JP2013035943A - ゴム支承被覆用ゴム組成物及びそれを用いたゴム支承被覆用ゴム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のゴム支承被覆用ゴム組成物は、共役ジエン系重合体(A)、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(B)、及び、エチレン−プロピレン−ジエンゴムを含有する非共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(C)を含むゴム成分と、樹脂(D)とを含むゴム支承被覆用ゴム組成物であって、前記ゴム成分100質量部に対し、前記樹脂(D)を5質量部〜60質量部含む。
【選択図】なし
Description
ゴム支承とは、ビルや橋梁等の建造物の上部構造の荷重を支え、かつ前記建造物の上部構造体と下部構造体との接点に設置される部材であり、地震等により引き起こされる震動によって生じる上部構造及び下部構造の変位をこのゴム支承で吸収するためのものである。これは一般に複数個の鋼板等の硬質板と粘弾性的性質を有するゴム材料からなる軟質板とを交互に積層し、両者を強固に接着させることで耐荷重性の向上を図ると共に、水平力に対してゴムの弾力性で対応できるようにしたものである。
この要求に対し、ゴム支承体の軟質板として用いられる内部ゴムに特定の樹脂を添加することで、優れた弾性・減衰特性を得る検討が行われたが(例えば、特許文献1参照)、外観・耐久性・耐候性等の向上のためにゴム支承体外周に形成される被覆層のゴムについては、耐久性や成形加工時の作業性を考慮し、未だにせん断弾性率Gが0.6N/mm2相当以上のゴムを使用していることが多い。その結果、ゴム支承には、高性能化に伴う厳しいバネ精度の要求を満たすために低弾性率のゴムが軟質板として用いられるようになったが、被覆材の高い弾性率がゴム支承全体としてのゴム弾性率を引き上げて、ゴム支承全体の性能を低下させるおそれがある。この問題は、ゴム支承体の軟質板と同レベルのせん断弾性率を有するゴムを被覆材に適用することで解消できるが、現状では成形時の加工性や、加硫硬化後の破壊強度等において課題が残され、実用化が遅れているのが実情である。即ち、被覆層には、外観・耐久性・耐候性等の向上に加えて、ゴム支承体に使用されるゴム組成物(内部ゴム)との接着性やゴム支承体に使用されるゴム組成物(内部ゴム)との接着性やゴム支承体の特性(剛性、減衰)を損なわないような物性が求められる。
従って、加硫前の加工性に優れると共に、加硫後には、優れた破壊強度と、低い弾性率とを兼ね備えたゴム支承用被覆材を得ることができるゴム支承被覆用ゴムシートの開発が望まれていた。
本発明のゴム支承被覆用ゴム組成物は、少なくとも、共役ジエン系重合体(A)、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(B)、及び非共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(C)を含むゴム成分と、樹脂(D)とを含んでなり、さらに必要に応じて、カーボンブラック、シリカ、ワックス、アマイド化合物、その他の成分を含んでなる。
前記ゴム成分は、少なくとも、共役ジエン系重合体(A)と、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(B)、及び非共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(C)を含んでなり、さらに必要に応じて、その他のゴム成分を含んでなる。
前記共役ジエン系重合体は、モノマー単位成分(共重合体の一部)として非共役オレフィンを含まない重合体(ポリマー)を意味する。なお、スチレンは、非共役オレフィンに含まれないものとする。
前記共役ジエン系重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然ゴム(NR)、各種ポリブタジエンゴム(BR)、合成ポリイソプレンゴム(IR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレンゴム(IR)、各種ポリブタジエンゴム(BR)、及びスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)が、後述するエチレン−プロピレン−ジエンゴムを含有する非共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(C)との相溶性がよく、耐破壊性及び耐亀裂成長性を向上できる点で好適である。
前記ゴム成分100質量部中における前記共役ジエン系重合体(A)の含有量が、10質量部未満であると、耐破壊性や加工性が悪化することがあり、90質量部を超えると、耐候性が悪化することがある。一方、前記ゴム成分100質量部中における前記共役ジエン系重合体(A)の含有量が、前記より好ましい範囲内であると、各性能のバランスの点で有利である。
本発明のゴム組成物が、該共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(B)を含むことで、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(B)成分の共役ジエン部分が共役ジエン系重合体(A)成分との相溶性を向上させ、(B)成分の非共役オレフィン部分が非共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(C)との相溶性を向上させることによって、耐破壊性及び耐亀裂成長性に優れた共役ジエン系重合体(A)と、耐候性に優れたエチレン−プロピレン−ジエンゴムを含有する非共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(C)との相溶性を向上させることができる結果、ゴム組成物の耐候性、耐破壊性及び耐亀裂成長性を高いレベルで両立できる。なお、前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(B)とは、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとの共重合体であり、共重合体におけるモノマー単位成分として非共役オレフィンを含むものである。
前記共役ジエン化合物由来部分の含有量が40mol%未満であると、プラスチックに近いためエラストマーとしての特性が低く、十分な耐破壊性及び耐亀裂性が得られないことがあり、また、共役ジエン系重合体(A)と、エチレン−プロピレン−ジエンゴムを含有する非共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(C)との相溶性が低下して、所望の耐候性、耐破壊性及び耐亀裂成長性を得ることができないことがあるからである。より良好な耐候性、耐破壊性及び耐亀裂成長性を得る点からは、共役ジエン化合物由来部分の含有量が60mol%以上であることが加工性及び屈曲疲労性の点から好ましい。なお、前記共役ジエン化合物由来部分とは、前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(A)の中で、モノマーとして用いられた共役ジエン化合物に該当する部分のことをいう。
また、前記非共役オレフィン由来部分の含有量としては、加工性の点から、60mol%以下であることがより好ましく、40mol%以下であることがさらに好ましい。
上述した共役ジエン化合物の具体例のいずれを用いても、同様のメカニズムで前記ブロック共重合体と前記ランダム共重合体とを調製することができる。
前記共役ジエン化合物由来部分のシス1,4−結合量が、25%以上であれば、低いガラス転移点(Tg)を保持することができ、これにより、耐亀裂成長性や耐摩耗性等の物性が改良される。
一方、前記共役ジエン化合物由来部分のシス1,4−結合量を92%超とすることにより、耐亀裂成長性、耐候性、耐熱性を向上させることが可能となる。また、前記共役ジエン化合物由来部分のシス1,4−結合量を95%以上とすることにより、耐亀裂成長性、耐候性、耐熱性を一層向上させることが可能となる。
なお、前記シス−1,4結合量は、前記共役ジエン化合物由来部分中の量であって、共重合体全体に対する割合ではない。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(B)の共役ジエン化合物由来部分における共役ジエン化合物の1,2付加体部分(3,4付加体部分を含む)含量が、5%以下であると、共重合体の耐候性や耐オゾン性をさらに向上させることができる。
一方、前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の共役ジエン化合物由来部分における共役ジエン化合物の1,2付加体部分(3,4付加体部分を含む)含量が、2.5%以下であると、共重合体の耐候性や耐オゾン性をさらに向上させることができる。
前記1,2付加体部分(3,4付加体部分を含む)含量は、前記共役ジエン化合物由来部分中の量であって、共重合体全体に対する割合ではない。
なお、前記共役ジエン化合物由来部分における共役ジエン化合物の1,2付加体部分(3,4付加体部分を含む)含量は、共役ジエン化合物がブタジエンの場合、1,2−ビニル結合量と同じ意味である。
前記ブロック共重合体の構造は、(A−B)x、A−(B−A)x及びB−(A−B)x(ここで、Aは、非共役オレフィンの単量体単位からなるブロック部分であり、Bは、共役ジエン化合物の単量体単位からなるブロック部分であり、xは1以上の整数である)のいずれかである。なお、(A−B)又は(B−A)の構造を複数備えるブロック共重合体をマルチブロック共重合体と称する。
共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(B)がブロック共重合体である場合は、非共役オレフィンの単量体からなるブロック部分が静的結晶性を示すため、破断強度等の機械的性質に優れる。結晶性を示すブロック部分によって、貯蔵弾性率(G´)の低下を抑制することができる。
共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(B)がランダム共重合体である場合は、非共役オレフィンの単量体単位の配列が不規則であるため、共重合体が相分離を起こすことなく、ブロック部分に由来する結晶化温度が観測されない。すなわち、耐熱性などの性質を有する非共役オレフィンを共重合体の主鎖中に導入することが可能になるため、耐熱性が向上する。
前記テーパー共重合体とは、ランダム共重合体とブロック共重合体とが混在してなる共重合体であり、共役ジエン化合物の単量体単位からなるブロック部分及び非共役オレフィンの単量体単位からなるブロック部分のうち少なくとも一方のブロック部分(ブロック構造ともいう)と、共役ジエン化合物及び非共役オレフィンの単量体単位が不規則に配列してなるランダム部分(ランダム構造という)とから構成される共重合体である。
前記テーパー共重合体の構造は、共役ジエン化合物成分と非共役オレフィン成分との組成が連続的又は不連続的に分布があることを示す。ここで、非共役オレフィン成分の連鎖構造としては、長鎖(高分子量)の非共役オレフィンブロック成分を多く含まず、短鎖(低分子量)の非共役オレフィンブロック成分を多く含むことが好ましい。
前記交互共重合体は、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとが交互に配列する構造(非共役オレフィンをAと、共役ジエン化合物をBとした場合の、−ABABABAB−の分子鎖構造)を有する重合体である。前記交互共重合体である場合は、柔軟性と接着性の両立が可能となる。
前記ゴム成分100質量部中における前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(B)の含有量が、10質量部未満であると、耐候性が悪化することがあり、90質量部を超えると、耐破壊性や加工性が悪化することがある。
一方、前記ゴム成分100質量部中における前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(B)の含有量が、前記より好ましい範囲内であると、各性能のバランスの点で有利である。
次に、前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体を製造することができる製造方法を詳細に説明する。但し、以下に詳述する製造方法は、あくまで例示に過ぎない。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体は、下記に示す重合触媒または重合触媒組成物の存在下、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとを重合させる工程を含む。
なお、重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、液相塊状重合法、乳化重合法、気相重合法、固相重合法等の任意の方法を用いることができる。また、重合反応に溶媒を用いる場合、用いられる溶媒は重合反応において不活性であればよく、例えば、トルエン、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン、またそれらの混合物等が挙げられる。
上記重合触媒組成物としては、下記一般式(I):
また、上記重合触媒組成物としては、
(a)成分:希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物であって、希土類元素と炭素との結合を有さない該希土類元素化合物又は反応物と、
(b)成分:非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(b−1)、アルミノキサン(b−2)、並びにルイス酸、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物及び活性ハロゲンを含む有機化合物のうち少なくとも1種のハロゲン化合物(b−3)よりなる群から選択される少なくとも1種とを含む重合触媒組成物(以下、第二重合触媒組成物ともいう)を好適に挙げることができ、
該第二重合触媒組成物が、イオン性化合物(b−1)及びハロゲン化合物(b−3)の少なくとも1種を含む場合、該重合触媒組成物は、更に、
(c)成分:下記一般式(X):
YR1 aR2 bR3 c ・・・ (X)
[式中、Yは、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族から選択される金属であり、R1及びR2は、同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R3は上記R1又はR2と同一又は異なっていてもよく、また、Yが周期律表第1族から選択される金属である場合には、aは1で且つb及びcは0であり、Yが周期律表第2族及び第12族から選択される金属である場合には、a及びbは1で且つcは0であり、Yが周期律表第13族から選択される金属である場合には、a,b及びcは1である]で表される有機金属化合物を含むことを特徴とする。
(c)成分:下記一般式(X):
YR1 aR2 bR3 c ・・・ (X)
[式中、Yは、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族から選択される金属であり、R1及びR2は、同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R3は上記R1又はR2と同一又は異なっていてもよく、また、Yが周期律表第1族から選択される金属である場合には、aは1で且つb及びcは0であり、Yが周期律表第2族及び第12族から選択される金属である場合には、a及びbは1で且つcは0であり、Yが周期律表第13族から選択される金属である場合には、a,b及びcは1である]で表される有機金属化合物を含むことを要する。
上記イオン性化合物(b−1)及び上記ハロゲン化合物(b−3)は、(a)成分へ供給するための炭素原子が存在しないため、該(a)成分への炭素供給源として、上記(C)成分が必要となる。なお、上記重合触媒組成物が上記アルミノキサン(b−2)を含む場合であっても、該重合触媒組成物は、上記(c)成分を含むことができる。また、上記第二重合触媒組成物は、通常の希土類元素化合物系の重合触媒組成物に含有される他の成分、例えば助触媒等を含んでいてもよい。なお、重合反応系において、第二重合触媒組成物に含まれる(a)成分の濃度は0.1〜0.0001mol/lの範囲であることが好ましい。
なお、ランタノイド元素の具体例としては、ランタニウム、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミニウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムを挙げることができる。なお、上記(a)成分は、1種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
M11X11 2・L11w ・・・ (XI)
M11X11 3・L11w ・・・ (XII)
[式中、M11は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、X11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基、アルデヒド残基、ケトン残基、カルボン酸残基、チオカルボン酸残基又はリン化合物残基を示し、L11は、ルイス塩基を示し、wは、0〜3を示す]で表されることができる。
上記活性ハロゲンを含む有機化合物としては、ベンジルクロライド等が挙げられる。
YR1 aR2 bR3 c ・・・ (X)
[式中、Yは、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族から選択される金属であり、R1及びR2は、同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R3は上記R1又はR2と同一又は異なっていてもよく、また、Yが周期律表第1族から選択される金属である場合には、aは1で且つb及びcは0であり、Yが周期律表第2族及び第12族から選択される金属である場合には、a及びbは1で且つcは0であり、Yが周期律表第13族から選択される金属である場合には、a,b及びcは1である]で表される有機金属化合物であり、下記一般式(Xa):
AlR1R2R3 ・・・ (Xa)
[式中、R1及びR2は、同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R3は上記R1又はR2と同一又は異なっていてもよい]で表される有機アルミニウム化合物であることが好ましい。式(X)の有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム;エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。以上に述べた(c)成分としての有機アルミニウム化合物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。なお、上記第二重合触媒組成物における有機アルミニウム化合物の含有量は、(a)成分に対して1〜50倍モルであることが好ましく、約10倍モルであることが更に好ましい。
上記重合触媒としては、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとの重合用であり、下記式(A):
RaMXbQYb ・・・ (A)
[式中、Rはそれぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、該RはMに配位しており、Mはランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Xはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を示し、該XはM及びQにμ配位しており、Qは周期律表第13族元素を示し、Yはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子を示し、該YはQに配位しており、a及びbは2である]で表されるメタロセン系複合触媒が挙げられる。
以下に、上記メタロセン系複合触媒を詳細に説明する。上記メタロセン系複合触媒は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムの希土類元素と周期律表第13族元素とを有し、下記式(A):
RaMXbQYb ・・・ (A)
[式中、Rはそれぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、該RはMに配位しており、Mはランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Xはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を示し、該XはM及びQにμ配位しており、Qは周期律表第13族元素を示し、Yはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子を示し、該YはQに配位しており、a及びbは2である]で表されることを特徴とする。上記メタロセン系重合触媒を用いることで、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとの共重合体を製造することができる。また、上記メタロセン系複合触媒、例えば予めアルミニウム触媒と複合させてなる触媒を用いることで、共重合体合成時に使用されるアルキルアルミニウムの量を低減したり、無くしたりすることが可能となる。なお、従来の触媒系を用いると、共重合体合成時に大量のアルキルアルミニウムを用いる必要がある。例えば、従来の触媒系では、金属触媒に対して10当量以上のアルキルアルミニウムを用いる必要があるところ、上記メタロセン系複合触媒であれば、5当量程度のアルキルアルミニウムを加えることで、優れた触媒作用が発揮される。
また、上記重合触媒組成物は、上記メタロセン系複合触媒と、ホウ素アニオンとを含むことを特徴とし、更に、通常のメタロセン系触媒を含む重合触媒組成物に含有される他の成分、例えば助触媒等を含むことが好ましい。なお、上記メタロセン系複合触媒とホウ素アニオンとを合わせて2成分触媒ともいう。上記第三重合触媒組成物によれば、上記メタロセン系複合触媒と同様に、更にホウ素アニオンを含有するため、各モノマー成分の共重合体中での含有量を任意に制御することが可能となる。
非共役オレフィンの濃度/共役ジエン化合物の濃度≧1.0
の関係を満たすことが好ましく、更に好ましくは下記式:
非共役オレフィンの濃度/共役ジエン化合物の濃度≧1.3
の関係を満たし、一層好ましくは下記式:
非共役オレフィンの濃度/共役ジエン化合物の濃度≧1.7
の関係を満たす。非共役オレフィンの濃度/共役ジエン化合物の濃度の値を1以上とすることで、反応混合物中に非共役オレフィンを効率的に導入することができる。
本発明のゴム組成物は、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)を含有する非共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(C)を含む。該非共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(C)に含有されるEPDMによって、優れた耐候性を実現できる。
役ジエン化合物、EPDM以外の非共役オレフィン共重合体、製造方法など)については
、前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(A)と同様である。
前記ゴム成分100質量部中における記非共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(C)の含有量が、10質量部未満であると、十分な耐候性が得られないことがあり、30質量部を超えると、十分な耐亀裂成長性が得られないことがある。一方、前記ゴム成分100質量部中における前記非共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(C)の含有量が、より好ましい範囲内の場合、耐候性の点で有利である。
前記共役ジエン系重合体(A)と、前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(B)と、前記非共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(C)との質量比は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、耐候性、耐破壊性及び加工性をバランスよく発揮できる点からは、80:10:10〜10:60:30であることが好ましい。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(B)の質量比が10%未満の場合、相溶化の効果を十分に得られないおそれがあり、前記非共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(C)の質量比が10%未満だと耐候性の効果を十分に得られないおそれがあり、前記非共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(C)の質量比が30%を超えると耐亀裂成長性の効果を十分に得られないおそれがある。
前記その他のゴムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、などが挙げられる。その他のゴム成分については、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明で使用するゴム組成物には、前述のゴム成分と共に、減衰特性付与のため、種々の樹脂(D)を含有することができる。
この樹脂(D)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステルポリオール樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ロジン樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、脂肪・脂環族C5系石油樹脂、C5/C9系石油樹脂、C9系石油樹脂、テルペン樹脂、並びにこれらの共重合体及び変性品、などが挙げられる。前記樹脂(D)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ポリエステルポリオール樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合物であって、1分子内に水酸基を2個以上有する樹脂、などが挙げられる。
前記多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合物であって、1分子内に水酸基を2個以上有する樹脂の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸等の二塩基酸と、モノ、ジ、トリエチレングリコールやモノ、ジプロピレングリコール等の二価アルコールとを縮合させて得られた両末端に水酸基を有するポリエステルジオール、などが挙げられる。
前記ジシクロペンタジエン樹脂は、ジシクロペンタジエンをAlCl3やBF3等のフリーデルクラフト触媒等を用いて重合させた樹脂である。
前記ジシクロペンタジエン樹脂の市販品の具体例としては、クイントン1920(日本ゼオン製、分子量大)、マルカレッツM−890A(丸善石油化学製、分子量小)、などが挙げられる。
前記ロジン樹脂は、生松やに、トール油等に含有されている樹脂であって、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンの3種が知られている。
前記ロジン樹脂の変性品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、重合ロジン;グリセリンエステルロジン、その部分水添ロジン、完全水添ロジン、重合ロジン;ペンタエリスリトールエステルロジン、その部分水添ロジン、重合ロジン;などが挙げられる。
前記フェノール樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、p−tert−ブチルフェノール・アセチレン樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、などが挙げられる。
前記キシレン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、m−キシレンとホルムアルデヒドを酸性触媒の存在下に反応させて得られた樹脂、などが挙げられる。
前記脂肪・脂環族C5系石油樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン(シクロペンタジエンの二量体でC10であるが、C5系留分に包含される。)、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1−ペンテン、2−ペンテン等のC5系留分を原料とする共重合樹脂が挙げられる。
前記C5/C9系石油樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記C5系留分と、インデン、スチレン、メチルインデン、α−メチルスチレン等のC9系留分との混合物を原料とする共重合樹脂、などが挙げられる。
前記C9系石油樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記C9系留分を原料とする共重合樹脂、などが挙げられる。
前記テルペン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、β−ピネン樹脂、α−ピネン樹脂、テルペンフェノール樹脂、などを挙げることができる。
前記導入される極性基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、カルボキシ基等が挙げられる。
前記導入される極性基の量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水酸基価(mgKOH/g)として、2〜400が好ましく、10〜300がより好ましい。前記石油樹脂中に存在する極性基の量は、JIS K0070に記載の方法により測定することができる。
前記ゴム成分100質量部中における前記樹脂(D)の含有量が、5質量部〜60質量であると、十分な減衰が得られ、力学物性及び作業性の低下を防止することができる。
前記カーボンブラックとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、FEF、GPF、SRF、HAF、N339、IISAF、ISAF、SAF、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA、JIS K 6217−2:2
001に準拠する)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる
が、20m2/g〜100m2/gが好ましく、35m2/g〜80m2/gがより好ましい
。前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が20m2/g未満であると、得
られたゴムの耐久性が低く、十分な耐亀裂成長性が得られないことがあり、100m2/
gを超えると、低ロス性が低下し、また、作業性が悪いことがある。
なお、前記窒素吸着比表面積(N2SA)は、例えば、JIS K 6217−2:2
001に準拠して、測定することができる。
前記ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量としては、特に制限はな
く、目的に応じて適宜選択することができるが、10質量部〜70質量部が好ましく、2
0質量部〜60質量部がより好ましい。前記カーボンブラックの含有量が、10質量部未
満であると、補強性が不十分で耐破壊性が悪化することがあり、70質量部を超えると、
加工性および低ロス性が悪化することがある。一方、前記カーボンブラックの含有量が、
前記より好ましい範囲内であると、各性能のバランスの点で有利である。
前記シリカを上記カーボンブラックと併用することで、ゴムの破壊特性を維持しながら、弾性率の上昇を抑えることができる。
前記シリカとしては、特に制限はなく、この分野において通常使用されているものを使用することができるが、疎水化処理シリカが好ましい。
前記疎水化処理シリカとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、窒素吸着比表面積(BET法)が150m2/g〜500m2/g(好ましくは150〜350m2/g)の範囲の湿式シリカ100質量部に対して、動粘度が10-6m2/s〜1m2/sの範囲のシリコーンオイル0.1質量部〜50質量部を配合して表面処理して得られるものが好ましい。
前記湿式シリカの比表面積が150m2/g未満では、所望の破壊特性が得られないことがあり、500m2/gを超えると、ゴム成分への分散性が低下することがある。なお、前記シリカのDBP吸収量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、150ml/100g〜350ml/100gが好ましい。
前記シリカの添加量が10質量部を超えると、所期のせん断弾性率Gを得難くなることがあり、1質量部未満では、破壊特性に対する効果が得られないことがある。
なお、本発明においては、上記シランをゴム成分と混練する際、公知のシランカップリング剤を適宜添加することもでき、これによりゴム成分への分散性を向上させることが可能である。
前記ワックス、アマイド化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、パラフィンワックス、ミクロクリスタリンワックス等のワックス;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等のアマイド化合物;などが挙げられる。前記樹脂ワックス、アマイド化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、ミクロクリスタリンワックス、エルカ酸アミドが、ゴムシートの粘着性を低減させることができ、ゴム支承体を被覆する際の成形作業性を向上させることができる点で、好ましい。
前記ワックス、アマイド化合物の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ゴム成分100質量部に対して、0.5質量部〜2質量部が好ましく、0.5質量部〜1質量部がより好ましい。
前記ワックス、アマイド化合物の添加量が、0.5質量部未満であると、所望する加工性の改善効果が得られないことがあり、2質量部を超えると、外観の悪化を招くおそれがある。
前記その他の成分として、本発明の目的を損なわない範囲で、公知の加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、亜鉛華(ZnO)、ワックス類、酸化防止剤、充填剤、発泡剤、可塑剤、滑剤、粘着付与剤、紫外線吸収剤、脂肪酸、老化防止剤、軟化剤、リターダー等の添加剤を、適宜配合することができる。
前記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アロマティック油、ナフテニック油、パラフィン油等のプロセスオイル;やし油等の植物油;アルキルベンゼンオイル等の合成油;などが挙げられる。
これらの中でも、プロセスオイルが好ましく、特に、パラフィン系オイルが好ましい。
前記可塑剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対し、20質量部〜50質量部が好ましい。
前記加硫剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫黄、などが挙げられる。
前記加硫剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ゴム成分100質量部に対し、0.5質量部〜3質量部が好ましい。
前記加硫剤の添加量が、0.5質量部未満であると、ゴム組成物の破壊特性が低下することがあり、3質量部を超えると、所望の弾性率が得られないことがある。
前記加硫促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、TBBS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、TBSI(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンイミド)等のスルフェンアミド系の加硫促進剤;DPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤;テトラオクチルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;ジアルキルジチオリン酸亜鉛等の加硫促進剤;などが挙げられる。
前記加硫促進剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対し、1.5質量部〜3.5質量部が好ましい。
前記充填剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホワイトカーボン、微粒子ケイ酸マグネシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレー、タルク等の無機充填剤、ハイスチレン樹脂、クマロンインデン樹脂、フェノール樹脂、リグニン、変性メラミン樹脂、ロジン誘導体等の有機充填剤、が挙げられる。前記充填剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対し、10質量部〜50質量部が好ましい。
前記老化防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(6C)、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(3C)、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物(RD)、などの公知のアミン系又はフェノール系の老化防止剤が挙げられる。
前記老化防止剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対して、0.5質量部〜10質量部が好ましく、1質量部〜10質量部がより好ましい。
前記軟化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族変性テルペン炭化水素樹脂等の炭化水素樹脂、などが挙げられる。
前記脂肪酸の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対して、1質量部〜15質量部が好ましい。
前記脂肪酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸、などが挙げられる。
前記脂肪酸の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対して、0.5質量部〜10質量部が好ましく、1質量部〜5質量部がより好ましい。
前記リターダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N−(シクロヘキシルチオ)−フタルイミド(PVI)、などが挙げられる。
前記リターダーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対して、0.1質量部〜0.5質量部が好ましい。
前記酸化亜鉛の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対して、0.5質量部〜10質量部が好ましく、1質量部〜5質量部がより好ましい。
本発明のゴム支承被覆用ゴム組成物の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、全ての成分原料を一度に配合して混練しても良いし、2段階あるいは3段階に分けて各成分を配合して混練を行ってもよい。
前記混練に際しては、ロール、インターナルミキサー、バンバリーローター等の混練機を用いることができる。
本発明のゴム支承被覆用ゴムは、本発明のゴム支承被覆用ゴム組成物を用いたことを特徴とする。
前記ゴム支承被覆用ゴムの加硫後におけるせん断弾性率Gとしては、特に制限はなくs、目的に応じて適宜選択することができるが、0.3N/mm2〜1.0N/mm2が好ましく、0.35N/mm2〜0.75N/mm2がより好ましい。
前記ゴム支承被覆用ゴムの加硫後における破壊強度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、12MPa以上が好ましく、14MPa以上がより好ましい。
前記ゴム支承被覆用ゴム組成物からシート状のゴム支承被覆用ゴム(ゴムシート)を成形する際には、押出成形機、プレス機等の公知の成形機を用いればよい。
前記ゴムシートをゴム支承体の外周に巻き付け、被覆した後、加硫硬化することによって、外観だけでなく耐久性、耐候性等に優れたゴム支承を得ることができる。この時の加硫条件としては、特に限定されるものではないが、通常120〜160℃の加硫条件を採用することができる。
例えば、図1に示されるように、本発明のゴム支承被覆用ゴムが用いられるゴム支承体20は、粘弾性的性質を有するゴム等の軟質板11と、鋼板等の剛性を有する硬質板12とを交互に積層して構成されたゴム積層体13の上下面に取付面板4、5が設けられている。しかして、ゴム積層体13は被覆層14で被覆されている。
本発明のゴム支承被覆用ゴムは、例えば、被覆層14に用いられる。
後述する各実施例及び比較例で得られたゴム組成物及び加硫ゴムのサンプルについて、下記の方法に従って、耐候性(耐オゾン性)、耐破壊性、耐亀裂成長性(指数)、等価減衰係数、Tb(引張破断応力)及びEb(引張破断伸び)を測定した。また、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の分析方法を以下に示す。
各実施例及び比較例で得られた加硫ゴムのサンプルについて、JIS K6259に従
って、耐オゾン性を測定した。短冊状試験片を30%の動的伸張を与えながら、40℃、
オゾン濃度50pphm条件で暴露し、24時間後の試料の状況(亀裂の有無)を目視で
判断した。結果を表1及び2に示す。
なお、表1及び2において、○が「亀裂なし」を示し、△が「亀裂あり」を示す。
各実施例及び比較例で得られた加硫ゴムのサンプルについて、JIS K 6251に従って、引っ張り試験による室温での破断点強度(Tb(引張破断応力))および破断点伸び(Eb(引張破断伸び))を測定し、比較例1を100として指数表示した。結果を表1及び2に示す。
表1及び2では、比較例1を100としたときの指数で表示し、数値が大きいほど耐破壊性が良好であることを示す。
各実施例及び比較例で得られた加硫ゴムのサンプルについて、JIS3号試験片中心部
に0.5mmの亀裂を入れ、室温で0〜100%の一定歪みで繰り返し疲労を与え、サン
プルが切断するまでの回数を測定し、評価を行った。
表1及び2では、比較例1を100としたときの指数で表示し、指数値が大きい程、耐亀裂成長性(定歪)が良好であることを示す。
各実施例及び比較例で得られた加硫ゴムのサンプルから、25mm×25mmの方形状に打ち抜いた1枚の方形状ゴムシート(厚み2mm)を作製した。該方形状ゴムシートを接着剤を塗布した2枚の鉄板(25mm×60mm×厚み2.3mm)の間に断面クランク状となるように挟んだ。このように、鉄板とこれに接するゴムシートの面とを接着した状態で加硫を行い、鉄板とゴムシート面との接着をして測定サンプルを得た。得られた測定サンプルを、バネ剛性、損失エネルギー測定装置[鷺宮製作所製、型式「EFH−26−8−10」]に配置した。2校の鉄板を方形状ゴムシートに対して外側および内側に、周波数0.2Hzで下記の一回目、二回目の順で剪断率を変えて剪断力を付与した。同剪断率では各3回剪断力を付与した。
1回目:50%→100%→200%→300%
2回目:50%一100%→200%→300%
そして、各剪断率において、1回目の剪断力を加えた時の測定値(3回目)と2回目の剪断力を加えた時の測定値(3回目)を平均し、Heq100%を算出した。
表1および表2では、比較例1を100としたときの指数で表示し、指数値が大きいほど、減衰性が高いことを示す。
−共重合体の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)−
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC−8121GPC/HT、カラム:東ソー製GMHHR−H(S)HT×2本、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。なお、測定温度は140℃である。
−ブタジエン−エチレン共重合体(EBR1)の調製−
十分に乾燥した4Lステンレス反応器に、1,3−ブタジエン120g(2.22mol)を含むトルエン溶液2,000gを添加した後、エチレンを1.72MPaで導入した。一方、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にビス(2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)[(2−PhC9H6)2GdN(SiHMe2)2]28.5μmol、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Me2NHPhB(C6F5)4]28.5μmol、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド2.00mmolを仕込み、トルエン40mlに溶解させて触媒溶液とした。その後、グローブボックスから触媒溶液を取り出し、ガドリニウム換算で25.0μmolとなる量をモノマー溶液へ添加し、50℃で90分間重合を行った。
重合後、2,2’メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液5mlを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノールで共重合体を分離し、70℃で真空乾燥し重合体を得た。得られた共重合体EBR1の収量は98gであった。
−ブタジエン−エチレン共重合体(EBR2)の調製−
十分に乾燥した4Lステンレス反応器に、1,3−ブタジエン230g(4.26mol)を含むトルエン溶液2,000gを添加した後、エチレンを1.72MPaで導入した。一方、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にビス(2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)[(2−PhC9H6)2GdN(SiHMe2)2]145μmol、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Me2NHPhB(C6F5)4]145μmol、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド2.9mmolを仕込み、トルエン100mlに溶解させて触媒溶液とした。その後、グローブボックスから触媒溶液を取り出し、ガドリニウム換算で142μmolとなる量をモノマー溶液へ添加し、60℃で60分間重合を行った。重合後、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液5mlを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノールで共重合体を分離し、70℃で真空乾燥し重合体を得た。得られた共重合体EBR2の収量は248gであった。
−ブタジエン−エチレン共重合体(EBR3)の調製−
十分に乾燥した400ml耐圧ガラス反応器に、1,3−ブタジエン9.36g(0.173mol)を含むトルエン溶液200mlを添加した後、エチレンを0.6MPaで導入した。一方、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器に(2−MeC9H6)2Sc(MeAlMe3)21.0μmol、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3CB(C6F5)4)21.0μmol、及びトリイソブチルアルミニウム0.25mmolを仕込み、トルエン5mlに溶解させて触媒溶液とした。その後、グローブボックスから触媒溶液を取り出し、モノマー溶液へ添加し、25℃で50分間重合を行った。重合後、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mlを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノールで共重合体を分離し、70℃で真空乾燥し重合体を得た。得られた共重合体EBR3の収量は9.30gであった。
−エチレン−ブタジエン共重合体(EBR4)の調製−
十分に乾燥した4Lステンレス反応器に、1,3−ブタジエン80g(1.48mol)を含むトルエン溶液2,000gを添加した後、エチレンを1.72MPaで導入した。一方、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にビス(2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)[(2−PhC9H6)2GdN(SiHMe2)2]28.5μmol、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Me2NHPhB(C6F5)4]28.5μmol、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド2.00mmolを仕込み、トルエン40mlに溶解させて触媒溶液とした。その後、グローブボックスから触媒溶液を取り出し、ガドリニウム換算で25.0μmolとなる量をモノマー溶液へ添加し、80℃で90分間重合を行った。重合後、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液5mlを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノールで共重合体を分離し、70℃で真空乾燥し重合体を得た。得られた共重合体EBR4の収量は78gであった。
−プロピレン−ブタジエン共重合体(PBR)の調製−
容積が200mlのゴム栓付きガラスびんを乾燥・窒素置換し、0.05molのVOCl3(オキソバナジウムトリクロライド)とネオペンチルアルコール0.10molとトルエンを加えた。その後、窒素でバブリングさせながら発生した塩酸について、注射針を刺して抜くことでジネオペントキシオキソバナジウムクロライドのトルエン溶液を得た。
約1リットル容積のゴム栓付きガラスびんを乾燥・窒素置換し、乾燥精製されたブタジエンのトルエン溶液(17.5wt%)を250g投入した。次に、このガラス瓶を−78℃に冷却し、プロピレンガスを50g送入した。2.81mmolのトリイソブチルアルミニウム(ノルマルヘキサン溶液1mol/L)を加え、攪拌して約10分放置した後、上記で調整したバナジウム溶液0.47mmolを添加して重合を開始させ、−78℃で4時間反応を行なった。その後、50℃にて老化防止剤2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)のイソプロパノール5%溶液2ミリリットルを加えて反応の停止を行い、さらに微量のNS−5を含むイソプロパノール中で再沈殿した後、ドラムにて乾燥することで、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(A)に該当するプロピレン−ブタジエン共重合体(PBR)を得た。得られた共重合体PBRの収率は約70質量%であり、ジエン含有量は50mol%、重量平均分子量(Mw)は250,000であった。
−ブテン−ブタジエン共重合体(BBR)の調製−
容積が200mlのゴム栓付きガラスびんを乾燥・窒素置換し、0.05molのVOCl3(オキソバナジウムトリクロライド)とネオペンチルアルコール0.10molとトルエンを加えた。その後、窒素でバブリングさせながら発生した塩酸について、注射針を刺して抜くことでジネオペントキシオキソバナジウムクロライドのトルエン溶液を得た。
約1リットル容積のゴム栓付きガラスびんを乾燥・窒素置換し、乾燥精製されたブタジエンのトルエン溶液(17.5wt%)を250g投入した。次に、このガラス瓶を−78℃に冷却し、ブテンガスを66g送入した。2.81mmolのトリイソブチルアルミニウム(ノルマルヘキサン溶液1mol/L)を加え、攪拌して約10分放置した後、上記で調整したバナジウム溶液0.47mmolを添加して重合を開始させ、−78℃で12時間反応を行なった。その後、50℃にて老化防止剤2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)のイソプロパノール5%溶液2ミリリットルを加えて反応の停止を行い、さらに微量のNS−5を含むイソプロパノール中で再沈殿した後、ドラムにて乾燥することで、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(A)に該当するプロピレン−ブタジエン共重合体(BBR)を得た。得られた共重合体BBRの収率は約65質量%であり、ジエン含有量は55mol%、ジエン含有量は39mol%、重量平均分子量(Mw)は300,000であった。
実施例1〜8及び比較例1〜6のゴム組成物のサンプルとして、表1及び2に示す配合処方でゴム組成物を調製した。
その後、各サンプルのゴム組成物を用い、表3に示すマスターバッチの欄に従って化合
物を添加することでマスターバッチを調製した後、表3に示すファイナルバッチの欄に従
って化合物を添加することでファイナルバッチを調整し、その後、調整したファイナルバ
ッチを、160℃で20分間加硫することで、加硫ゴムのサンプルを作製した。なお、表
1及び表2中に記載の「phr」とは、ゴム成分100質量部に対する割合のことである
。
EPDM*1:非共役ジエン化合物−非共役オレフィンとしてのEPDM:JSR製、EP96(ジエン含有量:5.8wt%)
NR*2:共役ジエン系重合体としての天然ゴム グレードRSS♯4
カーボンブラック:ISAF級、東海カーボン製 シースト6
脂肪酸:ステアリン酸
老化防止剤1:「ノクラック(登録商標)224」(商品名)、大内新興化学工業株式会社製(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体)
老化防止剤2:「KUMANOX13」(商品名)、KUMHO.INC製、N−(1,3−ジメチルブチル)N’−フェニル−p−フェニレンジアミン
ジシクロペンタジエン樹脂1:日本ゼオン製 クイントン1920
ジシクロペンタジエン樹脂2:丸善石油化学製 マルカレッツM−890A
軟化剤:芳香族変性テルペン炭化水素樹脂:YSレジンTO105(商品名)、ヤスハラケミカル製
老化防止剤3:大内新興化学工業製 ノクセラーCZ−G、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
リターダー:東レファインケミカル製 リターダーCTP、PVI(N−(シクロヘキシルチオ)−フタルイミド)
5 取付面板
11 軟質板
12 硬質板
13 ゴム積層体
14 被覆層
20 ゴム支承体
Claims (11)
- 共役ジエン系重合体(A)、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(B)、及び、エチレン−プロピレン−ジエンゴムを含有する非共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(C)を含むゴム成分と、樹脂(D)とを含むゴム支承被覆用ゴム組成物であって、
前記ゴム成分100質量部に対し、前記樹脂(D)を5質量部〜60質量部含むことを特徴とするゴム支承被覆用ゴム組成物。 - 前記共重合体(B)において、前記非共役オレフィン由来部分の割合が60mol%以下であることを特徴とする請求項1に記載のゴム支承被覆用ゴム組成物。
- 前記非共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(C)におけるエチレン−プロピレン−ジエンゴムの含有量が、10質量%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム支承被覆用ゴム組成物。
- 前記共重合体(B)のポリスチレン換算重量平均分子量が10,000〜10,000,000であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のゴム支承被覆用ゴム組成物。
- 前記共重合体(B)の分子量分布(Mw/Mn)が10以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のゴム支承被覆用ゴム組成物。
- 前記共重合体(B)における非共役オレフィンが非環状オレフィンであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のゴム支承被覆用ゴム組成物。
- 前記共重合体(B)における非共役オレフィンの炭素数が2〜10であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のゴム支承被覆用ゴム組成物。
- 前記共重合体(B)における非共役オレフィンが、エチレン、プロピレン、及び1−ブテンからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のゴム支承被覆用ゴム組成物。
- 前記共重合体(B)における非共役オレフィンがエチレンであることを特徴とする請求項8に記載のゴム支承被覆用ゴム組成物。
- 前記樹脂(D)が、ポリエステルポリオール樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ロジン樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、脂肪・脂環族C5系石油樹脂、C5/C9系石油樹脂、C9系石油樹脂、テルペン樹脂、並びにこれらの共重合体及び変性品からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のゴム支承被覆用ゴム組成物。
- 請求項1から10のいずれかに記載のゴム支承被覆用ゴム組成物を用いたことを特徴とするゴム支承被覆用ゴム。
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