JP2013038219A - 熱電発電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温の排出ガスに対しても熱電変換素子の熱害を抑制できる熱電発電装置を提供する。
【解決手段】排出ガスGを流通させる排気管70と、冷却水Wを流通させる冷却水管71と、排気管70の外側部と冷却水管71の外側部との間に挟まれるとともに、排気管70の外側部と冷却水管71の外側部とに接触して設けられる熱電変換素子72とを備える熱電発電装置7であって、熱電変換素子72の排気管70に接触する熱電変換素子排気管側部72aと、排気管70の熱電変換素子72に接触する排気管熱電変換素子側外側部70aと、排気管70の内側部であって排気管熱電変換素子側外側部70aの真裏に相当する排気管熱電変換素子側内側部70bと、の少なくとも一部の領域に、熱放射率あるいは熱吸収率を低下させるコート材を塗布してなる低熱放射皮膜73を形成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、高温側部材および低温側部材に接触するとともに、高温側部材および低温側部材の温度差により発電する熱電変換素子を備えた熱電発電装置に関する。
熱電変換素子としてペルチェ素子を備えた熱電発電装置が知られている。この種の熱電発電装置では、熱電変換素子の両端部を高温側部材と低温側部材とに接触させる。このように、熱電変換素子に温度差を与えることにより、ペルチェ効果の逆作用であるゼーベック効果を熱電変換素子に生じさせ、温度差を電力に変換するようになっている。また、熱電変換素子には、耐熱性が高いが発電効率は比較的低いものと、耐熱性は低いが発電効率は比較的高いものとがある。
耐熱性が高いが発電効率は比較的低い熱電変換素子の例としては、例えば、耐熱温度が約500℃のMg−Si系の熱電変換素子が挙げられる。耐熱性は低いが発電効率は比較的高い熱電変換素子の例としては、例えば、耐熱温度が約200℃のBi−Te系の熱電変換素子が挙げられる。
この種の熱電発電装置として、熱電変換素子と、高温側部材と、低温側部材とを備えるとともに、熱電変換素子の両面を非晶質炭素(Diamond Like Carbon;DLC)膜で被覆したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この熱電発電装置は、自動車のエキゾーストマニホールドの下流側近傍に設けられている。そして、高温側部材の熱源は排出ガスであるとともに、低温側部材の熱源は冷却水であるようにしている。
この熱電発電装置によれば、DLC膜の熱伝導率が高いため、高温側部材から熱電変換素子への熱伝導率を向上できるとともに、熱電変換素子から低温側部材への熱伝導率を向上できる。これにより、熱電発電装置の発電効率を向上することができる。
特開2005−223131号公報
しかしながら、上述のような従来の熱電発電装置にあっては、熱伝導率の高いDLC膜を熱電変換素子に被覆している。このため、排出ガスの温度が熱電変換素子の耐熱温度を超える場合には、耐熱性の高い熱電変換素子を使用している場合であっても、熱電変換素子の耐熱温度を超える温度の熱が排気管から伝導されてしまうことがある。これにより、熱電変換素子の本体やケーブルが熱害を受け損傷してしまうという問題があった。また、熱電変換素子と排気管との間に微小な隙間がある場合に、排気管の外側面から熱電変換素子に放射される熱については、何ら考慮されていない。
そこで、本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、高温の排出ガスに対しても熱電変換素子の熱害を抑制できる熱電発電装置を提供することを目的とする。
本発明に係る熱電発電装置は、上記目的達成のため、(1)排出ガスを流通させる排気管と、冷却水を流通させる冷却水管と、前記排気管の外側部と前記冷却水管の外側部との間に挟まれるとともに、前記排気管の前記外側部と前記冷却水管の前記外側部とに接触して設けられる熱電変換素子とを備える熱電発電装置であって、前記熱電変換素子の前記排気管に接触する熱電変換素子排気管側部と、前記排気管の前記熱電変換素子に接触する排気管熱電変換素子側外側部と、前記排気管の内側部であって前記排気管熱電変換素子側外側部の真裏に相当する排気管熱電変換素子側内側部と、の少なくとも一部の領域に、熱放射率あるいは熱吸収率を低下させるコート材を塗布してなる低熱放射皮膜を形成することを特徴とする。
排気管と熱電変換素子との間には、一部に微小な隙間が存在する。隙間の部分では熱伝導がなされずに、熱放射あるいは熱吸収により熱が移動する。ここで、本明細書中で熱放射率とは、高温側部材および低温側部材が対向する場合に、高温側部材に形成された熱放射皮膜から放射される熱についての熱放射率、すなわち黒体を1としたときの放射熱量の比を意味する。また、本明細書中で熱吸収率とは、高温側部材および低温側部材が対向する場合に、低温側部材に形成された熱放射皮膜から吸収される熱についての熱吸収率、すなわち黒体を1としたときの吸収熱量の比を意味する。さらに、熱放射率と熱吸収率とは、キルヒホッフの法則により、同じ材質で同じ厚さの熱放射皮膜であれば等しくなる。さらに、本明細書中で熱の移動とは、互いに接触する高温側部材および低温側部材の高温側部材から低温側部材に熱が移動する熱伝導の他に、互いに離れて対向する高温側部材および低温側部材の高温側部材から低温側部材に熱が移動する熱放射も含めた意味としている。
本発明の構成により、排気管を流通する排出ガスの熱が熱電変換素子に移動される際に、熱電変換素子に移動される熱の少なくとも一部は低熱放射皮膜を放射または吸収により通過するので、低熱放射皮膜を設けない場合に比べて排気管から熱電変換素子への熱移動量を低減することができる。このため、排出ガスの温度が熱電変換素子の耐熱温度より高い場合でも、熱電変換素子が熱により損傷することを防止できる。
上記(1)に記載の熱電発電装置においては、(2)前記低熱放射皮膜は、前記排気管熱電変換素子側外側部と、前記排気管熱電変換素子側内側部との全体に形成されていることが好ましい。
この構成により、排気管を流通する排出ガスの熱が熱電変換素子に移動される際に、熱電変換素子に移動される熱の大部分は低熱放射皮膜を通過するので、排気管から熱電変換素子への熱移動量をさらに低減することができる。
上記(1)または(2)に記載の熱電発電装置においては、(3)前記熱電変換素子の前記冷却水管と接触する熱電変換素子冷却水管側部と、前記冷却水管の外側部と、前記冷却水管の内側部との少なくとも一部の領域に、熱放射率あるいは熱吸収率を上昇させるコート材を塗布してなる高熱放射皮膜を形成することが好ましい。
この構成により、熱電変換素子の熱が冷却水管を介して冷却水に移動され、さらに冷却水の熱が冷却水管を介して大気に移動される際に、熱電変換素子から大気まで移動される熱の少なくとも一部は高熱放射皮膜を放射または吸収により通過する。このため、高熱放射皮膜を設けない場合に比べて、熱電変換素子からの放熱量を増大することができる。このため、熱電変換素子における熱電変換素子排気管側接触部と熱電変換素子冷却水管側接触部との温度差を大きくすることができるので、発電効率を高めることができる。
上記(3)に記載の熱電発電装置においては、(4)前記高熱放射皮膜は、前記冷却水管の外側部と、前記冷却水管の内側部との全体に形成されていることが好ましい。
この構成により、熱電変換素子の熱が冷却水管を介して冷却水に移動され、さらに冷却水の熱が冷却水管を介して大気に移動される際に、熱電変換素子から大気まで移動される熱の大部分は高熱放射皮膜を通過する。このため、熱電変換素子からの放熱量をさらに増大することができる。
上記(3)に記載の熱電発電装置においては、(5)前記高熱放射皮膜は、前記冷却水管の前記熱電変換素子に接触する熱電変換素子側外側領域と、前記冷却水管の内側部であって前記熱電変換素子側外側領域の真裏に相当する熱電変換素子側内側領域との全体に形成されていることが好ましい。
この構成により、熱電変換素子の熱が冷却水管を介して冷却水に移動される際に、全ての熱は高熱放射皮膜を通過する。このため、熱電変換素子からの放熱量を増大することができる。また、冷却水管の他の部位には高熱放射皮膜を形成しないので、高熱放射皮膜を形成するための材料費の上昇を抑えることができる。
上記(1)から(5)に記載の熱電発電装置においては、(6)前記低熱放射皮膜の前記熱放射率あるいは前記熱吸収率は、前記排出ガスの上流側から下流側にかけて高くなることが好ましい。ここで、排出ガスは排気管を上流側から下流側に流通するにつれて、排気管を介して熱を外部に放出するので、排出ガスの温度は徐々に低下する。
この構成により、上流側より温度が低下した下流側の排出ガスの熱を、上流側の熱放射率より高い熱放射率の下流側の低熱放射皮膜を介して熱電変換素子に移動することができる。よって、下流側の低熱放射皮膜では、排出ガスの温度が低いので熱電変換素子の損傷を防止できるとともに、排出ガスの熱を無駄にすることなく効率良く熱電変換素子に移動して発電量を向上することができる。
本発明によれば、高温の排出ガスに対しても熱電変換素子の熱害を抑制できる熱電発電装置を提供することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る熱電発電装置が搭載された内燃機関を示す概略図である。 本発明の第1の実施の形態に係る熱電発電装置を示す縦断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る熱電発電装置を示す図2のA−A線で切断した断面図である。 本発明の他の実施の形態に係る熱電発電装置を示す概略の縦断面図であり、(a)は第2の実施の形態、(b)は第3の実施の形態である。 本発明の第4の実施の形態に係る熱電発電装置を示す横断面図である。 本発明の他の実施の形態に係る熱電発電装置を示す概略の縦断面図であり、(a)は第5の実施の形態、(b)は第6の実施の形態である。 本発明の第7の実施の形態に係る熱電発電装置を示す概略図であり、(a)は斜視図、(b)は縦断面図である。 本発明の第7の実施の形態に係る熱電発電装置を示す図6(b)のB−B線で切断した断面図である。 本発明の第8の実施の形態に係る熱電発電装置を示す概略図であり、(a)は縦断面図、(b)は図9(a)のC−C線で切断した断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。本実施の形態では、熱電発電装置を、自動車に搭載される水冷式の多気筒の内燃機関、例えば4サイクルガソリンエンジン(以下、単にエンジンという)に適用した場合について説明している。
(第1の実施の形態)
まず、構成について説明する。
図1に示すように、本実施の形態のエンジン1は、エンジン本体2と、吸気装置3と、排気装置4と、EGR(Exhaust Gas Recirculation排出ガス再循環)装置5と、冷却装置6と、熱電発電装置7と、ECU(Electronic Control Unit 電子制御ユニット)8とを含んで構成されている。
エンジン本体2は、シリンダブロック20と、シリンダヘッド21とを含んで構成されている。
シリンダブロック20は、複数のシリンダ22と、ピストン23と、コネクティングロッド24と、クランクシャフト25とを備えている。シリンダ22は、シリンダブロック20の内部に鉛直に形成されている。ピストン23は、シリンダ22に対して上下方向に往復動可能に設けられている。ピストン23は、コネクティングロッド24に回転可能に連結されている。コネクティングロッド24は、クランクシャフト25に回転可能に連結されている。
また、エンジン本体2では、シリンダブロック20とシリンダヘッド21とピストン23とによって、燃焼室31が形成されている。エンジン1は、燃焼室31において燃料と空気との混合気を所望のタイミングで燃焼させることによりピストン23を往復動させ、コネクティングロッド24を介してクランクシャフト25を回転させるようになっている。
シリンダヘッド21は、吸気ポート26と、吸気バルブ27と、図示しない吸気カムシャフトと、排気ポート28と、排気バルブ29と、図示しない排気カムシャフトと、点火プラグ30とを備えている。吸気ポート26は、吸気装置3の吸気通路と燃焼室31とを連通する。吸気バルブ27は、昇降により吸気ポート26と燃焼室31との間を開閉し、吸気装置3の吸気通路から燃焼室31への燃焼用空気Aの導入を制御するようになっている。吸気カムシャフトは、吸気バルブ27を昇降させる。
排気ポート28は、燃焼室31と排気装置4の排気通路とを連通する。排気バルブ29は、昇降により燃焼室31と排気ポート28との間を開閉し、燃焼室31から排気装置4の排気通路への排出ガスの排出を制御するようになっている。排気カムシャフトは、排気バルブ29を昇降させる。
吸気バルブ27は、その開弁時に燃焼室31を吸気通路に連通させ、排気バルブ29は、その開弁時に燃焼室31を排気通路に連通させるようになっている。そして、吸気バルブ27の開弁により燃焼室31が吸気通路に連通した状態でピストン23が下降するとき、燃焼室31は、吸気通路を通して燃焼用空気Aを吸入することができる。また、排気バルブ29の開弁により燃焼室31が排気通路に連通した状態でピストン23が上昇するとき、燃焼室31は、排気通路を通して排出ガスGを排出することができる。
点火プラグ30は、燃焼室31内に火花点火可能に露出して設けられている。点火プラグ30は、ECU8によって、点火時期を制御されるようになっている。
吸気装置3は、吸気管32と、図示しないエアクリーナと、吸気マニホールド33とを備えている。吸気マニホールド33は、シリンダヘッド21の吸気ポート26が開口された部位に接続されている。燃焼用空気Aは、吸気管32によりエアクリーナを経て吸気マニホールド33にまで流通されて、各シリンダ22に流入されるようになっている。
排気装置4は、排気マニホールド40と、上流側排出ガス管41と、下流側排出ガス管42と、図示しない排気後処理器とを含んで構成されている。
排気マニホールド40は、各シリンダ22から排出された排出ガスGを流通させる。この排気マニホールド40と各シリンダ22との接続により、エンジン本体2と排気装置4とが接続されている。上流側排出ガス管41は、排気マニホールド40と熱電発電装置7とを接続している。下流側排出ガス管42は熱電発電装置7と排気後処理器とを接続している。
EGR装置5は、図中一点鎖線で示すように、排気装置4と吸気装置3との間に接続されるとともに、排気装置4の排出ガスGの一部を吸気装置3に還流させるものとなっている。EGR装置5は、EGRクーラ50と、図示しないEGRバルブとを含んで構成されている。EGRクーラ50は、再循環される排出ガスGと冷却水Wとの間で熱交換を行うことにより、排出ガスGの温度を下げるようになっている。また、EGRクーラ50は、冷却水Wの流入部50aと流出部50bとを備えている。
冷却装置6は、ウォータポンプ60と、ウォータジャケット61と、ラジエータ62と、リザーブタンク63と、サーモスタット64と、ヒータコア65と、接続管66とを含んで構成されている。
ウォータポンプ60は、冷却水Wの吸入部60aと吐出部60bとを備えている。ウォータジャケット61は、シリンダブロック20およびシリンダヘッド21の内部のシリンダ22の周囲に形成されている。ウォータジャケット61は、シリンダブロック20に形成された流入部61aと、シリンダヘッド21に形成された流出部61bと、冷却水温度センサ61cとを備えている。ウォータジャケット61の流入部61aは、ウォータポンプ60の吐出部60bに接続管66により接続されている。ウォータジャケット61は、内部に冷却水Wを流通させることによりエンジン本体2を冷却するようになっている。
ラジエータ62は、冷却水Wと外部の空気とを熱交換することにより冷却水Wを冷却するようになっている。ラジエータ62は、冷却水Wの流入部62aと流出部62bとを備えている。リザーブタンク63は、例えば完全密閉式であり、ラジエータ62に装着されている。
サーモスタット64は、冷却水Wの温度に感応して開弁あるいは閉弁するようになっている。サーモスタット64は、冷却水Wの流入部64aと流出部64bとを備えている。サーモスタット64の流入部64aは、ラジエータ62の流出部62bに接続管66により接続されている。また、サーモスタット64の流入部64aは、EGRクーラ50の流出部50bに接続管66により接続されている。サーモスタット64の流出部64bは、ウォータポンプ60の吸入部60aに接続管66により接続されている。
ヒータコア65は、車室内の暖房などのために冷却水Wと空気との間の熱交換を行うようになっている。ヒータコア65は、冷却水Wの流入部65aと流出部65bとを備えている。ヒータコア65の流入部65aは、ウォータジャケット61の流出部61bに接続管66により接続されている。ヒータコア65の流出部65bは、EGRクーラ50の流入部50aに接続管66により接続されている。
図2および図3に示すように、熱電発電装置7は、排気管70と、冷却水管71と、熱電変換素子72と、低熱放射皮膜73と、高熱放射皮膜74とを含んで構成されている。
排気管70は、円筒形状で、上流側排出ガス管41および下流側排出ガス管42の間に接続され、上流側排出ガス管41から下流側排出ガス管42へ排出ガスGを流通させる。排気管70は、排気管熱電変換素子側外側部70aと、排気管熱電変換素子側内側部70bとを備えている。排気管熱電変換素子側外側部70aは、排気管70の熱電変換素子72に接触する領域である。排気管熱電変換素子側内側部70bは、排気管70の内側部であって排気管熱電変換素子側外側部の真裏に相当する領域である。
冷却水管71は、冷却水流通部75と、中心透孔部76と、冷却水流入部77と、冷却水流出部78とを備えている。冷却水流通部75は、扁平な管を排気管70の外周面に沿って排気管70の周囲を取り囲むように円筒形状に設けてなる。中心透孔部76は、冷却水流通部75の中心を軸方向に沿って貫通する孔部から形成されている。冷却水管71の中心透孔部76には、排気管70が挿入されている。
冷却水流通部75は、排気管70と同軸で排気管70から離隔して設けられている。ここで、排気管70を流通する排出ガスGの流通方向上流側を排気上流側Uとするとともに、排気管70を流通する排出ガスGの流通方向下流側を排気下流側Dとする。
冷却水流通部75は、熱電変換素子側外側領域75aと、熱電変換素子側内側領域75bと、開放側外側領域75cと、開放側内側領域75dとを備えている。熱電変換素子側外側領域75aは、冷却水流通部75の熱電変換素子72に接触する部位としている。熱電変換素子側内側領域75bは、冷却水流通部75の内側部であって熱電変換素子側外側領域75aの真裏に相当する部位としている。開放側外側領域75cは、冷却水流通部75の外側部であって熱電変換素子側外側領域75a以外の部位としている。開放側内側領域75dは、冷却水流通部75の内側部であって開放側外側領域75cの真裏に相当する部位としている。
冷却水流入部77は、冷却水流通部75の排気下流側Dに形成されている。冷却水流入部77は、ヒータコア65の流出部65bに接続管66により接続されている。冷却水流出部78は、冷却水流通部75の排気上流側Uに形成されている。冷却水流出部78は、EGRクーラ50の流入部50aに接続管66により接続されている。
熱電変換素子72は、排気管70と同軸の円筒形状で、排気管70の外側部と冷却水管71の中心透孔部76とに接触あるいは一部は隙間を空けて挟まれている。熱電変換素子72は、軸方向に複数個連続して設けられている。
熱電変換素子72は、P型半導体素子およびN型半導体素子の対からなるペルチェ素子により構成されている。熱電変換素子72は、内周側に設けられたペルチェ素子の高温側端部72aと、外周側に設けられたペルチェ素子の低温側端部72bとを備えている。
高温側端部72aは、排気管70の外側部に接触あるいは一部は隙間を空けて対向するとともに、本発明の熱電発電装置の熱電変換素子排気管側部を構成する。低温側端部72bは、冷却水管71の中心透孔部76に接触あるいは一部は隙間を空けて対向するとともに、本発明の熱電発電装置の熱電変換素子冷却水管側部を構成する。熱電変換素子72は、高温側端部72aおよび低温側端部72bの間で温度差に応じたゼーベック効果を生じさせることにより発電させることができる公知のものである。ここでの熱電変換素子72の耐熱温度は、例えば500℃としている。
低熱放射皮膜73は、外側低熱放射皮膜73aと、内側低熱放射皮膜73bとを備えている。外側低熱放射皮膜73aは、排気管熱電変換素子側外側部70aに設けられている。内側低熱放射皮膜73bは、排気管熱電変換素子側内側部70bに設けられている。低熱放射皮膜73は、排気管熱電変換素子側外側部70aおよび排気管熱電変換素子側内側部70bの全体に、熱放射率を低下させるコート材を塗布して形成されている。低熱放射皮膜73を形成するコート材は、例えばニッケルや銀などの白い塗装材としている。
ここで、低熱放射皮膜73は、排気管70の排気管熱電変換素子側外側部70aおよび排気管熱電変換素子側内側部70b以外の部位にも形成することが好ましい。これにより、排気管70から冷却水管71への熱放射を抑えて、冷却水Wの温度上昇を抑制することができる。
高熱放射皮膜74は、熱電変換素子側外側高熱放射皮膜74aと、熱電変換素子側内側高熱放射皮膜74bと、開放側外側高熱放射皮膜74cと、開放側内側高熱放射皮膜74dとを備えている。熱電変換素子側外側高熱放射皮膜74aは、熱電変換素子側外側領域75aに設けられている。熱電変換素子側内側高熱放射皮膜74bは、熱電変換素子側内側領域75bに設けられている。開放側外側高熱放射皮膜74cは、開放側外側領域75cに設けられている。開放側内側高熱放射皮膜74dは、開放側内側領域75dに設けられている。
高熱放射皮膜74は、冷却水流通部75の外側部と、冷却水流通部75の内側部との全体に、熱放射率を上昇させるコート材を塗布して形成されている。高熱放射皮膜74を形成するコート材は、例えばガラスコートや酸化クロムなどの黒い塗装材としている。
また、熱電発電装置7の設置位置により冷却水管71の周囲に排気管70などの高温部材が位置する場合は、高温部材による冷却水Wの加熱を防止するために、高熱放射皮膜74を形成しないか、あるいは低熱放射皮膜73を形成することが好ましい。
ECU8は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)と、固定されたデータの記憶を行うROM(Read Only Memory)と、一時的にデータを記憶するRAM(Random Access Memory)と、書き換え可能な不揮発性のメモリからなるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)と、A/D変換器やバッファなどを有する入力インターフェース回路と、駆動回路などを有する出力インターフェース回路とを含んで構成されている。
ECU8の入力インターフェース回路には、冷却水温度センサ61cなどが接続されている。冷却水温度センサ61cなどからのセンサ情報は、ECU8に取り込まれるようになっている。
ECU8の出力インターフェース回路には、EGRバルブの電磁駆動部などが接続されている。ECU8が、エンジン1の運転制御、例えばEGRバルブのEGR率制御などを実行するようになっている。
次に、動作について説明する。
図1〜図3に示すように、エンジン1が稼働しているとき、エンジン本体2の燃焼室31で排出ガスGが発生すると、排出ガスGは排気マニホールド40から上流側排出ガス管41を経て熱電発電装置7に供給される。熱電発電装置7に供給された排出ガスGは排気管70を流通する。
排気管70の排気管熱電変換素子側内側部70bには、内側低熱放射皮膜73bが形成されている。また、排気管70の排気管熱電変換素子側外側部70aには、外側低熱放射皮膜73aが形成されている。
ここで、ステファンボルツマンの法則により、排気管70と熱電変換素子72との間の微小な隙間の部分において、排気管熱電変換素子側外側部70aから外側低熱放射皮膜73aを介して熱電変換素子72に放射される熱量が減少される。すなわち、外側低熱放射皮膜73aは熱放射率を低下する。また、キルヒホッフの法則により、放射率は吸収率となるため、排出ガスGから内側低熱放射皮膜73bを介して排気管熱電変換素子側内側部70bに吸収される熱量が減少される。すなわち、内側低熱放射皮膜73bは熱吸収率を低下する。
このため、排出ガスGの熱は、排出ガスGから熱電変換素子72に移動しにくくなっている。これにより、例えば排出ガスGが700℃であっても、熱電変換素子72の高温側端部72aは500℃程度に抑制される。
また、冷却装置6が稼働することにより冷却水Wが循環する。これにより、熱電発電装置7に冷却水Wが供給される。熱電発電装置7に供給された冷却水Wは、冷却水管71を流通する。冷却水管71の熱電変換素子側外側領域75aには、熱電変換素子側外側高熱放射皮膜74aが形成されている。冷却水管71の熱電変換素子側内側領域75bには、熱電変換素子側内側高熱放射皮膜74bが形成されている。
ここで、ステファンボルツマンの法則により、熱電変換素子72と冷却水管71との間の微小な隙間の部分において、熱電変換素子側内側領域75bから熱電変換素子側内側高熱放射皮膜74bを介して冷却水Wに放射される熱量が増大される。すなわち、熱電変換素子側内側高熱放射皮膜74bは熱放射率を上昇する。また、キルヒホッフの法則により、放射率は吸収率となるため、熱電変換素子72から熱電変換素子側外側高熱放射皮膜74aを介して熱電変換素子側外側領域75aに吸収される熱量が増大される。すなわち、熱電変換素子側外側高熱放射皮膜74aは熱吸収率を上昇する。
このため、熱電変換素子72の熱は、熱電変換素子72から冷却水管71の冷却水Wに移動しやすくなっている。これにより、熱電変換素子72の低温側端部72bは十分に冷却されるので、熱電変換素子72は高い効率で発電することができる。
また、冷却水管71の開放側外側領域75cには、開放側外側高熱放射皮膜74cが形成されている。冷却水管71の開放側内側領域75dには、開放側内側高熱放射皮膜74dが形成されている。
ここで、ステファンボルツマンの法則により、開放側外側領域75cから開放側外側高熱放射皮膜74cを介して大気に放射される熱量が増大される。すなわち、開放側外側高熱放射皮膜74cは熱放射率を上昇する。また、キルヒホッフの法則により、放射率は吸収率となるため、冷却水Wから開放側内側高熱放射皮膜74dを介して開放側内側領域75dに吸収される熱量が増大される。すなわち、開放側内側高熱放射皮膜74dは熱吸収率を上昇する。
このため、冷却水Wの熱は高熱放射皮膜74を通過して大気に放出される。これにより、冷却水Wから十分に放熱が行われるので、熱電変換素子72は高い効率で発電することができる。
以上のように、本実施の形態に係る熱電発電装置7によれば、排気管70の排気管熱電変換素子側内側部70bおよび排気管熱電変換素子側外側部70aに、低熱放射皮膜73が形成されている。このため、排出ガスGから熱電変換素子72への熱移動量を低減することができる。このため、排出ガスGの温度が熱電変換素子72の耐熱温度より高い場合でも、熱電変換素子72の本体やケーブルが熱で損傷することを防止できる。
また、本実施の形態に係る熱電発電装置7によれば、冷却水管71の熱電変換素子側外側領域75aおよび熱電変換素子側内側領域75bに、高熱放射皮膜74が形成されている。このため、熱電変換素子72を効果的に冷却することができる。さらに、冷却水管71の開放側外側領域75cおよび開放側内側領域75dに、高熱放射皮膜74が形成されている。これにより、発電効率を向上することができる。
上述した本実施の形態の熱電発電装置7においては、低熱放射皮膜73は排気管熱電変換素子側内側部70bおよび排気管熱電変換素子側外側部70aに形成されている。しかしながら、本発明に係る熱電発電装置においては、これに限られず、低熱放射皮膜73が、排気管熱電変換素子側内側部70bと、排気管熱電変換素子側外側部70aと、熱電変換素子72の高温側端部72aとの少なくとも1つの全領域に形成されるようにしてもよい。あるいは、低熱放射皮膜73が、排気管熱電変換素子側内側部70bと、排気管熱電変換素子側外側部70aと、熱電変換素子72の高温側端部72aとの少なくとも1つの一部領域に形成されるようにしてもよい。
このように、低熱放射皮膜73をどの部材に形成するか、あるいは形成する領域を任意に設定することができるので、設計条件に応じて所望の低熱放射皮膜73を得ることができる。また、低熱放射皮膜73が高温の熱を吸収する熱吸収率は、低熱放射皮膜73が低温の熱を吸収する熱吸収率よりも高い。このため、低熱放射皮膜73を形成する位置は、排出ガスGに近い方が熱吸収率の観点から好ましい。
また、本実施の形態の熱電発電装置7においては、冷却水流通部75に高熱放射皮膜74を形成している。しかしながら、本発明に係る熱電発電装置においては、これに限られず、冷却水流通部75に高熱放射皮膜74を形成しなくてもよい。この場合、冷却水流通部75に高熱放射皮膜74を形成する工程が不要になるので、部品コストを低減することができる。
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、上述の第1の実施の形態と略同様の全体構成を有している。本実施の形態に係る熱電発電装置107においては、第1の実施の形態の高熱放射皮膜74の構成が異なっているが、他の構成は同様に構成されている。したがって、同一の構成については、図1に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
図4(a)に示すように、本実施の形態の高熱放射皮膜174は、熱電変換素子側外側高熱放射皮膜174aおよび熱電変換素子側内側高熱放射皮膜174bを備えている。熱電変換素子側外側高熱放射皮膜174aは、冷却水管71の熱電変換素子側外側領域75aに設けられている。熱電変換素子側内側高熱放射皮膜174bは、冷却水管71の熱電変換素子側内側領域75bに設けられている。また、冷却水管71の開放側外側領域75cおよび開放側内側領域75dには、高熱放射皮膜174は形成されていない。
本実施の形態の熱電発電装置107によれば、冷却水管71の開放側外側領域75cおよび開放側内側領域75dに高熱放射皮膜174は形成されていないので、冷却水管71の外側部全体および内側部全体に高熱放射皮膜174を設ける場合に比べて、材料費を抑えることができる。
また、冷却水管71の熱電変換素子側外側領域75aおよび熱電変換素子側内側領域75bは、冷却水管71の開放側外側領域75cおよび開放側内側領域75dよりも温度が高い。このため、熱電変換素子側外側領域75aおよび熱電変換素子側内側領域75bに高熱放射皮膜174を形成しているので、開放側外側領域75cおよび開放側内側領域75dのみに高熱放射皮膜174を設ける場合に比べて、効率良く伝熱効率を高めることができる。
(第3の実施の形態)
本実施の形態は、上述の第1の実施の形態と略同様の全体構成を有している。本実施の形態に係る熱電発電装置207においては、第1の実施の形態の高熱放射皮膜74の構成が異なっているが、他の構成は同様に構成されている。したがって、同一の構成については、図1に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
図4(b)に示すように、本実施の形態の高熱放射皮膜274は、開放側外側高熱放射皮膜274aおよび開放側内側高熱放射皮膜274bを備えている。開放側外側高熱放射皮膜274aは、冷却水管71の開放側外側領域75cに設けられている。開放側内側高熱放射皮膜274bは、冷却水管71の開放側内側領域75dに設けられている。また、冷却水管71の熱電変換素子側外側領域75aおよび冷却水管熱電変換素子側内側部71bには、高熱放射皮膜274は形成されていない。
本実施の形態の熱電発電装置207によれば、熱電変換素子側外側領域75aおよび熱電変換素子側内側領域75bに高熱放射皮膜274は形成されていないので、冷却水管71の外側部全体および内側部全体に高熱放射皮膜274を設ける場合に比べて、材料費を抑えることができる。
(第4の実施の形態)
本実施の形態は、上述の第1の実施の形態と略同様の全体構成を有している。本実施の形態に係る熱電発電装置307においては、第1の実施の形態の熱電変換素子72の構成が異なっているが、他の構成は同様に構成されている。したがって、同一の構成については、図1に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
図5に示すように、本実施の形態の熱電変換素子172は、軸方向に沿って分割された形状となっている。この熱電変換素子172は、正面側から見た際に排気管70を中心とする周方向の45度ごとの8箇所で分割されるとともに、互いに隙間173を有して配置されている。
本実施の形態の熱電発電装置307によれば、板状の熱電変換素子172を利用することができるので、環状の熱電変換素子を利用する場合に比べて材料費を抑えることができる。
(第5の実施の形態)
本実施の形態は、上述の第1の実施の形態と略同様の全体構成を有している。本実施の形態に係る熱電発電装置407においては、第1の実施の形態の低熱放射皮膜73の構成が異なっているが、他の構成は同様に構成されている。したがって、同一の構成については、図1に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
図6(a)に示すように、本実施の形態の低熱放射皮膜473は、熱放射率が排出ガスGの排気上流側Uから排気下流側Dにかけて高くなるように構成されている。この低熱放射皮膜473は、排気管熱電変換素子側内側部70bに形成されるとともに、上流側低熱放射皮膜473aと、中間低熱放射皮膜473bと、下流側低熱放射皮膜473cとを備えている。上流側低熱放射皮膜473aと、中間低熱放射皮膜473bと、下流側低熱放射皮膜473cとは、コート材の材質は同じであるとともに、厚さを異ならせている。
上流側低熱放射皮膜473aは、低熱放射皮膜473の最も排気上流側Uに配置されるとともに、中間低熱放射皮膜473bおよび下流側低熱放射皮膜473cよりも厚く形成されている。このため、上流側低熱放射皮膜473aの熱放射率は、中間低熱放射皮膜473bの熱放射率および下流側低熱放射皮膜473cの熱放射率よりも低い。上流側低熱放射皮膜473aの熱放射率は、排気管70に導入されたばかりの高温の排出ガスGが熱電発電素子72を損傷しない範囲で高く設定する。
下流側低熱放射皮膜473cは、低熱放射皮膜473の最も排気下流側Dに配置されるとともに、中間低熱放射皮膜473bおよび上流側低熱放射皮膜473aよりも薄く形成されている。このため、下流側低熱放射皮膜473cの熱放射率は、上流側低熱放射皮膜473aの熱放射率および中間低熱放射皮膜473bの熱放射率よりも高い。下流側低熱放射皮膜473cの熱放射率は、中間低熱放射皮膜473bから吸熱されて低温化された排出ガスGが熱電発電素子72を損傷しない範囲で高く設定する。例えば、上流側低熱放射皮膜473aの厚さと下流側低熱放射皮膜473cの厚さとの比を10:1とすることができる。
中間低熱放射皮膜473bは、上流側低熱放射皮膜473aおよび下流側低熱放射皮膜473cの間に配置されるとともに、上流側低熱放射皮膜473aおよび下流側低熱放射皮膜473cの間の厚さで形成されている。このため、中間低熱放射皮膜473bの熱放射率は、上流側低熱放射皮膜473aの熱放射率と下流側低熱放射皮膜473cの熱放射率との中間となる。中間低熱放射皮膜473bの熱放射率は、上流側低熱放射皮膜473aから吸熱されて低温化された排出ガスGが熱電発電素子72を損傷しない範囲で高く設定する。
本実施の形態の熱電発電装置407によれば、排出ガスGは、排気上流側Uから排気下流側Dに流通するにつれて、排気管70を介して熱を奪われて低温化される。これに対し、排気上流側Uから排気下流側Dに流通するにつれて、低熱放射皮膜473の熱放射率が高くなっている。
このため、中間低熱放射皮膜473b近傍の排出ガスGの温度は上流側低熱放射皮膜473a近傍の排出ガスGの温度よりも低いので、中間低熱放射皮膜473bの熱放射率が上流側低熱放射皮膜473aの熱放射率よりも高くても熱電変換素子の損傷を防止できる。また、中間低熱放射皮膜473bの熱放射率は上流側低熱放射皮膜473aの熱放射率よりも高いので、排出ガスGの熱を無駄にすることなく効率良く熱電変換素子72に移動して発電量を向上することができる。
同様に、下流側低熱放射皮膜473c近傍の排出ガスGの温度は中間低熱放射皮膜473b近傍の排出ガスGの温度よりも低いので、下流側低熱放射皮膜473cの熱放射率が中間低熱放射皮膜473bの熱放射率よりも高くても熱電変換素子の損傷を防止できる。また、下流側低熱放射皮膜473cの熱放射率は中間低熱放射皮膜473bの熱放射率よりも高いので、排出ガスGの熱を無駄にすることなく効率良く熱電変換素子72に移動して発電量を向上することができる。
このように、排気下流側Dで熱電変換素子72に移動する熱量を増加させることができる。これにより、熱電変換素子72の全体でバランス良く発電を行うことができるようになり、熱電変換素子72の全体の発電効率が向上する。
上述した本実施の形態の熱電発電装置407においては、低熱放射皮膜473は、上流側低熱放射皮膜473aと、中間低熱放射皮膜473bと、下流側低熱放射皮膜473cとの3つの皮膜から構成されている。しかしながら、本発明に係る熱電発電装置においては、これに限られず、例えば、低熱放射皮膜473が2つの皮膜から構成されたり、あるいは4つ以上の皮膜から構成されるようにしてもよい。
(第6の実施の形態)
本実施の形態は、上述の第1の実施の形態と略同様の全体構成を有している。本実施の形態に係る熱電発電装置507においては、第1の実施の形態の低熱放射皮膜73の構成が異なっているが、他の構成は同様に構成されている。したがって、同一の構成については、図1に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
図6(b)に示すように、本実施の形態の低熱放射皮膜573は、熱放射率が排出ガスGの排気上流側Uから排気下流側Dにかけて高くなるように構成されている。この低熱放射皮膜573は、排気管熱電変換素子側内側部70bに形成されるとともに、上流側低熱放射皮膜573aと、中間低熱放射皮膜573bと、下流側低熱放射皮膜573cとを備えている。上流側低熱放射皮膜573aと、中間低熱放射皮膜573bと、下流側低熱放射皮膜573cとは、厚さは同じであるとともに、コート材の材質を異ならせている。
上流側低熱放射皮膜573aは、低熱放射皮膜573の最も排気上流側Uに配置されるとともに、中間低熱放射皮膜573bおよび下流側低熱放射皮膜573cよりも白色のコート材により形成されている。このため、上流側低熱放射皮膜573aの熱放射率は、中間低熱放射皮膜573bの熱放射率および下流側低熱放射皮膜573cの熱放射率よりも低い。上流側低熱放射皮膜573aの熱放射率は、排気管70に導入されたばかりの高温の排出ガスGが熱電発電素子72を損傷しない範囲で高く設定する。
下流側低熱放射皮膜573cは、低熱放射皮膜573の最も排気下流側Dに配置されるとともに、中間低熱放射皮膜573bおよび上流側低熱放射皮膜573aよりも黒色のコート材により形成されている。このため、下流側低熱放射皮膜573cの熱放射率は、上流側低熱放射皮膜573aの熱放射率および中間低熱放射皮膜573bの熱放射率よりも高い。下流側低熱放射皮膜573cの熱放射率は、中間低熱放射皮膜573bから吸熱されて低温化された排出ガスGが熱電発電素子72を損傷しない範囲で高く設定する。
中間低熱放射皮膜573bは、上流側低熱放射皮膜573aおよび下流側低熱放射皮膜573cの間に配置されるとともに、上流側低熱放射皮膜573aおよび下流側低熱放射皮膜573cの間の中間色、すなわち灰色のコート材により形成されている。このため、中間低熱放射皮膜573bの熱放射率は、上流側低熱放射皮膜573aの熱放射率と下流側低熱放射皮膜573cの熱放射率との中間である。中間低熱放射皮膜573bの熱放射率は、上流側低熱放射皮膜573aから吸熱されて低温化された排出ガスGが熱電発電素子72を損傷しない範囲で高く設定する。
本実施の形態の熱電発電装置507によれば、排出ガスGは、排気上流側Uから排気下流側Dに流通するにつれて、排気管70を介して熱を奪われて低温化される。これに対し、排気上流側Uから排気下流側Dに流通するにつれて、低熱放射皮膜573の熱放射率が高くなっている。
このため、中間低熱放射皮膜573b近傍の排出ガスGの温度は上流側低熱放射皮膜573a近傍の排出ガスGの温度よりも低いので、中間低熱放射皮膜573bの熱放射率が上流側低熱放射皮膜573aの熱放射率よりも高くても熱電変換素子の損傷を防止できる。また、中間低熱放射皮膜573bの熱放射率は上流側低熱放射皮膜573aの熱放射率よりも高いので、排出ガスGの熱を無駄にすることなく効率良く熱電変換素子72に移動して発電量を向上することができる。
同様に、下流側低熱放射皮膜573c近傍の排出ガスGの温度は中間低熱放射皮膜573b近傍の排出ガスGの温度よりも低いので、下流側低熱放射皮膜573cの熱放射率が中間低熱放射皮膜573bの熱放射率よりも高くても熱電変換素子の損傷を防止できる。また、下流側低熱放射皮膜573cの熱放射率は中間低熱放射皮膜573bの熱放射率よりも高いので、排出ガスGの熱を無駄にすることなく効率良く熱電変換素子72に移動して発電量を向上することができる。
このように、排気下流側Dで熱電変換素子72に移動する熱量を増加させることができる。これにより、熱電変換素子72の全体でバランス良く発電を行うことができるようになり、熱電変換素子72の全体の発電効率が向上する。
上述した本実施の形態の熱電発電装置507においては、低熱放射皮膜573は、上流側低熱放射皮膜573aと、中間低熱放射皮膜573bと、下流側低熱放射皮膜573cとの3つの皮膜から構成されている。しかしながら、本発明に係る熱電発電装置においては、これに限られず、例えば、低熱放射皮膜573が2つの皮膜から構成されたり、あるいは4つ以上の皮膜から構成されるようにしてもよい。
また、本実施の形態の熱電発電装置507においては、上流側低熱放射皮膜573aは白色のコート材、中間低熱放射皮膜573bは灰色のコート材、下流側低熱放射皮膜573cは黒色のコート材により、それぞれ形成されている。しかしながら、本発明に係る熱電発電装置においては、これに限られず、例えば、上流側低熱放射皮膜573aは白色のコート材、中間低熱放射皮膜573bは薄い灰色のコート材、下流側低熱放射皮膜573cは濃い灰色のコート材により、それぞれ形成されるようにしてもよい。
また、上述した第1〜第6の実施の形態の構成のうちの複数を備えた熱電発電装置としてもよい。
(第7の実施の形態)
本実施の形態は、上述の第1の実施の形態と略同様の全体構成を有している。本実施の形態に係る熱電発電装置607においては、第1の実施の形態の冷却水管71の構成が異なっているが、他の構成は同様に構成されている。したがって、同一の構成については、図1に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
図7(a)(b)および図8に示すように、本実施の形態の熱電発電装置607は、ケーシング600と、排気管670と、冷却水管671と、熱電変換素子72と、低熱放射皮膜73とを備えている。ケーシング600は円筒形状で、排気管670と、冷却水管671と、熱電変換素子72と、低熱放射皮膜73とを収容している。
排気管670は7本設けられている。すなわち、この熱電発電装置607は、多管式と呼ばれるものである。排気管670は、正面側から見た際に1本を中心にして、他の6本が周方向60度ごとに配置されている。冷却水管671は、7本の排気管670を囲っている。低熱放射皮膜73は、各排気管670の内部のみに形成されている。
本実施の形態の熱電発電装置607によれば、排気管670を複数有しているので、全ての排気管670の断面積を合計した面積と等しい断面積を持つ1本の排気管を利用するよりも排気管670の外周面積を増大することができる。このため、排出ガスGと冷却水Wとの熱交換の効率をさらに向上することができる。
(第8の実施の形態)
本実施の形態は、上述の第1の実施の形態と略同様の全体構成を有している。本実施の形態に係る熱電発電装置707においては、第1の実施の形態の排気管70および冷却水管71の構成が異なっているが、他の構成は同様に構成されている。したがって、同一の構成については、図1に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
図9(a)(b)に示すように、本実施の形態の熱電発電装置707は、ケーシング700と、排気管770と、冷却水管771と、熱電変換素子72と、低熱放射皮膜73とを備えている。ケーシング700は円筒形状で、排気管770と、冷却水管771と、熱電変換素子72と、低熱放射皮膜73とを収容している。
排気管770は、第1の直線部770aと、第2の直線部770bと、円弧部770cとを有して略U字形状に形成されている。第1の直線部770aおよび第2の直線部770bは平行とされている。第1の直線部770aは第2の直線部770bの上側に設けられている。第1の直線部770aおよび第2の直線部770bは、円弧部770cにより連結されている。
すなわち、この熱電発電装置707は、Uチューブ式と呼ばれる熱交換器を応用したものである。排気管770の第1の直線部770aおよび第2の直線部770bには、熱電変換素子72が設けられている。排出ガスGは、第2の直線部770bから導入されるとともに、第1の直線部770aから排出される。
冷却水管771は、第1の直線部771aと、第2の直線部771bと、第1の連結部771cと、第2の連結部771dと、冷却水流入部77と、冷却水流出部78とを備えている。第1の直線部771aは、排気管770の第1の直線部770aを囲っている。第2の直線部771bは、排気管770の第2の直線部770bを囲っている。冷却水流入部77は、第1の直線部771aの排気下流側Dに形成されている。冷却水流出部78は、第2の直線部771bの排気下流側Dに形成されている。第1の連結部771cは、第1の直線部771aおよび第2の直線部771bを冷却水流入部77近傍で連結する。第2の連結部771dは、第1の直線部771aおよび第2の直線部771bを冷却水流出部78近傍で連結する。
本実施の形態の熱電発電装置707によれば、排気管770および冷却水管771をU字型としているので、直線状にする場合に比べて全長を短くして熱電発電装置707のコンパクト化を図ることができる。
上述した本実施の形態の熱電発電装置707においては、Uチューブ式熱交換器を熱電発電装置707に応用している。しかしながら、本発明に係る熱電発電装置においては、これに限られず、例えば、プレート式熱交換器、渦巻式熱交換器、ヒートループ式熱交換器など、各種の熱交換器に応用することができる。
以上のように、本発明に係る熱電発電装置は、高温の排出ガスに対しても熱電変換素子の熱害を抑制できるという効果を奏するものであり、高温側部材および低温側部材に接触するとともに、高温側部材および低温側部材の温度差により発電する熱電変換素子を備えた熱電発電装置に有用である。
1 エンジン(内燃機関)
2 エンジン本体
7,107,207,307,407,507,607,707 熱電発電装置
70,670,770 排気管
70a 排気管熱電変換素子側外側部(排気管の外側部)
70b 排気管熱電変換素子側内側部
71,671,771 冷却水管
72,172 熱電変換素子
72a 高温側端部(熱電変換素子排気管側部)
72b 低温側端部(熱電変換素子冷却水管側部)
73,473,573 低熱放射皮膜
74,174,274 高熱放射皮膜
74a 熱電変換素子側外側高熱放射皮膜
74b 熱電変換素子側内側高熱放射皮膜
75 冷却水流通部
75a 熱電変換素子側外側領域(冷却水管の外側部)
75b 熱電変換素子側内側領域
75c 開放側外側領域
75d 開放側内側領域
G 排出ガス
W 冷却水

Claims (6)

  1. 排出ガスを流通させる排気管と、冷却水を流通させる冷却水管と、前記排気管の外側部と前記冷却水管の外側部との間に挟まれるとともに、前記排気管の前記外側部と前記冷却水管の前記外側部とに接触して設けられる熱電変換素子とを備える熱電発電装置であって、
    前記熱電変換素子の前記排気管に接触する熱電変換素子排気管側部と、前記排気管の前記熱電変換素子に接触する排気管熱電変換素子側外側部と、前記排気管の内側部であって前記排気管熱電変換素子側外側部の真裏に相当する排気管熱電変換素子側内側部と、の少なくとも一部の領域に、熱放射率あるいは熱吸収率を低下させるコート材を塗布してなる低熱放射皮膜を形成することを特徴とする熱電発電装置。
  2. 前記低熱放射皮膜は、前記排気管熱電変換素子側外側部と、前記排気管熱電変換素子側内側部との全体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱電発電装置。
  3. 前記熱電変換素子の前記冷却水管と接触する熱電変換素子冷却水管側部と、前記冷却水管の外側部と、前記冷却水管の内側部との少なくとも一部の領域に、熱放射率あるいは熱吸収率を上昇させるコート材を塗布してなる高熱放射皮膜を形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱電発電装置。
  4. 前記高熱放射皮膜は、前記冷却水管の外側部と、前記冷却水管の内側部との全体に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の熱電発電装置。
  5. 前記高熱放射皮膜は、前記冷却水管の前記熱電変換素子に接触する熱電変換素子側外側領域と、前記冷却水管の内側部であって前記熱電変換素子側外側領域の真裏に相当する熱電変換素子側内側領域との全体に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の熱電発電装置。
  6. 前記低熱放射皮膜の前記熱放射率あるいは前記熱吸収率は、前記排出ガスの上流側から下流側にかけて高くなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の熱電発電装置。
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