチャート。 本実施例に係る電動シャッター,電動ファン及び電動ウォータポンプの作動の一例を示すタイミングチャート。 本実施例に係る電動シャッター,電動ファン及び電動ウォータポンプの作動の他の例を示すタイミングチャート。 本実施例に係る電動シャッター,電動ファン及び電動ウォータポンプの作動の更に他の例を示すタイミングチャート。
以下、図示実施例により本発明を説明する。図1は、本発明の一実施例に係るエンジンの冷却制御装置のシステム構成を示している。エンジン10の冷却水循環回路11には、電動ウォータポンプ12により圧送される冷却水が循環しており、エンジン10の内部に形成されたウォータジャケット内を冷却水が流れることにより、エンジン10の冷却が行われる。この冷却水循環回路11には、外気との間で熱交換を行うことにより冷却水を冷却するラジエータ13が設けられている。ラジエータ13は、車両前部のフロントグリル14とエンジン10との間の、フロントグリル14を通して外気(走行風)が通気可能な位置に配置されている。フロントグリル14の前方には、電動式の電動シャッター15が設けられている。この電動シャッター15を開くことにより、ラジエータ13に対する通気が可能な状態となり、電動シャッター15を閉じることにより、ラジエータ13に対する通気が遮断(抑制)された状態となる。
また、ラジエータ13の背面には、冷却用の電動ファン16が設けられ、この電動ファン16によりラジエータ13に対する強制的な通気が可能となっている。この電動ファン16は、ファンリレー17を介して制御部18に接続されている。
制御部18は、各種制御処理を記憶及び実行する機能を有し、冷却水温度を検出する水温センサ19等の各種センサの検出信号に基づいて、上記の電動ウォータポンプ12、電動シャッター15及び電動ファン16のファンリレー17等へ制御信号を出力し、その動作を制御する。
また、冷却水循環回路11には、エンジンオイルを冷却するエンジンオイルクーラ21、無段変速機(CVT)用のオイルを冷却するCVTオイルクーラ22、温度に応じて作動してCVTオイルクーラ22へ通流する冷却水の流量を調整するサーモバルブ22A、ヒーター23、スロットルチャンバ24、バイパス通路25、サーモハウジング26に設けられて、温度に応じてラジエータ13への通路を開閉するサーモスタット27等が設けられている。
更に、ラジエータ13の前面側には、空調システム30の空冷コンデンサ31及び水冷コンデンサ32が設けられている。この空調システム30の冷媒通路33には、周知のように、膨張弁34、エバポレータ35及びコンプレッサ36が設けられ、また、冷媒と熱交換を行う空調用冷却水通路には、モータ38及びインバータ39を介して駆動される空調用ウォータポンプ37が設けられている。
図2は、本実施例の制御の流れを示すフローチャートであり、本ルーチンは上記の制御部18により極短期間(例えば10ms)毎に繰り返し実行される。
ステップS11では、水温センサ19により検出される冷却水温度Teの他、エンジン負荷,エンジン回転速度及び車速等が読み込まれる。ステップS12では、エンジン回転速度及びエンジン負荷等に基づいて、電動ウォータポンプ(W/P)12の基本出力E0を算出する。
ステップS13では、冷却水温度Teが、予め設定された所定の低温側設定値Te1以上であるかを判定する。冷却水温度Teが低温側設定値Te1より低ければ、第1の冷却モードであるとして、ステップS20以降へ進み、ステップS20において電動シャッター15を閉じ、ステップS21において電動ファン16を停止し(OFF)、ステップS22において電動ウォータポンプ12の出力eW/Pを基本出力E0に設定する。
一方、冷却水温度Teが低温側設定値Te1以上であれば、ステップS13からステップS14へ進み、電動シャッター15を開く。ステップS15では、冷却水温度Te及び車速等に基づいて、電動ウォータポンプ12の出力低下分ΔEを算出する。この出力低下分ΔEは、冷却水温度Teの上昇に伴って電動ウォータポンプの出力が高くなるように、冷却水温度Teが高くなるほど出力低下分ΔEが小さくなるように設定される。また、車速が高くなるほどラジエータ13への通気量が増大し、冷却水温度Teが低下し易いことから、車速が高くなるほど出力低下分ΔEが大きくなるように設定される。
ステップS16では、冷却水温度Teが、予め設定された所定の高温側設定値Te2以上であるかを判定する。この高温側設定値Te2は、上記の低温側設定値Te1よりも高い値である。冷却水温度Teが、低温側設定値Te1以上かつ高温側設定値Te2未満であれば、第2の冷却モードであるとして、ステップS16からステップS23へ進み、第1の冷却モードから第2の冷却モードへの切替に伴いステップS14で電動シャッター15を開いた時点Te1から、所定のディレイ時間ΔDを経過したかを判定する。ディレイ時間ΔDが経過すると、ステップS23からステップS24へ進み、上記の出力低下分ΔE、電動ウォータポンプの出力eW/Pを低下側に補正する(E0−ΔE)。
冷却水温度Teが高温側設定値Te2以上であれば、第3の冷却モードであるとして、ステップS16からステップS17へ進み、上記の出力低下分ΔE、電動ウォータポンプの出力eW/Pを低下側に補正する(E0−ΔE)。なお、この第2の冷却モードから第3の冷却モードへの切替時には、電動シャッターが開かれたままであるために、ディレイ時間ΔDを設けていない。
続くステップS18では、出力低下分ΔEが0(ゼロ)、つまり電動シャッター15の開作動に伴う出力低下補正処理が終了したかを判定する。出力低下分ΔEが0(ゼロ)であり、電動ウォータポンプ12の出力が基本出力E0に達すると、ステップS18からステップS19へ進み、電動ファン16をONとして、その作動を開始する。なお、電動ウォータポンプ18の基本出力は冷却水温度の上昇に伴い可及的に最大出力とされることから(図3〜図5参照)、このステップS18の処理では、電動ウォータポンプ12の出力が最大出力であるかを判定し、電動ウォータポンプ12の出力が最大出力に達した後に、電動ファン16の作動を開始するようにしても良い。
図3〜図5は、このような本実施例の制御処理を適用した場合の、電動シャッター15、電動ファン16、及び電動ウォータポンプ12の動作を示すタイミングチャートである。先ず図3を参照して、冷却水温度Teが低温側設定値Te1よりも低い状態では、第1の冷却モードとされて、電動ウォータポンプ12の出力を基本出力(この実施例では、最大出力)に設定して、冷却水循環回路11内に冷却水を循環させることで熱交換を促進するとともに、通気抵抗を低減するために電動シャッター15を閉じ、また、消費電力を抑制するために電動ファン16を停止した状態とする。
冷却水温度Teの上昇に伴い、冷却水温度Teが低温側設定値Te1に達した時点t1で、第1の冷却モードから第2の冷却モードに切り替えられて、先ず、冷却水温度の低下を促進するように、電動シャッター15を閉から開に切り替えて、ラジエータ13への通気を可能な状態とする。また、通気量の増加に伴う冷却水温度の低下の応答遅れを考慮して、この電動シャッター15の開作動への切替時点t1から所定のディレイ時間ΔDを経過した時点t2で、所定の出力低下分ΔE、電動ウォータポンプ12の出力を低下側に補正する。
このように、第1の冷却モードから第2の冷却モードへの切替時に、電動シャッター15の開作動に伴って電動ウォータポンプの出力を低下させることによって、電動シャッター15の開作動に伴う急激な通気量の増加に起因する冷却水の温度低下を、電動ウォータポンプ12の出力を低下させることにより相殺して、急激な温度低下を抑制・防止することができる。従って、電動シャッター15の開作動に伴う不必要な冷却水の温度低下を抑制・解消するとともに、電動ウォータポンプ12の出力を低下させることで、消費電力を節約して、燃費向上を図ることができる。
仮に本実施例のように電動シャッター15の開作動に伴って電動ウォータポンプの出力を低下させなかった場合には、図3の破線の特性で示すように、電動シャッター15の開作動に伴ってラジエータ13への通気量が急激に増大することから、冷却水温度が急激に低下し、その後、冷却水温度の低下に応じて電動シャッター15が再び閉じられることで冷却水温度が再び上昇することとなり、電動シャッター15の閉と開が繰り返され、これに伴って冷却水温度が上昇と下降とを繰り返すこととなる。
図4は、車速が上昇する運転状態の例を示している。図3の場合と同様、冷却水温度Teが低温側設定値Te1に達すると、第1の冷却モードから第2の冷却モードに切り替えられて、電動シャッター15を開作動し、所定のディレイ時間ΔD経過後に、所定の出力低下分ΔE、電動ウォータポンプ12の出力が低下側に補正される。その後、車速の増加に応じて、この出力低下分ΔEを増加させることによって、車速の増加に伴うラジエータ13への通気量の増加による冷却水温度の低下分を、出力低下分ΔEの増加により相殺することで、冷却水温度をほぼ一定に維持することができる。このように、車速に応じた形で電動ウォータポンプ12の出力低下分を調整することで、冷却水温度をほぼ一定に保ちつつ消費電力の更なる節約を図ることができる。
図5の例では、冷却水温度Teが低温側設定値Te1に達した時点t1で電動シャッター15を開き、ディレイ時間ΔD経過後t2に電動ウォータポンプ12の出力を低下させた後に、冷却水温度が徐々に上昇する例を示している。つまり、冷却水温度の上昇に伴って、冷却水温度を低下させるように電動ウォータポンプ12の出力低下分ΔEが抑制されているものの、それにもかかわらず冷却水温度が徐々に上昇する例を示している。冷却水温度が高温側設定値Te2まで上昇すると、第2の冷却モードから第3の冷却モードに切り替えられて、電動ウォータポンプの出力低下代ΔEが0であること、つまり電動ウォータポンプの出力が低下されておらず、基本出力(最大出力)の状態であることを条件に、時刻t3において電動ファン16を作動させる。つまり本実施例では、電動シャッター15を開くとともに、電動ウォータポンプ12の出力低下を終了した後に、電動ファン16を作動させることで、電動ファン16の作動に伴う消費エネルギーの増加を最小限に抑制している。このように電動ファン16を作動させることによって、ラジエータ13への通気量を増大して、冷却水温度の上昇をより確実に抑制することができる。
以上のように本発明を具体的な実施例に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変形・変更を含むものである。例えば、上記実施例では低温側設定値Te1や高温側設定値Te2を固定値としているが、車両運転状態に応じてこれらの値を調整するようにしても良い。
10…エンジン
11…冷却水循環回路
12…電動ウォータポンプ
13…ラジエータ
15…電動シャッター
16…電動ファン
18…制御部

Claims (5)

  1. 外気との熱交換によりエンジンの冷却水を冷却するラジエータと、

    上記ラジエータに対する通気の遮断が可能な電動シャッターと、
    上記ラジエータを含む冷却水循環回路に冷却水を循環させる電動ウォータポンプと、を備えたエンジンの冷却制御装置において、
    冷却水温度が所定の低温側設定値未満の場合には、電動シャッターを閉じる第1の冷却モードとし、
    電動ウォータポンプの作動中に冷却水温度が上記低温側設定値以上となると、電動シャッターを開く第2の冷却モードとし、

    上記第1の冷却モードから第2の冷却モードへの切替時には、電動シャッターの開作動に伴って、電動ウォータポンプの出力を低下させることを特徴とするエンジンの冷却制御装置。
  2. 上記第2の冷却モードでは、車速に応じて、上記電動ウォータポンプの出力低下量を補正することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの冷却制御装置。
  3. 上記第2の冷却モードでは、車速が高いほど、上記電動ウォータポンプの出力低下量を大きくすることを特徴とする請求項2に記載のエンジンの冷却制御装置。
  4. 上記ラジエータに対する強制的な通気が可能な電動ファンを備え、
    電動ウォータポンプの作動中に冷却水温度が上記低温側設定値よりも温度の高い所定の高温側設定値以上となると、電動ファンを作動するとともに、電動シャッターを開く第3の冷却モードとすることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの冷却制御装置。
  5. 上記第3の冷却モードで、上記電動ウォータポンプの出力を低下させている場合には、上記電動ファンの作動を禁止し、電動ウォータポンプの出力低下を終了してから、上記電動ファンを作動させることを特徴とする請求項4に記載のエンジンの冷却制御装置。
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