JP2013037731A - 記録媒体 - Google Patents

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Shigemi Sato
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Abstract

【課題】耐食性、摺動耐久性、ヘッド浮上性を確保でき、信頼性を確保しながら磁気スペーシングを低減させる。
【解決手段】本発明の記録媒体は、磁気的な原理に基づき情報の読み出し・書き込みを行うヘッドにより、情報を記録・再生するための記録媒体であって、基板上に形成された磁性層と、該磁性層上に形成された保護層とを含み、該保護層が、該磁性層上に形成されていてシリコン、シリコンカーバイド、およびゲルマニウムからなる群から選択された材料を含む下地層と、該下地層上に形成されていて水素を含有するアモルファスカーボンを含むカーボン層とから構成され、該カーボン層に含まれる水素量が24.7at%以上46.8at%以下であり、該下地層の厚さが0.3nm以上1.8nm以下であり、該カーボン層の厚さが0.2nm以上1.7nm以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、コンピュータなどの情報処理機器の情報記録装置または民生機器に搭載される記録装置(特にハードディスク装置)に用いられる記録媒体に関する。
近年コンピュータなどの情報処理機器で取り扱う情報量の増加および情報処理機器の小型化に伴って、情報記録装置の記録容量の増大が図られ、情報記録装置に使用される磁気記録媒体に求められる記録容量は増加の一途を辿っている。磁気記録媒体の記録容量を増加させ記録性能を向上させるには、磁気ヘッドの読み出し・書き込み素子と磁気記録媒体の磁性層との距離、すなわち磁気的スペーシングを極限まで低下させる必要がある。磁気的スペーシングは、磁気ヘッドの保護層厚さ、磁気ヘッドの浮上量、記録媒体の保護層および潤滑層の厚さから決定され、記録媒体側としての開発課題は保護層の厚さの低減である。記録媒体の保護層は一般的にDLC(Diamond Like Carbon)と呼ばれるアモルファスカーボンが適用されている。
特開平9−138943号公報 特開平11−203625号公報 特開2008−123671号公報 特開2004−152462号公報
Nobuto Yasui、Hiroshi Inaba、Naoto Ohtake:Applied Physics Express 1(2008)035002
図2に従来の記録媒体の断面模式図を示す。図2において記録媒体1は、基板2、磁気ヘッドにより情報が記録される磁性層(磁性金属層)3、磁性層3を腐食、摩耗、衝撃等の損傷より保護する保護層4、保護層4の表面を被覆する潤滑層5から構成されている。基板2はガラス材あるいは表面にメッキ処理を施したアルミ材等から形成されており、基材としての役割を果たす。磁性層3は、例えばCo、Cr、Pt等の金属とSiO2等よりなるグラニュラー層であり、スパッタリングにより成膜される。保護層4には好ましくはDLCが適用され、スパッタリングまたはプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition=化学気相成長法)により成膜される。潤滑層5には好ましくはPFPE(Perfluoropolyether)が適用され、ディップ法等により1nm程度の厚さに形成される。従来の記録媒体の記録密度は約500Gbits/in2であり、保護層4の厚さは3nm程度である。今後記録密度を750Gbits/in2以上に引上げるには、保護層4の厚さを2nm以下にする必要がある。さらに言えば、将来的に記録密度を2000Gbits/in2まで引上げるためには、保護層4の厚さを1nm程度にする必要がある。
一方で、記録媒体の保護層4には十分な信頼性、すなわち耐食性、摺動耐久性、ヘッド浮上性が求められ、薄膜化しても同様の信頼性が求められる。しかしながら従来の方法で形成されたDLCでは、2nm以下の範囲において十分な信頼性、特に耐食性、摺動耐久性が得られていない。そこで保護層4をより綴密にすることで、すなわちカーボン層のsp3結合比率を向上させることで十分な信頼性を得ることが考えられている。
保護層4のsp3結合比率を向上させるためには、カーボン原料を解離させイオン化した粒子に十分なエネルギーを与え、サブプランテーションすなわち、表層下に粒子を侵入させることにより成膜すれば良い。侵入したイオン粒子はカーボン層(保護層4)中で高い圧縮応力状態となり、これによりカーボンsp3結合が誘起されsp3結合比率が高まる。具体的にはFCA(Filtered Cathodic Arc)あるいはFCVA(Filtered Cathodic Vacuum Arc)と呼ばれる方法が知られている。同手法はグラファイトなどのカーボンターゲットに対しアーク放電によりプラズマを発生させ、これに含まれるC+などのイオン粒子により成膜するので、sp3結合比率を高めるのと同時に、水素を含まない硬質なカーボン層を形成できる。FCAはハードディスク装置の中では磁気ヘッドの保護層4として実績があり、記録媒体への適用も検討されている。
しかしながら同方法は成膜初期、すなわち磁性層3の上に成膜を始める段階では、イオン粒子が磁性層3に直接侵入するため、イオン粒子と衝突した金属原子がカーボン層方向に反跳しカーボン原子とのミキシングが起こる。ミキシング状態のカーボン層は本来のカーボンの特性を持ち得ない、すなわちsp3結合比率が低い初期成長層と言うことができる。また腐食の原因となる金属元素を含むため、これも耐食性を劣化させる原因となる。保護層4が十分厚ければ問題はないが、保護層4の厚さが薄いと初期成長層の厚さが無視できないため、これが原因となり十分な耐食性を得ることができない。
ミキシング対策の報告例として非特許文献1がある。非特許文献1では、FCAによるカーボン層と金属層との問に、シリコン材料より成る下地層を介在させ、イオン粒子の金属層への侵入を防ぎ金属元素の反跳を防ぐことで、耐食性の改善を図っている。
上記のようにカーボン層に対して下地層を適用する提案としては、この他にも特許文献1および2が存在する。特許文献1ではシリコン材料の他、ゲルマニウム、すず、等を材料とした下地層を介在させ、これを緩衝層としてカーボン層の残留歪の低減を図っている。これにより摺動耐久性を改善し、保護層の薄膜化を図るとしているが、その保護層厚は2.5nmに留まっており、なお改善の余地がある。特許文献2は磁気ヘッドへの適用例であるが、シリコンを主成分とした材料を下地層として介在させ、下地層を0.5nm以上、カーボン層を2nm以上としている。下地層は接着層として機能し、これによりカーボン層の密着性を高めて、摺動耐久性を改善し、保護層を薄くできる、としている。但し、保護膜を形成する面を研磨することにより、その粗さを低減して保護膜の均一な被覆を得ようとする方法であり記録媒体に適用することは困難である。また、保護層厚、すなわちカーボン層と下地層の合計厚さが2nmよりも薄い領域では連続膜ではなく島状膜になるとされており、信頼性は不十分であった。また、特許文献2においては、保護層の形成方法として、CCP(Capacitively Coupled Plasma)−CVD、ECR(Electron Cyclotron Resonance)−CVDを使用しており、sp3結合が適切に導入された保護膜は形成できない。
一方、カーボン層中の含有水素量を規定することで信頼性を改善し、保護層の薄膜化に対応しようとする提案もなされている。特許文献3ではカーボン層中の含有水素量を8〜18at%とし、sp3性を高めて媒体の信頼性改善を図っている。特許文献4ではカーボン層表層の含有水素量を30%以下として、ヘッド浮上性を確保し、信頼性を改善している。両文献の含有水素量はDLCとしては低い値であり、水素量を低減する方向で改善を図っている。先に説明した非特許文献1についても、FCAは基本的に水素を含まない成膜方法なので、この考え方に則していると言える。
以上の提案についても、保護層の厚さがある領域までは信頼性改善の効果を持つものの、保護層の厚さが薄い領域ではその信頼性は不十分であった。
本発明は上述の問題に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、耐食性、摺動耐久性、ヘッド浮上性を確保でき、信頼性を確保しながら磁気スペーシングを低減させ、例えば750〜2000Gbit/in2の記録密度に対応できる記録媒体を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の記録媒体は、磁気的な原理に基づき情報の読み出し・書き込みを行うヘッドにより、情報を記録・再生するための記録媒体であって、基板上に形成された磁性層と、該磁性層上に形成された保護層とを含み、該保護層が、該磁性層上に形成されていてシリコン、シリコンカーバイド、およびゲルマニウムからなる群から選択された材料を含む下地層と、該下地層上に形成されていて水素を含有するアモルファスカーボンを含むカーボン層とから構成され、該カーボン層に含まれる水素量が24.7at%以上46.8at%以下であり、該下地層の厚さが0.3nm以上1.8nm以下であり、該カーボン層の厚さが0.2nm以上1.7nm以下である。
このとき、好ましくは、該カーボン層に含まれる水素量が30.3at%を超えて46.8at%以下であり、該下地層および該カーボン層の合計厚さが1nm以上2nm以下である。
本発明の記録媒体によれば、耐食性、摺動耐久性、ヘッド浮上性を確保できるので、信頼性を確保しながら磁気スペーシングを低減させ、例えば750〜2000Gbit/in2の記録密度に対応する磁気記録媒体を提供できる。
特に、シリコンを含む下地層とすれば、磁性層の金属元素の反跳を防ぐ他、構造的にsp3結合を取るシリコン材料に倣ってカーボンが成長するので、成長初期からカーボンのsp3結合性すなわち緻密性が向上する。これに加え本発明で適用するカーボン層の膜厚以下、すなわち1.7nm以下の薄膜領域に限って言えば、水素を排除して膜を硬くするよりも、本発明の水素量(24.7at%以上46.8at%以下)を含有する膜を比較的低エネルギー条件で成膜すれば、シリコン上で粒子がマイグレーションし、ピンホール等を作らずカーボン層の被覆性が向上し、耐食性が向上する。
本発明の記録媒体の層構成の一例を説明した断面模式図である。 従来の記録媒体の層構成の一例を説明した断面模式図である。
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態の一例について説明する。図1は、本発明の記録媒体の層構成の一例を説明した断面模式図である。記録媒体1は、典型的には、基板2、基板2上に形成された磁性材料からなる磁性層3、磁性層3上に形成された下地層41、下地層41上に形成される保護層42、および保護層42上に形成される潤滑層5から構成される。
基板2、磁性層3、および潤滑層5は、図2で説明された従来の記録媒体のものと同様の材料および製作方法により形成できるため、その説明を省略する。
下地層41は、磁性層3上に形成されていて、シリコン、シリコンカーバイド、およびゲルマニウムからなる群から選択された材料を含む。下地層41を形成する工程は、シリコン、シリコンカーバイド、およびゲルマニウムからなる群から選択された材料からなるスパッタターゲットを使用して行われる。
カーボン層42は、下地層上に形成されていて、水素を含有するアモルファスカーボンを含む。カーボン層42は、エチレン、アセチレン等の炭化水素ガス原料、あるいはキシレン、トルエン、ベンゼン等の炭化水素液体原料を用いて、カーボン層中に水素の導入が可能なプラズマCVD法により形成する。適用するプラズマソースは、ECWR方式が好ましいが、平行平板方式、ICP(Inductively coupled plasma)方式、ECR方式等を用途に応じて選択できる。
以下に本願の実施例および比較例を説明する。なお、実施例は本願発明の代表例に過ぎず、本願発明は実施例の記載に限定されるものではない。
まず評価方法について説明をした上で、具体的な例を示しその効果について説明する。
膜厚評価については、予め断面TEM(Transmission Electron Microscopy)法により計測した膜厚との間で校正をした上で、XPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy)による光電子の発生数から膜厚を求めた。含有水素量についてはERDA法(Elastic Recoil Detection Analysis)により、N2 +イオン照射に対する反跳水素イオンを検出し、シミュレーションフィッティングにより算出した。
磁気記録媒体としての特性評価項目については、耐食性、摺動耐久性、ヘッド浮上性について評価を行った。耐食性は、3%の硝酸溶液を保護層表面に滴下し、1時間放置した後これを回収し、ICP−MS(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometer)によりCoの溶出量を測定し、硝酸溶液の液滴面積で除した値で評価した。耐食性の判定は、ハードディスク装置に適用した際の信頼性試験で問題を起こさないために必要な溶出量0.1ng/cm2以下の場合を○(合格)、超える場合を×(不合格)とした。摺動耐久性は、媒体表面にΦ2mmのアルミナチタンカーバイドボールを30gfの荷重で押し付け回転動作をさせ、ボールと媒体表面との聞の潤滑性を摩擦力の変化として測定した。信頼性確保に必要な摺動耐久回数300回まで、潤滑性を損なわなかった場合を○、摩擦力が急増して潤滑性が損なわれた場合を×とした。ヘッド浮上性は、媒体とヘッドとの接触を圧電素子により計測するヘッドを媒体表面上で浮上させ、その圧電素子の最大出力電圧値を以って評価した。信頼性確保に必要な電圧値150mV以下の場合を○、これを上回った場合を×とした。下地層、カーボン層の厚さ、およびカーボン層の含有水素量をパラメータとしてサンプルを製作し、第1表に示す評価結果を得た。下地層、カーボン層の厚さは成膜時間を調整して、カーボン層の含有水素量はRF出力を調整してサンプルを製作した。
[実施例]
2.5インチガラス基板上にスパッタリングにより、Co、Cr、Pt等の金属とSiO2等よりなるグラニュラー磁性層を形成した。なお、グラニュラー磁性層の研磨は行われていない。この層の上に、アルゴンガスを用いたスパッタリングにより、圧力0.5Paおよび出力100Wの条件で、シリコン材料による下地層を成膜した。
これに続きECWRプラズマソースによりエチレンを原料として、含有水素量が30、45at%になるようにカーボン層を成膜した。含有水素量30at%を狙ったサンプルは、ECWRプラズマソースによりエチレンを原料として、出力1050W、圧力0.09Paの成膜条件を適用した。含有水素量45at%を狙ったサンプルは、出力190W、圧力0.35Paの成膜条件を適用した。下地層およびカーボン層の厚さは、保護層厚(下地層およびカーボン層の合計膜厚)が1nmになる条件を中心として、本発明の範囲内で種々の膜厚および水素量のサンプルを用いることにより設定された。この後カーボン層上にはディップ法によりPFPE潤滑層を1nm形成し、第1表中のサンプル1−C−2〜1−C−3、1−D−2〜1−D−6、1−E−2〜1−E−7を得た。評価の結果、何れのサンプルも第1表のように耐食性、摺動耐久性、ヘッド浮上性について基準をクリアできた。
さらにこのサンプルの中でも1−D−2〜1−D−6、1−E−2〜1−E−7に限って言えば、Co溶出量の値は0.05ng/cm2以下となり、信頼性試験で問題を起こさないために必要な溶出量0.1ng/cm2以下に対して、さらに1/2となるため、含有水素量が30at%を超えて48at%以下であるならば、通常よりさらに高い耐食性を確保できることが見出された。
[比較例1]
本発明の実施例と同様にシリコン材料による下地層まで成膜をした後、カーボン層の含有水素量が3at%以下、および20at%となるようにカーボン層の成膜を行った。含有水素量3at%以下を狙ったサンプルではFCAによりアーク電流120A、電圧30Vの条件でカーボン層を成膜した。含有水素量20at%を狙ったサンプルではECWRプラズマソースによりエチレンを原料として、出力3000W、圧力0.02Paの条件でカーボン層を成膜した。下地層およびカーボン層の厚さは、保護層厚が1nmになる条件を中心として、種々の膜厚および水素量のサンプルを用いることにより設定された。この後カーボン層上にはディップ法によりPFPE潤滑層を1nm形成し、第1表中のサンプル1−A−1〜1−A−4、1−B−1〜1−B−3を得た。評価の結果、摺動耐久性およびヘッド浮上性については一部のサンプルを除いて基準をクリアするものの、Co溶出量が基準を外れており、耐食性がクリアできなかった。このようにカーボン膜厚が薄く、初期成長層の影響が大きな段階に限って言えば、含有水素量を低くして(24.7at%未満)膜を硬質化する条件では耐食性は上がらず、むしろ比較的低エネルギーで水素が適量(24.7at%以上46.8at%以下)含有する本発明の実施例で示した条件の方が、耐食性は向上した。これは、シリコン上で成膜される粒子がマイグレーションし、ピンホールを作らないため、カーボン層の被覆性が向上して耐食性に有利に働くためと考えられる。
[比較例2]
本発明の実施例の場合と同様にシリコン材料により下地層まで成膜をした後、カーボン層の含有水素量が25、30、45at%となるようにカーボン層の成膜を行った。成膜条件は本発明の実施例の場合と同様である。下地層およびカーボン層の厚さはそれぞれ、0.1nmおよび0.9nmとした。この後カーボン層上にはディップ法によりPFPE潤滑層を1nm形成し、第1表中のサンプル1−C−1、1−D−1、1−E−1を得た。評価の結果、何れも耐食性がクリアできず、カーボン層の含有水素量が適切であっても、下地層の厚さが0.3nm未満になると耐食性がクリアできなかった。これは下地層が0.3nm未満になるとシリコン材料として安定的なsp3構造を取れず、これに従って形成されるカーボン層のsp3結合性すなわち徹密性が向上しないためと考えられる。
[比較例3]
本発明の実施例の場合と同様にシリコン材料により下地層まで成膜をした後、カーボン層の含有水素量が25、30、45at%となるようにカーボン層の成膜を行った。成膜条件は本発明の実施例の場合と同様である。下地層およびカーボン層の厚さは、それぞれ0.9nmおよび0.1nmとした。この後カーボン層上にはディップ法によりPFPE潤滑層を1nm形成し、第1表中のサンプル1−C−4、1−D−7、1−E−8を得た。評価の結果、耐食性はクリアできるものの、摺動耐久性がクリアできなかった。含有水素量が適切でも、カーボン層の厚さが0.2nm未満になると摺動耐久性がクリアできなかった。これは、カーボン層が0.2nm未満になるとカーボン構造が損なわれ、カーボンが本来持ち得る摺動耐久性が機能しないためと考えられる。
[比較例4]
本発明の実施例の場合と同様にシリコン材料により下地層まで成膜をした後、カーボン層の含有水素量が55at%となるようにカーボン層の成膜を行った。成膜条件は本発明の実施例の場合と同様である。下地層およびカーボン層の厚さは、保護層厚が1nmになるように条件を設定した。この後カーボン層上にはディップ法によりPFPE潤滑層を1nm形成し、第1表中のサンプル1−F−1〜1−F−4、を得た。評価の結果、耐食性、摺動耐久性、ヘッド浮上性、何れの評価項目もほぼ基準がクリアできず、3つの評価項目すべてをクリアしたサンプルは得られなかった。これは含有水素量が46.8at%を超えると、カーボン層はポリマー構造に近づき、本来のカーボンとしての特性が損なわれるためと考えられる。
上記は下地層にシリコンを適用した場合であるが、シリコンカーバイドを適用しても同様の効果が得られた。第2表は下地層にシリコンカーバイドを適用し、スパッタリングによりアルゴンガス圧力1Pa、出力200Wの条件で成膜したときの評価結果である。他のサンプル製作条件は先のシリコンの場合と同様である。下地層にシリコンを適用した第1表ではサンプル番号の先頭を1としているのに対し、シリコンカーバイドを適用した第2表ではサンプル番号の先頭を2としているが、それに続く表記が同じものは、第1表と第2表とでサンプルの作成条件が同様であることを示している。第2表より、シリコンの場合と同様、カーボン層の含有水素量が24.7at%以上46.8at%以下、下地層の厚さを0.3nm以上1.8nm以下、カーボン層の厚を0.2nm以上1.7nm以下とすれば、保護層の厚さが1nm以上2nm以下で媒体に求められる耐食性、摺動耐久性、およびヘッド浮上性を満足することができる。またゲルマニウムを適用しても同様の効果が得られた。第3表はスパッタリングによりアルゴンガス圧力0.5Pa、出力300Wの条件で下地層としてゲルマニウム成膜したときの評価結果で、シリコンの場合と同様の結果が得られた。なお、本願においては、カーボン層および下地層の合計厚さが2nm以下の領域を目標としており、下地層の厚さが0.3nm以上の場合に良好な結果が得られているため、カーボン層の厚さの上限値が1.7nm以下であれば本願の目標の合計厚さ(2nm)の範囲内で良好な結果が得られるものと考えられる。
Figure 2013037731
Figure 2013037731
Figure 2013037731
1 記録媒体
2 基板
3 磁性層
4 保護層
41 下地層
42 カーボン層
5 潤滑層

Claims (3)

  1. 磁気的な原理に基づき情報の読み出し・書き込みを行うヘッドにより、情報を記録・再生するための記録媒体であって、基板上に形成された磁性層と、該磁性層上に形成された保護層とを含み、
    該保護層が、該磁性層上に形成されていてシリコン、シリコンカーバイド、およびゲルマニウムからなる群から選択された材料を含む下地層と、該下地層上に形成されていて水素を含有するアモルファスカーボンを含むカーボン層とから構成され、
    該カーボン層に含まれる水素量が24.7at%以上46.8at%以下であり、
    該下地層の厚さが0.3nm以上1.8nm以下であり、および
    該カーボン層の厚さが0.2nm以上1.7nm以下である記録媒体。
  2. 該カーボン層に含まれる水素量が30.3at%を超えて46.8at%以下である請求項1に記載の記録媒体。
  3. 該下地層および該カーボン層の合計厚さが1nm以上2nm以下である請求項1または2に記載の記録媒体。
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