JP2013159631A - ゴム組成物、タイヤトレッド用ゴム組成物、架橋ゴム、及びタイヤ - Google Patents

ゴム組成物、タイヤトレッド用ゴム組成物、架橋ゴム、及びタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】耐摩耗性及び耐亀裂成長性を損なうことなくタッキネスが向上したゴムを製造するのに用いられるゴム組成物、前記ゴム組成物を架橋して得られた架橋ゴム、及び、前記ゴム組成物または前記架橋ゴムを用いたタイヤを提供する。
【解決手段】共役ジエン−非共役オレフィン共重合体と、粘着付与剤とを含むことを特徴とするゴム組成物、前記ゴム組成物を架橋して得られた架橋ゴム、及び、前記ゴム組成物または前記架橋ゴムを用いたタイヤである。
【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物、タイヤトレッド用ゴム組成物、架橋ゴム、及びタイヤに関する。
近年、タイヤの耐久性を改善する必要性から、耐摩耗性、耐亀裂成長性の優れたゴム材料が多く望まれている。
一方、従来より、共役ジエン−非共役オレフィン共重合体(共役ジエンと非共役オレフィンとの共重合体)について様々な研究がなされている。例えば、特許文献1には、シクロペンタジエン環構造を有する周期律表第IV族遷移金属化合物を含む共役ジエン重合用触媒が開示されており、この共役ジエンと共重合可能な単量体として、エチレン等のα−オレフィンが例示されている。
また、特許文献2には、チタン化合物などの遷移金属化合物と助触媒からなるオレフィン重合用触媒が開示されており、α−オレフィンと共役ジエンとの共重合体が開示されている。
また、特許文献3には、特殊な有機金属錯体を触媒成分として用いてエチレンとブタジエンを出発原料として合成したエチレンとブタジエンとの共重合体が開示される。
また、特許文献4には、シス含有量が92%であり、エチレン含有量が3%または9%のブタジエン重合体が開示されている。
特開2000−154210号公報 特開2006−249442号公報 特表2006−503141号公報 特開2000−86857号公報
このような状況下、本発明者らは、前記共役ジエン−非共役オレフィン共重合体が、ゴム組成物の耐摩耗性及び耐亀裂成長性の向上に寄与することを見出した。しかしながら、前記共役ジエン−非共役オレフィン共重合体を含むゴム組成物は、未加硫状態でも室温で硬く、タッキネスが低いこともわかった。従って、前記共役ジエン−非共役オレフィン共重合体を含むゴム組成物には、例えばタイヤ等の成型時において、他部材との接着不良が発生しやすくなり、タイヤ等の生産性が悪化するという問題がある。
そこで、本発明の目的は、耐摩耗性及び耐亀裂成長性を損なうことなくタッキネスが向上したゴムを製造するのに用いられるゴム組成物、前記ゴム組成物を架橋して得られた架橋ゴム、及び、前記ゴム組成物または前記架橋ゴムを用いたタイヤを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ゴム成分として共役ジエン−非共役オレフィン共重合体を含み、さらに粘着付与剤を含むことにより、耐摩耗性及び耐亀裂成長性を損なうことなくタッキネスが向上したゴム組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明のゴム組成物は、共役ジエン−非共役オレフィン共重合体と、粘着付与剤とを含むことを特徴とする。
本発明のゴム組成物においては、前記粘着付与剤の含有量が、ゴム成分100質量部に対して1質量部〜40質量部であることが好ましい。
本発明のゴム組成物においては、前記粘着付与剤が、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂、フェノール系樹脂、石炭系樹脂及びキシレン系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。
本発明のゴム組成物は、タイヤのトレッド部材用であることを特徴とする。
本発明の架橋ゴムは、本発明のゴム組成物を架橋して得られたことを特徴とする。
本発明のタイヤは、本発明のゴム組成物、または本発明の架橋ゴムを用い、好ましくはトレッド部材に用いたことを特徴とする。
本発明によれば、耐摩耗性及び耐亀裂成長性を損なうことなくタッキネスが向上したゴムを製造するのに用いられるゴム組成物、前記ゴム組成物を架橋して得られた架橋ゴム、及び、前記ゴム組成物または前記架橋ゴムを用いたタイヤを提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明のゴム組成物は、少なくとも、共役ジエン−非共役オレフィン共重合体と、粘着付与剤と、を含んでなり、さらに必要に応じて、共役ジエン−非共役オレフィン共重合体以外のゴム成分、カーボンブラック等の補強性充填剤、架橋剤、その他の成分を含んでなる。
(ゴム組成物)
〔共役ジエン−非共役オレフィン共重合体〕
前記共役ジエン−非共役オレフィン共重合体は、共役ジエンと非共役オレフィンとの共重合体であり、共重合体におけるモノマー単位成分として非共役オレフィンを含む。
前記共役ジエン−非共役オレフィン共重合体の共役ジエン由来部分のシス−1,4結合量としては、50%以上が好ましく、75%以上がより好ましく、92%以上がなおより好ましく、97%以上が特に好ましい。前記共役ジエン由来部分のシス1,4−結合量が、50%未満であると、耐久性(耐破壊特性や耐亀裂成長性)が悪化し、伸張結晶性が発現しない。一方、前記共役ジエン由来部分のシス1,4−結合量が、より好ましい範囲内にあると、耐久性(耐破壊特性や耐亀裂成長性)及び伸張結晶性の点で有利である。
なお、前記シス−1,4結合量は、前記共役ジエン由来部分中の量であって、共重合体全体に対する割合ではない。
前記共役ジエン−非共役オレフィン共重合体の連鎖構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ブロック、ランダム、テーパー、などが挙げられる。
前記共役ジエン−非共役オレフィン共重合体の共役ジエン由来部分における共役ジエンの1,2付加体部分(3,4付加体部分を含む)含量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。
前記共役ジエン−非共役オレフィン共重合体の共役ジエン由来部分における共役ジエンの1,2付加体部分(3,4付加体部分を含む)含量が、5%を超えると、前記共役ジエン−非共役オレフィン共重合体の伸長結晶性が悪化したり、耐亀裂成長性が悪化したり、ラジカルが発生して耐候性が悪化することがある。
一方、前記共役ジエン−非共役オレフィン共重合体の共役ジエン由来部分における共役ジエンの1,2付加体部分(3,4付加体部分を含む)含量が、より好ましい範囲内にあると、耐亀裂成長性及び耐候性の点で有利である。
前記1,2付加体部分(3,4付加体部分を含む)含量は、前記共役ジエン由来部分中の量であって、共重合体全体に対する割合ではない。
なお、前記共役ジエン由来部分における共役ジエンの1,2付加体部分(3,4付加体部分を含む)含量は、共役ジエンがブタジエンの場合、1,2−ビニル結合量と同じ意味である。
前記共役ジエン−非共役オレフィン共重合体における前記共役ジエン由来部分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mol%以上95mol%以下が好ましく、10mol%以上95mol%以下がより好ましく、20mol%以上95mol%以下がさらに好ましい。
前記共役ジエン−非共役オレフィン共重合体における前記共役ジエン由来部分の含有量が、5mol%未満であると、プラスチックに近いためエラストマーとしての特性が低く、十分な耐亀裂性が得られないことがある。また、前記共役ジエン−非共役オレフィン共重合体における前記共役ジエン由来部分の含有量が、95mol%を超えると、耐候性が低下することがある。
一方、前記共役ジエン−非共役オレフィン共重合体における前記共役ジエン由来部分の含有量が、前記より好ましい範囲内であると、加工性及び屈曲疲労性の点で有利である。
前記共役ジエン−非共役オレフィン共重合体における前記非共役オレフィン由来部分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mol%以上95mol%以下が好ましく、5mol%以上90mol%以下がより好ましく、5mol%以上80mol%以下がさらに好ましい。
前記共役ジエン−非共役オレフィン共重合体における前記非共役オレフィン由来部分の含有量が、5mol%未満であると、耐候性が低下することがある。
また、前記共役ジエン−非共役オレフィン共重合体における前記非共役オレフィン由来部分の含有量が、95mol%超であると、耐候性及び耐亀裂成長性が低下することがある。
一方、前記共役ジエン−非共役オレフィン共重合体における前記非共役オレフィン由来部分の含有量が、前記より好ましい範囲内であると、加工性の点で有利である。
前記共役ジエン−非共役オレフィン共重合体において、重量平均分子量(Mw)は、低分子量化の問題が起こることも無く、その重量平均分子量(Mw)は特に限定されるものでもないが、高分子構造材料への適用の観点から、該共重合体のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は10,000〜10,000,000が好ましく、10,000〜1,000,000がより好ましく、50,000〜600,000が更に好ましい。また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、10以下が好ましく、5以下が更に好ましい。分子量分布が10を超えると物性が均質でなくなるためである。ここで、平均分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレンを標準物質として求めることができる。
なお、前記共役ジエン−非共役オレフィン共重合体において、単量体として用いる共役ジエンは、炭素数が4〜12であることが好ましい。該共役ジエンとして、具体的には、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等が挙げられ、これらの中でも、1,3−ブタジエン及びイソプレンが好ましい。また、これら共役ジエンは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述した共役ジエンの具体例のいずれを用いても、同様のメカニズムで前記ブロック共重合体と前記ランダム共重合体とを調製することができる。
一方、前記共役ジエン−非共役オレフィン共重合体において、単量体として用いる非共役オレフィンは、共役ジエン以外の非共役オレフィンであり、優れた耐熱性や、共重合体の主鎖中に占める二重結合の割合を減らし、結晶性を低下させることでエラストマーとしての設計自由度を高めることが可能となる。また、非共役オレフィンとしては、非環状オレフィンであることが好ましく、また、該非共役オレフィンの炭素数は2〜10であることが好ましい。従って、上記非共役オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等のα−オレフィンが好適に挙げられ、これらの中でも、エチレン、プロピレン及び1−ブテンが好ましく、エチレンが特に好ましい。α−オレフィンはオレフィンのα位に二重結合を有するため、共役ジエンとの共重合を効率よく行うことができる。これら非共役オレフィンは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、オレフィンは、脂肪族不飽和炭化水素で、炭素−炭素二重結合を1個以上有する化合物を指す。
また、非共役オレフィンの単量体単位からなるブロック部分を備える場合には、静的結晶性を示すため、破断強度等の機械的性質に優れることができる。
−−共役ジエン−非共役オレフィン共重合体の製造方法−−
次に、前記共役ジエン−非共役オレフィン共重合体の製造方法を詳細に説明する。但し、以下に詳述する製造方法は、あくまで例示に過ぎない。
前記共役ジエン−非共役オレフィン共重合体は、下記に示す重合触媒または重合触媒組成物の存在下、共役ジエンと非共役オレフィンとを重合させる工程を含む。なお、重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、液相塊状重合法、乳化重合法、気相重合法、固相重合法等の任意の方法を用いることができる。また、重合反応に溶媒を用いる場合、用いられる溶媒は重合反応において不活性であればよく、例えば、トルエン、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン、またそれらの混合物等が挙げられる。
上記製造方法によれば、上記重合触媒または重合触媒組成物を用いること以外は、通常の配位イオン重合触媒による重合体の製造方法と同様にして、モノマーである共役ジエンと非共役オレフィンを共重合させることができる。
<第一の重合触媒組成物>
上記重合触媒組成物としては、下記一般式(I):
Figure 2013159631
(式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpRは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、Ra〜Rfは、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示す)で表されるメタロセン錯体、及び下記一般式(II):
Figure 2013159631
(式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpRは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、X'は、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示す)で表されるメタロセン錯体、並びに下記一般式(III):
Figure 2013159631
(式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpR'は、無置換もしくは置換シクロペンタジエニル、インデニル又はフルオレニルを示し、Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示し、[B]-は、非配位性アニオンを示す)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体からなる群より選択される少なくとも1種類の錯体を含む重合触媒組成物(以下、第一重合触媒組成物ともいう)が挙げられ、該重合触媒組成物は、更に、通常のメタロセン錯体を含む重合触媒組成物に含有される他の成分、例えば助触媒等を含んでいてもよい。ここで、メタロセン錯体は、一つ又は二つ以上のシクロペンタジエニル又はその誘導体が中心金属に結合した錯体化合物であり、特に、中心金属に結合したシクロペンタジエニル又はその誘導体が一つであるメタロセン錯体を、ハーフメタロセン錯体と称することがある。なお、重合反応系において、第一重合触媒組成物に含まれる錯体の濃度は0.1〜0.0001mol/Lの範囲であることが好ましい。
上記一般式(I)及び式(II)で表されるメタロセン錯体において、式中のCpRは、無置換インデニル又は置換インデニルである。インデニル環を基本骨格とするCpRは、C97-XX又はC911-XXで示され得る。ここで、Xは0〜7又は0〜11の整数である。また、Rはそれぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。置換インデニルとして、具体的には、2−フェニルインデニル、2−メチルインデニル等が挙げられる。なお、一般式(I)及び式(II)における二つのCpRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体において、式中のCpR'は、無置換もしくは置換のシクロペンタジエニル、インデニル又はフルオレニルであり、これらの中でも、無置換もしくは置換のインデニルであることが好ましい。シクロペンタジエニル環を基本骨格とするCpR'は、C55-XXで示される。ここで、Xは0〜5の整数である。また、Rはそれぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。シクロペンタジエニル環を基本骨格とするCpR'として、具体的には、以下のものが例示される。
Figure 2013159631
(式中、Rは水素原子、メチル基又はエチル基を示す。)
一般式(III)において、上記インデニル環を基本骨格とするCpR'は、一般式(I)のCpRと同様に定義され、好ましい例も同様である。
一般式(III)において、上記フルオレニル環を基本骨格とするCpR'は、C139-XX又はC1317-XXで示され得る。ここで、Xは0〜9又は0〜17の整数である。また、Rはそれぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。
一般式(I)、式(II)及び式(III)における中心金属Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムである。ランタノイド元素には、原子番号57〜71の15元素が含まれ、これらのいずれでもよい。中心金属Mとしては、サマリウムSm、ネオジムNd、プラセオジムPr、ガドリニウムGd、セリウムCe、ホルミウムHo、スカンジウムSc及びイットリウムYが好適に挙げられる。
一般式(I)で表されるメタロセン錯体は、シリルアミド配位子[−N(SiR32]を含む。シリルアミド配位子に含まれるR基(一般式(I)におけるRa〜Rf)は、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子である。また、Ra〜Rfのうち少なくとも一つが水素原子であることが好ましい。Ra〜Rfのうち少なくとも一つを水素原子にすることで、触媒の合成が容易になり、また、ケイ素まわりのかさ高さが低くなるため、非共役オレフィンが導入され易くなる。同様の観点から、Ra〜Rcのうち少なくとも一つが水素原子であり、Rd〜Rfのうち少なくとも一つが水素原子であることが更に好ましい。更に、アルキル基としては、メチル基が好ましい。
一般式(II)で表されるメタロセン錯体は、シリル配位子[−SiX'3]を含む。シリル配位子[−SiX'3]に含まれるX'は、下記で説明される一般式(III)のXと同様に定義される基であり、好ましい基も同様である。
一般式(III)において、Xは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基及び炭素数1〜20の炭化水素基からなる群より選択される基である。ここで、上記アルコキシド基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の脂肪族アルコキシ基;フェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェノキシ基等のアリールオキシド基が挙げられ、これらの中でも、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基が好ましい。
一般式(III)において、Xが表すチオラート基としては、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオn−ブトキシ基、チオイソブトキシ基、チオsec−ブトキシ基、チオtert−ブトキシ基等の脂肪族チオラート基;チオフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルチオフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルチオフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−チオネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−チオネオペンチルフェノキシ基、2,4,6−トリイソプロピルチオフェノキシ基等のアリールチオラート基が挙げられ、これらの中でも、2,4,6−トリイソプロピルチオフェノキシ基が好ましい。
一般式(III)において、Xが表すアミド基としては、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジイソプロピルアミド基等の脂肪族アミド基;フェニルアミド基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルアミド基、2,6−ジイソプロピルフェニルアミド基、2,6−ジネオペンチルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニルアミド基等のアリールアミド基;ビストリメチルシリルアミド基等のビストリアルキルシリルアミド基が挙げられ、これらの中でも、ビストリメチルシリルアミド基が好ましい。
一般式(III)において、Xが表すシリル基としては、トリメチルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基、ビス(トリメチルシリル)メチルシリル基、トリメチルシリル(ジメチル)シリル基、トリイソプロピルシリル(ビストリメチルシリル)シリル基等が挙げられ、これらの中でも、トリス(トリメチルシリル)シリル基が好ましい。
一般式(III)において、Xが表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子のいずれでもよいが、塩素原子又は臭素原子が好ましい。また、Xが表す炭素数1〜20の炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等の直鎖又は分枝鎖の脂肪族炭化水素基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基;ベンジル基等のアラルキル基等の他;トリメチルシリルメチル基、ビストリメチルシリルメチル基等のケイ素原子を含有する炭化水素基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、イソブチル基、トリメチルシリルメチル基等が好ましい。
一般式(III)において、Xとしては、ビストリメチルシリルアミド基又は炭素数1〜20の炭化水素基が好ましい。
一般式(III)において、[B]-で示される非配位性アニオンとしては、例えば、4価のホウ素アニオンが挙げられる。該4価のホウ素アニオンとして、具体的には、テトラフェニルボレート、テトラキス(モノフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル、ペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル)、フェニル]ボレート、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート等が挙げられ、これらの中でも、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好ましい。
上記一般式(I)及び式(II)で表されるメタロセン錯体、並びに上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体は、更に0〜3個、好ましくは0〜1個の中性ルイス塩基Lを含む。ここで、中性ルイス塩基Lとしては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類等が挙げられる。ここで、上記錯体が複数の中性ルイス塩基Lを含む場合、中性ルイス塩基Lは、同一であっても異なっていてもよい。
また、上記一般式(I)及び式(II)で表されるメタロセン錯体、並びに上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体は、モノマーとして存在していてもよく、二量体又はそれ以上の多量体として存在していてもよい。
上記一般式(I)で表されるメタロセン錯体は、例えば、溶媒中でランタノイドトリスハライド、スカンジウムトリスハライド又はイットリウムトリスハライドを、インデニルの塩(例えばカリウム塩やリチウム塩)及びビス(トリアルキルシリル)アミドの塩(例えばカリウム塩やリチウム塩)と反応させることで得ることができる。なお、反応温度は室温程度にすればよいので、温和な条件で製造することができる。また、反応時間は任意であるが、数時間〜数十時間程度である。反応溶媒は特に限定されないが、原料及び生成物を溶解する溶媒であることが好ましく、例えばトルエンを用いればよい。以下に、一般式(I)で表されるメタロセン錯体を得るための反応例を示す。
Figure 2013159631
(式中、X''はハライドを示す。)
上記一般式(II)で表されるメタロセン錯体は、例えば、溶媒中でランタノイドトリスハライド、スカンジウムトリスハライド又はイットリウムトリスハライドを、インデニルの塩(例えばカリウム塩やリチウム塩)及びシリルの塩(例えばカリウム塩やリチウム塩)と反応させることで得ることができる。なお、反応温度は室温程度にすればよいので、温和な条件で製造することができる。また、反応時間は任意であるが、数時間〜数十時間程度である。反応溶媒は特に限定されないが、原料及び生成物を溶解する溶媒であることが好ましく、例えばトルエンを用いればよい。以下に、一般式(II)で表されるメタロセン錯体を得るための反応例を示す。
Figure 2013159631
(式中、X''はハライドを示す。)
上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体は、例えば、次の反応により得ることができる。
Figure 2013159631
ここで、一般式(IV)で表される化合物において、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpR'は、それぞれ独立して無置換もしくは置換シクロペンタジエニル、インデニル又はフルオレニルを示し、Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示す。また、一般式[A]+[B]-で表されるイオン性化合物において、[A]+は、カチオンを示し、[B]-は、非配位性アニオンを示す。
[A]+で表されるカチオンとしては、例えば、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アミンカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオン等が挙げられる。カルボニウムカチオンとしては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(置換フェニル)カルボニウムカチオン等の三置換カルボニウムカチオン等が挙げられ、トリ(置換フェニル)カルボニルカチオンとして、具体的には、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン等が挙げられる。アミンカチオンとしては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン等のトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオン等が挙げられる。ホスホニウムカチオンとしては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオン等が挙げられる。これらカチオンの中でも、N,N−ジアルキルアニリニウムカチオン又はカルボニウムカチオンが好ましく、N,N−ジアルキルアニリニウムカチオンが特に好ましい。
上記反応に用いる一般式[A]+[B]-で表されるイオン性化合物としては、上記の非配位性アニオン及びカチオンからそれぞれ選択し組み合わせた化合物であって、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が好ましい。また、一般式[A]+[B]-で表されるイオン性化合物は、メタロセン錯体に対して0.1〜10倍モル加えることが好ましく、約1倍モル加えることが更に好ましい。なお、一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を重合反応に用いる場合、一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体をそのまま重合反応系中に提供してもよいし、上記反応に用いる一般式(IV)で表される化合物と一般式[A]+[B]-で表されるイオン性化合物を別個に重合反応系中に提供し、反応系中で一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を形成させてもよい。また、一般式(I)又は式(II)で表されるメタロセン錯体と一般式[A]+[B]-で表されるイオン性化合物とを組み合わせて使用することにより、反応系中で一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を形成させることもできる。
一般式(I)及び式(II)で表されるメタロセン錯体、並びに上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体の構造は、X線構造解析により決定することが好ましい。
上記第一重合触媒組成物に用いることができる助触媒は、通常のメタロセン錯体を含む重合触媒組成物の助触媒として用いられる成分から任意に選択され得る。該助触媒としては、例えば、アルミノキサン、有機アルミニウム化合物、上記のイオン性化合物等が好適に挙げられる。これら助触媒は、1種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アルミノキサンとしては、アルキルアミノキサンが好ましく、例えば、メチルアルミノキサン(MAO)、修飾メチルアルミノキサン等が挙げられる。また、修飾メチルアルミノキサンとしては、MMAO−3A(東ソーファインケム社製)等が好ましい。なお、上記第一重合触媒組成物におけるアルミノキサンの含有量は、メタロセン錯体の中心金属Mと、アルミノキサンのアルミニウム元素Alとの元素比率Al/Mが、10〜1000程度、好ましくは100程度となるようにすることが好ましい。
一方、上記有機アルミニウム化合物としては、一般式AlRR'R''(式中、R及びR'はそれぞれ独立してC1〜C10の炭化水素基又は水素原子であり、R''はC1〜C10の炭化水素基である)で表される有機アルミニウム化合物が好ましい。上記有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムクロライド、アルキルアルミニウムジクロライド、ジアルキルアルミニウムハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリアルキルアルミニウムが好ましい。また、トリアルキルアルミニウムとしては、例えば、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等が挙げられる。なお、上記重合触媒組成物における有機アルミニウム化合物の含有量は、メタロセン錯体に対して1〜50倍モルであることが好ましく、約10倍モルであることが更に好ましい。
更に、上記重合触媒組成物においては、一般式(I)及び式(II)で表されるメタロセン錯体、並びに上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体をそれぞれ、適切な助触媒と組み合わせることで、シス−1,4結合量や得られる共重合体の分子量を増大できる。
<第二の重合触媒組成物>
また、上記重合触媒組成物としては、
(a)成分:希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物であって、希土類元素と炭素との結合を有さない該希土類元素化合物又は反応物と、
(b)成分:非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(b−1)、アルミノキサン(b−2)、並びにルイス酸、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物及び活性ハロゲンを含む有機化合物のうち少なくとも1種のハロゲン化合物(b−3)よりなる群から選択される少なくとも1種とを含む重合触媒組成物(以下、第二重合触媒組成物ともいう)を好適に挙げることができ、
該第二重合触媒組成物が、イオン性化合物(b−1)及びハロゲン化合物(b−3)の少なくとも1種を含む場合、該重合触媒組成物は、更に、
(c)成分:下記一般式(X):
YR1 a2 b3 c ・・・ (X)
[式中、Yは、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族から選択される金属であり、R1及びR2は、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子であり、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、R1、R2、R3はそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、また、Yが周期律表第1族から選択される金属である場合には、aは1で且つb及びcは0であり、Yが周期律表第2族及び第12族から選択される金属である場合には、a及びbは1で且つcは0であり、Yが周期律表第13族から選択される金属である場合には、a,b及びcは1である]で表される有機金属化合物を含むことを要する。
上記イオン性化合物(b−1)及び上記ハロゲン化合物(b−3)は、(a)成分へ供給するための炭素原子が存在しないため、該(a)成分への炭素供給源として、上記(C)成分が必要となる。なお、上記重合触媒組成物が上記アルミノキサン(b−2)を含む場合であっても、該重合触媒組成物は、上記(c)成分を含むことができる。また、上記第二重合触媒組成物は、通常の希土類元素化合物系の重合触媒組成物に含有される他の成分、例えば助触媒等を含んでいてもよい。なお、重合反応系において、第二重合触媒組成物に含まれる(a)成分の濃度は0.1〜0.0001mol/lの範囲であることが好ましい。
上記第二重合触媒組成物に用いる(a)成分は、希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物であり、ここで、希土類元素化合物及び該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物は、希土類元素と炭素との結合を有さない。該希土類元素化合物及び反応物が希土類元素−炭素結合を有さない場合、化合物が安定であり、取り扱いやすい。ここで、希土類元素化合物とは、周期律表中の原子番号57〜71の元素から構成されるランタノイド元素又はスカンジウムもしくはイットリウムを含有する化合物である。なお、ランタノイド元素の具体例としては、ランタニウム、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミニウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムを挙げることができる。なお、上記(a)成分は、1種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記希土類元素化合物は、希土類金属が2価もしくは3価の塩又は錯体化合物であることが好ましく、水素原子、ハロゲン原子及び有機化合物残基から選択される1種又は2種以上の配位子を含有する希土類元素化合物であることが更に好ましい。更に、上記希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物は、下記一般式(XI)又は(XII):
1111 2・L11w ・・・ (XI)
1111 3・L11w ・・・ (XII)
[それぞれの式中、M11は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、X11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基、アルデヒド残基、ケトン残基、カルボン酸残基、チオカルボン酸残基又はリン化合物残基を示し、L11は、ルイス塩基を示し、wは、0〜3を示す]で表されることができる。
上記希土類元素化合物の希土類元素に結合する基(配位子)として、具体的には、水素原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の脂肪族アルコキシ基;フェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェノキシ基;チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオn−ブトキシ基、チオイソブトキシ基、チオsec−ブトキシ基、チオtert−ブトキシ基等の脂肪族チオラート基;チオフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルチオフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルチオフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−チオネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−チオネオペンチルフェノキシ基、2,4,6−トリイソプロピルチオフェノキシ基等のアリールチオラート基;ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジイソプロピルアミド基等の脂肪族アミド基;フェニルアミド基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルアミド基、2,6−ジイソプロピルフェニルアミド基、2,6−ジネオペンチルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2,4,6−tert−ブチルフェニルアミド基等のアリールアミド基;ビストリメチルシリルアミド基等のビストリアルキルシリルアミド基;トリメチルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基、ビス(トリメチルシリル)メチルシリル基、トリメチルシリル(ジメチル)シリル基、トリイソプロピルシリル(ビストリメチルシリル)シリル基等のシリル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。更には、サリチルアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−3−ナフトアルデヒド等のアルデヒドの残基;2'−ヒドロキシアセトフェノン、2'−ヒドロキシブチロフェノン、2'−ヒドロキシプロピオフェノン等のヒドロキシフェノンの残基;アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニルアセトン、イソブチルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン等のジケトンの残基;イソ吉草酸、カプリル酸、オクタン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、シクロペンタンカルボン酸、ナフテン酸、エチルヘキサン酸、ビバール酸、バーサチック酸[シェル化学(株)製の商品名、C10モノカルボン酸の異性体の混合物から構成される合成酸]、フェニル酢酸、安息香酸、2−ナフトエ酸、マレイン酸、コハク酸等のカルボン酸の残基;ヘキサンチオ酸、2,2−ジメチルブタンチオ酸、デカンチオ酸、チオ安息香酸等のチオカルボン酸の残基;リン酸ジブチル、リン酸ジペンチル、リン酸ジヘキシル、リン酸ジヘプチル、リン酸ジオクチル、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、リン酸ジラウリル、リン酸ジオレイル、リン酸ジフェニル、リン酸ビス(p−ノニルフェニル)、リン酸ビス(ポリエチレングリコール−p−ノニルフェニル)、リン酸(ブチル)(2−エチルヘキシル)、リン酸(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)、リン酸(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)等のリン酸エステルの残基;2−エチルヘキシルホスホン酸モノブチル、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、フェニルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−p−ノニルフェニル、ホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、ホスホン酸モノ−1−メチルヘプチル、ホスホン酸モノ−p−ノニルフェニル等のホスホン酸エステルの残基;ジブチルホスフィン酸、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、ビス(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸、ジラウリルホスフィン酸、ジオレイルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸、ブチル(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、(2−エチルヘキシル)(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸、(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、2−エチルヘキシルホスフィン酸、1−メチルヘプチルホスフィン酸、オレイルホスフィン酸、ラウリルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、p−ノニルフェニルホスフィン酸等のホスフィン酸の残基を挙げることもできる。なお、これらの配位子は、1種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記第二重合触媒組成物に用いる(a)成分において、上記希土類元素化合物と反応するルイス塩基としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類等が挙げられる。ここで、上記希土類元素化合物が複数のルイス塩基と反応する場合(式(XI)及び(XII)においては、wが2又は3である場合)、ルイス塩基L11は、同一であっても異なっていてもよい。
上記第二重合触媒組成物に用いる(b)成分は、イオン性化合物(b−1)、アルミノキサン(b−2)及びハロゲン化合物(b−3)よりなる群から選択される少なくとも一種の化合物である。なお、上記第二重合触媒組成物における(b)成分の合計の含有量は、(a)成分に対して0.1〜50倍モルであることが好ましい。
上記(b−1)で表されるイオン性化合物は、非配位性アニオンとカチオンとからなり、上記(a)成分である希土類元素化合物又はそのルイス塩基との反応物と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成できるイオン性化合物等を挙げることができる。ここで、非配位性アニオンとしては、例えば、テトラフェニルボレート、テトラキス(モノフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル、ペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル)、フェニル]ボレート、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート等が挙げられる。一方、カチオンとしては、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオン等を挙げることができる。カルボニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(置換フェニル)カルボニウムカチオン等の三置換カルボニウムカチオン等が挙げられ、トリ(置換フェニル)カルボニルカチオンとして、より具体的には、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオン等が挙げられる。アンモニウムカチオンの具体例としては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン(例えば、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオン)等のトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオン等が挙げられる。ホスホニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオン等が挙げられる。従って、イオン性化合物としては、上述の非配位性アニオン及びカチオンからそれぞれ選択し組み合わせた化合物が好ましく、具体的には、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が好ましい。また、これらのイオン性化合物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。なお、上記第二重合触媒組成物におけるイオン性化合物の含有量は、(a)成分に対して0.1〜10倍モルであることが好ましく、約1倍モルであることが更に好ましい。
上記(b−2)で表されるアルミノキサンは、有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることによって得られる化合物であり、例えば、一般式:(−Al(R')O−)で示される繰り返し単位を有する鎖状アルミノキサン又は環状アルミノキサン(式中、R'は炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部の炭化水素基はハロゲン原子及び/又はアルコキシ基で置換されてもよく、繰り返し単位の重合度は、5以上が好ましく、10以上が更に好ましい)を挙げることができる。ここで、R'として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基が好ましい。また、アルミノキサンの原料として用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム及びその混合物等が挙げられ、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。例えば、トリメチルアルミニウムとトリブチルアルミニウムとの混合物を原料として用いたアルミノキサンを好適に用いることができる。なお、上記第二重合触媒組成物におけるアルミノキサンの含有量は、(a)成分を構成する希土類元素Mと、アルミノキサンのアルミニウム元素Alとの元素比率Al/Mが、10〜1000程度となるようにすることが好ましい。
上記(b−3)で表されるハロゲン化合物は、ルイス酸、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物及び活性ハロゲンを含む有機化合物のうち少なくとも1種からなり、例えば、上記(a)成分である希土類元素化合物又はそのルイス塩基との反応物と反応して、カチオン性遷移金属化合物やハロゲン化遷移金属化合物や遷移金属中心が電荷不足の化合物を生成することができる。なお、上記第二重合触媒組成物におけるハロゲン化合物の合計の含有量は、(a)成分に対して1〜5倍モルであることが好ましい。
上記ルイス酸としては、B(C653等のホウ素含有ハロゲン化合物、Al(C653等のアルミニウム含有ハロゲン化合物を使用できる他、周期律表中の第III,IV,V,VI又はVIII族に属する元素を含有するハロゲン化合物を用いることもできる。好ましくはアルミニウムハロゲン化物又は有機金属ハロゲン化物が挙げられる。また、ハロゲン元素としては、塩素又は臭素が好ましい。上記ルイス酸として、具体的には、メチルアルミニウムジブロマイド、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジブロマイド、エチルアルミニウムジクロライド、ブチルアルミニウムジブロマイド、ブチルアルミニウムジクロライド、ジメチルアルミニウムブロマイド、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジブチルアルミニウムブロマイド、ジブチルアルミニウムクロライド、メチルアルミニウムセスキブロマイド、メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキブロマイド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジブチル錫ジクロライド、アルミニウムトリブロマイド、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、三塩化リン、五塩化リン、四塩化錫、四塩化チタン、六塩化タングステン等が挙げられ、これらの中でも、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、エチルアルミニウムセスキブロマイド、エチルアルミニウムジブロマイドが特に好ましい。
上記金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物を構成する金属ハロゲン化物としては、塩化ベリリウム、臭化ベリリウム、ヨウ化ベリリウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化カドミウム、臭化カドミウム、ヨウ化カドミウム、塩化水銀、臭化水銀、ヨウ化水銀、塩化マンガン、臭化マンガン、ヨウ化マンガン、塩化レニウム、臭化レニウム、ヨウ化レニウム、塩化銅、ヨウ化銅、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩化金、ヨウ化金、臭化金等が挙げられ、これらの中でも、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が好ましく、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が特に好ましい。
また、上記金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物を構成するルイス塩基としては、リン化合物、カルボニル化合物、窒素化合物、エーテル化合物、アルコール等が好ましい。具体的には、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジエチルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノエタン、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニトリルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸フェニル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジフェニル、酢酸、オクタン酸、2−エチル−ヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサチック酸、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、2−エチル−ヘキシルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコール等が挙げられ、これらの中でも、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、アセチルアセトン、2−エチルヘキサン酸、バーサチック酸、2−エチルヘキシルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコールが好ましい。
上記ルイス塩基は、上記金属ハロゲン化物1モル当り、0.01〜30モル、好ましくは0.5〜10モルの割合で反応させる。このルイス塩基との反応物を使用すると、ポリマー中に残存する金属を低減することができる。
上記活性ハロゲンを含む有機化合物としては、ベンジルクロライド等が挙げられる。
上記第二重合触媒組成物に用いる(c)成分は、下記一般式(X):
YR1 a2 b3 c ・・・ (X)
[式中、Yは、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族から選択される金属であり、R1及びR2は、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子であり、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、R1、R2、R3はそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよく、また、Yが周期律表第1族から選択される金属である場合には、aは1で且つb及びcは0であり、Yが周期律表第2族及び第12族から選択される金属である場合には、a及びbは1で且つcは0であり、Yが周期律表第13族から選択される金属である場合には、a,b及びcは1である]で表される有機金属化合物であり、下記一般式(Xa):
AlR123 ・・・ (Xa)
[式中、R1及びR2は、同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R3は上記R1又はR2と同一又は異なっていてもよい]で表される有機アルミニウム化合物であることが好ましい。式(X)の有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム;エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。以上に述べた(C)成分としての有機アルミニウム化合物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。なお、上記第二重合触媒組成物における有機アルミニウム化合物の含有量は、(A)成分に対して1〜50倍モルであることが好ましく、約10倍モルであることが更に好ましい。
<重合触媒>
上記重合触媒としては、共役ジエンと非共役オレフィンとの重合用であり、下記
式(A):
aMXbQYb ・・・ (A)
[式中、Rはそれぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、該RはMに配位しており、Mはランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Xはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を示し、該XはM及びQにμ配位しており、Qは周期律表第13族元素を示し、Yはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子を示し、該YはQに配位しており、a及びbは2である]で表されるメタロセン系複合触媒が挙げられる。
上記メタロセン系複合触媒の好適例においては、下記式(XV):
Figure 2013159631
[式中、M1は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpRは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、Ra及びRbは、それぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を示し、該Ra及びRbは、M1及びAlにμ配位しており、Rc及びRdは、それぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子を示す]で表されるメタロセン系複合触媒が挙げられる。
<メタロセン系複合触媒>
以下に、上記メタロセン系複合触媒を詳細に説明する。上記メタロセン系複合触媒は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムの希土類元素と周期律表第13族元素とを有し、下記式(A):
aMXbQYb ・・・ (A)
[式中、Rはそれぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、該RはMに配位しており、Mはランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Xはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を示し、該XはM及びQにμ配位しており、Qは周期律表第13族元素を示し、Yはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子を示し、該YはQに配位しており、a及びbは2である]で表されることを特徴とする。上記メタロセン系重合触媒を用いることで、共役ジエンと非共役オレフィンとの共重合体を製造することができる。また、上記メタロセン系複合触媒、例えば予めアルミニウム触媒と複合させてなる触媒を用いることで、共重合体合成時に使用されるアルキルアルミニウムの量を低減したり、無くしたりすることが可能となる。なお、従来の触媒系を用いると、共重合体合成時に大量のアルキルアルミニウムを用いる必要がある。例えば、従来の触媒系では、金属触媒に対して10当量以上のアルキルアルミニウムを用いる必要があるところ、上記メタロセン系複合触媒であれば、5当量程度のアルキルアルミニウムを加えることで、優れた触媒作用が発揮される。
上記メタロセン系複合触媒において、上記式(A)中の金属Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムである。ランタノイド元素には、原子番号57〜71の15元素が含まれ、これらのいずれでもよい。金属Mとしては、サマリウムSm、ネオジムNd、プラセオジムPr、ガドリニウムGd、セリウムCe、ホルミウムHo、スカンジウムSc及びイットリウムYが好適に挙げられる。
上記式(A)において、Rは、それぞれ独立して無置換インデニル又は置換インデニルであり、該Rは上記金属Mに配位している。なお、置換インデニル基の具体例としては、例えば、1,2,3−トリメチルインデニル基、ヘプタメチルインデニル基、1,2,4,5,6,7−ヘキサメチルインデニル基等が挙げられる。
上記式(A)において、Qは、周期律表第13族元素を示し、具体的には、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム等が挙げられる。
上記式(A)において、Xはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を示し、該XはM及びQにμ配位している。ここで、炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。なお、μ配位とは、架橋構造をとる配位様式のことである。
上記式(A)において、Yはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子を示し、該YはQに配位している。ここで、炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。
上記式(XV)において、金属M1は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムである。ランタノイド元素には、原子番号57〜71の15元素が含まれ、これらのいずれでもよい。金属M1としては、サマリウムSm、ネオジムNd、プラセオジムPr、ガドリニウムGd、セリウムCe、ホルミウムHo、スカンジウムSc及びイットリウムYが好適に挙げられる。
上記式(XV)において、CpRは、無置換インデニル又は置換インデニルである。インデニル環を基本骨格とするCpRは、C97-XX又はC911-XXで示され得る。ここで、Xは0〜7又は0〜11の整数である。また、Rはそれぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。置換インデニルとして、具体的には、2−フェニルインデニル、2−メチルインデニル等が挙げられる。なお、式(XV)における二つのCpRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
上記式(XV)において、RA及びRBは、それぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を示し、該RA及びRは、M1及Alにμ配位している。ここで、炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。なお、μ配位とは、架橋構造をとる配位様式のことである。
上記式(XV)において、RC及びRDは、それぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子である。ここで、炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。
なお、上記メタロセン系複合触媒は、例えば、溶媒中で、下記式(XVI):
Figure 2013159631
(式中、M2は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpRは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、RE〜RJは、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示す)で表されるメタロセン錯体を、AlRKLMで表される有機アルミニウム化合物と反応させることで得られる。なお、反応温度は室温程度にすればよいので、温和な条件で製造することができる。また、反応時間は任意であるが、数時間〜数十時間程度である。反応溶媒は特に限定されないが、原料及び生成物を溶解する溶媒であることが好ましく、例えばトルエンやヘキサンを用いればよい。なお、上記メタロセン系複合触媒の構造は、1H−NMRやX線構造解析により決定することが好ましい。
上記式(XVI)で表されるメタロセン錯体において、CpRは、無置換インデニル又は置換インデニルであり、上記式(XV)中のCpRと同義である。また、上記式(XVI)において、金属M2は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムであり、上記式(XV)中の金属M1と同義である。
上記式(XVI)で表されるメタロセン錯体は、シリルアミド配位子[−N(SiR32]を含む。シリルアミド配位子に含まれるR基(RE〜RJ基)は、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子である。また、RE〜RJのうち少なくとも一つが水素原子であることが好ましい。RE〜RJのうち少なくとも一つを水素原子にすることで、触媒の合成が容易になる。更に、アルキル基としては、メチル基が好ましい。
上記式(XVI)で表されるメタロセン錯体は、更に0〜3個、好ましくは0〜1個の中性ルイス塩基Lを含む。ここで、中性ルイス塩基Lとしては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類等が挙げられる。ここで、上記錯体が複数の中性ルイス塩基Lを含む場合、中性ルイス塩基Lは、同一であっても異なっていてもよい。
また、上記式(XVI)で表されるメタロセン錯体は、モノマーとして存在していてもよく、二量体又はそれ以上の多量体として存在していてもよい。
一方、上記メタロセン系複合触媒の生成に用いる有機アルミニウム化合物は、AlRKLMで表され、ここで、RK及びRLは、それぞれ独立して炭素数1〜20の1価の炭化水素基又は水素原子で、RMは炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、但し、RMは上記RK又はRLと同一でも異なっていてもよい。炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。
上記有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム;エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。また、これら有機アルミニウム化合物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。なお、上記メタロセン系複合触媒の生成に用いる有機アルミニウム化合物の量は、メタロセン錯体に対して1〜50倍モルであることが好ましく、約10倍モルであることが更に好ましい。
<第三の重合触媒組成物>
また、上記重合触媒組成物は、上記メタロセン系複合触媒と、ホウ素アニオンとを含むものであってもよく(以下、第三の重合触媒組成物ともいう)、第三の重合触媒組成物は、更に、通常のメタロセン系触媒を含む重合触媒組成物に含有される他の成分、例えば助触媒等を含むことが好ましい。なお、上記メタロセン系複合触媒とホウ素アニオンとを合わせて2成分触媒ともいう。上記第三重合触媒組成物によれば、上記メタロセン系複合触媒と同様に、更にホウ素アニオンを含有するため、各モノマー成分の共重合体中での含有量を任意に制御することが可能となる。
上記第三重合触媒組成物において、2成分触媒を構成するホウ素アニオンとして、具体的には、4価のホウ素アニオンが挙げられる。例えば、テトラフェニルボレート、テトラキス(モノフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル、ペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル)、フェニル]ボレート、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート等が挙げられ、これらの中でも、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好ましい。
なお、上記ホウ素アニオンは、カチオンと組み合わされたイオン性化合物として使用することができる。上記カチオンとしては、例えば、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アミンカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオン等が挙げられる。カルボニウムカチオンとしては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(置換フェニル)カルボニウムカチオン等の三置換カルボニウムカチオン等が挙げられ、トリ(置換フェニル)カルボニルカチオンとして、具体的には、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン等が挙げられる。アミンカチオンとしては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン等のトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオン等が挙げられる。ホスホニウムカチオンとしては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオン等が挙げられる。これらカチオンの中でも、N,N−ジアルキルアニリニウムカチオン又はカルボニウムカチオンが好ましく、N,N−ジアルキルアニリニウムカチオンが特に好ましい。従って、上記イオン性化合物としては、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が好ましい。なお、ホウ素アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物は、上記メタロセン系複合触媒に対して0.1〜10倍モル加えることが好ましく、約1倍モル加えることが更に好ましい。
なお、上記第三重合触媒組成物においては、上記メタロセン系複合触媒と上記ホウ素アニオンとを用いる必要があるが、上記式(XVI)で表されるメタロセン触媒と有機アルミニウム化合物を反応させる反応系に、ホウ素アニオンが存在していると、上記式(XV)のメタロセン系複合触媒を合成することができない。従って、上記第三重合触媒組成物の調製には、該メタロセン系複合触媒を予め合成し、該メタロセン系複合触媒を単離精製してからホウ素アニオンと組み合わせる必要がある。
上記第三重合触媒組成物に用いることができる助触媒としては、例えば、上述のAlRKLMで表される有機アルミニウム化合物の他、アルミノキサン等が好適に挙げられる。上記アルミノキサンとしては、アルキルアミノキサンが好ましく、例えば、メチルアルミノキサン(MAO)、修飾メチルアルミノキサン等が挙げられる。また、修飾メチルアルミノキサンとしては、MMAO−3A(東ソーファインケム社製)等が好ましい。なお、これらアルミノキサンは、1種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、共重合体の製造方法においては、上述の通り、上記重合触媒または重合触媒組成物を用いること以外は、通常の配位イオン重合触媒による重合体の製造方法と同様にして、重合を行うことができる。ここで、共重合体の製造方法は、例えば、(1)モノマーとして共役ジエン及び該共役ジエン以外の非共役オレフィンを含む重合反応系中に、重合触媒組成物の構成成分を別個に提供し、該反応系中において重合触媒組成物としてもよいし、(2)予め調製された重合触媒組成物を重合反応系中に提供してもよい。また、(2)においては、助触媒によって活性化されたメタロセン錯体(活性種)を提供することも含まれる。なお、重合触媒組成物に含まれるメタロセン錯体の使用量は、共役ジエン及び該共役ジエン以外の非共役オレフィンの合計に対して、0.0001〜0.01倍モルの範囲が好ましい。
また、共重合体の製造方法においては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の重合停止剤を用いて、重合を停止させてもよい。
共重合体の製造方法において、共役ジエン及び非共役オレフィンの重合反応は、不活性ガス、好ましくは窒素ガスやアルゴンガスの雰囲気下において行われることが好ましい。上記重合反応の重合温度は、特に制限されないが、例えば−100℃〜200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。なお、重合温度を上げると、重合反応のシス−1,4選択性が低下することがある。また、上記重合反応の圧力は、共役ジエン及び非共役オレフィンを十分に重合反応系中に取り込むため、0.1〜10.0MPaの範囲が好ましい。また、上記重合反応の反応時間も特に制限されず、例えば1秒〜10日の範囲が好ましいが、重合されるモノマーの種類、触媒の種類、重合温度等の条件によって適宜選択することができる。
前記共重合体の製造方法において、上記共役ジエンと該共役ジエン以外の非共役オレフィンとの重合の際、該非共役オレフィンの圧力は、0.1MPa〜10MPaであることが好ましい。該非共役オレフィンの圧力が0.1MPa以上であれば、反応混合物中に非共役オレフィンを効率的に導入することができる。また、非共役オレフィンの圧力を高くし過ぎても、非共役オレフィンを効率的に導入する効果が頭打ちとなるため、非共役オレフィンの圧力を10MPa以下とするのが好ましい。
前記共重合体の製造方法において、上記共役ジエンと該共役ジエン以外の非共役オレフィンとの重合の際、重合開始時における該共役ジエンの濃度(mol/l)と該非共役オレフィンの濃度(mol/l)とは、下記式:
非共役オレフィンの濃度/共役ジエンの濃度≧1.0
の関係を満たすことが好ましく、更に好ましくは下記式:
非共役オレフィンの濃度/共役ジエンの濃度≧1.3
の関係を満たし、一層好ましくは下記式:
非共役オレフィンの濃度/共役ジエンの濃度≧1.7
の関係を満たす。非共役オレフィンの濃度/共役ジエンの濃度の値を1以上とすることで、反応混合物中に非共役オレフィンを効率的に導入することができる。
〔その他のゴム成分〕
前述の通り、前記ゴム成分としては、共役ジエン−非共役オレフィン共重合体を単独で用いることができるが、該共役ジエン−非共役オレフィン共重合体に加えて、その他のゴム成分を含むこともできる。前記その他のゴム成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然ゴム(NR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。前記その他のゴム成分については、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記その他のゴム成分を含む場合、前記共役ジエン−非共役オレフィン共重合体は、ゴム成分中に10質量%〜100質量%含むことが好ましい。前記共役ジエン−非共役オレフィン共重合体が、ゴム成分中において10質量%未満であると、十分な耐摩耗性及び耐亀裂成長性が得られないおそれがある。
〔粘着付与剤〕
また、本発明のゴム組成物は、粘着付与剤を含む。前記共役ジエン−非共役オレフィン共重合体とともに粘着付与剤を含むことにより、共役ジエン−非共役オレフィン共重合体に由来する高い耐摩耗性及び耐亀裂成長性が維持され、かつ、タイヤ等の成型時において他部材と接着させる際のタッキネスの不足が解消されたゴム組成物をもたらすことができ、タイヤ等の生産性の向上にもつながる。
なお、前記粘着付与剤としては、所望のタッキネスの向上効果を得ることができれば特に限定はされないが、種々の天然樹脂及び合成樹脂を使用することができ、具体的には、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂、フェノール系樹脂、石炭系樹脂、キシレン系樹脂等を使用することが好ましい。前記粘着付与剤については、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<天然樹脂>
前記天然樹脂において、ロジン系樹脂としては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、水素添加ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、変性ロジンのグリセリン、ペンタエリスリトールエステル等が挙げられる。また、前記天然樹脂において、テルペン系樹脂としては、α−ピネン系,β−ピネン系,ジペンテン系等のテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペン樹脂等が挙げられる。
これら天然樹脂の中でも、配合されたゴム組成物の耐摩耗性とグリップ特性の観点から、重合ロジン、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペン樹脂が好ましい。
<合成樹脂>
前記合成樹脂において、石油系樹脂は、例えば石油化学工業のナフサの熱分解により、エチレン、プロピレンなどの石油化学基礎原料とともに副生するオレフィンやジオレフィン等の不飽和炭化水素を含む分解油留分を混合物のままフリーデルクラフツ型触媒により重合して得られる。前記石油系樹脂としては、ナフサの熱分解によって得られるC5留分を(共)重合して得られる脂肪族系石油樹脂、ナフサの熱分解によって得られるC9 留分を(共)重合して得られる芳香族系石油樹脂、前記C5留分とC9留分を共重合して得られる共重合系石油樹脂、水素添加系やジシクロペンタジエン系等の脂環式化合物系石油樹脂、スチレン、置換スチレンまたはスチレンと他のモノマーとの共重合体等のスチレン系樹脂等が挙げられる。
ナフサの熱分解によって得られるC5留分には、通常1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、3−メチル−1−ブテン等のオレフィン系炭化水素、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,2−ブタジエン等のジオレフィン系炭化水素等が含まれる。また、C9 留分を(共)重合して得られる芳香族系石油樹脂は、ビニルトルエン、インデンを主要なモノマーとする炭素数9の芳香族を重合した樹脂であり、ナフサの熱分解によって得られるC9留分の具体例としては、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、γ−メチルスチレン等のスチレン同族体やインデン、クマロン等のインデン同族体等が挙げられる。商品名としては、三井石油化学製ペトロジン、ミクニ化学製ペトライト、日本石油化学製ネオポリマー、東洋曹達製ペトコール等がある。
さらに、本発明では、グリップ性及び工場作業性の両立を可能にする樹脂として、前記C9留分からなる石油樹脂を変性した変性石油樹脂を好適に使用することができる。前記変性石油樹脂としては、不飽和脂環式化合物で変性したC9系石油樹脂、水酸基を有する化合物で変性したC9系石油樹脂、不飽和カルボン酸化合物で変性したC9系石油樹脂等が挙げられる。
好ましい不飽和脂環式化合物としては、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエンなどを、また、アルキルシクロペンタジエンのディールスアルダー反応生成物としては、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン/メチルシクロペンタジエン共二量化物、トリシクロペンタジエン等が挙げられる。本発明に用いられる不飽和脂環式化合物としては、ジシクロペンタジエンが特に好ましい。ジシクロペンタジエン変性C9系石油樹脂は、ジシクロペンタジエンおよびC9留分両者の存在下、熱重合等で得ることができる。前記ジシクロペンタジエン変性C9系石油樹脂としては、例えば、ネオポリマー130S(新日本石油化学製)が挙げられる。
また、水酸基を有する化合物としては、アルコール化合物やフェノール化合物が挙げられる。アルコール化合物の具体例としては、例えば、アリルアルコール、2−ブテン−1,4ジオール等の二重結合を有するアルコール化合物が挙げられる。フェノール化合物と
しては、フェノール、クレゾール、キシレノール、pt−ブチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール等のアルキルフェノール類を使用できる。これらの水酸基を有する化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。また、水酸基を有するC9系石油樹脂は、石油留分とともに(メタ)アクリル酸アルキルエステル等を熱重合して石油樹脂中にエステル基を導入した後、該エステル基を還元する方法、石油樹脂中に二重結合を残存または導入した後、当該二重結合を水和する方法、等によって製造することができる。本発明では、水酸基を有するC9系石油樹脂として、前記のように各種の方法により得られるものを使用できるが、性能面、製造面から見て、フェノール変性石油樹脂等を使用するのが好ましい。該フェノール変性石油樹脂は、C9留分をフェノールの存在下でカチオン重合して得られ、変性が容易であり、低価格である。前記フェノール変性C9系石油樹脂としては、例えば、ネオポリマー−E−130(新日本石油化学製)が挙げられる。
さらに、前記不飽和カルボン酸化合物で変性したC9系石油樹脂は、C9系石油樹脂をエチレン性不飽和カルボン酸で変性することができる。かかるエチレン性不飽和カルボン酸の代表的なものとして、(無水)マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、テトラヒドロ(無水)フタール酸、(メタ)アクリル酸またはシトラコン酸等が挙げられる。不飽和カルボン酸変性C9系石油樹脂は、C9系石油樹脂及びエチレン系不飽和カルボン酸を熱重合することで得ることができる。本発明においては、マレイン酸変性C9系石油樹脂が好ましい。不飽和カルボン酸変性C9系石油樹脂としては、例えば、ネオポリマー160(新日本石油化学製)が挙げられる。
また、本発明では、ナフサの熱分解によって得られるC5留分とC9留分の共重合樹脂を好適に使用することができる。ここで、C9留分としては、特に制限はないが、ナフサの熱分解によって得られたC9留分であることが好ましい。具体的には、SCHILL&SEILACHER社製Struktolシリーズの、TS30、TS30−DL、TS35、TS35−DL等が挙げられる。
前記合成樹脂において、フェノール系樹脂としては、アルキルフェノールホルムアルデヒド系樹脂及びそのロジン変性体、アルキルフェノールアセチレン系樹脂、変性アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられ、具体的にはノボラック型アルキルフェノール樹脂のヒタノール1502(日立化成工業社製)、p−t−ブチルフェノールアセチレン樹脂のコレシン(BASF社製)等が挙げられる。
前記合成樹脂において、石炭系樹脂としては、クマロンインデン樹脂等が挙げられ、前記合成樹脂において、キシレン系樹脂としては、キシレンホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。また、その他ポリブテンも粘着付与性を有する樹脂として使用することができる。これらの合成樹脂の中で、配合されたゴム組成物の耐摩耗性とグリップ特性の観点から、C5留分とC9留分の共重合樹脂、C9留分を(共)重合して得られる芳香族系石油樹脂、フェノール系樹脂及びクマロンインデン樹脂が好ましい。
さらに、前記粘着付与剤の含有量としては、ゴム成分100質量部に対して、1質量部〜40質量部であることが必要であり、1質量部〜20質量部であることがより好ましく、2質量部〜10質量部であることが特に好ましい。前記含有量がゴム成分100質量部に対して1質量部以上であれば、タッキネスの向上の添加効果が十分に発揮され、また40質量部以下であれば、加工性の悪化や耐摩耗性及び耐亀裂成長性への悪影響を有利に抑えることができる。
また、前記粘着付与剤は、軟化点が200℃(測定法:ASTM E28−58−T)以下の樹脂であることが好ましく、さらには80℃〜150℃の範囲であることが好ましい。軟化点が200℃を超えると、ヒステリシスロス特性の温度依存性が高くなりすぎる場合があり、また加工性を悪化させる場合がある。また、80℃未満ではグリップ性能が劣る場合がある。これらの観点から、軟化点は90℃〜120℃の範囲がより好ましい。
〔補強性充填剤〕
本発明のゴム組成物には、必要に応じて補強性充填剤を配合することができる。前記補強性充填剤の種類としては、所望の補強効果を得ることができるものであれば特に限定はされないが、例えば、カーボンブラック、無機充填剤等を挙げることができる。
前記補強性充填剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対して、5質量部〜200質量部であることが好ましい。 前記補強性充填剤の含有量が、5質量部未満であると、補強性充填剤を含むことによる補強効果が得られないおそれがあり、200質量部を超えると前記ゴム成分に補強性充填剤が混ざり込まなくなる傾向があり、ゴム組成物としての性能を低下させるおそれがある。
<カーボンブラック>
前記補強性充填材としてカーボンブラックを用いた場合、その具体的な種類については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA、JIS K 6217−2:2001に準拠する)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50m2/g超が好ましく、70m2/g〜130m2/gがより好ましい。前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が50m2/g以下であると、補強効果が低く、十分な耐久性が得られないことがある。
なお、前記窒素吸着比表面積(N2SA)は、例えば、JIS K 6217−2:2001に準拠して、測定することができる。
前記ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10質量部〜70質量部が好ましく、20質量部〜60質量部がより好ましい。前記カーボンブラックの含有量が、10質量部未満であると、補強性が不十分で耐破壊性が悪化することがあり、70質量部を超えると、加工性および低ロス性が悪化することがある。一方、前記カーボンブラックの含有量が、前記より好ましい範囲内であると、各性能のバランスの点で有利である。
<無機充填剤>
前記補強性充填材として前記無機充填剤を用いた場合、その具体的な種類については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ、水酸化アルミニウム、クレー、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、無機充填剤を用いる時は適宜シランカップリング剤を使用してもよい。
〔架橋剤〕
本発明のゴム組成物には、必要に応じて架橋剤を配合することができる。前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤、無機架橋剤、ポリアミン架橋剤、樹脂架橋剤、硫黄化合物系架橋剤、オキシム−ニトロソアミン系架橋剤等が挙げられるが、これらの中でもタイヤ用ゴム組成物に用いる場合には硫黄系架橋剤がより好ましい。
前記架橋剤の含有量についても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ゴム成分100質量部に対し、0.1質量部〜20質量部含有することが好ましい。前記架橋剤の含有量が0.1質量部未満であると、架橋がほとんど進行しないおそれがあり、20質量部を超えると、一部の架橋剤により混練り中に架橋が進む傾向にあり、加硫物の物性が損なわれるおそれがある。
〔その他の成分〕
その他の成分として、加硫促進剤を併用することも可能であり、該加硫促進剤としては、グアジニン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、チウラム系、ジチオカルバメート系、ザンテート系等の化合物が使用できる。
また、必要に応じて、軟化剤、加硫助剤、着色剤、難燃剤、滑剤、発泡剤、可塑剤、加工助剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、着色防止剤、その他の配合剤など公知のものを、その使用目的に応じて使用することができる。
(架橋ゴム)
本発明の架橋ゴムは、本発明のゴム組成物を架橋して得られたものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記架橋の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、温度120℃〜200℃、加温時間1分間〜900分間が好ましい。
(タイヤ)
本発明のタイヤは、本発明のゴム組成物、または本発明の架橋ゴムを用いたものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。本発明のゴム組成物または本発明の架橋ゴムのタイヤにおける適用部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トレッド、ベーストレッド、サイドウォール、サイド補強ゴム及びビードフィラーなどが挙げられる。特に、これらの中でも、タイヤのトレッド部材に用いることが、耐摩耗性の点において有利である。
前記タイヤを製造する方法としては、慣用の方法を用いることができる。例えば、タイヤ成形用ドラム上に未加硫ゴムからなるカーカス層、ベルト層、トレッド層等の通常タイヤ製造に用いられる部材を順次貼り重ね、ドラムを抜き去ってグリーンタイヤとする。次いで、このグリーンタイヤを常法に従って加熱加硫することにより、所望のタイヤ(例えば、空気入りタイヤ)を製造することができる。
(タイヤ以外の用途)
本発明のゴム組成物または本発明の架橋ゴムは、タイヤ用途以外にも、防振ゴム、免震ゴム、ベルト(コンベアベルト)、ゴムクローラ、各種ホース、モラン等に使用することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(共役ジエン−非共役オレフィン共重合体(EBR)の調製)
十分に乾燥した4Lステンレス反応器に、1,3−ブタジエン120g(2.22mol)を含むトルエン溶液2,000gを添加した後、エチレンを1.72MPaで導入した。一方、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にビス(2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)[(2−PhC962GdN(SiHMe22]28.5μmol、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Me2NHPhB(C654]28.5μmol、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド2.00mmolを仕込み、トルエン40mlに溶解させて触媒溶液とした。その後、グローブボックスから触媒溶液を取り出し、ガドリニウム換算で25.0μmolとなる量をモノマー溶液へ添加し、50℃で90分間重合を行った。重合後、2,2'メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液5mlを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノールで共重合体を分離し、70℃で真空乾燥し重合体(EBR)を得た。
得られたEBRの収量は98gであり、共役ジエン由来部分のシス−1,4結合量は98%であり、非共役オレフィン由来部分の含有量は7mol%であり、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は350,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.2であった。
(実施例1〜4、及び比較例1,2)
バンバリーミキサーを使用して、上記共役ジエン−非共役オレフィン共重合体とその他のゴム成分・各種配合剤を表1に示す配合処方で混練り混合し、未加硫のゴム組成物を調製した後、得られたゴム組成物を160℃×20分間の条件で加硫硬化させた。加硫後のゴム組成物に対し、下記の方法に従って、耐摩耗性、耐亀裂成長性及びタッキネスを評価した。
<耐摩耗性>
ランボーン型摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率60%で摩耗量を測定し、測定結果の逆数を用い、比較例1を100とする指数で表示した。数値が大きいほど耐摩耗性が良好であることを示す。
<耐亀裂成長性>
JIS3号試験片中心部に0.5mmの亀裂を入れ、室温で0〜100%の一定ひずみで繰返し疲労を与え、サンプルが切断するまでの回数を測定した。表1においては、比較例1を100としたときの指数で表示し、数値が大きいほど耐亀裂成長性が良好であることを示す。
<タッキネス>
3インチロールを用い、100℃で成形して試験片を作製し、成形後の試験片の表面を以下の基準により評価した。
良好:表面が光沢のある平滑面である。
悪化:ロール後に収縮が観察され、表面が荒れている。
Figure 2013159631
*1 JSR(株)製、商標:BR01
*2 ノボラック型アルキルフェノール樹脂、軟化点80℃〜100℃
*3 新日鉄化学社製、G−90、クマロン樹脂
*4 テルペン・フェノール樹脂、軟化点100℃
*5 合成ポリテルペン樹脂、軟化点100℃
*6 東海カーボン(株)製、商標:シーストKH(N339)
*7 大内新興化学(株)製、ノックラック6C、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−p−フェニレンジアミン
*8 N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
*9 ジベンゾチアジルジスルフィド
表1より、共役ジエン−非共役オレフィン共重合体と粘着付与剤とを含むゴム組成物は、粘着付与剤を含まない比較例2のゴム組成物に比べ、耐摩耗性及び耐亀裂成長性が損なわれることがなく、また、タッキネスが向上していることがわかる。

Claims (7)

  1. 共役ジエン−非共役オレフィン共重合体と、粘着付与剤とを含むことを特徴とするゴム組成物。
  2. 前記粘着付与剤の含有量が、ゴム成分100質量部に対して1質量部〜40質量部であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記粘着付与剤は、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂、フェノール系樹脂、石炭系樹脂及びキシレン系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  4. タイヤのトレッド部材用であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  5. 請求項1に記載のゴム組成物を架橋して得られたことを特徴とする架橋ゴム。
  6. 請求項1に記載のゴム組成物、または請求項5に記載の架橋ゴムを用いたことを特徴とするタイヤ。
  7. 請求項1に記載のゴム組成物、または請求項5に記載の架橋ゴムをタイヤのトレッド部材に用いたことを特徴とするタイヤ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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