JP2006209965A - 磁気ディスクの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】非磁性基板1上に磁性層3を有しこの磁性層3上に保護層4を有する磁気ディスク10の製造方法において、保護層4の膜厚を5nm以下とした場合においても、この保護層4の耐久性、特に、耐LUL特性を優れたものとする。
【解決手段】保護層4を、カーボンを主成分としてプラズマCVD法により成膜する。この保護層4の成膜を、常温乃至250°C以下の環境下で行う。より好ましくは、この保護層4の成膜を、常温乃至150°C以下の環境下で行う。この保護層4は、膜厚を1nm乃至5nmとして成膜することができる。この磁気ディスクの製造方法においては、ロードアンロード方式用の磁気ディスク10を良好に製造することができる。
【選択図】図1
【解決手段】保護層4を、カーボンを主成分としてプラズマCVD法により成膜する。この保護層4の成膜を、常温乃至250°C以下の環境下で行う。より好ましくは、この保護層4の成膜を、常温乃至150°C以下の環境下で行う。この保護層4は、膜厚を1nm乃至5nmとして成膜することができる。この磁気ディスクの製造方法においては、ロードアンロード方式用の磁気ディスク10を良好に製造することができる。
【選択図】図1
Description
本発明はHDD(ハードディスクドライブ)等の磁気ディスク装置に用いられる磁気ディスクの製造方法に関する。
今日、情報記録技術、特に、磁気記録技術は、IT産業の発達に伴って飛躍的な技術革新が要請されている。そして、HDD(ハードディスクドライブ)等の磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクにおいては、磁気テープやフレキシブルディスクなどの他の磁気記録媒体と異なり、急速な情報記録密度の増大化が続けられている。
磁気ディスクは、非磁性基板上に情報記録を担う磁性層が設けられて構成されている。そして、この磁性層上には、磁性層を保護するための保護層が設けられている。さらに、この保護層上には、この磁気ディスク上において浮上して記録再生を行う磁気ヘッドからの干渉を緩和するための潤滑層が設けられている。このような磁気ディスクとしては、例えば、特許文献1に記載されているようなものが知られている。
通常、磁気ディスクの保護層としては、Ar(アルゴン)ガスと水素ガスとの混合ガス、または、Arガスと炭化水素ガス(例えば、メタンガス)との混合ガスの雰囲気下で、カーボンターゲットをスパッタリングすることにより成膜される水素化カーボン膜が用いられている。
この水素化カーボン膜は、成膜方法及び成膜条件を調節することにより、例えば、耐CSS(Contact Start Stop)特性などの機械的特性を比較的自由に調整することが可能であるので、磁気ディスクの保護層として広く用いられている。
ところで、所望の機械的特性を有する保護層を得ようとする場合には、種々の製造条件においてサンプルとなる保護層を成膜して磁気ディスクの試料を複数作成し、これら磁気ディスクの試料について、耐CSS特性等の機械的特性を評価し、この評価結果に基づいて、生産する磁気ディスクの製造条件を決定することが考えられる。
しかしながら、このような手法による製造条件の決定は、時間及び手間がかかって煩雑であり、製造条件の速な決定ができず、製造コストを上昇させてしまう。
そこで、従来より、保護層の機械的特性と連関性のある膜質パラメータを見出し、この膜質パラメータを簡易な手段によって測定することにより、生産される磁気ディスクにおける保護層の機械的特性を維持することが試みられている。
例えば、特許文献1には、保護層のラマンスペクトルにおける、SP3ピーク(Dピーク)のピーク強度と、SP2(Gピーク)のピーク強度とを利用して、保護層の膜質を評価する手法が記載されている。すなわち、この技術においては、SP3ピーク(Dピーク)の波数において、蛍光分を除いた実質的なピーク強度をAとし、このSP3ピークの蛍光分を含んだ全体的なピーク強度をBとしたときに、これらピーク強度の比率(B/A)を評価基準とする。また、この技術においては、SP3ピーク(Dピーク)の波数において、蛍光分を除いた実質的なピーク強度をDとし、SP2ピーク(Gピーク)の波数において、蛍光分を除いた実質的なピーク強度をGとしたときに、これらピーク強度の比率(D/G)を評価基準とする。
また、特許文献2及び特許文献3には、保護層のラマンスペクトルにおける、SP3ピーク(Dピーク)及びSP2(Gピーク)の波形の半値幅における面積比(B/A)を評価基準として、保護層の膜質を評価する手法が記載されている。
ところで、上述のような磁気ディスクにおいては、近年、情報記録容量の増大が求められており、そのため、例えば、40Gbit/inch2以上の情報記録密度を達成するために、様々なアプローチが行われている。このような情報記録密度を達成するためには、磁気ディスクと磁気ヘッドとの間のスペーシングロスを改善し、記録信号のS/N比(Signal Noise Ratio)を向上させる向上させる必要がある。
そして、このような情報記録密度が達成される程度に磁気ディスクと磁気ヘッドとの間のスペーシングロスを改善するには、これら磁気ディスクの磁性層と磁気ヘッドの記録再生素子との間の間隙(磁気的スペーシング)は、20nm以下にまで狭めることが必要となる。さらに、近年では、この磁気的スペーシングは、10nm以下にまで狭めることが求められている。
磁気ディスクの磁性層と磁気ヘッドの記録再生素子との間の間隙を20nm以下にしようとする場合、磁気ディスクの保護層の膜厚は、5nm以下とすることが求められる。
また、磁気ディスクにおける情報記録容量を増大させるためには、この磁気ディスクにおいて情報信号の記録がなされない無駄な領域の面積を小さくすることが必要である。そこで、HDD(ハードディスクドライブ)の起動停止方式として、従来より用いられているCSS方式(Contact Start Stop方式)に代えて、情報記録容量の増大が可能なLUL方式(「ロードアンロード(Load Unload)方式」、別名「ランプロード方式」ともいう。)の導入が進められている。
図4は、CSS方式における磁気ディスクと磁気ヘッドとの位置関係を示す平面図である。
図5は、LUL方式における磁気ディスクと磁気ヘッドとの位置関係を示す平面図である。
CSS方式においては、図4に示すように、磁気ディスク101の非使用状態(停止状態)において磁気ヘッド102が載置されるCSSゾーン103を磁気ディスク101上に設ける必要があり、このCSSゾーン103には情報信号の記録ができないため、その分、磁気ディスクにおいて情報信号の記録がなされる領域の面積が減少する。これに対し、LUL方式においては、図5に示すように、磁気ディスク101の非使用状態(停止状態)においては、磁気ヘッド102は磁気ディスク101の外周側に移動され磁気ディスク101上より退避されてノッチ104により支持されるので、磁気ディスク101上にCSSゾーン103のような情報信号の記録ができない領域を設ける必要がなく、磁気ディスク101において情報信号の記録がなされる領域の面積を最大限確保することができるからである。
このような動向に対応して、磁気ディスクとしては、CSS方式用途の磁気ディスクに代替して、LUL方式用途の磁気ディスクが求められるようになっている。LUL方式用途の磁気ディスクは、保護層が、耐LUL特性に優れていることが必要である。
図6は、CSS方式における保護層の耐久性を説明するための側面図である。
図7は、LUL方式における保護層の耐久性を説明するための側面図である。
CSS方式における保護層の耐久性は、図6に示すように、主に磁気ヘッド102の摺動に対する耐久性であるのに対し、LUL方式における保護層の耐久性は、図7に示すように、磁気ヘッド102の衝突にも対応し得る耐久性である。
このように、磁気ディスクにおいて情報記録容量の増大を実現するためには、磁気ディスクと磁気ヘッドとの間のスペーシングロスの改善を可能とするために保護層の膜厚を5nm以下とし、また、LUL方式の導入を可能とするために保護層の耐LUL特性を優れたものとすることが必要である。
ところが、保護層の膜厚を5nm以下にまで薄膜化してしまうと、耐摩耗性や耐衝撃性などの耐久性や機械的特性が劣化してしまい、十分な強度を確保できないという問題が発生する。特に、LUL方式の磁気ディスク装置においては、磁気ヘッドが磁気ディスク上にロードされるときの衝撃力で、磁気ディスク上に微少なスクラッチ等が発生する虞れがある。磁気ディスクにこのようなスクラッチが発生すると、再生信号の質が低下することとなり、また、保護層の傷損により発生する塵挨によって磁気ヘッドの記録再生素子部が汚れ、記録再生が不能となるという重大な障害が発生する虞れがある。
ここで、前述の特許文献1に記載されているように、保護層のラマンスペクトルのピーク強度比(B/A、または、D/G)を厳密に制御して磁気ディスクを作成したところ、必ずしも安定した耐久性及び機械的特性を有する保護層を得ることはできず、上述のような障害を十分に抑制することはできなかった。
すなわち、磁気ディスクを大量に生産した場合においては、保護層のラマンスペクトルのピーク強度比(B/A、または、D/G)が同一の値であっても、保護層が十分な耐久性及び機械的特性を有している磁気ディスクもあれば、保護層の耐久性及び機械的特性が不十分である磁気ディスクもあった。このように磁気ディスク個々の特性のばらつきが大きい状態では、安定して大量の磁気ディスクを生産することができない。
また、前述の特許文献2及び特許文献3に記載されている手法によって保護層の特性を維持しようとしても、安定した特性の保護層を得ることはできなかった。すなわち、これら特許文献2及び特許文献3に記載されている手法によっても、安定して大量の磁気ディスクを生産することはできない。
これら特許文献1乃至特許文献3に記載の技術は、保護層の膜厚が10nm以上であることを前提としており、膜厚が10nm以上の保護層を作成する場合においては、耐摩耗性やCSS耐久性を評価し維持する手法として有効と思われる。しかしながら、膜厚が5nm以下の保護層を作成する場合においては、これら従来の技術における手法は、保護層の耐摩耗性やLUL耐久性との関連性を見い出すことができず、利用できないことが知見された。
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、非磁性基板上に磁性層を有しこの磁性層上に保護層を有する磁気ディスクの製造方法であって、保護層の膜厚を、例えば、5nm以下とした場合においても、この保護層の耐久性、特に、耐LUL特性が優れている磁気ディスクの製造方法を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、LUL方式ハードディスクドライブに搭載するためのLUL方式用の磁気ディスクの製造方法を提供することを第2の目的とする。
さらに、本発明は、保護層の特性が安定しており、大量生産に適した磁気ディスクの製造方法を提供することを第3の目的とする。
本発明者らは、上述した目的に鑑みて、磁気ディスクにおける保護層の膜厚を、例えば、5nm以下というように、薄膜化した場合においても、安定した耐久性、特に、優れたLUL耐久性を有する保護層の膜質について鋭意研究を行った。
その結果、カーボンを主成分とする保護層のラマンスペクトルが所定のスペクトル形状となる膜質の場合にだけ、優れた耐久性、特に、LUL耐久性を得ることができることを見出した。
本発明者が見出した所定のラマンスペクトル形状とは、波長514.5nmのアルゴンイオンレーザ光により励起して得られる波数900cm−1(カイザー)より1800cm−1(カイザー)におけるラマンスペクトルから蛍光(フォトルミネッセンス)を除いたスペクトルにおいて、低波数側(1350cm−1(カイザー)付近)に現れるピーク(Dピーク)と、高波数側(1520cm−1(カイザー)付近)に現れるピーク(Gピーク)とをガウス関数により波形分離したとき、Dピークの半値幅〔Dw〕とGピークの半値幅〔Gw〕との比〔Dw/Gw〕が、0を超え2.7以下となっているラマンスペクトルである。
このようなラマンスペクトル形状となるカーボンを主成分とする保護層においては、優れた耐久性、特に、優れたLUL耐久性を得ることができることを見出した。このような比〔Dw/Gw〕に基づいてカーボンを主成分とする保護層の評価を行うことは、本発明者が初めて提案するものである。
さらに好ましくは、Dピークの半値幅〔Dw〕とGピークの半値幅〔Gw〕との比〔Dw/Gw〕が、2乃至2.7となっている場合に、より優れたLUL耐久性を得ることができる。
また、本発明者は、このような膜質のカーボンを主成分とする保護層を得ることは、例えば、プラズマCVD法により、所定の条件下で成膜を行うことによリ可能であることも見出した。
すなわち、本発明は以下の構成を有するものである。
〔構成1〕
非磁性基板上に磁性層を有しこの磁性層上にカーボンを主成分としプラズマCVD法により成膜された保護層を有する磁気ディスクの製造方法であって、保護層の成膜を、常温乃至250°C以下の環境下で行うことを特徴とするものである。
非磁性基板上に磁性層を有しこの磁性層上にカーボンを主成分としプラズマCVD法により成膜された保護層を有する磁気ディスクの製造方法であって、保護層の成膜を、常温乃至250°C以下の環境下で行うことを特徴とするものである。
〔構成2〕
非磁性基板上に磁性層を有しこの磁性層上にカーボンを主成分としプラズマCVD法により成膜された保護層を有する磁気ディスクの製造方法であって、保護層の成膜を、常温乃至150°C以下の環境下で行うことを特徴とするものである。
非磁性基板上に磁性層を有しこの磁性層上にカーボンを主成分としプラズマCVD法により成膜された保護層を有する磁気ディスクの製造方法であって、保護層の成膜を、常温乃至150°C以下の環境下で行うことを特徴とするものである。
〔構成3〕
構成1、または、構成2を有する磁気ディスクの製造方法において、保護層は、膜厚を1nm乃至5nmとして成膜することを特徴とするものである。
構成1、または、構成2を有する磁気ディスクの製造方法において、保護層は、膜厚を1nm乃至5nmとして成膜することを特徴とするものである。
〔構成4〕
構成1乃至構成3のいずれか一を有する磁気ディスクの製造方法において、保護層上に、末端基に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル化合物を含有する潤滑層を成膜することを特徴とするものである。
構成1乃至構成3のいずれか一を有する磁気ディスクの製造方法において、保護層上に、末端基に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル化合物を含有する潤滑層を成膜することを特徴とするものである。
〔構成5〕
構成1乃至構成4のいずれか一を有する磁気ディスクの製造方法において、ロードアンロード方式用の磁気ディスクを製造することを特徴とするものである。
構成1乃至構成4のいずれか一を有する磁気ディスクの製造方法において、ロードアンロード方式用の磁気ディスクを製造することを特徴とするものである。
〔構成6〕
構成1乃至構成5のいずれか一を有する磁気ディスクの製造方法において、保護層の成膜を、非磁性基板にバイアス電圧を印加しながら行うことを特徴とするものである。
構成1乃至構成5のいずれか一を有する磁気ディスクの製造方法において、保護層の成膜を、非磁性基板にバイアス電圧を印加しながら行うことを特徴とするものである。
本発明に係る磁気ディスクの製造方法においては、保護層の膜厚を、例えば、5nm以下とした場合においても、LUL方式(「ロードアンロード(Load Unload)方式」)における耐久性(LUL耐久性)に優れた磁気ディスクを製造することができる。
したがって、本発明に係る磁気ディスクの製造方法は、LUL方式が採用される小径のハードディスクを製造するのに好適である。
また、この磁気ディスクの製造方法においては、上述のDピークの半値幅〔Dw〕とGピークの半値幅〔Gw〕との比〔Dw/Gw〕が0を超え2.7以下、または、2乃至2.7となるように品質管理を行うことにより、所定のLUL耐久性を有する磁気ディスクを安定して製造することができる。この場合には、LUL耐久性を、より優れたものとすることができる。
〔磁気ディスクの製造方法について〕
本発明に係る磁気ディスクの製造方法により製造された磁気ディスクにおけるカーボンを主成分とする保護層は、アモルファス炭素からなる保護層である。この保護層は、アモルファスカーボン(いわゆる「ダイヤモンドライクカーボン」)とすることにより、好適な硬度と耐久性を得ることができる。
本発明に係る磁気ディスクの製造方法により製造された磁気ディスクにおけるカーボンを主成分とする保護層は、アモルファス炭素からなる保護層である。この保護層は、アモルファスカーボン(いわゆる「ダイヤモンドライクカーボン」)とすることにより、好適な硬度と耐久性を得ることができる。
本発明に係る磁気ディスクの製造方法により製造された磁気ディスクにおけるカーボンを主成分とする保護層膜質は、例えば、以下のような成膜方法によって形成することが可能である。CVD法(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長法)を選択することにより、好適な膜質の保護層を得ることができる。また、保護層は、バイアスを印加しながら成膜することが好ましい。
従来のスパッタリング法では、Arイオンの衝突エネルギーのみで非磁性基板上に炭素原子が堆積されるのに対し、CVD法において、エネルギーの高い状況での成膜がなされ、緻密で、かつ、高硬度の膜を成膜することができる。そのため、カーボンを主成分とする保護層においては、ダイヤモンド成分が多くなり、各ピークの半値幅の比〔Dw/Gw〕が小さくなる。
また、本発明者は、バイアス電源の電力が、各ピークの半値幅比〔Dw/Gw〕を制御するために重要なパラメータであることを見いだした。バイアス電源としては、高周波電源を用い、−100W乃至−400W、好ましくは、−100W乃至−300Wの高周波電力を非磁性基板に印加することが望ましい。バイアス電源の周波数については、特に限定する必要はないが、RF周波数とすることができ、例えば、27MHz程度とすることができる。
本発明において、CVD法については、特に制限はないが、プラズマを用いて原子を励起させるプラズマCVD法(P−CVD)を採用することが好ましい。プラズマCVD法で形成された保護層は、緻密性と硬度が高く、磁性層の金属イオンが磁気ディスク表面にマイグレートするのを好適に防止できるので、薄膜化した保護層として、特に好ましく、また、LUL耐久性にも優れている。
プラズマCVD法により保護層を形成する場合にあっては、反応性ガスとして炭化水素ガスを用いて、アモルファスカーボン(ダイヤモンドライクカーボン)を形成することが好ましい。
CVD法における反応性ガスとしては、低級炭化水素を用いることが好ましい。特に、低級飽和炭化水素、低級不飽和炭化水素、あるいは、低級環式炭化水素のいずれかを用いることが好ましい。低級飽和炭化水素としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、オクタン等を用いることができる。また、低級不飽和炭化水素としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、アセチレン等を用いることができる。また、低級環式炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン、ナフタレン、シクロヘキサン等を用いることができる。なお、ここで言う低級とは、1分子あたりの炭素数が1乃至10の炭化水素のことである。
反応性ガスとして低級炭化水素を用いることが好ましい理由は、1分子あたりの炭素数が増大するに従って、ガスとして気化させて成膜装置に供給することが困難となることに加え、プラズマ放電時の分解が困難となるからである。また、1分子あたりの炭素数が増大すると、形成した保護層の成分に高分子の炭化水素成分が多く含有されやすくなり、保護層の緻密性と硬度を低下させるため好ましくないからである。
この観点から、反応性ガスとなる炭化水素としては、低級炭化水素を用いることが好適であり、特に、アセチレンを用いると、緻密、かつ、高硬度の保護層を形成することができ、特に好ましい。
また、プラズマCVD法で形成する保護層は、水素を含むアモルファスカーボン(水素化ダイヤモンドライクカーボン)の保護層とするのが好ましい。保護層を水素を含むアモルファスカーボンとすることで、保護層の緻密性がさらに向上し、また、硬度も向上させることができるので、本発明にとって、特に好ましい。
この場合、水素の含有量は、HFS(水素前方散乱法)により測定したときに、炭素に対して、3at%以上、20at%未満とするのが好ましい。水素を含むアモルファスカーボンからなる保護層において、炭素に対する水素の含有量が3at%未満の場合には、緻密性が低下する虞れがあるので、金属イオンのマイグレートを防止できない虞れがある。また、この場合には、保護層の硬度が低下する虞れがあるので、LUL起動時の衝撃カから磁性層を好適に保護できない虞れがある。水素を含むアモルファスカーボンからなる保護層において、炭素に対する水素の含有量が20at%以上の場合には、ポリマー状の炭素成分が増大して、磁性層に対する付着性能が低下する虞れがあり、LUL起動時に磁性層から剥がれる虞れがあるので好ましくない。
また、プラズマCVD法で形成する保護層は、水素と窒素とを含むアモルファスカーボン(水素化窒素化ダイヤモンドライクカーボン)とすることも好ましい。本発明者は、水素と窒素とを含むアモルファスカーボンからなる保護層において、炭素に対する窒素の含有量が、各ピークの半値幅比〔Dw/Gw〕を制御するために重要なパラメータであることを見いだした。また、この場合の保護層における炭素に対する窒素の含有量は、後述する潤滑層との密着性とも関係がある。
さらに、本発明者は、保護層の成膜時の成膜温度が、各ピークの半値幅比〔Dw/Gw〕を制御するために重要なパラメータであることを見いだした。
保護層の成膜時の成膜温度は、250°C以下とすることが好ましい。成膜温度が高くなりすぎると、非磁性基板に到達した炭素原子が非磁性基板上で動きやすい状況となり、表層まで炭素原子が拡散し、グラファイト的な成長となると思われる。
さらに好ましくは、保護層の成膜直前に、非磁性基板を強制的に冷却することが望ましい。このときの非磁性基板の温度としては、150°C以下とすること望ましい。通常、成膜装置に非磁性基板を投入した直後には、この非磁性基板は、ヒータにより、300°C付近まで加熱される場合がある。これは、磁性層が磁気ディスクとしての所望の保磁力を維持できるようにするためである。このため、非磁性基板上に、順次、下地層、磁性層と成膜していくにつれて、非磁性基板の温度は徐々に低下するが、保護層を成膜するときに十分に温度が低下していない場合が生じる。したがって、このような場合には、保護層を成膜する直前に、非磁性基板を冷却することが望ましい。
具体的には、保護層の成膜の直前に、チャンバ内に、比熱が大きく冷却効率の高いHe(ヘリウム)ガスを導入することで、クーリング機能を持たせ、非磁性基板の温度を低下させることが可能である。保護層の成膜温度の下限については、特に限定する必要はないが、実用上は、常温(例えば、20°C程度)以上の温度とすることが好ましい。
また、プラズマCVD法により保護層を成膜する場合において、成膜時の堆積速度を所定の速度とすることにより、所望の膜質の保護層を得ることが容易となる。この堆積速度は、0.2〔nm/秒〕乃至1.8〔nm/秒〕程度とすることが好ましい。
そして、本発明にあっては、保護層上に形成される潤滑層は、末端基に水酸基を有するパーフルオロポリエーテルとすることが好ましい。パーフルオロポリエーテルは、直鎖構造を備え、磁気ディスクの潤滑層として適度な潤滑性能を発揮するともに、末端基に水酸基(OH)を備えていることにより、保護層に対して高い密着性能を発揮することができる。特に、保護層に窒素が含有されている場合においては、窒素イオン(N+)と水酸イオン(OH−)とが高い親和性を奏するので、保護層に対する潤滑層の高い密着率を得ることができ、好適である。
なお、末端基に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル化合物としては、1分子が備える水酸基の数は、2個乃至4個とすると好ましい。1分子が備える水酸基の数が2個未満である場合には、保護層に対する潤滑層の密着率が低下する虞れがあるため、好ましくなく、また、1分子が備える水酸基の数が4個を超えると、保護層に対する潤滑層の密着率が向上し過ぎる結果、潤滑性能が低下する虞れがあるからである。
潤滑層の膜厚は、0.5nm乃至1.5nmの範囲内で、適宜調節するとよい。潤滑層の膜厚が0.5nm未満である場合には、潤滑性能が低下する虞れがあり、潤滑層の膜厚が1.5nmを超えると、保護層に対する潤滑層の密着率が低下する虞れがあるからである。
本発明において、保護層の膜厚は、1nm以上5nm以下であることが好ましくい。保護層の膜厚が1nm未満である場合には、磁性層の金属イオンのマイグレートを防止することが十分にできない虞れがあり、また、LUL耐久性、耐摩耗性にも問題がある。また、この保護層の膜厚については、磁気ディスクと磁気ヘッドとの間のスペーシングロスの改善を阻害しないように、5nm以下とすることが好ましい。そして、本発明は、保護層の膜厚を5nm以下とした場合に、特に有用性が高い。
そして、本発明に係る磁気ディスクの製造方法により製造された磁気ディスクは、LUL方式のHDD(ハードディスクドライブ)用の磁気ディスクとして、好適に用いることができる。
また、本発明において、非磁性基板としては、ガラス基板を用いることが好ましい。ガラス基板は、表面が平滑で、剛性も高いので、磁気ヘッドの浮上量を安定的に減少させることができ、磁気ディスクと磁気ヘッドとの間のスペーシングロスの改善が可能となるので、本発明にとって、特に好ましい。
ガラス基板の材料としては、アルミノシリケートガラスが特に好ましい。アルミノシリケートガラスは、化学強化処理により、高い剛性強度を得ることができる。
本発明において、磁気ディスク表面の表面粗さは、Rmaxで6nm以下、Raで0.6nm以下であることが好ましい。Rmaxが6nmを超えると、磁気ディスクと磁気ヘッドとの間のスペーシングロスの改善を阻害する虞れがあり、好ましくない。なお、この表面粗さとは、日本工業規格(JIS)B0601に定められているものである。
〔磁気ディスクの評価方法について〕
ここで述べる磁気ディスクの評価方法は、非磁性基板上に磁性層を有しこの磁性層上に保護層を有する磁気ディスクの評価方法であって、保護層を波長514.5nmのアルゴンイオンレーザ光により励起することにより得られる波数900cm−1より波数1800cm−1におけるラマンスペクトルから蛍光を除き、1350cm−1付近に現れるDピークと1520cm−1付近に現れるGピークとをガウス関数により波形分離し、Dピークの半値幅Dwと前記Gピークの半値幅Gwとの比Dw/Gwに基づいて、保護層の膜質を評価するものである。
ここで述べる磁気ディスクの評価方法は、非磁性基板上に磁性層を有しこの磁性層上に保護層を有する磁気ディスクの評価方法であって、保護層を波長514.5nmのアルゴンイオンレーザ光により励起することにより得られる波数900cm−1より波数1800cm−1におけるラマンスペクトルから蛍光を除き、1350cm−1付近に現れるDピークと1520cm−1付近に現れるGピークとをガウス関数により波形分離し、Dピークの半値幅Dwと前記Gピークの半値幅Gwとの比Dw/Gwに基づいて、保護層の膜質を評価するものである。
この磁気ディスクの評価方法においては、磁気ディスクについて、LUL方式(「ロードアンロード(Load Unload)方式」)における耐久性(LUL耐久性)を評価することができる。
したがって、この磁気ディスクの評価方法は、LUL方式が採用される小径のハードディスクを評価するのに好適である。
また、この磁気ディスクの評価方法においては、上述のDピークの半値幅〔Dw〕とGピークの半値幅〔Gw〕との比〔Dw/Gw〕が0を超え2.7以下、または、2乃至2.7となっているかを判断することにより、所定のLUL耐久性を有する磁気ディスクかどうかを評価することができる。
このように、磁気ディスクのカーボンを主成分とする保護層の膜質を、上述のように、本発明で定義されるラマンスペクトル形状、すなわち、上述のDピークの半値幅〔Dw〕とGピークの半値幅〔Gw〕との比〔Dw/Gw〕を0を超え2.7以下、または、2乃至2.7とすることにより、優れた耐摩耗性を有する保護層を得ることができ、耐久性に優れ、特に、LUL方式用として好適な磁気ディスクを得ることができる。
Dピークは、一般に、カーボンの結晶性に起因するピークであり、ダイヤモンド結合を示すSP3の指標である。また、Gピークは、一般に、グラフアイトに起因するピークであリ、グラファイト結合を示すSP2の指標である。
Dピークの半値幅が小さくなるという現象は、ダイヤモンド結合を示すSP3成分が保護層中に多く存在するために、Dピークそのものがシャープになるために起こる現象であると考えられる。このとき、保護層中のSP2成分が相対的に減少するため、Gピークがブロードになり、結果として、Gピークの半値幅は大きくなる。
したがって、各ピークの半値幅の比〔Dw/Gw〕を求めると、ダイヤモンド構造が支配的でSP3成分が多くなった場合には、〔Dw/Gw〕は減少し、一方、グラファイト構造が支配的でSP2成分が多くなった場合には、〔Dw/Gw〕は増加することとなる。
このように、半値幅の比〔Dw/Gw〕を指標として用いる場合には、ラマンスペクトルにおける蛍光の影響を受けない。したがって、直接的に、SP3、SP2の評価を行うことが可能となる。
従来、保護層におけるダイヤモンド結合を示すSP3成分の指標であるDピークに関して、そのピーク強度の大きさが、保護層の耐久性と関係があるといわれていた。ところが、ラマンスペクトルにおけるピーク強度は、膜厚が薄くなるにつれて減少する。そのため、従来の指標であるピーク強度の比率(D/G)は、膜厚が薄くなるにつれて、測定誤差が大きくなり、適切な評価が不可能になってしまう。また、保護層の膜厚を5nm以下とすることを前提とすると、ピーク強度自体の低下も相俟って、必ずしもDピーク強度が大きいものが耐久性が良いとは限らないことがわかった。
さらに、従来の指標においては、ピーク強度のみに着目しているので、ばらつき(分散)の影響を考慮することができなかった。本発明において着目している半値幅の比〔Dw/Gw〕は、特に、SP3のばらつきをも考慮したものとなっている。すなわち、保護層中のSP3に起困する成分のばらつきを低減させることにより、耐久性の高い保護層とすることができることがわかったのである。本発明者は、このようにSP3のばらつきを小さくする手段として、成膜条件を設定し、かつ、ばらつきを監視する指標として、各ピークの半値幅の比〔Dw/Gw〕がもっとも直接的で有効であることを見いだした。
この磁気ディスクの評価方法においては、従来の指標であるピーク強度の比率(B/A)よりも、保護層中のダイヤモンド構造及びグラファイト構造の状態を正確に評価できるため、保護層の膜厚が5nm以下である場合においても、耐摩耗性との間に優れた相関性のある評価を行うことができる。
本発明に係る磁気ディスクの製造方法においては、保護層の膜厚を、例えば、5nm以下とした場合においても、LUL方式(「ロードアンロード(Load Unload)方式」)における耐久性(LUL耐久性)に優れた磁気ディスクを製造することができる。
したがって、本発明に係る磁気ディスクの製造方法は、LUL方式が採用される小径、かつ、大容量のハードディスクを製造するのに好適である。
また、この磁気ディスクの製造方法においては、上述のDピークの半値幅〔Dw〕とGピークの半値幅〔Gw〕との比〔Dw/Gw〕が0を超え2.7以下、または、2乃至2.7となるように品質管理を行うことにより、所定のLUL耐久性を有する磁気ディスクを安定して製造することができる。
図1は、本発明の実施の形態における磁気ディスクの層構成を模式的に示す断面図である。
この磁気ディスク10は、非磁性基板であるガラス基板1と、このガラス基板1上に形成された磁性層3と、この磁性層3上に形成された保護層4と、この保護層4上に形成された潤滑層5とを少なくとも備えて構成される。
そして、非磁性基板1と磁性層3との間には、シード層2a及び下地層2bからなる非磁性金属層(非磁性下地層)2が形成されている。この磁気ディスク10において、磁性層3以外は、全て非磁性体からなる層である。この実施の形態においては、磁性層3及び保護層4、保護層4及び潤滑層5は、それぞれ接した状態で形成されている。
この磁気ディスク10について、以下、実施例及び比較例を挙げることにより、具体的に説明する。なお、本発明は、これら実施例の構成に限定されるものではない。
〔実施例1〕
以下、本発明の実施例1の磁気ディスクの製造方法を説明する。
以下、本発明の実施例1の磁気ディスクの製造方法を説明する。
まず、アルミノシリケートガラスをディスク状に成型してガラスディスクとし、このガラスディスクに、研削、精密研磨、端面研磨、精密洗浄、化学強化処理を施すことにより、平坦、かつ、平滑な、高剛性の磁気ディスク用のガラス基板1を得た。
このガラス基板1は、直径が27.4mm、内径が7mm、ディスク厚が0.381mmの「1.0インチ型」磁気ディスク用ガラス基板である。
ここで、得られたガラス基板1の表面粗さをAFM(原子間力顕微鏡)で観察したところ、Rmaxが4.48nm、Raが0.40nmの平滑な表面であることが確認された。
次に、静止対向型成膜装置を用いて、ガラス基板1上に、DCマグネトロンスパッタリングにより、シード層2a、下地層2b、磁性層3について、順次成膜を行なった。すなわち、まず、スパッタリングターゲットとして、Al−Ru(アルミニウム−ルテニウム)合金(Al:50at%、Ru:50at%)を用いて、ガラス基板上1に、膜厚30nmのAl−Ru合金からなるシード層2aをスパッタリングにより成膜した。次に、スパッタリングターゲットとして、Cr−Mo(クロム−モリブデン)合金(Cr:80at%、Mo:20at%)を用いて、シード層2a上に、膜厚20nmのCr−Mo合金からなる下地層2bをスパッタリングにより成膜した。次いで、スパッタリングターゲットとして、Co−Cr−Pt−B(コバルト−クロム−プラチナ−ボロン)合金(Cr:20at%、Pt:12at%、B:5at%、残部Co)からなるスパッタリングターゲットを用いて、下地層2b上に、膜厚15nmのCo−Cr−Pt−B合金からなる磁性層3をスパッタリングにより形成した。
非磁性金属層2を成膜する前に、ヒータ加熱方式を用いて、非磁性基板1を加熱しておき、磁性層3上に保護層4を形成するときに、非磁性基板1の温度が250°Cになるようにした。なお、非磁性基板1の温度は、保護層4を形成する直前に、チャンバの窓を介して、放射温度計を用いて確認した。
そして、形成された磁性層3上に、プラズマCVD(P−CVD)を用いて、炭素、水素、窒素からなる保護層4を形成した。具体的には、反応性ガスとして、アセチレン97%、窒素3%の割合で混合した混合ガスを用いて、磁性層3上に、プラズマCVDにより、膜厚3.0nmの保護層4が形成されるように、成膜を行った。
なお、所定の膜質の保護層4が得られるように、この保護層4の成膜時の成膜速度を、1〔nm/秒〕とした。また、保護層4の形成に際しては、周波数27MHzの高周波電力を電極に印加し、プラズマを発生させた。さらに、−300Wのバイアスを印加した。
保護層4の膜厚は、透過型電子顕微鏡(TEM)による断面観察により、実膜厚を測定した。
なお、このとき、プラズマに電圧を印加する等により、IBD(Ion Beam Deposition)としてプラズマCVD成膜を行なってもよい。この場合、イオンビーム引出し電圧によっても、保護膜4の膜質を制御することが可能である。
そして、保護層4を形成後に、この保護層4について、波長514.5nmのアルゴンイオンレーザ光により励起して得られる波数900cm−1(カイザー)より1800cm−1におけるラマンスペクトルを得た。そして、このラマンスペクトルから蛍光(フォトルミネッセンス)を除いたスペクトルにおいて、低波数側(1350cm−1付近)に現れるピーク(Dピーク)と、高波数側(1520cm−1付近)に現れるピーク(Gピーク)とをガウス関数により波形分離した。このとき、Dピークの半値幅〔Dw〕とGピークの半値幅〔Gw〕との比〔Dw/Gw〕は、2.12であった。
この測定結果及び後述する試験結果、並びに、後述する他の実施例及び比較例についての測定結果及び試験結果について、以下の〔表1〕に示す。
図2は、本発明の実施の形態において得られたラマンスペクトルを模式的に示すグラフである。
図3は、本発明の実施の形態において得られた蛍光を除いたラマンスペクトルを模式的に示すグラフである。
ラマン分光分析の測定条件は、以下のように行なった。まず、保護層4の表面に、波長が514.5nmのアルゴンイオン(Ar2+)レーザ光を照射し、図2に示すように、900cm−1より1800cm−1の波数帯に表れるラマン散乱によるラマンスペクトルを得た。このラマンスペクトルから蛍光(フォトルミネッセンス)を除いた。具体的には、得られたラマンスペクトルにおいて、波数900cm−1の点Aと波数1800cm−1の点Bとを直線で結び、この直線より下の部分を蛍光(フォトルミネッセンス)の寄与によるバックグラウンドとみなして、図3に示すように、このバックグラウンドを除く補正を行う。このように蛍光(フォトルミネッセンス)を除いたラマンスペクトルを利用して、前述の定義に従って、Dピーク及びGピークをガウス関数により波形分離し、これらDピーク及びGピークの半値幅〔Dw〕,〔Gw〕を求め、半値幅の比〔Dw/Gw〕を算出した。
このようなラマン分光分析は、通常は、保護層4上に潤滑剤を塗布して潤滑層5を形成する前に行うが、潤滑層5を形成した後に行ってもよい。潤滑層5の形成の前後でラマン分光分析を行ったところ、〔Dw/Gw〕値は全く同じ値を示しており、末端基に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル系材料からなる潤滑層5の存在が、ラマン分光分析に対して影響することはないことが明らかとなった。
なお、ここで、前述の特許文献1に記載されているように、B/A値及びD/G値についても求めた。
洗浄をした後の保護層4上に、ディップ法を用いて、パーフルオロポリエーテル(PFPE)化合物からなる潤滑層5を形成した。具体的には、「アウジモント社」製のアルコール変性フォンプリンゼット誘導体を用いた。この化合物は、パーフルオロポリエーテルの主鎖の両末端に、それぞれ1個乃至2個、すなわち、1分子あたり2個乃至4個の水酸基を末端基として備えている。潤滑層5の膜厚は、1nmである。
以上のようにして、磁気ディスク10を製造した。この磁気ディスク10において、保護層4は、水素と窒素とを含むアモルファスカーボン(水素化窒素化ダイヤモンドライクカーボン)からなる層となっている。
保護層4中に含有される窒素の濃度(配合量)を後述のESCA法により求めたところ、〔窒素原子/炭素原子〕濃度で0.08であった。さらに、保護層4中に含有される水素の濃度(配合量)をHFS(水素前方散乱法)により測定したところ、10原子%であった。
この磁気ディスク10の表面粗さをAFMで観察したところ、Rmaxが4.61nm、Raが0.41nmの平滑な表面であることが確認された。
また、グライドハイトを測定したところ、4.7nmであった。なお、磁気ヘッドの浮上量を安定的に12nm以下とする場合には、磁気ディスクのグライドハイトは、6nm以下とすることが望ましいので、この磁気ディスクは、この基準に適合している。
そして、この磁気ディスク10の各種の性能を、以下のようにして評価分析した。
(1)ピンオンディスク試験
ピンオンディスク試験は、以下のようにして行った。すなわち、保護層4の耐久性及び耐磨耗性を評価するために、Al2O3−TiCからなる直径2mmの球を、15g荷重で磁気ディスク10の半径22mm位置の保護層4上に押し付けながら、この磁気ディスク10を回転させた。そして、A2O3−TiCの球と、保護層4とを、2〔m/秒〕の速度で相対的に回転摺動させ、この摺動により保護層4が破壊に至るまでの摺動回数を測定した。
ピンオンディスク試験は、以下のようにして行った。すなわち、保護層4の耐久性及び耐磨耗性を評価するために、Al2O3−TiCからなる直径2mmの球を、15g荷重で磁気ディスク10の半径22mm位置の保護層4上に押し付けながら、この磁気ディスク10を回転させた。そして、A2O3−TiCの球と、保護層4とを、2〔m/秒〕の速度で相対的に回転摺動させ、この摺動により保護層4が破壊に至るまでの摺動回数を測定した。
このピンオンディスク試験においては、保護層4が破壊に至るまでの摺動回数を保護層4の膜厚で規格化した値(すなわち、〔摺動回数/nm〕)が、100回/nm以上であれば、合格とする。なお、実際の使用環境において、通常は、磁気ヘッドは磁気ディスク10に接触しないので、このピンオンディスク試験は、実際の使用環境に比べて過酷な環境での耐久試験である。
この実施例における磁気ディスク10は、ピンオンディスク試験において、〔表1〕に示すように、250〔回/nm〕を超える結果を得ることができた。
(2)フライスティクション試験
フライスティクション試験とは、同様の磁気ディスク10を100枚製作し、フライングハイトが10nmの磁気ヘッドを用いて、これら100枚の磁気ディスクの全面グライド検査を行うものである。
フライスティクション試験とは、同様の磁気ディスク10を100枚製作し、フライングハイトが10nmの磁気ヘッドを用いて、これら100枚の磁気ディスクの全面グライド検査を行うものである。
磁気ディスクにおいてフライスティクションが発生すると、磁気ヘッドに設置されたピエゾ素子センサ(または、AEセンサ)でモニタしているグライド信号が、磁気ディスクの全トラックにおいて突然発散するので、オッシロスコープによる観察により、その発生を判別することができる。また、フライスティクションが発生した場合には、グライド検査の通過率が激減するので、フライステクションの発生傾向は、グライト検査の通過率によってもわかる。
フライスティクション試験の通過率(歩留まり)は、高ければ高いほど磁気ディスクの製造コストが下がるので望ましいが、90%以上であれば問題とされない。フライスティクション試験の通過率が80%である場合、製造コストの上昇はあるが、許容範囲内である。
この実施例における磁気ディスク10においては、フライスティクション試験の通過率は、〔表1〕に示すように、95%であった。
(3)LUL耐久性試験
LUL耐久性試験は、この磁気ディスクをHDD(ハードディスクドライブ)に搭載し、5400rpmで回転させ、磁気ヘッドの浮上量を10nmとして行なった。
LUL耐久性試験は、この磁気ディスクをHDD(ハードディスクドライブ)に搭載し、5400rpmで回転させ、磁気ヘッドの浮上量を10nmとして行なった。
なお、磁気ヘッドのスライダーとしては、NPAB(負圧型)スライダーを用い、再生素子としては、GMR型素子を用いた。磁気ディスク10をこのHDD(ハードディスクドライブ)に搭載し、磁気ヘッドにより、LUL動作を連続して行ない、HDDが故障することなく耐久したLUL回数を測定した。そして、このLUL回数をLUL耐久性として評価を行う。
本実施例の磁気ディスク10においては、LUL回数は、〔表1〕に示すように、故障なく100万回を超えることができた。
通常、このようなLUL耐久性試験では、LUL回数は、故障なく連続して40万回を超えることが必要とされている。通常のHDDの使用環境において、LUL回数が40万回を超えるには、10年程度の使用が必要であると言われている。
〔実施例2〕
この実施例2では、実施例1の磁気ディスクの製造方法において、保護層4を形成するときの非磁性基板1の温度を200°Cとした。
この実施例2では、実施例1の磁気ディスクの製造方法において、保護層4を形成するときの非磁性基板1の温度を200°Cとした。
ここで得られた磁気ディスクに対して、実施例1と同様に、評価分析を行なった結果は〔表1〕に示すように、〔Dw/Gw〕値(2.05)、ピンオンディスク試験の結果(320〔回/nm〕)、フライスティクション試験の結果(96%)は、いずれも規格内となっている。また、保護層4の成膜温度を200°Cに下げた本実施例のほうが、ピンオンディスク試験の結果が320〔回/nm〕、フライスティクション試験の通過率が96%と、実施例1よりも望ましい結果となった。
また、LUL耐久性試験の結果についても、100万回以上となっており、問題がない。
〔実施例3〕
この実施例3では、実施例1の磁気ディスクの製造方法において、保護層4を形成するときの印可バイアスを−100Wとした。
この実施例3では、実施例1の磁気ディスクの製造方法において、保護層4を形成するときの印可バイアスを−100Wとした。
ここで得られた磁気ディスクに対して、実施例1と同様に、評価分析を行なった結果は〔表1〕に示すように、〔Dw/Gw〕値(2.32)、ピンオンディスク試験の結果(120〔回/nm〕)、フライスティクション試験の結果(92%)は、いずれも規格内となっている。
また、LUL耐久性試験の結果についても、100万回以上となっており、問題がない。
〔実施例4〕
この実施例4では、実施例1の磁気ディスクの製造方法において、保護層4を形成するときの印可バイアスを−400Wとした。
この実施例4では、実施例1の磁気ディスクの製造方法において、保護層4を形成するときの印可バイアスを−400Wとした。
ここで得られた磁気ディスクに対して、実施例1と同様に、評価分析を行なった結果は〔表1〕に示すように、〔Dw/Gw〕値(2.08)、ピンオンディスク試験の結果(300〔回/nm〕)、フライスティクション試験の結果(95%)は、いずれも規格内となっている。また、保護層4を形成するときの印可バイアスを−400Wとした本実施例のほうが、ピンオンディスク試験の結果が300〔回/nm〕と、実施例1よりも望ましい結果となった。
実施例1、実施例3及び実施例4を比較すると、保護層4を形成するときの印可バイアスを高くしたほうが、ピンオンディスク試験の結果が良くなることがわかる。
また、LUL耐久性試験の結果についても、100万回以上となっており、問題がない。
〔実施例5〕
この実施例5では、実施例1の磁気ディスクの製造方法と同様に、保護層4を形成するときの印可バイアスを−300Wとした。そして、保護層4の膜厚を5nmとした。保護層4の膜厚が異なること以外は、実施例1と同様である。
この実施例5では、実施例1の磁気ディスクの製造方法と同様に、保護層4を形成するときの印可バイアスを−300Wとした。そして、保護層4の膜厚を5nmとした。保護層4の膜厚が異なること以外は、実施例1と同様である。
ここで得られた磁気ディスクに対して、実施例1と同様に、評価分析を行なった結果は〔表1〕に示すように、〔Dw/Gw〕値(2.10)、ピンオンディスク試験の結果(500〔回/nm〕)、フライスティクション試験の結果(96%)は、いずれも規格内となっている。この実施例5では、保護層4の膜厚が実施例1よりも厚いので、ピンオンディスク試験の結果が500〔回/nm〕と、実施例1に比較して耐久信頼性が高いという結果になっている。
また、LUL耐久性試験の結果についても、100万回以上となっており、問題がない。
〔実施例6〕
この実施例5では、実施例1の磁気ディスクの製造方法において、炭素保護層4を形成するときの印可バイアスを調整し、〔Dw/Gw〕値が2.7以下で2.7に近い値となるようにしした。
この実施例5では、実施例1の磁気ディスクの製造方法において、炭素保護層4を形成するときの印可バイアスを調整し、〔Dw/Gw〕値が2.7以下で2.7に近い値となるようにしした。
ここで得られた磁気ディスクに対して、実施例1と同様に、評価分析を行なった結果は〔表1〕に示すように、〔Dw/Gw〕値が2.68となっており、ピンオンディスク試験の結果(110〔回/nm〕)、フライスティクション試験の結果(91%)は、いずれも規格内となっている。
また、LUL耐久性試験の結果についても、100万回以上となっており、問題がない。
〔実施例7〕
この実施例7では、実施例1の磁気ディスクの製造方法において、保護層4を、炭素及び水素からなる保護層として形成した。具体的には、反応性ガスとしてアセチレンガスのみを用いて、保護層を形成した。他は実施例1と同様である。
この実施例7では、実施例1の磁気ディスクの製造方法において、保護層4を、炭素及び水素からなる保護層として形成した。具体的には、反応性ガスとしてアセチレンガスのみを用いて、保護層を形成した。他は実施例1と同様である。
ここで得られた磁気ディスクに対して、実施例1と同様に、評価分析を行なった結果は〔表1〕に示すように、〔Dw/Gw〕値が1.99となっており、ピンオンディスク試験の結果(400〔回/nm〕)は良好である。ただし、フライスティクション試験の結果が75%、LUL耐久性試験の結果が20万回で故障と、いずれも各実施例に比較するとやや劣っている。
すなわち、実施例1において述べたように、保護層4は、炭素、水素及び窒素からなる保護層とすることが、より望ましい。これは、潤滑剤との密着性を向上させるために、窒素を配合することが望ましいからであると考えられる。窒素を配合しない状態では、潤滑剤との密着性が悪いため、フライスティクション等が頻発するという問題がある。
また、窒素を配合せず、炭素及び水素からなる保護層を形成した場合には、〔Dw/Gw〕値が小さくなり、2未満となる。逆に、窒素の配合量が多いと、〔Dw/Gw〕値は大きくなり、窒素の配合量が多すぎる場合には、〔Dw/Gw〕値が2.7を超えることとなる。
〔Dw/Gw〕値が小さいほうが、ピンオンディスク試験の結果は良くなる。しかし、潤滑剤との密着カが弱いと、フライスティクションが発生し、結果として、ロードアンロード試験としては不良となる。そこで、LUL方式の磁気ディスクとしては、〔Dw/Gw〕値は、2以上2.7以下であることがより望ましいことになる。
〔Dw/Gw〕値の調整は、上述の各実施例及び各比較例からわかるように、保護層4を形成するときの、非磁性基板1の温度、印加バイアス値、反応性ガスの窒素濃度によって行うことができる。〔Dw/Gw〕値を0を超え2.7以下とするには、非磁性基板1の温度が250°C以下であることが好ましく、印加バイアス値が−100W乃至−400Wであることが望ましい。さらに、〔Dw/Gw〕値を2乃至2.7とするには、保護層4中に含有される窒素の濃度(配合量)は、ESCA(光電子分光分析装置)による測定での〔窒素原子/炭素原子〕が0.05乃至0.2であることが好ましい。
なお、ESCA(光電子分光分析装置)による保護層4の窒素含有量測定は、磁気ディスクの半径22mmの個所について、以下の条件により測定したものである。
装置としては、「フィジカルエレクトロニクス」(Physical Electronics)社製の「Quantum2000」を使用し、X線励起源として、Al−Kα線(1486.6eV)、X線源は、20W、分析室真空度は、2×10−9〔Torr〕以下、パスエネルギー117.5eV、光電子検出角45°、測定対象ピークは炭素(C1s)、窒素(N1s)、分析領域100μmφ、積算回数は10回である。これらの条件における測定後に、C1s、N1sのピーク強度より算出したそれぞれの原子%から、窒素原子と炭素原子との比率を算出する。
なお、潤滑剤の塗布後に測定する場合には、炭素(C1s)、窒素(N1s)、フッ素(F1s)を測定対象ピークとして測定する。潤滑剤の塗布後に測定した場合には、フッ素を除いた炭素、窒素の合計を100%として、窒素原子と炭素原子との比率を算出する。潤滑剤の有無によって、測定される窒素原子と炭素原子との比率が変動することはない。
〔比較例1〕
次に、比較例の磁気ディスクの製造方法を実施した。
次に、比較例の磁気ディスクの製造方法を実施した。
この比較例1では、実施例1の磁気ディスクの製造方法において、炭素保護層4を形成するときの印可バイアスを0とした。他は実施例1と同様である。
ここで得られた磁気ディスクに対して、実施例1と同様に、評価分析を行なった結果は〔表1〕に示すように、〔Dw/Gw〕値が2.71となっており、ピンオンディスク試験の結果(40〔回/nm〕)、フライスティクション試験の結果(89%)、LUL耐久性試験の結果(20万回で故障)のいずれも規格外となっており、不合格である。
〔比較例2〕
この比較例2では、実施例1の磁気ディスクの製造方法において、保護層4を形成するときの非磁性基板の温度を285°Cとした。他は実施例1と同様である。
この比較例2では、実施例1の磁気ディスクの製造方法において、保護層4を形成するときの非磁性基板の温度を285°Cとした。他は実施例1と同様である。
ここで得られた磁気ディスクに対して、実施例1と同様に、評価分析を行なった結果は〔表1〕に示すように、〔Dw/Gw〕値が2.73となっており、ピンオンディスク試験の結果(30〔回/nm〕)、フライスティクション試験の結果(87%)、LUL耐久性試験の結果(15万回で故障)のいずれも規格外となっており、不合格である。
〔比較例3〕
このこの比較例3では、保護層4を、プラズマCVDではなく、スパッタリング法によって形成した。
このこの比較例3では、保護層4を、プラズマCVDではなく、スパッタリング法によって形成した。
ここで得られた磁気ディスクに対して、実施例1と同様に、評価分析を行なった結果は〔表1〕に示すように、〔Dw/Gw〕値は2.20となっているが、ピンオンディスク試験の結果(1〔回/nm〕)が全く不良であり、フライスティクション試験の結果も10%、LUL耐久性試験の結果が0.01万回(100回)で故障と、いずれも規格外となっており、不合格である。
なお、本発明を適用しようとするカーボンを主成分としプラズマCVD法により成膜される保護層の膜質については、これまでに述べてきた通りであるが、本発明は、例えば、B/A値やD/G値については、B/A値が1.0乃至2.8、D/G値が0.4乃至1.5である膜質の保護層について適用することができる。
また、本発明において、磁気ディスクの径(サイズ)については、特に限定されるものではない。しかし、本発明は、特に、小径の磁気ディスクに用いると優れた有用性を発揮する。ここでいう小径とは、例えば、直径が65mm以下、特に、50mm以下の磁気ディスクである。すなわち、例えば、直径が30mm以下の小径の磁気ディスクは、いわゆる「カーナビゲーションシステム」などの車載用機器や、いわゆる「PDA」や携帯電話端末装置などの携帯用機器における記憶装置に用いられ、固定されて使用される機器における通常の磁気ディスクに比較して高い耐久性や耐衝撃性が要求され、本発明を適用することにより、これら要求を満足することができるからである。
1 ガラス基板
2 非磁性金属層
2a シード層
2b 下地層
3 磁性層
4 保護層
5 潤滑層
10 磁気ディスク
2 非磁性金属層
2a シード層
2b 下地層
3 磁性層
4 保護層
5 潤滑層
10 磁気ディスク
Claims (6)
- 非磁性基板上に磁性層を有し、この磁性層上に、カーボンを主成分としプラズマCVD法により成膜された保護層を有する磁気ディスクの製造方法であって、
前記保護層の成膜を、常温乃至250°C以下の環境下で行うことを特徴とする磁気ディスクの製造方法。 - 非磁性基板上に磁性層を有し、この磁性層上に、カーボンを主成分としプラズマCVD法により成膜された保護層を有する磁気ディスクの製造方法であって、
前記保護層の成膜を、常温乃至150°C以下の環境下で行うことを特徴とする磁気ディスクの製造方法。 - 前記保護層は、膜厚を1nm乃至5nmとして成膜することを特徴とする
請求項1、または、請求項2記載の磁気ディスクの製造方法。 - 前記保護層上に、末端基に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル化合物を含有する潤滑層を成膜する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の磁気ディスクの製造方法。 - ロードアンロード方式用の磁気ディスクを製造する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載の磁気ディスクの製造方法。 - 前記保護層の成膜を、前記非磁性基板にバイアス電圧を印加しながら行う
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の磁気ディスクの製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPWO2014077382A1 (ja) * | 2012-11-19 | 2017-01-05 | 株式会社Uacj | 拡管プラグ及び金属管の拡管方法 |
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2006
- 2006-03-28 JP JP2006088060A patent/JP2006209965A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPWO2014077382A1 (ja) * | 2012-11-19 | 2017-01-05 | 株式会社Uacj | 拡管プラグ及び金属管の拡管方法 |
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