JP2013039981A - ワーク選別装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】振動によりワークを搬送する搬送路にて、ワークの選別精度を高くできるワーク選別装置を提供する。
【解決手段】ワーク選別装置の稼動開始時に、搬送されるワークを搬送路1から排除する状態となるように排除動作を実行する排除部5と、前記搬送路1上の搬送路上情報を得る搬送路上情報取得部3と、前記搬送路上情報取得部3が得た搬送路上情報により、姿勢の正しいワークである正姿勢ワークを判定する判定部とを備え、前記判定部は、前記搬送路上情報取得部3が得た搬送路上情報と、あらかじめ設定された正姿勢ワークのテンプレート情報との類似度を検出して、正姿勢ワークを判定するものであり、前記判定部には、正姿勢ワークを判定するために前記類似度の閾値があらかじめ設定されており、前記排除部5は、前記判定部により正姿勢ワークと判定されたワークに対して前記排除動作を停止する。
【選択図】図1

Description

本発明は、振動により搬送がなされる搬送路上にあるワークの姿勢を判定して、当該ワークの選別を行うワーク選別装置に関するものである。
搬送路を搬送されるワークの姿勢の正誤、あるいはワークの良・不良を判定して選別を行うワーク選別装置として、例えば、特許文献1や特許文献2に記載されたものがある。
特許文献1に係る発明の選別装置は、振動により搬送される搬送路上のワークに対し、光センサでワークの方向性を検知してワーク姿勢の正誤を判定し、異方向を向いたワーク(誤姿勢ワーク)を圧電アクチュエータにより、搬送路から摘出している。
そして、特許文献2に係る発明の選別装置は、パーツフィーダから供給され、ベルトコンベア上を搬送されるワークに対し、視覚センサから読み込まれた画像データを基として、制御装置が良・不良を判定し、圧縮空気噴出手段により良品と判断したワークを通路内に吹き飛ばしている。また、この発明の他の実施例に係る選別装置は、エアーシリンダにより移動する傾斜板で良品と不良品を各々別の通路に誘導している。
特開2003−341827号公報 特開平5−278838号公報
ところで、振動フィーダ等、振動によりワークを搬送する搬送路においては、ワークの置かれる搬送路が振動するため、この振動の影響を受けて搬送路上のワークも振動する。よって、搬送路上のワークをセンサ等を用いて撮像すると、このワークの振動により、画像がぶれたり、乱反射が発生したりすることにより、誤判定が発生する場合がある。また、センサ等がワークを認識することができずに判定漏れが発生する場合がある。このため、例えば、誤姿勢ワーク及び判定漏れの姿勢不明のワークが後工程へ搬送されてしまう不都合が起こらないように対策をなす必要がある。
しかしながら、特許文献1に係る発明は、振動によりワークを搬送する搬送路上のワークを光センサで検知するものであり、前記のように振動の影響を受けることによる誤判定または判定漏れが発生する。ところが、搬送路から摘出する対象物は誤姿勢ワークであるため、前記誤判定により摘出されなかった誤姿勢ワーク及び判定漏れの姿勢不明のワークが後工程へ搬送されてしまう。すなわち、特許文献1に係る発明では、前記不都合の対策は何らなされておらず、結果的に、ワークの選別精度が低いものとなっている。
そして、特許文献2に係る発明は、振動により搬送されるものに比べてワークの搬送状態が安定しているベルトコンベア上でワークの良・不良を判別するものである。しかし、この発明では振動により搬送を行うパーツフィーダとベルトコンベアとを組み合わせる分、選別装置のコストが上昇してしまう。
以上のことに鑑み、本発明は、振動によりワークを搬送する搬送路にて、ワークの選別精度を高くできるワーク選別装置を提供することを課題とする。
本発明においては、振動により搬送がなされる搬送路上にあるワークの姿勢を判定して、当該ワークの選別を行うワーク選別装置において、ワーク選別装置の稼動開始時に、搬送されるワークを前記搬送路から排除する状態となるように排除動作を実行する排除部と、前記搬送路上のワークの有無やワークの姿勢を判断するための搬送路上情報を得る搬送路上情報取得部と、前記搬送路上情報取得部が得た搬送路上情報により、姿勢の正しいワークである正姿勢ワークを判定する判定部とを備え、前記判定部は、前記搬送路上情報取得部が得た搬送路上情報と、あらかじめ設定された正姿勢ワークのテンプレート情報との類似度を検出して、正姿勢ワークを判定するものであり、前記類似度は、前記搬送路上情報取得部が得た搬送路上情報の少なくとも一部が前記テンプレート情報に類似している度合に応じて規定され、前記判定部には、正姿勢ワークを判定するために前記類似度の閾値があらかじめ設定されており、この閾値は、搬送路上を搬送されるワークのうちで正姿勢ワークについての類似度の分布に対応した数値範囲である正姿勢分布範囲と、姿勢の正しくないワークである誤姿勢ワークについての類似度の分布に対応した数値範囲である誤姿勢分布範囲と、前記正姿勢分布範囲の一部と前記誤姿勢分布範囲の一部とが重複している範囲とを基礎として、誤姿勢分布範囲外であり且つ正姿勢分布範囲内となるように定められた数値であり、前記排除部は、前記判定部により正姿勢ワークと判定されたワークに対して前記排除動作を停止することを特徴としている。
前記構成によると、ワーク選別装置の稼動開始時に、搬送されるワークを当該搬送路から排除する状態となるように排除動作を実行する排除部が、判定部により正姿勢ワークと判定されたワークに対して前記排除動作を停止するため、姿勢の正しいワークだけを高い精度で選別でき、判定部により正姿勢と判定された以外のワークが搬送路に残り、そのまま後工程へと搬送される可能性を低減できる。しかも、判定部には、正姿勢ワークを判定するために類似度の閾値があらかじめ設定されており、この閾値が、誤姿勢分布範囲外であり且つ正姿勢分布範囲内となるように定められているから、誤姿勢ワークを誤って正姿勢ワークと判定してしまう可能性を低減できる。そして、この判定により、判定部が正姿勢ワークと判定したワークを搬送路に残し、それ以外のワークを搬送路から排除できる。
そして、本発明において、前記搬送路上情報取得部は、情報取得可能範囲内に複数のワークが含まれるように当該情報取得可能範囲が設定されており、所定時刻における前記情報取得可能範囲内に含まれる複数のワークのうちに、前記判定部により正姿勢ワークと判定されたワークがある場合、搬送された当該ワークが前記排除部の設けられた位置に至るタイミングを特定するためのワーク特定情報を当該ワークに関連付けるワーク特定情報処理部を備えたことが好ましい。
前記好ましい構成によると、ワーク特定情報処理部により、ワークが排除部の設けられた位置に至るタイミングを正確に定めることができ、判定部により判定された正姿勢ワークを間違って排除してしまうことがなく、正姿勢ワークの確実な選別がなされる。
本発明は、判定部により正姿勢ワークと判定された以外のワークが搬送路に残り、そのまま後工程へと搬送される可能性を低減でき、しかも、誤姿勢ワークを誤って正姿勢ワークと判定してしまう可能性を低減できる。このため、ワークの選別精度を高くできる。
本発明の一実施形態を示す概略図であり、(A)は平面視によるもの、(B)は側面視によるものである。 同実施形態の制御部周辺を示したブロック図である。 ワーク姿勢の類似度の分布に対応した数値範囲の一例を示すグラフである。 (A)(B)共、同実施形態の予想到達時間情報の関連付けの例を示す図である。 (A)及び(B)は、同実施形態の予想到達時間情報の関連付けの例を示す図である。(C)は、複数の予想到達時間情報のうちで空気噴出停止時刻から空気噴出再開時刻までの時間が重複した例を示し、(D)は、前記各時間が重複しない例を示す。 同実施形態における判定部における制御のフロー図である。 同実施形態におけるワーク特定情報(予想到達時間情報)の管理に関するフロー図である。
本発明につき、一実施形態を取り上げて、図面とともに以下説明を行う。図1は本実施形態のワーク選別装置の概略図、図2は制御部周辺を示したブロック図である。
−構成の説明−
本実施形態のワーク選別装置は、ワークとしてのICチップを搬送し、ワークの表裏及び向きを判定して、搬送されるワークのうち、表向きで且つ方向の正しい正姿勢ワークのみの選別を行うものであり、搬送路1、還流路2、搬送路上情報取得部としての撮像部3、制御部4、排除部5、時刻管理部6を備えている。
搬送路1はパーツフィーダ10の一部であり、当該搬送路1の稼働中に、振動により複数個のワークを一方向に搬送するように構成されたものである。パーツフィーダ10はボウル部101とリニア部102とからなり、各々、板ばねと電磁石とを備えた振動発生部により振動する。搬送路1はボウル部101とリニア部102とにまたがって設けられており、ワークはボウル部側搬送路11では円周方向に移動し、ボウル部101を出たワークはリニア部側搬送路12を直線方向に移動する。
なお、この搬送路1と平行して還流路2が設けられている。この還流路2は、排除部5(後述)によって排除されたワークをリニア部側搬送路12から再度ボウル部側搬送路11に還すために設けられており、この還流路2では、リニア部側搬送路12における搬送方向とは逆の方向にワークが搬送される。
撮像部3は、搬送路上情報として搬送路1上の画像(搬送路1を搬送されるワークが含まれた画像、及び、ワークが含まれない画像のいずれも含む)を得るものであって、構成要素としてカメラ31を含んでいる。また、図示はしていないが、このカメラ31と共に、撮像部3は、搬送路1上の情報取得可能範囲である撮像範囲を照らす照明部も有している。本実施形態のカメラ31は、リニア部側搬送路12に設けられている。なお、本実施形態では、撮像部3にて取得する搬送路上情報を画像としているが、搬送路上情報は画像に限定されるものではなく、正姿勢ワークの有無を判定するための情報を取得可能な、種々のセンサ類を用いることができる。撮像部3でカメラ31を用いる場合は、カメラ31の視野内に存在する複数のワークの姿勢を認識する。なお、撮像部3でカメラ以外のセンサ類を用いる場合は、このセンサ類の検出範囲内で検出できる情報(例えば、明るさ、反射率)を取得して、この取得された情報を判定部41に提供する。
搬送路1上の画像は、カメラ31の撮像範囲(視野)内にワークが含まれているかいないかにかかわらず、撮像部3によって得られる。このため、搬送路1上の画像は、所定時刻におけるカメラ31の撮像範囲(視野)内に複数個のワークがあっても当該視野単位で得られ、判定部41(後述)により正姿勢ワークの判定がなされる。そのため、本実施形態のワーク選別装置では、判定対象とするワークの一つずつに対応させるように画像を切り分ける処理が不要であり、ワークの搬送間隔が短くても、単一の画像により判定部41による正姿勢ワークの判定が可能である。よって、判定の効率を上げることができる。なお、カメラ31の撮像範囲(視野)を、ワークが一つだけ入るように設定することも可能である。
また、撮像部3は、あるワークが搬送に伴いカメラ31の撮像範囲(視野)から外れるまでの間、所定の時刻毎(例えば、図4(A)上の撮像時刻1ないし3、または、図4(B)上の撮像時刻1及び2に対応)に複数回の撮像をして搬送路1上の画像を得る。このように複数回の撮像をなすことにより、一回限りの撮像で画像を得、この画像により正姿勢ワークの判定をなすことに比べると、特に図4(B)に示すように、判定部41が正姿勢ワークを見逃してしまう可能性を小さくできる。
判定部41は、後述する制御部4の一部として設けられており、前記の撮像部3が得た搬送路1上の画像から、当該画像に含まれたワークのうち表裏及び方向が正しいもののみを正姿勢ワークとして判定する。判定の具体的方法については後述する。
排除部5は、搬送路1からワークを排除する部分であり、噴出孔511を有するエアノズル51と当該エアノズル51へ圧縮空気を供給するための機構(コンプレッサ、タンク、空気配管、電磁弁等)とからなっている。エアノズル51は、搬送路1における搬送面に設けられた噴出孔511から噴出する空気Aがワークの底面(搬送面を向いた面)に当たるように設けられており、噴出した空気Aを受けたワークは、空気Aの圧力によって搬送路1から排除され、還流路2へと移動させられる。すなわち、排除部5は、ワークを搬送路1から排除する状態となるように排除動作を実行している。そして、この排除部5は、前記判定部41によって判定された正姿勢ワークの通過時には空気Aの噴出を停止するものとされている。つまり、この排除部5は、ワーク選別装置の稼動中にて(より具体的には、搬送路1の稼動中に)、常時、ワークを搬送路1から排除する排除動作を行っており、判定部41によって判定された正姿勢ワークが通過する時にのみ排除動作を停止する。排除動作が停止している際に通過したワーク、すなわち、判定部41によって判定された正姿勢ワークは、搬送路1(12)により下流方向へと搬送され続けて後工程へと送られる。また、空気Aの噴出停止及び再開は、制御部4(後述)に設けられた空気噴出制御部42によって制御される。なお、搬送路1が稼動中であることを検知する検知手段を設けておき、この検知手段により搬送路1が稼動中であることが検知されたことを条件として、空気噴出制御部42が排除部5の排除動作を制御するものとされていても良い。
ここで、特許文献1に記載されたような誤姿勢ワークを排除する構成では、誤姿勢であるかそうでないかを選別の判定基準としているため、判定部41によって正姿勢ワークと判定された以外のワークが搬送路1における下流に搬送され、正姿勢ワークに混じることがある。これに対して本実施形態では、判定部41によって正姿勢ワークと判定された以外のワークを排除部5により全て排除するものであるから、正姿勢ワーク以外のワークは必ず搬送路1から排除され、搬送路1の下流側に搬送されることがない。よって、排除部5により、正姿勢ワークだけを高い精度で選別できる。
制御部4は、ワーク選別装置の種々の制御を司る部分である。この制御部4は、図2に示すように前記の判定部41及び空気噴出制御部42、そして、ワーク特定情報処理部43を備えている。このワーク特定情報処理部43は、カメラ31が得た搬送路1上の画像中の少なくとも一部の領域(あるいは範囲)の類似度が大きい場合(これはつまり、カメラ31が得た搬送路1上の画像中に正姿勢ワークが含まれているということである)、前記類似度の大きい領域に存在するはずの正姿勢ワークに対し、当該正姿勢ワークが排除部5(より詳しくはエアノズル51の噴出孔511)の設けられた位置に至るタイミングに対応するワーク特定情報としての予想到達時間情報を関連付ける。詳細は後述する。
時刻管理部6は、前記のようにワーク特定情報処理部43により正姿勢ワークに関連付けられた予想到達時間情報を用いて、排除部5における空気Aの噴出停止及び再開を行うための時刻を管理する部分である。この時刻管理部6による時刻の管理は、カメラ31の撮像範囲(視野)内に複数個のワークが入るように設定されている場合に必要である。それは、複数個のワークのうち、ワークが撮像範囲(視野)のうち下流側にある場合と上流側にある場合とで、ワークが排除部5の設けられた位置に至るまでに要する時間が異なるためである。本実施形態では、時刻管理部6に時刻リストが設定されており、この時刻リスト上で空気Aの噴出停止及び再開の管理を行っている。詳細は後述する。
−正姿勢ワークの判定の具体的方法−
次に、判定部41による、正姿勢ワークの判定の具体的方法について説明する。本実施形態の判定部41は、撮像部3が得た搬送路1上の画像と、判定部41が利用できるテンプレート情報としてのテンプレート画像との類似度を検出することにより正姿勢ワークの判定を行う。本実施形態では、判定部41は、搬送路1上の画像中から一旦ワークの外観画像を抽出し、その上で抽出された外観画像について類似度を検出するのではなく、搬送路1上の画像とテンプレート画像との間で、直接的に類似度を検出するものとされている。つまり、搬送路1上の画像中で大きい類似度が検出された特定の領域が存在することをもって、当該画像中に正姿勢ワークが含まれているものとして扱うのであって、判定部41が前記特定の領域を正姿勢ワークであると認識するようにはなっていない。
類似度は、前記搬送路1上の画像の少なくとも一部の領域がテンプレート画像に類似している度合に応じて規定された数値で、当該類似の度合に応じた値で表示される。本実施形態では、類似の度合が高いものほど数値が大きくなるように表示される。そして、このテンプレート画像とは、判断基準とする正姿勢ワークの外観画像であって、判定部41あるいは判定部41以外に設けられた記憶手段にあらかじめ画像データが入力され、保持されている。
この類似度としては、正規化相関あるいはピアソン相関などが用いられる。類似度の値は、カメラ31が得た搬送路1上の画像中の一部の領域がテンプレート画像に完全に一致する場合が1であり、値が大きい(1により近い)方が良く類似していることになる。なお、正規化相関の類似度は、一般的には−1〜1の値を取り得るが、負の値となるのはネガポジ反転の場合であり、本実施形態では起こりえないため、0〜1の間の値となる。
ここで、本願における「類似度」とは、搬送路1上の画像とテンプレート画像とが類似している度合に応じて規定された数値であれば特に限定されるものではなく、一般的に用いられる「類似度」よりも広い概念の用語として理解されるべきものである。
すなわち、本実施形態とは逆に、値が小さい(−1により近い)方が良く類似していると規定する場合が仮にあるならば、類似度の範囲は−1〜0となる。つまり、本実施形態と、この逆の場合を統合するならば、類似度の絶対値が大きい方が良く類似していることになる。
そして、前記のように値が小さい方が良く類似していると規定した他の例として、搬送路1上の画像とテンプレート画像との間の距離を用いることが挙げられる。このように距離を用いる場合、搬送路1上の画像がテンプレート画像と完全に一致する場合は距離0、それ以外の場合は、類似していない度合が大きくなるに従って距離の値が大きくなる。ちなみに、この場合における距離は、逆数をとったり、あるいは、正負の符号反転をしたりすることにより、前記の類似度と同じく、値が大きいほど良く類似しているものに変換することができる。
パーツフィーダのような、振動によって搬送がなされる搬送路1における、ワークの姿勢の類似度の分布に対応した数値範囲は、一例として、絶対的に(判定部41の判定にかかわらず)姿勢の正しいワークである正姿勢ワークが約0.4〜1.0、同じく絶対的に姿勢の正しくないワークである誤姿勢ワークが0〜0.6となる(図3参照)。なお、図3は理解を容易にするために示したものであって、本発明におけるワークの姿勢の類似度の分布がこれに限定されるものではない。この例の場合、類似度の数値範囲のうち約0.4〜0.6の範囲が、正姿勢ワークと誤姿勢ワークとでオーバーラップしており、この範囲においては類似度によりワークの姿勢の正誤判定ができないことになる。そこで、姿勢の正誤判定のための閾値は、正姿勢ワークについての類似度の分布に対応した数値範囲である正姿勢分布範囲(前記の約0.4〜1.0)と、誤姿勢ワークについての類似度の分布に対応した数値範囲である誤姿勢分布範囲(前記の0〜0.6)、そして、前記重複範囲(約0.4〜0.6)を基礎として、誤姿勢分布範囲外であり且つ正姿勢分布範囲内となるように定められている。例えばこの一例において、閾値を0.7と定めておけば、判定部41により誤姿勢ワークが誤って正姿勢ワークと判定されてしまうことがほとんどなく、確実な判定を行うことが期待できる。
以上のように、閾値は、前記の誤姿勢分布範囲外であり且つ正姿勢分布範囲内となるように定められているため、判定部41が検出した類似度が誤姿勢分布範囲内であり且つ正姿勢分布範囲内であるワーク、及び、判定漏れ等により類似度が誤姿勢分布範囲外であり且つ正姿勢分布範囲外であるワークは、排除部5によって搬送路1から確実に排除される。
−ワーク特定情報(予想到達時間情報)の関連づけ−
次に、ワーク特定情報処理部43による正姿勢ワーク(より正確に言うと、搬送路1上の画像中にて判定部41が大きい類似度を検出した特定の領域に位置している正姿勢ワーク)に対するワーク特定情報(予想到達時間情報)の関連づけについて、図4及び図5を参照しつつ説明する。なお、図4及び図5(A)(B)上で、ワーク上に記載した図形は、星形形状が上下方向で正しい位置となったものが正姿勢ワークに相当する。ただし、この図形は本実施形態で実際に搬送するICチップの外観とは異なるものであり、理解を容易にするために描いたものである。各図上で、「正」と表示されたものは、絶対的に(判定部41の判定にかかわらず)姿勢の正しいワーク(正姿勢ワーク)を示しており、「誤」と表示されたものは、同じく、絶対的に姿勢の正しくないワーク(誤姿勢ワーク)を示している。そして、各図上で、「○」と表示されたものは、前記「正」の表示とは異なり、判定部41によって正姿勢ワークと判定されたワーク(言い換えると、ワーク選別装置にてあらかじめ設定された判定基準(本実施形態では、類似度が閾値以上であること)に適合したワーク)を示している。
予想到達時間情報とは、判定部41によって判定された特定の正姿勢ワークがエアノズル51の噴出孔511の位置に到着するタイミングを特定するための情報である。このタイミングとは、つまり、エアノズル51の空気噴出の操作タイミングである。より詳しく言うと、この予想到達時間情報とは、エアノズル51がこの特定の正姿勢ワークを搬送路1から排除してしまわないように、空気噴出を停止する時刻までの、カメラ31の撮像時刻を起点とした時間(つまり、「撮像時刻からあと何秒後に空気噴出を停止するか」)の情報である。この予想到達時間情報を基に、空気噴出制御部42によって、前記時刻から一定の時間の経過後にエアノズル51の空気噴出が停止され、正姿勢ワークが搬送路1から排除されないことになる。なお、本実施形態では、空気噴出を再開するまでの時間(つまり、空気噴出を停止している時間)を予想到達時間情報に含めていないが、当該時間を予想到達時間情報に含めても良い。
この予想到達時間情報は、カメラ31の撮像範囲(視野)(図示長方形の枠)内にある、判定部41によって判定がなされた正姿勢ワークが複数あっても、そのうち、搬送方向で最も下流側にある正姿勢ワークに対してのみ関連付けられる。この予想到達時間情報の関連付けは、当該最も下流側にある正姿勢ワークが搬送に伴いカメラ31の撮像範囲(視野)から外れるまでの間に、前記のようにカメラ31が複数回撮像を行うことに対応し、所定の時刻毎に複数回なされる。
本実施形態では、撮像の一回毎に、視野内の最も下流側にある単一の正姿勢ワークに予想到達時間情報が関連付けられるため、複数のワークに対して同時に予想到達時間情報を関連付けるものに比べると、ワーク特定情報処理部43にかかる処理負荷を軽くできる。
そして、図4(A)に「○」の表示を付したように、判定部41によって判定がなされた特定の正姿勢ワークWg1に、判定部41によって、個々の撮像時刻1ないし3に対応した予想到達時間情報が関連付けられる(各撮像時刻で視野内の特定の正姿勢ワークWg1の位置が異なることから、各撮像時刻で特定の正姿勢ワークWg1に関連付けられる予想到達時間情報はそれぞれ異なる)。
また、図4(B)に示すように、搬送路1の振動の影響や、他のワーク(誤姿勢ワークWb1等)に重なって隠れていたこと等により判定部41が見逃していた特定の正姿勢ワークWg2(時刻1における図示左側の正姿勢ワーク)が、カメラ31の視野から外れるまでの間に、ワーク同士(Wb1,Wg2)の重なった状態等が解消されて各ワークの見え方が変わることで判定部41が正姿勢ワークと判定したことにより予想到達時間情報が関連付けられることもある。この場合では、図4(B)における撮像時刻1で予想到達時間情報が関連付けられていた特定の正姿勢ワークWg3の下流側に割り込むように、別の見逃されていた特定の正姿勢ワークWg2に予想到達時間情報が関連付けられる(図4(B)の撮像時刻2における図上に「○」の表示を付している)。
ここで、カメラ31の視野内でワークの搬送スピードが全く変化しない場合には、各撮像時刻における、当該視野内の最も下流側にある単一の正姿勢ワークに関連付けられた予想到達時間情報に対応するエアノズル51の空気噴出停止時刻が全て一致するはずである。ところが、振動フィーダであるパーツフィーダ10では、搬送路1上の個々のワークが全く同じスピードで搬送される訳ではなく、振動の影響でスピードが変化する(遅くなったり速くなったりする)。そのため、例えば、図5(A)に示す撮像時刻1と撮像時刻2とで、同一の正姿勢ワークWg1であるにもかかわらず、各撮像時刻において当該正姿勢ワークWg1に関連付けられた予想到達時間情報に対応するエアノズル51の空気噴出停止時刻が異なってしまうことが多い。
そのため、図5(C)に実線と破線とで示すように、撮像時刻1と2とにおいて正姿勢ワークWg1に関連付けられた、各予想到達時間情報に対応するエアノズル51の操作タイミング(空気噴出停止時刻から空気噴出再開時刻までの時間)が一部でも重複するものについては、時刻管理部6が、時刻リストへの追加履歴が最も新しい予想到達時間情報のタイミング(図中実線表記に対応)を採用し、空気噴出制御部42を介して排除部5が制御される。そして、追加履歴の古い予想到達時間情報のタイミング(図中破線表記に対応)は時刻リストから削除される。
一方、図5(D)に実線で示すように、撮像時刻1と2とにおいて正姿勢ワークに関連付けられた、各予想到達時間情報に対応するエアノズル51の操作タイミングが重複しないものについては、別個の正姿勢ワークに起因して異なる予想到達時間情報が関連付けられている可能性があるため、時刻管理部6が個々の予想到達時間情報の両方とも採用し、空気噴出制御部42を介して排除部5が制御される。
この、別個の正姿勢ワークに起因して異なる予想到達時間情報が関連付けられることとしては、一例として、図5(B)に示すように、撮像時刻1で判定部41によって判定されていた特定の正姿勢ワークWg3よりも下流側にあるWg2が、この撮像時刻1では見逃されていたが、その後の撮像時刻2で判定部41によって正姿勢ワークと判定された場合などが挙げられる。
本実施形態では、時刻管理部6に時刻リストが設定されており、この時刻リスト上で空気Aの噴出停止及び再開の管理を行っているため、前記のようにして予想到達時間情報の整理(追加、入れ替え)を容易に行うことができる。そのため、時刻管理部6にかかる処理負荷を軽くできる。
また、本実施形態では、時刻管理部6が複数の予想到達時間情報を整理した上、これを基に排除部5が制御されることになるため、搬送路1上のワークの搬送スピードの変化に対応させることが容易である。また、最も新しく正姿勢ワークに関連付けられた予想到達時間情報を用いて排除部5が制御されるため、空気噴出を停止すべきでない場面でエアノズル51からの空気噴出が停止し、その時エアノズル51の位置にあった誤姿勢ワーク又は姿勢不明のワークが排除されずに搬送され続け、後工程へと送られるようなことを避けることができる。
−フロー図の説明−
最後に、正姿勢ワークの判定処理に関するフロー図である図6及びワーク特定情報(予想到達時間情報)の管理に関するフロー図である図7を参照しつつ、各部の制御についてまとめて説明する。
先に、正姿勢ワークの判定処理に関し、制御部4における制御について説明する(図6)。まず、カメラ31が搬送路1においてワークが搬送される面(搬送面)を撮像する(ステップS101)。このカメラ31の得た、搬送路1上の画像から、判定部41が正姿勢ワークをサーチする(ステップS102)。この正姿勢ワークのサーチは、カメラ31の得た前記画像中に、閾値以上の類似度となる領域(あるいは範囲)が存在するかによって、判定部41が正姿勢ワークを判定することでなされる(ステップS103)。前記画像中に、閾値以上の類似度となる領域が存在する(これはつまり、画像中に正姿勢ワークが含まれているということである)場合は、ワーク特定情報処理部43が画像中の閾値以上の類似度となる領域に位置している正姿勢ワークに、ワーク特定情報(予想到達時間情報)を関連付ける(ステップS104)。そして、制御部4がこの予想到達時間情報を時刻管理部6に送信する(ステップS105)。この予想到達時間情報は後述するステップS208の判断に用いられる。
前記のステップS103で、閾値以上の類似度となる範囲が存在していない(これはつまり、画像中に正姿勢ワークが含まれていないということである)場合は、ステップS105の次までスキップする。次に、制御部4が終了指示の有無を判断する(ステップS106)。終了指示がある場合は制御を終了し、ない場合はステップS101の前まで戻る。
次に、ワーク特定情報(予想到達時間情報)の管理に関し、時刻管理部6における制御について説明する(図7)。まず、時刻管理部6に設定されている時刻リストの内容がクリアされる(ステップS201)。次に、制御部4(空気噴出制御部42)を介してエアノズル51から空気Aを噴出させる(ステップS202)。なお、この空気Aの噴出は、空気Aの圧力を確保すること、または、空気Aを節約することを目的として、一定時間経過後に噴出を停止するものとされている(ステップS207も同様)。
次に、搬送路1が稼動中(振動中)であるかを判断する(ステップS203)。搬送路1が稼動中である場合は、現在時刻を確認する(ステップS204)。確認した現在時刻が時刻管理部6の時刻リストにおける、エアノズル51の空気噴出停止時刻から一定時間後の空気噴出再開時刻までの時間(以下、「噴出停止時間」という)内にない場合はエアノズル51から空気Aを噴出させる(ステップS207)。そして、確認した現在時刻が噴出停止時間内にある場合は制御部4(空気噴出制御部42)を介してエアノズル51からの空気噴出を停止させる(ステップS205)。これに続き、前記のステップS205で処理が済んだ時刻を時刻リストから削除する(ステップS206)。
次に、前記のステップS105で制御部4から送信された予想到達時間情報を受信したか否かを判断する(ステップS208)。受信した場合は、当該受信した予想到達時間情報に対応する噴出停止時間を時刻リストに追加する(ステップS209)。一方、予想到達時間情報を受信しない場合は下記のステップS212に進む。
次に、時刻リスト上にて、前記追加された噴出停止時間が、既に時刻リスト上にある(追加履歴の古い)噴出停止時間に対して重複しているか(図5(C)(D)参照)否かを判断する(ステップS210)。重複がある場合は、重複している噴出停止時間のうちで追加履歴の新しいものを時刻リストに残し、追加履歴の古いものを時刻リストから削除する(ステップS211)。噴出停止時間が重複していない場合は下記のステップS212に進む。
その後、所定時間待機する(ステップS212)。なお、前記のステップS202で、搬送路1が稼動中(振動中)でないと判断された場合、及び、前記のステップS208で、予想到達時間情報を受信しない場合は、ステップS212の前の状態となる。次に、終了指示の有無を判断する(ステップS213)。終了指示がある場合は制御を終了し、ない場合はステップS203の前まで戻る。
以上、本発明につき一実施形態を取り上げて説明してきたが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態では、排除部5を空気Aの噴出によりワークを移動させるものとしたが、圧電アクチュエータ、アーム、シリンダー等によりワークを移動させるものとしても良い。また、本実施形態では、時刻管理部6を制御部4と別に設けたものとしたが、制御部4と一体に設けても良い。
また、ワーク特定情報として時間の情報を用いたものとしたが、時刻の情報でも良く、更には、実時間に依存しない装置内におけるカウント値の情報を用いても良い。
また、本実施形態では、エアノズル51からの空気Aの噴出が、空気圧を確保すること、及び、空気節約の観点から、噴出から一定時間経過後に停止するものとされている(つまり、空気噴出が間欠的とされている)が、これに限られない。つまり、空気噴出が連続的(出しっぱなし)であり、判定部41によって判定された正姿勢ワークがエアノズル51の噴出孔511の位置にある場合にのみ空気噴出が停止するものであっても良い。
また、本実施形態では、前記のように、ワーク特定情報処理部43が正姿勢ワークに対するワーク特定情報(予想到達時間情報)の関連づけを行っているが、これは、ワークの搬送速度に対してカメラ31の撮像周期が長すぎ(つまり、判定部41による正姿勢ワークの判定のための画像を得るのにかなりの時間を要する)、排除部5において正確に空気噴出を停止させるためには、カメラ31と排除部5との間を離し、撮像から空気噴出停止までの時間を確保する必要があるからである。このため、ワークの搬送速度に対してカメラ31の撮像周期を短くできる場合では、本実施形態のようにワーク特定情報(予想到達時間情報)の関連づけを行わず、判定部41が正姿勢ワークを判定した直後に、空気噴出制御部42が排除部5の排除動作を停止するものとすることもできる。この場合は、判定部41において正姿勢ワークを判定するための搬送路1上の画像の範囲をワークが1個だけ(2個未満)映り込む範囲に制限しておく。この画像の範囲の制限は、撮像部3で行っても良いし、判定部41で行っても良い。そしてこの場合にあっては、エアノズル51の噴出孔511は、前記制限された画像の範囲における下流側縁部近傍に配置される。このように構成することで、ワーク特定情報処理部43及び時刻管理部6を省略することができ、ワーク選別装置の構成を簡略化できる。
1 搬送路
3 搬送路上情報取得部、撮像部
41 判定部
43 ワーク特定情報処理部
5 排除部

Claims (2)

  1. 振動により搬送がなされる搬送路上にあるワークの姿勢を判定して、当該ワークの選別を行うワーク選別装置において、
    ワーク選別装置の稼動開始時に、搬送されるワークを前記搬送路から排除する状態となるように排除動作を実行する排除部と、前記搬送路上のワークの有無やワークの姿勢を判断するための搬送路上情報を得る搬送路上情報取得部と、前記搬送路上情報取得部が得た搬送路上情報により、姿勢の正しいワークである正姿勢ワークを判定する判定部とを備え、
    前記判定部は、前記搬送路上情報取得部が得た搬送路上情報と、あらかじめ設定された正姿勢ワークのテンプレート情報との類似度を検出して、正姿勢ワークを判定するものであり、
    前記類似度は、前記搬送路上情報取得部が得た搬送路上情報の少なくとも一部が前記テンプレート情報に類似している度合に応じて規定され、
    前記判定部には、正姿勢ワークを判定するために前記類似度の閾値があらかじめ設定されており、
    この閾値は、搬送路上を搬送されるワークのうちで正姿勢ワークについての類似度の分布に対応した数値範囲である正姿勢分布範囲と、姿勢の正しくないワークである誤姿勢ワークについての類似度の分布に対応した数値範囲である誤姿勢分布範囲と、前記正姿勢分布範囲の一部と前記誤姿勢分布範囲の一部とが重複している範囲とを基礎として、誤姿勢分布範囲外であり且つ正姿勢分布範囲内となるように定められた数値であり、
    前記排除部は、前記判定部により正姿勢ワークと判定されたワークに対して前記排除動作を停止することを特徴とするワーク選別装置。
  2. 前記搬送路上情報取得部は、情報取得可能範囲内に複数のワークが含まれるように当該情報取得可能範囲が設定されており、
    所定時刻における前記情報取得可能範囲内に含まれる複数のワークのうちに、前記判定部により正姿勢ワークと判定されたワークがある場合、搬送された当該ワークが前記排除部の設けられた位置に至るタイミングを特定するためのワーク特定情報を当該ワークに関連付けるワーク特定情報処理部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のワーク選別装置。
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