JP5769563B2 - ゴムクローラ用組成物及びそれを用いたゴムクローラ - Google Patents
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Description
このように、白色又は薄灰色のクローラのように、色彩維持のために耐オゾン性向上に有効な老化防止剤を使用できない場合には、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレン‐プロピレン‐非共役ジエンゴム(EPDM)等の耐オゾン性が高いポリマーが使用されることが多い(例えば、特許文献1参照)。
また、機械特性の劣るエチレンプロピレンゴム(EPM)及びエチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム(EPDM)ではなく、耐疲労性及び耐摩耗性に優れる共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体を含むことにより、機械特性に優れた白色又は薄灰色のゴム組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明のクローラ用ゴム組成物は、少なくとも、(i)共役ジエン系重合体及び共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体を含むゴム成分と、(ii)白色充填剤とを含んでなり、さらに必要に応じて、(iii)カーボンブラック、(iv)シランカップリング剤、(v)老化防止剤、(vi)可塑剤、(vii)加硫剤、(viii)加硫促進剤、(ix)加硫助促進剤、(x)その他の成分、を含んでなる。
前記ゴム成分としては、少なくとも、共役ジエン系重合体と、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体とを含んでなり、さらに必要に応じて、その他のゴム成分を含んでなる。
前記共役ジエン系重合体は、モノマー単位成分(共重合体の一部)として非共役オレフィンを含まない重合体(ポリマー)を意味する。なお、スチレンは、非共役オレフィンに含まれないものとする。
前記共役ジエン系重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然ゴム(NR)、各種ポリブタジエンゴム(BR)、合成ポリイソプレンゴム(IR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム成分100質量部中における前記共役ジエン系重合体の含有量が、20質量部未満であると、耐カット性や引裂き力が低下し、クローラとしての耐久性を損なうことがあり、80質量部超であると、目標とする耐オゾン性を得られないことがある。
一方、前記ゴム成分100質量部中における前記共役ジエン系重合体の含有量が、前記特に好ましい範囲内であると、クローラの耐久性と耐オゾン性のバランスの点で有利である。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体は、共重合体におけるモノマー単位成分として非共役オレフィンを含む。
前記共役ジエン化合物由来部分のシス1,4−結合量が、50%以上であれば、低いガラス転移点(Tg)を保持することができ、これにより、耐亀裂成長性や耐摩耗性等の物性が改良される。
一方、前記共役ジエン化合物由来部分のシス1,4−結合量を92%超とすることにより、耐亀裂成長性、耐候性、耐熱性を向上させることが可能となる。また、前記共役ジエン化合物由来部分のシス1,4−結合量を95%以上とすることにより、耐亀裂成長性、耐候性、耐熱性を一層向上させることが可能となる。
なお、前記シス−1,4結合量は、前記共役ジエン化合物由来部分中の量であって、共重合体全体に対する割合ではない。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体における前記共役ジエン化合物由来部分の含有量が、30mol%以上であると、ジエン系ゴムとの相溶性が良好となり、加工性が十分に確保できるので好ましく、80mol%以下であると、非共役オレフィンの割合が多くなり、十分な弾性率を確保できると共に、耐候性が向上して好ましい。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体における前記非共役オレフィン由来部分の含有量が、20mol%以上であると、十分な弾性率を確保できると共に耐候性を向上させることができ、70mol%以下であると、共役ジエン系重合体との相溶性を維持して、加工性を確保できると共に耐候性及び耐亀裂成長性を向上することができる。
α−オレフィンはオレフィンのα位に二重結合を有するため、共役ジエンとの共重合を効率よく行うことができる。これら非共役オレフィンは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、オレフィンは、脂肪族不飽和炭化水素で、炭素−炭素二重結合を1個以上有する化合物を指す。
また、非共役オレフィンの単量体単位からなるブロック部分を備える場合には、静的結晶性を示すため、破断強度等の機械的性質に優れる。
また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、10以下が好ましく、6以下がより好ましい。分子量分布が10を超えると物性が均質でなくなるためである。ここで、平均分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレンを標準物質として求めることができる。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の共役ジエン化合物由来部分における共役ジエン化合物の1,2付加体部分(3,4付加体部分を含む)含量が、5%以下であると、共重合体の耐候性や耐オゾン性をさらに向上させることができる。
一方、前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の共役ジエン化合物由来部分における共役ジエン化合物の1,2付加体部分(3,4付加体部分を含む)含量が、2.5%以下であると、共重合体の耐候性や耐オゾン性をさらに向上させることができる。
前記1,2付加体部分(3,4付加体部分を含む)含量は、前記共役ジエン化合物由来部分中の量であって、共重合体全体に対する割合ではない。
なお、前記共役ジエン化合物由来部分における共役ジエン化合物の1,2付加体部分(3,4付加体部分を含む)含量は、共役ジエン化合物がブタジエンの場合、1,2−ビニル結合量と同じ意味である。
前記ブロック共重合体の構造は、(A−B)x、A−(B−A)x及びB−(A−B)x(ここで、Aは、非共役オレフィンの単量体単位からなるブロック部分であり、Bは、共役ジエン化合物の単量体単位からなるブロック部分であり、xは1以上の整数である)のいずれかである。なお、(A−B)又は(B−A)の構造を複数備えるブロック共重合体をマルチブロック共重合体と称する。
共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体がブロック共重合体である場合は、非共役オレフィンの単量体からなるブロック部分が静的結晶性を示すため、破断強度等の機械的性質に優れる。結晶性を示すブロック部分によって、貯蔵弾性率(G´)の低下を抑制することができる。
共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体がランダム共重合体である場合は、非共役オレフィンの単量体単位の配列が不規則であるため、共重合体が相分離を起こすことなく、ブロック部分に由来する結晶化温度が観測されない。すなわち、耐熱性などの性質を有する非共役オレフィンを共重合体の主鎖中に導入することが可能になるため、耐熱性が向上する。
前記テーパー共重合体とは、ランダム共重合体とブロック共重合体とが混在してなる共重合体であり、共役ジエン化合物の単量体単位からなるブロック部分及び非共役オレフィンの単量体単位からなるブロック部分のうち少なくとも一方のブロック部分(ブロック構造ともいう)と、共役ジエン化合物及び非共役オレフィンの単量体単位が不規則に配列してなるランダム部分(ランダム構造という)とから構成される共重合体である。
前記テーパー共重合体の構造は、共役ジエン化合物成分と非共役オレフィン成分との組成が連続的又は不連続的に分布があることを示す。ここで、非共役オレフィン成分の連鎖構造としては、長鎖(高分子量)の非共役オレフィンブロック成分を多く含まず、短鎖(低分子量)の非共役オレフィンブロック成分を多く含むことが好ましい。
前記交互共重合体は、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとが交互に配列する構造(非共役オレフィンをAと、共役ジエン化合物をBとした場合の、−ABABABAB−の分子鎖構造)を有する重合体である。
20質量部以上100質量部未満が好ましく、20質量部〜80質量部がより好ましく、40質量部〜60質量部が特に好ましい。
前記ゴム成分100質量部中における前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の含有量が、20質量部未満であると、クローラに要求される耐オゾン性を得られないことがある。
一方、前記ゴム成分100質量部中における前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の含有量が、前記特に好ましい範囲内であると、耐カット性、及び引裂き力の低下させることなく、高い耐オゾン性を得られる点で有利である。
次に、前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体を製造することができる製造方法を詳細に説明する。但し、以下に詳述する製造方法は、あくまで例示に過ぎない。本発明に係る共重合体は、重合触媒または重合触媒組成物の存在下、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとを重合させることができる。
非共役オレフィンの濃度/共役ジエン化合物の濃度 ≧ 1.0
さらに好ましくは下記式の関係を満たすことが好ましい。
非共役オレフィンの濃度/共役ジエン化合物の濃度 ≧ 1.3
さらに好ましくは下記式の関係を満たすことが好ましい。
非共役オレフィンの濃度/共役ジエン化合物の濃度 ≧ 1.7
次に、本発明に係る共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の製造方法において用いられる第一重合触媒組成物について説明する。
上記重合触媒組成物としては、下記一般式(I):
なお、重合反応系において、第一重合触媒組成物に含まれる錯体の濃度は0.1〜0.0001mol/Lの範囲であることが好ましい。
上記一般式(II)で表されるメタロセン錯体は、例えば、溶媒中でランタノイドトリスハライド、スカンジウムトリスハライド又はイットリウムトリスハライドを、インデニルの塩(例えばカリウム塩やリチウム塩)及びシリルの塩(例えばカリウム塩やリチウム塩)と反応させることで得ることができる。なお、反応温度は室温程度にすればよいので、温和な条件で製造することができる。また、反応時間は任意であるが、数時間〜数十時間程度である。反応溶媒は特に限定されないが、原料及び生成物を溶解する溶媒であることが好ましく、例えばトルエンを用いればよい。以下に、一般式(II)で表されるメタロセン錯体を得るための反応例を示す。
次に、本発明に係る共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の製造方法において用いられる第一重合触媒組成物について説明する。
また、上記重合触媒組成物としては、
(A)成分:希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物であって、希土類元素と炭素との結合を有さない該希土類元素化合物又は反応物と、
(B)成分:非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B−1)、アルミノキサン(B−2)、並びにルイス酸、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物及び活性ハロゲンを含む有機化合物のうち少なくとも一種のハロゲン化合物(B−3)よりなる群から選択される少なくとも一種とを含む重合触媒組成物(以下、第二重合触媒組成物ともいう)を好適に挙げることができる。
第二重合触媒組成物が、イオン性化合物(B−1)及びハロゲン化合物(B−3)の少なくとも一種を含む場合、該重合触媒組成物は、更に、
(C)成分:下記一般式(X):
YR1 aR2 bR3 c ・・・ (X)
[式中、Yは、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族から選択される金属であり、R1及びR2は、同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R3は上記R1又はR2と同一又は異なっていてもよく、また、Yが周期律表第1族から選択される金属である場合には、aは1で且つb及びcは0であり、Yが周期律表第2族及び第12族から選択される金属である場合には、a及びbは1で且つcは0であり、Yが周期律表第13族から選択される金属である場合には、a,b及びcは1である]で表される有機金属化合物を含む。
(C)成分:下記一般式(X):
YR1 aR2 bR3 c ・・・ (X)
[式中、Yは、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族から選択される金属であり、R1及びR2は、同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R3は上記R1又はR2と同一又は異なっていてもよく、また、Yが周期律表第1族から選択される金属である場合には、aは1で且つb及びcは0であり、Yが周期律表第2族及び第12族から選択される金属である場合には、a及びbは1で且つcは0であり、Yが周期律表第13族から選択される金属である場合には、a,b及びcは1である]で表される有機金属化合物を含むことを要する。
上記イオン性化合物(B−1)及び上記ハロゲン化合物(B−3)は、(A)成分へ供給するための炭素原子が存在しないため、該(A)成分への炭素供給源として、上記(C)成分が必要となる。なお、上記重合触媒組成物が上記アルミノキサン(B−2)を含む場合であっても、該重合触媒組成物は、上記(C)成分を含むことができる。また、上記第二重合触媒組成物は、通常の希土類元素化合物系の重合触媒組成物に含有される他の成分、例えば助触媒等を含んでいてもよい。
なお、重合反応系において、第二重合触媒組成物に含まれる(A)成分の濃度は0.1〜0.0001mol/lの範囲であることが好ましい。
なお、ランタノイド元素の具体例としては、ランタニウム、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミニウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムを挙げることができる。なお、上記(A)成分は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
M11X11 2・L11w ・・・ (XI)
M11X11 3・L11w ・・・ (XII)
[式中、M11は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、X11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基、アルデヒド残基、ケトン残基、カルボン酸残基、チオカルボン酸残基又はリン化合物残基を示し、L11は、ルイス塩基を示し、wは、0〜3を示す]で表されることができる。
YR1 aR2 bR3 c ・・・ (X)
[式中、Yは、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族から選択される金属であり、R1及びR2は、同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R3は上記R1又はR2と同一又は異なっていてもよく、また、Yが周期律表第1族から選択される金属である場合には、aは1で且つb及びcは0であり、Yが周期律表第2族及び第12族から選択される金属である場合には、a及びbは1で且つcは0であり、Yが周期律表第13族から選択される金属である場合には、a,b及びcは1である]で表される有機金属化合物であり、下記一般式(Xa):
AlR1R2R3 ・・・ (Xa)
[式中、R1及びR2は、同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R3は上記R1又はR2と同一又は異なっていてもよい]で表される有機アルミニウム化合物であることが好ましい。式(X)の有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム;エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。以上に述べた(C)成分としての有機アルミニウム化合物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。なお、上記第二重合触媒組成物における有機アルミニウム化合物の含有量は、(A)成分に対して1〜50倍モルであることが好ましく、約10倍モルであることが更に好ましい。
次に、本発明に係る共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の製造方法において用いられる重合触媒について説明する。
重合触媒としては、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとの重合用であり、下記式(A):
RaMXbQYb・・・(A)
[式中、Rはそれぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、該RはMに配位しており、Mはランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Xはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を示し、該XはM及びQにμ配位しており、Qは周期律表第13族元素を示し、Yはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子を示し、該YはQに配位しており、a及びbは2である]で表されるメタロセン系複合触媒が挙げられる。
上記メタロセン系重合触媒を用いることで、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体を製造することができる。また、上記メタロセン系複合触媒、例えば予めアルミニウム触媒と複合させてなる触媒を用いることで、共重合体合成時に使用されるアルキルアルミニウムの量を低減したり、無くしたりすることが可能となる。なお、従来の触媒系を用いると、共重合体合成時に大量のアルキルアルミニウムを用いる必要がある。例えば、従来の触媒系では、金属触媒に対して10当量以上のアルキルアルミニウムを用いる必要があるところ、上記メタロセン系複合触媒であれば、5当量程度のアルキルアルミニウムを加えることで、優れた触媒作用が発揮される。
置換インデニルとして、具体的には、2−フェニルインデニル、2−メチルインデニル等が挙げられる。なお、式(XV)における二つのCpRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
また、上記重合触媒組成物は、上記メタロセン系複合触媒と、ホウ素アニオンとを含むことを特徴とし、更に、通常のメタロセン系触媒を含む重合触媒組成物に含有される他の成分、例えば助触媒等を含むことが好ましい。なお、上記メタロセン系複合触媒とホウ素アニオンとを合わせて2成分触媒ともいう。上記第三重合触媒組成物によれば、上記メタロセン系複合触媒と同様に、更にホウ素アニオンを含有するため、各単量体成分の共重合体中での含有量を任意に制御することが可能となる。
前記共役ジエン系重合体と前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体との質量比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1:4〜4:1が好ましく、2:3〜3:2がより好ましい。
前記共役ジエン系重合体が上限値を超える(前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体が下限値未満である)と、ゴムクローラの耐摩耗性、耐亀裂成長性、耐オゾン劣化性及びを向上させる効果が小さくなることがあり、前記共役ジエン系重合体が下限値未満である(前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体が上限値を超える)と、耐カット性が低下する傾向にあり、ゴムクローラの寿命が低下することがある。
前記その他のゴムとしては、特に制限はなく、本発明の目的に反しない範囲で、ゴムクローラという用途に応じて、少量(例えば、ゴム成分100質量部に対して10質量部以下)の種々の他の合成ゴムを含むことができる。
前記他の合成ゴムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム(EPDM)、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記白色充填材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、例えば、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン(チタンホワイト)、炭酸カルシウム、タルク、クレー、などが挙げられる。。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、適当な補強性を得られるため、耐久性に優れるの点で、二酸化ケイ素(シリカ)が好ましい。
前記白色充填材の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ゴム成分100質量部に対して、40質量部〜80質量部が好ましく、50質量部〜70質量部がより好ましい。
前記白色充填材の含有量が、40質量部未満であると、ゴムクローラ用のゴムとして必要な弾性率(硬さ)を得られないことがあり、80質量部を超えると、当該用途には弾性率(硬さ)が高すぎるため、製造したゴムクローラが屈曲耐久性や耐亀裂成長性に劣るものとなることがある。
前記カーボンブラックとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、標準品種であるSAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF(以上ゴム用ファーネス)、MTカーボンブラック(熱分解カーボン)、などが挙げられる。
前記カーボンブラックのJISK1474に準じた測定方法によるヨウ素吸着量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50g/kg以上が好ましい。
前記カーボンブラックの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ゴム成分100質量部に対して、3質量部以下(0〜3質量部)とすることが好ましい。前記カーボンブラックの含有量が3質量部を超えると、走行面にもよるが、ゴムクローラの走行痕が残ってしまうことがある。
前記シランカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記シランカップリング剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記白色充填材の含有量に対して、3質量%〜15質量%が好ましく、5質量%〜10質量%がより好ましい。
前記シランカップリング剤の含有量が、3質量%未満であると、ゴムと充填材の補強性が十分に得られないことがあり、15質量%を超えると、ゴム混練り時の加工性の悪化を招くことがある。
前記老化防止剤としては、特に制限はなく、非汚染性老化防止剤であるフェノール系老化防止剤を好適に用いることができ、例えば、1−オキシ−3−メチル−4−イソプロピルベンゼン、2,6−ジ−第三−ブチル−4−エチルフェノール、ブチル・ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−第三−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−第三−ブチルフェノールと2,4,6−トリ−第三−ブチルフェノールとオルト−第三−ブチルフェノールとの混合品、2,6−ジ−第三−ブチルフェノールと2,4−ジ−第三−ブチルフェノールと2,4,6−トリ−第三−ブチルフェノールと他の置換フェノールとの混合品、スチレン化フェノール、アルキル化フェノール、アルキル及びアラルキル置換フェノールの混合品、フェノール誘導体、などのモノフェノール系老化防止剤;2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−第三−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−シクロヘキシル・フェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−第三−ブチルフェノール)、4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジ−第三−ブチルフェノール)、メチレン架橋した多価アルキルフェノール、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−第三−ブチルフェノール)、アルキル化ビスフェノール、p−クレゾールとジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物、ポリブチル化ビスフェノールAの混合物、などのビス,トリス,ポリフェノール系老化防止剤;4,4’−チオビス−(6−第三−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス−(6−第三−ブチル−o−クレゾール)、4,4’−ジ及びトリ−チオビス(2,6−ジ−第三ブチルフェノール)、などのチオビスフェノール系老化防止剤;4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−第三−ブチルフェノール)、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル)]−o−クレゾール、ヒンダード・フェノール、ヒンダード・ビスフェノール、などのヒンダード・フェノール系老化防止剤;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記老化防止剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ゴム成分100質量部に対して、1質量部〜5質量部が好ましく、2質量部〜4質量部がより好ましい。
前記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アロマティック油、ナフテニック油、パラフィン油等のプロセスオイル;やし油等の植物油;アルキルベンゼンオイル等の合成油;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記可塑剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ゴム成分100質量部に対して、5質量部〜20質量部が好ましい。
前記加硫剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫黄、などが挙げられる。
前記加硫剤(硫黄)の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ゴム成分100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.5質量部〜5質量部がより好ましい。
前記加硫促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、TBBS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、TBSI(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンイミド)等のスルフェンアミド系の加硫促進剤;DPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤;テトラオクチルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;ジアルキルジチオリン酸亜鉛等の加硫促進剤;などが挙げられる。
前記加硫促進剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ゴム成分100質量部に対して、1質量部〜5質量部が好ましい。
前記加硫促進助剤としては、加硫を促進する観点から配合されるものであり、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、亜鉛華(ZnO)、ステアリン酸、などが挙げられる。
前記加硫促進助剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ゴム成分100質量部に対して、3質量部〜10質量部が好ましい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記成分以外のワックス類、酸化防止剤、充填剤、オイル、滑剤、粘着付与剤、石油系樹脂、紫外線吸収剤、分散剤、相溶化剤、均質化剤、などが挙げられる。
本発明のクローラ用ゴム組成物の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、全ての成分原料を一度に配合して混練してもよいし、2段階又は3段階に分けて各成分を配合して混練を行ってもよい。
前記混練に用いる混練機としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ロール、インターナルミキサー、バンバリーローター、などが挙げられる。
本発明のクローラ用ゴム組成物の加硫条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、120℃〜180℃、20分間〜150分間の条件とすることができる。
本発明のクローラ用ゴム組成物を用いゴムクローラを形成する場合には、従来公知の製造方法を採用し得る。
本発明のゴムクローラは、本発明のクローラ用ゴム組成物を用いたことを特徴とする。
本発明のゴムクローラは、例えば、図1及び図2に示されるように、トレッドゴム層1と、中間ゴム層2と、亜鉛めっきスチールコード3と、芯金4とを備える。
(1)共重合体のミクロ構造(1,2−ビニル結合量、シス−1,4結合量)
共重合体中のブタジエン部分のミクロ構造(1,2−ビニル結合量)を、1H−NMRスペクトル(100℃、d−テトラクロロエタン標準:6ppm)により1,2−ビニル結合成分(5.0−5.1ppm)と全体のブタジエン結合成分(5−5.6ppm)の積分比より求めた。また、共重合体中のブタジエン部分のミクロ構造(シス−1,4結合量)を、13C−NMRスペクトル(100℃、d−テトラクロロエタン標準:73.8ppm)によるシス−1,4結合成分(26.5−27.5ppm)と全体のブタジエン結合成分(26.5−27.5ppm+31.5−32.5ppm)の積分比より求めた。
共重合体中のエチレン由来部分の含有率(mol%)を13C−NMRスペクトル(100℃、d−テトラクロロエタン標準:73.8ppm)による全体のエチレン結合成分(28.5−30.0ppm)と全体のブタジエン結合成分(26.5−27.5ppm+31.5−32.5ppm)の積分比より求めた。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC−8121GPC/HT、カラム:東ソー製GMHHR−H(S)HT×2本、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。なお、測定温度は140℃である。
JIS K7121−1987に準拠して示差走査熱量測定(DSC)を行い、DSC曲線を描き、ブロックポリエチレン融解温度(DSCピーク温度)を測定した。なお、測定は、単体ポリマーや触媒残渣等の不純物の影響をさけるため、共重合体を大量のテトラヒドロフランに48h浸漬し、テトラヒドロフランに溶解する成分を全て取り除いた後、乾燥したゴム成分をサンプルとして使用した。
文献(「高分子学会予稿集Vol.42,No.4,Page1347」)のオゾン分解−GPC法を応用して、連鎖分布の解析を行った。なお、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーは[GPC:東ソー製HLC−8121GPC/HT、カラム:昭和電工製GPC HT−803×2本、検出器:示差屈折率計(RI)、単分散ポリスチレンを基準、測定温度は140℃]を用いて測定した。
表2に示す配合処方のゴム配合物を調製し、160℃で20分間加硫して得た加硫ゴムに対し、下記の方法に従って、(1)耐亀裂成長性(定応力)、(2)耐摩耗性、(3)耐オゾン性試験、(4)接着力(ゴム/ゴム接着)、及び(5)耐カット性を測定した。
(1)耐亀裂成長性(指数)(定応力)
JIS3号試験片中心部に0.5mmの亀裂を入れ、室温でMd100%(JIS K6251に従った引っ張り試験による測定値)の一定応力にて繰り返し疲労を与え、サンプルが切断するまでの回数を測定した。結果を表2に示す。指数値が大きい程、耐亀裂成長性が良好であることを示す。なお、表中>200は比較例1に対し2倍の回数の繰り返し疲労を与えても、サンプルの切断が起こらなかったことを示す。
(2)耐摩耗性(指数)
調製した各加硫ゴムから円板状(直径16.2mm×厚さ6mm)に切り抜いた試験片を用い、JIS−K6264−2:2005に準じて、DIN摩耗試験を行った。室温でDIN摩耗試験試験を行った際の摩耗量(mm3)を測定した。比較例1を100とした場合の指数(摩耗量の逆数)を表2に示す。指数値が大きい程、耐摩耗性が良好であることを示す。
(3)耐オゾン性(動的)
JIS K 6259に従って、耐オゾン性を測定した。短冊状試験片を30%の動的伸張を与えながら、40℃、オゾン濃度50pphm条件で暴露し、24時間後の試料の状況(亀裂の有無)を目視で判断した。結果を表2に示す。
(4)接着力(ゴム/ゴム接着)
サンプル厚み6mm(3mmシート2枚重ね)で同種ゴムを加硫接着、150mm×25mmの短冊状試験片とし、80℃雰囲気下にて50mm/minの速度で剥離させた場合の破壊部分を示す。
「ゴム破壊」が望ましく、「界面剥離」の場合は破壊強力が低く、クローラの耐久性への要求を満たせない。
(5)耐カット性
縦60mm×横70mm×高さ30mmのゴムブロックを加硫し、サンプルを作製した。室温で、該サンプルから70cm離した高さから質量15kgの錘を付けた角度60度の鋭利な刃を落下させ、生じた亀裂深さ(mm)を測定し、逆数を算出し、比較例1を100として指数表示した。指数値が大きいほど、耐カット性に優れることを示す。
<エチレン−ブタジエン共重合体A(EBR1)の調製>
十分に乾燥した400mL耐圧ガラス反応器に、トルエン溶液160mLを添加した後、エチレンを0.8MPaで導入した。一方、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にビス(2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)[(2−PhC9H6)2GdN(SiHMe2)2]28.5μmol、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Me2NHPhB(C6F5)4]34.2μmol、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド1.43mmolを仕込み、トルエン8mLに溶解させて触媒溶液とした。その後、グローブボックスから触媒溶液を取り出し、ガドリニウム換算で28.2μmolとなる量をモノマー溶液へ添加し、室温で5分間重合を行った。その後、エチレンの導入圧力を0.2MPa/minの速度で低下させながら、1,3−ブタジエン15.23g(0.28mol)を含むトルエン溶液100mLを添加した後、さらに90分間重合を行った。重合後、2,2´−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノールで共重合体を分離し、70℃で真空乾燥し、共重合体A(ブロック共重合体)を得た。得られた共重合体Aの収量は12.50gであった。
得られた共重合体Aについて、ミクロ構造、エチレン含有率、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、ブロックポリエチレン融解温度(DSCピーク温度)及び連鎖構造を上記の方法で測定・評価した。共重合体Aの13C−NMRスペクトルチャートを図3に、DSC曲線を図4に示す。
共重合体A中のブタジエン部分のミクロ構造として、シス−1,4−結合量は98%、1,2−ビニル結合量は1.2%であった。
重量平均分子量Mwは350000であり、分子量分布Mw/Mnは、2.2であった。
エチレン含有率は7mol%(ブタジエン含有率は93mol%)であった。
ブロックポリエチレン融解温度(DSCピーク温度)は、121℃であり、連鎖構造はブロックであった。
<エチレン−ブタジエン共重合体B(EBR2)の調製>
十分に乾燥した400ml耐圧ガラス反応器に、トルエン溶液100mlを添加した後、エチレンを0.8MPaで導入した。一方、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にビス(2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)[(2−PhC9H6)2GdN(SiHMe2)2]28.5μmol、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Me2NHPhB(C6F5)4]34.2μmol、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド1.43mmolを仕込み、トルエン8mlに溶解させて触媒溶液とした。その後、グローブボックスから触媒溶液を取り出し、ガドリニウム換算で28.2μmolとなる量をモノマー溶液へ添加し、室温で5分間重合を行った。その後、エチレンの導入圧力を0.2MPa/minの速度で低下させながら、1,3−ブタジエン4.57g(0.085mol)を含むトルエン溶液30mlを添加した後、さらに60分間重合を行った。次に、「エチレンの導入圧力を0.8MPaに戻し5分間重合を行い、その後エチレンの導入圧力を0.2MPa/minの速度で低下させながら、1,3−ブタジエン4.57g(0.085mol)を含むトルエン溶液30mlを添加し、その後さらに60分間重合を行う」という操作を計3回繰り返した。重合後、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mlを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノールで共重合体を分離し、70℃で真空乾燥し共重合体B(マルチブロック共重合体)を得た。得られた共重合体Bの収量は14.00gであった。
得られた共重合体Bについて、ミクロ構造、エチレン含有率、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、ブロックポリエチレン融解温度(DSCピーク温度)及び連鎖構造を上記の方法で測定・評価した。
共重合体B中のブタジエン部分のミクロ構造として、シス−1,4−結合量は97%、1,2−ビニル結合量は1.2%であった。
重量平均分子量Mwは283000であり、分子量分布Mw/Mnは、2.8であった。
エチレン含有率は13mol%(ブタジエン含有率は87mol%)であった。
ブロックポリエチレン融解温度(DSCピーク温度)は、121℃であり、連鎖構造はブロックであった。
<エチレン−ブタジエン共重合体C(EBR3)の調製>
十分に乾燥した2Lステンレス反応器に、トルエン150mlを添加した後、エチレンを0.8MPaで導入した。一方、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にビス(2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)[(2−PhC9H6)2GdN(SiHMe2)2]14.5μmol、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(Ph3CB(C6F5)4)14.1μmol、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド0.87mmolを仕込み、トルエン5mlに溶解させて触媒溶液とした。その後、グローブボックスから触媒溶液を取り出し、ガドリニウム換算で14.1μmolとなる量をモノマー溶液へ添加し、50℃で5分間重合を行った。その後、エチレンの導入圧力を0.2MPa/minの速度で低下させながら、1,3−ブタジエン3.05g(0.056mol)を含むトルエン溶液20mlを添加した後、さらに15分間重合を行った。次に、「エチレンの導入圧力を0.8MPaに戻し5分間重合を行い、その後、エチレンの導入圧力を0.2MPa/minの速度で低下させながら、1,3−ブタジエン6.09g(0.113mol)を含むトルエン溶液40mlを添加し、その後さらに30分間重合を行う」という操作を計3回繰り返した。重合後、2,2’−メチレンービス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mlを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノールで共重合体を分離し、70℃で真空乾燥し重合体C(マルチブロック共重合体)を得た。得られた共重合体Cの収量は24.50gであった。
得られた共重合体Cについて、ミクロ構造、エチレン含有率、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、ブロックポリエチレン融解温度(DSCピーク温度)及び連鎖構造を上記の方法で測定・評価した。共重合体CのDSC曲線を図5に示す。
共重合体C中のブタジエン部分のミクロ構造として、シス−1,4−結合量は97%、1,2−ビニル結合量は1.4%であった。
重量平均分子量Mwは205000であり、分子量分布Mw/Mnは、9.15であった。
エチレン含有率は34mol%(ブタジエン含有率は66mol%)であった。
ブロックポリエチレン融解温度(DSCピーク温度)は、121℃であり、連鎖構造はブロックであった。
<エチレン−ブタジエン共重合体D(EBR4)の調製>
調製例3において、ビス(2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)[(2−PhC9H6)2GdN(SiHMe2)2]を用いる代わりに、ビス(2−フェニル−1−メチルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)[(2−Ph−1−MeC9H5)2GdN(SiHMe2)2]を用いること以外は同様の方法で実験を行ったところ、重合体D(マルチブロック共重合体)を得た。得られた共重合体Dの収量は28.55gであった。
得られた共重合体Dについて、ミクロ構造、エチレン含有率、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、ブロックポリエチレン融解温度(DSCピーク温度)及び連鎖構造を上記の方法で測定・評価した。
共重合体D中のブタジエン部分のミクロ構造として、シス−1,4−結合量は97%、1,2−ビニル結合量は1.8%であった。
重量平均分子量Mwは221000であり、分子量分布Mw/Mnは、3.13であった。
エチレン含有率は45mol%(ブタジエン含有率は55mol%)であった。
ブロックポリエチレン融解温度(DSCピーク温度)は、122℃であり、連鎖構造はブロックであった。
*1:調製例1で調整したエチレン−ブタジエン共重合体A
*2:調製例2で調整したエチレン−ブタジエン共重合体B
*3:調製例3で調整したエチレン−ブタジエン共重合体C
*4:調製例4で調整したエチレン−ブタジエン共重合体D
*5:グレードRSS No.3
*6:JSR製「EP96」
*7:東ソー・シリカ社製「ニプシルVN−3」
*8:DEGUSSA社製「Si−69」
*9:エーピーアイコーポレーション製「アクチングSL」
*10:日本精鑞株式会社製「パラフィンワックス135」
*11:大内新興化学工業株式会社製「ノクラック(登録商標)SP」
*12:三井金属鉱業社製「チタンホワイトRR」
*13:鶴見化学工業株式会社製「Sulfax5」
*14:大内新興化学工業株式会社製「ノクセラー(登録商標)D」
*15:大内新興化学工業株式会社製「ノクセラー(登録商標)DM」
*16:大内新興化学工業株式会社製「ノクセラー(登録商標)NS」
*17:東邦亜鉛株式会社製「銀嶺(登録商標)SR」
*18:花王社製「LUNAC RA」
2 中間ゴム層
3 亜鉛めっきスチールコード
4 芯金
Claims (13)
- 共役ジエン系重合体及び共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体を含むゴム成分と、
白色充填剤と、
を含むクローラ用ゴム組成物であって、
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体における前記非共役オレフィン由来部分の含有率が、20mol%〜70mol%である、
ことを特徴とするクローラ用ゴム組成物。 - 前記共重合体において、前記共役ジエン化合物由来部分の割合が30mol%〜80mol%であることを特徴とする請求項1に記載のクローラ用ゴム組成物。
- 前記共重合体は、前記共役ジエン化合物由来部分のシス−1,4結合量が50%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のクローラ用ゴム組成物。
- 前記白色充填剤は、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化カルシウム、タルク、及びクレーからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1から3のいずれかに記載のクローラ用ゴム組成物。
- 前記共重合体のポリスチレン換算重量平均分子量が10,000〜10,000,000であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のクローラ用ゴム組成物。
- 前記共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が10以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のクローラ用ゴム組成物。
- 前記非共役オレフィンが非環状オレフィンであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のクローラ用ゴム組成物。
- 前記非共役オレフィンの炭素数が2〜10であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のクローラ用ゴム組成物。
- 前記非共役オレフィンが、エチレン、プロピレン、及び1−ブテンからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のクローラ用ゴム組成物。
- 前記非共役オレフィンがエチレンであることを特徴とする請求項9に記載のクローラ用ゴム組成物。
- 前記共役ジエン化合物が1,3−ブタジエン及びイソプレンからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のクローラ用ゴム組成物。
- 前記ゴム成分100質量部に対し、前記共役ジエン系重合体を30質量部〜60質量部含むことを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のクローラ用ゴム組成物。
- 請求項1から12のいずれかに記載のクローラ用ゴム組成物を用いたことを特徴とするゴムクローラ。
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