図1〜図25を参照して本発明を完全なオープン車体構造の車両又はコンバーティブル車体構造の車両の右前方のサイドドアに適用した一実施の形態について説明する。
図1に示すように、車体パネルB(サイドメンバーアウターパネル)は、車体に設けられた側部開口(ドア開口)後部において、車両前側に臨む車両ドア側端面B1を形成するとともに、該車両ドア側端面B1の車幅方向(図1の左右方向)における車内側端から車両前側に延出するフランジB2を形成する。そして、車両ドア側端面B1には、ドアロックストライカー61と可動楔65とを備える楔装置としての可動楔装置60が設けられている。
一方、側部開口を車幅方向に開閉可能な車両ドアのドアパネルD(ドアインナーパネル)は、車両ドア側端面B1の車両前側で該車両ドア側端面B1に対向する車体開口側端面D1を形成する。そして、車体開口側端面D1には、車両ドアが閉じられたときに可動楔装置60と対向する位置に、固定楔68が固定されている。また、ドアパネルDの固定楔68の裏側には、ドアロックストライカー61を係合、離脱可能なラッチLTを備えるドアロックアセンブリーLAが、固定楔68とともに組み付けられている。
次に、可動楔装置60について更に説明する。図2及び図3に示すように、前記ドアロックストライカー61は、車両ドア側端面B1に沿って広がる略平板形状のベースプレート62と、該ベースプレート62の車両前側に突設されたシャフト63とを有する。シャフト63は、ベースプレート62から離隔する先端部の閉じた略U字形状を呈する。一方、可動楔65は、例えば金属材からなる強度部材66と、例えば樹脂パネルからなる一対の当接部材67とを備えて構成される。強度部材66は、各当接部材67よりも大きい剛性を有する。
そして、可動楔装置60は、前記ドアロックストライカー61及び前記可動楔65と、これらドアロックストライカー61及び可動楔65間に介設されるスプリング76と、ベースプレート62に固定されるカバー81とによって構成されている。なお、以下では、便宜的にシャフト63(ドアロックストライカー61)の先端部が延在するカバー81から離隔する方向(図2及び図3の左斜め下方)を可動楔装置60の前方(車幅方向において車外側に相当)ともいい、カバー81に近付く方向(図2及び図3の右斜め上方)を可動楔装置60の後方(車幅方向において車内側に相当)ともいう。
図7(a)〜(d)に示すように、ドアロックストライカー61のベースプレート62には、シャフト63のベースプレート62側の両端部に合わせて該シャフト63の突出方向に略四角柱状に隆起するガイド突部62aが形成されている。このガイド突部62aは、シャフト63のベースプレート62側の両端部間に跨ってドアロックストライカー61(可動楔装置60)の前後方向に延在しており、シャフト63の両端部は、ガイド突部62aにおいてベースプレート62にかしめにて固定されている。また、ベースプレート62には、ガイド突部62a(シャフト63)を挟んでその両側に、ベースプレート62を車体パネルBに固定するためのボルトが挿通されるボルト孔62bがそれぞれ形成されている。また、ベースプレート62の両側縁には、ドアロックストライカー61(可動楔装置60)の前後方向に直線状に延びる、断面矩形状のガイドレール64がそれぞれ形成されている。さらに、ベースプレート62には、両ガイドレール64の前端部から互いの離隔する側に、一対の爪状の係止片62cが突設されている。
さらにまた、ベースプレート62には、シャフト63の後方でスプリング76の一部を支持する支持部71aが設けられている。すなわち、ベースプレート62の後部には、スプリング76の収容空間を形成するための略矩形状のスプリング収容部71が形成されている。スプリング収容部71は、ベースプレート62の後部に形成された孔からなり、その後方側の周壁が前記支持部71aとなっている。なお、ベースプレート62の後端には、シャフト63の突出方向に一段高くなった段部72が形成されている。
図3に示すように、スプリング76は、シャフト63を挟んでその両側に、一対のコイル状に巻かれたコイル部76aを有するとともに、両側のコイル部76aからそれぞれ突き出されたアーム部76bを有する。このスプリング76は、シャフト63を中心に左右対称構造を有しており、並設された両コイル部76aは、シャフト63の突出側とは反対側で連続するように互いに逆向きに巻回されている。そして、コイル部76aに繋がる両アーム部76bは、先端に向かうに従い互いに開いていくように斜め前方に突き出されている。
なお、図4に示すように、両コイル部76aは、前記スプリング収容部71に収容されており、両アーム部76bの突き出し方向と反対側において前記支持部71aに支持されている。つまり、支持部71aは、両コイル部76aの外周面と当接する支持面となっている。そして、両アーム部76bは、シャフト63を挟んでその両側で、ベースプレート62に重ねられている。
一方、図5及び図8(a)(b)に示すように、カバー81は、ベースプレート62(スプリング収容部71)と協働してその内部にスプリング76を収容するための収容空間82が形成されている。図9に示すように、この収容空間82は、カバー81の前端から後端まで貫通するように形成されている。
また、カバー81の前部には、両コイル部76a間において爪83が形成されている。カバー81は、図6に示すように収容空間82にベースプレート62の後端部が嵌着され、図5に示すように爪83がベースプレート62の段部72に係合されることで、ベースプレート62に固定されるようになっている。なお、スプリング76の両コイル部76aは、シャフト63の突出側及びその反対側の先端が収容空間82の対向する内壁によって支持され、後端がスプリング収容部71の側壁により支持されるようになっている。
ベースプレート62には、シャフト63の突出側のベースプレート62の端面を覆う態様で前記可動楔65が設けられている。図3に示すように、可動楔65の強度部材66は、略四角枠状に成形されており、その前側縁部の中央部には、前後方向に延びるガイド溝66aが形成されている。また、強度部材66の両側縁には、前後方向に延びるガイド溝66bがそれぞれ形成されている。これら両ガイド溝66bは、互いの対向側が開口する断面略U字形状を呈して車両前後方向に連通している。強度部材66は、ガイド溝66aがベースプレート62のガイド突部62aに摺動可能に係合し、両ガイド溝66bがベースプレート62の両ガイドレール64にそれぞれ摺動可能に係合することで、ベースプレート62に対して一定範囲内で前後方向に移動可能となっている。つまり、強度部材66(可動楔65)は、両ガイドレール64及び両ガイド溝66bからなる一対のレール機構等を通じてベースプレート62に対し前後方向に摺動可能とされている。
なお、強度部材66の前側縁部後部には、その略全長に亘ってベースプレート62側に取付凹部66cが凹設されている。そして、取付凹部66cのガイド溝66aを挟んだ両側には、板厚方向(シャフト63の突出方向)に貫通する一対の取付孔66dがそれぞれ形成されている。また、図11(a)(c)に示すように、強度部材66の後側縁部前端部には、その延在方向中間部において斜面状の面取部66eが形成されている。強度部材66の後側縁部は、面取部66eによりベースプレート62側が前方に向かって尖鋭になるように成形されている。そして、強度部材66の後側縁部の延在方向両端部は、図12に示すように、面取部66eが非形成で略直角に起立する係止部66fをそれぞれ形成する。
図3に示すように、可動楔65の一対の当接部材67は、ガイド溝66aを挟むその両側で取付凹部66cに重ねられる態様で強度部材66にそれぞれ固定される。すなわち、図11(a)(b)に示すように、各当接部材67の前端部には、取付孔66dに挿入されるとともに該取付孔66dを貫通するフランジ状の先端部が取付孔66dの周縁部に係止される取付突部67aが突設されている。図11(b)に示すように、この取付突部67aは、取付孔66dを貫通可能な略円柱状のピンPの取付孔66dを貫通する先端部をフランジ状に溶かすことで成形されている。
一方、図11(c)に示すように、各当接部材67の後側縁部には、前記面取部66eに対向するその延在方向中間部において斜面状の面取部67bが形成されている。当接部材67の後側縁部は、面取部67bによりベースプレート62の反対側が後方に向かって尖鋭になるように成形されている。また、図12に示すように、当接部材67の後側縁部の係止部66fに対向する端部には、後方に突設されて該係止部66fのベースプレート62側の端面に当接する係止爪67cが形成されている。従って、各当接部材67の後側縁部は、面取部67b及び係止爪67cがそれぞれ強度部材66の面取部66e及び係止部66fのベースプレート62側の端面に当接することで、強度部材66の後側縁部前端部をその板厚方向に挟み込む態様で当該方向に抜け止めされている。
ここで、強度部材66への各当接部材67の組付けに際しては、強度部材66に対して当接部材67を後方に移動させて、面取部67b及び係止爪67cにより強度部材66の後側縁部前端部をその板厚方向に挟み込ませる。この状態で、面取部67b等を支点に強度部材66側の板厚方向に当接部材67を回動させて、ピンPを取付凹部66cに挿入しつつ取付凹部66cに重ねる。そして、ピンPの取付孔66dを貫通する先端部をフランジ状に溶かして取付突部67aを成形する。以上により、各当接部材67は、強度部材66に対して抜け止め・固定される。
なお、図10(a)〜(d)及び図11(a)に示すように、可動楔65は、強度部材66に固定された両当接部材67の前端部において、前方に向かうに従い強度部材66側の板厚方向に近付くように傾斜する傾斜面65aを形成する。また、可動楔65は、取付凹部66cのガイド溝66aを挟む両側にそれぞれ固定された両当接部材67間に、前側から切り欠かれたスリット65bを形成する。つまり、可動楔65の全体は、スリット65bにおいてベースプレート62のガイド突部62a(ドアロックストライカー61)に摺動可能に係合している。
そして、可動楔装置60の組付けに際しては、図3に示すように、ベースプレート62の後方から前方に向かって強度部材66(可動楔65)のガイド溝66aをベースプレート62のガイド突部62aに摺動させるとともに、両ガイド溝66bをベースプレート62の両ガイドレール64にそれぞれ摺動させる。この状態で、図4〜図6に示すように、強度部材66の前側縁部の後端面66gに対し、斜め前方に突き出すスプリング76の両アーム部76bを圧接させつつ、スプリング収容部71に両コイル部76aを収容する。このとき、スプリング76は、両アーム部76bの挟み角が押し広げられた状態となり、両コイル部76aにねじりが生じることで両アーム部76bの挟み角が縮小される側の付勢力を発生する。これにより、強度部材66(可動楔65)は、スプリング76により前方に付勢される。そして、強度部材66は、その後端縁部がベースプレート62のガイド突部62a後端面に当接し、あるいはガイド溝66bの前端面がベースプレート62の係止片62cに当接するようにベースプレート62に対して常時前方に付勢される。
続いて、カバー81の収容空間82にベースプレート62の後端部を嵌着するとともに、爪83をベースプレート62の段部72に係合して、カバー81をベースプレート62に固定する。このとき、スプリング76の両コイル部76aは、シャフト63の突出側及びその反対側の先端が収容空間82の対向する内壁によって支持され、後端がスプリング収容部71の側壁により支持される。
以上により、可動楔装置60の組付けが完了する。そして、スプリング76によりベースプレート62に対して常時前方に付勢される可動楔65は、図13に示すように、スプリング76の付勢力に抗した後方への移動が可能となっている。このとき、スプリング76は、両アーム部76bが強度部材66の後端面66gに押されて両アーム部76bの挟み角が押し広げられ、該挟み角が縮小される側の付勢力、即ち強度部材66(可動楔65)を前方に付勢する付勢力を発生する。特に、可動楔65は、図14に示すように、スプリング76の付勢力に抗した後方への更なる移動に伴い、ベースプレート62の両ボルト孔62bをそれらの取付方向に露出可能である。
以上のように構成された可動楔装置60は、図1及び図15に示すように、車両ドア側端面B1に固定される。車両ドア側端面B1への可動楔装置60の取付状態では、シャフト63(ドアロックストライカー61)の先端部の延在方向(即ち可動楔装置60の前後方向であって、可動楔65の移動方向)は、車幅方向に一致する。つまり、可動楔65の移動方向は、車両ドアの開閉作動に伴う車体パネルBに対するドアパネルDの進退方向に一致する。従って、可動楔65(強度部材66)は、ガイド溝66aにより、前記進退方向における固定楔68に対向する側を開放するようにドアロックストライカー61のシャフト63を包囲している。また、前記傾斜面65aは、車幅方向において車外側に向かうに従い車両ドア側端面B1側に近付くように傾斜している。
なお、車両ドア側端面B1への可動楔装置60の組付けに際しては、ベースプレート62を車体パネルBに固定するためのボルトは、前述の態様で可動楔65をスプリング76の付勢力に抗して後方(車幅方向において車内側)に移動させ両ボルト孔62bを露出させた状態でこれらに挿通され、車体パネルBに締め付けられる。そして、車両ドア側端面B1への可動楔装置60の組付け完了に伴い可動楔65を解放すると、該可動楔65は、強度部材66の後端縁部がベースプレート62のガイド突部62a後端面に当接し、あるいはガイド溝66bの前端面がベースプレート62の係止片62cに当接するまでスプリング76により前方に付勢される。これにより、両ボルト孔62b(及びこれに挿通されるボルト)は、可動楔65により覆われて外部への露出が解消される。つまり、通常の状態では、可動楔65により両ボルト孔62b等が外部に露出しないように構成されている。
続いて、固定楔68について更に説明する。図16に示すように、固定楔68は、例えば金属板からなる取付部材91と、例えば樹脂材からなる楔部材92とを備えて構成される。取付部材91は、略矩形状の溝部93aを有して略U字状に成形された本体部93と、溝部93aを挟んでその開口側から両外側に延出する一対の延出部94を一体的に有する。取付部材91は、溝部93aを中心とする左右対称構造をなしている。なお、以下では、便宜的に本体部93(取付部材91)のなす略U字の開口方向(図16の左斜め下方)を固定楔68の前方ともいい、その反対方向(図16の右斜め上方)を固定楔68の後方ともいう。
取付部材91には、本体部93後端部の両外側縁から起立して互いの対向側に屈曲する一対の略L字状の固定楔用ガイドレール91aが形成されるとともに、両延出部94後端部の外側縁から起立して互いの対向側に屈曲する一対の略L字状の固定楔用ガイドレール91bが形成されている。もちろん、固定楔用ガイドレール91bを互いに離間する方向に屈曲させて形成するように変更してもよい。また、取付部材91には、固定楔用ガイドレール91aの前側で略半ドーム状に隆起する一対の第1係止部91cが形成されている。各第1係止部91cは、固定楔用ガイドレール91a等の起立方向に突出しており、その突出長は前方に向かうに従い増加するようになっている。さらに、取付部材91には、固定楔用ガイドレール91b及び第1係止部91c間で各延出部94の後端縁から前端を支点に斜めに切り起こされた一対の係合凸部91dが形成されている。各係合凸部91dは、後端部が取付部材91側に屈曲されて、凸形状を呈する。
なお、各延出部94には、取付部材91(固定楔68)をドアパネルDに固定するためのボルトの座面となる略円錐形状の凹部94aが形成され、該凹部94aの中央には、当該ボルトを通すためのボルト孔94bが形成されている。各ボルト孔94bは、前方に開口する略優弧形状を呈する。これは、取付部材91(両延出部94)をその前後方向により縮小するためである。もちろん、取付部材91(両延出部94)をその前後方向により縮小する必要がなければ、各ボルト孔94bは前方に開口していなくてもよい。
一方、楔部材92は、前側から切り欠かれたスリット92aを有して略U字状に成形されている。この楔部材92は、固定楔68の意匠面を形成するもので、図17に示すように、固定楔用ガイドレール91b等の突出側で取付部材91の全体を覆うように該取付部材91に着脱自在に取着・固定されている。すなわち、図18に示すように、楔部材92には、両固定楔用ガイドレール91a,91bにそれぞれ摺動可能に係合する一対の断面略L字状の固定楔用ガイド溝92b,92cが形成されている。楔部材92は、これら固定楔用ガイド溝92b,92cが取付部材91の両固定楔用ガイドレール91a,91bにそれぞれ摺動可能に係合することで、取付部材91に対して一定範囲内で前後方向に移動可能となっている。これにより、楔部材92は、取付部材91に対する着脱が案内される。
さらに、図19に示すように、楔部材92には、取付部材91への取付位置にあるときに各係合凸部91dを含むその後方に連通する凹部92dが形成されるとともに、該凹部92dには、係合凸部91dの後端に圧接するように断面略三角形の凸部92eが突設されている。そして、楔部材92は、凹部92dの前端面及び凸部92eの前端面を含むそれらの間の内壁面により係合凹部92fを形成する。
従って、楔部材92は、取付部材91に対する後方への移動に伴い、凹部92dの後端から係合凸部91dを挿入する際、凸部92eにならって弾性変形する係合凸部91dが係合凹部92fに嵌入することで前後方向の移動(両固定楔用ガイドレール91a,91b及び両固定楔用ガイド溝92b,92cの摺動方向に沿う移動)、特に取付部材91に対するその取外方向への移動が係止される。なお、取付部材91及び楔部材92の取付状態で、楔部材92に対してその取外方向に一定量以上の外力が加わった場合には、凸部92eにならって弾性変形する係合凸部91dが凸部92eを乗り越えて係合凹部92fから外れるようになっている。これにより、取付部材91及び楔部材92の取付状態で、取付部材91から楔部材92を取り外すことが可能となる。
さらに、図20に示すように、楔部材92には、取付部材91への取付位置にあるときに各第1係止部91cを収容する凹部92gが形成されている。この凹部92gの前端面は後方、即ち取付部材91に対する取付方向で第1係止部91cの前端面に近接又は当接して第2係止部92hを形成する。従って、取付部材91に楔部材92を取着する際、該楔部材92は、取付部材91に対する後方への移動に伴い該取付部材91への取付位置に達すると、第2係止部92hが第1係止部91cに係合することで後方、即ち取付部材91に対する取付方向への更なる移動が係止される。これにより、楔部材92が取付部材91に対して本来の取付位置よりも取付方向に過剰に移動することが抑制される。
なお、図19及び図20に示すように、固定楔68は、取付部材91に固定された楔部材92の前端部において、前方に向かうに従い取付部材91側の板厚方向に近付くように傾斜する傾斜面68aを形成する。
そして、固定楔68の組付けに際しては、図16に示すように、取付部材91の前方から後方に向かって楔部材92を移動させて、図17に示すように、楔部材92の両固定楔用ガイド溝92b,92cに取付部材91の両固定楔用ガイドレール91a,91bをそれぞれ摺動させる。また、楔部材92の両凹部92dに取付部材91の両係合凸部91dをそれぞれ摺動させて該係合凸部91dを係合凹部92fに嵌入させる。さらに、楔部材92の両凹部92gに取付部材91の両第1係止部91cをそれぞれ摺動させて該第1係止部91cを前記取付方向で第1係止部91cに近接又は当接させる。以上により、固定楔68の組付けが完了する。
なお、図21に示すように、固定楔68をドアパネルD(車体開口側端面D1)に組み付ける際には、まず、取付部材91が単体で車体開口側端面D1に取着・固定される。このとき、取付部材91は、ドアパネルDの裏側に仮組みされたドアロックアセンブリーLAとともにドアパネルDに組み付けられる。すなわち、ドアロックアセンブリーLAは、取付部材91(固定楔68)と干渉しないように配置されるボルト98により、ドアパネルDの裏側に予め締結されている。そして、取付部材91は、取付具としての両ボルト96によるドアロックアセンブリーLAとの共締めで車体開口側端面D1に固定される。このとき、取付部材91の溝部93aは、ドアパネルDに形成されたストライカー進入退避孔D2の車幅方向に延びる部分を遠巻きに包囲する。このストライカー進入退避孔D2は、ドアロックストライカー61のシャフト63を挿脱するためのものである。また、図23に示すように、車体開口側端面D1側に突出する固定楔68の凹部94aは、ドアパネルDに形成された凹部97内に嵌め込まれるようになっている。
そして、車体開口側端面D1に固定された取付部材91に対して、図22に示すように、楔部材92が前述の態様で固定される。このとき、楔部材92により取付部材91の全体が覆われることで、該取付部材91の外部への露出が解消されている。取付部材91をドアパネルDに固定するための両ボルト96の外部への露出が併せて解消されることはいうまでもない。
このように構成された固定楔68は、図1及び図22に示すように、車体開口側端面D1への取付状態では、スリット92aの延在方向(即ち固定楔68の前後方向)は、車両ドアの開閉作動に伴う車体パネルBに対するドアパネルDの進退方向(車両ドアの閉状態における車幅方向)に一致する。従って、固定楔68(楔部材92)のスリット92aは、ドアパネルDに形成されたストライカー進入退避孔D2の幅方向(車両ドアの閉状態における車幅方向)に延びる部分の形状に合わせて成形されている。すなわち、固定楔68は、スリット92aにより、前記進退方向における可動楔装置60に対向する側を開放するようにストライカー進入退避孔D2を包囲している。また、前記傾斜面68aは、車両ドアの閉作動に伴い車体パネルBに対してドアパネルDの進出する側(車幅方向において車内側)に向かうに従い車体開口側端面D1側に近付くように傾斜している。
こうした車両ドアの固定装置では、可動楔65と固定楔68(楔部材92)とは、図1に示すように、車両ドアが閉じられた際に傾斜面65a,68a同士が圧接されるようになっている。
次に、本実施の形態の動作について説明する。
本実施の形態の車両ドアの固定装置では、車両ドアが閉まったとき、図1に示すように、ドアパネルDに固定された固定楔68の傾斜面68aに、車体パネルBに往復摺動可能に設けられた可動楔65の傾斜面65aが当接する。このとき、スプリング76の付勢力により、可動楔65を固定楔68に押し付けることで、車両ドアがヒンジ側に押圧されてそのガタが抑制されるようになる。
また、車両の旋回時等に発生する車体の左右方向の曲げ変形に際して、車体の伸び側にて、図24に示した状態の可動楔65が固定楔68に対して図25に示した状態まで図中右方に移動して、固定楔68を図中上方(車両前後方向)に押し出す。そのため、上記曲げ変形により車体の開口部と車両ドアとの間に生じる車両前後方向の隙間が、詰められるようになる。その結果、固定楔68に対する可動楔65の移動方向が車体の縮み側となる車両の旋回時等に、車体の縮み側の変形が抑制されるようになる。このように、車両ドア固定装置によれば、車両ドアのガタを抑えるとともに、車体の剛性を効果的に高めることが可能となる。
以上詳述したように、本実施の形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施の形態では、楔部材92は、取付部材91に対して着脱自在であることで、例えば材質変更等で可動楔装置60(可動楔65)との摩擦係合力が異なる複数種類の楔部材92が存在する場合には、これらのうちから1種類の楔部材92を選択して取付部材91に取着することで、利用者の好みに合わせて可動楔装置60との摩擦係合度合い、即ち車両ドアの固定度合いを調整することができる。あるいは、取付部材91から楔部材92を取り外すことで、利用者の好みに合わせて可動楔装置60との摩擦係合自体を解消することができる。つまり、楔部材92を着脱することで、車両ドアの固定効果の採否が切替可能となる。
また、意匠(色など)が異なる複数種類の楔部材92が存在する場合には、これらのうちから1種類の楔部材92を選択して前記取付部材に取着することで、利用者の好みにより合致するようにその意匠性を高めることができる。
特に、楔部材92は、車体開口側端面D1に取付部材91を固定したまま該取付部材91に対して着脱自在であることで、楔部材92の交換作業を円滑に行うことができる。
(2)本実施の形態では、両固定楔用ガイドレール91a,91bに両固定楔用ガイド溝92b,92cを摺動可能に係合させる極めて簡易な構成で、取付部材91に対する楔部材92の着脱を案内させることができ、ひいては該着脱の作業をより円滑に行うことができる。
(3)本実施の形態では、取付部材91及び楔部材92の取付位置にあるとき、両固定楔用ガイドレール91a,91b及び両固定楔用ガイド溝92b,92cの摺動方向に沿う取付部材91に対する取付方向(固定楔68の後方)で、取付部材91の両第1係止部91cに楔部材92の両第2係止部92hが近接又は当接する。従って、取付部材91に楔部材92を取着する際、取付部材91及び楔部材92の取付位置に達すると、前記取付方向で両第1係止部91cに両第2係止部92hが係合することで、当該取付方向への更なる楔部材92の移動を係止することができる。従って、楔部材92が取付部材91に対して本来の取付位置よりも前記取付方向に過剰に移動することを抑制できる。
また、可動楔装置60(可動楔65)との摩擦係合時、該可動楔装置60の押圧方向に合致する前記取付方向に取付部材91に対して楔部材92が移動することを抑制できる。
(4)本実施の形態では、取付部材91及び楔部材92の取付位置にあるとき、楔部材92の両係合凹部92fに取付部材91の両係合凸部91dが嵌入されることで、楔部材92の前記取外方向への移動を係止することができる。従って、取付部材91及び楔部材92の取付位置で、取付部材91から楔部材92が脱落することを抑制できる。
一方、取付部材91及び楔部材92の取付状態で、楔部材92に対してその取外方向に一定量以上の外力を加えると、凸部92eにならって弾性変形する係合凸部91dが凸部92eを乗り越えて係合凹部92fから外れる。これにより、取付部材91及び楔部材92の取付状態で、取付部材91から楔部材92を取り外すことができる。
(5)本実施の形態では、取付部材91は、ドアロックアセンブリーLAと共用のボルト96で、該当のドアパネルDに取着されることで、当該ドアパネルDに取付部材91を取着するための専用の取付部を設ける必要がない。従って、取付部材91(固定楔68)を後付けする場合であっても、そのために必要な工数を削減することができる。
(6)本実施の形態では、可動楔65及び固定楔68は、それぞれドアロックストライカー61のベースプレート62及びドアロックアセンブリーLAと共に該当の車体パネルB又はドアパネルDに組み付けることができる。このため、ドアロックストライカー61等を含めた装置全体としての組付工数を低減することができる。
特に、ドアロックストライカー61のシャフト63を、車両ドアの開閉作動に伴う車体パネルBに対するドアパネルDの進退方向における固定楔68に対向する側を開放するように包囲する可動楔65の強度部材66は、当該側にガイド溝66aを有する。従って、固定楔68に両当接部材67が圧接することで該当接部材67からの荷重を受けると、強度部材66がガイド溝66aの開口幅を広げるように弾性変形(いわゆる口開き)しようとする。しかしながら、強度部材66は、両当接部材67よりも大きい剛性を有することでその変形を抑制することができ、ひいては可動楔65の動作をより安定化することができる。
(7)本実施の形態では、各当接部材67は、面取部67b及び係止爪67cにより強度部材66の前記進退方向における対向部(面取部66e、係止部66f)を強度部材66の板厚方向に挟み込むことで、該強度部材66からの脱落を抑制することができる。また、各当接部材67は、固定楔68に圧接することで該固定楔68から離隔する側に位置ずれようとする。この位置ずれは、強度部材66の前記対向部(面取部66e、係止部66f)と、該対向部を挟み込む面取部67b及び係止爪67cとの係合代を増加させるように機能するため、固定楔68との圧接によって強度部材66から当接部材67が脱落することを抑制できる。
(8)本実施の形態では、各当接部材67は、取付孔66dに取付突部67aが挿入され強度部材66の板厚方向に抜け止めされることで、該強度部材66からの脱落を抑制することができる。
(9)本実施の形態では、スプリング76のコイル部76aが複数(2つ)並設された構成としている。従って、例えば所要の付勢力を1つのコイル部で確保する場合の当該コイル部の外径よりも、各コイル部76aの外径(コイル径)を縮小することができる。これにより、これらコイル部76aを支持する支持部71aを含むベースプレート62(及びカバー81)を、可動楔65の移動方向により小型化することができる。これにより、車体パネルBの車両ドア側端面B1が車幅方向により縮小された車両(例えば小型車両など)であっても、フランジB2と干渉することなくが、当該ベースプレート62(可動楔装置60)を設置することができ、ベースプレート62の車両搭載性を向上することができる。そして、様々な車種への可動楔装置60(車両ドアの固定装置)の共通化を図ることができる。
(10)本実施形態では、本実施の形態では、固定楔68の取付部材91に、該取付部材91をドアパネルDに固定するためのボルト96の座面となる凹部94aを形成するようにしている。こうした構成では、ボルト96の座面が金属により強化されるようになり、例えば樹脂製の場合のようなボルトの座面のクリープ変形による固定楔68のガタの発生を好適に抑制することができるようになる。
(11)本実施形態では、本実施の形態では、ボルト96の座面を構成する固定楔68の凹部94aを車体開口側端面D1側に突出させて、ドアパネルDに形成された凹部97内に嵌め込むようにしている。そのため、固定楔68の固定に際しての位置決めが容易となり、該固定楔68の組み付け性が向上されるようになる。
(12)本実施の形態では、カバー81に収容されたスプリング76は、そのカバー81によって周囲を囲繞されて、その変位が規制されるため、不適切な姿勢変化が抑制されるようになる。そうしたカバー81は、ベースプレート62とは別体に形成されているため、スプリング76の不適切な姿勢変化を防止しつつも、ベースプレート62の形状の複雑化を避けることができる。したがって、本実施の形態によれば、スプリング76の不適切な姿勢変化を防止しつつも、ベースプレート62の成形性の悪化を好適に抑制することができるようになる。
(13)本実施の形態では、アーム部76bの突き出し方向と反対側において両コイル部76aを支持する支持部71aをベースプレート62に形成し、それらのコイル部76aの上部及び下部を支持するようにカバー81を設けるようにしている。そのため、スプリング76を好適に保持することができる。
(14)本本実施の形態では、ベースプレート62に段部72を設けるとともに、その段部72に係合する爪83をカバー81に設けるようにしている。そのため、ベースプレート62へのカバー81の装着を容易かつ確実に行えるようにすることができる。
(15)本実施の形態では、スプリング76の両コイル部76aの先端を覆うようにカバー81を形成している。そのため、スプリング76の両コイル部76aが接触して車体パネルBを傷付けてしまうことが防止されるようになる。
(16)本実施の形態では、車体パネルBに対するドアロックストライカー61の組み付けと同時に可動楔65の組み付けを行うことができる。またドアパネルDに対するドアロックアセンブリーLAの組み付けと同時に取付部材91(固定楔68)の組み付けを行うことができる。そのため、車両への組み付け工数を削減して組み付けの作業性を改善することができる。
(17)本実施の形態では、可動楔65の動作方向でドアロックストライカー61の後方にスプリング収容部71を設けるようにしている。そのため、スプリング76が可動楔65に対して均等に付勢することができるようになる。またこの場合には、ベースプレート62にドアロックストライカー61とスプリング収容部71とが設けられるため、成形が容易となる。
なお、上記実施の形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、車体パネルBに可動楔65(可動楔装置60)を設けるようにしていたが、車体パネルBにも楔装置としての固定楔を設けるようにしても良い。
・上記実施の形態では、固定楔68の取付部材91に固定楔用ガイドレール91a,91bを、楔部材92に固定楔用ガイド溝92b,92cをそれぞれ設けるようにしていたが、取付部材91に固定楔用ガイド溝を、楔部材92に固定楔用ガイドレールをそれぞれ設けるようにしても良い。また、1組をなす固定楔用ガイドレール及び固定楔用ガイド溝の組数は任意である。
・上記実施の形態では、固定楔68の取付部材91に係合凸部91dを、楔部材92に係合凹部92fをそれぞれ設けるようにしていたが、取付部材91に係合凹部を、楔部材92に係合凸部をそれぞれ設けるようにしても良い。また、1組をなす係合凸部及び係合凹部の組数は任意である。
・上記実施の形態において、1組をなす取付部材91の第1係止部91c及び楔部材92の第2係止部92hの組数は任意である。
・上記実施の形態では、ドアロックアセンブリーLAと共用のボルト96で取付部材91をドアパネルDに固定したが、ボルト96とは別の専用のボルトで取付部材91をドアパネルDに固定するようにしても良い。つまり、取付部材91は、ドアロックアセンブリーLAに制約されることなく任意に配置するようにしても良い。また、取付部材91を固定するためのボルトの個数は任意である。さらに、これらの場合において、取付部材91の固定をボルト以外の適宜の取付具(例えばピン、クリップなど)で行うようにしても良い。
・上記実施の形態において、スプリング76のコイル部76aは1個であっても良いし、3個以上であっても良い。
・上記実施の形態において、可動楔65の強度部材66は、十分な剛性(強度)が得られるのであれば樹脂製であっても良い。また、各当接部材67は、固定楔68の楔部材92との間の緩衝が十分であれば金属製であっても良い。
・上記実施の形態において、固定楔68の取付部材91は、十分な剛性(強度)が得られるのであれば樹脂製であっても良い。また、意匠面を形成する楔部材92は、例えば可動楔65との間の緩衝が十分であれば金属製であっても良い。
・上記実施の形態では、ベースプレート62のガイド突部62aを挟んで2分された一対の当接部材67としたが、ガイド突部62aの後方で繋がった単品の当接部材であっても良い。
・上記実施の形態では、強度部材66の取付孔66dを貫通する当接部材67のピンPの先端部をフランジ状に溶かし取付突部67aを成形することで、強度部材66に対して当接部材67を抜け止め・固定したが、取付突部67aに代えてクリップなどを採用するようにしても良い。
・上記実施の形態において、ガイドレール64の側面とガイド溝66bの側壁との間に弾性部材を圧縮状態で配設し、ガイドレール64とガイド溝66bとのガタを詰めて、可動楔65のがたつきを抑えるようにしても良い。
・上記実施の形態において、ベースプレート62のボルト孔62bを露呈させる位置にて可動楔65の摺動を係止可能な着脱自在の係止部材を採用して、可動楔装置60の良好な組み付け性を確保するようにしても良い。
・上記実施の形態では、ボルト96の座面を構成する固定楔68の凹部94aを車体開口側端面D1側に突出するようにしていたが、ドアパネルDのボルト取付け位置に凹部97が形成されていない場合などには、凹部94aを車体開口側端面D1側に突出しないようにする必要がある。
・上記実施の形態において、可動楔65(当接部材67)の傾斜面65aの表面に、当接部材67を構成する樹脂材料よりも弾性率の高い、例えばシリコンゴムのような弾性材料の層を被覆形成しても良い。この場合、車両ドアを閉じた際に可動楔65の傾斜面65aが固定楔68の傾斜面68aに衝突しても、衝撃のエネルギーが弾性材料により吸収されるため、大きい異音が発生しないようになる。
・上記実施の形態では、固定楔68を金属製の取付部材91及び樹脂製の楔部材92で構成するようにしていたが、固定楔の強度やクリープ耐性が十分に確保できるのであれば、樹脂材のみで成形しても良い。あるいは、ボルト96の座面となる部位にのみ、補強用の金属部材をインサート成形するようにしても良い。
・上記実施の形態では、スプリング76の両コイル部76aの下部を覆うようにカバー81を形成していたが、スプリング76の姿勢保持が可能であれば、両コイル部76aの下部が開放された形状にカバー81を形成するようにしても良い。
・上記実施の形態では、スプリング76の両コイル部76aの両端をそれぞれ支持するようにカバー81を構成していたが、両コイル部76aの片側(シャフト63の突出側又はその反対側)の先端のみを支持するようにカバー81を構成することもできる。
・上記実施の形態では、スプリング76の両コイル部76aの後方は開放されるようにカバー81を形成するようにしていたが、該後方も覆うようにカバー81を形成するようにしても良い。
・上記実施の形態では、ベースプレート62に段部72を設けるとともに、その段部72に係合する爪83をカバー81に設けることでベースプレート62に対するカバー81の固定を行うようにしていたが、カバー81の固定は、これ以外の態様で行うようにしても良い。
・上記実施の形態では、ベースプレート62に形成された孔により、スプリング収容部71を形成するようにしていたが、例えばスプリングがコイル状でない場合には、孔である必要はなく、スプリングを収容する収容部と付勢時にスプリングを支持する支持部があるスプリング収容部であれば、孔ではなくて多角形状で構成しても良い。また、孔ではなく、凹部形状であっても良い。
・上記実施の形態では、スプリング76により可動楔65を付勢するようにしていたが、スプリング76の形状は図3等に示したものに限らず、適宜に変更することができる。またスプリング以外の弾性部材によって、可動楔65を付勢するようにすることも可能である。
・上記実施の形態では、可動楔65の傾斜面65a及び固定楔68の傾斜面68aをそれぞれ段部のない平坦な平面に形成するようにしていたが、これらの傾斜面65a,68aを階段状又は曲面とするようにしても良い。
・上記実施の形態では、ドアロックストライカー61側に可動楔65を、ドアロックアセンブリーLA側に固定楔68をそれぞれ設けるようにしていたが、ドアロックストライカー61側に固定楔68を、ドアロックアセンブリーLA側に可動楔65をそれぞれ設けるようにすることもできる。この場合、可動楔65の強度部材66は、ガイド溝66aにより、前記進退方向における固定楔68に対向する側を開放するようにストライカー進入退避孔D2を包囲することになる。
・上記実施の形態では、車体パネルBに可動楔65を、ドアパネルDに固定楔68をそれぞれ設けるようにしていたが、可動楔65をドアパネルDに、固定楔68を車体パネルBにそれぞれ設けるようにすることもできる。
・上記実施の形態では、完全なオープン車体構造の車両やコンバーティブル車体構造の車両(開閉又は脱着可能なルーフを備える車両)のサイドドアに本発明を適用する場合を説明した。もっとも、本発明は、車体開口部を開閉するドアであれば、固定されたルーフを備える車両のサイドドアは勿論のこと、車両前後に摺動可能なスライド式のサイドドアや上下又は左右に傾動可能で車体後部の開口を開閉するバックドア(リアゲート)などにもその適用が可能である。