JP2013182640A - 磁気記録媒体及びその製造方法並びにそれを用いた磁気記憶装置 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法並びにそれを用いた磁気記憶装置 Download PDF

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Abstract

【課題】sp3結合比率が高いテトラヘドラル・アモルファスカーボン膜を代表とした膜厚3nm未満の保護膜を備え,磁気ディスク装置としてヘッド浮上性が確保可能な磁気記録媒体とその製造方法を提供する。
【解決手段】大気中での紫外線照射などにより,膜厚が1.0nm以上3.0nm未満の炭素を主成分とする保護膜の最表面から深さ0.5nmの炭素原子間結合比率sp3/(sp2+sp3)値を40%以上,50%未満に改質する。
【選択図】図9

Description

本発明は,熱アシスト磁気記録媒体,垂直磁気記録媒体,ディスクリートトラック磁気記録媒体などの磁気記録媒体とその製造方法,及びその磁気記録媒体を組み込んだ磁気記憶装置に関する。
磁気ディスク装置は,磁気ヘッドを用いて磁気ディスク(磁気記録媒体)上に情報を記録・再生する。よって,磁気的隙間が小さいほど,磁気ヘッドと磁気ディスクは近接し,微小な領域に情報を記録することができるようになり,かつ,磁気ディスク上の微弱な磁気信号を再生することが可能になる。そして,この記録密度向上に伴う磁気的隙間狭小化には,ディスク保護膜の膜厚を低減させていく必要があるが,以下の要件を満足する必要がある。まず磁気ディスクの記録層に使用されている磁性合金の腐食を防ぐために,化学的に安定であり,かつ緻密で均一に被覆しなければならない。また,磁気ディスクに対して磁気ヘッドが極めて近接した状態で相対的に回転運動を行うことから,摩耗に対して充分に高い耐性を持たねばならない。しかしながら,一般的に磁気ディスク用保護膜の薄膜化に伴い,被覆率が減少することから耐食性が劣化し,実効的な硬度が減少して耐摩耗性も劣化する。このため,耐食性・耐摩耗性を維持したまま磁気ディスク用保護膜の薄膜化を実現するためには,磁気ディスク用保護膜の緻密性・硬度を向上させ,膜厚減少による劣化分を補填する必要がある。
一方,記録密度向上のためには,記録媒体の熱減磁の抑制と書き込み性の維持を同時に満足する必要もある。高記録密度化を実現するためには記録媒体のビットサイズの小径化(ナノビット化)が必要であるが,ビットサイズの小径化に伴い熱減磁という問題が生じ,記録媒体に記録した情報が,熱的な磁化の揺動により,時間の経過に伴って失われてしまう。この熱減磁を解決するためには,磁気異方性の高い材料を用いることで,磁化の熱的な安定性を向上させればよい。しかしながら,磁気異方性を高くすると,記録媒体の磁化が安定になりすぎてしまい,磁気ヘッド記録素子からの記録磁界では,記録媒体の磁化を反転させることができず,従って書き込みができなくなってしまうという問題が生じる。すなわち,面記録密度の向上のためには,熱減磁の抑制と記録媒体への書き込み性の維持を同時に達成する新しい技術が必要不可欠となっている。この問題を解決する手法の一つとして,熱アシスト磁気記録(Thermally-Assisted Recording, TAR)方式が提案され,現在,研究開発が進められている。この技術では,記録媒体を,一時的かつ局所的に加熱することで保磁力を減少させ磁気記録を行う。この技術を用いることで磁気異方性の高い記録媒体に対しても書き込みを行うことが可能となり,結果として熱減磁の抑制と記録媒体への書き込み性の維持を同時に満足し,劇的な面記録密度の向上を達成できる。従って,磁気ディスク用保護膜には必然的に耐熱性も必要となってくる。
上述したよう高記録密度化のために磁気ディスク用保護膜は,
(1)薄膜化のための耐食性,耐摩耗性向上
(2)TAR実用化のための耐熱性向上
という必須の技術課題がある。また,保護膜表面に形成される潤滑膜においても保護膜と同様の技術課題がある。
特に,TAR方式の実用化のためには,HDI (Head Disk Interface)の耐熱性改善技術の開発が必要不可欠である。HDIは,磁気ヘッド保護膜,磁気記録媒体(磁気ディスク)保護膜,潤滑膜などにより構成されており,ヘッド・ディスクを腐食・摩耗から防ぎ,磁気ディスク装置の高い信頼性を維持する重要な役割を果たしている。しかしながら,これらのHDIの構成要素は,カーボンを主成分としており,金属,セラミックなどと比較して熱的に脆弱であると考えられる。このことから,TARの高温環境下においては,HDI構成要素が熱的に変質し,結果としての磁気記録システムの信頼性が劣化してしまうおそれがある。
ここで,HDI構成要素のディスク保護膜には,従来よりダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜が用いられてきた。そして,TARへの適用を考えた高温環境下での信頼性に関しては,ヘッド/ディスク間距離の狭小化に必要される機械的耐性,化学的耐性が,熱的にも安定であることが必須となる。このために求められるDLC膜の膜質は,高い膜密度,即ち,高いsp3結合(ダイヤモンド構造)をもつ保護膜が必要となる。従来から用いられているスパッタリング法によるDLC膜はsp3結合が少なく黒鉛に近い構造をしており,CVD(Chemical Vapor Deposition)法で形成されるDLC膜は,原料として炭化水素ガスを用いることから,膜中に水素が含まれてしまい,炭素のみによる高いsp3結合比率を実現することが困難である。
そこで,特許文献1及び特許文献2ではFiltered Cathodic Arc(FCA)法を用いれば,DLC膜として最も高いsp3結合(ダイヤモンド構造)比率から構成されるテトラヘドラル・アモルファスカーボン(ta-C)が得られるとあり,その製造方法・製造装置について開示されている。そして,それぞれのFCA法によって得られた薄膜が,高いsp3結合比率を有していることも記述されている。特許文献1では,測定手段についての記述はないが厚さ1〜3nmにおいてsp3結合比率が50%以上とある。特許文献2では,厚さ1〜4nmのテトラヘドラル・アモルファスカーボンとあり,sp3結合比率としては,厚さ3nmにおいてAES-EELS(オージェ電子分光−電子線エネルギー損失分光法)法を用いて測定した結果が86%とある。
特許文献3においては,膜厚が3nm未満になると急激にsp3結合比率が低下するという実験結果より,これを回避するための新たな提案がなされている。即ち,予め成長核層としてシリコンカーバイト膜を形成した後に,その上層部にテトラヘドラル・アモルファスカーボン膜を形成することで,sp3結合比率の低下を防ぎ,厚さ1nmにおいてsp3結合比率が60%以上を確保するとしている。
特開2010−001530号公報 特開2009−173966号公報 特開2005−056495号公報
特許文献1及び特許文献2に開示されている従来技術を用いて膜厚2.5nmの保護膜を備えた磁気記録媒体を作製した。そして,磁気ディスク装置として物理的なヘッド/ディスク隙間を15nmとした条件においてヘッド浮上試験を行ったところ,ヘッド浮上性を確保できなかった。浮上試験法についての詳細は後述する。原因としては,膜厚3nm未満のテトラヘドラル・アモルファスカーボン膜のsp3結合比率が大きく低下し,特許文献1及び特許文献2に記されているsp3結合比率を得ることが不可能であるためと推測される。また,本発明者が行ったような磁気ディスク装置としての浮上試験が特許文献1及び特許文献2では行われておらず,この問題を発見できなかったと考えられる。
次に,特許文献3に相当する膜構成にて膜厚2.5nmの保護膜を備える磁気記録媒体を作製した。そして,磁気ディスク装置としての浮上試験を行ったところ,試験途中まではヘッド浮上性が確認されたものの,その後,磁気ヘッドが磁気ディスクに接触し,磁気ディスク表面に多数のスクラッチを確認した。これは,特許文献3に用いられている成長核層のシリコンが保護膜表面に析出し,酸化シリコンとなることで磁気ヘッドとの界面に攻撃的に働いたものと推測される。また,特許文献3においても本発明者が行ったような浮上試験は行われず,ボールオンディスク試験しか行われていなかったため,この問題が発見できなかったものと考えられる。
本発明は,このような従来の事情を鑑みて提案されたものであり,膜厚3nm未満の保護膜を形成した場合においても,磁気ディスク装置に組み込んだときにヘッド浮上性が確保可能な磁気記録媒体とその製造方法を提供することにある。特に,sp3結合比率が高いテトラヘドラル・アモルファスカーボン膜を保護膜とする磁気記録媒体に対して有効な発明となる。
本発明による磁気記録媒体は,非磁性基板上に積層して形成された磁性膜と保護膜とを有し,保護膜は,膜厚が1.0nm以上,3.0nm未満の炭素を主成分とする薄膜であり,その最表面から深さ0.5nmの炭素原子間結合比率sp3/(sp2+sp3)値が40%以上,50%未満である。
ここで,最表面から深さ0.5nmのsp3/(sp2+sp3)値の測定は,角度分解X線光電子分光法(AR-XPS法)を用いて基板表面法線方向を0度とした場合,その入射角を70度(検出角20度)として情報深さ0.5nmから得られるC1sプロファイル構造解析によって得る。
炭素を主成分とする保護膜は,炭素イオンによる物理蒸着手段を用いて形成されたテトラヘドラル・アモルファスカーボンから構成されていてもよい。
本発明による磁気記録媒体の製造方法は,磁性膜の上に膜厚が1.0nm以上,3.0nm未満の炭素からなる保護膜を成膜する工程と,保護膜最表面から深さ0.5nmの炭素原子間結合比率sp3/(sp2+sp3)値を40%以上,50%未満に改質する表面処理を行う工程とを有する。
表面処理は,少なくとも酸素,窒素,水素のいずれかを用いるか,あるいは,それらの組み合わせを主成分とする混合ガス,又は大気を用いて,大気圧以下の気圧状態において,紫外線照射を行う処理とすることができる。また,表面処理は,少なくとも酸素,窒素,水素のいずれかを用いるか,あるいは,それらの組み合わせを主成分とする混合ガス,又は大気を用いて,大気圧以下の気圧状態において,金属腐食が発生しない温湿度の環境状態で,少なくとも10時間以上放置する処理であってもよい。または,表面処理として,少なくとも酸素,窒素,水素のいずれかを用いるか,あるいは,それらの組み合わせを主成分とする混合ガス,又は大気を用いて,大気圧以下の気圧状態においてプラズマ処理を行ってもよい。
膜厚が1.0nm以上3.0nm未満の保護膜を備える本発明の磁気記録媒体は,垂直磁気記録媒体,熱アシスト磁気記録媒体,ディスクリートトラック記録媒体として用いることが出来る。
本発明の磁気記録媒体は,保護膜の膜厚が1.0nm以上3.0nm未満であるにも拘わらず,耐熱性,耐摺動性,耐腐食性を確保でき,かつ,磁気ディスク装置としてのヘッド浮上性を確保することができる。
上記した以外の,課題,構成及び効果は,以下の実施形態の説明により明らかにされる。
実施例1による本発明の保護膜を備えた熱アシスト記録方式の磁気記録媒体の断面模式図。 浮上試験において正常に浮上している状態を示す図。 浮上試験において浮上していない状態を示す図。 表面改質層をもつ膜厚2.2nmの保護膜を備える磁気記録媒体により得られた良好な浮上特性を示す測定結果の図。 表面改質層をもたない膜厚2.2nmの保護膜を備える磁気記録媒体により得られた良好でない浮上特性を示す測定結果の図。 保護膜の膜厚とヘッド浮上性が確認できたサンプル数の収率の関係を示す図。 角度分解X線光電子分光法(AR-XPS法)の測定原理を示す説明図。 検出角α20度のAR-XPS法から得られたC1s軌道の測定解析例を示す図。 磁気記録媒体サンプルの膜厚とsp3/(sp2+sp3)値の関係を示す図。 磁気記録媒体サンプルのsp3/(sp2+sp3)値と浮上試験結果から得られた収率値の関係を示す図。 アーク放電を用いた蒸着装置の概略図。 保護膜の膜厚が1.0nmであるサンプルのエージング処理時間に対するsp3/(sp2+sp3)値の変化を示す図。 本発明を適用した垂直磁気記録媒体の一例を示す断面模式図。 表面改質層をもつ膜厚2.5nmの保護膜を備える磁気記録媒体サンプルの最表面からの深さ方向の原子濃度を測定した結果を示す図。 パルスレーザ照射ユニットを備えたスピンスタンド装置の概略図。 磁気記録媒体表面へのレーザ照射部を示す概略図。 パルスレーザ照射後の潤滑膜厚の残存率を示す図。 保護膜としてテトラヘドラル・アモルファスカーボンを用いたサンプルの浮上特性を示す図。 保護膜としてスパッタ法により成膜したカーボン膜を用いたサンプルの浮上特性を示す図。 磁気記憶装置の概略図。 熱アシスト磁気記憶装置の概略図。 スライダの断面模式図。
本発明の代表的な実施例として,保護膜として膜厚1.0nm以上3.0nm未満のテトラヘドラル・アモルファスカーボンを形成した磁気記録媒体において,保護膜の最表面から深さ0.5nmの炭素原子間結合比率sp3/(sp2+sp3)値を変更しヘッド浮上性を確保した磁気記録媒体とその製造方法に関して,以下,図面を参照して説明する。
[実施例1]
熱アシスト磁気記録方式(TAR)は,エネルギーアシスト磁気記録方式の1つであり,媒体上の微小領域をキュリー点TC近傍の温度まで加熱し,その加熱領域より広い範囲に磁界を印加することで記録を行う方式である。従って,この記録方式に適した極めて大きな垂直磁気異方性エネルギー(Ku)を有する磁気記録膜を適用した磁気記録媒体が必要となる。本実施例においては,磁気記録膜として化学規則化合金と呼ばれるFe-Pt合金を用いた。
図1は,実施例1の磁気記録媒体の断面模式図である。基板11は,外径が65mm(2.5インチ)の硼珪酸ガラス,或いはアルミノシリケートガラスからなる基板表面を化学強化した基板を洗浄後,乾燥して用いた。化学強化したガラス基板に替え,アルミニウム合金基板上にNi-Pめっき後表面研磨した基板やSiやTi合金からなる剛体基板を用いることもできる。勿論,基板11の外径は任意に選択可能である。
前記工程を経た基板上に密着膜12としてNiTa合金層を100nm形成し,下地膜13としてMgOを10nm形成した。その後,500℃まで基板を加熱し,第一磁性膜14としてFePt-Cを6nm,第二磁性膜15としてFePt-SiO2を16nmと順次積層した。なお,磁性膜はそれぞれ合金ターゲットを用いており,成膜する際のArガス圧は5Paとした。なお,記録膜15を加熱した後は,真空チャンバ内で100℃程度まで冷却した。
その後,磁気記録媒体の保護膜16として膜厚が0.5〜3.5nm(具体的には,0.5nm, 1.0nm, 1.6nm, 2.2nm, 2.5 nm, 2.8 nm, 3.5nm)のテトラヘドラル・アモルファスカーボンを積層した。なお,各層の成膜には真空中で基板を搬送し,上記のような複数の層を連続成膜可能な枚様式の連続成膜装置を用いた。テトラヘドラル・アモルファスカーボン成膜方法の詳細については,本実施例の最後に述べる。
次に,連続成膜装置より基板を大気中に取り出し,大気圧下において紫外線照射処理を行うことで,保護膜16の表面に表面改質層17を形成した。紫外線には波長が172nm(7.2eV)のキセノンランプを用いて,照射量12mW/cm2にて10秒間の照射処理を行った。紫外線の光源及び照射時間は,光源の種類によるエネルギー量,被処理基板への距離等により単位面積当たりの照射量が異なるため,前記値に限られないことはいうまでもない。また,大気圧以下の低気圧処理法として酸素,窒素等をマスフローメータで正確に制御した環境下での紫外線表面処理を行うことも可能である。
なお,本実施例では,保護膜16として膜厚が0.5〜3.5nmのテトラヘドラル・アモルファスカーボンを持つサンプル全てに,上記表面処理の行ったものと,比較例として未処理サンプルを準備した。
次に,全サンプルの保護膜16表面に下記構造式からなるパーフルオロポリエーテル誘導体からなる潤滑膜18(数平均分子量2000)を形成した。
Figure 2013182640
なお,潤滑膜18はDip方式によって塗布した。ここで,使用したデグナム系潤滑剤は,剛直なデグナム鎖を有し,主鎖末端に4つの吸着部位(水酸基)を有するため,主鎖が伸びた状態でディスク表面に吸着しやすく,膜厚の小さい潤滑膜18を形成しやすい。膜厚0.5〜3.5nmのテトラヘドラル・アモルファスカーボン上の潤滑膜18の膜厚は,いずれも0.7nm程度であった。
そして,潤滑膜18表面をテープクリーニング処理し,浮上試験を行った。浮上試験は, 磁気記録媒体をスピンドル機構部に取り付け,浮上ヘッド機構,ヘッドアクセス位置決め機構の3つの運動する機構からなっている装置を用いた。スピンドルモータで0rpm〜8000rpm(rpmは1分間の回転数)の範囲で回転数を可変可能とした。浮上ヘッド機構は,スピンドルモータ回転数が6500rpmにおいてヘッド/ディスク空隙は4nmになる磁気ヘッドがサスペンションによって支持されている。そして,この浮上ヘッド機構をスピンドル機構の所定の位置(本実験では半径方向21±5mm)に移動させて浮上試験を行った。
浮上特性評価方法は,スピンドルモータ回転数を7200rpm→0rpm→7200rpmと変化させ, このときに磁気ヘッドに観測されるAcoustic Emission (AE)のヒステリシス曲線により, ヘッド浮上性を確認する。図2A及び図2Bは,浮上試験における基板11と,密着膜12,下地膜13,第一磁性膜14,第二磁性膜15から構成される記録膜22,保護膜16,潤滑膜18及び,磁気ヘッド21の相対的位置に関する概念図である。図2Aは,磁気ヘッド21が正常に浮上している状態を示しており,磁気ヘッド21が潤滑膜18上を,所定の高さの空隙23にて安定に浮上している概念図である。図2Bは,磁気ヘッド21が浮上せずに潤滑膜18上に接触し,Acoustic Emission (AE)24を発生している概念図である。即ちAE24の発生有無によってヘッド浮上性は容易に判定可能である。
実際のAEヒステリシス曲線の測定結果を図3,図4にてさらに詳細に説明する。図3は,表面改質層17をもつ膜厚2.2nmの保護膜16を備える磁気記録媒体により得られた良好な浮上特性を示す測定結果である。グラフ上,■で示しているデータはスピンドルモータ回転数を7200rpm→0rpmとした場合のAE24の強度であり,□で示しているデータはスピンドルモータ回転数を0rpm→7200rpmとした場合のAE24の強度である。即ち実験結果はグラフ上,7200rpmで始点33から開始され,回転数が低下して空隙23が小さくなって,ヘッド浮上性が得られなくなると潤滑膜18に接触してAE24を発生する。このサンプルでは1583rpmにおいて接触(touch dowm)34した。その後,逆に回転数を0rpm→7200rpmに増加させる工程においては,ある回転数にて磁気ヘッド21が浮上を開始(離陸)する。本サンプルでは,離陸(taking off)点35は2285rpmであった。図3からは,少なくとも,スピンドルモータ回転数が6500rpmにおいて空隙が4nmで良好な浮上特性が得られていると判断できる。
図4は,表面改質層17をもたない膜厚2.2nmの保護膜16であるサンプルにより得られた良好でない浮上特性を示す測定結果である。グラフ上,■で示しているデータはスピンドルモータ回転数を7200rpm→0rpmとした場合のAE24の強度であり,□で示しているデータはスピンドルモータ回転数を0rpm→7200rpmとした場合のAE24の強度である。即ち実験結果はグラフ上,7200rpmで始点33から開始されるが,試験開始直後よりヘッド浮上性が不安定となり潤滑膜18との接触によるAE24が多数確認される。その後,回転数の低下で完全に接触(touch dowm)している。逆に回転数を0rpm→7200rpmに増加させる工程においては,いずれの回転数においても磁気ヘッド21は浮上することなく,AE24が発生しており,図4からは,スピンドルモータ回転数が6500rpmにおいて良好な浮上特性が得られていないと判断できる。
図3,図4に示したようなAEヒステリシス曲線を,本実施例にて作製した保護膜16を備えた磁気記録媒体の全サンプルについて,それぞれ18回ずつ測定位置を変更しながら取得し,ヘッド浮上性が確認できたサンプル数の収率を図5に示す。図5の結果によれば,本発明の特長となる表面改質層17を備えた保護膜16を用いた磁気記録媒体の場合には,図5に測定データ51で示すように,保護膜厚が1.0nm以上で90%以上のヘッド浮上性の確保ができた。一方,比較例として同時に評価・測定をした,表面改質層17を備えていない保護膜16を用いた磁気記録媒体の場合については,図5に測定データ52として示すように,2.8nmで収率が46%,3.5nmで収率が100%となった。
以上のように表面改質層17の有無による浮上特性の改善結果が得られたわけであるが,その特長を明確にするため,保護膜16の表面改質層17の有無による構造の違いを角度分解X線光電子分光法(AR-XPS)により測定した。
ここでは,最初に測定方法について詳細に言及した後に,その結果を説明する。XPS(X線光電子分光法)は,高真空中で試料に軟X線を照射し,表面から光電効果によって放出される光電子の運動エネルギー分布を測定する。そして,固体表面層数nm程度に存在する電子の原子から束縛されているエネルギー(束縛エネルギー)を算出し,原子の同定及び化学状態の分析を行う分析方法である。
測定原理を図6に示す。前述したようにXPSでは,軟X線61により励起された光電子62,63を検出するが,励起された全ての電子が固体表面から離脱できるわけではない。励起された電子のうち幾らかは固体64中で非弾性衝突的にエネルギーを失い,固体表面にたどり着くまでに停止する。ここで,軟X線61により生成された電子が固体中を衝突せずに進行する距離を平均自由行程λで表すことができる。XPSでの電子の固体中の平均自由行程λは数nm程度であるが,図6中の検出角(take-off angle)αが90度となる位置Aの光電子検出器65において分析を行ったとき,検出された光電子62の95%が表面から3・λより浅い領域から得られたものとなる。この深さ3・λを情報深さ(information depth)dとよぶ。ここで,検出器の位置(検出角α)を90度から変化させると,浅い領域のみの測定を行うこととなり,情報深さを減少させることができる。このときの情報深さdの変化は検出角αの変化に対して d=3・λsinα のように記述され,非破壊的に極表面層の化学状態の相違を観察することができる。この手法は,角度分解XPS (Angle-Resolved XPS, AR-XPS)と呼ばれる。
本実施例では,検出角αが20度となる位置Bの光電子検出器68で分析を行うことで,情報深さd1を極最表面0.5nmが支配的となる測定条件で保護膜16の表面改質層17の有無による構造の違いを評価した。なお,測定には,lKaモノクロ光源(15kV-15mA, pass energy 20eV, X-ray energy 1486.6eV)を用いた。
図7に,その測定解析例を示す。測定サンプルは,表面改質層17をもつ膜厚3.5nmの保護膜16を備える磁気記録媒体サンプルである。C1s軌道のスペクトル71に関して,sp2結合及びsp3結合に起因する電子の束縛エネルギーはそれぞれ284.4eV,285.2eVであり,その間には0.8eVのエネルギー差が存在するので,それぞれsp3スペクトル73及びsp2スペクトル72に起因するピークによりフィッティングを行う。sp3結合とsp2結合の比は図7のようにピーク分離したC1sスペクトルの,それぞれのピークの積分値の比から導くことができる。本実施例中ではピークフィッティングに一般的に用いられるGaussianとLorentzianの混合関数(Gaussian-Lorentzian sum function)を用いて,測定スペクトルの解析を行った。ここで,図7に示した測定結果の場合,sp3/(sp2+sp3)値は55%である。
上記手法によって,本実施例中で作製した全ての保護膜を備えた磁気記録媒体サンプルについて測定を行った。但し,潤滑膜18は予め除去して測定を行った。
図8に,その測定解析結果を示す。保護膜16の表面に表面改質層17を形成した場合の膜厚に対するsp3/(sp2+sp3)値を図中の●で示し,表面改質層17がない場合の膜厚に対するsp3/(sp2+sp3)値を図中の▲で示すが,いずれの膜厚においても表面改質層17を有することで,sp3/(sp2+sp3)値が増加していることが確認できる。
次に,図5に示したヘッド浮上性の収率と図8のsp3/(sp2+sp3)値の関係を図9に示す。ここでは,表面改質層17がある場合を図中の●,表面改質層17がない場合を図中の▲で示している。本結果からは,sp3/(sp2+sp3)値が40%(図中の点線位置)以上となることで磁気ディスク装置としてのヘッド浮上性を得ることが可能であることを発見できた。
本発明は,この発見に注目して構成されている。即ち,表面改質層17に相当する保護膜16の最表面から少なくとも深さ0.5nmの炭素原子間結合比率sp3/(sp2+sp3)値を40%以上に改質することで,磁気ディスクとしてのヘッド浮上性が90%以上の収率で確保できる。また,図8から,表面改質層17を備えるテトラヘドラル・アモルファスカーボンからなる保護膜16であっても,膜厚が3.0nm未満の場合は,その最表面から深さ0.5nmの炭素原子間結合比率sp3/(sp2+sp3)値は50%未満としか成りえないこともわかった。なお,保護膜16の膜厚が3.0nm未満の場合,保護膜16と潤滑膜18を合わせた膜厚は3.7nm未満となる。
ところで,保護膜16の最表面層の炭素原子間結合比率sp3/(sp2+sp3)値が40%以上となることで,磁気ディスクとしてのヘッド浮上性が確保できる要因は次のように推察される。すなわち,sp2構造は平面構造をとるために3次元的な結合力がなく,簡単に横すべりを生じてしまう。このため,最表面に存在するsp2構造の炭素比率が60%より大きくなると,浮上テストにおける磁気ヘッドとの相対的な運動において,その間に存在する潤滑膜18の流動成分と共に横滑りを生じsp2構造の炭素そのものが異物となり,浮上障害となる。
[テトラヘドラル・アモルファスカーボンの成膜方法]
本発明の磁気記録媒体に形成した表面改質層17を行う前の保護膜16は,炭素イオンによる物理蒸着手段を用いたテトラヘドラル・アモルファスカーボンから構成されている場合が,耐熱性が高くTAR方式の磁気記録媒体用保護膜として最適である。テトラヘドラル・アモルファスカーボンの形成方法には,イオンビーム蒸着法,低ガス圧高電流スパッタ法等があるが,ここでは,図10に示すようなアーク放電を用いた蒸着装置にて形成した。イオン源としては,アーク放電ユニット121により生成したプラズマビーム122を用いた。
以下,詳細について説明する。プラズマビーム122は,被処理磁気ディスク基板123の両面に処理できるように配置された一対のアーク放電ユニット121から生成される。具体的には,アーク源用真空槽134中に配置された炭素からなるカソード124とアノード125間にアーク電源133から電圧を印加して,高真空の雰囲気下でアーク放電126を生じさせる。カソード124は,アーク溶接と同様に非常に高温の状態となり,カソード表面よりプラズマを生成する。ここでいうプラズマとは,ガス圧が10-4 Pa以下の真空中で,正電荷の炭素イオン127及び電子128を生成させた状態をいう。また,カソード124にはアーク電流を50アンペア程度流入させ,アーク電圧約-20ボルトのアーク放電を発生させた。
発生した炭素イオン127及び電子128は,アーク放電時に発生するドロップレットを除去してプラズマを輸送するための磁場用コイル130を巻き湾曲させた磁場ダクト129を介して被処理磁気ディスク基板123を保持する処理室131に導入され,走査用電磁石132によって被処理磁気ディスク基板123に均一に照射する。被処理磁気ディスク基板123は電気的にフローティングとしており,入射するカーボンイオンは約50eVのエネルギーで印加されている。プラズマビーム122は,全体として中性であるため炭素イオン127と電子128が照射され,炭素からなるカソード124のみを用いることから,水素をほとんど含有しないテトラヘドラル・アモルファスカーボンを形成する。なお,本実施例では,被処理磁気ディスク基板123は電気的にフローティングとしたが,これに限ることはなく,基板バイアスを印加しての蒸着方法であっても問題ない。
なお,後述する他の実施例においても,テトラヘドラル・アモルファスカーボン保護膜の成膜は,図10に示したアーク放電を用いた蒸着装置によって行った。
[実施例2]
本発明の特徴である保護膜の最表面構造を形成するにあたり,実施例1では,基板11上に密着膜12,下地膜13,第一磁性膜14,第二磁性膜15,保護膜16を連続成膜装置により順次積層した後に,基板を連続成膜装置より大気中に取り出し,大気圧下において紫外線照射処理を行い,保護膜16の最表層に改質層17を形成することで,図8に示すようなsp3結合比率改質を短時間の処理にて実現した。
実施例2においては,同様のsp3結合比率改質効果を得るために,成膜後,基板を連続成膜装置より大気中に取り出し,大気中の異物付着を防止可能な大気圧下の防塵エリアで,かつ,金属腐食が発生しない温湿度の環境状態で,約24時間のエージング(熟成)処理を行った。そして,図8と同様なsp3結合比率の改質効果を得ることができることを確認した。
エージング処理時間に関しては,本実施例では24時間としたが,各サンプルの表面改質層17の炭素原子間結合比率sp3/(sp2+sp3)値を40%以上とすることを目的とするため,必要なエージング処理時間は,保護膜16の膜厚に依存する。具体的には,薄膜であるほど必要とするエージング処理時間は長時間化することがわかっている。
一例として,保護膜16の膜厚1.0nmのエージング処理における処理時間に対するsp3/(sp2+sp3)値の変化を図11に示すが,約10時間以上のエージング時間によってsp3/(sp2+sp3)値が40%以上となることがわかる。sp3/(sp2+sp3)値の測定は,実施例1と同様の測定方法,測定条件で行った。
また,上記エージング処理条件は大気をそのまま利用しているが,少なくとも酸素,窒素,水素のいずれかを用いるか,あるいは,それらの組み合わせを主成分とする混合ガスを用いて,大気圧以下の気圧状態で,かつ,金属腐食が発生しない温湿度の環境状態で,エージング処理を行うことも可能である。
[実施例3]
図12は,本発明を適用した垂直磁気記録媒体の一例を示す断面模式図である。
基板11は,外径が65mm(2.5インチ)の硼珪酸ガラス,或いはアルミノシリケートガラスからなる基板表面を化学強化した基板を洗浄後,乾燥して用いた。化学強化したガラス基板に替え,アルミニウム合金基板上にNi-Pめっき後表面研磨した基板やSiやTi合金からなる剛体基板を用いることもできる。勿論,基板11の外径は任意に選択可能である。
前記工程を経た基板上に密着膜111としてAlTi合金膜を5nm,第一軟磁性膜112としてFeCoTaZr合金膜を15nm,反強磁性結合膜113としてRu層を0.5nm,第二軟磁性膜114としてFeCoTaZr合金膜を15nm,下地膜115としてCrTi合金膜を2nm,第一配向制御膜116としてNiW合金膜を7nm,第二配向制御膜117としてRu膜を17nm,第一磁性膜118としてCoCrPtSiO2合金膜を9nm,第二磁性膜119としてCoCrPt合金層を2nmと順次積層し,垂直磁気記録媒体の保護膜16として膜厚が0.5〜3.5nm(具体的には,0.5nm, 1.0nm, 1.6nm, 2.2nm, 2.5 nm, 2.8 nm, 3.5nm)のテトラヘドラル・アモルファスカーボンを積層した。
その後,同じく真空中で基板を搬送し,保護層16表面にプラズマトリートメント処理を行い,保護膜16の最表面に改質層17を形成した。具体的には,保護膜の最表面に存在するsp2構造炭素を構成しているσ/π結合のうち結合エネルギーの小さいπ結合を水素と置換することでsp3/(sp2+sp3)値を40%以上とすることを目的とした。プラズマトリートメント処理装置は,ICP(誘導結合型プラズマ)源を用いたものを使用し,水素10sccmとアルゴンガス4sccmをそれぞれ導入し,圧力2.2Pa, ICP電力200W, 基板バイアスは無しとして,5秒の処理時間とした。
上記プラズマトリートメント処理により保護膜16の最表面への改質層17を形成し,実施例1と同様に検出角を20度に設定して,情報深さを極最表面0.5nmが支配的となる測定条件としたAR-XPSにてsp3/(sp2+sp3)値を測定したところ,実施例1及び実施例2と同様の結果を得ることができた。また,浮上試験においても同様のヘッド浮上性の収率を得ることができた。
本実施例においては,プラズマトリートメント処理時間を5秒としたが,これは,表面処理時のプラズマ密度及びプラズマ源−被処理基板間距離に依存するものであり,任意に選択できる。ただし,過度の長時間処理を行うと,保護膜16そのものをエッチングし,保護膜の膜厚が減少するため,処理条件は注意して選択する必要がある。
また,同様な効果を少なくとも上記水素を含めて酸素,窒素のいずれかを用いるか,あるいは,それらの組み合わせを主成分とする混合ガスを用いるか,又は大気成分を用いて,大気圧以下の気圧状態でプラズマ処理を行うことで同様な効果が得られることは確認済みである。但し,ガス種が異なると保護膜16への潤滑膜18の固定比率が変わることには注意する必要がある。
さらに,大気圧下にて処理を行う場合は,基板を連続成膜装置から一旦,大気中に搬出後,大気圧プラズマトリートメント処理を行うことになる。この場合,被処理面全面への処理を大気中で行うには,大気プラズマの不均一性の問題があるため,被処理基板を搖動するなどの工夫が必要であることはいうまでもない。
[実施例4]
実施例3に記載した垂直磁気記録媒体の表面改質層17を形成した保護膜16の膜構成原子を確認するため,弾性反跳検出のうち水素を対象としたHR-ERDA(水素分析のための高感度反跳粒子検出法)法とHR-RBS(高感度ラザフォード後方散乱分析)法によって深さ測定を行った。測定サンプルとしては,保護膜16の膜厚が2.5nmのサンプルを用いた。図13にその測定結果を示す。図13の横軸は保護膜16の最表面からの深さを示し,縦軸は原子濃度を示す。また,破線は保護膜の最表面から深さ0.5nmの位置を示す。
図13に示した測定結果によれば,保護膜の最表面から深さ0.5nmの領域である表面改質層17については,最表面における大気中成分の吸着成分及び,表面改質処理による影響があるため,水素を含まない理想的なテトラヘドラル・アモルファスカーボンとしては観察されていない。保護膜の最表面から深さ0.5nm以上の深さ領域においては,水素含有量(151)は深さ方向に多少の分布があるものの平均値としては5atomic%以下であることを確認できる。ここで,深さ方向の水素原子濃度分布は,真空装置内の水分子吸着成分の影響等の外乱的要因のためと考えられる。
図13に示した表面改質層17を含む保護膜16の深さ測定結果は,実施例1,実施例2及び実施例3における表面改質法の違いによって,最表面から深さ0.5nmの領域で,測定される不純物原子の種類が異なったが,最表面から0.5nm以上の深さ領域においては,いずれの不純物原子濃度も5atomic%以下であった。
[実施例5]
本実施例では,熱アシスト磁気記録を想定し,パルスレーザ照射により磁気記録媒体表面を局所加熱した際の本発明の保護膜の効果を検証した。
実施例1と同様,基板11上に密着膜12,下地膜13,第一磁性膜14,第二磁性膜15を順次積層した磁気記録媒体上に保護膜16として膜厚が1nm,2nm,3nmのテトラヘドラル・アモルファスカーボンを積層した。次に,基板を前述の連続成膜装置より大気中に取り出し,大気圧下において紫外線照射処理を行い,保護膜16の表面に表面改質層17を形成した。紫外線には波長が172nm(7.2eV)のキセノンランプを用いて,照射量12mW/cm2にて10秒間の照射処理を行った。なお,本実施例では,前記テトラヘドラル・アモルファスカーボンからなり表面処理を施した保護膜16の比較例として,スパッタ法により成膜したカーボン保護膜1nm,2nm,3nmを前記磁気記録媒体上に積層したサンプルも準備した。なお,全てのサンプルの保護膜16上に実施例1と同じ分子構造のパーフルオロポリエーテル鎖を有する潤滑剤より構成される潤滑膜18を約0.5nm形成した。
図14は,本実施例で使用した試験装置の概要を示す模式図である。パルスレーザ本体137より発信したレーザを,光ファイバ138及びレーザープローブ139を介してスピンスタンド135に取り付けたサンプルである磁気記録媒体136表面に一定時間連続照射し,磁気記録媒体136表面に形成した潤滑膜厚の変化とヘッドの浮上特性を評価した。実験は,磁気記録媒体136表面のレーザ照射部が300℃になるように照射条件を調整した。具体的には,レーザ波長915nm,レーザパワー75W,パルスレーザ照射時間0.1msec,照射回数100回/秒の照射条件である。図15は,磁気記録媒体136表面のレーザ照射部を示したものである。磁気記録媒体136を回転数3300rpmで回転させながらレーザープローブ駆動ユニット140によりレーザープローブ139を半径21mmを中心に内周側と外周側に1mm/secの速度で各2.5mm揺動させ,5mm幅のトラック141にパルスレーザを30分間照射した。
図16に,パルスレーザ照射後の潤滑膜厚の残存率を示す。保護膜16にテトラヘドラル・アモルファスカーボンを用いたサンプル(●142)では,潤滑膜厚の残存率が80%以上であり,高い耐熱性を示した。これに対し比較例として保護膜16にスパッタ法により成膜したカーボン膜を用いたサンプル(▲143)は,保護膜16にテトラヘドラル・アモルファスカーボンを用いたサンプル(●142)と比較して潤滑膜厚の残存率が低く,パルスレーザ照射による局所加熱に対する耐熱性が低い。これは,本発明の保護膜の高い耐熱性により発現した効果であり,薄膜化しても熱アシスト磁気記録に対して十分な信頼性を確保できると言える。
次に,ヘッドの浮上特性を評価した。図14のスピンスタンド135に取り付けた前記サンプルの磁気記録媒体136を7200rpmで回転させ,磁気記録媒体136表面に磁気ヘッド148をロードさせてレーザ照射部(半径21mm)のトラック上で浮上させた。浮上させた磁気ヘッド148のヘッド素子部近傍に内蔵したヒーター(TFC)に電流を印加し,ヘッド素子部を加熱する事により磁気記録媒体136の表面方向に突出させた。本実施例では,ヘッド素子部に印加した出力(TFCパワー)とAE出力との関係を計測した。TFCパワーの増加に伴いヘッド素子部の突出量は増加する。ヘッド素子部と磁気記録媒体136表面との接触頻度の増加に伴い,AE出力は増加する。本評価ではAE出力2以上をヘッド素子部と磁気記録媒体136表面との完全接触とし,その際のTFCパワーをタッチダウンパワーとして計測した。タッチダウンパワーが高い程,ヘッド素子部と磁気記録媒体136表面がタッチダウンするまでのクリアランスが大きいことを意味し,ヘッド浮上特性に優れる。
図17に保護膜16としてテトラヘドラル・アモルファスカーボンを用いたサンプルの計測結果を,図18に保護膜16としてスパッタ法により成膜したカーボン膜を用いたサンプルの計測結果を示す。両サンプルとも保護膜16の膜厚は1nmである。図17のテトラヘドラル・アモルファスカーボンを用いたサンプルでは,パルスレーザ照射前(●144)のタッチダウンパワーが84.5mW,パルスレーザ照射後(▲145)のタッチダウンパワーが82mWであった。一方,図18のスパッタ法により成膜したカーボン膜を用いたサンプルでは,パルスレーザ照射前(●146)のタッチダウンパワーが70mW,パルスレーザ照射後(▲147)のタッチダウンパワーが62mWであった。
これらの結果から,保護膜として表面改質したテトラヘドラル・アモルファスカーボンを用いた磁気記録媒体の方が,保護膜としてスパッタ法により成膜したカーボン膜を用いた磁気記録媒体よりヘッドの浮上安定性に優れ,パルスレーザの照射前後でのタッチダウンパワーの差が小さい。すなわち,本実施例の磁気記録媒体は,熱アシスト磁気記録においても安定したヘッドの浮上特性を維持できる。
[実施例6]
図19は,本発明の垂直磁気記録媒体を用いた磁気記憶装置の一例を示す概略図である。この磁気記憶装置は,本発明の垂直磁気記録媒体からなる磁気ディスク151,磁気ディスク151を回転駆動するスピンドル152,磁気ヘッドを搭載したスライダ153を有する。スライダ153はサスペンション154に保持され,ボイスコイルモータ155によって磁気ディスク上の所望トラックに対して位置決めされる。磁気ヘッドには,磁気ディスク151に対して記録磁界を発生するための記録素子及び磁気ディスク151に記録された情報を読み出すための磁気抵抗効果素子等の再生素子が設けられている。磁気ヘッドに送られる記録信号あるいは磁気ヘッドによって読み出された再生信号は信号処理用LSI156によって処理される。
本実施例の磁気記憶装置は,膜厚が1.0nm以上,3.0nm未満の保護膜を備え,ヘッド浮上性に優れた磁気記録媒体を組み込んでいるため,磁気ヘッドと磁気ディスクの磁気的隙間低減が可能となり,さらなる記録密度向上を図ることが可能となる。
図20は,本発明の垂直磁気記録媒体を用いた熱アシスト磁気記憶装置の一例を示す概略図である。本実施例の熱アシスト磁気記憶装置は,本発明の垂直磁気記録媒体からなる磁気ディスク151を備える。図19に示した磁気記憶装置との違いの一つは,サスペンション154に半導体レーザ用パッケージ158が固定され,そこで発生されたレーザ光が導波路159によってスライダ157に搭載された磁気ヘッドに伝達されることである。また,スライダ157に搭載される磁気ヘッドは,熱アシスト記録に適した構造を備える。
図21は,本実施例の熱アシスト磁気記憶装置に組み込まれたスライダの部分の断面模式図である。スライダ157には,記録磁界を発生する記録素子160,磁気ディスク151に記録された情報を読み出すための磁気抵抗効果素子等の再生素子161,及び近接場光を発生するための近接場光発生素子162が設けられている。近接場光発生素子162は,例えば大きさが光波長以下の金属の散乱体や微小開口からなる。半導体レーザ用パッケージ158で発生されたレーザ光は,導波路159を通してスライダ157内に導かれ,近接場光発生素子162に照射される。それによって近接場光発生素子162から発生された近接場光は,磁気ディスクの記録磁界印加領域を局所的に加熱し,記録層の保磁力を低減させて磁気記録を行なう。
本実施例の熱アシスト磁気記憶装置は,膜厚が1.0nm以上,3.0nm未満の保護膜を備え,ヘッド浮上性に優れた磁気記録媒体を組み込んでいるため,熱アシスト記録に必要となる耐熱性を具備し,かつ,磁気ヘッドと磁気ディスクの磁気的隙間低減が可能となり,記録密度向上を図ることが可能となる。
なお,本発明は上記した実施例に限定されるものではなく,様々な変形例が含まれる。例えば,上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり,必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また,ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり,また,ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また,各実施例の構成の一部について,他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
11…基板,12…密着膜,13…下地膜,14…第一磁性膜,15…第二磁性膜,16…保護膜,17…表面改質層,18…潤滑膜,21…磁気ヘッド,22…記録膜,23…空隙,24…Acoustic Emission (AE),33…実験の始点,34…磁気ヘッド接触(touch dowm)点,35…磁気ヘッド離陸(taking off)点,61…軟X線,64…被測定固体,65…光電子検出器(位置A),68…光電子検出器(位置B),111…密着膜,112…第一軟磁性膜,113…反強磁性結合膜,114…第二軟磁性膜,115…下地膜,116…第一配向制御膜,117…第二配向制御膜,118…第一磁性膜,119…第二磁性膜,121…アーク放電ユニット,122…プラズマビーム,123…被処理磁気ディスク基板,124…カソード,125…アノード,126…アーク放電,127…正電荷の炭素イオン,128…電子,129…磁場ダクト,130…磁場用コイル,131…真空槽処理室,132…走査用電磁石,133…アーク電源,134…アーク源用真空槽,135…スピンスタンド,136…磁気記録媒体,137…パルスレーザ本体,138…光ファイバ,139…レーザープローブ,140…レーザープローブ駆動ユニット,141…パルスレーザ照射部,151…磁気ディスク,152…スピンドル,153…スライダ,154…サスペンション,155…ボイスコイルモータ,156…信号処理用LSI,157…スライダ,158…半導体レーザ用パッケージ,159…光導波路,160…記録素子,161…再生素子,162…近接場光発生素子

Claims (13)

  1. 非磁性基板上に積層して形成された磁性膜と保護膜とを有する磁気記録媒体において,
    前記保護膜は,膜厚が1.0nm以上,3.0nm未満の炭素を主成分とする薄膜であり,その最表面から深さ0.5nmの炭素原子間結合比率sp3/(sp2+sp3)値が40%以上,50%未満であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 請求項1記載の磁気記録媒において,前記保護膜がテトラヘドラル・アモルファスカーボンからなる薄膜であることを特徴とする磁気記録媒体。
  3. 請求項2記載の磁気記録媒体において,前記テトラヘドラル・アモルファスカーボンは炭素イオンによる物理蒸着手段を用いて成膜されたものであることを特徴とする磁気記録媒体。
  4. 請求項1記載の磁気記録媒において,前記保護膜は,最表面から深さ0.5nmの領域を除く膜厚領域において,炭素を除くその他の不純物原子濃度が5atomic%以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
  5. 請求項4記載の磁気記録媒において,前記不純物には,水素,酸素又は窒素の原子又は分子が含まれることを特徴とする磁気記録媒体。
  6. 非磁性基板上に,磁性膜と保護膜とが積層して形成されている磁気記録媒体の製造方法において,
    前記磁性膜の上に膜厚が1.0nm以上,3.0nm未満の炭素からなる保護膜を成膜する工程と,
    前記保護膜最表面から深さ0.5nmの炭素原子間結合比率sp3/(sp2+sp3)値を40%以上,50%未満に改質する表面処理を行う工程と
    を有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  7. 請求項6記載の磁気記録媒体の製造方法において,
    前記保護膜は炭素イオンを物理蒸着することによって成膜されることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  8. 請求項7記載の磁気記録媒体の製造方法において,
    前記炭素イオンの物理蒸着は,アーク放電により炭素イオンを発生させるプラズマ発生源と,前記炭素イオンを処理室内に導くためのプラズマ輸送部と,前記保護膜を成膜すべき基板を保持する処理室とを備えた装置によって行われることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  9. 請求項6記載の磁気記録媒体の製造方法において,
    前記表面処理として,酸素,窒素又は水素,あるいはそれらの組み合わせを主成分とする混合ガス,又は大気を用いて,大気圧以下の気圧状態においてプラズマ処理を行うことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  10. 請求項6記載の磁気記録媒体の製造方法において,
    前記表面処理として,酸素,窒素又は水素,あるいはそれらの組み合わせを主成分とする混合ガス,又は大気を用いて,大気圧以下の気圧状態において紫外線照射処理を行うことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  11. 請求項6記載の磁気記録媒体の製造方法において,
    前記表面処理として,酸素,窒素又は水素,あるいはそれらの組み合わせを主成分とする混合ガス,又は大気を用いて,大気圧以下の気圧状態において,金属腐食が発生しない温湿度の環境状態で,10時間以上放置することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  12. 磁気記録媒体と,前記磁気記録媒体を駆動する媒体駆動部と,前記磁気記録媒体に対して記録・再生動作を行う磁気ヘッドと,前記磁気ヘッドを前記磁気記録媒体の所望トラックに位置決めするヘッド駆動部とを備える磁気記憶装置において,
    前記磁気記録媒体は,非磁性基板上に積層して形成された磁性膜と保護膜とを有し,前記保護膜は,膜厚が1.0nm以上,3.0nm未満の炭素を主成分とする薄膜であり,その最表面から深さ0.5nmの炭素原子間結合比率sp3/(sp2+sp3)値が40%以上,50%未満であることを特徴とする磁気記憶装置。
  13. 請求項12記載の磁気記憶装置において,
    前記磁気ヘッドは,前記磁気記録媒体に磁界を印加する磁極と,前記磁気記録媒体の磁界印加領域に近接場光を照射する手段を備え,
    前記磁気記録媒体の前記保護膜表面に潤滑膜が形成され,前記保護膜と潤滑膜を合わせた膜厚が3.7nm未満であることを特徴とする磁気記憶装置。
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