JP5769563B2 - ゴムクローラ用組成物及びそれを用いたゴムクローラ - Google Patents

ゴムクローラ用組成物及びそれを用いたゴムクローラ Download PDF

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Description

本発明は、ゴムクローラ用組成物及びそれを用いたゴムクローラに関し、特に、他のゴム部材との接着性、並びに、ゴムクローラの耐亀裂成長性(耐久性)、耐オゾン性、及び耐摩耗性を向上させることができるゴムクローラ用組成物及びそれを用いたゴムクローラに関する。
ゴムクローラは、通常、無端帯状のゴム弾性体に、駆動輪(スプロケット)と噛み合って動力を伝達する芯金と、張力を保持するスチールコードを埋設して補強したゴムクローラ本体の外周表面(トレッド面)にラグと呼ばれる多数の凸部を形成した構成とされたものであり、湿田や畑、泥濘地等の通常のタイヤでは走行が困難な軟弱な地面での走行が要求されるコンバイン、トラクター、ミニショベル等の様々な農業機械や土木建設機械や、屋内向けの小型高所作業車、ミニクレーン、運搬車といった小型作業車等の産業機械の足回りに装着されている。
このゴムクローラを形成するゴムには、通常、ゴムの耐オゾン性を向上させるために、老化防止剤が配合され、機械的性質を向上させるために、天然ゴム(NR)やスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)が配合される。ここで、前記該老化防止剤としては、汚染性のアミン系老化防止剤、非汚染性のフェノール系老化防止剤、などがあり、一般的に、アミン系老化防止剤の方がより高い効果を有する。ところが、クローラが白色又は薄灰色である場合は、色彩上の問題のため、アミン系老化防止剤が使用できない。
このように、白色又は薄灰色のクローラのように、色彩維持のために耐オゾン性向上に有効な老化防止剤を使用できない場合には、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレン‐プロピレン‐非共役ジエンゴム(EPDM)等の耐オゾン性が高いポリマーが使用されることが多い(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、ジエン系ゴムに比べて、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレン‐プロピレン‐非共役ジエンゴム(EPDM)等のポリマーは加硫速度が遅く、ジエン系ゴムとの共加硫性に劣るため、他のゴム部材への接着性、及び、耐屈曲疲労性、亀裂成長性等の機械的特性を向上させることができない虞がある。そのため、更なる改良が求められている。
以上より、ゴムクローラの分野では、他のゴム部材(例えば、ジエン系ゴム部材)との接着性、並びに、ゴムクローラの耐亀裂成長性(耐久性)、耐オゾン性、及び耐摩耗性を更に向上させることができるゴム組成物の開発が強く望まれているのが現状である。
特開2010−254106号公報
そこで、本発明の目的は、他のゴム部材(例えば、ジエン系ゴム部材)との接着性、並びに、ゴムクローラの耐亀裂成長性(耐久性)、耐オゾン性、及び耐摩耗性を向上させることができるゴムクローラ用組成物及びそれを用いたゴムクローラを提供することにある。
本発明者らは、共役ジエン系重合体及び共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体を含むゴム成分と、白色充填剤と、を含むことにより、他のゴム部材との接着性、並びに、ゴムクローラの耐亀裂成長性(耐久性)、耐オゾン性、及び耐摩耗性を向上させることができる白色又は薄灰色のゴム組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
また、機械特性の劣るエチレンプロピレンゴム(EPM)及びエチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム(EPDM)ではなく、耐疲労性及び耐摩耗性に優れる共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体を含むことにより、機械特性に優れた白色又は薄灰色のゴム組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明のクローラ用ゴム組成物は、共役ジエン系重合体及び共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体を含むゴム成分と、白色充填剤と、を含み、前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体における前記非共役オレフィン由来部分の含有率が、20mol%〜70mol%であることを特徴とする。
本発明のクローラ用ゴム組成物は、前記共重合体において、前記共役ジエン化合物由来部分の割合が30mol%〜80mol%であることが好ましい。
本発明のクローラ用ゴム組成物は、前記共重合体が、前記共役ジエン化合物由来部分のシス−1,4結合量が50%以上であることが好ましい。
本発明のクローラ用ゴム組成物は、前記白色充填剤が、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化カルシウム、タルク、及びクレーからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明のクローラ用ゴム組成物は、前記共重合体のポリスチレン換算重量平均分子量が10,000〜10,000,000であることが好ましい。
本発明のクローラ用ゴム組成物は、前記共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が10以下であることが好ましい。
本発明のクローラ用ゴム組成物は、前記非共役オレフィンが非環状オレフィンであることが好ましい。
本発明のクローラ用ゴム組成物は、前記非共役オレフィンの炭素数が2〜10であることが好ましい。
本発明のクローラ用ゴム組成物は、前記非共役オレフィンが、エチレン、プロピレン、及び1−ブテンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明のクローラ用ゴム組成物は、前記非共役オレフィンがエチレンであることが好ましい。
本発明のクローラ用ゴム組成物は、前記共役ジエン化合物が1,3−ブタジエン及びイソプレンからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明のクローラ用ゴム組成物は、前記ゴム成分100質量部に対し、前記共役ジエン系重合体を30質量部〜60質量部含むことが好ましい。
本発明のゴムクローラは、本発明のクローラ用ゴム組成物を用いたことを特徴とする。
本発明によれば、他のゴム部材(例えば、ジエン系ゴム部材)との接着性、並びに、ゴムクローラの耐亀裂成長性(耐久性)、耐オゾン性、及び耐摩耗性を向上させることができるゴムクローラ用組成物及びそれを用いたゴムクローラを提供することができる。
図1は、本発明のゴムクローラを示す概略斜視図である。 図2は、図1のA−A線に沿った概略断面図である。 図3は、調製例1に従って製造された共重合体Aの13C−NMRスペクトルチャートを示す図である。 図4は、調製例1に従って製造された共重合体AのDSC曲線を示す図である。 図5は、調製例3に従って製造された共重合体CのDSC曲線を示す図である。
(クローラ用ゴム組成物)
本発明のクローラ用ゴム組成物は、少なくとも、(i)共役ジエン系重合体及び共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体を含むゴム成分と、(ii)白色充填剤とを含んでなり、さらに必要に応じて、(iii)カーボンブラック、(iv)シランカップリング剤、(v)老化防止剤、(vi)可塑剤、(vii)加硫剤、(viii)加硫促進剤、(ix)加硫助促進剤、(x)その他の成分、を含んでなる。
<(i)ゴム成分>
前記ゴム成分としては、少なくとも、共役ジエン系重合体と、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体とを含んでなり、さらに必要に応じて、その他のゴム成分を含んでなる。
−共役ジエン系重合体−
前記共役ジエン系重合体は、モノマー単位成分(共重合体の一部)として非共役オレフィンを含まない重合体(ポリマー)を意味する。なお、スチレンは、非共役オレフィンに含まれないものとする。
前記共役ジエン系重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然ゴム(NR)、各種ポリブタジエンゴム(BR)、合成ポリイソプレンゴム(IR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム成分100質量部中における前記共役ジエン系重合体の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20質量部〜80質量部が好ましく、40質量部〜80質量部がより好ましく、40質量部〜60質量部が特に好ましい。
前記ゴム成分100質量部中における前記共役ジエン系重合体の含有量が、20質量部未満であると、耐カット性や引裂き力が低下し、クローラとしての耐久性を損なうことがあり、80質量部超であると、目標とする耐オゾン性を得られないことがある。
一方、前記ゴム成分100質量部中における前記共役ジエン系重合体の含有量が、前記特に好ましい範囲内であると、クローラの耐久性と耐オゾン性のバランスの点で有利である。
−共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体−
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体は、共重合体におけるモノマー単位成分として非共役オレフィンを含む。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体における共役ジエン化合物由来部分のシス−1,4結合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50%以上がより好ましく、92%超が特に好ましく、95%以上が最も好ましい。
前記共役ジエン化合物由来部分のシス1,4−結合量が、50%以上であれば、低いガラス転移点(Tg)を保持することができ、これにより、耐亀裂成長性や耐摩耗性等の物性が改良される。
一方、前記共役ジエン化合物由来部分のシス1,4−結合量を92%超とすることにより、耐亀裂成長性、耐候性、耐熱性を向上させることが可能となる。また、前記共役ジエン化合物由来部分のシス1,4−結合量を95%以上とすることにより、耐亀裂成長性、耐候性、耐熱性を一層向上させることが可能となる。
なお、前記シス−1,4結合量は、前記共役ジエン化合物由来部分中の量であって、共重合体全体に対する割合ではない。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体における前記共役ジエン化合物由来部分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30mol%〜80mol%が好ましい。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体における前記共役ジエン化合物由来部分の含有量が、30mol%以上であると、ジエン系ゴムとの相溶性が良好となり、加工性が十分に確保できるので好ましく、80mol%以下であると、非共役オレフィンの割合が多くなり、十分な弾性率を確保できると共に、耐候性が向上して好ましい。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体における前記非共役オレフィン由来部分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20mol%〜70mol%が好ましい。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体における前記非共役オレフィン由来部分の含有量が、20mol%以上であると、十分な弾性率を確保できると共に耐候性を向上させることができ、70mol%以下であると、共役ジエン系重合体との相溶性を維持して、加工性を確保できると共に耐候性及び耐亀裂成長性を向上することができる。
一方、前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体において、単量体として用いる非共役オレフィンは、共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンであり、優れた耐熱性や、共重合体の主鎖中に占める二重結合の割合を減らし、結晶性を低下させることでエラストマーとしての設計自由度を高めることが可能となる。また、非共役オレフィンとしては、非環状オレフィンであることが好ましく、また、該非共役オレフィンの炭素数は、2〜10であることが好ましい。従って、上記非共役オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等のα−オレフィンが好適に挙げられ、これらの中でも、エチレン、プロピレン及び1−ブテンが好ましく、エチレンが特に好ましい。ここで、非共役オレフィンは、スチレンを含まないものとする。
α−オレフィンはオレフィンのα位に二重結合を有するため、共役ジエンとの共重合を効率よく行うことができる。これら非共役オレフィンは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、オレフィンは、脂肪族不飽和炭化水素で、炭素−炭素二重結合を1個以上有する化合物を指す。
また、非共役オレフィンの単量体単位からなるブロック部分を備える場合には、静的結晶性を示すため、破断強度等の機械的性質に優れる。
なお、前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体において、単量体として用いる共役ジエン化合物は、炭素数が4〜12であることが好ましい。該共役ジエン化合物として、具体的には、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等が挙げられ、これらの中でも、1,3−ブタジエン及びイソプレンが好ましい。また、これら共役ジエン化合物は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述した共役ジエン化合物の具体例のいずれを用いても、同様のメカニズムで本発明の共重合体を調製することができる。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体において、重量平均分子量(Mw)は、低分子量化の問題が起こることも無く、その重量平均分子量(Mw)は特に限定されるものでもないが、高分子構造材料への適用の観点から、該共重合体のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は10,000〜10,000,000が好ましく、10,000〜1,000,000がより好ましく、50,000〜600,000が特に好ましい。Mwが10,000,000を超えると成形加工性が悪化するおそれがある。
また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、10以下が好ましく、6以下がより好ましい。分子量分布が10を超えると物性が均質でなくなるためである。ここで、平均分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレンを標準物質として求めることができる。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の共役ジエン化合物由来部分における共役ジエン化合物の1,2付加体部分(3,4付加体部分を含む)含量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、2.5%以下が特に好ましい。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の共役ジエン化合物由来部分における共役ジエン化合物の1,2付加体部分(3,4付加体部分を含む)含量が、5%以下であると、共重合体の耐候性や耐オゾン性をさらに向上させることができる。
一方、前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の共役ジエン化合物由来部分における共役ジエン化合物の1,2付加体部分(3,4付加体部分を含む)含量が、2.5%以下であると、共重合体の耐候性や耐オゾン性をさらに向上させることができる。
前記1,2付加体部分(3,4付加体部分を含む)含量は、前記共役ジエン化合物由来部分中の量であって、共重合体全体に対する割合ではない。
なお、前記共役ジエン化合物由来部分における共役ジエン化合物の1,2付加体部分(3,4付加体部分を含む)含量は、共役ジエン化合物がブタジエンの場合、1,2−ビニル結合量と同じ意味である。
前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の連鎖構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ブロック共重合体、ランダム共重合体、テーパー共重合体、交互共重合体などが挙げられる。
−−ブロック共重合体−−
前記ブロック共重合体の構造は、(A−B)、A−(B−A)及びB−(A−B)(ここで、Aは、非共役オレフィンの単量体単位からなるブロック部分であり、Bは、共役ジエン化合物の単量体単位からなるブロック部分であり、xは1以上の整数である)のいずれかである。なお、(A−B)又は(B−A)の構造を複数備えるブロック共重合体をマルチブロック共重合体と称する。
共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体がブロック共重合体である場合は、非共役オレフィンの単量体からなるブロック部分が静的結晶性を示すため、破断強度等の機械的性質に優れる。結晶性を示すブロック部分によって、貯蔵弾性率(G´)の低下を抑制することができる。
−−ランダム共重合体−−
共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体がランダム共重合体である場合は、非共役オレフィンの単量体単位の配列が不規則であるため、共重合体が相分離を起こすことなく、ブロック部分に由来する結晶化温度が観測されない。すなわち、耐熱性などの性質を有する非共役オレフィンを共重合体の主鎖中に導入することが可能になるため、耐熱性が向上する。
−−テーパー共重合体−−
前記テーパー共重合体とは、ランダム共重合体とブロック共重合体とが混在してなる共重合体であり、共役ジエン化合物の単量体単位からなるブロック部分及び非共役オレフィンの単量体単位からなるブロック部分のうち少なくとも一方のブロック部分(ブロック構造ともいう)と、共役ジエン化合物及び非共役オレフィンの単量体単位が不規則に配列してなるランダム部分(ランダム構造という)とから構成される共重合体である。
前記テーパー共重合体の構造は、共役ジエン化合物成分と非共役オレフィン成分との組成が連続的又は不連続的に分布があることを示す。ここで、非共役オレフィン成分の連鎖構造としては、長鎖(高分子量)の非共役オレフィンブロック成分を多く含まず、短鎖(低分子量)の非共役オレフィンブロック成分を多く含むことが好ましい。
−−交互共重合体−−
前記交互共重合体は、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとが交互に配列する構造(非共役オレフィンをAと、共役ジエン化合物をBとした場合の、−ABABABAB−の分子鎖構造)を有する重合体である。
本発明においては、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体がブロック共重合体である場合は、非共役オレフィンの単量体からなるブロック部分が静的結晶性を示すため、破断強度等の機械的性質に優れるので、交互共重合体である場合は、柔軟性と接着性の両立が可能となる。共重合体は、ブロック共重合体及びテーパー共重合体から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
前記ゴム成分100質量部中における前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、
20質量部以上100質量部未満が好ましく、20質量部〜80質量部がより好ましく、40質量部〜60質量部が特に好ましい。
前記ゴム成分100質量部中における前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の含有量が、20質量部未満であると、クローラに要求される耐オゾン性を得られないことがある。
一方、前記ゴム成分100質量部中における前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の含有量が、前記特に好ましい範囲内であると、耐カット性、及び引裂き力の低下させることなく、高い耐オゾン性を得られる点で有利である。
−−共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の製造方法−−
次に、前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体を製造することができる製造方法を詳細に説明する。但し、以下に詳述する製造方法は、あくまで例示に過ぎない。本発明に係る共重合体は、重合触媒または重合触媒組成物の存在下、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとを重合させることができる。
共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の製造方法においては、後述する重合触媒、または第一、第二、第三重合触媒組成物を用いること以外は、通常の配位イオン重合触媒による重合体の製造方法と同様にして、単量体である共役ジエン化合物と非共役オレフィンを共重合させることができる。本発明において、使用される重合触媒または重合触媒組成物については、後に詳述する。
重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、液相塊状重合法、乳化重合法、気相重合法、固相重合法等の任意の方法を用いることができる。また、重合反応に溶媒を用いる場合、用いられる溶媒は重合反応において不活性であればよく、例えば、トルエン、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン、またそれらの混合物等が挙げられる。
共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の製造方法は、例えば、(1)単量体として共役ジエン化合物及び該共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンを含む重合反応系中に、重合触媒組成物の構成成分を別個に提供し、該反応系中において重合触媒組成物としてもよいし、(2)予め調製された重合触媒組成物を重合反応系中に提供してもよい。また、(2)においては、助触媒によって活性化されたメタロセン錯体(活性種)を提供することも含まれる。なお、重合触媒組成物に含まれるメタロセン錯体の使用量は、共役ジエン化合物及び該共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンの合計に対して、0.0001〜0.01倍モルの範囲が好ましい。
また、本発明に係る共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の製造方法においては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の重合停止剤を用いて、重合を停止させてもよい。
本発明に係る製造方法において、共役ジエン化合物及び非共役オレフィンの重合反応は、不活性ガス、好ましくは窒素ガスやアルゴンガスの雰囲気下において行われることが好ましい。上記重合反応の重合温度は、特に制限されないが、例えば−100℃〜200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。なお、重合温度を上げると、重合反応のシス−1,4選択性が低下することがある。また、上記重合反応の圧力は、共役ジエン化合物及び非共役オレフィンを十分に重合反応系中に取り込むため、0.1〜10.0MPaの範囲が好ましい。また、上記重合反応の反応時間も特に制限されず、例えば1秒〜10日の範囲が好ましいが、重合される単量体の種類、触媒の種類、重合温度等の条件によって適宜選択することができる。
前記共重合体の製造方法において、上記共役ジエン化合物と該共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンとの重合の際、該非共役オレフィンの圧力は、0.1MPa〜10MPaであることが好ましい。該非共役オレフィンの圧力が0.1MPa以上であれば、反応混合物中に非共役オレフィンを効率的に導入することができる。また、非共役オレフィンの圧力を高くし過ぎても、非共役オレフィンを効率的に導入する効果が頭打ちとなるため、非共役オレフィンの圧力を10MPa以下とするのが好ましい。
前記共重合体の製造方法において、上記共役ジエン化合物と該共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンとの重合の際、重合開始時における該共役ジエン化合物の濃度(mol/l)と該非共役オレフィンの濃度(mol/l)とは、下記式の関係を満たすことが好ましい。非共役オレフィンの濃度/共役ジエン化合物の濃度の値を1以上とすることで、反応混合物中に非共役オレフィンを効率的に導入することができる。
非共役オレフィンの濃度/共役ジエン化合物の濃度 ≧ 1.0
さらに好ましくは下記式の関係を満たすことが好ましい。
非共役オレフィンの濃度/共役ジエン化合物の濃度 ≧ 1.3
さらに好ましくは下記式の関係を満たすことが好ましい。
非共役オレフィンの濃度/共役ジエン化合物の濃度 ≧ 1.7
本発明に係る製造方法によれば、上記重合触媒または重合触媒組成物を用いること以外は、通常の配位イオン重合触媒による重合体の製造方法と同様にして、単量体である共役ジエン化合物と非共役オレフィンを共重合させることができる。
−第一の重合触媒組成物−
次に、本発明に係る共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の製造方法において用いられる第一重合触媒組成物について説明する。
上記重合触媒組成物としては、下記一般式(I):
Figure 0005769563
(式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpRは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、Ra〜Rfは、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示す)で表されるメタロセン錯体、及び下記一般式(II):
Figure 0005769563
(式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpRは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、X'は、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示す)で表されるメタロセン錯体、並びに下記一般式(III):
Figure 0005769563
(式中、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpR'は、無置換もしくは置換シクロペンタジエニル、インデニル又はフルオレニルを示し、Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示し、[B]-は、非配位性アニオンを示す)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体からる群より選択される少なくとも1種類の錯体を含む重合触媒組成物(以下、第一重合触媒組成物ともいう)が挙げられる。
第一重合触媒組成物は、更に、通常のメタロセン錯体を含む重合触媒組成物に含有される他の成分、例えば助触媒等を含んでいてもよい。ここで、メタロセン錯体は、一つ又は二つ以上のシクロペンタジエニル又はその誘導体が中心金属に結合した錯体化合物であり、特に、中心金属に結合したシクロペンタジエニル又はその誘導体が一つであるメタロセン錯体を、ハーフメタロセン錯体と称することがある。
なお、重合反応系において、第一重合触媒組成物に含まれる錯体の濃度は0.1〜0.0001mol/Lの範囲であることが好ましい。
上記一般式(I)及び式(II)で表されるメタロセン錯体において、式中のCpRは、無置換インデニル又は置換インデニルである。インデニル環を基本骨格とするCpRは、C97-XX又はC911-XXで示され得る。ここで、Xは0〜7又は0〜11の整数である。また、Rはそれぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。置換インデニルとして、具体的には、2−フェニルインデニル、2−メチルインデニル等が挙げられる。なお、一般式(I)及び式(II)における二つのCpRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体において、式中のCpR'は、無置換もしくは置換のシクロペンタジエニル、インデニル又はフルオレニルであり、これらの中でも、無置換もしくは置換のインデニルであることが好ましい。シクロペンタジエニル環を基本骨格とするCpR'は、C55-XXで示される。ここで、Xは0〜5の整数である。また、Rはそれぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。シクロペンタジエニル環を基本骨格とするCpR'として、具体的には、以下のものが例示される。
Figure 0005769563
(式中、Rは水素原子、メチル基又はエチル基を示す。)
一般式(III)において、上記インデニル環を基本骨格とするCpR'は、一般式(I)のCpRと同様に定義され、好ましい例も同様である。
一般式(III)において、上記フルオレニル環を基本骨格とするCpR'は、C139-XX又はC1317-XXで示され得る。ここで、Xは0〜9又は0〜17の整数である。また、Rはそれぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。
一般式(I)、式(II)及び式(III)における中心金属Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムである。ランタノイド元素には、原子番号57〜71の15元素が含まれ、これらのいずれでもよい。中心金属Mとしては、サマリウムSm、ネオジムNd、プラセオジムPr、ガドリニウムGd、セリウムCe、ホルミウムHo、スカンジウムSc及びイットリウムYが好適に挙げられる。
一般式(I)で表されるメタロセン錯体は、シリルアミド配位子[−N(SiR32]を含む。シリルアミド配位子に含まれるR基(一般式(I)におけるRa〜Rf)は、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子である。また、Ra〜Rfのうち少なくとも一つが水素原子であることが好ましい。Ra〜Rfのうち少なくとも一つを水素原子にすることで、触媒の合成が容易になり、また、ケイ素まわりのかさ高さが低くなるため、非共役オレフィンが導入され易くなる。同様の観点から、Ra〜Rcのうち少なくとも一つが水素原子であり、Rd〜Rfのうち少なくとも一つが水素原子であることが更に好ましい。更に、アルキル基としては、メチル基が好ましい。
一般式(II)で表されるメタロセン錯体は、シリル配位子[−SiX'3]を含む。シリル配位子[−SiX'3]に含まれるX'は、下記で説明される一般式(III)のXと同様に定義される基であり、好ましい基も同様である。
一般式(III)において、Xは水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基及び炭素数1〜20の炭化水素基からなる群より選択される基である。ここで、上記アルコキシド基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の脂肪族アルコキシ基;フェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェノキシ基等のアリールオキシド基が挙げられ、これらの中でも、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基が好ましい。
一般式(III)において、Xが表すチオラート基としては、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオn−ブトキシ基、チオイソブトキシ基、チオsec−ブトキシ基、チオtert−ブトキシ基等の脂肪族チオラート基;チオフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルチオフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルチオフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−チオネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−チオネオペンチルフェノキシ基、2,4,6−トリイソプロピルチオフェノキシ基等のアリールチオラート基が挙げられ、これらの中でも、2,4,6−トリイソプロピルチオフェノキシ基が好ましい。
一般式(III)において、Xが表すアミド基としては、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジイソプロピルアミド基等の脂肪族アミド基;フェニルアミド基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルアミド基、2,6−ジイソプロピルフェニルアミド基、2,6−ジネオペンチルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニルアミド基等のアリールアミド基;ビストリメチルシリルアミド基等のビストリアルキルシリルアミド基が挙げられ、これらの中でも、ビストリメチルシリルアミド基が好ましい。
一般式(III)において、Xが表すシリル基としては、トリメチルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基、ビス(トリメチルシリル)メチルシリル基、トリメチルシリル(ジメチル)シリル基、トリイソプロピルシリル(ビストリメチルシリル)シリル基等が挙げられ、これらの中でも、トリス(トリメチルシリル)シリル基が好ましい。
一般式(III)において、Xが表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子のいずれでもよいが、塩素原子又は臭素原子が好ましい。また、Xが表す炭素数1〜20の炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等の直鎖又は分枝鎖の脂肪族炭化水素基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基;ベンジル基等のアラルキル基等の他;トリメチルシリルメチル基、ビストリメチルシリルメチル基等のケイ素原子を含有する炭化水素基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基、イソブチル基、トリメチルシリルメチル基等が好ましい。
一般式(III)において、Xとしては、ビストリメチルシリルアミド基又は炭素数1〜20の炭化水素基が好ましい。
一般式(III)において、[B]-で示される非配位性アニオンとしては、例えば、4価のホウ素アニオンが挙げられる。該4価のホウ素アニオンとして、具体的には、テトラフェニルボレート、テトラキス(モノフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル、ペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル)、フェニル]ボレート、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート等が挙げられ、これらの中でも、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好ましい。
上記一般式(I)及び式(II)で表されるメタロセン錯体、並びに上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体は、更に0〜3個、好ましくは0〜1個の中性ルイス塩基Lを含む。ここで、中性ルイス塩基Lとしては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類等が挙げられる。ここで、上記錯体が複数の中性ルイス塩基Lを含む場合、中性ルイス塩基Lは、同一であっても異なっていてもよい。
また、上記一般式(I)及び式(II)で表されるメタロセン錯体、並びに上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体は、単量体として存在していてもよく、二量体又はそれ以上の多量体として存在していてもよい。
上記一般式(I)で表されるメタロセン錯体は、例えば、溶媒中でランタノイドトリスハライド、スカンジウムトリスハライド又はイットリウムトリスハライドを、インデニルの塩(例えばカリウム塩やリチウム塩)及びビス(トリアルキルシリル)アミドの塩(例えば、カリウム塩やリチウム塩)と反応させることで得ることができる。なお、反応温度は室温程度にすればよいので、温和な条件で製造することができる。また、反応時間は任意であるが、数時間〜数十時間程度である。反応溶媒は特に限定されないが、原料及び生成物を溶解する溶媒であることが好ましく、例えばトルエンを用いればよい。以下に、一般式(I)で表されるメタロセン錯体を得るための反応例を示す。
Figure 0005769563
(式中、X''はハライドを示す。)
上記一般式(II)で表されるメタロセン錯体は、例えば、溶媒中でランタノイドトリスハライド、スカンジウムトリスハライド又はイットリウムトリスハライドを、インデニルの塩(例えばカリウム塩やリチウム塩)及びシリルの塩(例えばカリウム塩やリチウム塩)と反応させることで得ることができる。なお、反応温度は室温程度にすればよいので、温和な条件で製造することができる。また、反応時間は任意であるが、数時間〜数十時間程度である。反応溶媒は特に限定されないが、原料及び生成物を溶解する溶媒であることが好ましく、例えばトルエンを用いればよい。以下に、一般式(II)で表されるメタロセン錯体を得るための反応例を示す。
Figure 0005769563
(式中、X''はハライドを示す。)
上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体は、例えば、次の反応により得ることができる。
Figure 0005769563
ここで、一般式(IV)で表される化合物において、Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpR'は、それぞれ独立して無置換もしくは置換シクロペンタジエニル、インデニル又はフルオレニルを示し、Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示す。また、一般式[A]+[B]-で表されるイオン性化合物において、[A]+は、カチオンを示し、[B]-は、非配位性アニオンを示す。
[A]+で表されるカチオンとしては、例えば、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アミンカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオン等が挙げられる。カルボニウムカチオンとしては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(置換フェニル)カルボニウムカチオン等の三置換カルボニウムカチオン等が挙げられ、トリ(置換フェニル)カルボニルカチオンとして、具体的には、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン等が挙げられる。アミンカチオンとしては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン等のトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオン等が挙げられる。ホスホニウムカチオンとしては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオン等が挙げられる。これらカチオンの中でも、N,N−ジアルキルアニリニウムカチオン又はカルボニウムカチオンが好ましく、N,N−ジアルキルアニリニウムカチオンが特に好ましい。
上記反応に用いる一般式[A]+[B]-で表されるイオン性化合物としては、上記の非配位性アニオン及びカチオンからそれぞれ選択し組み合わせた化合物であって、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が好ましい。また、一般式[A]+[B]-で表されるイオン性化合物は、メタロセン錯体に対して0.1〜10倍モル加えることが好ましく、約1倍モル加えることが更に好ましい。なお、一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を重合反応に用いる場合、一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体をそのまま重合反応系中に提供してもよいし、上記反応に用いる一般式(IV)で表される化合物と一般式[A]+[B]-で表されるイオン性化合物を別個に重合反応系中に提供し、反応系中で一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を形成させてもよい。また、一般式(I)又は式(II)で表されるメタロセン錯体と一般式[A]+[B]-で表されるイオン性化合物とを組み合わせて使用することにより、反応系中で一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体を形成させることもできる。
一般式(I)及び式(II)で表されるメタロセン錯体、並びに上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体の構造は、X線構造解析により決定することが好ましい。
上記第一重合触媒組成物に用いることができる助触媒は、通常のメタロセン錯体を含む重合触媒組成物の助触媒として用いられる成分から任意に選択され得る。該助触媒としては、例えば、アルミノキサン、有機アルミニウム化合物、上記のイオン性化合物等が好適に挙げられる。これら助触媒は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アルミノキサンとしては、アルキルアミノキサンが好ましく、例えば、メチルアルミノキサン(MAO)、修飾メチルアルミノキサン等が挙げられる。また、修飾メチルアルミノキサンとしては、MMAO−3A(東ソーファインケム社製)等が好ましい。なお、上記第一重合触媒組成物におけるアルミノキサンの含有量は、メタロセン錯体の中心金属Mと、アルミノキサンのアルミニウム元素Alとの元素比率Al/Mが、10〜1000程度、好ましくは100程度となるようにすることが好ましい。
一方、上記有機アルミニウム化合物としては、一般式AlRR'R''(式中、R及びR'はそれぞれ独立してC1〜C10の炭化水素基又は水素原子であり、R''はC1〜C10の炭化水素基である)で表される有機アルミニウム化合物が好ましい。上記有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムクロライド、アルキルアルミニウムジクロライド、ジアルキルアルミニウムハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリアルキルアルミニウムが好ましい。また、トリアルキルアルミニウムとしては、例えば、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等が挙げられる。なお、上記重合触媒組成物における有機アルミニウム化合物の含有量は、メタロセン錯体に対して1〜50倍モルでであることが好ましく、約10倍モルであることが更に好ましい。
更に、上記重合触媒組成物においては、一般式(I)及び式(II)で表されるメタロセン錯体、並びに上記一般式(III)で表されるハーフメタロセンカチオン錯体をそれぞれ、適切な助触媒と組み合わせることで、シス−1,4結合量や得られる共重合体の分子量を増大できる。
−第二の重合触媒組成物−
次に、本発明に係る共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の製造方法において用いられる第一重合触媒組成物について説明する。
また、上記重合触媒組成物としては、
(A)成分:希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物であって、希土類元素と炭素との結合を有さない該希土類元素化合物又は反応物と、
(B)成分:非配位性アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物(B−1)、アルミノキサン(B−2)、並びにルイス酸、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物及び活性ハロゲンを含む有機化合物のうち少なくとも一種のハロゲン化合物(B−3)よりなる群から選択される少なくとも一種とを含む重合触媒組成物(以下、第二重合触媒組成物ともいう)を好適に挙げることができる。
第二重合触媒組成物が、イオン性化合物(B−1)及びハロゲン化合物(B−3)の少なくとも一種を含む場合、該重合触媒組成物は、更に、
(C)成分:下記一般式(X):
YR1 a2 b3 c ・・・ (X)
[式中、Yは、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族から選択される金属であり、R1及びR2は、同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R3は上記R1又はR2と同一又は異なっていてもよく、また、Yが周期律表第1族から選択される金属である場合には、aは1で且つb及びcは0であり、Yが周期律表第2族及び第12族から選択される金属である場合には、a及びbは1で且つcは0であり、Yが周期律表第13族から選択される金属である場合には、a,b及びcは1である]で表される有機金属化合物を含む。
前記共重合体の製造方法に用いる第二重合触媒組成物は、上記(A)成分及び(B)成分を含むことを要し、ここで、該重合触媒組成物が、上記イオン性化合物(B−1)及び上記ハロゲン化合物(B−3)の少なくとも一種を含む場合には、更に、
(C)成分:下記一般式(X):
YR1 a2 b3 c ・・・ (X)
[式中、Yは、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族から選択される金属であり、R1及びR2は、同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R3は上記R1又はR2と同一又は異なっていてもよく、また、Yが周期律表第1族から選択される金属である場合には、aは1で且つb及びcは0であり、Yが周期律表第2族及び第12族から選択される金属である場合には、a及びbは1で且つcは0であり、Yが周期律表第13族から選択される金属である場合には、a,b及びcは1である]で表される有機金属化合物を含むことを要する。
上記イオン性化合物(B−1)及び上記ハロゲン化合物(B−3)は、(A)成分へ供給するための炭素原子が存在しないため、該(A)成分への炭素供給源として、上記(C)成分が必要となる。なお、上記重合触媒組成物が上記アルミノキサン(B−2)を含む場合であっても、該重合触媒組成物は、上記(C)成分を含むことができる。また、上記第二重合触媒組成物は、通常の希土類元素化合物系の重合触媒組成物に含有される他の成分、例えば助触媒等を含んでいてもよい。
なお、重合反応系において、第二重合触媒組成物に含まれる(A)成分の濃度は0.1〜0.0001mol/lの範囲であることが好ましい。
上記第二重合触媒組成物に用いる(A)成分は、希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物であり、ここで、希土類元素化合物及び該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物は、希土類元素と炭素との結合を有さない。該希土類元素化合物及び反応物が希土類元素−炭素結合を有さない場合、化合物が安定であり、取り扱いやすい。ここで、希土類元素化合物とは、周期律表中の原子番号57〜71の元素から構成されるランタノイド元素又はスカンジウムもしくはイットリウムを含有する化合物である。
なお、ランタノイド元素の具体例としては、ランタニウム、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミニウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムを挙げることができる。なお、上記(A)成分は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記希土類元素化合物は、希土類金属が2価もしくは3価の塩又は錯体化合物であることが好ましく、水素原子、ハロゲン原子及び有機化合物残基から選択される1種又は2種以上の配位子を含有する希土類元素化合物であることが更に好ましい。更に、上記希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物は、下記一般式(XI)又は(XII):
1111 2・L11w ・・・ (XI)
1111 3・L11w ・・・ (XII)
[式中、M11は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、X11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシド基、チオラート基、アミド基、シリル基、アルデヒド残基、ケトン残基、カルボン酸残基、チオカルボン酸残基又はリン化合物残基を示し、L11は、ルイス塩基を示し、wは、0〜3を示す]で表されることができる。
上記希土類元素化合物の希土類元素に結合する基(配位子)として、具体的には、水素原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の脂肪族アルコキシ基;フェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェノキシ基;チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオn−ブトキシ基、チオイソブトキシ基、チオsec−ブトキシ基、チオtert−ブトキシ基等の脂肪族チオラート基;チオフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルチオフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルチオフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−チオネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−チオネオペンチルフェノキシ基、2,4,6−トリイソプロピルチオフェノキシ基等のアリールチオラート基;ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジイソプロピルアミド基等の脂肪族アミド基;フェニルアミド基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルアミド基、2,6−ジイソプロピルフェニルアミド基、2,6−ジネオペンチルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2,4,6−tert−ブチルフェニルアミド基等のアリールアミド基;ビストリメチルシリルアミド基等のビストリアルキルシリルアミド基;トリメチルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基、ビス(トリメチルシリル)メチルシリル基、トリメチルシリル(ジメチル)シリル基、トリイソプロピルシリル(ビストリメチルシリル)シリル基等のシリル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。更には、サリチルアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−3−ナフトアルデヒド等のアルデヒドの残基;2'−ヒドロキシアセトフェノン、2'−ヒドロキシブチロフェノン、2'−ヒドロキシプロピオフェノン等のヒドロキシフェノンの残基;アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニルアセトン、イソブチルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン等のジケトンの残基;イソ吉草酸、カプリル酸、オクタン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、シクロペンタンカルボン酸、ナフテン酸、エチルヘキサン酸、ビバール酸、バーサチック酸[シェル化学(株)製の商品名、C10モノカルボン酸の異性体の混合物から構成される合成酸]、フェニル酢酸、安息香酸、2−ナフトエ酸、マレイン酸、コハク酸等のカルボン酸の残基;ヘキサンチオ酸、2,2−ジメチルブタンチオ酸、デカンチオ酸、チオ安息香酸等のチオカルボン酸の残基、リン酸ジブチル、リン酸ジペンチル、リン酸ジヘキシル、リン酸ジヘプチル、リン酸ジオクチル、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、リン酸ジラウリル、リン酸ジオレイル、リン酸ジフェニル、リン酸ビス(p−ノニルフェニル)、リン酸ビス(ポリエチレングリコール−p−ノニルフェニル)、リン酸(ブチル)(2−エチルヘキシル)、リン酸(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)、リン酸(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)等のリン酸エステルの残基;2−エチルヘキシルホスホン酸モノブチル、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、フェニルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−p−ノニルフェニル、ホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、ホスホン酸モノ−1−メチルヘプチル、ホスホン酸モノ−p−ノニルフェニル等のホスホン酸エステルの残基、ジブチルホスフィン酸、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、ビス(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸、ジラウリルホスフィン酸、ジオレイルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸、ブチル(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、(2−エチルヘキシル)(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸、(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、2−エチルヘキシルホスフィン酸、1−メチルヘプチルホスフィン酸、オレイルホスフィン酸、ラウリルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、p−ノニルフェニルホスフィン酸等のホスフィン酸の残基を挙げることもできる。なお、これらの配位子は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記第二重合触媒組成物に用いる(A)成分において、上記希土類元素化合物と反応するルイス塩基としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類等が挙げられる。ここで、上記希土類元素化合物が複数のルイス塩基と反応する場合(式(XI)及び(XII)においては、wが2又は3である場合)、ルイス塩基L11は、同一であっても異なっていてもよい。
上記第二重合触媒組成物に用いる(B)成分は、イオン性化合物(B−1)、アルミノキサン(B−2)及びハロゲン化合物(B−3)よりなる群から選択される少なくとも一種の化合物である。なお、上記第二重合触媒組成物における(B)成分の合計の含有量は、(A)成分に対して0.1〜50倍モルであることが好ましい。
上記(B−1)で表されるイオン性化合物は、非配位性アニオンとカチオンとからなり、上記(A)成分である希土類元素化合物又はそのルイス塩基との反応物と反応してカチオン性遷移金属化合物を生成できるイオン性化合物等を挙げることができる。ここで、非配位性アニオンとしては、例えば、テトラフェニルボレート、テトラキス(モノフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル、ペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル)、フェニル]ボレート、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート等が挙げられる。一方、カチオンとしては、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオン等を挙げることができる。カルボニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(置換フェニル)カルボニウムカチオン等の三置換カルボニウムカチオン等が挙げられ、トリ(置換フェニル)カルボニルカチオンとして、より具体的には、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオン等が挙げられる。アンモニウムカチオンの具体例としては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン(例えば、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオン)等のトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオン等が挙げられる。ホスホニウムカチオンの具体例としては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオン等が挙げられる。従って、イオン性化合物としては、上述の非配位性アニオン及びカチオンからそれぞれ選択し組み合わせた化合物が好ましく、具体的には、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が好ましい。また、これらのイオン性化合物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。なお、上記第二重合触媒組成物におけるイオン性化合物の含有量は、(A)成分に対して0.1〜10倍モルであることが好ましく、約1倍モルであることが更に好ましい。
上記(B−2)で表されるアルミノキサンは、有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることによって得られる化合物であり、例えば、一般式:(−Al(R')O−)で示される繰り返し単位を有する鎖状アルミノキサン又は環状アルミノキサン(式中、R'は炭素数1〜10の炭化水素基であり、一部の炭化水素基はハロゲン原子及び/又はアルコキシ基で置換されてもよく、繰り返し単位の重合度は、5以上が好ましく、10以上が更に好ましい)を挙げることができる。ここで、R'として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基等が挙げられ、これらの中でも、メチル基が好ましい。また、アルミノキサンの原料として用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム及びその混合物等が挙げられ、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。例えば、トリメチルアルミニウムとトリブチルアルミニウムとの混合物を原料として用いたアルミノキサンを好適に用いることができる。なお、上記第二重合触媒組成物におけるアルミノキサンの含有量は、(A)成分を構成する希土類元素Mと、アルミノキサンのアルミニウム元素Alとの元素比率Al/Mが、10〜1000程度となるようにすることが好ましい。
上記(B−3)で表されるハロゲン化合物は、ルイス酸、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物及び活性ハロゲンを含む有機化合物のうち少なくとも一種からなり、例えば、上記(A)成分である希土類元素化合物又はそのルイス塩基との反応物と反応して、カチオン性遷移金属化合物やハロゲン化遷移金属化合物や遷移金属中心が電荷不足の化合物を生成することができる。なお、上記第二重合触媒組成物におけるハロゲン化合物の合計の含有量は、(A)成分に対して1〜5倍モルであることが好ましい。
上記ルイス酸としては、B(C653等のホウ素含有ハロゲン化合物、Al(C653等のアルミニウム含有ハロゲン化合物を使用できる他、周期律表中の第III,IV,V,VI又はVIII族に属する元素を含有するハロゲン化合物を用いることもできる。好ましくはアルミニウムハロゲン化物又は有機金属ハロゲン化物が挙げられる。また、ハロゲン元素としては、塩素又は臭素が好ましい。上記ルイス酸として、具体的には、メチルアルミニウムジブロマイド、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジブロマイド、エチルアルミニウムジクロライド、ブチルアルミニウムジブロマイド、ブチルアルミニウムジクロライド、ジメチルアルミニウムブロマイド、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジブチルアルミニウムブロマイド、ジブチルアルミニウムクロライド、メチルアルミニウムセスキブロマイド、メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキブロマイド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジブチル錫ジクロライド、アルミニウムトリブロマイド、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、三塩化リン、五塩化リン、四塩化錫、四塩化チタン、六塩化タングステン等が挙げられ、これらの中でも、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、エチルアルミニウムセスキブロマイド、エチルアルミニウムジブロマイドが特に好ましい。
上記金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物を構成する金属ハロゲン化物としては、塩化ベリリウム、臭化ベリリウム、ヨウ化ベリリウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化カドミウム、臭化カドミウム、ヨウ化カドミウム、塩化水銀、臭化水銀、ヨウ化水銀、塩化マンガン、臭化マンガン、ヨウ化マンガン、塩化レニウム、臭化レニウム、ヨウ化レニウム、塩化銅、ヨウ化銅、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、塩化金、ヨウ化金、臭化金等が挙げられ、これらの中でも、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が好ましく、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅が特に好ましい。
また、上記金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物を構成するルイス塩基としては、リン化合物、カルボニル化合物、窒素化合物、エーテル化合物、アルコール等が好ましい。具体的には、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジエチルホスフィノエタン、ジフェニルホスフィノエタン、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニトリルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸フェニル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジフェニル、酢酸、オクタン酸、2−エチル−ヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、安息香酸、ナフテン酸、バーサチック酸、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、2−エチル−ヘキシルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコール等が挙げられ、これらの中でも、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、アセチルアセトン、2−エチルヘキサン酸、バーサチック酸、2−エチルヘキシルアルコール、1−デカノール、ラウリルアルコールが好ましい。
上記ルイス塩基は、上記金属ハロゲン化物1モル当り、0.01〜30モル、好ましくは0.5〜10モルの割合で反応させる。このルイス塩基との反応物を使用すると、ポリマー中に残存する金属を低減することができる。
上記活性ハロゲンを含む有機化合物としては、ベンジルクロライド等が挙げられる。
上記第二重合触媒組成物に用いる(C)成分は、下記一般式(X):
YR1 a2 b3 c ・・・ (X)
[式中、Yは、周期律表第1族、第2族、第12族及び第13族から選択される金属であり、R1及びR2は、同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R3は上記R1又はR2と同一又は異なっていてもよく、また、Yが周期律表第1族から選択される金属である場合には、aは1で且つb及びcは0であり、Yが周期律表第2族及び第12族から選択される金属である場合には、a及びbは1で且つcは0であり、Yが周期律表第13族から選択される金属である場合には、a,b及びcは1である]で表される有機金属化合物であり、下記一般式(Xa):
AlR123 ・・・ (Xa)
[式中、R1及びR2は、同一又は異なり、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R3は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R3は上記R1又はR2と同一又は異なっていてもよい]で表される有機アルミニウム化合物であることが好ましい。式(X)の有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム;エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。以上に述べた(C)成分としての有機アルミニウム化合物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。なお、上記第二重合触媒組成物における有機アルミニウム化合物の含有量は、(A)成分に対して1〜50倍モルであることが好ましく、約10倍モルであることが更に好ましい。
−重合触媒−
次に、本発明に係る共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の製造方法において用いられる重合触媒について説明する。
重合触媒としては、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとの重合用であり、下記式(A):
aMXbQYb・・・(A)
[式中、Rはそれぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、該RはMに配位しており、Mはランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、Xはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を示し、該XはM及びQにμ配位しており、Qは周期律表第13族元素を示し、Yはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子を示し、該YはQに配位しており、a及びbは2である]で表されるメタロセン系複合触媒が挙げられる。
上記メタロセン系複合触媒の好適例においては、下記式(XV):
Figure 0005769563
[式中、M1は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpRは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、RA及びRBは、それぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を示し、該RA及びRBは、M1及びAlにμ配位しており、RC及びRDは、それぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子を示す]で表されるメタロセン系複合触媒が挙げられる。
上記メタロセン系重合触媒を用いることで、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体を製造することができる。また、上記メタロセン系複合触媒、例えば予めアルミニウム触媒と複合させてなる触媒を用いることで、共重合体合成時に使用されるアルキルアルミニウムの量を低減したり、無くしたりすることが可能となる。なお、従来の触媒系を用いると、共重合体合成時に大量のアルキルアルミニウムを用いる必要がある。例えば、従来の触媒系では、金属触媒に対して10当量以上のアルキルアルミニウムを用いる必要があるところ、上記メタロセン系複合触媒であれば、5当量程度のアルキルアルミニウムを加えることで、優れた触媒作用が発揮される。
上記メタロセン系複合触媒において、上記式(A)中の金属Mは、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムである。ランタノイド元素には、原子番号57〜71の15元素が含まれ、これらのいずれでもよい。金属Mとしては、サマリウムSm、ネオジムNd、プラセオジムPr、ガドリニウムGd、セリウムCe、ホルミウムHo、スカンジウムSc及びイットリウムYが好適に挙げられる。
上記式(A)において、Rは、それぞれ独立して無置換インデニル又は置換インデニルであり、該Rは上記金属Mに配位している。なお、置換インデニル基の具体例としては、例えば、1,2,3−トリメチルインデニル基、ヘプタメチルインデニル基、1,2,4,5,6,7−ヘキサメチルインデニル基等が挙げられる。
上記式(A)において、Qは、周期律表第13族元素を示し、具体的には、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム等が挙げられる。
上記式(A)において、Xはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を示し、該XはM及びQにμ配位している。ここで、炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。なお、μ配位とは、架橋構造をとる配位様式のことである。
上記式(A)において、Yはそれぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子を示し、該YはQに配位している。ここで、炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。
上記式(XV)において、金属M1は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムである。ランタノイド元素には、原子番号57〜71の15元素が含まれ、これらのいずれでもよい。金属M1としては、サマリウムSm、ネオジムNd、プラセオジムPr、ガドリニウムGd、セリウムCe、ホルミウムHo、スカンジウムSc及びイットリウムYが好適に挙げられる。
上記式(XV)において、CpRは、無置換インデニル又は置換インデニルである。インデニル環を基本骨格とするCpRは、C97-XX又はC911-XXで示され得る。ここで、Xは0〜7又は0〜11の整数である。また、Rはそれぞれ独立してヒドロカルビル基又はメタロイド基であることが好ましい。ヒドロカルビル基の炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが一層好ましい。該ヒドロカルビル基として、具体的には、メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等が好適に挙げられる。一方、メタロイド基のメタロイドの例としては、ゲルミルGe、スタニルSn、シリルSiが挙げられ、また、メタロイド基はヒドロカルビル基を有することが好ましく、メタロイド基が有するヒドロカルビル基は上記のヒドロカルビル基と同様である。該メタロイド基として、具体的には、トリメチルシリル基等が挙げられる。
置換インデニルとして、具体的には、2−フェニルインデニル、2−メチルインデニル等が挙げられる。なお、式(XV)における二つのCpRは、それぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。
上記式(XV)において、RA及びRBは、それぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基を示し、該RA及びRBは、M1及Alにμ配位している。ここで、炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。なお、μ配位とは、架橋構造をとる配位様式のことである。
上記式(XV)において、RC及びRDは、それぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基又は水素原子である。ここで、炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。
なお、上記メタロセン系複合触媒は、例えば、溶媒中で、下記式(XVI):
Figure 0005769563
(式中、M2は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムを示し、CpRは、それぞれ独立して無置換もしくは置換インデニルを示し、RE〜RJは、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子を示し、Lは、中性ルイス塩基を示し、wは、0〜3の整数を示す)で表されるメタロセン錯体を、AlRKLMで表される有機アルミニウム化合物と反応させることで得られる。なお、反応温度は室温程度にすればよいので、温和な条件で製造することができる。また、反応時間は任意であるが、数時間〜数十時間程度である。反応溶媒は特に限定されないが、原料及び生成物を溶解する溶媒であることが好ましく、例えばトルエンやヘキサンを用いればよい。なお、上記メタロセン系複合触媒の構造は、1H−NMRやX線構造解析により決定することが好ましい。
上記式(XVI)で表されるメタロセン錯体において、CpRは、無置換インデニル又は置換インデニルであり、上記式(XV)中のCpRと同義である。また、上記式(XVI)において、金属M2は、ランタノイド元素、スカンジウム又はイットリウムであり、上記式(XV)中の金属M1と同義である。
上記式(XVI)で表されるメタロセン錯体は、シリルアミド配位子[−N(SiR32]を含む。シリルアミド配位子に含まれるR基(RE〜RJ基)は、それぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子である。また、RE〜RJのうち少なくとも一つが水素原子であることが好ましい。RE〜RJのうち少なくとも一つを水素原子にすることで、触媒の合成が容易になる。更に、アルキル基としては、メチル基が好ましい。
上記式(XVI)で表されるメタロセン錯体は、更に0〜3個、好ましくは0〜1個の中性ルイス塩基Lを含む。ここで、中性ルイス塩基Lとしては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメチルアニリン、トリメチルホスフィン、塩化リチウム、中性のオレフィン類、中性のジオレフィン類等が挙げられる。ここで、上記錯体が複数の中性ルイス塩基Lを含む場合、中性ルイス塩基Lは、同一であっても異なっていてもよい。
また、上記式(XVI)で表されるメタロセン錯体は、単量体として存在していてもよく、二量体又はそれ以上の多量体として存在していてもよい。
一方、上記メタロセン系複合触媒の生成に用いる有機アルミニウム化合物は、AlRKLMで表され、ここで、RK及びRLは、それぞれ独立して炭素数1〜20の1価の炭化水素基又は水素原子で、RMは炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、但し、RMは上記RK又はRLと同一でも異なっていてもよい。炭素数1〜20の1価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、ステアリル基等が挙げられる。
上記有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム;エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられ、これらの中でも、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムが好ましい。また、これら有機アルミニウム化合物は、1種単独で使用することも、2種以上を混合して用いることもできる。なお、上記メタロセン系複合触媒の生成に用いる有機アルミニウム化合物の量は、メタロセン錯体に対して1〜50倍モルであることが好ましく、約10倍モルであることが更に好ましい。
−第三の重合触媒組成物−
また、上記重合触媒組成物は、上記メタロセン系複合触媒と、ホウ素アニオンとを含むことを特徴とし、更に、通常のメタロセン系触媒を含む重合触媒組成物に含有される他の成分、例えば助触媒等を含むことが好ましい。なお、上記メタロセン系複合触媒とホウ素アニオンとを合わせて2成分触媒ともいう。上記第三重合触媒組成物によれば、上記メタロセン系複合触媒と同様に、更にホウ素アニオンを含有するため、各単量体成分の共重合体中での含有量を任意に制御することが可能となる。
上記第三重合触媒組成物において、2成分触媒を構成するホウ素アニオンとして、具体的には、4価のホウ素アニオンが挙げられる。例えば、テトラフェニルボレート、テトラキス(モノフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(テトラフルオロメチルフェニル)ボレート、テトラ(トリル)ボレート、テトラ(キシリル)ボレート、(トリフェニル、ペンタフルオロフェニル)ボレート、[トリス(ペンタフルオロフェニル)、フェニル]ボレート、トリデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート等が挙げられ、これらの中でも、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好ましい。
なお、上記ホウ素アニオンは、カチオンと組み合わされたイオン性化合物として使用することができる。上記カチオンとしては、例えば、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アミンカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプタトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオン等が挙げられる。カルボニウムカチオンとしては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(置換フェニル)カルボニウムカチオン等の三置換カルボニウムカチオン等が挙げられ、トリ(置換フェニル)カルボニルカチオンとして、具体的には、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン等が挙げられる。アミンカチオンとしては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン等のトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオン等が挙げられる。ホスホニウムカチオンとしては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオン等が挙げられる。これらカチオンの中でも、N,N−ジアルキルアニリニウムカチオン又はカルボニウムカチオンが好ましく、N,N−ジアルキルアニリニウムカチオンが特に好ましい。従って、上記イオン性化合物としては、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が好ましい。なお、ホウ素アニオンとカチオンとからなるイオン性化合物は、上記メタロセン系複合触媒に対して0.1〜10倍モル加えることが好ましく、約1倍モル加えることが更に好ましい。
なお、上記第三重合触媒組成物においては、上記メタロセン系複合触媒と上記ホウ素アニオンとを用いる必要があるが、上記式(XVI)で表されるメタロセン触媒と有機アルミニウム化合物を反応させる反応系に、ホウ素アニオンが存在していると、上記式(XV)のメタロセン系複合触媒を合成することができない。従って、上記第三重合触媒組成物の調製には、該メタロセン系複合触媒を予め合成し、該メタロセン系複合触媒を単離精製してからホウ素アニオンと組み合わせる必要がある。
上記第三重合触媒組成物に用いることができる助触媒としては、例えば、上述のAlRKLMで表される有機アルミニウム化合物の他、アルミノキサン等が好適に挙げられる。上記アルミノキサンとしては、アルキルアミノキサンが好ましく、例えば、メチルアルミノキサン(MAO)、修飾メチルアルミノキサン等が挙げられる。また、修飾メチルアルミノキサンとしては、MMAO−3A(東ソーファインケム社製)等が好ましい。なお、これらアルミノキサンは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記第一重合触媒組成物又は第二重合触媒組成物を使用しなくても、即ち、通常の配位イオン重合触媒を使用する場合であっても、重合反応系中への単量体の仕込み方を調整することで、前記共重合体を製造することができる。即ち、前記共重合体の第二の製造方法は、非共役オレフィンの存在下において、共役ジエン化合物の投入を制御することで、共重合体の連鎖構造を制御することを特徴とし、これによって、共重合体中の単量体単位の配列を制御することができる。なお、本発明において、重合反応系とは、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとの重合が行われる場所を意味し、具体例としては、反応容器等が挙げられる。
ここで、共役ジエン化合物の投入方法は、連続投入、分割投入のいずれであってもよく、更には、連続投入及び分割投入を組み合わせてもよい。また、連続投入とは、例えば、一定の添加速度で一定の時間添加することをいう。
具体的には、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとを重合させる重合反応系に共役ジエン化合物を分割又は連続投入することで、該重合反応系内の単量体の濃度比を制御することが可能となり、その結果、得られる共重合体中の連鎖構造(即ち、単量体単位の配列)を特徴づけることが可能となる。また、共役ジエン化合物の投入の際に、非共役オレフィンが重合反応系中に存在することで、共役ジエン化合物単独重合体の生成を抑制することができる。なお、共役ジエン化合物の投入は、非共役オレフィンの重合を開始した後に行ってもよい。
例えば、上記第二製造方法によって前記共重合体を製造する場合には、あらかじめ非共役オレフィンの重合を開始した重合反応系に、非共役オレフィンの存在下で共役ジエン化合物を連続投入することが有効となる。特に、上記第二製造方法によってマルチブロック共重合体を製造する場合には、「非共役オレフィンを重合反応系中で重合させ、次に、非共役オレフィンの存在下で共役ジエン化合物を該重合反応系中に連続投入する」という操作を2回以上繰り返すことが有効となる。
上記第二製造方法は、上述のように重合反応系中への単量体の仕込み方を特定する以外は特に限定されず、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、液相塊状重合法、乳化重合法、気相重合法、固相重合法等の任意の重合方法を用いることができる。また、上記第二製造方法は、上述のように重合反応系中への単量体の仕込み方を特定する以外は、上記第一製造方法と同様にして、単量体である共役ジエン化合物と非共役オレフィンを共重合させることができる。
なお、上記第二製造方法においては、共役ジエン化合物の投入を制御する必要があるが、具体的には、共役ジエン化合物の投入量や共役ジエン化合物の投入回数を制御することが好ましい。また、共役ジエン化合物の投入の制御方法は、例えば、コンピュータ等のプログラムで制御する方法や、タイマー等を用いてアナログで制御する方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、上述のように、共役ジエン化合物の投入方法は、特に限定されず、連続投入、分割投入等が挙げられる。ここで、共役ジエン化合物を分割投入する場合、該共役ジエン化合物の投入回数は、特に限定されないが、1〜5回の範囲が好ましい。共役ジエン化合物の投入回数が大きくなり過ぎると、ブロック共重合体とランダム共重合体との区別が困難になる場合がある。
また、上記第二製造方法においては、共役ジエン化合物の投入時に、非共役オレフィンが重合反応系に存在していることが必要であるため、非共役オレフィンを重合反応系へ連続的に供給することが好ましい。また、非共役オレフィンの供給方法は、特に限定されるものではない。
−共役ジエン系重合体と、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体との質量比−
前記共役ジエン系重合体と前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体との質量比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1:4〜4:1が好ましく、2:3〜3:2がより好ましい。
前記共役ジエン系重合体が上限値を超える(前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体が下限値未満である)と、ゴムクローラの耐摩耗性、耐亀裂成長性、耐オゾン劣化性及びを向上させる効果が小さくなることがあり、前記共役ジエン系重合体が下限値未満である(前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体が上限値を超える)と、耐カット性が低下する傾向にあり、ゴムクローラの寿命が低下することがある。
−その他のゴム成分−
前記その他のゴムとしては、特に制限はなく、本発明の目的に反しない範囲で、ゴムクローラという用途に応じて、少量(例えば、ゴム成分100質量部に対して10質量部以下)の種々の他の合成ゴムを含むことができる。
前記他の合成ゴムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム(EPDM)、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<(ii)白色充填材>
前記白色充填材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、例えば、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン(チタンホワイト)、炭酸カルシウム、タルク、クレー、などが挙げられる。。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、適当な補強性を得られるため、耐久性に優れるの点で、二酸化ケイ素(シリカ)が好ましい。
前記白色充填材の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ゴム成分100質量部に対して、40質量部〜80質量部が好ましく、50質量部〜70質量部がより好ましい。
前記白色充填材の含有量が、40質量部未満であると、ゴムクローラ用のゴムとして必要な弾性率(硬さ)を得られないことがあり、80質量部を超えると、当該用途には弾性率(硬さ)が高すぎるため、製造したゴムクローラが屈曲耐久性や耐亀裂成長性に劣るものとなることがある。
<(iii)カーボンブラック>
前記カーボンブラックとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、標準品種であるSAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF(以上ゴム用ファーネス)、MTカーボンブラック(熱分解カーボン)、などが挙げられる。
前記カーボンブラックのJISK1474に準じた測定方法によるヨウ素吸着量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50g/kg以上が好ましい。
前記カーボンブラックの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ゴム成分100質量部に対して、3質量部以下(0〜3質量部)とすることが好ましい。前記カーボンブラックの含有量が3質量部を超えると、走行面にもよるが、ゴムクローラの走行痕が残ってしまうことがある。
<(iv)シランカップリング剤>
前記シランカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記シランカップリング剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記白色充填材の含有量に対して、3質量%〜15質量%が好ましく、5質量%〜10質量%がより好ましい。
前記シランカップリング剤の含有量が、3質量%未満であると、ゴムと充填材の補強性が十分に得られないことがあり、15質量%を超えると、ゴム混練り時の加工性の悪化を招くことがある。
<(v)老化防止剤>
前記老化防止剤としては、特に制限はなく、非汚染性老化防止剤であるフェノール系老化防止剤を好適に用いることができ、例えば、1−オキシ−3−メチル−4−イソプロピルベンゼン、2,6−ジ−第三−ブチル−4−エチルフェノール、ブチル・ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−第三−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−第三−ブチルフェノールと2,4,6−トリ−第三−ブチルフェノールとオルト−第三−ブチルフェノールとの混合品、2,6−ジ−第三−ブチルフェノールと2,4−ジ−第三−ブチルフェノールと2,4,6−トリ−第三−ブチルフェノールと他の置換フェノールとの混合品、スチレン化フェノール、アルキル化フェノール、アルキル及びアラルキル置換フェノールの混合品、フェノール誘導体、などのモノフェノール系老化防止剤;2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−第三−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−シクロヘキシル・フェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−第三−ブチルフェノール)、4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジ−第三−ブチルフェノール)、メチレン架橋した多価アルキルフェノール、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−第三−ブチルフェノール)、アルキル化ビスフェノール、p−クレゾールとジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物、ポリブチル化ビスフェノールAの混合物、などのビス,トリス,ポリフェノール系老化防止剤;4,4’−チオビス−(6−第三−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス−(6−第三−ブチル−o−クレゾール)、4,4’−ジ及びトリ−チオビス(2,6−ジ−第三ブチルフェノール)、などのチオビスフェノール系老化防止剤;4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−第三−ブチルフェノール)、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル)]−o−クレゾール、ヒンダード・フェノール、ヒンダード・ビスフェノール、などのヒンダード・フェノール系老化防止剤;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記老化防止剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ゴム成分100質量部に対して、1質量部〜5質量部が好ましく、2質量部〜4質量部がより好ましい。
<(vi)可塑剤>
前記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アロマティック油、ナフテニック油、パラフィン油等のプロセスオイル;やし油等の植物油;アルキルベンゼンオイル等の合成油;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記可塑剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ゴム成分100質量部に対して、5質量部〜20質量部が好ましい。
<(vii)加硫剤>
前記加硫剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫黄、などが挙げられる。
前記加硫剤(硫黄)の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ゴム成分100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.5質量部〜5質量部がより好ましい。
<(viii)加硫促進剤>
前記加硫促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、TBBS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、TBSI(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンイミド)等のスルフェンアミド系の加硫促進剤;DPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤;テトラオクチルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;ジアルキルジチオリン酸亜鉛等の加硫促進剤;などが挙げられる。
前記加硫促進剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ゴム成分100質量部に対して、1質量部〜5質量部が好ましい。
<(ix)加硫促進助剤>
前記加硫促進助剤としては、加硫を促進する観点から配合されるものであり、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、亜鉛華(ZnO)、ステアリン酸、などが挙げられる。
前記加硫促進助剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ゴム成分100質量部に対して、3質量部〜10質量部が好ましい。
<(x)その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記成分以外のワックス類、酸化防止剤、充填剤、オイル、滑剤、粘着付与剤、石油系樹脂、紫外線吸収剤、分散剤、相溶化剤、均質化剤、などが挙げられる。
<クローラ用ゴム組成物の製造方法>
本発明のクローラ用ゴム組成物の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、全ての成分原料を一度に配合して混練してもよいし、2段階又は3段階に分けて各成分を配合して混練を行ってもよい。
前記混練に用いる混練機としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ロール、インターナルミキサー、バンバリーローター、などが挙げられる。
本発明のクローラ用ゴム組成物の加硫条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、120℃〜180℃、20分間〜150分間の条件とすることができる。
本発明のクローラ用ゴム組成物を用いゴムクローラを形成する場合には、従来公知の製造方法を採用し得る。
(ゴムクローラ)
本発明のゴムクローラは、本発明のクローラ用ゴム組成物を用いたことを特徴とする。
本発明のゴムクローラは、例えば、図1及び図2に示されるように、トレッドゴム層1と、中間ゴム層2と、亜鉛めっきスチールコード3と、芯金4とを備える。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体の分析方法及び樹脂組成物の評価方法を以下に示す。
<共重合体の分析方法>
(1)共重合体のミクロ構造(1,2−ビニル結合量、シス−1,4結合量)
共重合体中のブタジエン部分のミクロ構造(1,2−ビニル結合量)を、1H−NMRスペクトル(100℃、d−テトラクロロエタン標準:6ppm)により1,2−ビニル結合成分(5.0−5.1ppm)と全体のブタジエン結合成分(5−5.6ppm)の積分比より求めた。また、共重合体中のブタジエン部分のミクロ構造(シス−1,4結合量)を、13C−NMRスペクトル(100℃、d−テトラクロロエタン標準:73.8ppm)によるシス−1,4結合成分(26.5−27.5ppm)と全体のブタジエン結合成分(26.5−27.5ppm+31.5−32.5ppm)の積分比より求めた。
(2)共重合体のエチレン由来部分の含有率
共重合体中のエチレン由来部分の含有率(mol%)を13C−NMRスペクトル(100℃、d−テトラクロロエタン標準:73.8ppm)による全体のエチレン結合成分(28.5−30.0ppm)と全体のブタジエン結合成分(26.5−27.5ppm+31.5−32.5ppm)の積分比より求めた。
(3)共重合体の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC−8121GPC/HT、カラム:東ソー製GMHHR−H(S)HT×2本、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。なお、測定温度は140℃である。
(4)共重合体のブロックポリエチレン融解温度(DSCピーク温度)
JIS K7121−1987に準拠して示差走査熱量測定(DSC)を行い、DSC曲線を描き、ブロックポリエチレン融解温度(DSCピーク温度)を測定した。なお、測定は、単体ポリマーや触媒残渣等の不純物の影響をさけるため、共重合体を大量のテトラヒドロフランに48h浸漬し、テトラヒドロフランに溶解する成分を全て取り除いた後、乾燥したゴム成分をサンプルとして使用した。
(5)共重合体の同定
文献(「高分子学会予稿集Vol.42,No.4,Page1347」)のオゾン分解−GPC法を応用して、連鎖分布の解析を行った。なお、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーは[GPC:東ソー製HLC−8121GPC/HT、カラム:昭和電工製GPC HT−803×2本、検出器:示差屈折率計(RI)、単分散ポリスチレンを基準、測定温度は140℃]を用いて測定した。
<評価方法>
表2に示す配合処方のゴム配合物を調製し、160℃で20分間加硫して得た加硫ゴムに対し、下記の方法に従って、(1)耐亀裂成長性(定応力)、(2)耐摩耗性、(3)耐オゾン性試験、(4)接着力(ゴム/ゴム接着)、及び(5)耐カット性を測定した。
(1)耐亀裂成長性(指数)(定応力)
JIS3号試験片中心部に0.5mmの亀裂を入れ、室温でMd100%(JIS K6251に従った引っ張り試験による測定値)の一定応力にて繰り返し疲労を与え、サンプルが切断するまでの回数を測定した。結果を表2に示す。指数値が大きい程、耐亀裂成長性が良好であることを示す。なお、表中>200は比較例1に対し2倍の回数の繰り返し疲労を与えても、サンプルの切断が起こらなかったことを示す。
(2)耐摩耗性(指数)
調製した各加硫ゴムから円板状(直径16.2mm×厚さ6mm)に切り抜いた試験片を用い、JIS−K6264−2:2005に準じて、DIN摩耗試験を行った。室温でDIN摩耗試験試験を行った際の摩耗量(mm)を測定した。比較例1を100とした場合の指数(摩耗量の逆数)を表2に示す。指数値が大きい程、耐摩耗性が良好であることを示す。
(3)耐オゾン性(動的)
JIS K 6259に従って、耐オゾン性を測定した。短冊状試験片を30%の動的伸張を与えながら、40℃、オゾン濃度50pphm条件で暴露し、24時間後の試料の状況(亀裂の有無)を目視で判断した。結果を表2に示す。
(4)接着力(ゴム/ゴム接着)
サンプル厚み6mm(3mmシート2枚重ね)で同種ゴムを加硫接着、150mm×25mmの短冊状試験片とし、80℃雰囲気下にて50mm/minの速度で剥離させた場合の破壊部分を示す。
「ゴム破壊」が望ましく、「界面剥離」の場合は破壊強力が低く、クローラの耐久性への要求を満たせない。
(5)耐カット性
縦60mm×横70mm×高さ30mmのゴムブロックを加硫し、サンプルを作製した。室温で、該サンプルから70cm離した高さから質量15kgの錘を付けた角度60度の鋭利な刃を落下させ、生じた亀裂深さ(mm)を測定し、逆数を算出し、比較例1を100として指数表示した。指数値が大きいほど、耐カット性に優れることを示す。
(調製例1)
<エチレン−ブタジエン共重合体A(EBR1)の調製>
十分に乾燥した400mL耐圧ガラス反応器に、トルエン溶液160mLを添加した後、エチレンを0.8MPaで導入した。一方、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にビス(2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)[(2−PhC962GdN(SiHMe22]28.5μmol、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Me2NHPhB(C654]34.2μmol、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド1.43mmolを仕込み、トルエン8mLに溶解させて触媒溶液とした。その後、グローブボックスから触媒溶液を取り出し、ガドリニウム換算で28.2μmolとなる量をモノマー溶液へ添加し、室温で5分間重合を行った。その後、エチレンの導入圧力を0.2MPa/minの速度で低下させながら、1,3−ブタジエン15.23g(0.28mol)を含むトルエン溶液100mLを添加した後、さらに90分間重合を行った。重合後、2,2´−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノールで共重合体を分離し、70℃で真空乾燥し、共重合体A(ブロック共重合体)を得た。得られた共重合体Aの収量は12.50gであった。
得られた共重合体Aについて、ミクロ構造、エチレン含有率、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、ブロックポリエチレン融解温度(DSCピーク温度)及び連鎖構造を上記の方法で測定・評価した。共重合体Aの13C−NMRスペクトルチャートを図3に、DSC曲線を図4に示す。
共重合体A中のブタジエン部分のミクロ構造として、シス−1,4−結合量は98%、1,2−ビニル結合量は1.2%であった。
重量平均分子量Mwは350000であり、分子量分布Mw/Mnは、2.2であった。
エチレン含有率は7mol%(ブタジエン含有率は93mol%)であった。
ブロックポリエチレン融解温度(DSCピーク温度)は、121℃であり、連鎖構造はブロックであった。
(調製例2)
<エチレン−ブタジエン共重合体B(EBR2)の調製>
十分に乾燥した400ml耐圧ガラス反応器に、トルエン溶液100mlを添加した後、エチレンを0.8MPaで導入した。一方、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にビス(2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)[(2−PhCGdN(SiHMe]28.5μmol、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[MeNHPhB(C]34.2μmol、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド1.43mmolを仕込み、トルエン8mlに溶解させて触媒溶液とした。その後、グローブボックスから触媒溶液を取り出し、ガドリニウム換算で28.2μmolとなる量をモノマー溶液へ添加し、室温で5分間重合を行った。その後、エチレンの導入圧力を0.2MPa/minの速度で低下させながら、1,3−ブタジエン4.57g(0.085mol)を含むトルエン溶液30mlを添加した後、さらに60分間重合を行った。次に、「エチレンの導入圧力を0.8MPaに戻し5分間重合を行い、その後エチレンの導入圧力を0.2MPa/minの速度で低下させながら、1,3−ブタジエン4.57g(0.085mol)を含むトルエン溶液30mlを添加し、その後さらに60分間重合を行う」という操作を計3回繰り返した。重合後、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mlを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノールで共重合体を分離し、70℃で真空乾燥し共重合体B(マルチブロック共重合体)を得た。得られた共重合体Bの収量は14.00gであった。
得られた共重合体Bについて、ミクロ構造、エチレン含有率、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、ブロックポリエチレン融解温度(DSCピーク温度)及び連鎖構造を上記の方法で測定・評価した。
共重合体B中のブタジエン部分のミクロ構造として、シス−1,4−結合量は97%、1,2−ビニル結合量は1.2%であった。
重量平均分子量Mwは283000であり、分子量分布Mw/Mnは、2.8であった。
エチレン含有率は13mol%(ブタジエン含有率は87mol%)であった。
ブロックポリエチレン融解温度(DSCピーク温度)は、121℃であり、連鎖構造はブロックであった。
(調製例3)
<エチレン−ブタジエン共重合体C(EBR3)の調製>
十分に乾燥した2Lステンレス反応器に、トルエン150mlを添加した後、エチレンを0.8MPaで導入した。一方、窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にビス(2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)[(2−PhCGdN(SiHMe]14.5μmol、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(PhCB(C)14.1μmol、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド0.87mmolを仕込み、トルエン5mlに溶解させて触媒溶液とした。その後、グローブボックスから触媒溶液を取り出し、ガドリニウム換算で14.1μmolとなる量をモノマー溶液へ添加し、50℃で5分間重合を行った。その後、エチレンの導入圧力を0.2MPa/minの速度で低下させながら、1,3−ブタジエン3.05g(0.056mol)を含むトルエン溶液20mlを添加した後、さらに15分間重合を行った。次に、「エチレンの導入圧力を0.8MPaに戻し5分間重合を行い、その後、エチレンの導入圧力を0.2MPa/minの速度で低下させながら、1,3−ブタジエン6.09g(0.113mol)を含むトルエン溶液40mlを添加し、その後さらに30分間重合を行う」という操作を計3回繰り返した。重合後、2,2’−メチレンービス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mlを加えて反応を停止させ、さらに大量のメタノールで共重合体を分離し、70℃で真空乾燥し重合体C(マルチブロック共重合体)を得た。得られた共重合体Cの収量は24.50gであった。
得られた共重合体Cについて、ミクロ構造、エチレン含有率、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、ブロックポリエチレン融解温度(DSCピーク温度)及び連鎖構造を上記の方法で測定・評価した。共重合体CのDSC曲線を図5に示す。
共重合体C中のブタジエン部分のミクロ構造として、シス−1,4−結合量は97%、1,2−ビニル結合量は1.4%であった。
重量平均分子量Mwは205000であり、分子量分布Mw/Mnは、9.15であった。
エチレン含有率は34mol%(ブタジエン含有率は66mol%)であった。
ブロックポリエチレン融解温度(DSCピーク温度)は、121℃であり、連鎖構造はブロックであった。
(調製例4)
<エチレン−ブタジエン共重合体D(EBR4)の調製>
調製例3において、ビス(2−フェニルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)[(2−PhCGdN(SiHMe]を用いる代わりに、ビス(2−フェニル−1−メチルインデニル)ガドリニウムビス(ジメチルシリルアミド)[(2−Ph−1−MeCGdN(SiHMe]を用いること以外は同様の方法で実験を行ったところ、重合体D(マルチブロック共重合体)を得た。得られた共重合体Dの収量は28.55gであった。
得られた共重合体Dについて、ミクロ構造、エチレン含有率、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、ブロックポリエチレン融解温度(DSCピーク温度)及び連鎖構造を上記の方法で測定・評価した。
共重合体D中のブタジエン部分のミクロ構造として、シス−1,4−結合量は97%、1,2−ビニル結合量は1.8%であった。
重量平均分子量Mwは221000であり、分子量分布Mw/Mnは、3.13であった。
エチレン含有率は45mol%(ブタジエン含有率は55mol%)であった。
ブロックポリエチレン融解温度(DSCピーク温度)は、122℃であり、連鎖構造はブロックであった。
Figure 0005769563
Figure 0005769563
表2の各組成物において用いられたポリマー等の銘柄等を下記する。
*1:調製例1で調整したエチレン−ブタジエン共重合体A
*2:調製例2で調整したエチレン−ブタジエン共重合体B
*3:調製例3で調整したエチレン−ブタジエン共重合体C
*4:調製例4で調整したエチレン−ブタジエン共重合体D
*5:グレードRSS No.3
*6:JSR製「EP96」
*7:東ソー・シリカ社製「ニプシルVN−3」
*8:DEGUSSA社製「Si−69」
*9:エーピーアイコーポレーション製「アクチングSL」
*10:日本精鑞株式会社製「パラフィンワックス135」
*11:大内新興化学工業株式会社製「ノクラック(登録商標)SP」
*12:三井金属鉱業社製「チタンホワイトRR」
*13:鶴見化学工業株式会社製「Sulfax5」
*14:大内新興化学工業株式会社製「ノクセラー(登録商標)D」
*15:大内新興化学工業株式会社製「ノクセラー(登録商標)DM」
*16:大内新興化学工業株式会社製「ノクセラー(登録商標)NS」
*17:東邦亜鉛株式会社製「銀嶺(登録商標)SR」
*18:花王社製「LUNAC RA」
表2より明らかなごとく、参考例1及び2並びに実施例3及び4のゴム組成物は、共役ジエン系重合体及び共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体を含むゴム成分と、白色充填剤とを含むことにより、比較例1〜5と比較して、他のゴム部材との接着性、並びに、ゴムクローラの耐亀裂成長性(耐久性)、耐オゾン性、及び耐摩耗性を向上させることを達成し得た。
本発明のクローラ用ゴム組成物は、ゴムクローラやゴムクローラのラグ部ゴム用途に利用可能である。かかるゴムクローラ又はラグ部ゴムを備えたゴムクローラは、農業機械用、建設機械用又は土木作業機械用に利用可能である。
1 トレッドゴム層
2 中間ゴム層
3 亜鉛めっきスチールコード
4 芯金

Claims (13)

  1. 共役ジエン系重合体及び共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体を含むゴム成分と、
    白色充填剤と、
    を含むクローラ用ゴム組成物であって、
    前記共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体における前記非共役オレフィン由来部分の含有率が、20mol%〜70mol%である、
    ことを特徴とするクローラ用ゴム組成物。
  2. 前記共重合体において、前記共役ジエン化合物由来部分の割合が30mol%〜80mol%であることを特徴とする請求項1に記載のクローラ用ゴム組成物。
  3. 前記共重合体は、前記共役ジエン化合物由来部分のシス−1,4結合量が50%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のクローラ用ゴム組成物。
  4. 前記白色充填剤は、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化カルシウム、タルク、及びクレーからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1から3のいずれかに記載のクローラ用ゴム組成物。
  5. 前記共重合体のポリスチレン換算重量平均分子量が10,000〜10,000,000であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のクローラ用ゴム組成物。
  6. 前記共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が10以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のクローラ用ゴム組成物。
  7. 前記非共役オレフィンが非環状オレフィンであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のクローラ用ゴム組成物。
  8. 前記非共役オレフィンの炭素数が2〜10であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のクローラ用ゴム組成物。
  9. 前記非共役オレフィンが、エチレン、プロピレン、及び1−ブテンからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のクローラ用ゴム組成物。
  10. 前記非共役オレフィンがエチレンであることを特徴とする請求項9に記載のクローラ用ゴム組成物。
  11. 前記共役ジエン化合物が1,3−ブタジエン及びイソプレンからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のクローラ用ゴム組成物。
  12. 前記ゴム成分100質量部に対し、前記共役ジエン系重合体を30質量部〜60質量部含むことを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のクローラ用ゴム組成物。
  13. 請求項1から12のいずれかに記載のクローラ用ゴム組成物を用いたことを特徴とするゴムクローラ。
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